以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図13は、本実施の形態による硬貨包装装置を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態による硬貨包装装置の外観を示す斜視図であり、図2や図3は、図1に示す硬貨包装装置の上面図である。また、図4は、図1に示す硬貨包装装置における複数の包装ローラの駆動系を示す斜視図であり、図5は、図4に示す複数の包装ローラの駆動系における循環ベルトや駆動モータ等の構成を示す斜視図であり、図6は、図5に示す複数の包装ローラの駆動系の上面図である。また、図7は、図1等に示す硬貨包装装置における巻込み機構の巻込み針と包装紙との位置関係を示す斜視図であり、図8は、図1等に示す硬貨包装装置における巻込み機構の巻込み針による包装紙の巻込み過程を示す断面図であり、図9は、図1等に示す硬貨包装装置において巻込み機構の巻込み針が集積硬貨の端面に到達したときの状態を示す断面図である。また、図10は、図1等に示す硬貨包装装置の機能ブロック図であり、図11は、図1等に示す硬貨包装装置において駆動モータの回転駆動を低速から高速に切り換えたときの当該駆動モータのパルス数、包装ローラの回転数、駆動モータの電流値等の経時的な推移を示すタイミングチャートである。また、図12および図13は、それぞれ、図1等に示す硬貨包装装置において、多数の歯を有する円板形状のカッターを包装紙供給部に設けたときの様々な構成を示す図である。
図1等に示すように、本実施の形態による硬貨包装装置10は、バラ状態の硬貨を受け入れて1枚ずつ繰り出す繰出部12と、この繰出部12から繰り出された硬貨を1枚ずつ搬送路21に沿って搬送する搬送部20と、搬送部20の搬送路21の下流側終端に搬送された硬貨を下側から上方へ向けて集積する集積部30と、集積部30で所定の包装単位枚数分(例えば、50枚)の硬貨を集積した集積硬貨Cを包装紙Pによって包装する包装部40と、包装部40に包装紙Pを供給する包装紙供給部50と、集積硬貨Cに巻かれた包装紙Pの上下両端部を巻き込んで集積硬貨Cの上下両端部にかしめる巻込み機構60とを備えている。また、本実施の形態による硬貨包装装置10には、1回転毎に1本ずつ包装硬貨を作成するように包装工程での硬貨包装装置10の各機構の動作を制御するカム軸64が設けられている。このような硬貨包装装置10の各構成要素の詳細について以下に説明する。
図1乃至図3に示すように、繰出部12は、水平面に沿って設けられた回転円盤14と、この回転円盤14の周囲に配置された周壁16とを有している。このような繰出部12では、周壁16の内側で回転円盤14上にバラ状態の硬貨を受け入れ、回転円盤14の回転によって硬貨を1枚ずつ搬送部20の搬送路21に繰り出すようになっている。
搬送部20は、搬送路21に沿って設けられた搬送ベルト(図示せず)によって、繰出部12から繰り出された硬貨を1枚ずつ一層一列状態で搬送するようになっている。搬送路21の幅の大きさは、硬貨包装装置10により包装されるべき硬貨の金種の直径の大きさに対応して調整されるようになっている。そして、包装されるべき硬貨の金種の直径よりも大きな直径の金種の硬貨については繰出部12から搬送部20の搬送路21への進入が規制され、また、包装されるべき硬貨の金種の直径よりも小さな直径の金種の硬貨については、搬送部20の搬送路21に設けられたリジェクト口22により排除されるようになっている。図2および図3に示すように、搬送部20の搬送路21には、当該搬送路21から集積部30へ送り込む硬貨の通過を検知する通過検知センサS1、および搬送路21から集積部30へ送り込まれる硬貨の枚数を計数する計数センサS2がそれぞれ設けられている。また、搬送部20の搬送路21の下流側終端の近傍には、通過検知センサS1による硬貨の検知結果に基づいて、搬送部20の搬送路21から集積部30へ送り込まれる所定の包装単位枚数目の硬貨の次の硬貨を停止させるストッパ32が設けられている。
図1等に示すように、集積部30は、包装部40の3本の包装ローラ42a、42b、42c(後述)の間に形成されている。また、集積部30の底部には集積ローラ(図示せず)が配設されており、この集積ローラの回転により、搬送部20の搬送路21から送り込まれる硬貨を集積部30の下部に取り込むようになっている。より詳細には、集積部30の底部に設けられた集積ローラにより、集積部30の下部に送り込まれる硬貨における送り込み方向の先端部分を、集積部30に積層状態で集積されている複数の硬貨のうち最も下層に位置する硬貨の下側に取り込むようにする。このようにして、集積部30内において、下側から上方に向けて硬貨が集積されるようになる。
包装部40は、鉛直方向に沿って平行に延びる3つの包装ローラ42a、42b、42cを有しており、これらの3つの包装ローラ42a、42b、42cの間に、集積硬貨Cを包装紙Pにより包装するための包装領域41が形成されている。より詳細には、包装部40は、集積部30において包装単位枚数分の硬貨が集積された集積硬貨Cを支持ロッド(図示せず)で所定の包装位置まで上昇させ、3本の包装ローラ42a、42b、42cで集積硬貨Cの周面を挟持して回転させ、包装紙供給部50から供給される包装紙Pを集積硬貨Cの周面に巻き付けるようになっている。そして、巻込み機構60により、集積硬貨Cに巻き付けられた包装紙Pの上下両端部を巻き込んで集積硬貨Cの上下両端面にかしめ、包装硬貨を形成する。その後、集積ローラや支持ロッド等は、包装部40の下方位置から退避し、包装部40により形成された包装硬貨は下方へ放出される。
本実施の形態では、3つの包装ローラ42a、42b、42cのうち、包装ローラ42b、42cは包装ローラ42aに対して接近する方向および離間する方向にそれぞれ移動可能となっており、包装ローラ42aに対する包装ローラ42b、42cの位置および集積ローラの位置が、包装されるべき硬貨の金種に対応して調整されるようになっている。なお、包装ローラ42cは、硬貨包装装置10による硬貨の包装時には位置固定であり、包装されるべき硬貨の金種の設定時のみ移動するようになっている。
次に、3つの包装ローラ42a、42b、42cの駆動系について図4乃至図6を用いて説明する。前述したように、図4は、図1に示す硬貨包装装置10における3つの包装ローラ42a、42b、42cの駆動系を示す斜視図であり、図5は、図4に示す3つの包装ローラ42a、42b、42cの駆動系における循環ベルト45や駆動モータ48等の構成を示す斜視図である。また、図6は、図5に示す3つの包装ローラ42a、42b、42cの駆動系の上面図である。
図4および図5に示すように、各包装ローラ42a、42b、42cの上部には、それぞれ軸43a、43b、43cを介してプーリ44a、44b、44cが配設されており、これらのプーリ44a、44b、44cには1本の無端状の循環ベルト45が張架されている。この循環ベルト45は水平面に沿って配設されており、当該循環ベルト45はプーリ44a、44b、44c以外にも複数のプーリに張架されている。また、図5に示すように、循環ベルト45が張架される複数のプーリのうちある一つのプーリ46aには駆動モータ48が設けられており、この駆動モータ48によりプーリ46aが図4乃至図6における反時計回りの方向に回転駆動させられ、このことにより循環ベルト45は図4乃至図6における反時計回りの方向に循環移動するようになっている。このようにして、3つの包装ローラ42a、42b、42cは、駆動モータ48によって、軸43a、43b、43cを中心として図4乃至図6における反時計回りの方向に同期して回転駆動させられるようになる。
また、図4乃至図6に示すように、駆動モータ48に設けられたプーリ46aには、循環ベルト45の他に循環ベルト47bが張架されていてもよく、この場合には、この循環ベルト47bはプーリ46a以外にプーリ47aにも張架されるようになる。また、このプーリ47aには駆動モータ(図示せず)が設けられていてもよく、この場合には、プーリ47aに設けられた駆動モータによって、3つの包装ローラ42a、42b、42cに対して、駆動モータ48による回転駆動力とは異なる回転数での回転駆動力が与えられるようになる。なお、以下に示す本実施の形態では、3つの包装ローラ42a、42b、42cの回転数を変化させる際に、駆動モータを切り換えるのではなく、あくまでプーリ46aが設けられた駆動モータ48の回転数を変えることにより3つの包装ローラ42a、42b、42cの回転数を変えるようになっている。
次に、3つの包装ローラ42a、42b、42cに挟み込まれた集積硬貨Cに包装紙Pを供給する包装紙供給部50の構成の詳細について図2および図3を用いて説明する。ここで、図2および図3は、図1に示す硬貨包装装置10の上面図であるが、図2は、包装紙案内部材55、56bが包装領域41の側方開放部を塞ぐような進出位置に位置するとともに、巻込み機構60の巻込み針61(後述)が包装領域41から退避するような退避位置に位置しているときの状態を示す図である。また、図3は、包装紙案内部材55、56bが包装領域41の側方開放部から退避してこの側方開放部を開くような退避位置に位置するとともに、巻込み機構60の巻込み針61が包装領域に進出するような進出位置に位置しているときの状態を示す図である。なお、包装紙供給部50により供給される包装紙Pは、例えばポリエチレンや紙等の材料で形成されており、例えば繊維の方向等によって集積硬貨Cの周方向に対して集積方向の強度が低くなるように構成されている。このことにより、包装硬貨の包装を解く場合に包装紙Pは包装硬貨の周方向に切れやすくなっている。また、包装紙供給部50により供給される包装紙Pの繊維の方向は、集積硬貨Cの軸方向に沿うようにしてもよい。
図2および図3に示すように、包装紙供給部50は、帯状の包装紙Pが巻かれた包装紙供給ロール51を有しており、この包装紙供給ロール51から巻き出された帯状の包装紙Pは一対の案内ローラ52、53の間を通って包装紙案内部材54により包装部40の包装領域41に案内されるようになっている。また、包装紙案内部材54の近傍には、一対の案内ローラ52、53の間から包装紙案内部材54に送られた帯状の包装紙Pを所定の長さ(具体的には、集積硬貨Cの2〜3巻き分の長さ)に切断する例えばカッター等からなる切断部材58が設けられており、この切断部材58により、包装部40の包装領域41に送られるべき包装紙Pが所定の長さに切断されるようになっている。
また、包装部40の包装領域41の近傍には、包装紙案内部材54から送られた包装紙Pを包装部40の包装領域41に案内するための包装紙案内部材55が設けられている。この包装紙案内部材55は、水平面に沿って往復移動可能となっている。より詳細には、包装紙案内部材55は、包装領域41の側方開放部(具体的には、包装ローラ42aと包装ローラ42bとの間にある側方開放部)を塞ぐような進出位置(図2参照)と、包装領域41の側方開放部から退避してこの側方開放部を開くような退避位置(図3参照)との間で移動自在となっており、図2に示すように包装紙案内部材55が進出位置に位置しているときに包装領域41に包装紙Pが案内されるようになっている。
また、包装領域41の周囲における各包装ローラ42a、42b、42cの近傍にはそれぞれ包装紙案内部材56a、56b、56cが設けられており、包装紙案内部材55により包装領域41に案内された包装紙Pは、これらの包装紙案内部材56a、56b、56cによって、集積硬貨Cの周面に巻き付けられるよう案内されるようになっている。ここで、3つの包装紙案内部材56a、56b、56cのうち、2つの包装紙案内部材56a、56cは硬貨の金種に応じた位置で位置固定となっているが、包装領域41の側方開放部に位置する包装紙案内部材56bは水平面に沿って往復移動可能となっている。より詳細には、包装紙案内部材56bは、包装領域41の側方開放部を塞ぐような進出位置(図2参照)と、包装領域41の側方開放部から退避してこの側方開放部を開くような退避位置(図3参照)との間で移動自在となっており、図2に示すように包装紙案内部材56bが進出位置に位置しているときに、包装紙案内部材55により包装領域41に案内された包装紙Pが各包装紙案内部材56a、56b、56cにより集積硬貨Cの周面に巻き付けられるよう案内される。
次に、集積硬貨Cに巻き付けられた包装紙Pの上下両端部を巻き込んで集積硬貨Cの上下両端面にかしめる巻込み機構60の構成の詳細について図7乃至図9を用いて説明する。なお、前述したように、図7は、図1等に示す硬貨包装装置10における巻込み機構60の巻込み針61(より詳細には、上下一対の巻込み針61のうち上側の巻込み針61)と包装紙Pとの位置関係を示す斜視図であり、図8は、図1等に示す硬貨包装装置10における巻込み機構60の巻込み針61による包装紙Pの巻込み過程を示す断面図であり、図9は、図1等に示す硬貨包装装置10において巻込み機構60の巻込み針61が集積硬貨Cの端面に到達したときの状態を示す断面図である。
本実施の形態では、巻込み機構60は、上下一対の鉤型の巻込み針61と、これらの上下一対の巻込み針61を移動させる巻込み針移動手段62とを有している。ここで、図7乃至図9に示すように、巻込み針61は、軸部61aと、この軸部61aの先端から略U字形に屈曲された巻込み部61bとを有している。巻込み部61bの先端において当該巻込み部61bの内側の面には、包装紙Pの端部を巻込み部61bの内側に巻き込むために鉤状に湾曲して突出する爪部61cが形成されている。なお、図7乃至図9には、上側の巻込み針61に関する構造を図示しているが、下側の巻込み針61に関する構造についても上下が反対になるだけで同様の構造となるよう構成されている。
図1に示すように、巻込み針移動手段62は、上下一対の巻込み針61をそれぞれ支持する上下一対の支持体62aを有している。上下一対の支持体62aはそれぞれ上下一対のアーム62bの先端に取り付けられ、これらの上下一対のアーム62bは揺動フレーム62cに対して上下方向にスライド可能に支持されている。ここで、上下一対のアーム62bは例えばスプリング(図示せず)によって互いに接近する方向に付勢されるようになっている。
揺動フレーム62cは上下縁部が折曲された略コの字形状に形成されており、この揺動フレーム62cの上下縁部間に複数のスライド軸62dが取り付けられている。そして、これらのスライド軸62dに、上下一対のアーム62bが上下方向にスライド可能に取り付けられている。揺動フレーム62cは、当該揺動フレーム62cの上下縁部を貫通する回動軸62eを中心に水平方向に回動可能に支持されているとともに、例えばスプリング(図示せず)によって上下一対の巻込み針61が包装部40の包装領域41に接近する方向へ向けて回動付勢されている。
揺動フレーム62cの近傍には、上下一対のカム64aが設けられたカム軸64が配設されているとともに、各カム64aに対応して、上下一対のアーム62bをそれぞれ上下方向に移動させるための上下一対のレバー64bが設けられている。カム軸64は、包装工程で1本の包装硬貨を作成する際に1回転するようカム軸用モータ65(図10参照)により回転させられるようになっている。各レバー64bの基端部は、位置固定で水平方向に延びる支軸64cによって枢支され、この支軸64cを中心に各レバー64bは上下方向に揺動可能となっている。また、各レバー64bの中間部には、各カム64aに当接するカムローラ64dが取り付けられている。また、各レバー64bの先端には、各アーム62bに当接する押動ローラ64eが取り付けられている。そして、上下一対のレバー64bのうち上側のレバー64bにおいて、上側のカムローラ64dが上側のカム64aの上面に当接され、上側の押動ローラ64eが上側のアーム62bの下面に当接されることにより、下方へ付勢されている上側のアーム62bの下降が規制されている。一方、上下一対のレバー64bのうち下側のレバー64bにおいて、下側のカムローラ64dが下側のカム64aの下面に当接され、下側の押動ローラ64eが下側のアーム62bの上面に当接されることにより、上方へ付勢されている下側のアーム62bの上昇が規制されている。そして、包装工程でのカム軸64の1回転により、上下一対のカム64aの回転に伴って上下一対のレバー64bが揺動する。このことによって、上下一対のアーム62bが上下方向に移動し、よって上下一対の巻込み針61も上下方向に移動する。
さらに、カム軸64にはカム64fが取り付けられており、このカム64fに当接可能となっているカムローラ66(図2や図3参照)が揺動フレーム62cに取り付けられている。そして、カム64fがカムローラ66を押動している状態では、図2に示すように上下一対の巻込み針61が包装部40の包装領域41から退避するようになっている。一方、包装工程でのカム軸64の1回転中におけるカム64fがカムローラ66を押動しなくなる期間に、揺動フレーム62cに対するスプリング(図示せず)等による付勢により、図3に示すように上下一対の巻込み針61が包装部40の包装領域41に進出して包装紙Pの巻込み動作を可能とするようになっている。
また、カム軸64は、1回転で1本の包装硬貨を作成するよう硬貨包装装置10の各機構の動作を制御するようになっており、上述したカム64aやカム64f以外にも、例えば、包装ローラ42bの移動を制御するためのカムや支持ロッドの移動を制御するためのカム、包装紙案内部材55や包装紙案内部材56bの移動を制御するためのカム等、複数のカムが取り付けられている。
本実施の形態による硬貨包装装置10の機能ブロック図を図10に示す。本実施の形態による硬貨包装装置10は、当該硬貨包装装置10の各構成要素を制御する制御部70を有している。具体的には、制御部70には、繰出部12、搬送部20、駆動モータ48、包装紙供給部50、カム軸用モータ65等がそれぞれ接続されており、制御部70がこれらの繰出部12、搬送部20、駆動モータ48、包装紙供給部50、カム軸用モータ65等にそれぞれ指令信号を送ることによりこれらの構成要素の制御を行っている。また、制御部70には巻き付け不良検知部72および包装ローラ回転数検知部74がそれぞれ接続されている。巻き付け不良検知部72は、包装工程において、包装紙供給部50から供給された包装紙Pを集積硬貨Cに巻き付ける際に当該集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生したときにこのことを検知するようになっている。このような巻き付け不良検知部72による包装紙Pの巻き付け不良の検知方法の詳細については後述する。
また、包装ローラ回転数検知部74は、包装工程における各包装ローラ42a、42b、42cの回転数を検知するようになっている。より詳細には、包装ローラ回転数検知部74として、3つの包装ローラ42a、42b、42cのうちいずれか一つの包装ローラ(例えば、包装ローラ42a)の近傍にローラ回転数検知センサが設けられており、このローラ回転数検知センサにより当該包装ローラの回転数を検知するようになっている。前述したように、3つの包装ローラ42a、42b、42cは同期して回転するようになっているため、一つの包装ローラの回転数を検知することによって、3つの包装ローラ42a、42b、42c全ての回転数を検知することができるようになる。なお、包装ローラ回転数検知部74として、各包装ローラ42a、42b、42cの回転数を直接的に検知するローラ回転数検知センサの代わりに、循環ベルト45の移動速度を検知し、この循環ベルト45の移動速度に基づいて各包装ローラ42a、42b、42cの回転数を算出するようなものを用いてもよい。
次に、このような構成からなる硬貨包装装置10の動作、具体的には硬貨包装装置10による硬貨の包装方法について説明する。なお、以下に示すような硬貨包装装置10の動作は、制御部70が硬貨包装装置10の各構成要素を制御することにより行われるようになっている。
繰出部12の回転円盤14上に受け入れられたバラ状態の硬貨は、当該繰出部12により搬送部20の搬送路21に1枚ずつ繰り出される。そして、搬送部20の搬送路21から集積部30に送り込まれた硬貨は、3つの包装ローラ42a、42b、42c間で下側から上方へ向けて順に集積される。そして、集積部30において包装単位枚数分の硬貨が集積されると、集積硬貨Cを包装部40における所定の包装高さ位置に上昇させる。その後、包装紙供給部50により包装部40の包装領域41に包装紙Pを供給することによって包装部40において集積硬貨Cに包装紙Pを巻き付ける。そして、包装部40により作成された包装硬貨は当該包装部40から下方に放出される。
以下、包装部40における集積硬貨Cへの包装紙Pの巻き付け動作について具体的に説明する。包装部40では、1本の包装硬貨を作成する毎にカム軸64が1回転し、そのカム軸64の1回転中に、3本の包装ローラ42a、42b、42cで集積硬貨Cを挟み込んで回転させながら、包装紙供給部50の包装紙供給ロール51から供給され切断部材58により所定の長さに切断された包装紙Pを、3本の包装ローラ42a、42b、42cと集積硬貨Cとの間に供給する。なお、包装紙供給部50により包装部40の包装領域41に包装紙Pが供給される際に、図2に示すように、包装紙案内部材55、56bは、包装部40の包装領域41の側方開放部を塞ぐような進出位置に位置している。また、この際に、巻込み機構60の巻込み針61は、包装部40の包装領域41から退避するような退避位置に位置している。
本実施の形態では、包装紙Pを集積硬貨Cの周面に巻き付けている間は各包装ローラ42a、42b、42cを低速で回転させる。また、包装紙Pを集積硬貨Cの周面に巻き付けた後は各包装ローラ42a、42b、42cを高速で回転させて集積硬貨Cと包装紙Pとの間の空気を抜くようにする。このようにして、包装紙Pが集積硬貨Cの周面にピッタリと巻き付けられるようになる。その後、図3に示すように、包装紙案内部材55、56bを、包装部40の包装領域41の側方開放部を開くような退避位置に移動させるとともに、巻込み機構60の巻込み針61を、包装部40の包装領域41に進出するような進出位置に移動させる。
巻込み機構60の巻込み針61が、包装部40の包装領域41に進出するような進出位置に移動した後、集積硬貨Cの周面に巻き付けられた包装紙Pの上下両端部を巻込み機構60の上下一対の巻込み針61によって巻き込んで集積硬貨Cの上下両端面にかしめる(図8および図9参照)。このような集積硬貨Cの上下両端面のかしめ動作が終了すると、上下一対の巻込み針61を初期位置に退避させた後、3本の包装ローラ42a、42b、42c間を開放して包装硬貨を下方へ放出する。
本実施の形態では、包装紙供給部50から供給された包装紙Pを集積硬貨Cに巻き付ける際に、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生したときには、巻き付け不良検知部72によってこのことが検知されるようになっている。ここで、巻き付け不良検知部72は、包装紙案内部材55、56bにより包装領域41の側方開放部が塞がれている際の当該包装領域41内における集積硬貨に対する包装紙Pの巻き付け不良の発生を検知するようになっている。すなわち、巻き付け不良検知部72は、包装紙案内部材55、56bが図2に示すような進出位置から図3に示すような退避位置に移動する時点までの期間における、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良の発生を検知するようになっている。このような巻き付け不良検知部72による包装紙Pの巻き付け不良の検知方法の詳細について、図11に示すタイミングチャートを用いて以下に説明する。
前述したように、制御部70は、包装紙供給部50から供給された包装紙Pを集積硬貨Cに巻き付ける際に各包装ローラ42a、42b、42cを低速(以下、第1の回転数ともいう)で回転させ、包装紙Pを集積硬貨Cに巻き付けた後に各包装ローラ42a、42b、42cを高速(以下、第1の回転数よりも大きい第2の回転数ともいう)で回転させるよう駆動モータ48の制御を行う。図11に示すタイミングチャートでは、このような各包装ローラ42a、42b、42cの回転駆動を低速から高速に切り換える動作は時刻t1において行われている。なお、図11に示すタイミングチャートでは、時刻t4において、包装紙案内部材55、56bを、包装部40の包装領域41の側方開放部を開くような退避位置に移動させるようになっている。
巻き付け不良検知部72は、各包装ローラ42a、42b、42cの回転数を第1の回転数から第2の回転数に上昇させた際における駆動モータ48の回転数の推移に基づいて、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良の発生の有無を判定するようになっている。ここで、駆動モータ48の回転数は、当該駆動モータ48のパルス数に基づいて検知されるようになっている。これは、駆動モータ48の回転数が当該駆動モータ48のパルス数に比例していることに基づいている。図11のタイミングチャートでは、駆動モータ48を低速から高速に切り換える前後での駆動モータ48のパルス数の推移を示している。
巻き付け不良検知部72は、時刻t1において各包装ローラ42a、42b、42cの回転数を第1の回転数から第2の回転数に上昇させた際に、予め設定された所定時間(図11において参照符号aで示される時間)内における駆動モータ48の回転数の変化量、すなわち駆動モータ48のパルス数の変化量が予め設定された閾値(図11において参照符号bで表示)よりも小さい場合に、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生したと判定する。より詳細に説明すると、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生していない場合には、各包装ローラ42a、42b、42cの回転駆動を低速から高速に切り換える際に、駆動モータ48に対して予定外の負荷がかかることなく当該駆動モータ48の回転数が予め設定された所定時間内に所望の大きさまで確実に上昇することにより、当該所定時間内における当該駆動モータ48の回転数の変化量が予め設定された閾値よりも大きくなる。図11において、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生していない場合における駆動モータ48のパルス数の推移を実線で示している。集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生していない場合には、図11において参照符号aで示される所定時間内における駆動モータ48のパルス数の変化量が予め設定された閾値bよりも大きくなり、このため駆動モータ48の回転数の変化量も予め設定された閾値よりも大きくなる。
一方、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生した場合には、各包装ローラ42a、42b、42cの回転駆動を低速から高速に切り換える際に、包装部40における包装紙Pの詰まり(ジャム)により駆動モータ48に対して予定外の負荷がかかってしまい、予め設定された所定時間内に当該駆動モータ48の回転数が所望の大きさまで上昇することができず、この所定時間内における駆動モータ48の回転数の変化量が予め設定された閾値よりも小さくなる。図11において、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生した場合における駆動モータ48のパルス数の推移を点線で示している。集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生した場合には、図11において参照符号aで示される所定時間内における駆動モータ48のパルス数の変化量が予め設定された閾値bよりも小さくなり、このため駆動モータ48の回転数の変化量も予め設定された閾値よりも小さくなる。
このようにして、巻き付け不良検知部72は、各包装ローラ42a、42b、42cの回転数を第1の回転数から第2の回転数に上昇させた際に、予め設定された所定時間内における駆動モータ48の回転数の変化量、すなわち駆動モータ48のパルス数の変化量が予め設定された閾値よりも小さい場合に、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生したと判定する。
そして、巻き付け不良検知部72により、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生したと判定されたときに、制御部70は、駆動モータ48の駆動を停止させ、各包装ローラ42a、42b、42cの回転を停止させる。そして、操作者は包装紙案内部材55のレバー(図示せず)を持って当該包装紙案内部材55を退避位置に移動させると包装紙案内部材56bも連動して退避位置に移動して、包装領域41の側方開放部を開いて硬貨包装装置10の内部を点検し、包装部40において詰まりが生じた包装紙Pや包装領域41に残留している集積硬貨C等を取り除くことにより、硬貨包装装置10の異常状態を解消する。ここで、巻き付け不良検知部72による包装紙Pの巻き付け不良の検知の時点(図11において時刻t2で表示)は、包装紙案内部材55、56bを、包装部40の包装領域41の側方開放部を開くような退避位置に移動させる時点(図11において時刻t4で表示)よりも前であるため、これらの包装紙案内部材55、56bを退避位置に移動させる前に各包装ローラ42a、42b、42cの回転を停止させることにより、包装部40の包装領域41の側方開放部を開いても集積硬貨Cがこの側方開放部から各包装ローラ42a、42b、42cの外方に飛散してしまうことはない。
包装紙Pの巻き付け不良を検知した際、上述のごとく手動で包装紙案内部材55、56bを退避位置に移動させて、包装紙Pや集積硬貨Cを取り除くようにしてもよいが、自動的に、包装ローラ42bを集積硬貨Cから離れるように移動させるともに、集積硬貨Cを支持している支持ロッドや集積ローラを集積硬貨の下方より退避させて、集積硬貨Cを下方へ排除するようにしてもよい。この際、包装領域41に包装紙Pが残っていれば、手動で排除する。
なお、巻き付け不良検知部72が、各包装ローラ42a、42b、42cの回転数を第1の回転数から第2の回転数に上昇させた際における駆動モータ48の回転数の推移に基づいて、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良の発生の有無を判定するにあたり、巻き付け不良検知部72による包装紙Pの巻き付け不良の検知方法は上述のような方法に限定されることはない。巻き付け不良検知部72による包装紙Pの巻き付け不良の検知方法の他の態様について以下に説明する。
巻き付け不良検知部72は、時刻t1において各包装ローラ42a、42b、42cの回転数を第1の回転数から第2の回転数に上昇させた際に、駆動モータ48のパルス数の変化量が予め設定された設定量(図11において参照符号bで表示)に達するまでの時間が予め設定された所定時間(図11において参照符号aで示される時間)よりも長い場合に、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生したと判定するようになっていてもよい。前述したように、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生していない場合には、各包装ローラ42a、42b、42cの回転駆動を低速から高速に切り換える際に、駆動モータ48に対して予定外の負荷がかかることなく当該駆動モータ48の回転数が予め設定された所定時間内に所望の大きさまで確実に上昇することにより、駆動モータ48の回転数の変化量が予め設定された設定量に達するまでの時間が当該所定時間よりも短くなる。前述したように、図11において、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生していない場合における駆動モータ48のパルス数の推移を実線で示しているが、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生していない場合には、駆動モータ48のパルス数の変化量が予め設定された設定量(図11において参照符号bで表示)に達するまでの時間が予め設定された所定時間(図11において参照符号aで示される時間)よりも短くなり、このため駆動モータ48の回転数の変化量が予め設定された設定量に達するまでの時間も予め設定された所定時間よりも短くなる。
一方、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生した場合には、各包装ローラ42a、42b、42cの回転駆動を低速から高速に切り換える際に、包装部40における包装紙Pの詰まり(ジャム)により駆動モータ48に対して予定外の負荷がかかってしまい、駆動モータ48の回転数の変化量が予め設定された設定量に達するまでの時間が予め設定された所定時間よりも長くなる。前述したように、図11において、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生した場合における駆動モータ48のパルス数の推移を点線で示しているが、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生した場合には、駆動モータ48のパルス数の変化量が予め設定された設定量(図11において参照符号bで表示)に達するまでの時間が予め設定された所定時間(図11において参照符号aで示される時間)よりも長くなり、このため駆動モータ48の回転数の変化量が予め設定された設定量に達するまでの時間も予め設定された所定時間よりも長くなる。
このようにして、巻き付け不良検知部72は、各包装ローラ42a、42b、42cの回転数を第1の回転数から第2の回転数に上昇させた際に、駆動モータ48の回転数の変化量、すなわち駆動モータ48のパルス数の変化量が予め設定された設定量に達するまでの時間が予め設定された所定時間よりも長い場合に、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生したと判定するようになっていてもよい。
また、巻き付け不良検知部72は、駆動モータ48の回転数やパルス数の推移ではなく、包装ローラ42a、42b、42cの回転数を第1の回転数から第2の回転数に上昇させるよう駆動モータ48が各包装ローラ42a、42b、42cの駆動を行った際における各包装ローラ42a、42b、42cの回転数の推移に基づいて、集積硬貨Cに対する包装紙の巻き付け不良の発生の有無を判定するようになっていてもよい。ここで、各包装ローラ42a、42b、42cの回転数は包装ローラ回転数検知部74により検知されるようになっている。図11のタイミングチャートでは、駆動モータ48を低速から高速に切り換える前後での各包装ローラ42a、42b、42cの回転数の推移も示している。
巻き付け不良検知部72は、時刻t1において各包装ローラ42a、42b、42cの回転数を第1の回転数から第2の回転数に上昇させるよう駆動モータ48が各包装ローラ42a、42b、42cの駆動を行った際に、予め設定された所定時間(図11において参照符号cで示される時間)内における各包装ローラ42a、42b、42cの回転数の変化量が予め設定された閾値(図11において参照符号dで表示)よりも小さい場合に、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生したと判定する。より詳細に説明すると、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生していない場合には、各包装ローラ42a、42b、42cの回転駆動を低速から高速に切り換える際に、駆動モータ48に対して予定外の負荷がかかることなく当該駆動モータ48の回転数が予め設定された所定時間内に所望の大きさまで確実に上昇することにより、当該所定時間内における各包装ローラ42a、42b、42cの回転数の変化量が予め設定された閾値よりも大きくなる。図11において、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生していない場合における各包装ローラ42a、42b、42cの回転数の推移を実線で示している。集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生していない場合には、図11において参照符号cで示される所定時間内における各包装ローラ42a、42b、42cの回転数の変化量が予め設定された閾値dよりも大きくなる。
一方、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生した場合には、各包装ローラ42a、42b、42cの回転駆動を低速から高速に切り換える際に、包装部40における包装紙Pの詰まり(ジャム)により駆動モータ48に対して予定外の負荷がかかってしまい、予め設定された所定時間内に当該駆動モータ48の回転数が所望の大きさまで上昇することができず、この所定時間内における各包装ローラ42a、42b、42cの回転数の変化量が予め設定された閾値よりも小さくなる。図11において、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生した場合における各包装ローラ42a、42b、42cの回転数の推移を点線で示している。集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生した場合には、図11において参照符号cで示される所定時間内における各包装ローラ42a、42b、42cの回転数の変化量が予め設定された閾値dよりも小さくなる。
このようにして、巻き付け不良検知部72は、各包装ローラ42a、42b、42cの回転数を第1の回転数から第2の回転数に上昇させるよう駆動モータ48が各包装ローラ42a、42b、42cの駆動を行った際に、予め設定された所定時間内における各包装ローラ42a、42b、42cの回転数の変化量が予め設定された閾値よりも小さい場合に、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生したと判定する。
なお、巻き付け不良検知部72が、包装ローラ42a、42b、42cの回転数を第1の回転数から第2の回転数に上昇させるよう駆動モータ48が各包装ローラ42a、42b、42cの駆動を行った際における各包装ローラ42a、42b、42cの回転数の推移に基づいて、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良の発生の有無を判定するにあたり、巻き付け不良検知部72による包装紙Pの巻き付け不良の検知方法は上述のような方法に限定されることはない。巻き付け不良検知部72による包装紙Pの巻き付け不良の検知方法の更に他の態様について以下に説明する。
巻き付け不良検知部72は、時刻t1において各包装ローラ42a、42b、42cの回転数を第1の回転数から第2の回転数に上昇させるよう駆動モータ48が各包装ローラ42a、42b、42cの駆動を行った際に、各包装ローラ42a、42b、42cの回転数の変化量が予め設定された設定量(図11において参照符号dで表示)に達するまでの時間が予め設定された所定時間(図11において参照符号cで示される時間)よりも長い場合に、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生したと判定するようになっていてもよい。前述したように、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生していない場合には、各包装ローラ42a、42b、42cの回転駆動を低速から高速に切り換える際に、駆動モータ48に対して予定外の負荷がかかることなく当該駆動モータ48の回転数が予め設定された所定時間内に所望の大きさまで確実に上昇することにより、各包装ローラ42a、42b、42cの回転数の変化量が予め設定された設定量に達するまでの時間が当該所定時間よりも短くなる。前述したように、図11において、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生していない場合における各包装ローラ42a、42b、42cの回転数の推移を実線で示しているが、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生していない場合には、各包装ローラ42a、42b、42cの回転数の変化量が予め設定された設定量(図11において参照符号dで表示)に達するまでの時間が予め設定された所定時間(図11において参照符号cで示される時間)よりも短くなる。
一方、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生した場合には、各包装ローラ42a、42b、42cの回転駆動を低速から高速に切り換える際に、包装部40における包装紙Pの詰まり(ジャム)により駆動モータ48に対して予定外の負荷がかかってしまい、各包装ローラ42a、42b、42cの回転数の変化量が予め設定された設定量に達するまでの時間が予め設定された所定時間よりも長くなる。前述したように、図11において、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生した場合における各包装ローラ42a、42b、42cの回転数の推移を点線で示しているが、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生した場合には、各包装ローラ42a、42b、42cの回転数の変化量が予め設定された設定量(図11において参照符号dで表示)に達するまでの時間が予め設定された所定時間(図11において参照符号cで示される時間)よりも長くなる。
このように、巻き付け不良検知部72は、各包装ローラ42a、42b、42cの回転数を第1の回転数から第2の回転数に上昇させるよう駆動モータ48が各包装ローラ42a、42b、42cの駆動を行った際に、各包装ローラ42a、42b、42cの回転数の変化量が予め設定された設定量に達するまでの時間が予め設定された所定時間よりも長い場合に、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生したと判定するようになっていてもよい。
また、巻き付け不良検知部72による包装紙Pの巻き付け不良の更に他の検知方法として、当該巻き付け不良検知部72は、各包装ローラ42a、42b、42cの回転数を第1の回転数から第2の回転数に上昇させた際における駆動モータ48の電流値の推移に基づいて、集積硬貨Cに対する包装紙の巻き付け不良の発生の有無を判定するようになっていてもよい。図11のタイミングチャートでは、駆動モータ48を流れる電流に制限がある場合における、駆動モータ48を低速から高速に切り換える前後での駆動モータ48の電流値の推移を示している。
本実施の形態では、駆動モータ48に過大電流が流れないようにするために、電流値の上限を抑制するようになっている。このような場合には、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付けが正常なときと包装紙Pの巻き付け不良が発生したときとを比較すると、駆動モータ48の電流値は同じような上昇カーブで最大値(ピーク値)に到達するが、その後、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付けが正常なときには、電流値はすぐに低下し始めて安定するが、包装紙Pの巻き付け不良が発生したときには、すぐには低下せずにしばらく最大値のままとなり、やがて低下して安定するが、その安定したときの電流値は、包装紙Pの巻き付けが正常なときに比べて大きな値となる。
巻き付け不良検知部72は、時刻t1において各包装ローラ42a、42b、42cの回転数を第1の回転数から第2の回転数に上昇させた際に、各包装ローラ42a、42b、42cの回転数を上昇させ始めてから予め設定された所定時間(図11において参照符号eで示される時間)後における駆動モータ48の電流値(すなわち、時刻t3の時点での駆動モータ48の電流値)が予め設定された閾値(具体的には、図11において各包装ローラ42a、42b、42cの回転数上昇前の電流値から参照符号fで示す量だけ増やした電流値)よりも大きい場合に、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生したと判定する。なお、この予め設定された閾値は、駆動モータ48の電流値の最大値(ピーク値)よりもやや小さい値となっている。
より詳細に説明すると、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生していない場合には、各包装ローラ42a、42b、42cの回転駆動を低速から高速に切り換える際に、駆動モータ48の電流値は一時的に上昇して最大値(ピーク値)に達するが、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付けが正常な場合には駆動モータ48の電流値はすぐに低下してその後安定するようになる。図11において、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生していない場合における駆動モータ48の電流値の推移を実線で示している。集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生していない場合には、図11に示すように、各包装ローラ42a、42b、42cの回転数を上昇させ始めてから予め設定された所定時間後には、すなわち時刻t3の時点では、駆動モータ48の電流値は図11において予め設定された閾値(各包装ローラ42a、42b、42cの回転数上昇前の電流値から参照符号fで示す量だけ増やした電流値)よりも低い値となる。
一方、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生した場合には、各包装ローラ42a、42b、42cの回転駆動を低速から高速に切り換える際に、包装部40における包装紙Pの詰まり(ジャム)により駆動モータ48に対して予定外の負荷がかかってしまい、駆動モータ48の電流値が上昇して最大値(ピーク値)に達した後もすぐには低下せずに最大値を保っている。そして、電流値はやがて低下し始めるが、巻き付け不良が発生していない場合に比べて当該電流値は高い状態で安定するようになる。図11において、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生した場合における駆動モータ48の電流値の推移を点線で示している。集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生した場合には、時刻t1において各包装ローラ42a、42b、42cの回転駆動を低速から高速に切り換えた後、各包装ローラ42a、42b、42cの回転数を上昇させ始めてから予め設定された所定時間後には、すなわち時刻t3の時点において、駆動モータ48の電流値は図11において予め設定された閾値(各包装ローラ42a、42b、42cの回転数上昇前の電流値から参照符号fで示す量だけ増やした電流値)よりも高い値となる。
このようにして、巻き付け不良検知部72は、各包装ローラ42a、42b、42cの回転数を第1の回転数から第2の回転数に上昇させた際に、各包装ローラ42a、42b、42cの回転数を上昇させ始めてから予め設定された所定時間後における駆動モータ48の電流値(すなわち、時刻t3の時点での駆動モータ48の電流値)が予め設定された閾値よりも大きい場合に、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生したと判定する。なお、駆動モータ48の電流値を用いて包装紙Pの巻き付け不良の検知を行う場合における、基準となる所定時間(図11において参照符号eで表示)は、駆動モータ48の回転数(またはパルス数)や各包装ローラ42a、42b、42cの回転数を用いて包装紙Pの巻き付け不良の検知を行う場合における、基準となる所定時間(図11において参照符号aや参照符号cで表示)よりも長くなる。
以上のような構成からなる本実施の形態の硬貨包装装置10や硬貨包装方法によれば、包装紙Pを集積硬貨Cに巻き付ける際に当該集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生したときにこのことを巻き付け不良検知部72により検知することによって、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が生じたときに集積硬貨Cが硬貨包装装置10の機体内で飛散してしまうことを防止することができる。より詳細には、巻き付け不良検知部72による包装紙Pの巻き付け不良の検知の時点は、包装紙案内部材55、56bを、包装部40の包装領域41の側方開放部を開くような退避位置に移動させる時点よりも前であるため、これらの包装紙案内部材55、56bを退避位置に移動させる前に各包装ローラ42a、42b、42cの回転を停止させることにより、包装部40の包装領域41の側方開放部を開いて、巻き付け不良の原因である包装紙Pの詰まりを取り除いても、集積硬貨Cがこの側方開放部から各包装ローラ42a、42b、42cの外方に飛散してしまうことはない。
なお、本実施の形態による硬貨包装装置10や硬貨包装方法は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、巻き付け不良検知部72による包装紙Pの巻き付け不良の検知方法は、上述した方法に限定されることはない。すなわち、巻き付け不良検知部72は、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良を検知できるものであれば、各包装ローラ42a、42b、42cの回転数を第1の回転数から第2の回転数に上昇させる際における駆動モータ48の回転数または電流値の推移や、各包装ローラ42a、42b、42cの回転数の推移以外のデータに基づいて、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良の発生の有無を判定するようになっていてもよい。
また、包装部40において包装紙供給部50から供給された包装紙Pが集積硬貨Cに巻き付けられる際に、集積硬貨Cに対して正常に巻き付けられなかった包装紙Pを物理的に検知し、この検知結果に基づいて巻き付け不良検知部72は集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良の検知を行うようになっていてもよい。例えば、包装部40の包装領域41内に、集積硬貨Cに対して正常に巻き付けられなかった包装紙Pを検出する包装紙検出センサや、集積硬貨Cに巻き付けられたとしてもたくれたり破れたりした包装紙Pを検出する包装紙検出センサが設けられており、包装紙供給部50から供給された包装紙Pが集積硬貨Cに巻き付けられる際に、これらの包装紙検出センサにより包装紙Pが検出されたときに、巻き付け不良検知部72は集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良が発生したと判定するようになっていてもよい。
また、本実施の形態では、3つの包装ローラ42a、42b、42cが1つの駆動系により同期して回転駆動される例について説明しているが、このような態様に限定されることはない。他の態様としては、3つの包装ローラ42a、42b、42cの各々がそれぞれ互いに独立した複数の駆動モータにより駆動されるようになっていてもよい。この場合、巻き付け不良検知部72は、各包装ローラ42a、42b、42cの回転数を第1の回転数から第2の回転数に上昇させる際における各々の駆動モータ48の回転数または電流値の推移に基づいて、集積硬貨Cに対する包装紙Pの巻き付け不良の発生の有無を判定するようになっていてもよい。
また、本実施の形態による硬貨包装装置10の包装紙供給部50の他の構成について図12および図13を用いて説明する。図12に示す包装紙供給部50では、包装紙供給ロール51から巻き出された包装紙Pの案内を行う一対の案内ローラ52、53のうち一方の案内ローラ52に、多数の歯を有する円板形状のカッター52aが設けられている。この円板形状のカッター52aは、案内ローラ52が回転するときに同期して回転するようになっており、包装紙供給ロール51から巻き出された包装紙Pが一対の案内ローラ52、53の間を通過する際に、カッター52aによってこの包装紙Pにミシン目P´を上下方向における中央位置に形成するようになっている。そして、ミシン目P´が上下方向における中央位置に形成された包装紙Pが包装部40の包装領域41に送られると、この包装紙Pが集積硬貨Cに巻き付けられて包装硬貨が形成されるようになる。
図12に示す包装紙供給部50によれば、円板形状のカッター52aによって、包装紙Pにミシン目P´が当該包装紙Pの上下方向における中央位置に形成され、このミシン目P´が形成された包装紙Pが集積硬貨Cに巻き付けられて包装硬貨が形成されるため、例えば店舗のPOSレジスター等において釣銭としての硬貨を用意するために店員が包装硬貨から包装紙Pを剥いでバラ状態とする際に、ミシン目P´に沿って包装硬貨から包装紙Pを剥くことによりスムーズに包装硬貨をバラ状態とすることができるようになる。
図13は、図1等に示す硬貨包装装置10において、多数の歯を有する円板形状のカッターを包装紙供給部50に設けたときの他の構成を示す上面図である。図13に示す態様では、一対の案内ローラ52、53における案内ローラ53側に、この案内ローラ53とは別に、多数の歯を有する円板形状のカッター59aが設けられている。より詳細には、図示していないが案内ローラ53は上下に間隔を空けて分離されており、この上下一対の案内ローラ53の間に円板形状のカッター59aが配設されている。図13に示すように、カッター59aはアーム59bにより支持されており、アーム59bの基端には駆動モータ59cが設けられている。この駆動モータ59cによりアーム59bは当該駆動モータ59cを中心として回転し、案内ローラ52に対するカッター59aの位置を調整する。そして、案内ローラ52が回転することによりこの案内ローラ52に当接するカッター59aも連れ回るようになっている。図13に示すような包装紙供給部50の態様では、包装紙供給ロール51から巻き出された包装紙Pが一対の案内ローラ52、53の間を通過する際に、カッター59aによりこの包装紙Pにミシン目P´を上下方向における中央位置に形成するようになっている。そして、ミシン目P´が上下方向における中央位置に形成された包装紙Pが包装部40の包装領域41に送られると、この包装紙Pが集積硬貨Cに巻き付けられて包装硬貨が形成されるようになる。
図13に示すような包装紙供給部50の態様では、駆動モータ59cにより案内ローラ52に対するカッター59aの位置を調整することができるようになる。このように、案内ローラ52に対するカッター59aの位置(押圧力)を調整することにより、包装紙Pに形成されるミシン目P´の間隔や長さを調整することができるようになり、例えば直径の大きさが異なる各金種の包装硬貨でも、包装紙Pの剥ぎやすさをほぼ同等とすることができるようになる。また、包装紙Pに形成されるミシン目P´の数が多すぎて包装硬貨の包装紙Pの強度が小さくなった場合には、案内ローラ52に対するカッター59aの押圧力を小さくすることにより包装紙Pに形成されるミシン目P´の長さを小さくすることができるようになる。また、図13に示すような態様では、駆動モータ59cにより案内ローラ52に対してカッター59aを押圧させないようにすることもでき、この場合には包装紙Pにミシン目P´が形成されないようになる。このように、図13に示すような包装紙供給部50の態様では、硬貨包装装置10により形成される包装硬貨について、包装紙Pにおけるミシン目P´の有無を選択することができるようになる。