JP6192528B2 - スズ硫化物の製造方法 - Google Patents

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本発明は、金属スズと硫黄とを反応させてスズ硫化物を得るためのスズ硫化物の製造方法に関するものである。
従来、固体潤滑剤としては、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、三硫化アンチモン、黒鉛及びポリテトラフルオロエチレン等が用いられていた。これらの固体潤滑剤のうち、三硫化アンチモンは、人体に悪影響を及ぼすおそれのある物質として、三硫化アンチモンの使用を控える動きが出ている。
近年、一硫化スズ(SnS)、三硫化二スズ(Sn)、二硫化スズ(SnS)等のスズの硫化物は、固体潤滑剤の性能を有する物質として、注目されている。中でも、二硫化スズは、六法晶の結晶構造を持ち且つ層状の結晶を形成する鱗片状の物質であるため、二硫化モリブデンと同様の摩擦特性を有しており、特に注目されている。
一硫化スズの製造方法としては、金属スズと硫黄を融点以上の温度で反応させる方法が知られている(非特許文献1)。
また、二硫化スズの製造方法については、非特許文献2に「常圧のもとでは、スズと硫黄を共融させても二硫化スズは生成しない。」と記載されているように、常圧での加熱ではスズと硫黄を反応させて二硫化スズを生成させることは困難である。
そして、二硫化スズの製造方法としては、以下の方法が知られている。
(1)金属スズと硫黄を、高圧下で加熱して反応させる方法(非特許文献2)
(2)硫黄、スズアマルガム及び塩化アンモニウムを、混合加熱する方法(非特許文献3)
(3)金属スズ1モルに対して5.5モル以上である金属スズ及び硫黄の混合物を、硫黄の沸点以上700℃以下の温度で開放系で焼成する方法(特許文献1)
(4)金属スズ塊及び硫黄塊の混合物を粉砕混合しながら加熱する方法(特許文献2)
特開2007−084401号公報 特開2007−284309号公報
無機化学全集スズ、丸善株式会社発行、326〜327頁 Gmelin, Handbuch der Anorganischen Chemie, Band Zinn, C2 37〜40頁 無機化学全集スズ、丸善株式会社発行、333〜337頁
しかし、従来の一硫化スズの製造方法では、スズの融点以上の温度で加熱する必要があるため、異相成分として生成した硫化スズ混合物の微粉末が、炉内に付着するという問題があった。
また、従来の二硫化スズの製造方法では、特殊な高圧設備が必要になる(上記(1))、有害な水銀を使用することになる(上記(2))、未反応硫黄が多くなるため、未反応硫黄により反応炉内が汚染されるおそれがある(上記(3))、加熱により硫黄が気化して装置内の圧力が上昇するため、密閉系では安全性に問題があり、また、気化した硫黄を排出する際にも、溶融した硫黄が排出口に固着する(上記(4))などの問題があった。
また、従来の製造方法では、同一の設備で、一硫化スズと二硫化スズを簡便に作り分けることができなかった。
従って、本発明の目的は、スズの原子価が異なるスズ硫化物を簡便に作り分けることができるスズ硫化物の製造方法、特に、同一の設備で、一硫化スズと二硫化スズを簡便に作り分けることができるスズ硫化物の製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、高圧設備等の特殊な設備や水銀等の有害な物質を用いることなく、未反応硫黄による反応系汚染が防止でき、工業的に簡便且つ安全な、二硫化スズの製造方法を提供することにある。
前記目的は、以下の本発明により達成される。
すなわち、本発明は、金属スズと硫黄とを含み、金属スズの含有量に対する硫黄の含有量が、原子換算のモル比(S/Sn)で、1.0〜1.1である被処理物を、遊星ボールミル又はビーズミルで、被処理物の温度を10〜40℃にして、メカノケミカル処理することにより、該金属スズと該硫黄とを反応させて、スズ硫化物を得ることを特徴とするスズ硫化物の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、金属スズと硫黄とを含み、金属スズの含有量に対する硫黄の含有量が、原子換算のモル比(S/Sn)で、2.0〜2.2である被処理物を、遊星ボールミル又はビーズミルで、被処理物の温度を10〜40℃にして、メカノケミカル処理することにより、該金属スズと該硫黄とを反応させて、スズ硫化物を得ることを特徴とするスズ硫化物の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、スズの原子価が異なるスズ硫化物を簡便に作り分けることができるスズ硫化物の製造方法、特に、同一の設備で、一硫化スズと二硫化スズを簡便に作り分けることができるスズ硫化物の製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、高圧設備等の特殊な設備や水銀等の有害な物質を用いることなく、未反応硫黄による反応系汚染が防止でき、工業的に簡便且つ安全な、二硫化スズの製造方法を提供することができる。
実施例1〜5及び比較例3のX線回折チャートである。 実施例6〜9のX線回折チャートである。 実施例10〜14及び比較例4のX線回折チャートである。 比較例1のX線回折チャートである。 比較例2のX線回折チャートである。
本発明は、金属スズと硫黄とを含み、金属スズの含有量に対する硫黄の含有量が、原子換算のモル比(S/Sn)で、1〜4である被処理物を、メカノケミカル処理することにより、該金属スズと該硫黄とを反応させて、スズ硫化物を得ることを特徴とするスズ硫化物の製造方法である。
本発明に係る金属スズの形状としては、特に制限されず、粒状、鱗片状等が挙げられる。
本発明に係る金属スズの平均径は、特に制限されないが、反応性が高くなる点で、好ましくは5〜100μm、特に好ましくは20〜45μmである。なお、金属スズの平均径は、金属スズが粒状の場合は平均直径を指し、金属スズが鱗片状の場合は各金属片の最長径の平均値を指す。また、金属スズの平均径は、レーザー回折・散乱法(マイクロトラック法)により測定され、体積頻度粒度分布測定により求められる積算50%(D50)の粒径である。
本発明に係る硫黄の形状としては、特に制限されず、粉末状、粒状、フレーク等が挙げられる。
本発明に係る硫黄の平均径は、特に制限されないが、反応性が高くなる点で、好ましくは25〜300μm、特に好ましくは50〜100μmである。なお、硫黄の平均径は、硫黄が粒状又は粉末状の場合は平均直径を指し、硫黄がフレークの場合は各フレーク片の最長径の平均値を指す。また、硫黄の平均径は、レーザー回折・散乱法(マイクロトラック法)により測定され、体積頻度粒度分布測定により求められる積算50%(D50)の粒径である。
本発明に係る金属スズと硫黄とを含む被処理物は、固体の金属スズと固体の硫黄とからなる。また、金属スズと硫黄とを含む被処理物は、金属スズ及び硫黄以外に、必要に応じて、付着防止剤、表面処理剤等を含むことができる。付着防止剤としては、アルコール系、フッ素系、シリコン系のものが挙げられる。
そして、本発明のスズ硫化物の製造方法では、金属スズと硫黄とを含む被処理物を、メカノケミカル処理することにより、金属スズと硫黄を反応させて、スズ硫化物を得る。
本発明に係るメカノケミカル処理は、被処理物に、せん断力、衝突力又は遠心力のような機械的エネルギーを加える処理である。つまり、本発明のスズ硫化物の製造方法では、金属スズと硫黄とを含む被処理物を、メカノケミカル処理することにより、金属スズと硫黄とを含む被処理物に、せん断力、衝突力又は遠心力のような機械的エネルギーを加えて、金属スズと硫黄を反応させる。
メカノケミカル処理を行うための装置としては、例えば、ビーズミル、遊星型ボールミル、振動ミル等の粒状媒体を用いる粉砕装置、すなわち、被処理物中に粒状媒体を存在させて、それらを高速で流動させる装置が挙げられる。これらの粉砕装置では、被処理物と粒状媒体とを高速で流動させることにより、粒状媒体により、被処理物に機械的エネルギーが加えられる。
上記の粒状媒体を用いる粉砕装置で、メカノケミカル処理を行う場合、被処理物に加えられる重力加速度、粒状媒体の粒径及び充填率は、粉砕装置の種類により異なり、適宜選択される。粒状媒体を用いる粉砕装置として、例えば、乾式ビーズミルを用いる場合は、遠心加速度(遠心力)は、13〜111G、好ましくは45〜65Gであり、粒状媒体の粒径は、1〜10mm、好ましくは3〜5mmであり、粒状媒体の充填率は、50〜80%、好ましくは60〜70%である。また、遊星型ボールミルを用いる場合は、重力加速度は、3〜25G、好ましくは8〜20Gであり、粒状媒体の粒径は、1〜15mm、好ましくは5〜10mmであり、粒状媒体の充填率は、20〜50%、好ましくは30〜40%である。
また、メカノケミカル処理を行うための装置としては、被処理物を、公転方向に自転するリングと自転方向に回転するベッセル内壁とで挟み込んで、すりつぶすようにして、被処理物に機械的エネルギーを加える装置が挙げられ、例えば、MIRALO(株式会社奈良機械製作所製)等が挙げられる。
また、メカノケミカル処理を行うための装置としては、被処理物同士を衝突させることにより、被処理物に機械的エネルギーを加える装置が挙げられ、例えば、ノビルタ(ホソカワミクロン株式会社製)が挙げられる。
本発明のスズ硫化物の製造方法では、被処理物の温度を115℃以下、好ましくは10〜80℃、特に好ましくは20〜40℃にして、メカノケミカル処理を行う。つまり、本発明のスズ硫化物の製造方法は、硫黄を溶融状態で、金属スズと反応させるものではない。そして、本発明のスズ硫化物の製造方法では、金属スズと硫黄とを含む被処理物をメカノケミカル処理することにより、固体の金属スズ及び固体の硫黄に機械的エネルギーを加えて、金属スズと硫黄を反応させており、そのときの反応を10〜115℃で行うこともできるが、通常、10〜50℃、好ましくは20〜40℃で反応が進行する。そのため、本発明のスズ硫化物の製造方法では、金属スズと硫黄とを含む被処理物を、加熱手段を用いて加熱する必要はない。また、本発明のスズ硫化物の製造方法では、メカノケミカル処理を行う装置によっては、メカノケミカル処理が行われる部位が発熱することがあるが、その場合、装置の保護のために、メカノケミカル処理が行われる部位を10〜50℃、好ましくは20〜40℃に冷却することができ、その冷却により、被処理物の温度を10〜50℃、好ましくは20〜40℃に保って、メカノケミカル処理を行うことができる。
本発明のスズ硫化物の製造方法では、メカノケミカル処理を、開放系で行うことができ、また、常圧で行うことができる。なお、開放系とは、反応が行われる雰囲気内(反応が行われる反応容器内)から、雰囲気外(反応容器外)への、雰囲気内(反応容器内)の気体の流出が完全には遮断されていない反応系を指し、一方、密閉系とは、圧力容器を用いて反応を行うなど、反応が行われる雰囲気内(反応が行われる圧力容器内)から、雰囲気外(圧力容器外)への、雰囲気内(圧力容器内)の気体の流出が完全に遮断されている反応系を指す。
本発明のスズ硫化物の製造方法において、メカノケミカル処理が行われる雰囲気は、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気であっても、空気、酸素ガス等の酸化性ガス雰囲気であってもよく、当然、大気雰囲気下でも良い。
本発明のスズ硫化物の製造方法では、金属スズと硫黄とを含む被処理物中の、金属スズの含有量に対する硫黄の含有量を、原子換算のモル比(S/Sn)で、1〜4として、その原子換算のモル比(S/Sn)1〜4の範囲で、金属スズと硫黄の量を選択することにより、スズ硫化物のスズの原子価を調節することができる。
特に、本発明のスズ硫化物の製造方法では、金属スズと硫黄とを含む被処理物中の、金属スズの含有量に対する硫黄の含有量を、原子換算のモル比(S/Sn)で、1.0〜1.1、好ましくは1.00〜1.05とすることにより、単相の一硫化スズ(SnS)を得ることができる。
また、本発明のスズ硫化物の製造方法では、金属スズと硫黄とを含む被処理物中の、金属スズの含有量に対する硫黄の含有量を、原子換算のモル比(S/Sn)で、2.0〜4.0、好ましくは2.0〜2.2とすることにより、単相の二硫化スズ(SnS)を得ることができる。
本発明のスズ硫化物の製造方法では、バッチ式で、被処理物のメカノケミカル処理を行ってもよいし、あるいは、金属スズ及び硫黄を少量ずつ連続的に供給しながら連続式で、又は金属スズ及び硫黄を少量ずつ連続的に供給しつつ且つ反応生成物を連続的に排出しながら連続式で、被処理物のメカノケミカル処理を行ってもよい。連続式で、メカノケミカル処理を行う場合、金属スズ及び硫黄の供給速度、反応生成物の排出速度、反応スケール、装置の形状及び大きさ等は、適宜選択される。
本発明のスズ硫化物の製造方法では、金属スズと硫黄とを含む被処理物に機械的エネルギーを加える前に、金属スズ及び硫黄を予め混合してもよく、また、金属スズ又は硫黄を粉砕してもよい。
また、本発明のスズ硫化物の製造方法により得られるスズ硫化物を、必要に応じて、加熱処理してもよい。特に、本発明のスズ硫化物の製造方法では、金属スズと硫黄とを含む被処理物中の、金属スズの含有量に対する硫黄の含有量を、原子換算のモル比(S/Sn)で、2.0〜4.0、好ましくは2.0〜2.2として、単相の二硫化スズ(SnS)を得ることができるが、Snに対してモル比が過剰の硫黄を用いている場合には、過剰分の硫黄が二硫化スズ中に残存することになる。このような残存硫黄分は、メカノケミカル処理後のスズ硫化物(残存硫黄分を含有する単相の二硫化スズ(SnS))を、350〜450℃で加熱処理することにより、除去される。残存硫黄分の除去のための加熱処理時間は、適宜選択されるが、好ましくは30分〜1時間である。なお、メカノケミカル処理後は、二硫化スズ中に硫黄が存在する状態で350〜450℃で加熱しても、相変化することはなく、単相の二硫化スズのままで、加熱により二硫化スズ中の硫黄を除去できる。
本発明のスズ硫化物の製造方法では、加熱することより反応を行わせるのではなく、機械的エネルギーを加えることにより、反応を行わせるので、加熱手段を用いる必要はなく、また、特殊な高圧設備を用いなくてもよい。また、本発明のスズ硫化物の製造方法では、化学量論量より大過剰の硫黄を用いなくても、化学量論量又は化学量論量より少過剰の硫黄を用いて、目的とするスズ硫化物、特に、一硫化スズ又は二硫化スズを製造することができる。また、硫黄を加熱して気化させて反応を行う従来法では、雰囲気に硫黄ガスを多量に存在させる必要があるため、化学量論量より大過剰の硫黄が必要となる。それに対して、本発明のスズ硫化物の製造方法では、機械的エネルギーを加えることにより、硫黄と金属スズとの反応を行うので、化学量論量又は化学量論量より少過剰の硫黄と金属スズと反応させることができるため、金属スズと硫黄の混合割合を選択することにより、スズの原子価が異なるスズ硫化物の作り分けが容易である。
(実施例1)
被処理物として、金属スズ(福田金属箔粉工業社製、アトマイズ品)3.94gと硫黄(細井化学社製、200メッシュ品)1.06gと秤量し、それらの被処理物を遊星ボールミル(フリッチェ社製、P7)にて、Zr製ボール(直径10mm)10個を用い、400回転で40時間、大気雰囲気で処理して、スズ硫化物を得た。このとき、遊星ボールミルにて処理した被処理物中の金属スズに対する硫黄の原子換算のモル比(S/Sn)は1であった。また、処理直後の被処理物の温度は21℃であり、装置内の圧力は0.1MPa(常圧)であった。
次いで、得られたスズ硫化物のX線回折分析を行った。その結果を表1及び図1に示す。
(実施例2)
金属スズ(福田金属箔粉工業社製、アトマイズ品)3.85gと硫黄(細井化学社製、200メッシュ品)1.57gと秤量し、それらを実施例1同様にして、遊星ボールミルにて処理して、スズ硫化物を得た。このとき、遊星ボールミルにて処理した被処理物中の金属スズに対する硫黄の原子換算のモル比(S/Sn)は1.1であった。また、処理直後の被処理物の温度は21℃であり、装置内の圧力は0.1MPa(常圧)であった。
次いで、得られたスズ硫化物のX線回折分析を行った。その結果を表1及び図1に示す。
(実施例3)
金属スズ(福田金属箔粉工業社製、アトマイズ品)3.78gと硫黄(細井化学社製、200メッシュ品)1.22gと秤量し、それらを実施例1同様にして、遊星ボールミルにて処理して、スズ硫化物を得た。このとき、遊星ボールミルにて処理した被処理物中の金属スズに対する硫黄の原子換算のモル比(S/Sn)は1.2であった。また、処理直後の被処理物の温度は20℃であり、装置内の圧力は0.1MPa(常圧)であった。
次いで、得られたスズ硫化物のX線回折分析を行った。その結果を表1及び図1に示す。
(実施例4)
金属スズ(福田金属箔粉工業社製、アトマイズ品)3.70gと硫黄(細井化学社製、200メッシュ品)1.30gと秤量し、それらを実施例1同様にして、遊星ボールミルにて処理して、スズ硫化物を得た。このとき、遊星ボールミルにて処理した被処理物中の金属スズに対する硫黄の原子換算のモル比(S/Sn)は1.3であった。また、処理直後の被処理物の温度は20℃であり、装置内の圧力は0.1MPa(常圧)であった。
次いで、得られたスズ硫化物のX線回折分析を行った。その結果を表1及び図1に示す。
(実施例5)
金属スズ(福田金属箔粉工業社製、アトマイズ品)3.56gと硫黄(細井化学社製、200メッシュ品)1.44gと秤量し、それらを実施例1同様にして、遊星ボールミルにて処理して、スズ硫化物を得た。このとき、遊星ボールミルにて処理した被処理物中の金属スズに対する硫黄の原子換算のモル比(S/Sn)は1.5であった。また、処理直後の被処理物の温度は20℃であり、装置内の圧力は0.1MPa(常圧)であった。
次いで、得られたスズ硫化物のX線回折分析を行った。その結果を表1及び図1に示す。
(実施例6)
金属スズ(福田金属箔粉工業社製、アトマイズ品)3.43gと硫黄(細井化学社製、200メッシュ品)1.57gと秤量し、それらを実施例1同様にして、遊星ボールミルにて処理して、スズ硫化物を得た。このとき、遊星ボールミルにて処理した被処理物中の金属スズに対する硫黄の原子換算のモル比(S/Sn)は1.7であった。また、処理直後の被処理物の温度は20℃であり、装置内の圧力は0.1MPa(常圧)であった。
次いで、得られたスズ硫化物のX線回折分析を行った。その結果を表1及び図2に示す。
(実施例7)
金属スズ(福田金属箔粉工業社製、アトマイズ品)3.25gと硫黄(細井化学社製、200メッシュ品)1.75gと秤量し、それらを実施例1同様にして、遊星ボールミルにて処理して、スズ硫化物を得た。このとき、遊星ボールミルにて処理した被処理物中の金属スズに対する硫黄の原子換算のモル比(S/Sn)は2であった。また、処理直後の被処理物の温度は21℃であり、装置内の圧力は0.1MPa(常圧)であった。
次いで、得られたスズ硫化物のX線回折分析を行った。その結果を表1及び図2に示す。
(実施例8)
被処理物として、金属スズ(福田金属箔粉工業社製、アトマイズ品)5018.04gと硫黄(細井化学社製、200メッシュ品)2981.96gと秤量し、それらの被処理物をミル(ワンダーブレンダー、大阪ケミカル社製)で10秒間混合した。このとき、被処理物中の金属スズに対する硫黄の原子換算のモル比(S/Sn)は2.2であった。
次いで、ビーズミル(アシザワ・ファインテック社製、ドライスターSDA−5)に、上記混合後の被処理物を、定量フィーダ(アイシンナノテクノロジーズ社製、マイクロフィーダ)を介して、5g/分の供給速度で連続的に供給しつつ、被処理物を、ビーズミルにて950rpmで大気雰囲気で処理し、装置内での処理時間(滞留時間)が120分間となるように、装置出口から反応生成物を排出して、スズ硫化物を得た。また、処理直後の被処理物の温度は36℃であり、装置内の圧力は0.1MPa(常圧)であった。
次いで、得られたスズ硫化物のX線回折分析を行った。その結果を表1及び図2に示す。
(実施例9)
金属スズ(福田金属箔粉工業社製、アトマイズ品)3.14gと硫黄(細井化学社製、200メッシュ品)1.86gと秤量し、それらを実施例1同様にして、遊星ボールミルにて処理して、スズ硫化物を得た。このとき、遊星ボールミルにて処理した被処理物中の金属スズに対する硫黄の原子換算のモル比(S/Sn)は2.2であった。また、処理直後の被処理物の温度は22℃であり、装置内の圧力は0.1MPa(常圧)であった。
次いで、得られたスズ硫化物のX線回折分析を行った。その結果を表1及び図2に示す。
(実施例10)
金属スズ(福田金属箔粉工業社製、アトマイズ品)3.08gと硫黄(細井化学社製、200メッシュ品)1.92gと秤量し、それらを実施例1同様にして、遊星ボールミルにて処理して、スズ硫化物を得た。このとき、遊星ボールミルにて処理した被処理物中の金属スズに対する硫黄の原子換算のモル比(S/Sn)は2.3であった。また、処理直後の被処理物の温度は21℃であり、装置内の圧力は0.1MPa(常圧)であった。
次いで、得られたスズ硫化物のX線回折分析を行った。その結果を表1及び図3に示す。
(実施例11)
金属スズ(福田金属箔粉工業社製、アトマイズ品)3.03gと硫黄(細井化学社製、200メッシュ品)1.97gと秤量し、それらを実施例1同様にして、遊星ボールミルにて処理して、スズ硫化物を得た。このとき、遊星ボールミルにて処理した被処理物中の金属スズに対する硫黄の原子換算のモル比(S/Sn)は2.4であった。また、処理直後の被処理物の温度は21℃であり、装置内の圧力は0.1MPa(常圧)であった。
次いで、得られたスズ硫化物のX線回折分析を行った。その結果を表1及び図3に示す。
(実施例12)
金属スズ(福田金属箔粉工業社製、アトマイズ品)2.94gと硫黄(細井化学社製、200メッシュ品)2.06gと秤量し、それらを実施例1同様にして、遊星ボールミルにて処理して、スズ硫化物を得た。このとき、遊星ボールミルにて処理した被処理物中の金属スズに対する硫黄の原子換算のモル比(S/Sn)は2.6であった。また、処理直後の被処理物の温度は21℃であり、装置内の圧力は0.1MPa(常圧)であった。
次いで、得られたスズ硫化物のX線回折分析を行った。その結果を表1及び図3に示す。
(実施例13)
金属スズ(福田金属箔粉工業社製、アトマイズ品)2.76gと硫黄(細井化学社製、200メッシュ品)2.24gと秤量し、それらを実施例1同様にして、遊星ボールミルにて処理して、スズ硫化物を得た。このとき、遊星ボールミルにて処理した被処理物中の金属スズに対する硫黄の原子換算のモル比(S/Sn)は3であった。また、処理直後の被処理物の温度は21℃であり、装置内の圧力は0.1MPa(常圧)であった。
次いで、得られたスズ硫化物のX線回折分析を行った。その結果を表1及び図3に示す。
<加熱処理>
上記で得られたメカノケミカル処理後のスズ硫化物を、400℃で1時間加熱処理して、残存硫黄分の除去を行った。加熱処理後のスズ硫化物のX線回折分析を行ったところ、加熱処理前と同様に、スズ硫化物はSnS単相であった。
(実施例14)
金属スズ(福田金属箔粉工業社製、アトマイズ品)2.40gと硫黄(細井化学社製、200メッシュ品)2.60gと秤量し、それらを実施例1同様にして、遊星ボールミルにて処理して、スズ硫化物を得た。このとき、遊星ボールミルにて処理した被処理物中の金属スズに対する硫黄の原子換算のモル比(S/Sn)は4であった。また、処理直後の被処理物の温度は21℃であり、装置内の圧力は0.1MPa(常圧)であった。
次いで、得られたスズ硫化物のX線回折分析を行った。その結果を表1及び図3に示す。
(比較例1)
金属スズ(福田金属箔粉工業社製、アトマイズ品)11.9gと硫黄粉末(関東化学社製)3.2gを秤量し、ミルを用いて均一に混合した。この時、混合物中のスズに対する硫黄のモル比(S/Sn)は1であった。得られた均一混合物を、タンマン管(アルミナ容器)に入れ、焼成炉中、窒素ガスの導入下、100℃/時間で300℃まで昇温し、300℃で6時間保持して、該均一混合物を焼成した。焼成終了後、冷却し、生成物を粉砕した。焼成では、焼成炉の排気口にトラップをつけて、気化成分(硫黄及び硫化スズ化合物(Sn))を捕捉したところ、気化成分が0.2g捕捉された。
次いで、得られたスズ硫化物のX線回折分析を行った。その結果を表1及び図4に示す。
(比較例2)
金属スズ(福田金属箔粉工業社製、アトマイズ品)11.9gと硫黄粉末(関東化学社製)6.4gを秤量し、ミルを用いて均一に混合した。この時、混合物中のスズに対する硫黄のモル比(S/Sn)は2であった。得られた均一混合物を、タンマン管(アルミナ容器)に入れ、焼成炉中、窒素ガスの導入下、100℃/時間で500℃まで昇温し、500℃で6時間保持して、該均一混合物を焼成した。焼成終了後、冷却し、生成物を粉砕した。焼成では、焼成炉の排気口にトラップをつけて、気化成分(硫黄及び硫化スズ化合物(Sn))を捕捉したところ、気化成分が2.2g捕捉された。
次いで、得られたスズ硫化物のX線回折分析を行った。その結果を表1及び図5に示す。
(比較例3)
金属スズ(福田金属箔粉工業社製、アトマイズ品)4.02gと硫黄(細井化学社製、200メッシュ品)0.98gと秤量し、それらを実施例1と同様にして、遊星ボールミルにて処理して、スズ硫化物を得た。このとき、遊星ボールミルにて処理した被処理物中の金属スズに対する硫黄の原子換算のモル比(S/Sn)は0.9であった。また、処理直後の被処理物の温度は20℃であり、装置内の圧力は0.1MPa(常圧)であった。
次いで、得られたスズ硫化物のX線回折分析を行った。その結果を表1及び図1に示す。
(比較例4)
金属スズ(福田金属箔粉工業社製、アトマイズ品)2.26gと硫黄(細井化学社製、200メッシュ品)2.74gと秤量し、それらを実施例1同様にして、遊星ボールミルにて処理して、スズ硫化物を得た。このとき、遊星ボールミルにて処理した被処理物中の金属スズに対する硫黄の原子換算のモル比(S/Sn)は4.5であった。また、処理直後の被処理物の温度は20℃であり、装置内の圧力は0.1MPa(常圧)であった。
次いで、得られたスズ硫化物のX線回折分析を行った。その結果を表1及び図3に示す。
Figure 0006192528
本発明によれば、高圧設備等の特殊な設備や水銀等の有害な物質を用いることなく、スズ硫化物、特に、一硫化スズ及び二硫化スズを製造することができる。

Claims (2)

  1. 金属スズと硫黄とを含み、金属スズの含有量に対する硫黄の含有量が、原子換算のモル比(S/Sn)で、1.0〜1.1である被処理物を、遊星ボールミル又はビーズミルで、被処理物の温度を10〜40℃にして、メカノケミカル処理することにより、該金属スズと該硫黄とを反応させて、スズ硫化物を得ることを特徴とするスズ硫化物の製造方法。
  2. 金属スズと硫黄とを含み、金属スズの含有量に対する硫黄の含有量、原子換算のモル比(S/Sn)で、2.0〜2.2である被処理物を、遊星ボールミル又はビーズミルで、被処理物の温度を10〜40℃にして、メカノケミカル処理することにより、該金属スズと該硫黄とを反応させて、スズ硫化物を得ることを特徴とするスズ硫化物の製造方法。
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