JP6192703B2 - 黄リンの精製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、黄リンの精製方法に関し、具体的には、黄リンに酸化剤を入れ攪拌して黄リンから不純物を除去する段階と、前記不純物が除去された黄リンに化学式構造内の特定の官能基を有する添加剤を含む溶液を入れ攪拌して不純物を除去する段階と、を含むことにより、リン酸の原料として使用される黄リンから不純物を効果的に除去して、リン酸の純度を高める方法に関する。
リン酸は、半導体ウェハーに蒸着するシリコン窒化膜の除去、またはTFT‐LCDのようなディスプレイの金属配線のエッチングに用いられる。半導体では、主に、純粋リン酸に添加剤を混合した形態で、TFT‐LCDでは、主に、リン酸、窒酸、酢酸などの多種の酸を混合した混酸と添加剤が混合された形態でリン酸が使用されている。
リン酸を製造する方法は、二つに大別することができる。すなわち、1)製造工程中に溶液を使用する湿式製法と、2)製造工程中の最後に水を添加する乾式製法がある。
そのうち、乾式製法は、原料である黄リン(P)を酸化燃焼させて五酸化リン(P)の酸化物ダイマー(P10)とした後、水を添加する過程を経てリン酸を製造する。乾式製法は、湿式製法とは異なり、最後の過程で入れる水の量を調節することにより、80〜90質量%に達する非常に高い高濃度のリン酸を製造することができるという利点がある。
このような乾式製法は、工程過程が複雑多段ではないことから製造コストの面で有利な点があるが、原料黄リンの純度が、製造されたリン酸の純度に直接影響を及ぼすという問題点がある。
リン酸の原料となる黄リン(P)は、鉱石の形態で自然界に存在する。黄リンを採掘して分析すると、リンとともに周期表において同じ族に属しているヒ素、アンチモンも多量を含んでおり、鉄、アルミニウムなどの金属不純物も多量存在する。
前記のような乾式製法の利点を活用し、且つ高純度のリン酸を製造するために、原料黄リンを精製する方法が開発されてきた。
これに関して、日本特開昭60‐016368号公報では、リンの精製方法について開示しており、具体的に、6〜18質量%の窒酸と15〜38質量%の硫酸をモル比で1:1〜1:4の割合で混合し、混酸としてのすべての酸濃度(窒酸モル濃度+硫酸モル濃度)が3.5〜6.5モルの範囲内にある混酸により黄リンを45〜100℃で処理し、混酸によって酸化された不純物を分離する方法について開示している。
また、米国登録特許第6146610号では、元素リンからヒ素を除去するための方法を開示しており、具体的に、リンを酸化型ヨウ素で処理する方法として適量のヨウ素と過酸化水素水を混合し、45〜95℃の温度で酸化剤がリンの重量に対して活性酸素として10質量%を超えない条件でリンに存在するヒ素を除去する方法について開示している。
また、韓国公開特許第2012‐0005960号では、高純度元素リンの製造方法および高純度リン酸の製造方法について開示しており、具体的に、ヨウ素酸およびヨウ素酸塩などのヨウ素酸含有化合物とリンを接触、酸化させ、キレート剤と反応させてアンチモンとヒ素を同時に除去する方法について開示している。
また、日本特開平06‐040710号公報では、高純度リンの製造方法について開示しており、具体的に、黄リン中のヒ素を除去するために、酸化ヨウ素、ヨウ素酸化合物を使用してヒ素を亜ヒ酸に変化させた後、蒸留することで不純物を除去する方法について開示している。
前記のような従来技術は、次のような問題点を有している。
原料黄リンで不純物を精製するほとんどの方法は、酸化剤を用いた酸化法であって、使用される酸化剤の種類は、硫酸、窒酸、ヨウ素酸などの強酸である。
すなわち、前記のような従来技術は、ほとんど融点が44.1℃である黄リンを温度を上げて液化させた後、前記の酸化剤を含む物質と攪拌して不純物であるアンチモン、ヒ素などを酸化させ、酸化された不純物を除去することで黄リンを精製することを核心の構成とする。
しかし、酸化過程で原料黄リンが五酸化リンに変化することがあり、この場合、五酸化リンは、反応液に存在する水と反応してリン酸になるため、原料黄リンの損失が発生する。
実際、上述の先行技術のうち、日本特開昭60‐016368号公報の実施例を参照すると、20gの原料黄リンが、精製後には13gになるところ、収率は約70%と非常に低いことが分かる。
一方、ヨウ素、ヨウ素化塩、ヨウ素酸を利用する方法は、ヨウ素化合物が非常に強力な酸化力を有していることから、アンチモン、ヒ素のような不純物を効果的に除去することができるが、ヨウ素は有害物質で、工程における取り扱いの困難性があり、反応後、廃水処理に問題がある。また、原料黄リンに残存しうるヨウ素イオンによって他の副反応が行われる可能性があるため、残存ヨウ素イオンに対する確認が必要な問題がある。
したがって、前記のような問題点がなく、リン酸の原料である黄リンからアンチモン、鉄、アルミニウムなどの金属不純物を効果的に除去することができる方法の開発が必要となっている。
特開昭60‐016368号公報 米国登録特許第6146610号 韓国公開特許第2012‐0005960号 特開平06‐040710号公報
本発明は、前記のような問題点を解決し、具体的には、黄リンに酸化剤を入れ攪拌して黄リンから不純物を除去する段階と、前記不純物が除去された黄リンに化学式構造内の特定の官能基を有する添加剤を含む溶液を入れ攪拌して不純物を除去する段階と、を含むことにより、リン酸の原料として使用される黄リンから不純物を効果的に除去して、リン酸の純度を高める方法を提供することを目的とする。
前記の目的を解決するために、本発明の一実施例は、黄リンに酸化剤を入れ攪拌して黄リンから不純物を除去する段階と、前記不純物が除去された黄リンに添加剤を含む溶液を入れ攪拌して不純物を除去する段階と、を含み、前記除去される不純物は、金属イオンとして、アルミニウム、鉄、アンチモンから選択されるいずれか一つを含み、前記添加剤は、アミノトリメチレンホスホン酸(ATMP)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMP)、ビスヘキサメチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(BHTPMP)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)、ヘキサメチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(HDTMP)から選択される1種以上であることにより、リン酸の原料として使用される黄リンから不純物を効果的に除去して、リン酸の純度を高める方法を提供する。
本発明の方法によれば、リン酸の原料として使用される黄リンに存在する不純物が効果的に除去されることから、これによりリン酸の純度の高くなる効果がある。
特に、アンチモン、鉄、アルミニウムなどの様々な金属不純物を効果的に除去することができ、工程が比較的簡単で、環境にやさしいという効果がある。
本発明の利点と特徴、およびこれを達成する方法は、詳細に後述されている実施例を参照すると明確になるであろう。しかし、本発明は、以下で開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる様々な形態に具現される。ただし、本実施例は、本発明の開示を完全にし、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであって、本発明は、請求項の範疇により定義されるだけである。
以下、本発明の好ましい実施例による黄リンの精製方法について詳細に説明すると、次のとおりである。
本発明の一実施例は、黄リンに酸化剤を入れ攪拌して黄リンから不純物を除去する段階と、前記不純物が除去された黄リンに構造内の特定の官能基を有する下記の化学式1の添加剤を含む溶液を入れ攪拌して不純物を除去する段階と、を含むことにより、リン酸の原料として使用される黄リンから不純物を効果的に除去する方法を提供する。
Figure 0006192703
先ず、精製対象である黄リンに酸化剤を入れ攪拌して黄リンから不純物を除去する。
本発明において、前記酸化剤は、原料黄リンと混合されて酸化力を有することができる物質であり、過酸化水素水、有機系過酸化物、強酸を含むことができる。
有機系過酸化物としては、R‐O‐O‐R形態を有する有機系ペルオキシド、R‐O‐OH構造を有している有機系ヒドロペルオキシド、R‐OO‐OR構造を有している有機系ペルエステルなどがあり、具体的に、ジアセチルペルオキシド(diacetyl peroxid)、ビス(1‐オキソプロピル)ペルオキシド(Bis(1‐oxopropyl)peroxide)、t‐ブチルペルオキシド(t‐butyl peroxide)、t‐ブチルヒドロペルオキシド(t‐butyl hydroperoxide)、t‐ブチルペルアセテート(t‐butyl peracetate)、t‐ブチルペルオキシピバレート(t‐butyl peroxypivalate)などが存在する。
強酸としては、窒酸、硫酸、塩酸のように酸化力を有している強酸類が可能であり、窒酸と硫酸の混酸、窒酸と過酸化水素水の混酸および過酸化水素水と硫酸の混合により形成されるペルオキシ一硫酸(peroxymonosulfuric acid)など、様々な組み合わせの混酸を使用することができる。
過酸化水素は、下記式(1)のように水と酸素に分離されて強い酸化作用を起こし、且つ黄リンに存在する金属不純物が水に良好に溶解されるイオン形態に転換されるようにする。
式(1)
2H→2HO+O
特に、本発明において前記酸化剤として使用される過酸化水素は、水に希釈して使用するが、この際、前記過酸化水素の濃度は、水に対して3〜6質量%であることが好ましい。過酸化水素水の濃度が3質量%未満の場合には、溶液内の低い酸化剤の濃度によって金属酸化率が低下し不純物がうまく除去されない。また、6質量%を超える場合には、酸化剤が多すぎて原料黄リンが五酸化リンに変化し原料の損失が多くなって最終収率が低下する問題がある。
前記段階で除去される不純物は金属イオンとして、アルミニウム、鉄、アンチモンから選択されるいずれか一つを含むことができる。特に、アンチモンの除去効果に優れる。
前記段階で不純物が除去されるための効果的な工程温度は、45〜75℃であることが好ましい。工程温度が45℃未満の場合には、黄リンが固体で存在して攪拌の意味がなくなり、75℃を超える場合には、過酸化水素水の分解が速くなって酸化効率が低下するか、発熱反応である過酸化水素水の分解反応によって反応容器の温度が上昇し続け安全上の危険がある。
次に、本発明は、前記不純物が除去された黄リンに、構造内の特定の官能基を有する下記の化学式1の添加剤を含む溶液を入れ攪拌して不純物を除去する段階を含む。
Figure 0006192703
本発明において、前記化学式1の添加剤は、末端基に位置したPOに金属イオンが結合して錯化合物が形成されるようにすることで、黄リンに存在する金属不純物を効果的に除去することができる。
特に、本発明では、前記化学式1に示すように、末端基に位置したPOに近接した位置に窒素原子が存在する添加剤を使用するが、窒素原子に存在する非共有電子対と金属イオンとの間に追加的な電子交換が起こり、より安定した錯化合物が形成される。したがって、黄リン内に存在する金属不純物を非常に効果的に除去することができる。
具体的な例として、前記化学式1の添加剤は、アミノトリメチレンホスホン酸(ATMP)、ジチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMP)、ビスヘキサメチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(BHTPMP)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)、ヘキサメチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(HDTMP)から選択される1種以上であることができる。
前記添加剤は、末端基に位置したPOに近接した位置に窒素原子が存在して、窒素原子に存在する非共有電子対と金属イオンとの間に追加的な電子交換が起こり、より安定した錯化合物を形成することができる。したがって、黄リン内に存在する金属不純物を非常に効果的に除去することになる。
本発明において、前記化学式1の添加剤を含む溶液は、過酸化水素水、有機系過酸化物および強酸のいずれか一つを溶媒とすることが好ましい。
すなわち、前記溶媒として過酸化水素水は、不純物が前記化学式1の添加剤と錯化合物を形成するようにするが、特に、過酸化水素水は、水と酸素に分離されて強い酸化作用を起こし、黄リンに依然として存在する不純物が水に良好に溶解されるイオン形態に転換されるようにし、イオン形態に転換された不純物が、前記化学式1の添加剤と錯化合物を形成するようにする。
このときに除去される不純物は金属イオンとして、アルミニウム、鉄、アンチモンから選択されるいずれか一つを含むことができる。
前記段階で不純物が除去されるための効果的な工程温度は、45〜75℃であることが好ましい。工程温度が45℃未満の場合には、黄リンが固体として存在して液化されず攪拌の意味がなくなり、75℃を超える場合には、過酸化水素水の分解が速くなり酸化効率が低下するか、発熱反応である過酸化水素水の分解反応によって反応容器の温度が上昇し続け、安全上の危険がある。
前記段階で使用される化学式1の添加剤の濃度は、黄リンに対して3重量%以下であることが好ましい。濃度が3重量%を超える場合には、追加的な酸化が行われて黄リンが酸化されることがある。前記段階では、過酸化水素水による酸化過程は最小化し、化学式1に該当する添加剤による金属イオンの錯化合物の効果的な形成、除去にその目的がある。
一方、本発明の他の実施例は、黄リンに、酸化剤および構造内の特定の官能基を有する下記の化学式1の添加剤を含む溶液を入れ攪拌して黄リンから不純物を除去する方法を提供する。
Figure 0006192703
上述の本発明の一実施例と同様に、他の実施例においても前記酸化剤は、原料黄リンと混合されて酸化力を有することができる物質であり、過酸化水素水、有機系過酸化物および強酸のいずれか一つを含むことができる。
有機系過酸化物としては、R‐O‐O‐R形態を有する有機系ペルオキシド、R‐O‐OH構造を有している有機系ヒドロペルオキシド、R‐OO‐OR構造を有している有機系ペルエステルなどがあり、具体的に、ジアセチルペルオキシド(diacetyl peroxide)、ビス(1‐オキソプロピル)ペルオキシド(Bis(1‐oxopropyl)peroxide)、t‐ブチルペルオキシド(t‐butyl peroxide)、t‐ブチルヒドロペルオキシド(t‐butyl hydroperoxide)、t‐ブチルペルアセテート(t‐butyl peracetate)、t‐ブチルペルオキシピバレート(t‐butyl peroxypivalate)などが存在する。
強酸としては、窒酸、硫酸、塩酸のように酸化力を有している強酸類が可能であり、窒酸と硫酸の混酸、窒酸と過酸化水素水の混酸および過酸化水素水と硫酸の混合により形成されるペルオキシ一硫酸(peroxymonosulfuric acid)など、様々な組み合わせの混酸を使用することができる。
過酸化水素は、下記式(1)のように水と酸素に分離されて強い酸化作用を起こし、黄リンに存在する金属不純物が水に良好に溶解されるイオン形態に転換されるようにする。
式(1)
2H→2HO+O
本発明において、前記酸化剤として使用される過酸化水素は、水に希釈して使用するが、この際、前記過酸化水素の濃度は、水に対して3〜6質量%であることが好ましい。過酸化水素水の濃度が3質量%未満の場合には、溶液内の低い酸化剤の濃度によって金属酸化率が低下し不純物がうまく除去されない。また、6質量%を超える場合には、酸化剤が多すぎて原料黄リンの損失が多くなり収率が低下する問題がある。
前記段階で除去される不純物は、前記酸化剤によってイオン化した金属イオンとして、アルミニウム、鉄、アンチモンから選択されるいずれか一つを含むことができる。
本発明のさらに他の実施例において、前記化学式1の添加剤は、末端基に位置したPOに金属イオンが結合して錯化合物が形成されるようにすることで、黄リンに存在する金属不純物を効果的に除去することができる。
特に、本発明のさらに他の実施例で使用される添加剤は、前記化学式1に示すように、末端基に位置したPOに近接した位置に窒素原子が存在する添加剤を使用するが、窒素原子に存在する非共有電子対と金属イオンとの間に追加的な電子交換が起こり、より安定した錯化合物が形成される。したがって、黄リン内に存在する金属不純物を非常に効果的に除去することができる。
具体的な例として、前記化学式1の添加剤は、アミノトリメチレンホスホン酸(ATMP)、ジチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMP)、ビスヘキサメチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(BHTPMP)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)、ヘキサメチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(HDTMP)から選択される1種以上であることができる。
前記添加剤は、末端基に位置したPOに近接した位置に窒素原子が存在して、窒素原子に存在する非共有電子対と金属イオンとの間に追加的な電子交換が起こり、より安定した錯化合物を形成することができる。したがって、黄リン内に存在する金属不純物を非常に効果的に除去することになる。
本発明のさらに他の実施例において、酸化剤は、黄リンに存在する金属不純物が水に良好に溶解されるイオン形態に転換されるようにするが、特に、過酸化水素水は、水と酸素に分離されて強い酸化作用を起こし、黄リンに存在する金属不純物が水に良好に溶解されるイオン形態に転換されるようにする役割を果たし、化学式1の添加剤は、イオン形態に転換された不純物が添加剤と錯化合物を形成するようにすることで、黄リンの精製効果を得る。
本発明のさらに他の実施例において、不純物が除去されるための効果的な工程温度は、45〜75℃であることが好ましい。工程温度が45℃未満の場合には、黄リンが固体状態で存在し液化されないため攪拌されず、75℃を超える場合には、過酸化水素水の分解が速くなり酸化効率が低下するか、発熱反応である過酸化水素水の分解反応によって反応容器の温度が上昇し続け、安全上の危険がある。
本発明のさらに他の実施例において、使用される化学式1の添加剤の濃度は、黄リンに対して3重量%以下であることが好ましい。添加剤の濃度が3重量%を超える場合、黄リン内の金属イオン不純物より過量の添加剤が入ることになり、工程後、廃水処理過程で追加の費用が発生してコストアップの原因となる。また、前記工程の後続工程である燃焼工程で燃焼させると、残存する添加剤が酸化されて生成されるリン酸のTOC(Total organic carbon)、TN(Total nitrogen)が上昇し純度が低下する。したがって、適切な範囲の添加剤の濃度を維持しなければならない。
以下、本発明の好ましい実施例およびこれに対比する比較例により、本発明をより具体的に説明する。
<実施例1〜2>
(1)実験方法
1.30質量%過酸化水素水に水を入れて3.5質量%過酸化水素水に希釈させる。
2.攪拌機を準備した後、ビーカーに原料黄リンと過酸化水素水を入れる。
3.過酸化水素水の滴定により入った過酸化水素水の濃度を確認した後、追加的な水を入れて濃度を調節する。
4.温度を上げて45〜75℃に調節し、黄リンを溶融させる。
5.黄リンが溶融されて液体になると、先ず攪拌により過酸化水素水で1次精製し、温度を若干下げて過酸化水素水溶液を除去する。次に、過酸化水素水と添加剤を混合した溶液を入れて攪拌することで2次精製を実施した。
6.全体の攪拌時間は3時間以内と行った。
7.洗浄過程が終了すると、黄リンをICP‐OES(Perkin elmer社製、Optima 7300DV)、ICP‐MS(Perkin Elmer社製、DRC2)でmetal不純物を分析した。
(2)実験結果
実施例1)
ビーカーに過酸化水素水30質量%13gを入れて水を添加し過酸化水素水の濃度を3.5質量%以上に調節した後、原料黄リン5gを入れる。原料黄リンは、大気中で発火の危険性があるため水中に保管し、ビーカーに混合する際に添加される水のため過酸化水素水の濃度が3質量%以下に低下することがある。したがって、ビーカーに混合した後、過酸化水素水の滴定により濃度を確認した後、3質量%であるか否かを確認する必要があり、3質量%に調節して実験を行った。60度の温度を維持し、3時間攪拌を行った。
1)1次精製(単位:ppb)
Figure 0006192703
ICP‐OESにより成分分析を行った。SbのDetection Limitは300ppbであり、FeとAlは100ppbである。
次に、本発明のリン酸系添加剤を過酸化水素水と混合した溶液を1次精製が終了した原料黄リンに入れて2次精製工程を行った結果は、次のとおりである。
2)2次精製(単位:ppb)
Figure 0006192703
ICP‐OESの結果、DL以下に測定されてICP‐MSにより測定を行い、過酸化水素水でのみ処理した結果、すなわち、1次精製のときより不純物の水準が確実に減少することを確認することができる。特に、Fe、AlがND水準まで減少し、ほぼ完壁に精製されることを確認することができ、うまく除去されないSbの濃度も過酸化水素水を単独で使用する方法より減少することを確認することができた。
実施例2)
他のLOT NO.の原料黄リンを使用し、実施例1と同一の実験方法で3質量%過酸化水素水で1次精製した後、それぞれの条件で2次精製を行った。
(単位:ppb)
Figure 0006192703
実施例1、2のいずれも、化学式1の添加剤を含む場合、過酸化水素水を単独で使用することより良好な精製効果を示すことを分かった。
<実施例3>
(1)実験方法
1.ジアセチルペルオキシドを水に希釈させて3.5質量%の水溶液に作製する。
2.攪拌機を準備した後、ビーカーに原料黄リンと希釈された溶液を入れる
3.滴定により酸化剤濃度を確認した後、水を追加して酸化剤の濃度を3質量%に調節する。
4.温度を上げて45〜75℃に調節し、黄リンを溶融させる。
5.黄リンが溶融されて液体になると、攪拌を実施する。
6.全体の攪拌時間は3時間以内と行った。
7.洗浄過程が終了すると、黄リンをICP‐OES(Perkin elmer社製、Optima 7300DV)、ICP‐MS(Perkin Elmer社製、DRC2)でmetal不純物を分析した。
(2)実験結果
ビーカーにジアセチルペルオキシド25質量%15gを入れて水を添加してジアセチルペルオキシド水溶液の濃度を3.5質量%以上に調節した後、原料黄リン5gを入れる。原料黄リンは、大気中で発火の危険性があるため水中に保管し、ビーカーに混合する際に添加される水のため酸化剤として使用されるジアセチルペルオキシドが3質量%以下に減少することがある。したがって、ビーカーに混合した後、滴定により濃度を確認する必要があり、酸化剤の濃度を3質量%に調節して実験を行った。温度を60℃に上げて原料黄リンを溶融させた後、3時間攪拌した。
1)1次精製(単位:ppb)
Figure 0006192703
ICP‐OESにより成分分析を行った。SbのDetection Limitは300ppbであり、FeとAlは100ppbである。
次に、本発明のリン酸系添加剤とジアセチルペルオキシドの混合溶液を1次精製が終了した原料黄リンに入れて2次精製工程を行った結果は次のとおりである。
2)2次精製(単位:ppb)
Figure 0006192703
1次精製で過酸化水素水を代替する有機系過酸化物であるジアセチルペルオキシドを使用した。1次精製の結果をみると、過酸化水素水に対して若干精製率が低下することが分かるが、添加剤を含む2次精製を行う場合、不純物量が確実に減少し、実施例1の2次結果と類似の水準を示している。
実施例4
(1)実験方法
1.16質量%窒酸と62質量%硫酸を1:1の質量比で300gの混酸を作製する。
2.攪拌機を準備した後、ビーカーに原料黄リンと混酸を入れる
3.温度を上げて45〜75℃に調節し、黄リンを溶融させる。
4.黄リンが溶融されて液体になると、攪拌を実施する。
5.全体の攪拌時間は3時間以内と行った。
6.洗浄過程が終了すると、黄リンをICP‐OES(Perkin elmer社製、Optima 7300DV)、ICP‐MS(Perkin Elmer社製、DRC2)でmetal不純物を分析した。
(2)実験結果
ビーカーに16質量%窒酸と62質量%硫酸を1:1の質量比で混合した混酸300gを作製する。これに原料黄リン20gを入れた後、温度を60℃に上げて原料黄リンを攪拌する。攪拌時間は2時間以内と行った。
1)1次精製(単位:ppb)
Figure 0006192703
ICP‐OESにより成分分析を行った。SbのDetection Limitは300ppbであり、FeとAlは100ppbである。
次に、本発明のリン酸系添加剤と3質量%過酸化水素水の混合溶液を1次精製が終了した原料黄リンに入れて2次精製工程を行った結果は、次のとおりである。
2)2次精製(単位:ppb)
Figure 0006192703
1次精製で窒酸と硫酸の混酸を使用した。強力な酸化力を有することから過酸化水素水を処理した実施例1より確実に低い不純物の数値を見ることができる。次に、過酸化水素水の溶液下でリン酸系添加剤を入れて2次精製を実施する場合、すべての場合においてAlとFeの不純物がD.L未満に出ることを確認することができる。不純物濃度の面で見たとき、混酸を使用することが最も好ましい方法であるが、強力な酸化力のため収率が低いという欠点がある。しかし、この場合でもリン酸系添加剤を使用する2次精製を行う場合、効率がよくなることを確認することができる。
<実施例5>
(1)実験方法
1.30質量%過酸化水素水に水を入れて3.5質量%過酸化水素に希釈させる。
2.攪拌機を準備した後、ビーカーに原料黄リンと過酸化水素水を入れる。
3.過酸化水素水の滴定により入った過酸化水素水の濃度を確認した後、追加的な水を入れて濃度を調節する。
4.温度を上げて45〜75℃に調節し、黄リンを溶融させる。
5.黄リンが溶融されて液体になると、化学式1の添加剤を入れて、攪拌を実施する。
6.全体の攪拌時間は3時間以内と行った。
7.洗浄過程が終了すると、黄リンをICP‐OES(Perkin elmer社製、Optima 7300DV)、ICP‐MS(Perkin Elmer社製、DRC2)でmetal不純物を分析した。
(2)実験結果
ビーカーに過酸化水素水30質量%13gを入れて水を添加して過酸化水素水の濃度を3.5質量%以上に調節した後、原料黄リン5gを入れる。原料黄リンは、大気中で発火の危険性があるため水中に保管し、ビーカーに混合する際に添加される水のため、過酸化水素水の濃度が3質量%以下に減少することがある。したがって、ビーカーに混合した後、過酸化水素水の滴定により濃度を確認した後、3質量%であるか否かを確認する必要があり、3質量%に調節して実験を行った。60度に温度を上げて原料黄リンが溶融し始まると本発明のリン酸系添加剤0.5質量%を入れて3時間を攪拌した。
(単位:ppb)
Figure 0006192703
過酸化水素水の1次精製、以降、添加剤による2次精製の過程を経ることなく、過酸化水素水と添加剤を同時に入れて一度に処理し、ICP‐OES結果、DL以下に測定されてICP‐MSにより測定を行った。ICP‐MS結果をみると、過酸化水素水でのみ処理した実施例1の1次精製のときより不純物の水準が確実に減少することを確認することができる。特に、Fe、AlがND水準まで減少してほぼ完壁に精製されることを確認することができ、うまく除去されないSbの濃度も過酸化水素水を単独で使用する方法より減少することを確認することができた。
<実施例6>
実際の工程に適用して精製効果を確認しており、詳細な工程は次のとおりである。原料黄リンを攪拌機タンクに2.0ton、3.0質量%過酸化水素水を2.7ton入れ、原料黄リン基準で0.5%のDTPMPを投入して工程を行った。実際の工程上の試料採取の問題でICP‐OESにより分析した。
(単位:ppb)
Figure 0006192703
本発明の添加剤とともに工程を行うと、D.L.以下に分析結果が出ることを確認することができる。したがって、実際の工程に適用する場合でも十分な効果を示すことが分かる。
また、背景技術で言及したヨウ素系酸化剤を使用する方法は、非常に強力な酸化力を有するため、作業者の安全と廃水処理などの問題を有していたが、本発明の場合、作業者と廃水などに環境安全に係るいかなる問題も発見されなかった。
実施例6を行いながら実際工程に投入して見た結果、過酸化水素水を添加する過程で若干の注意事項があっただけであり、工程後、放出される廃液は、過酸化水素水の分解およびpH処理過程を経る場合、Total N、Total P含有量などの放流基準を満足した。したがって、環境にやさしいという面で優れた効果があることを確認することができた。
(比較例1〜3)
比較例1)
ビーカーに過酸化水素水30質量%13gを入れて水を添加して過酸化水素水の濃度を3.5質量%以上に調節した後、原料黄リン5gを入れる。原料黄リンは、大気中で発火の危険性があるため、水中に保管してビーカーに混合する際に添加される水のため過酸化水素水の濃度が3質量%以下に減少することがある。したがって、ビーカーに混合した後、過酸化水素水の滴定により濃度を確認した後、3質量%であるか否かを確認する必要があり、3質量%に調節して実験を行った。実験は二つの方法で行い、過酸化水素水で1次精製した後、添加剤を入れて2次精製する方法と、過酸化水素水と添加剤を同時に入れて一度に精製する方法を使用した。温度を60℃に上げて原料黄リンが溶融し始まると攪拌してそれぞれの方法で精製実験を行った。使用した添加剤は、多価カルボン酸であるエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)とジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)であり、0.5質量%〜1.0質量%を入れて3時間攪拌させた。実験後、ICP‐OESにより分析を行った。
1)1次精製:原料黄リン+過酸化水素水(単位:ppb)
Figure 0006192703
2)2次精製:原料黄リン+過酸化水素水+添加剤(単位:ppb)
Figure 0006192703
3)過酸化水素水と添加剤を同時に入れて実験を行う(単位:ppb)
Figure 0006192703
多価のカルボン酸キレート化合物のうち最も多く使用されるエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)と類似の構造を有するジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)を使用した結果、本発明のリン酸系添加剤を使用したときより良好でない結果を示した。
比較例2)
窒素を含んでいる多価カルボン酸であるイミノ二酢酸(IDA)と酸素を含んで酸化された形態であるオキシカルボン酸であるクエン酸(CTA)を入れて実験を行った。ビーカーに過酸化水素水30質量%13gを入れて水を添加して過酸化水素水の濃度を3.5質量%以上に調節した後、比較例1と同様なLOT NO.の原料黄リン5gを入れる。原料黄リンは、大気中で発火の危険性があるため、水中に保管してビーカーに混合する際に添加される水のため過酸化水素水の濃度が3質量%以下に減少することがある。したがって、ビーカーに混合した後、過酸化水素水の滴定により濃度を確認した後、3質量%であるか否かを確認する必要があり、3質量%に調節して実験を行った。実験は二つの方法で行い、過酸化水素水で1次精製した後、添加剤を入れて2次精製する方法と、過酸化水素水と添加剤を同時に入れて一度に精製する方法を使用した。温度を60℃に上げて原料黄リンが溶融し始まると、窒素を含んでいる多価カルボン酸であるイミノ二酢酸(IDA)と酸素を含んで酸化された形態であるオキシカルボン酸であるクエン酸(CTA)を0.5質量%〜1.0質量%を入れて3時間攪拌させた。実験後、ICP‐OESにより分析を行った。
1)1次精製:原料黄リン+過酸化水素水(単位:ppb)
Figure 0006192703
2)2次精製:原料黄リン+過酸化水素水+添加剤(単位:ppb)
Figure 0006192703
3)過酸化水素水と添加剤を同時に入れて実験を行う(単位:ppb)
Figure 0006192703
一般的に多価カルボン酸の場合、多数のカルボキシル基と金属イオンがキレート形態で結合して硬い錯化合物を生成するため、組成内で金属イオンを除去することに卓越した効果を発揮する。比較例1、2で使用した多価カルボン酸は、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、イミノ二酢酸(IDA)、クエン酸(CTA)であり、金属イオン特異性が高い。
しかし、前記結果のように全体的に多価カルボン酸を添加剤として使用する場合、リン酸系添加剤とは異なり、Fe、Al効果がないことが確認された。また、一部の場合では3質量%過酸化水素水のみを入れたときより精製効率が低下する結果を示している。
これは、多価カルボン酸とリン酸という異なる官能基による影響である。基本的に、原料黄リンと過酸化水素水の攪拌過程は、原料黄リンを五酸化リンに一部変形させ、溶液に存在する水と反応してリン酸が少量形成される。したがって、リン酸を有しているリン酸系添加剤が、溶液に対する親和度が高くなって容易に反応することができ、より良好な精製効率を有することができ、多価カルボキシル基の場合、容易に溶け込むことができる官能基ではあるが、原料黄リンおよび一部生成されたリン酸との親和度において、リン酸系添加剤より低下することから効率が低下する。
また、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)やジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)と類似している系の添加剤の場合、過酸化水素水組成の溶液で効率が低下する場合が度々報告されている。例えば、過酸化水素水を基にする銅エッチング溶液の場合、過酸化水素水の安定性のために様々な添加剤を使用するが、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)やジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)など、エチレンジアミン系の場合、過酸化水素水の安定性の確保に効果のない場合が多い。原料黄リン、五酸化リン、過酸化水素水、水が混合されている組成を有している反応物において、銅エッチング溶液と同様に、EDTAとDTPAなどの効果が低下する現象が発生することがある。
さらに、多価のカルボン酸の塩形態(ナトリウム、カリウム)も一般的にキレート化合物として多く使用されるが発明では使用せず、原料黄リンの精製過程でナトリウム、カリウムが過量で含まれる場合、最終生成物であるリン酸で不純物として作用して追加的な精製過程が必要となるためである。
比較例3)
リン酸系添加剤を使用するが、隣接した位置に窒素を含んでいない添加剤で実験を行った。使用した添加剤はヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)、ホスホノブタントリ酢酸(PBTA)であり、少なくとも1個以上のリン酸基を有している。ビーカーに過酸化水素水30質量%13gを入れて水を添加し、過酸化水素水の濃度を3.5質量%以上に調節した後、比較例1と同様なLOT NO.の原料黄リン5gを入れる。原料黄リンは、大気中で発火の危険性があるため水中に保管してビーカーに混合の際に添加される水のため過酸化水素水の濃度が3質量%以下に減少することがある。したがってビーカーに混合した後、過酸化水素水の滴定により濃度を確認した後、3質量%であるか否かを確認する必要があり、3質量%に調節して実験を行った。実験は二つの方法で行い、過酸化水素水で1次精製した後、添加剤を入れて2次精製する方法と、過酸化水素水と添加剤を同時に入れて一度に精製する方法を使用した。温度を60℃に上げて原料黄リンが溶融し始まると窒素を含んでいないリン酸系添加剤であるヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)とホスホノブタントリ酢酸(PBTA)を0.5質量%を入れて3時間攪拌させた。実験後、ICP‐OESにより分析を行った。
1)1次精製:原料黄リン+過酸化水素水(単位:ppb)
Figure 0006192703
2)2次精製:原料黄リン+過酸化水素水+添加剤(単位:ppb)
Figure 0006192703
3)過酸化水素水と添加剤を同時に入れて実験を行う(単位:ppb)
Figure 0006192703
実施例として実施した窒素を含んでいるリン酸系添加剤と窒素を含んでいないリン酸系添加剤に対する比較例との比較として、二つの添加剤のいずれもリン酸基を有しており、多価カルボン酸に比べて原料黄リンとの親和度が高く、ある程度の効果が期待できる。しかし、実験結果、窒素を含んでいないリン酸系添加剤の場合、効果がほとんどないことで示されたが、これは、原料黄リンの精製過程で添加剤が有するリン酸基だけでなく、他の重要な変数があるということを意味する。
一般的に、添加剤の末端基と金属イオンが結合して錯化合物が生成されるが、近接した位置に窒素があれば窒素にある非共有電子対と金属イオンとの間に追加的な電子交換が起こり、より安定した錯化合物が生成される。したがって、実施例で使用した窒素を含むリン酸系添加剤の場合、POに金属イオンが結合し、結合後、隣りの窒素と追加結合によりさらに安定した形態に変化することから窒素を含んでいない添加剤である比較例3に比べてより良好な精製効果を見ることができる。
以上、本発明の実施例を中心に説明したが、当業者の水準で様々な変更や変形を加えることができる。このような変更と変形が本発明の範囲がら逸脱しない限り、本発明に属すると言える。したがって、本発明の権利範囲は、以下に記載する請求範囲により判断されなければならない。

Claims (5)

  1. 黄リンに酸化剤を入れ攪拌して黄リンから不純物を除去する段階と、
    前記不純物が除去された黄リンに添加剤を含む溶液を入れ攪拌して不純物を除去する段階と、を含み、
    前記除去される不純物は、金属イオンとして、アルミニウム、鉄、アンチモンから選択されるいずれか一つを含み、
    前記添加剤は、アミノトリメチレンホスホン酸(ATMP)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMP)、ビスヘキサメチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(BHTPMP)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)、ヘキサメチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(HDTMP)から選択される1種以上であることを特徴とする、黄リンの精製方法。
  2. 前記酸化剤は、有機系過酸化物、強酸および過酸化水素水のいずれか一つであることを特徴とする、請求項1に記載の黄リンの精製方法。
  3. 記添加剤を含む溶液は、過酸化水素水を溶媒とすることを特徴とする、請求項1に記載の黄リンの精製方法。
  4. 前記不純物除去段階における工程温度は、45〜75℃であることを特徴とする、請求項1に記載の黄リンの精製方法。
  5. 前記添加剤の濃度は、黄リンに対して2重量%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の黄リンの精製方法。
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