JP6187411B2 - コイル用導線とコイル用集合導線の製造方法 - Google Patents

コイル用導線とコイル用集合導線の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、平角線等からなるコイル用導線とコイル用集合導線を製造する方法に関するものである。
モータを構成するステータは、円環状のヨークと、ヨークから径方向内側に突出する複数のティースと、隣接するティース間に形成されるスロットを備えた鋼板が積層されてなるステータコアから形成されており、コイルがこのスロット内に挿入されながら、ティース間に巻装されることによってステータが形成される。このコイル用の巻線は、導線周りに絶縁被膜が形成されてコイル内における導線間の絶縁が図られるとともに、ティースとコイルの間には絶縁性のボビンや絶縁紙等のインシュレータが配設されてコア−コイル間の絶縁が図られている。さらに、たとえば分布巻き方式の巻装形態においては、絶縁紙等のインシュレータで異相コイル間の相間絶縁が図られている。
従来のコイル形成用の巻線は、たとえば銅素材の導線の周りに、熱硬化性のエナメル樹脂を溶剤に溶かして数μmの厚みで塗布し、熱処理して塗布層を固め、この処理を複数回繰り返して所望厚のエナメル皮膜を形成して巻線が製作されている。なお、このエナメル皮膜の素材としては、アミドイミド系樹脂やウレタン系樹脂、エステルイミド系樹脂、ポリイミド系樹脂や酸化膜などが一般に用いられている。なお、巻線は断面が円形のもののほかにも、コイル占積率を高めることのできる平角線が適用されている。
ところで、実際のティース周りにコイルを形成する方法では、各ティースに導線が巻装されたコイルを挿入した後、隣接するコイルの端部同士を溶接で繋いでコイルの連続体を形成する方法が採用されている。
コイルの端部同士を溶接にて接続することから、この溶接接合箇所となる導線の端部においては、予め絶縁皮膜を剥いでおく必要がある。
そこで、従来の絶縁皮膜を剥いでコイル用導線を製造する方法を図4を参照して説明する。
図4aで示すように、まず、たとえば銅素材の導線Dの周りにエナメル素材の絶縁皮膜Hを形成しておく。この際、導線Dとエナメル素材の絶縁皮膜Hは相互に密着している。
導線Dと絶縁皮膜Hが密着した状態のものに対し、その端部の絶縁皮膜を剥いで導線端部を剥き出しにするに当たり、図4aのLラインに沿って皮膜剥きをおこなうと、図4bで示すように、導線Dの一部Cも絶縁皮膜Hと同時に剥がれてしまい、絶縁皮膜Hが剥がれて露出した箇所の導線Dの寸法(もしくは厚み)が不均一になり、導体露出箇所の寸法精度が低下するといった課題がある。
ここで、特許文献1には、絶縁皮膜を有する平角導体を固定し、エッジを平角導体に食い込ませた状態で平角導体を引張ることにより、絶縁皮膜を剥離させる方法が開示されている。
この方法では、エッジの食い込み深さを平角導体と絶縁皮膜の界面に調整するのが難しいことや、エッジの食い込みが浅くなると絶縁皮膜を十分に除去できなくなり、エッジが平角導体に食い込み過ぎると逆に平角導体が損傷するといった課題がある。
特開2011−155724号公報
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、導線周りもしくは集合導線周りに絶縁皮膜が形成されてなるコイル用導線もしくはコイル用集合導線において、溶接箇所となる導線端部もしくは集合導線端部において絶縁皮膜のみを精度よく、しかも効率的に除去してコイル用導線もしくはコイル用集合導線を製造することのできるコイル用導線とコイル用集合導線の製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明によるコイル用導線の製造方法は、導線の周りに絶縁皮膜を形成し、絶縁皮膜の端部を取り除いて導線の溶接接合箇所を露出させてコイル用導線を製造する方法であって、絶縁皮膜材料となる熱可塑性樹脂の融点未満の温度で導線を加熱しておく第1のステップ、溶融した前記熱可塑性樹脂を導線周りに提供し、該熱可塑性樹脂が前記融点未満となった段階で絶縁皮膜の端部近傍に切込みを入れ、端部の絶縁皮膜を剥がす第2のステップ、導線および絶縁皮膜を前記熱可塑性樹脂の融点以上の温度で加熱し、導線と絶縁皮膜を密着させてコイル用導線を製造する第3のステップからなるものである。
本発明のコイル用導線の製造方法は、熱可塑性樹脂素材の絶縁皮膜を導線周りに形成することとし、導線と絶縁皮膜が密着する前に絶縁皮膜の端部近傍に切込みを入れ、絶縁皮膜の端部を剥いだ後に導線と絶縁皮膜の密着を図ることにより、導線を痛めることなく、効率的に、しかも絶縁皮膜のみを精度よく除去することのできる製造方法である。
ここで、本発明の製造方法で適用する導線は、断面円形の丸線は勿論のこと、平角導線も含まれるものである。
まず、第1のステップとして、絶縁皮膜材料となる熱可塑性樹脂の融点未満の温度で導線を加熱しておく。
次に、第2のステップとして、溶融した熱可塑性樹脂を導線周りに提供し、熱可塑性樹脂がその融点未満となった段階で絶縁皮膜の端部近傍に切込みを入れ、端部の絶縁皮膜を剥がす。
ここで、使用される熱可塑性樹脂は特に限定されるものではないが、ポリアミド(PA)やポリイミド(PI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)のほか、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニルサルホン(PPSU)、ポリアミド(PA)といったいわゆるスーパーエンジニアリングプラスチック(スーパーエンプラ)が挙げられる。
導線周りに熱可塑性樹脂を提供する方法としては、射出成形や押出成形などがある。導線周りに提供された熱可塑性樹脂は急激に温度を低下させるが、本発明では、第1のステップにおいて熱可塑性樹脂の融点未満の温度で導線を加熱しているために、このような熱可塑性樹脂の急激な温度低下が抑制される。このように熱可塑性樹脂の急冷が抑制されることにより、急冷によって絶縁皮膜が十分に形成されずに製品歩留りを低下させるといった問題は生じ得ない。
また、第2のステップにおいて、熱可塑性樹脂は少なくとも温められた導体の温度以上の温度を維持しながら、その融点以上の温度は有していないことから、導体と熱可塑性樹脂が密着することはない。このことに加えて、熱可塑性樹脂は柔らかい状態であることから、カッター等によって切込みが容易に入る状態となっている。そこで、この第2のステップにおいて、絶縁皮膜の端部近傍の所定箇所に切込みを入れ、速やかに絶縁皮膜の端部を引張って除去することにより、導線の溶接接合箇所を露出させることができる。
このように、導線と密着しておらず、しかも柔らかい状態の絶縁皮膜に切込みを入れ、絶縁皮膜の端部を引張って除去することから、絶縁皮膜端部の除去効率は極めて高く、この端部除去の際に導線を痛めることもなく、絶縁皮膜のみを精度よく除去することができる。
絶縁皮膜の端部が精度よく除去されたら、次に第3のステップとして、導線および絶縁皮膜を熱可塑性樹脂の融点以上の温度で加熱し、導線と絶縁皮膜を密着させてコイル用導線を製造する。
このように絶縁皮膜の端部の除去の後に導線と絶縁皮膜を密着させることで、絶縁皮膜の端部が除去されてなるコイル用導線を効率的かつ高精度に製造することができる。しかも、導線の破損や絶縁皮膜の除去が不十分であるといった問題が生じ得ないことから、製品歩留りの向上にも繋がる。
また、具体的な実施の形態として、前記熱可塑性樹脂がPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)であり、その融点が350〜360℃の範囲にある場合に、第1のステップにおける導線の加熱温度が180〜200℃である。
本発明者等による検証の結果、熱可塑性樹脂にPEEKを適用した際の第1のステップにおける導線の加熱温度として、180〜200℃が好ましい温度範囲であることが特定されている。なお、この180〜200℃は、射出成形等の際に適用される金型が調整される温度でもあり、金型とこれに収容される導線の温度を同程度の温度に調整しておくことで、PEEKを冷め過ぎず、温め過ぎない温度に維持することができる。
また、融点が350〜360℃の範囲にあるPEEKを使用する場合に、第3のステップにおける加熱温度も350〜360℃に範囲に調整するのがよい。
たとえば、340℃程度では十分な密着力が発現せず、逆に360℃を超える範囲ではPEEKが溶け落ちてしまう。
さらに、第3のステップにおいて、加熱温度が350〜360℃であることに加えて、加熱時間は5〜10分の範囲にあるのがよい。
10分を超えると酸化膜の形成が著しくなり、好ましくない。
第3のステップにて製造されたコイル用導線を所望に曲げ加工し、ステータのスロットに挿入してティース周りに配設する。次いで隣接するコイル用導線の露出した端部の溶接接続箇所同士を接触させ、溶接して繋ぐことでコイルの連続体が形成される。
また、本発明はコイル用集合導線の製造方法にも及ぶものであり、この製造方法の実施の形態は、前記製造方法で製造された複数のコイル用導線を束ねてコイル用集合導線を製造するものである。
また、本発明のコイル用集合導線の製造方法の他の実施の形態は、複数の導線を束ね、圧延して集合導線とし、該集合導線の周りに絶縁皮膜を形成し、絶縁皮膜の端部を取り除いて集合導線の溶接接合箇所を露出させてコイル用集合導線を製造する方法であって、絶縁皮膜材料となる熱可塑性樹脂の融点未満の温度で集合導線を加熱しておく第1のステップ、溶融した前記熱可塑性樹脂を集合導線周りに提供し、該熱可塑性樹脂が前記融点未満となった段階で絶縁皮膜の端部近傍に切込みを入れ、端部の絶縁皮膜を剥がす第2のステップ、集合導線および絶縁皮膜を前記熱可塑性樹脂の融点以上の温度で加熱し、集合導線と絶縁皮膜を密着させてコイル用集合導線を製造する第3のステップからなるものである。
ここで、「集合導線」とは、絶縁皮膜の形成されていない複数の導線が束ねられたものを意味しており、「コイル用集合導線」とは、絶縁皮膜を備えた複数の導線が束ねられたものや、集合導線の周りに絶縁皮膜が形成されたものの双方を含む意味である。
従来のコイル用集合導線の製造方法では、複数の導線を束ね、絶縁皮膜の端部を取り除く際に導線間に絶縁皮膜の残渣が溜まり易く、このコイル用集合導線を溶接する際には煤や発泡などが生じる惧れがあった。このような従来の製造方法に対し、本発明のコイル用集合導線の製造方法では、端部の絶縁皮膜を取り除く際には未だ絶縁皮膜が導線もしくは集合導線と密着していないことから、導線間に絶縁皮膜の残渣が溜まるといった課題は生じ得ない。
また、従来のコイル用集合導線の製造方法では、絶縁皮膜の端部を機械的に削り取る方法を適用した際に、集合導線を形成している各導線に応力が残り、導線同士がばらけて寸法精度が低下する惧れがあった。さらに、絶縁皮膜の端部を機械的に削り取る方法では、導線に必要以上の外力が作用し、導線同士の擦れで絶縁皮膜が破れて、集合導線本来の損失低減効果が期待できないといった惧れもあった。このような従来の製造方法に対し、本発明のコイル用集合導線の製造方法では、集合導線周りの絶縁皮膜の端部の除去の後に各導線と絶縁皮膜の密着が図られることから、機械的に絶縁皮膜の端部を削り取る場合の上記種々の課題は生じ得ない。
以上の説明から理解できるように、本発明のコイル用導線とコイル用集合導線の製造方法によれば、熱可塑性樹脂素材の絶縁皮膜を導線周りもしくは集合導線周りに形成することとし、導線もしくは集合導線と絶縁皮膜が密着する前に絶縁皮膜の端部近傍に切込みを入れ、絶縁皮膜の端部を剥いだ後に導線もしくは集合導線と絶縁皮膜の密着を図ることにより、導線もしくは集合導線を痛めることなく、効率的に、しかも絶縁皮膜のみを精度よく除去することができる。
(a)は本発明のコイル用導線の製造方法の第1のステップ〜第2のステップを説明した図であり、(b)は続く第2のステップを説明した図であり、(c)は第3のステップを説明した図である。 (a)は本発明のコイル用集合導線の製造方法の実施の形態1を説明した図であり、(b)は図2aのb−b矢視図である。 (a)は本発明のコイル用集合導線の製造方法の実施の形態2の第1のステップを説明した図であり、(b)は図3aのb−b矢視図であり、(c)は続く第2のステップ、第3のステップを説明した図であり、(d)は図3cのd−d矢視図である。 (a)、(b)の順で従来のコイル用導線の製造方法を説明した図である。
以下、図面を参照して、本発明のコイル用導線とコイル用集合導線の製造方法の実施の形態を説明する。
(コイル用導線の製造方法の実施の形態)
図1aは本発明のコイル用導線の製造方法の第1のステップ〜第2のステップを説明した図であり、図1bは続く第2のステップを説明した図であり、図1cは第3のステップを説明した図である。
まず、導線1は平角導線であり、その素材は、無酸素銅もしくはタフピッチ銅などから形成されている。
まず、この導線1を絶縁皮膜材料となる熱可塑性樹脂の融点未満の温度で導線を加熱しておく(第1のステップ)。
たとえば、融点が300℃以上の熱可塑性樹脂を適用するとして、第1のステップにおける導線1の加熱温度は第2のステップで適用する金型温度と同程度の180〜200℃に設定するのがよい。
次に、不図示の金型内に導線1を収容し、射出成形や押出し成形によって、溶融した熱可塑性樹脂を導線1の周りに提供する。
ここで、適用する熱可塑性樹脂としては、ポリアミド(PA)やポリイミド(PI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、パーフルオロアルコキシド(PFA)などが挙げられる。
導線1の周りに提供された熱可塑性樹脂からなる絶縁皮膜2は一般に急激に温度を低下させるが、第1のステップにおいて熱可塑性樹脂の融点未満の温度で導線1が加熱されているために、このような熱可塑性樹脂の急激な温度低下が抑制される。このように熱可塑性樹脂の急冷が抑制されることにより、急冷によって絶縁皮膜が十分に形成されずに製品歩留りを低下させるといった問題は生じ得ない。
また、第2のステップにおいて、熱可塑性樹脂は少なくとも温められた導線1の温度以上の温度を維持しながら、その融点以上の温度は有していないことから、導線1と絶縁皮膜2が密着することはない。このことに加えて、図1aにおける絶縁皮膜2は柔らかい状態であることから、カッター等によって切込みが容易に入る状態となっている。そこで、この第2のステップにおいて、絶縁皮膜2の端部近傍の所定箇所に切込み2aを入れ、速やかに絶縁皮膜2の端部を引張って除去することにより、図1bで示すように導線1の溶接接合箇所1aを露出させることができる(第2のステップ)。
このように、導線1と密着しておらず、しかも柔らかい状態の絶縁皮膜2に切込み2aを入れ、絶縁皮膜2の端部を引張って除去することから、絶縁皮膜端部の除去効率は極めて高く、この端部除去の際に導線1を痛めることもなく、絶縁皮膜2の端部のみを精度よく除去することができる。
絶縁皮膜2の端部が精度よく除去されたら、導線1および絶縁皮膜2を熱可塑性樹脂の融点以上の温度で加熱し、導線1と絶縁皮膜2を密着させて図1cで示すようにコイル用導線10を製造する。
このように導線1と絶縁皮膜2の密着を絶縁皮膜2の端部の除去の後に調整したことにより、絶縁皮膜2の端部が除去されてなるコイル用導線10を効率的かつ高精度に製造することができる。しかも、導線1の破損や絶縁皮膜2の除去が不十分であるといった問題が生じ得ないことから、製品歩留りを向上させることもできる。
(コイル用集合導線の製造方法の実施の形態1)
次に、図1a〜図1cで示すコイル用導線の製造方法で製造されたコイル用導線を使用してコイル用集合導線を製造する方法(コイル用集合導線の製造方法の実施の形態1)を図2を参照して説明する。
図1で示す製造方法で製造されたコイル用導線10を複数用意し(図示例は6本)、これら6本のコイル用導線10を束ね、束ねられた6本のコイル用導線10に対して圧力を付与したり、あるいは加熱して各コイル用導線10の絶縁皮膜2同士を溶融させ、絶縁皮膜2の硬化を待つことにより、6本のコイル用導線10が一体とされたコイル用集合導線20が製造される。
図示するコイル用集合導線の製造方法によれば、図1で示すコイル用導線の製造方法を経て絶縁皮膜2の端部が予め除去されたコイル用導線10を束ねてコイル用集合導線を製造することから、コイル用集合導線を形成する絶縁皮膜の端部を機械的に一気に削り取る従来の方法の場合の課題である、導線に残った応力にて導線同士がばらけて寸法精度が低下するといった課題や、導線に作用した外力で導線同士が擦れて絶縁皮膜が破れ、集合導線本来の損失低減効果が期待できないといった課題は生じない。
(コイル用集合導線の製造方法の実施の形態2)
次に、図3を参照してコイル用集合導線の製造方法の実施の形態2を説明する。ここで、図3aは本発明のコイル用集合導線の製造方法の実施の形態2の第1のステップを説明した図であり、図3bは図3aのb−b矢視図であり、図3cは続く第2のステップ、第3のステップを説明した図であり、図3dは図3cのd−d矢視図である。
まず、図3aで示すように、複数の導線1を束ね(図示例は6本の導線1を束ねる形態)、圧延して集合導線3を製作する。
次に、集合導線3を絶縁皮膜材料となる熱可塑性樹脂の融点未満の温度で加熱し(第1のステップ)、不図示の金型内に集合導線3を収容し、射出成形や押出し成形によって、溶融した熱可塑性樹脂を集合導線3の周りに提供する。この製造方法においても、図1で示すコイル用導線10の製造方法と同様に、図3aで示すように熱可塑性樹脂が融点未満となった段階で絶縁皮膜2Aの端部近傍に切込み2aを入れ、図3cで示すように端部の絶縁皮膜2Aを剥がす(第2のステップ)。
次に、集合導線3および絶縁皮膜2Aを熱可塑性樹脂の融点以上の温度で加熱し、集合導線3と絶縁皮膜2Aを密着させてコイル用集合導線30を製造する(第3のステップ)。
図示するコイル用集合導線の製造方法によれば、図1で示すコイル用導線の製造方法と同様の方法を経て集合導線3の周囲の絶縁皮膜2Aの端部が予め除去されたコイル用集合導線を製造することから、コイル用集合導線を形成する絶縁皮膜の端部を機械的に一気に削り取る従来の方法の場合の上記課題は生じない。
(実施例)
コイル用導線を以下の方法で製造した。具体的には、無酸素銅からなる平角線1.7mm×3.0mmを使用し、非強化ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)で融点が350〜360℃の範囲のものを絶縁皮膜用素材として適用し、押出し成形によって平角線の周囲にPEEKを提供する。ここで、押出し成形時のPEEK温度は350〜360℃であり、平角線は180〜200℃に予熱しておく。なお、PEEKを射出成形等する際の一般的な材料推奨温度は350〜400℃程度であるが、本実施例では350〜360℃の範囲のものを使用することにする。
絶縁皮膜の端部近傍に切込みを入れて絶縁皮膜の端部を剥いで除去し、導線端部の溶接接合箇所を露出させる。
次に、導線と絶縁皮膜を350〜360℃の範囲で5〜10分間加熱し、導線と絶縁皮膜を密着させてコイル用導線を製造する。
製造されたコイル用導線は、その端部の露出した溶接接合箇所が痛んでおらず、絶縁皮膜の端部近傍に切込みを入れる作業も容易におこなうことができた。また、導線と絶縁皮膜を密着させるまでの製作時間も短くてよく、製品歩留りも極めて高いものとなった。
なお、上記と同様の方法で図3で示す6本の導線からなる集合導線を使用してコイル用集合導線を製造した。製造されたコイル用集合導線においても、その端部の露出した溶接接合箇所が痛んでおらず、絶縁皮膜の端部近傍に切込みを入れる作業も容易におこなうことができ、集合導線と絶縁皮膜を密着させるまでの製作時間も短くてよく、製品歩留りも極めて高いものとなることが実証されている。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1…導線、1a…溶接接合箇所、2,2A…絶縁被膜、2a…切込み、3…集合導線、10…コイル用導線、20,30…コイル用集合導線

Claims (11)

  1. 導線の周りに絶縁皮膜を形成し、絶縁皮膜の端部を取り除いて導線の溶接接合箇所を露出させてコイル用導線を製造する方法であって、
    絶縁皮膜材料となる熱可塑性樹脂の融点未満の温度で導線を加熱しておく第1のステップ、
    溶融した前記熱可塑性樹脂を導線周りに提供し、該熱可塑性樹脂が前記融点未満となった段階で絶縁皮膜の端部近傍に切込みを入れ、端部の絶縁皮膜を剥がす第2のステップ、
    導線および絶縁皮膜を前記熱可塑性樹脂の融点以上の温度で加熱し、導線と絶縁皮膜を密着させてコイル用導線を製造する第3のステップからなるコイル用導線の製造方法。
  2. 請求項1に記載の製造方法で製造された複数のコイル用導線を束ねてコイル用集合導線を製造するコイル用集合導線の製造方法。
  3. 複数の導線を束ね、圧延して集合導線とし、該集合導線の周りに絶縁皮膜を形成し、絶縁皮膜の端部を取り除いて集合導線の溶接接合箇所を露出させてコイル用集合導線を製造する方法であって、
    絶縁皮膜材料となる熱可塑性樹脂の融点未満の温度で集合導線を加熱しておく第1のステップ、
    溶融した前記熱可塑性樹脂を集合導線周りに提供し、該熱可塑性樹脂が前記融点未満となった段階で絶縁皮膜の端部近傍に切込みを入れ、端部の絶縁皮膜を剥がす第2のステップ、
    集合導線および絶縁皮膜を前記熱可塑性樹脂の融点以上の温度で加熱し、集合導線と絶縁皮膜を密着させてコイル用集合導線を製造する第3のステップからなるコイル用集合導線の製造方法。
  4. 前記熱可塑性樹脂がPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)であり、その融点が350〜360℃の範囲にあり、
    第1のステップにおける導線の加熱温度が180〜200℃である請求項1に記載のコイル用導線の製造方法。
  5. 前記熱可塑性樹脂がPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)であり、その融点が350〜360℃の範囲にあり、
    第1のステップにおける集合導線の加熱温度が180〜200℃である請求項3に記載のコイル用集合導線の製造方法。
  6. 融点が350〜360℃の範囲にあるPEEKを使用する場合に、第3のステップにおける加熱温度も350〜360℃に範囲に調整する請求項4に記載のコイル用導線の製造方法。
  7. 融点が350〜360℃の範囲にあるPEEKを使用する場合に、第3のステップにおける加熱温度も350〜360℃に範囲に調整する請求項5に記載のコイル用集合導線の製造方法。
  8. 第3のステップにおける加熱時間が5〜10分である請求項6に記載のコイル用導線の製造方法。
  9. 第3のステップにおける加熱時間が5〜10分である請求項7に記載のコイル用集合導線の製造方法。
  10. 前記導線が平角線である請求項1,4,6,8のいずれかに記載のコイル用導線の製造方法。
  11. 前記導線が平角線である請求項2,3,5,7,9のいずれかに記載のコイル用集合導線の製造方法。
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