JP6794811B2 - 水蒸気改質触媒、メタン改質用触媒、触媒の製造方法及び水素の製造方法 - Google Patents

水蒸気改質触媒、メタン改質用触媒、触媒の製造方法及び水素の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、水蒸気改質触媒、メタン改質用触媒、触媒の製造方法及び水素の製造方法に関する。
2015年は水素元年と位置づけられており、国内において水素エネルギーの利用に対する期待が高まっている。燃料電池自動車の実用化に伴い、今後は水素の需要が継続的に高まることが予想され、低コスト・低環境負荷な方法で水素を生産する手法の開発が求められている。
メタンに代表される炭化水素から水素を製造する手法において、コストと環境負荷の観点から重視すべき課題は、大きく二つある。一つめの課題は、反応ガスを800℃程度に加熱する必要があることである。メタンを水蒸気や二酸化炭素で水素と一酸化炭素に改質する反応は吸熱反応であり、高温条件下でなければ反応を進行させることが困難である。二つめの課題は、プロセス全体で考えると二酸化炭素発生量が増大してしまうことである。化石燃料のメタンを改質して水素を製造した場合には、メタンをそのまま燃料として用いた場合に比べて、水素製造時に消費されるエネルギーの分だけ二酸化炭素の排出量が増大することとなる。
上記の二つの課題を解決するために、様々な技術開発が進められている。
例えば、製鉄プロセスのコークス炉から発生するコークス炉ガスを改質し、水素を製造する手法では、コークス炉から放出される高温のコークス炉ガスをそのまま触媒と接触させる技術が提案されている(例えば、以下の特許文献1〜4を参照。)。これにより、ガスの昇温に必要となるエネルギーを節約することができる。また、バイオガス中のメタンを原料として用いる場合には、化石燃料由来のメタンを利用しなくて済むため、プロセス全体で二酸化炭素の排出量を増大させることなく水素を製造することが可能となる。
また、硫化水素を含むガス中での水蒸気改質反応については、大部分の研究では、ニッケルを触媒活性種とする触媒を利用しているが、一部では、酸化アルミニウムに硫化レニウムを担持した触媒を用いた検討もある(例えば、以下の特許文献5を参照。)。
特開2004−000900号公報 特開2004−209408号公報 特開2007−237066号公報 特開2013−237049号公報 米国特許第3389965号明細書
触媒学会編、「触媒工学講座 工業触媒反応編 1.基本工業触媒反応」、講談社、1985年 C.Hulteberg,"Sulphur−tolerant catalysts in small−scale hydrogen production, a review.",International Journal of Hydrogen Energy,2012,37(5),p.3978−3992
しかしながら、コークス炉ガスとバイオガスの双方共に硫化水素を含み、その濃度は1000ppm超となる場合が多く、接触した触媒が大きく活性低下するという、更なる問題が存在することが判ってきている。更に、硫化物を用いた触媒は、硫化水素を含むガス中でもメタン改質活性を示すことが知られているが(例えば、上記特許文献5を参照。)、本発明者らの検討によれば、その活性は不十分であることが確認されている。そのため、高濃度の硫化水素存在下においても、高いメタン改質活性を示す触媒が熱望されていた。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、硫化水素存在下においてもメタン改質活性に優れた、水蒸気改質触媒、メタン改質用触媒、触媒の製造方法及び水素の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、高濃度硫化水素存在下で触媒反応を進行させることを前提として、硫化物触媒に着目した。硫化物は、水素化脱硫反応や水性ガスシフト反応において触媒活性を示すことで知られ、広く実用化されており(例えば、上記非特許文献1及び非特許文献2を参照。)、一部では、メタン改質反応への適用を検討した例も存在する(例えば、上記特許文献5を参照。)。
以下、本発明者により着想された本発明の技術的思想について、説明を行う。
硫化物触媒のうち、水素化脱硫反応や水性ガスシフト反応に対して活性を示すことが知られている触媒は、いずれも層状の結晶構造を有する硫化物を主体としている。そこで、本発明者は、層状構造を持つ硫化物に着目して、触媒開発を行った。その際、本発明者は、硫化物相の安定性に特に注目した。水素化脱硫反応及び水性ガスシフト反応と、水蒸気改質反応とでは、反応ガス組成及び反応温度の観点で相違があり、反応ガス組成及び反応温度は、それぞれ硫化物触媒の安定性に大きな影響を与える。
本発明者は、まず、反応ガスに含まれる水蒸気の影響について着目した。水素化脱硫反応では、反応系内に水蒸気や酸素が含まれておらず、硫化物が酸化物へと変化する反応は無視することができる。しかしながら、水蒸気改質反応では、反応ガス中に必然的に水蒸気が含まれるため、水蒸気によって硫化物が酸化物に変化する反応が無視できないこととなる。
また、本発明者は、硫化物と酸化物との相対的な安定性に対する反応温度の影響にも着目した。水蒸気改質反応と水性ガスシフト触媒反応とは、双方共に、反応ガス中に水蒸気を多量に含む反応であるが、両者は、反応温度が大きく相違している。すなわち、水性ガスシフト反応は、典型的には500℃未満の温度域で反応を進行させているのに対し、水蒸気改質反応は、800℃程度の高温で反応を進行させている。各温度での硫化物と酸化物の相対的な安定性は、各温度でのギブスの自由エネルギーの違いを以て判断することができる。ギブスの自由エネルギーの差ΔGは、以下の(式1)に示す通りである。硫化物と酸化物が双方共に固体であることから、エントロピーの差ΔSは小さいと仮定すると、エンタルピーの差ΔHの温度依存性が重要となる。各温度でのエンタルピーHは、基準となる温度のエンタルピーHT0と、比熱Cとを用いて計算することとなる。CPT−T0を、温度範囲T〜Tにおける平均的な定圧比熱であるとすると、各温度のエンタルピーHは、以下の(式2)で近似することができる。

ΔG=ΔH―T×ΔS ・・・(式1)
H=HT0+CPT−T0×(T−T) ・・・(式2)
以上より、酸化物と硫化物の相対的な安定性の温度依存性は、それぞれの物質の定圧比熱の値を以て推察することが可能であることがわかる。定圧比熱の値は、フォノンの励起が容易な物質ほど大きくなることが知られており、例えばグラファイトとダイヤモンドでは、層間の弱い結合を持つ(換言すれば、フォノンの励起が容易な物質である)グラファイトが、ダイヤモンドの1.5倍程度の定圧比熱を持つ。層状構造を持つ硫化物では、酸化物と比較して比熱が非常に大きくなると考えられ、よって高温では、硫化物のエンタルピーが酸化物のエンタルピーと比較して相対的に大きくなると考えられる。上記の式1より、相対的にエンタルピーの増大幅が大きい硫化物は、相対的にギブスの自由エネルギーも大きくなり、酸化物と比べて熱力学的に不安定となると考えられる。
高温では、硫化物が酸化物と比較して熱力学的に不安定となりやすいと予想されたことから、続いて本発明者は、層状構造を持つ硫化物の相対的な熱的安定性を調査した。金属イオンをMeとしたときの、MeOとMeSの標準生成エンタルピーを調べ、各金属イオンについて、その差を表1にまとめて示した。いずれも、酸化物の標準生成エンタルピーの値が、硫化物の値に比べて負に大きくなり、表1の値が大きいほど硫化物が熱力学的に不安定であることを示している。
Figure 0006794811
ここで、表1中のタンタルを除く金属元素の硫化物は、いずれも水素化脱硫触媒、水性シフト触媒としての検討報告例があるが、上記の議論より、水蒸気メタン改質の反応条件では、硫化物が不安定となると予想される。そこで、本発明者は、安定な硫化物を形成する元素を選択し、更に、かかる元素を適切な担体に担持することによって、非常に高いメタン改質活性を発現させることが可能であることを見出した。具体的には、本発明者は、モリブデン及びレニウムの硫化物は、高温・水蒸気存在下でも安定な硫化物となりやすく、更に、これら硫化物を、セリア担体に担持させることによって、より一層高い触媒活性を発現させることが可能であることを見出した。
本発明は、上記知見に基づきなされたものであり、その要旨は、以下の通りである。
(1)セリア担体と、前記セリア担体に担持された、モリブデン硫化物、又は、レニウム硫化物の一方又は両方と、を含有する、水蒸気改質触媒。
(2)セリア担体と、前記セリア担体に担持された、モリブデン硫化物、又は、レニウム硫化物の一方又は両方と、を含有する、メタン改質用触媒。
(3)(1)又は(2)に記載の触媒を製造する方法であって、セリア担体と、前記セリア担体に担持された、金属レニウム、レニウム酸化物、金属モリブデン、及び、モリブデン酸化物からなる群から選ばれる1種又は2種以上と、を含有する触媒を、硫化水素を含むガスを用いて硫化する、触媒の製造方法。
(4)(1)又は(2)に記載の触媒を用いた水素の製造方法であって、前記触媒に、メタンと水蒸気と硫化水素とを含むガスを接触させ、前記メタンを改質する、水素の製造方法。
(5)前記触媒と前記ガスとの接触を、600℃〜900℃の温度範囲で行う、(4)に記載の水素の製造方法。
以上説明したように本発明によれば、メタンガス中に高濃度の硫化水素を含む場合であっても、水蒸気メタン改質反応によって水素を製造することができる。
以下に、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
(実施形態)
先だって言及したような知見に基づき、本発明者が、硫化水素存在下においてもメタン改質活性に優れた触媒について更なる検討を行った結果、以下で詳述するような本発明の実施形態に係る水蒸気改質触媒、メタン改質用触媒、触媒の製造方法及び水素の製造方法の完成に至ったのである。以下で詳述する水蒸気改質触媒及びメタン改質用触媒は、例えば1000ppm以上という高濃度の硫化水素存在下においても、高いメタン改質活性を示すものである。
以下、本発明の実施形態に係る水蒸気改質触媒及びメタン改質用触媒とこれら触媒の製造方法、並びに、これら触媒を用いた水素の製造方法について、詳細に説明する。
上述の通り、本発明の実施形態は、硫化物の触媒活性に着眼してなされたものであり、高濃度の硫化水素(例えば、1000ppm以上の硫化水素)を含むメタンガスを用いる水蒸気によるメタン改質反応に対して、適用することができる。
以下ではまず、本実施形態に係るメタン改質触媒の詳細について説明を行う。
なお、メタンは、炭化水素の中で最も小さい分子であり、反応し難いことが知られている。よって、メタン改質反応を進行させることのできる本実施形態に係る触媒は、エタン、プロパン、ブタンなどといった、より炭素数の大きな炭化水素であっても、改質することが可能である。
そのため、本実施形態に係る触媒は、市販されている水蒸気改質触媒(スチームリフォーミング触媒)として適用することができる。また、本実施形態に係る触媒は、炭化水素(特に、メタン)を含む炭化水素ガスを対象とし、対象ガス中のメタンや対象ガス中の炭化水素から生成したメタンを水蒸気改質して水素を製造するための、メタン改質用触媒として適用することができる。
上述の通り、本実施形態では、水蒸気存在下でも安定な硫化物を触媒として用いることで、硫化水素存在下でメタン改質反応を進行させる。かかる硫化物として、硫化モリブデン、及び、硫化レニウムの少なくとも何れか一方を用いた場合にメタン改質活性が得られることが確認されたため、以下では、これらの硫化物について説明を行う。
硫化モリブデン(MoS)を触媒活性種として利用する場合には、アルミナ担体又はセリア担体に担持した状態とすることで、硫化モリブデンを高分散させることができる。そして、特に、担体としてセリア担体を用いた場合に、より高い触媒活性を得ることができる。そこで、本実施形態に係る触媒では、かかる担体としてセリア担体を用いる。
また、金属モリブデン又はモリブデン酸化物(各種の酸化モリブデン)は、硫化されて硫化モリブデンとなる物質である。従って、上記のようなセリア担体に対して、金属モリブデン及びモリブデン酸化物の少なくとも何れかを担持させた触媒についても、金属モリブデンやモリブデン酸化物の硫化により生成された硫化モリブデンが触媒活性を示すことで、水蒸気及び硫化水素の存在下でメタン改質反応を進行させることが可能となる。
本実施形態に係る触媒を利用する際には、予め酸化モリブデン又は金属モリブデンをセリア担体に担持させ、反応開始前に硫化させるのが簡便である。金属モリブデン又は酸化モリブデンを担体に担持する方法としては、例えば含浸法を用いることができる。
モリブデン前駆体としては、水への溶解度が高く安定なモリブデン酸アンモニウム四水和物を用いると簡便であるが、他の化合物を用いてもよい。モリブデン酸アンモニウム四水和物以外のモリブデン前駆体として、例えば、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、塩化モリブデンなどが挙げられる。なお、モリブデン酸のアルカリ金属塩はアルカリ金属元素が触媒上に残留し、反応時にアルカリ金属が揮散することが問題となり、塩化モリブデンは分解時に塩化水素が発生するため注意が必要である。いずれの前駆体を利用する場合であっても、一部のモリブデン酸化物が揮発性を持つため、500℃以下で焼成することで前駆体化合物を分解して、酸化モリブデンとすることが好ましい。また、得られた酸化モリブデン担持の触媒を500℃以下の温度で硫化させたうえで、反応温度まで昇温することが好ましい。また、モリブデン前駆体化合物の分解と硫化とを同時に行っても構わない。
モリブデンの担持量については、三酸化モリブデン(MoO)換算で、触媒担体の全質量の25質量%以下の範囲であれば、酸化モリブデンが均一に分散されると考えられるため好ましく、特に、5〜15質量%であることがより好ましい。また、モリブデンの担持量が低下しすぎると触媒活性が低下してしまうため、モリブデンの担持量は、三酸化モリブデン換算で、触媒担体の全質量の1質量%以上であることが好ましい。
硫化レニウム(ReS)を触媒活性種として用いる場合にも、高温・還元雰囲気で安定な高比表面積の担体を用いて、硫化レニウムを高分散させることが重要である。800℃程度の高温においても高い安定性を示す担体はあまり種類が多くないが、かかる担体として、例えば、アルミナ担体やセリア担体を用いることができる。ここで、セリア担体を用いた場合にはメタン改質触媒活性がより一層向上する。従って、本実施形態に係る触媒では、かかる担体としてセリア担体を用いる。
また、金属レニウム又はレニウム酸化物(各種の酸化レニウム)は、硫化されて硫化レニウムとなる物質である。従って、上記のようなセリア担体に対して、金属レニウム及びレニウム酸化物の少なくとも何れかを担持させた触媒についても、金属レニウムやレニウム酸化物の硫化により生成された硫化レニウムが触媒活性を示すことで、水蒸気及び硫化水素の存在下でメタン改質反応を進行させることが可能となる。
ここで、硫化レニウムを担体に担持する方法は特に限定されるものではないが、予めセリア担体に対して酸化レニウム又は金属レニウムを担持させ、反応開始前に硫化処理を施して硫化物とするのが簡便である。酸化レニウム又は金属レニウムを担体に担持する方法は、例えば含浸法を用いることができる。
この際、レニウム前駆体として水溶性の過レニウム酸アンモニウムを用いると簡便であるが、その他、過レニウム酸、過レニウム酸ナトリウム、過レニウム酸カリウム、塩化レニウム等を利用することができる。ただし、過レニウム酸のアルカリ金属塩を用いた場合には、触媒表面にアルカリ金属が残留し、反応時に揮散してしまう他、塩化物を用いた場合には、塩化水素が発生することに注意が必要である。水に前駆体塩を溶解し、担体を含浸し、焼成することで酸化レニウムを生成させる。この際、一部のレニウム酸化物(酸化レニウム)は、300℃付近で昇華を開始するため、酸素を含む雰囲気で焼成を行う場合には、焼成温度を300℃以下とすることが好ましい。
また、水素雰囲気下で焼成し、レニウム前駆体塩を直接金属レニウムに変化させることも好ましい。この場合には、焼成温度を300℃以上にしても問題なく、例えば400℃まで上昇させても、また、反応温度まで昇温させても、レニウムの揮散は生じない。ただ、反応温度まで昇温させる際に、酸化レニウムが残存していると酸化レニウムが昇華し揮散してしまう可能性がある。よって、得られた金属レニウム担持の触媒を300℃未満の低温で予め硫化したうえで、反応温度まで昇温することが好ましい。
硫化された触媒は、室温付近であれば空気中でも硫化物として安定に存在するため、硫化処理後に反応装置内から大気中に取り出すことも可能である。ただし、酸素が存在する条件で反応温度まで触媒を昇温すると、硫化物の一部もしくは全てが酸化物に変化してしまう可能性があるため、反応温度への昇温は、硫化水素を含む還元雰囲気中で実施することが好ましい。
なお、担体へのレニウムの担持量が多いほど触媒活性が向上するが、レニウムは非常に高価であり、触媒に対して過剰に添加すると価格が高騰する。よって、単位質量あたりのレニウムの活性を高くすることが重要である。セリア担体は、アルミナ担体に比べて比表面積が小さい傾向がある。かかるセリア担体上においても、金属レニウム換算で触媒担体の全質量の11質量%までは、単位格子一層分の厚みで硫化レニウムが成長できると計算される。よって、11質量%以下の質量比であれば、硫化処理後の硫化レニウムが十分に微細に分散されると考えられる。一方、レニウム担持量を11質量超とすると、硫化レニウムが互いに凝集し、粗大な粒子となりやすく、結果として単位質量あたりのレニウムの活性が低下してしまう。以上より、レニウムの担持量は、金属レニウム換算で、触媒担体の全質量の11質量%以下であることが好ましい。一方、担持量を減らすほど触媒価格は低下するが、減らし過ぎると、担体価格が大きくなる。更には、単位触媒量あたりの活性が低下するため、反応を進行させるために必要となる触媒量が増大する。以上より、レニウムの担持量は、金属レニウム換算で、触媒担体の全質量の0.1質量%以上であることが好ましい。レニウムの担持量は、更に好ましくは、触媒担体の全質量の3質量%以上11質量%以下である。
以上説明したように、本実施形態に係る触媒は、水蒸気及び硫化水素の存在下においてメタン改質反応を進行させる触媒である。換言すれば、本実施形態に係る触媒は、メタンを水蒸気改質して水素を生成させる水蒸気改質触媒として機能する、メタン改質用触媒である。かかる触媒は、セリア担体と、かかるセリア担体に担持された、金属モリブデン、モリブデン酸化物、モリブデン硫化物、金属レニウム、レニウム酸化物、及び、レニウム硫化物からなる群から選ばれる1種又は2種以上と、を含有する。また、本実施形態に係る触媒において、セリア担体には、レニウム硫化物、モリブデン硫化物の一方又は両方が担持されていることが好ましい。
ここで、モリブデンは、レニウムと比べて硫化物が安定となりにくいが、ニッケルを更に含有させる(担体に担持させる)ことで硫化物をより安定化し、触媒活性を更に高めることが可能である。しかしながら、ニッケルを含有させるよりも、セリア担体を用いた場合に、より高い触媒活性が得られることは、後に示す実施例の通りである。
なお、セリア担体に担持した、酸化モリブデン(モリブデン酸化物)、金属モリブデン、酸化レニウム(レニウム酸化物)、及び、金属レニウムの硫化方法は、任意の方法を適用することが可能である。例えば、二硫化炭素、硫化水素、硫黄蒸気などを用いて、上記化合物を硫化することが可能であるが、硫化水素が入手容易であるために好ましい。この際、キャリアガスは、窒素などの不活性ガス、又は、水素を利用することができる。いずれにおいても、上記化合物は迅速に硫化されるため、室温で硫化させることも可能であるが、上記化合物を300℃程度に加熱して硫化処理を行うこともできる。いずれの場合においても、硫化反応は非常に大きい発熱を伴うため、急速に反応が進行しないように注意することが重要である。
また、触媒を硫化させる際に上記反応ガスを準備できない場合には、反応器内に触媒を充填した後に、硫化水素を含む被処理ガスを用いて硫化させることが可能である。ただし、一部の酸化レニウムと酸化モリブデンは揮発性があるため、硫化が不十分な状態で昇温を行うと、触媒中の成分が揮散してしまう。そのため、被処理ガスを用いて前以て試験を行い、硫化に必要となる時間と硫化に適した温度とを予め決定しておくことが好ましい。
各触媒中に含まれるレニウム、モリブデン、ニッケルの量については、ICP発光分析法により計測することができる。また、触媒中の硫化レニウム、硫化モリブデンの生成を確認する手段としては、エックス線回折測定法、赤外分光法、ラマン分光法、エックス線光電子分光法等が挙げられる。各粒子があまりに微細である場合には、エックス線回折で明瞭なピークが見られない場合があるため、他の手法と組み合わせて分析を行うとよい。特にエックス線光電子分光を用いると、金属状態の成分の有無を調べることができ、分光法を利用することで、硫化物の有無を判別することができる。ただし、いずれの測定法を用いる場合であっても、酸素を含むガスに長時間曝露した後に測定を行った場合には、触媒表面が酸化されてしまう可能性がある。従って、測定を行う試料の取扱には注意をするべきである。
なお、硫化物触媒として高い水素化脱硫活性を持つことが知られているタングステンは、硫化物に比べて相対的に酸化物の安定性が高く、更に、二酸化タングステンは、三酸化タングステンに酸化されやすい。これらのタングステン系触媒は、反応開始前に硫化処理を行っても、反応開始後に速やかに反応ガス中の水蒸気と反応して酸化物に変化してしまい、全くメタン改質活性を示さない。
硫化物触媒は、反応ガス中の硫化水素濃度が高いほど、酸化物に対する相対的な安定性が向上するため、反応ガス中の硫化水素濃度は高いほど好ましい。2000ppm以下の硫化水素濃度域では、硫化水素濃度が高いほど高い触媒活性が得られることが確認されており、2000ppmを超えた濃度でも硫化水素濃度が高いほど、高い触媒活性が得られると期待される。一方で、硫化水素濃度が高すぎると、反応装置の腐食の原因となる。以上より、反応ガス中の硫化水素濃度は、500ppm以上、2体積%(=20000ppm)以下とすることが好ましい。反応ガス中の硫化水素濃度が500ppm未満となると、硫化物が不安定となりやすくなるほか、一般的に利用されるNi系の触媒の方が高い活性を示すようになる。反応ガス中の硫化水素濃度は、より好ましくは、500ppm以上20000ppm以下である。
以上説明したような本実施形態に係る触媒に対して、水蒸気及び硫化水素を含有するメタンガスを反応ガスとして接触させることで、メタンガス中のメタンが改質されて、水素を製造することができる。また、先だって言及したように、本実施形態に係る触媒は、反応性の低いメタンでさえ改質することが可能であるため、エタン、プロパン、ブタンなどといった、より炭素数の大きな炭化水素を含有する反応ガスであっても、改質して水素を製造することが可能である。
反応ガスの温度は、化学平衡と反応速度、触媒の熱的安定性の観点で選択することが重要である。化学平衡と反応速度の双方を水素製造に十分な条件とするためには、反応温度(触媒と反応ガスとを接触させる温度)を600℃以上とすることが好ましく、触媒の熱的な劣化を抑制するためには、反応温度を900℃以下とすることが好ましい。600℃未満の温度では、反応速度が低下する他、発熱反応である水素化反応が優勢となり、水素がむしろ消費される場合もある。また、900℃を超える温度では、硫化物が不安定化し、シンタリングや、金属への還元反応が進行してしまう。反応ガスの温度は、より好ましくは、600℃以上900℃以下である。
本実施形態に係る触媒を適用可能な硫化水素含有メタンガスとしては、例えば、天然ガス、コークス炉ガス、バイオガスなどが挙げられる。嫌気的なメタン発酵により発生するバイオガスでは、酸素源として二酸化炭素も含まれており、硫化物触媒はドライ改質活性を持つことも報告もあることから、ガス中の二酸化炭素を活用することで、より一層水素製造効率が高まると考えられる。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、当該実施例により何ら限定されるものではない。
[触媒調製]
(担体1)
アルミナ担体(触媒学会参照触媒:ALO−8)を10g秤取り、電気炉で空気雰囲気下900℃で5時間焼成を行い、室温まで冷却して担体1を得た。
(担体2)
セリア担体(触媒学会参照触媒:CEO−2)を10g秤取り、電気炉で空気雰囲気下900℃で5時間焼成を行い、室温まで冷却して担体2を得た。
(触媒A)ニッケル系触媒
共沈法にてニッケル担持触媒を作成した。
具体的には、2000mlビーカーに1000mlの純水、1000mlのビーカーに500mlの純水をそれぞれ入れ、マグネチックスターラーで攪拌しながら、60℃に昇温した。硝酸ニッケル・6水和物(関東化学、純度>98.0%)13.30gと、硝酸マグネシウム・6水和物(和光純薬、純度>99.0%)105.51gを秤取り、60℃に維持した純水1000mlに溶解させた。また、炭酸カリウム(関東化学、純度>99.5%)を63.19g秤取り、60℃に維持された500mlの純水に溶解した。硝酸塩を溶解した1000mlの溶液を、温度計で溶液の温度を測定しながら、メカニカルスターラーで攪拌した。メカニカルスターラーでの攪拌を継続しながら、500mlの炭酸カリウム水溶液を、1000mlの硝酸塩水溶液に入れ、温度を60℃に保持したまま1時間攪拌を行った。攪拌後、得られたゾルを、吸引濾過して沈殿物を分取した。得られた沈殿物を、80℃に熱した500mlの純水で洗浄し、再度吸引濾過することを4回繰り返し、カリウムを除去した。洗浄の終わった沈殿物を、500mlの純水に入れ、ペースト状となるまで練り、メカニカルスターラーで攪拌しながら、アルミナゾル(日産化学工業製、アルミナゾル520)を95.24g投入し、更に30分間攪拌を行った。全体が均一になったことを目視確認した後、一晩静置し、熟成させた。再度撹拌した後に、ロータリーエバポレーターに移し、水分を除去し、得られた固形物を乾燥機内にて120℃で更に20時間乾燥させた。乾燥機から固形物を取り出し、メノウ乳鉢で粉砕した。得られた粉末を、アルミナるつぼに移し、電気炉中で950℃にて20時間焼成処理を行った。冷却後、得られた触媒を触媒Aとした。なお、触媒Aの組成は、質量比で50%のアルミナを含み、残部の50質量%は、マグネシアとニッケル酸化物とをモル比で9:1の割合で含有していた。
(触媒B)タングステン系触媒
タングステン酸アンモニウム・水和物(和光純薬)を0.11871g秤取り、1.8mlの純水に溶解した。得られた溶液を、るつぼに0.90g秤取った担体1に滴下し、全量滴下した。マグネチックスターラーで攪拌しながら70℃に昇温し、2時間攪拌して蒸発乾固した。得られた固形物を、スパチュラで軽く砕き、電気炉中で焼成した。かかる焼成処理では、110℃まで1時間で昇温した後、4時間保持して乾燥させ、2時間かけて600℃まで昇温した。600℃で4時間焼成した後、1時間超かけて室温まで冷却した。得られた粉体を、圧縮成型器で成型し、ステンレス製篩を用いて500μm篩上、1000μm篩下に粒度調整し、得られた触媒を触媒Bとした。触媒Bは、タングステンを、三酸化タングステンとして、触媒担体の全質量の11質量%含有するものであった。
(触媒C)タングステン系触媒
試薬として、タングステン酸アンモニウム・水和物(和光純薬)を0.09945gと、硝酸ニッケル(II)・6水和物(関東化学、純度>98.0%)を0.03778gとを用いたことを除いて、触媒Bと同様の手順で触媒調製を行った。粒度調製後、得られた触媒を触媒Cとした。触媒Cは、モル比でニッケル:タングステン=1:3を含み、酸化ニッケル(II)と三酸化タングステンの和として、触媒担体の全質量の11質量%を含有するものであった。
(触媒D)モリブデン系触媒
七モリブデン酸六アンモニウム・4水和物(アルドリッチ、純度>99.98%)を、0.1381g秤取り、0.95mlの純水に溶解した。担体1を0.9002g秤取り、アルミナるつぼに入れ、十分に攪拌を行いながら、得られた前駆体溶液を全量滴下した。十分に攪拌を行った後に、電気炉に入れ、30分で60℃まで昇温し1時間保持した後、30分で120℃まで昇温し、8時間乾燥させた。その後、2時間で400℃まで昇温して12時間保持したうえで、1時間かけて室温まで冷却した。冷却後得られた粉体を、触媒Bと同様の手順で圧縮成型、粒度調整し、得られた触媒を触媒Dとした。触媒Dは、三酸化モリブデンとして、触媒担体の全質量の11質量%のモリブデンを含有するものであった。
(触媒E)モリブデン系触媒
試薬として七モリブデン酸六アンモニウム・4水和物(アルドリッチ、純度>99.98%)を0.1043g、硝酸ニッケル(II)・6水和物(関東化学、純度>98.0%)を0.0572g用いたことを除いて、触媒Dと同様の手順で触媒調製を行った。得られた触媒を触媒Eとした。触媒Eは、モル比でニッケル:モリブデン=1:3を含み、酸化ニッケル(II)と三酸化モリブデンの和として、触媒担体の全質量の11質量%を含有するものであった。
(触媒F)レニウム系触媒
過レニウム酸アンモニウム(和光純薬、純度>90.0%)を0.14482g秤取り、2mlの純水に溶解した。担体1を0.9007g秤取り、アルミナるつぼに入れ、十分に攪拌を行いながら、得られた前駆体水溶液を全量滴下した。大気中にて、マグネチックスターラーで攪拌を行いながら、60℃に保温し、蒸発乾固させた。得られた固形物をテフロン製スパチュラで粉砕し、電気炉に入れて、窒素フロー条件下で焼成を行った。60℃まで30分で昇温し、1時間さらに乾燥させたのちに、30分かけて110℃に昇温し、4時間乾燥した。その後、1時間かけて300℃まで昇温し、30分間焼成して、室温まで冷却した。冷却後、得られた触媒を触媒Fとした。触媒Fは、金属レニウムとして、触媒担体の全質量の11質量%のレニウムを含有するものであった。
(触媒G)レニウム系触媒
過レニウム酸アンモニウム(和光純薬、純度>90.0%)を0.10351g、硝酸ニッケル・6水和物(関東化学、純度>98.0%)を0.0371g秤取り、3.3mlの純水に溶解した。担体1を0.9003g秤取り、アルミナるつぼに入れ、十分に攪拌を行いながら、得られた前駆体水溶液を全量滴下した。大気中にて、マグネチックスターラーで攪拌を行いながら、60℃に保温し、蒸発乾固させ、得られた固形物をテフロン製スパチュラで粉砕した。硝酸ニッケルの分解温度では、酸化レニウムが昇華して揮散する恐れがあるため、水素フロー下にて焼成処理を行った。30分かけて60℃まで昇温し、1時間乾燥させた後に、30分かけて110℃まで昇温し、更に4時間乾燥させた。その後、1時間かけて400℃まで昇温し、1時間焼成処理を行い、室温まで冷却した。冷却後、得られた触媒を触媒Gとした。触媒Gは、モル比でニッケル:レニウム=1:3を含み、酸化ニッケル(II)と三酸化レニウムの和として、触媒担体の全質量の11質量%を含有するものであった。
(触媒1)レニウム、セリア系触媒
過レニウム酸アンモニウム(和光純薬、純度>90.0%)を0.14480g秤取り、担体として担体2を0.9012g秤取ったことを除いては、触媒3と同様にして調製を行った。冷却後、得られた触媒を触媒1とした。触媒1は、金属レニウムとして、触媒担体の全質量の11質量%のレニウムを含有するものであった。
(触媒2)モリブデン、セリア系触媒
七モリブデン酸六アンモニウム・4水和物(アルドリッチ、純度>99.98%)を、0.1380g秤取り、担体2を0.9001g秤取ったことを除いては、触媒1と同様にして調製を行った。冷却後、得られた触媒を触媒2とした。触媒2は、三酸化モリブデンとして、触媒担体の全質量の11質量%のモリブデンを含有するものであった。
[反応試験]
(比較例1:ニッケルマグネシア+アルミナ担体)
触媒Aを0.10g秤取り、石英ガラス製の反応管に充填した。前処理として、水素ガス50cm/分を流通させながら、800℃まで30分で昇温し、30分間還元処理を行った。その後、以下の表2に示す反応ガスを流通させて、反応を開始した。ただし、硫化水素濃度は、反応開始後1時間までは0ppmとし、反応開始後1時間を超えて2時間までは500ppmとし、反応開始後2時間を超えて3時間までは1000ppmとし、反応開始後3時間を超えて4時間までは2000ppmとし、各硫化水素濃度における反応の後半30分のメタン転化率を用いて、活性を評価した。反応ガスの分析にはガスクロマトグラフ(島津製作所、GC−2014)を用い、15分おきに分析を行った。また、メタン転化率の計算には、以下の式3を用い、反応後ガスの各成分濃度で計算を行った。各硫化水素濃度でのメタン転化率を、以下の表3及び表4にまとめて示した。
以下、全ての試料で、C2(炭素数=2)、C3(炭素数=3)以上の有機物の生成量は非常に少なく、また、反応後試料の熱重量分析を行ったが、いずれの試料でも析出炭素の酸化燃焼による重量減少は観測されず、炭素析出量は非常に少ないと考えられる。そのため、上記式3を用いてメタン転化率を評価することは、妥当と考えられる。また、本試験では、硫化水素濃度0ppmにおいても活性が低くなった。同反応ラインで高濃度の硫化水素を用いている都合により、還元前処理を行う際にも低濃度の硫化水素が混入してしまったと考えられる。このように、意図的に加えていない程度の、低濃度の硫化水素によっても、ニッケル系触媒は大きな活性低下を示す。
Figure 0006794811

メタン転化率=(CO濃度+CO濃度)/(CO濃度+CO濃度+CH濃度)
・・・(式3)
(比較例2、3:(タングステン/ニッケルタングステン)+アルミナ担体、500℃硫化処理)
触媒B又は触媒Cを0.10g秤取り、石英ガラス管に充填した。前処理として、水素10%、硫化水素3600ppmのガスを50cm/分で流通させながら、500℃まで20分で昇温し、1時間硫化処理を行った。その後、20分で800℃まで昇温し、上記表2に示す反応ガスを流通させて反応試験を行った。ただし、硫化水素濃度は、反応開始後1.5時間までは2000ppmとし、反応開始後1.5時間を超えて3時間までは1000ppmとした。メタン転化率の評価は、比較例1と同様に実施した。触媒Bを用いた試験を比較例2とし、触媒Cを用いた試験を比較例3として、それぞれの反応試験結果を、以下の表3に示した。
(比較例4、5:(モリブデン/ニッケルモリブデン)+アルミナ担体)
触媒D又は触媒Eを0.10g秤取り、石英ガラス管に充填した。前処理として、硫化水素4000ppmのガスを50cm/分で流通させながら、300℃まで20分で昇温し、1時間硫化処理を行った。その後、30分で800℃まで昇温し、上記表2に示した反応ガスを流通させて反応試験を行った。ただし、硫化水素濃度は、反応開始後1.5時間までは2000ppmとし、反応開始後1.5時間を超えて3時間までは1000ppmとした。メタン転化率の評価は、比較例1と同様に実施した。触媒Dを用いた試験を比較例4とし、触媒Eを用いた試験を比較例5として、それぞれの反応試験結果を以下の表3に示した。
以下の表3から明らかなように、比較例4及び比較例5は、比較例1〜比較例3のいずれと比較しても同等以上のメタン転化率が得られており、特に、硫化水素濃度2000ppmにおいては、高いメタン転化率を示した。かかる結果より、モリブデン硫化物を含む触媒は触媒活性を持つことが確認された。
(比較例6、7:(レニウム/ニッケルレニウム)+アルミナ担体)
触媒F又は触媒Gを0.10g秤取り、石英ガラス管に充填した。前処理として、硫化水素4000ppmのガスを50cm/分で流通させながら、300℃まで20分で昇温し、1時間硫化処理を行った。その後、30分で800℃まで昇温し、上記表2に示した反応ガスを流通させて反応試験を行った。ただし、硫化水素濃度は、反応開始後1.5時間までは2000ppmとし、反応開始後1.5時間を超えて3時間までは1000ppmとした。メタン転化率の評価は、比較例1と同様に実施した。触媒Fを用いた試験を比較例6とし、触媒7を用いた試験を比較例5として、それぞれの反応試験結果を以下の表3に示した。
(比較例8:レニウム+アルミナ担体)
前処理として、水素10%、硫化水素3600ppmのガスを50cm/分で流通させながら、300℃まで20分で昇温し、1時間硫化処理を行ったことを除いては、比較例6と同様にして反応試験を行った。反応試験結果を、他の試験結果とあわせて、以下の表3に示した。
以下の表3から明らかなように、比較例8では、比較例6と比較して、メタン転化率が向上しており、水素と硫化水素とを含むガスで前処理を行うことで、触媒活性が向上することが分かる。
(実施例1:レニウム+セリア担体)
触媒として触媒5を用いたこと、及び、硫化水素濃度を、反応開始後1時間までは2000ppmとし、反応開始後1時間を超えて2時間までは1000ppmとし、反応開始後2時間を超えて3時間までは500ppmとし、反応開始後3時間を超えて4時間までは0ppmとしたことを除いては、比較例8と同様にして反応試験を行った。反応試験結果を、他の試験結果とあわせて以下の表3及び表4に示した。
以下の表4から明らかなように、実施例1では、硫化水素濃度0ppmと500ppmにおいても、触媒Aより活性が高いことが確認された。触媒Aは、配管内に微量に残留した触媒によっても活性が低下するため、意図的に硫化水素を加えない条件においても、触媒1が高い活性を示したと考えられる。
(実施例2:モリブデン+セリア担体)
触媒として触媒2を用いたことを除いては、比較例8と同様にして反応試験を行った。反応試験結果を、他の試験結果とあわせて以下の表3に示した。
以下の表3から明らかなように、実施例1及び実施例2では、比較例8と比較して、メタン転化率が向上していることが分かり、セリア担体を用いることで、より一層触媒活性が向上することが分かる。かかる結果は、セリア自身もメタン改質活性を持つ他、セリア担体とモリブデンとの相互作用のためと考えられる。
Figure 0006794811
Figure 0006794811
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

Claims (5)

  1. セリア担体と、
    前記セリア担体に担持された、モリブデン硫化物、又は、レニウム硫化物の一方又は両方と、
    を含有する、水蒸気改質触媒。
  2. セリア担体と、
    前記セリア担体に担持された、モリブデン硫化物、又は、レニウム硫化物の一方又は両方と、
    を含有する、メタン改質用触媒。
  3. 請求項1又は2に記載の触媒を製造する方法であって、
    セリア担体と、前記セリア担体に担持された、金属レニウム、レニウム酸化物、金属モリブデン、及び、モリブデン酸化物からなる群から選ばれる1種又は2種以上と、を含有する触媒を、硫化水素を含むガスを用いて硫化する、触媒の製造方法。
  4. 請求項1又は2に記載の触媒を用いた水素の製造方法であって、
    前記触媒に、メタンと水蒸気と硫化水素とを含むガスを接触させ、前記メタンを改質する、水素の製造方法。
  5. 前記触媒と前記ガスとの接触を、600℃〜900℃の温度範囲で行う、請求項に記載の水素の製造方法。
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KR102673713B1 (ko) 2021-12-13 2024-06-07 재단법인 한국탄소산업진흥원 메탄의 직접 분해를 통한 수소 생산용 고효율 촉매 및 그 제조 방법

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