JP2012221587A - 絶縁被覆集合線及びその製造方法、並びにそれを用いたコイル - Google Patents

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Abstract

【課題】絶縁被覆層の耐エッジワイズ曲げ性、耐軟化性、及び耐熱性のいずれもが高い絶縁被覆集合線を提供する。
【解決手段】絶縁被覆集合線10は、複数の導体線11を並行に延びるように束ねて絶縁被覆層12で被覆したものである。絶縁被覆層12は、フッ素樹脂で形成されたフッ素樹脂層12aと、フッ素樹脂層12aの外側に設けられたポリフェニルサルファイド樹脂で形成されたPPS樹脂層12bとを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、絶縁被覆集合線及びその製造方法、並びにそれを用いたコイルに関する。
複数の導体線を並行に延びるように束ねて樹脂材料の絶縁被覆層で被覆した絶縁被覆集合線が、ハイブリッド自動車や電気自動車のモーター等の高周波伝送用途で使用されている。かかる絶縁被覆集合線を用いれば、表皮電流を分断すると共に隣接する導体線間での渦電流を打ち消すことにより低交流抵抗を実現することができる。
特許文献1には、多角形の断面形状を有する導体線が互いに平行に複数本集合配置し、外形が多角形の集合導体が被覆された絶縁被覆集合線であって、集合導体の最外層を被覆する最外層絶縁膜が厚さ0.020〜0.070mmのポリフェニレンサルフィド樹脂又は半芳香族ポリアミド樹脂からなるものが開示されている。
特開2010−55806号公報
例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車等のモーターに用いられる絶縁被覆集合線では、絶縁被覆層に対し、コイルを形成する際に亀裂が生じないように耐エッジワイズ曲げ性が高いことが求められ、また、側圧に抵抗して絶縁性を保持するように耐軟化性が高いことが求められ、さらに、高温度の過酷な雰囲気下で使用されることから、耐熱性が高いことも求められる。
本発明の課題は、絶縁被覆層の耐エッジワイズ曲げ性、耐軟化性、及び耐熱性のいずれもが高い絶縁被覆集合線を提供することである。
本発明は、複数の導体線を並行に延びるように束ねて絶縁被覆層で被覆した絶縁被覆集合線であって、
上記絶縁被覆層は、フッ素樹脂で形成されたフッ素樹脂層と、該フッ素樹脂層の外側に設けられたポリフェニルサルファイド樹脂で形成されたPPS樹脂層と、を有する。
本発明は、本発明の絶縁被覆集合線を巻回してなるコイルである。
本発明は、複数の導体線を並行に延びるように束ね、それを被覆するように絶縁被覆層を押出成形で形成する絶縁被覆集合線の製造方法であって、
上記押出成形で形成する絶縁被覆層は、フッ素樹脂で形成されたフッ素樹脂層と、該フッ素樹脂層の外側に設けられたポリフェニルサルファイド樹脂で形成されたPPS樹脂層と、を有する。
本発明によれば、絶縁被覆層が、フッ素樹脂で形成されたフッ素樹脂層とその外側に設けられたポリフェニルサルファイド樹脂で形成されたPPS樹脂層とを有するので、絶縁被覆層の耐エッジワイズ曲げ性、耐軟化性、及び耐熱性のいずれについても高い性能を得ることができる。
実施形態1に係る絶縁被覆集合線の斜視図である。 実施形態2に係る絶縁被覆集合線の斜視図である。
以下、実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は実施形態1に係る絶縁被覆集合線10を示す。実施形態1に係る絶縁被覆集合線10は、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車等のモーターを構成するステータコアに形成されたスロット溝の内部に複数個を重ねて配置されるマグネットワイヤとして用いられるものである。
実施形態1に係る絶縁被覆集合線10は、複数の導体線11を並行に延びるように無撚状態に束ねて絶縁被覆層12で被覆した構成を有する。
複数の導体線11は、それぞれが同一断面の矩形に形成されており、全体の横断面において、縦及び横のそれぞれに複数本ずつが規則的に配列してマトリクスを構成するように配設されている。マトリクスを構成する縦の導体線11の本数は例えば3〜10本、及び横の導体線11の本数は例えば3〜10本であり、具体的例としては、図1に示す縦6本及び横7本の構成の他、縦3本及び横4本の構成、縦9本及び横10本の構成等が挙げられる。導体線11の全本数は例えば12〜90本である。なお、導体線11の断面は、導体占積率や生産性などの観点から上記のように矩形であることが好ましいが、円形や三角形や六角形等の他の多角形に形成されていてもよい。複数の導体線11は、断面寸法や断面形状が異なるものが混在して構成されていてもよい。また、複数の導体線11は、不規則に束ねられた構成であってもよい。
各導体線11は、0.2〜1mmφの円形断面の丸線に相当するサイズであることが好ましく、横断面積が例えば0.0314〜0.785mm2であり、矩形断面の一辺の長さが例えば0.2〜1.0mmである。その導体線11の一辺の長さは、マトリクスを構成したとき、高い導体占積率を有する大表面積の絶縁被覆集合線10が得られる観点から、隣接する一辺の長さの1.0〜1.5倍であることが好ましく、1.0〜1.2倍であることがより好ましい。かかる高い導体占積率を有する大表面積の絶縁被覆集合線10は、ハイブリッド自動車や電気自動車等のモーターの小型化及び軽量化を実現させることができる。
複数の導体線11のそれぞれは、導体線本体11aとその表面を被覆する線材絶縁膜11bとを有する。
導体線本体11aを形成する金属材料としては、例えば、銅、アルミニウム、銀、鉄、金等が挙げられる。導体線本体11aは、単一種の金属材料で形成されていてもよく、また、複数種の金属材料の合金で形成されていてもよい。
線材絶縁膜11bを形成する材料としては、導体線本体11aをいわゆる電着塗装で被覆する場合、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂等が挙げられ、また、導体線本体11aをいわゆるディップ塗装で被覆する場合、アミドイミド系樹脂、ウレタン系樹脂、エステルイミド系樹脂、ポリイミド系樹脂等が挙げられる。また、導体線本体11aの表面を酸化処理を行なうことにより酸化被膜を設け、これを線材絶縁膜11bとすることもできる。これらのうち、電着塗装で形成される線材絶縁膜11bの場合、絶縁性に優れるアクリル系樹脂が好ましく、ディップ塗装で形成される線材絶縁膜11bの場合、耐熱性に優れ、一般的な樹脂材料であるアミドイミド系樹脂が好ましい。線材絶縁膜11bは、単一種の材料で形成されていてもよく、また、複数種の材料が混合されて形成されていてもよい。線材絶縁膜11bの厚さは例えば1.5〜20μmである。なお、電着塗装で線材絶縁膜11bを形成する場合、印加電圧の調整により線材絶縁膜11bを厚さ1.5〜3μm程度まで薄く均一に形成することができ、それによって線材絶縁膜11bの厚さによる絶縁被覆集合線10における導体占積率の低下を抑制することができる。
相互に隣接する導体線11間は結着材13により結合していてもよい。導体線11間に結着材13を介設することにより、導体線11間の絶縁性を向上させることができる。結着材13としては、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂などの熱融着性を有する樹脂、アルコール可溶に変性されたポリアミド系樹脂などのアルコール融着性を有する樹脂等の融着剤が挙げられる。また、結着材13としては、例えば、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、フェノール系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂などの樹脂等の接着剤が挙げられる。結着材13は、単一種の材料で形成されていてもよく、また、複数種の材料が混合されて形成されていてもよい。結着材13の厚さは、例えば0.5〜5.0μmであり、1.0〜3.0μmであることが好ましい。なお、結着材13は、導体線11間の接触面全体に設けられていてもよいが、導体線11間を固定できれば、それらの接触面全体に設けられている必要はなく、点状やストライプ状に部分的に設けられていてもよく、その場合、導体線11間に形成される空間によってそれらの絶縁がなされる。
絶縁被覆層12は、内側に設けられたフッ素樹脂層12aとその外側に設けられたPPS樹脂層12bとを有する。絶縁被覆層12は、AC1kV以上(好ましくはAC2kV以上)の絶縁性を有していることが好ましい。かかる観点から絶縁被覆層12の厚さは20〜70μmであることが好ましく、電気絶縁性と導体占有率とのバランスを考慮すれば20〜50μmであることがより好ましい。
フッ素樹脂層12aはフッ素樹脂で形成されている。フッ素樹脂層12aを形成するフッ素樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオエチレン・エチレン共重合体(ECTFE)等が挙げられる。これらのうちPFA(例えば、三井・デュポンフロロケミカル社製 商品名:テフロン420HP−J等)が最も好ましい。フッ素樹脂層12aを形成するフッ素樹脂は、単一種(或いは単一グレード)で構成されていてもよく、また、複数種(或いは複数グレード)がブレンドされて構成されていてもよい。フッ素樹脂層12aを形成するフッ素樹脂には、可塑剤等の樹脂配合薬品が配合されていてもよい。フッ素樹脂層12aの厚さは例えば20〜50mmであり、20〜40mmであることが好ましい。
フッ素樹脂層12aを形成するフッ素樹脂の材料特性として、引張弾性率(JIS K7161準拠)は400〜600MPaであることが好ましい。引張破壊強さ(JISK7161準拠)は20〜40MPaであることが好ましい。引張破壊伸び(JISK7161準拠)は380〜400%であることが好ましい。硬度(JISK7215準拠、タイプDデュロメータ使用)はD55〜65であることが好ましい。融点(DSCを用いて昇温速度10℃/分の条件で測定した融解ピークのピーク温度)は300〜320℃であることが好ましい。MFR(ASTM D3307準拠)は35〜45g/10minであることが好ましい。表面エネルギー(JISK6768準拠)は15〜20mN/mであることが好ましい。
PPS樹脂層12bはポリフェニレンサルフィド樹脂(例えば、DIC社製 品番:Z200-J1等)で形成されている。PPS樹脂層12bを形成するポリフェニレンサルフィド樹脂は、単一グレードで構成されていてもよく、また、複数グレードがブレンドされて構成されていてもよい。PPS樹脂層12bを形成するポリフェニレンサルフィド樹脂には、可塑剤等の樹脂配合薬品が配合されていてもよい。PPS樹脂層12bの厚さは例えば20〜50mmであり、20〜40mmであることが好ましい。
PPS樹脂層12bを形成するポリフェニレンサルフィド樹脂の材料特性として、引張弾性率は4000〜4500MPaであることが好ましい。引張破壊強さは60〜80MPaであることが好ましい。引張破壊伸びは40〜60%であることが好ましい。硬度(タイプDデュロメータ使用)はD80〜90であることが好ましい。融点は270〜290℃であることが好ましい。MFRは10〜20g/10minであることが好ましい。表面エネルギーは20〜30mN/mであることが好ましい。
フッ素樹脂層12aとPPS樹脂層12bとは、密着性が高いことが好ましく、複合一体化していることがより好ましい。
以上の構成の実施形態1に係る絶縁被覆集合線10によれば、絶縁被覆層12が、フッ素樹脂で形成されたフッ素樹脂層12aとその外側に設けられたポリフェニルサルファイド樹脂で形成されたPPS樹脂層12bとを有するので、絶縁被覆層12の耐エッジワイズ曲げ性、耐軟化性、及び耐熱性のいずれについても高い性能を得ることができる。
実施形態1に係る絶縁被覆集合線10は、例えばエッジワイズ曲げ加工等の曲げ加工が施されて、絶縁被覆集合線10が巻回してなるコイルに構成され、そして、ハイブリッド自動車や電気自動車等のモーターを構成するステータコアに形成されたスロット溝の内部に複数個を重ねて配置されるマグネットワイヤとして用いられる。
次に、実施形態1に係る絶縁被覆集合線10の製造方法について説明する。
まず、導体線本体11aを伸線し、その表面を絶縁被覆層12で被覆して導体線11を作製する。絶縁被覆層12の形成方法としては、上記の通り、例えば、電着塗装、ディップ塗装が挙げられる。
次いで、導体線11の表面に結着材13を付着させて焼き付ける。結着材13を付着させる方法としては、例えば、ディップ塗装、ロールコート、含浸フェルト接触塗装、スプレー塗装等が挙げられる。
続いて、導体線11を複数本集め、規則的に配列してマトリクスを構成するように配設して束ね、隣接するもの同士を結着材13により結合させる。
そして、この導体線11の束を押出成形機に通し、絶縁被覆層12を押出成形で形成する。ここで、樹脂材料の温度は融点乃至融点+30℃であることが好ましい。樹脂材料の粘度は100〜1000Pa・sであることが好ましい。また、このとき、単層押出成形機を用い、最初にフッ素樹脂層12aを形成して一旦巻き取り、次にフッ素樹脂層12aの上にPPS樹脂層12bを形成し、フッ素樹脂層12a及びPPS樹脂層12bを一層ずつ形成してもよい。また、タンデム型押出成形機を用い、最初にフッ素樹脂層12aを形成し、引き続いてフッ素樹脂層12aの上にPPS樹脂層12bを形成し、フッ素樹脂層12a及びPPS樹脂層12bを連続して形成してもよい。さらに、二層コモンヘッド押出成形機を用い、フッ素樹脂層12a及びPPS樹脂層12bを同時に形成してもよい。これらのうち、フッ素樹脂層12a及びPPS樹脂層12bの高い密着性が得られるという観点から、二層コモンヘッド押出成形機を用いる方法が好ましい。なお、絶縁被覆層12の形成をディップ塗装によって行うこともできる。
以上により、実施形態1に係る絶縁被覆集合線10を製造することができる。
(実施形態2)
図2は実施形態2に係る絶縁被覆集合線10を示す。なお、実施形態1と同一名称の部分は、実施形態1と同一符号を用いて示す。この実施形態2に係る絶縁被覆集合線10も、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車等のモーターを構成するステータコアに形成されたスロット溝の内部に複数個を重ねて配置されるマグネットワイヤとして用いられるものである。
実施形態2に係る絶縁被覆集合線10では、絶縁被覆層12は、内側に設けられたフッ素樹脂層12aとその外側に設けられたPPS樹脂層12bとを有すると共に、フッ素樹脂層12aの内側に、導体線11の束に接触するように設けられたPA樹脂層12cをさらに有する。
PA樹脂層12cはポリアミド樹脂で形成されている。PA樹脂層12cを形成するポリアミド樹脂としては、いわゆる6ナイロンや6,6ナイロンなどの脂肪族ポリアミド樹脂の他、ポリアミド9T(例えば、クラレ社製 商品名:Genestar等)、ポリアミド6−6T(例えば、三井化学社製 商品名:アーレン等)、ポリアミド6/6T(例えば、BASF社製、商品名:ウルトラミッドT等)、ポリアミドMXD6(例えば、三菱エンジニアリングプラスチックス社製 商品名:レニー等)の半芳香族ポリアミド樹脂や芳香族ポリアミド樹脂が挙げられる。これらのうち半芳香族ポリアミド樹脂が好ましく、その中でも、構成単位において、ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり且つジアミン成分が1,9−ノナンジアミンであるもの(ポリアミド9T)、ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり且つジアミン成分が1,6−ヘキサンジアミンであるもの(ポリアミド6−6T、ポリアミド6/6T)が好ましい。PA樹脂層12cを形成するポリアミド樹脂は、単一種(或いは単一グレード)で構成されていてもよく、また、複数種(或いは複数グレード)がブレンドされて構成されていてもよい。PA樹脂層12cを形成するポリアミド樹脂には、可塑剤等の樹脂配合薬品が配合されていてもよい。
PA樹脂層12cを形成するポリアミド樹脂の材料特性として、引張弾性率は2000〜3000MPaであることが好ましい。引張破壊強さは40〜60MPaであることが好ましい。引張破壊伸びは20〜50%であることが好ましい。硬度(タイプDデュロメータ使用)はD60〜70であることが好ましい。融点は260〜270℃であることが好ましい。MFRは40〜50g/10minであることが好ましい。表面エネルギーは40〜50mN/mであることが好ましい。
実施形態2に係る絶縁被覆集合線10の3層構造の絶縁被覆層12では、フッ素樹脂層12aの厚さは例えば20〜50mmであり、20〜40mmであることが好ましい。PPS樹脂層12bの厚さは例えば20〜50mmであり、20〜40mmであることが好ましい。PA樹脂層12cの厚さは例えば20〜50mmであり、20〜40mmであることが好ましい。
フッ素樹脂層12aとPA樹脂層12cとは、密着性が高いことが好ましく、複合一体化していることがより好ましい。
以上の構成の実施形態2に係る絶縁被覆集合線10によれば、絶縁被覆層12が、フッ素樹脂層12aの内側に、導体線11の束に接触するように設けられたポリアミド樹脂で形成されたPA樹脂層12cをさらに有するので、絶縁被覆層12と導体線11の束との高い密着性を得ることができる。
実施形態2に係る絶縁被覆集合線10を、導体線11の束を押出成形機に通して絶縁被覆層12を押出成形で形成して製造する場合、単層押出成形機を用い、最初にPA樹脂層12cを形成して一旦巻き取り、次にPA樹脂層12cの上にフッ素樹脂層12aを形成して再度巻き取り、最後にフッ素樹脂層12aの上にPPS樹脂層12bを形成し、PA樹脂層12c、フッ素樹脂層12a、及びPPS樹脂層12bを一層ずつ形成してもよい。また、タンデム型押出成形機を用い、最初にPA樹脂層12cを形成し、引き続いてPA樹脂層12cの上にフッ素樹脂層12aを形成し、さらに引き続いてフッ素樹脂層12aの上にPPS樹脂層12bを形成し、PA樹脂層12c、フッ素樹脂層12a、及びPPS樹脂層12bを連続して形成してもよい。さらに、三層コモンヘッド押出成形機を用い、PA樹脂層12c、フッ素樹脂層12a、及びPPS樹脂層12bを同時に形成してもよい。これらのうち、PA樹脂層12cとフッ素樹脂層12aとの高い密着性、及びフッ素樹脂層12aとPPS樹脂層12bとの高い密着性が得られるという観点から、三層コモンヘッド押出成形機を用いる方法が好ましい。
その他の構成、作用効果、製造方法については実施形態1と同一である。
(その他の実施形態)
上記実施形態1及び2では、導体線11が導体線本体11a及び線材絶縁膜11bを有する構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、導体線11が導体線本体11aのみで構成され、隣接する導体線11間が結着材13のみで絶縁された構成であってもよい。
上記実施形態1では、フッ素樹脂層12aとPPS樹脂層12bとが接触した構成とし、上記実施形態2では、フッ素樹脂層12aとPPS樹脂層12bとが接触し且つPPS樹脂層12bとPA樹脂層12cとが接触した構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、絶縁被覆層12の耐エッジワイズ曲げ性、耐軟化性、及び耐熱性を低下させなければ、フッ素樹脂層12aとPPS樹脂層12bとの間、及び/又は、PPS樹脂層12bとPA樹脂層12cとの間に別の層が設けられていてもよい。
(絶縁被覆集合線)
以下の実施例1〜3及び比較例1〜4の絶縁被覆集合線を作製した。
<実施例1>
一辺0.30mmの横断面正方形の導体線本体の表面を電着塗装で厚さ約2μmのアクリル系樹脂の線材絶縁膜で被覆すると共に、更にその表面に結着材(東特塗料社製 商品名:TCV400)を付着させて焼き付けた。そして、それを42本集めて横断面が縦6本及び横7本の構成のマトリクスを形成するように束ね、単層押出成形機を用い、最初に厚さ20μmのPA樹脂層を形成して一旦巻き取り、次にPA樹脂層の上に厚さ30μmのフッ素樹脂層を形成して再度巻き取り、最後にフッ素樹脂層の上に厚さ20μmのPPS樹脂層を形成し、PA樹脂層、フッ素樹脂層、及びPPS樹脂層を一層ずつ形成して絶縁被覆層を構成した。この絶縁被覆集合線を実施例1とした。
PA樹脂層を形成するポリアミド樹脂として、半芳香族ポリアミド樹脂のポリアミド9T(クラレ社製 商品名:Genestar N1006C)を用いた。このものは、引張弾性率が2500MPa、硬度(タイプDデュロメータ使用)がD65、融点が262℃、MFRが45g/10min、引張破壊伸びが35%、及び表面エネルギーが46.0mN/mである。
フッ素樹脂層を形成するフッ素樹脂として、PFA樹脂(三井・デュポンフロロケミカル社製 商品名:テフロン420HP−J)を用いた。このものは、引張弾性率が490MPa、硬度(タイプDデュロメータ使用)がD60、融点が310℃、MFRが40g/10min、引張破壊伸びが390%、及び表面エネルギーが17.8mN/mである。
PPS樹脂層を形成するポリフェニレンサルフィド樹脂として、DIC社製 品番:Z200-J1を用いた。このものは、引張弾性率が4200MPa、硬度(タイプDデュロメータ使用)がD85、融点が280℃、MFRが15g/10min、引張破壊伸びが50%、及び表面エネルギーが24.8mN/mである。
なお、材料特性は表1にも示す。
Figure 2012221587
<実施例2>
単層押出成形機を用い、最初に厚さ30μmのフッ素樹脂層を形成して一旦巻き取り、次にフッ素樹脂層の上に厚さ20μmのPA樹脂層を形成して再度巻き取り、最後にPA樹脂層の上に厚さ20μmのPPS樹脂層を形成し、フッ素樹脂層、PA樹脂層、及びPPS樹脂層を一層ずつ形成して絶縁被覆層を構成したことを除いて実施例1と同一構成の絶縁被覆集合線を実施例2とした。
<実施例3>
単層押出成形機を用い、最初に厚さ30μmのフッ素樹脂層を形成して一旦巻き取り、次にフッ素樹脂層の上に厚さ30μmのPPS樹脂層を形成し、フッ素樹脂層及びPPS樹脂層を一層ずつ形成して絶縁被覆層を構成したことを除いて実施例1と同一構成の絶縁被覆集合線を実施例3とした。
<比較例1>
単層押出成形機を用い、最初に厚さ20μmのPA樹脂層を形成して一旦巻き取り、次にPA樹脂層の上に厚さ30μmのフッ素樹脂層を形成し、PA樹脂層及びフッ素樹脂層を一層ずつ形成して絶縁被覆層を構成したことを除いて実施例1と同一構成の絶縁被覆集合線を比較例1とした。
<比較例2>
単層押出成形機を用い、厚さ30μmのフッ素樹脂層を形成して単層の絶縁被覆層を構成したことを除いて実施例1と同一構成の絶縁被覆集合線を比較例2とした。
<比較例3>
単層押出成形機を用い、厚さ20μmのPPS樹脂層を形成して単層の絶縁被覆層を構成したことを除いて実施例1と同一構成の絶縁被覆集合線を比較例3とした。
<比較例4>
単層押出成形機を用い、厚さ20μmのPA樹脂層を形成して単層の絶縁被覆層を構成したことを除いて実施例1と同一構成の絶縁被覆集合線を比較例4とした。
(試験評価方法)
<エッジワイズ曲げ性>
実施例1〜3及び比較例1〜4のそれぞれについて、絶縁被覆集合線の内周側の曲げ直径が、絶縁被覆集合線の断面積と等しい円の直径の5倍となるように、横方向にエッジワイズ曲げ加工を施した。そして、絶縁被覆層に亀裂が発生しなかったものを評価「良」、及び亀裂が発生したものを評価「不良」とした。
<耐軟化性>
実施例1〜3及び比較例1〜4のそれぞれについて、JISC3003.9に準じ、絶縁被覆層の耐え得る最大荷重を測定する試験を行った。そして、最大荷重が4.9N以上のものを評価「良」、及び最大荷重が4.9N未満のものを評価「不良」とした。
<耐熱性(熱収縮性)>
実施例1〜3及び比較例1〜4のそれぞれについて、JISC3003.20に準じ、温度指数を測定する試験を行った。そして、温度指数が180℃以上のものを評価「良」、及び温度指数が180℃未満のものを評価「不良」とした。
<絶縁被覆層と導体線の束との密着性>
実施例1〜3及び比較例1〜4のそれぞれについて、JISC3003.8に準じ、絶縁被覆層の浮いた長さを測定する試験を行った。そして、その長さが5mm未満のものを評価「A」、5mm以上10mm未満のものを評価「B」、及び10mm以上のものを評価「C」とした。
(試験評価結果)
表2は試験評価結果を示す。
Figure 2012221587
エッジワイズ曲げ性は、実施例1〜3、比較例2、及び比較例4が「良」、並びに比較例1及び3が「不良」であった。
耐軟化性は、実施例1〜3、比較例1、比較例3、及び比較例4が「良」、並びに比較例2が「不良」であった。
耐熱性(熱収縮性)は、実施例1〜3及び比較例1〜3が「良」、並びに比較例4が「不良」であった。
絶縁被覆層と導体線の束との密着性は、実施例1が「A」、実施例2が「C」、及び実施例3が「C」、並びに比較例1が「A」、比較例2が「C」、比較例3が「B」、及び比較例4が「A」であった。
本発明は、絶縁被覆集合線及びその製造方法、並びにそれを用いたコイルについて有用である。
10 絶縁被覆集合線
11 導体線
11a 導体線本体
11b 線材絶縁膜
12 絶縁被覆層
12a フッ素樹脂層
12b PPS樹脂層
12c PA樹脂層
13 結着材

Claims (6)

  1. 複数の導体線を並行に延びるように束ねて絶縁被覆層で被覆した絶縁被覆集合線であって、
    上記絶縁被覆層は、フッ素樹脂で形成されたフッ素樹脂層と、該フッ素樹脂層の外側に設けられたポリフェニルサルファイド樹脂で形成されたPPS樹脂層と、を有する絶縁被覆集合線。
  2. 請求項1に記載された絶縁被覆集合線において、
    上記絶縁被覆層は、上記フッ素樹脂層の内側に、上記導体線の束に接触するように設けられたポリアミド樹脂で形成されたPA樹脂層をさらに有する絶縁被覆集合線。
  3. 請求項2に記載された絶縁被覆集合線において、
    上記PA樹脂層を形成するポリアミド樹脂が半芳香族ポリアミド樹脂である絶縁被覆集合線。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載された絶縁被覆集合線において、
    上記複数の導体線のそれぞれは、導体線本体とその表面を被覆する線材絶縁膜とを有する絶縁被覆集合線。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載された絶縁被覆集合線を巻回してなるコイル。
  6. 複数の導体線を並行に延びるように束ね、それを被覆するように絶縁被覆層を押出成形で形成する絶縁被覆集合線の製造方法であって、
    上記押出成形で形成する絶縁被覆層は、フッ素樹脂で形成されたフッ素樹脂層と、該フッ素樹脂層の外側に設けられたポリフェニルサルファイド樹脂で形成されたPPS樹脂層と、を有する絶縁被覆集合線の製造方法。
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