JP6182783B2 - 2液型ウレタン防水材組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、2液型ウレタン防水材組成物に関する。
わが国では、建築物の屋上に空調設備機器などを設置する等、多目的に使用している場合が多く、そのような不定形状および狭小部分の屋上への施工が容易でかつ経済性のあるウレタン防水材が防水材料として普及している。
また、マンション等の集合住宅のベランダ防水についても、ベランダが不定形および狭小部分であるため、特に改修工事にはウレタン防水材が使用される場合が多く、今後も改修物件の増大とともに、さらに使用場面が増加する傾向にある。
ウレタン防水材の工法としては、コンクリート下地等にプライマーを介して直接塗布する密着工法と、下地のコンクリート等の水分(水蒸気)を脱気することのできる通気緩衝シートを接着剤等で施工した上にウレタン防水材を塗布する通気緩衝工法とに大別される。
いずれの工法においてもウレタン防水材の上にはトップコートを塗布することが必須となっている。これはウレタン防水材だけで長期の耐侯性を確保することが難しいため、表層に耐候性のよいトップコートを塗布することで防水層全体の耐久性を向上させ、通常要望されている10年保証に対応しようとするものである。
また、ウレタン防水材の施工は殆どが屋外での施工となるため、0℃近辺の厳冬期から表面温度が60℃近辺となる夏場の炎天下での施工まで非常に広範囲の施工に対応することが要求されており、防水材の配合を夏用と冬用の二シーズンに分けているのが一般的で、三シーズンに分けて使用する場合もある。
ウレタン防水材の性能上の大きな特徴は高い伸び率が確保できるところにあり、コンクリート下地では経時とともに微細なクラックあるいは構造クラックが徐々に成長しそれが漏水の原因となるが、伸び率が高い方がクラックへの追従性が高くなる傾向となるため、JIS A 6021においても機械的な強度とともに伸び率が450%以上であることが規定されている。
また、近年ウレタン防水材は10年保証を要求されるのが一般的となってきており、初期性能だけでなく、耐久性能についても非常に重要視する必要がある。
耐久性については紫外線劣化と熱劣化が主な劣化要因となるが、紫外線劣化についてはウレタン防水層の上に必ず塗布するトップコートにより保護されているため、トップコートの性能に依存するところが大きい。一方の熱劣化についてはウレタン防水材本体の性能に依存するため、ウレタン防水材を設計する上で非常に重要となる。
熱劣化試験の条件については、JIS A 6021で80℃で1週間と規定されているが、10年保証が要求されるのが当然となった昨今においては、より過酷な劣化試験条件での評価を行い実用上の安全性を考慮しているのが現状である。
わが国で汎用化されているウレタン防水材は、主剤としてトリレンジイソシアナート(以下「TDI」ともいう。)とポリオールからなるイソシアナート基末端TDIプレポリマーを用い、一方の硬化剤は反応成分として3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン(以下「MOCA」ともいう。)あるいはo−クロロアニリンとアニリンとホルムアルデヒドとの脱水縮合生成物(以下「変性MOCA」ともいう。)とポリオールとを併用し、ウレタン化触媒として有機酸鉛を用いたものを施工現場で混合し塗布する、MOCA架橋型ウレタン防水材と称されるものである。
MOCAは比較的反応の穏やかな芳香族ポリアミンであるため、夏季においても防水材を塗布するときに必要な可使時間を確保することができ、またJIS A 6021に適した物性を得ることが比較的容易である。
また、MOCAと併用するポリオールはMOCAとの溶解性が比較的良好でしかも低粘性であるため施工性を向上させることができ、さらに経済性にも優れることによりポリオキシプロピレンポリオールを用いるのが一般的である。
ポリオキシプロピレンポリオールはウレタン防水材として必要とされる高伸張性を付与する役目を果たしているため、分子量が1000〜7000の比較的高分子量のジオールあるいはトリオールを用いるのが一般的である。
その際、基本的には伸び率を重要視する場合は硬化物が線状構造となるジオールを、耐熱性を重要視する場合は硬化物が網目構造となるポリオールを用いることで、JISに適した性能となるように配合設計を行う。
硬化剤に使用するポリオキシプロピレンポリオールは、MOCAよりもかなり反応性は低いとされている二級の水酸基を持つもので、触媒(反応促進剤)を用いないと未反応物として残ってしまうためか、硬化性遅延、トップコートとの接着性低下、硬化塗膜の物性低下等を引き起こす原因となる傾向があり、特にポリオールとの反応を促進する触媒が必要となる。
また、夏季の高温多湿状態での施工では、主剤のイソシアネート基と硬化剤中および空気中に含まれる水分との反応が加速され発生する炭酸ガスによる発泡現象が起こりやすくなる。この発泡現象を抑制するためにはやはり反応性が相対的に遅いポリオールとの反応を選択的に促進することができる触媒が必要となる。
そのため、MOCA架橋型防水材では、水との反応よりも二級ポリオールとの反応を選択的に促進することができる有機酸鉛触媒が必須成分として使用されている。有機酸鉛触媒は環境面での問題より世界的に規制対象となっているが、イソシアナート基とポリオールの反応を選択的に促進することのできる一番有効な触媒であるため、いまだ使用されているのが現状である。
一方の主剤については、やはりウレタン防水材に適した作業性(可使時間)および物性が得られることより、専らTDIとポリオキシプロピレンポリオールからなる、イソシアナート基末端のプレポリマーが用いられている。
ポリオキシプロピレンポリオールとしては硬化剤に用いるものとほぼ同様のもので分子量400〜7000のジオールおよびトリオールが用いられ、末端がイソシアネート基となるようにイソシアネート基/水酸基の当量比が2.0近辺となるように配合し、100℃付近辺で数時間反応させ、末端のイソシアネート基の含有量が3.5質量%前後となるようにしたものである。
また、硬化剤と同様にポリオールのジオールとトリオールとを使い分けることにより、JIS物性に必要な伸び率と耐熱性等を設計している。
尚、ウレタン床材の場合には歩行が目的となるためウレタン防水材よりは高強度・高硬度に設計する必要があり、イソシアネート含有量は5〜10質量%になるのが一般的であるが、ウレタン防水材の場合は夏季の屋外施工での発泡に起因するトラブルを防止すること、クラック追従性のための伸び率を重視することおよび経済性の面から、NCO含有率を3.5質量%前後と低く抑えるのが一般的である。
特許第4098914号公報
施工性が良くしかも経済性に優れているために、現在に至っても汎用品であるMOCA架橋型ウレタン防水材においても、いまだ解決できない課題が残されている。
一つ目の課題は低温硬化性が悪いことである。
従来技術の有機酸鉛触媒によるウレタン防水材では、低温での硬化性を良くするために有機酸鉛の添加量を増加させると、初期の伸び率と耐熱性が低下してしまう。そのため、有機酸鉛の添加量には上限を設ける必要があり、その上限添加量では5℃以下に冷え込むような厳冬期には、翌朝までに硬化させて次工程に進むことができないのが現状である。
そのため、ウレタン防水材を2回程度重ね塗りするような一般的なウレタン防水工法では、厳冬期および寒冷地においては工期が大幅に延長されてしまうという大きな欠点があり、寒冷地でのウレタン防水材の普及の足かせにもなっている。
二つ目は初期の伸び率と耐熱性を両立させることが非常に難しいことである。
前述のようにウレタン防水材ではJISにより初期の伸び率が450%以上必要であり、さらに熱劣化後(80℃1週間後)の伸び率が400%以上で引張り強度の保持率が初期値の80%以上であることが規定されている。
伸び率と耐熱性については、前述したように主剤および硬化剤のポリオールの選択によって設計される場合が多く、初期の伸び率を高くするにはまずは主剤のTDIプレポリマーに用いるポリオールとして線状構造となるジオールを多く用いるのが一般的であるが、主剤にジオールを多く用いることでウレタン防水材の網目構造が少なくなり、そのために熱劣化をカバーする効果が低減し、その結果として耐熱性が低下する傾向となってしまう。
特に冬季配合では低温での硬化性を良くするために熱劣化を促進する効果をも有する有機酸鉛触媒を夏季より多目に配合する必要があり、その結果初期の伸び率および耐熱性を低下させてしまう。
以上のように、特に冬季施工時の配合において、JIS規格の初期の伸び率を確実に450%以上とし、しかも耐熱性に優れたウレタン防水材を設計することは現在においても非常に難しい技術となっている。勿論、各種の耐熱性付与剤を添加することは一般的に行われているが、根本的な解決にはなっていない。
尚、JIS規格では熱劣化の条件が80℃で1週間となっているが、屋上の直射日光下において10年の保証を要望されているウレタン防水材においては、実用上少なくとも80℃で4週間後の評価が必要と判断しており、本発明では熱劣化試験の条件として80℃4週間後での評価も取り入れて耐熱性を考察している。
三つ目の課題は、有機酸鉛による環境汚染である。鉛化合物は世界的に規制が厳しくなりつつある化合物であり、すでに電気部品や自動車部品では世界的に鉛含有量は0.1質量%以下に規制されているのが現状であるが、ウレタン防水材においては水分との反応抑制効果の面より、いまだ有機酸鉛を用いるのが主流となっている。
尚、有機酸鉛触媒以外で水との反応性を抑制しポリオールとの反応を選択的に促進させる触媒としては、有機第二錫触媒、有機酸錫触媒、有機酸亜鉛触媒、有機酸ビスマス触媒等も知られているが、有機酸鉛以外の金属触媒や三級アミン触媒を使用した場合は、以下の二つの問題が発生する。
四つ目の課題は、盛夏時の炎天下の施工での層間膨れの問題である。この現象は有機酸鉛触媒を使用した場合でも発生する危険性のあるもので、高温多湿時の状態でイソシアナート基と水分との反応が促進されることにより発生する炭酸ガスによって引き起こされるものである。
特に前日に施工したウレタン防水層(一層目)の上に翌日に引き続きウレタン防水材を施工(二層目)するときに発生し易く、さらには一層目の施工が夕方で二層目が炎天下での午前中の施工の場合が顕著であり、一層目のウレタン防水材の反応が比較的低温である夜間中には十分に進行せず翌朝までに完了しない状態で二層目を施工した場合、二層目から水との反応で発生する炭酸ガスと一層目に残された微量と思われるNCO基から発生する炭酸ガスとにより両層の界面に膨れが発生し二層目の表面全体がアバタ状となってしまう現象で、層間膨れと称している。
有機酸鉛触媒を使用した場合でも、上記現象を解決するには工夫が必要であり、一番代表的な方法が変性MOCAの使用である。変性MOCAはポリオキシプロピレンポリオールとの溶解性を向上させることと、上記層間膨れを防止するために開発されたもので、o−クロロアニリンに対し数質量%のアニリンを配合しホルムアルデヒドと縮合し、官能基数は2.0をやや上回るように多官能化したものである。
層間膨れはこの変性MOCAと有機酸鉛触媒を用いることで解決できるが、変性MOCAは官能基数が2.0以上に多官能化されているため、防水材として必要とされる伸び率を確保するには不利な部分もある。
また、三級アミン触媒については、水との反応促進性が高いため、専らウレタンフォーム(発泡体)用触媒として使用されており、特に炎天下でも非発泡性が望まれるウレタン防水材用としては不適当とされ、全く実用化されていないのが現状である。
五つ目の課題はトップコートとの接着性低下であり、特に硬化剤中のポリオールの反応性が低下する冬季において顕著となる傾向があり、有機酸鉛以外の触媒を用いる場合は特に注意する必要がある。
上記現象は、硬化剤中のポリオールが未反応で残存するかあるいは反応が十分に進行しない状態でトップコートを施工した場合に発生するようで、ポリオールとの反応を選択的に促進する有機酸鉛触媒を用いた場合は発生し難い。
本発明は、施工性が良くしかも経済性に優れているMOCA架橋型ウレタン防水材の欠点を解決すべく、環境問題がある有機酸鉛触媒を使用せずに、冬場の低温硬化性改善、硬化物の高い伸び率と耐熱性の両立、トップコートとの接着性改善および夏場の層間膨れ抑制について徹底的な検討を行い、汎用化することのできる2液型ウレタン防水材を完成するに至った。
本発明は、トリレンジイソシアナートとポリオールとの反応によって得られるイソシアナート基末端プレポリマーを含む主剤と、芳香族ポリアミンおよびポリオールを反応成分として含む硬化剤とからなる2液型ウレタン防水材組成物において、
(1)前記イソシアナート基末端プレポリマーのイソシアナート含有率が2.5質量%以上4.6質量%以下であり、
(2)前記硬化剤中の芳香族ポリアミンとして3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルメタンおよびo−クロロアニリンとアニリンとホルムアルデヒドとの脱水縮合生成物のうち少なくとも一方を含み、
(3)ウレタン化触媒として1位と2位に置換基を有するイミダゾール化合物を使用し、
(4)前記組成物の初期の破断時の伸び率が450%以上であり、さらに80℃で1週間の熱劣化処理後の破断時の伸び率が400%以上であると同時に処理前に対する引張強さ比が80%以上であることを特徴とする2液型ウレタン防水材組成物である。
本発明は、次の態様を含む。
[1]トリレンジイソシアナートとポリオールとの反応によって得られるイソシアナート基末端プレポリマーを含む主剤と、芳香族ポリアミンおよびポリオールを反応成分として含む硬化剤とからなる2液型ウレタン防水材組成物において、
(1)前記イソシアナート基末端プレポリマーのイソシアナート含有率が2.5質量%以上4.6質量%以下であり、
(2)前記硬化剤中の芳香族ポリアミンとして3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルメタンおよびo−クロロアニリンとアニリンとホルムアルデヒドとの脱水縮合生成物のうち少なくとも一方を含み、
(3)ウレタン化触媒として1位と2位に置換基を有するイミダゾール化合物を使用し、
(4)前記組成物の初期の破断時の伸び率が450%以上であり、さらに80℃で1週間の熱劣化処理後の破断時の伸び率が400%以上であると同時に処理前に対する引張強さ比が80%以上であることを特徴とする2液型ウレタン防水材組成物。
[2]請求項1に記載の2液型ウレタン防水材組成物であって、硬化剤中の芳香族ポリアミンとして、ジエチルトルエンジアミンを全芳香族ポリアミンに対して5当量%以上30当量%未満を含み、23℃での可使時間が45分以上であり、硬化時間が18時間以内である夏季用2液型ウレタン防水材組成物、または23℃での可使時間が20分以上であり、5℃での硬化時間が18時間以内である冬季用2液型ウレタン防水材組成物。
[3]硬化剤中に用いるポリオールがトリオールを含む、[1]または[2]に記載の2液型ウレタン防水材組成物。
[4]硬化剤に用いるポリオールの水酸基の50%以上が1級水酸基である、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の2液型ウレタン防水材組成物。
[5]硬化剤に用いるポリオールがポリオキシプロピレンポリオールである、[4]に記載の2液型ウレタン防水材組成物。
[6]ウレタン化触媒として、硬化剤中に1位と2位に置換基を有するイミダゾール化合物を0.05〜0.8質量%含む、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の2液型ウレタン防水材組成物。
[7]1位と2位に置換基を有するイミダゾール化合物が1−イソブチル−2−メチルイミダゾールまたは/および1,2−ジメチルイミダゾールである、[1]〜[6]のいずれか1つに記載の2液型ウレタン防水材組成物。
[8]硬化剤中の鉛含有量が0.1質量%以下である、[1]〜[7]のいずれか1つに記載の2液型ウレタン防水材組成物。
本発明の2液型ウレタン防水材組成物は環境に優しく、冬場の低温硬化性に優れ、硬化物の高い伸び率と耐熱性を両立し、トップコートとの接着性が良く、夏場の層間膨れが抑制される。
ウレタン防水材は、炎天下での屋外施工でも発泡や膨れを発生することなく、しかも屋上等に多量に使用されるため経済性も強く求められる。
一般的に、主剤のNCO含有量が高くなると炭酸ガスの発生量が多くなるため発泡や膨れが発生しやすくなり、しかも硬化剤中の反応成分を多く必要することより経済性を損ねるため、本発明のウレタン防水材においては主剤のNCO含有量は2.5質量%以上4.6質量%以下であることが必要である。
NCO含有量が2.5質量%未満ではJIS規格に適合できる性能になり難い。
本発明の最大の特徴は、イミダゾール化合物をウレタン防水材の触媒として用いることにより、ウレタン塗膜に必要とされる伸び率と耐熱性の両者を十分に保持した上で、施工性を損ねることなく冬季の硬化性を大幅に改善できるとともに、夏場の発泡や層間膨れを防止することもでき、さらには有機酸鉛による環境汚染を防止することもできるウレタン防水材を提供することにある。
従来ウレタン防水材に用いられている有機酸鉛触媒は、5℃近辺の低温領域になると触媒効果が低下し硬化促進性が不十分となる傾向がある。低温でも硬化促進をさせるために有機酸鉛触媒の添加量を増大させると、初期の伸び率が低下すると同時に、有機酸鉛触媒が熱劣化促進剤としても作用するため耐熱性も激しく低下する。
また、ウレタン防水材の設計面より耐熱性を向上させる方法としては、主剤あるいは硬化剤に使用するポリオールとしてトリオールを多く配合することで硬化塗膜の網目構造を密にする方法が一般的であるが、この方法ではJIS規格に適する450%以上の伸び率を確保することが難しくなってしまう。
そのため、ウレタン防水材において優れた伸び率と優れた耐熱性とを両立させることは非常に難しい課題のまま今日に至っている。本発明は、上記したウレタン防水材の永らくの課題を克服する方法について鋭意検討した結果完成したものである。
最初に、ウレタン防水材にイミダゾール化合物を触媒として用いることにより、冬季の配合においても初期の伸び率の低下が少なくしかも熱劣化をほとんど起こさない、低温硬化性に優れた防水材が得られることを見出した。
ウレタン防水材の冬季配合は、春先や晩秋にも使用されるため、23℃での可使時間を20〜30分程度となるよう触媒量を夏季配合より増加させるのが一般的であるが、従来の有機酸鉛触媒では添加量の増加とともに、初期の伸び率が低下し同時に耐熱性も低下してしまう。その上、厳冬期においては現場添加型の硬化促進剤として有機酸鉛を添加する場合があり、さらに初期の伸び率と耐熱性を低下させてしまうため、JISには適さない防水材となってしまう。
しかし、本発明のイミダゾール触媒を用いると23℃の可使時間が20分〜30分程度の冬季配合としても、初期の伸び率の低下が少なくまた熱劣化も非常に少なく、さらに低温硬化性にも優れたウレタン防水材が得られることを見出した。
従来の有機酸鉛触媒での冬用配合では、初期の伸び率を450%以上の伸び率重視に設定した場合には80℃で1週間後の熱劣化試験によっても引張強さTb(以下「Tb」ともいう。)の保持率が80%以下となる場合があり、ましてや80℃で4週間後の条件では伸び率400%以上およびTb保持率80%以上とするのは非常に難しくなる。
一方、イミダゾール化合物を用いた場合には、冬季配合において初期の伸び率を450%以上に設定した場合でも、80℃で1週間後は勿論、80℃で4週間後の熱劣化試験でも伸び率400%以上およびTb保持率80%以上とすることが非常に容易となり、やや可使時間は短くなるが5℃での翌日硬化(18時間以内)も可能となることがわかった。
従って、イミダゾール触媒を用いた本発明の防水材は、初期の破断時伸び率が450%以上であり、且つ80℃で1週間の加熱処理後の伸び率が400%以上であると同時に処理前に対する引張強さ比が80%以上となるものであり、さらには80℃で4週間の加熱処理後でも伸び率が400%以上であると同時に処理前に対する引張強さ比が80%以上となるものが好ましい。
以上のように、冬用配合ではイミダゾール化合物を触媒に用いることで、低温硬化性に優れしかも熱劣化を起こさないウレタン防水材が可能となることが確認できたため、次に環境面を配慮して、年間を通して有機酸鉛を用いないウレタン防水材の可能性について検討をおこなった。
夏用配合については、23℃での可使時間を60分前後とするのが一般的であり、最低でも45分の可使時間とすることを目標に夏用配合の検討をおこなったが、前述した盛夏時を想定した層間膨れ試験をクリアーすることが大きな課題となることが分かった。
従来の有機酸鉛触媒でも、変性MOCAを相当量使用しないと層間膨れ試験をクリアーすることはできないが、イミダゾール化合物では芳香族アミンの全量を変性MOCAとしても層間膨れを防止できないことが分かった。
しかし、さらに検討を進めた結果、イミダゾール化合物を触媒とした場合には芳香族アミンとしてジエチルトルエンジアミン(以下「DETDA」ともいう。)を併用することにより層間膨れが防止できることを発見した。
尚、従来の有機酸鉛触媒でMOCAとDETDAを併用した場合でも層間膨れの防止効果はあるが、DETDAが高反応性アミンであるために、DETDAの添加量を多くすると、夏用配合として非常に重要な可使時間を短くしてしまうという大きな欠点があった。
しかし、本発明でのイミダゾール化合物を触媒として用いたウレタン防水材においては、高反応性のDETDAを併用することで逆に可使時間が延長されしかも硬化性については遅延されることなく返って短縮される傾向があるという驚くべきことを発見した。
上記現象は夏用配合としては最良のことであり、高反応性のDETDAを併用することで、硬化性を損なうことなしに十分な可使時間を確保することができ、しかも盛夏時の層間膨れを防止することができることとなった。
尚、MOCAあるいは変性MOCAに対するDETDAの配合量は、全芳香族アミンに対しDETDAが5当量%以上30当量%未満であることが好ましい。DETDAが30当量%以上となると、徐々に可使時間が短くなり施工性が低下し、5当量%以下では層間膨れを防止する効果が不十分である。
また、DETDAを併用した場合でも層間膨れ防止のためには、硬化剤中の全芳香族ポリアミン量を高くする方がより効果的であり、ポリオールに対して全芳香族ポリアミン量が70当量%以上95当量%以下であることが好ましい。
さらに、冬用配合についてもDETDAを併用することを検討したところ、夏用配合と同様に、低温での硬化時間を損ねることなく可使時間を延長できることが確認できた。
冬季配合においても、可使時間を確保できた上で低温硬化性が良くなることは非常に有益なことであり、従来は低温硬化性を良くするために促進剤を添加することにより増粘性が速くなり、消泡性やレベリング性の低下により仕上がり性が悪くなるという欠点があったが、その欠点をも解決できることが分かった。
本発明では、冬用配合においてもDETDAを併用することにより、冬用として十分な可使時間を確保したうえで、熱劣化をほとんど起こすことなく非常に低温硬化性が良いウレタン防水材が得られることが分かった。
次に、より詳細な最適配合について検討をおこなった。
硬化剤に配合されるポリオールとしては、MOCAとの溶解性が比較的良いこと、低粘性で施工性に優れることおよび経済性に優れることより、分子量が700〜7000のポリオキシエチレンプロピレンポリオールおよびポリオキシプロピレンポリオールを用いることが好ましく、吸水性が少なくてフィラー類の沈降を促進しない面からポリオキシプロピレンポリオールを用いることがより好ましい。
さらに、本発明で硬化剤中に用いるポリオールについて詳しく検討したところ、イミダゾール化合物を触媒として用いた場合はジオールよりもトリオールを用いる方が好ましいことが分かった。
従来の有機酸鉛触媒では、初期の伸び率を重視した場合はジオール、耐熱性を重視した場合はトリオールを用いるのが一般的であったが、イミダゾール触媒においてはジオールを用いた場合は伸び率を十分発揮できずTbもやや低下する傾向が見られるのに対し、トリオールを用いた場合には有機酸鉛の場合よりも初期の伸び率およびTbが高くなり耐熱性にも優れると同時に、トップコートとの接着性についても、ジオールを用いた場合よりもトリオールを用いた方が良好となる傾向がある。
硬化剤中に用いるポリオールについてさらに検討を進めた結果、ポリオールとして末端水酸基の50%以上が1級化されたポリオールを用いることで、トップコートとの接着性、層間膨れ、硬化膜の発泡性が改善されることができ、好ましいことが分かった。
末端水酸基の50%以上が1級化されたポリオールとしては、分子量700〜7000のポリオキシアルキレンポリオールが挙げられ、その中でも末端水酸基の50%以上がエチレンオキサイド(以下「EO」ともいう。)で1級化されたポリオキシエチレンプロピレンポリオール、1級化PPGと称せられる特殊触媒で末端水酸基の50%以上が1級化されたポリオキシプロピレンポリオールが好ましく、MOCAとの溶解性にも優れ、低粘度で施工性の良い硬化剤を提供することができる。ただし、EOにより1級化されたポリオールは硬化剤の貯蔵安定性をやや悪くすると同時に、硬化塗膜の吸水性を大きくする傾向があるため、1級化PPGを用いる方がより好ましい。
また、末端水酸基の50%以上が1級化されたポリエステルポリオールやアルキルポリオールも使用することができる。
ポリエステルポリオールの中では株式会社クラレ製のクラレポリオール P−520(平均分子量約500)やP−530(平均分子量約500)のような平均分子量が1500以下の非結晶性で耐加水分解性にも優れた芳香族ポリエステルが好ましい。また、株式会社クラレ製のクラレポリオール C−590(平均分子量約500)、クラレポリオール C−1050(平均分子量約1000)といった平均分子量が1500以下のポリカーボネートポリオールも非結晶性で耐加水分解性に優れるため、好ましく使用することができる。
アルキルポリオールの中では、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコールのような比較的低分子量で液状のポリオールが好ましい。
また、上記のポリエステルポリオールやアルキルポリオールは末端水酸基の50%以上が1級化されたポリオキシアルキレンポリオールと併用することができ、MOCAとの溶解性にも優れ、トップコートとの接着性の良い防水材を提供することができる。
また、硬化剤に用いるポリオキシアルキレンポリオールとしては、トリオールを用いることが好ましい。
従来技術ではポリオキシアルキレンポリオールとしてトリオールを用いることにより耐熱性は良くなるが、初期の伸び率を低下させるという大きな欠点があったが、本発明のイミダゾール化合物を触媒としたウレタン防水材においては、トリオールを用いても初期の伸び率を確保することができ、しかも耐熱性も良好なウレタン塗膜となり、トップコートとの接着性についても向上する傾向となる。
さらには、トリオールとして1級化PPGを用いる方がより好ましく、低温時(5℃)においてのトップコートとの接着性についても非常に良好となる。
尚、本発明で硬化剤に使用するポリオールは、ポリオールの全てをトリオールとしなくとも良く、トリールの含有量が全ポリオール中の20当量%以上であることが好ましく50当量%以上であることがさらに好ましい。
尚、本発明では変性MOCAを用いることもできるが、変性MOCAは2官能以上であり初期の伸び率を低下させるため、初期の伸び率を十分に確保することができるMOCAを用いる方が好ましい。
本発明の硬化剤は、芳香族ポリアミン、ポリオール、触媒の他に一般的にウレタン樹脂に用いられる可塑剤・溶剤、充填剤、着色剤、耐候性付与剤・耐熱性付与剤、湿潤・分散剤等を配合することができる。
本発明で触媒として用いるイミダゾール化合物としては、1位と2位に置換基を有するイミダゾール化合物が好ましく、中でも触媒効果の面より1,2−ジメチルイミダゾールおよび1−イソブチル−2−メチルイミダゾールがより好ましく、常温で液体であり取り扱いし易いことより1−イソブチル−2−メチルイミダゾールがさらに好ましい。
イミダゾール化合物の添加量については硬化剤に対し0.05質量%〜0.8質量%であることが好ましく、0.05質量%以下では触媒効果が乏しく、0.8質量%以上では低温時においても可使時間を確保することが難しくなる。
尚、硬化剤とは別に硬化促進剤としてイミダゾール化合物を施工現場で添加することもできるが、その場合でも硬化剤に対して0.8質量%以下であることが好ましい。
本発明では熱劣化を促進する有機酸鉛触媒を使用しなくてもよいため、主剤中のポリオールの配合については、従来よりもジオールを多く用いて初期の伸び率を重視した配合とすることもできる。
ポリオールとしては分子量が400〜7000のポリエステルポリオール、アルキルポリオール、ポリオキシアルキレンポリオール等通常ウレタン樹脂に用いられるポリオールが使用できるが、非結晶性で低粘度であり経済性のある面よりポリオキシエチレンプロピレンポリオールあるいはポリオキシプロピレンポリオールを用いることが好ましい。
主剤中の分子量が400〜7000のポリオールについてはジオール量が20当量%以上75当量%以下であることが好ましい。
ジオールが20当量%以下となると伸び率が確保し難くなり、75当量%以上となると低強度化する恐れがある。
また、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチルペンタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の分子量が400未満の短鎖ポリオールを用いてNCO含有量等を調整することもできる。
主剤に用いるポリイソシアナートとしては、TDIが必要であり、TDIとしては、2,4−トリレンジイソシアナート100%品や65%も市販されてはいるが、汎用品で入手が容易である2,4−トリレンジイソシアナート80%と2,6−トリレンジイソシアナート20%の混合物がより好ましい。
また、主剤製造時のイソシアナート基とポリオール基の当量比(NCO/OH)は1.8〜2.2の範囲であることが好ましい。
尚、主剤に溶剤や可塑剤を配合し粘度調整をすることができ、場合によっては消泡剤、着色剤等の添加剤を配合することもできる。
本発明では有機酸鉛触媒を併用することもできるが、環境面の配慮より有機酸鉛触媒は硬化剤中の鉛含有量が0.1質量%以下となるようにすることが好ましく、全く配合にないことがより好ましい。
また、その他有機酸ビスマス、有機酸亜鉛、有機酸錫、有機第二錫といった有機酸金属触媒あるいは有機金属触媒も必要に応じて併用することができる。
原材料
以下の実施例および比較例で用いた原材料は、次のとおりである。
サンニックスGH−5000: ポリオキシプロピレントリオール、平均分子量5000、OH価:33.7mgKOH/g、三洋化成工業株式会社製
サンニックスPP−2000: ポリオキシプロピレンジオール、平均分子量2000、OH価56.1mgKOH/g、三洋化成工業株式会社製
ポリハードナT−500: ポリオキシプロピレントリオール、平均分子量5000、OH価:33.2mgKOH/g、第一工業製薬株式会社製
ニューポールPE−61: ポリオキシプロピレンジオールのエチレンオキシド付加物、平均分子量2000、OH価:57mgKOH/g、三洋化成工業株式会社製
プライムポールFF−3500: ポリオキシプロピレントリオール、一級水酸基比率約70モル%、平均分子量5000、OH価:34mgKOH/g、三洋化成工業株式会社製
T−80: コロネートT−80、2,4−トリレンジイソシアナート/2,6−トリレンジイソシアナート=80/20(質量比)の混合物、NCO含有量48.3質量%、日本ポリウレタン工業株式会社製
石油系炭化水素溶剤: ノルマルパラフィン、イソパラフィン混合物、シェルケミカルズジャパン株式会社製
MOCA: イハラキュアミンMT、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジクロロジフェニルメタン、イハラケミカル工業株式会社製
変性MOCA: ML−520、o−クロロアニリンとアニリンとホルムアルデヒドとの脱水縮合生成物を、同質量のポリ(オキシプロピレン)グリコール〔分子量2000〕で溶かしたもの〔OH価=242mgKOH/g〕、イハラケミカル工業株式会社製
DETDA: エタキュア100、ジエチルトルエンジアミン、アルベマール社製
DINP: サンソサイザーDINP、ジイソノニルフタレート、新日本理化株式会社製
脂環族炭化水素溶剤: 三協化学株式会社製
2−エチルヘキシル酸鉛(Pb20%): ニッカオクチックス鉛20%TS、2−エチルヘキシル酸鉛(Pb含有量42質量%)をノルマルパラフィンとイソパラフィン混合物で希釈し、Pb含有量として20質量%としたもの、日本化学産業株式会社製
1−イソブチル−2−メチルイミダゾール: NC−IM、三共エアプロダクツ株式会社製
1,2−ジメチルイミダゾール: 試薬、Aldrich製
添加剤類: 楠本化成株式会社製
炭酸カルシウム LW350: 清水工業株式会社製
炭酸カルシウム NS#100: 日東粉化工業株式会社製
トナー: 大日精化工業株式会社製
主剤の調製
表1〜9の配合に従って、四つ口フラスコにポリオールと溶剤を仕込み、次いでTDIを仕込んだ。その後攪拌しながら90〜100℃で7時間反応させて主剤を得た。
硬化剤の調製
表1〜9の配合に従って、金属容器に液物を仕込み、攪拌機(ディゾルバー羽根)で低速混合し均一にした後、炭酸カルシウム、トナーを配合し1500rpmで15分間混合して硬化剤を得た。なお、MOCAはあらかじめ所定量のポリオールに溶解したものを使用した。
比較例1、2、3
比較例1は従来の有機酸鉛触媒である2−エチルヘキシル酸鉛(Pb20%)を1.0質量%使用したMOCA架橋型防水材の冬季配合の例である。この配合では5℃では防水材塗布18時間後に靴での歩行はできず冬季配合としては好ましくない。比較例2では冬場での硬化性向上のために、2−エチルヘキシル酸鉛(Pb20%)を比較例1の2倍量配合した結果、5℃、18時間後である程度硬化しているものの、未だ靴での歩行には無理がある状態であった。更に比較例3では2−エチルヘキシル酸鉛(Pb20%)を比較例1の3.2倍量配合したところ、靴で歩行できるまで硬化していた。しかしながら、比較例2、3では破断時の伸び率がJIS規格(450%)を満たしておらず、80℃、1週間の耐熱試験で既に劣化が始まっており、80℃、4週間の耐熱試験では明らかに物性低下が見られた。また比較例1、2、3は有機酸鉛触媒を配合しているため、環境面からも好ましくないと言える。
比較例4、5、6
比較例4、5、6は比較例1のポリオールをサンニックスPP−2000からトリオールのポリハードナT−500に変え、2−エチルヘキシル酸鉛(Pb20%)を各々1.0、1.5、4.5質量%使用した冬季配合例である。比較例4、5では5℃での硬化性が十分ではなく、比較例5、6では破断時の伸び率がJIS規格を満たしていなかった。一方耐熱性はサンニックスPP−2000に比べて改善されてはいるが、未だ十分とは言えない。また比較例4、5、6は有機酸鉛触媒を配合しているため、環境面からも好ましくない。
実施例1、2
実施例1は、比較例4において硬化触媒に2−エチルヘキシル酸鉛(Pb20%)の代わりにイミダゾール触媒NC−IMを0.12質量%配合した冬季配合の例である。5℃、18時間後では完全には硬化していないが、靴で歩行できる状態であった。一方、破断時の伸び率はJIS規格を十分に満たしており、熱劣化も観察されず冬季配合として有効であった。実施例2は硬化触媒NC−IMを0.23質量%配合した冬季配合の例である。5℃、18時間後には完全に硬化しており、靴で歩行できる状態であった。更に、破断時の伸び率はJIS規格を満たしており、熱劣化も観察されず冬季配合として有効であった。また、トップコートの接着性も良好であった。
実施例3
実施例3は、実施例2においてMOCAに代えて変性MOCAを使用し、ポリオールをポリハードナT−500からサンニックスPP−2000に変更し、NC−IMを0.30質量%配合した冬季配合の例である。破断時の伸び率はやや低めであるがJIS規格を満たしており、可使時間・5℃での硬化性・トップコート接着性・耐熱性ともに良好であり、冬季配合として有効であった。
比較例7、8
比較例7は、比較例1を夏季配合として評価した例である。可使時間、硬化性は夏季配合として問題ないものの、夏季配合での課題である層間膨れが発生した。比較例8は、比較例7において、ポリアミンとしてMOCAに代えて層間膨れの抑制効果があるとされている変性MOCAを使用した例である。層間膨れは抑えられているが、破断時の伸び率がJIS規格を満たしていなかった。
実施例4
実施例4は比較例7においてポリアミンとしてMOCAの一部(芳香族ポリアミン中の17.6当量%)をDETDAに変えた夏季配合の例である。可使時間は93分でありDETDAを併用しても可使時間は十分に長く、しかも層間膨れを抑制することができている。また、破断時の伸び率はやや低いがJIS規格を満たしており、トップコート接着性・引張り強度・耐熱性ともに夏用として実用できるレベルであった。
実施例5
実施例5は、実施例4においてポリオール比を25当量%に増やした夏季配合の例である。破断時の伸び率は実施例5に比べ十分に高く、トップコートの接着性がやや劣るものの実用できるレベルであった。
実施例6、7
実施例6、7は、各々実施例4においてポリオールをサンニックスPP−2000からエチレンオキシド付加により一部末端OH基が一級化されたニューポールPE−61に、あるいはトリオールであるポリハードナT−500に変更した夏季配合の例である。実施例6、7ともに破断時の伸び率は実施例5に比べ十分に高く、実施例7ではトップコートの接着性がやや劣るものの実用できるレベルであった。また、実施例8ではトップコートの接着性も良好であった。
実施例8、9、10
実施例8は、実施例4においてポリオールを一部末端OH基が一級化されたトリオールであるプライムポールFF−3500に変更した夏季配合の例である。実施例9、10は実施例8においてポリオール比を各々25、40当量%に変更した夏季配合の例である。実施例8、9、10いずれも可使時間、硬化時間、層間膨れ、トップコートの接着性、機械物性、耐熱性は全て良好であった。
実施例11、12
実施例11、12は実施例6の硬化触媒量を0.10、0.12質量%に変更した夏季配合例である。可使時間は各々80分、68分と夏場の施工でもまったく問題ないレベルであった。トップコートの接着性がやや劣るものの実用できるレベルであった。層間膨れ、機械物性、耐熱性は良好であった。
実施例13、14、15、16
実施例13、14、15、16は実施例4において芳香族ポリアミン中の5.9当量%、11.8当量%、23.5当量%、35.3当量%をDETDAに変えた夏季配合の例である。可使時間は73、85、65,42分でありDETDAを併用しても可使時間は十分に長く、しかも層間膨れが抑制されていた。
実施例17、18、19
実施例17、18、19は実施例4において硬化触媒NC−IMの添加量を0.23質量%とし、芳香族ポリアミン中の11.8当量%、17.6当量%、23.5当量%、をDETDAに変えた冬季配合の例である。可使時間は32、30、28分でありDETDAを併用しても可使時間は十分に長く、更に5℃、18時間後には完全には硬化しており、靴で歩行できる状態であった。5℃におけるトップコートとの接着性はやや劣るものの実用できるレベルであり、機械物性、耐熱性も良好であった。
実施例20
実施例20は、実施例18においてNC−IMを3倍量の0.69質量%配合した冬季配合の例である。可使時間は21分とやや短めではあるが、熱劣化は観察されず冬季配合として有効であった。
実施例21、22、23
実施例21、22、23は実施例4において硬化触媒NC−IMの添加量を0.20質量%、ポリオールをプライムポールFF−3500に変更し、芳香族ポリアミン中の11.8当量%、17.6当量%、23.5当量%、をDETDAに変えた冬季配合の例である。可使時間は34、30、33分でありDETDAを併用しても可使時間は十分に長く、更に5℃、18時間後には完全には硬化しおり、靴で歩行できる状態であった。5℃におけるトップコートとの接着性は実施例18、19、20に比べて改善されており、機械物性、耐熱性も良好であった。
実施例24
実施例24は実施例22において硬化触媒NC−IMを1,2−ジメチルイミダゾールに変えた冬季配合の例である。可使時間は28分であり5℃における硬化性、トップコートとの接着性、機械物性、耐熱性ともに良好であった。
実施例25
これまでの実施例、比較例では全てジオール/トリオール当量比が50/50の主剤を使用してきたが、実施例25は主剤のジオール/トリオール当量比を40/60に変えた冬季配合の例である。可使時間は30分、5℃、18時間後には完全には硬化しており、機械物性、トップコートとの接着性、耐熱性も良好であった。
実施例26
実施例25の配合において、ウレタン化触媒として、環境面からは好ましくはないが、2−エチルヘキシル酸鉛(Pb20%)を1.0質量%硬化剤に配合し、さらにNC−IMを0.2質量%硬化促進剤として後添加した。
実施例25よりは伸び率が低下するがJIS規格の範囲内であり、可使時間が25分、5℃、18時間後には完全に硬化しており、機械物性、トップコートとの接着性、耐熱性とも良好であった。
比較例9
実施例9は実施例25において硬化触媒NC−IMの代わりに2−エチルヘキシル酸鉛(Pb20%)1.5質量%を使用した冬季配合の例である。可使時間は32分、5℃、18時間後には完全には硬化していたが、破断時の伸び率がJIS規格を満たしていなかった。
なお、各評価項目の測定方法は次のとおりである。
[NCO(質量%)]
200mLの三角フラスコに主剤約1gを精秤し、これに0.5Nジ−n−ブチルアミン(トルエン溶液)10mL、トルエン10mLおよび適量のブロムフェノールブルーを加えた後メタノール約100mLを加え溶解する。この混合液を0.25N塩酸溶液で滴定する。NCO(質量%)は以下の式によって求められる。
NCO(質量%)=(ブランク滴定値−0.5N塩酸溶液滴定値)×4.202×0.25N塩酸溶液のファクター×0.25÷サンプル質量
[可使時間(分)]
23℃、湿度50%の空気循環型環境試験室内において、主剤と硬化剤を所定の割合で攪拌・混合開始から、BH型粘度計で2rpmにおける粘度が60,000mPa・sになるまでの時間を測定した。
[硬化性(23℃)および(5℃)]
23℃或いは5℃、湿度50%の空気循環式型環境試験室内において、主剤と硬化剤を所定の割合で攪拌・混合した防水材を2kg/m塗布し、18時間後に硬化したかどうかをチェックした。
評価○:完全に硬化しており靴で歩行できる。
評価○△:完全には硬化していないが、靴で歩行できる。
評価△:ある程度硬化しているが、靴での歩行には無理がある。
評価×:硬化不十分で靴での歩行はできない。
[層間膨れ性]
23℃、湿度50%の空気循環型環境試験室内において、主剤と硬化剤を所定の割合で攪拌・混合した防水材を1.5kg/m塗布した。その18時間後、一層目と同じ主剤と硬化剤を所定の割合で攪拌・混合した防水材を3.0kg/m塗布し60℃、湿度50%の恒温・恒湿槽中で4時間硬化した後、目視にて一層目と二層目の層間膨れの状況を観察した。
評価○:全く膨れがない。
評価×:膨れがある。
[トップコート接着性(23℃および5℃)]
23℃或いは5℃、湿度50%の空気循環型環境試験室内において、主剤と硬化剤を所定の割合で攪拌・混合した防水材を2kg/m塗布した。その3日後、トップコート(OTコートA、田島ルーフィング株式会社製)を0.15kg/m塗布した。さらにその翌日、接着性試験を行った。接着試験は、トップコート面を2mmの碁盤目(25マス)にカットした部分を、ゴムベラ先端を厚さ5mmにカットした角の部分で10往復(5cm巾で移動)こすった後のトップコートの剥れを観察するラビング試験で行った。
評価○:全く剥れない。
評価○△:10%以下剥れるが実用上問題ない。
評価△:一部分(30%以下)剥れる。
評価×:30%以上剥れる。
[引張強さ(N/mm)]
JIS A 6021に基づいて測定を行った(JIS規格では引張強さは2.3N/mm以上)。
[破断時の伸び率(%)]
JIS A 6021に基づいて測定を行った(JIS規格では破断時の伸び率は450%以上)。
[80℃、1および4週加熱処理後の引張強さ比(%)、破断時の伸び率(%)]
80℃の乾燥機に1あるいは4週間入れて加熱処理した試験片について、JIS A 6021に基づいて引張強さおよび破断時の伸び率の測定を行い、引張強さに関しては処理前に対する引張強さ比を求めた。
Figure 0006182783
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本発明の組成物は、2液型ウレタン防水材として、建築物の屋上やマンション等の集合住宅のベランダ等の防水に好適に使用することができる。

Claims (8)

  1. トリレンジイソシアナートとポリオールとの反応によって得られるイソシアナート基末端プレポリマーを含む主剤と、芳香族ポリアミンおよびポリオールを反応成分として含む硬化剤とからなる2液型ウレタン防水材組成物において、
    (1)前記イソシアナート基末端プレポリマーのイソシアナート含有率が2.5質量%以上4.6質量%以下であり、
    (2)前記硬化剤中の芳香族ポリアミンとして3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルメタンおよびo−クロロアニリンとアニリンとホルムアルデヒドとの脱水縮合生成物のうち少なくとも一方を含み、
    (3)ウレタン化触媒として1位と2位に置換基を有するイミダゾール化合物を使用し、
    (4)前記組成物の初期の破断時の伸び率が450%以上であり、さらに80℃で1週間の熱劣化処理後の破断時の伸び率が400%以上であると同時に処理前に対する引張強さ比が80%以上であることを特徴とする2液型ウレタン防水材組成物。
  2. 請求項1に記載の2液型ウレタン防水材組成物であって、硬化剤中の芳香族ポリアミンとして、ジエチルトルエンジアミンを全芳香族ポリアミンに対して5当量%以上30当量%未満を含み、23℃での可使時間が45分以上であり、硬化時間が18時間以内である夏季用2液型ウレタン防水材組成物、または23℃での可使時間が20分以上であり、5℃での硬化時間が18時間以内である冬季用2液型ウレタン防水材組成物。
  3. 硬化剤中に用いるポリオールがトリオールを含む、請求項1または2に記載の2液型ウレタン防水材組成物。
  4. 硬化剤に用いるポリオールの水酸基の50%以上が1級水酸基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の2液型ウレタン防水材組成物。
  5. 硬化剤に用いるポリオールがポリオキシプロピレンポリオールである、請求項4に記載の2液型ウレタン防水材組成物。
  6. ウレタン化触媒として、硬化剤中に1位と2位に置換基を有するイミダゾール化合物を0.05〜0.8質量%含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の2液型ウレタン防水材組成物。
  7. 1位と2位に置換基を有するイミダゾール化合物が1−イソブチル−2−メチルイミダゾールまたは/および1,2−ジメチルイミダゾールである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の2液型ウレタン防水材組成物。
  8. 硬化剤中の鉛含有量が0.1質量%以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の2液型ウレタン防水材組成物。
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