JP6179104B2 - 振動素子、振動子、発振器、電子機器および移動体 - Google Patents
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特許文献1には、薄肉の振動部と、振動部の全周に設けられた厚肉部とを有する逆メサ構造のATカット水晶振動素子が開示されている。特許文献2のATカット水晶振動素子は、振動部の両面に設けられた一対の励振電極と各励振電極から延出する一対の引出電極とを有している。振動素子の平面視にて、一対の励振電極は、互いに大きさが異なり、大きい方の励振電極が小さい方の励振電極を内包している。そのため、特許文献2のATカット水晶振動素子は、小さい方の励振電極から延出している引出電極と大きい方の励振電極とが重なる領域を有しており、かつ、この領域の面積が大きい。この領域は、一対の励振電極で挟まれている振動領域とは別の振動領域として機能し、共振周波数近傍の不要なスプリアスを発生させる原因になっている。
[適用例1]
本発明の振動素子は、厚み滑り振動する振動部を含む第1領域、および前記第1領域よりも厚みが厚い第2領域を含む基板と、
前記振動部の一方の主面に設けられ、前記厚み滑り振動の振動方向に沿っている第1電極外縁および第2電極外縁を含んでいる第1励振電極と、
前記振動部の他方の主面に設けられ、前記振動方向に沿っている第3電極外縁および第4電極外縁を含み、かつ、平面視で前記第1励振電極と重なるように配置されている第2励振電極と、
前記第1励振電極の前記第1電極外縁側から延出して前記第2領域の一方の主面まで引き出されている引出電極と、を含み、
平面視で、前記第1励振電極は、前記第2励振電極の範囲内に配置されており、
平面視で、前記第3電極外縁、前記第1電極外縁、前記第2電極外縁、および前記第4電極外縁はこの順番で並んでおり、かつ、前記第3電極外縁と前記第1電極外縁との距離は、前記第2電極外縁と前記第4電極外縁との距離よりも小さく、
前記基板の平面視にて、前記第1励振電極の面積をS1とし、前記第2励振電極と前記引出電極とが重なる部分の面積をS2としたとき、S2/S1≦0.1なる関係を満足することを特徴とする。
これにより、共振周波数近傍の不要なスプリアスの発生を低減することのできる振動素子が得られる。
本発明の振動素子では、前記重なる部分の前記引出電極の延在している方向に沿った長さは、20μm以下であるのが好ましい。
これにより、引出電極の抵抗を低減することができる。
本発明の振動素子では、前記基板の厚みをt(mm)、前記第1励振電極の前記振動部の振動方向に沿った長さをa(mm)としたとき、
−1049t+57≦a/t≦−64.4t+57なる関係を満足するのが好ましい。
これにより、安定した振動特性が得られる。
[適用例4]
本発明の振動素子では、前記基板の厚みをt(mm)、前記第1励振電極の前記振動方向に直交する方向に沿った長さをb(mm)としたとき、
−823t+42≦b/t≦−120t+42なる関係を満足するのが好ましい。
これにより、安定した振動特性が得られる。
本発明の振動素子では、前記第1領域は、前記振動方向に離間し、前記振動方向と交差する第1外縁および第2外縁と、前記振動方向に直交する方向に離間し、前記振動方向に沿った第3外縁および第4外縁と、を含み、
前記第2領域は、前記第1外縁に沿って設けられ、対象物に固定される固定部が設けられている第1厚肉部と、前記第3外縁に沿って設けられ、かつ、前記第1厚肉部と接続されている第2厚肉部と、を含むのが好ましい。
これにより、振動素子の剛性を高めることができ、振動特性の変化、不要スプリアスの発生を抑制することができる。
[適用例6]
本発明の振動素子では、前記第2外縁および前記第4外縁は、それぞれ、前記第2領域から露出しているのが好ましい。
これにより、振動素子の小型化を図ることができる。
本発明の振動素子では、前記基板は、水晶の結晶軸である、電気軸としてのX軸、機械軸としてのY軸、及び光学軸としてのZ軸のうち、前記X軸を回転軸として、前記Z軸を前記Y軸の−Y方向へ+Z側が回転するように傾けた軸をZ’軸、前記Y軸を前記Z軸の+Z方向へ+Y側が回転するように傾けた軸をY’軸とし、前記X軸及び前記Z’軸を含む面を主面とし、前記Y’軸に沿った方向を厚みとする水晶板であるのが好ましい。
これにより、優れた温度特性を有する振動素子となる。
本発明の振動子は、本発明の振動素子と、
前記振動素子を収容するパッケージと、を有することを特徴とする。
これにより、信頼性の高い振動子が得られる。
[適用例9]
本発明の発振器は、本発明の振動素子と、
前記振動素子を駆動する発振回路と、を備えていることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い発振器が得られる。
本発明の電子機器は、本発明の振動素子を備えていることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器が得られる。
[適用例11]
本発明の移動体は、本発明の振動素子を備えていることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い移動体が得られる。
1.振動素子
まず、本発明の振動素子について説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態にかかる振動素子の斜視図、図2は、図1に示す振動素子の平面図、図3は、ATカット水晶基板と水晶の結晶軸との関係を説明する図、図4は、図1に示す振動素子を対象物に固定した状態を示す側面図、図5および図6は、それぞれ、振動部の厚みと励振電極のサイズとの関係を示すグラフ、図7は、図1に示す振動素子の変形例を示す斜視図である。
図1および図2に示すように、振動素子1は、圧電基板(基板)2と、圧電基板2上に形成された電極3とを有している。
圧電基板2は、板状の水晶基板である。ここで、圧電基板2の材料である水晶は、三方晶系に属しており、図3に示すように互いに直交する結晶軸X、Y、Zを有している。X軸、Y軸、Z軸は、それぞれ、電気軸、機械軸、光学軸と呼称される。本実施形態の圧電基板2は、XZ面をX軸の回りに所定の角度θ回転させた平面に沿って切り出された「回転Yカット水晶基板」であり、たとえば(θ=35°15’)だけ回転させた平面に沿って切り出された場合の基板は、ATカット水晶基板という。このような水晶基板を用いることにより優れた温度特性を有する振動素子1となる。
なお、以下では、角度θに対応してX軸まわりに回転したY軸およびZ軸を、Y’軸およびZ’軸とする。すなわち、圧電基板2は、Y’軸方向に厚みを有し、XZ’面方向に広がりを有する。
厚肉部22は、第1外縁211に沿って配置された第1厚肉部23と、第3外縁213に沿って配置され、第1厚肉部23と接続されている第2厚肉部24とを有している。そのため、厚肉部22は、振動部21に沿った略L字状をなしている。一方、振動部21の第2外縁212および第4外縁214に沿っては、厚肉部22が形成されておらず、これら第2、第4外縁212、214は、厚肉部22から露出している。このように、厚肉部22を略L字とし、第2外縁212および第4外縁214に沿って設けないことによって、振動素子1(振動部21)の剛性を保ちつつ、振動素子1の小型化を図ることができる。
電極3は、一対の励振電極31、32と、一対のパッド電極33、34と、一対の引出電極35、36とを有している。励振電極(第1励振電極)31は、振動領域219の表面に形成されている。一方、励振電極(第2励振電極)32は、振動領域219の裏面に、励振電極31と対向して配置されている。励振電極31、32は、それぞれ、X軸方向を長手とし、Z’軸方向を短手とする略矩形である。
パッド電極33は、厚肉部本体232の表面のマウント部29に形成されている。一方、パッド電極34は、厚肉部本体232の裏面に、パッド電極33と対向して形成されている。
このような電極3は、例えば、Cr(クロム)、Ni(ニッケル)等の下地層に、Au(金)やAuを主成分とする合金を積層した金属被膜で構成することができる。
振動素子1では、S2/S1≦0.1なる関係を満足していれば、特に限定されないが、S2/S1≦0.07なる関係を満足するのがより好ましく、S2/S1≦0.05なる関係を満足するのがさらに好ましい。これにより、上記をより顕著に発揮することができる。
以上、振動素子1について説明した。本実施形態の振動素子1では、圧電基板2の+Y’軸側に凹陥部を形成することによって振動部21を形成し、さらに、厚肉部22が振動部21に対して+X軸側に位置する第1厚肉部23と、+Z’軸側に位置する第2厚肉部24とにより構成されているが、振動素子1としては、これをひっくり返したような構成であってもよい。すなわち、図7に示すように、圧電基板2の−Y’軸側に凹陥部を形成することによって振動部21を形成し、さらに、厚肉部22が振動部21に対して+X軸側に位置する第1厚肉部23と、−Z’軸側に位置する第2厚肉部24とにより構成されていてもよい。このような構成によっても、本実施形態と同様の効果(特に傾斜部231、241の幅を狭くすることができる効果)を発揮することができる。
次に、本発明の振動素子の第2実施形態について説明する。
図8は、本発明の第2実施形態にかかる振動素子の平面図である。
以下、第2実施形態の振動素子について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第2実施形態にかかる振動素子は、厚肉部の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
このような第2実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
次に、本発明の振動素子の第3実施形態について説明する。
図9は、本発明の第3実施形態にかかる振動素子の平面図である。
以下、第3実施形態の振動素子について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第3実施形態にかかる振動素子は、厚肉部の構成が異なる以外は、前述した第2実施形態と同様である。なお、前述した第2実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
このような第3実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
次に、本発明の振動素子の第4実施形態について説明する。
図10は、本発明の第4実施形態にかかる振動素子の平面図である。
以下、第4実施形態の振動素子について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第4実施形態にかかる振動素子は、厚肉部の構成が異なる以外は、前述した第3実施形態と同様である。なお、前述した第3実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
このような第4実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
次に、本発明の振動素子の第5実施形態について説明する。
図11は、本発明の第5実施形態にかかる振動素子の斜視図である。
以下、第5実施形態の振動素子について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第5実施形態にかかる振動素子は、振動部の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
このような第5実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
次に、前述した振動素子1を適用した振動子(本発明の振動子)について説明する。
図12は、本発明の振動子の好適な実施形態を示す断面図である。
図12に示す振動子10は、前述した振動素子1と、振動素子1を収容するパッケージ4とを有している。
パッケージ4は、上面に開放する凹部411を有する箱状のベース41と、凹部411の開口を塞いでベース41に接合された板状のリッド42とを有している。そして、凹部411がリッド42によって塞がれることにより形成された収納空間Sに振動素子1が収納されている。収納空間Sは、減圧(真空)状態となっていてもよいし、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが封入されていてもよい。
接続電極451、461、外部実装端子452、462の構成としては、それぞれ、導電性を有していれば、特に限定されないが、例えば、Cr(クロム)、W(タングステン)などのメタライズ層(下地層)に、Ni(ニッケル)、Au(金)、Ag(銀)、Cu(銅)などの各被膜を積層した金属被膜で構成することができる。
導電性接着剤51としては、導電性および接着性を有していれば特に限定されず、例えば、シリコーン系、エポキシ系、アクリル系、ポリイミド系、ビスマレイミド系等の接着剤に導電性フィラーを分散させたものを用いることができる。
次に、本発明の振動子を適用した発振器(本発明の発振器)について説明する。
図13は、本発明の発振器の好適な実施形態を示す断面図である。
図13に示す発振器100は、振動子10と、振動素子1を駆動するためのICチップ110とを有している。以下、発振器100について、前述した振動子との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
次に、本発明の振動子を適用した電子機器(本発明の電子機器)について説明する。
図14は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。この図において、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部2000を備えた表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。このようなパーソナルコンピューター1100には、フィルター、共振器、基準クロック等として機能する振動子10(振動素子1)が内蔵されている。
次に、本発明の振動子を適用した移動体(本発明の移動体)について説明する。
図17は、本発明の移動体の一例としての自動車を概略的に示す斜視図である。自動車1500には、振動子10(振動素子1)が搭載されている。振動子10は、キーレスエントリー、イモビライザー、カーナビゲーションシステム、カーエアコン、アンチロックブレーキシステム(ABS)、エアバック、タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)、エンジンコントロール、ハイブリッド自動車や電気自動車の電池モニター、車体姿勢制御システム、等の電子制御ユニット(ECU:electronic control unit)に広く適用できる。
Claims (11)
- 厚み滑り振動する振動部を含む第1領域、および前記第1領域よりも厚みが厚い第2領域を含む基板と、
前記振動部の一方の主面に設けられ、前記厚み滑り振動の振動方向に沿っている第1電極外縁および第2電極外縁を含んでいる第1励振電極と、
前記振動部の他方の主面に設けられ、前記振動方向に沿っている第3電極外縁および第4電極外縁を含み、かつ、平面視で前記第1励振電極と重なるように配置されている第2励振電極と、
前記第1励振電極の前記第1電極外縁側から延出して前記第2領域の一方の主面まで引き出されている引出電極と、を含み、
平面視で、前記第1励振電極は、前記第2励振電極の範囲内に配置されており、
平面視で、前記第3電極外縁、前記第1電極外縁、前記第2電極外縁、および前記第4電極外縁はこの順番で並んでおり、かつ、前記第3電極外縁と前記第1電極外縁との距離は、前記第2電極外縁と前記第4電極外縁との距離よりも小さく、
前記基板の平面視にて、前記第1励振電極の面積をS1とし、前記第2励振電極と前記引出電極とが重なる部分の面積をS2としたとき、S2/S1≦0.1なる関係を満足することを特徴とする振動素子。 - 前記重なる部分の前記引出電極の延在している方向に沿った長さは、20μm以下である請求項1に記載の振動素子。
- 前記基板の厚みをt(mm)、前記第1励振電極の前記振動部の振動方向に沿った長さをa(mm)としたとき、
−1049t+57≦a/t≦−64.4t+57なる関係を満足する請求項1または2に記載の振動素子。 - 前記基板の厚みをt(mm)、前記第1励振電極の前記振動方向に直交する方向に沿った長さをb(mm)としたとき、
−823t+42≦b/t≦−120t+42なる関係を満足する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の振動素子。 - 前記第1領域は、前記振動方向に離間し、前記振動方向と交差する第1外縁および第2外縁と、前記振動方向に直交する方向に離間し、前記振動方向に沿った第3外縁および第4外縁と、を含み、
前記第2領域は、前記第1外縁に沿って設けられ、対象物に固定される固定部が設けられている第1厚肉部と、前記第3外縁に沿って設けられ、かつ、前記第1厚肉部と接続されている第2厚肉部と、を含む請求項1ないし4のいずれか1項に記載の振動素子。 - 前記第2外縁および前記第4外縁は、それぞれ、前記第2領域から露出している請求項5に記載の振動素子。
- 前記基板は、水晶の結晶軸である、電気軸としてのX軸、機械軸としてのY軸、及び光学軸としてのZ軸のうち、前記X軸を回転軸として、前記Z軸を前記Y軸の−Y方向へ+Z側が回転するように傾けた軸をZ’軸、前記Y軸を前記Z軸の+Z方向へ+Y側が回転するように傾けた軸をY’軸とし、前記X軸及び前記Z’軸を含む面を主面とし、前記Y’軸に沿った方向を厚みとする水晶板である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の振動素子。
- 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の振動素子と、
前記振動素子を収容するパッケージと、を有することを特徴とする振動子。 - 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の振動素子と、
前記振動素子を駆動する発振回路と、を備えていることを特徴とする発振器。 - 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の振動素子を備えていることを特徴とする電子機器。
- 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の振動素子を備えていることを特徴とする移動体。
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