しかしながら、従来の浴槽洗浄装置では、給湯栓が開かれても洗浄ノズル側への湯水の供給流量が所定量以上低下しなければ前記の洗浄又はすすぎを継続しているため、特にすすぎが不十分ですすぎ残しが生じたり、あるいは、逆に過剰なすすぎに起因して湯水の余分な消費やすすぎ時間の長期化を招いたりするおそれがある。
すなわち、洗浄ノズル側への湯水の供給流量がある範囲で変動するにも拘わらず、すすぎのための設定時間を固定値のまま制御すると、供給流量の変動に伴い洗浄ノズルからの噴射速度が変動し、浴槽の内壁に対する噴射範囲の変動を招く結果、すすぎ残しが発生するおそれがある。又、すすぎ時間の設定を安全側を考慮して供給流量の変動範囲の内の例えば小流量側の値に基づいて行うと、それよりも大流量側の供給流量の湯水が流れる場合には必要以上に過剰なすすぎが行われて余分な湯水の消費を招いたり、本来ならばより短いすすぎ時間で十分なすすぎが完了するにも拘わらず、より長い時間にわたりすすぎのための時間を必要とする結果となったり、することになる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、洗浄ノズル側への湯水の供給流量に変動が生じたとしても、すすぎ残しを生じさせたり、すすぎ時間の長期化を招いたりすることなく、必要かつ十分なすすぎを行い得る浴槽洗浄装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明では、給湯器から供給配管を介して供給される湯水によるすすぎを洗剤による洗浄後に行う浴槽洗浄装置を対象にして次の特定事項を備えることとした。すなわち、前記供給配管内の湯水の供給流量を検出するための流量検出手段と、設定すすぎ時間に基づいてすすぎに係る動作制御を実行する洗浄制御手段とを備えることとする。そして、前記洗浄制御手段として、前記供給配管内の湯水の供給流量と、その供給流量の如何に応じて必要となる必要すすぎ時間との関係を予め設定しておき、前記設定すすぎ時間を、前記流量検出手段による供給流量の検出値に基づいて、前記関係から割り出す構成とする。
この特定事項を有する場合、洗浄制御手段に対し供給配管内の湯水の供給流量と、その供給流量の如何に応じて必要となる必要すすぎ時間との関係を予め設定しておき、すすぎが実行される設定すすぎ時間を、その関係から割り出し、割り出した設定すすぎ時間に基づいてすすぎを実行するようにしているため、供給配管内の湯水の供給流量がたとえ変動したとしても、その変動に応じた必要すすぎ時間に相当する設定すすぎ時間に基づいてすすぎを実行することが可能となる。この結果、必要かつ十分なすすぎを確実に行うことが可能となる。
加えて、洗浄制御手段として、すすぎを、所定の一定時間をサイクルタイムとして1サイクル毎に実行し、少なくとも前記設定すすぎ時間分のすすぎが完了するまですすぎサイクルを繰り返す構成とする。この特定事項を備えることにより、少なくとも必要すすぎ時間に相当する設定すすぎ時間のすすぎを確実に実行することが可能になる上に、すすぎサイクルを繰り返すことですすぎが断続的に繰り返されてすすぎに変化を与えることが可能となって、すすぎ落としの実効が図られることになる。その上に、設定すすぎ時間が供給流量の変化に伴い変更されたとしても、すすぎ自体は1サイクルタイム分の一定時間毎に行われることになるため、ユーザーに対しすすぎは常に一定時間の動作により行われることを認識させることができる。これにより、すすぎ動作の時間がその都度変化する場合には事情の分からないユーザーに不信感を抱かせる事態の発生が予想されるところ、これを回避することが可能となる。
加えて、その場合の洗浄制御手段として、1サイクルのすすぎが終了する度に、現状の注湯流量の検出値に基づき前記設定すすぎ時間を割り出し、割り出された設定すすぎ時間と、それまでに実行されたすすぎサイクルの合計サイクルタイム分の時間との対比により、次回のすすぎサイクルの要否を判定する構成とすることとした(請求項1)。このようにすることにより、1サイクル毎にすすぎを実行している間に供給流量の変動が生じたとしても、その1サイクルのすすぎが終了する度に次回のすすぎサイクルの要否を判定しているため、最初のサイクルのすすぎ実行段階でサイクル数を定めてしまう場合と比べ、無用なすすぎサイクルの実行を回避し得る一方、必要なすすぎサイクルの実行を確実に行うことが可能になる。
さらに、本発明の浴槽洗浄装置において、前記の必要すすぎ時間として、供給配管内の湯水の供給流量が大流量側であるほど短く、小流量側であるほど長くなるように設定することができる(請求項2)。このようにすることにより、供給流量に応じて必要となるすすぎ時間を確実に担保し得ることになる。
以上、説明したように、本発明の浴槽洗浄装置によれば、洗浄制御手段に対し供給配管内の湯水の供給流量と、その供給流量の如何に応じて必要となる必要すすぎ時間との関係を予め設定しておき、すすぎが実行される設定すすぎ時間を、その関係から割り出し、割り出した設定すすぎ時間に基づいてすすぎを実行するようにしているため、供給配管内の湯水の供給流量がたとえ変動したとしても、その変動に応じた必要すすぎ時間に相当する設定すすぎ時間に基づいてすすぎを実行することができ、この結果、必要かつ十分なすすぎを確実に行うことができるようになる。
加えて、洗浄制御手段として、すすぎを、所定の一定時間をサイクルタイムとして1サイクル毎に実行し、少なくとも設定すすぎ時間分のすすぎが完了するまですすぎサイクルを繰り返す構成としているため、少なくとも必要すすぎ時間に相当する設定すすぎ時間のすすぎを確実に実行することができる上に、すすぎサイクルを繰り返すことですすぎが断続的に繰り返されてすすぎに変化を与えることができ、すすぎ落としの実効を図ることができるようになる。しかも、設定すすぎ時間が供給流量の変化に伴い変更されたとしても、すすぎ自体は1サイクルタイム分の一定時間毎に行われることになるため、ユーザーに対しすすぎは常に一定時間の動作により行われることを認識させることができる。これにより、すすぎ動作の時間がその都度変化する場合には事情の分からないユーザーに不信感を抱かせる事態の発生が予想されるところ、これを回避することができるようになる。
加えて、その場合の洗浄制御手段として、1サイクルのすすぎが終了する度に、現状の供給流量の検出値に基づき前記設定すすぎ時間を割り出し、割り出された設定すすぎ時間と、それまでに実行されたすすぎサイクルの合計サイクルタイム分の時間との対比により、次回のすすぎサイクルの要否を判定する構成としているため、1サイクル毎にすすぎを実行している間に供給流量の変動が生じたとしても、その1サイクルのすすぎが終了する度に次回のすすぎサイクルの要否を判定しているため、最初のサイクルのすすぎ実行段階でサイクル数を定めてしまう場合と比べ、無用なすすぎサイクルの実行を回避することができる一方、必要なすすぎサイクルの実行を確実に行うことができるようになる。
さらに、請求項2に係る浴槽洗浄装置によれば、必要すすぎ時間として、供給配管内の湯水の供給流量が大流量側であるほど短く、小流量側であるほど長くなるように設定することにより、供給流量に応じて必要となるすすぎ時間を確実に担保することができるようになる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に本発明の実施形態に係る浴槽洗浄装置を適用した浴槽システムの概略構成を示す。同図において、符号1は浴室を区画形成する浴室壁又は浴室を含む建物の壁であり、壁1の内側に浴槽2及び浴槽洗浄ユニット3が配設される一方、壁1の外側に熱源機(例えば給湯器付き風呂釜)4が配設されている。なお、図1は配管等のつながりを示すものであり、上下関係を特定するものではない。
熱源機(給湯器)4は、給湯機能、湯張り機能及び追い焚き機能を備えた複合熱源機であり、図1には熱源機4として1缶2水式に構成されたものを例示している。すなわち、熱源機4は、風呂熱交換器41と給湯熱交換器42とが1つの缶体内に配設されて共通の熱源である燃焼バーナ43により熱交換加熱されるように構成されている。以下、熱源機4について先に概略説明した上で、浴槽2の側の構成について詳細に説明する。
前記熱源機4は、水道水等の給水を給水路に受けて給湯熱交換器42において燃焼バーナ43の燃焼熱との熱交換加熱により所定温度まで加熱した湯を給湯路に出湯させ、続いて給湯配管44を通して台所や洗面所等の各所の給湯栓45や浴槽洗浄ユニット3に給湯するようになっている。又、熱源機4は追い焚き機能を実現するための戻り路46及び往き路47からなる追い焚き循環配管48を備え、浴槽2内に湯張りされた浴槽湯水を図示省略の循環ポンプの作動により風呂熱交換器41との間に循環させて、所定温度まで追い焚き加熱し得るようになっている。さらに、前記の熱源機4内において給湯路から分岐した注湯路を通して追い焚き循環配管48に注湯を受け、この注湯を追い焚き循環配管48を通して浴槽2に注湯することにより浴槽2に対する湯張りが行われるようになっている。
以上の給湯、追い焚き及び湯張りの各運転は台所リモコン51等により入力設定される設定出湯温度や設定追い焚き温度等の設定情報に基づいて熱源機コントローラ5による作動制御によって実現されるようになっている。例えば、給湯制御は、給湯栓45が開かれたり浴槽洗浄ユニット3の注湯電磁弁30が開かれたりして所定の作動流量以上の入水が検知されると、燃焼バーナ43を燃焼作動させて給水路からの入水を加熱し、所定温度の湯を給湯路に出湯させるようになっている。
浴室に設置された浴槽2には、その側壁の最下端近傍位置に循環アダプタ21が設置され、底壁には自動開閉駆動制御式の排水栓22及び後述の洗浄ノズル24が設置され、上面側のフランジ壁には開閉駆動機構23及び後述の洗剤タンク27が設置されている。前記の循環アダプタ21には追い焚き循環配管48の戻り路46及び往き路47がそれぞれ接続され、循環アダプタ21を介して浴槽2内の浴槽湯水が戻り路46に吸引される一方、往き路47から浴槽2内に吐出されるようになっている。又、排水栓22は開閉駆動機構23から開閉駆動力の伝達を受けて開閉作動されるようになっており、この開閉駆動機構23にはその作動状態(排水栓22が開状態か閉状態か)の如何を検出する排水栓状態検出センサ(図示省略)が設置され、これからの出力信号に基づき開閉駆動機構23が作動制御されるようになっている。排水栓22が開かれると、浴槽2内の湯水が浴室底部に排出され、続いて浴室の排水口から排水されることになる。
浴槽洗浄ユニット3は、浴槽2の内壁面等を対象にして洗浄処理するために設置されるものである。浴槽洗浄ユニット3は、前記の浴槽2の底壁に設置された洗浄ノズル24と、この洗浄ノズル24に洗浄液を供給する洗浄配管25と、洗浄配管25の上流端において洗剤を混入させる洗剤混入部26と、この洗剤混入部26に供給するための洗剤を貯留する前記の洗剤タンク27と、洗剤タンク27からの洗剤の供給・停止の切換を行う洗剤電磁弁28と、前記の洗浄配管25の上流端に対し洗浄用の湯又は水(以下「湯水」という)が供給されるよう給湯配管44を連通させるための注湯配管29と、注湯配管29に介装されて給湯配管44からの湯水を供給するか否かの切換を行うための注湯電磁弁30と、注湯配管29により注湯される注湯流量(湯水の供給流量)を検出するための流量センサ31と、吐出流量を所定の定流量に調整するための水ガバナにより構成された流量調整弁32とを備えて構成されている。又、注湯配管29には、洗剤混入部26と注湯電磁弁30との間に、逆止弁・縁切り弁セットが介装されている。図例の逆止弁・縁切り弁セットは上下流両側位置の逆止弁33,33に挟まれた状態で2つの縁切り弁34,34を介装させて構成している。これらは、一次側である熱源機4側が停電や故障等の原因により低圧状態(負圧状態)に万一陥ったとしても、浴槽2側から熱源機4側に逆流しないように遮断するために介装されるものである。なお、図1の符号35はフィルタである。又、前記の注湯配管29及び洗浄配管25が、熱源機4からの湯水を供給するための供給配管を構成し、前記の流量センサ31がその供給流量を検出するための流量検出手段を構成する。
前記洗浄ノズル24は浴槽2の底壁を貫通して設置され先端開口(上面開口)から浴槽2の内壁面等に向けて所定範囲の広がりをもって洗浄液を噴霧させるようになっている。なお、洗浄ノズル24として、図例では1つのみを図示しているが、浴槽2のサイズや洗浄対象の浴槽等に応じて2以上のものを所定配置にて設置することができ、その場合には洗浄配管25から他の洗浄ノズルに向けて第2・第3の洗浄配管を分岐させればよい。
洗剤混入部26はベンチュリ管により構成されている。洗剤混入部26は、洗剤電磁弁28を開作動(例えば所定時間ずつ間欠的に開作動)させることにより洗剤タンク27から供給される所定量の洗剤が、洗剤混入部26において注湯流の通過に伴い発生する負圧吸引作用により洗浄液中に吸い込まれて混合されるようになっている。そして、洗剤電磁弁28を開弁状態にさせている開弁時間の長短によって、1回の洗浄に対する洗剤供給量の調整が可能となっている。
前記の浴槽洗浄ユニット3の各作動要素28,30,32、及び、浴槽2の洗浄に係る作動要素22,23は、洗浄制御手段としての洗浄コントローラ6によって作動制御されるとともに、洗浄コントローラ6から電源供給がなされるようになっている。洗浄コントローラ6には洗浄運転操作用の洗浄リモコン61が電気的に接続される一方、洗浄コントローラ6(図2も併せて参照)は熱源機コントローラ5と双方向通信可能に接続されている。熱源機コントローラ5や洗浄コントローラ6は、マイクロコンピュータ及びRAMやROMなどの記憶手段を内蔵して、記憶手段に記憶されたプログラムや制御データ等に基づいて浴槽洗浄ユニット3を含む浴槽洗浄装置の各作動要素を作動制御するようになっている。すなわち、熱源機コントローラ5は、給湯制御部や風呂制御部を備え、洗浄コントローラ6は、浴槽洗浄処理を実行する洗浄制御部やタイマー等を備えている。なお、熱源機コントローラ5には、台所リモコン51に加えて浴室リモコン62が接続されており、この浴室リモコン62により湯張りや追い焚き運転の入力操作をし得るようになっている。又、制御コントローラ6を洗浄リモコン61とは別に設けたが、洗浄リモコン61に一体に内蔵させるようにしてもよい。
次に、前記洗浄コントローラ6の洗浄制御部により実行される浴槽洗浄処理の一例について図2に基づいて簡単に説明すると、まず洗剤無しの湯水を用いて予備すすぎ(SUB1)を所定時間行った後、次に洗浄液を用いた洗浄(SUB2)を行い、最後に洗剤無しの湯水を用いて仕上げのすすぎ(SUB3)を後述の如く注湯流量に応じて定められる時間行って終了する。このような浴槽洗浄処理は、洗浄リモコン61の洗浄運転のためのONスイッチをONするか、あるいは洗浄リモコン61によって設定された予約時間になると浴槽洗浄処理が開始され、まず自動排水栓22を開制御して、浴槽2内の浴槽水が排水されるまで待機する。浴槽水の排水が完了すると、予備すすぎ(SUB1)として、注湯電磁弁30を開制御することで、熱源機4から湯水を給湯配管44,注湯配管29及び洗浄配管25を介して洗浄ノズル24まで供給させ、この湯水を洗浄ノズル24から浴槽2の内壁面に対し吹き付ける処理を所定時間行う。この予備すすぎが終了すると、洗浄液を用いた洗浄(SUB2)を行い、最後に仕上げのすすぎ(SUB3)を予備すすぎ(SUB1)と同様の作動制御を行うことで実行することになる。
なお、洗浄(SUB2)としては、湯水と洗剤との混合液からなる洗浄液を用いて浴槽2の内壁面に対し吹き付ける洗浄動作を連続又は累積で設定時間行うようにすることができる他、前記洗浄動作を所定の設定回数だけ繰り返すようにすることもできる。又、すすぎ(SUB3)においては、予備すすぎ(SUB1)とは異なり、熱源機4を燃焼作動させたとしても所定の最低温度の設定温度での低温水にし、この低温水を熱源機4から給湯配管44,注湯配管29及び洗浄配管25を介して洗浄ノズル24まで供給させて、浴槽2の内壁面に対し吹き付けるようにすることができる。あるいは、すすぎ(SUB3)においては、熱源機4を燃焼作動させずに、給水をそのまま導いて、浴槽2の内壁面に対し吹き付けるようにすることができる。つまり、湯ではなくて、水又は低温水を用いてすすぎを行うようにしてもよい。
次に、本実施形態の特徴的な部分である仕上げのすすぎ(SUB3)について、図3を参照しつつ詳細に説明する。このすすぎ(SUB3)に入る前、つまり洗浄(SUB2)が終了した段階では、注湯電磁弁30及び洗剤電磁弁28が閉状態にされている。すすぎ(SUB3)に入ると、まず、注湯電磁弁30を開け(ステップS31)、流量センサ31により注湯流量を検出する。注湯流量が適正範囲内(例えば5.3L/min〜9.5L/min)にあるか否かを判定し(ステップS32)、適正範囲内になければ異常発生と判定してエラー処理を行う(ステップS32でNO,SUB4)。適正範囲内にあれば(ステップS32でYES)、注湯流量の監視を継続しながら(ステップS33)、所定の1サイクルタイム(例えば90sec)が経過するまで、すすぎを行う。すなわち、ステップS31の注湯電磁弁30の開変換に伴いタイマーのカウントを開始する一方、注湯電磁弁30の開変換により給湯配管44から供給される湯水を注湯配管29に流し、この湯水を洗浄配管25を通して洗浄ノズル24まで導き、洗浄ノズル24から浴槽2の内壁面に向けて吹き付けて内壁面に付着した洗剤等を洗い流して排水栓22から排水させる。このようなステップS32,33を含むすすぎを、タイマーにより1サイクルタイムが経過するまで続け(ステップS34でNO)、1サイクルタイムが経過すれば注湯電磁弁30を閉変換して(ステップS34でYES,S35)、所定の僅かな待機時間(例えば5sec)が経過するまで待機する(ステップS36でNO)。なお、この待機時間は、種々の作動要素についての制御動作が確実に動作完了するのを待つ趣旨であり、浴槽洗浄に要する全体時間の長期化を避ける上でも最小限の時間を設定すればよい。
待機時間が経過すれば(ステップS36でYES)、次に、必要なすすぎが完了したか否かのすすぎ完了判定を行う(ステップS37)。このすすぎ完了判定は、洗浄ノズル24からの噴射速度や浴槽2の内壁面への噴射範囲に強く影響する注湯流量に応じて予め設定されている設定すすぎ時間を満足するすすぎが完了したか否かを判定するものであり、未完了と判定されれば(ステップS37でNO)、ステップS31に戻って次の1サイクルタイム分のすすぎを繰り返し、完了と判定されれば(ステップS37でYES)、洗浄が完了したことをユーザーに報知するための洗浄完了報知処理を実行する(ステップS38)。洗浄完了報知処理の例としては、洗浄完了を報知するためのブザーの吹鳴や、洗浄ランプの消灯、あるいは、音声案内による報知等を行うことができる。
以下、すすぎ完了判定の内容について詳細に説明する。すすぎ完了判定のために、注湯配管29を通して洗浄ノズル24に供給される注湯流量と、その注湯流量で必要かつ十分なすすぎを行うのに要するものとして設定される必要すすぎ時間との関係が、洗浄コントローラ6に予め記録されている。この関係は、注湯流量と必要すすぎ時間との関数として洗浄コントローラ6に記録することができるし、あるいは、注湯流量と必要すすぎ時間との関係を定めたテーブルとして洗浄コントローラ6に記録しておくことができる。本実施形態では、図4に例示するように、注湯流量Qを所定の範囲ずつに区分けし、区分けした注湯流量範囲毎に、その注湯流量範囲でのすすぎによる場合に必要な必要すすぎ時間tsを予め設定したテーブルを洗浄コントローラ6に記録しておき、現状の注湯流量の検出値に基づき設定すすぎ時間をそのテーブルから割り出すようにしている。
注湯流量に応じた設定すすぎ時間を割り出すための注湯流量は、このすすぎ完了判定の直前又はそれまでに実行した1サイクルタイムのすすぎの所定のタイミングでの流量センサ31による検出値(瞬時流量値)を用いることができるが、本実施形態ではより実際の状況を的確に反映させるために次のような検出値を用いるようにしている。すなわち、それまでに実行した1サイクルタイムが経過する間、注湯流量の監視(流量センサ31による注湯流量の検出)を継続し(ステップS33)、所定の単位時間(例えば1sec)毎の注湯流量の検出値を蓄積し、統計処理を行う。そして、1サイクルタイムの内、最大割合を占める検出値範囲(図4の注湯流量範囲に対応する範囲)を現状の注湯流量の検出値範囲として採用する。例えば、前記の単位時間が1secの場合には1サイクルタイムが90secであれば、90個の検出値が得られ、その内の60個(60sec分)の検出値が属する注湯流量範囲(図4参照)を現状の注湯流量の検出値として採用し、この注湯流量範囲でのすすぎとして設定されている必要すすぎ時間を図4のテーブルから割り出して設定すすぎ時間を得る。なお、前記の「最大割合」としては、前記の単位時間が1secで1サイクルタイムが90secの場合、90個の検出値の内の50個(50sec分)であったり、40個(40sec分)であったりし得る。
具体例をあげると、現状の注湯流量の検出値として例えば7.8〜9.5L/minという大流量範囲が得られた場合には、その7.8〜9.5L/minの注湯流量範囲に属するものが40sec分以上存在していたのであれば、既に必要かつ十分なすすぎが行われているためすすぎ完了と判定する。同様に、現状の注湯流量の検出値として例えば7.2〜7.7L/minが得られた場合には、その7.2〜7.7L/minの注湯流量範囲に属するものが50sec分以上存在していたのであれば、あるいは、現状の注湯流量の検出値として例えば6.5〜7.1L/minが得られた場合には、その6.5〜7.1L/minの注湯流量範囲に属するものが60sec分以上存在していたのであれば、いずれの場合も既に必要かつ十分なすすぎが行われているためすすぎ完了と判定する。その一方、現状の注湯流量の検出値として例えば5.9〜6.4L/minという流量範囲が得られた場合には、その流量範囲での必要すすぎ時間(設定すすぎ時間)が100sec(図4参照)であるため、すすぎは未完了であると判定し、ステップS31に戻って、さらに1サイクルタイムのすすぎを実行する(ステップS31〜S36)。従って、現状の注湯流量の検出値として例えば5.3〜5.8L/minという小流量範囲が持続する場合には、その流量範囲での必要すすぎ時間(設定すすぎ時間)が270sec(図4参照)であるため、この必要すすぎ時間を満足させるためにステップS31〜S36を4回繰り返して、4サイクルタイム分のすすぎを繰り返すことになる。
以上の場合、必要かつ十分なすすぎを実現するための必要すすぎ時間を注湯流量の多・少に応じて予め設定し、少なくともその必要すすぎ時間に相当する設定すすぎ時間分のすすぎが確実に実行されるため、洗浄ノズル24に供給される湯水の流量(注湯流量)がたとえ変動したとしても、必要かつ十分なすすぎを確実に行うことができる。ところで、流量調整弁32により注湯流量が定流量になるように調整しているものの、注湯流量にある範囲のふれ幅が生じて注湯流量が変動する場合がある。この場合であっても、前記の如く、必要かつ十分なすすぎを確実に行うことができるようになる。しかも、その設定すすぎ時間に基づいて1回目のサイクルタイム分のすすぎの実行の後にすすぎ完了判定を行って2回目のサイクルタイム分のすすぎが必要か否かを決定し、必要であれば3回目以降のサイクルタイム分のすすぎの要否もその都度判定するようにしているため、最初のサイクルのすすぎを実行する段階での注湯流量に基づいてサイクル数を定めてしまう場合と比べ、無用なすすぎサイクルの実行を回避することができる一方、必要なすすぎサイクルは確実に実行することができるようになる。もちろん、注湯流量の多・少に応じて予め設定された必要すすぎ時間(図4参照)を必要最低限のすすぎ時間として、それを少なくとも満足するすすぎ時間分(サイクルタイムの合計)のすすぎを実行することができ、すすぎとして必要かつ十分なものを実現させることができる。
一方、設定すすぎ時間の値や注湯流量範囲の多・少とは関係なく、一定時間のサイクルタイムのすすぎをその都度行うようにしているため、ユーザーに安心感や機器に対する信頼感を与えることができる。すなわち、注湯流量範囲の多・少によってすすぎの実行時間をその都度変化させた場合には事情の分からないユーザーに不信感を抱かせる事態の発生が予想されるところ、これを回避することができる。さらに、注湯流量が大流量範囲であれば、1回のサイクルタイムのすすぎで完了するため、小流量範囲の注湯流量を考慮して比較的長い固定値のすすぎ時間を設定した場合と比べ、仕上げのためのすすぎ時間の短縮化を図ることができ、浴槽洗浄に要する全体時間の短縮化にも寄与することができる。加えて、比較的長い固定値のすすぎ時間で画一的にすすぎを実行する場合と比べ、注湯流量が大流量範囲であればすすぎ時間の短縮化が図られるため、節水をも図ることができる。その上に、2回以上のサイクルタイム分のすすぎサイクルを繰り返す場合には、浴槽の内壁面に対しすすぎによる湯水の噴射が断続的に行われるため、継続噴射するだけでは流れ落ち難い泡などもすすぎ落とすことができるようになる。すなわち、一旦停止した後に噴射を再度開始する際には瞬間的に水圧が上がり、継続噴射の場合には届かない部位にまで噴射の湯水が吹き付けられることになり、これにより、泡等のすすぎ落としの実効を図ることができるようになる。
なお、図4に示した注湯流量範囲や、それに対応する必要すすぎ時間(設定すすぎ時間)の値は例示であり、これら以外のテーブルを採用することもできる。又、前記のサイクルタイムの90secも例示であり、例えば60secや40sec等を選択することができる。
さらに、洗浄ノズル24の設置位置は浴槽2の底壁に限らず、例えば底壁近傍位置の側壁等であってもよく、又、熱源機4として、1缶2水式に限らず、2缶2水式等の種々の構成のものを用いた場合にも本発明を適用することができる。