本発明を、添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
図1には、本発明の一実施形態の中空構造パネル2を示している。この中空構造パネル2は、基体として合成樹脂製の中空構造体4を用い、この中空構造体4をアルミニウム製の第1金属カバー6と第2金属カバー8で覆い、且つ、樹脂製のコーナー部材10を四隅に装着することで、主体を構成している。
まず、板状をなす中空構造体4について、図2等に基づいて説明する。この中空構造体4は、樹脂製である中空コア層106、第1シート108及び第2シート110からなる(図2(d)等参照)。中空コア層106は、厚み方向aの一方(図中下方)に第1スキン面を有し、厚み方向aの他方(図中上方)に第2スキン面を有する。第1シート108は、中空コア層106の第1スキン面の全体を覆い、第2シート110は、中空コア層106の第2スキン面の全体を覆う。
この中空構造体4は、図2(a)−(d)に示す工程によって、板状に成形される。
図2(a)に示すように、ポリプロピレン製のシート100に真空成形を施し、このシート100に多数列のハーフハニカムウェブ102と平坦部分104を形成する。
次いで、図2(b)に示すように、各ハーフハニカムウェブ102が起立するようにシート100を一方向に折り畳んでゆき、隣接して起立するハーフハニカムウェブ102同士が互いに密着し、連続したハニカム構造を形成するように組み合わせる。このとき、隣接するハーフハニカムウェブ102間にある平坦部分104が、一面側と他面側に交互に配されてゆく。隣接する平坦部分104同士は互いに突き合わされ、連続したスキン面を形成する。
ここで図2(c)に示すように、隣接する平坦部分104同士を熱溶着させることで、平面視六角形状の中空部114を多数有するハニカム状の中空コア層106が形成される。
次いで、図2(d)に示すように、この中空コア層106に形成される第1及び第2スキン面に対して、ポリプロピレン製の第1及び第2シート108,110をラミネートすることで、板状の中空構造体4が成形される。
このように成形された中空構造体4において、中空コア層106は、その内部空間を、樹脂製である多数の隔壁部112によってハニカム状に仕切った構造となる。隔壁部112は、厚み方向aに起立するように多数形成され、これら隔壁部112により仕切られた各空間が、平面視六角形状の中空部114となる。
上記構造の中空構造体4においては、図4〜図6に示すように、厚み方向aの一方に貼着される第1シート108の表面が、平坦な第1平面12となる。中空構造体4の厚み方向aの他方に貼着される第2シート110の表面が、平坦な第2平面14となる。
この中空構造体4は、薄板状であっても単位重量あたりの強度が非常に高く、また、機械的特性において等方性に優れる。さらに、この中空構造体4は熱可塑性樹脂製であるから、二次加工性にも優れる。
尚、中空コア層106は上記構造に限定されず、例えば、押し出し成形によってハーモニカの穴のように中空部分を一列に形成した中空構造、柱体や円柱体を多数並設した中空構造等の、他の構造でもよい。更に中空コア層106は樹脂製に限定されず、ペーパーハニカム等の他の材質を用いてもよい。
また、中空コア層106のみで中空構造体4を形成してもよい。この場合、中空コア層106の第1スキン面が第1平面12となり、第2スキン面が第2平面14となる。
次に、中空構造体4に被せられる第1金属カバー6と第2金属カバー8について、図3等に基づいて説明する。第1金属カバー6と第2金属カバー8は、アルミニウムを用いて略同型同大に形成される。図3中では、第1金属カバー6を形成する金属板16と、第2金属カバー8を形成する金属板22とを、まとめて示す。
第1金属カバー6では、平面視矩形状であるアルミニウム製の金属板16が有する四つの隅部の全てに、正方形状に切り欠いた切欠部18を設け、隣接する切欠部18間に、第1周縁片20を形成する。第1周縁片20は、金属板16がその外周に有する四辺にそれぞれ沿う、細長い薄板状の部分である。
第1金属カバー6では、四箇所に形成される第1周縁片20を、それぞれ図中に点線で示す折曲線で、同一方向にむけて垂直に折り曲げる。隣接する第1周縁片20は、切欠部18が間に位置することで重ならず、互いの端面同士を付き合わせた姿勢で位置する。このように四方の第1周縁片20を折り曲げて起立させることで、第1金属カバー6は、開口を有する容器型に形成される。
第2金属カバー8の構造も、第1金属カバー6と同様である。つまり、第2金属カバー8では、平面視矩形状であるアルミニウム製の金属板22が有する四つの隅部の全てに、正方形状に切り欠いた切欠部24を設け、隣接する切欠部24間に、第2周縁片26を形成する。第2周縁片26は、金属板22がその外周に有する四辺にそれぞれ沿う、細長い薄板状の部分である。
第2金属カバー8においても、四箇所に形成される第2周縁片26を、それぞれ図中に点線で示す折曲線で、同一方向にむけて垂直に折り曲げる。隣接する第2周縁片26は、互いの端面同士を付き合わせた起立姿勢で位置する。このように四方の第2周縁片26を折り曲げることで、第2金属カバー8は、第1金属カバー6と略同型同大の容器型に形成される。
次に、第1金属カバー6と第2金属カバー8に対して更に被せられるコーナー部材10について、図1等に基づいて説明する。コーナー部材10は、一対の片部がL字型に連続するように成形した樹脂部材であり、各片部に、外部から係止具28を挿入させる貫通孔30(図6参照)を一対形成する。コーナー部材10を成形する樹脂としてはエラストマーが好ましいが、ポリプロピレン等を用いることも可能である。また、耐衝撃性を向上させるためにコーナー部材10を金属製にすることも可能である。
次に、上述した各部材を用いて、中空構造パネル2を製造する工程について説明する。
まず、上記構造の中空構造体4を、平面視矩形状である所定の寸法形状に切り取る。このとき、切り取った中空構造体4の側周部には、ハニカム形状である中空コア層106の切断面と、第1及び第2シート108,110の切断面とが位置する。中空コア層106の切断面には、多数の中空部114の開口面が、隔壁部112を介して形成される。
そのため、中空構造体4の側周部は、多数の中空部114と隔壁部112が周縁方向に沿って位置する凹凸形状となる。この凹凸形状を有する側周部が、厚み方向aに距離を隔てて位置する第1平面12と第2平面14の、互いの周縁間に形成される。
次に、この中空構造体4の第1平面12と第2平面14に、接着剤を塗布する。ここで、上記のように容器型に形成した第1金属カバー6の開口を通じて、この第1金属カバー6内に中空構造体4を挿入し、接着剤を介して第1平面12を第1金属カバー6の内底面に接着する(図4参照)。このとき、第1金属カバー6が有する四方の第1周縁片20が、中空構造体4の側周部に、全周に亘って密着又は略密着して重ねられる。
次に、中空構造体4が挿入された第1金属カバー6に対して、更に第2金属カバー8を被せる。容器型である第2金属カバー8の開口を通じて、この第2金属カバー8内に第1金属カバー6及び中空構造体4を挿入する(図5参照)。中空構造体4が有する第2平面14は、接着剤を介して第2金属カバー8の内底面に接着される。このとき、第2金属カバー8が有する第2周縁片26が、第1金属カバー6が有する第1周縁片20に対して、一対一で重ねられる。
つまり、この段階において、中空構造体4の第1平面12に第1金属カバー6の内底面が接着され、中空構造体4の第2平面14に第2金属カバー8の内底面が接着され、中空構造体4の側周部には、第2周縁片26と第1周縁片20とが全周に亘って重ねられる。
尚、中空構造体4の第1平面12に接着剤を直接塗布するのでなく、まず第1平面12に不織布を貼着し、この不織布の表面に接着剤を塗布して第1金属カバー6と接着させてもよい。同様に、第2平面14にまず不織布を貼着し、この不織布の表面に接着剤を塗布して第2金属カバー8と接着させてもよい。
次に、中空構造体4が有する4箇所の隅角部に対して、L字をなすコーナー部材10を第2周縁片26上から接着させ、仮止めを行う。
このとき、コーナー部材10が有する一方の片部が、一つの第2周縁片26の端部と、これに重なる一つの第1周縁片20の端部とを介して、中空構造体4の側周部に仮止めされる。同様に、コーナー部材10が有する他方の片部が、前記第2周縁片26に隣接する他の第2周縁片26の端部と、これに重なる他の第1周縁片20の端部とを介して、中空構造体4の側周部に仮止めされる。尚、接着剤を用いずに仮止めすることも可能である。
ここで、第1周縁片20と第2周縁片26に、コーナー部材10が有する貫通孔30と一直線状に連通する貫通孔32,34を設け、これら一連の貫通孔30,32,34を通じて、係止具28を挿入する(図6参照)。本実施形態の係止具28は、頭部36と座屈部38を有するブラインドリベットであり、第1周縁片20の内方で径方向に広がる座屈部38が、コーナー部材10の外方に位置する頭部36との間で、第1周縁片20、第2周縁片26及びコーナー部材10を挟み込んで固定する。このとき、係止具28の先端部や座屈部38は、中空構造体4が有する中空部114内に位置する。
4つのコーナー部材10が有する各片部を、それぞれ一対の係止具28を挿入して第1及び第2周縁片20,26に固定することで、中空構造体4の側周部にて重なり合う四組の第1周縁片20と第2周縁片26が、それぞれの片の長手方向の両端部にて強固に固定される。
尚、図示はしないが、係止具28の頭部36と座屈部38の間で隔壁部112、第1周縁片20、第2周縁片26及びコーナー部材10を挟持固定することも可能である。
また、コーナー部材10を装着することなく、同様の係止具28で第1周縁片20と第2周縁片の端部同士を挟持固定することもできる。この場合、係止具28の上にコーナー部材を貼着することも可能である。
もちろん、本実施形態のようにコーナー部材10を用いた場合には、中空構造パネル2の特に隅角部での耐衝撃性が向上するという利点や、中空構造パネル2の隅角部が周囲の構造物や作業者を傷つけることが防止されるという利点がある。コーナー部材10の形状は図示のL字型に限定されず、例えば、中空構造パネル2の平面側を覆う三角形状の片部を更に備えた、立体的な形状とすることも可能である。
係止具28として、ブラインドリベット以外の部材(例えば釘や、コ字型の針)を打ち込むことも可能である。
また、中空構造体4に第1金属カバー6と第2金属カバー8を被せた中空構造パネル2の一面側に、更に、図7〜図9に示すような合成樹脂製の真空成形カバー40を被せて固定し、真空成形カバー40から成る支持台構造を中空構造パネル2の一面側に形成することも可能である。
真空成形カバー40は、中空構造パネル2のうち第1金属カバー6側の面に固定してもよいし、第2金属カバー8側の面に固定してもよい。なお、真空成形カバー40を第1金属カバー6側の面に固定した場合には、第2金属カバー8の端縁部(特に第2金属カバー8と第1金属カバー6との境界部分)を真空成形カバー40で覆い、この部分に手が触れたときに、段差やエッジ感を感じさせないように設けることができる。真空成形カバー40を第2金属カバー8側の面に固定した場合には、第2金属カバー8の周縁の折れ曲げ部分が支持台側(上側)に位置することになり、この折れ曲げ部分は曲面を有することから、手に馴染みやすいものとなる。
以下においては、図示の真空成形カバー40の構造や、この真空成形カバー40を用いて中空構造パネル2の支持台構造を形成する方法について詳述する。
真空成形カバー40は、平坦なシートから成る平面部42と、この平面部42の一部を一面側に変形させることによって成形される複数の細長凸条44とを有する。各細長凸条44の長さ方向bは、平面視矩形状の外形を有する平面部42の、一対の端縁48と平行である。各細長凸条44の幅方向cは、平面部42が有する別の一対の端縁46と平行である。
各細長凸条44の長さ方向bの両端部50は、共に先細に成形されている。先細である各端部50の幅方向cの両側面は、先端側に近づくほど互いに接近するように傾斜したテーパ面である。各端部50の先端面は、平面視において平面部42の端縁46と同一又は略同一ライン上に位置するように設けた、平坦面である。
この真空成形カバー40を中空構造パネル2の一面側に取り付けることで、複数の細長凸条44からなる凹凸形状の支持台構造を、中空構造パネル2の一面側に付加することができる。
真空成形カバー40を取り付けた中空構造パネル2は、例えば、印刷工程で用いられる紙搬送用のパレットとして、好適に利用可能である。このパレットによれば、複数の細長凸条44の上に多数枚の紙を載せた状態で、コ字型やL字型のクランプ部(図示略)にパレットを挿入又は載置し、多数枚の紙をパレットごと搬送することができる。
このとき、細長凸条44の各端部50の先端面は、中空構造パネル2の端縁と同一ライン上にあるので、これらの細長凸条44に載せた紙が端側で垂れることも防止される。
更に、フォークリフト等の複数の爪(図示略)を用い、この爪を、隣接する細長凸条44間の溝部に差し込んで上昇させることで、複数の細長凸条44に積層させた紙を、パレットから離して搬送することができる。
ところで、中空構造パネル2の軽量化を図るには、第1金属カバー6や第2金属カバー8を薄肉に設けることが好ましい。しかし、真空成型カバー40を固定しない側の金属カバーを薄肉に設けた場合には、この部分が衝撃に対して弱くなる。
例えば、真空成型カバー40を第2金属カバー8に固定し、真空成型カバー40とは反対側に位置する第1金属カバー6を薄肉に設けた場合、第1金属カバー6が衝撃に弱くなり、凹みやすくなる。この中空構造パネル2を、真空成型カバー40を上にしてローラコンベヤで搬送する場合、中空構造パネル2の底面となる第1金属カバー6が薄肉では、衝撃等で底面に凹みが生じやすく、ローラコンベヤで搬送させる際に支障を生じる。これに対しては、第1金属カバー6の外底面に、合成樹脂製の軽量な板材を貼着することが好ましい。
即ち、真空成型カバー40を取り付けた中空構造パネル2を、ローラコンベヤで搬送するパレットに用いるような場合には、第1金属カバー6と第2金属カバー8のうち、真空成型カバー40を固定する側とは反対側の金属カバーを薄肉に設け、且つ、この薄肉に設けた金属カバーに樹脂製板材を貼着することで、軽量化と強度を両立させることが好ましい。
真空成形カバー40は、例えば2mm厚の合成樹脂シートを用いて、真空成形により製造される。そのため、真空成形カバー40は、一面側においては平面部42から多数の細長凸条44が突設され、且つ、他面側においては平面部42から多数の細長凹条52が凹設された形状である(図8、図9参照)。細長凹条52は、細長凸条44とは表裏の関係にあり、その長さ方向bの両端部は、先端側に近づくほど開口幅が狭くなる先細形状である。
真空成形カバー40は、図10に概略的に示すような金型60を用いて、長さ方向bの複数のサイズで成形可能となっている。
真空成形用の金型60は、基本型である主金型62と、この主金型62と組み合わせて用いる副金型64と、両金型62,64間に挿入される入子金型66とを備える。入子金型66は、両金型62,64間の継足し部分であり、この入子金型66を複数種類の寸法形状で備えることが好ましい。
金型60のうち、主金型62は、多数列の細長凸条44の一方の端部50と、各端部50から連続する細長凸条44の直線部分と、これらに対応する平面部42の部分とを、一体に真空成形する部分である。
主金型62と長さ方向bに連続して配置される入子金型66は、多数列の細長凸条44の直線部分の延長領域と、平面部42の長さ方向bの延長領域とを、一体に真空成形する部分である。
副金型64は、多数列の細長凸条44のうち他方の端部50を含む先端部分と、これに対応する平面部42の端縁部分とを、一体に真空成形する部分である。
図10に示す例では、主金型62と副金型64との間に、6つの入子金型66を介在させることで、最大サイズの金型60を組み付けている。6つの入子金型66には、長さ方向bの寸法が最も小さい種類の入子金型66が4つあり、これより長さ方向bの寸法が大きい入子金型66が1つあり、これよりも更に長さ方向bの寸法が大きい入子金型66が1つある。
これら入子金型66のうち適宜のものを介在させることで、多様なサイズの金型60での成形が可能となり、金型60のサイズ変更も容易である。入子金型66を介在させず、主金型62と副金型64を連続させて最小サイズの金型60を組み付けることも可能である。これら金型62,64,66の組み合わせによって、成形される真空成形カバー40の長さ方向bの寸法が、例えば500mm〜850mmの範囲内で、50mm程度のピッチで選択可能となる。
なお、金型60で真空成形される真空成形カバー40には、0.5mm程度の凸又は凹状の筋(図示略)が、幅方向cの全長に亘って形成される。この筋は、主金型62とこれに隣接する入子金型66との間の境界線部分や、互いに隣接する入子金型66間の境界線部分や、入子金型66とこれに隣接する副金型64との間の境界部分や、或いは、主金型62とこれに隣接する副金型64との間の境界部分に、形成される。
これらの筋は目視可能であるから、中空構造パネル2の一面側の真空成形カバー40上に紙等を載置する際に、位置決め用ラインとして利用することができる。
即ち、この例では、複数の金型62,64,66を組み合わせて真空成形用の金型60を組み付けることで、真空成形カバー40を多様なサイズで成形可能に設け、且つ、載置物の位置決めラインが一面側に成形されるように設けている。位置決めラインとなる筋の成形については、適宜の金型62,64,66に凹条や凸条を設けることで、凸又は凹状の筋を成形することも可能である。なお、これらの位置決めラインとなる筋を真空成形カバー40に成形しなくてもよい。
図11には、上述のようにして成形した真空成形カバー40を用いて、幅方向cの多様なサイズで、パレットの支持台構造を形成する手順を示している。この例では、同大同形の2つの真空成形カバー40を組み合わせることで、単一の真空成形カバー40よりも幅方向cに大きな支持台構造を形成する。
真空成形カバー40の幅方向cの両端部は、平面部42の幅方向cの両端部68,70で構成される。この平面部42の幅方向cの一方の端部68と他方の端部70との間で、幅方向cの寸法を相違させている。
両端部68,70のうち幅狭の側の端部68は、その幅方向cの寸法を、互いに隣接する細長凸条44間の距離の、半分に設定している。ここでの細長凸条44間の距離は、即ち、細長凸条44間に形成される凹溝部分の幅寸法である。
両端部68,70のうち幅広の側の端部70は、その幅方向cの寸法を、互いに隣接する細長凸条44間の距離よりも、十分に大きく(例えば2倍程度に)設定している。幅広の端部70は、真空成形カバー40の幅方向cの寸法を調整するための調整代となる部分であり、この端部70中にカット基準位置が設けられる。幅広の端部70は、パレットをコ字型のクランプ部に挿入する際に、その挿入部分として利用可能である。端部70の幅は、このクランプ部の幅に対応して設定される。
図11の手順では、(A)や(B)に示すように、同大同形の真空成形カバー40を一対用意し、各真空成形カバー40を長さ方向bに沿って2箇所で切断する。
具体的には、両真空成形カバー40の所定の細長凸条44間にある凹溝部分を、その凹溝部分の幅方向cの中間地点に設定した切断ラインL1で切断し、且つ、幅広の端部70を、所定寸法だけ残すように設定した切断ラインL2で切断する。2箇所を切断した後の真空成形カバー40は、これを固着させる中空構造パネル2の一面の1/2サイズとなる。
次いで、(C)や(D)に示すように、両真空成形カバー40の、切断ラインL1で切断した切断縁72同士を突き合わせた状態で、両真空成形カバー40を中空構造パネル2の一面側に固着させる。真空成形カバー40の固着には、例えば両面テープやリベットを用いる。
図11の例では、一対の真空成形カバー40をそれぞれ切断ラインL1で切断し、互いの切断縁72同士を付き合わせたが、一方の真空成形カバー40では切断ラインL1での切断を行わずに端部68を残し、この端部68の縁を、他方の真空成形カバー40の切断縁72に突き合わせてセットすることも可能である。また、両方の真空成形カバー40で幅狭の端部68を残し、互いの端部68の縁同士を突き合わせてセットすることも可能である。
また、図11の例では、同大同型である2つの真空成形カバー40を組み合わせて支持台構造を形成したが、寸法形状が相違する2つの真空成形カバー40を組み合わせてもよいし、或いは、単一の真空成形カバー40で支持台構造を形成してもよい。
上述した合成樹脂製の真空成形カバー40によれば、パレットの支持台構造を軽量且つ高強度に形成することができ、しかも、多様なサイズで支持台構造を形成するにあたっても、真空成形カバー40を成形するための金型を多数用意する必要がない。そのため、金型製造のコストが削減されるとともに、金型の保管場所が省スペース化される。
ところで、支持台構造をなす真空成形カバー40の各細長凸条44の端部50に、更に補強構造を設けることも可能である。この補強構造は、中空構造パネル2を手や足で押して移動させる際に、各細長凸条44の端部50が潰れることを防止し、移動作業を行い易くする構造である。
補強構造として、例えば、中空構造パネル2の長さ方向bにおける一方の端縁46に、幅方向cの全域又は一部領域に亘って、別体の長方形状の平板(図示略)を取り付ける。この平板は、各細長凸条44の一方の端部50を覆うものである。
この補強構造を設けることは、支持台構造を有する中空構造パネル2を紙搬送用のパレットとして用い、このパレットを手や足で移動させるときに、特に好ましい。支持台構造に積層させる紙の幅は、通常、支持台構造をなす真空成形カバー40の幅よりも小さい。この紙を、真空成形カバー40の長さ方向bにおける他方の端縁46(即ち、平板を取り付けない側の端縁46)に揃えて積み重ねる。そして、この平板を手や足で押すことで、パレットごと紙を搬送する。
前述したように、真空成形カバー40は、2mm程度の厚みの合成樹脂シートを真空成形したものであるから、細長凸条40の端部50は0.5〜1.0mm程の厚みとなり、端部50の強度を高く設けにくい。そのため、手や足で直接的に端部50を押すと潰れる虞もあるが、端部50を平板で覆い、この平板を押してパレットを移動させるように設ければ、端部50の潰れが防止され、移動作業も容易になる。
補強構造の他例として、各細長凸条44の裏面側である各細長凹条52(特に各細長凹条52の端部)内に、補強材を付加することも好ましい。この補強材は合成樹脂であり、好ましくは発泡合成樹脂である。補強材の付加は、補強材をなす別体の部品を各細長凹条52内に取り付けることで行ってもよいし、補強材を各細長凹条52内に注入することで行ってもよい。この構造によれば、各細長凸条40の端部50を直接的に押しながらパレットを移動させたときにも、端部50が潰れることは防止される。
また、この例の真空成形カバー40では、平面部42の周縁から側周壁を延設していないが、平面部42の周縁から直交方向に側周壁を延設し、全体を容器状に形成することも可能である。
このとき、側周壁には、係止具28を挿入させる貫通孔を設けておく。そして、この真空成形カバー40を装着したうえで、真空成形カバー40の側周壁にコーナー部材10を重ね、係止具28を挿入することで、第1周縁片20、第2周縁片26、側周壁及びコーナー部材10を固定すればよい。また、コーナー部材10を装着することなく、係止具28を挿入して第1周縁片20、第2周縁片26及び側周壁を固定することも可能である。
以上、添付図面に基づいて説明したように、本実施形態の中空構造パネル2は、第1平面12と第2平面14を有する板状の中空構造体4と、中空構造体4の第1平面12側に被せられる第1金属カバー6と、中空構造体4の第2平面14側に被せられる第2金属カバー8とを備える。中空構造体4は、第1平面12と第2平面14を互いに反対側に向けて有し、且つ、第1平面12と第2平面14の間に側周部を有するものである。第1金属カバー6は、一枚の金属板16が有する全ての隅部を切り欠き、切り欠いた隅部間に第1周縁片20を設け、この第1周縁片20を垂直に折り曲げて形成したものである。第2金属カバー8は、一枚の金属板22が有する全ての隅部を切り欠き、切り欠いた隅部間に第2周縁片26を設け、この第2周縁片26を垂直に折り曲げて形成したものである。中空構造体4に第1金属カバー6と第2金属カバー8が被せられた状態で、金属製である第1周縁片20と第2周縁片26とが重ねられ、且つ、外部から装着される係止具28を用いて、中空構造体4の隅角部に位置する第1周縁片20と第2周縁片26とが係止される。
したがって、本実施形態の中空構造パネル2によれば、木製パネルのように使用時に木屑を生じることがなく、且つ、軽量であっても高い曲げ剛性や耐衝撃性を有する。特に、パネルの隅角部にて第1周縁片20と第2周縁片26が係止具28で固定されるので、隅角部に対して大きな圧縮荷重がかかった場合でも、破損を生じることが効果的に防止される。
更に、本実施形態の中空構造パネル2では、中空構造体4の隅角部に装着されるコーナー部材10を備える。そして、中空構造体4に第1金属カバー6と第2金属カバー8が被せられた状態で、金属製である第1周縁片20と第2周縁片26とが中空構造体4の側周部に重ねられ、この第1周縁片20と第2周縁片26に対して更にコーナー部材10が被せられ、且つ、外部から装着される係止具28を用いて、第1周縁片20と第2周縁片26とコーナー部材10とが中空構造体4の側周部にて係止される。
したがって、本実施形態の中空構造パネル2によれば、特に隅角部での耐衝撃性が一層高められ、且つ、中空構造パネル2の隅角部が周囲の構造物や作業者を傷つけることも防止される。
以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。本発明の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更を行うことが可能である。