JP6186920B2 - 過給機用スクロールハウジングの製造方法 - Google Patents
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ところで、鋳造段階で例えば割型が浮いていた場合(素材原因)、機械加工段階で例えばNC機械の加工精度が悪かった場合(加工原因)、加工後の製品に寸法誤差が生じる。しかしながら、従来手法では、加工基準を加工してしまうため、加工後に寸法誤差が生じた場合に、素材原因か加工原因かの判断がつかなかった。
この手法を採用することによって、本発明では、上下に分割可能な割型で鋳型を形成し、その鋳型のうち下型により形成された成型体の黒皮面に加工基準を設定する。機械加工工程では、加工基準を黒皮面に設定し、当該加工基準以外の部分を機械加工するため、加工基準を残すことができ、NC機械等の加工精度等の加工原因を判断することができる。また、鋳造工程では、鋳型の下型は安定的に接地しており、上型のように浮くことがないため、下型により形成された成型体の黒皮面に加工基準を設定することにより、上型の浮き等の素材原因を判断することができる。
この手法を採用することによって、本発明では、成型体の外表面に加工基準を設定することにより、スクロール流路を形成する中子(成型体の内表面)で加工基準を取るよりも容易に加工基準を取ることができる。
この手法を採用することによって、本発明では、成型体の重心を囲うように加工基準を複数設定することにより、成型体を安定的に保持することができる。
この手法を採用することによって、本発明では、スクロール流路に対応する外表面に突出するリブに加工基準を設定することにより、加工基準を最外径付近に設定することができる。また、リブは平面部を有しているため、形状を変更することなく容易に加工基準を設定することができる。
この手法を採用することによって、本発明では、断熱カバー自体の断熱性能を増大させることなく、スクロールハウジングの断熱性能を向上させる機能を有するリブに、寸法誤差が素材原因か加工原因かを判断することのできる機能を付与することで、構造の簡略化を図ることができる。
図1は、本発明の第1実施形態における過給機1の全体構成図である。
過給機1は、内燃機関等から排気される排気ガスを受けて回転動力を得るタービン2と、タービン2によって得られた回転動力を伝達する軸部3と、軸部3から伝達される回転動力によって空気を圧縮するコンプレッサ4とを備えている。
タービンハウジング2aの製造方法は、大別して、鋳型を用いて成型体を得る鋳造工程と、成型体の寸法調整を行う機械加工工程と、からなる。
鋳造工程では、先ず、タービンハウジング2aの形状に応じた鋳型10を形成する。鋳型10は、上主型11と、下主型12と、中子13,14と、を有する。
鋳造工程を経て、図3に示すような成型体20が得られる。次の機械加工工程では、成型体20の機械加工部21,22,23を削ることで、寸法調整を行う。機械加工工程では、成型体20を図示しない台座に固定し、NC機械等を用いて加工を行う。
図4は、本発明の第1実施形態における成型体20の加工基準Aの配置を示す図である。なお、図4は、図3における矢視X図に対応する。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図5〜図7に示すように、第2実施形態では、気体を渦巻き状に流動させるスクロール流路4dを備えるコンプレッサハウジング(過給機用スクロールハウジング)4aの製造方法について説明する。
鋳造工程では、先ず、コンプレッサハウジング4aの形状に応じた鋳型30を形成する。鋳型30は、図5に示すように、上主型31と、下主型32と、中子33,34と、を有する。
機械加工工程では、先ず、成型体40の加工基準Aを設定する。本実施形態では、鋳型30のうち下主型32により成型された成型体40の黒皮面(外表面4a1)に加工基準Aを設定する。
図8(b)に示すように、別実施形態におけるコンプレッサハウジング4aの成型体40では、ディフューザー4e(図1参照)が配置される溝4e1に加工基準Aを設定している。加工基準Aは、溝4e1よりも凹んで形成された凹部4e2に設定されている。凹部4e2は、成型体40の機械加工がされない黒皮面である。
この別実施形態によれば、凹部4e2をスクロール流路4dと共に中子33(図5参照)で形成すれば、中子33基準で加工基準Aを取ることができため、スクロール流路4dとコンプレッサインペラ4bとの関係を最適に調整することが容易になる。
図9(b)に示すように、もう一つの別実施形態におけるコンプレッサハウジング4aの成型体40では、スクロール流路4dに対応する外表面4a1に、軸方向に突出して形成された突起部4gに加工基準Aを設定している。突起部4gは、成型体40の機械加工がされない黒皮面である。
この別実施形態によれば、図9(b)に示すように、突起部4gの高さを調整することで加工基準Aを同一平面上に設定することができるため、機械加工のし易さ(クランプのし易さ)を向上させることができる。また、図9(a)に示すように、突起部4gの配置を任意に設定することで、加工基準Aを頂角とする三角形の重心Bを、成型体40の重心44にできるだけ一致するような配置にすることも可能となる。
Claims (4)
- 気体を渦巻き状に流動させるスクロール流路を備える過給機用スクロールハウジングの製造方法であって、
前記スクロール流路に対応する形状の中子を上下に分割可能な割型内に設置して鋳型を形成し、該鋳型に基づく成型体を得る鋳造工程と、
前記鋳型のうち下型により成型された前記成型体の黒皮面に加工基準を設定し、該加工基準以外の部分を機械加工することにより寸法調整を行う機械加工工程と、を有し、
前記機械加工工程では、前記成型体の外表面に前記加工基準を設定する、ことを特徴とする過給機用スクロールハウジングの製造方法。 - 前記機械加工工程では、前記成型体の重心を囲うように前記加工基準を複数設定する、ことを特徴とする請求項1に記載の過給機用スクロールハウジングの製造方法。
- 前記成型体は、前記スクロール流路に対応する外表面に、前記スクロール流路に沿って径方向に突出して形成されたリブを有しており、
前記機械加工工程では、前記リブに前記加工基準を設定する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の過給機用スクロールハウジングの製造方法。 - 前記リブは、断熱カバーを被せたときに、前記外表面と前記断熱カバーとの間に空気層を形成するものである、ことを特徴とする請求項3に記載の過給機用スクロールハウジングの製造方法。
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