以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。各図面には、XYZ軸座標が導入される場合がある。
図1(a)は、本実施形態に係るプロテクトテープ付粘着フィルムが捲回された状態の概略立体図である。図1(b)は、プロテクトテープ付本実施形態に係る粘着フィルムの概略断面図である。図1(c)は、本実施形態に係る着色粘着フィルムにおける粗面化層の概略断面図である。
図1(a)に示すように、本実施形態に係るプロテクトテープ付粘着フィルム3は、長尺シート状に構成されている。プロテクトテープ付粘着フィルム3は、一軸方向において捲回できるフレキシブルな樹脂テープである。図1(a)の例では、プロテクトテープ付粘着フィルム3は、長尺方向DLにおいて、巻取芯410に巻かれている。
図1(b)に示すように、プロテクトテープ付粘着フィルム3は、剥離フィルム30と、第1粘着剤層20と、樹脂フィルム11と、粗面化層15と、プロテクトテープ35とを具備する。プロテクトテープ35は、プロテクト用樹脂フィルム32と、第2粘着剤層33とを有する。図1(b)の例では、プロテクトテープ付粘着フィルム3は、剥離フィルム30/第1粘着剤層20/樹脂フィルム11/粗面化層15/第2粘着剤層33/プロテクト用樹脂フィルム32の順に積層されている。本実施形態では、剥離フィルム30の側を下側、プロテクト用樹脂フィルム32の側を上側とする場合がある。
本実施形態において、プロテクトテープ付粘着フィルム3からプロテクトテープ35が剥がされた構成を粘着フィルム2とする。また、プロテクトテープ付粘着フィルム3からプロテクトテープ35及び剥離フィルム30が剥がされた構成を粘着テープ1とする。粘着テープ1は、第1粘着剤層20と、樹脂フィルム11と、粗面化層15とを具備する。また、本実施形態において、プロテクトテープ付粘着フィルム3は、着色層12を具備してもよい。つまり、粘着フィルム2は、剥離フィルム30と、第1粘着剤層20と、樹脂フィルム11と、粗面化層15を備え、さらに、着色層12を有してもよい。粘着テープ1は、第1粘着剤層20と、樹脂フィルム11と、粗面化層15を備え、さらに、着色層12を有してもよい。図1(b)と、後述する図2(b)及び図3には、一例として、着色層12が設けられた状態が示されている。
プロテクトテープ35は、粗面化層15に接する。プロテクトテープ付粘着フィルム3においては、剥離フィルム30を剥がすることができ、剥離フィルム30が剥がされた粘着テープ1をグラファイトシートに貼り付けることができる。
剥離フィルム30は、樹脂フィルム11とは反対側の第1粘着剤層20の表面に設けられている。第1粘着剤層20は、剥離フィルム30の表面に設けられている。例えば、第1粘着剤層20は、剥離フィルム30と樹脂フィルム11との間に設けられている。剥離フィルム30の第1粘着剤層20側表面には、剥離フィルム30の剥離を容易にする剥離剤層(不図示)が設けてられてもよい。樹脂フィルム11は、剥離フィルム30とは反対側の第1粘着剤層20の表面に設けられている。例えば、着色層12が設けられた場合、樹脂フィルム11は、着色層12と第1粘着剤層20との間に設けられている。樹脂フィルム11は、プロテクトテープ付粘着フィルム3の基材である。
着色層12が設けられた場合、着色層12は、第1粘着剤層20とは反対側の樹脂フィルム11の表面に設けられている。例えば、着色層12は、樹脂フィルム11と粗面化層15との間に設けられている。着色層12の表面に粗面化層15が設けられ、粗面化層15の表面にプロテクトテープ35が貼付けられる。着色層12には、着色剤が含まれている。着色剤は、特に限定されるものではないが、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、黄色酸化鉄、べんがら、シアニンブルー、アルミニウム粉、雲母チタン粉等があげられる。本実施形態では、着色層12には、例えば、カーボンブラックが添加され、着色層12が黒色に着色されている。
粗面化層15は、樹脂フィルム11とは反対側の粘着テープ1の表面に設けられている。例えば、粗面化層15は、粘着テープ1とプロテクトテープ35との間に設けられている。粗面化層15は、例えば、粘着テープ1の下地(グラファイトシート)の光沢を抑えることができるマット層である。
プロテクトテープ35は、粘着テープ1とは反対側の粗面化層15の表面に設けられている。プロテクトテープ35において、第2粘着剤層33は、剥離フィルム30とは反対側の粘着テープ1の表面に設けられている。例えば、第2粘着剤層33は、粗面化層15とプロテクト用樹脂フィルム32との間に設けられている。また、プロテクトテープ35において、プロテクト用樹脂フィルム32は、粘着テープ1とは反対側の第2粘着剤層33の表面に設けられている。プロテクトテープ35が粗面化層15上に設けられることで、プロテクトテープ35下の層が確実に保護される。特に、プロテクトテープ35下の層が極薄になるほど、プロテクトテープ35が必要になる。
プロテクト用樹脂フィルム32及び第2粘着剤層33の少なくともいずれかには、識別部32dが設けられてもよい。ここで、識別部32dとは、プロテクトテープが粘着フィルム2に付されているか否かを容易に確認できる識別部分である。識別部32dは、着色され、またはマークが付されている。また、プロテクト用樹脂フィルム32及び第2粘着剤層33の少なくともいずれかにおいて、識別部32dは、それぞれの少なくとも一部に設けられている。すなわち、識別部32dは、プロテクト用樹脂フィルム32及び第2粘着剤層33の少なくともいずれかの全域に設けられてもよく、プロテクト用樹脂フィルム32及び第2粘着剤層33の少なくともいずれかの一部に設けられてもよい。
例えば、図1(b)には、識別部32dがプロテクト用樹脂フィルム32の全域に設けられた構成が例示されている。識別部32dが着色の場合、着色された識別部32dの色は、例えば、Lab表色系のb*値が−30以上−10以下に設定されてもよい。識別部32dの色は、例えば、青である。例えば、プロテクト用樹脂フィルム32の全域または一部が青色に着色されてもよい。ここで、識別部32dのb*値が−30より小さいと、識別部32dの青色が濃くなり、プロテクトテープ35を通しての粘着テープ1またはグラファイトシートの検査が難しくなり好ましくない。一方、識別部32dのb*値が−10より大きいと、識別部32dの青色が薄くなり、プロテクトテープ35の存在を確認できない場合があり、プロテクトテープ35の剥がし忘れが起きやすくなり好ましくない。また、マークが付された識別部32dは、着色文字、凹凸文字、着色模様、凹凸模様、タブ部等を有する。例えば、プロテクト用樹脂フィルム32の全域または一部にマークが付されてもよい。
プロテクトテープ35の全光線透過率は、65%以上80%以下に設定されてもよい。プロテクトテープ35の全光線透過率が65%より小さくなると、プロテクトテープ35下の層(例えば、粘着テープまたはグラファイトシート)を視認しにくくなり、プロテクトテープ35を通してプロテクトテープ35より下の層の欠陥確認等を目的とした検査が難しくなり好ましくない。一方、プロテクトテープ35の全光線透過率が80%より大きくなると、プロテクトテープ35の存在を確認できない場合があり、手作業でプロテクトテープ35を剥がす際、プロテクトテープ35の剥がし忘れが発生する恐れがある。なお、プロテクトテープ35における全光線透過率は、プロテクトテープを通して粘着テープまたはグラファイトシートが確認できるプロテクトテープ表面の面全体の全光線透過率の平均値を示す。
プロテクトテープ35の厚みは、粘着テープ1を構成する、第1粘着剤層20、樹脂フィルム11及び粗面化層15の総厚に対し、1倍以上20倍以下に設定され、好ましくは、10倍以上20倍以下に設定されてもよい。着色層12が設けられた場合、総厚とは、第1粘着剤層20、樹脂フィルム11及び粗面化層15の厚みに、着色層12の厚みを加えた厚みである。
プロテクトテープ35の厚みが上記総厚より薄いと、プロテクトテープ35の剛性が弱く、プロテクトテープ付粘着テープ1の剛性が弱くなる。これにより、プロテクトテープ付粘着テープ1をグラファイトシートの表面に貼付する際、粘着テープ1に皺または弛みが発生しやすくなる。一方、プロテクトテープ35の厚みが上記総厚の20倍より大きいと、プロテクトテープ35の剛性が強く、プロテクトテープ付粘着テープ1の剛性が強くなる。これにより、プロテクトテープ付粘着テープ1をグラファイトシートに貼り付ける際、グラファイトシートと第1粘着剤層20との間に気泡が入ってしまうので好ましくない。
プロテクトテープ35において、プロテクト用樹脂フィルム32のガーレ試験による柔軟性は、0.1mN/25mm以上2mN/25mm以下に設定されてもよい。プロテクト用樹脂フィルム32の柔軟性が0.1mN/25mmより小さいと、プロテクトテープ35の剛性が弱くなり、プロテクトテープ付粘着テープ1をグラファイトシートに貼り付ける際、粘着テープ1に皺または弛みが発生したり、プロテクトテープ35が伸縮して位置ずれを起こしたりして好ましくない。一方、プロテクト用樹脂フィルム32の柔軟性が2mN/25mmより大きいと、プロテクトテープ35の剛性が強くなり過ぎ、プロテクトテープ付粘着テープ1をグラファイトシートに貼り付ける際、グラファイトシートと第1粘着剤層20との間に気泡が入ってしまうので好ましくない。
プロテクトテープ35のヤング率は、好ましくは2000MPa以上であり、より好ましくは、2000MPa以上4500MPa以下に設定される。プロテクトテープ35のヤング率が2000MPaより小さいと、プロテクトテープ35の剛性が弱くなり、プロテクトテープ付粘着テープ1をグラファイトシートに貼り付ける際、粘着テープ1に皺または弛みが発生したり、プロテクトテープ35が伸縮して位置ずれを起こしたりして好ましくない。一方、プロテクトテープ35のヤング率が4500MPaより大きいと、プロテクトテープ35の剛性が強くなり、プロテクトテープ付粘着テープ1をグラファイトシートに貼り付ける際、グラファイトシートと第1粘着剤層20との間に気泡が入ってしまうので好ましくない。
プロテクトテープ35のステンレス板(SUS)に対する粘着力(180度剥離試験)は、好ましくは5mN/25mm以上300mN/25mm以下に設定され、より好ましくは、5mN/25mm以上100mN/25mm以下に設定される。プロテクトテープ35のステンレス板に対する粘着力が5mN/25mmより小さいと、プロテクトテープ35が粘着テープ1の表面から剥がれやすくなり好ましくない。一方、プロテクトテープ35のステンレス板に対する粘着力が300mN/25mmより大きいと、プロテクトテープ35が粘着テープ1の表面から剥がれず好ましくない。
プロテクトテープ35の粘着テープ1に対する粘着力(剥離角度180°、剥離速度300mm/min)は、5mN/25mm以上100mN/25mm以下に設定されてもよい。また、プロテクトテープ35の粘着テープ1に対する粘着力(剥離角度90°、剥離速度1m/min)は、10mN/25mm以上500mN/25mm以下に設定されてもよい。
プロテクトテープ35の粘着テープ1に対する粘着力(剥離角度180°)が5mN/25mmより小さいと、プロテクトテープ35が粘着テープ1から剥がれやすくなり、好ましくない。一方、プロテクトテープ35の粘着テープ1に対する粘着力(剥離角度180°)が100mN/25mmより大きいと、プロテクトテープ35が粘着テープ1の表面から剥がれず、好ましくない。また、プロテクトテープ35の粘着テープ1に対する粘着力(剥離角度90°)が10mN/25mmより小さいと、プロテクトテープ35が粘着テープ1の表面から剥がれやすくなり、好ましくない。一方、プロテクトテープ35の粘着テープ1に対する粘着力(剥離角度90°)が500mN/25mmより大きいと、プロテクトテープ35が粘着テープ1の表面から剥がれず、好ましくない。
プロテクトテープ35の粘着テープ1に対する粘着力(剥離角度90°)は、プロテクトテープ35の粘着テープ1に対する粘着力(剥離角度180°)に対して、1倍以上10倍以下に設定されてもよい。プロテクトテープ35の粘着テープ1に対する粘着力(剥離角度90°)がプロテクトテープ35の粘着テープ1に対する粘着力(剥離角度180°)の1倍より小さいと、例えば、プロテクトテープ35の抜き加工工程で、加工用抜き刃をプロテクトテープ35から引き上げる際、加工用抜き刃の引き上げとともにプロテクトテープ35が粘着テープ1の表面から剥がれやすくなり好ましくない。一方、プロテクトテープ35の粘着テープ1に対する粘着力(剥離角度90°)がプロテクトテープ35の粘着テープ1に対する粘着力(剥離角度180°)の10倍より大きくなると、プロテクトテープ35を粘着テープ1の表面から剥がす際、プロテクトテープ35下の層がプロテクトテープ35とともに剥がれてしまい好ましくない。
プロテクトテープ35において第2粘着剤層33の表面自由エネルギーγdは、15mJ/m2以上30mJ/m2以下に設定される。第2粘着剤層33の表面自由エネルギーγdが15mJ/m2よりも小さくなると、第2粘着剤層33の表面張力が弱すぎて、第2粘着剤層33と粘着テープ1の表面との密着性が悪くなり好ましくない。第2粘着剤層33の表面自由エネルギーγdが30mJ/m2より大きくなると、第2粘着剤層33の表面張力が強すぎて、第2粘着剤層33と粘着テープ1の表面との密着性が悪くなり好ましくない。このような表面自由エネルギーγdを有する第2粘着剤層33は、例えば、シリコーン樹脂及びウレタン樹脂の少なくともいずれかを含む。第2粘着剤層33がこのような材料を含むことにより、第2粘着剤層33の粘着テープ1の表面に対する濡れ性が向上して、プロテクトテープ35と粘着テープ1の表面との間の密着力が向上する。
また、プロテクトテープ35において、第2粘着剤層33は、34mN/m以下の濡れ張力に設定され、より好ましくは20mN/m以上34mN/m以下の濡れ張力に設定される。第2粘着剤層33の濡れ張力が20mN/mより小さくなると、第2粘着剤層33がプロテクト用樹脂フィルム32から弾かれて好ましくない。第2粘着剤層33の濡れ張力が34mN/mより大きくなると、第2粘着剤層33の表面張力が高まり、プロテクトテープ35と粗面化層15との間に気泡の噛み込みが発生し好ましくない。第2粘着剤層33の濡れ張力が上記範囲に調整されることにより、第2粘着剤層33の粗面化層15に対する濡れ性が向上して、プロテクトテープと粗面化層との間の気泡の噛み込みが無く、密着力が向上する。
また、図1(b)に示すプロテクトテープ付粘着フィルム3においては、プロテクトテープ35が粘着テープ1から剥がされた場合、粘着テープ1の表面が露出する。
図1(c)に、露出した粗面化層15の断面の一例を示す。例えば、粗面化層15は、粒子15pと、粒子15pを含有するバインダ樹脂15bとを含んでもよい。粒子15pは、例えば、無機粒子及び有機粒子の少なくともいずれかである。粗面化層15の上面において、粒子15pが露出されてもよく、バインダ樹脂15bが露出されてもよい。粒子15pの平均粒径は、50nm以上10μm以下である。このような粒子を含む粗面化層15では、粒子を含まない場合に比べて、粗面化層15の表面(プロテクトテープ35側の表面)の凹凸が著しくなる。これにより、第2粘着剤層33と粗面化層15との間に気泡が噛み込みやすくなる。
グラファイトシートの表面に粗面化層15を有する粘着テープ1が貼付されることでマット調とすることが可能となり、風合いが向上する。さらに粘着テープ1のみでロール状に巻き取られた際に滑り性が向上しているため巻取り適性が良好になる。但し、この粗面化層15の凹凸に追従させるためには、第2粘着剤層33の表面自由エネルギーγdを15mJ/m2以上30mJ/m2以下に調整する必要がある。
例えば、粗面化層15の上面の算術平均粗さRaは、0.1μm以上であり、好ましくは、0.1μm以上1.0μm以下であり、より好ましくは、0.2μm以上0.5μm以下である。粗面化層15の表面粗さ(曲線要素の平均高さRc)は、0.5μm以上であり、好ましくは、0.5μm以上2.0μm以下であり、より好ましくは、0.8μm以上1.8μm以下であり、より好ましくは、1.0μm以上1.5μm以下である。粗面化層15の10点平均粗さRzjisは、1.0μm以上であり、好ましくは、1.0μm以上9.0μm以下であり、より好ましくは2.0μm以上7.0μm以下であり、より好ましくは、2.5μm以上5.0μm以下である。
また、プロテクトテープ付粘着フィルム3において、Z軸方向に隣り合う層同士は、直接的に接してもよく、間接的に接してもよい。間接的に接する場合には、Z軸方向に隣り合う層間に密着性等を向上させる中間層(不図示)が介在してもよい。また、プロテクトテープ付粘着フィルム3における各層は単層でもよく、複数の層から構成されてもよい。
プロテクトテープ付粘着フィルム3において、剥離フィルム30の厚みは、20μm以上80μm以下であり、好ましくは20以上50μm以下である。
第1粘着剤層20の厚みは、1μm以上5μm以下であり、好ましくは、1μm以上3μm以下である。第1粘着剤層20の厚みが1μm未満であると、粘着剤層20とグラファイトシートとの密着性が低く、グラファイトシートを十分に保護することが困難となる場合がある。第1粘着剤層20の厚みが5μmを超えると、粘着テープ1が厚くなり薄型化の要求を満たさない。
樹脂フィルム11の厚みは、例えば、1μm以上6μm以下であり、好ましくは1μm以上3μm以下である。樹脂フィルム11の厚みが1μm未満であると、樹脂フィルム11の強度が低くなり、ロールトゥロール方式によって搬送することが困難となる。樹脂フィルム11の厚みが6μmを超えると、粘着テープ1が厚くなり薄型化の要求を満たさない。
着色層12の厚みは、例えば、0.5μm以上5μm以下であり、好ましくは、0.8μm以上3μm以下である。着色層12の厚みが0.5μm未満であると、樹脂フィルム11と粗面化層15との密着性が低くなり、粗面化層15が樹脂フィルム11から剥がれる場合がある。また、着色層12の厚みが5μmを超えると、粘着テープ1が厚くなり薄型化の要求を満たさない。
粗面化層15の厚みは、例えば、0.5以上5μm以下であり、好ましくは、0.6μm以上3μm以下であり、より好ましくは、0.8μm以上2μm以下である。粗面化層15の厚みが0.5μm未満であると、所望の凹凸構造面が得られず、粗面化層15の厚みが5μmを超えると、粘着テープ1が厚くなり薄型化の要求を満たさない。である。
第2粘着剤層33の厚みは、3μm以上50μm以下でもよい。プロテクト用樹脂フィルム32の厚みは、25μm以上200μm以下でもよい。
剥離フィルム30が剥がされたプロテクトテープ付粘着テープ1が剥離フィルム31/両面テープ101/グラファイトシート100の積層体に貼り付けられた放熱用シートの構造を以下に説明する。
図2(a)は、本実施形態に係る放熱用シートの概略立体図である。図2(b)は、本実施形態に係る放熱用シートの概略断面図である。
放熱用シート60は、粘着テープ1と、グラファイトシート100と、両面テープ101と、剥離フィルム31と、プロテクトテープ35とを具備する。図2(b)には、粘着テープ1が着色層12を有した構成が例示されている。
両面テープ101は、粘着剤層101a、101cと、樹脂フィルム101bとを有する。樹脂フィルム101bは、粘着剤層101aと粘着剤層101cとの間に設けられている。図2(b)の例では、放熱用シート60は、剥離フィルム31/両面テープ101/グラファイトシート100/粘着テープ1/プロテクトテープ35の順に積層されている。ここで、剥離フィルム31とプロテクトテープ35とに挟まれた領域S1に、両面テープ101/グラファイトシート100/粘着テープ1が設けられている。
両面テープ101は、剥離フィルム31の表面に設けられている。両面テープ101は、剥離フィルム31とグラファイトシート100との間に設けられている。グラファイトシート100は、両面テープ101と粘着テープ1との間に設けられている。粘着テープ1は、グラファイトシート100とプロテクトテープ35との間に設けられている。プロテクトテープ35は、グラファイトシート100とは反対側の粘着テープ1の表面に設けられている。
また、プロテクト用樹脂フィルム32には、タブ部32tと、ミシン目32pとが設けられている。プロテクト用樹脂フィルム32において、ミシン目32pを基点にタブ部32tを折り曲げることができる。これにより、タブ部32tを摘みやすくなり、タブ部32tを起点にプロテクトテープ35を粘着テープ1から剥がすことができる。
図2(a)の例では、タブ部32tの平面形状が台形になっている。タブ部32tの平面形状は、三角形でもよく、半円でよい。さらに、タブ部32tには、切り欠きをいれてもよい。このように、タブ部32tの形状を目立たせることにより、タブ部32tを識別部32dとすることができる。
粘着テープ1のグラファイトシート100に対する粘着力(剥離角度180°、剥離速度300mm/min)は、100mN/25mm以上1000mN/25mm以下に設定されてもよい。粘着テープ1のグラファイトシート100に対する粘着力(剥離角度180°)が100mN/25mmより小さいと、粘着テープ1がグラファイトシート100に貼り付けられたとしても第1粘着剤層20がグラファイトシート100から剥がれたり、プロテクトテープ35を粘着テープ1から剥がす際、第1粘着剤層20がグラファイトシート100から剥がれやすくなり好ましくない。粘着テープ1のグラファイトシート100に対する粘着力(剥離角度180°)が1000mN/25mmより大きいと、プロテクトテープ付粘着テープ1を貼り直したい場合、一度貼り付けたグラファイトシートから剥がすことができず好ましくない。
また、プロテクトテープ35の粘着テープ1に対する粘着力(剥離角度180°)は、粘着テープ1のグラファイトシート100に対する粘着力(剥離角度180°)の0.02倍以上0.5倍以下であってもよい。
例えば、プロテクトテープ35の粘着テープ1に対する粘着力(剥離角度180°)は、粘着テープ1のグラファイトシート100に対する粘着力(剥離角度180°)に対して0.02倍以上0.5倍以下に設定されてもよい。粘着テープ1のグラファイトシート100に対する粘着力(剥離角度180°)に対するプロテクトテープ35の粘着テープ1に対する粘着力(剥離角度180°)が0.02倍より小さくなると、プロテクトテープ35が粘着テープ1の表面から剥がれやすくなり好ましくない。粘着テープ1のグラファイトシート100に対する粘着力(剥離角度180°)に対するプロテクトテープ35の粘着テープ1に対する粘着力(剥離角度180°)が0.5倍より大きくなると、プロテクトテープ35を粘着テープ1の表面から剥がす際、プロテクトテープ35が粘着テープ1から剥がれず、第1粘着剤層20とグラファイトシート100との間で剥がれたり、グラファイトシート100が凝集破壊したりし、好ましくない。
また、放熱用シート60においては、プロテクトテープ35が領域S1の面積より大きい面積を有してもよい(図2(a))。領域S1には、両面テープ101、グラファイトシート100、粘着テープ1が配置されている。領域S1においては、粘着テープ1の面積がグラファイトシート100の面積よりも大きくなっている。ここで、X−Y平面において、グラファイトシート100から粘着テープ1がはみ出る長さは、例えば、2mmである。また、X−Y平面において、プロテクトテープ35が領域S1からはみ出る長さは、例えば、2mmである。
つまり、プロテクトテープ35は、グラファイトシート100、粘着テープ1の面積より大きくなる。この結果、プロテクトテープ35は、グラファイトシート100を覆い、グラファイトシート100の欠け、グラファイト粉の落下等が抑制される。
図3は、本実施形態に係る粘着テープ付のグラファイトシートが筐体に貼り付けられた状態の概略断面図である。
図3に示すように、放熱用シート60から剥離フィルム31及びプロテクトテープ35が剥がされた、粘着テープ1付のグラファイトシート100は、両面テープ101を介して筐体102に貼り付けられる。剥離フィルム30及びプロテクトテープ35が剥がされた粘着テープ1の厚みは、10μm前後になる。これにより、粘着テープ1は、極薄に構成される。図3に示す状態で、粘着テープ1の上方に、熱源(例えば、電子部品)が配置された場合、熱源から放出された熱が粘着テープ1を経由して、グラファイトシート100にまで到達する。
上述したように、粘着テープ1は、極薄になっている。これにより、粘着テープ1上の熱源から放出された熱は、粘着テープ1によって遮られにくくなり、グラファイトシート100にまで確実に到達する。グラファイトシート100にまで到達した熱は、グラファイトシート100内においてZ軸方向に拡散するとともに、X軸方向及びY軸方向にも拡散する。これにより、電子部品から発せられた熱は、効率よく放熱される。
また、粘着テープ1は、極薄であるため、小型の電子製品の内部スペースを害することなく、電子製品内に配置できる。さらに、粘着テープ1には、粗面化層15が設けられているため、グラファイトシート100の見栄えをマット調にすることができる。
また、粘着テープ1においては、第1粘着剤層20、樹脂フィルム11及び粗面化層15の少なくとも1つには、着色剤が含まれてもよい。着色剤は、特に限定されるものではないが、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、黄色酸化鉄、べんがら、シアニンブルー、アルミニウム粉、雲母チタン粉等があげられる。なお、着色剤が混入される前の第1粘着剤層20、樹脂フィルム11、着色層12及び粗面化層15の色は、例えば、無色透明、白色半透明等である。
プロテクトテープ付粘着フィルム3における各層の材料、物性値の測定方法は、以下の通りである。
[粘着フィルム(プロテクトテープは除く)]
<樹脂フィルム>
樹脂フィルムに使用する樹脂種は特に制限されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルからなるポリエステルフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、トリアセチルセルロース等のセルロースフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリル樹脂フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、シクロオレフィン樹脂フィルム等の樹脂フィルム;これらの2種以上の積層体などをあげることができる。樹脂フィルムは、一軸延伸または二軸延伸されたものでもよい。これらの中でも、薄膜化に伴って要求される厚みの精度、表面平滑性、入手の容易さ等の観点から、ポリエステルフィルムが好ましい。ポリエステルフィルムとしては各種のポリエステルフィルムが使用できるが、具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルムを単独或いは共重合したフィルムが使用できる。特にPETフィルムが好ましい。また、ポリエステルフィルムは寸法安定性・強度の点から二軸延伸したフィルムが好ましい。その中でも、二軸延伸したPETフィルムが好ましい。
<着色層>
着色層が設けられる場合は、着色層は、粘着テープが貼付される電子部品の色に合わせて、または調和する色で着色されていれば特に限定されるものではないが、隠蔽性等の点から黒色であることが好ましい。
着色層は、着色材料と、バインダ樹脂とを含有することが好ましい。バインダ樹脂として、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルウレタン樹脂等があげられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。中でも、柔軟性が優れていることから、ポリエステルウレタン樹脂が好ましい。上記ポリエステルウレタン樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が−30〜10℃であることが好ましい。
着色層は、硬化剤により硬化されていることが好ましい。硬化剤は特に限定されず、バインダ樹脂に合わせて適宜選択される。バインダ樹脂がポリエステルウレタン樹脂の場合、硬化剤として、例えば、イソシアネート硬化剤等があげられる。なお、ポリエステルウレタン樹脂に水酸基又はイソシアネート基が存在する場合は、硬化剤としてアミン硬化剤を用いてもよい。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
着色材料としては、公知慣用の顔料や染料を使用することができる。着色層が黒色の場合は、例えば、カーボンブラック、白の場合は酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、黄色の場合は黄色酸化鉄、赤の場合はべんがら、青の場合はシアニンブルー、銀の場合はアルミニウム粉、パールの場合は雲母チタン粉等があげられる。中でも、カーボンブラックが隠蔽性に優れるため好ましい。着色層における着色材料の含有量は、特に制限されず、目的とする隠蔽性等に応じて適宜設定することができる。例えば、着色層は、バインダ樹脂と、バインダ樹脂100重量部に対して10質量部以上70質量部以下の着色材料とを含むことが好ましい。
着色層は、必要に応じて、さらに、透明樹脂(メジウム)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤を含有してもよい。
<粘着剤層>
粘着テープの粘着剤層を形成する粘着剤としては、特に制限されず、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、スチレン−ジエンブロック共重合体系粘着剤などの公知の粘着剤から適宜選択して用いることができる。粘着剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
粘着剤としては、特にアクリル系粘着剤が、接着信頼性が高いことから好適に用いることができる。アクリル系粘着剤は、アクリル系ポリマーを粘着性成分又は主剤とし、これに必要に応じて、架橋剤、粘着付与剤、軟化剤、可塑剤、充填剤、老化防止剤、着色剤などの適宜な添加剤が含まれている。アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを単量体主成分とするポリマーであり、必要に応じて(メタ)アルキルエステルに対して共重合が可能な単量体(共重合性単量体)を用いることにより調製されている。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどの(メタ)アクリル酸C1−20アルキルエステル[好ましくは(メタ)アクリル酸C4−18アルキル(直鎖状又は分岐鎖状のアルキル)エステル]などがあげられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、目的とする粘着性などに応じて適宜選択することができる。
また、前記(メタ)アルキルエステルに対して共重合可能な共重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有単量体又はその無水物;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有単量体;スチレン、置換スチレンなどの芳香族ビニル化合物;アクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体;エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのオレフィン類;酢酸ビニルなどのビニルエステル類;塩化ビニル;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N、N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、グリセリンジメタクリレートなどのヒドロキシル基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリロイルモルホリンなどのアミノ基含有単量体;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのエポキシ基含有単量体;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有単量体の他、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1、6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどの多官能性の共重合性単量体(多官能モノマー)などがあげられる。共重合性単量体は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。共重合性単量体としては、ヒドロキシル基やカルボキシル基などの官能基を有する改質用モノマーを好適に用いることができる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体は、官能基を有する改質用モノマーを0.1〜20質量%含有することが好まししく、特に1〜10質量%含有することが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体の重量平均分子量は200000〜2000000であることが好ましく、特に500000〜1500000であることが好ましい。なお、本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。
架橋剤としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体が有する反応性基と反応するものであればよく、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アミン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、ヒドラジン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、アンモニウム塩系架橋剤等があげられ、中でも水酸基及びカルボキシル基との反応性に優れるイソシアネート系架橋剤が好ましい。架橋剤は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
イソシアネート系架橋剤は、少なくともポリイソシアネート化合物を含むものである。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネートなど、及びそれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体などがあげられ、中でも(メタ)アクリル酸アルキルエステル重合体の反応性基との反応性の点から、トリメチロールプロパン変性の芳香族ポリイソシアネート、特にトリメチロールプロパン変性キシリレンジイソシアネート及びトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネートが好ましい。
架橋剤の配合量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、特に1〜10質量部であることが好ましい。架橋剤の配合量が上記の範囲にあると、後述する粘着剤のゲル分率を好ましい範囲に制御しやすくなる。
また、粘着剤層の粘着力を向上させるため、粘着付与樹脂を添加することも好ましい。また、これら粘着付与樹脂を添加することで、引張強度や引張破断強度を高くすることができることから、使用するアクリル系共重合体に応じて、粘着付与樹脂を適宜添加することで、引張強度や引張破断強度を調整できる。本発明の粘着フィルムの粘着剤層に添加する粘着付与樹脂としては、例えば、ロジンやロジンのエステル化合物等のロジン系樹脂;ジテルペン重合体やα−ピネン−フェノール共重合体等のテルペン系樹脂;脂肪族系(C5系)や芳香族系(C9系)等の石油樹脂;その他、スチレン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン樹脂等があげられる。その中でもn−ブチル(メタ)アクリレートを主なモノマー成分とするアクリル系共重合体を使用した粘着性組成物においては、薄型で粘着力と耐熱性を両立させるに際し、ロジン系樹脂とスチレン系樹脂を混合して使用することが好ましい。
また、粘着剤層は、所望により、シランカップリング剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、軟化剤、充填剤、屈折率調整剤、染料、顔料、防錆剤などを含有してもよい。
<剥離フィルム>
剥離フィルムは、フィルム基材及びこのフィルム基材上に設けられた剥離剤層を有していることが好ましい。フィルム基材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルからなるポリエステルフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィンからなるポリオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ酢酸ビニルフィルムなどのプラスチックフィルムのいずれか、または、これらの2種以上の材料層からなる積層体などをあげることができる。
剥離剤層は、例えば、剥離剤を含む剥離剤層形成用組成物の硬化物で形成される。剥離剤層形成用組成物としては、剥離剤層上に積層される任意の層を剥離フィルムから剥離させる機能を剥離剤層に付与できるものであれば特に制限はない。剥離剤としては、例えばシリコーン樹脂、長鎖アルキル樹脂、及びアルキド樹脂などがあげられる。
シリコーン系剥離剤としては、付加反応型シリコーン、縮合反応型シリコーン、エネルギー線硬化性シリコーンがあげられる。また、剥離力を調整するために、無官能のポリジメチルシロキサン、フェニル変性シリコーン、シリコーンレジン、シリカ、セルロース系化合物を添加剤として用いてもよい。
<粗面化層>
粗面化層は、粗化処理する方法、無機粒子及び有機粒子の少なくともいずれかを含む層とする方法等により、粗さ等を調整することもできる。粗面化処理する方法としては、コロナ放電処理する方法、サンドブラスト処理、粗いロール面を上面の表面に圧着させて、ロール面の粗さを転写する方法等があげられる。また、粗面化層に粒子を含有させることで、上記粗さ等を調整することもできる。
この中でも、粗面化層は、無機粒子及び有機粒子の少なくともいずれかが含まれていることが好ましく、無機粒子または有機粒子とバインダ樹脂が含まれることがより好ましい。無機粒子及び/または有機粒子の平均粒径、配合量等を調整することで、上記粗さ等を容易に調整することもできる。無機粒子及び/または有機粒子の平均粒径は、粗面化層の厚みより大きくてもよい。
バインダ樹脂として、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルウレタン樹脂等があげられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。中でも、柔軟性が優れていることから、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルウレタン樹脂が好ましい。
粗面化層は、硬化剤により硬化されていてもよい。硬化剤は特に限定されず、バインダ樹脂に合わせて適宜選択される。バインダ樹脂がポリエステルウレタン樹脂の場合、硬化剤として、例えば、イソシアネート硬化剤等があげられる。なお、ポリエステルウレタン樹脂に水酸基又はイソシアネート基が存在する場合は、硬化剤としてアミン硬化剤を用いてもよい。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。また、粗面化層には、必要に応じて、着色層に含まれるものと同様に、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤を含有してもよい。
<粒子>
有機粒子は特に限定されず、例えば、ポリメチルメタクリレート粒子等のアクリル樹脂粒子、ポリスチレン粒子、ポリカーボネート粒子、ウレタン樹脂ビーズ、エポキシ樹脂ビーズ、ポリエステル樹脂ビーズ、ポリエステルウレタン樹脂ビーズ等があげられる。これらは、単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
無機粒子としては、特に限定されず、例えば、シリカ(SiO2)、硫酸バリウム(BaSO4)、酸化チタン、炭酸カルシウム等の粒子の少なくともいずれかがあげられる。これらは単独で用いられてもよく2種類以上が併用されてもよい。中でも、粒度調整の容易さ、及び、入手の容易さから、シリカ、硫酸バリウム(BaSO4)、またはシリカと硫酸バリウム(BaSO4)のブレンドが好ましい。
シリカと硫酸バリウムとの体積比率([シリカの体積]:[硫酸バリウムの体積])は、100:50から100:500の範囲に収められる。また、シリカと硫酸バリウムの少なくともいずれかは、バインダ樹脂100質量部に対して、60質量部以上150質量部、添加される。
上記粒子の平均粒子径は特に限定されないが、0.5μm以上10μm以下が好ましく、1μm以上5μm以下がより好ましく、1.5μm以上3μm以下がさらに好ましい。上記平均粒子径が上記範囲以外の場合、所望の粗さ曲線要素の平均高さ(Rc)の範囲に調整することが難しくなるため好ましくない。
なお、平均粒子径とは、コールターカウンタ法で測定したピークトップ値が平均粒径とされる。粗面化層15には、無機粒子と有機粒子とが混在されてもよい。
[プロテクトテープ]
<プロテクト用樹脂フィルム>
プロテクト用樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルからなるポリエステルフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィンからなるポリオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ酢酸ビニルフィルムなどのプラスチックフィルムのいずれか、または、これらの2種以上の材料層からなる積層体などをあげることができる。
<第2粘着剤層(シリコーン粘着剤層)>
シリコーン系粘着剤としては、任意の適切な粘着剤が用いられ得る。シリコーン系粘着剤として、例えば、オルガノポリシロキサンを含むシリコーンゴムまたはシリコーンレジン等をベースポリマーとするシリコーン系粘着剤が好ましく用いられる。シリコーン系粘着剤を構成するベースポリマーとして、シリコーンゴムまたはシリコーンレジンを、架橋して得られたベースポリマーを用いてもよい。
シリコーンゴムとしては、例えば、ジメチルシロキサンを構成単位として含むオルガノポリシロキサン等があげられる。オルガノポリシロキサンには、必要に応じて、官能基(例えば、ビニル基)が導入されていてもよい。オルガノポリシロキサンの重量平均分子量は、好ましくは100000〜1000000であり、より好ましくは150000〜500000である。重量平均分子量は、GPC(溶媒:THF)により測定することができる。
シリコーンレジンとしては、例えば、R3SiO1/2構成単位、SiO2構成単位、RSiO3/2構成単位及びR2SiO構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含むオルガノポリシロキサンがあげられる(Rは、一価炭化水素基または水酸基である)。
シリコーンゴムとシリコーンレジンとは併用され得る。シリコーン粘着剤中のシリコーンゴムとシリコーンレジンの重量比(ゴム:レジン)は、好ましくは100:0〜100:220であり、より好ましくは100:0〜100:180であり、さらに好ましくは100:10〜100:100である。シリコーンレジンの含有量が多いほど、シリコーン系粘着剤のタック性及び保持力が増加する。シリコーンゴムとシリコーンレジンとは、単なる混合物としてシリコーン系粘着剤中に含まれていてもよく、シリコーンゴムとシリコーンレジンとが部分縮合した形態でシリコーン系粘着剤中に含まれていてもよい。なお、シリコーン系粘着剤におけるシリコーンゴムとシリコーンレジンの重量比は、29Si−NMR測定により、Q単位とD単位とのピーク面積比(シリコーンゴム:シリコーンレジン=D単位:Q単位)により求めることができる。
好ましくは、シリコーン系粘着剤は架橋剤を含む。シリコーン系粘着剤に含まれる架橋剤としては、例えば、シロキサン系架橋剤、過酸化物系架橋剤等があげられる。過酸化物系架橋剤としては、任意の適切な架橋剤が用いられ得る。過酸化物系架橋剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイト等があげられる。シロキサン系架橋剤としては、例えば、ポリオルガノハイドロジェンシロキサン等があげられる。該ポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、ケイ素原子に結合した水素原子を2個以上有することが好ましい。また、該ポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、ケイ素原子に結合した官能基として、アルキル基、フェニル基、ハロゲン化アルキル基を有することが好ましく、合成及び取り扱いの容易さからメチル基を有することがより好ましい。
<粘着剤層(ウレタン粘着剤層)>
ウレタン粘着剤としては、特に制限されず、例えば、ガラス転移点が−20℃以下のウレタン粘着剤を利用することができる。ガラス転移点が上記の範囲であることにより、粘着性を発揮することができる。なお、ガラス転移点としては、示差走査熱量計により測定されるガラス転移点をいうものとする。
ウレタン粘着剤としては、ポリカーボネート系、ポリエステル系、ポリエーテル系等のポリウレタンのうち、粘着性を有するものとして、ガラス転移点が−20℃以下のものがあげられる。ポリカーボネート系ポリウレタンは、ポリカーボネートポリオールとポリイソシアネートとの反応から得られる。ポリエステル系ポリウレタンは、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの反応から得られる。ポリエーテル系ポリウレタンは、ポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとの反応から得られる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、1,4−テトラメチレン型、1,5−ペンタメチレン型、1,6−ヘキサメチレン型、1,12−ドデカン型、1,4−シクロヘキサン型、これらの混合型等があげられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、ポリ(エチレンアジペート)ジオール、ポリ(プロピレンアジペート)ジオール、ポリ(ブチレンアジペート)ジオール、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)ジオール、ポリ(ブチレンイソフタレート)ジオール等があげられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール及びポリ(メチルテトラメチレングリコール)等があげられる。
また、ポリイソシアネートとしては、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等があげられる。
これらを常法に従って反応させることで、ポリカーボネート系、ポリエステル系又はポリエーテル系のポリウレタンを得ることができる。これらのポリウレタンは、1種を単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
ウレタン粘着剤は、上述したポリウレタンを、架橋剤としてのポリイソシアネート化合物で架橋することにより得られる。ここで、ポリイソシアネート化合物としては、上述したポリイソシアネートのアダクト体、ビウレット体又はイソシアヌレート体等があげられる。ウレタン粘着剤は、必要に応じてその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、再剥離性フィルムの粘着剤に通常用いられる、粘着付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、軟化剤、シランカップリング剤、充填剤等があげられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ウレタン粘着剤の重量平均分子量は、例えば50000〜300000であってもよく、例えば80000〜200000であってもよく、例えば100000〜180000であってもよい。本明細書において、「重量平均分子量」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。
ウレタン粘着剤を有機溶剤に溶解する場合、有機溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン類;ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸シクロヘキシル等のエステル類等があげられる。
より具体的には、まず、上述した有機溶媒中にウレタン粘着剤、ウレタン変性アクリル樹脂及び必要に応じてその他の成分を添加して混合し、粘着性組成物を調製する。
[粗面化層の表面粗さ測定]
<粗さ曲線要素の平均高さRc>
粗さ曲線要素の平均高さRcは、接触式表面粗さ計((株)ミツトヨ社製、製品名「SV3000S4」)を用いて、JIS B0601―2001に準拠して測定される。表面の粗さ曲線から、その平均線の方向に基準長さを選択し、基準長さにおいて、一組の隣り合う山と谷の高さの平均から求められる。
[厚みの測定]
各層の厚み測定については、特に限定されないが、例えば、膜厚計(Nikon社製膜厚計デジマイクロMH-15M)によって機械的に求めることができる。
[表面自由エネルギーγdの測定]
表面自由エネルギーγdは、第2粘着剤層の表面自由エネルギーγtotal、及びその各成分(分散成分γd、極性成分γp、水素結合成分γh)を算出し、分散成分であるγdの値とした。具体的には、表面自由エネルギーγtotal、及び各成分(分散成分γd、極性成分γp、水素結合成分γh)を、接触角が既知である水、ジヨードメタン、ブロモナフタレンをプローブ液として用い、接触角計で粘着剤層に対する各プローブ液の接触角を測定し、得られた接触角から、北崎・畑法(北崎寧昭他、日本接着協会誌、Vol.8, No.3, 1972, pp.131-141参照)に従って求めた。なお、接触角計としては、接触角計(協和界面科学株式会社製、全自動接触角計DM−701)を用いた。
[濡れ張力の測定]
第2粘着剤層の濡れ張力においては、JIS K6768:1999(プラスチック−フィルム及びシート−ぬれ張力試験方法)に従って、プロテクトテープの粘着剤層表面のぬれ張力を測定し、濡れ張力を求めた。
図4(a)及び図4(b)は、本実施形態に係るプロテクトテープ付粘着テープをグラファイトシートに貼り合わせる製造過程の一部を示す概略図である。
放熱用シート60は、ラミネータ600によってロールラミネート方式により製造される。ラミネータ600は、支持台601と、ロール機構620とを具備する。ロール機構620は、押付ロール602と、ガイドロール603、604と、巻出ロール611とを有する。放熱用シート60は、例えば、大気中で製造される。
図4(a)に示すように、支持台601上には、積層体110がY軸方向に沿って列状に配列されている。積層体110は、剥離フィルム31/両面テープ101/グラファイトシート100の順に積層された積層体である。
巻出ロール611には、予めプロテクトテープ付粘着フィルム3が巻かれている。プロテクトテープ付粘着フィルム3は、巻出ロール611の自転により連続的に巻出ロール611から繰り出される。プロテクトテープ付粘着フィルム3が巻出ロール611から繰り出されると、その直後に、剥離フィルム30がプロテクトテープ付粘着フィルム3から剥がされる。この剥離フィルム30は、ガイドロール603、604を介してラミネータ600外に導かれる。
一方、剥離フィルム30が剥がされたプロテクトテープ付粘着テープ1は、押付ロール602と支持台601との間に導かれ、支持台601上の積層体110に接触する。さらに、押付ロール602によって、プロテクトテープ付粘着テープ1は、支持台601上の積層体110に押し付けられる。これにより、プロテクトテープ付粘着テープ1における第1粘着剤層20と、積層体110におけるグラファイトシート100とが積層する。
これにより、支持台601上には、複数の放熱用シート60がY軸方向に沿って形成される。図4(b)に、個片化される前の放熱用シート60の立体図を示す。連続した放熱用シート60は、a1−a2線に沿って切断される。
なお、タブ部32tは、プロテクトテープ35が粘着テープ1の表面に貼り付けられた後、抜き加工により形成される。
また、本実施形態において、放熱用シート60を形成する工程で、プロテクトテープ付粘着フィルム3をグラファイトシート100に貼り付ける際に、粘着テープ1の総厚に対し、1倍以上20倍以下の厚みに設定されたプロテクトテープ35が使用される。また、プロテクトテープ35においては、ヤング率が2000MPa以上で、好ましくは、2000MPa以上4500MPa以下に設定される。また、プロテクト用樹脂フィルム32は、ガーレ試験による柔軟性が0.1mN/25mm以上2mN/25mm以下になるように構成されている。これにより、プロテクトテープ35は、所望の剛性を有し、プロテクトテープ付粘着テープ1をグラファイトシート100に貼り付ける際には、粘着テープ1の皺または弛みの発生が回避され、プロテクトテープ付粘着テープ1と、グラファイトシートとの貼付位置のずれが起きにくくなる。
また、本実施形態において、プロテクトテープ35のステンレス板に対する粘着力は、5mN/25mm以上300mN/25mm以下に設定されてもよい。これにより、プロテクトテープ35は、貼付されている期間は、粘着テープ1の表面から剥がれず、プロテクトテープ35を粘着テープ1の表面から剥がす際は、プロテクトテープ35が粘着テープ1の表面からスムーズに剥がれる。
また、本実施形態において、プロテクトテープ35の粘着テープ1に対する粘着力(剥離角度90°)は、プロテクトテープ35の粘着テープ1に対する粘着力(剥離角度180°)に対して、1倍以上10倍以下に設定されてもよい。これにより、例えば、プロテクトテープ35の抜き加工工程で、加工用抜き刃をプロテクトテープ35から引き上げる際、加工用抜き刃の引き上げとともにプロテクトテープ35が粘着テープ1の表面から剥がれにくくなる。
また、本実施形態において、粘着テープ1のグラファイトシート100に対する粘着力(剥離角度180°、剥離速度300mm/min)は、100mN/25mm以上1000mN/25mm以下に設定されてもよい。プロテクトテープ35の粘着テープ1に対する粘着力(剥離角度180°、剥離速度300mm/min)は、5mN/25mm以上100mN/以下に設定されてもよい。これにより、プロテクトテープ35は、粘着テープ1の表面との密着性が良好であり、プロテクトテープ35を粘着テープ1の表面から剥がす際は、スムーズに剥がれ、粘着テープ1がプロテクトテープ35とともに剥がれることが回避される。
さらに、本実施形態は、以下の効果を奏する。
本実施形態において、プロテクトテープ35の面積が黒色のグラファイトシート100の面積より大きく構成されてもよい。これにより、プロテクトテープ35の外周領域がグラファイトシート100からはみ出るので、プロテクトテープ35が視認されやすくなる。さらに、プロテクトテープ35をプロテクトテープ付粘着テープ1から容易に剥がすことができる。
本実施形態に係るプロテクトテープ付粘着フィルム3によれば、プロテクト用樹脂フィルム32には、着色され、またはマークが付された識別部32dが少なくとも一部に設けられてもよい。これにより、プロテクトテープ35の剥離前後の状態を容易に判断することができる。ここで、プロテクトテープ35の剥離前後の状態は、目視によって判断されてもよく、光学的手段によって判断されてもよい。この結果、プロテクトテープ35の剥がし忘れを確実に回避できる。
例えば、プロテクト用樹脂フィルム32の一部または全域は、Lab表色系のb*値で−30以上−10以下の色(例えば、青色)に設定されてもよい。このように着色されたプロテクト用樹脂フィルム32を用いれば、プロテクトテープ35が粘着テープ1の表面に貼り付けられているか、粘着テープ1の表面から剥離されたのかの判断を容易に行うことができる。
また、本実施形態において、プロテクトテープ35の全光線透過率は、例えば、65%以上80%以下に設定されてもよい。これにより、プロテクトテープ35を通して粘着フィルム2を確認することができ、粘着フィルム2の検査を容易に行うことができる。ここで、粘着フィルム2の確認は、目視で行われてもよく、光学的手段によって行われてもよい。また、プロテクトテープ35の全光線透過率が65%以上80%以下に設定されているので、プロテクトテープ35の見過ごしが回避される。これにより、プロテクトテープ35の剥がし忘れが確実に回避される。
また、本実施形態において、プロテクト用樹脂フィルム32にはタブ部32tが設けられ、このタブ部32tを識別部32dとして機能させることができる。これにより、タブ部32tを把持してプロテクトテープ35を簡便に粘着テープ1から剥がすことでき、さらに、タブ部32tを確認することにより、プロテクトテープ35の剥離前後の状態を容易に判断することができる。
また、本実施形態において、第2粘着剤層33の表面自由エネルギーγdは、15mJ/m2以上30mJ/m2以下に設定される。さらに、第2粘着剤層33の濡れ張力は、20mN/m以上34mN/m以下に設定されてもよい。これにより、第2粘着剤層33と粘着テープ1との間に気泡の噛み込みがなく、密着性が良好になる。例えば、粗面化層15の表面粗さ(Rc)が0.5μm以上であっても、第2粘着剤層33の表面自由エネルギーが上記の範囲に調整されているので、プロテクトテープ35と粘着テープ1とをラミネートした際、気泡の噛み込みなく、良好な密着性が得られる。
本実施形態のプロテクトテープ付粘着フィルム3によれば、着色層12が設けられた場合、黒色に着色された着色層12上に、シリカ粒子、硫酸バリウム粒子等が含有された粗面化層15が設けられてもよい。黒色に着色された着色層12上に粗面化層を形成すると、粗面化層の材質によっては、グラファイトシート100の外観が黄色味を帯びる場合がある。これにより、グラファイトシート100の見栄えが低減する場合がある。
黒色に着色された着色層12上に、シリカ粒子、硫酸バリウム粒子等が含有された粗面化層15が設けられ、粘着テープ1が貼り付けられたグラファイトシート100の外観は、黄色味を帯びることなく、グラファイトシート100の見栄えが向上する。例えば、グラファイトシート100の全面の見栄えがマット感を持った黒色になる。
また、粗面化層15の上面の60°鏡面光沢度が0.5%以上50%以下に調整されてもよい。これにより、粘着テープ1が貼られたグラファイトシート100においては、その見栄えが確実にマット調になる。
また、第1粘着剤層20、樹脂フィルム11及び粗面化層15のいずれかが着色された場合、グラファイトシート100の遮蔽に劣る部分がより減少し、グラファイトシート100の外観上の見栄えがさらに向上する。
また、着色層12が樹脂フィルム11と粗面化層15との間に設けられている。着色層12は、緩衝材としても機能し、粗面化層15が外部からの衝撃を受けても、粗面化層15は、損傷を受けにくくなる。これにより、プロテクトテープ付粘着フィルム3の生産性が向上する。
また、粒子が分散された粗面化層15は、その剛性が増加し、プロテクトテープ付粘着フィルム3が巻き取られるとき、または、プロテクトテープ付粘着フィルム3が移送されるときに、粗面化層15の上面に傷等の損傷が入りにくくなる。これにより、プロテクトテープ付粘着フィルム3の生産性がさらに向上する。
また、粗面化層15におけるシリカ粒子と硫酸バリウム粒子との配合比を変えることで、粗面化層15の色彩の選択幅を広げることができる。例えば、硫酸バリウム粒子の量を相対的に増やすことにより、粗面化層15における色彩は、青色がより強くなる。つまり、シリカ粒子と硫酸バリウム粒子との配合比を変えることで、グラファイトシート100における外観上の色の選択幅をさらに拡大させることができる。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。表1に、本実施形態に係るプロテクトテープ付粘着フィルムの効果を示す。
まず、表1における実施例1を説明する。
[実施例1]
<粘着テープ用粘着性組成物の調製>
アクリル酸ブチル95.5質量部と、酢酸ビニル3質量部と、アクリル酸2−ヒドロキシエチル1質量部と、アクリル酸0.5質量部とを共重合させることにより、重量平均分子量1000000のアクリル酸エステル共重合体が製造される。次に、このアクリル酸エステル共重合体100質量部(固形分換算;以下同じ)に対し、水添ロジンエステル(荒川化学工業社製、パインクリスタル KE−100、軟化点:100℃)25質量部、重合ロジンエステル(荒川化学工業社製、ペンセル D−135、軟化点:135℃)4質量部及び石油系樹脂(三井化学社製、FTR6100、軟化点:95℃)24質量部が添加され、混合することで、粘着成分が形成された。粘着成分は、トルエンに溶解され、固形分濃度13質量%の粘着剤溶液が調製された。
<着色層塗布液の調製>
着色層用の塗布液としては、ウレタン系である固形分濃度59質量%の大日精化工業社製UTCO−591ブラック(NX)が用いられ、これが酢酸エチルで希釈された。着色層用の塗布液は、固形分濃度10質量%、粘度15mPa・sに調整された。
<粗面化層用塗布溶液の調整>
粗面化層用塗布溶液は、バインダ樹脂としてのポリエステル樹脂(東洋紡製:バイロン20SS)100質量部(固形分換算)に対し、シリカ微粒子(東ソーシリカ社製、NIPSIL SS50B、平均粒径2.1μm)を22質量部、硫酸バリウム微粒子(堺化学工業株式会社製:BMH平均粒子径2.5μm)を100質量部添加し、トルエン/メチルエチルケトン(MEK)混合溶媒(トルエン:MEK(質量比)=50:50)で固形分濃度20質量%に調整された。
<プロテクトテープ用シリコーン粘着性組成物の調製>
シリコーン粘着剤として、付加硬化型のシリコーン(信越化学工業社製、商品名:KS−847H)100質量部に、シリコーン樹脂成分(SD4584)3質量部、白金触媒(東レダウコーニング社製、商品名:SRX−212)が0.4質量部加えられ、さらに着色剤(日弘ビックス社製:NSP−CZ9664BLUE)2.5質量部が加えられ、メチルエチルケトンによって、固形分濃度25%に調整した着色剤入りシリコーン粘着性組成物溶液が用いられた。
<プロテクトフィルムの製造>
プロテクトテープ用の着色剤入りシリコーン粘着性組成物溶液を使用し、プロテクト用樹脂フィルム(東洋紡社製コスモシャインPET50A4300)上に、ナイフコーターを用いて塗工速度50m/minで乾燥後の厚みが10μmとなるように、着色剤入りシリコーン粘着剤層を形成した。この後、剥離フィルム(東洋紡社製PET50E5000)を、着色剤入りシリコーン粘着剤表面に貼り合せることで、厚みが60μmのプロテクトテープに剥離フィルムが積層されたプロテクトフィルムが作製された。
<粘着フィルムの製造>
粘着テープ用の粘着性組成物の固形分100質量部に対して、架橋剤としてトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート(日本ポリウレタン社製、コロネートL)が1質量部(固形分換算)添加され、粘着性組成物溶液(固形分濃度13質量%)が得られた。次に、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン系剥離剤で剥離処理された剥離フィルム(リンテック社製SP-PET251130、厚さ25μm)が繰り出され、その剥離処理面に、乾燥後の厚さが2μmになるように、印刷速度50m/minで粘着性組成物の塗布溶液がグラビア印刷された後、得られた塗膜を90℃で1分間加熱処理して、剥離フィルム上に、厚さが2μmの粘着剤層が形成された。その後、樹脂フィルムとしてのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ、PET2F51L、厚さ2μm)がニップ圧100N/cm2で、粘着剤層の露出面側に貼り合わされ、得られた粘着フィルムが150N/mの張力でロール状に巻き取られた。
次に、ロール状に巻き取った粘着フィルムを23℃、50%RHの条件下で7日間養生することにより、剥離フィルム(厚さ:25μm)/粘着剤層(厚さ:2μm)/樹脂フィルム(厚さ:2μm)からなる粘着フィルムが作製された。
次に、ロール状に巻かれた粘着フィルムが繰り出され、樹脂フィルム面に、着色層塗布液がグラビアコーターによって塗布され、さらに加熱処理され、厚さ3μmの着色層が粘着フィルム上に形成された。さらに、着色層面に、粗面化層用塗布溶液が乾燥後の厚さが1μmになるようにグラビアコーターで塗布された後、得られた塗膜が90℃で1分間、加熱処理され、厚さ1μmの粗面化層が形成された。この後、着色層を有し、厚みが33μmとなった粘着フィルムがロール状に巻き取られた。
<プロテクトテープ付粘着フィルム及び放熱用シートの製造>
プロテクトフィルムから剥離フィルムが剥がされつつ、剥離フィルムが剥がされたプロテクトテープがラミネート加工によって、粘着フィルムの粗面化層の表面に貼り付けられて、プロテクトテープ付粘着フィルムが作製された。
この後、プロテクトテープ付粘着フィルムから剥離フィルムが剥がされ、グラファイトシート/両面テープ/剥離フィルムからなる積層体のグラファイトシート表面にプロテクトテープ付粘着テープがラミネート加工により貼り付けられ、抜き加工及び個片化がされた。
<プロテクトテープの粘着フィルム表面に対する貼付適性の評価>
表1において、「○」、「×」は、プロテクトテープの粘着フィルム表面への貼付適性を示している。ここで、プロテクトテープは、粘着フィルムの粗面化層に貼り付けられる。
○:プロテクトテープを粘着フィルム表面へ貼り付けた際、プロテクトテープと粘着フィルムとの界面に気泡の噛み込みが発生しなかった。
×:プロテクトテープを粘着フィルム表面へ貼り付けた際、プロテクトテープと粘着フィルムとの界面に気泡の噛み込みが発生した。
ことを意味している。
実施例1において、プロテクトテープの粘着剤層の表面自由エネルギーγdは、18.9(mJ/m2)であり、濡れ張力は、30mN/mであり、粘着フィルムの粗面化層の表面粗さ(Rc)は、1.46μmであった。このとき、プロテクトテープの粘着フィルム表面への貼付適性は、「○」になった。
[実施例2]
実施例2では、プロテクトテープにおいて、シリコーン粘着剤に代わり、ウレタン粘着剤が用いられたこと以外は、実施例1と同様に粘着フィルムが形成された。
<プロテクトテープ用ウレタン粘着性組成物の調製>
ウレタン粘着剤について、ウレタン粘着剤(トーヨーケム社製:サイアバインSH−109H)100質量部に、架橋剤(トーヨーケム社製:サイアバインT−501B)が8質量部加えられ、さらに着色剤(日弘ビックス社製:NSP−CZ9664BLUE)2.5質量部が加えられ、メチルエチルケトンによって固形分濃度25%に調整した着色剤入りウレタン粘着性組成物溶液が用いられた。
<プロテクトテープの製造>
プロテクトテープ用の着色剤入りウレタン粘着性組成物溶液を使用し、剥離フィルム(リンテック製SP−PET251130)上に、ナイフコーターを用いて塗工速度50m/minで乾燥後の厚みが10μmとなるように、着色剤入りウレタン粘着剤層が形成された。この後、プロテクト用樹脂フィルム(東洋紡社製コスモシャインPET50A4300)が着色剤入りウレタン粘着剤層に貼り合わされ、プロテクトテープが作製された。
実施例2において、プロテクトテープの粘着剤層の表面自由エネルギーは、26.8mJ/m2であり、濡れ張力は、34mN/mであり、粘着フィルムの粗面化層の表面粗さ(Rc)は、1.46μmであった。このとき、プロテクトテープの粘着フィルム表面への貼付適性は、「○」になった。
[比較例1]
比較例1では、プロテクトテープにおいて、シリコーン粘着剤に代わり、アクリル粘着剤が用いられたこと以外は、実施例1と同様に粘着フィルムが形成された。
<プロテクトテープ用アクリル粘着性組成物の調製>
アクリル粘着剤として、アクリル酸2エチルヘキシル92.8質量部と、アクリル酸2−ヒドロキシエチル7質量部と、アクリル酸0.2質量部とを共重合させることにより、重量平均分子量1000000のアクリル酸エステル共重合体が作製された。次に、このアクリル酸エステル共重合体100質量部(固形分換算;以下同じ)に対し、可塑剤(田岡化学工業社製ATBC)が37.5質量部、架橋剤としてトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート(日本ポリウレタン社製、コロネートL)が26質量部、さらに着色剤(日弘ビックス社製NSP−CZ9664BLUE)2.5質量部が加えられ、酢酸エチルにて固形分濃度25%に調整した着色剤入りアクリル粘着性組成物溶液が調整された。
<プロテクトテープの製造>
プロテクトテープ用の着色剤入りアクリル粘着性組成物溶液を使用し、剥離フィルム(リンテック製SP−PET251130)上に、ナイフコーターを用いて塗工速度50m/minで乾燥後の厚みが10μmとなるように、アクリル粘着剤層が形成された。この後、プロテクト用樹脂フィルム(東洋紡社製コスモシャインPET50A4300)が着色剤入りアクリル粘着剤層に貼り合わされ、プロテクトテープが作製された。
比較例1において、粘着フィルムの粗面化層の表面粗さ(Rc)は、実施例1、2と同様に、1.46μmであったものの、プロテクトテープの粘着剤層の表面自由エネルギーγdは、30mJ/m2を超えて、30.8mJ/m2であった。また、比較例1において、濡れ張力は、34mN/mを超えて、35mN/mであった。このとき、プロテクトテープの粘着フィルム表面への貼付適性は、「×」になった。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。