本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当する部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
[風呂システムの構成]
図1は、この発明の実施の形態に従う浴槽洗浄システムを適用した風呂システムの全体構成図である。なお、図1は、浴槽洗浄システムにより浴槽を洗浄するときの風呂システムの構成を示している。
図1を参照して、風呂システムは、建物1の内部に設けられた浴室2と、熱源機となる給湯器3とによって構成される。浴室2の内部には、浴槽40および洗浄ユニット10が設置されている。浴室2の外部または建物1の外部には給湯器3が設置されている。浴室2の外部にはさらに、洗浄ユニット10に電力を供給するための電源装置4が設置されている。電源装置4は、商用電源から供給される交流電力を洗浄ユニット10の駆動に適した電力に変換して洗浄ユニット10に供給する。
なお、本実施の形態では、電源装置4から洗浄ユニット10のみに電力を供給する構成について例示したが、電源装置4を、洗浄ユニット10に加えて、給湯器3などの各負荷に電力を供給する構成としてもよい。
給湯器3は、給湯機能、湯張り機能および追い焚き機能を備えた熱源機である。本実施の形態による給湯器3は、1缶2水式に構成される。すなわち、給湯器3は、図示は省略するが、給湯熱交換器および風呂熱交換器が1つの缶体内に配設されて共通の熱源である燃焼バーナにより熱交換加熱されるように構成されている。なお、給湯器3は、湯張り機能および追い焚き機能を備えない構成であってもよい。
給湯器3は、給湯熱交換器に接続された給水管70および出湯管72と、風呂熱交換器および浴槽40内の循環アダプタ42の間に接続された往き管74および戻り管76とを備える。給水管70および出湯管72は給湯管路を構成し、往き管74および戻り管76は追い焚き機能を実現するための循環管路を構成する。
給湯器3は、水道水等の給水を給水管70から受けて給湯熱交換器において燃焼バーナの燃焼熱との熱交換加熱により所定温度まで加熱した湯を出湯管72から出湯させる。出湯管72の端末には、給湯使用するためのカラン73やシャワーヘッド等の給湯栓(図示せず)が接続されている。また、給湯器3は、浴槽40から循環管路を介して給湯器3に戻された浴槽湯水を風呂熱交換器において燃焼バーナの燃焼熱との熱交換加熱により所定温度まで追い焚き加熱し得るようになっている。
給湯器3には、給湯器3の動作を制御するための制御部(図示せず)が設けられており、この制御部によって給湯運転、湯張り運転、追い焚き運転等が制御される。制御部には、給湯器3を遠隔操作するためのリモコン(以下、「給湯器リモコン」とも称する)が通信線5により接続されている。図1では「給湯器リモコン」の一例として、台所リモコン7および浴室リモコン9を示している。台所リモコン7および浴室リモコン9には、運転スイッチ、湯張りスイッチ、追い焚きスイッチ、タッチパネル等が設けられている。タッチパネルには、その画面上をタッチ操作することにより、給湯設定温度、湯張り設定温度等を入力設定するための操作画面が表示される。ユーザは給湯器リモコン7,9によって湯張りや追い焚き運転の入力操作を行なうことができる。
浴槽40には、その側壁の所定位置に循環アダプタ42が設置され、底壁に自動開閉駆動制御式の排水栓44および洗浄ノズル60が設置されている。また、浴槽40の上面側のフランジ壁には、開閉駆動機構46および洗剤タンク50が設置されている。循環アダプタ42には、循環管路の往き管74および戻り管76がそれぞれ接続され、循環アダプタ42を介して浴槽40内の浴槽湯水が戻り管76に吸引される一方、往き管74から浴槽40内に浴槽湯水が吐出される。排水栓44は、開閉駆動機構46からの開閉駆動力の伝達を受けて開閉動作を行なう。開閉駆動機構46には、排水栓44が開状態か閉状態かを検知するためのセンサが設けられており、当該センサの出力信号および図示しない所定の操作部からの入力信号に基づいて開閉駆動機構46が排水栓44の開閉動作を制御する。開閉駆動機構46によって排水栓44が開状態とされると、浴槽40内の湯水が浴室2の底部に排出され、続いて浴室2の排水口(図示せず)から排水される。
[浴槽洗浄システムの構成]
浴槽洗浄システムは、洗浄ユニット10によって浴槽40内に湯水や洗剤液を噴出させることにより浴槽40を自動洗浄する浴槽洗浄運転を行なう。なお、洗浄ノズルを浴室2の壁面または上部にさらに設置することにより、浴室2を構成する壁面および床面等の浴室部材も洗浄し得るように構成してもよい。
浴槽洗浄システムは、浴槽40の底壁に設置された洗浄ノズル60と、洗浄ノズル60に湯水を供給する洗浄管78と、湯水に洗剤液を混入するための洗剤供給管54と、洗剤原液を貯留する洗剤タンク50と、給湯器3と浴槽40との間に設けられた洗浄ユニット10と、電源装置4の内部に収容された制御部100と、洗浄ユニット10を遠隔操作するための洗浄リモコン8とを備える。
洗浄ノズル60は、浴槽40の底壁を貫通して設置され先端開口(上面開口)から浴槽40の内側壁や浴槽40外に向けて所定範囲の広がりをもって湯水又は洗剤液を噴出するように構成されている。なお、洗浄ノズル60として、図1では1つのみを示しているが、浴槽40のサイズや洗浄対象の浴室部材等に応じて、2以上を所定配置にて設置することができる。
洗浄管78は、一端が洗浄ノズル60に接続され、他端が給湯器3の出湯管72から引き出された接続管75に接続されている。洗剤供給管54は、洗剤タンク50の下部から延出されて洗浄管78の途中に接続される。洗剤タンク50は、浴槽40の上面側のフランジ壁に設置されている。洗剤タンク50の上部にはフランジ壁上に露出された洗剤補給口が設けられている。
洗浄ユニット10は、浴槽40の外周部等に設置され、給湯器3から湯水の供給を受けて浴槽40内に洗剤液や湯水を噴出させて浴槽40を自動洗浄する。図1において、洗剤液および湯水が流れる経路を太線で示している。
制御部100は、図示しないマイクロコンピュータ、メモリおよびタイマ等により構成される。制御部100は、メモリに記憶された洗浄ユニット10の制御用プログラムをマイクロコンピュータに実行させることにより、浴槽洗浄運転の動作を制御する。制御部100には、洗浄ユニット10を遠隔操作するための洗浄リモコン8が通信線6により接続されている。制御部100は、洗浄リモコン8との間で各種信号の送受信を行なう。ユーザが洗浄リモコン8を用いて浴槽洗浄運転の実行を入力操作することにより、制御部100は浴槽洗浄処理を実行する。
以下、図2を参照して、洗浄ユニット10についてさらに説明する。
[洗浄ユニットの構成]
図2を参照して、洗浄管78には、接続管75と接続する上流側から順に、入水金具12、水ガバナ弁14、サーミスタ16、水量センサ18、注湯電磁弁20、逆止弁22、逆流防止弁26、逆止弁24、大気開放弁28、逆止弁30、洗剤電磁弁32、および洗剤混入部34が介装されている。
入水金具12に接続管75が連結されることにより、洗浄管78および接続管75が接続される。出湯管72を通して給湯器3から供給される湯水が洗浄管78に流入する。水ガバナ弁14は、洗浄管78内の水圧を一定にする。
サーミスタ16は、洗浄管78内を流れる湯水の温度を検出して検出信号を制御部100に出力する。水量センサ18は、給湯器3の出湯管72から洗浄管78に供給される湯の流量を検出して検出信号を制御部100に出力する。
注湯電磁弁20は、制御部100からの制御指令により作動して洗浄管78の流路を開閉する。具体的には、制御部100からの開指令に応答して注湯電磁弁20が開弁することにより、給湯器3の出湯管72から供給された湯水が接続管75を介して洗浄管78内に導入される。洗浄管78に導入された湯水は、水ガバナ弁14によって一定の水圧に制御されて洗浄管78を流れ、洗浄ノズル60から浴槽40内に向けて噴出される。これにより、浴槽40内のすすぎ洗浄が行なわれる。
一方、制御部100からの閉指令に応じて注湯電磁弁20が閉弁することにより、洗浄管78への湯水の供給が遮断される。注湯電磁弁20は、洗浄管78の流路を開閉可能な開閉弁の代表例として用いられる。すなわち、全開と全閉との切替えが可能に構成された弁であれば、任意の形式の開閉弁を注湯電磁弁20に代えて適用することができる。
逆止弁22,24は、接続管75から洗浄管78への方向の湯水の通過を可能とし、洗浄管78から接続管75への方向の湯の通過を不能とする。
逆流防止弁26は、風呂の雑水と上水とを縁切りするための安全装置である。逆流防止弁26は、上水の給水元側の圧力(1次圧)と供給先側の圧力(2次圧)との圧力差により通常はオーバーフロー口を閉止するものである。また逆流防止弁26は、断水などで給水元側に負圧が発生すると開弁し、オーバーフロー口から雑水を洗浄ユニット10の外部へ排出する。オーバーフロー口は、図示しない配管を通じて洗浄ユニット10の排水部に接続されている。
大気開放弁28は、洗浄管78に洗浄水が流れていない状態で洗浄管78内を大気に連通し、洗浄管78内に洗浄水が流れている状態で大気との連通を遮断する。逆止弁30は、洗剤混入部34の上流側に設けられている。逆止弁30は、これより上流側に洗剤液が逆流することを防止している。
洗剤混入部34は、ベンチュリ管により構成される。洗剤混入部34には洗剤供給管54の下流端が連通接続されている。洗剤供給管54の上流端は洗剤タンク50に連通接続される一方、洗剤供給管54の途中には洗剤電磁弁32が介装されている。洗剤電磁弁32は、制御部100からの制御指令により作動して洗剤供給管54の流路を開閉する。具体的には、制御部100からの開指令に応答して洗剤電磁弁32が開弁することにより、洗剤タンク50から供給される所定量の洗剤原液が、洗剤混入部34において、洗浄ノズル60に向けて通過する湯水に対して負圧吸引作用により混合されて洗剤液が生成される。そして、この洗剤液が洗浄ノズル60から浴槽40内に向けて噴出される。これにより、浴槽40内の洗剤洗浄が行なわれる。
一方、制御部100からの閉指令に応答して洗剤電磁弁32が閉弁することにより、洗剤混入部34への洗剤原液の供給が遮断される。すなわち、洗剤電磁弁32を開状態にする開弁時間の長短によって1回の洗浄に対する洗剤供給量の調整が可能となっている。なお、洗剤タンク50の内部には、洗剤原液の液位を検知するためのフロートスイッチ52が設けられており、所定の液位まで低下したことを検知して制御部100に出力するように構成されている。
洗浄リモコン8は、運転スイッチ、洗浄スイッチ、表示部および音声出力部を含む。運転スイッチは、洗浄ユニット10の運転/停止を選択するためのスイッチである。運転スイッチを「入(ON)」にすることにより、浴槽洗浄運転が許可された状態、すなわち洗浄スイッチの操作の受付け可能状態となる。一方、運転スイッチを「切(OFF)」にすることにより、浴槽洗浄運転が禁止された状態、すなわち、洗浄スイッチの操作を受付けない状態となる。
洗浄スイッチは、浴槽洗浄運転の実行/停止を選択するためのスイッチである。運転スイッチをONした状態で洗浄スイッチを「入(ON)」にすると、浴槽洗浄運転が実行され、洗浄スイッチを「切(OFF)」にすると、浴槽洗浄運転が停止する。
表示部は、浴槽洗浄システムの運転状態(運転/停止)を表示する。表示部はさらに、浴槽洗浄システムにエラーが発生した場合にエラーの内容を示すエラーコードを表示する。音声出力部は、浴槽洗浄運転の実行/停止などの浴槽洗浄システムの運転状況や、浴槽洗浄システムにエラーが発生したことを知らせるための音声を発生する。
[浴槽洗浄運転]
次に、本発明の実施の形態による浴槽洗浄システムによる浴槽洗浄運転の動作を説明する。図3は、浴槽洗浄システムによる浴槽洗浄運転を説明するためのタイミングチャートである。
浴槽洗浄運転は、上述したすすぎ洗浄と洗剤洗浄との組み合わせにより行なわれる。一例として、図3に示すように、予備すすぎ洗浄工程、洗剤洗浄工程、および仕上げすすぎ洗浄工程がこの順に行なわれる。なお、浴槽40の上部には、浴槽蓋(図示せず)が載置されているものとする。
洗浄リモコン8において運転スイッチがON状態で洗浄スイッチがONにされると、浴槽洗浄運転が開始する。最初に、開閉駆動機構46を開作動させることにより排水栓44を開栓する。排水栓44が開状態のままで設定時間だけ待機することにより、浴槽40内に残水があったとしても、その残水が排水されて浴槽40が空になるまで待つ。
次に、予備すすぎ洗浄工程が開始される。予備すすぎ洗浄工程では、洗浄ユニット10の注湯電磁弁20を開弁し(時刻t1)、給湯器3側から給湯設定温度に熱交換加熱された湯を洗浄管78に流し込み、洗浄ノズル60から浴槽40内に向けて噴出させる。これにより、浴槽40の内壁面に付着している毛、湯垢等の汚れが予備的に洗い流される。
上記のすすぎ洗浄が所定時間行なわれると、予備すすぎ洗浄工程を終了し(時刻t2)、次の待機工程に移行させる。待機工程では、注湯電磁弁20を閉弁することにより洗浄ノズル60からの噴出を停止し、浴槽40の内壁面に湯が付着した状態で、所定時間が経過するまで放置する。これにより、浴槽40の内壁面に付着した湯垢等の汚れに水分が浸透し、汚れを浮き上がらせて次の洗剤洗浄工程で洗い流されやすくすることができる。所定時間が経過すると、待機工程を終了して次の洗剤洗浄工程に移行する(時刻t3)。
洗剤洗浄工程が開始されると(時刻t3)、洗浄ユニット10の注湯電磁弁20を開弁するとともに、洗剤電磁弁32を開弁する。洗剤タンク50内の洗剤原液が洗剤供給管54を介して洗剤混入部34に注入されて洗剤液が生成される。この洗剤液が洗浄ノズル60から浴槽40内に向けて噴出される。これにより、浴槽40の内壁面に付着している湯垢等の汚れが洗浄される。なお、洗剤洗浄を行なう時間および回数は、洗浄リモコン8に対するユーザの入力設定により変更することができる。図3では、洗剤洗浄を行なう回数はたとえば3回に設定されている。
洗剤洗浄が所定時間または所定回数行なわれると、洗剤洗浄工程を終了し(時刻t7)、次の待機工程に移行させる。この待機工程は、上述した洗剤洗浄工程前の待機工程と同様に、注湯電磁弁20を閉弁して洗浄ノズル60からの噴出を停止し、浴槽40の内壁面に洗剤液が付着した状態で所定時間が経過するまで放置する。浴槽40の内壁面に付着した湯垢等の汚れに洗剤液を浸透させるためである。所定時間が経過すると、待機工程を終了して次の仕上げすすぎ洗浄工程に移行させる(時刻t8)。
仕上げすすぎ洗浄工程が開始されると(時刻t8)、上記の予備すすぎ洗浄工程と同様に、注湯電磁弁20を開弁し、給湯器3側から給湯設定温度に熱交換加熱された湯を洗浄管78に流し込み、洗浄ノズル60から浴槽40内に向けて噴出させる。これにより、浴槽40の内壁面において洗剤液により浮き上がらせた湯垢等の汚れが洗剤液とともに洗い流される。この仕上げすすぎ洗浄工程の終了をもって浴槽洗浄運転が終了する(時刻t9)。
(給湯検知処理)
以上のような浴槽洗浄運転を行なっている間、制御部100は、給湯器3が給湯運転を実行していることを検知する。給湯器3は、給湯器リモコン7,9の運転スイッチをONにすることによって給湯運転が許可されて給湯運転を開始可能な状態になる。給湯運転とは、給水源から供給される水を熱交換器で加熱して出湯させる運転モードである。
この状態で洗浄リモコン8の洗浄スイッチをONする、あるいは洗浄リモコン8によって設定された予約時刻になると、制御部100は洗浄ユニット10内部の注湯電磁弁20を開弁する。給湯器3は、所定の作動流量を超える通水を検出すると、燃焼バーナの燃焼を開始し、燃焼バーナの燃焼熱との熱交換加熱によって給湯設定温度まで加熱した湯水を洗浄ユニット10に供給する。
これに対して、給湯器リモコン7,9の運転スイッチがOFFされているとき、給湯器3は給湯運転が禁止された状態となっている。この状態で洗浄リモコン8の洗浄スイッチをONする、あるいは洗浄リモコン8によって設定された予約時刻になると、制御部100は注湯電磁弁20を開弁することにより浴槽洗浄運転を開始する。しかしながら、給湯器3においては、所定の作動流量を超える通水を検出しても燃焼バーナの燃焼が開始されないため、給水管70から受けた水がそのまま(加熱されることなく)出湯管72から洗浄ユニット10に供給される。
洗浄ユニット10は、浴室2の内部に設置されているため、ユニット内部の温度および湿度が浴室内の温度および湿度と同等となっている。そのため、洗浄管78内を低温の水が流れることによって、洗浄管78の外表面に結露が発生する虞がある。そして、この洗浄管78の外表面に発生した結露が注湯電磁弁20および洗剤電磁弁32などに付着すると、漏電等の電気的故障を引き起こす可能性がある。そのため、注湯電磁弁20に防滴パッキンを取り付ける、および洗剤電磁弁32を防滴カバーで覆うなどの対策が採られている。
しかしながら、給湯器リモコン7,9の運転スイッチをOFFした状態での浴槽洗浄運転が繰り返し行なわれると、結露により生じた水滴が洗浄ユニット10の内部に溜まってしまうため、電気的故障に繋がる可能性が高くなる。このように、給湯器リモコン7,9をOFFした状態での浴槽洗浄運転は、洗浄ユニット10の故障に繋がる誤った動作であるため、このような浴槽洗浄運転が行なわれるのを抑制する必要がある。
そこで、本実施の形態による洗浄運転システムにおいては、浴槽洗浄運転の実行中における給湯器3の状態を監視することにより、給湯器3が給湯運転を実行していることを検知する。そして、浴槽洗浄運転の実行中に給湯器3が給湯運転を実行していることが検知されないときには、浴槽洗浄運転の完了後に、給湯器3から供給される湯水の温度が洗浄ユニット10に結露を生じさせる異常な低温であることを示す注湯温度異常(低温出湯)を報知する。これにより、誤った浴槽洗浄運転を行なったことをユーザに気付かせることができる。
図3を参照して、浴槽洗浄運転の実行中、給湯器3は、洗浄ユニット10の注湯電磁弁20が開弁状態となっているときに注湯動作を行なう。制御部100は、給湯器3が注湯動作を行なっているときに、給湯検知処理を実行する。すなわち、制御部100は、予備すすぎ洗浄工程、洗剤洗浄工程および仕上げすすぎ洗浄工程の各々において、給湯器3の注湯動作に合わせて給湯検知処理を実行する。そして、複数回の注湯動作のうちのいずれかにおいて給湯器3が給湯運転を実行していることが検知されたとき、制御部100は給湯検知フラグFを「1」に設定する。この給湯検知フラグFは、洗浄リモコン8の洗浄スイッチがONにされたときに「0」に初期化される。
なお、制御部100は、給湯器3が給湯運転を実行していることが一度検知されると、その後の給湯検知処理を行なわない。図3に示すように、たとえば2回目の洗剤洗浄(時刻t4)のときに給湯器3が給湯運転を実行していることが検知されたときには(時刻t5)、3回目の洗浄運転(時刻t6)および仕上げすすぎ洗浄工程(時刻t8)において給湯検知処理を行なわない。これは、浴槽洗浄運転の実行中に給湯運転が実行されたことが1回でも検知されれば、誤った浴槽洗浄運転を行なっているとはいえないからである。
このような構成とすることにより、制御部100は、複数回の注湯動作のいずれにおいても給湯器3が給湯運転を実行していることが検知されないとき、給湯検知フラグFを「0」に設定する。すなわち、浴槽洗浄運転中に給湯器3が給湯運転を実行していないことが確実となったときに、制御部100は給湯検知フラグFを「0」に設定する。そして、浴槽洗浄運転の完了後、制御部100は、給湯検知フラグFが「0」であることに基づいて注湯温度異常(低温出湯)を報知する。
注湯温度異常の報知は、洗浄リモコン8を用いて行なわれる。なお、制御部100と給湯器リモコン7,9とが通信線5により接続されている場合には、洗浄リモコン8および給湯器リモコン7,9の少なくとも一方を用いて注湯温度異常を報知するようにしてもよい。たとえば、制御部100は、注湯温度異常である低温出湯を示す報知音を洗浄リモコン8および/または給湯器リモコン7,9の音声出力部から発生させる。または、制御部100は、注湯温度異常である低温出湯を示すエラーコードを洗浄リモコン8および/または給湯器リモコン7,9の表示部に表示させる。なお、注湯温度異常の報知は、誤った浴槽洗浄運転が実行されたことを視覚的および/または聴覚的に報知し得るものであれば、どのような態様であってもよい。
このように浴槽洗浄運転の完了後に注湯温度異常を報知することにより、誤った浴槽洗浄運転を実行したことをユーザに気付かせるとともに、正しい浴槽洗浄運転を行なうように、すなわち給湯器リモコン7,9の運転スイッチをONした状態で洗浄リモコン8の洗浄スイッチをONにするようにユーザに促すことができる。これにより、洗浄ユニット10内部に生じた結露によって注湯電磁弁20および洗剤電磁弁32などが故障する可能性を低減することができる。
図4は、本発明の実施の形態に従う給湯検知処理を実現するための処理手順を示したフローチャートである。なお、図4に示すフローチャートは、制御部100において予め格納したプログラムがメインルーチンから呼び出されて所定周期で実行されることによって実現される。
図4を参照して、まずステップS01により、洗浄リモコン8の洗浄スイッチをONにする、あるいは洗浄リモコン8によって設定された予約時刻になると、制御部100は浴槽洗浄運転を開始する。制御部100は、図3に示した処理手順に従ってすすぎ洗浄および洗剤洗浄を行なう。
制御部100はさらに、ステップS02により、洗浄スイッチがONされたときに給湯検知フラグFを「0」に初期化する。そして、制御部100は給湯器3の注湯動作に合わせて給湯検知処理を実行する。
具体的には、制御部100は、まずステップS03において、給湯検知フラグFが「1」に設定されているか否かを判定する。給湯検知フラグFが「0」に設定されているとき(ステップS03においてNO)、制御部100はステップS04に進み、注湯電磁弁20(図2)が開弁状態であるか否かを判定する。注湯電磁弁20が開弁状態である場合(ステップS04においてYES)、すなわち、給湯器3が注湯動作を行なっている場合、制御部100は、ステップS05〜S07での判定結果に基づいて給湯器3が給湯運転を実行しているか否かを判定する。
ステップS05において、制御部100は、サーミスタ16により検出される洗浄管78内を流れる湯の温度(以下、注湯温度とも称する)と予め定められた閾値温度Tthとを比較する。この閾値温度Tthは、通常の給湯運転における給湯温度の設定範囲における下限値に対して、サーミスタ16の検出誤差や接続管75および洗浄管78での損失分などを差し引いた値に設定される。閾値温度Tthは、給湯器3の内部において実際に給水が燃焼バーナの燃焼熱との熱交換加熱により加熱されているか否かを判定するための判定値に相当する。
注湯温度が閾値温度Tth以上である場合(ステップS05においてYES)、制御部100はステップS06において、水量センサ18により検出される、給湯器3の出湯管72から洗浄管78に供給される湯の流量(以下、注湯流量とも称する)が、予め定められた閾値範囲内に含まれているか否かを判定する。この閾値範囲は、給湯器3が通常の給湯運転時において供給可能な湯の流量に応じて設定される。注湯流量の閾値範囲を設定するのは、水量センサ18が洗浄管78内に滞留している湯を検出した場合に、制御部100が誤って給湯器3が給湯運転を実行していると判断するのを防止するためである。
注湯流量が閾値範囲内に含まれている場合(ステップS06においてYES)、制御部100はステップS07により、注湯温度が閾値温度Tth以上であり、かつ注湯流量が閾値範囲内に含まれている状態が一定時間(たとえば3秒とする)以上連続的に継続しているか否かを判定する。注湯温度が閾値温度Tth以上であり、かつ注湯流量が閾値範囲内に含まれている状態が一定時間以上連続的に継続している場合(ステップS07においてYES)、制御部100は、ステップS08において、給湯器3が給湯運転を実行していると判定し、給湯検知フラグFを「1」に設定する。
ステップS09では、制御部100は、浴槽洗浄運転が完了したか否かを判定する。浴槽洗浄運転が完了していないとき(ステップS09においてNO)、制御部100は、ステップS03〜S08の処理を繰り返す。ただし、給湯検知フラグFが「1」に設定されている場合(ステップS03においてYES)、制御部100は、ステップS04〜S08に示す処理をスキップする。
そして、浴槽洗浄運転が完了したとき(ステップS09においてYES)、制御部100は、ステップS10により、給湯検知フラグFが「1」に設定されているか否かを判定する。給湯検知フラグFが「1」に設定されている場合(ステップS10においてYES)、制御部100は、ステップS11において、洗浄リモコン8および/または給湯器リモコン7,9を用いて注湯温度異常(低温出湯)を報知する。
このように本発明の実施の形態による浴槽洗浄システムによれば、洗浄ユニット10の故障に繋がる、給湯器リモコン7,9の運転スイッチをOFFした状態での浴槽洗浄運転が実行されたことを、浴槽洗浄運転の完了後に報知することにより、誤った浴槽洗浄運転を実行したことをユーザに気付かせるとともに、正しい浴槽洗浄運転を行なうように、すなわち給湯器リモコン7,9の運転スイッチをONした状態で洗浄リモコン8の洗浄スイッチをONにするようにユーザに促すことができる。これにより、洗浄ユニット10内部に生じた結露によって注湯電磁弁20および洗剤電磁弁32などが故障する可能性を低減することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。