JP2007059113A - 自動車用電線 - Google Patents

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伸司 亀井
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Abstract

【課題】現在の自動車用電線に比べて、軽量で細径かつ充分な引張り強度と良好な屈曲特性を有する自動車用電線を提供する。
【解決手段】伸びが30%以上、引張強度が920MPa以上で、直径が0.165mm±10%の範囲内で全て同じステンレス製素線3本を巻付けてなる芯線部と、引張強度が220MPa以上で、直径が0.165mm±10%の範囲内で全て同じ銅製素線を9本、相互に密着して前記芯線部の周囲に1重に螺旋状に巻付けてなる外周線部とを有していることを特徴とする自動車用電線。
【選択図】図1

Description

本発明は自動車用電線に関し、特にステンレス製素線からなる芯線部と銅製素線からなる外周線部とを有する構造とした自動車用電線に関する。
自動車の電装品の電気的接続等のために用いられる内部配線(ワイヤハーネス)用の電線は、細径であり、かつ電気抵抗が少なく、耐食性や端子との接触性も良好であるだけでなく、機械的特性が優れていること、即ち充分な引張り強度と良好な屈曲特性を有していることが要求される。そこで、単に耐食性と機械的性質が良好なステンレス製の細線と、導電性が良好な銅製の細線とを多数束ねてなる多芯線とするだけでなく、ステンレス製の細線を芯線としてその周囲に多数の銅製の細線を配置したり、さらにはステンレス製の細線と銅製の細線の断面積の比率を所定の範囲内にしたりする等の様々な発明がなされている(特許文献1)。
特開平9−147631号
しかしながら、近年の技術の進歩と競争の激化の下で、自動車用電線に要求される細径化、導電性、引張強度、屈曲特性等への水準あるいは要望は、益々厳しくなってきている。特に、近年の電子化の進展の下、乗用車、トラック、単車等自動車用電線の細径化への要求は非常に厳しくなっている。
このため、現在用いられている自動車用電線を、より軽量、細径のもので置き換えることが必要とされている。しかしながら、端子への接続作業時に加わる外力あるいは作業性、使用時に加わる振動等を考慮すると、引張強さや屈曲特性は、細径化しても現在用いられている自動車用電線と同等あるいはそれ以上必要とされ、たとえ細径化のために一部劣る面があるとしても大きな遜色があってはならないとされている。
また、公称断面積や公称径が同じであるならば、導電性は同等以上であり、引張り強度や屈曲特性は一層優れ、しかもより軽量な電線が要求されている。
また、多芯線の場合、その外周面に凹凸が生じ、このため絶縁被覆は厚くなりがちである。さらに、端子との接続のため工具で絶縁被覆を剥すときに、多芯線の外周面の凹凸で形成された凹み内に線状の絶縁被覆が残らないようにするためにはある程度絶縁被覆を厚くする必要がある。特に、難燃剤を含む絶縁被覆の場合にそうである。
このため、凹凸等がなく、絶縁被覆は薄く、その分直径が細く軽量であり、しかも低コストの電線が望まれていた。
本発明は、以上の要望を充たすためなされたものであり、芯線を所定の特性を有するステンレス製の3本の細線(以下、「ステンレス製素線」と記載する)からなるものとし、その周囲に9本の所定の特性を有する銅製の細線(以下、「銅製素線」と記載する)を1重かつ相互に密接して螺旋状に巻付けものである。
また、ステンレス製素線も巻付け、さらに銅製素線との断面積(直径)の比率や巻付けのピッチ等にも工夫を凝らしたものである。
さらに、芯線部に銅製素線を巻付けた電線を外から中心方向に圧縮し、細径化したものである。またこれに併せて、絶縁被覆を薄くしたものである。
以下、各請求項の発明を説明する。
請求項1に記載の発明は、伸びが27%以上、引張強度が920MPa以上のステンレス製素線3本からなる芯線部と、
引張強度が220MPa以上で、相互に同じ断面積の銅製素線を9本、相互に密着して前記芯線部の周囲に1重に螺旋状に巻付けてなる外周線部とを有していることを特徴とする自動車用電線である。
本請求項の発明においては、伸びが大きく強度の高いステンレス製素線からなる芯線部が主に引張力を受持ち、純銅や電気銅等の導電性が良好な銅製素線からなる外周線部が主に導電性を受持ち、いずれの性質も優れたものとなる。
そして、ステンレス製素線および銅製素線は各々、伸び、引張強度、直径、本数について適切に定められているため、導電性、引張強さ、屈曲特性に優れかつ細径で軽量となる。
また、銅とステンレスからなるため、耐食性に優れる。
また、銅製素線はステンレス製の芯線部の外周に螺旋状に巻付いているため、ばねやコイルと同じく屈曲時に発生する応力が小さくなるため、屈曲特性が優れたものとなる。
さらに、激しく繰返される振動時に発生する応力もステンレス製素線が受け持つので耐振動性も優れたものとなる。
また、銅製素線のみが外周にあるため、端子との接触性が優れたものとなる。
なお、ステンレス製素線の(破断)伸びと引張(破断)強度は、いずれも大きいほど好ましいが、相互に相容れない面があり(引張強度が大なら、伸びは小さくなる)、コストとの兼ね合いもあるため、伸びは27%以上、引張強度は920MPa以上としたものであり、伸びは30%以上、引張強度は940MPa以上あるのがより好ましい。具体的には,SUS304やSUS316の細線である。
請求項2に記載の発明は、前記の自動車用電線であって、
前記芯線部は、同じ断面積のステンレス製素線が巻付けられてなることを特徴とする自動車用電線である。
本請求項の発明においては、芯線が1本の線の場合には、端子への圧着時に硬い芯線が端子に直接接触するいわゆる突き当りが生じる恐れがあるが、本発明では3本の線が巻付けてなる芯線部であるため、断面積が同じでも実質的に太くなり、しかも外周の銅製素線は相互に密着し、かつ芯線部に巻付けられているため、突き当たりが生じる恐れは少なく、端子との良好な電気的接触が確保される。
また、芯線部は巻付けられているため、屈曲時に発生する曲げ応力も少なくなり、屈曲特性が向上する。
請求項3に記載の発明は、前記の自動車用電線であって、前記芯線部と前記外周線部は、各素線の巻付けのピッチが異なっていることを特徴とする自動車用電線である。
本請求項の発明では、芯線部のステンレス製素線間の凹部に外周線部の銅製素線が落込むことがなくなる。このため、銅製素線の巻付けが容易になる。
請求項4に記載の発明は、前記の自動車用電線であって、前記外周線部の銅製素線の螺旋状の巻付けのピッチは、前記芯線部のステンレス製素線の巻付けのピッチより大きいことを特徴とする自動車用電線である。
本請求項の発明では、過度の巻付けで銅製素線が過度に長くならないので、同じ長さの自動車用電線では、電気抵抗もその分増加しない。
請求項5に記載の発明は、前記の自動車用電線であって、前記ステンレス製素線の断面積の合計をAとし、前記銅製素線の断面積の合計をBとしたとき、17%≦{A/(A+B)}≦34%であることを特徴とする自動車用電線である。
本請求項の発明では、自動車用電線として、導電性、引張り強度、屈曲特性の兼ね合いが優れたものになる。
なお、用途に応じて銅製素線とステンレス製素線の断面積を変化させ、当該用途に最も好ましい導電性と引張強度の自動車用電線としてもよいのはもちろんである。
請求項6に記載の発明は、前記の自動車用電線であって、前記ステンレス製素線と銅製素線は、各素線の断面積が同じであることを特徴とする自動車用電線である。
本請求項の発明においては、ステンレス製素線は3本、銅製素線は9本かついずれも同じ断面積であるため、ステンレス製素線の断面積の合計が導電部の断面積の25%になり、導電性、引張強度、屈曲特性のバランスが優れた自動車用電線になる。
請求項7に記載の発明は、前記の自動車用電線であって、前記ステンレス製素線および銅製素線は、直径が0.165mm±10%の範囲内の細線であることを特徴とする自動車用電線である。
本請求項の発明では、公称断面積が0.22mm程度の導電性、引っ張り強度、屈曲特性のバランスが優れた自動車用電線になるだけでなく、現在の公称断面積が0.5mm程度の自動車用電線に代えて使用するのに適したものとなる。
また、小さな力で大きく曲げることが出来るので、狭い自動車内での配線も楽になる。
請求項8に記載の発明は、前記の自動車用電線であって、伸びが30%以上、引張強度が920MPa以上で、直径が0.165mm±10%の範囲内で全て同じステンレス製素線3本を巻付けてなる芯線部と、
引張強度が220MPa以上で、直径が0.165mm±10%の範囲内で全て同じ銅製素線を9本、相互に密着して前記芯線部の周囲に1重に螺旋状に巻付けてなる外周線部とを有していることを特徴とする自動車用電線である。
本請求項の発明は、請求項1から請求項7までの発明の内、最良の形態の発明を1つの発明として捉えたものであり、公称断面積が0.22mm程度の導電性、引っ張り強度、屈曲特性のバランスが優れた自動車用電線になるだけでなく、現状の公称断面積が0.5mm程度の自動車用電線に代えて使用するのに適した自動車用電線となる。
請求項9に記載の発明は、前記の自動車用電線であって、前記外周線部の合計断面積が、0.16mm〜0.23mmの範囲内であることを特徴とする自動車用電線である。
本請求項の発明でも、公称断面積が0.22mm程度の導電性、引張り強度、屈曲特性のバランスが優れた自動車用電線になるだけでなく、現状の公称断面積が0.5mm程度の自動車用電線に代えて使用するのに適したものとなる。
請求項10に記載の発明は、前記の自動車用電線であって、前記芯線部を構成するステンレス製素線は、直径が0.165mm±10%の範囲内であり、
前記外周線部を構成する銅製素線は、直径が0.165mm±10%の範囲内の線材相当の断面積を有し、さらに9本の銅製素線全体の断面形状がパイプ状に形成されていることを特徴とする自動車用電線である。
本請求項の発明においては、銅製素線がパイプ状に形成されているため、外径が細くなり、狭い自動車内での配線性が向上する。
また、外周線部の表面の凹凸が少なくなるため、現場工事で絶縁被覆を剥した際に外周の銅製素線間の凹部内に細い糸状に絶縁被覆が残ることがなく、その防止のために絶縁被覆を厚くしておく必要がない。このことと、表面に凹凸がないことからも、一層絶縁被覆を薄くし得るため、より細く、軽量な自動車用電線とし得る。
請求項11に記載の発明は、前記の自動車用電線であって、前記外周部を構成する9本の銅製素線全体の断面形状の形成が、外周から前記芯線部の方向への圧縮によることを特徴とする自動車用電線である。
本請求項の発明では、前記9本の銅製素線全体の断面形状の形成が、9本の銅製素線全体を一度に外部から前記芯線部方向へ圧縮することによりなされるため、予め成形した銅製素線を巻付けるの等の成形と異なり、より緊密で整然とした断面の形状になる。
請求項12に記載の発明は、前記の自動車用電線であって、前記外周線部の外周に、厚さ0.33mm以下の絶縁被覆を有していることを特徴とする自動車用電線である。
本請求項の発明は、絶縁被覆内に難燃剤が添加されていても、現場工事で絶縁被覆を剥した際に、絶縁被覆の一部が外周線部に糸状に取り残されることがなく、かつ薄いため、作業性が良好、軽量かつ細径の自動車用電線になる。
請求項13に記載の発明は、前記の自動車用電線であって、前記絶縁被覆の厚さが、0.2mm±10%の範囲内であることを特徴とする自動車用電線である。
本請求項の発明においては、絶縁被覆が薄いこともあり、より一層細径で軽量な自動車用電線となる。
本発明においては、芯線(部)を3本の細径のステンレス製素線としているため、充分な引張り強度を保持しつつ極めて良好な屈曲特性をも有する自動車用電線となる。
また、芯線部の外周には、銅製素線を相互に密着しかつ巻付けた外周線部が配置されているため、端子への圧着時に硬い芯線が端子に直接接触するいわゆる突き当りが発生する恐れが少なくなる。また、芯線部の3本のステンレス製素線を巻付けた芯線部とすると、突き当りは一層生じ難くなる。ひいては端子との良好な電気的接触が確保される。
また、外周部には導電性が良好な銅製の素線のみ配置されているため、端子との接触性が一層優れた自動車用電線となる。
また、引張力に対しては全素線が一体的に受持つため充分な引張強度を有し、この一方曲げに対しては個々の素線ごとに曲がり、しかも螺旋状に巻付けられているとなおさら発生する応力は小さくなり、この結果自動車用電線全体としても、小さな力で大きく屈曲し、屈曲疲労強度(対屈曲回数)も高くなる。
また、芯線部方向への圧縮により、銅製の素線のみからなる外周線部の外表面をほぼ平滑とすると、その外周にある絶縁被覆層の膜を薄くすることができ、細径化と軽量化の両面から一層優れた自動車用電線となる。さらに、端子に接続するため絶縁被覆を剥がす際に、銅線の外表面は平滑であるため、通常の多芯線のごとく細線間の窪み内に絶縁被覆が残ることがなく、作業が楽になり、また端子との電気的接触性も一層優れたものとなる。
さらに、具体的な効果の1例を挙げれば、本発明の公称断面積が0.22mmの電線を、従来の公称断面積が0.5mmの電線(AVSSH0.5mm)に代えて自動車のセンサー、信号回路に使用すると、エンジンハーネス重量は15パーセント以上の軽量化が可能になる。
以下、本発明をその最良の実施の形態に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、以下の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
(第1の実施の形態)
(全体構成)
先ず、本実施の形態の自動車用電線の全体構成について説明する。
図1に、本実施の形態の自動車用電線10の完成状態の横断面を概念的に示す。図1において、20は合計3本のステンレス製素線21からなる芯線部であり、30は合計9本の銅製素線31を密着させてなる外周線部であり、40は絶縁被覆である。
この自動車用電線10は、芯線部20の各ステンレス製素線21と外周線部30の各銅製素線31の横断面はほぼ円形のままである。
以下、この自動車用電線の各部の構造や製造方法について、その特徴を中心に順に説明する。
(芯線部)
芯線部20は、直径0.165mmのステンレス製素線21を、3本螺旋状に巻付けたものであり、巻付けのピッチは12mm(12mmで1回転する)である。なお、螺旋状に巻付けているため、断面は厳密には真円ではないが、相違が少ないので円にして描いている。そしてこれは、銅製素線31でも同じである。
ここに、ステンレスとしてはコスト、引張強度、伸びの面からSUS304(18−8ステンレス)のなまし線材を使用している。
なおこのステンレス素線は、加工前において、引張強度は940MPa以上あり、伸びは少なくとも30%ある。
なお、ステンレスとしては、SUS316を用いることも好ましい。
(外周線部)
外周線部30は、芯線部20の外周に直径0.165mmの銅製素線31を9本全て同じ方向かつ相互に密着して1重に螺旋状に巻付けたものである。またこのため、この自動車用電線の横断面は、円形に近い三角形になっている。
なお、銅製素線31の巻付けの方向は芯線部20の巻付けの方向と同じであるが、ピッチは18mmである。ここに、ピッチを大きくしたのは、ステンレス製素線21間の凹部に銅製素線31が落込まないようにするためである。
また、銅製素線31は純銅であり、引張破断強度は、220MPa以上である。なお、銅製素線は、電気銅でもよい。
(絶縁被覆)
本実施の形態では、外周線部を圧縮していないため外周線部30の外表面は、平坦でない。
絶縁被覆40は、オレフィン系ポリマー100重量部に対して、難燃剤として水酸化マグネシウムを140〜200重量部含ませたものであり、銅製素線31の外周部を0.3mmの厚さで覆うように被覆している。
ここに、最低でも0.3mmの膜厚さとしたのは、現場作業で絶縁被覆を剥すときに、銅製素線間にいわば髭状の取残しが発生しないようにするためである。
具体的なオレフィン系ポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。
なお、被覆材料としては前記のノンハロゲンのものが好ましいが、PVC被覆やハロゲン系難燃剤を用いたオレフィン系ポリマーを用いることもできる。
(曲げ疲労試験結果)
以上の構造の電線の屈曲破断試験を行った。試験方法は、20℃の恒温槽内において、電線の下端に重さ250gの分銅を吊るし、R=6mmのマンドレル(円筒)で電線を軽く挟み込み、マンドレルの外周部に沿って電線を左右に90度ずつ屈曲させ、1往復を1回として60回/分の速度で試験を行った。その上で、500回ごとに、ステンレス製素線または銅製素線のいずれかが破断しているか否かを検査した。
試験結果は、1000回までは異常がなく、1500回で始めて銅製素線が1本破断していた。なお、2000回では、全ての素線が破断していたが、充分な曲げ疲労強度を有していることが確認できた。
(引張試験結果)
自動車用のハーネス組立の強度(引張破断荷重)規定は、圧着部強度が最も厳しい。そして、公称断面積が0.5mmの場合には、70N以上とされる。ところが、端子圧着では、一般的に強度は70%に低下するため、最低100Nの導体強度が必要となる。
本実施の形態の自動車用電線は、引張り試験の結果導体強度は充分であった。
また、絶縁被覆が0.25mmの単体破断強度は118N、電線破断強度は133Nであった。
(外径と重量)
外径は、1.15mmである。
重量は、3.0g/mである。
絶縁被覆の厚さは0.25mm、最小で0.20mmであり、充分な強度を保持しながら細径化、軽量化を達成している。
(比較例1)
従来の公称断面積が0.5mmの自動車用電線は、外径0.19mmの銅線を19本束ねたものである。
この電線は、引張破断加重は140N以上あり、また屈曲試験では1000回までは断線せず、1500回では11本が破断した。このため、機械的強度の面からは、本発明の実施例に遜色はない。しかしながら、電線の外径は1.6mmもあり、重量は7.1g/mmである。
(比較例2)
外径0.215mmの純銅製素線を、1本の素線の外周に6本を巻付け、圧縮にて一体化し、さらに厚さ0.2mmの絶縁材を被覆した電線を試作した。
この、電線は、外径こそ0.95mmと細かったが、引張破断加重は65Nと低かった。
(比較例3)
外径0.203mmのステンレス製素線の外周に、同じく外径0.203mmの銅製素線を6本螺旋状に巻付けた自動車用電線を製作した。
引張強度が76Nしかなかった。また、曲げ疲労強度も、本発明の実施の形態に比較して多少低いようである。ステンレス製素線の断面積が、銅製素線を含めた金属部の全断面積に対して占める比率が14%と低いのが原因と判断される。
(比較例4)
外径0.280mmのステンレス製素線の外周に、同じく外径0.175mmの銅製素線を8本巻きつけた自動車用電線を製作した。
引張強度は、110N程度はあり、要求を充たした。ステンレス製素線の断面積が、銅製素線を含めた金属部の全断面積に対して占める比率が24%程度あるからと思われる。しかし、ステンレス製素線の直径が大きいため、曲げ疲労強度が低下した。
さらに、端子への接続試験では、ステンレス製素線が直接端子に接触する、いわゆる底突きが発生した。
(第2の実施の形態)
本実施の形態は、図1に示す電線の外周線部の銅製素線31を押圧により一体化したものである。図2に、圧縮後の状態の芯線部20と外周線部30の様子を概念的に示す。図2において、32は一体化後の銅製素線、即ち外周線部を構成する素線である。
銅製素線31は、引張強度230MPaの純銅であり、比較的柔らかい材質である。このため、ダイスを使用しての外部からの芯線方向への圧縮(押圧)により容易に一体化され、図2に概念的に示すように、外周側が多少膨らんだほぼ等辺台形になる。
また、純銅や電気銅に比較して、ステンレスはずっと硬い(ヤング率が大きい)。これらのため、強制的にダイスの細孔を通過させた圧縮時に、銅製素線32と異なり、ステンレス製素線21は線方向に多少伸びはするものの、断面の形状は大きくは変化しない。この一方で、銅製素線との密着および他のステンレス製素線との密着は適度になされることとなる。
また、外周線部30表面の凹凸が少ないため、図2では示していないが、絶縁被覆も0.25mm程度で済む。
本発明の第1の実施の形態の電線の完成状態の断面を、概念的に示す図である。 図1に示す電線の外周線部の圧縮後の状態を、概念的に示す図である。
符号の説明
10 第1の実施の形態の自動車用電線
20 芯線部
21 ステンレス製素線
30 外周線部
31 銅線素線(圧縮後)
32 銅製素線(圧縮前)
40 絶縁被覆

Claims (13)

  1. 伸びが27%以上、引張強度が920MPa以上のステンレス製素線3本からなる芯線部と、
    引張強度が220MPa以上で、相互に同じ断面積の銅製素線を9本、相互に密着して前記芯線部の周囲に1重に螺旋状に巻付けてなる外周線部とを有していることを特徴とする自動車用電線。
  2. 前記芯線部は、同じ断面積のステンレス製素線が巻付けられてなることを特徴とする請求項1に記載の自動車用電線。
  3. 前記芯線部と前記外周線部は、各素線の巻付けのピッチが異なっていることを特徴とする請求項2に記載の自動車用電線。
  4. 前記外周線部の銅製素線の螺旋状の巻付けのピッチは、前記芯線部のステンレス製素線の巻付けのピッチより大きいことを特徴とする請求項3に記載の自動車用電線。
  5. 前記ステンレス製素線の断面積の合計をAとし、前記銅製素線の断面積の合計をBとしたとき、17%≦{A/(A+B)}≦34%であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の自動車用電線。
  6. 前記ステンレス製素線と銅製素線は、各素線の断面積が同じであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の自動車用電線。
  7. 前記ステンレス製素線および銅製素線は、直径が0.165mm±10%の範囲内の細線であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の自動車用電線。
  8. 伸びが30%以上、引張強度が920MPa以上で、直径が0.165mm±10%の範囲内で全て同じステンレス製素線3本を巻付けてなる芯線部と、
    引張強度が220MPa以上で、直径が0.165mm±10%の範囲内で全て同じ銅製素線を9本、相互に密着して前記芯線部の周囲に1重に螺旋状に巻付けてなる外周線部とを有していることを特徴とする自動車用電線。
  9. 前記外周線部の合計断面積が、0.16mm〜0.23mmの範囲内であることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の自動車用電線。
  10. 前記芯線部を構成するステンレス製素線は、直径が0.165mm±10%の範囲内であり、
    前記外周線部を構成する銅製素線は、直径が0.165mm±10%の範囲内の線材相当の断面積を有し、さらに9本の銅製素線全体の断面形状がパイプ状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6および請求項9のいずれかに記載の自動車用電線。
  11. 前記外周部を構成する9本の銅製素線全体の断面形状の形成が、外周から前記芯線部の方向への圧縮によることを特徴とする請求項10に記載の自動車用電線。
  12. 前記外周線部の外周に、厚さ0.33mm以下の絶縁被覆を有していることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の自動車用電線。
  13. 前記絶縁被覆の厚さが、0.2mm±10%の範囲内であることを特徴とする請求項12に記載の自動車用電線。
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