JP6179131B2 - 振動素子、振動子、発振器、電子機器および移動体 - Google Patents
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Description
このようなATカット水晶振動素子として、特許文献1には、矩形状で薄肉の振動部において、三辺に各々厚肉の厚肉部が連設され、前記薄肉の振動部の一辺が厚肉部から開放した構造を有する逆メサ構造のATカット水晶振動素子が開示されている。このような構成とすることによって、振動領域を広く確保しつつ、小型化を図ることができる。しかしながら、特許文献1のATカット水晶振動素子では、振動部の一部が厚肉部から開放しているために、振動部の応力分布が不均一となり、振動(特に、厚さ方向の加速度)が加わると、振動部が不均一に変形してしまう。振動部が不均一に変形すると振動特性が変化し、所望の発振特性が得られなくなる。このように、特許文献1のATカット水晶振動素子では、振動等の外力の影響によって振動特性が大きく変化し、安定した振動特性が得られないという問題がある。
[適用例1]
本適用例の振動素子は、励振電極と、
前記励振電極が配置された振動領域を含む振動部と、
前記振動部と連続しており、前記振動部よりも厚さが厚い第1の厚肉部と、
前記振動部と連続しており、前記振動部よりも厚さが厚く、前記第1の厚肉部との間に前記振動部を挟んで配置されている第2の厚肉部と、
平面視で前記第1の厚肉部、前記振動部、および前記第2の厚肉部が並んでいる方向を第1方向とし、前記第1方向と交差する方向を第2方向とした場合、前記振動部の前記第2方向における一方側に配置され、前記第1の厚肉部、前記振動部、および前記第2の厚肉部と連続しており、前記振動部よりも厚さが厚い第3の厚肉部と、
前記第1の厚肉部と前記第2の厚肉部との間であって、且つ前記励振電極より前記第2方向における他方側に配置され、前記振動部と連続しており、前記振動部よりも厚さが厚く、且つ前記第1の厚肉部、前記第2の厚肉部、および前記第3の厚肉部よりも厚さが薄い梁部と、
を含むことを特徴とする。
これにより、振動部の応力分布の不均一性を抑えることができ、振動等の外力による振動特性の変化を低減し、安定した振動特性を発揮することのできる振動素子を提供することができる。
本適用例の振動素子では、前記振動部の輪郭は、
前記第1方向において前記励振電極を挟んで配置されている第1の辺および第2の辺と、
前記第1の辺の前記第2方向における前記一方側の端と、前記第2の辺の前記第2方向における前記一方側の端と、を接続している第3の辺と、
を含み、
前記第1の厚肉部は、前記第1の辺に沿って配置され、
前記第2の厚肉部は、前記第2の辺に沿って配置され、
前記第3の厚肉部は、前記第3の辺に沿って配置されていることが好ましい。
これにより、効果的に、振動部に振動素子の振動エネルギーを閉じ込めることができる。
本適用例の振動素子では、前記振動素子の外形は、矩形であり、
前記外形のうち、前記励振電極の前記第2方向における前記他方側に位置する辺を外形辺とした場合、前記梁部は、前記第1の厚肉部と前記第2の厚肉部との間において、前記外形辺に沿って配置されていることが好ましい。
[適用例4]
本適用例の振動素子では、前記第1の厚肉部と前記梁部との間、および前記第2の厚肉部と前記梁部との間に、前記振動部よりも厚さが厚く、且つ前記第1の厚肉部、前記第2の厚肉部、および前記第3の厚肉部よりも厚さが薄い他の梁部が配置されていることが好ましい。
本適用例の振動素子では、前記梁部の厚さは、前記振動部の厚さの1.2倍以上であることが好ましい。
これにより、より効果的に、振動等の外力による振動特性の変化を低減することができる。
[適用例6]
本適用例の振動素子では、前記梁部は、平面視で、前記第1方向における長さが、前記振動部の厚さの3倍以上、10倍以下であることが好ましい。
これにより、より効果的に、振動等の外力による振動特性の変化を低減することができる。
本適用例の振動素子では、前記梁部は、前記第2方向における一端が前記第1の厚肉部と接続され、前記第2方向における他端が前記第2の厚肉部と接続されていることが好ましい。
これにより、より効果的に、振動等の外力による振動特性の変化を低減し、安定した振動特性を発揮することができる。
[適用例8]
本適用例の振動素子では、前記励振電極は、前記振動部を厚さ方向に挟んで配置されている第1励振電極および第2励振電極を含み、
平面視で、前記第1励振電極は、前記第2励振電極の外縁以内に配置されていることが好ましい。
本適用例の振動子は、上記適用例の振動素子と、
前記振動素子を収容するパッケージと、を備えていることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い振動子が得られる。
[適用例10]
本適用例の発振器は、上記適用例の振動素子と、
前記振動素子を駆動する発振回路と、を備えていることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い発振器が得られる。
本適用例の電子機器は、上記適用例の振動素子を備えていることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器が得られる。
[適用例12]
本適用例の移動体は、上記適用例の振動素子を備えていることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い移動体が得られる。
1.振動素子
まず、本発明の振動素子について説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態にかかる振動素子の平面図、図2は、図1中のA−A線断面図、図3は、ATカット水晶基板と結晶軸との関係を説明する図、図4は、梁部の高さが異なる2つの振動素子を示す断面図である。
図1および図2に示すように、振動素子1は、圧電基板2と、圧電基板2上に形成された電極3とを有している。
圧電基板2は、板状の水晶基板である。ここで、圧電基板2の材料である水晶は、三方晶系に属しており、図3に示すように互いに直交する結晶軸X、Y、Zを有している。X軸、Y軸、Z軸は、それぞれ、電気軸、機械軸、光学軸と呼称される。本実施形態の圧電基板2は、XZ面をX軸を中心に所定の角度θだけ回転させた平面に沿って切り出された「回転Yカット水晶基板」からなる。例えば、ATカット水晶基板の場合は、角度θは略35°15’である。
圧電基板2は、平面視にて矩形をなしている。より具体的には、圧電基板2は、平面視にて、X軸方向を長辺とし、Z’軸方向を短辺とする略長方形をなしている。ここで、圧電基板2のX軸方向の両端に圧力を加えたときの周波数変化と、Z’軸方向の両端に同じ圧力を加えたときの周波数変化とを比較すると、Z’軸方向の両端に圧力を加えたときの方がX軸方向の両端に圧力を加えたときよりも周波数変化が小さい。そのため、本実施形態のように、圧電基板2の外形をZ’軸方向よりもX軸方向が長い矩形とし、X軸方向の一端部にて圧電基板2を固定することにより、応力による周波数変化を小さくすることができる。圧電基板2の長さ(X軸方向の長さ)と幅(Z’軸方向の長さ)の比としては、特に限定されないが、例えば、1.26:1程度とすることが好ましい。なお、圧電基板2の外形形状は、長方形に限定されず、例えば、正方形、五角形以上の多角形、円形(真円、長円、楕円等を含む)であってもよい。また、平面視形状が多角形の場合には、角部が面取り等されていてもよい。
厚肉部22は、振動部21の第1の辺211に沿って配置された第1の厚肉部221と、第2の辺212に沿って配置された第2の厚肉部222と、第3の辺213に沿って配置された第3の厚肉部223とを有している。すなわち、厚肉部22は、振動部21の3辺に沿って一体化された略「コ」字状をなしている。そのため、振動部21は、第4の辺214にて厚肉部22から開放(露出)している。このように、振動部21を第4の辺214にて厚肉部22から開放させることにより、言い換えれば、第4の辺214に沿って厚肉部を設けないことにより、振動素子1の小型化を図ることができる。また、振動部21の3辺を厚肉部22で囲むことによって、振動部21の剛性を高めることができ、振動部21の不要振動(不要振動モードの発生)を低減することができる。すなわち、効率的に振動部21に振動エネルギーを閉じ込めることができる。
また、梁部23の幅(表面でのZ’軸方向の長さ)をWとしたとき、Wは、3D2≦W≦10D2なる関係を満足するのが好ましく、5D2≦W≦7D2なる関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することによって、振動素子1の過度な大型化を防止しつつ、振動部21の第4の辺214側の剛性を十分に高めることができる。
電極3は、一対の励振電極31、32と、一対のパッド電極33、34と、一対のリード電極35、36とを有している。
励振電極31は、振動領域219の表面に形成されている。励振電極32は、振動領域219の裏面に、励振電極31と対向して配置されている。励振電極31、32は、それぞれ、四角形状をなしている。また、裏面側の励振電極32の面積は、表面側の励振電極31よりも大きく設定されている。これは、励振電極31、32の質量効果によるエネルギー閉じ込め係数を必要以上に大きくしないためである。
次に、本発明の振動素子の第2実施形態について説明する。
図5は、本発明の第2実施形態にかかる振動素子の平面図である。
以下、第2実施形態の振動素子について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第2実施形態にかかる振動素子は、梁部が複数に分割されている以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
このような第2実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
次に、本発明の振動素子の第3実施形態について説明する。
図6は、本発明の第3実施形態にかかる振動素子の平面図である。
以下、第3実施形態の振動素子について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第3実施形態にかかる振動素子は、梁部の形状が異なっている以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
このような第3実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
次に、本発明の振動素子の第4実施形態について説明する。
図7は、本発明の第4実施形態にかかる振動素子の平面図である。
以下、第4実施形態の振動素子について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第4実施形態にかかる振動素子は、梁部の形状が異なっている以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
このような第4実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
次に、本発明の振動素子の第5実施形態について説明する。
図8は、本発明の第5実施形態にかかる振動素子の平面図である。
以下、第5実施形態の振動素子について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第5実施形態にかかる振動素子は、第3の辺の形状が異なっている以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
このような第5実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
次に、前述した振動素子1を適用した振動子(本発明の振動子)について説明する。
図9は、本発明の振動子の好適な実施形態を示す平面図、図10は、図9中のB−B線断面図である。
図9および図10に示す振動子10は、前述した振動素子1と、振動素子1を収容するパッケージ4とを有している。
パッケージ4は、上面に開放する凹部411を有する箱状のベース41と、凹部411の開口を塞いでベース41に接合された板状のリッド42とを有している。そして、凹部411がリッド42によって塞がれることにより形成された収納空間Sに振動素子1が収納されている。収納空間Sは、減圧(真空)状態となっていてもよいし、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが封入されていてもよい。
接続電極451、461、外部実装端子452、462の構成としては、それぞれ、導電性を有していれば、特に限定されないが、例えば、Cr(クロム)、W(タングステン)などのメタライズ層(下地層)に、Ni(ニッケル)、Au(金)、Ag(銀)、Cu(銅)などの各被膜を積層した金属被膜で構成することができる。
振動素子1のパッド電極34は、ボンディングワイヤー52を介して接続電極461に電気的に接続されている。前述したように、パッド電極34は、パッド電極33と対向して配置されているため、振動素子1がベース41に固定されている状態では、導電性接着剤51の直上に位置している。そのため、ワイヤーボンディング時にパッド電極34に与える振動(超音波振動)の漏れを低減することができ、パッド電極34へのボンディングワイヤー52の接続をより確実に行うことができる。
次に、本発明の振動子を適用した発振器(本発明の発振器)について説明する。
図11は、本発明の発振器の好適な実施形態を示す断面図である。
図11に示す発振器100は、振動子10と、振動素子1を駆動するためのICチップ110とを有している。以下、発振器100について、前述した振動子との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
なお、本実施形態では、発振器を実施例として説明したが、これに限定されず、ICチップ110の代わりに、サーミスターなどの温度センサー(感温素子)をベース41の凹部411に搭載し、振動子10が曝されているベース内の温度を検出して、ベースに設けられている実装端子から外部へ検出した温度を電気信号で出力してもよい。
次に、本発明の振動子を適用した電子機器(本発明の電子機器)について説明する。
図12は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。この図において、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部2000を備えた表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。このようなパーソナルコンピューター1100には、フィルター、共振器、基準クロック等として機能する振動子10(振動素子1)が内蔵されている。
次に、本発明の振動子を適用した移動体(本発明の移動体)について説明する。
図15は、本発明の移動体の一例としての自動車を概略的に示す斜視図である。自動車1500には、振動子10(振動素子1)が搭載されている。振動子10は、キーレスエントリー、イモビライザー、カーナビゲーションシステム、カーエアコン、アンチロックブレーキシステム(ABS)、エアバック、タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)、エンジンコントロール、ハイブリッド自動車や電気自動車の電池モニター、車体姿勢制御システム、等の電子制御ユニット(ECU:electronic control unit)に広く適用できる。
また、前述した実施形態では、圧電基板として水晶基板を用いているが、これに替えて、例えば、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム等の各種圧電基板を用いてもよい。
Claims (12)
- 励振電極と、
前記励振電極が配置された振動領域を含む振動部と、
前記振動部と連続しており、前記振動部よりも厚さが厚い第1の厚肉部と、
前記振動部と連続しており、前記振動部よりも厚さが厚く、前記第1の厚肉部との間に前記振動部を挟んで配置されている第2の厚肉部と、
平面視で前記第1の厚肉部、前記振動部、および前記第2の厚肉部が並んでいる方向を第1方向とし、前記第1方向と交差する方向を第2方向とした場合、前記振動部の前記第2方向における一方側に配置され、前記第1の厚肉部、前記振動部、および前記第2の厚肉部と連続しており、前記振動部よりも厚さが厚い第3の厚肉部と、
前記第1の厚肉部と前記第2の厚肉部との間であって、且つ前記励振電極より前記第2方向における他方側に配置され、前記振動部と連続しており、前記振動部よりも厚さが厚く、且つ前記第1の厚肉部、前記第2の厚肉部、および前記第3の厚肉部よりも厚さが薄い梁部と、
を含むことを特徴とする振動素子。 - 前記振動部の輪郭は、
前記第1方向において前記励振電極を挟んで配置されている第1の辺および第2の辺と、
前記第1の辺の前記第2方向における前記一方側の端と、前記第2の辺の前記第2方向における前記一方側の端と、を接続している第3の辺と、
を含み、
前記第1の厚肉部は、前記第1の辺に沿って配置され、
前記第2の厚肉部は、前記第2の辺に沿って配置され、
前記第3の厚肉部は、前記第3の辺に沿って配置されている請求項1に記載の振動素子。 - 前記振動素子の外形は、矩形であり、
前記外形のうち、前記励振電極の前記第2方向における前記他方側に位置する辺を外形辺とした場合、前記梁部は、前記第1の厚肉部と前記第2の厚肉部との間において、前記外形辺に沿って配置されている請求項2に記載の振動素子。 - 前記第1の厚肉部と前記梁部との間、および前記第2の厚肉部と前記梁部との間に、前記振動部よりも厚さが厚く、且つ前記第1の厚肉部、前記第2の厚肉部、および前記第3の厚肉部よりも厚さが薄い他の梁部が配置されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の振動素子。
- 前記梁部の厚さは、前記振動部の厚さの1.2倍以上である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の振動素子。
- 前記梁部は、平面視で、前記第1方向における長さが、前記振動部の厚さの3倍以上、10倍以下である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の振動素子。
- 前記梁部は、前記第2方向における一端が前記第1の厚肉部と接続され、前記第2方向における他端が前記第2の厚肉部と接続されている請求項1ないし6のいずれか1項に記載の振動素子。
- 前記励振電極は、前記振動部を厚さ方向に挟んで配置されている第1励振電極および第2励振電極を含み、
平面視で、前記第1励振電極は、前記第2励振電極の外縁以内に配置されている請求項1ないし7のいずれか1項に記載の振動素子。 - 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の振動素子と、
前記振動素子を収容するパッケージと、を備えていることを特徴とする振動子。 - 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の振動素子と、
前記振動素子を駆動する発振回路と、を備えていることを特徴とする発振器。 - 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の振動素子を備えていることを特徴とする電子機器。
- 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の振動素子を備えていることを特徴とする移動体。
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