JP6170538B2 - 固くならない餅の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、時間が経過しても固くなりにくい餅の製造方法および餅に関するものである。
ネイティブジェランガムともち米を含む食品に関して特許文献1記載の発明がある。当該文献には、ネイティブジェランガムをもち米と特定割合で併用することを特徴とする、餅様の粘弾性が持続しかつ耐熱性のあるゲルが記載されている。
具体的に記載されている実施例の一つは、水68重量部に、白玉粉30重量部とネイティブジェランガム2重量部を加え均一に混練したものを成型した、直径2cmの球状の白玉である。当該白玉は、市販のゆで小豆62重量部に水32重量部を加えたもの66gとともに直径6cm、高さ2.5cmの円筒形の容器に入れて密封し、121℃で20分間レトルト殺菌した結果、レトルト殺菌処理を経ているにもかかわらず、1週間経っても溶け出したり、ふやけたりすることなく、良好な外観でまさに餅様の食感の白玉であったというものである(段落0019〜0020)。
また、他の実施例は、焼き餅である。当該焼餅は、水68重量部に、餅粉30重量部とネイティブジェランガム2重量部を加え均一に混練したものを成型し、重さ約6g、一片2cm、厚さ1cmの角餅様にして蒸し器で蒸し、さらに、この餅の表面に携帯バーナーで焦げ目を付けたものである。この焼き餅は、冷蔵庫で1週間保管しても、老化による硬化は見られず、焼きたての餅のような粘弾性のある食感が良好に保持されていたというものである。
特開平10−215801号公報
上記文献に記載された焼き餅に関する説明によれば、水と、餅粉とネイティブジェランガムを所定量混練して成型するという工程と、この工程によって得られた成形物を加熱することによって、餅のような粘弾性のある食感を維持する焼き餅を得ることができるというものである。すなわち、練ったり捏ねたりすることなく、餅粉とネイティブジェランガムを配合して加熱することによって、餅のような粘弾性のある食感を維持する「焼き餅」を作ることができるというものである。このように、練ったり捏ねたりすることなく餅のような粘弾性を維持するのは、天然高分子多糖類であるネイティブジェランガムの弾力のある柔らかいゲルを生成する性質によるものと推測される。
しかしながら、上記餅粉を固めて加熱しただけの「焼き餅」は、捏ねる工程を得ておらずアルファ化した餅粉の粒子をネイティブジェランガムによって結合させているものである。このため、餅粉の粒子が残存している感触は否めない。また、出願人の実験によると、常温下においてネイティブジェランガムを餅粉に添加した混合物を蒸餅機によって餅化しようとしたが、内容物が撹拌用の羽根に挟まってしまい温度の上昇過程において撹拌することができなかった。これは、ネイティブジェランガムが60℃〜70℃よりも低い温度でゲル化する性質を有しているため、蒸餅機内の温度が上昇する以前にゲル化したネイティブジェランガムによる影響であると推測される。
また、高温にしてネイティブジェランガムを溶融させた状態の内容物を撹拌しながら蒸餅機内で冷却した場合、再びネイティブジェランガムがゲル化して流動性がなくなり蒸餅機からの取り出しが困難になった。
本発明は上記事情に鑑み発明したものであって、本来の製法に準じて製造することによって餅本来の食感や粘弾性を有しつつ、常温下においても長時間固くならずに製造時の食感や粘弾性を維持することができる餅の製造方法および当該方法によって製造した餅の提供を課題とするものである。
上記課題を解決するために本発明は以下の構成を有することを特徴とする。
すなわち、本発明に係る餅の製造方法は、
脱アシル化ジェランガムと水を加えたもち米、もち米の粉末若しくは上新粉を蒸気によって加熱しながら混捏することによって餅状体を形成し、
前記形成した餅状体の温度が澱粉分解酵素の失活温度以下になったことを条件に当該澱粉分解酵素を添加し、
前記澱粉分解酵素の添加後に内部で結合している餅成分の結合を剪断するように撹拌したことを特徴とする。
また、本発明に係る餅の製造方法は、
脱アシル化ジェランガムの添加量が、もち米、もち米の粉末若しくは上新粉の250g重量部に対して1g〜3g重量部の割合であることを特徴とする。
また、本発明に係る餅の製造方法は、
前記澱粉分解酵素の失活温度が70℃であることを特徴とする。
また、本発明に係る餅の製造方法は、
前記澱粉分解酵素の添加から前記攪拌を開始するまでの澱粉分解酵素を作用させる時間を1時間以上設けたことを特徴とする。
また、本発明に係る餅の製造方法は、
前記澱粉分解酵素の作用を常温よりも高い温度で保温した状態で行わせることを特徴とする。
また、本発明に係る餅の製造方法は、
前記保温温度が40℃以上であることを特徴とする。
また、本発明に係る餅の製造方法は、
前記保温温度が50℃以上であることを特徴とする。
また、本発明は以下の構成を備えたことを特徴とする。
すなわち、
脱アシル化ジェランガムと水を加えたもち米、もち米の粉末若しくは上新粉を蒸気によって加熱しながら混捏することによって餅状体を形成し、
前記形成した餅状体に澱粉分解酵素を混合し、
前記澱粉分解酵素を混合した餅状体の温度が40℃以下の状態において、当該餅状体の内部で結合している餅成分の結合を剪断するように撹拌したことを特徴とする餅の製造方法。
また、本発明は以下の構成を有することを特徴とする。すなわち、
脱アシル化ジェランガムと水を加えたもち米、もち米の粉末若しくは上新粉を蒸気によって加熱しながら混捏することによって餅状体を形成し、
前記形成した餅状体の温度が約70℃以下に降下した後に澱粉分解酵素を混合し、
前記澱粉分解酵素を混合した餅状体の温度が40℃以下の状態において、当該餅状体の内部で結合している餅成分の結合を剪断するように撹拌したことを特徴とする餅の製造方法。
また、本発明は上記構成に加え以下の構成を有することを特徴とする。すなわち、
前記もち米、もち米の粉末若しくは上新粉と脱アシル化ジェランガムの重量比が250:2の割合であることを特徴とする餅の製造方法。
また、本発明は上記構成に加え以下の構成を有することを特徴とする。すなわち、
前記もち米、もち米の粉末若しくは上新粉250に対して前記澱粉分解酵素を重量比2.5の割合で混合したことを特徴とする餅の製造方法。
また、本発明は以下の構成を有することを特徴とする。すなわち、
もち米、もち米の粉末若しくは上新粉に脱アシル化ジェランガムを加えた混合物を生成し、
前記混合物に対する加水および加熱を行い、当該加熱中若しくは加熱後に行う混捏によって餅状体を生成し、
当該餅状体を約70℃程度以下の温度に冷却した後に前記澱粉分解酵素を混合して混ぜ合わせ、
前記澱粉分解酵素を混合した餅状体を40℃以下まで冷却した後に、撹拌子によって当該餅状体の内部で結合している餅成分の結合を剪断するように撹拌したことを特徴とする餅の製造方法。
また、本発明は上記構成に加え以下の構成を有することを特徴とする。すなわち、
前記もち米、もち米の粉末若しくは上新粉と脱アシル化ジェランガムの重量比が250:2の割合であることを特徴とする餅の製造方法。
また、本発明は上記構成に加え以下の構成を有することを特徴とする。すなわち、
前記もち米、もち米の粉末若しくは上新粉250に対して前記澱粉分解酵素を重量比2.5の割合で混合したことを特徴とする餅の製造方法。
また、本発明は以下の構成を有することを特徴とする。すなわち、
脱アシル化ジェランガムと水を加えたもち米の粉末若しくは上新粉を、蒸気によって加熱しながら混捏することによって餅状体を形成し、
前記形成した餅状体の温度が約70℃以下に降下した後に澱粉分解酵素を混合し、
前記澱粉分解酵素を混合した餅状体の温度が40℃以下の状態において、当該餅状体の内部で結合している餅成分の結合を剪断するように撹拌したことを特徴とする餅。
本発明に係る餅の製造方法によれば、焼いたり、蒸したりする手間をかけずにいつでも作りたてのもちを食することができるように、1ヶ月以上放置しても製造時の柔らかさを維持することができる硬化しにくい餅の製造方法を提供できるという効果を有している。
また、当該製造方法によって、1ヶ月以上放置しても硬化しにくい餅および当該餅を使用した菓子その他の食品を提供することができるという効果を有している。脱アシル化ジェランガムのゲル化温度は30℃〜40℃であり、生成した餅等をそのまま冷却すると羊羹のような塊になってしまう。本発明では、脱アシル化ジェランガムがゲル化する温度において餅成分の結合を剪断するような撹拌を行うことにより、上記のような1ヶ月以上放置しても製造時の柔らかさを維持するという効果を有している。
製造工程を表したフローチャートである。 製造工程を表した工程図である。 製造工程の他の例を表した工程図である。 図3に示した製造工程における第1の実験結果を表したグラフである。 図3に示した製造工程における第2の実験結果を表したグラフである。 図3に示した製造工程における第3の実験結果を表したグラフである。
以下、本発明の一実施の形態に係る餅の製造方法について説明する。なお、以下に行う説明は、餅の製造製法として量産に適した最も適切な方法を示すものであるが、製造方法に含まれる工程のうち、他の代替的方法によって実現可能な工程もある。この場合には、本発明の要旨を備えている限り本発明の技術的範囲に属するものである。本発明によって製造された「餅」には、その最終形態として板状の餅、のし餅、丸餅、串差しした団子等の各種の形態があるが、最終形態に限らず本発明に係る方法で製造した餅および当該餅を利用した菓子その他の食品は全て本発明の技術的範囲に属するものである。また、本実施例ではもち米を用いた例を説明するが、他の原料若しくはもち米に他の原料を若干混合したものであっても、本発明を適用することにより本発明と同様に製造後の柔らかさを維持することができるものもある。このような発明も、本発明の技術的範囲に属するものである。
以下、製造工程を表すフローチャートを表した図1、工程図を表した図2を用いて本発明の内容を説明する。
本発明の最も適切な例では、第I工程として、主原料としてもち米を挽いて粉にした米粉250グラム(乾燥重量)、食品添加物である脱アシルジェランガム2グラム、約300グラムの水を混合したものを用意する(ステップS1、S2)。以下、当該第I工程において混合したものを原料というが、当然ながら当該原料に含まれる各要素の分量は、最終的に得る餅の量に応じて比例的に増減する。なお、米粉として、もち米を水とともに挽いて細かくした所謂水挽き粉を用いても良い。これらの米粉を用いるのは、蒸練機(蒸餅機ともいう)の使用に適しているからである。蒸練機とは、加工容器内部で稼働する攪拌羽根によって粉を攪拌しながら蒸気を導入することにより米の粉を糊化させていく機械であり、餅作り用の業務用装置として一般的に使用されているものである。
主原料のもち米は特に説明を要するものではないが、澱粉分子として含まれるアミロペクチンが多いことを特徴とするものである。ジェランガムには、ネイティブジェランガムと脱アシルジェランガムの2種類が存在する。両者とも食品添加物として使用される植物性の高分子多糖類である点で共通するが両者の性質は大きく異なるものである。なお、主原料としてのもち米の性質を損なわない程度に他の原料を混合する場合もある。ネイティブジェランガムの一般的性質はゲル特性として「弾力のある柔らかいゲル」を構成し、80℃以上の水に溶解し、ゲル化温度が60〜70℃であり、ゲル溶融温度が70〜80℃である。一方、脱アシルジェランガムの一般的性質は、ゲル特性が「硬くしっかりとしたゲル」を構成し、90℃以上の水に溶解し、ゲル化温度30〜40℃であり、ゲル溶融温度が100℃以上である。本発明は後者の脱アシルジェランガムを使用するものであり、本発明における重要な要素となるものである。
前記の分量で混合した原材料を常温(日本工業規格で定められている20℃±15℃)で一定時間放置して含水させた後、第II工程として前述した蒸練機によって加熱と撹拌を開始する(ステップS3)。この工程では、加工容器内の原料が水蒸気によって加熱され、一定時間加工容器内の温度を約100℃に維持しつつ撹拌を行う。なお、加圧を伴う蒸練機を用いる場合には、加熱時の最高温度は100℃よりもやや高温になる。この加熱工程によってもち米が糊化して、纏まりのある餅が形成される。また、この工程によって添加されている脱アシルジェランガムが溶解し、糊化した餅成分の中に均一に混ざり合う。なお、この第II工程は、蒸籠を用いて原料を蒸す工程を第I工程とし、当該工程によって蒸された原料を捏ねる、練る、あるいはつくといった一般的な餅の製造方法によって代替してもよい。
脱アシルジェランガムを加えない従来一般的な餅の製造方法の場合には、前記第II工程と同様の加熱及び混捏(混ぜ合わせながら捏ねる若しくは練ること)の後に冷却すると餅の製造が完了する。本発明の場合には、前記第II工程の後に、第III工程として餅化(糊化)した原料を70℃まで冷却する(ステップS4)。この原料の冷却は、常温空間で放置することによる自然冷却若しくは別途設けた冷却手段により行われる。
前記第III工程の後、第IV工程としてさらに冷却を続行し原料を40℃以下まで冷却する。この第IV工程では、温度降下の最中若しくは降下後に澱粉分解酵素を2.5g投入するとともに(ステップS5)原料を攪拌する。投入する澱粉分解酵素の一例はアミラーゼであり、アミロースやアミロペクチンを単糖類であるブドウ糖等に変換する作用を有している。
前記第IV工程において常温まで温度が降下していなければ、原料を常温まで冷却(ステップS6)した後に次の第V工程に移行する。また、前記第IV工程において常温領域で澱粉分解酵素を投入した場合には、当該投入後の撹拌が第V工程になる。
この第V工程は、すでに餅の状態になっている原料を常温下において撹拌するものであるが、この撹拌には一定の条件を備えた撹拌子を使用する(ステップS7)。具体的には、互いに結合している餅の微細成分を個々に分離するように、餅の剪断(餅成分の結合を断ち切る)動作を行えるような形状の撹拌子を用いる。撹拌子の形状は種々のものがあり、細い棒を鉤状に曲げたものやナイフのような板状の切り刃状のもの等、回転によって餅状体の切断を繰り返すような機能を有していればよい。もちろん、餅の剪断動作を行えるようなものであれば、回転しないものであってもよい。
上記のような剪断動作(餅状する切断する動作)を繰り返すことによって、外観上は一定の塊として形状を維持する餅でありながら、微細なレベルでは個々に独立した餅成分が存在しているような状態を作ることができる(ステップS8)。
前記第V工程において餅の剪断を繰り返すと、前述のように独立した微細な餅成分同士が結合したような状態をつくることができるが、この際、常温下でゲル状の性質を有する脱アシルジェランガムが微細な餅成分の間に侵入する。すなわち、脱アシルジェランガムが分離した餅成分の間に侵入若しくは取り囲むように分散して存在することになり、この作用によって時間の経過とともに進行する餅の硬化を防止できるようになる。
上記のような、時間の経過とともに進行する餅の硬化を防止する原理の詳細については必ずしも解明されていないが、上記工程の製造方法により餅の硬化を防止することができる。なお、推測される原理としては、脱アシルジェランガムの水和性(水を保持する性質)によって餅成分の脱水を防止し硬化を防止することが考えられている。
本発明に用いる脱アシルジェランガムは、液体をゲル化する性質を有する増粘多糖類であるが、餅のようなすでにゲル化しているものに混入するような使い方は用途として一般的ではなく発明者が知る限り存在しなかった手法である。本発明は、このようにゲル化した食品に対してさらに増粘多糖類である脱アシルジェランガムと澱粉分解酵素を加え、かつ適切な物理的工程を付加することによって、従来にない長時間(出願人の検証によれば1ヶ月以上)ゲル状態を維持できる餅を形成することができたものである。
次に、本発明に係る固くならない餅の製造方法に関する他の例を説明する。当該例は、実質的に上記の製造方法と異なるものではないが、各製造工程の最適化の観点から種々実験を行い、現時点で最良と考えられる条件を求めたものである。以下、試験(実験)の内容および結果の説明および、実験結果によって導かれた最適条件を説明する。
<試験条件>
試験機:ステーブルマイクロシステムズ社製テクスチャーアナライザー(荷重試験機)
押圧プローブ形状:直径2mmの円柱、接触面は円形の平坦面
試料片の形状:縦×横×高(厚さ)=20mm×20mm×10mm
試験時試料片の温度:10℃
測定値:試料の高さが50%まで侵入した時の荷重(g)
試料原料:もち粉250g、水180g
添加物(第IV工程にて添加):澱粉分解酵素(アミラーゼ)2.5g
製造後保存温度(第VI工程):5℃
測定タイミング:製造後3日目、7日目、15日目、30日目
上記の試験条件において、次に説明する3種類の実験によって得られた餅の硬さを計測した。資料の製造工程は、以下に示す実験(第1実験、第2実験、第3実験)を含めて図3に示した工程に沿って行われたものである。
第I工程は原料の混合と混合した原材料を常温(日本工業規格で定められている20℃±15℃)で一定時間放置して含水させる工程である。
第II工程は蒸練機を用いた餅化(糊化)工程である。この工程では、加工容器内の原料を水蒸気によって加熱し、一定時間加工容器内の温度を約100℃に維持しつつ混捏を行うものである。
第III工程は餅化した原料を澱粉分解酵素の添加が可能になる70℃まで冷却する工程である。この冷却温度は、一定温度以上になると作用が失われる(失活)する澱粉分解酵素の臨界温度を超えない温度に合わせて設定される。なお、失活温度が異なる澱粉分解酵素を添加する場合には、その性質に応じて温度を変動させることになる。
第IV工程は餅化した原料を保温しつつ常温よりも高い温度である50℃まで冷却する工程である。当該工程は、澱粉分解酵素を作用させる工程でもあり、本実験では50℃以上を維持するようにしている。しかしながら、前述した実施例では同様の工程を脱アシル化ジェランガムのゲル化温度以上である30℃〜40℃以上に設定して行った工程であり、当該実験において第IV工程を30℃〜40℃以上で行ったとしても、近似した結果が得られる可能性が高いものである。
第V工程は、前工程後後に常温まで冷却と第3実験を除き攪拌を行う工程である。
第VI工程は、第V工程終了による餅の製造完成後における餅の保存工程である。
以上の各工程は、以下に説明する各実験においても共通の工程である。
(1)第1実験
第1パラメータ:脱アシル化ジェランガムの添加量 3 g(一定)
第2パラメータ:第IV工程所要時間(時間) (1)0、(2)0.5、(3)1、(4)3
第3パラメータ:第V工程での撹拌 有り
(2)第2実験
第1パラメータ:脱アシル化ジェランガムの添加量
(1)0 g、(2)1 g、(3)3 g、(4)5 g、(5)7 g
第2パラメータ:第IV工程所要時間 3時間(一定)
第3パラメータ:第V工程での撹拌 有り
(3)第3実験
第1パラメータ:脱アシル化ジェランガムの添加量 3 g(一定)
第2パラメータ:第IV工程所要時間 3時間(一定)
第3パラメータ:第V工程での撹拌 (1)有、(2)無
第1実験は、原料の加熱と混捏による餅化後、失活しない温度に降下したところで澱粉分解酵素を加え、澱粉分解酵素が失活する温度未満の比較的高温の状態を維持しつつ澱粉分解酵素の作用時間を変動させた場合に、製造後の経過時間に応じて硬さがどのように変化するのかを調べたものである。
第1実験の結果は、以下の表1に示す通りである。また、これをグラフ化したものが図4である。
上記表1および図4に示す通り、澱粉分解酵素の作用時間が、製造後所定日数を経過した後の餅の硬さに影響を与えることが分かる。すなわち、経過日数に応じて柔らかくなる餅を作るのであれば澱粉分解酵素の作用時間を短くし、製造後から所定日数経過後まで比較的柔らかい状態の餅を作るのであれば澱粉分解酵素の作用時間を長くするということである。
本実施例では、一つの目的として、製造後の硬さが1ヶ月程度経過してもあまり変化せず、1ヶ月程度経過した後においても加熱などの調理の必要が無く食することができる餅の提供を目的の一つとしている。これは、非常食などに使用する保存食として有効な食品を提供することにもつながるものである。
上記した調理の必要無く食することができるための硬さは、目安として200g以下である。また、100g以下になると軟らかすぎるので、100g以上であることが好ましい。本実施例では、120gを中心として±20gの範囲になるように各種パラメータの選定を行った。なお、この硬さは個人の好みが影響する食感に基づくものであるので、必ずしも厳密な臨界値を規定する荷重量ではない。
上記のように、1ヶ月程度経過した後においても加熱などの調理の必要が無く食することができる餅の提供という観点から考えると、澱粉分解酵素の作用時間は1時間以上が理想であり、好ましくは3時間以上必要であるということが分かった。
第2実験は、第I工程の原料混合時に添加する脱アシル化ジェランガムの添加量を変化させた場合の実験である。第2実験の結果は、以下の表2に示す通りである。また、これをグラフ化したものが図5である。
前述した製造後の硬さが1ヶ月間に亘り120g±20gの条件を満たす脱アシル化ジェランガムの添加量は1〜3gである。実験の都合上、2グラム間隔で増量した場合について行ったものであるので、この中間値については不明であるが、概ね1〜3g±0.5gの範囲である場合には、概ね満足できる硬さの餅が取得できるものと推測できる。
第3実験は、澱粉分解酵素を作用させた第IV工程後の第V工程において、餅の撹拌を行うか否かの場合に関する実験である。第3実験の結果は、以下の表3に示す通りである。また、これをグラフ化したものが図6である。
前述した製造後の硬さが1ヶ月間に亘り120g±20gの条件を満たす条件は、澱粉分解酵素を作用させた後に餅の撹拌を行った場合であることが判明した。
以上3通りの実験の結果を総合すると、餅形成後に行う澱粉分解酵素の作用時間は1時間以上が理想であり、好ましくは3時間以上必要であること。脱アシル化ジェランガムの添加量が1〜3gの範囲であること。澱粉分解酵素を作用させた後に撹拌を行うこと。以上の条件を揃えることが望ましいということが判明した。
本発明は、上記の実験によって明らかなように、製造後から一定期間に亘って柔らかさを維持することができる餅を提供できるものである。その条件として重要なものは、原料に脱アシル化ジェランガムを添加して餅を形成すること。そして、この餅の形成後に澱粉分解酵素を失活しない状態で添加して一定時間分解作用を促進させること。さらに、澱粉分解酵素を作用させた後に撹拌を行うことである。従って、当該条件の下で行われる餅の製造方法は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で本発明の技術的範囲に属するものであり、本発明が有するものと異なる作用効果をもたらす他の添加物や工程を加えたとしても変わることはない。また、当該実験によって明らかになった条件に変えて、前述した実施例の製造条件を採用したとしても、実質的に同一の効果が得られる可能性が高いものであるから、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で前述した実施例の条件を採用することも、本発明の技術的範囲に属するものである。
また、実施例で示した製造工程を時間的に分断した場合であっても、各工程によって実現される作用効果が実質的に失われないものであれば、本発明に係る製造方法と同一であると見做されることは言うまでも無い。
本発明は、上述の通り製造後および製造後から一定の期間に亘り軟らかさを維持できる餅の提供を目的とした製造方法に係る発明であるが、当該製造方法によって製造された餅も本発明の技術的範囲に属するものである。また、当該餅を加工した団子等の二次食品についても同様に本発明の技術的範囲に属するものである。
本発明は、長時間放置しても固くなりにくい餅、当該餅を利用した菓子や食品の製造に利用可能である。
1 温度線図


Claims (4)

  1. ネイティブジェランガムよりもゲル溶融温度が高くゲル化温度が低い脱アシル化ジェランガムと水を加えたもち米、もち米の粉末若しくは上新粉を蒸気によって加熱しながら混捏することによって餅状体を形成し、
    前記形成した餅状体の温度が澱粉分解酵素の失活温度である70℃以下になったことを条件に当該澱粉分解酵素を添加し、
    前記澱粉分解酵素の作用を1時間以上常温よりも高い温度に保温した状態で行わせ、
    前記保温を停止した後、常温に於いて前記澱粉分解酵素の添加後に内部で結合している餅成分の結合を剪断するように撹拌したことを特徴とする餅の製造方法。
  2. 前記脱アシル化ジェランガムの添加量が、もち米、もち米の粉末若しくは上新粉の250g重量部に対して1g〜3g重量部の割合であることを特徴とする請求項1記載の餅の製造方法。
  3. 前記保温温度が40℃以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の餅の製造方法。
  4. 前記保温温度が50℃以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の餅の製造方法。
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