JP6187893B2 - 保湿剤の製造方法 - Google Patents
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Description
従来、α−D−DHPGの工業的な製造方法としては、酵素法が用いられている。たとえば特許文献1〜3には、糖類とグリセリンとを溶解した溶液中の糖類にα−グルコシダーゼを作用させることによりグリセリンにα−D−グルコピラノシル基を導入し、α−D−DHPGとする方法が開示されている。また、これらの文献には、反応液中のα−D−DHPGをクロマトグラフィーにより分離して高純度のα−D−DHPGを回収する方法が開示されている。
さらに、α−D−DHPGは、従来の製造方法が、製造に手間や時間がかかるなど大量生産に適さず、コストが高くなる問題がある。たとえば特許文献1〜3記載の製造方法では、α−D−グルコピラノシル基の導入反応を行うだけでも24時間程度かかってしまう。さらに、純度を上げるためにクロマトグラフィーによる分離を行うと、工程が複雑となり、コスト高となってしまう。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、α−D−DHPG単独の場合よりも保湿性が向上し、大量生産も容易な糖組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明は、これらの知見に基づいてなされたものであり、以下の態様を有する。
[1]下記式(1)[式中、nは糖縮合度を示し、1以上の整数である。]で表される化合物からなり平均糖縮合度が1.45〜1.98である糖と、下記式(2)で表される化合物とを45〜80:20〜55の質量比で含む糖組成物からなる保湿剤を製造する方法であって、
グルコース源とグリセリンとを、酸性触媒を用いて反応させる工程と、
無機吸着剤を添加して前記酸性触媒を中和することにより、前記グルコース源と前記グリセリンとの反応を停止させる工程とを有し、
前記グルコース源のグルコース換算の仕込み量に対する前記グリセリンの仕込み量のモル比を1.5以上4.0未満の範囲内とすることを特徴とする保湿剤の製造方法。
[3]前記無機吸着剤としてハイドロタルサイト類を用いる、[1]または[2]に記載の保湿剤の製造方法。
本発明の糖組成物は、下記式(1)[式中、nは糖縮合度を示し、1以上の整数である。]で表される化合物からなり平均糖縮合度が1.30〜2.00である糖と、下記式(2)で表される化合物とを45〜80:20〜55の質量比で含むことを特徴とする。
上記式(1)で表される化合物からなり平均糖縮合度が1.30〜2.00である糖はD−DHPPGであり、上記式(2)で表される化合物はグリセリンである。
D−DHPPGとは、上記式(1)で表される化合物からなり、かつ平均糖縮合度(1分子あたりの糖縮合度nの平均値)が1を超えるものをいう。本発明においては、平均糖縮合度が1.30〜2.00、好ましくは1.50〜1.75のD−DHPPGが用いられる。以下、D−DHPPGという場合は、特に言及のない限り、平均糖縮合度が1.30〜2.00であるものを示すものとする。
D−DHPPGは、nが2である化合物のみからなるものであってもよく、nが1である化合物(D−DHPG)と、nが2以上の化合物との混合物であってもよい。D−DHPGを含む場合、該D−DHPGは、α−D−DHPGであってもβ−D−DHPGであってもそれらの混合物であってもよい。
nの値は、平均糖縮合度が上記範囲内となれば特に限定されないが、1〜6が好ましく、1〜4がより好ましい。
D−DHPPGとグリセリンとを上記比率で含有することにより、α−D−DHPG単独の場合よりも保湿性が向上する。これは、D−DHPPGとグリセリンとの間に相互作用が生じているためと推測される。また、D−DHPPGとグリセリンとを上記比率で含有することにより、糖組成物の色相も良好となる。
D−DHPPGとグリセリンとをこのような質量比で含有する糖組成物は、後述するようにグルコース源とグリセリンとを酸性触媒により所定の仕込み比率で反応させる簡単な合成方法により製造できる。
本発明の糖組成物の全固形分に対するD−DHPPGの割合は、30〜80質量%が好ましく、40〜70質量%がより好ましい。
本発明の糖組成物の全固形分に対するグリセリンの割合は、10〜55質量%が好ましく、20〜45質量%がより好ましい。
本明細書において「全固形分」とは、当該糖組成物中に含まれる、水を除く全成分の合計を意味する。
該グルコース源については、詳しくは後の製造方法で説明する。
また、本発明の糖組成物は、下記の本発明の糖組成物の製造方法により容易に製造でき、酵素法を用いて製造されているα−D−DHPGに比べて大量生産が容易であり、製造コストも低い。そのため、α−D−DHPGに比べて飛躍的に安価に提供できる。
本発明の糖組成物の製造方法は、グルコース源とグリセリンとを、酸性触媒を用いて反応させる工程(以下、グルコシル化工程という。)を有し、該グルコシル化工程における前記グルコース源のグルコース換算の仕込み量に対する前記グリセリンの仕込み量のモル比を1.5以上4.0未満の範囲内とすることを特徴とする。
該製造方法は、上記糖組成物を容易に大量生産出来ることから工業上有用である。
上記グルコシル化工程後、通常、前記酸性触媒を中和することにより前記グルコース源と前記グリセリンとの反応を停止させる工程(以下、反応停止工程という。)を行う。このとき、酸性触媒の中和は、無機吸着剤の添加により行うことが好ましい。
以下、各工程についてより詳細に説明する。
グルコース源としては、グルコース単位を含み、グリセリンと反応させる際の反応条件下で分解してグルコースを生じ得る糖類およびグルコースから選ばれる少なくとも1種が用いられる。
前記糖類における「単位」は、グルコシド結合により当該糖類の分子鎖を構成している単糖単位である。
グルコース源として用いられる前記糖類は、オリゴ糖でも多糖でもよい。本明細書において、「オリゴ糖」は2以上10以下の単糖が結合したものとし、「多糖」は11以上の単糖が結合したものとする。前記オリゴ糖としては、たとえば、マルトース、スクロース、ラクトース、トレハロース等の二糖;マルトトリオース等の三糖等が挙げられる。前記多糖としては、たとえば、デンプン、プルラン等が挙げられる。これらの糖類は、グリセリンと反応させる際の反応条件下で(酸性触媒の存在下で所定の反応温度とした際に)分解してグルコースを生じ得る。糖類であっても、たとえばセルロースは、グリセリンと反応させる際の反応条件では分解しないため、本発明における「グルコース源」には該当しない。
グルコース源として用いられる前記糖類は、当該糖類を構成する全単糖単位の合計に対するグルコース単位の割合が60モル%以上であることが好ましく、80モル%以上であることがより好ましく、該割合が100モル%、つまりグルコース単位のみからなることが特に好ましい。
グルコース源としては、上記グルコースおよび糖類の中でも、反応性が良好である点から、グルコースが好ましく、中でも、水分が少なく、安価で、反応時の着色も比較的低いことから、無水結晶グルコースが好ましい。
使用するグルコース源は、1種でも2種以上でもよい。
製造上は純度ができるだけ高いグリセリンが望まれるが、取り扱い上、粘度を下げる目的で、水分を10〜20質量%程度含んでいるものを使用してもよい。
グルコシル化工程で得られる反応物中には通常、D−DHPPGとグリセリンが含まれている。該グリセリンは、必要に応じて、蒸留処理により反応物から分離、除去することができるが、通常は除去しなくてもD−DHPPGとグリセリンとの質量比が所定の範囲内となり、十分に性能が発揮される。蒸留処理によりグリセリンを除去する場合、分離後、回収したグリセリンを、グルコース源との反応に再利用してもよい。
ここで、グルコース源のグルコース換算の仕込み量(モル)は、グルコース源がグルコースの場合は、その仕込み量(モル)であり、[グルコース源の固形分としての仕込み量(g)/グルコース源の分子量]により算出できる。
グルコース源が前記糖類の場合は、その仕込み量(モル)に、該グルコース源1分子中に含まれるグルコース単位の数に乗じた値が「グルコース源のグルコース換算の仕込み量(モル)」となる。たとえばグルコース源がマルトースの場合、グルコース源1分子中に含まれるグルコース単位の数は2であるため、マルトースの仕込み量(モル)×2がグルコース換算仕込み量(モル)となる。
酸性触媒の使用量は、グルコース源の固形分とグリセリンの合計(100質量%)に対し、0.05〜5.0質量%が好ましく、0.07〜0.15質量%がより好ましい。酸性触媒の使用量が0.05質量%以上であれば、反応が充分に進行し、5.0質量%以下であれば、得られる糖組成物の着色を抑制できる。
反応時間は、反応温度によっても異なるが、0.5〜5時間が好ましく、1〜3時間がより好ましい。反応時間が0.5時間以上であれば、グルコース源を充分消費でき、高い収率で目的の糖組成物を得ることができる。5時間以下であれば、生産性が良好である。
グルコース源とグリセリンとが反応すると、D−DHPPGとともに水が生成する。反応系内に水が存在すると、グルコース源とグリセリンとの反応性が悪くなる。そのため、反応を真空下で行うことで、反応系内の水を除去しながら反応を行うことができ、反応性が大きく向上する。
このときの「真空」の程度は、水分の除去効率を考慮すると、15kPa(N/cm2)以下が好ましく、5kPa(N/cm2)以下がより好ましい。水分の除去効率が高いほど、短時間で反応が進行する。該圧力の下限は特に限定されないが、実用的には1kPa(N/cm2)程度であれば充分である。
上記グルコシル化反応は、酸性触媒を中和する事で停止させることができる。酸性触媒の中和方法としては、反応系に無機吸着剤を添加する方法が好ましい。無機吸着剤を用いることで、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物を用いる場合に比べて、糖組成物中に残留する中和塩を大幅に低減でき、特に化粧品に用いる場合には好適である。
無機吸着剤としては、ハイドロタルサイト類が好ましい。ハイドロタルサイト類は、ハイドロタルサイト(Mg6Al6(OH)16・CO3・nH2O)およびこれに類似した構造の化合物であり、ハイドロタルサイト様化合物、層状複水酸化物(Layered Double Hydroxide(LDH))とも称され、たとえば一般式[M1 1−xM2 x(OH)2][A]x/n・mH2Oで表される化合物、その焼成物等が挙げられる。
該一般式において、M1は、2価の金属イオン(Mg2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+等)であり、M2は3価の金属イオン(Al3+、Fe3+、Cr3+、Co3+、In3+等)であり、Aはn価のアニオンである。該アニオンとしては、CO3 2−、ハロゲンイオン、NO3−、SO4 2−、Fe(CN)6 3−、CH3CO2 −、シュウ酸イオン、サリチル酸イオン等が挙げられる。該化合物は、複水酸化物層([M1 1−xM2 x(OH)2])の層間にアニオン(A)を保持し、インターカレーションによって該アニオンを他のアニオンに交換するアニオン交換能を有している。また、該化合物を焼成するとH2Oが脱離するが、これを水中に戻すとH2Oを取り込んで再生し、同様のアニオン交換能を発揮する。
ハイドロタルサイト類としては、市販のものが利用でき、たとえば協和化学工業社製のキョーワード(登録商標)シリーズが挙げられる。具体的には、キョーワード500、キョーワード1000、キョーワード2000(いずれも商品名)等が挙げられる。中でもキョーワード2000が、少量の添加量で酸性触媒を中和することが可能で、ろ過分離が容易であることから好ましい。
添加する無機吸着剤は1種でも2種以上でもよい。
該無機吸着剤の添加量は、反応系内のpH(25℃)が5〜8の範囲内となるように、使用した酸性触媒の添加量および無機吸着剤の種類に応じて、適宜設定すればよく、特に限定されないが、通常、グルコース源の固形分とグリセリンとの合計(100質量%)に対し、0.01〜10質量%の範囲内である。0.01質量%以上の添加で酸性触媒の中和は充分可能で、10質量%以下であればコストの影響も小さい。
たとえば前記グルコシル化工程にてグリセリンとグルコース源とを反応させて得られた反応物から、蒸留によりグリセリンを除去してもよい。
また、前記グルコシル化工程後、または反応停止工程後、必要に応じて、得られた糖組成物に水を添加し、水溶液としてもよい。水溶液とすることは、粘度が低下し、扱いやすさ(ハンドリング性)が向上するため好ましい。
この場合、該水溶液は、充分に色相の良好なものであるが、さらに色相を向上させるための精製処理として、脱色処理を施してもよい。脱色処理は、糖溶液の脱色に用いられている公知の方法を利用でき、たとえば該水溶液に活性炭を加えて加熱することにより実施できる。添加した活性炭は前記無機吸着剤とともにろ過等により除去できる。
また、必要に応じて、pH調整、固形分濃度調整等を行ってもよい。
該水溶液のpHは、化粧品等への用途を考慮すると、25℃において4〜7が好ましく、5.5〜6.5がより好ましい。
該水溶液の固形分濃度は、ハンドリング性を考慮すると、60〜90質量%が好ましい。
上述したように、グルコシル化工程では、グルコース源のグルコース換算の仕込み量とグリセリンの仕込み量とのモル比の範囲内として反応を行うが、この範囲内においては、グリセリンの比率が高い程、糖組成物中のグリセリン比率は増加し、糖縮合度は低下する傾向にある。その為、このモル比を調整することで、グリセリン比率と糖縮合度を調節できる。
[実施例1]
温度計、攪拌装置、冷却管を備えた内容量1Lの三口フラスコに、グリセリン:414g(4.5mol)、パラトルエンスルホン酸:0.95gを仕込み、攪拌しながら無水結晶グルコース:540g(3.0mol)を仕込んだ。反応系内の圧力を5kPa(N/cm2)とし、反応温度115℃で3時間、真空脱水反応を行った。この時点での反応物の質量は895gであった。該反応物に等量の純水を添加して溶解させ、固形分濃度50質量%の水溶液とし、そこにハイドロタルサイト類(商品名「キョーワード2000、協和化学社製」)を1g添加して反応を停止させた。その後、活性炭18gを添加し、80℃で30分加熱した後、ろ過によりハイドロタルサイト類と活性炭を除去し、さらに濃縮して、最終的に固形分濃度80質量%の精製糖組成物1106gを得た。
温度計、攪拌装置、冷却管を備えた内容量1Lの三口フラスコに、グリセリン:460g(5.0mol)、パラトルエンスルホン酸:0.82gを仕込み、攪拌しながら無水結晶グルコース:360g(2.0mol)を仕込んだ。反応系内の圧力を5kPa(N/cm2)とし、反応温度115℃で3時間、真空脱水反応を行った。この時点での反応物の質量は778gであった。該反応物に等量の純水を添加して溶解させ、固形分濃度50質量%の水溶液とし、そこにハイドロタルサイト類(商品名「キョーワード2000、協和化学社製」)を0.8g添加して反応を停止させた。その後、活性炭16gを添加し、80℃で30分加熱した後、ろ過によりハイドロタルサイト類と活性炭を除去し、さらに濃縮して、最終的に固形分濃度80質量%の精製糖組成物951gを得た。
温度計、攪拌装置、冷却管を備えた内容量1Lの三口フラスコに、グリセリン:483g(5.25mol)、パラトルエンスルホン酸:0.75gを仕込み、攪拌しながら無水結晶グルコース:270g(1.5mol)を仕込んだ。反応系内の圧力を5kPa(N/cm2)とし、反応温度115℃で3時間、真空脱水反応を行った。この時点での反応物の質量は796gであった。該反応物に等量の純水を添加して溶解させ、固形分濃度50質量%の水溶液とし、そこにハイドロタルサイト類(商品名「キョーワード2000、協和化学社製」)を0.8g添加して反応を停止させた。その後、活性炭16gを添加し、80℃で30分加熱した後、ろ過によりハイドロタルサイト類と活性炭を除去し、さらに濃縮して、最終的に固形分濃度80質量%の精製糖組成物970gを得た。
温度計、攪拌装置、冷却管を備えた内容量1Lの三口フラスコに、グリセリン:331g(3.6mol)、パラトルエンスルホン酸:0.87gを仕込み、攪拌しながら無水結晶グルコース:540g(3.0mol)を仕込んだ。反応系内の圧力を5kPa(N/cm2)とし、反応温度115℃で3時間、真空脱水反応を行った。この時点での反応物の質量は825gであった。該反応物に等量の純水を添加して溶解させ、固形分濃度50質量%の水溶液とし、そこにハイドロタルサイト類(商品名「キョーワード2000、協和化学社製」)を0.9g添加して反応を停止させた。その後、活性炭16gを添加し、80℃で30分加熱した後、ろ過によりハイドロタルサイト類と活性炭を除去し、さらに濃縮して、最終的に固形分濃度80質量%の精製糖組成物980gを得た。
温度計、攪拌装置、冷却管を備えた内容量1Lの三口フラスコに、グリセリン:621g(6.75mol)、パラトルエンスルホン酸:0.89gを仕込み、攪拌しながら無水結晶グルコース:270g(1.5mol)を仕込んだ。反応系内の圧力を5kPa(N/cm2)とし、反応温度115℃で3時間、真空脱水反応を行った。この時点での反応物の質量は796gであった。該反応物に等量の純水を添加して溶解させ、固形分濃度50質量%の水溶液とし、そこにハイドロタルサイト類(商品名「キョーワード2000、協和化学社製」)を0.9g添加して反応を停止させた。その後、活性炭16gを添加し、80℃で30分加熱した後、ろ過によりハイドロタルサイト類と活性炭を除去し、さらに濃縮して、最終的に固形分濃度80質量%の精製糖組成物975gを得た。
実施例3で得られた精製糖組成物:100gを用い、イオン交換樹脂を用いたクロマトグラフィーによりα−D−DHPGを分離、回収して、α−D−DHPGを高純度に含む精製糖組成物(固形分濃度50質量%の水溶液)20gを得た。
精製糖組成物中のグリセリン量(質量%)および糖組成(質量%)は、以下の手順で測定した。
なお、グリセリン量および糖組成は、それぞれ、精製糖組成物の全固形分に対する割合(質量%)で示した。実施例1〜3および比較例1〜3で得られた精製糖組成物はそれぞれ糖およびグリセリン以外の成分を含んでいなかったため、糖とグリセリンとの合計が全固形分(100質量%)に相当する。
(測定条件)
・カラム:Shim−Pack SCR−101(内径7.9mm×長さ30cm、島津製作所社製)
・カラム温度:60℃
・溶出液:水
・流速:0.8ml/min
・検出器:示差屈折計
・サンプル濃度:5%
1(保持時間10.849分):グリセリン。
2(保持時間7.865分):D−ジヒドロキシプロピルグルコシド(式(1)中のnが1である化合物。以下「DHPG1」という。)。
3(保持時間6.481分):D−ジヒドロキシプロピルマルトシド(式(1)中のnが2である化合物。以下「DHPG2」という。)。
4(保持時間5.822分):D−ジヒドロキシプロピルマルトトリオシド(式(1)中のnが3である化合物。以下「DHPG3」という。)。
5(保持時間5.470分):D−ジヒドロキシプロピルマルトテトラオシド(式(1)中のnが4である化合物。以下「DHPG4」という。)。
精製糖組成物の平均糖縮合度は、前記HPLCの分析結果から、下記式により求めた。
精製糖組成物の色相は以下の手順で評価した。
精製糖組成物を固形分濃度が50質量%となるように水で希釈し、この希釈液の色相(APHA(ハーゼン色数ともいう))をJIS K 3331に準拠して測定した。
ただし固形分濃度が50質量%の比較例3の精製糖組成物については、希釈せずにそのまま色相(APHA)を測定した。
色相(APHA)は、100以下を良好と判定した。
精製糖組成物の保湿力を調べるために、以下の手順で蒸発試験(質量減少試験)を行った。
アルミシャーレに固形分濃度30質量%の水溶液に調整した精製糖組成物を5g入れ、該アルミシャーレを温度25℃、湿度35%の恒温・恒湿器に入れ、12時間保持した。処理前後の該精製糖組成物の質量から、下記式により質量減少率(%)を求めた。質量減少率が低い程、保湿力が高いことを示す。
一方、原料のグリセリンの仕込みモル比を1.2とした比較例1では、得られた精製糖組成物中のD−DHPPGの平均糖縮合度が高く、また、全固形分に対するD−DHPPGの割合が80質量%を超え、グリセリンの割合が20質量%を下回っていた。また、該精製糖組成物は、保湿性が低く、色相も悪かった。
原料のグリセリンの仕込みモル比を4.5とした比較例2では、得られた精製糖組成物中のD−DHPPGの平均糖縮合度が低く、また、全固形分に対するD−DHPPGの割合が45質量%を下回り、グリセリンの割合が55質量%を超えていた。また、該精製糖組成物は、保湿性が低かった。
比較例3の精製糖組成物は、α−D−DHPGを高純度に含むにもかかわらず、実施例1〜3よりも保湿性が低かった。
Claims (3)
- 前記グルコース源と前記グリセリンとの反応を真空下で行う、請求項1に記載の保湿剤の製造方法。
- 前記無機吸着剤としてハイドロタルサイト類を用いる、請求項1または2に記載の保湿剤の製造方法。
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