JP6182339B2 - 住宅構造 - Google Patents

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Description

本発明は、半屋外空間を備えた住宅の構造に関する。
居室空間の屋外側に、開口部を介して半屋外空間が設けられた住宅が存在する。特開2012−1891号公報(特許文献1)、特開2012−1892号公報(特許文献2)および特開2012−251423号公報(特許文献3)では、このような住宅において、開口部近傍空間の床面と半屋外空間の床面とを略同じ高さレベルに揃えることや、開口部近傍空間の天井面と半屋外空間の軒裏面とを略同じ高さレベルに揃えることが開示されている。また、居室空間と半屋外空間との境界部分に位置する開口部を大開口とし、半屋外空間の屋根部を十分に張出すようにすることで、居室空間内での心地良さを高めることが開示されている。
また、半屋外空間は、勾配屋根を備えた住宅に設けられることもある。たとえば特開平11−270043号公報(特許文献4)では、棟の端部と妻側の軒先および桁側の軒先が交差する点とを結ぶ2本の稜線で構成される棟の端部を起点とした略逆V字状の屋根側面に、開口が設けられ、この開口の下方にバルコニーの床が設けられることが開示されている。このバルコニーは、切妻屋根の小屋裏空間に隣接している。
特開2012−1891号公報 特開2012−1892号公報 特開2012−251423号公報 特開平11−270043号公報
上述のように、特許文献4では、勾配屋根を備えた住宅において、勾配屋根の裏面を天井面とする居室空間およびバルコニーが開示されている。しかしながら、その居室空間は小屋組で囲まれた小屋裏空間であるため、その高さは非常に制限されたものである。また、勾配屋根の下階に屋内空間(居住空間)および半屋外空間を有する住宅においても、その天井面は小屋組の小屋梁部分に形成されるため水平に配置される。したがって、屋内空間および半屋外空間のいずれにおいても空間の高さは感じられない。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、空間の高さを感じることのできる住宅構造を提供することである。
この発明のある局面に従う住宅構造は、勾配屋根と、勾配屋根の下階かつ妻側に位置し、勾配屋根の裏面と対向する床部を含む半屋外空間と、互いに間隔をあけて、半屋外空間の床部から勾配屋根の裏面にまで延びる、高さの異なる複数の第1柱部と、勾配屋根の下階において半屋外空間と隣接し、勾配屋根の裏面を天井面とする屋内空間と、半屋外空間と屋内空間とを仕切る仕切り部とを備える。仕切り部は、上端縁が勾配屋根の裏面にまで延びる透光面を含む。
好ましくは、半屋外空間は、勾配屋根の頂部を含む位置に配置されている。
好ましくは、複数の第1柱部のうちの1つは、その上端が頂部にまで延びている。
好ましくは、透光面は、下端縁が床部まで延びている。
好ましくは、仕切り部は、頂部から床部まで延びる第2柱部をさらに含み、透光面は、第2柱部によって左右に分割されている。
好ましくは、複数の第1柱部は、等間隔で配置されている。
好ましくは、屋内空間の天井面には、勾配屋根の下地材が露出される。
本発明によれば、半屋外空間の床部から勾配屋根の裏面にまで延びる複数の柱部が備えられるため、空間の高さが強調される。その結果、屋内または半屋外空間に居るときだけでなく外観においても、空間の高さを感じることができる。
本発明の実施の形態に係る住宅の外観を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態に係る住宅の構造例を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態に係る住宅の他の構造例を模式的に示す図である。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
本実施の形態に係る住宅は、勾配屋根を備えている。一般的な勾配屋根では、その下階の天井部は、小屋組の小屋梁の部分に水平に配置される。これに対し、本実施の形態では、勾配屋根の勾配に沿って、勾配屋根の下階の天井部が設けられる。
本実施の形態において「勾配屋根」とは、勾配を有する屋根であればよく、切妻屋根、片流れ屋根、および、マンサード屋根などを含む。また、「勾配屋根の下階」とは、2階建ての住宅の場合は2階、1階建ての住宅の場合は1階を表わす。
以下に、本実施の形態に係る住宅の構造について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る住宅1の外観を模式的に示す図である。図2は、本発明の実施の形態に係る住宅1の構造例を模式的に示す図である。
図1および図2を参照して、本実施の形態に係る住宅1は、2階建てであり、切妻屋根2と、切妻屋根2の下方に位置する屋内空間3と半屋外空間6とを備えている。これらの空間3,6は、2階部分(下階)に位置する空間であり、隣接して設けられている。半屋外空間6は、切妻屋根2の妻側に位置する。妻側とは、屋根の勾配が表れる側である。半屋外空間6は、妻側の外壁7よりも奥まった位置に形成されたインナーバルコニー空間である。なお、住宅が1階建の場合には、半屋外空間はたとえばテラス空間であってよい。
半屋外空間6の床部61は、切妻屋根2の裏面である天井面62aと対向している。同様に、屋内空間3の床部31は、切妻屋根2の裏面である天井面32aと対向している。したがって、屋内空間3の床部31から天井部32のうち切妻屋根2の頂部20に対応する部分までの高さは、一般的な住宅の屋内空間の高さよりもはるかに高いものとなる。頂部20とは、切妻屋根2の棟木21が配置される部分に相当する。
図2に示されるように、屋内空間3と半屋外空間6とは、仕切り部5によって仕切られている。仕切り部5は、ほぼ一面に透光面51を含んでいる。つまり、透光面51は、上端縁が切妻屋根2の裏面(天井面32a,62a)にまで延び、かつ、下端縁が床部31,61まで延びている。透光面51は、典型的には透明または半透明の窓である。なお、上端縁、下端縁のいずれも、完全な端縁を意味するものではなく、端縁付近も含むものとする。
仕切り部5は、また、柱部52および梁53を含んでいる。柱部52は、切妻屋根2の頂部20から床部31,61まで延びている。梁53は、柱部52と直交して左右方向に延びている。透光面51は、柱部52によって左右方向に分割されているとともに、梁53によって上下方向にも分割されている。梁53よりも少なくとも下方側の透光面51は、たとえば左右方向にスライド可能な複数の窓で構成されていることが望ましい。
上記のような構造とされることで、切妻屋根2の勾配を生かした縦に延びる屋内空間3が、半屋外空間6を介して空とつながる光溢れる居住空間(寛ぎ空間)となる。また、屋内空間3の天井面32aには、切妻屋根2の下地材である棟木21および複数の登り梁22が露出されている。このように、切妻屋根2の下地材が露出されるため、屋内空間3において、木造の構造体(木組)を楽しむことができるため、癒し効果が生じる。
ここで、本実施の形態では、半屋外空間6と外部空間との境に、切妻屋根2の勾配に沿って、その床部61から天井面62aにまで延びる複数の柱部4が配置されている。複数の柱部4は、互いに間隔をあけて配置されている。隣り合う柱部4間の間隔は、たとえば45cm〜100cmであることが望ましい。本実施の形態のように、半屋外空間6が切妻屋根2の頂部20を含む位置に配置されている場合、複数の柱部4のうちの1つは、その上端が頂部20にまで延びるように配置されることが望ましい。また、この場合、他の柱部4は、最も高い柱部を中心として左右対称に配置されることが望ましい。したがって、複数の柱部4は、少なくとも隣り合う柱部との間でその高さが異なっている。
柱部4は、たとえば四角柱であり、柱部4の最も妻側(外部空間側)の面が、外壁7の妻側の面と略同一面(仮想面)上に位置するように配置されている。なお、柱部4および外壁7のどちらかの方が若干出っ張っていてもよい。柱部4の外表面は、外壁7の外壁材とは異なる素材で覆われていることが望ましい。本実施の形態では、柱部4の外表面はタイル貼りされている。このように、柱部4は、重厚感とともにインテリア性も備えている。また、柱部4は、妻側の外壁7との素材または色のコントラストにより、縦方向のラインがより強調される。
本実施の形態に係る住宅1では、半屋外空間6はバルコニー空間であるため、半屋外空間6と外部空間との境には、手摺65および壁部66が配置されている。また、半屋外空間6側においても梁67が設けられている。この梁67は、屋内空間3の梁53と同じ高さに設けられる。この場合、複数の柱部4は、手摺65、壁部66および梁67を、間に挟み込むように設けられる。柱部4の桁方向の厚みは、手摺65、壁部66および梁67の厚みよりも大きい。そのため、外観において、複数の柱部4が、床部61から天井面62aにまで真直ぐ延びていることが分かる。これにより、外観において、半屋外空間6および屋内空間3の高さを感じることができる。また、半屋外空間6が、切妻屋根2の妻側において、頂部20を含む位置に部分的に設けられるため、外観上において、切妻屋根2の大らかなラインに柱部4の縦のラインが映える。また、本実施の形態では、半屋外空間6にも梁67が設けられたが、複数の柱部4を設けることで、梁67をなくすこともできる。なお、本実施の形態では、1階部分の勾配屋根がバルコニーの壁部66の部分に設けられているため、外観上、柱部4の下側の一部は見えていない。
また、本実施の形態では、1階部分の勾配屋根の桁側に、同一高さの複数の壁柱104が設けられている。柱部4の組と壁柱104の組とは、その長さおよび上端のラインが異なるため、これらが対比されることにより、柱部4が、より高く、空へと延びる感覚がもたらされる。
さらに、半屋外空間6の最も屋外側に、複数の柱部4が互いに間隔をあけて設けられている。そのため、仕切り部5全体に透光面51が設けられた場合であっても、外部から屋内空間3を適度に隠すことができる。このように、屋内空間3が緩く囲われることで、プライバシーが適度に守られるとともに、夏の日差しを快適に和らげることができる。その結果、屋内空間3のどこにいても心地よく快適に過ごすことができる。
上述のように、本実施の形態では、切妻屋根2の小屋裏空間が、下階における居住空間の一部として利用される。そのためには、住宅1の屋内空間3の天井部32自体が断熱材を有していることが望ましい。勾配屋根を有する一般的な住宅では、水平に配置された天井部に断熱材が設けられている。
住宅1の断熱工法としては、具体的にはたとえば「外張り基礎断熱工法」が採用されているものとする。「外張り基礎断熱工法」では、切妻屋根2の天井部32が遮熱フィルム付の断熱材で覆われるとともに、基礎(図示せず)および外壁7の断熱材の外側が遮熱透湿防水シートで覆われる。これにより、住宅1内に侵入する輻射熱が遮られて住宅1の遮熱効果が高められる。このような断熱工法が採用されることで、切妻屋根2の下階の天井を、切妻屋根2の勾配に沿った天井部32としても、一年中快適に過ごすことができる。
なお、本実施の形態では、屋内空間3の床部31と半屋外空間6の床部61とは、段差なく面一形状とされているが、床部31,61の高さは異なっていてもよい。あるいは、屋内空間3の仕切り部5付近に、吹き抜けや階段が設けられ、床部31,61が離間して設けられてもよい。
また、本実施の形態では、屋内空間3における1対の壁33,34と、半屋外空間6の壁63,64とが分断された例を示したが、これらは連続するように設けられてもよい。図3は、本発明の実施の形態に係る住宅1の他の構造例を模式的に示す図である。なお、図3では、複数の柱部4の図示が省略されている。
図3に示されるように、屋内空間3の1対の壁33,34は、仕切り部5の透光面51を超えて、半屋外空間6にまで段差なく延びることで、半屋外空間6の1対の壁63,64を形成している。これにより、屋内空間3と半屋外空間6とを含めた空間を、立体的なつながりを持った大空間として演出することもできる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 住宅、2 切妻屋根、3 屋内空間、4 柱部、5 仕切り部、6 半屋外空間、7 外壁、20 頂部、21 棟木、22 登り梁、31、61 床部、32,62 天井部、33,34,63,64,66 壁部、51 透光面、52 柱部、53,67 梁、65 手摺、104 壁柱。

Claims (5)

  1. 勾配屋根と、
    前記勾配屋根の下階かつ妻側において、前記勾配屋根の頂部を含む位置に配置され、前記勾配屋根の裏面と対向する床部を含む半屋外空間と、
    互いに間隔をあけて、前記半屋外空間の前記床部から前記勾配屋根の前記裏面にまで延びる、高さの異なる複数の第1柱部と、
    前記勾配屋根の下階において前記半屋外空間と隣接し、前記勾配屋根の前記裏面を天井面とする屋内空間と、
    前記半屋外空間と前記屋内空間とを仕切る仕切り部とを備え、
    前記仕切り部は、上端縁が前記勾配屋根の前記裏面にまで延びる透光面を含み、
    前記複数の第1柱部のうちの1つは、その上端が前記頂部にまで延びている、住宅構造。
  2. 前記透光面は、下端縁が前記床部まで延びている、請求項に記載の住宅構造。
  3. 前記仕切り部は、前記頂部から前記床部まで延びる第2柱部をさらに含み、
    前記透光面は、前記第2柱部によって左右に分割されている、請求項に記載の住宅構造。
  4. 前記複数の第1柱部は、等間隔で配置されている、請求項1〜のいずれかに記載の住宅構造。
  5. 前記屋内空間の前記天井面には、前記勾配屋根の下地材が露出される、請求項1〜のいずれかに記載の住宅構造。
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