JP4925404B2 - 二硫化スズの製造方法 - Google Patents

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本発明は、軸受、歯車の表面や自動車のブレーキライニング等に使用する固体潤滑剤として用いられる二硫化スズの製造方法に関する。
従来より、固体潤滑剤として、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、三硫化アンチモン、黒鉛及びポリテトラフルオロエチレン等が用いられていた。これらの固体潤滑剤のうち、三硫化アンチモンは、人体に悪影響を及ぼすおそれのある物質として、三硫化アンチモンの使用を控える動きが出てきている。
近年、一硫化スズ(SnS)、三硫化二スズ(Sn)、二硫化スズ(SnS)等のスズの硫化物は、固体潤滑剤の性能を有する物質として注目されており、中でも、二硫化スズが、六方晶の結晶構造を持ち且つ層状の結晶を形成する鱗片状の物質であるため、二硫化モリブデンと同様の摩擦特性を有しているので、三硫化アンチモンの代替物質として、特に注目されている。
二硫化スズの製造方法としては、
(1)金属スズと硫黄を、高圧下で反応させる方法(非特許文献1)、
(2)硫黄、スズアマルガム及び塩化アンモニウムを、混合加熱する方法(非特許文献2)、
(3)スズの鑢屑又は金属スズ、硫黄及び塩化アンモニウムを、混合加熱する方法(特許文献1、非特許文献2)、
(4)金属スズ、硫黄及び炭素を、200〜1500℃で混合加熱し、反応させる方法(特許文献2)
等が知られている。なお、該非特許文献2には、「常圧のもとではスズと硫黄を共融しても二硫化スズは生成しない。」旨が記載されている(333頁第11行)。
Gmelin, Handbuch der Anorganischen Chemie, Band Zinn, C2 37〜40頁 無機化学全集 スズ 丸善株式会社発行 333〜337頁 特開平10−53414号公報(特許請求の範囲) 特表2002−511517号公報(特許請求の範囲)
しかし、上記(1)の方法では、高圧を要するため、特殊な高圧設備が必要となる。また、上記(2)の方法では、有害な水銀を使用するため、環境上の問題が生じる。また、上記(3)及び(4)の方法では、スズ及び硫黄以外の第三成分、すなわち、塩化アンモニウム又は炭素を用いるため、生成物である二硫化スズ中に、それらの成分が不純物として残留してしまう。特許文献2には、炭素が、硫化物マトリックス中に、統計的に分散した形で残存する旨が記載されている。
従って、本発明の課題は、高圧設備等の特殊な設備を用いず、且つスズ及び硫黄以外の第三成分の添加を必要としない二硫化スズの製造方法、すなわち、工業的に簡便に且つ高純度の二硫化スズを得ることができる二硫化スズの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記従来技術における課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、金属スズに対して大過剰の硫黄を用い、且つ雰囲気を不活性ガス及び硫黄ガスの混合ガス雰囲気とすれば、第三成分を添加しなくても、常圧で焼成することにより、金属スズ及び硫黄のみから二硫化スズを製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、硫黄の含有量が、金属スズ1モルに対して5.5モル以上である金属スズ及び硫黄の混合物を、硫黄の沸点以上700℃以下の温度で、不活性ガス及び硫黄ガスの混合ガスの雰囲気下、開放系で焼成する二硫化スズの製造方法を提供するものである。
また、本発明は、硫黄の含有量が、金属スズ1モルに対して5.5モル以上である金属スズ及び硫黄の混合物を、硫黄の沸点以上700℃以下の温度で、雰囲気に不活性ガスを導入しながら、該金属スズ及び硫黄の混合物中の硫黄が気化して生じる硫黄ガスを、雰囲気に滞留させつつ、開放系で焼成することを特徴とする二硫化スズの製造方法を提供するものである。
また、本発明は、硫黄の含有量が、金属スズ1モルに対して5.5モル以上である金属スズ及び硫黄の混合物を、硫黄の沸点以上700℃以下の温度で、雰囲気に不活性ガスを導入しつつ、雰囲気から不活性ガス及び硫黄ガスの混合ガスを排出しながら、開放系で焼成する二硫化スズの製造方法を提供するものである。
本発明によれば、常圧で、且つスズ及び硫黄以外の第三成分を添加しなくても、二硫化スズを製造することができる。すなわち、本発明によれば、工業的に簡便に且つ高純度の二硫化スズを製造することができる。
本発明の二硫化スズの製造方法は、硫黄の含有量が、金属スズ1モルに対して5.5モル以上である金属スズ及び硫黄の混合物を、硫黄の沸点以上700℃以下の温度で、不活性ガス及び硫黄ガスの混合ガスの雰囲気下、開放系で焼成する二硫化スズの製造方法である。
本発明に係る金属スズの形状としては、特に制限されず、粒状、鱗片状が挙げられる。また、鱗片状のものは、粒状のものに比べ、反応開始温度が低い。
また、本発明に係る金属スズの平均径は、特に制限されないが、反応性を高めるという点で、好ましくは5〜100μm、特に好ましくは20〜45μmである。なお、該金属スズの平均径は、金属スズが粒状の場合は平均直径を指し、金属スズが鱗片状の場合は各金属片の最長の径の平均値を指す。
本発明に係る硫黄の形状としては、特に制限されず、粉末状、粒状、フレーク状が挙げられる。
本発明に係る金属スズ及び硫黄の混合物中、硫黄の含有量は、金属スズ1モルに対して5.5モル以上、好ましくは6モル以上である。該硫黄の含有量が、上記範囲にあることにより、二硫化スズの純度が高くなる。一方、該硫黄の含有量が、金属スズ1モルに対して5.5モル未満だと、硫化スズ(SnS)又は三硫化二スズ(Sn)が同時に生成していまい、二硫化スズの純度が低くなる。
また、該金属スズ及び硫黄の混合物中、硫黄の含有量が、金属スズ1モルに対して10モルを超えても、高純度で二硫化スズを得ることはできるが、硫黄の含有量が多くなり過ぎると、二硫化スズの収率が低くなり易く、また、未反応の硫黄により、反応炉内が汚染され易くなる。従って、二硫化スズの純度に加えて、二硫化スズの収率も考慮すると、該硫黄の含有量は、金属スズ1モルに対して好ましくは5.5〜10モル、特に好ましくは6〜10モル、更に好ましくは6〜8モルである。
該金属スズ及び硫黄の混合物を得る方法としては、特に制限されず、一般的な乾式混合設備で混合することにより得られる。この時、雰囲気制御は必要なく、空気中で行うことができる。該乾式混合設備としては、例えば、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサー、リボブレンダー等が挙げられる。
そして、該金属スズ及び硫黄の混合物を、硫黄の沸点、すなわち、444.6℃以上700℃以下の温度、好ましくは450〜650℃の温度、特に好ましくは450〜600℃の温度で焼成する。該金属スズ及び硫黄の混合物を焼成する温度が、硫黄の沸点未満だと、雰囲気が不活性ガス及び硫黄の混合ガスの雰囲気とならず、また、700℃を超えると、二硫化スズの純度が低くなる。なお、該金属スズ及び硫黄の混合物を焼成する温度が、600℃程度の温度を超えると、二硫化スズの分解が起こるが、大過剰の硫黄を用いているため、上記温度範囲内では、二硫化スズの分解物が再び硫化されて二硫化スズになるので、二硫化スズの純度を高く維持できる。ただし、再硫化が起こると、硫黄の消費量が多くなるため、硫黄の使用効率を考慮すると、該金属スズ及び硫黄の混合物を焼成する温度は、600℃以下が好ましい。
本発明の二硫化スズの製造方法では、不活性ガス及び硫黄ガスの混合ガス雰囲気下で、該金属スズ及び硫黄の混合物の焼成を行う。言い換えると、本発明の二硫化スズの製造方法では、該不活性ガスの存在下、該金属スズ及び硫黄の混合物中の硫黄が気化して生じる硫黄ガスを、雰囲気に滞留させつつ、該金属スズ及び硫黄の混合物の焼成を行う。
本発明の二硫化スズの製造方法に係る硫黄ガスは、該金属スズ及び硫黄の混合物が、沸点以上の温度で加熱されることにより、該金属スズ及び硫黄の混合物中の硫黄が気化して生じる。また、本発明の二硫化スズの製造方法に係る不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴン等が挙げられる。空気中等の酸素が存在する雰囲気下で、該金属スズ及び硫黄の混合物の焼成を行うと、酸化反応により、二硫化スズに酸化スズが混入したり、あるいは、有毒な二酸化硫黄が発生するので、酸化反応を防ぐために該不活性ガスが用いられる。そして、雰囲気に存在している該不活性ガスと気化により生じた硫黄ガスとが混合して、混合ガスの雰囲気となる。
本発明の二硫化スズの製造方法では、開放系で、該金属スズ及び硫黄の混合物の焼成を行う。なお、本発明において開放系とは、硫化反応が行われる雰囲気内から、雰囲気外への、該不活性ガス及び硫黄ガスの混合ガスの流出が遮断されていない反応系、例えば、硫化反応が行われる反応容器内から、反応容器外への、該不活性ガス及び硫黄ガスの混合ガスの流出が遮断されていない反応系を指す。開放系と対極をなす反応系は、密閉系である。密閉系とは、圧力容器を用いて反応を行う場合のように、反応が行われる雰囲気内(反応が行われる圧力容器内)から、雰囲気外(圧力容器外)への、雰囲気内(圧力容器内)の気体の流出が全く遮断されている反応系を指す。
本発明の二硫化スズの製造方法は、開放系で行われるため、雰囲気の圧力は、通常は常圧である。ただし、焼成時に、硫黄が気化するために又は該不活性ガスが雰囲気に導入されるために、雰囲気の圧力が、常圧より若干高くなることはある。
該金属スズ及び硫黄の混合物の焼成を行うための焼成設備としては、開放系で、該不活性ガス及び硫黄ガスの混合ガス雰囲気とすること、言い換えれば、開放系で、硫黄ガスを雰囲気に滞留できるものであれば、特に制限されず、例えば、炉心管を備えた横型管状電気炉、マッフル炉等が挙げられる。また、該金属スズ及び硫黄の混合物を入れる容器として、石英、アルミナ等の加熱によってもスズ及び硫黄と反応しない材質の容器を用いることができる。
該金属スズ及び硫黄の混合物を焼成する際の焼成時間は、焼成温度により適宜選択されるが、概ね1〜24時間、好ましくは1〜6時間である。
該金属スズ及び硫黄の混合物を焼成した後、必要に応じて、得られた二硫化スズを粉砕することができる。該粉砕は、ボールミル、ジェットミル等を用いる通常の粉砕方法により行われる。
本発明の二硫化スズの製造方法において、該不活性ガス及び硫黄ガスの雰囲気下、開放系での、該金属スズ及び硫黄の混合物の焼成を、雰囲気に該不活性ガスを導入しつつ、雰囲気から該不活性ガス及び硫黄ガスの混合ガスを排出しながら、開放系で該金属スズ及び硫黄の混合物の焼成をすることにより行うことができる。以下、本発明の二硫化スズの製造方法において、雰囲気に該不活性ガスを導入しつつ、雰囲気から該不活性ガス及び硫黄ガスの混合ガスを排出しながら、開放系で該金属スズ及び硫黄の混合物の焼成をすることにより行う形態を、本発明の形態例(A)と記載する。すなわち、本発明の形態例(A)は、硫黄の含有量が、金属スズ1モルに対して5.5モル以上である金属スズ及び硫黄の混合物を、硫黄の沸点以上700℃以下の温度で、雰囲気に不活性ガスを導入しつつ、雰囲気から不活性ガス及び硫黄ガスの混合ガスを排出しながら、開放系で焼成する二硫化スズの製造方法である。なお、本発明の形態例(A)において、単位時間当りの不活性ガスの導入量は、反応スケール(反応させる金属スズ及び硫黄の量)や、反応容器の形状又は大きさ等により異なるため、一概に定まらないが、硫化反応が行われる雰囲気内(反応容器内)に、硫黄ガスが滞留するように、反応スケールや、反応容器の形状又は大きさ等に合わせて、適宜選択される。
本発明の形態例(A)では、反応系は、硫化反応が行われる雰囲気内(硫化反応が行われる反応容器内)から、雰囲気外(反応容器外)への、該不活性ガス及び硫黄ガスの混合ガスの流出が遮断されていない開放系なので、雰囲気内に導入された該不活性ガスの分だけ、雰囲気外に該不活性ガス及び硫黄ガスの混合ガスが排出される。そして、常に、該不活性ガスが雰囲気に導入されるため、酸素を含む空気が雰囲気へ混入することを防ぐことができるので、金属スズ又は硫黄の酸化反応を防ぐことができる。
本発明の形態例(A)は、不活性ガスの導入口と、不活性ガス及び硫黄ガスの混合ガスの排出口とを有する反応容器内で、好適に行われる。
図1に、本発明の形態例(A)を実施するための硫化装置の模式図を示す。図1中、硫化装置1は、反応容器5の上部に、不活性ガスの導入口2と、不活性ガス及び硫黄ガスの混合ガスの排出口3とが付設されている。また、該反応容器5の側面及び底面には、加熱手段8が付設されている。
次に、該硫化装置1により、本発明の形態例(A)を実施するための操作手順を説明する。先ず、該反応容器5に、金属スズ及び硫黄の混合物9を投入し、該不活性ガスの導入口2から、不活性ガス6を導入し、雰囲気10内の空気を不活性ガスで置換する。次いで、該不活性ガスの導入口2から該雰囲気10に不活性ガス6を導入しつつ、該不活性ガス及び硫黄ガスの混合ガスの排出口3から該不活性ガス及び硫黄ガスの混合ガスを排出しながら、該反応容器5を該加熱手段8により加熱して、硫黄の沸点以上700℃以下の温度で、該金属スズ及び硫黄の混合物9の焼成を行う。
該焼成の際、該金属スズ及び硫黄の混合物9から、硫黄が気化して硫黄ガスが生じ、該雰囲気10で、該不活性ガスと硫黄ガスが混合する。このようにして、該雰囲気10が、該不活性ガス及び硫黄ガスの混合ガスの雰囲気となる。
該硫化装置1では、開放されている部分が、該不活性ガス及び硫黄ガスの混合ガスの出口3のみなので、該雰囲気10に硫黄ガスが滞留し易い。
また、図2に、本発明の形態例(A)を実施するための他の硫化装置の模式図を示す。図2中、硫化装置15は、タンマン管16と、遮熱材17と、不活性ガスの導入管18と、不活性ガス及び硫黄ガスの混合ガスの出管19とを有する。該導入管18及び該排出管19は、該遮熱材17を貫通するように付設されている。該タンマン管16は、断面円形の円筒形状であり、該遮熱材17は、該タンマン管16の内径と略同じ径の円柱形状である。そして、該タンマン管16は、該タンマン管16中のサンプル置き場21が、焼成炉20の内部に位置するように、該焼成炉20中に挿入されている。なお、該硫化装置15では、該遮熱材17の個数が3個のものを例示したが、該遮熱材17の個数は、限定されず、1個以上であればよい。
図2に示す該硫化装置15と、図1に示す硫化装置1は、不活性ガスの導入方向並びに不活性ガス及び硫黄ガスの混合ガスの排出方向が、前者が横方向であるのに対し、後者が縦方向である以外は、同様なので、前述した該硫化装置1と同様の操作手順で、本発明の形態例(A)を実施することができる。先ず、該タンマン管16の該サンプル置き場21に、金属スズ及び硫黄の混合物24を投入し、図2に示すように、該タンマン管16、該遮熱材17、該不活性ガスの導入管18並びに該不活性ガス及び硫黄ガスの混合ガスの出管19を設置する。次いで、該不活性ガスの導入管18から、不活性ガス22を導入し、該サンプル置き場内21内の空気を不活性ガスで置換する。次いで、該不活性ガスの導入管18から該サンプル置き場21に不活性ガスを導入しつつ、該不活性ガス及び硫黄ガスの混合ガスの排出管19から該不活性ガス及び硫黄ガスの混合ガスを排出しながら、該タンマン管16を該焼成炉20により加熱して、硫黄の沸点以上700℃以下の温度で、該金属スズ及び硫黄の混合物24の焼成を行う。
また、本発明の形態例(A)での焼成の終了後、焼成物を硫黄の沸点以上の温度で加熱しながら、雰囲気への該不活性ガスの導入を続けることにより、焼成物中の硫黄の除去を行うことができる。
本発明の二硫化スズの製造方法により得られる二硫化スズは、副生成物である硫化スズ(SnS)及び三硫化二スズ(Sn)の含有量が少なく、また、第三成分を添加することなく、スズ及び硫黄のみから製造される。従って、本発明の二硫化スズの製造方法により得られる二硫化スズは、高純度である。
本発明の二硫化スズの製造方法では、該金属スズ及び硫黄の混合物の焼成を、該不活性ガス及び硫黄ガスの混合ガスの雰囲気下で、言い換えると、雰囲気に硫黄ガスを滞留させつつ行うので、常圧でも、高純度で二硫化スズを得ることができる。
また、本発明の二硫化スズの製造方法は、開放系で行われるため、高圧設備等の特殊設備を必要としない。
このように、本発明の二硫化スズの製造方法によれば、工業的に簡便に且つ高純度の二硫化スズを得ることができる。
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
(実施例1)
市販の金属スズ粉末(関東化学社製、鱗片状)を45μmの篩にかけ、粒径が45μm以下に調節された金属スズ粉末を得た。次いで、粒径調節された金属スズ粉末11.9 g(0.1モル)と硫黄粉末(関東化学社製)25.7 g(0.8モル)を秤量し、ミルを用いて均一に混合した。この時、混合物中のスズに対する硫黄のモル比(S/Sn)は8であった。得られた均一混合物を、図2に示すタンマン管(アルミナ容器)に入れ、焼成炉中、窒素ガスの導入下、100℃/時間で500℃まで昇温し、500℃で6時間保持して、該均一混合物を焼成した。焼成終了後、冷却し、生成物を粉砕し、二硫化スズを得た。その結果を表1に示す。
(分析)
二硫化スズの組成を、X線回折法によって求めた。得られたX線回折プロファイルを図3に示す。また、該X線回折プロファイルから求めた組成を、表1に示す。
図3より、X線の回折ピークは、生成物が二硫化スズ(SnS)であることを示し、硫化スズ(SnS)及び三硫化二スズ(Sn)を含有しないことを示す。
(実施例2〜6、比較例1〜8)
金属スズ粉末及び硫黄のモル比、焼成温度並びに焼成時間を、表1〜3に示すとおりとする以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1〜3に示す。
(分析)
各生成物のX線回折プロファイルから求めた組成を、表1〜3に示す。また、比較例1〜8の生成物を分析して得られたX線回折プロファイルを、図4に示す。なお、実施例2〜6では、実施例1と同様のX線回折プロファイルが得られた。
Figure 0004925404
Figure 0004925404
Figure 0004925404
本発明によれば、高圧設備を用いない簡便な設備で、且つ高純度の二硫化スズを製造することができる。
本発明の形態例(A)を実施するための硫化装置を示す模式図である。 本発明の形態例(A)を実施するための他の硫化装置を示す模式図である。 実施例1のX線回折プロファイルを示す。 比較例1〜8のX線回折プロファイルを示す。
符号の説明
1、15 硫化装置
2 不活性ガスの導入口
3 不活性ガス及び硫黄ガスの混合ガスの排出口
5 反応容器
6、22 不活性ガス
7、23 不活性ガス及び硫黄ガスの混合ガス
8 加熱手段
9、24 金属スズ及び硫黄の混合物
10 雰囲気
16 タンマン管
17 遮熱材
18 不活性ガスの導入管
19 不活性ガス及び硫黄ガスの混合ガスの出管
20 焼成炉
21 サンプル置き場

Claims (3)

  1. 硫黄の含有量が、金属スズ1モルに対して5.5モル以上である金属スズ及び硫黄の混合物を、硫黄の沸点以上700℃以下の温度で、不活性ガス及び硫黄ガスの混合ガスの雰囲気下、開放系で焼成することを特徴とする二硫化スズの製造方法。
  2. 硫黄の含有量が、金属スズ1モルに対して5.5モル以上である金属スズ及び硫黄の混合物を、硫黄の沸点以上700℃以下の温度で、雰囲気に不活性ガスを導入しながら、該金属スズ及び硫黄の混合物中の硫黄が気化して生じる硫黄ガスを、雰囲気に滞留させつつ、開放系で焼成することを特徴とする二硫化スズの製造方法。
  3. 硫黄の含有量が、金属スズ1モルに対して5.5モル以上である金属スズ及び硫黄の混合物を、硫黄の沸点以上700℃以下の温度で、雰囲気に不活性ガスを導入しつつ、雰囲気から不活性ガス及び硫黄ガスの混合ガスを排出しながら、開放系で焼成することを特徴とする二硫化スズの製造方法。
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