JP2004029153A - 光学素子及び光学素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】短時間かつ低コストで作製することができる光学素子及び光学素子の製造方法を提供する。
【解決手段】アルミニウム等の金属を含有し、マイクロ波(3×108 Hz〜3×1012Hz)又は赤外線(3×1011 Hz〜4×1014Hz)領域の電磁波を反射するインクを用いて、電磁波を透過させる紙等の基体12に、熱転写プリンタ,インクジェットプリンタ,昇華型プリンタ,レーザプリンタ,ドットプリンタ等のプリンタで反射部14を印刷し、電磁波を透過する透過部と電磁波を反射する反射部とが周期的に形成された光学素子10を製造する。
【選択図】 図1
【解決手段】アルミニウム等の金属を含有し、マイクロ波(3×108 Hz〜3×1012Hz)又は赤外線(3×1011 Hz〜4×1014Hz)領域の電磁波を反射するインクを用いて、電磁波を透過させる紙等の基体12に、熱転写プリンタ,インクジェットプリンタ,昇華型プリンタ,レーザプリンタ,ドットプリンタ等のプリンタで反射部14を印刷し、電磁波を透過する透過部と電磁波を反射する反射部とが周期的に形成された光学素子10を製造する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁波を透過させる基体に電磁波を反射する反射部が形成された光学素子及び光学素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光学素子の1つに、所定形状の単位構造を周期的に配列した光学素子がある。このような光学素子に電磁波を入射した場合の透過又は反射等の特性は、単位構造の形状,大きさ,配列周期,配列形態等に応じて変化する。代表的なものとして、金属が分布するライン状(直線状)の単位構造を周期的に配列したグリッド型光学素子がある。また、金属が分布していない円形状、三角形状又は四角形状等の単位構造を、金属板または金属が分布する誘電体基板上に周期的に配列したメッシュ型光学素子がある。
【0003】
グリッド型光学素子は、ライン状の1次元周期配列を有し、ラインに垂直な方向に振動する電場をもつ電磁波が入射された場合は高効率で透過し、ラインに平行な方向に振動する電場をもつ電磁波が入射された場合は高効率で反射する。そして、ラインに平行な方向に振動する電場をもつ電磁波を入射した場合の透過波形は、入射波形の電場の時間微分波形と一致することが知られている。グリッド型光学素子は、偏光子、ビームスプリッタ、フォトカプラ、特定の偏光成分をもつ電磁波に対する可変減衰器または可変反射器、位相差板、時間微分器等として使用することが可能である。
【0004】
メッシュ型光学素子は、円形状、三角形状又は四角形状等の2次元周期配列を有し、偏光子、バンドパスフィルタ、ビームスプリッタ、位相差板、時間微分器等として使用することが可能である。メッシュ型光学素子は、十字状の2次元周期配列を有する光学素子も含む。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
グリッド型光学素子のラインのピッチは、入射波の波長よりも短くする必要があるが、入射波の波長が長い場合、例えばミリ波〜遠赤外線領域においては、金属性のワイヤーを基枠内に張る等の機械加工を行う。また、メッシュ型光学素子の場合は、ドリル又は放電加工により、金属板又は金属が分布している基板を加工し、金属が分布していない単位構造体を形成する。
【0006】
このような機械加工を行う場合、0.01〜1mm程度のピッチで金属線ワイヤーを張る場合もあるため、製造に高度な機械加工技術が必要になり、コストが高くなると共に、需要者毎のオーダーに対する生産性も低くなる。また、衝撃等に弱く、慎重に取扱う必要がある。
【0007】
また、入射波の波長が短い場合、例えば赤外〜可視光領域においては、スパッタリング、メッキ、蒸着等の方法、またはこれらの中から複数の方法を組合せて、基板上に周期的な単位構造を形成する。
【0008】
スパッタリング等の微細加工を行う場合、煩雑な作業を行うために、コストが高くなると共に、需要者毎のオーダーに対する生産性も低くなる。このように、機械加工及び微細加工の何れの場合でもコストが高く生産性が低いため、需要者の利便性も低く、必要な光学素子を複数種類用意することは、コスト的及び時間的に困難である。
【0009】
しかし、上述した所定形状の単位構造を周期的に配列した光学素子においては、光学的な特性を重視する場合が多く、低コスト化、大量生産化、オーダーに対するカスタマイズ化、生産時間の短縮化、軽量化、柔軟性の向上等が考慮されることは少ない。
【0010】
また、光学素子を用いる代わりに、電気回路を用いて、光学的な演算を行う場合もある。しかし、数十GHz以上の高周波数の場合は、電気回路による処理が困難になり、高周波数に対応できる高性能な素子等が必要になる。電気回路を用いた場合も、高性能で高価な素子等が必要になるため、必要な素子を複数種類用意することは、コスト的に困難であると共に、回路の処理能力に限界があるため、必要な素子を用意できない場合もある。
【0011】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、短時間かつ低コストで作製することができる光学素子及び光学素子の製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、印刷によって、透過率の高い基体に反射率の高い反射部を形成することができる光学素子を提供することを他の目的とする。
【0013】
また、本発明は、従来よりも軽量及び小型な光学素子を提供することを他の目的とする。
【0014】
また、本発明は、電気回路による処理が困難な高周波数に対応できる光学素子を提供することを他の目的とする。
【0015】
また、本発明は、複数種類の反射部の特性が合成されたような特性を有する光学素子を提供することを他の目的とする。
【0016】
また、本発明は、短時間で多数の光学素子を作製することができる光学素子の製造方法を提供することを他の目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光学素子は、電磁波を透過させる基体に、電磁波を反射する反射部が形成された光学素子において、反射部は、電磁波を反射するインクで基体に印刷されていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る光学素子は、前記インクは金属を含有することを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る光学素子は、電磁波を透過させるシートに、電磁波を反射する反射部が形成されていることを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る光学素子は、前記シートは紙であることを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る光学素子は、前記電磁波は、マイクロ波又は赤外線であり、前記反射部は、電磁波の波長に応じた寸法に形成されていることを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係る光学素子は、複数種類の反射部が形成されていることを特徴とする。
【0023】
また、本発明に係る光学素子の製造方法は、電磁波を透過させる基体に、電磁波を反射する反射部が形成された光学素子の製造方法において、電磁波を反射するインクで基体に反射部を印刷することを特徴とする。
【0024】
また、本発明に係る光学素子の製造方法は、前記基体に複数組の反射部を印刷し、印刷した反射部の組別に基体を分割することを特徴とする。
【0025】
本発明に係る光学素子及び光学素子の製造方法においては、電磁波を透過させる基体に、電磁波を反射するインクで反射部を印刷しているため、プリンタ又は印刷版等を用いて短時間かつ低コストで光学素子を作製することが可能になる。また、印刷により、従来よりも大型の光学素子を作製することが可能になる。印刷は、凸版,スタンプ等の印刷版を用いて行ったり、電気的,電子的,光学的方式によって印刷を行うプリンタを用いることが可能である。例えば、コンピュータで反射部のパターンデータを作成し、作成したパターンデータをプリンタで紙(基体)に印刷することが可能である。
【0026】
また、本発明に係る光学素子においては、インクに金属を含有させることにより、インクで印刷された部分の反射率は高反射率となる。透過率の高い紙等の基体に、反射率の高いインクで反射部を印刷して、光学素子を作製することが可能になる。インクは、印刷用のインクであり、液体に限らず、固体状のものも含む。
【0027】
また、本発明に係る光学素子においては、電磁波を透過する紙等のシートに、電磁波を反射する反射部を形成しているため、プリンタ又は印刷版等を用いた印刷によって、シートに反射体を形成することが可能である。紙等のシートに反射部を形成しているため、軽量化及び薄型化が可能になる。また、基体の柔軟性が向上し、曲げたり、折ったりすることも可能になる。
【0028】
また、本発明に係る光学素子においては、反射部は、マイクロ波又は赤外線の波長に応じた寸法に形成されているため、マイクロ波又は赤外線等の電気回路による処理が困難な高周波数の電磁波に対して、本発明の光学素子を使用することができる。例えばライン状の反射部を配置する場合のピッチは、波長以下、好ましくは波長の1/2以下、より好ましくは波長の1/8以下にする。前記の波長以下は、理論上、光学素子として機能する範囲であり、前記の波長の1/2以下は、代表的な理論値と実験結果とが一致し、偏光子等として使用可能な範囲であり、前記の波長の1/8以下は、各種特性に波長依存性が無く、効率が一定で、偏光子等として問題無く使用できる範囲である。
【0029】
また、本発明に係る光学素子においては、基体に複数種類の反射部を形成することにより、各種類の反射部の特性が合成されたような特性を備える。例えば、電磁波を各種類の反射部に照射し、各反射部を透過した電磁波を互いに干渉させることが可能である。
【0030】
また、本発明に係る光学素子の製造方法においては、基体に複数組の反射部を印刷し、印刷した反射部の組毎に基体を分割することにより、1度の印刷で多数の光学素子を作製することができる。基体には、同一種類の反射部を複数形成したり、異なる種類の反射部を複数形成することが可能である。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
本説明においては、マイクロ波(3×108 Hz〜3×1012Hz)又は赤外線(3×1011 Hz〜4×1014Hz)を対象とする光学素子を例にして説明する。
【0032】
図1に本発明に係る光学素子の例を示す。光学素子10は、電磁波が透過する基体12に、電磁波を反射するライン14が周期的に形成されている。ただし、周期的とは、ライン幅w又はラインのピッチdが一定である場合だけでなく、ライン幅w又はラインのピッチdが多少変動している場合も含む。
【0033】
基体12は、光学素子10に入射する電磁波に対して透過率の高いものを使用する。透過率は空気と同様であることが好ましい。透過率は、95%以上が好ましいが、70%程度あればよく、より低い透過率(20%〜40%)でもよい場合もある。本実施の形態においては、基体12として、印刷用紙等の紙を使用する。
【0034】
ライン14は、光学素子10に入射する電磁波に対して反射率が高く、あるいは透過率が低くなるように形成する。例えば、ライン14に、アルミニウム、金、銀、銅等の金属を分布させて、反射率を高く、あるいは透過率を低くする。透過率は、0.1%以下が好ましいが、2%程度であれば良く、より高い透過率(15%程度)でもよい場合もある。本実施の形態においては、ライン14には、アルミニウムを分布させている。
【0035】
また、ライン14は、金属(本説明ではアルミニウム)を含有するインクを用いて、用紙上に印刷する。インクに含有される金属の粒径は、基体12に入射する電磁波の波長以下である。例えば、熱転写プリンタ,インクジェットプリンタ,昇華型プリンタ,レーザプリンタ,ドットプリンタ等のプリンタを用いて基体12にライン14を印刷したり、凸版等の印刷版を用いて基体12にライン14を印刷する。本実施の形態では、熱転写プリンタを用いて基体12にライン14を印刷する。インクは、印刷方法又は印刷装置等に応じたものを使用する。
【0036】
印刷するパターンは、プリンタが接続されたコンピュータで作成する。作成したパターンの印刷データをプリンタに送信し、印刷を行う。印刷版を用いる場合は、予め印刷版を製作しておく。
【0037】
本実施の形態においては、幅w=0.11mmのライン14を、ピッチd=0.21mmで形成する。ただし、上述したように、幅w及びピッチdは多少変動していてもよい。ピッチdは、入射する電磁波の波長以下にする必要があり、好ましくは波長の1/2以下、より好ましくは波長の1/8にする。
【0038】
光学素子10に電磁波を入射した場合の透過波の例を図2(b)、(c)に示す。ただし、入射波形は、図2(a)に示す波形とする。また、縦軸の振幅は、本説明では電圧(mV)である。図2(b)は、ライン14に垂直な方向に振動する電場をもつ電磁波を入射した場合の透過波形であり、透過波形は入射波形と同じ形状である。
【0039】
図2(c)は、ラインに平行な方向に振動する電場をもつ電磁波を入射した場合の透過波形(実線で示す)である。また、図2(c)に示す透過波形の理論値を丸印で示す。理論値は、
{(d・ln2)/cπ}{∂E(t)/∂t}
より近似的に求まる。ここで、dはラインのピッチ、cは真空中の光の速度、E(t)は入射波、tは時間である。図2(c)に示す透過波形は、入射波形の時間微分波形になっており、理論値ともほぼ一致している。
【0040】
図2(a)〜図2(c)に示した波形より、本発明の光学素子10は、従来のグリッド型光学素子と同様に、時間微分器として機能していることが分かる。
【0041】
また、光学素子10に直線偏光の電磁波を入射した場合の透過波のスペクトルの例を図3に示す。図3において、破線はラインに垂直な方向に振動する電場をもつ電磁波を入射した場合の透過スペクトルを示し、1点鎖線はラインに平行な方向に振動する電場をもつ電磁波を入射した場合の透過スペクトルを示している。
【0042】
また、図3において、実線は偏光度を示す。偏光度は、
{Tv(ω)−Tp(ω)}/{Tv(ω)+Tp(ω)}
より求まる。ここで、Tp(ω)はラインに平行な方向に振動する電場をもつ電磁波を入射した場合の透過率であり、Tv(ω)はラインに垂直な方向に振動する電場をもつ電磁波を入射した場合の透過率であり、ωは角周波数である。光学素子10は、300GHz以下の領域において、偏光度が0.7以上の高効率の偏光子として機能していることが分かる。
【0043】
上述した実施の形態においては、グリッド型光学素子を例にして説明したが、基体に形成するパターンは、ライン形状に限定されず、任意形状のパターンを形成することが可能である。図4に本発明に係る光学素子の他の例を示す。光学素子20の基体24には、円22が周期的に形成されている。図4の例では、三角形の頂点に円心が位置するような配列になっている。ただし、基体24の円22以外の部分を、電磁波を反射するインクで印刷する。印刷には、アルミニウムを含有するインクを使用する。
【0044】
本実施の形態においては、直径R=1.4mmの円22が、円22の中心間の距離D=2.9mmで周期的に並ぶように、熱転写プリンタで基体24(紙)に印刷を行う。ただし、円22の直径R及び距離Dは、多少変動していてもよい。
【0045】
光学素子20に電磁波を入射した場合の透過スペクトルの例を図5に示す。ただし、電磁波の偏光方向は図4に示すx軸方向からy軸方向に45度傾いており、基体表面の法線に対してx軸方向に約5度の方向から入射されている。図5より、光学素子20は、100GHz付近をピークとするフィルタとして機能していることが確認できる。
【0046】
上述した実施の形態では、基体に1種類のパターンを形成したが、1つの基体に複数種類のパターンを形成することも可能である。図6及び図7に、複数種類のパターンが形成された基体の例を示す。図6の例においては、正方形状の基体を各辺で3等分し、全体で9等分した正方形状の各領域に、夫々異なるパターンが形成されている。
【0047】
図6に示した基体は、パターン毎に分離することが可能である。これにより、同じパターン又は複数種類のパターンを、1度の印刷で多数作製することが可能になる。また、図6に示した基体は、1つの光学素子として使用することも可能である。例えば、電磁波を分けて各パターンに照射し、各パターン部分を透過した電磁波を集めたり、電磁波を複数のパターン全体に照射し、各パターン部分を透過した電磁波を互いに干渉させることが可能である。これにより、各パターンに対応する演算を夫々組合せた複雑な演算が可能になる。また、パターンの1つを選択して、電磁波を入射することも可能である。
【0048】
図7の例においては、円形状の基体に、大きさ(直径)が段階的に変化する円のパターンが形成されている。パターンの各円の直径は、基体の円心を中心にした回転方向に段階的に変化している。例えば、パターンの円心の間隔は12mmであり、直径は0.15〜5mmである。基体を円心回りに回転させて、電磁波が照射される部分のパターンを変化させることが可能になる。
【0049】
図1に示したグリッド型光学素子10を、ライン14の方向が異なるように2枚積層することにより、図4に示したメッシュ型光学素子20に類似した光学素子を作製することも可能である。例えば、ライン14が直交するように2つのグリッド型光学素子を積層して、十字状の2次元周期配列のメッシュ型光学素子を作製することが可能である。また、同一パターンの光学素子を、各パターンが重なるように積層することも可能である。このように、本発明に係る複数の光学素子を積層することも可能である。また、複数の光学素子を積層して、2次元的又は3次元的な周期構造を作ることにより、2次元フォトニック結晶又は3次元フォトニック結晶を作製することも可能である。
【0050】
基体は、紙に限定はされず、OHPシート等のフィルム,段ボール等の板紙,和紙,布,ガラス,発泡スチロール,ポリエチレン等のマイクロ波又は赤外線に対して透過率が高いものを用いることが可能である。また、基体は、柔軟に曲がる紙,布又はフィルム等のシートに限らず、板状の段ボール又はガラス等の基板も含む。透過率は、高い方が好ましいが、光学素子の偏光度等の特性が実用レベルであれば、低くても問題は無い。
【0051】
インクは、金属を含有させたものに限定はされず、マイクロ波又は赤外線に対して反射率が高く、あるいは透過率が低く、印刷方法又は印刷装置に応じた任意のものを用いることができる。また、インクは、液状に限定はされず、リボン等のテープに塗布されたインク、トナー等の粉末状のインクのような固体状のものも含む。反射率は、高い方が好ましいが、光学素子の偏光度等の特性が実用レベルであれば、低くても問題は無い。
【0052】
また、印刷は、凸版又はスタンプ等の印刷版を用いて行ったり、コンピュータに接続されたプリンタを用いて行うことが可能である。印刷版を用いた印刷は、同じパターンの光学素子を大量に作製するのに適している。また、プリンタを用いた印刷は、コンピュータでパターンを容易に変更できるため、パターンをカスタマイズして少数ずつ作製するのに適している。また、筆又はペン等を用いて基体にインクを塗布し、反射部を形成することも可能である。例えば、プリンタとしてアルプス電気社製のMD−5500を用い、インクとしてアルプス電気社製のMDC−FMEGを用いて光学素子を作製することが可能である。
【0053】
本発明の光学素子は、分光器,光通信媒体,光センサ,光記録装置,導波管,分波器又はフォトカプラに使用することが可能である。
【0054】
【発明の効果】
本発明に係る光学素子及び光学素子の製造方法によれば、プリンタ又は印刷版等を用いて、電磁波を透過させる基体に、電磁波を反射するインクで反射部を印刷することにより、短時間かつ低コストで光学素子を作製することができる。また、従来よりも大型の光学素子を作製することができる。
【0055】
本発明に係る光学素子によれば、インクに金属を含ませることにより、インクで印刷された部分の反射率は高反射率となるため、印刷によって、透過率の高い基体に反射率の高い反射部を形成することができる。
【0056】
本発明に係る光学素子によれば、電磁波を透過する基体に紙等のシートを用いることにより、軽量化及び薄型化が可能になる。また、基体を曲げたり、折ったりすることも可能になる。
【0057】
本発明に係る光学素子によれば、マイクロ波又は赤外線の波長に応じた寸法の反射部を形成しているため、マイクロ波又は赤外線に対して本発明の光学素子を使用することができる。電気回路による処理が困難な数十GHz程度の高周波数も、本発明の光学素子で対応することができる。
【0058】
本発明に係る光学素子によれば、基体に複数種類の反射部を形成することにより、各種類の反射部の特性が合成されたような特性を備える。
【0059】
本発明に係る光学素子の製造方法によれば、基体に複数組の反射部を印刷し、印刷した反射部の組毎に基体を分割することにより、1度の印刷で複数の光学素子を作製し、短時間で多数の光学素子を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光学素子の例を示す図である。
【図2】図1に示す光学素子に電磁波を入射したときの入射波及び透過波形の例を示す図であり、(a)は入射波形、(b)は入射波が光学素子のラインと垂直な方向に直線偏光している場合の透過波形、(c)は入射波が光学素子のラインと平行な方向に直線偏光している場合の透過波形である。
【図3】図1に示す光学素子に電磁波を入射したときの透過スペクトルの例を示す図である。
【図4】本発明に係る光学素子の他の例を示す図である。
【図5】図4に示す光学素子に電磁波を入射したときの透過スペクトルの例を示す図である。
【図6】本発明に係る光学素子の更に他の例を示す図である。
【図7】本発明に係る光学素子の更に他の例を示す図である。
【符号の説明】
10、20 光学素子
12、24 基体
14 ライン(反射部)
22 円
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁波を透過させる基体に電磁波を反射する反射部が形成された光学素子及び光学素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光学素子の1つに、所定形状の単位構造を周期的に配列した光学素子がある。このような光学素子に電磁波を入射した場合の透過又は反射等の特性は、単位構造の形状,大きさ,配列周期,配列形態等に応じて変化する。代表的なものとして、金属が分布するライン状(直線状)の単位構造を周期的に配列したグリッド型光学素子がある。また、金属が分布していない円形状、三角形状又は四角形状等の単位構造を、金属板または金属が分布する誘電体基板上に周期的に配列したメッシュ型光学素子がある。
【0003】
グリッド型光学素子は、ライン状の1次元周期配列を有し、ラインに垂直な方向に振動する電場をもつ電磁波が入射された場合は高効率で透過し、ラインに平行な方向に振動する電場をもつ電磁波が入射された場合は高効率で反射する。そして、ラインに平行な方向に振動する電場をもつ電磁波を入射した場合の透過波形は、入射波形の電場の時間微分波形と一致することが知られている。グリッド型光学素子は、偏光子、ビームスプリッタ、フォトカプラ、特定の偏光成分をもつ電磁波に対する可変減衰器または可変反射器、位相差板、時間微分器等として使用することが可能である。
【0004】
メッシュ型光学素子は、円形状、三角形状又は四角形状等の2次元周期配列を有し、偏光子、バンドパスフィルタ、ビームスプリッタ、位相差板、時間微分器等として使用することが可能である。メッシュ型光学素子は、十字状の2次元周期配列を有する光学素子も含む。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
グリッド型光学素子のラインのピッチは、入射波の波長よりも短くする必要があるが、入射波の波長が長い場合、例えばミリ波〜遠赤外線領域においては、金属性のワイヤーを基枠内に張る等の機械加工を行う。また、メッシュ型光学素子の場合は、ドリル又は放電加工により、金属板又は金属が分布している基板を加工し、金属が分布していない単位構造体を形成する。
【0006】
このような機械加工を行う場合、0.01〜1mm程度のピッチで金属線ワイヤーを張る場合もあるため、製造に高度な機械加工技術が必要になり、コストが高くなると共に、需要者毎のオーダーに対する生産性も低くなる。また、衝撃等に弱く、慎重に取扱う必要がある。
【0007】
また、入射波の波長が短い場合、例えば赤外〜可視光領域においては、スパッタリング、メッキ、蒸着等の方法、またはこれらの中から複数の方法を組合せて、基板上に周期的な単位構造を形成する。
【0008】
スパッタリング等の微細加工を行う場合、煩雑な作業を行うために、コストが高くなると共に、需要者毎のオーダーに対する生産性も低くなる。このように、機械加工及び微細加工の何れの場合でもコストが高く生産性が低いため、需要者の利便性も低く、必要な光学素子を複数種類用意することは、コスト的及び時間的に困難である。
【0009】
しかし、上述した所定形状の単位構造を周期的に配列した光学素子においては、光学的な特性を重視する場合が多く、低コスト化、大量生産化、オーダーに対するカスタマイズ化、生産時間の短縮化、軽量化、柔軟性の向上等が考慮されることは少ない。
【0010】
また、光学素子を用いる代わりに、電気回路を用いて、光学的な演算を行う場合もある。しかし、数十GHz以上の高周波数の場合は、電気回路による処理が困難になり、高周波数に対応できる高性能な素子等が必要になる。電気回路を用いた場合も、高性能で高価な素子等が必要になるため、必要な素子を複数種類用意することは、コスト的に困難であると共に、回路の処理能力に限界があるため、必要な素子を用意できない場合もある。
【0011】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、短時間かつ低コストで作製することができる光学素子及び光学素子の製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、印刷によって、透過率の高い基体に反射率の高い反射部を形成することができる光学素子を提供することを他の目的とする。
【0013】
また、本発明は、従来よりも軽量及び小型な光学素子を提供することを他の目的とする。
【0014】
また、本発明は、電気回路による処理が困難な高周波数に対応できる光学素子を提供することを他の目的とする。
【0015】
また、本発明は、複数種類の反射部の特性が合成されたような特性を有する光学素子を提供することを他の目的とする。
【0016】
また、本発明は、短時間で多数の光学素子を作製することができる光学素子の製造方法を提供することを他の目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光学素子は、電磁波を透過させる基体に、電磁波を反射する反射部が形成された光学素子において、反射部は、電磁波を反射するインクで基体に印刷されていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る光学素子は、前記インクは金属を含有することを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る光学素子は、電磁波を透過させるシートに、電磁波を反射する反射部が形成されていることを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る光学素子は、前記シートは紙であることを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る光学素子は、前記電磁波は、マイクロ波又は赤外線であり、前記反射部は、電磁波の波長に応じた寸法に形成されていることを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係る光学素子は、複数種類の反射部が形成されていることを特徴とする。
【0023】
また、本発明に係る光学素子の製造方法は、電磁波を透過させる基体に、電磁波を反射する反射部が形成された光学素子の製造方法において、電磁波を反射するインクで基体に反射部を印刷することを特徴とする。
【0024】
また、本発明に係る光学素子の製造方法は、前記基体に複数組の反射部を印刷し、印刷した反射部の組別に基体を分割することを特徴とする。
【0025】
本発明に係る光学素子及び光学素子の製造方法においては、電磁波を透過させる基体に、電磁波を反射するインクで反射部を印刷しているため、プリンタ又は印刷版等を用いて短時間かつ低コストで光学素子を作製することが可能になる。また、印刷により、従来よりも大型の光学素子を作製することが可能になる。印刷は、凸版,スタンプ等の印刷版を用いて行ったり、電気的,電子的,光学的方式によって印刷を行うプリンタを用いることが可能である。例えば、コンピュータで反射部のパターンデータを作成し、作成したパターンデータをプリンタで紙(基体)に印刷することが可能である。
【0026】
また、本発明に係る光学素子においては、インクに金属を含有させることにより、インクで印刷された部分の反射率は高反射率となる。透過率の高い紙等の基体に、反射率の高いインクで反射部を印刷して、光学素子を作製することが可能になる。インクは、印刷用のインクであり、液体に限らず、固体状のものも含む。
【0027】
また、本発明に係る光学素子においては、電磁波を透過する紙等のシートに、電磁波を反射する反射部を形成しているため、プリンタ又は印刷版等を用いた印刷によって、シートに反射体を形成することが可能である。紙等のシートに反射部を形成しているため、軽量化及び薄型化が可能になる。また、基体の柔軟性が向上し、曲げたり、折ったりすることも可能になる。
【0028】
また、本発明に係る光学素子においては、反射部は、マイクロ波又は赤外線の波長に応じた寸法に形成されているため、マイクロ波又は赤外線等の電気回路による処理が困難な高周波数の電磁波に対して、本発明の光学素子を使用することができる。例えばライン状の反射部を配置する場合のピッチは、波長以下、好ましくは波長の1/2以下、より好ましくは波長の1/8以下にする。前記の波長以下は、理論上、光学素子として機能する範囲であり、前記の波長の1/2以下は、代表的な理論値と実験結果とが一致し、偏光子等として使用可能な範囲であり、前記の波長の1/8以下は、各種特性に波長依存性が無く、効率が一定で、偏光子等として問題無く使用できる範囲である。
【0029】
また、本発明に係る光学素子においては、基体に複数種類の反射部を形成することにより、各種類の反射部の特性が合成されたような特性を備える。例えば、電磁波を各種類の反射部に照射し、各反射部を透過した電磁波を互いに干渉させることが可能である。
【0030】
また、本発明に係る光学素子の製造方法においては、基体に複数組の反射部を印刷し、印刷した反射部の組毎に基体を分割することにより、1度の印刷で多数の光学素子を作製することができる。基体には、同一種類の反射部を複数形成したり、異なる種類の反射部を複数形成することが可能である。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
本説明においては、マイクロ波(3×108 Hz〜3×1012Hz)又は赤外線(3×1011 Hz〜4×1014Hz)を対象とする光学素子を例にして説明する。
【0032】
図1に本発明に係る光学素子の例を示す。光学素子10は、電磁波が透過する基体12に、電磁波を反射するライン14が周期的に形成されている。ただし、周期的とは、ライン幅w又はラインのピッチdが一定である場合だけでなく、ライン幅w又はラインのピッチdが多少変動している場合も含む。
【0033】
基体12は、光学素子10に入射する電磁波に対して透過率の高いものを使用する。透過率は空気と同様であることが好ましい。透過率は、95%以上が好ましいが、70%程度あればよく、より低い透過率(20%〜40%)でもよい場合もある。本実施の形態においては、基体12として、印刷用紙等の紙を使用する。
【0034】
ライン14は、光学素子10に入射する電磁波に対して反射率が高く、あるいは透過率が低くなるように形成する。例えば、ライン14に、アルミニウム、金、銀、銅等の金属を分布させて、反射率を高く、あるいは透過率を低くする。透過率は、0.1%以下が好ましいが、2%程度であれば良く、より高い透過率(15%程度)でもよい場合もある。本実施の形態においては、ライン14には、アルミニウムを分布させている。
【0035】
また、ライン14は、金属(本説明ではアルミニウム)を含有するインクを用いて、用紙上に印刷する。インクに含有される金属の粒径は、基体12に入射する電磁波の波長以下である。例えば、熱転写プリンタ,インクジェットプリンタ,昇華型プリンタ,レーザプリンタ,ドットプリンタ等のプリンタを用いて基体12にライン14を印刷したり、凸版等の印刷版を用いて基体12にライン14を印刷する。本実施の形態では、熱転写プリンタを用いて基体12にライン14を印刷する。インクは、印刷方法又は印刷装置等に応じたものを使用する。
【0036】
印刷するパターンは、プリンタが接続されたコンピュータで作成する。作成したパターンの印刷データをプリンタに送信し、印刷を行う。印刷版を用いる場合は、予め印刷版を製作しておく。
【0037】
本実施の形態においては、幅w=0.11mmのライン14を、ピッチd=0.21mmで形成する。ただし、上述したように、幅w及びピッチdは多少変動していてもよい。ピッチdは、入射する電磁波の波長以下にする必要があり、好ましくは波長の1/2以下、より好ましくは波長の1/8にする。
【0038】
光学素子10に電磁波を入射した場合の透過波の例を図2(b)、(c)に示す。ただし、入射波形は、図2(a)に示す波形とする。また、縦軸の振幅は、本説明では電圧(mV)である。図2(b)は、ライン14に垂直な方向に振動する電場をもつ電磁波を入射した場合の透過波形であり、透過波形は入射波形と同じ形状である。
【0039】
図2(c)は、ラインに平行な方向に振動する電場をもつ電磁波を入射した場合の透過波形(実線で示す)である。また、図2(c)に示す透過波形の理論値を丸印で示す。理論値は、
{(d・ln2)/cπ}{∂E(t)/∂t}
より近似的に求まる。ここで、dはラインのピッチ、cは真空中の光の速度、E(t)は入射波、tは時間である。図2(c)に示す透過波形は、入射波形の時間微分波形になっており、理論値ともほぼ一致している。
【0040】
図2(a)〜図2(c)に示した波形より、本発明の光学素子10は、従来のグリッド型光学素子と同様に、時間微分器として機能していることが分かる。
【0041】
また、光学素子10に直線偏光の電磁波を入射した場合の透過波のスペクトルの例を図3に示す。図3において、破線はラインに垂直な方向に振動する電場をもつ電磁波を入射した場合の透過スペクトルを示し、1点鎖線はラインに平行な方向に振動する電場をもつ電磁波を入射した場合の透過スペクトルを示している。
【0042】
また、図3において、実線は偏光度を示す。偏光度は、
{Tv(ω)−Tp(ω)}/{Tv(ω)+Tp(ω)}
より求まる。ここで、Tp(ω)はラインに平行な方向に振動する電場をもつ電磁波を入射した場合の透過率であり、Tv(ω)はラインに垂直な方向に振動する電場をもつ電磁波を入射した場合の透過率であり、ωは角周波数である。光学素子10は、300GHz以下の領域において、偏光度が0.7以上の高効率の偏光子として機能していることが分かる。
【0043】
上述した実施の形態においては、グリッド型光学素子を例にして説明したが、基体に形成するパターンは、ライン形状に限定されず、任意形状のパターンを形成することが可能である。図4に本発明に係る光学素子の他の例を示す。光学素子20の基体24には、円22が周期的に形成されている。図4の例では、三角形の頂点に円心が位置するような配列になっている。ただし、基体24の円22以外の部分を、電磁波を反射するインクで印刷する。印刷には、アルミニウムを含有するインクを使用する。
【0044】
本実施の形態においては、直径R=1.4mmの円22が、円22の中心間の距離D=2.9mmで周期的に並ぶように、熱転写プリンタで基体24(紙)に印刷を行う。ただし、円22の直径R及び距離Dは、多少変動していてもよい。
【0045】
光学素子20に電磁波を入射した場合の透過スペクトルの例を図5に示す。ただし、電磁波の偏光方向は図4に示すx軸方向からy軸方向に45度傾いており、基体表面の法線に対してx軸方向に約5度の方向から入射されている。図5より、光学素子20は、100GHz付近をピークとするフィルタとして機能していることが確認できる。
【0046】
上述した実施の形態では、基体に1種類のパターンを形成したが、1つの基体に複数種類のパターンを形成することも可能である。図6及び図7に、複数種類のパターンが形成された基体の例を示す。図6の例においては、正方形状の基体を各辺で3等分し、全体で9等分した正方形状の各領域に、夫々異なるパターンが形成されている。
【0047】
図6に示した基体は、パターン毎に分離することが可能である。これにより、同じパターン又は複数種類のパターンを、1度の印刷で多数作製することが可能になる。また、図6に示した基体は、1つの光学素子として使用することも可能である。例えば、電磁波を分けて各パターンに照射し、各パターン部分を透過した電磁波を集めたり、電磁波を複数のパターン全体に照射し、各パターン部分を透過した電磁波を互いに干渉させることが可能である。これにより、各パターンに対応する演算を夫々組合せた複雑な演算が可能になる。また、パターンの1つを選択して、電磁波を入射することも可能である。
【0048】
図7の例においては、円形状の基体に、大きさ(直径)が段階的に変化する円のパターンが形成されている。パターンの各円の直径は、基体の円心を中心にした回転方向に段階的に変化している。例えば、パターンの円心の間隔は12mmであり、直径は0.15〜5mmである。基体を円心回りに回転させて、電磁波が照射される部分のパターンを変化させることが可能になる。
【0049】
図1に示したグリッド型光学素子10を、ライン14の方向が異なるように2枚積層することにより、図4に示したメッシュ型光学素子20に類似した光学素子を作製することも可能である。例えば、ライン14が直交するように2つのグリッド型光学素子を積層して、十字状の2次元周期配列のメッシュ型光学素子を作製することが可能である。また、同一パターンの光学素子を、各パターンが重なるように積層することも可能である。このように、本発明に係る複数の光学素子を積層することも可能である。また、複数の光学素子を積層して、2次元的又は3次元的な周期構造を作ることにより、2次元フォトニック結晶又は3次元フォトニック結晶を作製することも可能である。
【0050】
基体は、紙に限定はされず、OHPシート等のフィルム,段ボール等の板紙,和紙,布,ガラス,発泡スチロール,ポリエチレン等のマイクロ波又は赤外線に対して透過率が高いものを用いることが可能である。また、基体は、柔軟に曲がる紙,布又はフィルム等のシートに限らず、板状の段ボール又はガラス等の基板も含む。透過率は、高い方が好ましいが、光学素子の偏光度等の特性が実用レベルであれば、低くても問題は無い。
【0051】
インクは、金属を含有させたものに限定はされず、マイクロ波又は赤外線に対して反射率が高く、あるいは透過率が低く、印刷方法又は印刷装置に応じた任意のものを用いることができる。また、インクは、液状に限定はされず、リボン等のテープに塗布されたインク、トナー等の粉末状のインクのような固体状のものも含む。反射率は、高い方が好ましいが、光学素子の偏光度等の特性が実用レベルであれば、低くても問題は無い。
【0052】
また、印刷は、凸版又はスタンプ等の印刷版を用いて行ったり、コンピュータに接続されたプリンタを用いて行うことが可能である。印刷版を用いた印刷は、同じパターンの光学素子を大量に作製するのに適している。また、プリンタを用いた印刷は、コンピュータでパターンを容易に変更できるため、パターンをカスタマイズして少数ずつ作製するのに適している。また、筆又はペン等を用いて基体にインクを塗布し、反射部を形成することも可能である。例えば、プリンタとしてアルプス電気社製のMD−5500を用い、インクとしてアルプス電気社製のMDC−FMEGを用いて光学素子を作製することが可能である。
【0053】
本発明の光学素子は、分光器,光通信媒体,光センサ,光記録装置,導波管,分波器又はフォトカプラに使用することが可能である。
【0054】
【発明の効果】
本発明に係る光学素子及び光学素子の製造方法によれば、プリンタ又は印刷版等を用いて、電磁波を透過させる基体に、電磁波を反射するインクで反射部を印刷することにより、短時間かつ低コストで光学素子を作製することができる。また、従来よりも大型の光学素子を作製することができる。
【0055】
本発明に係る光学素子によれば、インクに金属を含ませることにより、インクで印刷された部分の反射率は高反射率となるため、印刷によって、透過率の高い基体に反射率の高い反射部を形成することができる。
【0056】
本発明に係る光学素子によれば、電磁波を透過する基体に紙等のシートを用いることにより、軽量化及び薄型化が可能になる。また、基体を曲げたり、折ったりすることも可能になる。
【0057】
本発明に係る光学素子によれば、マイクロ波又は赤外線の波長に応じた寸法の反射部を形成しているため、マイクロ波又は赤外線に対して本発明の光学素子を使用することができる。電気回路による処理が困難な数十GHz程度の高周波数も、本発明の光学素子で対応することができる。
【0058】
本発明に係る光学素子によれば、基体に複数種類の反射部を形成することにより、各種類の反射部の特性が合成されたような特性を備える。
【0059】
本発明に係る光学素子の製造方法によれば、基体に複数組の反射部を印刷し、印刷した反射部の組毎に基体を分割することにより、1度の印刷で複数の光学素子を作製し、短時間で多数の光学素子を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光学素子の例を示す図である。
【図2】図1に示す光学素子に電磁波を入射したときの入射波及び透過波形の例を示す図であり、(a)は入射波形、(b)は入射波が光学素子のラインと垂直な方向に直線偏光している場合の透過波形、(c)は入射波が光学素子のラインと平行な方向に直線偏光している場合の透過波形である。
【図3】図1に示す光学素子に電磁波を入射したときの透過スペクトルの例を示す図である。
【図4】本発明に係る光学素子の他の例を示す図である。
【図5】図4に示す光学素子に電磁波を入射したときの透過スペクトルの例を示す図である。
【図6】本発明に係る光学素子の更に他の例を示す図である。
【図7】本発明に係る光学素子の更に他の例を示す図である。
【符号の説明】
10、20 光学素子
12、24 基体
14 ライン(反射部)
22 円
Claims (8)
- 電磁波を透過させる基体に、電磁波を反射する反射部が形成された光学素子において、
反射部は、電磁波を反射するインクで基体に印刷されていることを特徴とする光学素子。 - 前記インクは金属を含有することを特徴とする請求項1記載の光学素子。
- 電磁波を透過させるシートに、電磁波を反射する反射部が形成されていることを特徴とする光学素子。
- 前記シートは紙であることを特徴とする請求項3記載の光学素子。
- 前記電磁波は、マイクロ波又は赤外線であり、
反射部は、電磁波の波長に応じた寸法に形成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の光学素子。 - 複数種類の反射部が形成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の光学素子。
- 電磁波を透過させる基体に、電磁波を反射する反射部が形成された光学素子の製造方法において、
電磁波を反射するインクで基体に反射部を印刷することを特徴とする光学素子の製造方法。 - 基体に複数組の反射部を印刷し、
印刷した反射部の組別に基体を分割することを特徴とする請求項7記載の光学素子の製造方法。
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2002
- 2002-06-21 JP JP2002181885A patent/JP2004029153A/ja active Pending
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