JP6179670B2 - ノイズ抑制機能を有する多層プリント基板及びそれを用いた電動パワーステアリング装置用ecu基板 - Google Patents

ノイズ抑制機能を有する多層プリント基板及びそれを用いた電動パワーステアリング装置用ecu基板 Download PDF

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Description

本発明は、EMC(elctromagnetic compatibility)ノイズ特性を著しく改善したノイズ抑制機能を有する多層プリント基板及びそれを用いた電動パワーステアリング装置(EPS:Electric Power Steering)用のコントロールユニット(ECU:Electronic Control Unit)基板に関し、特に限定された空間内に部品を配置すると共に、大電流を流したときにもノイズの影響を受けずに動作を安定させる多層プリント基板及びそれを用いた電動パワーステアリング装置用ECU基板に関する。また、多層プリント基板の配置パターンの形状レイアウトを、右ハンドル車用基板及び左ハンドル車用基板について、電源コネクタの脱着方向に対して互いにミラー配置(線対称)に形成した電動パワーステアリング装置用ECU基板に関する。
電動パワーステアリング装置は、少なくとも操舵トルクに基づいて演算された電流指令値により、車両の操舵系にモータによるアシスト力を付与するものであり、半導体スイッチング素子で成るインバータ(電力供給部)からモータに電力を供給されて駆動制御される。
電動パワーステアリング装置(EPS)は、車両のステアリング機構にモータの回転力で操舵補助力(アシスト力)を付与するものであり、インバータで制御されるモータの駆動力を、ギア等の伝達機構により、ステアリングシャフト或いはラック軸に操舵補助力を付与する。電動パワーステアリング装置は、操舵補助力のトルクを正確に発生させるため、通常モータ電流のフィードバック制御及びPWM制御を行っている。
電動パワーステアリング装置の一般的な構成を図1に示して説明すると、ハンドル1のコラム軸(ステアリングシャフト、ハンドル軸)2は減速ギア3、ユニバーサルジョイント4a及び4b、ピニオンラック機構5、タイロッド6a,6bを経て、更にハブユニット7a,7bを介して操向車輪8L,8Rに連結されている。また、コラム軸2には、ハンドル1の操舵トルクを検出するトルクセンサ10及び操舵角θを検出する舵角センサ14が設けられており、ハンドル1の操舵力を補助するモータ20が減速ギア3を介してコラム軸2に連結されている。電動パワーステアリング装置を制御するコントロールユニット(ECU)100には、バッテリ13から電力が供給されると共に、イグニションキー11を経てイグニションキー信号IGNが入力される。コントロールユニット100は、トルクセンサ10で検出された操舵トルクThと車速センサ12で検出された車速Velとに基づいてアシスト指令の電流指令値の演算を行い、電流指令値に補償等を施した電圧制御指令値Vrefによってモータ20に供給する電流を制御する。舵角センサ14は必須のものではなく、配設されていなくても良く、或いはモータ20に連結された回転センサから操舵角を得るようにしても良い。
コントロールユニット100には、車両の各種情報を授受するCAN(Controller Area Network)50が接続されており、車速VelはCAN50から受信することも可能である。また、コントロールユニット100には、CAN50以外の通信、アナログ/ディジタル信号、電波等を授受する非CAN51も接続可能である。
コントロールユニット100は主としてCPU(MPUやMCU等も含む)で構成されるが、そのCPU内部においてプログラムで実行される一般的な機能を示すと図2のようになる。
図2を参照してコントロールユニット100の構成例及び動作例を説明すると、トルクセンサ10で検出された操舵トルクTh、車速センサ12で検出された(若しくはCAN50からの)車速Vel、舵角センサ14で検出された舵角θは、電流指令値を演算して制御する制御演算部110に入力される。イグニションキー11からのイグニション信号IGNはイグニション電圧モニタ部101及び電源回路部102に入力され、電源回路部102から電源電圧Vddが制御演算部110に供給されると共に、装置停止時に出力されるリセット信号RSが制御演算部110に入力されるようになっている。
制御演算部110で演算されたデューティのPWM信号はゲート駆動部111に入力され、ゲート駆動部111はFETブリッジ回路で成るインバータ(電力供給部)112のFET1〜FET6の各ゲートをON/OFF駆動する。インバータ112は、3相の電流供給ライン112U〜112Wを経てモータ20を駆動する。インバータ112内には、3相のモータ電流Imを検出する電流検出回路114が設けられており、検出したモータ電流Imは制御演算部110にフィードバックされる。また、モータ20への電流供給ライン112U〜112Wには、非常停止用のリレー接点で成る遮断装置113が介挿されている。
なお、電流検出回路114は電流供給ライン112U〜112Wに設けることも可能であり、インバータ112の各相に接続したシャント抵抗を用いて構成することも可能である。
このようなコントロールユニット100を含む制御部及び他の電子機器類を搭載した半導体モジュール200の機械的な構成、並びにコントロールユニット100及び半導体モジュール200の電動パワーステアリング装置への取付け例を図3に示す展開図を用いて説明する。コントロールユニット100のプリント基板(制御基板)120Aについては図4(A)の平面図及び図4(B)の側面図を参照し、半導体モジュール200については、図5の平面図を参照して説明する。
コントロールユニット100の電子部品等はプリント基板120Aに装着され、半導体モジュール200は部品を装着するパワー基板201を備え、パワー基板201にはインバータ112を構成するFET1〜FET6、3相出力端子202U〜202W等が装着されている。プリント基板120Aの周縁3ヵ所に、貫通孔121a〜121cが開けられており、プリント基板120Aは、取付けネジ122a〜122cを介してケース210の取付けポスト211a〜211cに取付けられる。同様に、パワー基板201のコーナー4ヵ所には貫通孔203a〜203dが開けられており、パワー基板201は、取付けネジ204a〜204dを介してケース210の放熱板を兼ねたモジュール載置部212に載置されて取付けられる。パワー基板201(半導体モジュール200)及びプリント基板120A(コントロールユニット100)が2段状にケース210に取付けられた後、カバー240が全体を覆うようにケース210に装着される。
プリント基板120Aには図4(A)及び(B)に示すように、ノイズ対策部品としてのコモンモード・ノイズフィルタ130、ノーマルモード・ノイズフィルタ140等の部品が装着されている。
また、ケース210の側面には、電力及び信号用コネクタ実装部213と、3相出力用コネクタ実装部214とが設けられている。電力及び信号用コネクタ220が取付けネジ221a及び221bで電力及び信号用コネクタ実装部213に取付けられ、3相出力用コネクタ230が取付けネジ231a及び231bで3相出力用コネクタ実装部214に取付けられる。3相出力用コネクタ230が3相出力用コネクタ実装部214に取付けられると、半導体モジュール200の端部に設けられている3相出力端子202U〜202Wが、3相出力用コネクタ230の3相出力端子232U〜232Wと接触し、3相電流が入力/出力される。
半導体モジュール200のパワー基板201には更に正極端子205及び負極端子206が装着されており、それぞれ電源ライン205A及び接地(グランド(GND))ライン206Aの配線パターンを経てFET1〜FET6に供給される。パワー基板201には、更に表面実装部品207その他が装着されている。
電動パワーステアリング装置では、大電流の変化時などの場合にも常に正確で信頼性の高い制御が要請されることから、ECU用のプリント基板120Aに装着されるコントロールユニット100の電子部品にはノイズ対策部品が含まれており、ノイズ位相が同一のコモンモードノイズを除去するコモンモード・ノイズフィルタ130、ノイズ位相が逆のノーマルモードノイズを除去するノーマルモード・ノイズフィルタ140等が装着されている。例えばコモンモード・ノイズフィルタ130は図6に示すように、円筒状のフェライトコア131に2つのチョークコイル132及び133が同一方向に巻回されており、チョークコイル132の両端の端子線132A及び132Bがそれぞれプリント基板120Aの取付け孔123A及び123Bに挿入されて取付けられ、チョークコイル133の両端の端子線133A及び133Bがそれぞれプリント基板120Aの取付け孔124A及び124Bに挿入されて取付けられる。
プリント基板では、実装電子部品の高密度化のためにスルーホールを用いた多層プリント基板が使用されるが、コモンモード・ノイズフィルタ130のようなノイズ対策部品は、直下に配線パターンを引くことができない。そのため、従来は図7及び図8に示すように、部品直下、つまりコモンモード・ノイズフィルタ130の投影範囲内で、チョークコイル133をそれぞれスルーホールTH125A及びTH125Bを介して電源ライン125A及び125Bに装着し、かつチョークコイル132をそれぞれスルーホールTH126A及びTH126Bを介してGNDライン126A及び126Bに装着している。これにより、電源ライン125A及びGNDライン126Aの配線パターンをコモンモード・ノイズフィルタ130の直下に引くことになり、コモンモード・ノイズフィルタ130のノイズ抑制効果が著しく低下してしまう問題がある。特に電源ライン125Aを横切るようにチョークコイル132が配設されるため、寄生容量等の影響でノイズ抑制効果が低下してしまう。
また、電源ライン125AのスルーホールTH140Aにはノーマルモード・ノイズフィルタ140の一端端子が接続され、電源ライン125CのスルーホールTH140Bには他端端子が接続される。
即ち、電源から各回路にDC電圧を供給するための電源ライン125A、125BやGNDライン126A、126Bには、小さいが電気抵抗が存在し、増幅器やIC等の能動回路が動作するときには、その消費電流は変化して一定でないことが多く、電源ライン125A、125BやGNDライン126A、126Bを流れる電流により、それらの抵抗によって能動回路等に印加される電源電圧は電圧降下又は電圧上昇を引き起こす。特に電源回路が長く引き回されたり、急激な電圧・電流変化が生じる回路(例えばECU)では、抵抗成分だけでなくインダクタンス成分も無視できなくなる。そのため、適切な制御を行わない限り、電源の供給線と同様に、消費電流の増減に応じて供給される電圧が変動してしまう。
特開2012−129271号公報 特開昭51−89153号公報 特開2004−352060号公報 特開2010−100237号公報
プリント基板のノイズ低減構造としては、例えば特開2012−129271号公報(特許文献1)に示されているものがある。その構成は、図9に示すように電源(GND)層300の上に設けられた少なくとも2枚の金属面301及び302で構成さたもので、2枚の金属面301及び302を利用してバイパスコンデンサ(デカップリングコンデンサ)を生成することで、ノイズ電流を抑制するものである。即ちノイズが伝搬される電源(GND)層300上に形成され、金属面301及び302は同じ平面上に位置し、金属面301の端部には短絡板303が設けられ、金属面302には接地ピン302A及び302Bが設けられ、短絡板303及び接地ピン302A、302Bは電源(GND)層300に接続されている。金属面301及び302共に矩形状の金属パターンに櫛形形状のパターンを形成し、金属面301及び302共に同じ層に位置し、各櫛形部分は互いに接触しないように互い違いの構成となっている。
このように櫛形形状を互い違いに実装することにより、金属面301の櫛形部分と金属面302の櫛形部分との間で形成されるコンデンサが櫛形に沿うようにつづら折りに形成され、このコンデンサにより、ノイズ抑制を可能とする共振周波数の可変ができるようになる。
しかしながら、特許文献1の構造では、金属面301の櫛形部分と金属面302の櫛形部分との間で形成されるコンデンサを櫛形に沿うようにつづら折りに形成できるものの、金属面301及び302共に同一平面上に位置しているため、コンデンサを形成するために、基板上の平面における金属面301及び302の面積が大きくなり、基板上の部品レイアウトに制約を生じるという問題がある。このため、空間スペースが大きく制約されるECU用基板には適用できず、ノイズ対策部品の直下へ配線パターンを引くこともできない。また、特許文献1の構造は、配線パターンのインピーダンス低下を全く考慮しておらず、多層基板ではないので、実装部品数が限定されてしまう問題もある。
更に、特開昭51−89153号公報(特許文献2)には、積層回路配線基板に積層型コンデンサを少なくとも1つ内蔵した回路配線基板が示されている。即ち、特許文献2には、奇数層の導体パターン(電極11a)と偶数層の導体パターン(電極11c)とが絶縁層を挟んで上下方向に交互に配置された多層プリント基板であって、奇数層の導体パターンは、上下方向に連通する第1スルーホール(11b)によって接続され、偶数層の導体パターンは、上下方向に連通する第2スルーホール(11d)によって接続される基板構造が開示されている。
特許文献2は、スルーホールを用いた多層プリント基板構造で導体パターンが絶縁層を挟んだ構造を示しているが、回路構成用の半田付けのないコンデンサの形成を示しているのみで、ノイズを除去するためのバイパスコンデンサの作用効果についての記載や示唆がない。また、特許文献2では、コモンモード・ノイズフィルタ等のノイズ対策用の実装部品の設置も開示されておらず、ノイズ対策部品の投影範囲内のスペースを確保したり、配線パターン幅拡張による配線インピーダンスの低下といった課題を示していなし、示唆もしていない。更に、特許文献2は、ECUのように、大電流が急激に変化するような場合のノイズ対策を何ら開示しておらず、ECUにはそのまま適用できない。
他方、電動パワーステアリング装置について、グローバル車対応として右ハンドル車用と左ハンドル車用のそれぞれの設定が存在する。従来では、電動パワーステアリング装置をミラー配置させ、左ハンドル車用の設定であれば右ハンドル車に搭載する際に、回転角センサをミラー配置せず、且つ3相モータのV相とW相を入れ替えるようにしている。他には、3相モータ、回転角センサ及び電気制御ユニットをミラー配置させることにより、例えば右ハンドル車用の設定を左ハンドル車用設定に変更するようにしているが、電気制御ユニットと、回転角センサ及び車両との接続に使用するコネクタは、右ハンドル車用と左ハンドル車用で共通のため、各コネクタの端子配列をミラー配置することはできず、電気制御ユニット内のパターンレイアウトを大きく変更する必要がある。特に大電流が流れる電源ラインのレイアウトを大きく変えてしまうと、EMC耐性が悪化する懸念があり、その対策に多大な時間がかかってしまうという課題があった。
また、特開2004−352060号公報(特許文献3)に示される車両搭載方法では、例えばアシスト力を発生する3相モータと、3相モータの回転角センサと、モータ通電制御を行う電気制御ユニットとを有する電動パワーステアリング装置をミラー配置させ、右ハンドル車用の設定であれば左ハンドル車に、左ハンドル車用の設定であれば右ハンドル車にそれぞれ搭載する際に、回転角センサをミラー配置せず、且つ3相モータのV相とW相を入れ替える等を行っているので、モータ、センサ等の搭載は完全にミラー配置とはならない。
更に特開2010−100237号公報(特許文献4)で示される電動パワーステアリング装置では、車両の右側及び左側の双方に装着可能なステアリング機構に搭載される電動パワーステアリング装置のステアリング機構に対する操舵補助力を発生するモータと、モータを駆動制御する各種回路部品を実装すると共に、配線パターンを形成した回路基板と車両の右側及び左側の一方に装着したステアリング機構に搭載される回路基板の各種回路部品の接続ピン配置及び配線パターンの配置と、車両の右側及び左側の他方に配設されたステアリング機構に搭載される回路基板の各種回路部品の接続ピン配置及び配線パターンの配置とが左右方向で線対称に形成されているものであるが、有極性の2端子以上(特に奇数の端子以上)の部品に対しては、左右線対称の配置はできず、より複雑化する制御に必要な集積回路(マイコン、ASIC(application specific IC)系)では全ての部品で左右対称のピン配置品が実在しない(開発を依頼すると多大な費用がかかる)ために、左右線対称の配線で制御回路を構成するのは実際上困難である。
本発明は上述のような事情よりなされたものであり、本発明の目的は、プリント基板上の部品レイアウトの制約を極力小さくすることができるノイズ抑制が可能な多層プリント基板及びそれを用いた電動パワーステアリング装置用ECU基板を提供することにある。特に、限られた車載スペースに多くの部品が搭載される電動パワーステアリング装置用ECU基板に最適な多層プリント基板の構造を提供することにある。また、限られた車載スペースに多くの部品が搭載されると共に、基板の配置パターンの形状レイアウトを、右ハンドル車用基板及び左ハンドル車用基板について、電源コネクタの脱着方向に対して互いにミラー配置(線対称)に形成した電動パワーステアリング装置用ECU基板を提供することも本発明の目的である。
本発明は、奇数層の導体パターンと偶数層の導体パターンとがそれぞれ絶縁層を挟んで上下方向に交互に、少なくとも4層以上積層された多層プリント基板に部品が装着され、車両のステアリング機構にモータの回転力で操舵補助力を付与するように駆動制御する電動パワーステアリング装置用ECU基板に関し、本発明の上記目的は、前記奇数層の導体パターンは、上下方向に連通する第1のスルーホールによって接続され、前記偶数層の導体パターンは、上下方向に連通する第2のスルーホールによって接続されると共に、前記奇数層の導体パターン又は前記偶数層の導体パターンの一方が電源ラインに接続された電源導体パターンを構成し、他方の導体パターンがGNDラインに接続されたGND導体パターンを構成し、前記奇数層の最上層にEMCノイズ対策部品の複数の端子がそれぞれ第3のスルーホールを介して装着され、前記EMCノイズ対策部品の複数の端子が前記第3のスルーホールを介して前記電源導体パターン及び前記GND導体パターンに接続されると共に、前記EMCノイズ対策部品の垂直投影範囲内では、各層の前記電源導体パターン及び前記GND配線パターンが分離され、かつ前記垂直投影範囲と交差せず、初段のEMC対策部品の出力端子から次段のEMC対策部品への入力端子へ最短経路の導体パターンで接続されており、前記ECU基板の平面方向において、前記電源導体パターンができるだけ内側に、前記GND導体パターンができるだけ外側に配置されており、前記EMCノイズ対策部品と、前記電源導体パターン及び前記GND導体パターンで形成されるコンデンサとにより、EMCノイズ特性が改善される構造になっていることにより達成される。
また、本発明の上記目的は、前記EMCノイズ対策部品がコモンモード・ノイズフィルタ又はノーマルモード・ノイズフィルタ、或いは前記コモンモード・ノイズフィルタ及びノーマルモード・ノイズフィルタであることにより、或いは前記奇数層の最上層における前記第2のスルーホールに対して絶縁するための第1の領域に、前記第2のスルーホールに接続される第1のランドが設けられ、前記偶数層の最下層における前記第1のスルーホールに対して絶縁するための第2の領域に、前記第1のスルーホールに接続される第2のランドが設けられていることにより、或いは前記第1のスルーホール及び前記第2のスルーホールに対してそれぞれ絶縁するための絶縁領域が、前記奇数層の前記電源導体パターン及び前記GND導体パターンに設けられた切欠若しくは孔であり、前記偶数層の前記電源導体パターン及び前記GND導体パターンに設けられた切欠若しくは孔であることにより、より効果的に達成される。
更に、本発明は、奇数層の導体パターンと偶数層の導体パターンとがそれぞれ絶縁層を挟んで上下方向に交互に、少なくとも4層以上積層された多層プリント基板に部品が装着され、電源コネクタに脱着されるようになっていると共に、車両のステアリング機構にモータの回転力で操舵補助力を付与するように駆動制御する電動パワーステアリング装置用ECU基板に関し、本発明の上記目的は、前記奇数層の導体パターンは、上下方向に連通する第1のスルーホールによって接続され、前記偶数層の導体パターンは、上下方向に連通する第2のスルーホールによって接続されると共に、前記奇数層の導体パターン又は前記偶数層の導体パターンの一方が電源ラインに接続された電源導体パターンを構成し、他方の導体パターンがGNDラインに接続されたGND導体パターンを構成し、前記奇数層の最上層にEMCノイズ対策部品の複数の端子がそれぞれ第3のスルーホールを介して装着され、前記EMCノイズ対策部品の複数の端子が前記第3のスルーホールを介して前記電源導体パターン及び前記GND導体パターンに接続されると共に、前記EMCノイズ対策部品の垂直投影範囲内では、各層の前記電源導体パターン及び前記GND配線パターンが分離され、かつ前記垂直投影範囲と交差せず、初段のEMC対策部品の出力端子から次段のEMC対策部品への入力端子へ最短経路の導体パターンで接続されており、前記EMCノイズ対策部品と、前記電源導体パターン及び前記GND導体パターンで形成されるコンデンサとにより、EMCノイズ特性が改善される構造になっていると共に、右ハンドル車用多層基板と左ハンドル車用多層基板の、前記電源導体パターン及び前記GND導体パターンの形状レイアウトが、前記電源コネクタの脱着方向に対して互いにミラー配置に形成されていることにより達成される。
更にまた、本発明は、前記EMCノイズ対策部品がコモンモード・ノイズフィルタ又はノーマルモード・ノイズフィルタ、或いは前記コモンモード・ノイズフィルタ及びノーマルモード・ノイズフィルタであることにより、或いは前記奇数層の最上層における前記第2のスルーホールに対して絶縁するための第1の領域に、前記第2のスルーホールに接続される第1のランドが設けられ、前記偶数層の最下層における前記第1のスルーホールに対して絶縁するための第2の領域に、前記第1のスルーホールに接続される第2のランドが設けられていることにより、或いは前記第1のスルーホール及び前記第2のスルーホールに対してそれぞれ絶縁するための絶縁領域が、前記奇数層の前記電源導体パターン及び前記GND導体パターンに設けられた切欠若しくは孔であり、前記偶数層の前記電源導体パターン及び前記GND導体パターンに設けられた切欠若しくは孔であることにより、より効果的に達成される。
本発明に係るノイズ抑制機能を有する多層プリント基板によれば、部品の極性と部品への供給電源の極性等、極性を考慮した配線パターン設計の自由度が格段に向上し、EMCノイズ対策部品としてのコモンモード・ノイズフィルタやノーマルモード・ノイズフィルタ等のノイズ対策部品搭載時の部品配置の制約等によるパターン配線の回り込みを回避できる。このため、初段のノイズフィルタの出力端子から次段のノイズフィルタへの入力端子部へ最短経路の導体パターンで接続可能となり、バイパスコンデンサ(寄生容量)等による線間ノイズ伝播の影響を受けない、理想的な配線パターン経路の設計が可能となり、部品レイアウトの自由度確保を図ることができる。また、ノイズフィルタ部品の投影範囲(上下方向(垂直))内での配線処理が完結出来る(部品設置の投影範囲内から食み出さない形態)。このため、インダクタンス成分等による電磁的誘導カップリングによる誘導性ノイズの影響を回避でき、多層プリント基板の複数層を活用する構造による低インピーダンス化の効果も合わさり、従来は犠牲にせざるを得なかったEMCノイズの総合特性を著しく改善することができる。
また、本発明の多層プリント基板によれば、導体パターンで成る電源ラインとGNDラインとを交互に積層することによって、各電源ラインとGNDラインとの間にバイパスコンデンサを生成でき、部品レイアウトの自由度確保でノイズ対策用の実装部品直下のスペース確保を図ることができ、配線パターン幅の拡張によって配線インピーダンスを低下させることができる。バイパスコンデンサの生成、配線インピーダンスの低下によってノイズ低減の効果を一層高めることができる。積層した複数の導体パターンをスルーホールで連通させているので、ノイズ対策を施した上で、基板の自由な位置に部品を配置することが可能となる。
更に、本発明では、EMCノイズ特性を改善した多層プリント基板を電動パワーステアリング装置用ECUの基板に用いているので、厳しく制限された車載スペースに多くの部品が搭載され、しかもノイズ対策に優れ、信頼性高い駆動制御特性が求められる電動パワーステアリング装置用のECU基板に最適である。
更にまた、本発明では、4層以上の多層基板を用いて右ハンドル車用と左ハンドル車用の基板を2パターン作成し、多層基板の各層レイアウトを工夫することで、外部との入出力コネクタ部、電源周りのノイズ対策部品などの部品に対しても左右対称の部品レイアウト(多層基板のグランド層間に挟まれた空間で配線を引いてスルーホールで部品搭載面に接続する方法)を行うことができる。例えば基板の初期開発を右ハンドル車仕様で行い、ノイズ抑制等で実績のある部品レイアウト等の設計を左ハンドル車仕様に即座にフィードバックすることにより、設計コストを大幅に低減しながら、別の基板として、信頼性の評価は行うものの、トータルでの基板に関する開発期間を大幅に短縮することができる効果がある。
電動パワーステアリング装置の概要を示す構成図である。 電動パワーステアリング装置の制御系の構成例を示すブロック図である。 電動パワーステアリング装置の半導体モジュール及び制御部(ECUを含む)の展開図である。 ECUに用いられるプリント基板の平面図及び側面図である。 半導体モジュールの平面図である。 コモンモード・ノイズフィルタのプリント基板への装着例を示す取付け図である。 従来のコモンモード・ノイズフィルタの配線例を示す模式図である。 従来のコモンモード・ノイズフィルタ及びノーマルモード・ノイズフィルタの取付け平面図である。 従来例を説明するための斜視構造図である。 本発明に係るノイズ抑制機能を有する多層プリント基板の概略構成を示す斜視図であり、複数相(6層)の導体パターンのみを示している。 図10における導体パターン部の平面図である。 図10における導体パターン部の各相導体パターンを1層〜6層について示すパターン平面図である。 本発明に係るノイズ抑制機能を有する多層プリント基板の断面構造図である。 配線を交互に接続することにより生成されるコンデンサにおける配線の面積と容積との関係を示す特性図である。 配線を交互に積層した際において、基準となる配線幅に対する配線幅の増加程度と配線インピーダンスの低下率との関係を示す特性図である。 本発明の効果を示す波形図である。 本発明に係る左右ハンドル車用形状レイアウトのミラー配置例を示す模式的平面図である。 本発明の他の実施形態を示す断面構造図である。 本発明の他の実施形態を示す断面構造図である。 本発明の他の実施形態を示す断面構造図である。
電動パワーステアリング装置(EPS)では、限られた車載スペースに多くの部品が搭載されると共に、ECUは益々小型化の要求をされているため、図3に示すように2段構造になっており、発熱の多いパワー素子を装着されたパワー基板は放熱材を介してケースへ、マイコンやメモリ等の比較的発熱の少ない部品を装着した制御基板(プリント基板)は上段側設置となる。また、制御基板には、上下層基板連結のためのスルーホールが多数設けられると共に、電源端子台、モータ接続端子台、通信コネクタ類もごく限られた小スペースに集められ、かつコモンモード・ノイズフィルタやノーマルモード・ノイズフィルタ等のEMC(elctromagnetic compatibility)ノイズ対策部品も効率良く基板上に配置し、ノイズ特性を改善しなければならない要請があると共に、部品レイアウトの自由度確保を図ることが強く望まれる。
本発明では基板を多層プリント基板の構造とし、多層プリント基板への装着部品の極性と部品への供給電源の極性等を考慮し、配線パターンの設計自由度を向上するようにしている。また、EMCノイズ対策部品であるコモンモード・ノイズフィルタやノーマルモード・ノイズフィルタ等のノイズ対策部品搭載時の部品配置の制約等によるパターン配線の回り込みを回避できる直線的なパターン構造とし、初段のノイズフィルタの出力端子から次段のノイズフィルタへの入力端子部へ最短経路の導体パターンで接続可能としている。これにより、バイパスコンデンサ(寄生容量)等による線間ノイズ伝播の影響を受けることがなく、理想的な配線パターン経路の設計が可能となる。また、部品レイアウトの自由度確保を図り、ノイズ対策部品の垂直投影面積内で配線処理を完結しているので、インダクタンス成分等による電磁的誘導カップリングによる誘導性ノイズの影響回避や、ノイズ対策部品と、奇数層の導体パターン及び偶数層の導体パターンで形成されるコンデンサとにより、EMCノイズ特性の一層の改善等の効果を得ている。
本発明は、スルーホールを用いた多層プリント基板において、実装部品への電源ライン(+)・GNDライン(−)の導体パターンを交互に積層することによって、入力の電源ライン・GNDライン間にバイパスコンデンサを生成し、実装部品の直下(部品設置範囲内から食み出さない領域)のスペース確保を図り、配線パターン幅の拡張により、配線インピーダンスを低下させ、ノイズ低減の効果を高めている。
また、本発明では、ノイズ対策とフェールセーフの意味から、基板の平面方向において、電源ラインの導体パターンができるだけ内側に、GNDラインの導体パターンができるだけ外側になるように配置している。特に、本発明に係るノイズ抑制機能を有する多層プリント基板を電動パワーステアリング装置用ECU基板に適用した場合には、厳しく制限された車載スペースに多くの部品を搭載でき、しかもノイズ対策に優れ、信頼性の高い駆動制御特性が求められる電動パワーステアリング装置に最適である。
以下に、本発明の具体的な実施形態を、多層プリント基板が6層で、コモンモード・ノイズフィルタの横にノーマルモード・ノイズフィルタを配置する制約がある場合を例に挙げ、図面を参照して詳細に説明する。また、ノイズ対策部品としてコモンモード・ノイズフィルタ及びノーマルモード・ノイズフィルタを例に挙げるが、1次電源側と2次電源側を絶縁分離するために、トランス直下のラインで基板の配線パターンを分離する場合にも同様に適用可能である。
図10は本発明に係るノイズ抑制機能を有する多層プリント基板120のノイズ対策部の概略構成を示す斜視図であり、図11は導体パターン部の平面図である。図12は、導体パターン部を構成する6層の導体パターンを個々に示し、図13は多層プリント基板120のスルーホールを通る断面構造例である。
多層プリント基板120は、図10及び図13に示すように、第1層導体パターン1201〜第6層導体パターン1206を有する6層基板で構成されており、第2層導体パターン1202及び第3層導体パターン1203の間に配設された平板状絶縁性の第1基材1210と、第4層導体パターン1204及び第5層導体パターン1205の間に配設され、第1基材1210に対して下方に配置された平板状絶縁性の第2基材1211とを備えている。また、第1基材1210 の上側に絶縁層である第1プリプレグ1220が層設され、第1基材1210の 下側であって第2基材1211との間には絶縁層である第2プリプレグ1221が層設され、第2基材1211の下側には第3プリプレグ1222が層設されている。
そして、第1層導体パターン1201は第1プリプレグ1220の上面に配置され、第2層導体パターン1202は第1基材1210の上面に配置され、第3層導体パターン1203は第1基材1210の下面に配置され、第4層導体パターン1204は第2基材1211の上面に配置され、第5層導体パターン1205は第2基材1211の下面に配置され、第6層導体パターン1206は第3プリプレグ1222の下面に配置されている。結果的に、奇数層(第1層、第3層、第5層)の導体パターン1201、1203、1205と、偶数層(第2層、第4層、第6層)の導体パターン1202、1204、1206とがプリプレグ(絶縁層)1220、第1基材(絶縁層)1210、第2プリプレグ(絶縁層)1221、第2基材(絶縁層)1211、第3プリプレグ(絶縁層)1222を挟んで上下方向に交互に配置されている。
ここで、奇数層の導体パターン1201、1203、1205はGND(グランド)パターンであり、電源のGNDライン(−)に接続され、偶数層の導体パターン1202、1204、1206は電源パターンであり、電源の電源ライン(+)に接続される。奇数層の導体パターン1201、1203、1205は、上下方向に連通する複数のスルーホールTH11A,TH11Bによって相互接続され、偶数層の導体パターン1202、1204、1206は、上下方向に連通する複数のスルーホールTH12A,TH12Bによって相互接続されている。また、スルーホールTH11A,TH11B及びTH12A,TH12Bは、多層プリント基板120の上面と下面との間を導電材で接続している。
また、多層プリント基板120には、図10及び図11に示すように、導体パターン1201〜1206とは別の長形状の第1層導体パターン1201G〜第6層導体パターン1206Gが、導体パターン1201〜1206に対して分離され、かつほぼ逆方向に直線的に延びるように配置されている。第1層導体パターン1201Gは、図示はしないが、第1プリプレグ1220の上面に配置され、第2層導体パターン1202Gは第1基材1210の上面に配置され、第3層導体パターン1203Gは第1基材1210の下面に配置され、第4層導体パターン1204Gは第2基材1221の上面に配置され、第5層導体パターン1205Gは第2基材1211の下面に配置され、第6層導体パター ン1206Gは第3プリプレグ1222の下面に配置されている。これら直線状の第1層導体パターン1201G〜第6層導体パターン1206Gは、上下方向に連通するスルーホールTH1によって相互接続され、スルーホールTH1は部品(コモンモード・ノイズフィルタ130)設置範囲内に収まるようになっている。また、第1層導体パターン1201G〜第6層導体パターン1206GはGNDパターンであり、GNDラインに接続される。
更に、多層プリント基板120には、図10及び図11に示すように、導体パター ン1201〜1206及び1201G〜1206Gとは更に別の長形状の第1層導体パターン1201P〜第6層導体パターン1206Pが、導体パターン1201〜1206及び1201G〜1206Gとそれぞれ分離され、かつ導体パターン1201〜1206とほぼ平行の右方向に直線的に延びるように配置されている。第1層導体パターン1201P〜第6層導体パターン1206Pは直線状に配置されているため最短経路であり、インピーダンスの低下を図ることができる。第1層導体パターン1201Pは、図示はしないが、第1プリプレグ1220の上面に配置され、第2層導体パターン1202Pは第1基材1210の上面に配置され、第3層導体パターン1203Pは第1基材1210の下面に配置され、第4層導体パターン1204Pは第2基材1211の上面に配置され、第5層導体パターン1205Pは第2基材1211の下面に配置され、第6層導体パターン1206Pは第3プリプレグ1222の下面に配置されている。これら直線状の第1層導体パター ン1201P〜第6層導体パター ン1206Pは、上下方向に連通するスルーホールTH2及びTH3によって相互接続され、スルーホールTH2は部品(コモンモード・ノイズフィルタ130)設置範囲内に収まるようになっており、スルーホールTH3は部品(ノーマルモード・ノイズフィルタ140)設置範囲内に収まるようになっている。また、第1層導体パターン1201P〜第6層導体パターン1206Pは電源パターンであり、電源ラインに接続される。
更に、第1層導体パターン1201P〜第6層導体パターン1206PのスルーホールTH3と対向するように、上述と同様な積層構造の第1層導体パターン1201Q〜第6層導体パターン1206Qが半円形状を有して配置され、第1層導体パターン1201Q〜第6層導体パターン1206Qの先端部のスルーホールTH4が部品(ノーマルモード・ノイズフィルタ140)設置範囲内に収まるようになっている。第1層導体パターン1201Q〜第6層導体パターン1206Qは電源パターンであり、電源ラインに接続される。
そして、図10及び図11に示すように、コモンモード・ノイズフィルタ130のチョークコイル132の一端132Aは、第1層導体パターン1201P〜第6層導体パターン1206Pを相互接続するスルーホールTH2に接続され、他端132Bは、偶数層の導体パターン1202、1204、1206を相互接続するスルーホールTH12Aに接続される。また、チョークコイル133の一端133Aは、第1層導体パターン1201G〜第6層導体パターン1206Gを相互接続するスルーホールTH1に接続され、他端133Bは、奇数層の導体パターン1201、1203、1205を相互接続するスルーホールTH11Aに接続される。また、ノーマルモード・ノイズフィルタ140の一端端子141はスルーホールTH3に接続され、他端端子142はスルーホールTH4に接続される。
このように、コモンモード・ノイズフィルタ130及びノーマルモード・ノイズフィルタ140の垂直投影範囲内には端子接続のためのスルーホール以外に導体パターンが配線されず、また、配線の引き出し方向が交差しないようになっている。このため、寄生容量等による平面的な線間ノイズ伝搬の影響がない。
次に、第1層パターン1201〜第6層導体パターン1206の構成について、特に図12を参照して説明する。電源・GNDの両極から部品が装着される各々スルーホールに向けて、奇数層と偶数層のパターンを、積層位置を同一にしてパターンが重なるように、かつパターン幅を同一に積層する。最上段、最下段の層はランド(半田の、のりシロ)を必要とするので、両極のパターンが存在し、中間層には逆層のスルーホール部に切欠を設けている。
先ず、第1層導体パターン1201は、図12(A)に示すように、中央に略平行四辺形状のパターン本体1201Aを備え、このパターン本体1201Aの上部右端からスルーホールTH11Bを接続するための領域を形成する第1接続部1201Bが突出して形成されている。この第1接続部1201Bの左側には、スルーホールTH12Bに対して絶縁するための領域を形成する第1の切欠1201Dが形成されている。また、パターン本体1201Aの下部内側には、スルーホールTH11Aを接続するための領域を形成する第2の接続部1201Cが形成されると共に、スルーホールTH12Aに対して絶縁するための領域を形成する第2の切欠1201Eが形成されている。そして、第1層の第1の切欠1201Dには、当該第1層導体パターン1201と逆層の偶数層の導体パターン1202,1204,1206に接続されるスルーホールTH12Aに接続される第1のランド1231が設けられている。また、第1層の第2の切欠1201Eにも、当該第1層導体パターン1201と逆層の偶数層の導体パターン1202,1204,1206に接続されるスルーホールTH12Bに接続される第1のランド1231が設けられている。
また、第2層導体パターン1202は、図12(B)に示すように、中央に略平行四辺形状のパターン本体1202Aを備え、このパターン本体1202A の上部左端からスルーホールTH12Bを接続するための領域を形成する第1の接続部1202Bが突出して形成されている。この第1の接続部1202Bの右側には、スルーホールTH11Bに対して絶縁するための領域を形成する第1の切欠1202Dが形成されている。また、パターン本体1202Aの下部内側には、スルーホールTH12Aを接続するための領域を形成する第2の接続部1202Cが形成されると共に、スルーホールTH11Aに対して絶縁するための領域を形成する第2の切欠1202Eが形成されている。
また、第3層導体パターン1203は、第1層導体パターン1201と同一形状であり、図12(C)に示すように、中央に略平行四辺形状のパターン本体1203Aを備え、このパターン本体1203Aの上部右端からスルーホールTH11Bを接続するための領域を形成する第1の接続部1203Bが突出して形成されている。この第1の接続部1203Bの左側には、スルーホールTH12Bに対して絶縁するための領域を形成する第1の切欠1203Dが形成されている。また、パターン本体1203Aの下部内側には、スルーホールTH11Aを接続するための領域を形成する第2の接続部113cが形成されると共に、スルーホール12Aに対して絶縁するための領域を形成する第2の切欠1203Eが形成されている。
更に、第4層導体パターン1204は、第2層導体パターン1202と同一形状であり、図12(D)に示すように、中央に略平行四辺形状のパターン本体1204Aを備え、このパターン本体1204Aの上部左端からスルーホールTH12Bを接続するための領域を形成する第1の接続部1204Bが突出して形成されている。この第1の接続部1204Bの右側には、スルーホールTH11Bに対して絶縁するための領域を形成する第1の切欠1204Dが形成されている。また、パターン本体1204Aの下部内側には、スルーホールTH12Aを接続するための領域を形成する第2の接続部1204Cが形成されると共に、スルーホールTH11Aに対して絶縁するための領域を形成する第2の切欠1204Eが形成されている。
第5層導体パターン1205は、第1層導体パターン1201、第3層導体パターン1203と同一形状であり、図12(E)に示すように、中央に略平行四辺形状のパターン本体1205Aを備え、このパターン本体1205Aの上部右端からスルーホールTH11Bを接続するための領域を形成する第1の接続部1205Bが突出して形成されている。この第1の接続部1205Bの左側には、スルーホールTH12Bに対して絶縁するための領域を形成する第1の切欠1205Dが形成されている。また、パターン本体1205Aの下部内側には、スルーホールTH11Aを接続するための領域を形成する第2の接続部1205Cが形成されると共に、スルーホールTH12Aに対して絶縁するための領域を形成する第2の切欠1205Eが形成されている。
また、第6層導体パターン1206は、第2層導体パターン1202、第4層導体パターン1204と同一形状であり、図12(F)に示すように、中央に略平行四辺形状のパターン本体1206Aを備え、このパターン本体1206Aの上部左端からスルーホールTH12Bを接続するための領域を形成する第1の接続部1206Bが突出して形成されている。この第1の接続部1206Bの右側には、スルーホールTH11Bに対して絶縁するための領域を形成する第1の切欠1206Dが形成されている。また、パターン本体1206Aの下部内側には、スルーホールTH12Aを接続するための領域を形成する第2の接続部1206Cが形成されると共に、スルーホールTH11Aに対して絶縁するための領域を形成する第2の切欠1206Eが形成されている。そして、第6層の第1の切欠1206Dには、当該第6層導体パターン1206と逆層の奇数層の導体パターン1201,1203,1205に接続されるスルーホールTH11Aに接続される第2のランド1232が設けられている。また、第6層の第2の切欠1206Eにも、当該第6層導体パターン1206と逆層の奇数層の導体パターン1201,1203,1205に接続されるスルーホールTH11Bに接続される第2のランド1232が設けられている。
このように形成された第1層導体パターン1201〜第6層導体パターン1206において、奇数層の導体パターン1201、1203、1205のうち、スルーホールTH11B及びTH11Aをそれぞれ接続するための所定の領域を形成する第1の接続部1201B、1203B、1205B及び第2の接続部1201C、1203C、1205Cと、スルーホールTH12B及びTH12Aに対してそれぞれ絶縁するための所定の領域を形成する第1の切欠1201D、1203D、1205D及び第2の切欠1201E、1203E、1205Eを除く部分(図12(A)、(C)、(E)における一点鎖線で囲まれた部分)と、偶数層の導体パターン1202、1204、1206のうち、スルーホールTH12B及びTH12Aをそれぞれ接続するための所定の領域を形成する第1の接続部1202B、1204B、1206B及び第2の接続部1202C、1204C、1206Cと、スルーホールTH11B及びTH11Aに対してそれぞれ絶縁するための所定の領域を形成する第1の切欠1202D、1204D、1206D及び第2の切欠1202E、1204E、1206Eを除く部分(図12(B)、(D)、(F)における一点鎖線で囲まれた部分)とは、同一の形状を有すると共に、上下方向において位置を同じにするようにして積層されている。このため、奇数層の導体パターン1201、1203、1205と偶数層の導体パターン1202、1204、1206とによってバイパスコンデンサを生成し、これによって配線インピーダンスを減少させてノイズを抑制することができる。
そして、奇数層の導体パターン1201,1203,1205と偶数層の導体パターン1202、1204、1206とが、第1のプリプレグ(絶縁層)1220、第1の基材(絶縁層)1210、第2のプリプレグ(絶縁層)1221、第2の基材(絶縁層)1211、第3のプリプレグ(絶縁層)1222を挟んで上下方向に交互に配置されるので、基板上の部品レイアウトの制約を小さくすることができ、基板上のバイパスコンデンサを形成するための導体パターンの面積は小さくて済む。
このように本発明に係る多層プリント基板120では、直下に配線を引くことが出来ないノイズ対策部品としてのコモンモード・ノイズフィルタ130及びノーマルモード・ノイズフィルタ140の配線パターンが、EMCノイズ特性改善のために平面的に分離されていると共に、コモンモード・ノイズフィルタ130及びノーマルモード・ノイズフィルタ140に接続する配線パターン(1201P〜1206P)が直線的な形状及び配置で、接続のためのスルーホールTH2及びTH3を含む導体パターンがそれぞれコモンモード・ノイズフィルタ130及びノーマルモード・ノイズフィルタ140の投影範囲内に収まっている。このとき、奇数層のGNDラインと偶数層の電源ラインは可能な限り配線パターン幅を広く取りつつ、それぞれの配線が交差することなく、間隔をあけて配置される。また、奇数層の導体パターンと偶数層の導体パターンとを上下方向に交互に配置することにより、コモンモード・ノイズフィルタ130及びノーマルモード・ノイズフィルタ140の直下に導体パターンを配線する必要がなくなり、コモンモード・ノイズフィルタ130及びノーマルモード・ノイズフィルタ140の直下に他の部品を実装するスペースを確保することができる。ECUのように部品スペースが厳しく制限される場合に、本発明の構成を採用しないと、図7のように配線する必要があり、コモンモード・ノイズフィルタ130及びノーマルモード・ノイズフィルタ140のノイズ抑制特性が著しく劣化してしまう。本発明の構成を採用することにより、レイアウト制約が厳しい状況でも部品直下の配線を回避することができ、交互積層により電源ライン・GNDライン間にバイパスコンデンサを生成することができる。また、配線も広くとることが出来るので配線インピーダンスを低下させることができ、これによりノイズ抑制の効果が非常に大きくなる。
なお、前述した第1層導体パターン1201〜第6層導体パターン1206、第1層導体パターン1201G〜第6層導体パターン1206G、第1層導体パターン1201P〜第6層導体パターン1206P、第1層導体パターン1201Q〜第6層導体パターン1206Qは、全て電導体(例えば銅)である。また、第1層導体パターン1201、1201G、1201P、1201Qの厚さは0.018mm程度、第2層導体パターン1202、1202G、1202P、1202Qの厚さは0.035mm程度、第3層導体パターン1203、1203G、1203P、1203Qの厚さは0.035mm程度、第4層導体パターン1204、1204G、1204P、1204Qの厚さは0.035mm程度、第5層導体パターン1205、1205G、1205P、1205Qの厚さは0.035mm程度、第6層導体パターン1206、1206G、1206P、1206Qの厚さは0.018mm程度である。更に、第1基材12101及び第2基材1211の厚さは、それぞれ0.2mm程度である。また、第1プリプレグ11220の厚さは、0.2mm程度、第2プリプレグ1221の厚さは0.4mm程度、第3プリプレグ1222の厚さは0.2mm程度である。そして、図13に示すように、第1層導体パターン1201の上面にはソルダレジスト1201Aが層設され、第6層導体パターン1206の下面にもソルダレジスト1206Aが層設され、ソルダレジスト1201A,1206Aを含めた多層プリント基板120全体の厚さは、1.4mm程度となっている。
次に、図14を参照して、配線(電源とグランド)を交互に積層することにより生成されるコンデンサ(バイパスコンデンサ)における、配線の面積と容量との関係を説明する。配線パターンを交互に積層することによりコンデンサが生成されるが、その際、コンデンサの容量は次の数1で求められる。
ここで、Cはコンデンサの容量、kは変換係数、εは基板材料の誘電率、Aは交互に積層される配線パターンの面積、dは層間の距離、nは層の数である。

上記数1において、層の数nが増加すると容量Cが増加するので、図14に示すように、層の積層数を増加させると容量Cが増加する。また、数1において、交互に積層される配線パターンの面積Aが増加すると容量Cが増加するので、図14に示すように配線面積が増加するほど容量Cも増加する。
更に、図15を参照して、配線パターンを交互に積層した際において、基準となる基準配線パターン幅に対する配線パターン幅の増加程度と、配線インピーダンスの低下率との関係を説明する。基準となる基準配線パターン幅に対して配線パターン幅を増加させた際の、基準配線パターン幅に対して増加した配線パターン幅のインピーダンスの割合は、次の数2により求められる。
ここで、Rdifは基準配線パターン幅に対して増加した配線パターン幅のインピーダンスの割合、εは基板材料の誘電率、Wは基準となる配線パターン幅、Wは増加した配線パターン幅、Tは配線パターンの厚み、Hは誘電体材料の厚みである。

図15に示すように、基準配線パターン幅に対する増加した配線パターン幅の比が大きくなると、基準配線パターン幅に対する増加した配線パターン幅のインピーダンスの割合が低下する。従って、配線パターン幅を増加させればさせるほど、配線パターンのインピーダンスは減少する。
図16は本発明に係る多層プリント基板のノイズ抑制効果を示す結果であり、図16(A)及び(B)は電源ラインについて、図16(C)及び(D)はGNDラインについて示している。即ち、図16(A)は従来基板での電源ラインのノイズレベルであり、本発明によるパターン配置等によって図16(B)のように約6dBの改善がみられた。また、図16(C)は従来基板でのGNDラインのノイズレベルであり、本発明によるパターン配置等によって図16(D)のように約4.6dBの改善がみられた。
上述の実施形態において、上下方向に積層される奇数層の導体パターンと偶数層の導体パターンの配線幅を増加させることにより、配線インピーダンスをより減少させることができ、一層ノイズを抑制することができる。また、本実施形態における多層プリント基板120によれば、奇数層の最上層におけるスルーホールTH12Bに対して絶縁するための所定の領域に設けられたランド1231に所定の極性の導体を半田接続し、偶数層の最下層におけるスルーホールTH11Bに対して絶縁するための所定の領域に設けられたランド1232に逆極性の導体を半田接続することができる。奇数層の導体パターンと偶数層の導体パターンとにおいて、形状が同一で上下方向に重なる部分(図12(A)〜(F)において一点鎖線で囲まれた部分)の幅X及び長さYは、広ければ広いほど配線面積が増加し、配線インピーダンスを低下させるのに効果的である。また、奇数層の導体パターン1201、1203、1205における接続部1201B、1203B、1205Bと接続部1201C、1203C、1205Cとの間の部分(図12(A)においてY1で示す部分)、偶数層の導体パターン1202、1204、1206おける接続部1202B、1204B、1206Bと接続部1202C、1204C、1206Cとの間の部分には、伝導率が下がるのを防止するためにスルーホールを設けないことが好ましい。
本発明では、上述のようなノイズ抑制機能を有する多層基板をECU基板として用いることにより、制御回路の電源ライン、回路パターン等の配置をミラー配置(左右ハンドル車のECU基板のパターンが線対称)とすることを可能とし、左右ハンドル車に対する設計に要する時間を減らし、EMC耐性の悪化も抑えることができる。本発明では4層以上の多層基板を用いて、右ハンドル車用と左ハンドル車用の基板を2パターン作成し、多層基板の各層の形状レイアウトを工夫することで、外部との信号等の入出力を行う信号コネクタ部、電源周りのノイズ対策部品などの部品に対しても左右対称の部品レイアウト(多層基板のグランド層間に挟まれた空間で配線を引いて、スルーホールで部品搭載面に接続する方法)を行うことができる。例えばECU基板の初期開発を右ハンドル車仕様で行い、ノイズ抑制等で実績のある部品レイアウト等の設計を左ハンドル車仕様にフィードバックすることにより、設計コストを大幅に低減しながら、別の基板として、信頼性の評価は行うものの、トータルでの基板に関する開発期間を大幅に短縮することができるようになる。
図17(A)は、本発明に係る電動パワーステアリング装置用ECU基板を右ハンドル車に適用した基板の模式的平面図であり、図17(B)は、本発明に係る電動パワーステアリング装置用ECU基板を左ハンドル車に適用した基板の模式的平面図である。
図17(A)に示すように、右ハンドル車用ECU基板には、基板に実装された回路や部品等に装置側の電源コネクタから電力を供給するコネクタ部が設けられ、コネクタ部は電源コネクタに着脱できる構造になっている。基板には、電力を供給する電源回路パターン、回路や部品間等を電気的に接続する配線パターン、ノイズフィルタ等のノイズ対策部品、トルク検出値や車速を検出するインタフェース(IF)回路、各種指令値を演算するマイコン(MPU等)で構成される演算処理部、この演算処理部から出力されるPWM信号により駆動されるインバータ、CANとの通信を行う通信処理回路等の回路部品が実装されている。網掛けの矢印が電源(+)の接続関係を示し、横縞の矢印がGND(−)の接続関係を示している。そして、図17(B)の左ハンドル車用ECU基板も、図17(A)の右ハンドル車用ECUと同様な回路構成であるが、外部との入出力コネクタ部からノイズ対策部品までの回路部分がミラー配置されている。つまり、左右ハンドル車用基板の形状レイアウトは、電源コネクタの脱着方向に対して互いにミラー配置(線対称)に形成されている。
これは多層基板の形状レイアウトを工夫することで実現できたためであり、右ハンドル車で実績のあるレイアウト設計、をほぼ変えずに左ハンドル車に継承することができ、設計期間を大幅に短縮することができる。
次に、多層プリント基板の変形例を、図18〜図20を参照して説明する。図18は多層プリント基板120の第1変形例の断面模式図であり、図19は第2変形例の断面模式図であり、図20は第3変形例の断面模式図である。
図18に示すプリント基板120Bは、第1層の導体パターン151〜第16層の導体パターン166を有する16層基板である。第1層の導体パターン151〜第16層の導体パターン166は、絶縁層171〜185を挟んで順次配置されている。そして、第1層の導体パターン151〜第16層の導体パターン166のうち上側8層の導体パターン151〜158につき、図13に示すプリント基板120と同様の構成を適用する。 即ち、上側8層における奇数層の導体パターン151、153、155、157が第1のスルーホール(図示せず)によって相互接続され、偶数層の導体パターン152、154、156、158が第2のスルーホール(図示せず)によって相互接続されている。
また、上側8層における奇数層の導体パターン151、153、155、157のうち、第1のスルーホールを接続するための所定の領域及び第2のスルーホールに対して絶縁するための所定の領域を除く部分と、偶数層の導体パターン152、154、156、158のうち、第2のスルーホールを接続するための所定の領域及び第1のスルーホールに対して絶縁するための所定の領域を除く部分とは、同一の形状を有すると共に、上下方向において位置を同じにして積層されている。このため、奇数層の導体パターン151、153、155、157と偶数層の導体パターン152、154、156、158とによってコンデンサを生成し、これによって配線インピーダンス減少させてノイズを抑制することができる。
次に、図19に示すプリント基板120Cは、第1層の導体パターン151〜第16層の導体パターン166を有する16層基板である。第1層の導体パターン151〜第16層の導体パターン166は、絶縁層171〜185を挟んで順次配置されている。 そして、第1層の導体パターン151〜第16層の導体パターン166のうち、中間の8層の導体パターン155〜162につき、図13に示すプリント基板120と同様の構成を適用する。即ち、中間8層の奇数層の導体パターン155、153、155、157が第1のスルーホール(図示せず)によって相互接続され、偶数層の導体パターン152、154、156、158が第2のスルーホール(図示せず)によって相互接続されている。
また、中間8層の奇数層の導体パターン155、157、159、161のうち、第1のスルーホールを接続するための所定の領域及び第2のスルーホールに対して絶縁するための所定の領域を除く部分と、偶数層の導体パターン156、158、160、162のうち、第2のスルーホールを接続するための所定の領域及び第1のスルーホールに対して絶縁するための所定の領域を除く部分とは、同一の形状を有すると共に、上下方向において位置を同じにして積層されている。このため、奇数層の導体パターン155、157、159、161と偶数層の導体パターン156、158、160、162とによってコンデンサを生成し、これによって配線インピーダンス減少させてノイズを抑制することができる。
更に、図20に示すプリント基板120Dは、第1層の導体パターン151〜第16層の導体パターン166を有する16層基板である。第1層の導体パターン151〜第16層の導体パターン166は、絶縁層171〜185を挟んで順次配置されている。そして、第1層の導体パターン151〜第16層の導体パターン166のうち、下側6層の導体パターン161〜166につき、図13に示す多層プリント基板120と同様の構成を適用する。 即ち、下側6層の奇数層の導体パターン161、163、165が第1のスルーホール(図示せず)によって相互接続され、偶数層の導体パターン162、164、166が第2のスルーホール(図示せず)によって相互接続されている。
また、下側6層の奇数層の導体パターン161、163、165、166のうち、第1のスルーホールを接続するための所定の領域及び第2のスルーホールに対して絶縁するための所定の領域を除く部分と、偶数層の導体パターン162、164、166のうち、第2のスルーホールを接続するための所定の領域及び第1のスルーホールに対して絶縁するための所定の領域を除く部分とは、同一の形状を有すると共に、上下方向において位置を同じにして積層されている。このため、奇数層の導体パターン161、163、165と偶数層の導体パターン162、164、166とによってコンデンサを生成し、これによって配線インピーダンス減少させてノイズを抑制することができる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに種々の変更、改良を行うことができる。例えば、多層プリント基板は、図10〜図13に示す例では6層基板、図18〜図20に示す例では16層基板で構成されているが、少なくとも4層以上で構成されていればよい。また、同一の形状を有し上下方向において位置を同じにして積層される奇数層の導体パターン及び偶数層の導体パターンの合計数は、6層や8層に限らず、任意の偶数の数でよい。同一の形状を有し、上下方向において位置を同じにして積層される奇数層の導体パターン及び偶数層の導体パターンの合計数を変えることにより、配線インピーダンスを調整できるので、目的のノイズ調整値に応じて当該積層される導体パターンの数を決定すればよい。
また、上述の実施形態では、スルーホールTH12B及びTH12Aに対してそれぞれ絶縁するための所定の領域は、奇数層の導体パターンに形成される切欠1201D,1203D、1205D及び1201E,1203E、1205Eとしているが、奇数層の導体パターンに形成される孔としてもよい。同様に、スルーホールTH11B及びTH11Aに対してそれぞれ絶縁するための所定の領域は、偶数層の導体パターンに形成される切欠1202D,1204D、1206D及び1202E,1204E、1206Eとしているが、偶数層の導体パターンに形成される孔としてもよい。
1 ハンドル
2 コラム軸(ステアリングシャフト、ハンドル軸)
10 トルクセンサ
12 車速センサ
14 舵角センサ
20 モータ
50 CAN
51 非CAN
100 コントロールユニット(ECU)
101 イグニション電圧モニタ部
110 制御演算部
111 ゲート駆動部
112 インバータ(電力供給部)
113 遮断装置
114 電流検出回路
120A 制御基板(プリント基板)
120、120B〜120D 多層プリント基板
122a〜122c、204a〜204d、221a221b
取付けネジ
130 コモンモード・ノイズフィルタ
131 フェライトコア
132,133 チョークコイル
140 ノーマルモード・ノイズフィルタ
200 半導体モジュール
201 パワー基板
205 正極端子
205A 電源ライン
206 負極端子
206A 接地(GND)ライン
207 表面実装部品
210 ケース
212 モジュール載置部
213 電力及び信号用コネクタ実装部
214 3相出力用コネクタ実装部
220 電力及び信号用コネクタ
230 3相出力用コネクタ
240 カバー
300 電源(GND)層

Claims (8)

  1. 奇数層の導体パターンと偶数層の導体パターンとがそれぞれ絶縁層を挟んで上下方向に交互に、少なくとも4層以上積層された多層プリント基板に部品が装着され、車両のステアリング機構にモータの回転力で操舵補助力を付与するように駆動制御する電動パワーステアリング装置用ECU基板において、
    前記奇数層の導体パターンは、上下方向に連通する第1のスルーホールによって接続され、前記偶数層の導体パターンは、上下方向に連通する第2のスルーホールによって接続されると共に、前記奇数層の導体パターン又は前記偶数層の導体パターンの一方が電源ラインに接続された電源導体パターンを構成し、他方の導体パターンがGNDラインに接続されたGND導体パターンを構成し、
    前記奇数層の最上層にEMCノイズ対策部品の複数の端子がそれぞれ第3のスルーホールを介して装着され、前記EMCノイズ対策部品の複数の端子が前記第3のスルーホールを介して前記電源導体パターン及び前記GND導体パターンに接続されると共に、前記EMCノイズ対策部品の垂直投影範囲内では、各層の前記電源導体パターン及び前記GND配線パターンが分離され、かつ前記垂直投影範囲と交差せず、初段のEMC対策部品の出力端子から次段のEMC対策部品への入力端子へ最短経路の導体パターンで接続されており、
    前記ECU基板の平面方向において、前記電源導体パターンができるだけ内側に、前記GND導体パターンができるだけ外側に配置されており、
    前記EMCノイズ対策部品と、前記電源導体パターン及び前記GND導体パターンで形成されるコンデンサとにより、EMCノイズ特性が改善される構造になっていることを特徴とする電動パワーステアリング装置用ECU基板。
  2. 前記EMCノイズ対策部品がコモンモード・ノイズフィルタ又はノーマルモード・ノイズフィルタ、或いは前記コモンモード・ノイズフィルタ及びノーマルモード・ノイズフィルタである請求項1に記載の電動パワーステアリング装置用ECU基板。
  3. 前記奇数層の最上層における前記第2のスルーホールに対して絶縁するための第1の領域に、前記第2のスルーホールに接続される第1のランドが設けられ、前記偶数層の最下層における前記第1のスルーホールに対して絶縁するための第2の領域に、前記第1のスルーホールに接続される第2のランドが設けられている請求項2に記載の電動パワーステアリング装置用ECU基板。
  4. 前記第1のスルーホール及び前記第2のスルーホールに対してそれぞれ絶縁するための絶縁領域が、前記奇数層の前記電源導体パターン及び前記GND導体パターンに設けられた切欠若しくは孔であり、前記偶数層の前記電源導体パターン及び前記GND導体パターンに設けられた切欠若しくは孔である請求項1乃至3のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置用ECU基板。
  5. 奇数層の導体パターンと偶数層の導体パターンとがそれぞれ絶縁層を挟んで上下方向に交互に、少なくとも4層以上積層された多層プリント基板に部品が装着され、電源コネクタに脱着されるようになっていると共に、車両のステアリング機構にモータの回転力で操舵補助力を付与するように駆動制御する電動パワーステアリング装置用ECU基板において、
    前記奇数層の導体パターンは、上下方向に連通する第1のスルーホールによって接続され、前記偶数層の導体パターンは、上下方向に連通する第2のスルーホールによって接続されると共に、前記奇数層の導体パターン又は前記偶数層の導体パターンの一方が電源ラインに接続された電源導体パターンを構成し、他方の導体パターンがGNDラインに接続されたGND導体パターンを構成し、
    前記奇数層の最上層にEMCノイズ対策部品の複数の端子がそれぞれ第3のスルーホールを介して装着され、前記EMCノイズ対策部品の複数の端子が前記第3のスルーホールを介して前記電源導体パターン及び前記GND導体パターンに接続されると共に、前記EMCノイズ対策部品の垂直投影範囲内では、各層の前記電源導体パターン及び前記GND配線パターンが分離され、かつ前記垂直投影範囲と交差せず、初段のEMC対策部品の出力端子から次段のEMC対策部品への入力端子へ最短経路の導体パターンで接続されており、
    前記EMCノイズ対策部品と、前記電源導体パターン及び前記GND導体パターンで形成されるコンデンサとにより、EMCノイズ特性が改善される構造になっていると共に、
    右ハンドル車用多層基板と左ハンドル車用多層基板の、前記電源導体パターン及び前記GND導体パターンの形状レイアウトが、前記電源コネクタの脱着方向に対して互いにミラー配置に形成されていることを特徴とする電動パワーステアリング装置用ECU基板。
  6. 前記EMCノイズ対策部品がコモンモード・ノイズフィルタ又はノーマルモード・ノイズフィルタ、或いは前記コモンモード・ノイズフィルタ及びノーマルモード・ノイズフィルタである請求項5に記載の電動パワーステアリング装置用ECU基板。
  7. 前記奇数層の最上層における前記第2のスルーホールに対して絶縁するための第1の領域に、前記第2のスルーホールに接続される第1のランドが設けられ、前記偶数層の最下層における前記第1のスルーホールに対して絶縁するための第2の領域に、前記第1のスルーホールに接続される第2のランドが設けられている請求項6に記載の電動パワーステアリング装置用ECU基板。
  8. 前記第1のスルーホール及び前記第2のスルーホールに対してそれぞれ絶縁するための絶縁領域が、前記奇数層の前記電源導体パターン及び前記GND導体パターンに設けられた切欠若しくは孔であり、前記偶数層の前記電源導体パターン及び前記GND導体パターンに設けられた切欠若しくは孔である請求項5乃至7のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置用ECU基板。
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