JP6180490B2 - 抵抗発熱体用ステンレス箔又はステンレス線材 - Google Patents

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Description

本発明は、シーズヒーターや面状発熱体等で使用される電熱ヒーターの抵抗発熱体材料に関する。
抵抗発熱体は、各種金属に電気を流して発熱させるものであり、金属の発熱体には、薄板、箔、線などが使用される。主に箔材を使用する面状発熱体は、薄く柔らかいことが特徴であり、曲面や狭いスペースヘの加熱に適していることから、ガラスの曇り止め、便座ヒーター、暖房床材、暖房カーペット、OA機器等において幅広く使用されている。一方、主に線材を使用する棒状発熱体は、大電流により加熱できることが特徴であり、シーズヒーターやホットプレートなどの各種加熱部品において幅広く使用されている。抵抗発熱体用の材料としては、一般には電気抵抗が高いものが望ましい。
従来の抵抗発熱用材料には、種々の高電気抵抗材が用いられてきた。汎用的な材料として特開2004−149885号公報(特許文献1)や特開2004−79247号公報(特許文献2)に開示されているSUS301やSUS304などのオーステナイト系ステンレス鋼が挙げられる。これらの鋼は、成形性に優れ加熱による脆化感受性が低いという特徴に加え、Crを17〜18質量%含んでいることから、体積抵抗率が0.76μΩ・mと普通鋼に比較して高い。しかし、後述する従来の電気抵抗発熱体の専用材料とされてきた材料と比較すると体積抵抗率が小さく、体積抵抗率の温度依存性が大きい。
電気抵抗発熱体の専用材料として、JlS C2520「電熱用合金線および帯」に規定された、鉄クロム系材料とニッケルクロム系材料が挙げられる。鉄クロム系は、線材としてFCH1、FCH2等のFe−Cr−Al合金が規定されており、また箔用としても例えば特開平7−153556号公報(特許文献3)には同様な成分系の合金が開示されている。これらの合金は、17〜26%のCr、2〜6%のAlを含んでいるため体積抵抗率が高く、体積抵抗率の温度依存性が小さいという特徴を有する。しかし、この合金系はフェライト単相組織であるため、脆化という欠点を本質的に回避することが困難である。すなわち、使用温度が500℃前後になると475℃脆化、700℃程度ではσ脆化、900℃以上では結晶粒粗大化による脆化がそれぞれ懸念されるため、繰り返し曲げて使用される一部の抵抗発熱体には適用困難であった。
ニッケルクロム系には線材としてNCH1、NCH2等のニクロム合金がある。この合金は、オーステナイト系ステンレス鋼のように加工性が優れ、なおかつ体積抵抗率の温度依存性が比較的小さいことから、抵抗発熱体用の材料としては最も幅広く使用されてきた。しかし、これらの合金は、製造性に劣るため製造コストが高いという課題を有している。すなわち、NCH1、NCH2は、高温での変形抵抗が高く、また熱間変形能にも劣るため、板における熱間圧延や線における熱間引抜加工といった、製造における熱間変形工程において、耳切れ、表面割れ、表面疵などの表面欠陥を生じやすい。これらの疵が残存すると、次工程の冷間加工工程で板の破断や断線といった問題を起こす可能性があり、とくに箔や細線の製造工程においては、疵の除去の多大な負荷を要することがあった。さらにこれらの合金は、NiをNCH1で80%、NCH2で60%と多量に含むため、非常に高価な材料でもある。
これらの課題を解決し得る手段として、オーステナイト系ステンレス鋼の電気抵抗値を向上させるという手段がある。その手法としては、本用途とは異なるが、特開2003−41349号公報(特許文献4)に記載の電力用抵抗器、抵抗制御車の主抵抗器、車両用抵抗器などに用いられる材料や、特開2011−214154公報(特許文献5)に記載の電波時計用部材および電波受信機器に用いられる材料であり、これらに使用される材料は、Siを多量に添加し電気抵抗値を向上させることが開示されている。この成分系は、ニッケルクロム系の材料と同様の性能を有し、なおかつ安価となる可能性があるため、抵抗発熱体への適用も有望である。しかし、これらの材料であっても、製造工程における表面欠陥の形成を抑制することは困難であるとともに、抵抗発熱体で要求される温度域、すなわち400℃を超える温度での体積抵抗率の温度依存性については十分な検討が行われているとは言い難い。
以上の課題に加え、抵抗発熱体として使用する場合には、冷間加工まま、または線材引抜加工ままで使用することがあり、この場合、使用中にこれらの加工ひずみが徐々に回復されるため、加工によって体積抵抗率が大幅に変動しないことも必要である。例えば、ニッケルクロム系のNCH1は、冷間圧延率が高くなると体積抵抗率が小さくなり、逆にSUS304は冷間圧延率とともに体積抵抗率が大きくなる。これは、製品形態が箔材ならびに線材である場合のいずれも、焼鈍材か加工材で特性が異なることを意味しており、加工ままの材料を用いた場合には使用中に加工ひずみが開放されることによる体積抵抗率の変動を、また焼鈍材を用いたとしても加工が負荷されることで部位により体積抵抗率が異なることを、それぞれ製品の設計に反映させる必要を生じることとなる。なお、特開2003−41349号公報(特許文献4)には加工率20%程度のツヅラ折りを想定し、透磁率の安定性を検討した結果が開示されているが、抵抗発熱体の加工ままの状態は、−般には加工率20%を超える強加工を施すことが多い。
特開2004−149885号 特開2004−79247号 特開平7−153556号 特開2003−41349号 特開2011−214154
このようにいずれの上記知見技術も抵抗発熱体材料として、体積抵抗率の温度依存性ならびに加工ひずみ依存性、箔や線としての製造性、素材費を含む製造コストのいずれかの課題を有しており、これらを同時に高い水準で満足する材料とは言い難いという問題を抱えている。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、400℃を超える温度域での体積抵抗率を上昇させると同時にこの温度域での体積抵抗率の温度依存性を小さくする合金設計、さらに熱間加工中に発生する表面欠陥の低減に有効な手法を明確化し、ニッケルクロム合金よりも製造性に優れ、安価な抵抗発熱体用材料を提供することを目的とする。
本発明の抵抗発熱体用材料は、その目的を達成するため、質量%で、C:0.080%以下、Si:1.5〜5.0%、Mn:2%以下、P:0.050%以下、S:0.003%以下、Ni:10〜15%、Cr:15〜22%、Mo:3%以下、Cu:3.5%以下、N:0.2%以下、0:0.01%以下、Ti:0.05%以下、Ni/Siの比率が3〜7の範囲であり、必要に応じ、Nb:0.04〜0.25%、V、WおよびAlの1種以上を合計4%以下、BおよびREMの1種以上を合計で0.1%以下の範囲で含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる化学組成を有し、20〜600℃での体積抵抗率の平均温度係数が0.00100/℃以下、β(c)/β(A)で定義される体積抵抗率の冷間加工率依存性指数が0.970以上1.030以下の範囲であることを特徴とする。 ここでβ(c)は圧延率または減面率が50%の加工材における200℃での体積抵抗率、β(A)は焼鈍材の200℃での体積抵抗率をそれぞれ示す。
本発明に係る抵抗発熱体用ステンレス箔ならびにステンレス線材によれば、400℃を超える温度域での体積抵抗率を上昇させると同時にこの温度域での体積抵抗率の温度依存性を小さくでき、さらに熱間加工中に発生する表面欠陥の低減、ニッケルクロム合金よりも製造性に優れた安価な抵抗発熱体用材料を提供できる。
本発明者らは、ニッケルクロム合金からの大幅なコストダウンが可能なオーステナイト系のFe−Cr−Ni合金を出発材に、電気抵抗の上昇に有効なSiを添加した成分系で、600℃までの体積抵抗率の温度係数低減と、20%を超える加工ひずみを付与した際の体積抵抗率の変動低減に有効な合金元素の含有量を検討した。その結果、NiとSiの添加量を適正化することが重要であることを知見した。すなわち、Niは主に加工ひずみによる体積抵抗率の低下を促進するため過剰添加はその変動量が大きくなりすぎること、Siは高温域における体積抵抗率の温度依存性を低減させるとともに、加工ひずみによる体積抵抗率の低下をある程度抑制する効果があることを明らかにした。また、これらを考慮すると、Ni/Si比率を3〜7の範囲とし、その他の合金元素含有量を適正化すれば、20〜600℃での体積抵抗率の温度係数が0.00100/℃以下、β(c)/β(A)で定義される体積抵抗率の冷間加工率依存性指数が50%の加工ひずみにおいて0.970以上1.030以下の範囲となることを知見した。
一方、熱間加工中に発生する表面欠陥を低減するには素材の熱間加工中にδフェライトを生成させることが有効であることが広く知られているが、本成分系ではTi、S、Oが非常に有害であることが明らかとなった。その結果を元に、これらの合金元素の上限を厳密に規定することにより、オーステナイト系ステンレス鋼の表面欠陥レベルを確保することが可能となることを知見し本発明に至った。
以下に、本発明の体積抵抗率の温度依存性および加工ひずみ依存性が小さい抵抗発熱体用ステンレス箔ならびにステンレス線材を構成する各合金元素および定義された限定式について、その範囲選定理由を説明する。
Cは強力なオーステナイト形成元素であり、かつ強度の向上に有効な元素であるが、過度の添加は再結晶処理で粗大なCr炭化物が析出し、耐粒界腐食や溶接性低下の原因となるので、Cは0.080質量%以下(0%を含まず)が望ましい。
Siは体積抵抗率の上昇に有効な合金成分であり、600℃までの体積抵抗率の温度依存性を小さくするのにも有効な重要な元素であるため、1.5質量%以上の添加を必要とする。しかし、5質量%を超える過剰量のシリコンが含まれると硬質化によって曲げ加工性が低下する。理由は明確でないが、上述したように、SiはNiとの複合添加によって、体積抵抗率の加工ひずみ依存性の低減に寄与しており、Si含有量を1.5〜5.0質量%の範囲とした場合には、Ni/Siが3〜7であれば、温度依存性と加工ひずみ依存性のいずれも低いレベルで安定化し得る
。より好ましいNi/Siの範囲は、3〜5であり、さらに好ましい範囲は、3.5〜4.5である。
Mnはオーステナイト形成元素であり、Niと同様な効果が期待できるものの、多量の添加は窒素加圧溶解をしてもブローホール発生に起因した表面欠陥を誘発するため、箔や細線の製造に大きな支障をきたす可能性がある。また、箔や細線の製造においては、冷間加工後の焼きなまし後の酸洗が困難となる場合が多いため、光輝焼鈍を採用することが多い。この際、Mnを多量に含むと、鋼に着色を発生することがあり、この場合、その後の製造工程において品質欠陥をもたらす可能性が高くなる。このためMn含有量は、5質量%以下(0%を含まず)が望ましい。
Pは、母材の熱間加工性を損なうので低い方が望ましい。ただし、含Cr鋼の溶製において精錬による脱Pは困難であることから、P含有量を極低化するには原料の厳選などに過剰なコスト増を伴う。したがって本発明では一般的なオーステナイト系ステンレス鋼と同様に、0.050質量%までのP含有を許容する。
SはMnSの形成を助長する元素であり、本発明の対象である箔や線材ではMnS起因の表面欠陥があれば、製造コストの大幅な上昇を招くとともに、表面欠陥が残存する可能性を否定できず、欠陥起因の耐久低下が懸念される。このためS含有量は可能な限り低減することが好ましく、0.003質量%以下に規定する。
NiはMnと同様に焼鈍後にオーステナイトを維持するために必要な元素である。本発明の特徴である体積抵抗率の冷間加工率依存性に対して大きな影響がある元素である。 Ni量が10質量%未満になると冷間圧延によるひずみ起因で体積抵抗率が大きくなる。Ni量が多くなると体積抵抗率の冷間圧延率依存性が小さくなるが、過剰に添加すると変動量は逆に大きくなる。この問題を解消するには前述したようにNi/Si比率を3〜7の範囲に保てばよいが、Niは高価な元素であることから、その上限を15質量%とした。
Crは体積抵抗率を若干上昇させるとともに不動態皮膜の主要構成元素であり、耐食性や高温での耐酸化性を向上させる元素である。本願の用途を考慮すると、耐食性は少なくとも大気中で容易に発錆しないこと、耐熱性は800℃程度の加熱で異常酸化しないことが必要となる。本成分系では、Siが1.5質量%以上添加されていることを加味すると、意図する耐食性・耐酸化性を賦与するのには少なくとも15質量%のCrを必要とする。一方、Crはフェライト形成元素でもあるので、過剰に添加すると高温でδフェライト相が多量に生成してしまう。そこでδフェライト相抑制のためにオーステナイト形成元素(C、N、Ni、Mn、Cu等)を添加しなければならず、コスト高となる。このためCr含有量の上限は22質量%とした。
Moは、Crとともに耐食性レベルを向上させるための有効な元素であり、その耐食性向上作用は高Crになるほど大きくなることが知られている。ただ、Moを多量に添加すると高温でδフェライトが形成されてしまうのでMoの成分範囲は3質量%以下がよく、さらには経済性から2質量%以下が望ましい。
Cuはオーステナイト相の積層欠陥エネルギーを上昇させ、変形時の交差すべり間隔を小さくすることで加工硬化を小さくするので箔圧延負荷や線引き加工負荷を低減する有効な元素である。ただ、過度の添加は耐孔食性や熱間加工性を阻害するのでCuの成分範囲は3.5質量%以下が望ましい。
Nはオーステナイト生成元素で非磁性を維持し、かつ高強度を得るための有効な元素である。ただ、Nの過剰添加は鋳造時のブローホールの原因となりそれに起因した表面欠陥は箔や線材では問題が大きくなる。それを考慮して上限は0.2質量%以下が望ましい。
Tiは析出硬化に有効な元素であり、時効処理時の強度上昇に有効であるが、製鋼スラブの表面キズが生成しやすくなり、製造面で問題がある。またTiNの大型介在物を生しやすい。本発明の対象である箔や線材ではTiSやTiN起因の表面欠陥があれば製造時の除去が必要となり、製造コストが上昇するとともに、欠陥が残存すれば耐久性において問題になるため、Ti含有量は厳密に規定する必要があり、その上限は0.05質量%とする。
Oは製鋼吹錬時に脱炭のため使用されるガスであるが、金属や非金属と結合することによって介在物として鋼中に残存することがある。介在物の生成量が多くなると、TiやSなどのように表面疵が生成しやすくなり、箔や線材の製造工程において表面欠陥を形成し製造歩留を著しく低下させる。このためO含有量は厳密に規定する必要があり、その上限は0.01質量%とする。
Nbは高温強度上昇に有効であるが、逆に高温強度上昇による熱間加工性の低下をもたらすため適正範囲を0.04〜0.25質量%とした。
V、Wは高強度化に有効な元素である。しかし、これらの元素を過剰に添加すると熱間加工性に悪影響を及ぼすようになる。Alは体積抵抗率の上昇に有効な元素であるが、VやWと同様に過剰な添加は熱間加工性に悪影響を及ぼす。また、これらの元素は、フェライト形成元素であるため、製造時にはδフェライトの形成による熱間加工性の低下、使用時にはσ相の生成による脆化に留意して添加する必要がある。これらの要因を考慮すると、V、WならびにAlの1種以上を添加する場合は、その合計含有量を4質量%以下に抑える必要がある。
Bは熱間圧延温度域でのδフェライト相とオーステナイト相の変形抵抗の差異により生じる熱延鋼帯でのエッジクラックの発生防止に有効な元素である。また、REMは鋼中のSを固定しオーステナイト相の結晶粒界の変形能を高め、熱延鋼帯でのエッジクラックの発生防止に有効な元素である。しかし、Bの過度の添加は低融点ホウ化物を形成しやすくなり、またREMの過剰添加は介在物の生成が多くなり、逆に熱間加工性を劣化させるので、これらの元素を1種以上添加する場合には、その合計含有量を0.1質量%以下とした。なお、REMと同様の効果が期待できる元素としてY、Ca、Mgなどがあり、これらの元素の含有量はとくに規定しないが、必要に応じREMに準じて適宜添加できるものとする。
抵抗発熱体用材料は、工業加熱炉を除き、600℃程度まで加熱されることがある。体積抵抗率の平均温度係数は、上述したように各種合金元素の添加量により変動する因子であり、その値は低いほど好ましい。しかし、上限を厳密に規定すると、それを満足する合金は、FCH2などのFe−Cr−Al合金に限られることになり、その他の要求特性を満足しなくなる。そこで、平均温度係数は、ニッケルクロム合金と同程度の0.00100/℃以下とした。なお、この係数は、600℃と20℃での体積抵抗率の差を温度差580および20℃での体積抵抗率で除した値としている。
β(c)/β(A)で定義される体積抵抗率の冷間加工率依存性指数も、上述したように各種合金元素の添加量により変動する因子であり、平均温度係数を加味すると、主にNi/Siの値に依存している。この値も低い方が好ましく、体積抵抗率の測定誤差範囲が3%以内であることから、この指数の範囲は、それと同等の0.970以上1.030以下とした。本定義式に用いる圧延率や減面率は、−般的な製造条件に近い50%を設定しているが、特殊な製造条件に沿った加工率を個別に設定しても構わない。
以上の組成を有するステンレス鋼は、体積抵抗率が高く、体積抵抗率の温度依存性ならびに加工ひずみ依存性が小さい発熱体・電気抵抗用箔にならびに線材が実現される。
表1に示す化学組成を有するステンレス鋼を溶製し、熱間圧延にて板厚3mmの熱延板を作製した。その後、焼鈍と冷間圧延を繰り返して板厚0.1mmとし、水素100%の還元雰囲気の焼鈍を950〜1000℃で行い焼鈍した箔を製造した。この箔材を0.050mmまで圧延して50%圧延材を製造した。一方、線材については表1の同一成分の1.2mm冷延焼鈍板から本発明鋼C、Dならびに比較鋼Hのスリット材をつくり、つづいて線引き加工し、焼鈍した直径0.836mmの線材を製造した。さらにこの直径0.836mm線材を直径0.59mmまで線引き加工して減面率(断面減少率)50%の冷延線材を製造した。以下、圧延率50%の板材および減面率50%の線材を「50%加工材」と称する。なお、50%加工材を製造する過程において、目視にて総表面積の3%を超える欠陥を検出した鋼については、製造性に課題ありと判定した。
Figure 0006180490
各焼鈍材と各圧延材から試験片を切り出し、体積抵抗率、体積抵抗率の温度依存性ならび加工ひずみ依存性を次のように測定した。体積抵抗率の測定にはJlSC2526に規定されている電気抵抗一温度特性試験方法を採用し、各温度での各試験片の体積抵抗率を測定した。測定値から、20〜600℃の温度域における平均温度係数を求めた。冷間加工率依存性の指標として、試験温度200℃での50%加工材の体積抵抗率を200℃での焼鈍材の体積抵抗率で除したものを用いた。これらの結果を表2に示す。
Figure 0006180490
表2の測定結果にみられるように、本発明鋼のA〜Jは、20℃での体積抵抗率が0.9μΩ・m以上で、20〜600℃の温度域における平均温度係数は0.00100/℃以下である。さらに試験温度200℃での50%加工材の体積抵抗率を200℃での焼鈍材体積抵抗率で除した値から加工ひずみが導入されたときの値変化は±3%未満である。一方、比較鋼KとLはSiとNiがそれぞれ本発明範囲から外れるため20℃での体積抵抗率が0.9μΩ・m未満であり、20〜600℃の温度域における平均温度係数も0.00400/℃を越えている。比較鋼Lは試験温度200℃での50%加工材の体積抵抗率を200℃での焼鈍材体積抵抗率で除した値変化が5%を超えている。比較鋼MとNの体積抵抗率に関与した特性は本発明鋼と同等であるが、それぞれTiとS量の製造範囲が外れており、Sが本発明範囲を外れているKを含め、箔への製造過程で介在物に起因した表面欠陥のため製造上の課題がある。比較鋼0はニッケルクロム合金のNCH−1に相当する合金であるが、本発明鋼に比べ、試験温度200℃での50%加工材の体積抵抗率を200℃での焼鈍材体積抵抗率で除した値が大きい。
以上に説明したように、本発明の抵抗発熱体用材料は、体積抵抗率が高く、体積抵抗率の温度依存性が小さくかつ体積抵抗率の冷間加工率依存性が小さい。また、冷間加工性や熱間加工性に優れ、高価なNiの含有量が少ないため、これまでNCH1やNCH2のニッケルクロム系合金が使用されていた各種分野の抵抗発熱体用材料として、箔および線のいずれの形態でも適用範囲の拡大が期待される。

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.080%以下、Si:1.5〜5.0%、Mn:5%以下、P:0.050%以下、S:0.003%以下、Ni:10〜15%、Cr:15〜22%、Mo:3%以下、Cu:3.5%以下、N:0.2%以下、O:0.01%以下、Ti:0.05%以下、Ni/Siの比率が3〜7の範囲であり、残部がFeおよび不可避的不純物からなる化学組成を有し、20〜600℃での体積抵抗率の平均温度係数が0.00100/℃以下、β(c)/β(A)で定義される体積抵抗率の冷間加工率依存性指数が0.970以上1.030以下の範囲であることを特徴とする、体積抵抗率の冷間加工率依存性が小さい抵抗発熱体用ステンレス箔又はステンレス線材。
    ここでβ(c)は箔の圧延率または線の減面率が50%の加工材における200℃での体積抵抗率、β(A)は焼鈍材の200℃での体積抵抗率をそれぞれ示す。
  2. さらに、Nbを0.04〜0.25%の範囲で含有する請求項1に記載の体積抵抗率の冷間加工率依存性が小さい抵抗発熱体用ステンレス箔又はステンレス線材。
  3. さらに、V、WおよびAlの1種以上を合計4%以下の範囲で含有する請求項1または請求項2に記載の体積抵抗率の冷間加工率依存性が小さい抵抗発熱体用ステンレス箔又はステンレス線材。
  4. さらに、BおよびREMの1種以上を合計で0.1%以下の範囲で含有する請求項1〜3項のいずれか一項に記載の体積抵抗率の冷間加工率依存性が小さい抵抗発熱体用ステンレス箔又はステンレス線材。
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