以下、本発明を添付図面に基づいて説明する。
本発明の第一実施形態の幅木1は、図1(a)に示すように、幅木本体2とカバー体3とを備える。幅木1は、図1(b)に示すように、建物の壁10と床11とでなされる角部分に取り付けられる。詳しくは、幅木本体2が壁10に取り付けられ、カバー体3が幅木本体2の下端部と床11との隙間S1を塞ぐ。以下では、図1(b)に示す取付状態を基準として、壁10に対して幅木1が位置する側を前方とし、その反対側を後方とし、この前後方向に対して直交する水平方向を左右方向として、各構成について説明する。
壁10は、例えば石膏ボードである。壁10の後方には、ベニヤ板等の下地材12が配されている。壁10の前方には、床11が配されており、本実施形態では、壁10と床11との間に隙間S2が介在している。この隙間S2は、例えば、床材後貼り工法によって壁10を設置した後に床11を設置する場合に生じたり、壁10や床11の乾燥収縮の激しい寒冷地等で生じるものである。
幅木本体2は、半硬質合成樹脂にて押出成形された帯状のものである。幅木本体2は、左右方向を長手方向とする。幅木本体2は、図1(c)に示すように、ロール状に湾曲変形自在である。詳しくは、幅木本体2は、厚さが5mm以下であり、曲げ弾性率が1400MPa以上、1600MPa以下である。このように幅木本体2は、厚みが5mm以下の薄厚であるため、壁10に取り付けた状態で、壁10からの出代が少なくデザイン性に優れるものとなっている。幅木本体2の材質としては、ポリプロピレン、ABS(acrylonitrile butadiene styrene)、EVA(Ethylence-Vinyl Acetate)、塩化ビニル等が用いられる。
幅木本体2の前面(表面)の上部には、図1(a)に示すように、幅木本体2の長手方向に沿って形成される凹溝20を有する。凹溝20は、幅木本体2の長手方向に亘って形成されている。凹溝20は、幅木本体2を壁10に固定する固定具4の打ち込み用の溝である。固定具4としては、頭部と軸部が同径のピンネイルが好ましい。なお、固定具4は、ピンネイル以外でもよく、頭部が軸部よりも大径の釘であってもよい。凹溝20は、溝深さが1mm以下、開口幅が2mm以下に設定されており、前側から見たときに溝内側が目立ちにくくなっている。
凹溝20の上側の溝側面は、溝奥側に行く程下方に位置するように傾斜したガイド面201となっている。凹溝20の下側の溝側面は、溝奥側に行く程上方に位置するように傾斜したガイド面202となっている。凹溝20の底部を構成する奥面203は、幅木本体2の厚み方向と直交し、幅木本体2の前面(表面)と平行である。これにより凹溝20の内側には、溝奥側(後側)程溝幅が小さくなる断面台形状の空間が形成されている。
幅木本体2の後面(裏面)の下部には、後方に開口する凹部21が形成されている。凹部21は、壁10のコーナー部分に取り付けられる接続具(非図示)が有する突片が収められる溝である。凹部21は、幅木本体2の長手方向に亘って形成された溝であって、その内側には断面略矩形状の空間が形成されている。凹部21の溝幅は、凹溝20の開口幅よりも大きくなっている。
カバー体3は、幅木本体2の下端部に一体に形成されており、幅木本体2の長手方向に亘って形成されている。カバー体3は、幅木本体2を構成する半硬質合成樹脂よりも軟質の合成樹脂で成形される。カバー体3は、帯状であって、ロール状に湾曲変形自在である。カバー体3は、左右方向を長手方向とする。カバー体3の材質としては、例えば、オレフィン系エラストマー(TPO)等である。なお、カバー体3の材質は、幅木本体2の材質と同様に半硬質樹脂であってもよい。
カバー体3は、幅木本体2と一体に押出成形されたものである。なお、カバー体3は、幅木本体2とは別体で成形して、幅木本体2に接着や溶着させることで、幅木本体2と一体に設けられるものであってもよい。
カバー体3は、幅木本体2よりも前方に突出する突出部30を有する。カバー体3は、図1(b)に示すように、突出部30の下端部を床11の上面に当接させることで、幅木本体2の下端部と床11との隙間S1を塞ぐ。これにより、幅木1は、壁10と床11との間の隙間S2を覆い隠すことができる。
本実施形態では、カバー体3は、図1(a)に示すように、幅木本体2の下端面から前下側に向けて突出している。カバー体3の厚み(前後幅)は、下側程小さくなっており、その下端部は尖っている。言い換えると、カバー体3は、下端部が薄厚となった鰭状である。カバー体3は、負荷がかかっていない状態(つまり、床11に接触していない状態)で、側面視三角形状であり、後面32の面積が前面31の面積より大きい。
また、本実施形態のカバー体3は、軟質の合成樹脂で成形されているため、左右方向だけでなく上下方向にも湾曲変形自在である。そのため、カバー体3は、上側に湾曲変形させることで、後面32の前端位置を前方に調整することができる。例えば、壁10の前面から後面32の前端までの前後長さL1が隙間S2の前後幅L2よりも小さい場合、カバー体3を上方に湾曲変形させて後面32の前端位置を前方に移動させることができ、これにより、後面32の前端を床11の上面に当接させることができる。また、カバー体3の前後長さL1が隙間S2の前後幅L2よりも大きい場合には、カバー体3は湾曲変形させなくても後面32の前端を床11に当接させることができる。なお、この場合にも、カバー体3を上方に湾曲変形させた状態で、後面32の前端を床11の上面に当接させるようにしてもよい。
また、本実施形態のカバー体3は、鰭状であるため、カバー体3の下端部が弾性変形しやすく、床11の上面が凸凹面である場合でも、床11の上面の不陸を吸収して、カバー体3の下端部を長手方向に亘って床11に当接させることができる。
以上説明した幅木1は、図1(c)に示すように、パッド5にロール状に巻いた状態で、パッド5と共に梱包箱6に収納される。
パッド5は、帯状の支持片50を複数(本実施形態では3つ)連結して構成される。各支持片50の長手方向の両端部は、同一円周上に位置し、パッド5に巻き取られた幅木1を内側から支持する支持部を構成する。
幅木1は、凹溝20を有する前面(表面)をパッド5の外側に向けた状態でパッド5に巻き取られる。幅木1は、例えばその内径寸法が800mm以上1000mm以下の範囲内に収まるように連続して20m程度パッド5に巻き取られ、パッド5の周囲に複数回周回している。本実施形態の幅木1は、その内径寸法が900mmとなるようにパッド5に巻き取られている。
梱包箱6は、例えば段ボール製であり、扁平な正方形箱状に形成されている。梱包箱6は、天板60と底板61と4つの側面板62とを有する。梱包箱6の角部には、梱包箱6内から幅木1を引き出すための引出口63が形成されている。引出口63は、梱包箱6の側面板62の長手方向の端部を切除することによって形成される。このように引出口63を梱包箱6の一部を切除して形成するようにしたことで、利用前においては引出口63が形成される部分を切除部で閉塞することができ、梱包箱6内にごみや埃等が入り込みにくくできる。
梱包箱6内のパッド5に巻き取られた幅木1は、引出口63に対向する外周部から引出口63を通して梱包箱6の外部へと導出することができる。また、このように引出口63から導出された幅木1の端部を作業者が引っ張ることで、パッド5及びこれに巻き取られた幅木1を梱包箱6内で回転させながら、この幅木1を引出口63から梱包箱6の外に引き出すことができる。梱包箱6内の幅木1及びパッド5は、梱包箱6の四方の側面板62によって外側へ移動することが規制され、また、梱包箱6の天板60及び底板61によって上下方向の移動が規制される。このため、梱包箱6から幅木1を引き出すときには、パッド5及びこれに巻き取られた幅木1を梱包箱6内でスムーズに回転させることができる。
続いて、幅木1の壁10への施工方法の一例について説明する。
まず、作業者は、壁10において幅木本体2を取り付ける箇所に接着剤を塗布する。前記接着剤としては、例えば変性酢酸ビニル系接着剤が用いられる。前記接着剤は壁10において床11から上方に少し離れた幅木本体2の上部に対応する部分にのみ塗布される。
次に作業者は、梱包箱6内の幅木1を引出口63から引き出しながら、幅木本体2の後面(裏面)の上部を、前記接着剤を介して壁10に貼り付けていく。ここで、幅木1はその前面を外側に向けて巻かれた状態で梱包箱6に収納されているため、前面側に突となるような巻き癖がついている。そのため、梱包箱6から引き出した幅木1の長手方向の端部は、壁10を押圧して壁10から浮き上がりにくくなっている。幅木本体2を壁10に貼り付ける際、作業者は幅木本体2を、カバー体3の突出部30の下端部(先端部)が床11の上面に当接する高さ位置に貼り付ける。ここで、壁10の前面からカバー体3の後面32の前端までの前後長さL1が壁10と床11との隙間S2の前後幅L2よりも小さい場合、作業者は、カバー体3を上方に湾曲変形させて後面32の前端位置を前方に移動させる。そして、作業者は、この後面32の前端を床11に当接させた状態で、幅木本体2を壁10に貼り付ける。なお、前後長さL1が前後幅L2よりも大きい場合には、作業者は、カバー体3を上方に湾曲変形させなくても、カバー体3の後面32の前端を床11に当接させて、幅木本体2を壁10に貼り付けることができる。
次に作業者は、壁10に貼り付けられた幅木本体2の凹溝20の底面203に、長手方向に間隔を介して固定具4を順次打ち込み、これによって幅木本体2を壁10に固定していく。このとき、固定具4の頭部が凹溝20の底面203から前方に突出しないように、凹溝20に固定具4を打ち込む。固定具4としては、ピンネイルを用いることが好ましい。ピンネイルを用いることで、打ち込まれた固定具4の頭部を目立ちにくくすることができる。なお、ピンネイルを打ち込む作業は、ピンネイラーと呼ばれるピン打機を用いて行われる。このように固定具4を打ち込むことで、幅木本体2は壁10に固定され、前記接着剤が硬化する前において幅木本体2は壁10から浮き上がりにくくなる。
ここで、凹溝20の底面203に固定具4を打ち込むとき、凹溝20の傾斜したガイド面201,202で凹溝20の底面203側に固定具4を導くことができる。このため、凹溝20の底面203により確実に固定具4を打ち込むことができる。
前記幅木本体2の前記接着剤及び固定具4を用いた壁10への施工は、壁10の左右方向の端部付近又は隅部付近に至るまで行われる。次に作業者は、幅木本体2の壁10の端部又は隅部に対応する箇所を、電気丸のこ、手のこ、はさみ、カッターナイフ等の切断具を用いて切断する。そして、この幅木本体2の切断側部分を前記接着剤及び固定具4を用いて壁10に固定する。これにより、幅木本体2は壁10に取り付けられる。
なお、平面視で直角な隅部を有する壁10に幅木本体2を施工する場合、この隅部を挟んだ両側の壁10夫々に、別々の幅木本体2を上述と同様の方法で施工するのがよい。この場合、前記隅部には、両幅木本体2の左右方向の端部同士を接続するための平面視L字状の前記接続具が取り付けられる。この接続具の裏側部位からは、両側の壁10にそれぞれ沿う突出片が突出している。この突出片を、幅木本体2の後面の凹部21に収めることで、幅木本体2の長手方向の端部は、壁10から浮き上がることなく壁10に固定することができる。
以上説明した本実施形態の幅木1は、ロール状に巻きやすいように幅木本体2を薄厚に形成したうえで、壁10と床11との間の隙間S2をカバー体3によって覆い隠すことができる。したがって、本実施形態の幅木1は、ロール状に巻きやすく、且つ汎用性の高い幅木1となっている。
また、本実施形態の幅木1では、カバー体3を軟質の合成樹脂にて成形し、さらにカバー体3を下側ほど厚みが小さくなるように形成しているため、カバー体3が湾曲変形しやすい。そのため、幅木本体2をロール状に巻く際に、カバー体3が邪魔になりにくく、幅木本体2をロール状に隙間なく何周も巻くことができて、コンパクトにまとめることができる。
また、本実施形態の幅木1では、幅木本体2の前面のフラットな部位ではなく、凹溝20に固定具4を打ち込むようにしたことで、打ち込まれた状態の固定具4の頭部が凹溝20内に位置して目立ちにくくすることができる。
次に、図2に示す本発明の第二実施形態の幅木1について説明する。第二実施形態の幅木1は、カバー体3の形状が、第一実施形態の幅木1とは異なる。第二実施形態の幅木1について、第一実施形態の幅木1と同様の構成については図中に同じ符号を付けて詳しい説明を省略し、異なる構成について詳しく説明する。
第二実施形態の幅木1では、図2(a)に示すように、カバー体3は、下側ほど厚み(前後幅)が大きく、側面視台形状である。カバー体3は、幅木本体2の下端部に一体に形成されている。カバー体3は、幅木本体2を構成する半硬質合成樹脂よりも軟質の合成樹脂にて成形されている。また、カバー体3は、幅木本体2と一体に押出成形されたものである。
カバー体3は、前面31と後面32と底面33とを有している。前面31は、無負荷状態(つまり、床11に接触していない状態)で、前方ほど下方に位置するように傾斜した傾斜面となっている。後面32は、前記無負荷状態で、幅木本体2の後面のうち凹部21以外の部位と略面一である。底面33は、前記無負荷状態で、幅木本体2の下面と略平行であり、また、床11の上面と略平行である。底面33の前後幅L3は、隙間S2の前後幅よりも大きい。
第二実施形態の幅木1は、カバー体3のうち前面31を含むこの前面31の真下の部位が、幅木本体2よりも前方に突出した突出部30となっている。
第二実施形態の幅木1は、図2(c)に示すように、パッド5にロール状に巻きつけた状態で、梱包箱6に収納される。ここで、カバー体3は、軟質の合成樹脂で成形されているため、幅木本体2をロール状に巻く際に、カバー体3が邪魔になりにくく、幅木本体2をロール状に略隙間なく何周も巻くことができて、コンパクトにまとめることができる。
第二実施形態の幅木1は、図2(b)に示すように、壁10と床11とでなされる角部分に取り付けられる。第二実施形態の幅木1は、上述した第一実施形態の幅木1と略同様の手順で壁10に施工される。
以上説明した第二実施形態の幅木1は、ロール状に巻きやすいように幅木本体2を薄厚に形成したうえで、壁10と床11との間の隙間S2をカバー体3によって覆い隠すことができる。したがって、第二実施形態の幅木1は、ロール状に巻きやすく、且つ汎用性の高い幅木1となっている。
また、第二実施形態の幅木1は、前記角部分に幅木1を取り付ける際に、カバー体3の底面33を床11の上面に当接させ、後面32を壁10の前面に当接させることで、カバー体3によって幅木本体2を支えることができる。これにより、第二実施形態の幅木1では、固定具4や前記接着剤によって幅木本体2が壁10に固定されるまでの間、幅木本体2の高さの保持を簡単に行うことができ、設置しやすいものとなっている。
次に、図3に示す本発明の第三実施形態の幅木1について説明する。第三実施形態の幅木1について、第一実施形態の幅木1と同様の構成については図中に同じ符号を付けて詳しい説明を省略し、異なる構成について詳しく説明する。
第三実施形態の幅木1では、図3(a)に示すように、カバー体3は、幅木本体2とは別体である。そして、カバー体3は、その上端部に幅木本体2の下端部が収められる凹部34を有する。詳しくは、カバー体3は、幅木本体2よりも前方に突出する突出部30と、壁10と床11との間の隙間S2に挿入される挿入部35を有する。突出部30は、側面視略直角三角形状であり、挿入部35は、側面視略矩形状である。挿入部35は、突出部30と一体であり、突出部30よりも下方に突出している。挿入部35の上面と突出部30の後面とで、凹部34が形成されている。突出部30の前端から挿入部35の後端までの前後長さL4は、壁10と床11との隙間S2の前後幅L2より長く、挿入部35の前端から後端までの前後長さL5は、壁10と床11との隙間S2の前後幅L2と略同じである。
第三実施形態の幅木1では、カバー体3は、幅木本体2を構成する半硬質合成樹脂よりも軟質の合成樹脂で成形される。なお、カバー体3は、幅木本体2と同様に半硬質合成樹脂で成形されたものであってもよいし、湾曲変形しない硬質合成樹脂で形成されたものであってもよい。
第三実施形態の幅木1は、図3(c)に示すように、幅木本体2がパッド5にロール状に巻きつけられた状態で、梱包箱6に収納される。カバー体3は、幅木本体2を梱包した梱包箱6とは別の箱に収納される。ここで、カバー体3は、軟質の合成樹脂や半硬質合成樹脂で成形されたものである場合、ロール状に巻いた状態で箱に収納可能である。なお、カバー体3は、ロール状に巻かないで直線状のまま複数本束ねて箱に収納してもよい。また、カバー体3は、箱に収納せず、外部に対して露出する様態で保管してもよい。
第三実施形態の幅木1は、図3(b)に示すように、壁10と床11とでなされる角部分に取り付けられる。第三実施形態の幅木1は例えば以下のようにして壁10へ施工される。まず、作業者は、壁10において幅木本体2を取り付ける箇所に、前記接着剤を塗布する。この接着剤は壁10において床11から上方に少し離れた幅木本体2の上部に対応する部分にのみ塗布される。
前記接着剤の塗布後または塗布前に、作業者は、カバー体3の挿入部35を壁10と床11との隙間S2に挿入して、突出部30の下面を床11の上面に当接させる。なお、このとき、作業者は、挿入部35を床11の後面や壁10の前面に当接させてもよいし、当接させなくてもよい。カバー体3の隙間S2への取付は、壁10の左右方向の端部付近又は隅部付近に至るまで行われる。次に作業者は、カバー体3の壁10の端部又は隅部に対応する箇所を、切断具を用いて切断する。
次に作業者は、梱包箱6内の幅木本体2を引出口63から引き出しながら、幅木本体2の下端部が、隙間S2に挿入したカバー体3の凹部34内に収まるように、幅木本体2の後面(裏面)の上部を、前記接着剤を介して壁10に貼り付けていく。なお、このとき、作業者は、幅木本体2の下端を凹部34の底面に当接させてもよいし、当接させなくてもよい。このようにカバー体3の凹部34内に、幅木本体2の下端部を収めるようにすることで、幅木本体2の下端部が壁10から離れる方向に浮き上がることを、カバー体3の突出部30によって抑えることができる。
次に作業者は、壁10に貼り付けられた幅木本体2の凹溝20の底面203に、長手方向に間隔を介して固定具4を順次打ち込み、これによって幅木本体2を壁10に固定していく。このとき、固定具4の頭部が凹溝20の底面203から前方に突出しないように、凹溝20に固定具4を打ち込む。このように固定具4を打ち込むことで、幅木本体2は壁10に固定され、前記接着剤が硬化する前において幅木本体2は壁10から離れる方向に浮き上がりにくくなる。
前記幅木本体2の前記接着剤及び固定具4を用いた壁10への施工は、壁10の左右方向の端部付近又は隅部付近に至るまで行われる。次に作業者は、幅木本体2の壁10の端部又は隅部に対応する箇所を、切断具を用いて切断する。そして、この幅木本体2の切断側部分を前記接着剤及び固定具4を用いて壁10に固定する。これにより、幅木本体2は壁10に取り付けられる。
以上説明した第三実施形態の幅木1は、ロール状に巻きやすいように幅木本体2を薄厚に形成したうえで、壁10と床11との間の隙間S2をカバー体3によって覆い隠すことができる。したがって、第三実施形態の幅木1は、ロール状に幅木本体2を巻きやすく、且つ汎用性の高い幅木1となっている。
また、第三実施形態の幅木1では、カバー体3を幅木本体2とは別体としたことで、幅木本体2をロール状に巻いて梱包箱6に収納する際に、カバー体3が邪魔にならない。
また、第三実施形態の幅木1では、壁10と床11との隙間S2にカバー体3の挿入部35を落とし込むことで、簡単にカバー体3を壁10と床11とでなされる角部分に設置することができる。また、カバー体3は、自重によって隙間S2から外れにくいものとなっている。また、幅木1の下端部の浮き上がりをカバー体3によって抑制することができる。
以上まとめると、本発明の実施形態の幅木1は、第一乃至第三実施形態の幅木1のように、以下の構成を備えることを特徴とする。すなわち、幅木1は、建物の壁10の前面に取り付けられる幅木本体2と、この幅木本体2の下端部に設けられるカバー体3と、を備える。幅木本体2は、半硬質合成樹脂にて成形された帯状のものであって、ロール状に湾曲変形自在であり、且つ長手方向に沿って形成される固定具打ち込み用の凹溝20を有する。カバー体3は、幅木本体2よりも前方に突出する突出部30を有し、この突出部30を壁10の前方の床11に当接させることで幅木本体2と床11との間の隙間S2を塞ぐ。
このような構成を備えることで、本発明の実施形態の幅木1では、ロール状に巻きやすいように幅木本体2を薄厚に形成したうえで、幅木本体2が設置される壁10と床11との間に隙間S2がある場合でも、カバー体3を床11に当接させることができる。これにより、本発明の実施形態の幅木1では、この隙間S2を覆い隠すことができる。したがって、本発明の実施形態の幅木は、ロール状に巻きやすく、且つ汎用性の高い幅木となっている。
また、本発明の実施形態の幅木1では、第一及び第二実施形態の幅木1のように、カバー体3は、帯状であって、ロール状に湾曲変形自在であり、且つ幅木本体2の下端部に一体に形成されることが好ましい。
このような構成とすることで、本発明の実施形態の幅木1では、幅木本体2とカバー体3とを一緒にロール状に巻いて、1つの梱包箱に収納することができ、輸送、運搬がしやすい。
また、本発明の実施形態の幅木1では、第一実施形態の幅木1のように、カバー体3は、下端部が薄厚となった鰭状であることが好ましい。
このような構成とすることで、本発明の実施形態の幅木1では、カバー体3の下端部をさらに湾曲変形させやすいものとすることができる。これにより、本発明の実施形態の幅木1では、床11の上面が凸凹面であったとしても、この上面の不陸を吸収して、長手方向に亘ってカバー体3の下端部を床11に当接させることができる。また、本発明の実施形態の幅木1では、カバー体3の下端部が薄厚であることで、床11を掃除する際などに、カバー体3の下端部が床11に当接した状態から捲れ上がりにくいものとなっている。
また、本発明の実施形態の幅木1では、第一及第二実施形態の幅木1のように、カバー体3は、前記半硬質合成樹脂よりも軟質の合成樹脂にて成形されたものであって、幅木本体2と一体に押出成形されたものであることが好ましい。
このような構成とすることで、本発明の実施形態の幅木1では、カバー体3がさらに湾曲変形しやすく、幅木本体2とカバー体3とを一緒にロール状に巻いて、1つの梱包箱に収納しやすく、また、カバー体3の下端部の床11の上面への追従がしやすい。また、本発明の実施形態の幅木1では、カバー体3を幅木本体2と一体に押出成形するようにしたことで、幅木1を簡単に製造することができる。
あるいは、本発明の実施形態の幅木1では、第三実施形態の幅木1のように、カバー体3は、幅木本体2とは別体であり、カバー体3の上端部に幅木本体2の下端部が収められる凹部34を有していてもよい。
このような構成とすることで、本発明の実施形態の幅木1では、カバー体3は、半硬質合成樹脂、軟質の合成樹脂、硬質合成樹脂のいずれでも成形することができ、幅木本体2と床11との隙間S1を適切に塞ぐことができる。また、本発明の実施形態の幅木1では、カバー体3の上端部に幅木本体2の下端部が収められる凹部34を有することで、幅木本体2とカバー体3との一体化を簡単に行うことができる。
また、本発明の実施形態の幅木梱包品100は、第一及び第二実施形態の幅木1のように、幅木本体2とカバー体3とが一体の幅木1と、この幅木1が収納される梱包箱6とを備え、幅木1は、凹溝20を有する前面が外側を向くように巻かれた状態で梱包箱6に収納されることを特徴とする。
このような構成とすることで、本発明の実施形態の幅木梱包品100では、ロール状に巻いた幅木1をその外側を梱包箱6によって支持した状態で梱包箱6に収納することができ、幅木1を小さくロール状にした状態で保管することができる。また、これにより幅木1の持ち運びが容易になる。また、幅木1は梱包箱6に収納して汚れ難い状態で保管することができる。また、幅木1はその前面(表面)を外側に向けて巻かれた状態で梱包箱6に収納されるため、幅木1にはその後面(裏面)側に突となるような巻き癖がつきにくくなる。このため、幅木1を壁10に沿わせた場合に幅木1の先に壁10に沿わせた部分が壁10から浮き上がりにくくなる。すなわち、幅木1にはその前面(表面)側に突となるような巻き癖がつくが、幅木1の梱包箱6から引き出した直後の部分を壁10に沿わせた場合、幅木1の先に壁10に沿わせた部分が幅木1の巻き癖によって壁10を押圧するようになる。このため、幅木1の施工が容易になる。
以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。