JP6170828B2 - ポリウレタンエラストマーからなる弾性層を有する現像ローラ - Google Patents

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Description

本発明は、プリンターや複写機等の電子写真装置に用いられる現像ローラに関する。特に非磁性一成分用トナーに用いる現像ローラに関する。
電子写真装置には大別すると、トナーとキャリアを主体とする二成分現像剤を用いる二成分方式と、トナーのみからなる現像剤を用いる一成分方式がある。そして、一成分方式として、近年は、カラー印刷に適していること、トナー濃度制御が不要で構成が単純なため、小型化・低コスト化が可能であることから、非磁性一成分方式が主流となっている。
非磁性一成分方式では、現像ローラに現像ブレード、供給ローラ、感光体ドラム等が強く押し付けられた状態で配置されている。非磁性一成分方式に用いられる現像ローラは、他の部材との接触部分が多いために、回転時の摩擦によりトナーに熱が加わりやすく、トナーがブレードや現像ロール等の部材に融着する、いわゆるトナーフィルミングが起こりやすい。そのため、現像ローラは、トナーフィルミングが起こる前に定期的に交換する必要がある。具体的には、非磁性一成分方式では、現像ローラはトナーカートリッジ内部に組み込まれた状態で使用されており、3000〜5000枚印刷する毎に、トナーカートリッジとともに交換されている。非磁性一成分方式は、他の印刷方式と比較して現像ローラの寿命が短いため、さらなる長寿命化が求められている。
電子写真装置では、長寿命化と高画質化が常に要求されている。電子写真装置は、感光体ドラム、現像ローラ、現像ブレード等の多くの部材から構成されており、それぞれの部材の様々な特性が、長寿命化と高画質化に影響を与えている。その中で、現像ローラには、長寿命化のために硬度が低いこと、高画質化のために表面粗さが小さいことが要求されている。
現像ローラの硬度が低いと、現像ローラと他の部材との間をトナーが通過する際に、トナーに加わるストレスが減るため、トナーフィルミングが起こりにくくなるとともに、トナーの劣化が抑えられる。さらに、感光体ドラム等の現像ローラと接触する部材へのダメージも抑えられる。よって、現像ローラの硬度が低いと、電子写真装置の長寿命化が可能となる。
また、現像ローラの表面粗さが小さいと、トナーを現像ローラ上に単層となるように最小量で搬送することができる。トナーが現像ローラ上で均一な膜厚で搬送されるため、トナーの帯電分布をシャープにすることができ、高画質での印刷が可能となる。
現像ローラは、圧縮永久歪が小さく、変形に対する修復性が高いことが要求されるため、ポリオールとポリイソシアネートとの熱硬化反応により得られるポリウレタンエラストマーが一般に使用される。ポリウレタンエラストマーの硬度を低くするために、可塑剤を配合する方法が知られている。しかし、可塑剤の滲み出しによる物性の変化、滲み出した可塑剤による感光体ドラム等の表面汚染、圧縮永久歪の悪化といった問題が生じるため、現像ローラに使用されるポリウレタンエラストマーに可塑剤を配合することは好ましくない。
また、ポリウレタンエラストマーは、架橋密度を低下させることで硬度を低くすることができる。しかし、硬度の低いポリウレタンエラストマーは、圧縮永久歪が悪化する、耐研磨性が低いため研磨処理で表面を平滑にすることが困難であるといった問題がある。
すなわち、ポリウレタンエラストマーからなる現像ローラにおいて、硬度の低さと表面粗さの小ささとを両立させることは困難であった。
特許文献1では、水酸基価80〜360mgKOHで平均官能基数2.5〜6のひまし油変性ポリオールと、NCO含有率1〜15%の変性TDI、変性MDI及び変性HDIの少なくとも1種を含有するイソシアネート成分とからなるポリウレタン発泡体を弾性層に用いることで、低硬度で、かつ圧縮永久歪の小さい現像ローラが提案されている。しかし、特許文献1に記載された方法は、特殊なひまし油変性ポリオールを用いており材料選択の自由度が低く、材料選択による物性の制御が制限される。また、発泡体であるため、研磨処理を施しても達成できる平滑さには限界がある。
特許文献2には、デュロメーター硬さ試験タイプAで測定した硬度が55度以下である、導電性ウレタン組成物を導電弾性層とする現像ローラが記載されている。特許文献2の実施例で達成されている表面粗さは10点平均表面粗さRz値が5〜7μmと大きく、高画質化のためには、更なる表面粗さの小ささが要求される。また、特許文献2の実施例では、ポリオールとして、2官能で分子量が4000のポリエーテルポリオール1と、3官能で分子量6000のポリエーテルポリオール2とを、50/50の比で配合したものを用いている。このポリオールから得られるポリウレタンエラストマーは、分子量が大きく官能のポリオールを含み、架橋点間分子量が大きいため、通常は2%未満である現像ローラの圧縮永久歪が3%と大きい。
特開2008−280447号公報 特開2004−67726号公報
本発明は、低硬度で耐摩耗性に優れ、長寿命な現像ローラを提供する。また、表面粗さの小さい現像ローラを提供する。
上記課題を解決するための手段は以下のとおりである。
(1)中心軸であるシャフトと、
数平均分子量が4500〜5500であり、不飽和度が0.01meq/g以下である三官能のポリエーテルポリオールを50〜80wt%、数平均分子量が2500〜3500であり、不飽和度が0.01meq/g以下である三官能のポリエーテルポリオールを50〜20wt%含むポリオール組成物と、ポリイソシアネートとから重合されたポリウレタンエラストマーからなる、前記シャフトの外周を覆う弾性層と、
該弾性層上に形成された少なくとも1層のコート層と、
を有する現像ローラ。
(2)MD−1タイプA硬度計で測定した硬度が48°〜54°である(1)に記載の現像ローラ。
(3)前記ポリウレタンエラストマーの膨潤度が2.93〜2.96の範囲である(1)または(2)に記載の現像ローラ。
(4)表面粗さRaが0.6μm〜1.2μmである(1)〜(3)のいずれかに記載の現像ローラ。
(5)弾性層両端部に端部コート層を有することを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載の現像ローラ。
(6)弾性層の軸方向の中央部における外径がその両端部から5mmの位置における外径より50〜200μm小さい逆クラウン形状であり、非磁性一成分方式の電子写真装置に用いられることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかに記載の現像ローラ。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載の現像ローラを備えてなる電子写真装置。
(8)数平均分子量が4500〜5500であり、不飽和度が0.01meq/g以下である三官能のポリエーテルポリオールを50〜80wt%、数平均分子量が2500〜3500であり、不飽和度が0.01meq/g以下である三官能のポリエーテルポリオールを50〜20wt%含むポリオール組成物と、ポリイソシアネートとから重合されたポリウレタンエラストマー。
(9)表面粗さRaが0.6μm〜1.2μmである(8)に記載のポリウレタンエラストマー。
(10)#60〜#200の番手の炭化ケイ素系砥粒を用いた乾式方式のプランジ研磨による第一研磨工程と、#800〜#1400の高番手のアルミナ系砥粒を有する研磨テープを用いた湿式方式のテープ研磨による第二研磨工程と、を有するポリウレタンエラストマーの研磨方法。
本発明により、低硬度で耐摩耗性に優れ、長寿命な現像ローラが得られた。本発明の現像ローラは、表面が極めて平滑なため、トナーを均一な膜厚で搬送することができる。トナーをムラなくシャープに帯電させることができるため、高画質な印刷が可能である。本発明の現像ローラは長寿命であるため、家庭用等の小型の電子写真装置だけでなく、耐久性が要求される業務用等の大型の電子写真装置にも適用することができる。
現像ローラの構造を示す図。 端部コート層を有する現像ローラの構造を示す図。
本発明の現像ローラの基本構造を図1に示す。現像ローラ1は、導電性のシャフト2と、このシャフト2の外周を覆う弾性層3と、この弾性層3上に形成された少なくとも1層のコート層4とからなる。
(シャフト)
シャフト2は、現像ローラを回転可能に支持する軸である。シャフトの両端部には、歯付きベルト等の駆動部品と噛み合わせるための精密加工が施されている。シャフトを形成する素材は、導電性を有しているものであればよく、金属が好ましく用いられる。金属としては、たとえば鉄、銅、アルミニウム合金、ステンレス鋼、ニッケルなどが好ましく用いられる。また、これらに溶融メッキ、電解メッキ、無電解メッキなどの手法によるメッキ処理を施したものを用いることができる。
(弾性層)
弾性層3は、現像ローラに要求される圧縮永久歪や表面硬度等の特性を発揮する層であり、シャフトの外周を覆うように形成される。弾性層は、圧縮永久歪が小さく、変形に対する修復性が高いことが要求されるため、ポリオールとポリイソシアネートとの熱硬化反応により得られるポリウレタンエラストマーが一般に使用される。本発明は、弾性層として特定の数平均分子量と水酸基数とを満足するポリオールと、ポリイソシアネートとから得られる、内部に気泡を有さないソリッド状のポリウレタンエラストマーを用いることを特徴とする。
[ポリオール]
本発明は、ポリオールとして、数平均分子量が4500〜5500であり、不飽和度が0.01meq/g以下である三官能のポリエーテルポリオールを50〜80wt%、数平均分子量が2500〜3500であり、不飽和度が0.01meq/g以下である三官能のポリエーテルポリオールを50〜20wt%含むポリオール組成物を用いることを特徴とする。
ポリオールの数平均分子量が上記範囲よりも小さいと、または、数平均分子量が2500〜3500のポリオールを50wt%より多く含有すると、得られるポリウレタンエラストマーの架橋点間分子量が小さくなり、表面硬度が高くなる。
ポリオールの数平均分子量が上記範囲よりも大きいと、または、数平均分子量が4500〜5500のポリオールを80wt%より多く含有すると、得られるポリウレタンエラストマーの架橋点間分子量が大きくなり、表面硬度が柔らかくなりすぎて圧縮永久歪が悪化する。また、ポリオール組成物の粘度が高くなり成形性、取り扱い性が悪化し、さらに、ポリイソシアネート成分との均一な混合が困難となる。
ポリオールの官能基数が4以上であると、得られるポリウレタンエラストマーの架橋点間分子量が小さくなり、表面硬度が高くなる。さらに、ポリオールの粘度が増加するため、取り扱い性が悪化する。
ポリオールの官能基数が2であると、得られるポリウレタンエラストマーの架橋点間分子量が大きくなり、三次元網目構造の網目が疎となるため、圧縮永久歪が著しく悪化する。また、耐久性も低下するため、このポリウレタンエラストマーから製造された現像ローラは、他の部材が強く押し付けられる非磁性一成分方式の電子写真装置には適さない。
本発明は、数平均分子量が4500〜5500である三官能のポリエーテルポリオールを50〜80wt%、数平均分子量が2500〜3500である三官能のポリエーテルポリオールを50〜20wt%含むポリオール組成物から合成されたポリウレタンエラストマーが、現像ロールに適した低い硬度と、圧縮永久歪を有することを見出してなされたものである。数平均分子量が4500〜5500である三官能のポリエーテルポリオールを60〜70wt%、数平均分子量が2500〜3500である三官能のポリエーテルポリオールを40〜30wt%含むことがより好ましい。
ポリオールの水酸基価(OHv)としては、特に限定されるものではないが、適度な硬度を有する硬化物を形成させ得る点において、数平均分子量が4500〜5500である三官能のポリエーテルポリオールの水酸基価は32.0〜35.4mgKOH/g、数平均分子量が2500〜3500である三官能のポリエーテルポリオールの水酸基価は54.6〜57.6mgKOH/gが好ましい。ここで、水酸基価は、JIS K−0070に記載の方法により測定されるものである。
本発明において使用する、ポリエーテルポリオールは、不飽和度が0.01meq/g以下であることを特徴とする。ここで、不飽和度とは、JIS K−1557−3に記載の方法により測定されるものである。
ポリエーテルポリオールは、分子中にエーテル結合を有するポリオール化合物である。ポリエーテルポリオールは、水酸基、1級アミノ基等の活性水素基を2個以上有する化合物を開始剤とし、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキシドを開環付加反応させて製造することができる。
ポリエーテルポリオールの水酸基数は、開始剤の活性水素基の数によって定まる。すなわち、プロピレングリコール由来のポリエーテルポリオールの水酸基数は2、グリセリン由来のポリエーテルポリオールの水酸基数は3、ペンタエリスリトール由来のポリエーテルポリオールの水酸基数は4となる。本発明は、三官能のポリエーテルポリオールを用いるため、開始剤としては活性水素基を3個有する化合物であれば特に制限することなく利用することができる。例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン等のトリオール類、ジエチレントリアミン、トリス(2−アミノエチル)アミン等のトリアミン類、及び、これらの変性体等が挙げられ、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ここで、開環付加反応によるポリエーテルポリオールの合成時には、副生成物として水酸基数が1であるモノオールが生じる。このモノオールは、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキシドの異性化反応により生じ、二重結合を有している。したがって、モノオール含有量の多寡は、不飽和度を指標として知ることができ、不飽和度の値が大きいほどモノオールが多く含まれる。ポリエーテルポリオールには、水酸基数が1のモノオールが含まれているため、ポリエーテルポリオールの平均水酸基数は、開始剤の活性水素基の数よりも小さくなる。
具体的には、ポリエーテルポリオールの平均水酸基数fは、下記式で表される。
f=(1000fn/Mn)/[{(1000/Mn)−(USV/fn)}+USV]
fn:開始剤の活性水素基の数
Mn:ポリエーテルポリオールの数平均分子量
USV:不飽和度
上記式からわかるように、モノオールを含まない、すなわち、不飽和度が0のとき、ポリエーテルポリオールの平均水酸基数は、開始剤の活性水素基の数と等しくなる。
また、不飽和度が同一でも、数平均分子量が大きいほど、平均水酸基数は小さくなる。具体的には、開始剤の活性水素基の数を3、不飽和度を0.1meq/gとすると、数平均分子量が3000のときの平均水酸基数は2.50、数平均分子量が5000のときの平均水酸基数は2.25となる。
本発明において使用する三官能のポリエーテルポリオールは、副生成物であるモノオール含有量が少ない、すなわち、不飽和度が0.01meq/g以下と極めて小さいポリエーテルポリオールであることを特徴とする。モノオール含有量の多い三官能のポリエーテルポリオールは、ウレタンエラストマー中に未反応のモノオールが残るため、ブリードアウトが起こりやすい、耐摩耗性に劣る、という欠点がある。
ポリウレタンエラストマーにおいて、表面硬度を低下させるためには架橋密度を低下させればよいことが知られている。そして、架橋密度の低いポリウレタンエラストマーは、水酸基数の少ないポリオール、または、数平均分子量の大きなポリオールから合成することができる。
上記したとおり、従来のポリエーテルポリオールは、副生成物であるモノオールを多く含み、数平均分子量が大きいほど、平均水酸基数も小さくなる。すなわち、これまで、ポリエーテルポリオールの数平均分子量により表面硬度を調整しようとすると、意図せずとも平均水酸基数の値も変化してしまっていたため、実際にはポリエーテルポリオールの数平均分子量のみで表面硬度は調整されていなかった。
本発明者は、ポリエーテルポリオールの数平均分子量とポリウレタンエラストマーの表面硬度との関係を研究する中で、数平均分子量が大きく、かつ、モノオール含有量の少ない三官能のポリエーテルポリオールから合成されたポリウレタンエラストマーが、低硬度でありながら、耐摩耗性に優れ、ローラが削れにくいこと、および、耐研磨性に優れ、負荷の大きな研磨処理を施して、表面粗さをより小さくすることができることを見出した。
すなわち、モノオール含有量が少ない三官能のポリエーテルポリオールから得られたポリウレタンエラストマーと、モノオール含有量が多い三官能のポリエーテルポリオールから得られたポリウレタンエラストマーとが、同一の表面硬度を有していても、モノオール含有量が少ない三官能のポリエーテルポリオールから得られたポリウレタンエラストマーの方が耐摩耗性に優れ、長寿命である。さらに、モノオール含有量が少ない三官能のポリエーテルポリオールから得られたポリウレタンエラストマーの方が耐研磨性に優れ、同一条件の負荷の大きな研磨処理を施しても、表面粗さを小さくすることができる。
これは、詳細な原理は不明であるが、発明者は以下のように推測している。
モノオールがポリイソシアネートとウレタン結合を形成すると、モノオールは、ウレタン結合以外に架橋構造を形成できないので、高分子鎖の末端となる。すなわち、モノオールは、片末端がウレタン結合で固定されるのみであり、その他には架橋構造を有さない、いわば自由端となる。
これに対し、ポリオールは複数の水酸基を有しており、この複数の水酸基末端とポリイソシアネートとがウレタン結合を形成することにより、ポリウレタンエラストマーは三次元網目構造を形成する。ポリオール分子はウレタン結合を形成して三次元網目構造内に組み込まれるため、自由端が形成されない。
したがって、モノオール含有量の少ないポリオール由来のポリウレタンエラストマーは、モノオール含有量の多いポリオール由来のポリウレタンエラストマーと比較して、自由端の数が少ない三次元網目構造を形成する。
自由端は、分子鎖が片末端のみしか固定されておらず熱運動しやすいと考えられる。モノオール含有量の多いポリオール由来のポリウレタンエラストマーは、研磨工程や、電子写真装置内での使用時に、発生する熱により熱運動する自由端を多く有するため、耐摩耗性、耐研磨性に劣る。
他方、モノオール含有量の少ないポリオール由来のポリウレタンエラストマーは、熱運動する自由端の数が少ないため、耐摩耗性、耐研磨性に優れている。そのため、削れにくく、かつ、負荷の大きな研磨工程で表面粗さをより小さくすることができる。
本発明の三官能ポリオールは、数平均分子量が大きく、得られるポリウレタンエラストマーの架橋点間分子量が大きいため、低硬度である。さらに、三官能ポリオールとして不飽和度が0.01meq/g以下のポリエーテルポリオールを採用することにより、耐摩耗性、耐研磨性に優れたポリウレタンエラストマーが得られる。このポリウレタンエラストマーは、三次元網目構造内に形成される自由端の数が少ないため、優れた耐摩耗性、耐研磨性を発揮すると推測される。そのため、このポリウレタンエラストマーは、電子写真装置内で現像ブレード等に強く押し付けられた状態で使用しても摩耗しにくいため、長寿命である。また、耐研磨性に優れているため、負荷の大きな研磨処理を施すことができ、表面粗さを従来のものと比較して大幅に小さくすることができる。
[ポリイソシアネート]
本発明において使用するポリイソシアネートとしては、特に限定されない。例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’−MDI)、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’−MDI)、1,4−フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)などの芳香族ポリイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアナートメチル(NBDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などの脂肪族ポリイソシアネート類、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添キシリレンジイソシアネート(H6XDI、水添XDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI、水添MDI)などの脂環式ポリイソシアネート類、上記の各ポリイソシアネートのカルボジイミド変性ポリイソシアネート類、または、これらのイソシアヌレート変性ポリイソシアネート類などが挙げられ、これらは1種単独で、または2種以上を組み合わされて用いることができる。
[その他成分]
弾性層には、カーボン、樹脂被覆カーボン、黒鉛、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン、ニッケル、銅、銀、イオン導電剤等の導電性付与剤が配合されて、電気抵抗値が制御されている。特に、カーボンと樹脂被覆カーボンとを配合することで、パーコレーション領域における抵抗値の変化を穏やかにしながら、10〜10Ωの中抵抗領域を達成することができる。抵抗値の変化が穏やかなため、配合量のバラツキによる、電気抵抗値のバラツキを小さくすることができる。また、弾性層を形成するための樹脂組成物には、必要に応じて、反応性促進触媒、加硫剤、加硫促進剤、軟化剤、充填剤、加工助剤、離型剤、消泡剤、難燃剤、等の添加剤を配合することができる。
可塑剤を配合すると、ポリウレタンエラストマーの硬度を低くすることができる。しかし、可塑剤が配合されたポリウレタンエラストマーを現像ローラに用いると、現像ローラと接触する感光体ドラム等の表面汚染、可塑剤の滲み出しによる物性の変化、圧縮永久歪の悪化といった問題が生じるため、本発明のポリウレタンエラストマーに可塑剤を配合することは好ましくない。
[ポリウレタンエラストマー]
ポリウレタンエラストマーは、ポリオールとポリイソシアネートとの混合物を熱硬化させることにより形成される。本発明で使用するポリウレタンエラストマーは内部に気泡を有さない非発泡体であるソリッド状である。イソシアネート基とポリオールの活性水素基とのモル比であるNCOインデックス値(NCO/活性水素基)は、1.2〜0.9の範囲となるように配合する。得られるポリウレタン中に未反応ポリオールが残存すると、ウレタンの性能に湿度依存性が生じてしまうため、NCOインデックス値は1.1〜1.02の範囲であることが好ましい。
本発明で得られるポリウレタンエラストマーの膨潤度は2.93〜2.96の範囲であることが好ましい。膨潤度は、架橋密度と負の相関関係にあることが知られており、架橋密度を高くすれば膨潤度が小さくなり、架橋密度を低くすれば膨潤度は大きくなる。膨潤度が2.93より小さいと、架橋密度が高いため硬度が高くなる。膨潤度が2.96より大きいと、架橋密度が低いため圧縮永久歪が悪化する。
本発明において、膨潤度は、ポリウレタンエラストマーの試験片をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に24時間浸漬させた後の重量をWaとし、70℃で24時間減圧乾燥した後の重量をWbとして、次の式で求められる。
s=1+{(Wa−Wb)/dDMF)/(Wb/dPU)}
s:膨潤度
PU:試験片の25℃における密度
DMF:DMFの25℃における密度
弾性層は、従来公知の押出成形や型注入成形などによって、シャフトの外周を覆うように形成される。弾性層の軸方向の長さは、印刷用紙の大きさにより定まり、A4サイズの紙に用いられるものであれば、220〜250mm、A3サイズの紙に用いられるものであれば、310〜330mmの範囲である。通常、弾性層の厚みは2〜5mmである。形成された弾性層は、研磨処理により、形状を整えられる。
[研磨処理]
本発明の弾性層は、プランジ研磨による第一研磨工程により、外形を整えるとともに、算術平均粗さRaを、1.6〜2.5μmとすることができる。プランジ研磨は乾式方式を用いることが好ましい。砥粒は、カーボランダム、グリーンカーボランダム等の硬度の高い炭化ケイ素系のものを用いることが、研磨処理の高速化、砥石の長寿命化の点から好ましい。砥粒は、粒度が#60〜#200のものを用いることができる。
さらに、本発明のポリウレタンエラストマーは、不飽和度が0.01meq/g以下である三官能のポリエーテルポリオールから合成されており、耐研磨性に優れているため、研磨工程時の負荷が大きい、高番手の研磨テープによる第二研磨工程を施すことができる。具体的には、粒度が#800〜#1400の研磨テープによる、第二研磨工程を施すことにより、算術平均粗さRaを0.6〜1.2μmと極めて小さくすることができる。算術平均粗さRaは、0.6〜1.1μmであることがより好ましく、0.6〜0.9μmであることがさらに好ましく、0.7〜0.9μmであることが最も好ましい。研磨テープによる第二研磨工程は湿式方式で施すことが好ましい。これに対し、不飽和度が0.01meq/gより大きなポリエーテルポリオールから合成されたポリウレタンエラストマーは、同一条件の第二研磨工程を施しても、不飽和度が0.01meq/g以下のポリエーテルポリオールから合成されたポリウレタンエラストマーと比べると、達成できる表面粗さが大きい。
研磨テープは、硬度の低いアルミナ系の砥粒のものを用いることが、より表面を平滑に仕上げることができるため好ましい。
ここで、本発明において、算術平均粗さRaは、JIS B−0601に基づいて測定される算術平均粗さを意味する。
(コート層)
コート層4は、バインダー樹脂に導電性付与剤を添加した樹脂組成物を、弾性層上に塗工することで形成される。コート層を塗工する前に、弾性層は研磨処理されて現像ローラとして所望の形状に整えられている。コート層の厚みは、0.1〜3μmの範囲内である。
バインダー樹脂として、アクリル樹脂、アクリル・フッ素混合樹脂、アクリルウレタン樹脂、ラクトン変性アクリルウレタン樹脂、アクリル変性シリコーン樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、フェノール樹脂、セルロース系樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂等を用いることができる。
特に、バインダー樹脂として、アクリル樹脂(例えば、日本触媒株式会社製、商品名:NK380)とアクリル・フッ素混合樹脂(例えば、DIC株式会社製、商品名:TR101)との混合物が適している。アクリルとアクリル・フッ素樹脂を、10〜90:90〜10の比率で配合すると、トナーフィルミングが起こりにくいため好ましい。
導電性付与剤は、カーボンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボン、金属粒子、金属酸化物の粒子、ポリアセチレン、ポリピロール等の導電性ポリマー、塩化リチウム、過塩素酸ナトリウム等のイオン導電剤等を特に制限することなく使用することができる。導電性付与剤の添加量は、コート層に求める体積抵抗率に応じて調整すればよい。導電性付与剤は1種単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。
(端部コート層)
さらに、本発明の現像ローラは、弾性層端部の摩耗を防ぐために端部コート層を設けることができる。図2に、端部コート層5を有する現像ローラを示す。
端部コート層5は、トナーカートリッジのトナーシール部と接触する部分である、弾性層両端部のコート層上に形成される。現像ローラは、電子写真装置内にトナーが漏れ出ないように、弾性層両端部がトナーシール部に強く押し付けられて密着した状態で組み込まれる。現像ローラが回転すると、弾性層端部には、弾性層中央部よりも強い摩擦力が加わる。端部コート層を形成して弾性層端部を保護することにより、現像ローラの寿命を長くすることができる。
端部コート層は、2〜15mm、より好ましくは5〜10mmの幅に渡って、弾性層両端部のコート層上に形成される。2mmより狭いと端部保護機能が十分でなく、15mmより広く形成しても、端部保護機能はそれ以上向上しない。端部コート層を形成する材料は特に限定されないが、イソシアネート、熱可塑性ウレタンが好ましい。イソシアネートと熱可塑性ウレタンは、弾性層、及びコート層を形成する材料との親和性が高いため、強固に密着し剥がれにくい。イソシアネートと熱可塑性ウレタンは、1種単独で用いてもよく、混合して用いてもよく、また、イソシアネート、および熱可塑性ウレタンのそれぞれが2種以上を組み合わされたものであってもよい。端部コート層は、イソシアネート、および/または熱可塑性ウレタンの溶液を、コート層上に塗布して形成することができる。また、必要に応じて、導電性付与剤、シリコーン系潤滑剤等を配合してもよい。
(現像ローラ)
本発明の現像ローラは、弾性層を形成するポリウレタンエラストマーが、高分子量のポリオールから重合されているため、内部に泡を有さないソリッド状でありながら低硬度である。具体的には、MD1硬度を48°〜54°とすることができる。48°未満であると、ポリウレタンエラストマーが柔らかくなりすぎて圧縮永久歪が悪化し、54°より大きいとポリウレタンエラストマーが硬くなりすぎて、現像ローラと接触する部材やトナーへのダメージが大きくなり寿命が短くなる。MD1硬度は、50°〜52°であることがより好ましい。
本発明の現像ローラは、低硬度であり、感光体ドラムや現像ブレード等の現像ローラと接する部材、及びトナーへのストレスを軽減することができるため、電子写真装置全体の長寿命化に貢献することができる。
従来の現像ローラは寿命が短いため、3000〜5000枚印刷する毎に、トナーカートリッジとともに交換されていた。それに対し、本発明の現像ローラは、低硬度で耐摩耗性に優れ、長寿命なため10000〜40000枚の印刷に耐えることができる。したがって、本発明の現像ローラは、家庭用等の小型の電子写真装置だけでなく、小型機と比べて耐久性が要求される業務用の大型の電子写真装置にも適用することができる。
本発明の現像ローラは、長寿命であるため、トナーカートリッジに組み込んで頻繁に交換する必要がなく、トナーカートリッジよりも交換頻度の低い有機感光体ユニット等に組み込むことができる。また、本発明の現像ローラは低硬度であり、トナーに与えるストレスが軽減されておりトナーの劣化が抑えられるので、トナーの容量を増やしてトナーカットリッジの交換頻度も減らすことができる。
本発明の現像ローラを用いると、現像ローラ自身だけでなく、現像ローラに接する感光体ドラムや現像ブレード等の部材、及びトナーの長寿命化が可能となるため、電子写真装置全体の長寿命化が達成される。そのため、電子写真装置のカートリッジ交換やメンテナンスにかかるランニングコストを削減することができる。
本発明の現像ローラの形状としては特に限定されることなく、外径が軸方向の一方の端部から他方の端部にかけて略同一とされるストレート形状であってもよく、軸方向の中央部における外径がその両端部における外径よりも大きいクラウン形状であってよく、軸方向の中央部における外径がその両端部における外径よりも小さな逆クラウン形状であっても良い。クラウン形状、及び逆クラウン形状は、プランジ研磨により整形することができる。
ここで、非磁性一成分方式の電子写真装置では、現像後に現像ローラ上に残存する逆帯電したトナー、及び未現像トナーは、現像ローラと逆回転する供給ローラにより現像ローラ上から回収される。現像ローラと供給ローラとの間に加わる圧力が強いほど、トナーの回収率が高くなるため好ましいが、圧力が強いと現像ローラの弾性層に圧縮永久歪が生じる、シャフトが撓んでしまう、という問題があった。本発明の現像ローラは、硬度が低く、かつ、圧縮永久歪が小さいため、供給ローラと強く押し付けあうことができる。そのため、本発明の現像ローラを非磁性一成分方式の電子写真装置に使用する際は、供給ローラから加わる圧力によってシャフトが撓んだ状態で、感光体ドラムと均一なニップ幅で接触できるように、逆クラウン形状とすることが好ましい。具体的な形状としては、弾性層の軸方向の中央部における外径がその両端部から5mmの位置における外径より50〜200μm小さい逆クラウン形状であることが好ましく、60〜150μm小さい逆クラウン形状であることがより好ましい。
次に、本発明を実施例に基づいて、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
「実施例1」
[弾性層]
ポリオールとして数平均分子量5000の三官能ポリエーテルポリオール(旭硝子株式会社製、商品名:プレミノールS3006、OHv=33mgKOH/g、不飽和度0.006g/meq)65wt%と、数平均分子量3000の三官能ポリエーテルポリオール(旭硝子株式会社製、商品名:プレミノールS3003、OHv=56mgKOH/g、不飽和度0.007g/meq)35wt%を配合してポリオール組成物とした。
このポリオール組成物に、導電性カーボン(三菱化学株式会社製、商品名:#45L、pH8.0、DBP吸収量45ml/100g、揮発分1.1質量%)と、樹脂被覆カーボン(三菱化学製の酸性カーボンブラック(商品名「MA8」、pH3.0、DBP吸収量57ml/100g、揮発分3.0質量%)をエポキシ樹脂で被覆したもの。)を、30:70の比率で配合したものを、計6.5wt%となるようにロール分散した。
さらに反応性促進触媒として、ジメチル脂肪酸モノカルボン酸塩(活材ケミカル株式会社製、商品名:UL28)をウレタン総量に対し、150ppm添加混合し、主剤とした。
イソシアネートとして、1,3−ビス(イソシアネートメチル)ベンゼンを主剤100gに対し、NCOインデックス値が1.05となるように、6.9g混合し樹脂組成物を得た。
金属製のシャフトを中心にセットした金型に、樹脂組成物を流し込み110℃で20分硬化させ、脱型後室温℃で12時間エージング処理を行い、長さ319mm、厚さ4mmのポリウレタンエラストマーからなり、シャフトの外周を覆う弾性層を形成した。
[研磨工程]
弾性層を#100のグリーンカーボランダム砥石(株式会社テイケン製)を用いた乾式方式のプランジ研磨による第一研磨工程、#1000のアルミナ砥粒(三共理化学株式会社製)を用いた湿式方式のテープ研磨による第二研磨工程を施し、弾性層の軸方向の中央部における外径がその両端部から5mmの位置における外径より105μm小さい逆クラウン形状とした。
[コート層]
アクリル樹脂(日本触媒株式会社製、商品名:NK380)30部と、アクリル・フッ素混合樹脂(DIC株式会社製、商品名:TR101)70部とを混合して、バインダー樹脂とした。
このバインダー樹脂100部に対して、イオン導電材(三光化学工業株式会社製、商品名:サンコノールMEK−50R)0.1部とカーボン(大日精化株式会社製、商品名:精化ブラックSS−01−942)12.5部とを配合し、バインダー樹脂組成物を得た。
このバインダー樹脂組成物を、弾性層上にディップコートにより塗工して1μm厚のコート層を形成し、現像ローラ1を得た。
「実施例2」
ポリオール組成物を、ポリオールとして数平均分子量5000の三官能ポリエーテルポリオール(旭硝子株式会社製、商品名:プレミノールS3006)80wt%、数平均分子量3000の三官能ポリエーテルポリオール(旭硝子株式会社製、商品名:プレミノールS3003)20wt%を配合したポリオール組成物とした以外は、実施例1と同様にして、現像ローラ2を得た。
「実施例3」
ポリオール組成物を、ポリオールとして数平均分子量5000の三官能ポリエーテルポリオール(旭硝子株式会社製、商品名:プレミノールS3006)50wt%と、数平均分子量3000の三官能ポリエーテルポリオール(旭硝子株式会社製、商品名:プレミノールS3003)50wt%を配合したポリオール組成物とした以外は、実施例1と同様にして、現像ローラ3を得た。
「比較例1」
ポリオール組成物を、数平均分子量3000の三官能ポリエーテルポリオール(旭硝子株式会社製、商品名:プレミノールS3003)100wt%とした以外は、実施例1と同様にして現像ローラ4を製造した。
「比較例2」
ポリオール組成物を、数平均分子量3000の三官能ポリエーテルポリオール(旭硝子株式会社製、商品名:プレミノールS3003)80wt%と、数平均分子量2000の二官能ポリエーテルポリオール(旭硝子株式会社製、商品名:プレミノールプレミノールS4001、OHv=56.9mgKOH/g、不飽和度0.008g/meq)20wt%を配合したポリオール組成物として、弾性層を作成した。
この弾性層は、#1000のアルミナ砥粒(三共理化学株式会社製)を用いた湿式方式のテープ研磨による第二研磨工程を施すと、ポリウレタン表面が溶融してしまったため、#100のグリーンカーボランダム砥石(株式会社テイケン製)を用いた乾式方式のプランジ研磨による第一研磨工程のみを施した。
その他の工程は実施例1と同様にして、現像ローラ5を得た。
「比較例3」
ポリオール組成物を、数平均分子量5000の三官能ポリエーテルポリオール(旭硝子株式会社製、商品名:エクセノール5030、OHv=33mgKOH/g、不飽和度0.070g/meq)65wt%と、数平均分子量3000の三官能ポリエーテルポリオール(旭硝子株式会社製、商品名:エクセノール3030、OHv=56.4mgKOH/g、不飽和度0.036g/meq)35wt%を配合したポリオール組成物とした以外は、実施例1と同様にして、現像ローラ6を製造した。
「比較例4」
ポリオール組成物を、数平均分子量5000の三官能ポリエーテルポリオール(旭硝子株式会社製、商品名:プレミノールS3006)20wt%と、数平均分子量3000の三官能ポリエーテルポリオール(旭硝子株式会社製、商品名:プレミノールS3003)80wt%を配合したポリオール組成物とした以外は、実施例1と同様にして、現像ローラ7を製造した。
・試験評価方法
上記実施例、及び比較例で製造した現像ローラの物性を評価した。
[表面硬度]
現像ローラの表面硬度(MD1硬度)を、マイクロゴム硬度計(高分子計器株式会社製、商品名:MD−1タイプA)を用いて測定した。測定は、温度23℃、湿度50%RHの環境下で、現像ローラのコート層上を、弾性層両端部から50mmの箇所と、中央部の計3箇所を、周方向に3箇所、計9点で行った。表面硬度は、9箇所の測定値の相加平均値で示した。
[表面粗さ]
第二研磨工程後の現像ローラ表面の算術平均粗さRaを、表面粗さ測定器(ミツトヨ株式会社製、SV−3000CNC)で、先端半径2μmの触針を用いて測定した。測定パラメータを以下に示す。測定は、弾性層両端部から50mmの箇所と、中央部の計3箇所で行った。算術平均粗さは、3箇所の測定値の相加平均値で示した。なお、比較例2は、第二研磨工程を施すと表面が溶融してしまったため、測定していない。
測定距離 :2.5mm
駆動速度 :0.5mm/sec
カットオフ :λc(0.8mm)、λs(0.008mm)
触針移動方向 :スラスト方向
[膨潤度測定]
弾性層の形成に使用した上記樹脂組成物を重合させて、厚さ2mmポリウレタンシートを得た。得られたポリウレタンシートから、2cm×2cmの試験片を切り出し、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)40gに24時間浸漬させた。上記式で膨潤度を算出した。
[ブリードアウト性測定]
コート層が形成されていない現像ローラに、アルミ箔を巻いたガラス基板を押し付け、55℃、55%RHに設定した恒温恒湿槽中に30日間静置した。静置後に、アルミ箔表面を観察してブリードアウト性を以下の基準で評価した。
○:アルミ箔に付着物なし
×:アルミ箔に付着物あり
[トナーフィルミング、耐摩耗性評価]
トナーカートリッジに現像ローラをセットし、−100∨のバイアス電圧を現像ローラに印加し、ポリウレタン製弾性体を備えた現像ブレードを接触させた状態で、230rpmで3時間回転させ、加速試験を行った。加速試験において、トナーは、供給ローラにより現像ローラに搬送され、現像ブレードにより膜厚を均一にされ、供給ローラにより回収されるという工程を繰り返すことで、ストレスが加えられる。
加速試験後の現像ブレード表面、及びローラ表面を目視で観察して、トナーフィルミング、及びローラ表面の耐摩耗性を以下の基準で評価した。
トナーフィルミング
○:現像ローラ、及び、現像ブレード表面にトナー固着なし。
×:現像ローラ、または、現像ブレード表面にトナー固着あり。
耐摩耗性
○:現像ローラ表面にけずれ無し。
×:現像ローラ表面にけずれあり。
各測定結果を表1に示す。なお、表1において、f3は三官能であることを、f2は二官能であることを意味する。
(まとめ)
実施例1〜3の、本発明の特定のポリオール組成物から形成されたポリウレタンエラストマーを用いた現像ローラは、低硬度であるため、トナーフィルミングが起こらなかった。また、耐摩耗性に優れているため、けずれが生じず、現像ローラ自身が長寿命であった。また、ポリウレタンエラストマー中に遊離のモノオールが少ないため、ブリードアウトも起こらなかった。さらに、耐研磨性に優れているため、負荷の大きな研磨処理を施して表面粗さを非常に小さくすることができた。
比較例1は、数平均分子量3000のポリエーテルポリオールのみから得られるポリウレタンエラストマーを用いた現像ローラである。現像ローラの硬度が硬く、トナーに加わるストレスが強いため、トナーフィルミングが生じ、現像ローラは短寿命であった。
比較例2は、二官能のポリエーテルポリオールを含むポリオール組成物から得られた、低硬度なポリウレタンエラストマーを用いた現像ローラである。比較例2で用いたポリウレタンエラストマーは、実施例1で用いたポリウレタンエラストマーと硬度は同等であったが、膨潤度が大きいため、圧縮永久歪が大きいことが予想される。また、耐研磨性に劣り、負荷の大きな研磨処理を施すと表面が溶融してしまった。さらに、耐摩耗性に劣り、ローラ表面にけずれが生じてしまい、短寿命であった。
比較例3は、実施例1のポリオールと数平均分子量は等しいが、不飽和度が大きく、モノオール含有量が多いポリオール組成物から得られたポリウレタンエラストマーを用いた現像ローラである。未反応のモノオールが残留しているためか、ブリードアウトが起きた。また、実施例1と硬度は同等であったが、耐研磨性に劣り、実施例1と比較するとRaが大きかった。さらに、耐摩耗性に劣るため、ローラ表面にけずれが生じてしまい、短寿命であった。
比較例4は、数平均分子量3000のポリエーテルポリオールを多く含むポリオール組成物から得られたポリウレタンエラストマーを用いた現像ローラである。現像ローラの硬度が高く、トナーに加わるストレスが強いため、トナーフィルミングが生じた。また負荷の大きな研磨処理を施しても、実施例1〜3ほど、表面粗さを小さくすることができなかった。
1.現像ローラ
2.シャフト
3.弾性層
4.コート層
5.端部コート層

Claims (10)

  1. 中心軸であるシャフトと、
    数平均分子量が4500〜5500であり、不飽和度が0.01meq/g以下である三官能のポリエーテルポリオールを50〜80wt%、数平均分子量が2500〜3500であり、不飽和度が0.01meq/g以下である三官能のポリエーテルポリオールを50〜20wt%含むポリオール組成物と、ポリイソシアネートとから重合されたポリウレタンエラストマーからなる、前記シャフトの外周を覆う弾性層と、
    該弾性層上に形成された少なくとも1層のコート層と、
    を有する現像ローラ。
  2. MD−1タイプA硬度計で測定した硬度が48°〜54°であることを特徴とする、請求項1に記載の現像ローラ。
  3. 前記ポリウレタンエラストマーの膨潤度が2.93〜2.96の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の現像ローラ。
  4. 表面粗さRaが0.6μm〜1.2μmであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の現像ローラ。
  5. 弾性層両端部に端部コート層を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の現像ローラ。
  6. 弾性層の軸方向の中央部における外径がその両端部から5mmの位置における外径より50〜200μm小さい逆クラウン形状であり、非磁性一成分方式の電子写真装置に用いられることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の現像ローラ。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の現像ローラを備えてなる電子写真装置。
  8. 数平均分子量が4500〜5500であり、不飽和度が0.01meq/g以下である三官能のポリエーテルポリオールを50〜80wt%、数平均分子量が2500〜3500であり、不飽和度が0.01meq/g以下である三官能のポリエーテルポリオールを50〜20wt%含むポリオール組成物と、ポリイソシアネートとから重合されたポリウレタンエラストマー。
  9. 表面粗さRaが0.6μm〜1.2μmであることを特徴とする、請求項8に記載のポリウレタンエラストマー。
  10. #60〜#200の番手の炭化ケイ素系砥粒を用いた乾式方式のプランジ研磨による第一研磨工程と、
    #800〜#1400の高番手のアルミナ系砥粒を有する研磨テープを用いた湿式方式のテープ研磨による第二研磨工程と、を有する
    数平均分子量が4500〜5500であり、不飽和度が0.01meq/g以下である三官能のポリエーテルポリオールを50〜80wt%、数平均分子量が2500〜3500であり、不飽和度が0.01meq/g以下である三官能のポリエーテルポリオールを50〜20wt%含むポリオール組成物と、ポリイソシアネートとの重付加反応により得られるポリウレタンエラストマーの研磨方法。
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