JP6168726B2 - 光学フィルタ - Google Patents
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Description
特許文献1の光学フィルタでは、エレクトロフォーミングによって格子を形成する桟部を形成している。また、桟部の形成方法としては、金属板の打ち抜き加工やエッチングなど金属加工技術が用いられている。
図1は、本発明に係る光学フィルタを用いる検査装置を示すブロック図である。
図1に示す検査装置は、約0.3〜10THz(波長1mm〜30μm)のテラヘルツ波を応用して、郵便物中の危険物検査や、空港などのゲートにおける危険物検査や、プラスチック製品の内部欠陥検査などを行う、非破壊検査装置である。
また、検査対象物が自然照射するテラヘルツ波を検出して、分光測定や分光イメージングを行う、所謂パッシブ型の検査装置とすることができる。
図1において、検査装置1は、金属メッシュフィルタである光学フィルタ2、超伝導トンネル接合(Superconducting Tunnel Junction:STJ)を用いる光センサ3、薬物などの判別対象物が有する、テラヘルツ周波数帯における固有スペクトルを予め記憶するデータベース4、光センサ3の出力及びデータベース4に記憶されている固有スペクトルに基づいて物質判別を行う判定部5、判定部5における判定結果(例えば、抽出物質の二次元分布など)を表示する液晶表示パネルなどからなる表示部6を備えている。
光センサ3は、一例として、光吸収体と一体化されたSTJ素子を用い、光吸収体で光のエネルギーをフォノンに変換し、変換されたフォノンによって超伝導体内の電子を励起することによって光を検出するセンサである。
ここで、テラヘルツ光の検光に用いる光学フィルタ2は、所謂金属メッシュフィルタ(ワイヤーグリッド)であって、縦桟部の幅を例えば20μm以下として、テラヘルツ帯に適用可能とした構造のものである。
図2に示す光学フィルタ2は、本体部8と、本体部8を支持する支持部9とで構成される。
本体部8は、樹脂板81と、樹脂板81上に設けられる桟部(金属メッシュ部)82とから構成される。
桟部82は、アルミニウムや無酸素銅などの金属材料によって形成された複数の細線を、縦方向及び横方向それぞれにおいて1本ずつ一定間隔で平行に並べたものであり、これにより、上下左右に複数の開孔が並ぶ金属製メッシュが構成される。
即ち、縦桟部82aが、図2における上下方向に延びる細線を、1本ずつ一定間隔で平行に並べたものであり、横桟部82bは、図2における左右方向に延びる細線を、1本ずつ一定間隔で平行に並べたものである。そして、樹脂板81を貫通する方向において、図3に示すように、縦桟部82aの細線と横桟部82bの細線とが直交して、縦横に複数の開孔82cが並ぶ金属メッシュ(格子)が形成される。
金属メッシュ構造を有する桟部82は、開孔82cにおける導波管としてのカットオフ特性によって、テラヘルツ周波数帯(遠赤外光を含む)において、バンドパスフィルタ(或いはローパスフィルタ)として機能する。
まず、図4(A)に示すように、樹脂板81の片面に、アルミニウムや無酸素銅などの金属材料を蒸着して、金属薄膜82dを形成する。
同様にして、樹脂板81の他面についても、金属蒸着及び溝状の切削加工を施すが、溝の延びる方向が、樹脂板81の一方面と他方面とでは相互に直交する方向となるようにして、一方面に縦桟部82aを形成し、他方面に横桟部82bを形成する。
図4(B)における切削工程において、ヘールバイト101の先端形状を、切削する溝の形状(幅)に合わせてあり、図4の紙面を貫通する方向にヘールバイト101を動かすことで、図4(C)に示すように、金属薄膜82dに対して相互に平行な複数の溝82eを形成し、切削されなかった部分が桟部82として残るようにする。
尚、ヘール加工においては、非回転工具(ヘールバイト)に振動(ねじり振動)を与えながら切削させる超音波振動切削法を採用することで、より面粗度を低減でき、また、切削速度や切屑排出性の向上を図ることができる。
金属メッシュを作製する加工方法としては、打ち抜き加工やエッチングなどの金属加工があるが、このような金属加工では、テラヘルツ周波数帯に適合する寸法に仕上げることが困難である。一方、エレクトロフォーミングなどを用いてメッシュに加工すれば、テラヘルツ周波数帯に適合する寸法に仕上げることができるが、加工コストが高く、光学フィルタが高価になってしまう。
更に、図2に示した光学フィルタ2では、樹脂板81の一方面に縦桟部82a、他方面に横桟部82bを備え、縦桟部82a,横桟部82bをヘール加工によって作製するに当たっては、ヘールバイトを直線的に動かし、一様な幅の溝を形成すればよいので、加工が簡易で、加工効率を上げることができ、これによっても、光学フィルタのコスト低減に寄与できる。
図5に示す光学フィルタ2は、本体部8と、本体部8を支持する支持部9とで構成され、本体部8は、樹脂板81と、樹脂板81の一方面に設けられる桟部(金属メッシュ部)82とから構成される。
図5に示す光学フィルタ2においても、桟部82は、ヘール加工によって作製される。
即ち、樹脂板81の一方面に、アルミニウムや無酸素銅などの金属材料を蒸着して、金属薄膜を形成する。
これにより、図5の光学フィルタ2では、縦桟部82a及び横桟部82bは相互に連続して、一体的に設けられることになる。
図5の光学フィルタ2でも、ヘール加工により切削加工して金属メッシュに仕上げることで、テラヘルツ周波数帯に適合する寸法の光学フィルタを安価に作製できる。但し、図5の光学フィルタ2は、開孔をヘール加工で削り出すので、ヘール加工によって溝を削り出す図2の光学フィルタ2の方が、切削加工としてはより容易である。
例えば、ブラックポリエチレン(BPE)などを樹脂板81の材料として用いることで、樹脂板81が赤外光(遠赤外光)を吸収する機能を持たせることができる。
樹脂板81の材料が、赤外光(遠赤外光)の吸収性を有する樹脂材料で形成されていれば、樹脂板81が赤外光(遠赤外光)のカットフィルタ(遠赤外ローパスフィルタ)としても機能し、別途設けていた赤外光のカットフィルタを省略することができる。これにより、検査装置のコストを低減できる。
図6に示す光学フィルタ2は、アルミニウムや無酸素銅などの金属材料で形成された金属板に、ヘール加工によって縦横に複数並ぶ開孔を形成することで、縦桟部82a及び横桟部82bを一体的に備えた桟部(金属メッシュ部)82を形成し、係る桟部(金属メッシュ部)82を、支持部9に直接取り付けてある。
例えば、図7に示すように、樹脂板81のテラヘルツ光の入射側の面を、中央部が厚く周辺ほど薄い凸状に形成して、角度を持って入射するテラヘルツ光に対しても同等のフィルタ特性が得られるようにすることができる。
また、樹脂板81の凸状に形成される一方面には、図5に示した例と同様に、樹脂板81に対する金属蒸着及びヘール加工の工程によって、縦桟部82a及び横桟部82bからなる桟部82を設けてある。
尚、樹脂板81の入射側を凸形状とする構造において、図8に示すように、樹脂板81の入射側(凸形状側)又は出射側(平らな面側)に縦桟部82aを形成し、他方に横桟部82bを形成させることができ、係る構造の桟部82の作製工程は、図2に示した光学フィルタ2における工程を適用できる。
また、樹脂板81の入射側を凸形状とする構造において、樹脂板81の両面に、縦桟部82a及び横桟部82bからなる桟部82を設けることができる。
図9に示す光学フィルタ2は、樹脂板81の入射側及び出射側を共に、中央部が厚く周辺ほど薄い凸状に形成し、一方面に縦桟部82aを形成し、他方面に横桟部82bを形成させたものである。この図9に示す光学フィルタ2における桟部82の作製工程は、図2に示した光学フィルタ2における桟部82の作製工程、即ち、樹脂板81の両面に対する金属蒸着及びヘール加工による溝切削を適用できる。
尚、図9に示した光学フィルタ2では、テラヘルツ光の入射側が限定されず、入射方向を、図9(B)の左側から右側に向かう方向とすることができると共に、図9(B)の右側から左側に向かう方向とすることができる。
図10に示す光学フィルタ2においては、入射方向を、図10(B)の左側から右側に向かう方向とすることが好ましい。
また、樹脂板81の一方面又は両面を、凸状面とする光学フィルタ2において、樹脂板81の材料として、赤外光(遠赤外光)の吸収性を有する樹脂材料を用いることができる。
そこで、図11に示すように、桟部(縦桟部82a及び/又は横桟部82b)の間隔(換言すれば、溝幅)が、入射側から出射側に向けて徐々に狭まるように、換言すれば、桟部82の横断面が、入射側から出射側に向けて幅が広がる台形となるように、ヘール加工による切削を行わせることができる。係る加工断面がテーパ状に角度を有するヘール加工は、図2、図5、図6〜図10のいずれの光学フィルタ2における桟部82の作製においても適用できる。
尚、以上では、テラヘルツ光の検光に用いる光学フィルタについて説明したが、本願発明に係る光学フィルタは、可視光や放射線などの検光に用いる光学フィルタとして構成することもできる。
Claims (8)
- 基板上に金属製の桟部が格子状に配列されバンドパスフィルタとして機能する光学フィルタであって、前記基板の入射側の面を中央部が厚く周辺ほど薄い凸状に形成した、光学フィルタ。
- 前記基板の少なくとも入射側の面に前記桟部を備える、請求項1記載の光学フィルタ。
- 前記基板の入射側である一方面を中央部が厚く周辺ほど薄い凸状に形成し、前記基板の出射側である他方面を中央部が厚く周辺ほど薄い凸状又は平面に形成した、請求項2記載の光学フィルタ。
- 前記基板の一方面に縦桟部を備え、前記基板の他方面に前記縦桟部に交差する方向に延びる横桟部を備え、前記縦桟部及び横桟部が格子状に配列される、請求項2又は3記載の光学フィルタ。
- 前記基板が、赤外光の吸収性を有する樹脂材料からなる、請求項2〜4のいずれか1つに記載の光学フィルタ。
- 前記入射側の面に備えた前記桟部の間隔が、入射側から出射側に向けて徐々に狭まる、請求項2〜5のいずれか1つに記載の光学フィルタ。
- テラヘルツ周波数帯を通過周波数域とするバンドパスフィルタである、請求項1〜6のいずれか1つに記載の光学フィルタ。
- 前記光学フィルタは、テラヘルツ光源から検査対象物に照射されたテラヘルツ光の反射光又は透過光を一方面から入射し、他方面から光学センサに向けて出射する、請求項7記載の光学フィルタ。
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