以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.第1の実施形態>
(1−1.硬貨処理装置の構成)
図1を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る硬貨処理装置1の構成の一例について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る硬貨処理装置1の内部構成の一例を示す概略図である。なお、図1(a)は硬貨処理装置1を正面側から見た図であり、図1(b)は硬貨処理装置1を右側面側から見た図である。
硬貨処理装置1は、店舗等に設置されたレジスターで取り扱われる硬貨を管理する。例えば、硬貨処理装置1は、店舗の係員等(使用者)がレジスターから運んできた硬貨の入金処理や計数処理を行う。また、硬貨処理装置1は、レジスターで使用する釣銭準備金としての硬貨の出金や両替等での硬貨の出金処理を行う。
図1に示すように、第1の実施形態に係る硬貨処理装置1は、硬貨受領部10と、硬貨繰り出し部12と、硬貨認識部14と、選別搬送部20と、リジェクト硬貨収容部26と、硬貨収容庫の一例である金種別ホッパ36と、出金一時保留部42と、出金箱50と、リジェクト庫54と、制御ユニット90とを有する。
硬貨受領部10は、投入される硬貨Cを受ける部分である。硬貨受領部10は、硬貨処理装置1の上方、かつ前面側に位置する。硬貨受領部10は、硬貨が投入される投入口11を有する。投入口11は、硬貨を一括して投入し易いように、広く開口している。硬貨受領部10に投入された硬貨は、硬貨繰り出し部12に落下する。
硬貨繰り出し部12は、硬貨受領部10の下方に位置し、硬貨受領部10から落下した硬貨を一枚ずつ繰り出す。硬貨繰り出し部12内には、例えば回転円盤(不図示)が設けられている。硬貨繰り出し部12内の硬貨は、回転円盤が回転する際の遠心力により移動して、一枚ずつ硬貨認識部14へ繰り出される。
硬貨認識部14は、硬貨繰り出し部12から繰り出された硬貨の真偽、金種等の判別を行う。硬貨認識部14は、硬貨を認識するセンサを有し、センサで検出した硬貨の特徴に基づいて、硬貨の真偽、金種等を判別する。硬貨認識部14は、判別した硬貨を選別搬送路20に搬送する。
選別搬送部20は、硬貨認識部14による判別結果に基づいて、硬貨を選別して搬送する。選別搬送部20は、リジェクト口21と、金種別排出口22a〜22fとを有する。硬貨認識部14において真貨で無いと判別された硬貨は、リジェクト口21を通過する。真貨であると判別された硬貨は、金種別排出口22a〜22fを通過する。
リジェクト硬貨収容部26は、リジェクト口21を通過した硬貨を収容する。リジェクト口21の下方には、リジェクト口21を通過した硬貨をリジェクト硬貨収容部26へ導くリジェクトシュートが配置(図1に示す矢印Rのルートで配置)されている。リジェクト硬貨収容部26は、硬貨処理装置1の前面に開閉可能な扉28を有する。扉28が開いた際に、操作者はリジェクト硬貨収容部26を装置外へ引き出し可能である。
金種別ホッパ36は、金種別排出口22a〜22fから排出された硬貨を、金種別に収容する。金種別ホッパ36として、図1(b)に示すように、金種別排出口22a〜22fに対応するように直線状に並べられた複数の金種別ホッパ36a〜36fが設けられている。金種別ホッパ36a〜36fは、それぞれ、500円、100円、50円、10円、5円、及び1円硬貨のいずれかの1種類の硬貨を収容する。また、金種別ホッパ36a〜36fは、それぞれ硬貨を一枚ずつ繰り出す繰り出し部を有する。
金種別ホッパ36a〜36fは、図2に示す着脱部38に対して着脱可能に装着されている。本実施形態では、6つの金種別ホッパ36a〜36fが、一つの着脱部38に装着される構成となっている。ただし、これに限定されず、例えば金種別ホッパ36a〜36fが、各々の着脱部に装着される構成であっても良い。
図2は、第1の実施形態に係る金種別ホッパ36a〜36fが装着された着脱部38を示す斜視図である。なお、図2では、着脱部38が硬貨処理装置1の筐体3から引き出された状態を示している。金種別ホッパ36a〜36fが装着された着脱部38は、例えば図2に示すガイドレール39等にガイドされて、挿入方向と引出し方向に移動可能となっている。金種別ホッパ36a〜36fは、着脱部38が引き出された後に、図2に示す取出し方向に着脱部38から取り出される。なお、金種別ホッパ36a〜36fを着脱部38に装着させる場合には、取出し方向とは逆方向である装着方向に入れることになる。
硬貨処理装置1においては、例えば硬貨の出金処理中(金種別ホッパ36a〜36fからの硬貨の繰り出し中)に、金種別ホッパ36a〜36fにおいて硬貨のジャムが発生することがある。かかる場合には、使用者は、金種別ホッパ36a〜36fを着脱部38から取り出して、ジャムとなった硬貨を除去している。なお、詳細は後述するが、金種別ホッパ36a〜36fには、着脱部38に対する着脱性を向上させるために、取っ手部が設けられている。
出金一時保留部42は、金種別ホッパ36a〜36fから繰り出された硬貨を、金種別に一時的に集積する機能を有する。また、出金一時保留部42は、集積した硬貨の搬送先(具体的には、出金箱50又はリジェクト庫54)を切り替える搬送切替部としての機能を有する。
出金箱50は、出金される硬貨を収容する。出金箱50には、出金一時保留部42において硬貨の搬送先が出金箱50に切り替えられた際に、出金一時保留部42に集積された硬貨が搬送される。リジェクト庫54は、リジェクト硬貨を収容する。リジェクト庫54には、出金一時保留部42において硬貨の搬送先がリジェクト庫54に切り替えられた際に、出金一時保留部42に集積された硬貨が搬送される。
制御ユニット90は、硬貨処理装置1の全体動作を制御する。例えば、制御ユニット90は、硬貨の入金処理や出金処理を行う際に、硬貨処理装置1の各構成要素の動作を制御する。制御ユニット90は、上述した各構成要素の動作を制御する制御部と、制御部が実行するプログラムや各種のデータを記憶する記憶部と、を有する。
(1−2.金種別ホッパの詳細構成)
上述した金種別ホッパ36a〜36fの構成は、それぞれ同様である。そこで、図3、及び図4を参照しながら、金種別ホッパ36a(以下、金種別ホッパ36と呼ぶ)を例に挙げて、金種別ホッパ36の構成の一例について説明する。
図3は、第1の実施形態に係る金種別ホッパ36の構成の一例を示す図である。図4は、図3のA−A矢視図である。
金種別ホッパ36は、入金処理の際に硬貨を収容し、出金処理の際に収容した硬貨を繰り出す。図3に示すように、金種別ホッパ36は、タンク部210と、回転ディスク220と、駆動部230と、搬送ガイド240と、ゲート250と、搬送部256と、異金種判別部260とを有する。
タンク部210は、金種別排出口22aから排出された硬貨Cを収容する。タンク部210は、側壁に囲まれ硬貨を収容する収容空間211を有する。タンク部210は、図3に示すように、上部に金種別排出口22aから排出された硬貨が通過する開口216を有している。タンク部210の下部212には回転ディスク220が設けられており、下部212の内周面は、回転ディスク220が回転可能なように、回転ディスク220の外周に沿った形状に形成されている。タンク部210の下部212は、硬貨を繰り出しやすいように、斜めの形状をしている。
回転ディスク220は、タンク部210内に水平方向に交差するように斜めに配置された円形状の部材である。回転ディスク220は、回転可能に軸221に支持され、回転することによりタンク部210に収容された硬貨Cを移動させて分離する。回転ディスク220には、硬貨Cの外形に対応した筒状の複数の貫通孔222(図4では4つの貫通孔222)が形成されている。タンク部210内の硬貨Cは、貫通孔222を通過する。また、回転ディスク220の裏面かつ貫通孔222の周囲には、搬送ガイド240に向けて突出した突起223が形成されている。突起223は、回転ディスク220が回転する際に、硬貨Cを支持しながら搬送させる。
回転ディスク220の外周面には、ギア部224が形成されている。ギア部224は、下部212の側面に形成された切り欠き部214で、駆動部230のモータギア234と噛み合っている。モータギア234は、モータ232のDカットされたモータ軸に固定されている。モータ232は、互いに噛み合ったモータギア234とギア部224を介して回転駆動力を回転ディスク220に伝達し、回転ディスク220を回転させる。
搬送ガイド240は、回転ディスク220の下方に、回転ディスク220との間で硬貨を1枚搬送できる隙間を介して設けられている。搬送ガイド240は、回転ディスク220が硬貨Cを搬送する際のガイドとして機能する。搬送ガイド240も、回転ディスク220と同様に斜めに配置されているため、搬送される硬貨Cは、自重によりゲート250に向かって滑りやすくなる。
ゲート250は、回転ディスク220により搬送された硬貨Cを一枚ずつ送り出すための開口である。ゲート250の搬送方向下流部には、図4に示すように、支点ベアリング252と、繰り出しローラ254とが設けられている。繰り出しローラ254は、不図示の支点を中心に移動可能である。繰り出しローラ254は、スプリング(不図示)によって支点ベアリング252側に引っ張られている。この際、繰り出しローラ254は、移動規制部によって、支点ベアリング252との距離を一定に保たれている。かかる構成の繰り出しローラ254の移動に伴い、支点ベアリング252と繰り出しローラ254の間に挟まれる硬貨Cが、繰り出される。
搬送部256は、ゲート250から繰り出された硬貨Cを、出金一時保留部42(図1)へ向けて搬送する。搬送部256は、例えば、硬貨Cを搬送する搬送ベルト(不図示)と、硬貨Cが搬送される搬送路258と、を有する。
異金種判別部260は、金種別ホッパ36から実際に繰り出された硬貨の金種が、本来繰り出されるべき硬貨の金種と異なるか否かを判別する。異金種判別部260は、搬送路258に設けられている。異金種判別部260は、図4に示すように、硬貨を検出する及び光学センサ262、264及び磁気センサ266を含む。
光学センサ262は、硬貨の孔の有無を検出する孔検出センサであり、光学センサ264は、硬貨の幅(直径)を検出する幅検出センサである。磁気センサ266は、硬貨の材質等を検出する。かかる孔検出センサ262、幅検出センサ264、及び磁気センサ266の検出結果に基づいて、回転ディスク220により実際に繰り出された硬貨が、異金種であるかどうかを判別可能である。なお、磁気センサ266は、ゲート250から硬貨が繰り出された否かを検出する機能も有している。
ところで、上述したように、金種別ホッパ36は、出金の際に硬貨を繰り出すための回転ディスク220や、回転ディスク220を回転させるための駆動部230を有するため、金種別ホッパ36の形状が複雑になりやすい。着脱部38も金種別ホッパ36の外形形状に併せて形成されるので、金種別ホッパ36を着脱部38に着脱し難いという問題が発生しうる。
これに対して、第1の実施形態に係る金種別ホッパ36においては、タンク部210を構成する一つの壁部(具体的には、側壁)に金属の取っ手部が設けられている。かかる場合には、金属の取っ手部で金種別ホッパ36を把持することで、金種別ホッパ36の着脱の際に着脱部38に対する金種別ホッパ36の位置を調整しやすい。このため、金種別ホッパ36の着脱部38に対する着脱性を向上させることが可能となる。
(タンク部210の取っ手部の構成)
図5及び図6を参照しながら、タンク部210の取っ手部285の構成の一例について説明する。
図5は、金種別ホッパ36の外観構成の一例を示す斜視図である。図6は、第1の実施形態に係る金属側壁284の断面図である。
タンク部210は、図5に示すように、長方体形状となっている。このため、タンク部210は、硬貨の収容空間211(図3参照)を取り囲む4つの壁部の一例である側壁281、282、283、284を備える。本実施例における4つの側壁281〜284は、樹脂で形成された樹脂側壁281、282、283と、金属で形成された金属側壁284とで構成されている。
4つの側壁のうちの3つの側壁281〜283を樹脂で形成することで、タンク部210が複雑な形状であっても製造しやすくなる。樹脂側壁281〜283は、例えば透明な樹脂で形成されている。これにより、タンク部210内の硬貨の収容状態を視認しやすくなる。なお、上記に限定されず、樹脂側壁281〜283は、例えば非透明な樹脂で形成されても良い。
金属側壁284は、樹脂側壁281〜283と同じ厚さに形成されているが、樹脂側壁281〜283に比べて強度が高い。金属側壁284は、板金で形成されている。例えば、金属側壁284は、ステンレス鋼(SUS)で形成されても良い。かかる場合には、めっきや塗装をしなくても、金属側壁284が錆びることを防止できる。ただし、これに限定されず、金属側壁284は、アルミ等の他の金属で形成されても良い。
金属側壁284には、金種別ホッパ36の着脱の際に使用者が把持可能な取っ手部285が設けられている。このため、取っ手部285も金属で形成されている。取っ手部285を金属で形成することで、樹脂の場合とは異なり、取っ手部の厚みが薄くても剛性を確保できるので、取っ手部の機能を確保しやすくなる。
また、取っ手部285が設けられた金属側壁284は、図5に示すように、4つの側壁281〜284のうちで駆動部230から最も離れている。このため、取っ手部285を把持する際に使用者が駆動部230に触れることを防止できる。
図7は、金種別ホッパ36の着脱の際に、使用者が金種別ホッパ36を把持している状態を示す図である。取っ手部285は、金種別ホッパ36の上部に設けられている。金種別ホッパ36の上部に取っ手部285を設けることで、金種別ホッパ36を着脱部38(図2)へ着脱する際に、図7に示すように使用者は取っ手部285を持ちやすくなる。特に、図2に示すように6つの金種別ホッパ36a〜36fが隣接するように装着されている場合には、取っ手部285が金種別ホッパの上部に位置することで、金種別ホッパを取り外しやすくなる。
取っ手部285は、図5に示すように、金種別ホッパ36の上部において、入金処理の際に硬貨が通過する開口216に隣接する。かかる場合には、使用者が開口216から指を入れて取っ手部285を指で把持できる(図7参照)ので、操作性が向上する。
取っ手部285は、図6に示すように、板金である金属側壁284を曲げて形成されている。具体的には、取っ手部285は、金属側壁284の長手方向一端側を略V字状に折り曲げて形成されている。かかる場合には、使用者は、指で取っ手部285を把持しやすくなる。また、折り曲げて形成することで、取っ手部285の剛性が更に高くなる。これにより、使用者によって把持される取っ手部285の変形を抑制できる。
上記では、取っ手部285が、金属側壁284の長手方向一端側を曲げて形成されていることとしたが、これに限定されない。例えば、取っ手部は、図8に示すように金属側壁384に形成された穴部であっても良い。
図8は、変形例に係る金属側壁384の構成の一例を示す模式図である。金属側壁384では、長手方向一端側に複数の穴部386が形成されている。穴部386の穴は、タンク部210に収容される硬貨の直径よりも小さい。このため、穴部386の穴から硬貨が漏れることを防止できる。ただし、穴部386の穴の径は、使用者の指が入るような大きさであることが望ましい。これにより、使用者は、穴部386の穴に指を入れて、金種別ホッパ36を把持することができる。穴部386を取っ手部にした場合には、板金を折り曲げて取っ手部にする場合に比べて、スペースの制約を受けない。
上記では、タンク部210は、長方体形状であり、4つの側壁281〜284を有することとしたが、これに限定されない。例えば、タンク部210は、四角柱形状であり、3つ又は5つの側壁を有することとしても良い。
また、上記では、タンク部210は、一つの金属側壁284を有することとしたが、これに限定されない。例えば、タンク部210は、二つの金属側壁を有し、二つの金属側壁の少なくともいずれか一方に取っ手部285を設けても良い。
また、上記では、取っ手部285がタンク部210の壁部の一つである側壁に設けられていることとしたが、これに限定されない。例えば、取っ手部285は、タンク部210の上壁に設けられても良い。
(1−3.硬貨処理装置の動作)
次に、第1の実施形態に係る硬貨の入金処理及び出金処理を行う際の硬貨処理装置1の動作例について説明する。硬貨の入金処理及び出金処理を行う際の硬貨処理装置1の動作は、制御ユニット90の制御部が、記憶部に記憶されたプログラムを実行することで、実現される。以下では、入金処理時の硬貨処理装置1の動作を説明した後に、出金処理時の硬貨処理装置1の動作を説明する。
(入金処理時の動作)
図1を参照しながら、入金処理時の硬貨処理装置1の動作の一例について説明する。なお、詳細な説明は省くが、硬貨処理装置1は、計数処理時も入金処理時と同様な動作を行う。
使用者が硬貨受領部10に硬貨Cを投入すると、投入された硬貨Cは硬貨繰り出し部12に落下する。制御ユニット90は、硬貨繰り出し部12により、落下した硬貨Cを一枚ずつ分離して硬貨認識部14に繰り出させる。次に、制御ユニット90は、硬貨認識部14により繰り出された硬貨Cの真偽、金種等を判別し、判別した硬貨Cを選別搬送路20へ搬送させる。
制御ユニット90は、硬貨認識部14により真貨で無いと判別された硬貨Cを、選別搬送路20のリジェクト口21から開口216(図3)を介してリジェクト硬貨収容部26へ落下させる。一方で、制御ユニット90は、真貨であると判別された硬貨Cを、金種別の金種別排出口22a〜22fから金種別ホッパ36a〜36fへ落下させる。これにより、金種別ホッパ36a〜36fへの硬貨の入金処理が完了する。
(出金処理時の動作)
図1を参照しながら、出金処理時の硬貨処理装置1の動作の一例について説明する。出金処理は、上述した入金処理により金種別ホッパ36a〜36fに硬貨が金種別に収容されているところから開始される。
出金処理として、まず、使用者が、表示部に表示される出金画面で、金種毎の硬貨の出金枚数を入力すると、制御ユニット90は、金種別ホッパ36a〜36fに設けられた繰り出し部により、該当する金種の硬貨を繰り出させる。繰り出された硬貨Cは、出金一時保留部42に落下して集積される。
この際、金種別ホッパ36a〜36fに設けられた異金種判別部260(図3)が、金種別ホッパ36a〜36fから実際に繰り出された硬貨の金種が本来繰り出されるべき硬貨の金種と異なるか否かを判別する。例えば、金種別ホッパ36a〜36fに係員等が誤って異金種の硬貨を入れてしまった場合に、異金種判別部260は、金種別ホッパ36a〜36fから当該硬貨の繰り出しを検出することで異金種であると判別する。
所定の出金枚数の硬貨が繰り出されて、異金種判別部260により異金種の硬貨が検出されなかった場合には、制御ユニット90は、出金一時保留部42に集積された硬貨の搬送先を、出金箱50に切り替える。そして、制御ユニット90は、出金一時保留部42の硬貨を出金箱50へ落下させて収容させる。
一方で、異金種判別部260によって、所定の出金枚数だけ繰り出された硬貨の中に異金種の硬貨が検出された場合には、制御ユニット90は、出金一時保留部42に集積された硬貨の搬送先を、リジェクト庫54に切り替える。そして、制御ユニット90は、出金一時保留部42の硬貨をリジェクト庫54へ落下させて収容させる。
ところで、出金処理の際に金種別ホッパ(ここでは、金種別ホッパ36aを例に挙げて説明する)で硬貨のジャムが発生した場合には、制御ユニット90は、硬貨の繰り出しを停止させる。その後、制御ユニット90は、表示画面等で使用者にジャムとなった硬貨の除去を促す表示を行う。
表示等を見た使用者は、着脱部38を筐体3に対して引出し方向に引き出して(図2参照)、着脱部38に装着された金種別ホッパ36aを取出し方向に取り出す。この際、前述したようにタンク部210の金属側壁284に取っ手部285が設けられているため、使用者は、取っ手部285を把持して金種別ホッパ36aの位置を調整しながら取り出すことになる。
使用者は、取り出した金種別ホッパ36aにおいてジャムとなった硬貨を除去した後に、金種別ホッパ36aを着脱部38に再度装着する。この際も、使用者は、金属側壁284に設けられた取っ手部285を把持して、金種別ホッパ36aの位置を調整しながら着脱部38に装着させることになる。
上記のように、使用者は、金属の取っ手部285を把持して金種別ホッパ36a〜36fを着脱部38に対して位置を微調整しながら着脱できるので、金種別ホッパ36a〜36fの着脱性を向上させることが可能となる。
なお、上記では、出金処理において硬貨のジャムが発生した際に金種別ホッパ36a〜36fを着脱させることとしたが、これに限定されない。例えば、着脱部38に装着された金種別ホッパを交換する際にも、使用者は、取っ手部285を把持して金種別ホッパを着脱部38に対して着脱する。
<2.第2の実施形態>
図9及び図10を参照しながら、第2の実施形態に係る金種別ホッパ36の構成について説明する。
図9は、第2の実施形態に係る金種別ホッパ36の構成の一例を示す斜視図である。図10は、図9の部分Bを拡大した図である。
図9及び図10に示すように、第2の実施形態に係る金種別ホッパ36も、第1の実施形態と同様に、タンク部210の金属側壁284に取っ手部285が設けられている。これにより、金種別ホッパ36の形状が複雑であっても、取っ手部285で金種別ホッパ36を把持できるので、金種別ホッパ36の着脱部38に対する着脱性を向上させることが可能となる。
第2の実施形態において、金属側壁284には、図9及び図10に示すように、金種別ホッパ36が装着された着脱部38の挿入方向(図2参照)において樹脂側壁281~283よりも突出するように形成された突出部286が設けられている。この突出部286は、樹脂側壁283の面よりも挿入方向側に突出した形状となっている。かかる場合には、金種別ホッパ36が着脱部38に適切に装着されていない状態で着脱部38を挿入方向に移動させた際に、突出部286が筐体3に接触することになる。突出部286以外の金種別ホッパ36の構成は、第1の実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
図11は、金種別ホッパ36dが着脱部38から飛び出た状態で、着脱部38を筐体3へ挿入した際の状態を示す図である。ここでは、6つの金種別ホッパ36a〜36fのうち金種別ホッパ36dが着脱部38が飛び出ているものとする。かかる状態で着脱部38を筐体3に対して挿入方向へ挿入する際に、金種別ホッパ36dの樹脂壁部283よりも挿入方向側に突出している突出部286が筐体3に接触する。これにより、樹脂側壁283が筐体3に衝突して損傷することを防止できる。なお、突出部286は金属であるので、筐体3に衝突しても損傷する恐れが無い。
突出部286は、図9及び図10に示すように、取っ手部285から挿入方向に延出するように形成されている。かかる場合には、取っ手部285と突出部286を一緒に形成できるので、金種別ホッパ36を製造しやすくなる。また、突出部286の突出量は、隣接する他の金種別ホッパ36に接触しない程度に設定することが望ましい。これにより、限られたスペースの中で、樹脂側壁283が筐体3に衝突して損傷することを防止できる。
<3.第3の実施形態>
図12及び図13を参照しながら、第3の実施形態に係る金種別ホッパ36の構成について説明する。
図12は、第3の実施形態に係る金種別ホッパ36の構成の一例を示す図である。図13は、図12のC−C断面図である。
図12及び図13に示すように、第3の実施形態に係る金種別ホッパ36の金属側壁284のタンク部210の収容空間211に臨む面284aには、凸部287が形成されている。第3の実施形態において、凸部287以外の金種別ホッパ36の構成は、第2の実施形態と同様である。以下では、凸部287の構成を中心に説明する。
凸部287は、図13に示すように、金属側壁284の収容空間211に臨む面284aから突出するように形成されている。凸部287は、面284aに複数設けられており、隣接する凸部287の間に隙間はほとんど無い。また、凸部287は、ここでは6角形の形状を成しているが、これに限定されず、4角形等の多角形であっても良い。これにより、多数の凸部287を隣接させながら形成することができる。
金属側壁284の収容空間211に臨む面284aが全面平らである場合には、金処理の際に金種別排出口22a〜22fから落下した硬貨が、面284aに張り付きやすい。特に、硬貨が濡れている場合には、面284aに張り付きやすい。かかる場合には、出金処理の際に硬貨が繰り出されない恐れがある。
これに対して、第3の実施形態のように凸部287を設けることで、硬貨が面284aに接触する接触面積を小さくできるので、硬貨が面284aに張り付くことを防止できる。この結果、出金処理の際に硬貨が適切に繰り出される。
なお、樹脂側壁281〜283も、硬貨の接触面積を小さくするような表面形状(例えば、凸)を有しても良い。かかる場合には、タンク部210の側壁に硬貨が張り付くことを有効に防止できる。
<4.まとめ>
上述した硬貨処理装置1の金種別ホッパ36において、図5に示すように、硬貨を収容する収容空間211を囲む複数の壁部は、樹脂で形成された樹脂側壁281〜283と、金属で形成された金属側壁284とで構成されている。そして、金属側壁284には、取っ手部285が設けられている。
かかる場合には、使用者は、金属の取っ手部285で金種別ホッパ36を把持することで、金種別ホッパ36の着脱の際に着脱部38に対する金種別ホッパ36の位置を調整しやすい。このため、金種別ホッパ36の着脱部38に対する着脱性を向上させることが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。