JP6794811B2 - 水蒸気改質触媒、メタン改質用触媒、触媒の製造方法及び水素の製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、製鉄プロセスのコークス炉から発生するコークス炉ガスを改質し、水素を製造する手法では、コークス炉から放出される高温のコークス炉ガスをそのまま触媒と接触させる技術が提案されている(例えば、以下の特許文献1〜4を参照。)。これにより、ガスの昇温に必要となるエネルギーを節約することができる。また、バイオガス中のメタンを原料として用いる場合には、化石燃料由来のメタンを利用しなくて済むため、プロセス全体で二酸化炭素の排出量を増大させることなく水素を製造することが可能となる。
以下、本発明者により着想された本発明の技術的思想について、説明を行う。
ΔG=ΔH―T×ΔS ・・・(式1)
H=HT0+CPT−T0×(T−T0) ・・・(式2)
本発明は、上記知見に基づきなされたものであり、その要旨は、以下の通りである。
(2)セリア担体と、前記セリア担体に担持された、モリブデン硫化物、又は、レニウム硫化物の一方又は両方と、を含有する、メタン改質用触媒。
(3)(1)又は(2)に記載の触媒を製造する方法であって、セリア担体と、前記セリア担体に担持された、金属レニウム、レニウム酸化物、金属モリブデン、及び、モリブデン酸化物からなる群から選ばれる1種又は2種以上と、を含有する触媒を、硫化水素を含むガスを用いて硫化する、触媒の製造方法。
(4)(1)又は(2)に記載の触媒を用いた水素の製造方法であって、前記触媒に、メタンと水蒸気と硫化水素とを含むガスを接触させ、前記メタンを改質する、水素の製造方法。
(5)前記触媒と前記ガスとの接触を、600℃〜900℃の温度範囲で行う、(4)に記載の水素の製造方法。
先だって言及したような知見に基づき、本発明者が、硫化水素存在下においてもメタン改質活性に優れた触媒について更なる検討を行った結果、以下で詳述するような本発明の実施形態に係る水蒸気改質触媒、メタン改質用触媒、触媒の製造方法及び水素の製造方法の完成に至ったのである。以下で詳述する水蒸気改質触媒及びメタン改質用触媒は、例えば1000ppm以上という高濃度の硫化水素存在下においても、高いメタン改質活性を示すものである。
なお、メタンは、炭化水素の中で最も小さい分子であり、反応し難いことが知られている。よって、メタン改質反応を進行させることのできる本実施形態に係る触媒は、エタン、プロパン、ブタンなどといった、より炭素数の大きな炭化水素であっても、改質することが可能である。
(担体1)
アルミナ担体(触媒学会参照触媒:ALO−8)を10g秤取り、電気炉で空気雰囲気下900℃で5時間焼成を行い、室温まで冷却して担体1を得た。
セリア担体(触媒学会参照触媒:CEO−2)を10g秤取り、電気炉で空気雰囲気下900℃で5時間焼成を行い、室温まで冷却して担体2を得た。
共沈法にてニッケル担持触媒を作成した。
具体的には、2000mlビーカーに1000mlの純水、1000mlのビーカーに500mlの純水をそれぞれ入れ、マグネチックスターラーで攪拌しながら、60℃に昇温した。硝酸ニッケル・6水和物(関東化学、純度>98.0%)13.30gと、硝酸マグネシウム・6水和物(和光純薬、純度>99.0%)105.51gを秤取り、60℃に維持した純水1000mlに溶解させた。また、炭酸カリウム(関東化学、純度>99.5%)を63.19g秤取り、60℃に維持された500mlの純水に溶解した。硝酸塩を溶解した1000mlの溶液を、温度計で溶液の温度を測定しながら、メカニカルスターラーで攪拌した。メカニカルスターラーでの攪拌を継続しながら、500mlの炭酸カリウム水溶液を、1000mlの硝酸塩水溶液に入れ、温度を60℃に保持したまま1時間攪拌を行った。攪拌後、得られたゾルを、吸引濾過して沈殿物を分取した。得られた沈殿物を、80℃に熱した500mlの純水で洗浄し、再度吸引濾過することを4回繰り返し、カリウムを除去した。洗浄の終わった沈殿物を、500mlの純水に入れ、ペースト状となるまで練り、メカニカルスターラーで攪拌しながら、アルミナゾル(日産化学工業製、アルミナゾル520)を95.24g投入し、更に30分間攪拌を行った。全体が均一になったことを目視確認した後、一晩静置し、熟成させた。再度撹拌した後に、ロータリーエバポレーターに移し、水分を除去し、得られた固形物を乾燥機内にて120℃で更に20時間乾燥させた。乾燥機から固形物を取り出し、メノウ乳鉢で粉砕した。得られた粉末を、アルミナるつぼに移し、電気炉中で950℃にて20時間焼成処理を行った。冷却後、得られた触媒を触媒Aとした。なお、触媒Aの組成は、質量比で50%のアルミナを含み、残部の50質量%は、マグネシアとニッケル酸化物とをモル比で9:1の割合で含有していた。
タングステン酸アンモニウム・水和物(和光純薬)を0.11871g秤取り、1.8mlの純水に溶解した。得られた溶液を、るつぼに0.90g秤取った担体1に滴下し、全量滴下した。マグネチックスターラーで攪拌しながら70℃に昇温し、2時間攪拌して蒸発乾固した。得られた固形物を、スパチュラで軽く砕き、電気炉中で焼成した。かかる焼成処理では、110℃まで1時間で昇温した後、4時間保持して乾燥させ、2時間かけて600℃まで昇温した。600℃で4時間焼成した後、1時間超かけて室温まで冷却した。得られた粉体を、圧縮成型器で成型し、ステンレス製篩を用いて500μm篩上、1000μm篩下に粒度調整し、得られた触媒を触媒Bとした。触媒Bは、タングステンを、三酸化タングステンとして、触媒担体の全質量の11質量%含有するものであった。
試薬として、タングステン酸アンモニウム・水和物(和光純薬)を0.09945gと、硝酸ニッケル(II)・6水和物(関東化学、純度>98.0%)を0.03778gとを用いたことを除いて、触媒Bと同様の手順で触媒調製を行った。粒度調製後、得られた触媒を触媒Cとした。触媒Cは、モル比でニッケル:タングステン=1:3を含み、酸化ニッケル(II)と三酸化タングステンの和として、触媒担体の全質量の11質量%を含有するものであった。
七モリブデン酸六アンモニウム・4水和物(アルドリッチ、純度>99.98%)を、0.1381g秤取り、0.95mlの純水に溶解した。担体1を0.9002g秤取り、アルミナるつぼに入れ、十分に攪拌を行いながら、得られた前駆体溶液を全量滴下した。十分に攪拌を行った後に、電気炉に入れ、30分で60℃まで昇温し1時間保持した後、30分で120℃まで昇温し、8時間乾燥させた。その後、2時間で400℃まで昇温して12時間保持したうえで、1時間かけて室温まで冷却した。冷却後得られた粉体を、触媒Bと同様の手順で圧縮成型、粒度調整し、得られた触媒を触媒Dとした。触媒Dは、三酸化モリブデンとして、触媒担体の全質量の11質量%のモリブデンを含有するものであった。
試薬として七モリブデン酸六アンモニウム・4水和物(アルドリッチ、純度>99.98%)を0.1043g、硝酸ニッケル(II)・6水和物(関東化学、純度>98.0%)を0.0572g用いたことを除いて、触媒Dと同様の手順で触媒調製を行った。得られた触媒を触媒Eとした。触媒Eは、モル比でニッケル:モリブデン=1:3を含み、酸化ニッケル(II)と三酸化モリブデンの和として、触媒担体の全質量の11質量%を含有するものであった。
過レニウム酸アンモニウム(和光純薬、純度>90.0%)を0.14482g秤取り、2mlの純水に溶解した。担体1を0.9007g秤取り、アルミナるつぼに入れ、十分に攪拌を行いながら、得られた前駆体水溶液を全量滴下した。大気中にて、マグネチックスターラーで攪拌を行いながら、60℃に保温し、蒸発乾固させた。得られた固形物をテフロン製スパチュラで粉砕し、電気炉に入れて、窒素フロー条件下で焼成を行った。60℃まで30分で昇温し、1時間さらに乾燥させたのちに、30分かけて110℃に昇温し、4時間乾燥した。その後、1時間かけて300℃まで昇温し、30分間焼成して、室温まで冷却した。冷却後、得られた触媒を触媒Fとした。触媒Fは、金属レニウムとして、触媒担体の全質量の11質量%のレニウムを含有するものであった。
過レニウム酸アンモニウム(和光純薬、純度>90.0%)を0.10351g、硝酸ニッケル・6水和物(関東化学、純度>98.0%)を0.0371g秤取り、3.3mlの純水に溶解した。担体1を0.9003g秤取り、アルミナるつぼに入れ、十分に攪拌を行いながら、得られた前駆体水溶液を全量滴下した。大気中にて、マグネチックスターラーで攪拌を行いながら、60℃に保温し、蒸発乾固させ、得られた固形物をテフロン製スパチュラで粉砕した。硝酸ニッケルの分解温度では、酸化レニウムが昇華して揮散する恐れがあるため、水素フロー下にて焼成処理を行った。30分かけて60℃まで昇温し、1時間乾燥させた後に、30分かけて110℃まで昇温し、更に4時間乾燥させた。その後、1時間かけて400℃まで昇温し、1時間焼成処理を行い、室温まで冷却した。冷却後、得られた触媒を触媒Gとした。触媒Gは、モル比でニッケル:レニウム=1:3を含み、酸化ニッケル(II)と三酸化レニウムの和として、触媒担体の全質量の11質量%を含有するものであった。
過レニウム酸アンモニウム(和光純薬、純度>90.0%)を0.14480g秤取り、担体として担体2を0.9012g秤取ったことを除いては、触媒3と同様にして調製を行った。冷却後、得られた触媒を触媒1とした。触媒1は、金属レニウムとして、触媒担体の全質量の11質量%のレニウムを含有するものであった。
七モリブデン酸六アンモニウム・4水和物(アルドリッチ、純度>99.98%)を、0.1380g秤取り、担体2を0.9001g秤取ったことを除いては、触媒1と同様にして調製を行った。冷却後、得られた触媒を触媒2とした。触媒2は、三酸化モリブデンとして、触媒担体の全質量の11質量%のモリブデンを含有するものであった。
(比較例1:ニッケルマグネシア+アルミナ担体)
触媒Aを0.10g秤取り、石英ガラス製の反応管に充填した。前処理として、水素ガス50cm3/分を流通させながら、800℃まで30分で昇温し、30分間還元処理を行った。その後、以下の表2に示す反応ガスを流通させて、反応を開始した。ただし、硫化水素濃度は、反応開始後1時間までは0ppmとし、反応開始後1時間を超えて2時間までは500ppmとし、反応開始後2時間を超えて3時間までは1000ppmとし、反応開始後3時間を超えて4時間までは2000ppmとし、各硫化水素濃度における反応の後半30分のメタン転化率を用いて、活性を評価した。反応ガスの分析にはガスクロマトグラフ(島津製作所、GC−2014)を用い、15分おきに分析を行った。また、メタン転化率の計算には、以下の式3を用い、反応後ガスの各成分濃度で計算を行った。各硫化水素濃度でのメタン転化率を、以下の表3及び表4にまとめて示した。
メタン転化率=(CO濃度+CO2濃度)/(CO濃度+CO2濃度+CH4濃度)
・・・(式3)
触媒B又は触媒Cを0.10g秤取り、石英ガラス管に充填した。前処理として、水素10%、硫化水素3600ppmのガスを50cm3/分で流通させながら、500℃まで20分で昇温し、1時間硫化処理を行った。その後、20分で800℃まで昇温し、上記表2に示す反応ガスを流通させて反応試験を行った。ただし、硫化水素濃度は、反応開始後1.5時間までは2000ppmとし、反応開始後1.5時間を超えて3時間までは1000ppmとした。メタン転化率の評価は、比較例1と同様に実施した。触媒Bを用いた試験を比較例2とし、触媒Cを用いた試験を比較例3として、それぞれの反応試験結果を、以下の表3に示した。
触媒D又は触媒Eを0.10g秤取り、石英ガラス管に充填した。前処理として、硫化水素4000ppmのガスを50cm3/分で流通させながら、300℃まで20分で昇温し、1時間硫化処理を行った。その後、30分で800℃まで昇温し、上記表2に示した反応ガスを流通させて反応試験を行った。ただし、硫化水素濃度は、反応開始後1.5時間までは2000ppmとし、反応開始後1.5時間を超えて3時間までは1000ppmとした。メタン転化率の評価は、比較例1と同様に実施した。触媒Dを用いた試験を比較例4とし、触媒Eを用いた試験を比較例5として、それぞれの反応試験結果を以下の表3に示した。
触媒F又は触媒Gを0.10g秤取り、石英ガラス管に充填した。前処理として、硫化水素4000ppmのガスを50cm3/分で流通させながら、300℃まで20分で昇温し、1時間硫化処理を行った。その後、30分で800℃まで昇温し、上記表2に示した反応ガスを流通させて反応試験を行った。ただし、硫化水素濃度は、反応開始後1.5時間までは2000ppmとし、反応開始後1.5時間を超えて3時間までは1000ppmとした。メタン転化率の評価は、比較例1と同様に実施した。触媒Fを用いた試験を比較例6とし、触媒7を用いた試験を比較例5として、それぞれの反応試験結果を以下の表3に示した。
前処理として、水素10%、硫化水素3600ppmのガスを50cm3/分で流通させながら、300℃まで20分で昇温し、1時間硫化処理を行ったことを除いては、比較例6と同様にして反応試験を行った。反応試験結果を、他の試験結果とあわせて、以下の表3に示した。
触媒として触媒5を用いたこと、及び、硫化水素濃度を、反応開始後1時間までは2000ppmとし、反応開始後1時間を超えて2時間までは1000ppmとし、反応開始後2時間を超えて3時間までは500ppmとし、反応開始後3時間を超えて4時間までは0ppmとしたことを除いては、比較例8と同様にして反応試験を行った。反応試験結果を、他の試験結果とあわせて以下の表3及び表4に示した。
触媒として触媒2を用いたことを除いては、比較例8と同様にして反応試験を行った。反応試験結果を、他の試験結果とあわせて以下の表3に示した。
Claims (5)
- セリア担体と、
前記セリア担体に担持された、モリブデン硫化物、又は、レニウム硫化物の一方又は両方と、
を含有する、水蒸気改質触媒。 - セリア担体と、
前記セリア担体に担持された、モリブデン硫化物、又は、レニウム硫化物の一方又は両方と、
を含有する、メタン改質用触媒。 - 請求項1又は2に記載の触媒を製造する方法であって、
セリア担体と、前記セリア担体に担持された、金属レニウム、レニウム酸化物、金属モリブデン、及び、モリブデン酸化物からなる群から選ばれる1種又は2種以上と、を含有する触媒を、硫化水素を含むガスを用いて硫化する、触媒の製造方法。 - 請求項1又は2に記載の触媒を用いた水素の製造方法であって、
前記触媒に、メタンと水蒸気と硫化水素とを含むガスを接触させ、前記メタンを改質する、水素の製造方法。 - 前記触媒と前記ガスとの接触を、600℃〜900℃の温度範囲で行う、請求項4に記載の水素の製造方法。
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KR20220152050A (ko) * | 2021-05-07 | 2022-11-15 | 한국과학기술원 | 환원 열처리를 통해 고온에서의 내구성이 향상된 습식 개질 반응용 로듐-산화세륨 용출 촉매, 이의 제조방법 및 이를 이용한 습식 개질 반응방법 |
KR102673713B1 (ko) | 2021-12-13 | 2024-06-07 | 재단법인 한국탄소산업진흥원 | 메탄의 직접 분해를 통한 수소 생산용 고효율 촉매 및 그 제조 방법 |
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KR102673713B1 (ko) | 2021-12-13 | 2024-06-07 | 재단법인 한국탄소산업진흥원 | 메탄의 직접 분해를 통한 수소 생산용 고효율 촉매 및 그 제조 방법 |
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