以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図10は、本実施の形態による硬貨包装装置を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態による硬貨包装装置の外観を示す斜視図であり、図2や図3は、図1に示す硬貨包装装置の上面図である。また、図4や図5は、図1等に示す硬貨包装装置の集積部、包装部、集積硬貨搬送部、硬貨押さえ部材等の構成を示す側面図であり、図6A〜図6Cは、図1等に示す硬貨包装装置の集積部、包装部、集積硬貨搬送部、硬貨押さえ部材等の構成を示す斜視図である。また、図7は、図1等に示す硬貨包装装置の集積部により形成された集積硬貨において重積不良が発生したときの状態を示す図であり、図8(a)(b)は、重積不良が発生していない集積硬貨や重積不良が発生している集積硬貨が集積硬貨搬送部により搬送される際に硬貨押さえ部材に設けられた検知板が検知センサにより検知されたときの状態をそれぞれ示す図である。また、図9は、図1等に示す硬貨包装装置の機能ブロック図であり、図10は、図1等に示す硬貨包装装置におけるカム軸駆動モータの駆動状態、カム軸定位置検知の検知結果および集積硬貨の重積状態検知の検知結果の推移を示すタイミングチャートである。
図1等に示すように、本実施の形態による硬貨包装装置10は、バラ状態の硬貨を受け入れて1枚ずつ繰り出す繰出部12と、この繰出部12から繰り出された硬貨を1枚ずつ搬送路21に沿って搬送する搬送部20と、搬送部20の搬送路21の下流側終端に搬送された硬貨を下側から上方へ向けて集積する集積部30と、集積部30で所定の包装単位枚数分(例えば、50枚)の硬貨を集積した集積硬貨を包装紙によって包装する包装部40と、包装部40に包装紙を供給する包装紙供給部50と、集積硬貨に巻かれた包装紙の上下両端部を巻き込んで集積硬貨の上下両端部にかしめる巻込み機構60とを備えている。また、本実施の形態による硬貨包装装置10には、1回転毎に1本ずつ包装硬貨を作成するように包装工程での硬貨包装装置10の各機構の動作を制御するカム軸64が設けられている。このような硬貨包装装置10の各構成要素の詳細について以下に説明する。
図1乃至図3に示すように、繰出部12は、水平面に沿って設けられた回転円盤14と、この回転円盤14の周囲に配置された周壁16とを有している。このような繰出部12では、周壁16の内側で回転円盤14上にバラ状態の硬貨を受け入れ、回転円盤14の回転によって硬貨を1枚ずつ搬送部20の搬送路21に繰り出すようになっている。
図4および図5に示すように、搬送部20は、搬送路21に沿って設けられた搬送ベルト26によって、繰出部12から繰り出された硬貨を1枚ずつ一層一列状態で搬送するようになっている。また、搬送路21には、硬貨の一面が載る搬送路底面部材24が設けられており、この搬送路底面部材24の上面に沿って硬貨が搬送されるようになっている。また、搬送路21の幅の大きさは、硬貨包装装置10により包装されるべき硬貨の金種の直径の大きさに対応して調整されるようになっている。また、搬送ベルト26は、搬送路21の下流側に配置されるプーリ28を含む複数のプーリにより搬送路21に沿って張設されており、繰出部12の回転円盤14から硬貨を繰り出す速度より小さな速度で硬貨を受け入れて搬送し、硬貨の搬送間隔をつめるよう構成されている。このため、後工程における硬貨の集積時間を短縮することができる。
また、包装されるべき硬貨の金種の直径よりも大きな直径の金種の硬貨については繰出部12から搬送部20の搬送路21への進入が規制され、また、包装されるべき硬貨の金種の直径よりも小さな直径の金種の硬貨については、搬送部20の搬送路21に設けられたリジェクト口22により排除されるようになっている。また、図2および図3に示すように、搬送部20の搬送路21には、当該搬送路21から集積部30へ送り込む硬貨の通過を検知する通過検知センサS1、および搬送路21から集積部30へ送り込まれる硬貨の枚数を計数する計数センサS2がそれぞれ設けられている。また、図2および図3に示すように、搬送部20の搬送路21の下流側終端の近傍には、通過検知センサS1による硬貨の検知結果に基づいて、搬送部20の搬送路21から集積部30へ送り込まれる所定の包装単位枚数目の硬貨の次の硬貨を停止させるストッパ32が設けられている。
図1等に示すように、集積部30は包装部40の下方に設置されており、この集積部30は、当該集積部30における集積領域31に搬送されてきた硬貨(バラ硬貨)を、既に集積領域31において積層状態となるよう集積されている複数の硬貨のうち最下層の硬貨の下側にもぐりこませることによりバラ硬貨を下側から上方に向けて順次集積させるようになっている。このような集積部30の構成の詳細について図4、図5および図6Aを用いて説明する。なお、図4、図5および図6Aにおいて、集積部30により積層状態となるよう集積される硬貨を参照符号Cで示す。
図4、図5および図6Aに示すように、集積部30には、搬送部20の搬送路21に設けられた搬送路底面部材24と同一面に配置され、硬貨がその上に集積される集積底面部材33が設けられている。また、集積部30の奧側(図4等における右側)において、包装部40の3本の包装ローラ42a、42b、42c(後述)のうち包装ローラ42bの下部には、搬送部20の搬送路21から集積部30に搬送された硬貨の先端位置を集積部30の集積位置に位置決めするための規制部34が包装ローラ42bと一体的に移動するよう配設されている。また、規制部34には、硬貨の集積に伴う上方への移動をガイドするガイドローラ35が回転自在に配設されている。
また、集積部30の下部には、搬送部20の搬送路21から搬送されてくる硬貨の搬送方向を回転可能とする集積ローラ36が配設されている。図4や図5等では図示していないが、集積部30を上方から下向きに見て集積ローラ36は同軸となるよう一対設けられており、これらの一対の集積ローラ36は搬送部20の搬送路21の幅方向に沿って並ぶよう互いに離間して設けられている。また、各集積ローラ36の外周縁には、集積底面部材33に形成された開口部37から上方に突出する複数の歯部38が形成されている。各歯部38には、搬送されてくる硬貨の先端が係合するエッジ部38a、および外径方向に漸増して硬貨の後端側を集積底面部材33から持ち上げる漸増部38bがそれぞれ複数形成されている。そして、集積ローラ36は、搬送部20の搬送路21から集積部30に搬送されてくる硬貨で1つの歯部38のエッジ部38aが押動されることで図4における時計回りの方向に回転し、その硬貨の搬送方向における後端を、集積ローラ36の回転方向における次の歯部38の漸増部38bによって搬送路底面部材24や集積底面部材33の上面より上昇させ、続いて搬送されてくる硬貨の搬送方向における前端を集積部30の最下層にある硬貨の下側に進入させて硬貨を下側から集積するよう構成されている。したがって、図4に示すように、集積部30で集積される硬貨は傾斜状態で集積される。
また、本実施の形態の硬貨包装装置10では、集積部30により形成された集積硬貨を包装部40に搬送するための集積硬貨搬送部70が設けられている。集積硬貨搬送部70は、集積部30により形成された集積硬貨のうち最下層にある硬貨を下方から支持して上方に押し上げる支持ロッド71を有している。このような支持ロッド71は、後述するカム軸64の回転と連動して昇降するようになっており、硬貨集積時には下降して集積底面部材33の上面より下方に退避し、集積完了後には上昇して上端の水平な硬貨載せ部72に集積硬貨を載せて上方の包装部40の包装領域41(後述)まで押し上げる。このように、硬貨載せ部72に集積硬貨を載せることで、傾斜状態にあった集積硬貨が包装部40では水平状態になる。
また、図4、図5および図6Aに示すように、支持ロッド71により支持された集積硬貨のうち最上層にある硬貨を上方から押さえる硬貨押さえ部材74が設けられている。そして、集積部30により形成された集積硬貨は、支持ロッド71と硬貨押さえ部材74との間で挟まれた状態で当該集積部30から包装部40に搬送されるようになっている。ここで、集積部30により形成された集積硬貨が包装部40に搬送されるまでの間、この集積硬貨の上面に硬貨押さえ部材74を当接させて常に下方へ押さえつけることにより、硬貨の集積が乱れたり崩れたりすることを防止するようになっている。
硬貨押さえ部材74は、集積部30の集積領域31内および包装部40の包装領域41内を集積方向(図4、図5および図6Aにおける上下方向)に移動可能となっており、自重により、集積部30により形成された集積硬貨のうち最上層にある硬貨の上面に当接して下方へ押さえるようになっている。この硬貨押さえ部材74は、硬貨より小径の略円柱状であり、その下面には、集積部30で傾斜状態に集積される硬貨の上面に当接して押さえる湾曲部75、および包装部40において水平に集積される硬貨の上面に当接して押さえる水平部76がそれぞれ形成されている。
硬貨押さえ部材74は、包装ローラ42a、42b間に通されるアーム部材77を介して摺動部材78に支持されており、この摺動部材78が、硬貨包装装置10の天板43と底板46との間において鉛直方向に延びるよう設けられた複数のガイド部79によって集積方向(図4、図5および図6Aにおける上下方向)に摺動可能に取り付けられている。さらに、複数のガイド部79には、摺動部材78を囲むように摺動部材取付板78aが集積方向に摺動可能に取り付けられている。また、図6Aおよび図6Bに示すように、摺動部材取付板78aの下端にはスプリング固定部材80が設けられており、摺動部材78の上部とスプリング固定部材80との間にスプリング81が架設され、このスプリング81にて摺動部材78が常時下方に引っ張られるようになっている。なお、図6Aや図6Bでは、スプリング81の下端部がスプリング固定部材80から外れた状態が示されているが、実際にはスプリング81の下端部がスプリング固定部材80に設けられた穴に取り付けられることにより、集積部30において硬貨が積み重ねられていく毎にスプリング81に抗して摺動部材78が上方へ移動し、このことにより集積部30において硬貨が積み重ねられていくときの衝撃を和らげることができるようになる。
また、図6Cに示すように、硬貨押さえ部材74を支持する摺動部材78には検知板82が設けられている。言い換えると、検知板82は硬貨押さえ部材74に設けられているといえる。一方、集積部30による硬貨の集積位置と、包装部40による硬貨の包装位置との間には、検知板82を検知するための検知センサ83が位置固定で設置されている。ここで、検知センサ83は、互いに対向するよう離間して配置された発光素子83aおよび受光素子83bを含む光センサからなり、集積部30により形成された集積硬貨が集積硬貨搬送部70により包装部40に搬送される際に、集積硬貨を上方から押さえている硬貨押さえ部材74に設けられた検知板82によって検知センサ83の発光素子83aから発せられた光が遮光されて受光素子83bに到達しなくなったときに、または発光素子83aから発せられた光が検知板82により遮光された後に再び透光状態となって受光素子83bに到達するようになったときに、集積硬貨の特定部位(具体的には、例えば最上層の硬貨)が所定位置に到達したことを検知するようになっている。
包装部40は、鉛直方向に沿って平行に延びる3つの包装ローラ42a、42b、42cを有しており、これらの3つの包装ローラ42a、42b、42cの間に、集積硬貨を包装紙により包装するための包装領域41が形成されている。また、各包装ローラ42a、42b、42cは、1つの駆動モータ48(図9参照)により同期して同方向に回転させられるようになっている。そして、包装部40は、3本の包装ローラ42a、42b、42cで集積硬貨の周面を挟持して回転させ、包装紙供給部50から供給される包装紙(図4および図5において参照符号Pで表示)を集積硬貨の周面に巻き付けるようになっている。そして、巻込み機構60により、集積硬貨に巻き付けられた包装紙の上下両端部を巻き込んで集積硬貨の上下両端面にかしめ、包装硬貨を形成する。その後、集積部30の集積ローラ36や集積硬貨搬送部70の支持ロッド71は、包装部40の下方位置から側方に退避し、包装部40により形成された包装硬貨は下方へ放出される。
本実施の形態では、3つの包装ローラ42a、42b、42cのうち、包装ローラ42b、42cは包装ローラ42aに対して接近する方向および離間する方向にそれぞれ移動可能となっている。より詳細には、包装ローラ42bは、硬貨包装装置10の天板43に設けられたレバー44によって包装部40の包装領域41の中心に対して接近および離間するように移動可能に支持されている。また、包装ローラ42cも、硬貨包装装置10の天板43に設けられたレバー45によって包装部40の包装領域41の中心に対して接近および離間するように移動可能に支持されている。このようにして、包装ローラ42aに対する包装ローラ42b、42cの位置や集積ローラ36の位置が、包装されるべき硬貨の金種に対応して調整されるようになっている。なお、包装ローラ42cは、硬貨包装装置10による硬貨の包装時には位置固定であり、包装されるべき硬貨の金種の設定時のみ移動するようになっている。
次に、3つの包装ローラ42a、42b、42cに挟み込まれた集積硬貨に包装紙を供給する包装紙供給部50の構成の詳細について図2および図3を用いて説明する。図2および図3において、3つの包装ローラ42a、42b、42cに挟み込まれた集積硬貨を参照符号Cで示すとともにこの集積硬貨に巻き付けられるべき包装紙を参照符号Pで示している。ここで、図2および図3は、図1に示す硬貨包装装置10の上面図であるが、図2は、後述する包装紙案内部材55、56bが包装領域41の側方開放部を塞ぐような進出位置に位置するとともに、巻込み機構60の巻込み針61(後述)が包装領域41から退避するような退避位置に位置しているときの状態を示す図である。また、図3は、包装紙案内部材55、56bが包装領域41の側方開放部から退避してこの側方開放部を開くような退避位置に位置するとともに、巻込み機構60の巻込み針61が包装領域に進出するような進出位置に位置しているときの状態を示す図である。なお、包装紙供給部50により供給される包装紙は、例えばポリエチレンや紙等の材料で形成されており、例えば繊維の方向等によって集積硬貨の周方向に対して集積方向の強度が低くなるように構成されている。このことにより、包装硬貨の包装を解く場合に包装紙は包装硬貨の周方向に切れやすくなっている。また、包装紙供給部50により供給される包装紙の繊維の方向は、集積硬貨の軸方向に沿うようにしてもよい。
図2および図3に示すように、包装紙供給部50は、帯状の包装紙が巻かれた包装紙供給ロール51を有しており、この包装紙供給ロール51から巻き出された帯状の包装紙は一対の案内ローラ52、53の間を通って包装紙案内部材54により包装部40の包装領域41に案内されるようになっている。また、包装紙案内部材54の近傍には、一対の案内ローラ52、53の間から包装紙案内部材54に送られた帯状の包装紙を所定の長さ(具体的には、集積硬貨の2〜3巻き分の長さ)に切断する例えばカッター等からなる切断部材58が設けられており、この切断部材58により、包装部40の包装領域41に送られるべき包装紙が所定の長さに切断されるようになっている。
また、包装部40の包装領域41の近傍には、包装紙案内部材54から送られた包装紙を包装部40の包装領域41に案内するための包装紙案内部材55が設けられている。この包装紙案内部材55は、水平面に沿って往復移動可能となっている。より詳細には、包装紙案内部材55は、包装領域41の側方開放部(具体的には、包装ローラ42aと包装ローラ42bとの間にある側方開放部)を塞ぐような進出位置(図2参照)と、包装領域41の側方開放部から退避してこの側方開放部を開くような退避位置(図3参照)との間で移動自在となっており、図2に示すように包装紙案内部材55が進出位置に位置しているときに包装領域41に包装紙が案内されるようになっている。
また、包装領域41の周囲における各包装ローラ42a、42b、42cの近傍にはそれぞれ包装紙案内部材56a、56b、56cが設けられており、包装紙案内部材55により包装領域41に案内された包装紙は、これらの包装紙案内部材56a、56b、56cによって集積硬貨の周面に巻き付けられるよう案内されるようになっている。ここで、3つの包装紙案内部材56a、56b、56cのうち、2つの包装紙案内部材56a、56cは硬貨の金種に応じた位置で位置固定となっているが、包装領域41の側方開放部に位置する包装紙案内部材56bは水平面に沿って往復移動可能となっている。より詳細には、包装紙案内部材56bは、包装領域41の側方開放部を塞ぐような進出位置(図2参照)と、包装領域41の側方開放部から退避してこの側方開放部を開くような退避位置(図3参照)との間で移動自在となっており、図2に示すように包装紙案内部材56bが進出位置に位置しているときに、包装紙案内部材55により包装領域41に案内された包装紙が各包装紙案内部材56a、56b、56cにより集積硬貨の周面に巻き付けられるよう案内される。
次に、集積硬貨に巻き付けられた包装紙の上下両端部を巻き込んで集積硬貨の上下両端面にかしめる巻込み機構60の構成の詳細について説明する。巻込み機構60は、上下一対の鉤型の巻込み針61と、これらの上下一対の巻込み針61を移動させる巻込み針移動手段62とを有している。図1に示すように、巻込み針移動手段62は、上下一対の巻込み針61をそれぞれ支持する上下一対の支持体62aを有している。上下一対の支持体62aはそれぞれ上下一対のアーム62bの先端に取り付けられており、これらの上下一対のアーム62bは揺動フレーム62cに対して上下方向にスライド可能に支持されている。ここで、上下一対のアーム62bは例えばスプリング(図示せず)によって互いに接近する方向に付勢されるようになっている。
揺動フレーム62cは上下縁部が折曲された略コの字形状に形成されており、この揺動フレーム62cの上下縁部間に複数のスライド軸62dが取り付けられている。そして、これらのスライド軸62dに、上下一対のアーム62bが上下方向にスライド可能に取り付けられている。揺動フレーム62cは、当該揺動フレーム62cの上下縁部を貫通する回動軸62eを中心に水平方向に回動可能に支持されているとともに、例えばスプリング(図示せず)によって上下一対の巻込み針61が包装部40の包装領域41に接近する方向へ向けて回動付勢されている。
揺動フレーム62cの近傍には、上下一対のカム64aが設けられたカム軸64が配設されているとともに、各カム64aに対応して、上下一対のアーム62bをそれぞれ上下方向に移動させるための上下一対のレバー64bが設けられている。カム軸64は、包装工程で1本の包装硬貨を作成する際に1回転するようカム軸駆動モータ65(図9参照)により回転させられるようになっている。各レバー64bの基端部は、位置固定で水平方向に延びる支軸64cによって枢支され、この支軸64cを中心に各レバー64bは上下方向に揺動可能となっている。また、各レバー64bの中間部には、各カム64aに当接するカムローラ64dが取り付けられている。また、各レバー64bの先端には、各アーム62bに当接する押動ローラ64eが取り付けられている。そして、上下一対のレバー64bのうち上側のレバー64bにおいて、上側のカムローラ64dが上側のカム64aの上面に当接され、上側の押動ローラ64eが上側のアーム62bの下面に当接されることにより、下方へ付勢されている上側のアーム62bの下降が規制されている。一方、上下一対のレバー64bのうち下側のレバー64bにおいて、下側のカムローラ64dが下側のカム64aの下面に当接され、下側の押動ローラ64eが下側のアーム62bの上面に当接されることにより、上方へ付勢されている下側のアーム62bの上昇が規制されている。そして、包装工程でのカム軸64の1回転により、上下一対のカム64aの回転に伴って上下一対のレバー64bが揺動する。このことによって、上下一対のアーム62bが上下方向に移動し、よって上下一対の巻込み針61も上下方向に移動する。
さらに、カム軸64にはカム64fが取り付けられており、このカム64fに当接可能となっているカムローラ66(図2や図3参照)が揺動フレーム62cに取り付けられている。そして、カム64fがカムローラ66を押動している状態では、図2に示すように上下一対の巻込み針61が包装部40の包装領域41から退避するようになっている。一方、包装工程でのカム軸64の1回転中におけるカム64fがカムローラ66を押動しなくなる期間に、揺動フレーム62cに対するスプリング(図示せず)等による付勢により、図3に示すように上下一対の巻込み針61が包装部40の包装領域41に進出して包装紙の巻込み動作を可能とするようになっている。
また、カム軸64は、1回転で1本の包装硬貨を作成するよう硬貨包装装置10の各機構の動作を制御するようになっており、上述したカム64aやカム64f以外にも、例えば、包装ローラ42bの移動を制御するためのカムや集積硬貨搬送部70の支持ロッド71の移動を制御するためのカム、包装紙案内部材55や包装紙案内部材56bの移動を制御するためのカム等、複数のカムが取り付けられている。
本実施の形態による硬貨包装装置10の機能ブロック図を図9に示す。本実施の形態による硬貨包装装置10は、当該硬貨包装装置10の各構成要素を制御する制御部90を有している。具体的には、制御部90には、繰出部12、搬送部20、駆動モータ48、包装紙供給部50、カム軸駆動モータ65等がそれぞれ接続されており、制御部90がこれらの繰出部12、搬送部20、駆動モータ48、包装紙供給部50、カム軸駆動モータ65等にそれぞれ指令信号を送ることによりこれらの構成要素の制御を行っている。また、制御部90には、検知センサ83、通過検知センサS1および計数センサS2がそれぞれ接続されており、これらの各センサによる検知情報は制御部90に送られるようになっている。
また、制御部90には重積不良検知手段92が接続されており、この重積不良検知手段92により、集積硬貨搬送部70により集積硬貨が集積部30から包装部40に搬送される間に、この集積硬貨の特定部位(具体的には、例えば最上層の硬貨)の位置に基づいて、集積部30により形成された集積硬貨において重積不良が発生しているか否かの検知を行うようになっている。なお、集積部30により形成された集積硬貨において重積不良が発生しているとは、図7に示すように、支持ロッド71と硬貨押さえ部材74との間にある集積硬貨における一部の硬貨が水平状態とならずに立ってしまうような現象を例示できる。なお、本発明における集積硬貨の重積不良は、図7の態様に限られず、集積枚数の過不足も重積不良に含まれる。このような重積不良検知手段92による集積硬貨の重積不良の発生の有無の検知方法については後述する。
また、制御部90には報知部94が接続されており、重積不良検知手段92により集積硬貨において重積不良が発生していることが検知されたときには、このことが報知部94により操作者に報知されるようになっている。具体的には、例えば報知部94はモニタからなり、重積不良検知手段92により集積硬貨において重積不良が発生していることが検知されたときには、モニタに警告表示がなされるようになっている。なお、報知部94はモニタにより視覚的に操作者に報知を行うものに限定されることはなく、代わりに音声等によって聴覚的に操作者に報知を行うようになっていてもよい。なお、後述するように、集積硬貨の重積不良が発生していることが検出されたときに、この集積硬貨をリジェクトするようにすれば、モニタに警告表示をしなくともよい。
次に、このような構成からなる硬貨包装装置10の動作、具体的には硬貨包装装置10による硬貨の包装方法について説明する。なお、以下に示すような硬貨包装装置10の動作は、制御部90が硬貨包装装置10の各構成要素を制御することにより行われるようになっている。
繰出部12の回転円盤14上に受け入れられたバラ状態の硬貨は、当該繰出部12により搬送部20の搬送路21に1枚ずつ繰り出される。そして、集積部30において、搬送部20の搬送路21から集積部30の集積領域31に送り込まれた硬貨を、既に集積領域31において積層状態となるよう集積されている複数の硬貨のうち最下層の硬貨の下側にもぐりこませることによりバラ硬貨を下側から上方に向けて順次集積させる。集積部30において包装単位枚数分の硬貨が集積されると、集積硬貨搬送部70により集積硬貨を包装部40における所定の包装位置に上昇させる。
その後、包装紙供給部50により包装部40の包装領域41に包装紙を供給することによって包装部40において集積硬貨に包装紙を巻き付ける。具体的には、包装部40では、1本の包装硬貨を作成する毎にカム軸64が1回転し、そのカム軸64の1回転中に、3本の包装ローラ42a、42b、42cで集積硬貨を挟み込んで回転させながら、包装紙供給部50の包装紙供給ロール51から供給され切断部材58により所定の長さに切断された包装紙を、3本の包装ローラ42a、42b、42cと集積硬貨との間に供給する。なお、包装紙供給部50により包装部40の包装領域41に包装紙が供給される際に、図2に示すように、包装紙案内部材55、56bは、包装部40の包装領域41の側方開放部を塞ぐような進出位置に位置している。また、この際に、巻込み機構60の巻込み針61は、包装部40の包装領域41から退避するような退避位置に位置している。
その後、図3に示すように、包装紙案内部材55、56bを、包装部40の包装領域41の側方開放部を開くような退避位置に移動させるとともに、巻込み機構60の巻込み針61を、包装部40の包装領域41に進出するような進出位置に移動させる。巻込み機構60の巻込み針61が、包装部40の包装領域41に進出するような進出位置に移動した後、集積硬貨の周面に巻き付けられた包装紙の上下両端部を巻込み機構60の上下一対の巻込み針61によって巻き込んで集積硬貨の上下両端面にかしめる。このような集積硬貨の上下両端面のかしめ動作が終了すると、上下一対の巻込み針61を初期位置に退避させた後、3本の包装ローラ42a、42b、42c間を開放して包装硬貨を下方へ放出する。
また、本実施の形態では、集積硬貨搬送部70により集積硬貨が集積部30から包装部40に搬送される間に、集積硬貨の特定部位(具体的には、例えば最上層の硬貨)の位置に基づいて、集積部30により形成された集積硬貨において重積不良が発生しているか否かが重積不良検知手段92により検知されるようになっている。より詳細には、重積不良検知手段92は、集積硬貨搬送部70により集積部30の集積位置から集積硬貨が搬送され始めてから当該集積硬貨における最上層の硬貨が集積位置と包装位置との間にある所定位置に到達するまでの集積硬貨の移動量に基づいて、この集積硬貨において重積不良が発生しているか否かの検知を行う。このような重積不良検知手段92による集積硬貨の重積不良の発生の有無の具体的な検知方法について図8を用いて以下に説明する。
図8において、重積不良検知手段92は、集積硬貨搬送部70により集積部30の集積位置から集積硬貨が搬送され始めてから当該集積硬貨における最上層の硬貨が参照符号Jで示される所定位置(この所定位置は、集積位置と包装位置との間にある位置である)に到達するまでの集積硬貨の移動量に基づいて、この集積硬貨において重積不良が発生しているか否かの検知を行うようになっている。ここで、図8(a)に示すように、集積部30により形成された集積硬貨において重積不良が発生していない場合には、集積硬貨搬送部70により集積部30の集積位置から集積硬貨が搬送され始めてから当該集積硬貨における最上層の硬貨が所定位置Jに到達するまでの集積硬貨の移動量の大きさはKとなるのに対し、図8(b)に示すように、集積部30により形成された集積硬貨において重積不良が発生している場合には、集積硬貨搬送部70により集積部30の集積位置から集積硬貨が搬送され始めてから当該集積硬貨における最上層の硬貨が所定位置Jに到達するまでの集積硬貨の移動量の大きさはKよりも小さいLとなる。このため、各金種の硬貨について、重積不良が発生していない集積硬貨が集積硬貨搬送部70により集積部30の集積位置から搬送され始めてから当該集積硬貨における最上層の硬貨が所定位置Jに到達するまでの集積硬貨の移動量の大きさ(図8(a)において参照符号Kで示す大きさ)を予め算出して閾値として設定しておき、実際の集積硬貨の移動量がこの予め設定された移動量の閾値よりも小さい場合には、重積不良検知手段92は集積硬貨において重積不良が発生していることを検知するようになる。
ここで、集積硬貨搬送部70により搬送される集積硬貨における最上層の硬貨が参照符号Jで示される所定位置に到達するタイミングは、検知センサ83による検知板82の検知状態に基づくようになっている。具体的には、検知センサ83の発光素子83aから発せられた光が硬貨押さえ部材74に設けられた検知板82により遮光されて受光素子83bに到達しなくなったときに、または発光素子83aから発せられた光が検知板82により遮光された後に再び透光状態となり受光素子83bに到達するようになったときに、集積硬貨における最上層の硬貨が所定位置Jに到達したことが検知されるようになっている。ここで、集積硬貨の金種が1円、5円、10円である場合には、検知センサ83の発光素子83aから発せられた光が硬貨押さえ部材74に設けられた検知板82により遮光されて受光素子83bに到達しなくなったときに、集積硬貨における最上層の硬貨が所定位置Jに到達したことが検知されるようになっているのに対し、集積硬貨の金種が50円、100円、500円である場合には、発光素子83aから発せられた光が検知板82により遮光された後に再び透光状態となり受光素子83bに到達するようになったときに、集積硬貨における最上層の硬貨が所定位置Jに到達したことが検知されるようになっている。金種が50円、100円、500円である集積硬貨は、金種が1円、5円、10円である集積硬貨よりも集積方向における高さが大きいため、前者のほうが後者よりも小さい移動量で所定位置Jに到達するようになり、このため重積不良かどうかの判定タイミングをできるだけ後にずらす方がよい。これは所定位置Jに到達する前後におけるカム64fの形状からくるものである。具体的には、1円、5円、10円を49枚(1枚不足)しか集積していない場合に50枚集積した場合と比べて所定位置Jに到達するまでに余分にカム軸64が回動する回動量をAとし、50円、100円、500円を49枚しか集積していない場合に50枚集積した場合と比べて所定位置Jに到達するまでに余分にカム軸64が回動する回動量をBとすると、A>Bの関係となっており、つまり1円、5円、10円の分解能の方が高くなっているため、50円、100円、500円の判定時期も1円、5円、10円の判定時期に近づけた方がよい。
図10は、図1等に示す硬貨包装装置10におけるカム軸駆動モータ65の駆動状態、カム軸64の定位置検知の検知結果および集積硬貨の重積状態検知の検知結果の推移を示すタイミングチャートである。前述したように、集積部30により形成された集積硬貨を下方から支持して上方に押し上げる支持ロッド71はカム軸64と連動して昇降するようになっており、このカム軸64は、包装工程で1本の包装硬貨を作成する際に1回転するようカム軸駆動モータ65により回転させられるようになっている。そして、図10のタイミングチャートに示すように、カム軸駆動モータ65が停止状態から正転し始めると、カム軸64の回転角度を検知する光センサ(図示せず)が遮光状態から透光状態となることにより、カム軸64の回転角度が所定の大きさ(例えば、20°)となりこのカム軸64が定位置に達したことが検知される(時刻T0)。また、カム軸64が定位置に達したときに、集積部30により形成された集積硬貨が集積硬貨搬送部70の支持ロッド71により上昇し始める。
図10のタイミングチャートに示すように、集積部30により形成された集積硬貨の金種が1円、5円、10円である場合には、検知センサ83の発光素子83aから発せられた光が硬貨押さえ部材74に設けられた検知板82により遮光されて受光素子83bに到達しなくなった時刻T1において、集積硬貨における最上層の硬貨が所定位置J(図8参照)に到達したことが検知されるようになっている。そして、カム軸64の定位置検知が遮光状態から透光状態となる時刻T0から、検知センサ83による重積状態検知が透光状態から遮光状態となる時刻T1までの集積硬貨における最上層の硬貨の移動量が予め設定された移動量の閾値とほぼ等しい場合には、重積不良検知手段92は、集積部30により形成された集積硬貨に重積不良が発生していないことを検知する。一方、カム軸64の定位置検知が遮光状態から透光状態となる時刻T0から、検知センサ83による重積状態検知が透光状態から遮光状態となる時刻T1までの集積硬貨における最上層の硬貨の移動量が予め設定された移動量の閾値よりも小さいもしくは大きい場合には、重積不良検知手段92は、集積部30により形成された集積硬貨に重積不良が発生していることを検知する。なお、このような集積硬貨における最上層の硬貨の移動量は、カム軸駆動モータ65の回転パルス数に基づいて検出されるようになっている。
一方、集積部30により形成された集積硬貨の金種が50円、100円、500円である場合には、検知センサ83の発光素子83aから発せられた光が検知板82により遮光された後に再び透光状態となり受光素子83bに到達するようになった時刻T2において、集積硬貨における最上層の硬貨が所定位置J(図8参照)に到達したことが検知されるようになっている。そして、カム軸64の定位置検知が遮光状態から透光状態となる時刻T0から、検知センサ83による重積状態検知が遮光状態から透光状態となる時刻T2までの集積硬貨における最上層の硬貨の移動量が予め設定された移動量の閾値とほぼ等しい場合には、重積不良検知手段92は、集積部30により形成された集積硬貨に重積不良が発生していないことを検知する。一方、カム軸64の定位置検知が遮光状態から透光状態となる時刻T0から、検知センサ83による重積状態検知が遮光状態から透光状態となる時刻T2までの集積硬貨における最上層の硬貨の移動量が予め設定された移動量の閾値よりも小さいもしくは大きい場合には、重積不良検知手段92は、集積部30により形成された集積硬貨に重積不良が発生していることを検知する。
ここで、集積部30により形成された集積硬貨に重積不良が発生していることが重積不良検知手段92により検知されたときには、図10のフローチャートに示すように、カム軸駆動モータ65は正転状態からブレーキをかけて停止したのち反転状態となり、カム軸64は逆方向に回転するようになる。このことにより、支持ロッド71は下降し、この支持ロッド71より支持された集積硬貨は集積部30に戻るようになる。ここで、集積硬貨が集積部30に戻された後、集積硬貨搬送部70により集積硬貨が集積部30から包装部40に再び搬送されるようになっていてもよい。すなわち、図7のような重積不良の場合、集積部30から包装部40へ集積硬貨を搬送している間に、重積不良が解消される場合があるからである。また、他の態様として、集積部30により形成された集積硬貨に重積不良が発生していることが重積不良検知手段92により検知された後、集積硬貨が集積部30に戻されたときに、集積部30の集積ローラ36等が包装部40の下方位置から退避することにより、集積部30に戻された集積硬貨が下方に放出されてリジェクトされるようになっていてもよい。この場合、戻された集積硬貨がリジェクトされた後、集積部30により硬貨の集積が再び行われるようになっていてもよい。
以上のような構成からなる本実施の形態の硬貨包装装置10および硬貨包装方法によれば、重積不良検知手段92は、集積硬貨搬送部70により集積硬貨が搬送される間に、当該集積硬貨の特定部位(具体的には、例えば最上層の硬貨)の位置に基づいて、集積部30により形成された集積硬貨において重積不良が発生しているか否かの検知を行うようになっている。ここで、従来の硬貨包装装置では、集積硬貨に対して包装部により包装処理を行った後に重積不良の発生の有無を検知するようになっていたため重積不良が発生している集積硬貨に対して包装処理を行うと硬貨の飛散やジャム等が発生してしまうという問題があったが、本実施の形態の硬貨包装装置10や硬貨包装方法ではこのような問題の発生を防止することができる。また、集積硬貨の高さを測定することにより当該集積硬貨において重積不良が発生しているか否かの検知を行う方法と比較して、集積硬貨を当該集積硬貨の高さ分だけ移動させなくてもわずかに移動させるだけで、集積硬貨において重積不良が発生しているか否かを検知することができるため、より短時間で集積硬貨の重積不良の検知を行うことができるとともに集積部30から包装部40への集積硬貨の搬送および当該集積硬貨における重積不良の検知を行うのに必要なスペースをより小さくすることができる。
また、本実施の形態の硬貨包装装置10においては、前述したように、包装部40は集積部30の上方に配置されており、重積不良検知手段92は、集積硬貨搬送部70により集積部30の集積位置から集積硬貨が搬送され始めてから当該集積硬貨の特定部位(具体的には、例えば最上層の硬貨)が所定位置(図8において参照符号Jで示される位置)に到達するまでの集積硬貨の移動量に基づいて、集積部30により形成された集積硬貨において重積不良が発生しているか否かの検知を行うようになっている。また、この場合、集積部30は、当該集積部30における集積領域31に搬送されてきたバラ硬貨を、既に集積領域31において積層状態となるよう集積されている複数の硬貨のうち最下層の硬貨の下側にもぐりこませることによりバラ硬貨を下側から上方に向けて順次集積させるようになっている。
また、本実施の形態の硬貨包装装置10においては、前述したように、集積部30により形成された集積硬貨における最上層にある硬貨を上方から押さえる硬貨押さえ部材74およびこの硬貨押さえ部材74に設けられた検知板82の検知を行う検知センサ83がそれぞれ設けられている。ここで、検知センサ83は、硬貨押さえ部材74の位置を検知する押さえ部材位置検知部として機能するようになっている。そして、重積不良検知手段92は、集積硬貨搬送部70により集積部30の集積位置から集積硬貨が搬送され始めてから検知センサ83により硬貨押さえ部材74に設けられた検知板82の位置が検知されるまでの集積硬貨の移動量に基づいて、集積部30により形成された集積硬貨における重積不良の発生の有無を検知するようになっている。より詳細には、検知センサ83は発光素子83aおよび受光素子83bを有しており、当該検知センサ83は、発光素子83aから発せられた光が硬貨押さえ部材74に設けられた検知板82により遮光されて受光素子83bに到達しなくなったときに、または発光素子83aから発せられた光が検知板82により遮光された後に再び透光状態となって受光素子83bに到達するようになったときに、集積硬貨の特定部位(具体的には、例えば最上層の硬貨)が所定位置に到達したことを検知するようになっている。
また、本実施の形態の硬貨包装装置10においては、前述したように、集積硬貨搬送部70は、重積不良検知手段92により集積硬貨において重積不良が発生していることが検知されたときに、搬送中の集積硬貨を集積部30に戻すようになっている。また、この場合、集積硬貨搬送部70により集積硬貨が集積部30に戻された後、この戻された集積硬貨は排除され、集積部30により硬貨の集積が再び行われるようになっていてもよい。また、集積硬貨搬送部70により集積硬貨が集積部30に戻された後、この集積硬貨搬送部70により集積硬貨が集積部30から包装部40に再び搬送されるようになっていてもよい。これらの事項によれば、集積部30において集積硬貨の重積不良を解消した後に、重積不良が発生していない集積硬貨を集積部30から包装部40に再び搬送することにより、包装部40において集積硬貨の包装を行うことができるようになる。
なお、本実施の形態による硬貨包装装置10や硬貨包装方法は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、硬貨包装装置10において、包装部40は集積部30の上方に設けられることに限定されることはない。包装部40が集積部30の下方に設けられていてもよい。また、後述するように、重積不良検知手段92が、集積硬貨搬送部70により集積硬貨が搬送される間ではなく、集積部30により集積硬貨が形成される間に、当該集積硬貨の特定部位(具体的には、例えば最上層の硬貨)の位置に基づいて、集積部30により形成された集積硬貨において重積不良が発生しているか否かの検知を行うようになっている場合には、集積部30および包装部40が互いに隣り合うよう設けられていてもよい。
また、集積部30は、当該集積部30における集積領域31に搬送されてきたバラ硬貨を、既に集積領域31において積層状態となるよう集積されている複数の硬貨のうち最下層の硬貨の下側にもぐりこませることによりバラ硬貨を下側から上方に向けて順次集積させるような構成のものに限定されることはない。集積部30の他の構成として、当該集積部30における集積領域31に搬送されてきた硬貨を、既に集積領域31に集積されている複数の硬貨のうち最上層の硬貨の上に積み重ねるよう載置するようなものを用いてもよい。
また、重積不良検知手段92は、集積硬貨の特定部位として当該集積硬貨の最上層の硬貨の位置に基づいて集積部30により形成された集積硬貨に重積不良が発生しているか否かの検知を行うものに限定されることはない。すなわち、重積不良検知手段92による検知の基準となる集積硬貨の特定部位は、最上層の硬貨に限定されることはなく、最下層の硬貨や上下方向における中央位置の硬貨、あるいはその他の任意の位置の硬貨であってもよい。
また、重積不良検知手段92は、集積部30の集積位置から集積硬貨が搬送され始めてから硬貨押さえ部材74に設けられた検知板82が検知センサ83により検知されるまでの集積硬貨の移動量に基づいて当該集積硬貨における重積不良の発生の有無を検知するものに限定されることはない。重積不良検知手段92の他の態様として、例えば硬貨押さえ部材74ではなく支持ロッド71が上昇し始めてから当該支持ロッド71が所定位置に到達するまでの集積硬貨の移動量に基づいて当該集積硬貨における重積不良の発生の有無を検知するようになっていてもよい。
また、重積不良検知手段92による検知の基準となる上記の所定位置として高さレベルが異なるものが複数設定されていてもよい。例えば、所定位置として高さレベルが異なるものが2つ設定されている場合には、集積硬貨搬送部70により集積硬貨の特定部位(具体的には、例えば最上層の硬貨)が、高さレベルが比較的小さい(すなわち、比較的低い)第1の所定位置に到達したときに重積不良検知手段92により集積硬貨において重積不良が発生していることが検知された場合でも、集積硬貨を集積硬貨搬送部70により引き続き包装部40に向かって上昇させる。そして、この集積硬貨の特定部位が第1の所定位置よりも高さレベルが大きい(すなわち、比較的高い)第2の所定位置(すなわち、第2の所定位置は第1の所定位置よりも集積部30から遠くなっている)に到達したときに重積不良検知手段92により集積硬貨において重積不良が発生していないことが検知されたときに、この集積硬貨は包装部40に搬送されて当該包装部40により包装紙によって包装させる。このような態様によれば、集積硬貨が第1の所定位置に到達したときに重積不良検知手段92により集積硬貨において重積不良が発生していることが検知されたときでも、この集積硬貨が第1の所定位置から第2の所定位置に搬送されるまでに当該集積硬貨の重積不良が解消する場合があるため、このような場合には集積硬貨を一旦集積部30に戻さずにそのまま包装部40に搬送して当該包装部40で包装を行ったほうが全体の処理時間を短縮することができるようになる。また、第2の所定位置でも集積硬貨の重積不良が検知されれば、集積硬貨を一旦集積部30に戻して前述した処理と同様の処理を行う。
また、重積不良検知手段92は、集積硬貨搬送部70により集積硬貨が搬送される間ではなく、集積部30により集積硬貨が形成される間に、当該集積硬貨の特定部位(具体的には、例えば最上層の硬貨)の位置に基づいて、集積部30により形成された集積硬貨において重積不良が発生しているか否かの検知を行うようになっていてもよい。すなわち、集積部30により形成された集積硬貨が集積硬貨搬送部70により搬送される前の状態での、当該集積硬貨における最上層にある硬貨の位置が所定位置にあるか否かに基づいて、この集積硬貨において重積不良が発生しているか否かの検知を行うようになっていてもよい。
このような態様について具体的に説明すると、前述したように、集積部30は、当該集積部30における集積領域31に搬送されてきたバラ硬貨を、既に集積領域31において積層状態となるよう集積されている複数の硬貨のうち最下層の硬貨の下側にもぐりこませることによりバラ硬貨を下側から上方に向けて順次集積させるようになっており、また、集積部30により形成された集積硬貨における最上層にある硬貨は硬貨押さえ部材74により上方から押さえられるようになっている。そして、重積不良検知手段92は、集積部30により集積硬貨が形成される間に、硬貨押さえ部材74の位置に基づいて、集積部30により形成された集積硬貨において重積不良が発生しているか否かの検知を行うようになっている。具体的に説明すると、硬貨押さえ部材74には検知板82が設けられているとともに、この検知板82の検知を行う検知センサ83が位置固定で配設されている。なお、検知センサ83の高さレベルは、集積部30により形成された包装単位枚数分の集積硬貨において重積不良が発生していないときに当該集積硬貨を上方から押さえる硬貨押さえ部材74に設けられた検知板82を当該検知センサ83が検知する(すなわち、検知センサ83が遮光状態となる)ような大きさに設定されている。このことにより、集積部30により包装単位枚数分の集積硬貨が形成されたときに、検知センサ83により検知板82が検知されると、重積不良検知手段92は集積部30により形成された集積硬貨において重積不良が発生していないことを検知し、一方、検知センサ83により検知板82が検知されなかった場合には、重積不良検知手段92は集積部30により形成された集積硬貨において重積不良が発生していることを検知するようになる。なお、検知センサ83の高さレベルは、集積部30により形成される集積硬貨の金種によって予め設定や変更を行うことができるようになっていてもよい。
このような態様からなる硬貨包装装置10でも、集積硬貨の高さを測定することにより当該集積硬貨において重積不良が発生しているか否かの検知を行う方法と比較して、集積硬貨を移動させなくても集積硬貨において重積不良が発生しているか否かを検知することができるため、より短時間で集積硬貨の重積不良の検知を行うことができるとともに集積部30から包装部40への集積硬貨の搬送および当該集積硬貨における重積不良の検知を行うのに必要なスペースをより小さくすることができる。
また、更に他の変形例に係る硬貨包装装置10では、集積硬貨搬送部70により集積硬貨を集積部30から包装部40に搬送した後、包装紙供給部50から包装部40に包装紙を送ることなく、かつ当該包装部40において各包装ローラ42a、42b、42cを回転させることなく、カム軸駆動モータ65によってカム軸64を1回転させることにより巻込み機構60の巻込み針61の動作だけは行わせるようになっていてもよい。そして、カム軸64を1回転させた後、集積部30の集積ローラ36や集積硬貨搬送部70の支持ロッド71を包装部40の下方位置から側方に退避させることにより、包装部40にある集積硬貨を下方へ放出してリジェクトする。このような動作を行った場合には、巻込み機構60の巻込み針61を動作させることにより集積硬貨の高さを測定することができるようになり、例えば新しい種類の硬貨に対して硬貨包装装置10により包装処理を行うようになった際にも、この硬貨包装装置10により集積硬貨の高さを測定することができるようになり、この新しい種類の硬貨に関する情報(例えば、硬貨の厚さ等)を操作者が取得することができるようになる。