本発明の含フッ素化合物は、下記一般式(1)または一般式(2)
(式中、PFPEはポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖である。X
1はそれぞれ2級炭素原子または3級炭素原子を有し、該2級炭素原子または3級炭素原子に直接結合した臭素原子または塩素原子を有する1価の有機基である。R
1、R
2はそれぞれ炭素原子数1〜4のアルキレン基である。R
3はフッ素原子又は炭素原子数1〜4のパーフルオロアルキル基である。)
で表されることを特徴とする。
前記2級炭素原子を有し、該2級炭素原子に直接結合した臭素原子を有する1価の有機基としては、例えば、1−ブロモエチル基、1−ブロモプロピル基、1−ブロモブチル基、1−ブロモ−2−メチルプロピル基等が挙げられる。
前記2級炭素原子を有し、該2級炭素原子に直接結合した塩素原子を有する1価の有機基としては、例えば、1−クロロエチル基、1−クロロプロピル基、1−クロロブチル基、1−クロロ−2−メチルプロピル基等が挙げられる。
前記3級炭素原子を有し、該3級炭素原子に直接結合した臭素原子を有する1価の有機基としては、例えば、1−ブロモ−1−メチルエチル基、1−ブロモ−1−メチルプロピル基、1−ブロモ−1−メチルブチル基、1−ブロモ−1,2−ジメチルプロピル基等が挙げられる。
前記3級炭素原子を有し、該3級炭素原子に直接結合した塩素原子を有する1価の有機基としては、例えば、1−クロロ−1−メチルエチル基、1−クロロ−1−メチルプロピル基、1−クロロ−1−メチルブチル基、1−クロロ−1,2−ジメチルプロピル基等が挙げられる。
前記X1の中でも、リビングラジカル重合を起こしやすい(開始効率が良好である)重合開始剤となることからそれぞれ3級炭素原子を有し、該3級炭素原子に直接結合した塩素原子を有する1価の有機基又は該3級炭素原子に直接結合した臭素原子を有する1価の有機基が好ましく、1−ブロモ−1−メチルエチル基、1−クロロ−1−メチルエチル基がより好ましく、1−ブロモ−1−メチルエチル基が更に好ましい。尚、一般式(1)中のX1は同一のものであっても良いし、異なっていても良い
前記一般式(1)または一般式(2)中のR1、R2は炭素原子数1〜4のアルキレン基である。中でも、本発明の含フッ素化合物を製造する際の原料として容易に入手でき、しかも、本発明の含フッ素化合物をリビングラジカル重合開始剤として用いた際にレベリング性に優れる含フッ素重合体が得られることからR1、R2はそれぞれメチレン基またはエチレン基が好ましい。
前記一般式(2)中のR3はフッ素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基である。中でも、本発明の含フッ素化合物を製造する際の原料として容易に入手でき、しかも、本発明の含フッ素化合物をリビングラジカル重合開始剤として用いた際にレベリング性に優れる含フッ素重合体が得られることからR3はフッ素原子が好ましい。
一般式(1)または一般式(2)中のPFPE〔ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)〕鎖は、具体的には、炭素原子数1〜3の2価フッ化炭素基と酸素原子が交互に連結した構造を有するものが挙げられる。炭素原子数1〜3の2価フッ化炭素基は、一種類であっても良いし複数種の混合であっても良く、具体的には、下記構造式1で表されるものが挙げられる。
(上記構造式1中、Xは下記構造式a〜eであり、構造式1中の全てのXが同一構造のものであってもよいし、また、複数の構造がランダムに又はブロック状に存在していてもよい。また、nは繰り返し単位を表す1以上の数である。)
これらのなかでも特に入手や合成が容易で、撥水性等の撥液性に優れ、異物の少ない塗膜が得られ、レジスト組成物に好適に使用できる含フッ素重合体が得られることから、前記構造式aで表されるパーフルオロメチレン構造と、前記構造bで表されるパーフルオロエチレン構造とが共存するものがとりわけ好ましい。ここで、前記構造式aで表されるパーフルオロメチレン構造と、前記構造bで表されるパーフルオロエチレン構造との存在比率は、モル比率(構造a/構造b)が1/4〜4/1となる割合であることが、上記の効果に加え防汚性に優れる塗膜も得られることから好ましい。また、前記構造式1中のnの値は3〜60の範囲であることが好ましく、6〜40がより好ましい。
また、前記ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖は、撥水性等の撥液性に優れ、異物の少ない塗膜が得られ、レジスト組成物に好適に使用できる含フッ素重合体が得られることから、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖1本に含まれるフッ素原子の合計が18〜250個の範囲であることが好ましく、25〜90個の範囲であることが特に好ましい。
以下に、本発明の含フッ素化物の具体例を示す。
上記式(1−1)〜(1−9)中、nは平均1〜30で、pは平均1〜30である。また、前記式(1−1)〜(1−9)で表される化合物において、[]内の繰返し数nを有する(CF2CF2O)と、繰返し数pを有する(CF2O)はランダム状に存在していても良いし、ブロック状に存在していてもよい。(CF2CF2O)または(CF2O)が[]においてランダム状に存在する場合、(CF2CF2O)の繰り返し数の合計が前記nとなり、(CF2O)の繰り返し数の合計が前記pとなる。
式(2−1)〜(2−10)中、n、pはそれぞれ平均1〜50である。また、前記式(2−1)〜(2−10)で表される化合物において、[]内の繰返し数nを有する(CF2CF2O)と、繰返し数pを有する(CF2O)はランダム状に存在していても良いし、ブロック状に存在していてもよい。(CF2CF2O)または(CF2O)が[]においてランダム状に存在する場合、(CF2CF2O)の繰り返し数の合計が前記nとなり、(CF2O)の繰り返し数の合計が前記pとなる。
本発明の含フッ素化合物の中でも、レベリング性に優れ、後述するレジスト組成物中の溶剤や、塗膜の主たる形成成分である樹脂との相溶性が良好なことから一般式(1)で表される含フッ素化合物が好ましく、前記式(1−1)で表される含フッ素化合物がより好ましい。また、一般式(2)で表される化合物においては、式(2−1)で表される化合物が好ましい。
本発明の一般式(1)または一般式(2)で表される含フッ素化合物は、例えば、下記一般式(α―1)または(α―2)
(式中、PFPEはポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖である。R1、R2はそれぞれ炭素原子数1〜4のアルキレン基である。R3はフッ素原子又は炭素原子数1〜4のパーフルオロアルキル基である。)
で表されるアルコール化合物(α)と、下記(β−1)〜(β−4)等の化合物(β)とを反応(エステル化反応)させることにより得られる。
1)2級炭素原子または3級炭素原子を有し、該2級炭素原子または3級炭素原子に直接結合した臭素原子または塩素原子を有する酸ハロゲン化物(β−1)。
2)2級炭素原子または3級炭素原子を有し、該2級炭素原子または3級炭素原子に直接結合した臭素原子または塩素原子を有する酸無水物(β−2)。
3)2級炭素原子または3級炭素原子を有し、該2級炭素原子または3級炭素原子に直接結合した臭素原子または塩素原子を有する酸アルキルエステル化物(β−3)。
4)2級炭素原子または3級炭素原子を有し、該2級炭素原子または3級炭素原子に直接結合した臭素原子または塩素原子を有するカルボン酸化合物(β−4)。
前記一般式(α−1)で表される化合物としては、例えば、下記の化合物等が例示できる。
(式中、nは平均1〜30で、pは平均1〜30である)
前記一般式(α―2)で表される化合物としては、例えば、下記の化合物等が例示できる。
前記酸ハロゲン化物(β−1)としては、例えば、2−ブロモイソ酪酸ブロミド、2−クロロイソ酪酸ブロミド、2−ブロモ−2−メチル酪酸ブロミド、2−クロロ−2−メチル酪酸ブロミド、2−ブロモイソ酪酸クロライド、2−クロロイソ酪酸クロライド、2−ブロモ−2−メチル酪酸クロライド、2−クロロ−2−メチル酪酸クロライド等が挙げられる。
前記酸無水物(β−2)としては、例えば、2−ブロモイソ酪酸無水物、2−クロロイソ酪酸無水物、2−ブロモ−2−メチル酪酸無水物、2−クロロ−2−メチル酪酸無水物等が挙げられる。
前記酸アルキルエステル化物(β−3)としては、例えば、2−ブロモイソ酪酸エチル、2−クロロイソ酪酸エチル、2−ブロモ−2−メチル酪酸エチル、2−クロロ−2−メチル酪酸エチル、2−ブロモイソ酪酸メチル、2−クロロイソ酪酸メチル、2−ブロモ−2−メチル酪酸メチル、2−クロロ−2−メチル酪酸メチル等が挙げられる。
前記カルボン酸化合物(β−4)としては、2−ブロモイソ酪酸、2−クロロイソ酪酸、2−ブロモ−2−メチル酪酸、2−クロロ−2−メチル酪酸等が挙げられる。
前記アルコール化合物(α)と酸ハロゲン化物(β−1)、酸無水物(β−2)、酸アルキルエステル化物(β−3)またはカルボン酸化合物(β−4)を反応させる際は、これらを一括で反応系に仕込んで反応させても良いし、アルコール化合物(α)を仕込んだ後、前記(β−1)〜(β−4)を分割で仕込み反応させてもよい
アルコール化合物(α)と、化合物(β)とを反応させる際、反応系に前記アルコール化合物(α)以外の有機溶剤を反応媒体として混合させても良い。前記有機溶剤としては、ケトン類、エステル類、アミド類、スルホキシド類、エーテル類、炭化水素類が好ましく、具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレン、イソプロピルエーテル、ベンゼン、ヘプタン等が挙げられる。有機溶剤の使用量は、原料であるアルコール化合物(α)と化合物(β)との合計100質量部に対して通常50〜1000質量部である。
化合物(β)として酸ハロゲン化物(β−1)や酸無水物(β−2)を使用する場合、アルコール化合物(α)との反応によってハロゲン化水素やカルボン酸等の酸が生じる。これらの酸を中和する為に、反応系に予め中和剤としてトリエチルアミン等の塩基性化合物を添加しておくことが好ましい。ここで、塩基性化合物の量は、通常、前記アルコール化合物(α)と(β−1)や酸無水物(β−2)の仕込み量から生じると推定される酸よりも多い量、具体的には、例えば酸1当量に対して1.1〜3当量を添加する。
塩基性化合物を反応系に添加してアルコール化合物(α)と酸ハロゲン化物(β−1)や酸無水物(β−2)とを反応させた後は、反応系に酸を添加しても良い。酸を添加することにより、反応系内に残存する塩基性化合物と酸との塩(無機塩)が生成し、後述する洗浄工程において塩基性化合物として系内に存在する場合に比べてより容易に塩基性化合物を除去することができる。前記酸としては、例えば、塩酸、リン酸、硝酸、硫酸、酢酸等を用いることができる。酸の添加量は原料〔アルコール化合物(α)、酸ハロゲン化物(β−1)、酸無水物(β−2)等〕と後述する反応系に添加しても良い溶剤との合計100質量部に対し、通常10〜500質量部である。
化合物(β)として酸ハロゲン化物(β−1)や酸無水物(β−2)を使用する場合、アルコール化合物(α)との反応の後、反応系に水を添加し混合後、水を反応系外に排出する工程(洗浄工程)を行っても良い。この洗浄工程により溶剤中に存在している無機塩を水中に移動させ水と共に反応系外へ排出することができる。洗浄工程の回数は1回でも良いし、複数階行っても良い。水の添加量は、上記原料と溶剤との合計100質量部に対し、通常10〜500質量部である。
更に、前記洗浄工程の後に、反応系に炭酸水素ナトリウム等の弱塩基性化合物を添加し混合後、水を反応系外に排出する工程(洗浄工程)を行っても良い。この工程により前記洗浄工程で除去しきれなかった酸を中和することができる。弱塩基性化合物の添加と排出の回数は1回でも良いし、複数回行っても良い。弱塩基性化合物の添加量は、上記原料と溶剤との合計100質量部に対し、通常10〜500質量部である。
前記アルコール化合物(α)と化合物(β)との反応割合は、アルコール化合物(α)中のヒドロキシル基1モルに対し化合物(β)中の酸基が1〜5モルとなる反応割合が、反応が効率よく進行し、前記洗浄工程等の精製処理が容易であることから好ましく、1〜3モルがより好ましい。
アルコール化合物(α)と酸ハロゲン化物(β−1)との反応温度は、通常−40〜60℃である。反応時間は通常1〜8時間である。
アルコール化合物(α)と酸無水物(β−2)との反応温度は、通常0〜80℃である。反応時間は通常1〜10時間である。
アルコール化合物(α)と酸アルキルエステル化物(β−3)との反応温度は、通常60〜120℃である。反応時間は通常6〜24時間である。
アルコール化合物(α)とカルボン酸化合物(β−4)との反応温度は、通常80〜150℃である。反応時間は通常10〜30時間である。
本発明の含フッ素化合物は、前記の通り、X1で表される基(2級炭素原子または3級炭素原子を有し、該2級炭素原子または3級炭素原子に直接結合した臭素原子または塩素原子を有する1価の有機基)を有する。このように、2級炭素原子または3級炭素原子に直接結合している臭素原子または塩素原子を有すると、金属触媒へのハロゲンのラジカル的結合平衡が容易に起こり、リビング重合が容易に進行することからリビングラジカル重合の開始剤(リビングラジカル重合開始剤)として好ましく用いることができる。
一般にリビングラジカル重合においては、活性重合末端が原子又は原子団により保護されたドーマント種が可逆的にラジカルを発生させてモノマーと反応することにより生長反応が進行し、第一のモノマーが消費されても生長末端が活性を失うことなく、逐次的に追加される第二モノマーと反応してブロックポリマーを得ることができる。このようなリビングラジカル重合の例としては、原子移動ラジカル重合(ATRP)、可逆的付加−開裂型ラジカル重合(RAFT)、ニトロキシドを介するラジカル重合(NMP)、有機テルルを用いるラジカル重合(TERP)等が挙げられる。本発明の含フッ素化合物は重合を起こしやすい(開始効率が良好である)ことからATRPに好ましく用いることができる。本発明の含フッ素化合物を用いたATRPは、具体的には、該含フッ素化合物を開始剤とし、遷移金属化合物と配位子からなる金属錯体を触媒として用いることで行うことができる。
前記ATRPで使用する遷移金属化合物は、Mn+Xnで表されるものである。遷移金属であるMn+は、Cu+、Cu2+、Fe2+、Fe3+、Ru2+、Ru3+、Cr2+、Cr3+、Mo0、Mo+、Mo2+、Mo3+、W2+、W3+、Rh3+、Rh4+、Co+、Co2+、Re2+、Re3+、Ni0、Ni+、Mn3+、Mn4+、V2+、V3+、Zn+、Zn2+、Au+、Au2+、Ag+及びAg2+からなる群から選択することができる。また、Xは、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルコキシル基、(S04)1/2、(P04)1/3、(HP04)1/2、(H2P04)、トリフラート、ヘキサフルオロホスフェート、メタンスルホネート、アリールスルホネート(好ましくはベンゼンスルホネート又はトルエンスルホネート)、SeR1、CN及びR2COOからなる群から選択することができる。ここで、R1は、アリール、直鎖状又は分岐状の炭素原子数1〜20(好ましくは炭素原子数1〜10)のアルキル基を表し、R2は、水素原子、ハロゲンで1〜5回(好適にはフッ素もしくは塩素で1〜3回)置換されていてもよい直鎖状又は分岐状の炭素原子数1〜6のアルキル基(好ましくはメチル基)を表す。さらに、nは、金属上の形式電荷を表し、0〜7の整数である。
上記遷移金属錯体としては特に限定されないが、好ましいものとして、7、8、9、10、11族の遷移金属錯体が、さらに好ましいものとして、0価の銅、1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄又は2価のニッケルの錯体が挙げられる。
上記の遷移金属と配位結合可能な配位子を有する化合物としては、遷移金属とσ結合を介して配位できる1つ以上の窒素原子、酸素原子、リン原子又は硫黄原子を含む配位子を有する化合物、遷移金属とπ結合を介して配位できる2つ以上の炭素原子を含む配位子を有する化合物、遷移金属とμ結合又はη結合を介して配位できる配位子を有する化合物が挙げられる。
上記配位子を有する化合物の具体例としては、例えば、中心金属が銅の場合は2,2’−ビピリジル及びその誘導体、1,10−フェナントロリン及びその誘導体、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン等のポリアミン等の配位子との錯体が挙げられる。また2価のルテニウム錯体としては、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロトリス(トリブチルホスフィン)ルテニウム、ジクロロ(シクロオクタジエン)ルテニウム、ジクロロベンゼンルテニウム、ジクロロp−シメンルテニウム、ジクロロ(ノルボルナジエン)ルテニウム、シス−ジクロロビス(2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジクロロトリス(1,10−フェナントロリン)ルテニウム、カルボニルクロロヒドリドトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム等が挙げられる。さらに2価の鉄錯体としては、ビストリフェニルホスフィン錯体、トリアザシクロノナン錯体等が挙げられる。
本発明の含フッ素重合体は、本発明の含フッ素化合物由来の構造と、ラジカル重合性不飽和単量体(A)の重合体構造とを有することを特徴とする。ここで、「含フッ素化合物由来の構造」とは、前記一般式(1)または一般式(2)が有するX1から臭素原子または塩素原子が外れた構造を言う。
本発明の含フッ素重合体は、例えば、本発明の含フッ素化合物をリビングラジカル重合の開始剤とし、ラジカル重合性不飽和単量体(A)をリビングラジカル重合して得られるものを例示できる。より具体的には、例えば、本発明の含フッ素化合物、前記の遷移金属化合物、前記の遷移金属と配位結合可能な配位子を有する化合物、及び後述する溶媒の存在下で、ラジカル重合性不飽和単量体(A)をリビングラジカル重合して得られる重合体を挙げることができる。
リビングラジカル重合の際に用いることができる溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒;ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒などが挙げられる。また、これらの溶媒は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
また、本発明の含フッ素重合体としては、例えば、下記一般式(I)または一般式(II)
上記式中、PFPEはポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖である。R1、R2はそれぞれ炭素原子数1〜4のアルキレン基である。R3はフッ素原子又は炭素原子数1〜4のパーフルオロアルキル基である。R4は1価の有機基である。R5、R6、R7はそれぞれ、水素原子またはメチル基である。Xはそれぞれ、ハロゲン原子または炭素原子数1〜10のアルキル基である。n1とn2との合計は平均1〜800である。n3は平均1〜800である。
前記一般式(I)または一般式(II)で表される重合体を製造する際に用いる含フッ素化合物中のX1が3級の炭素原子を有し、且つ、その炭素原子に直接結合した臭素原子または塩素原子を有する基である場合、R5、R6及びR7はメチル基であることが、ラジカル重合性不飽和単量体(A)のリビングラジカル重合の効率が良好となり、その結果として分子量分布の狭い、均一な重合体となることから好ましい。
前記n1とn2との合計、n3はそれぞれ平均3〜500が好ましく、5〜300がより好ましい。R4で表される1価の有機基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、芳香族基、オキシアルキレン基、シロキサン基等が挙げられる。
また、R4で表される1価の有機基としては、酸の作用により分解してアルカリ可用性基を生じる基(酸分解性基)も例示することができる。酸分解性基としては、例えば、後述する酸分解性基を例示することができる。
本発明の含フッ素重合体を得るために用いるラジカル重合性不飽和単量体(A)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;
スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン等の芳香族ビニル類;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド類などが挙げられる。
また、ラジカル重合性不飽和単量体(A)として、ポリオキシアルキレン基を有するラジカル重合性不飽和単量体(A1)も例示することができる。本発明の含フッ素重合体の中でも、前記ラジカル重合性不飽和単量体(A1)由来の構造を含むものは、レベリング性に優れる塗膜が得られる組成物となり、特にカラーレジスト組成物に好ましく使用することができる。
前記ラジカル重合性不飽和単量体(A1)としては、例えば、炭素原子数2〜4のオキシアルキレン基を繰り返し単位とするものを好ましく使用できる。具体的には、例えば、
ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール・テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール・ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール・テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール・ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール・ブチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール・ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール・ブチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール・ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(テトラエチレングリコール・ブチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリテトラエチレングリコール・ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール・トリメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール・ポリトリメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール・トリメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール・ポリトリメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(トリメチレングリコール・テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリトリメチレングリコール・ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(ブチレングリコール・トリメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコール・ポリトリメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
中でも、異物が少なく、レベリング性にも優れる塗膜が得られることから、ポリオキシアルキレン基がポリオキシプロピレン基またはポリオキシブチレン基が好ましい。ポリオキシプロピレン基及びポリオキシブチレン基を有するラジカル重合性不飽和単量体がより好ましい。
本発明において、「ポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)」は、エチレングリコールとプロピレングリコールとのランダム共重合物を意味し、「ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール」は、エチレングリコールとプロピレングリコールとのブロック共重合物を意味する。
前記炭素原子数2〜4のオキシアルキレン基を繰り返し単位数としては、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール、ポリ(プロピレングリコール・ブチレングリコール、ポリプロピレングリコール・ポリブチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール・トリメチレングリコール)ポリプロピレングリコール・ポリトリメチレングリコールが好ましく、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール、ポリ(プロピレングリコール・ブチレングリコール、ポリプロピレングリコール・ポリブチレングリコール)がより好ましい。
また、ラジカル重合性不飽和単量体(A)として、酸の作用により分解してアルカリ可溶性基を生じる基を有するラジカル重合性不飽和単量体(A2)も例示することができる。本発明の含フッ素重合体の中でも、前記ラジカル重合性不飽和単量体(A2)由来の構造を含むものは、異物の発生が少なく、撥水性等の発液性に優れ、アルカリ現像液による現像性も良好な塗膜が得られる組成物となり、特にLSIなどの半導体集積回路の製造に用いるレジスト組成物に好ましく使用することができる。
前記ラジカル重合性不飽和単量体(A2)が有する酸の作用により分解してアルカリ可溶性基を生じる基(酸分解性基)としては、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基、チオール基等のアルカリ可溶性基の水素原子が、酸の作用により脱離する基で保護された基を挙げることができる。
ここで、アルカリ可溶性基の水素原子が、酸の作用により脱離する基で保護された基としては、例えば、アルカリ可用性基が有する水素原子をターシャリーブチル基、2−アルキル−2−アダマンチル基または1−アルコキシエチル基で保護したものを好ましく例示できる。そして、前記酸分解性基は酸の作用により分解してカルボン酸を発生する基であることが好ましい。
前記2−アルキル−2−アダマンチルとしては、例えば、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、2−プロピル−2−アダマンチル基、2−イソプロピル−2−アダマンチル基、2−ブチル−2−アダマンチル基、2−ペンチル−2−アダマンチル基、2−ヘキシル−2−アダマンチル基等が挙げられる。
前記1−アルコキシエチル基としては、例えば、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−プロポキシエチル基、1−イソプロポキシエチル基、1−ブトキシエチル基、1−イソブトキシエチル基、1−ペンチルオキシエチル基、1−ヘキシルオキシエチル基、1−シクロヘキシルオキシエチル基等が挙げられる。
前記ラジカル重合性不飽和単量体(A2)の具体例としては、例えば、ターシャリーブチルアクリレート、ターシャリーブチルメタクリレート等のターシャリーブチル(メタ)アクリレート類;2−メチル−2−アダマンチルアクリレート、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート、2−エチル−2−アダマンチルアクリレート、2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート等のアダマンチル(メタ)アクリレート類;1−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、1−シクロヘキシルオキシ(メタ)アクリレート等のアルコキシ(メタ)アクリレート類等を好ましく例示することができる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレートとアクリレートの一方又は両方をいい、「(メタ)アクリロイル基」とは、メタクリロイル基とアクリロイル基の一方又は両方をいい、「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸とアクリル酸の一方又は両方をいう。
本発明の含フッ素重合体の製造方法は、本発明の含フッ素化合物を開始剤とし、ラジカル重合性不飽和単量体(A)をリビングラジカル重合することを特徴とする。前記ラジカル重合性不飽和単量体(A)をリビングラジカル重合させる際の温度は、通常、20〜80℃である。反応時間は通常3〜24時間である。
前記ラジカル重合性不飽和単量体(A)としてラジカル重合性不飽和単量体(A2)を必須として用い、該ラジカル重合性不飽和単量体(A2)以外の単量体を併用する場合、その使用量は、ラジカル重合性不飽和単量体(A2)100質量部に対して10〜400質量部が好ましく、10〜100質量部がより好ましい。
本発明の含フッ素重合体は前記の通り、リビングラジカル重合により得られるものであり、リビングラジカル重合の際に用いる前記遷移金属化合物に起因する金属が含フッ素重合体中に残留することがある。そこで、本発明の含フッ素重合体を、金属が残留すると問題を生じるフォトレジスト組成物等の半導体用途に用いる場合には、重合反応後に活性アルミナ等を用いて含フッ素重合体から残留金属を除去することが好ましい。
本発明の含フッ素重合体は、例えば、レジスト組成物に好ましく含有させることができる。本発明の含フッ素重合体は上記レジスト組成物への溶解性が良好となることから、数平均分子量(Mn)が500〜200,000の範囲であることが好ましく、600〜100,000の範囲であることがより好ましい。また、重量平均分子量(Mw)が700〜400,000の範囲であることが好ましく、1,000〜200,000の範囲であることがより好ましい。これらの数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、上記のGPCの測定により求めることができる。
ここで、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)はゲル浸透クロマトグラフィー(以下、「GPC」と略記する。)測定に基づきポリスチレン換算した値である。なお、GPCの測定条件は以下の通りである。
[GPC測定条件]
測定装置:東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HHR−H」(6.0mmI.D.×4cm)+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)
検出器:ELSD(オルテックジャパン株式会社製「ELSD2000」)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIデータ解析バージョン4.30」
測定条件:カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン(THF)
流速 1.0ml/分
試料:樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(5μl)。
標準試料:前記「GPC−8020モデルIIデータ解析バージョン4.30」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
東ソー株式会社製「F−288」
東ソー株式会社製「F−550」
本発明のレジスト組成物は本発明の含フッ素重合体〔以下、含フッ素重合体(B)と略記することがある。〕を含有することを特徴とする。本発明のレジスト組成物としては、例えば、下記に示すものを例示することができる。
含フッ素重合体(B)と、アルカリ可溶性樹脂(C)と、アルカリ可溶性樹脂(C)以外の重合性化合物(D)と、着色剤(E)とを含むレジスト組成物〔以下、これをレジスト組成物(1)と略記することがある。〕。当該レジスト組成物(1)は、例えば、カラーフィルターの各画素を形成する為の組成物(カラーレジスト組成物)や各画素間に設けるブラックマトリックスを形成するための組成物(ブラックマトリックスレジスト組成物)として好適に用いる事ができる。
含フッ素重合体(B)と、酸の作用によりアルカリ性の溶液に対する溶解性が増大する樹脂(F)と、露光により酸を発生する酸発生成分(G)とを含むレジスト組成物〔以下、これをレジスト組成物(2)と略記することがある。〕。当該レジスト組成物(2)は、例えば、LSIなどの半導体集積回路を形成するためのポジ型レジスト組成物として好適に用いる事ができる。
含フッ素重合体(B)と、酸の作用により有機溶剤に対する溶解性が減少する樹脂(H)と、露光により酸を発生する酸発生成分(G)とを含むレジスト組成物〔以下、これをレジスト組成物(3)と略記することがある。〕。当該レジスト組成物(3)は、例えば、LSIなどの半導体集積回路を形成するためのネガ型レジスト組成物として好適に用いる事ができる。
以下に、レジスト組成物(1)について詳述する。前記アルカリ可溶性樹脂(C)は、アルカリ溶解性を有する樹脂である。ここで、アルカリ溶解性とは、アルカリ化合物の水溶液(現像液)に溶解する性質のことをいう。具体的には、例えば、樹脂濃度20質量%の樹脂溶液(溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)により膜厚1μmの樹脂膜を基板上に形成し、濃度0.05質量%のKOH水溶液に1分間浸漬した際に、膜厚0.01μm以上溶解する性質を例示することができる。
前記アルカリ可溶性樹脂(C)は、アルカリ現像液に可溶のものであれば特に限定はないが、カルボキシル基、フェノール性水酸基及びスルホン酸基の群から選ばれる少なくとも1つの酸基又はその塩を有する樹脂が好ましい。
前記アルカリ可溶性樹脂(C)としては、例えば、光硬化性を有さないアルカリ可溶性樹脂(光硬化性基不含有のアルカリ可溶性樹脂)や、光硬化性を有するアルカリ可溶性樹脂(光硬化性基含有のアルカリ可溶性樹脂)等を例示することができる。
前記光硬化性基不含有のアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、以下の樹脂等が挙げられる。
・酸性基を有する(メタ)アクリル系重合性単量体を必須の成分として重合させて得られるアルカリ可溶性樹脂(C1)
・反応性基を持つ(メタ)アクリル系重合性単量体を必須の成分として重合させて得られる酸性基を有さない重合体と、該反応性基に対して反応性を有する反応性基と酸基とを有する化合物とを反応させて得られるアルカリ可溶性樹脂(C2)
前記光硬化性基含有のアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、以下の樹脂等が挙げられる。
・エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他の重合性単量体との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和モノカルボン酸を付加させ、さらに不飽和モノカルボン酸の付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部にポリカルボン酸の酸無水物を付加反応させて得られるアルカリ可溶性樹脂(C3)
・カルボキシル基と重合性不飽和基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(C4)
・カルボキシル基と重合性不飽和基を有するカルド型樹脂(C5)
以下に、上記(C1)〜(C5)について詳細に説明する。
前記アルカリ可溶性樹脂(C1)としては、例えば、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系重合性単量体を必須の成分として重合させて得られるアルカリ可溶性樹脂やスルホン酸基を有する(メタ)アクリル系重合性単量体を必須の成分として重合させて得られるアルカリ可溶性樹脂等が挙げられる。中でも、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系重合性単量体を必須の成分として重合させて得られるアルカリ可溶性樹脂が好ましい。
前記カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、ケイ皮酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルフタル酸等の重合性単量体;
アクリル酸にε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトンを付加させた重合性単量体;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートにコハク酸、マレイン酸、フタル酸、又はこれらの酸無水物を付加させた重合性単量体等が挙げられる。これらのカルボキシル基を有する(メタ)アクリル系重合性単量体は、1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。前記カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系重合性単量体の中でも、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸が好ましい。
前記スルホン酸基を有する(メタ)アクリル系重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸−2−スルホエチル、(メタ)アクリル酸−2−スルホプロピル、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸又はこれらの塩等が挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂(C1)を調製する際は、本発明の効果を損なわない範囲で他の重合性単量体を併用しても良い。他の単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル;
スチレン及びその誘導体等の芳香族ビニル化合物;N−ビニルピロリドン等のビニル化合物;N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ベンジルマレイミド等のN−置換マレイミド;
ポリメチル(メタ)アクリレートマクロモノマー、ポリスチレンマクロモノマー、ポリ2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートマクロモノマー、ポリエチレングリコールマクロモノマー、ポリプロピレングリコールマクロモノマー、ポリカプロラクトンマクロモノマー等のマクロモノマーなどが挙げられる。他の重合性単量体は1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。
上記他の重合性単量体の中でも、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミドが、透明性が良好で、耐熱性を損ないにくい点から好ましい。
これら他の重合性単量体の使用量は、全重合性単量体成分中95質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましい。
アルカリ可溶性樹脂(C1)の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸と、メチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルマレイミド等の水酸基を含まない重合性単量体と、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有重合性単量体との共重合体;
(メタ)アクリル酸と、メチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体;
(メタ)アクリル酸とスチレンとの共重合体;(メタ)アクリル酸とスチレンとα−メチルスチレンとの共重合体;(メタ)アクリル酸とシクロヘキシルマレイミドとの共重合体等が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂(A1)の中でも顔料分散性に優れるカラーレジスト組成物が得られることから、ベンジル(メタ)アクリレートを用いたアルカリ可溶性樹脂が好ましい。
前記アルカリ可溶性樹脂(C1)の酸価は、30〜500の範囲が好ましく、40〜350の範囲がより好ましく、50〜300の範囲がさらに好ましい。また、前記アルカリ可溶性樹脂(C1)のGPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、2,000〜80,000の範囲が好ましく、3,000〜50,000の範囲がより好ましく、4,000〜30,000の範囲がさらに好ましい。
尚、アルカリ可溶性樹脂(C1)において、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系重合性単量体を必須の成分として重合させて得られるカルボキシル基含有アルカリ可溶性樹脂のカルボキシル基にエポキシ基含有不飽和化合物を付加させたアルカリ可溶性樹脂(C1−1)は、光硬化性基含有のアルカリ可溶性樹脂として使用することもできる。
前記エポキシ基含有不飽和化合物としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、グリシジル−α−エチルアクリレート、クロトニルグリシジルエーテル、(イソ)クロトン酸グリシジルエーテル、N−(3,5−ジメチル−4−グリシジル)ベンジルアクリルアミド、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が挙げられる。また、耐熱性の向上、着色剤(B)として顔料を用いた際の分散性の向上を図れることから、脂環式エポキシ基含有不飽和化合物が好ましい。
前記脂環式エポキシ基含有不飽和化合物が有する脂環式エポキシ基としては、例えば、2,3−エポキシシクロペンチル基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、7,8−エポキシ〔トリシクロ[5.2.1.0]デシ−2−イル〕基等が挙げられる。また、エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基が好ましい。脂環式エポキシ基含有不飽和化合物は、1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。
前記カルボキシル基を含有するアルカリ可溶性樹脂のカルボキシル基部分に、前記エポキシ基含有不飽和化合物を付加させるには、公知の手法を用いることができる。例えば、カルボキシル基含有アルカリ可溶性樹脂とエポキシ基含有不飽和化合物とを、トリエチルアミン、ベンジルメチルアミン等の3級アミン;ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩;ピリジン、トリフェニルホスフィン等の触媒の存在下、有機溶剤中、反応温度50〜150℃で数時間〜数十時間反応させることにより、樹脂のカルボキシル基にエポキシ基含有不飽和化合物を付加することができる。
前記アルカリ可溶性樹脂(C1−1)の酸価は、10〜200の範囲が好ましく、20〜150の範囲がより好ましく、30〜150の範囲がさらに好ましい。また、アルカリ可溶性樹脂(C1−1)のGPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は、2,000〜100,000の範囲が好ましく、4,000〜50,000の範囲がより好ましく、5,000〜30,000の範囲がさらに好ましい。
また、前記アルカリ可溶性樹脂(C1)の中でも、エーテルダイマーやアダマンチル基等の脂環構造を有する(メタ)アクリル酸エステルを重合性単量体として用いて得られたアルカリ可溶性樹脂(C1−2)が好ましい。
前記エーテルダイマーとしては、例えば、ジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−プロピル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソプロピル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−ブチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソブチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−アミル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ステアリル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ラウリル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−エチルヘキシル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−メトキシエチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−エトキシエチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジフェニル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチルシクロヘキシル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ジシクロペンタジエニル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(トリシクロデカニル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソボルニル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジアダマンチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−メチル−2−アダマンチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート等が挙げられる。これらの中でも、ジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエートが好ましい。これらのエーテルダイマーは、1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。
アルカリ可溶性樹脂(C1−2)の原料としてエーテルダイマーを用いる場合は、重合性単量体中におけるエーテルダイマーの割合は、ゲル化を抑制して低分子量のアルカリ可溶性樹脂が得られ、透明性や耐熱性に優れるカラーレジスト組成物となることから、全重合性単量体の質量の2〜60質量%の範囲が好ましく、5〜55質量%の範囲がより好ましく、5〜50重量%の範囲がさらに好ましい。
一方、アルカリ可溶性樹脂(C1−2)の原料としてアダマンチル基等の脂環構造を有する(メタ)アクリル酸エステルを用いる場合は、該(メタ)アクリル酸エステルの使用割合は、着色剤(B)に顔料を用いた際の顔料分散性を向上でき、地汚れ適性が良好なカラーレジスト組成物が得られることから、全重合性単量体の質量の0.5〜60質量%の範囲が好ましく、1〜55質量%の範囲がより好ましく、5〜50重量%の範囲がさらに好ましい。
本発明で用いるアルカリ可溶性樹脂(C1)の製造方法としては、特に制限はなく、従来公知の各種方法を採用することができるが、特に、溶液重合法が好ましい。なお、重合温度や重合濃度(重合濃度=[重合性単量体の全重量/(重合性単量体の全重量+溶媒重量)]×100)は、使用する重合性単量体の種類や比率、目標とするアルカリ可溶性樹脂の分子量によって異なる。重合温度に関しては、40〜150℃の範囲が好ましく、重合温度60〜130℃の範囲がより好ましい。また、重合濃度に関しては、5〜50%の範囲が好ましく、10〜40%の範囲がより好ましい。
溶液重合法で用いる溶媒は、通常のラジカル重合反応で使用されるものでよい。具体的には、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のエステル類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類;トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;クロロホルム;ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。これら溶媒は、1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。
前記重合性単量体を重合する際には、必要に応じて、重合開始剤を使用しても良い。重合開始剤としては、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ化合物などが挙げられる。これら重合開始剤は、1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。これらの重合開始剤の使用量は、用いる単量体の組み合わせや、反応条件、目標とするアルカリ可溶性樹脂(C1)の分子量等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、ゲル化することなく重量平均分子量が数千〜数万のアルカリ可溶性樹脂が得られることから、全重合性単量体成分に対して0.1〜15質量%の範囲が好ましく、0.5〜10質量%の範囲がより好ましい。
また、分子量調整のために、連鎖移動剤を添加してもよい。連鎖移動剤としては、例えば、n−ドデシルメルカプタン、メルカプト酢酸、メルカプト酢酸メチル等のメルカプタン系連鎖移動剤;α−メチルスチレンダイマー等が挙げられるが、連鎖移動効果が高く、反応系内に残存する重合性単量体を低減でき、入手も容易な、n−ドデシルメルカプタン、メルカプト酢酸が好ましい。連鎖移動剤を使用する場合の使用量は、用いる単量体の組み合わせや、反応条件、目標とする単量体の分子量等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、ゲル化することなく重量平均分子量が数千〜数万のアルカリ可溶性樹脂を得られることから、全単量体に対して0.1〜15質量%の範囲が好ましく、0.5〜10質量%の範囲がより好ましい。
本発明で用いるアルカリ可溶性樹脂(C2)は、反応性基を持つ(メタ)アクリル系重合性単量体を必須の成分として重合させて得られる酸性基を有さない重合体と、該反応性基に対して反応性を有する基と酸基とを有する化合物とを反応させて得られる。アルカリ可溶性樹脂(C2)は、例えば、以下のアルカリ可溶性樹脂が例示できる。
・2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのような水酸基を有する重合性単量体を必須の成分として重合体を得た後、コハク酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、マレイン酸無水物等の酸無水物を付加させて得られるアルカリ可溶性樹脂。
・グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有する重合性単量体を必須の成分として重合体を得た後、N−メチルアミノ安息香酸、N−メチルアミノフェノール等のアミノ基と酸基を有する化合物を付加させて得られるアルカリ可溶性樹脂。
・2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基を有する重合性単量体を必須の成分として重合体を得た後、2−ヒドロキシ酪酸等の水酸基と酸基を有する化合物を付加させて得られるアルカリ可溶性樹脂。
前記アルカリ可溶性樹脂(C2)の重量平均分子量は、塗膜形成が良好で耐熱性に優れる塗膜が得られることから、GPCにて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が1,000〜200,000の範囲が好ましく、2,000〜50,000の範囲がより好ましく、2,000〜30,000の範囲がさらに好ましい。また、必要に応じ、前記アルカリ可溶性樹脂(C1)の調製に用いる重合性単量体を併用してアルカリ可溶性樹脂(C2)を得ても良い。
本発明で用いるアルカリ可溶性樹脂(C3)は、エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他の重合性単量体との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和モノカルボン酸を付加させ、さらに不飽和モノカルボン酸の付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部にポリカルボン酸の酸無水物を付加反応させて得られる。
前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が挙げられる。中でもグリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。これらのエポキシ基含有(メタ)アクリレートは1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。
また、前記アルカリ可溶性樹脂(C3)の原料であるエポキシ基含有(メタ)アクリレート以外の他の重合性単量体として、ノルボルネン骨格、ジシクロペンタジエン骨格等の脂環式構造を有するモノマーを用いると、本発明のカラーレジスト組成物の硬化物の耐熱性、機械的強度を向上できるため好ましい。
また、脂環式構造を有さない重合性単量体を前記エポキシ基含有(メタ)アクリレート以外の他の重合性単量体として用いてもよい。このような重合性モノマーとしては、例えば、スチレン、スチレンのα−、o−、m−、p−アルキル、ニトロ、シアノ、アミド、エステル誘導体等のビニル芳香族類;
ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン類;
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸−i−プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−s−ブチル、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸プロパギル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ナフチル、(メタ)アクリル酸アントラセニル、(メタ)アクリル酸アントラニノニル、(メタ)アクリル酸ピペロニル、(メタ)アクリル酸サリチル、(メタ)アクリル酸フリル、(メタ)アクリル酸フルフリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフリル、(メタ)アクリル酸ピラニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェネチル、(メタ)アクリル酸クレジル、(メタ)アクリル酸−1,1,1−トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロ−n−プロピル、(メタ)アクリル酸パーフルオロ−iso−プロピル、(メタ)アクリル酸トリフェニルメチル、(メタ)アクリル酸クミル、(メタ)アクリル酸−3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸エステル類;
(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジプロピルアミド、(メタ)アクリル酸−N,N−ジ−i−プロピルアミド、(メタ)アクリル酸アントラセニルアミド等の(メタ)アクリル酸アミド;(メタ)アクリル酸アニリド、(メタ)アクリロイルニトリル、アクロレイン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、酢酸ビニル等のビニル化合物類;
シトラコン酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等の不飽和ジカルボン酸ジエステル類;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド等のモノマレイミド類;N−(メタ)アクリロイルフタルイミド等が挙げられる。
上記の他の重合性単量体の中でも、本発明の着色硬化性組成物をレジスト組成物として用いた際に、硬化物の耐熱性、機械的強度を向上できることから、スチレン、(メタ)アクリル酸ベンジル及びモノマレイミド類の中から少なくとも1種を用いることが好ましい。スチレン、(メタ)アクリル酸ベンジル及びモノマレイミド類の使用割合は、他の重合性単量体の全量を基準として1〜70モル%が好ましく、3〜50モル%がより好ましい。
なお、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、前記他の重合性単量体との共重合反応は、ラジカル重合開始剤を用いた溶液重合法等の公知の重合方法を用いることができる。使用する溶剤はラジカル重合に不活性なものであれば特に限定されるものではなく、通常用いられている有機溶剤を使用することができる。
前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと前記他の重合性単量体との共重合体としては、エポキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位5〜90モル%と、他のラジカル重合性モノマーに由来する繰返し単位10〜95モル%と、からなるものが好ましく、前者20〜80モル%と、後者80〜20モル%とからなるものがより好ましく、前者30〜70モル%と、後者70〜30モル%とからなるものがさらに好ましい。
前記アルカリ可溶性樹脂(C3)は、例えば、上記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと他の重合性単量体との共重合体のエポキシ基部分に、不飽和モノカルボン酸(重合性成分)と、ポリカルボン酸の酸無水物(アルカリ可溶性成分)とを反応させる事により得られる。
前記不飽和モノカルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸、α−位がハロアルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基などで置換された(メタ)アクリル酸等のモノカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも(メタ)アクリル酸が好ましい。これらの不飽和モノカルボン酸は、1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。この不飽和モノカルボン酸を用いることで、前記アルカリ可溶性樹脂(C3)に重合性を付与することができる。
前記不飽和モノカルボン酸は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に付加させることが好ましく、30〜100モル%に付加させることがより好ましく、50〜100モル%に付加させることがさらに好ましい。
前記ポリカルボン酸の酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸等のジカルボン酸の酸無水物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の3つ以上のカルボキシル基を有するカルボン酸の無水物などが挙げられる。これらの中でも、テトラヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸が好ましい。これらのポリカルボン酸の酸無水物は、1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。このポリカルボン酸の酸無水物を用いることで、前記アルカリ可溶性樹脂(C3)にアルカリ可溶性を付与することができる。
前記ポリカルボン酸の酸無水物は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基に、不飽和モノカルボン酸を付加させることにより生じる水酸基の10〜100モル%に付加させることが好ましく、20〜90モル%に付加させることがより好ましく、30〜80モル%に付加させることがさらに好ましい。
前記アルカリ可溶性樹脂(C3)のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、3,000〜100,000の範囲が好ましく、5,000〜50,000の範囲がより好ましい。また、前記アルカリ可溶性樹脂(C3)の分散度(Mw/Mn)は、2.0〜5.0の範囲が好ましい。
前記エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(C4)は、例えば、エポキシ樹脂にα,β−不飽和モノカルボン酸又はエステル部分にカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させ、さらに、多塩基酸無水物を反応させることにより得られる。
前記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(市販品として、ジャパンエポキシレジン株式会社製の「エピコート828」、「エピコート1001」、「エピコート1002」、「エピコート1004」等)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のアルコール性水酸基とエピクロルヒドリンの反応により得られるエポキシ樹脂(市販品として、日本化薬株式会社製の「NER−1302」(エポキシ当量323,軟化点76℃))、ビスフェノールF型樹脂(市販品として、ジャパンエポキシレジン株式会社製の「エピコート807」、「EP−4001」、「EP−4002」、「EP−4004」等)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂のアルコール性水酸基とエピクロルヒドリンの反応により得られるエポキシ樹脂(市販品として、日本化薬株式会社製の「NER−7406」(エポキシ当量350,軟化点66℃))、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニルグリシジルエーテル(市販品として、ジャパンエポキシレジン株式会社製の「YX−4000」)、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(市販品として、日本化薬株式会社製の「EPPN−201」、ジャパンエポキシレジン株式会社製の「EP−152」、「EP−154」、ダウケミカル日本株式会社製の「DEN−438」)、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(市販品として、日本化薬株式会社製の「EOCN−102S」、「EOCN−1020」、「EOCN−104S」)、トリグリシジルイソシアヌレート(市販品として、日産化学工業株式会社製の「TEPIC」)、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂(市販品として、日本化薬株式会社製の「EPPN−501」、「EPN−502」、「EPPN−503」)、フルオレンエポキシ樹脂(市販品として、新日鐵化学株式会社製のカルドエポキシ樹脂「ESF−300」)、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業株式会社製の「セロキサイド2021P」、「セロキサイドEHPE」)、ジシクロペンタジエンとフェノールの反応によるフェノール樹脂をグリシジル化したジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(例えば、日本化薬株式会社製の「XD−1000」、DIC株式会社製の「EXA−7200」、日本化薬株式会社製の「NC−3000」、「NC−7300」)、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂(特開平4−355450号公報参照)等を用いることができる。これらのエポキシ樹脂は、1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。
エポキシ樹脂の他の例としては共重合型エポキシ樹脂が挙げられる。共重合型エポキシ樹脂としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルメチルシクロヘキセンオキサイド、ビニルシクロヘキセンオキサイド等のエポキシ基を有するモノマーと、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、スチレン、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、α−メチルスチレン、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有さない重合性単量体とを共重合させて得られる共重合体が挙げられる。
前記ポリオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート;メトキシジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、等のアルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記共重合型エポキシ樹脂の分子量は、1,000〜200,000の範囲が好ましい。また、共重合型エポキシ樹脂の原料として用いるエポキシ基を有するモノマーの使用量は、エポキシ基を有さないモノマーに対して10〜70質量%の範囲が好ましく、20〜50質量%の範囲がより好ましい。
前記共重合型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、日油株式会社製の「CP−15」、「CP−30」、「CP−50」、「CP−20SA」、「CP−510SA」、「CP−50S」、「CP−50M」、「CP−20MA」等が挙げられる。
前記エポキシ樹脂の分子量は、塗膜形成が良好でα,β−不飽和モノカルボン酸の付加反応時のゲル化を防止できることから、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量として、200〜200,000の範囲が好ましく、300〜100,000の範囲がより好ましい。
α,β−不飽和モノカルボン酸としては、例えば、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられ、アクリル酸及びメタクリル酸が好ましく、アクリル酸が反応性に良好なことからより好ましい。エステル部分にカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルとしては、アクリル酸−2−サクシノイルオキシエチル、アクリル酸−2−マレイノイルオキシエチル、アクリル酸−2−フタロイルオキシエチル、アクリル酸−2−ヘキサヒドロフタロイルオキシエチル、メタクリル酸−2−サクシノイルオキシエチル、メタクリル酸−2−マレイノイルオキシエチル、メタクリル酸−2−フタロイルオキシエチル、メタクリル酸−2−ヘキサヒドロフタロイルオキシエチル、クロトン酸−2−サクシノイルオキシエチル等が挙げられ、アクリル酸−2−マレイノイルオキシエチル及びアクリル酸−2−フタロイルオキシエチルが好ましく、アクリル酸−2−マレイノイルオキシエチルがより好ましい。これらのα,β−不飽和モノカルボン酸及びα,β−不飽和モノカルボン酸エステルは、1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。
α,β−不飽和モノカルボン酸又はそのエステルと、エポキシ樹脂との付加反応は、公知の方法を用いることができ、例えば、エステル化触媒存在下、50〜150℃の温度で反応させる方法が挙げられる。エステル化触媒としては、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ベンジルジメチルアミン、ベンジルジエチルアミン等の3級アミン;テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩等を用いることができる。
α,β−不飽和モノカルボン酸又はそのエステルの使用量は、原料となるエポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対し0.5〜1.2当量の範囲が好ましく、0.7〜1.1当量の範囲がより好ましい。
α,β−不飽和カルボン酸又はそのエステルが付加したエポキシ樹脂に、さらに付加させる多塩基酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらの中でも、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が好ましく、無水テトラヒドロフタル酸及びビフェニルテトラカルボン酸二無水物がより好ましい。これらの多塩基酸無水物は、1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。
多塩基酸無水物の付加反応についても公知の方法を用いることができ、α,β−不飽和カルボン酸又はそのエステルの付加反応と同様な条件下で連続して反応させることができる。多塩基酸無水物の使用量は、アルカリ現像性及び塗膜形成を良好なものとできることから、生成するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂の酸価が10〜150の範囲となるような量が好ましく、20〜140の範囲となるような量がより好ましい。
また、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂として特開平6−49174号公報記載のナフタレン含有樹脂;特開2003−89716号公報、特開2003−165830号公報、特開2005−325331号公報、特開2001−354735号公報記載のフルオレン含有樹脂;特開2005−126674号公報、特開2005−55814号公報、特開2004−295084号公報等に記載の樹脂も例示できる。また、市販品としては、ダイセル化学工業株式会社製の「ACA−200M」等も例示できる。
前記カルド樹脂型樹脂(C5)は、カルボキシル基と重合性不飽和基とを有する。一般に、カルド型樹脂は高耐熱性、溶剤溶解性、高透明性、高屈折率、低複屈折、高ガス透過性等の種々の特性を有する高分子材料であり、カラーフィルターの各画素やブラックマトリックスを形成する際のバインダー樹脂として用いられており、特にブラックマトリックスを形成する際のバインダー樹脂として好ましく使用できる。
前記カルド型樹脂とは環状の基が高分子主鎖に直接結合した構造を持つ樹脂の総称であるが、主鎖にかさ高い置換基が存在することにより、(1)ポリマー主鎖の回転束縛、(2)主鎖および側鎖のコンフォメーション規制、(3)分子間パッキングの阻害、(4)側鎖の芳香族置換基導入による芳香族性の増加、などが発現され、さらに物性上の特徴として、高耐熱性、溶剤溶解性、高透明性、高屈折率、低複屈折などに加えて、より高いガス透過性を示すとされている。
前記カルド型樹脂(C5)としては、例えば、下記一般式(C5−1)で示される樹脂を好ましく挙げることができる。
式中Xは、下記化学式(C5−2)で示される基であり、Yはジカルボン酸無水物からカルボン酸無水物基(−CO−O−CO−)を除いた残基であり、Zはテトラカルボン酸二無水物から2個のカルボン酸無水物基を除いた残基である。nは0〜20の整数である。)
前記Yを誘導するジカルボン酸無水物(カルボン酸無水物基を除く前のジカルボン酸無水物)の具体例としては、例えば無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸等が挙げられる
また、前記Zを誘導するテトラカルボン酸二無水物(2個のカルボン酸無水物基を除く前のテトラカルボン酸二無水物)の具体例としては、例えば無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
前記カルド樹脂の重量ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜1,000,000が好ましく、3,000〜50,000がより好ましく、5,000〜15,000が最も好ましい。
アルカリ可溶性樹脂(C)は、上記のアルカリ可溶性樹脂(C1)〜(C5)のうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、アルカリ可溶性樹脂(C)は、後述する顔料分散剤と併用することで、基板上の非画素部に未溶解物が残存することなく、基板との密着性に優れた、高濃度の色画素を形成できるため好ましい。具体的には、アルカリ可溶性樹脂(C)の一部を後述の顔料分散剤とともに、分散処理工程に使用することが好ましい。この場合、アルカリ可溶性樹脂(C)は、後述する着色剤(E)に対して5〜200質量%の範囲で使用することが好ましく、10〜100質量%の範囲で使用することがより好ましい。
また、本発明で用いるアルカリ可溶性樹脂(C)としては、上記のアルカリ可溶性樹脂(C1)〜(C5)以外のアルカリ可溶性樹脂を使用しても良い。このような樹脂として、例えば、酸性基としてフェノール性水酸基を有する重合性単量体を必須成分として用いて得られるアルカリ可溶性樹脂や、酸性基としてスルホン酸基を有する重合性単量体を必須成分として用いて得られるアルカリ可溶性樹脂等が挙げられる。ここで、前記フェノール性水酸基を有する重合性単量体としては、例えば、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン等が挙げられる。また、これらの単量体の芳香環に結合したフェノール性水酸基及びビニル基以外の1個以上の水素原子が、アルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミド基に置換された化合物等も挙げられる。また、酸性基としてスルホン酸基を有する重合性単量体としては、例えば、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アリルオキシプロパンスルホン酸、(メタ)アクリル酸−2−スルホエチル、又はこれらの塩等が挙げられる。
本発明のレジスト組成物(1)において、アルカリ可溶性樹脂(C)の組成物中の含有割合は、塗膜の外観や基板への密着性が良好となることから、全固形分中に0.1〜80質量%の範囲が好ましく、1〜60質量%の範囲がより好ましい。
また、レジスト組成物(1)中の含フッ素重合体(B)の含有割合としては、アルカリ可溶性樹脂(C)100質量部に対して0.01〜10質量部が、レジスト樹脂の性能を妨げず含フッ素重合体(B)が有する界面活性能を発現できることから好ましく、0.05〜5質量部がより好ましい。
本発明で用いる重合性化合物(D)としては、例えば、エチレン性不飽和結合を一つ以上有する重合性化合物(D1)を例示することができる。
エチレン性不飽和結合を一つ有する重合性化合物(D1)としては、例えば、アルカリ可溶性樹脂(C)の調製で用いる重合性単量体等が挙げられる。中でも、(メタ)アクリル酸エステル類が好ましい。
エチレン性不飽和結合を二つ有する重合性化合物(D2)としては、例えば、1,3―ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイロキシエチル)エーテル、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エチレン性不飽和結合を三つ有する重合性化合物(D3)としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物等が挙げられる。
エチレン性不飽和結合を四つ有する重合性化合物(D4)としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エチレン性不飽和結合を5つ以上有する重合性化合物(D5)としては、例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレートと酸無水物カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレートと酸無水物等が挙げられる。
また、本発明で用いる重合性化合物(D)として、光硬化性樹脂も例示することができる。
前記光硬化性樹脂は、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、マレイミド基含有樹脂及びカルド型樹脂等が挙げられる。
前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、例えば、脂肪族ポリイソシアネート化合物又は芳香族ポリイソシアネート化合物とヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート化合物とを反応させて得られるウレタン結合と(メタ)アクリロイル基とを有する樹脂等が挙げられる。
前記脂肪族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート等が挙げられ、また、芳香族ポリイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート等が挙げられる。
前記芳香族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、クルードジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。
前記ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート等の2価アルコールのモノ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート等の3価のアルコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート、あるいは、これらのアルコール性水酸基の一部をε−カプロラクトンで変性した水酸基含有モノ及びジ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の1官能の水酸基と3官能以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、あるいは、該化合物をさらにε−カプロラクトンで変性した水酸基含有多官能(メタ)アクリレート;ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート化合物;ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシブチレン−ポリオキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート等のブロック構造のオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート化合物;ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等のランダム構造のオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
上記した脂肪族ポリイソシアネート化合物又は芳香族ポリイソシアネート化合物とヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート化合物との反応は、例えば、ウレタン化触媒の存在下、常法により行うことができる。ここで使用し得るウレタン化触媒は、具体的には、ピリジン、ピロール、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミンなどのアミン類;トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィンなどのホフィン類;ジブチル錫ジラウレート、オクチル錫トリラウレート、オクチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫などの有機錫化合物;オクチル酸亜鉛などの有機金属化合物が挙げられる。
これらのウレタン(メタ)アクリレート樹脂の中でも特に脂肪族ポリイソシアネート化合物とヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート化合物とを反応させて得られるものが硬化膜の透明性に優れ、かつ、活性エネルギー線に対する感度が良好で硬化性に優れる点から好ましい。
前記不飽和ポリエステル樹脂は、例えば、α,β−不飽和二塩基酸又はその酸無水物、該二塩基酸又はその酸無水物以外の二塩基酸及び、グリコール類の重縮合によって得られる硬化性樹脂等が挙げられる。α,β−不飽和二塩基酸又はその酸無水物としては、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロルマレイン酸、及びこれらのエステル等が挙げられる。
前記α,β−不飽和二塩基酸又はその酸無水物以外の二塩基酸やその酸無水物としては、例えば、芳香族飽和二塩基酸、脂肪族二塩基酸、脂環族飽和二塩基酸及びこれらの酸無水物等が挙げられる。芳香族飽和二塩基酸又はその酸無水物としては、例えば、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ニトロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸及びこれらのエステル等が挙げられる。脂肪族二塩基酸、脂環族飽和二塩基酸及びこれらの酸無水物としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、グルタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸及びこれらのエステル等が挙げられる。グリコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチルプロパン−1,3−ジオール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、エチレングリコールカーボネート、2,2−ジ−(4−ヒドロキシプロポキシジフェニル)プロパン等が挙げられ、その他にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等の酸化物も同様に使用できる。
前記エポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂のエポキシ基に(メタ)アクリル酸を反応させて得られるもの等が挙げられる。
前記マレイミド基含有樹脂としては、例えば、N−ヒドロキシエチルマレイミドとイソホロンジイソシアネートとをウレタン化して得られる2官能マレイミドウレタン化合物、マレイミド酢酸とポリテトラメチレングリコールとをエステル化して得られる2官能マレイミドエステル化合物、マレイミドカプロン酸とペンタエリスリトールのテトラエチレンオキサイド付加物とをエステル化して得られる4官能マレイミドエステル化合物、マレイミド酢酸と多価アルコール化合物とをエステル化して得られる多官能マレイミドエステル化合物等が挙げられる。これらの活性エネルギー線硬化型樹脂は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
前記カルド樹脂とは一般に、環状の基が高分子鎖に直接結合した構造を有する樹脂の総称であり、例えば、下記の構造を有する樹脂を例示することができる。
(式中、Rは水素原子またはアルキル基を表す。R’は水素原子またはメチル基を表す。nは0〜20の整数である。)
本発明で用いる重合性化合物(D)のなかでも特に硬化膜の硬度に優れる点からトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールテトラ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレートが好ましい。これらの重合性化合物(D)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
重合性化合物(D)の合計含有量は、着色硬化性樹脂組成物の固形分に対して、10〜50質量%が好ましく、15〜50質量%がより好ましい。重合性化合物(D)の合計含有量が、前記の範囲にあると、感度や、硬化膜の強度や平滑性、信頼性が良好になる傾向がある。
重合性化合物(D)の中でも重合性化合物(D5)の含有量は、着色硬化性樹脂組成物の固形分に対して、1〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、5〜35質量%が特に好ましい。重合性化合物(D5)の含有量が、前記の範囲にあると、感度や、硬化膜の強度や平滑性、信頼性が良好になる。
また、重合性化合物(D)の中でも重合性化合物(D5)の含有量は、重合性化合物(D1)、(D2)、(D3)、(D4)及び(D5)の合計量に対して、10〜95質量%が好ましく、20〜90質量%がより好ましい。重合性化合物(D5)の含有量が、前記の範囲にあると、感度や硬化膜の強度や平滑性、信頼性が良好になる傾向がある。
本発明で用いる着色剤(E)は、着色が可能なものであれば良く、例えば、顔料(e1)や染料(e2)を例示することができる。
前記顔料(e1)としては、有機顔料、無機顔料のいずれであっても用いることができる。前記有機顔料としては、例えば、赤色顔料、緑色顔料、青色顔料、黄色顔料、紫色顔料、オレンジ顔料、ブラウン顔料、黒色顔料等の各色相の顔料を使用することができる。また、有機顔料の化学構造としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンツイミダゾロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、インダンスレン系、ペリレン系等が挙げられる。なお、下記の「C.I.」は、カラーインデックスを意味する。
前記赤色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、1 01、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276等が挙げられる。これらの中でも、C.I.ピグメントレッド48:1、122、168、177、202、206、207、209、224、242又は254が好ましく、C.I.ピグメントレッド177、209、224又は254がより好ましい。
前記緑色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55、58、59等が挙げられる。これらの中でも、C.I.ピグメントグリーン7、36、58又は59が好ましい。
前記青色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79等が挙げられる。これらの中でも、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、又は15:6が好ましく、C.I.ピグメントブルー15:6がより好ましい。
前記黄色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75,81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、150、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208等が挙げられる。これらの中でも、C.I.ピグメントイエロー83、117、129、138、139、150、154、155、180又は185が好ましく、C.I.ピグメントイエロー83、129、138、139、150、180又は185がより好ましい。
前記紫色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50等が挙げられる。これらの中でも、C.I.ピグメントバイオレット19又は23が好ましく、C.I.ピグメントバイオレット23がより好ましい。
前記オレンジ顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ1、2、5、13、16、17、19、20、21、22、23、24、34、36、38、39、43、46、48、49、61、62、64、65、67、68、69、70、71、72、73、74、75、77、78、79等が挙げられる。これらの中でも、C.I.ピグメントオレンジ38又は71が好ましい。
液晶表示装置および有機EL表示装置に用いるカラーフィルターの3原色の各画素は、赤(R)、緑(G)、青(B)であるため、前記赤色顔料、緑色顔料及び青色顔料を主成分とし、色再現性を向上する目的で、黄色、紫色、オレンジ等の色の有機顔料を色相調整として用いてもよい。
前記黒色顔料は、本発明の着色硬化性樹脂組成物をブラックマトリックス(BM)を形成するための用途として用いる際の着色剤として使用することができる。黒色顔料としては、例えば、カーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、ボーンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、黒鉛、鉄黒、チタンブラック等が挙げられる。また、2種以上の有機顔料を混合し、混色により黒色とした組み合わせでも構わない。これらの中でも、遮光率、画像特性の観点からカーボンブラック、チタンブラックが好ましい。
前記カーボンブラックの市販品としては、例えば、三菱化学株式会社製のMA7、MA8、MA11、MA100、MA100R、MA220、MA230、MA600、#5、#10、#20、#25、#30、#32、#33、#40、#44、#45、#47、#50、#52、#55、#650、#750、#850、#950、#960、#970、#980、#990、#1000、#2200、#2300、#2350、#2400、#2600、#3050、#3150、#3250、#3600、#3750、#3950、#4000、#4010、OIL7B、OIL9B、OIL11B、OIL30B、OIL31Bや、エボニックデグサジャパン株式会社製のPrintex3、Printex3OP、Printex30、Printex30OP、Printex40、Printex45、Printex55、Printex60、Printex75、Printex80、Printex85、Printex90、Printex A、Print ex L、Printex G、Printex P、Printex U、Printex V、PrintexG、SpecialBlack550、SpecialBlack 350、SpecialBlack250、SpecialBlack100、SpecialBlack6、SpecialBlack5、SpecialBlack4、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW18、Color Black FW200、Color Black S160、Color Black S170や、キャボットジャパン株式会社製のMonarch120、Monarch280、Monarch460、Monarch800、Monarch880、Monarch900、Monarch1000、Monarch1100、Monarch1300、Monarch1400、Monarch4630、REGAL99、REGAL99R、REGAL415、REGAL415R、REGAL250、REGAL250R、REGAL330、REGAL400R、REGAL55R0、REGAL660R、BLACK PEARLS480、PEARLS130、VULCAN XC72R、ELFTEX−8等が挙げられ、コロンビヤンカーボン社製のRAVEN11、RAVEN14、RAVEN15、RAVEN16、RAVEN22RAVEN30、RAVEN35、RAVEN40、RAVEN410、RAVEN420、RAVEN450、RAVEN500、RAVEN780、RAVEN850、RAVEN890H、RAVEN1000、RAVEN1020、RAVEN1040、RAVEN1060U、RAVEN1080U、RAVEN1170、RAVEN1190U、RAVEN1250、RAVEN1500、RAVEN2000、RAVEN2500U、RAVEN3500、RAVEN5000、RAVEN5250、RAVEN5750、RAVEN7000等が挙げられる。
上記のカーボンブラックの中でも、カラーフィルターのブラックマトリックスに要求される高い光学濃度及び高い表面抵抗率を有するものとして、樹脂で被覆されたカーボンブラックを用いるのが好ましい。なお、樹脂で被覆されたカーボンブラックは、例えば、特開平9−26571号公報、特開平9−71733号公報、特開平9−95625号公報、特開平9−238863号公報又は特開平11−60989号公報に記載の方法で、公知のカーボンブラックを処理することにより得ることができる。
また、前記チタンブラックの作製方法としては、特開昭49−5432号公報記載の二酸化チタンと金属チタンの混合体を還元雰囲気下で加熱し還元させる方法、特開昭57−205322号公報記載の四塩化チタンの高温加水分解で得られた超微細二酸化チタンを水素を含む還元雰囲気中で還元する方法、特開昭60−65069号公報及び特開昭61−201610号公報記載の二酸化チタン又は水酸化チタンをアンモニア存在下で高温還元する方法、特開昭61−201610号公報記載の二酸化チタン又は水酸化チタンにバナジウム化合物を付着させ、アンモニア存在下で高温還元する方法等が挙げられる。チタンブラックの市販品としては、例えば、三菱マテリアル株式会社製のチタンブラック10S、12S、13R、13M、13M−C等が挙げられる。
また、2種以上の有機顔料を混合し、混色により黒色としたものも黒色顔料として使用する事ができる。2種以上の有機顔料を混合し、混色により黒色とした組み合わせとしては、例えば、赤色、緑色、青色の三色の顔料を混合した黒色顔料が挙げられる。黒色顔料を調製するために混合使用可能な色材としては、ビクトリアピュアブルー(C.I.42595)、オーラミンO(C.I.41000)、カチロンブリリアントフラビン(ベーシック13)、ローダミン6GCP(C.I.45160)、ローダミンB(C.I.45170)、サフラニンOK70:100(C.I.50240)、エリオグラウシンX(C.I.42080)、No.120/リオノールイエロー(C.I.21090)、リオノールイエローGRO(C.I.21090)、シムラーファーストイエロー8GF(C.I.21105)、ベンジジンイエロー4T−564D(C.I.21095)、シムラーファーストレッド4015(C.I.12355)、リオノールレッド7B4401(C.I.15850)、ファーストゲンブルーTGR−L(C.I.74160)、リオノールブルーSM(C.I.26150)、リオノールブルーES(C.I.ピグメントブルー15:6)、リオノーゲンレッドGD(C.I.ピグメントレッド168)、リオノールグリーン2YS(C.I.ピグメントグリーン36)等が挙げられる。
黒色顔料を調製するために混合使用可能なその他の色材としては、例えば、C.I.黄色顔料20、24、86、93、109、110、117、125、137、138、147、148、153、154、166、C.I.オレンジ顔料36、43、51、55、59、61、C.I.赤色顔料9、97、122、123、149、168、177、180、192、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、C.I.バイオレット顔料19、23、29、30、37、40、50、C.I.青色顔料15、15:1、15:4、22、60、64、C.I.緑色顔料7、C.I.ブラウン顔料23、25、26等が挙げられる。
また、前記無機顔料としては、例えば、硫酸バリウム、硫酸鉛、酸化チタン、黄色鉛、ベンガラ、酸化クロム等が挙げられる。
前記有機顔料の平均粒径は、カラー液晶表示装置および有機EL表示装置の輝度を高めるため、1μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましく、0.3μm以下がさらに好ましい。これらの平均粒径となるよう、有機顔料を分散処理して使用することが好ましい。また、前記有機顔料の平均一次粒径は、100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、40nm以下がさらに好ましく、10〜30nmの範囲が特に好ましい。なお、有機顔料の平均粒径は、動的光散乱式の粒度分布計で測定したものであり、例えば、日機装株式会社製のナノトラック(Nanotrac)粒度分布測定装置「UPA−EX150」、「UPA−EX250」等で測定することができる。
尚、黒色顔料の中でもカーボンブラックを使用する場合、平均一次粒径は0.01〜0.08μmの範囲が好ましく、現像性が良好なことから0.02〜0.05μmの範囲がより好ましい。また、使用するカーボンブラックのジブチルフタル酸(以下、「DBP」と略記する。)吸収量は、40〜100cm3/100gの範囲が好ましく、分散性・現像性が良好なことから50〜80cm3/100gの範囲がより好ましい。さらに、使用するカーボンブラックのBET法による比表面積は50〜120m2/gの範囲が好ましく、分散安定性が良好なことから60〜95m2/gの範囲がより好ましい。
また、カーボンブラックは、粒子形状が有機顔料等と異なり、1次粒子が融着したストラクチャーと呼ばれる状態で存在し、また後処理により粒子表面に微細な細孔を形成させる場合がある。したがって、カーボンブラックの粒子形状を表すため、一般的には、前記有機顔料と同じ方法で求められる1次粒子の平均粒径の他に、DBP吸収量(JIS K6221)とBET法による比表面積(JIS K6217)を測定しストラクチャーや細孔量の指標とすることが好ましい。
前記有機顔料は、必要に応じて、ロジン処理、酸性基又は塩基性基が導入された顔料誘導体などを用いた表面処理、高分子化合物などによる顔料表面へのグラフト処理、硫酸微粒化法などによる微粒化処理又は不純物を除去するための有機溶剤や水などによる洗浄処理、イオン性不純物のイオン交換法などによる除去処理などが施されていてもよい。
また、前記有機顔料は、粒径が均一であることが好ましい。粒径が均一な有機顔料は、例えば、顔料分散剤を含有させて分散処理を行うことで得ることができる。
前記の顔料分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、ポリエステル系、ポリアミン系、アクリル系などの界面活性剤等が挙げられる。これらの顔料分散剤は、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記顔料分散剤を用いる場合、その使用量は、顔料(e1)1質量部あたり、好ましくは1質量部以下であり、より好ましくは0.05質量部以上0.5質量部以下である。顔料分散剤の使用量がこの範囲にあると、均一な分散状態の顔料分散液が得られる傾向があるため好ましい。
本発明で用いる染料(e2)としては、例えば、下記(e−2−1)
で表される塩やキサンテン系染料等を好ましく例示できる。
前記キサンテン系染料としては、例えば、C.I.アシッドレッド51、52、87、92、289、388、C.I.アシッドバイオレット9、30、C.I.ベーシックレッド8、C.I.モーダントレッド27、ローズベンガルB、スルホローダミンG、ローダミン6G、特開2010−032999号公報や特開2011−138094号公報等に記載されたキサンテン系染料等が挙げられる。
前記キサンテン系染料の中でも、下記式(e−2−2)で表される化合物を主成分とする染料が好ましい。
式(e−2−2)中、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜20の1価の飽和炭化水素基(但し、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子の一部ないし全部が、ハロゲン原子で置換されていてもよい。以下、これをR8と称す)、又は炭素原子数6〜10の1価の芳香族炭化水素基[但し、該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、−R8、−OH、−OR8、−SO3−、−SO3H、−SO3 −M+〔但し、M+は、+N(R11)4(R11は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜20の1価の飽和炭化水素基又は炭素原子数7〜10のアラルキル基である)、Na+又はK+である〕、−CO2H、−CO2R8、−SO3R8又は−SO2NR9R10(R9及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素原子数1〜20の1価の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、−OH又はハロゲン原子で置換されていてもよく、該飽和脂肪族炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−、−CO−、−NH−又は−NR8−で置き換っていてもよく、R9及びR10は、互いに結合して窒素原子を含んだ3〜10員環の複素環を形成していてもよい。)で置換されていてもよい。]であり、
R5は、−OH、−SO3−、−SO3H、−SO3 −M+、−CO2H、−CO2 −M+、−CO2R8、−SO3R8又は−SO2NR9R10であり、mは0〜5の整数を表し(但し、mが2以上の整数である場合、複数のR5は同一であっても、異なっていてもよい。)、
R6及びR7は、それぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基である。
前記式(e−2−2)中のR1〜R4における炭素原子数6〜10の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トルイル基、キシリル基、メシチル基、プロピルフェニル基及びブチルフェニル基等が挙げられる。
前記式(e−2−2)における炭素原子数6〜10の1価の芳香族炭化水素基は、置換基として、−SO3−、−SO3H、−SO3 −M+及び−SO2NR9R10からなる群から選ばれる少なくとも1種を有していることが好ましく、−SO3 −M+及び−SO2NR9R10からなる群から選ばれる少なくとも1種を有していることがより好ましい。この場合の−SO3 −M+としては、−SO3 −+N(R11)4が好ましい。R1〜R4がこれらの基であると、着色硬化性樹脂組成物は、異物の発生が少なく、かつ耐熱性に優れる硬化膜が得られることが期待できる。
前記R8〜R11における炭素原子数1〜20の1価の飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、イコシル基等の炭素数1〜20のアルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、トリシクロデシル基等の炭素原子数3〜20のシクロアルキル基等が挙げられる。
前記式(e−2−2)中のR6及びR7における炭素原子数1〜6のアルキル基としては、例えば、上記で挙げたアルキル基のうち、炭素原子数1〜6のもの等が挙げられる。
前記R11における炭素原子数7〜10のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルブチル基等が挙げられる。
前記M+は、例えば、+N(R11)4、Na+又はK+であり、好ましくは+N(R11)4である。前記+N(R11)4としては、例えば、4つのR11のうち、少なくとも2つが炭素原子数5〜20の1価の飽和炭化水素基であることが好ましい。また、4つのR11の合計炭素数は20〜80が好ましく、20〜60がより好ましい。R11がこれらの基である化合物を用いると、本発明の着色硬化性樹脂組成物から、異物が少ない硬化膜が得られやすい。
また、前記キサンテン系染料の中でも、下記式(e−2−3)で表される化合物がより好ましい。
式(e−2−3)中、R21〜R24は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜20の1価の飽和炭化水素基〔以下R26と称す〕、又は炭素原子数6〜10の1価の芳香族炭化水素基〔但し、該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、−SO3−、−SO3 −Ma+[Ma+は、+N(R27)4(R27は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20の1価の飽和炭化水素基又はベンジル基である)、Na+又はK+である]、−SO3H、−SO3R26又は−SO2NHR26で置換されていてもよい。〕であり、
Xは、ハロゲン原子であり、a1は、0又は1の整数であり、
R25は、−SO3−、−SO3 −Ma+、−SO3H又はSO2NHR26であり、m1は、0〜5の整数(但し、m1が2以上の整数である場合、複数のR25は同一であっても異なっていてもよい)である。
前記式(e−2−3)中のR21〜R24における炭素原子数6〜10の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、R1〜R4における芳香族炭化水素基として挙げたものと同様の基が挙げられる。中でも、R21及びR23が水素原子で、かつR22及びR24が炭素原子数6〜10の1価の芳香族炭化水素基で、該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、−SO3−、−SO3−M+、−SO3H、−SO3R26又は−SO2NHR26で置換されていてもよいものであることが好ましい。さらに、R21及びR23が水素原子で、かつ、R22及びR24が炭素原子数6〜10の1価の芳香族炭化水素基で、該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、−SO3 −M+又は−SO2NHR26で置換されていているものが好ましい。R21〜R24がこれらの基である化合物を用いると、本発明の着色硬化性樹脂組成物から、耐熱性に優れる硬化膜が得られやすい。
前記R26及びR27における炭素原子数1〜20の1価の飽和炭化水素基としては、例えば、前記R8〜R11における飽和炭化水素基として挙げたものと同様の基等が挙げられる。
前記R21〜R24における−R26は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基又はエチル基であることが好ましい。
前記R26としては、炭素原子数3〜20の分枝鎖状アルキル基が好ましく、炭素原子数6〜12の分枝鎖状アルキル基がより好ましく、2−エチルヘキシル基がさらに好ましい。R26がこれらの基である化合物を用いると、本発明の着色硬化性樹脂組成物から、異物が少ない硬化膜が得られやすい。
前記Ma+は、+N(R27)4、Na+又はK+であり、好ましくは+N(R27)4である。前記+N(R27)4としては、4つのR27のうち、少なくとも2つが炭素原子数5〜20の1価の飽和炭化水素基であることが好ましい。また、4つのR27の合計炭素原子数は20〜80が好ましく、20〜60がより好ましい。R27がこれらの基である化合物を用いると、本発明の着色硬化性樹脂組成物から、異物が少ない硬化膜が得られやすい。
本発明で用いることができる好ましいキサンテン系染料としては、例えば、式(e−2−4)〜式(e−2−21)で表される化合物を主成分とする染料等が挙げられる。尚、下記式中、Raは2−エチルヘキシル基を表す。
キサンテン系染料の主成分となる化合物の中でも、C.I.アシッドレッド289のスルホンアミド化物又はC.I.アシッドレッド289の4級アンモニウム塩が好ましい。このような化合物としては、例えば、式(e−2−4)〜式(e−2−11)、式(e−2−16)及び式(e−2−17)で表される化合物等が挙げられる。
前記式(e−2−1)で表される化合物は、例えば、−SO3Hを有する色素または色素中間体を定法によりクロル化して、得られた−SO2Clを有する色素または色素中間体をR8−NH2で表されるアミンと反応させることにより製造することができる。また、特開平3−78702号公報3頁の右上欄〜左下欄に記載の方法により製造された色素を、上記同様、クロル化後、アミンと反応させることにより製造することもできる。
本発明で用いる染料(e2)は、前記式(e−2−1)で表される塩やキサンテン系染料以外のトリアリールメタン系染料、クマリン系染料、トリメチン系染料、アントラキノン系染料など、その他の染料を使用することもできる。前記その他の染料としては、例えば、油溶性染料、酸性染料、酸性染料のアミン塩や酸性染料のスルホンアミド誘導体などの染料等が挙げられ、具体的には、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)で染料に分類されている化合物や、染色ノート(色染社)に記載されている種々の染料等が挙げられる。
前記その他の染料としては、例えば、C.I.ソルベントイエロー4(以下、C.I.ソルベントイエローの記載を省略し、番号のみの記載とする。)、14、15、23、24、38、62、63、68、82、94、98、99、;C.I.ソルベントレッド45、49、125、130;C.I.ソルベントオレンジ2、7、11、15、26、56;等のC.I.ソルベント染料、
C.I.アシッドイエロー1、3、7、9、11、17、23、25、29、34、36、38、40、42、54、65、72、73、76、79、98、99、111、112、113、114、116、119、123、128、134、135、138、139、140、144、150、155、157、160、161、163、168、169、172、177、178、179、184、190、193、196、197、199、202、203、204、205、207、212、214、220、221、228、230、232、235、238、240、242、243、251;
C.I.アシッドレッド1、4、8、14、17、18、26、27、29、31、34、35、37、42、44、50、51、52、57、66、73、80、87、88、91、92、94、97、103、111、114、129、133、134、138、143、145、150、151、158、176、182、183、198、206、211、215、216、217、227、228、249、252、257、258、260、261、266、268、270、274、277、280、281、195、308、312、315、316、339、341、345、346、349、382、383、394、401、412、417、418、422、426;
C.I.アシッドオレンジ6、7、8、10、12、26、50、51、52、56、62、63、64、74、75、94、95、107、108、169、173;
C.I.アシッドバイオレット6B、7、9、17、19;等のC.I.アシッド染料、
C.I.ダイレクトイエロー2、33、34、35、38、39、43、47、50、54、58、68、69、70、71、86、93、94、95、98、102、108、109、129、136、138、141;
C.I.ダイレクトレッド79、82、83、84、91、92、96、97、98、99、105、106、107、172、173、176、177、179、181、182、184、204、207、211、213、218、220、221、222、232、233、234、241、243、246、250;
C.I.ダイレクトオレンジ34、39、41、46、50、52、56、57、61、64、65、68、70、96、97、106、107;C.I.ダイレクトバイオレット47、52、54、59、60、65、66、79、80、81、82、84、89、90、93、95、96、103、104;等のC.I.ダイレクト染料、
C.I.モーダントイエロー5、8、10、16、20、26、30、31、33、42、43、45、56、61、62、65;
C.I.モーダントレッド1、2、3、4、9、11、12、14、17、18、19、22、23、24、25、26、30、32、33、36、37、38、39、41、43、45、46、48、53、56、63、71、74、85、86、88、90、94、95;
C.I.モーダントオレンジ3、4、5、8、12、13、14、20、21、23、24、28、29、32、34、35、36、37、42、43、47、48;
C.I.モーダントバイオレット1、2、4、5、7、14、22、24、30、31、32、37、40、41、44、45、47、48、53、58;等のC.I.モーダント染料等が挙げられる。
本発明において、着色剤(E)として、顔料(e1)を使用することにより、最終的に得られる耐光性、耐候性及び堅牢性が優れる硬化膜が得られる。また、顔料(e1)と染料(e2)とを併用することにより、耐光性、耐候性及び堅牢性が優れると共に透過スペクトルの最適化が容易な硬化膜が得られやすい。
着色剤(E)として、顔料(e1)と染料(e2)とを併用する場合、染料(e2)の含有率は、含フッ素重合体(B)、アルカリ可溶性樹脂(C)、光硬化性化合物(D)及び着色剤(E)の合計に対して5〜60質量%が、本発明のレジスト組成物を用いて得られる硬化膜をカラーフィルタ−としたときの色濃度が十分であり、機械的強度が十分なパターンを形成することができることから好ましく、8〜55質量%がより好ましく、10〜50質量%が更に好ましい。
また、着色剤(E)として、顔料(e1)と染料(e2)とを併用する場合、顔料(e1)の含有率は、前記(B)、(C)、(D)及び(E)の合計に対して3〜70質量%が好ましく、3〜50質量%がより好ましく、50〜97質量%が更に好ましい。
前記顔料(e1)と染料(e2)との含有量比率は、質量比[(e1):(e2)]で1:99〜99:1が好ましく、99:1〜40:60が好ましく、95:5〜60:40がより好ましい。このような比率で顔料(e1)と染料(e2)とが含まれることにより、得られる着色硬化性樹脂組成物は、透過スペクトルの最適化が容易な硬化膜が得られやすい。さらに、耐熱性、耐薬品性が良好な硬化膜を形成できる。
本発明のレジスト組成物(1)には、通常、光重合開始剤を含有する。光重合開始剤としては、光の作用により活性ラジカル及び酸等を発生し、重合性化合物(D)の重合を開始する化合物であれば特に限定されることなく、種々の重合開始剤を用いることができる。
前記光重合開始剤としては、例えばビイミダゾール化合物、アルキルフェノン化合物、トリアジン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、オキシム化合物が好ましい。また、特開2008−181087号公報に記載された光カチオン重合開始剤(例えば、オニウムカチオンとルイス酸由来のアニオンとから構成されているもの)を用いてもよい。中でも、感度の点で、オキシム化合物が好ましい。
前記のビイミダゾール化合物としては、例えば、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,3−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール(例えば、特開平6−75372号公報、特開平6−75373号公報等参照。)、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(ジアルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール(例えば、特公昭48−38403号公報、特開昭62−174204号公報等参照。)、4,4’5,5’−位のフェニル基がカルボアルコキシ基により置換されているイミダゾール化合物(例えば、特開平7−10913号公報等参照。)等が挙げられる。好ましくは2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2、3−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2、4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾールが挙げられる。
前記アルキルフェノン化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)プロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジルブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−2−(4−メチルフェニルメチル)ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−イソプロペニルフェニル)プロパン−1−オンのオリゴマー等が挙げられ、好ましくは2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)プロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジルブタン−1−オン等が挙げられる。イルガキュア369、907(以上、BASFジャパン社製)等の市販品を用いてもよい。
前記トリアジン化合物としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
前記アシルホスフィンオキサイド開始剤としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。イルガキュア819(チバ・ジャパン社製)等の市販品を用いてもよい。
前記オキシム化合物としては、例えば、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)ブタン−1−オン−2−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−{2−メチル−4−(3,3−ジメチル−2,4−ジオキサシクロペンタニルメチルオキシ)ベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン等が挙げられる。イルガキュアOXE−01、OXE−02(以上、BASFジャパン社製)、N−1919(ADEKA社製)等の市販品を用いてもよい。
また、連鎖移動を起こしうる基を有する重合開始剤として、特表2002−544205号公報に記載されている光重合開始剤を使用してもよい。前記の連鎖移動を起こしうる基を有する重合開始剤としては、例えば、下記の化合物等が挙げられる。
さらに重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;9,10−フェナンスレンキノン、2−エチルアントラキノン、カンファーキノン等のキノン化合物;10−ブチル−2−クロロアクリドン、ベンジル、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物等が挙げられる。これらは、後述の重合開始助剤(特にアミン類)と組み合わせて用いることが好ましい。
本発明のレジスト組成物(1)には、さらに重合開始助剤が含まれていてもよい。重合開始助剤は、光重合開始剤と組み合わせて用いられ、重合開始剤によって重合が開始された重合性化合物の重合を促進するために用いられる化合物、もしくは増感剤である。
重合開始助剤としては、例えば、アミン化合物、チアゾリン化合物、アルコキシアントラセン化合物、チオキサントン化合物、カルボン酸化合物等が挙げられる。前記アミン化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられ、中でも4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。EAB−F(保土谷化学工業(株)製)等の市販品を用いてもよい。
前記チアゾリン化合物としては、例えば下記の化合物等が挙げられる。
前記アルコキシアントラセン化合物としては、例えば、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジブトキシアントラセン等が挙げられる。
前記チオキサントン化合物としては、例えば、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等が挙げられる。
前記カルボン酸化合物としては、例えば、フェニルスルファニル酢酸、メチルフェニルスルファニル酢酸、エチルフェニルスルファニル酢酸、メチルエチルフェニルスルファニル酢酸、ジメチルフェニルスルファニル酢酸、メトキシフェニルスルファニル酢酸、ジメトキシフェニルスルファニル酢酸、クロロフェニルスルファニル酢酸、ジクロロフェニルスルファニル酢酸、N−フェニルグリシン、フェノキシ酢酸、ナフチルチオ酢酸、N−ナフチルグリシン、ナフトキシ酢酸等が挙げられる。
光重合開始剤の含有量は、アルカリ可溶性樹脂(C)及び重合性化合物(D)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1〜40質量部、より好ましくは1〜30質量部である。光重合開始剤の合計量がこの範囲にあると、高感度でパターンを形成することができ、パターンの耐薬品性、機械強度、表面平滑性が良好になる傾向がある。
本発明において重合開始助剤を用いる場合、その使用量は、アルカリ可溶性樹脂(C)及び重合性化合物(D)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.01〜50質量部、より好ましくは0.1〜40質量部である。また、光重合開始剤(E)1モルあたり、好ましくは0.01〜10モル、より好ましくは0.01〜5モルである。重合開始助剤の量がこの範囲にあると、さらに高感度でパターンを形成することができ、パターンの生産性が向上する傾向にある。
また、本発明のレジスト組成物(1)は、さらに多官能チオール化合物を含有していてもよい。この多官能チオール化合物は、分子内に2個以上のスルファニル基を有する化合物である。なかでも、脂肪族炭化水素基に隣接するスルファニル基を2個以上有する化合物を用いると、高感度でパターンを形成することができるため好ましい。
本発明のレジスト組成物(1)には、通常、溶剤を含有する。溶剤は特に限定されず、当該分野で通常使用される溶剤を用いることができる。例えば、エステル溶剤(−COO−を含む溶剤)、エステル溶剤以外のエーテル溶剤(−O−を含む溶剤)、エーテルエステル溶剤(−COO−と−O−とを含む溶剤)、エステル溶剤以外のケトン溶剤(−CO−を含む溶剤)、アルコール溶剤、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤、ジメチルスルホキシド等の中から選択して用いることができる。これらの溶剤は、単独でも2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
前記エステル溶剤としては、例えば、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2−ヒドロキシイソブタン酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、シクロヘキサノールアセテート、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
前記エーテル溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アニソール、フェネトール、メチルアニソールなどが挙げられる。
前記エーテルエステル溶剤としては、例えば、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
前記ケトン溶剤としては、例えば、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、アセトン、2−ブタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロンなどが挙げられる。
前記アルコール溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。
前記芳香族炭化水素溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどが挙げられる。
前記アミド溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。
上記の溶剤のうち、塗布性、乾燥性の点から、1atmにおける沸点が120℃以上180℃以下である有機溶剤が好ましい。中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が好ましい。
溶剤の含有量は、着色硬化性樹脂組成物に対して、好ましくは60〜95質量%であり、より好ましくは70〜90質量%である。言い換えると、着色硬化性樹脂組成物の固形分は、好ましくは5〜40質量%であり、より好ましくは10〜30質量%である。溶剤の含有量が前記の範囲にあると、塗布時の平坦性が良好になる傾向がある。
本発明のレジスト瀬尾生物(1)は、必要に応じて充填剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤、有機アミン化合物、硬化剤等の種々の添加剤を含んでもよい。
前記充填剤としては、例えば、ガラス、アルミナなどの微粒子が挙げられる。
前記密着促進剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
前記の酸化防止剤としては、例えば、4,4’−チオ−ビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン及びテトラキス[メチレン−3−(3,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニルプロピオネート)]メタンなどが挙げられる。
前記の紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系;2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系;2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどのベンゾエート系;2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−へキシルオキシフェノールなどのトリアジン系などが挙げられる。
前記の凝集防止剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウムなどが挙げられる。
有機アミン化合物の添加により、現像時に未露光部の基板上に残渣を生じることがなく、かつ基板への密着性に優れた画素を与えることができる。前記有機アミン化合物としては、例えば、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミンなどのモノアルキルアミン類;
シクロヘキシルアミン、2−メチルシクロヘキシルアミン、3−メチルシクロヘキシルアミン、4−メチルシクロヘキシルアミンなどのモノシクロアルキルアミン類;メチルエチルアミン、ジエチルアミン、メチル−n−プロピルアミン、エチル−n−プロピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジ−tert−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミンなどのジアルキルアミン類;
メチルシクロヘキシルアミン、エチルシクロヘキシルアミンなどのモノアルキルモノシクロアルキルアミン類;ジシクロヘキシルアミンなどのジシクロアルキルアミン類;ジメチルエチルアミン、メチルジエチルアミン、トリエチルアミン、ジメチル−n−プロピルアミン、ジエチル−n−プロピルアミン、メチルジ−n−プロピルアミン、エチルジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリ−tert−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミンなどのトリアルキルアミン類;
ジメチルシクロヘキシルアミン、ジエチルシクロヘキシルアミンなどのジアルキルモノシクロアルキルアミン類;メチルジシクロヘキシルアミン、エチルジシクロヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミンなどのモノアルキルジシクロアルキルアミン類;2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、5−アミノ−1−ペンタノール、6−アミノ−1−ヘキサノールなどのモノアルカノールアミン類;4−アミノ−1−シクロヘキサノールなどのモノシクロアルカノールアミン類;ジエタノールアミン、ジ−n−プロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジ−n−ブタノールアミン、ジイソブタノールアミン、ジ−n−ペンタノールアミン、ジ−n−ヘキサノールアミンなどのジアルカノールアミン類;
ジ(4−シクロヘキサノール)アミンなどのジシクロアルカノールアミン類;トリエタノールアミン、トリ−n−プロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリn−ブタノールアミン、トリイソブタノールアミン、トリ−n−ペンタノールアミン、トリ−n−ヘキサノールアミンなどのトリアルカノールアミン類;トリ(4−シクロヘキサノール)アミンなどのトリシクロアルカノールアミン類;3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、4−アミノ−1,2−ブタンジオール、4−アミノ−1,3−ブタンジオール、3−ジメチルアミノ−1,2−プロパンジオール、3−ジエチルアミノ−1,2−プロパンジオール、2−ジメチルアミノ−1,3−プロパンジオール、2−ジエチルアミノ−1,3−プロパンジオールなどのアミノアルカンジオール類;
4−アミノ−1,2−シクロヘキサンジオール、4−アミノ−1,3−シクロヘキサンジオールなどのアミノシクロアルカンジオール類;1−アミノシクロペンタノンメタノール、4−アミノシクロペンタノンメタノールなどのアミノ基含有シクロアルカノンメタノール類;1−アミノシクロヘキサノンメタノール、4−アミノシクロヘキサノンメタノール、4−ジメチルアミノシクロペンタンメタノール、4−ジエチルアミノシクロペンタンメタノール、4−ジメチルアミノシクロヘキサンメタノール、4−ジエチルアミノシクロヘキサンメタノールなどのアミノ基含有シクロアルカンメタノール類;β−アラニン、2−アミノ酪酸、3−アミノ酪酸、4−アミノ酪酸、2−アミノイソ酢酸、3−アミノイソ酢酸、2−アミノ吉草酸、5−アミノ吉草酸、6−アミノカプロン酸、1−アミノシクロプロパンカルボン酸、1−アミノシクロヘキサンカルボン酸、4−アミノシクロヘキサンカルボン酸などのアミノカルボン酸類;
アニリン、o−メチルアニリン、m−メチルアニリン、p−メチルアニリン、p−エチルアニリン、p−n−プロピルアニリン、p−イソプロピルアニリン、p−n−ブチルアニリン、p−tert−ブチルアニリン、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、p−メチル−N,N−ジメチルアニリンなどの芳香族アミン類;o−アミノベンジルアルコール、m−アミノベンジルアルコール、p−アミノベンジルアルコール、p−ジメチルアミノベンジルアルコール、p−ジエチルアミノベンジルアルコールなどのアミノベンジルアルコール類;o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、p−ジメチルアミノフェノール、p−ジエチルアミノフェノールなどのアミノフェノール類;m−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジエチルアミノ安息香酸などのアミノ安息香酸類などが挙げられる。
前記硬化剤としては、例えば、アルカリ可溶性樹脂(C)としてカルボキシル基を有する樹脂を使用する場合、加熱されることによって該カルボキシル基と反応してアルカリ可溶性樹脂(C)を架橋することができる化合物等が挙げられる。また、単独で重合して本発明の着色硬化性組成物の塗膜を硬化し硬化膜を作製し得る化合物も挙げられる。前記の化合物としては、例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
前記エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA系エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ビスフェノールF系エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールF系エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、他の芳香族系エポキシ樹脂、脂環族系エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル系樹脂、グリシジルアミン系樹脂、エポキシ化油などのエポキシ樹脂や、これらのエポキシ樹脂の臭素化誘導体、エポキシ樹脂及びその臭素化誘導体以外の脂肪族、脂環族又は芳香族のエポキシ化合物、ブタジエンの(共)重合体のエポキシ化物、イソプレンの(共)重合体のエポキシ化物、グリシジル(メタ)アクリレートの(共)重合体、トリグリシジルイソシアヌレートなどが挙げられる。
前記のオキセタン化合物としては、例えば、カーボネートビスオキセタン、キシリレンビスオキセタン、アジペートビスオキセタン、テレフタレートビスオキセタン、シクロヘキサンジカルボン酸ビスオキセタンなどが挙げられる。
本発明のレジスト組成物(1)は、硬化剤としてエポキシ化合物、オキセタン化合物などを含有する場合には、エポキシ化合物のエポキシ基、オキセタン化合物のオキセタン骨格を開環重合させ得る化合物を含んでいてもよい。該化合物としては、例えば、多価カルボン酸類、多価カルボン酸無水物類、酸発生剤などが挙げられる。
前記の多価カルボン酸類としては、例えば、フタル酸、3,4−ジメチルフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸類;こはく酸、グルタル酸、アジピン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの脂肪族多価カルボン酸類;
ヘキサヒドロフタル酸、3,4−ジメチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、1,2,4−シクロペンタントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸などの脂環族多価カルボン酸類などが挙げられる。
前記多価カルボン酸無水物類としては、例えば、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物などの芳香族多価カルボン酸無水物類;無水イタコン酸、無水こはく酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバリル酸、無水マレイン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族多価カルボン酸無水物類;無水ヘキサヒドロフタル酸、3,4−ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、1,2,4−シクロペンタントリカルボン酸無水物、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、無水ハイミック酸、無水ナジン酸などの脂環族多価カルボン酸無水物類;エチレングリコールビストリメリテイト酸、グリセリントリストリメリテイト無水物などのエステル基含有カルボン酸無水物類などが挙げられる。
前記のカルボン酸無水物類としては、エポキシ樹脂硬化剤として市販されているものを用いてもよい。前記のエポキシ樹脂硬化剤としては、例えば、商品名でアデカハードナーEH−700(旭電化工業(株)製)、リカシッドHH、MH−700(いずれも、新日本理化(株)製)などが挙げられる。
前記の硬化剤は、単独でも2種以上を組合せて用いてもよい。
また、本発明のレジスト組成物(1)は、分子量1,000以下の有機酸を含有してもよい。前記の有機酸としては、例えば、特開平5−343631号公報に開示された有機酸が挙げられる。具体的には、マロン酸、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シトラコン酸、イタコン酸、メサコン酸、フマル酸、フタル酸、アクリル酸、メタクリル酸が挙げられ、好ましくはマロン酸、シュウ酸、フマル酸、フタル酸が挙げられる。
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以下にレジスト組成物(2)について詳述する。前記酸の作用によりアルカリ性の溶液に対する溶解性が増大する樹脂(F)としては、例えば、カルボキシル基、アルコール性水酸基、フェノール性水酸基等の1種以上の酸素含有官能基を有する樹脂中の該酸素含有官能基の水素原子を、酸の存在下で解離することができる1種以上の酸解離性基で置換した、それ自体としてはアルカリ不溶性またはアルカリ難溶性の樹脂であって、該酸解離性基が解離したときアルカリ易溶性となる樹脂(酸解離性基含有樹脂)を挙げることができる。
好ましい酸解離性基含有樹脂としては、例えば、下記一般式(3)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(3)」という。)を有する樹脂や、下記一般式(4)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(4)」という。)とを有する樹脂や、ラクトン構造を有する繰り返し単位とを有する樹脂等を挙げることができる。
〔一般式(3)、一般式(4)において、R4は水素原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1〜3の直鎖状または炭素原子数分岐状のアルキル基を示す。Zはそれぞれ炭素原子数1〜10の直鎖状のアルキル基もしくはその誘導体、炭素原子数1〜10の分岐状のアルキル基もしくはその誘導体、炭素原子数4〜20の非有橋型の1価の脂環式炭化水素基もしくはその誘導体、炭素原子数4〜20の有橋型の1価の脂環式炭化水素基もしくはその誘導体、或いは何れか2つのZが相互に結合してそれぞれが結合している炭素原子と共に炭素原子数2〜20の非有橋型の2価の脂環式炭化水素基もしくはその誘導体、または炭素原子数2〜20の有橋型の2価の脂環式炭化水素基もしくはその誘導体を形成し、残りのZが炭素原子数1〜4の直鎖状のアルキル基もしくはその誘導体、または炭素原子数1〜4の分岐状のアルキル基もしくはその誘導体を示す。〕
前記一般式(3)、一般式(4)において、R4の炭素原子数1〜3の直鎖状アルキル基、炭素原子数1〜3の分岐状アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基が挙げられる。
前記一般式(3)におけるR4としては、水素原子またはメチル基が好ましい。
前記一般式(3)、一般式(4)において、Zの炭素原子数1〜4の直鎖状アルキル基、炭素原子数1〜4の分岐状アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
これらのアルキル基のうち、メチル基、エチル基、n−プロピル基、2−メチルプロピル基等が好ましい。
また、前記アルキル基の誘導体としては、例えば、ヒドロキシル基;カルボキシル基;オキソ基(即ち、=O基);ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等の炭素原子数1〜6のヒドロキシアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基等の炭素原子数1〜6のアルコキシル基;シアノ基;シアノメチル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基、4−シアノブチル基等の炭素原子数2〜6のシアノアルキル基等の置換基を1種以上或いは1個以上有する基等が挙げられる。
これらの置換基のうち、ヒドロキシアルキル基、アルコキシル基等が好ましく、特に、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、メトキシ基、エトキシ基等が好ましい。
また、Zの炭素原子数2〜20の非有橋型もしくは有橋型の1価の脂環式炭化水素基および何れか2つのZが相互に結合してそれぞれが結合している炭素原子と共に形成した炭素原子数2〜20の非有橋型もしくは有橋型の2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、例えば、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のシクロアルカン類に由来する基;アダマンタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン等の有橋式炭化水素類に由来する基等を挙げることができる。
これらの1価の脂環式炭化水素基および2価の脂環式炭化水素基のうち、シクロペンタン、シクロヘキサン、アダマンタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタンに由来する基が好ましい。
また、前記1価または2価の脂環式炭化水素基の誘導体としては、例えば、ヒドロキシル基;カルボキシル基;オキシ基;ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等の炭素原子数1〜4のヒドロキシアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基等の炭素原子数1〜4のアルコキシル基;シアノ基;シアノメチル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基、4−シアノブチル基等の炭素原子数2〜5のシアノアルキル基等の置換基を1種以上或いは1個以上有する基を挙げることができる。
これらの置換基のうち、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ヒドロキシメチル基、シアノ基、シアノメチル基等が好ましい。
前記一般式(3)において、−C(Z)3に相当する好ましい構造としては、例えば、t−ブチル基、2−メチル−2−ブチル基、2−エチル−2−ブチル基、3−エチル−3−ブチル基や、下記式(3−1)〜(3−8)で表される基等を挙げることができる。
〔前記式(3−1)〜(3−8)において、各R5はそれぞれ炭素原子数1〜4の直鎖状アルキル基または炭素原子数1〜4の分岐状アルキル基を示し、aおよびbはそれぞれ0〜2の整数である。〕
前記式(3−1)〜(3−8)において、R5はそれぞれ、メチル基またはエチル基が好ましい。a、bはそれぞれ、0または1が好ましい。
前記繰り返し単位(3)としては、例えば、下記一般式(3−1)〜一般式(3−8)
〔前記R4はそれぞれ水素原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1〜3の直鎖状アルキル基または炭素原子数1〜3の分岐状アルキル基を示す。R5はそれぞれ炭素原子数1〜4の直鎖状アルキル基または炭素原子数1〜4の分岐状アルキル基を示す。〕
で表される繰り返し単位等を挙げることができる。
前記一般式(3−1)〜一般式(3−8)で表される繰り返し単位において、R4としては、特に、水素原子、メチル基が好ましい。またR5としては、特に、メチル基、エチル基が好ましい。
前記繰り返し単位(4)としては、例えば、下記一般式(4−1)〜一般式(4−8)
〔前記R6はそれぞれ水素原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1〜3の直鎖状アルキル基または炭素原子数1〜3の分岐状のアルキル基を表す。〕
で表される繰り返し単位等を挙げることができる。
前記ラクトン構造を有する繰り返し単位としては、例えば、下記一般式(5−1)〜(5−4)
〔前記R6はそれぞれ水素原子またはメチル基を示す。Y1はメチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、酸素原子または硫黄原子を示す。R7はそれぞれ炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基、炭素原子数1〜5の分岐状アルキル基、炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基または炭素原子数1〜5の分岐状アルコキシル基を示す。jおよびkはそれぞれ0〜4の整数であり、Y2は単結合またはメチレン基を示す。〕
で表される繰り返し単位等を挙げることができる。
前記R7の炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基、炭素原子数1〜5の分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等を挙げることができる。
また、R7の炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基、炭素原子数1〜5の分岐状のアルコキシル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基等を挙げることができる。
前記酸解離性基含有樹脂は、前記繰り返し単位(3)、繰り返し単位(4)またはラクトン構造を有する繰り返し単位以外の繰り返し単位(以下、「他の繰り返し単位」という。)を有していても良い。
他の繰り返し単位を与える単量体としては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−n−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−n−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−n−オクチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−n−デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(3−ヒドロキシプロピル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−〔(フルオロ)(ヒドロキシ)メチル〕ビシクロ[2.2.1]ヘプトー2−エン、5−〔(ジフルオロ)(ヒドロキシ)メチル〕ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(1,2−ジフルオロ−2−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(1,1,2,2−テトラフルオロ−2−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−〔2,2−ジ(トリフルオロメチル)−2−ヒドロキシエチル〕ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−酢酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−プロピオン酸、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2−シアノエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(3−シアノプロピル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸t−ブチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸2−メチル−2−ブチル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸2−エチル−2−ブチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸3−エチル−3−ブチル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸1−メチルシクロペンチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸1−エチルシクロペンチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸1−メチルシクロヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸1−エチルシクロヘキシル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸1−メチル−1−シクロペンチルエチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸1−メチル−1−(2−ヒドロキシシクロペンチル)エチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸1−メチル−1−(3−ヒドロキシシクロペンチル)エチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸1−メチル−1−シクロヘキシルエチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸1−メチル−1−(3−ヒドロキシシクロヘキシル)エチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸1−メチル−1−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)エチル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸1,1−ジシクロペンチルエチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸1,1−ジシクロヘキシルエチル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸メチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸エチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸n−プロピル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸シクロペンチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸シクロヘキシル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸の〔(テトラヒドロフラン−2−イル)メチル〕エステル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸の(1,1−ジメチル−2−オキソプロピル)エステル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸の(5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イル)エステル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸の(9−メトキシカルボニル−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イル)エステル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸の(7−オキソ−6−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−4−イル)エステル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸の(2−メトキシカルボニル−7−オキソ−6−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−4−イル)エステル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸の(2−オキソテトラヒドロピラン−4−イル)エステル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸の(4−メチル−2−オキソテトラヒドロピラン−4−イル)エステル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸の(4−エチル−2−オキソテトラヒドロピラン−4−イル)エステル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸の(4−n−プロピル−2−オキソテトラヒドロピラン−4−イル)エステル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸の(5−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)エステル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸の(2,2−ジメチル−5−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)エステル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸の(4,4−ジメチル−5−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)エステル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸の(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)エステル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸の(4,4−ジメチル−2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)エステル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸の(5,5−ジメチル−2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)エステル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸の(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)エステル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸の〔(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)メチル〕エステル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸の〔(3,3−ジメチル−5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)メチル〕エステル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸の〔(4,4−ジメチル−5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)メチル〕エステル等のビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンまたはその誘導体類;
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−n−ブチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−n−ヘキシルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−n−オクチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−n−デシルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−ヒドロキシテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−ヒドロキシメチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−(2−ヒドロキシエチル)テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−(3−ヒドロキシプロピル)テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−〔(フルオロ)(ヒドロキシ)メチル〕テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−〔(ジフルオロ)(ヒドロキシ)メチル〕テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−(1,2−ジフルオロ−2−ヒドロキシエチル)テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−(1,1,2,2−テトラフルオロ−2−ヒドロキシエチル)テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−(2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシエチル)テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−〔2,2−ジ(トリフルオロメチル)−2−ヒドロキシエチル〕テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−酢酸、テトラシクロテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−プロピオン酸、
9−シアノテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シアノメチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−(2−シアノエチル)テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−(3−シアノプロピル)テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
テトラシクロテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸t−ブチル、テトラシクロテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸2−メチル−2−ブチル、テトラシクロテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸2−エチル−2−ブチル、テトラシクロテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸3−エチル−3−ブチル、
テトラシクロテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸1−メチルシクロペンチル、テトラシクロテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸1−エチルシクロペンチル、テトラシクロテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸1−メチルシクロヘキシル、テトラシクロテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸1−エチルシクロヘキシル、
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸1−メチル−1−シクロペンチルエチル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸1−メチル−1−(2−ヒドロキシシクロペンチル)エチル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸1−メチル−1−(3−ヒドロキシシクロペンチル)エチル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸1−メチル−1−シクロヘキシルエチル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸1−メチル−1−(3−ヒドロキシシクロヘキシル)エチル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸1−メチル−1−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)エチル、
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸1,1−ジシクロペンチルエチル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸1,1−ジシクロヘキシルエチル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸メチル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸エチル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸n−プロピル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸シクロペンチル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸シクロヘキシル、
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸の〔(テトラヒドロフラン−2−イル)メチル〕エステル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸の(1,1−ジメチル−2−オキソプロピル)エステル、
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸の(5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イル)エステル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸の(9−メトキシカルボニル−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イル)エステル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸の(7−オキソ−6−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−4−イル)エステル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸の(2−メトキシカルボニル−7−オキソ−6−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−4−イル)エステル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸の(2−オキソテトラヒドロピラン−4−イル)エステル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸の(4−メチル−2−オキソテトラヒドロピラン−4−イル)エステル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸の(4−エチル−2−オキソテトラヒドロピラン−4−イル)エステル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸の(4−n−プロピル−2−オキソテトラヒドロピラン−4−イル)エステル、
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸の(5−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)エステル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸の(2,2−ジメチル−5−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)エステル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸の(4,4−ジメチル−5−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)エステル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸の(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)エステル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸の(4,4−ジメチル−2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)エステル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸の(5,5−ジメチル−2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)エステル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸の(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)エステル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸の〔(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)メチル〕エステル、テトラシクロ[6.2.1.13,6 .02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸の〔(3,3−ジメチル−5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)メチル〕エステル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸の〔(4,4−ジメチル−5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)メチル〕エステル等のテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エンまたはその誘導体類;
(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸(フロオロ)(ヒドロキシ)メチル、(メタ)アクリル酸(ジフルオロ)(ヒドロキシ)メチル、(メタ)アクリル酸1,2−ジフルオロ−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸1,1,2,2−テトラフルオロ−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2,2−ジ(トリフルオロメチル)−2−ヒドロキシエチル、
(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル、(メタ)アクリル酸5−ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル、(メタ)アクリル酸9−ヒドロキシテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン−4−イル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン−4−イル、
(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸カルボキシメチル、(メタ)アクリル酸2−カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸3−カルボキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−カルボキシアダマンタン−1−イル、(メタ)アクリル酸5−カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル、(メタ)アクリル酸−6−カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル、(メタ)アクリル酸9−カルボキシテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン−4−イル、(メタ)アクリル酸10−カルボキシテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン−4−イル、(メタ)アクリル酸シアノメチル、(メタ)アクリル酸2−シアノエチル、(メタ)アクリル酸3−シアノプロピル、(メタ)アクリル酸3−シアノアダマンタン−1−イル、(メタ)アクリル酸5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル、(メタ)アクリル酸6−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル、(メタ)アクリル酸9−シアノテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン−4−イル、(メタ)アクリル酸10−シアノテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン−4−イル、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸アダマンタン−1−イル、(メタ)アクリル酸ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル、(メタ)アクリル酸7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル、(メタ)アクリル酸テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン−4−イル、(メタ)アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル、(メタ)アクリル酸(テトラヒドロフラン−2−イル)メチル、(メタ)アクリル酸1,1−ジメチル−2−オキソプロピル等の(メタ)アクリル酸またはその誘導体;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、クロトンニトリル、マレインニトリル、フマロニトリル、メサコンニトリル、シトラコンニトリル、イタコンニトリル等の不飽和ニトリル化合物;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、クロトンアミド、マレインアミド、マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、フマルアミド、メサコンアミド、シトラコンアミド、イタコンアミド等の不飽和アミド化合物または不飽和イミド化合物;N−ビニル−ε−カプロラクタム、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の他の含窒素ビニル化合物;クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和カルボン酸(無水物)類等の単官能性単量体;
メチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ビス(2−ヒドロキシプロピル)ベンゼンジ(メタ)アクリレート、1,3−ビス(2−ヒドロキシプロピル)ベンゼンジ(メタ)アクリレート、1,2−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニルジメチロールジ(メタ)アクリレート等の多官能性単量体等を挙げることができる。
前記酸解離性基含有樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は、通常、1,000〜300,000、好ましくは2,000〜200,000、さらに好ましくは3,000〜100,000である。この範囲であればレジストとしての耐熱性と露光部の現像液に対する溶解性を共に満足する酸解離性基含有樹脂となることが期待される。また、酸解離性基含有樹脂のMwとゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」という。)との比(Mw/Mn)は、通常、1〜5、好ましくは1〜3である。
前記酸解離性基含有樹脂等の酸の作用によりアルカリ性の溶液に対する溶解性が増大する樹脂は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
前記酸解離性基含有樹脂は、例えば、各繰り返し単位に対応する単量体の混合物を、ヒドロパーオキシド類、ジアルキルパーオキシド類、ジアシルパーオキシド類、アゾ化合物等のラジカル重合開始剤を使用し、必要に応じて連鎖移動剤の存在下、適当な溶媒中で重合することにより製造することができる。前記重合に使用される溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等のアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類;クロロブタン類、ブロモヘキサン類、ジクロロエタン類、フルオロクロロエタン類、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の飽和カルボン酸エステル類;γ−ブチロラクトン等のアルキルラクトン類;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン類、ジエトキシエタン類等のエーエル類;2−ブタノン、2−ヘプタノン、メチルイソブチルケトン等のアルキルケトン類;シクロヘキサノン等のシクロアルキルケトン類;2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類等を挙げることができる。これらの溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。また、前記重合における反応温度は、通常、40〜120℃、好ましくは50〜100℃であり、反応時間は、通常、1〜48時間、好ましくは1〜24時間である。
前記酸解離性基含有樹脂は、ハロゲン、金属等の不純物が少ない程好ましいのは当然であるが、残留モノマーやオリゴマー成分についても規定値以下、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定した値が0.1重量%以下であることが好ましく、それにより、レジストとしての感度、解像度、プロセス安定性、パターン形状等をさらに改善することができるだけでなく、レジストパターンの形成に使用される組成物溶液中の異物量の変動や感度等の経時変化が少なく、安定したレジスト性能を示す感放射線性樹脂組成物を提供することができる。酸解離性基含有樹脂の精製法としては、例えば、次の方法を挙げることができる。まず、金属等の不純物を除去する方法としては、ゼータ電位フィルターを用いて樹脂溶液中の金属を吸着させる方法や、蓚酸やスルホン酸等の酸性水溶液で樹脂溶液を洗浄することにより金属をキレートとして除去する方法等を挙げることができる。また、残留モノマーやオリゴマー成分を規定値以下に下げる方法としては、水洗、適切な溶媒を選択しあるいは組み合わせて残留モノマーやオリゴマー成分を除去する液々抽出、適切な溶媒を選択しあるいは組み合わせて特定分子量以下の低分子量成分のみを抽出除去する限外ろ過等の液相精製法、樹脂溶液を貧溶媒中へ滴下して樹脂を凝固させて残留モノマー等を除去する再沈澱、ろ別した樹脂を貧溶媒で洗浄する方法等の固相精製法を挙げることができ、またこれらの方法を組み合わせることもできる。前記液相精製法に使用される溶媒および前記固相精製法に使用される貧溶媒は、精製される樹脂に応じて適宜選定される。
本発明で用いる露光により酸を発生する酸発生成分(G)は、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。このような酸発生剤としては、例えば、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤等が挙げられる。
レジスト組成物(2)中の含フッ素重合体(B)の含有割合としては、酸の作用によりアルカリ性の溶液に対する溶解性が増大する樹脂(F)100質量部に対して0.01〜10質量部が、レジスト樹脂の性能を妨げず含フッ素重合体(B)が有する界面活性能を発現できることから好ましく、0.05〜5質量部がより好ましい。
レジスト組成物(2)を例えば、LSI用ポジ型レジスト組成物として使用する際は、必要に応じ、例えばレジスト膜の性能を改良するための樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させても良い。
以下に、レジスト組成物(3)について詳述する。酸の作用により有機溶剤に対する溶解性が減少する樹脂(H)としては、例えば、樹脂の主鎖又は側鎖、あるいは、主鎖及び側鎖の両方に、酸の作用により分解し極性基を生じる基を有する樹脂を例示することができる。
前記極性基としては、有機溶剤を含む現像液中で難溶化又は不溶化する基であれば特に限定されないが、フェノール性水酸基、カルボキシル基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール基)、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基等の酸性基(従来レジストの現像液として用いられている、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液中で解離する基)、アルコール性水酸基等が挙げられる。
前記アルコール性水酸基とは、炭化水素基に結合した水酸基であって、芳香環上に直接結合した水酸基(フェノール性水酸基)以外の水酸基をいい、水酸基としてα位がフッ素原子などの電子求引性基で置換された脂肪族アルコール(例えば、フッ素化アルコール基(ヘキサフルオロイソプロパノール基など))は除くものとする。アルコール性水酸基としては、pKaが12以上且つ20以下の水酸基であることが好ましい。
好ましい極性基としては、カルボキシル基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサ
フルオロイソプロパノール基)、スルホン酸基が挙げられる。
前記酸の作用により分解し極性基を生じる基として好ましい基は、これらの基の水素原子を酸で脱離する基で置換した基である。前記酸で脱離する基としては、例えば、−C(R36)(R37)(R38)、−C(R36)(R37)(OR39)、−C(R01)(R02)(OR39)等を挙げることができる。
前記(R36)〜(R39)は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。(R36)と(R37)とは、互いに結合して環を形成してもよい。
前記(R01)、(R02)は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。
前記(R36)〜(R39)、(R01)及び(R02)のアルキル基は、炭素数1〜8のアルキル基が好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、へキシル基、オクチル基等を挙げることができる。
前記(R36)〜(R39)、(R01)及び(R02)のシクロアルキル基は、単環型でも、多環型でもよい。単環型としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。多環型としては、炭素数6〜20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基、アンドロスタニル基等を挙げることができる。なお、シクロアルキル基中の少なくとも1つの炭素原子が酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
前記(R36)〜(R39)、(R01)及び(R02)のアリール基は、炭素数6〜10のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基等を挙げることができる。
前記(R36)〜(R39)、(R01)及び(R02)のアラルキル基は、炭素数7〜12のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
前記(R36)〜(R39)、(R01)及び(R02)のアルケニル基は、炭素数2〜8のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、シクロへキセニル基等を挙げることができる。
前記(R36)と(R37)とが結合して形成される環としては、シクロアルキル基(単環若しくは多環)であることが好ましい。シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。炭素数5〜6の単環のシクロアルキル基がより好ましく、炭素数5の単環のシクロアルキル基が特に好ましい。
前記酸の作用により分解し極性基を生じる基としては好ましくは、クミルエステル基、エノールエステル基、アセタールエステル基、第3級のアルキルエステル基等である。更に好ましくは、第3級アルキルエステル基である。
樹脂(H)は、酸の作用により分解し極性基を生じる基を有する繰り返し単位を有するものが好ましい。
樹脂(H)が含有する酸の作用により分解し極性基を生じる基を有する繰り返し単位としては、下記一般式(III)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
上記一般式(III)中、R0は、水素原子,直鎖アルキル基又は分岐アルキル基を表す。R1〜R3は、それぞれ独立に、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、単環シクロアルキル基又は多環シクロアルキル基を表す。R1〜R3は、R1〜R3の2つが結合して、単環若しくは多環のシクロアルキル基を形成してもよい。
R0についての直鎖アルキル基、分岐アルキル基としては置換基を有していてもよく、炭素原子数1〜4の直鎖アルキル基又は分岐アルキル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。置換基としては、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子)等が挙げ
られる。
R0としては水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基が好ましい。
R1〜R3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピ
ル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などの炭素原子数1〜4のものが好ましい。
R1〜R3のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデ
カニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。
R1〜R3の2つが結合して形成されるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましく、炭素原子数5又は6の単環のシクロアルキル基がより好ましい。
好ましい態様の1つとしては、R1がメチル基又はエチル基であり、R2とR3とが結
合して上述のシクロアルキル基を形成している態様が挙げられる。
上記各基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子)、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、カルボキシル基、炭素原子数2〜6のアルコキシカルボニル基などが挙げられる。
前記一般式(III)で表される繰り返し単位の特に好ましい態様としては、R1、R2及びR3は、各々独立に、直鎖アルキル基又は分岐アルキル基である。この態様において、R1、R2及びR3についての直鎖アルキル基又は分岐アルキル基としては、炭素原子数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。
R1としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基が好ましく、メチ
ル基、エチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。R2としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。R3としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基が好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基がより好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基が特に好ましい。
前記酸の作用により分解し極性基を生じる基を有する繰り返し単位の好ましい具体例を以下に示す。具体例中、Rxは、水素原子、CH3、CF3又はCH2OHを表す。Rxa、Rxbはそれぞれ炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。Zは置換基を表し、複数存在する場合、複数のZは互いに同じであっても異なっていてもよい。pは0又は正の整数を表す。Zの具体例及び好ましい例は、R1〜R3などの各基が有し得る置換基の具体例及び好ましい例と同様である。
樹脂(H)が、酸の作用により分解し極性基を生じる基を有する繰り返し単位として、上記一般式(III)で表される繰り返し単位を有する場合、酸の作用により分解し極性基を生じる基を有する繰り返し単位が、上記一般式(III)で表される繰り返し単位の少なくとも1種のみからなることが好ましい。
また、酸の作用により分解し極性基を生じる基を有する繰り返し単位が、下記一般式(IV)で表される、酸によって分解しカルボキシル基を生じる繰り返し単位であることも好ましく、これにより、ラインウィズスラフネス等のラフネス性能、局所的なパターン寸法の均一性、及び、露光ラチチュードにより優れ、かつ現像により形成されるパターン部の膜厚低下、いわゆる膜べりをより抑制できるパターン形成方法とすることができる。
(式中、Xaは、水素原子、アルキル基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。Ry1〜Ry3は、各々独立にアルキル基又はシクロアルキル基を表す。Ry1〜Ry3の内の2つが連結して環を形成していてもよい。Zは、n+1価の、環員としてヘテロ原子を有していてもよい多環式炭化水素構造を有する連結基を表す。L1及びL2は、各々独立に単結合又は2価の連結基を表す。nは1〜3の整数を表す。nが2又は3のとき、複数のL2、複数のRy1、複数のRy2複数のRy3は、各々、同一であっても異なっていてもよい。)
前記Xaのアルキル基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、水酸基、ハロゲン原子(好ましくは、フッ素原子)等が挙げられる。Xaのアルキル基は、炭素原子数1〜4のものが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。中でもメチル基が好ましい。Xaは、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
Ry1〜Ry3のアルキル基は、鎖状であっても、分岐状であってもよく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などの炭素原子数1〜4のものが好ましい。
Ry1〜Ry3のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基;ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。
Ry1〜Ry3の内の2つが結合して形成される環としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環などの単環の炭化水素環;ノルボルナン環、テトラシクロデカン環、テトラシクロドデカン環、アダマンタン環などの多環の炭化水素環が好ましい。炭素原子数5〜6の単環の炭化水素環が特に好ましい。
Ry1〜Ry3は、各々独立にアルキル基であることが好ましく、炭素原子数1〜4の鎖状アルキル基又は分岐状アルキル基がより好ましい。また、Ry1〜Ry3としての鎖状アルキル基又は分岐状アルキル基の炭素原子数の合計は、5以下であることが好ましい。
Ry1〜Ry3は、更に置換基を有してもよく、置換基としては、例えば、
炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、カルボキシル基、炭素原子数2〜6のアルコキシカルボニル基などが挙げられ、炭素原子数8以下が好ましい。なかでも、酸分解前後での有機溶剤を含有する現像液に対する溶解コントラストをより向上させる観点から、酸素原子、窒素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を有さない置換基であることがより好ましく水素原子及び炭素原子のみからなる基であることが更に好ましく、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、シクロアルキル基であることが特に好ましい。
Zの多環式炭化水素構造を有する連結基としては環集合炭化水素環基、架橋環式炭化水素環基が含まれ、それぞれ、環集合炭化水素環から(n+1)個の任意の水素原子を除してなる基、及び、架橋環式炭化水素環から(n+1)個の任意の水素原子を除してなる基を挙げることができる。
環集合炭化水素環基の例としては、ビシクロヘキサン環基、パーヒドロナフタレン環基などが含まれる。架橋環式炭化水素環基として、例えば、ピナン環基、ボルナン環基、ノルピナン環基、ノルボルナン環基、ビシクロオクタン環基(ビシクロ[2.2.2]オクタン環基、ビシクロ[3.2.1]オクタン環基等)などの2環式炭化水素環基;ホモブレダン環基、アダマンタン環基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環基、トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン環基などの3環式炭化水素環基;テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン環基、パーヒドロ−1,4−メタノ−5,8−メタノナフタレン環基などの4環式炭化水素環基などが挙げられる。また、架橋環式炭化水素環基には、縮合環式炭化水素環基、例えば、パーヒドロナフタレン(デカリン)環基、パーヒドロアントラセン環基、パーヒドロフェナントレン環基、パーヒドロアセナフテン環基、パーヒドロフルオレン環基、パーヒドロインデン環基、パーヒドロフェナレン環基などの5〜8員シクロアルカン環基が複数個縮合した縮合環基も含まれる。
好ましい架橋環式炭化水素環基として、ノルボルナン環基、アダマンタン環基、
ビシクロオクタン環基、トリシクロ[5、2、1、02,6]デカン環基などが挙げられる。より好ましい架橋環式炭化水素環基としてノルボナン環基、アダマンタン環基が挙げられる。
Zで表される多環式炭化水素構造を有する連結基は置換基を有していてもよい。Zが有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、ヒドロキシル基、シアノ基、ケト基(=O)、アシルオキシ基、−COR、−COOR、−CON(R)2、−SO2R、−SO3R、−SO2N(R)2等の置換基が挙げられる。ここでRは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
Zが有していてもよい置換基としてのアルキル基、アルキルカルボニル基、アシルオキ
シ基、−COR、−COOR、−CON(R)2、−SO2R、−SO3R、
−SO2N(R)2は、更に置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、ハロゲン原子(好ましくは、フッ素原子)が挙げられる。
Zで表される多環式炭化水素構造を有する連結基において、多環を構成する炭素(環形成に寄与する炭素)は、カルボニル炭素であっても良い。また、該多環は、上記したように、環員として、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有していてもよい。
L1及びL2で表される連結基としては、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、炭素原子数1〜6のアルキレン基、炭素原子数3〜10のシクロアルキレン基炭素原子数2〜6のアルケニレン基やこれらの複数が組合された連結基などが挙げられ、総炭素原子数12以下の連結基が好ましい。
L1は、単結合、アルキレン基、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−アルキレン基−COO−、−アルキレン基−OCO−、−アルキレン基−CONH−、−アルキレン基−NHCO−、−CO−、−O−、−SO2−、−アルキレン基−O−が好ましく、単結合、アルキレン基、−アルキレン基−COO−、−アルキレン基−O−がより好ましい。
L2は、単結合、アルキレン基、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−COO−、アルキレン基−、−OCO−アルキレン基−、−CONH−アルキレン基−、−NHCO−アルキレン基−、−CO−、−O−、−SO2−、−O−アルキレン基−、−O−シクロアルキレン基−が好ましく、単結合、アルキレン基、−COO−アルキレン基−、−O−アルキレン基−、−O−シクロアルキレン基−がより好ましい。
上記の記載方法において、左端の結合手「−」は、L1においては主鎖側のエステル結合に、L2においてはZに接続することを意味し、右端の結合手「−」は、L1においてはZに、L2においては(Ry1)(Ry2)(Ry3)C−で表される基に接続するエステル結合に結合することを意味する。
なお、L1及びL2は、Zにおける多環を構成する同一の原子に結合してもよい。
nは1又は2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
以下に一般式(IV)で表される繰り返し単位の具体例を挙げる。下記具体例において、Xaは、水素原子、アルキル基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。
また、樹脂(H)は、酸の作用により分解し極性基を生じる基を有する繰り返し単位として、酸の作用により分解してアルコール性ヒドロキシ基を生じる基を有する構造(以下、OH保護構造とも言う)を側鎖に有する繰り返し単位を有していてもよい。ここで、「アルコール性ヒドロキシ基」とは、対象とするヒドロキシ基が、フェノール性水酸基ではない、つまり、ベンゼン環に直結していない、という意味である。
OH保護構造としては、下記一般式(V−1)〜(V−4)で表される構造が好ましい。
(式中、R3は、各々独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。R3は、互いに結合して環を形成していてもよい。R4は、各々独立に、1価の有機基を表す。R4は、互いに結合して、環を形成していてもよい。R3とR4とは、互いに結合して、環を形成していてもよい。R5は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基、又はアルキニル基を表す。少なくとも2つのR5は、互いに結合して環を形成していてもよい。但し、3つの前記R5のうち1つ又は2つが水素原子である場合は、残りの前記R5のうち少なくとも1つは、アリール基、アルケニル基又はアルキニル基を表す。)
また、OH保護構造として、下記一般式(V−5)〜(V−9)で表される構造も、好ましい態様として挙げられる。
式中、R4は、一般式(V−1)〜(V−3)におけるものと同義である。R6は、各々独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。R6は、互いに結合して環を形成していてもよい。
酸の作用により分解してアルコール性ヒドロキシ基を生じる基は、一般式(V−1)〜(V−3)から選択されるものがより好ましく、一般式(V−1)又は(V−3)により表されることが更に好ましく、一般式(V−1)により表されることが特に好ましい。
R3は、上述した通り、水素原子又は1価の有機基を表す。R3は水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基であることが好ましく、水素原子又はアルキル基であることがより好ましい。
R3のアルキル基は、直鎖状であってもよく分岐鎖状であってもよい。R3のアルキル基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。R3のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基及びn−ブチル基等が挙げられる。
R3のシクロアルキル基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。R3のシクロアルキル基の炭素原子数は、3〜10であることが好ましく、4〜8であることがより好ましい。R3のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。
R4は、1価の有機基を表す。R4は、アルキル基又はシクロアルキル基が好ましく、アルキル基であることがより好ましい。これらアルキル基及びシクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。
R4のアルキル基は、置換基を有していないか、又は、1つ以上のアリール基又は1つ以上のシリル基を置換基として有していることが好ましい。無置換アルキル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましい。1つ以上のアリール基により
置換されたアルキル基におけるアルキル基部分の炭素原子数は、1〜25であることが好ましい。1つ以上のシリル基により置換されたアルキル基におけるアルキル基部分の炭素原子数は、1〜30であることが好ましい。また、R4のシクロアルキル基が置換基を有していない場合、その炭素原子数は、3〜20であることが好ましい。
R5は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基を表す。但し、(V−4)において、3つのR5のうち1つ又は2つが水素原子である場合は、残りのR5のうち少なくとも1つは、アリール基、アルケニル基又はアルキニル基を表す。R5は、水素原子又はアルキル基であることが好ましい。アルキル基は置換基を有していてもよく、置換基を有していなくてもよい。アルキル基が置換基を有していない場合、その炭素原子数は、1〜6であることが好ましく、1〜3であることが好ましい。
R6は、上述した通り、水素原子又は1価の有機基を表す。R6は、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基であることが好ましく、水素原子又はアルキル基であることがより好ましく、水素原子又は置換基を有していないアルキル基であることが更に好ましい。R6は、水素原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素原子数1〜10であり且つ置換基を有していないアルキル基であることが更に好ましい。
なお、R4、R5及びR6のアルキル基及びシクロアルキル基としては、例えば、R3について説明したのと同様のものが挙げられる。
OH保護構造を側鎖に有する繰り返し単位の具体例としては、例えば、下記に示す具体例や、US2012/0064456A号公報の[0025]段落で例示されているモノマーに由来するもの等が挙げられる。尚、下記具体例中、Xa1は、水素原子、CH3、CF3又はCH2OHを表す。
樹脂(H)の酸の作用により分解し極性基を生じる基を有する繰り返し単位は、1種類であってもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明において、樹脂(H)が酸の作用により分解し、極性基を生じる基が分解することにより生じる脱離物の分子量(複数種類の脱離物が生じる場合は、モル分率による分子量の加重平均値(以下、モル平均値ともいう))が140以下である前記酸の作用により分解し極性基を生じる基を有する繰り返し単位(複数種類含有する場合はその合計)を、前記樹脂中の全繰り返し単位に対して50モル%以上有することが好ましい。これにより、ネガ型の画像を形成する場合に、露光部がパターンとして残るために、脱離物の分子量を小さくすることによりパターン部の膜厚低下を防止することができる。
前記「酸の作用により分解し極性基を生じる基が分解することにより生じる脱離物」とは、酸の作用により分解し脱離する基に対応する、酸の作用により分解して脱離した物をいう。例えば、後述する繰り返し単位(α)(後述の例示における一番左上の繰り返し単位)の場合、t−ブチル部位が分解して生成するアルケン(H2C=C(CH3)2)のことをいう。
本発明において、酸の作用により分解し極性基を生じる基が分解することにより生じる脱離物の分子量(複数種類の脱離物が生じる場合はモル平均値)は、パターン部の膜厚低下を防止する観点から、100以下であることがより好ましい。
また、酸の作用により分解し極性基を生じる基が分解することにより生じる脱離物の分子量(複数種類の脱離物が生じる場合はその平均値)についての下限としては特に制限はないが、酸分解性基がその機能を発揮する観点から、45以上であることが好ましく、55以上であることがより好ましい。
本発明において、露光部であるパターン部の膜厚をより確実に維持する観点から、酸の作用により分解し極性基を生じる基が分解することにより生じる脱離物の分子量が140以下である前記酸の作用により分解し極性基を生じる基を有する繰り返し単位(複数種類含有する場合はその合計)を、前記樹脂中の全繰り返し単位に対して60モル%以上有することがより好ましく、65モル%以上有することがより好ましく、70モル%以上有することが更に好ましい。また、上限としては、特に制限はないが、90モル%以下であることが好ましく、85モル%以下であることがより好ましい。
以下、酸の作用により分解し極性基を生じる基が分解することにより生じる脱離物の分子量が140以下である酸の作用により分解し極性基を生じる基を有する繰り返し単位の具体例を示す。下記具体例中、Xa1は、水素原子、CH3、CF3又はCH2OHを表す。
酸の作用により分解し極性基を生じる基を有する繰り返し単位の合計としての含有率は、樹脂(H)中の全繰り返し単位に対し、20モル%以上が好ましく、30モル%以上がより好ましく、45モル%以上が更に好ましく、50モル%以上が特に好ましく、60モル%以上が最も好ましい。
また、酸の作用により分解し極性基を生じる基を有する繰り返し単位の合計としての含有率は、樹脂(H)中の全繰り返し単位に対し、100モル%以下であることが好ましく、90モル%以下であることがより好ましく、85モル%以下であることが更に好ましい。
樹脂(H)は、酸の作用により分解し極性基を生じる基を有する繰り返し単位を含有し、前記繰り返し単位が、上記一般式(III)で表される繰り返し単位の少なくとも1種のみからなり、かつ、上記一般式(III)で表される繰り返し単位の含有率が、樹脂(H)中の全繰り返し単位に対し、60モル%〜100モル%であることが好ましい。
樹脂(H)は、更に、ラクトン構造を有する繰り返し単位を含有していてもよい。ラクトン構造としては、ラクトン構造を有していればいずれでも用いることができるが、好ましくは5〜7員環ラクトン構造であり、5〜7員環ラクトン構造にビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているものが好ましい。下記一般式(LC1−1)〜(LC1−17)のいずれかで表されるラクトン構造を有する繰り返し単位を有することがより好ましい。また、ラクトン構造が主鎖に直接結合していてもよい。好ましいラクトン構造としては(LC1−1)、(LC1−4)、(LC1−5)、(LC1−6)、(LC1−13)、(LC1−14)、(LC1−17)であり、特に好ましいラクトン構造は(LC1−4)である。このような特定のラクトン構造を用いることでLWR、現像欠陥が良好になる。
ラクトン構造部分は、置換基(Rb2)を有していても有していなくてもよい。
好ましい置換基(Rb2)としては、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数4〜7のシクロアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜8のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、酸分解性基などが挙げられる。より好ましくは炭素原子数1〜4のアルキル基、シアノ基、酸分解性基である。n2は、0〜4の整数を表す。n2が2以上の時、複数存在する置換基(Rb2)は、同一でも異なっていてもよい。また、複数存在する置換基(Rb2)同士が結合して環を形成してもよい。
ラクトン基を有する繰り返し単位は、通常、光学異性体が存在するが、いずれの光学異性体を用いてもよい。また、1種の光学異性体を単独で用いても、複数の光学異性体を混合して用いてもよい。1種の光学異性体を主に用いる場合、その光学純度(ee)が90質量%以上のものが好ましく、より好ましくは95%質量以上である。
ラクトン構造を有する繰り返し単位としては、下記一般式(VI)で表される繰り返
し単位が好ましい。
前記Rb0は、水素原子、ハロゲン原子又は置換基を有していてもよいアルキル基(好ましくは炭素原子数1〜4のアルキル基)を表す。Rb0のアルキル基が有していてもよい好ましい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。Rb0は、好ましくは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基であり、水素原子、メチル基が特に好ましい。
Abは、単結合、アルキレン基、単環又は多環のシクロアルキル構造を有する2価の連結基、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基又はこれらを組み合わせた2価の連結基を表す。Abは、好ましくは、単結合、−Ab1−CO2−で表される2価の連結基である。
Ab1は、直鎖又は分岐アルキレン基、単環又は多環のシクロアルキレン基であり、好ましくはメチレン基、エチレン基、シクロヘキシレン基、アダマンチレン基、ノルボルニレン基である。
Vは、ラクトン構造を有する基を表す。具体的には、例えば上記一般式(LC1−1)〜(LC1−17)の内のいずれかで示される構造を有する基を表す。
樹脂(H)がラクトン構造を有する繰り返し単位を含有する場合、ラクトン構造を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(H)の全繰り返し単位に対して、0.5〜80モル%の範囲が好ましく、より好ましくは1〜65モル%の範囲であり、更に好ましくは5〜60モル%の範囲であり、特に好ましくは3〜50モル%の範囲であり、最も好ましくは10〜50モル%の範囲である。
ラクトン構造を有する繰り返し単位は1種類であってもよいし、2種類以上を組み合わ
せて用いてもよい。
以下に、ラクトン構造を有する繰り返し単位の具体例を示す。具体例中、Rxは、H、CH3、CH2OH又はCF3を表す。
樹脂(H)は、水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。これにより基板密着性、現像液親和性が向上する。水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位は、水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位であることが好ましい。
また、水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位は、上
記一般式(VI)で表される繰り返し単位とは異なることが好ましい。
水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造に於ける、脂環炭化水素構造としては、アダマンチル基、ジアマンチル基、ノルボルナン基が好ましい。好ましい水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造としては、下記一般式(VIIa)〜(VIId)で表される部分構造が好ましい。
一般式(VIIa)〜(VIIc)に於いて、R2c〜R4cは、各々独立に、水素原子、水酸基又はシアノ基を表す。ただし、R2c〜R4cの内の少なくとも1つは、水酸基又はシアノ基を表す。好ましくは、R2c〜R4cの内の1つ又は2つが、水酸基で、残りが水素原子である。一般式(VIIa)に於いて、更に好ましくは、R2c〜R4cの内の2つが、水酸基で、残りが水素原子である。
一般式(VIIa)〜(VIId)で表される部分構造を有する繰り返し単位としては、下記一般式(AIIa)〜(AIId)で表される繰り返し単位を挙げることができる。
一般式(AIIa)〜(AIId)に於いて、
R1cは、水素原子、メチル基、トリフロロメチル基又はヒドロキシメチル基を表す。R2c〜R4cは、一般式(VIIa)〜(VIIc)に於ける、R2c〜R4cと同義である。
樹脂(H)は、水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位を含有していても、含有していなくてもよいが、樹脂(H)が水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位を含有する場合、水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(H)中の全繰り返し単位に対し、1〜40モル%が好ましく、より好ましくは3〜30モル%、更に好ましくは5〜25モル%である。
水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位の具体例を以下に挙げる。
樹脂(H)は、酸基を有する繰り返し単位を有してもよい。酸基としてはカルボキシル基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、ビススルホニルイミド基、α位が電子求引性基で置換された脂肪族アルコール(例えばヘキサフロロイソプロパノール基)が挙げられ、カルボキシル基を有する繰り返し単位を有することがより好ましい。酸基を有する繰り返し単位を含有することによりコンタクトホール用途での解像性が増す。酸基を有する繰り返し単位としては、アクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位のような樹脂の主鎖に直接酸基が結合している繰り返し単位、あるいは連結基を介して樹脂の主鎖に酸基が結合している繰り返し単位、更には酸基を有する重合開始剤や連鎖移動剤を重合時に用いてポリマー鎖の末端に導入、のいずれも好ましく、連結基は単環又は多環の環状炭化水素構造を有していてもよい。特に好ましくはアクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位である。
樹脂(H)は、酸基を有する繰り返し単位を含有してもしなくても良いが、含有する場合、酸基を有する繰り返し単位の含有率は、樹脂(H)中の全繰り返し単位に対し、15モル%以下であることが好ましく、10モル%以下であることがより好ましい。樹脂(H)が酸基を有する繰り返し単位を含有する場合、樹脂(A)における酸基を有する繰り返し単位の含有量は、通常、1モル%以上である。酸基を有する繰り返し単位の具体例を以下に示す。具体例中、RxはH、CH3、CH2OH又はCF3を表す。
樹脂(H)は、更に極性基(例えば、前記酸基、水酸基、シアノ基)を持たない脂環炭化水素構造を有し、且つ、酸の作用により分解し極性基を生じる基を示さない繰り返し単位を有することができる。これにより、液浸露光時にレジスト膜から液浸液への低分子成分の溶出が低減できるとともに、有機溶剤を含む現像液を用いた現像の際に樹脂の溶解性を適切に調整することができる。このような繰り返し単位としては、一般式(VIII)で表される繰り返し単位が挙げられる。
一般式(VIII)中、R5は少なくとも一つの環状構造を有し、極性基を有さない炭化水素基を表す。Raは水素原子、アルキル基又は−CH2−O−Ra2基を表す。Ra2は、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。Raは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基が好ましく、水素原子、メチル基が特に好ましい。
R5が有する環状構造には、単環式炭化水素基及び多環式炭化水素基が含まれる。単環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基などの炭素原子数3〜12のシクロアルキル基、シクロへキセニル基など炭素原子数3〜12のシクロアルケニル基等が挙げられる。好ましい単環式炭化水素基としては、炭素原子数3〜7の単環式炭化水素基であり、より好ましくは、シクロペンチル基、シクロヘキシル基である。
多環式炭化水素基には環集合炭化水素基、架橋環式炭化水素基が含まれ、環集合炭化水素基の例としては、ビシクロヘキシル基、パーヒドロナフタレニル基などが含まれる。架橋環式炭化水素環として、例えば、ピナン、ボルナン、ノルピナン、ノルボルナン、ビシクロオクタン環(ビシクロ[2.2.2]オクタン環、ビシクロ[3.2.1]オクタン環等)などの2環式炭化水素環及び、ホモブレダン、アダマンタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン環などの3環式炭化水素環、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、パーヒドロ−1,4−メタノ−5,8−メタノナフタレン環などの4環式炭化水素環などが挙げられる。また、架橋環式炭化水素環には、縮合環式炭化水素環、例えば、パーヒドロナフタレン(デカリン)、パーヒドロアントラセン、パーヒドロフェナントレン、パーヒドロアセナフテン、パーヒドロフルオレン、パーヒドロインデン、パーヒドロフェナレン環などの5〜8員シクロアルカン環が複数個縮合した縮合環も含まれる。
好ましい架橋環式炭化水素環としては、ノルボルニル基、アダマンチル基、ビシクロオクタニル基、トリシクロ[5、2、1、02,6]デカニル基などが挙げられる。より好ましい架橋環式炭化水素環としてノルボニル基、アダマンチル基が挙げられる。
これらの脂環式炭化水素基は置換基を有していても良く、好ましい置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、水素原子が置換されたヒドロキシル基、水素原子が置換されたアミノ基などが挙げられる。好ましいハロゲン原子としては臭素、塩素、フッ素原子、好ましいアルキル基としてはメチル、エチル、ブチル、t−ブチル基が挙げられる。上記のアルキル基は更に置換基を有していても良く、更に有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、水素原子が置換されたヒドロキシル基、水素原子が置換されたアミノ基を挙げることができる。
上記水素原子の置換基としては、たとえばアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、置換メチル基、置換エチル基、アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基が挙げられる。好ましいアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基、好ましい置換メチル基としてはメトキシメチル、メトキシチオメチル、ベンジルオキシメチル、t−ブトキシメチル、2−メトキシエトキシメチル基、好ましい置換エチル基としては、1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエチル、好ましいアシル基としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル基などの炭素数1〜6の脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基としては炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基などが挙げられる。
樹脂(H)は、極性基を持たない脂環炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位を含有してもしなくてもよいが、含有する場合、この繰り返し単位の含有率は、樹脂(H)中の全繰り返し単位に対し、1〜40モル%が好ましく、より好ましくは1〜20モル%である。
極性基を持たない脂環炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位の具体例
を以下に挙げる。式中、Raは、H、CH3、CH2OH又はCF3を表す。
樹脂(H)は、上記の繰り返し構造単位以外に、ドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、更にレジストの一般的な必要な特性である解像力、耐熱性、感度等を調節する目的で様々な繰り返し構造単位を有することができる。
このような繰り返し構造単位としては、下記の単量体に相当する繰り返し構造単位を挙げることができる。
これにより、本発明の組成物に用いられる樹脂に要求される性能、特に、(1)塗布溶剤に対する溶解性、(2)製膜性(ガラス転移点)、(3)アルカリ現像性、(4)膜べり(親疎水性、アルカリ可溶性基選択)、(5)未露光部の基板への密着性、(6)ドライエッチング耐性等の微調整が可能となる。
前記単量体として、例えばアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等を挙げることができる。
その他にも、上記種々の繰り返し構造単位に相当する単量体と共重合可能である付加重合性の不飽和化合物であれば、共重合されていてもよい。
樹脂(H)において、各繰り返し構造単位の含有モル比はレジストのドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、更にはレジストの一般的な必要性能である解像力、耐熱性、感度等を調節するために適宜設定される。
樹脂(H)の形態としては、ランダム型、ブロック型、クシ型、スター型のいずれの形態でもよい。樹脂(A)は、例えば、各構造に対応する不飽和モノマーのラジカル、カチオン、又はアニオン重合により合成することができる。また各構造の前駆体に相当する不飽和モノマーを用いて重合した後に、高分子反応を行うことにより目的とする樹脂を得ることも可能である。
レジスト組成物(3)をArF露光用の組成物として用いるとき、ArF光への透明性の点から本発明の組成物に用いられる樹脂(A)は実質的には芳香環を有さない(具体的には、樹脂中、芳香族基を有する繰り返し単位の比率が好ましくは5モル%以下、より好ましくは3モル%以下、理想的には0モル%、すなわち、芳香族基を有さない)ことが好ましく、樹脂(H)は単環又は多環の脂環炭化水素構造を有することが好ましい。
樹脂(H)中の側鎖部分が有するCH3部分構造の質量含有率は、1.0%以上小さいことが好ましく、2.0%以上小さいことがより好ましく、3.0%以上小さいことが更に好ましい。
樹脂(H)として好ましくは、繰り返し単位のすべてが(メタ)アクリレート系繰り返し単位で構成されたものである。この場合、繰り返し単位のすべてがメタクリレート系繰り返し単位であるもの、繰り返し単位のすべてがアクリレート系繰り返し単位であるもの、繰り返し単位のすべてがメタクリレート系繰り返し単位とアクリレート系繰り返し単位とによるもののいずれのものでも用いることができるが、アクリレート系繰り返し単位が全繰り返し単位の50モル%以下であることが好ましい。また、酸の作用により分解し極性基を生じる基を有する(メタ)アクリレート系繰り返し単位20〜50モル%、ラクトン基を有する(メタ)アクリレート系繰り返し単位20〜50モル%、水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造を有する(メタ)アクリレート系繰り返し単位5〜30モル%、更にその他の(メタ)アクリレート系繰り返し単位を0〜20モル%含む共重合ポリマーも好ましい。
レジスト組成物(3)にKrFエキシマレーザー光、電子線、X線、波長50nm以下の高エネルギー光線(EUVなど)を照射する場合には、樹脂(H)は、更に、ヒドロキシスチレン系繰り返し単位を有することが好ましい。更に好ましくはヒドロキシスチレン系繰り返し単位と、酸分解性基で保護されたヒドロキシスチレン系繰り返し単位、(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル等の酸分解性繰り返し単位を有するが好ましい。
ヒドロキシスチレン系の好ましい酸分解性基を有する繰り返し単位としては、例えば、t−ブトキシカルボニルオキシスチレン、1−アルコキシエトキシスチレン、(メタ)アクリル酸3級アルキルエステルによる繰り返し単位等を挙げることができ、2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート及びジアルキル(1−アダマンチル)メチル(メタ)アクリレートによる繰り返し単位がより好ましい。
樹脂(H)は、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。例えば、一般的合成方法としては、モノマー種及び開始剤を溶剤に溶解させ、加熱することにより重合を行う一括重合法、加熱溶剤にモノマー種と開始剤の溶液を1〜10時間かけて滴下して加える滴下重合法などが挙げられ、滴下重合法が好ましい。反応溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類やメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、酢酸エチルのようなエステル溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド溶剤、更には後述のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノンのような本発明の組成物を溶解する溶媒が挙げられる。より好ましくはレジスト組成物(3)に用いられる溶剤と同一の溶剤を用いて重合することが好ましい。これにより保存時のパーティクルの発生が抑制できる。
重合反応は窒素やアルゴンなど不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。重合開始剤としては市販のラジカル開始剤(アゾ系開始剤、パーオキサイドなど)を用いて重合を開始させる。ラジカル開始剤としてはアゾ系開始剤が好ましく、エステル基、シアノ基、カルボキシル基を有するアゾ系開始剤が好ましい。好ましい開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などが挙げられる。所望により開始剤を追加、あるいは分割で添加し、反応終了後、溶剤に投入して粉体あるいは固形回収等の方法で所望のポリマーを回収する。反応の濃度は5〜50質量%であり、好ましくは10〜30質量%である。反応温度は、通常10℃〜150℃であり、好ましくは30℃〜120℃、更に好ましくは60〜100℃である。
反応終了後、室温まで放冷し、精製する。精製は、水洗や適切な溶媒を組み合わせることにより残留単量体やオリゴマー成分を除去する液々抽出法、特定の分子量以下のもののみを抽出除去する限外ろ過等の溶液状態での精製方法や、樹脂溶液を貧溶媒へ滴下することで樹脂を貧溶媒中に凝固させることにより残留単量体等を除去する再沈澱法やろ別した樹脂スラリーを貧溶媒で洗浄する等の固体状態での精製方法等の通常の方法を適用できる。たとえば、上記樹脂が難溶或いは不溶の溶媒(貧溶媒)を、該反応溶液の10倍以下の体積量、好ましくは10〜5倍の体積量で、接触させることにより樹脂を固体として析出させる。
ポリマー溶液からの沈殿又は再沈殿操作の際に用いる溶媒(沈殿又は再沈殿溶媒)としては、該ポリマーの貧溶媒であればよく、ポリマーの種類に応じて、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ニトロ化合物、エーテル、ケトン、エステル、カーボネート、アルコール、カルボン酸、水、これらの溶媒を含む混合溶媒等の中から適宜選択して使用できる。これらの中でも、沈殿又は再沈殿溶媒として、少なくともアルコール(特に、メタノールなど)又は水を含む溶媒が好ましい。
沈殿又は再沈殿溶媒の使用量は、効率や収率等を考慮して適宜選択できるが、一般には、ポリマー溶液100質量部に対して、100〜10000質量部、好ましくは200〜2000質量部、更に好ましくは300〜1000質量部である。
沈殿又は再沈殿する際の温度としては、効率や操作性を考慮して適宜選択できるが、通常0〜50℃程度、好ましくは室温付近(例えば20〜35℃程度)である。沈殿又は再沈殿操作は、攪拌槽などの慣用の混合容器を用い、バッチ式、連続式等の公知の方法により行うことができる。
沈殿又は再沈殿したポリマーは、通常、濾過、遠心分離等の慣用の固液分離に付し、乾燥して使用に供される。濾過は、耐溶剤性の濾材を用い、好ましくは加圧下で行われる。乾燥は、常圧又は減圧下(好ましくは減圧下)、30〜100℃程度、好ましくは30〜50℃程度の温度で行われる。
なお、一度、樹脂を析出させて、分離した後に、再び溶媒に溶解させ、該樹脂が難溶或いは不溶の溶媒と接触させてもよい。即ち、上記ラジカル重合反応終了後、該ポリマーが難溶或いは不溶の溶媒を接触させ、樹脂を析出させ(工程a)、樹脂を溶液から分離し(工程b)、改めて溶媒に溶解させ樹脂溶液Aを調製(工程c)、その後、該樹脂溶液Aに、該樹脂が難溶或いは不溶の溶媒を、樹脂溶液Aの10倍未満の体積量(好ましくは5倍以下の体積量)で、接触させることにより樹脂固体を析出させ(工程d)、析出した樹脂を分離する(工程e)ことを含む方法でもよい。
また、組成物の調製後に樹脂が凝集することなどを抑制する為に、例えば、特開2009−037108号公報に記載のように、合成された樹脂を溶剤に溶解して溶液とし、その溶液を30℃〜90℃程度で30分〜4時間程度加熱するような工程を加えてもよい。樹脂(H)の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜200,000であり、より好ましくは2,000〜100,000、更により好ましくは3,000〜70,000、特に好ましくは5,000〜50,000である。重量平均分子量を、1,000〜200,000とすることにより、耐熱性やドライエッチング耐性の劣化を防ぐことができ、かつ現像性が劣化したり、粘度が高くなって製膜性が劣化することを防ぐことができる。
樹脂(H)の分散度(分子量分布)は、通常1.0〜3.0の範囲である。好ましくは1.0〜2.6、より好ましくは1.1〜2.5、更に好ましくは1.2〜2.4、特に好ましくは1.3〜2.2、最も好ましくは1.4〜2.0の範囲のものが使用される。分子量分布が上記範囲を満たしていると、解像度、レジスト形状が優れ、かつ、レジストパターンの側壁がスムーズであり、ラフネス性に優れる。
レジスト組成物(3)中の樹脂(H)の組成物全体中の配合率は、全固形分中30〜99質量%が好ましく、より好ましくは60〜95質量%である。また、本発明の樹脂(H)は、1種で使用してもよいし、複数併用してもよい。
レジスト組成物(3)において、樹脂(H)と含フッ素重合体(B)の混合割合としては、樹脂(H)100質量部に対して含フッ素重合体(B)を0.01〜10質量部が好ましい。
レジスト組成物(3)には必要に応じて溶剤を含有させることができる。溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、環状ラクトン(好ましくは炭素数4〜10)、環を有しても良いモノケトン化合物(好ましくは炭素数4〜10)、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、ピルビン酸アルキル等の有機溶剤を挙げることができる。これらの溶剤の具体例は、米国特許出願公開2008/0187860号明細書[0441]〜[0455]に記載のものを挙げることができる。
また、レジスト組成物(3)には、有機溶剤として構造中に水酸基を含有する溶剤と、水酸基を含有しない溶剤とを混合した混合溶剤を使用してもよい。水酸基を含有する溶剤、水酸基を含有しない溶剤としては前述の例示化合物が適宜選択可能であるが、水酸基を含有する溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキル等が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME、別名1−メトキシ−2−プロパノール)、乳酸エチルがより好ましい。また、水酸基を含有しない溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、アルキルアルコキシプロピオネート、環を含有しても良いモノケトン化合物、環状ラクトン、酢酸アルキルなどが好ましく、これらの内でもプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、別名1−メトキシ−2−アセトキシプロパン)、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチルが特に好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノンが最も好ましい。
水酸基を含有する溶剤と水酸基を含有しない溶剤との混合比(質量)は、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜60/40である。水酸基を含有しない溶剤を50質量%以上含有する混合溶剤が塗布均一性の点で特に好ましい。
溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含むことが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート単独溶媒、又は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含有する2種類以上の混合溶剤であることが好ましい。
前記レジスト組成物(1)を用いて、例えば、カラーフィルタ−のパターン(硬化膜)を形成する方法としては、本発明のレジスト組成物(1)を、基板又は別の樹脂層(例えば、基板の上に先に形成された別の着色硬化性樹脂組成物層など)の上に塗布し、溶剤など揮発成分を除去して着色層を形成し、フォトマスクを介して該着色層を露光して、現像しパターンを形成する、いわゆるフォトリソ法や、着色硬化性樹脂組成物を、インクジェット装置を用いて基板又は別の樹脂層に塗布し、溶剤など揮発成分を除去して着色層を形成し、露光により硬化させてパターンを形成するインクジェット法等が挙げられる。
本発明のレジスト組成物(2)やレジスト組成物(3)を用いてレジストパターンを形成する際には、通常使用される6インチ前後の基板だけでなく、8インチ以上の大口径基板上にパターンを形成する際にも好適に適用される。前記基板としてはシリコン基板が一般的であるが、シリコン上に金属膜や酸化珪素、窒化珪素、酸窒化珪素などの酸化膜、窒化膜などの膜を有するものであってもよいことは勿論であるし、また基板材料もシリコンに限られるものでなく、従来LSIなどIC製造の際用いられている基板材料のいずれであってもよい。また、本発明のレジスト組成物(2)の塗布、塗布して得られる塗膜のベーク方法、露光方法、現像剤、現像方法などは従来ポジ型フォトレジストを用いてレジストパターンを形成する際に用いることが知られたものあるいは条件であればいずれのものであってもよい。さらに、露光で用いられる露光光源も、紫外線、遠紫外線、X線、電子線など任意のものでよい。
以下に本発明を具体的な実施例を挙げてより詳細に説明する。例中、「部」、「%」は特に断りのない限り質量基準である。なお、得られた含フッ素化合物のIRスペクトル、13C−NMRスペクトル及びGPCの測定条件は下記の通りである。
[IRスペクトル測定条件]
装置:株式会社島津製作所製「FTIR−8400S」
測定方法:KBr法
[13C−NMRスペクトル測定条件]
装置:日本電子株式会社製「JNM−AL400」
溶媒:クロロホルム−d6
[GPC測定条件]
測定装置:東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HHR−H」(6.0mmI.D.×4cm)+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)
検出器:ELSD(オルテックジャパン株式会社製「ELSD2000」)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIデータ解析バージョン4.30」
測定条件:カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン(THF)
流速 1.0ml/分
試料:樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(5μl)。
標準試料:前記「GPC−8020モデルIIデータ解析バージョン4.30」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
東ソー株式会社製「F−288」
東ソー株式会社製「F−550」
実施例1(含フッ素化合物の合成)
撹拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに、下記構造式(X−1)で表される両末端水酸基含有パーフルオロポリエーテル化合物(X−1)200g、溶媒としてジイソプロピルエーテル110g、中和剤としてトリエチルアミン29.1gを仕込み、窒素気流下にて攪拌を開始し、フラスコ内を5℃以下に保ちながら2−ブロモイソ酪酸ブロミド58.1gを30分かけて滴下した。滴下終了後、室温にて2時間攪拌した後、40℃に昇温して3時間攪拌することにより反応を行い、ガスクロマトグラフィー測定にて2−ブロモイソ酪酸ブロミドの消失を確認した。
(式中、aの平均が5、bの平均が8であり、フッ素原子の数が平均46である。また、GPCによる数平均分子量は1,500である。)
次いで、溶媒としてジイソプロピルエーテル275gを追加した後、1規定の塩酸水溶液250gを混合して攪拌してから静置し水層を分離させて取り除く方法による洗浄を行った。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液250gを用いて同様に洗浄を行った後、飽和塩化ナトリウム水溶液250gを用いて同様の洗浄を行った。次いで、脱水剤として硫酸マグネシウム20gを添加して1日間静置することで完全に脱水した後、脱水剤を濾別してろ液を得た。このろ液の溶媒を減圧下で留去することによって、本発明の含フッ素化合物(1)180gを得た。13C−NMRによる分析の結果、含フッ素化合物(1)は下記構造を示すことが確認された。含フッ素化合物(1)のIRスペクトルのチャート図を図1に、13C−NMRスペクトルのチャート図を図2にそれぞれ示す。
(式中、aの平均が5、bの平均が8であり、フッ素原子の数が平均46である。)
実施例2(同上)
撹拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに、下記構造式(X−2)で表される片末端水酸基含有パーフルオロポリエーテル化合物(X−2)200g、溶媒としてジイソプロピルエーテル250g、中和剤としてトリエチルアミン24gを仕込み、窒素気流下にて攪拌を開始し、フラスコ内を5℃以下に保ちながら2−ブロモイソ酪酸ブロミド38gを30分かけて滴下した。滴下終了後、室温にて2時間攪拌した後、40℃に昇温して5時間攪拌することにより反応を行い、ガスクロマトグラフィー測定にて2−ブロモイソ酪酸ブロミドの消失を確認した。
(式中、nの平均が12であり、フッ素原子の数が平均77である。)
次いで、溶媒としてジイソプロピルエーテル275gを追加した後、1規定の塩酸水溶液250gを混合して攪拌してから静置し水層を分離させて取り除く方法による洗浄を行った。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液250gを用いて同様に洗浄を行った後、飽和塩化ナトリウム水溶液250gを用いて同様の洗浄を行った。次いで、脱水剤として硫酸マグネシウム20gを添加して1日間静置することで完全に脱水した後、脱水剤を濾別してろ液を得た。このろ液の溶媒を減圧下で留去することによって、本発明の含フッ素化合物(2)180gを得た。
(式中、nの平均が12であり、フッ素原子の数が平均77である。)
実施例3(含フッ素重合体の合成)
窒素置換したフラスコに、溶剤としてメチルエチルケトン81.5gと、t−ブチルメタクリレート40.9gを仕込み、窒素気流下にて攪拌しながら50℃に昇温した。次いで、2,2’−ビピリジル1.7g、塩化第一銅0.7gを仕込み、フラスコ内を50℃に保ちながら30分撹拌した。その後、実施例1で合成した含フッ素化合物(1)3.3g加え、窒素気流下、50℃で21時間反応させ、反応物を得た。
次いで、得られた反応物に、活性アルミナ30gを加えて攪拌した。活性アルミナを濾過後、溶媒を減圧留去して本発明の含フッ素重合体(1)を得た。含フッ素重合体(1)の分子量をGPCで測定した結果、重量平均分子量(Mw)8,400、数平均分子量(Mn)5,100であった。また、フッ素原子含有量は13質量%であった。含フッ素重合体(1)のIRスペクトルのチャート図を図3に、13C−NMRスペクトルのチャート図を図4に、GPCのチャート図を図5にそれぞれ示す。尚、含フッ素重合体(1)は前記一般式(I)で表される重合体において、Xは臭素原子、R5、R6はメチル基、R1、R2はメチレン基である。n1とn2の合計は平均45であった。
得られた含フッ素重合体(1)を含む溶液の塗膜を作製し、塗膜中の異物(レベリング性)の有無を確認すると共に、撥液性と現像性の評価を行った。その評価方法を下記に示す。また、各評価の結果を第1表に示す。
<塗膜中の異物の有無の評価(レベリング性の評価)>
・溶液の調製
含フッ素重合体(1)を20%含むプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液5部、酸発生剤(トリ−p−トリルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート)10部、クエンチャー(トリエチルアミン)1部及びArFレジスト樹脂溶液(2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート/γ−ブチロラクトンメタクリレート/3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートの共重合物をPGMEAに10%の濃度で溶解させたもの)1000部を混合した溶液(ポジ型レジスト組成物)を調製した。
・塗膜の作製
該溶液3mLを6インチのシリコンウェハの中央部分に滴下し、回転数3,000rpm、回転時間30秒でスピンコ−ティングした後、110℃で1分間加熱乾燥させて塗膜を作製した。
・塗膜の評価方法
得られた塗膜を目視で観察し、下記基準に従って評価した。
○:3cm角の塗膜中に異物が一つも確認されない。
△:3cm角の塗膜中に異物が1〜10個確認される。
×:3cm角の塗膜中に異物が10個より多く確認される。
<撥液性の評価>
前記<塗膜中の異物の有無の評価>において得た塗膜の表面について、接触角測定装置(協和界面科学株式会社製「MODEL CA−W150」)を用いて、水の接触角を測定した。
<現像性の評価>
・現像方法
前記<塗膜中の異物の有無の評価>において得た塗膜に対して、マスクパターンを用いずに、ArFエキシマーランプを照射した(中心波長193nm、照射量30mJ/cm2)。照射後、110℃で60秒間の加熱処理(PEB処理)を行い、さらに2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で60秒間現像処理を行った。その後30秒間、純水を用いて水リンスし、エアスプレーにて乾燥を行った。現像前後の膜厚測定から、残膜率を算出することで、現像性を評価した。残膜率が低い程、現像性に優れる塗膜である。
・現像性の評価方法
◎:残膜率が0%である(残膜なし)。
○:残膜率が0%を超えて10%以下である。
△:残膜率が10%を超えて50%以下である。
×:残膜率が50%を超える。
実施例4(同上)
窒素置換したフラスコに、溶剤としてメチルエチルケトン81.5gと、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート40.9gを仕込み、窒素気流下にて攪拌しながら50℃に昇温した。次いで、2,2’−ビピリジル1.7g、塩化第一銅0.7gを仕込み、フラスコ内を50℃に保ちながら30分撹拌した。その後、実施例1で合成した含フッ素化合物(1)3.3g加え、窒素気流下、50℃で30時間反応させ、反応物を得た。
次いで、得られた反応物に、活性アルミナ30gを加えて攪拌した。活性アルミナを濾過後、溶媒を減圧留去して本発明の含フッ素重合体(2)を得た。含フッ素重合体(2)の分子量をGPCで測定した結果、重量平均分子量(Mw)7,100、数平均分子量(Mn)4,600であった。また、フッ素原子含有量は15質量%であった。尚、含フッ素重合体(2)は前記一般式(I)で表される重合体において、Xは臭素原子、R5、R6はメチル基、R1、R2はメチレン基である。n1とn2の合計は平均21であった。
含フッ素重合体(2)を用いた以外は実施例3と同様にして含フッ素重合体(2)を含む溶液の塗膜を作製し、塗膜中の異物の有無を確認すると共に、撥液性と現像性の評価を行った。各評価の結果を第1表に示す。
実施例5(同上)
窒素置換したフラスコに、溶剤としてメチルエチルケトン81.5gと、1-イソブトキシエチルメタクリレート40.9gを仕込み、窒素気流下にて攪拌しながら50℃に昇温した。次いで、2,2’−ビピリジル1.7g、塩化第一銅0.7gを仕込み、フラスコ内を50℃に保ちながら30分撹拌した。その後、実施例1で合成した含フッ素化合物(1)3.3g加え、窒素気流下、50℃で24時間反応させ、反応物を得た。
次いで、得られた反応物に、活性アルミナ30gを加えて攪拌した。活性アルミナを濾過後、溶媒を減圧留去して本発明の含フッ素重合体(3)を得た。含フッ素重合体(3)の分子量をGPCで測定した結果、重量平均分子量(Mw)7,900、数平均分子量(Mn)4,900であった。また、フッ素原子含有量は14質量%であった。尚、含フッ素重合体(3)は前記一般式(I)で表される重合体において、Xは臭素原子、R5、R6はメチル基、R1、R2はメチレン基である。n1とn2の合計は平均42であった。
含フッ素重合体(3)を用いた以外は実施例3と同様にして含フッ素重合体(3)を含む溶液の塗膜を作製し、塗膜中の異物の有無を確認すると共に、撥液性と現像性の評価を行った。各評価の結果を第1表に示す。
実施例6(同上)
窒素置換したフラスコに、溶剤としてメチルエチルケトン81.5gと、t−ブチルメタクリレート40.9gを仕込み、窒素気流下にて攪拌しながら50℃に昇温した。次いで、2,2’−ビピリジル1.7g、塩化第一銅0.7gを仕込み、フラスコ内を50℃に保ちながら30分撹拌した。その後、実施例2で合成した含フッ素化合物(2)3.3g加え、窒素気流下、50℃で21時間反応させ、反応物を得た。
次いで、得られた反応物に、活性アルミナ30gを加えて攪拌した。活性アルミナを濾過後、溶媒を減圧留去して本発明の含フッ素重合体(4)を得た。含フッ素重合体(4)の分子量をGPCで測定した結果、重量平均分子量(Mw)8,400、数平均分子量(Mn)5,100であった。また、フッ素原子含有量は13質量%であった。尚、含フッ素重合体(1)は前記一般式(II)で表される重合体において、Xは臭素原子、R5、R6はメチル基、R1、R2はメチレン基である。n3は平均48であった。
含フッ素重合体(4)を用いた以外は実施例3と同様にして含フッ素重合体(4)を含む溶液の塗膜を作製し、塗膜中の異物の有無を確認すると共に、撥液性と現像性の評価を行った。各評価の結果を第1表に示す。
実施例7(同上)
窒素置換したフラスコに、溶剤としてメチルエチルケトン81.5gと、ポリプロピレンオキシメタクリレート(プロピレンオキシ基の繰り返し数5)40.9gを仕込み、窒素気流下にて攪拌しながら60℃に昇温した。次いで、2,2’−ビピリジル1.7g、塩化第一銅0.7gを仕込み、フラスコ内を60℃に保ちながら30分撹拌した。その後、実施例1で合成した含フッ素化合物(1)3.3g加え、窒素気流下、60℃で30時間反応させ、反応物を得た。
次いで、得られた反応物に、活性アルミナ30gを加えて攪拌した。活性アルミナを濾過後、溶媒を減圧留去して本発明の含フッ素重合体(5)を得た。含フッ素重合体(5)の分子量をGPCで測定した結果、重量平均分子量(Mw)7,800、数平均分子量(Mn)5,200であった。また、フッ素原子含有量は11質量%であった。尚、含フッ素重合体(5)は前記一般式(I)で表される重合体において、Xは臭素原子、R5、R6はメチル基、R1、R2はメチレン基である。n1とn2の合計は平均15であった。
含フッ素重合体(5)を用いた以外は実施例3と同様にして含フッ素重合体(2)を含む溶液の塗膜を作製し、塗膜中の異物の有無(レベリング性)を確認すると共に、撥液性の評価を行った。塗膜中の異物の有無(レベリング性)の評価は下記の方法で行い、また、撥液性の評価は実施例3と同様にして行った。評価結果を第2表に示す。
<塗膜中の異物の有無の評価(レベリング性の評価)>
・溶液の調製
含フッ素重合体(5)を20%含むプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液5部、酸発生剤(トリ−p−トリルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート)10部、クエンチャー(トリエチルアミン)1部及び2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート/γ−ブチロラクトンメタクリレート/3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートの共重合物(酸の作用により極性が増大し、その結果、有機溶剤に対する溶解性が減少する樹脂)をPGMEAに10%の濃度で溶解させた溶液1000部を混合した溶液(ネガ型レジスト組成物)を調製した。
・塗膜の作製
実施例3と同様の方法にて塗膜を作製した。
・塗膜の評価方法
得られた塗膜の膜厚を大塚電子株式会社製FE−3000を用いて塗膜中央部分を2mm間隔で200点測定し、その標準偏差を測定した。標準偏差の数値が大きい程、塗膜中の異物が少なくレベリング性に優れる。
実施例8(レジスト組成物)
FASTOGENグリーンA110(DIC株式会社製)10gをポリビンに入れ、PGMEA 60g、DISPERBYK LPN21116(ビックケミー株式会社製)12g、0.3−0.4mmΦセプルビーズを加え、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社製)で2時間分散し、緑色顔料分散液を得た。
この顔料分散液42gに対し、バインダー樹脂としてDIC株式会社製ユニディックRS20−160を15g、光重合性モノマーとして東亞合成株式会社製アロニックスM−402を6g、光重合開始剤としてBASFジャパン株式会社製イルガキュア#369を0.5g、含フッ素重合体(5)を固形分換算で0.06g、PGMEAを37gを混合して、カラーレジスト組成物を調製した。実施例3と同様の撥液性の評価と、実施例7と同様の塗膜中の異物の有無(レベリング性)の評価を行い、その結果を第3表に示す。
比較例1(比較対照用含フッ素重合体の合成)
撹拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに、前記両末端水酸基含有パーフルオロポリエーテル化合物(X−1)20g、溶媒としてジイソプロピルエーテル10g、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.006g及び中和剤としてトリエチルアミン3.3gを仕込み、空気気流下にて攪拌を開始し、フラスコ内を10℃に保ちながらメタクリル酸クロライド3.1gを2時間かけて滴下した。滴下終了後、10℃で1時間攪拌し、昇温して30℃で1時間攪拌した後、50℃に昇温して10時間攪拌することにより反応を行い、ガスクロマトグラフィー測定にてメタクリル酸クロライドの消失を確認した。
次いで、溶媒としてジイソプロピルエーテル72gを追加した後、イオン交換水72gを混合して攪拌してから静置し水層を分離させて取り除く方法による洗浄を3回繰り返した。次いで、脱水剤として硫酸マグネシウム8gを添加して1日間静置することで完全に脱水した後、脱水剤を濾別してろ液を得た。このろ液の溶媒を減圧下で留去することによって、下式で表される単量体(a´)20.8gを得た。
(式中、aの平均が5、bの平均が8であり、フッ素原子の数が平均46である。)
撹拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに、溶媒としてメチルイソブチルケトン260gを仕込み、窒素気流下にて攪拌しながら105℃に昇温した。次いで、単量体(a´)20g、t−ブチルメタクリレート80gと溶媒としてメチルイソブチルケトン80gを混合した単量体溶液、ラジカル重合開始剤としてt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート15gと溶媒としてメチルイソブチルケトン60gを混合した開始剤溶液の3種類の滴下液をそれぞれ別々の滴下装置にセットし、フラスコ内を105℃に保ちながら同時に2時間かけて滴下した。滴下終了後、105℃で10時間攪拌して、比較対照用の含フッ素重合体(1´)を含む溶液を得た。反応終了後、減圧下で溶媒を留去し、PGMEAを加えて希釈することにより、含フッ素重合体(1´)を20%含有するPGMEA溶液を得た。含フッ素重合体(1´)は、数平均分子量が1,500、重量平均分子量が2,600であった。また、フッ素含有率は11%であった。含フッ素重合体(1´)を用いた以外は実施例3と同様にして塗膜を作製し、塗膜中の異物の有無を確認すると共に、撥液性と現像性の評価を行った。その評価方法を下記に示す。また、各評価の結果を第1表に示す。
比較例2(同上)
撹拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに、溶媒としてメチルイソブチルケトン260gを仕込み、窒素気流下にて攪拌しながら105℃に昇温した。次いで、単量体(a´)20g、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート80gと溶媒としてメチルイソブチルケトン80gを混合した単量体溶液、ラジカル重合開始剤としてt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート15gと溶媒としてメチルイソブチルケトン60gを混合した開始剤溶液の3種類の滴下液をそれぞれ別々の滴下装置にセットし、フラスコ内を105℃に保ちながら同時に2時間かけて滴下した。滴下終了2時間後と4時間後に、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエートを各2gずつ追加した。その後、105℃で10時間攪拌して、比較対照用の含フッ素重合体(2´)の溶液を得た。反応終了後、減圧下で溶媒を留去し、PGMEAを加えて希釈することにより、含フッ素重合体(2´)を20%含有するPGMEA溶液を得た。含フッ素重合体(2´)は、数平均分子量が600、重量平均分子量が1,100であった。また、フッ素含有率は11%であった。含フッ素重合体(2´)を用いた以外は実施例3と同様にして塗膜を作製し、塗膜中の異物の有無を確認すると共に、撥液性と現像性の評価を行った。その評価方法を下記に示す。また、各評価の結果を第1表に示す。
比較例3
比較例1で得た含フッ素重合体(1´)を用いた以外は実施例7と同様にして塗膜中の異物の有無(レベリング性)を確認すると共に、撥液性の評価を行った。評価結果を第2表に示す。
比較例4
比較例2で得た含フッ素重合体(2´)を用いた以外は実施例7と同様にして塗膜中の異物の有無(レベリング性)を確認すると共に、撥液性の評価を行った。評価結果を第2表に示す。
比較例5
比較例1で得た含フッ素重合体(1´)を用いた以外は実施例8と同様にして塗膜中の異物の有無(レベリング性)を確認すると共に、撥液性の評価を行った。評価結果を第3表に示す。