JP6168400B2 - 放電装置及び分極処理方法 - Google Patents

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本発明は、放電装置、及び、この放電装置を用いた分極処理方法に関するものである。
従来、処理対象物に非接触で電荷を与える有効な方法として、コロナ放電を用いて放電処理する方法が知られている。例えば、処理対象物としての樹脂等の基材表面をコロナ放電によって電荷を与え、基材表面の濡れ特性を向上させる表面改質処理方法が知られている。また、圧電素子等の電気機械変換素子を構成する処理対象物としての電気機械変換膜の表面にコロナ放電によって電荷を付与して分極処理を行う分極処理方法が知られている。
特許文献1には、コロナ放電を用いて電気機械変換膜としての圧電体膜を分極処理するポーリング処理方法が開示されている。このポーリング処理方法では、基板上に電極を形成し、その電極上に圧電体膜を形成し、圧電体膜の上記電極とは反対側の表面に間隙を介して対向するように主放電電極としてのワイヤー状の電極(以下、「コロナ電極」という。)を配置している。そして、圧電体膜の基板側にある電極とコロナ電極との間に電圧を印加してコロナ放電を発生させ、圧電体膜の表面に電荷を付与する。この電荷の付与により、圧電体膜内に電界を発生させて分極処理を行い、圧電体膜内の結晶における分極の向きを揃えることができる。
しかしながら、上記特許文献1のポーリング処理方法などで用いられるコロナ放電では、コロナ電極の直下の狭い面積しか放電処理できないため、広い面積の処理対象物の表面に対して均一な放電処理を行うことが難しい。処理対象物の広い表面に対して均一な放電処理を行おうとするには、処理対象物の表面の領域を少しずつずらしながら放電処理を繰り返し実行する必要があるため、高い生産性が得られない。高い生産性を得るために、処理対象物の表面に沿って複数本のコロナ電極を並設して配置し、処理対象物の表面に対して均一な放電処理を一括して行う方法が考えられる。しかし、コロナ電極を複数本並設して配置すると、互いに隣接する複数のコロナ電極の間において次のような電気的な相互干渉が発生するおそれがある。すなわち、上記境界領域において、互いに隣接する複数のコロナ電極のうち一方のコロナ電極から延びる電気力線と他方のコロナ電極から延びる電気力線とが互いに隣接した状態で形成される。このように電気力線が互いに隣接すると、上記一方のコロナ電極から延びる電気力線の分布が何らかの原因で変化すると、その変化の影響を受けて、他方のコロナ電極から延びる電気力線の分布も変化する。このように各コロナ電極から延びる電気力線の分布が互いに影響しあって相互に干渉する。しかも、コロナ電極による電気力線の分布と放電状態とは互いに密接に関連する。従って、互いに隣接する複数のコロナ電極のうち一方のコロナ電極における放電状態が何らかの原因で変動すると、上記境界領域における電気力線の分布が変化する。この境界領域における電気力線の分布の変化の影響を受けて他方のコロナ電極における放電状態も変動してしまい、上記一方のコロナ電極における放電状態の変動が広まっていく。以上のように、コロナ電極を複数本並設して配置すると、互いに隣接する複数のコロナ電極の間で電気的な相互干渉が発生し、コロナ電極による放電状態の変動が広まって放電が不安定になりやすい。そのため、処理対象物の表面に安定して電荷を付与できないおそれがある。
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、高い生産性を得るとともに処理対象物の表面に対して均一で安定した電荷付与を行うことができる放電装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、主放電電極と、前記主放電電極と処理対象物との間に設けられた放電制御電極とを備えた放電装置であって、前記主放電電極は、前記処理対象物の表面に沿った方向に複数並設され、互いに隣接する前記複数の主放電電極の間を電気的に遮蔽する遮蔽部を備え、前記複数の主放電電極はそれぞれワイヤー形状の電極であり、前記複数の主放電電極に対応する複数の放電発生領域それぞれにおいて、該主放電電極と前記処理対象物の表面との距離が長い箇所ほど、該処理対象物と前記放電制御電極との距離が短くなるように、該放電制御電極が形成されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、高い生産性を得るとともに処理対象物の表面に対して均一で安定した電荷付与を行うことができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係るコロナ放電装置の全体構成の一例を示す概略構成斜視図。 コロナ放電装置の一構成例を示す側面図。 コロナ放電装置の他の構成例を示す側面図。 従来例に係るコロナ放電装置の側面図。 (a)及び(b)はそれぞれ遮蔽グリッド電極の有無によるコロナ放電装置における電気力線の様子の一例を示す模式図。 他の構成例のグリッド電極を備えたコロナ放電装置の一例を示す側面図。 (a)及び(b)はそれぞれ、グリッド電極を湾曲させた場合及び湾曲させていない場合におけるステージの表面電位プロファイルの一例を示す説明図。 (a)及び(b)はそれぞれステージの構成例を示す側面図。 他の構成例に係るコロナ放電装置の全体構成の一例を示す概略構成斜視図。 電気機械変換素子(圧電素子)に対する分極処理の一例を示す説明図。 (a)は分極処理前の電気機械変換素子のP−Eヒステリシスループの一例を示す特性図。(b)は分極処理後のP−Eヒステリシスループの一例を示す特性図。 (a)及び(b)はそれぞれ分極処理前後における圧電体結晶内の分極の方向の変化を模式的に示す説明図。 本実施形態に係る液滴吐出ヘッドの一構成例を示す断面図。 図13の液滴吐出ヘッドを複数個配置した構成の断面図。 液滴吐出ヘッドを搭載した記録装置の一構成例を示す側面図。 液滴吐出ヘッドを搭載した記録装置の他の構成例を示す斜視図。 同記録装置の機構部の構成例を示す側面図。
〔実施形態1〕
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る放電装置としてのコロナ放電装置の全体構成の一例を示す概略構成斜視図である。なお、本実施形態では、コロナ放電装置を、処理対象物としての電気機械変換素子の圧電体膜に対して放電による分極処理を行う分極処理装置として用いた場合について説明するが、本実施形態のコロナ放電装置の用途は分極処理装置に限定されるものではない。
図1に示すように、本実施形態のコロナ放電装置70は、主放電電極としてのコロナ電極71と、放電制御電極としてのグリッド電極73とを具備している。これらのコロナ電極71及びグリッド電極73はそれぞれ、電圧印加手段としてのコロナ電極用電源72及びグリッド電極用電源74に接続されている。コロナ電極用電源72及びグリッド電極用電源74それぞれの出力端子のうち各電極と接続されていない出力端子は、例えば、処理対象物を載置する保持部材としてのステージ75に接続することができる。また、後述するようにステージ75をアース線に接続して接地する場合には、このアース線に、コロナ電極用電源72及びグリッド電極用電源74それぞれの各電極と接続されていない出力端子を接続してもよい。
コロナ電極71の構成は特に限定されるものではないが、例えば図示のようにワイヤー形状を有する構成とすることができ、各種導電性の材料により構成することができる。そして、本実施形態のコロナ放電装置70では、ワイヤー形状のコロナ電極71を2本並設している。なお、コロナ電極71は、処理対象物の処理面の面積などに応じて3本以上並設してもよい。このように複数のコロナ電極71を並設することにより、一度に処理できる処理対象物の面積を広く確保できるため、生産性を向上させることができる。
また、グリッド電極73は、コロナ電極71とステージ75との間に配置されている。グリッド電極73の構成は特に限定されるものではないが、例えばメッシュ加工を施してもよい。メッシュ加工を施すことにより、コロナ電極71に高電圧を印加したときに、コロナ放電により発生するイオンや電荷等を効率よく下側のステージ75に降り注ぐようにすることができる。
ステージ75には、処理対象物としての電気機械変換素子を加熱できるように加熱機構が設けられている。電気機械変換素子を加熱する加熱機構の具体的構成は特に限定されるものではないが、例えば各種ヒーターやランプ等を用いて加熱するように構成することができる。また、加熱機構は、ステージ75内に設置することもでき、ステージ75の外から加熱するように設置することもできる。特に、コロナ電極やグリッド電極などの各電極等との干渉を避けるため、ステージ75内に設置されていることが好ましい。
図2及び図3はそれぞれコロナ放電装置70の一構成例を示す側面図である。図2及び図3のコロナ放電装置70は、グリッド電極73の構成が互いに異なる。
図2に示すように、コロナ放電装置70には、2本のコロナ電極71の間を電気的に遮蔽する遮蔽部としての遮蔽グリッド電極731が配設されている。図示の例では、平板形状の遮蔽グリッド電極731をグリッド電極73の電極面に対して垂直に配設し、コロナ電極71の延在方向(長手方向)と直交する断面における形状が逆T字形となるように複数のグリッド電極を組み合わせて作製されている。また、図3に示すように、遮蔽グリッド電極731の断面の形状がコの字形となるように一枚の電極板を折り曲げ、遮蔽グリッド電極731とグリッド電極73とを一体的な構造体として作製してもよい。
遮蔽グリッド電極731を設けることにより、互いに隣接する複数のコロナ電極71の間を電気的に遮蔽し、コロナ電極間の電気的な相互干渉を抑制できるので、各コロナ電極71と処理対象物との間に形成される電気力線の安定制御が可能となる。これにより、処理対象物の広い面積の表面に対して均一な放電を発生させることができ、一度に処理できる処理対象物の面積をより広く確保できるため、生産性を更に向上させることができる。処理対象物が圧電体膜を有する電気機械変換素子を基板上に複数並べて形成したものであり、各電気機械変換素子の圧電体膜を放電で分極処理する場合、各電気機械変換素子の圧電体膜を均一に且つ安定して分極処理することができる。基板上に複数の電気機械変換素子が並べて形成されている場合は、その複数の電気機械変換素子を一括して分極処理することができ、生産性を向上させることができる。
図4は、2本のコロナ電極71の間を電気的に遮蔽する遮蔽グリッド電極731がない従来例に係るコロナ放電装置の側面図である。従来例に係るコロナ放電装置の場合、点線部で囲んだ領域Aにおいて、互いに隣接する複数のコロナ電極71の間における電気的な相互干渉の影響により、各コロナ電極71と処理対象物との間に形成される電気力線が不安定となる。そのため、処理対象物に付与される電荷が不均一になり、処理対象物上の表面電位(単位面積あたりの電荷量)が不安定になってしまう。処理対象物が圧電体膜を有する電気機械変換素子であり、その電気機械変換素子の圧電体膜を放電で分極処理する場合、電気機械変換素子の圧電体膜を均一に且つ安定して分極処理することができない。
図5は、遮蔽グリッド電極731の有無によるコロナ放電装置70における電気力線の様子の一例を示す模式図である。図5(a)は遮蔽グリッド電極731が有る場合を示し、図5(b)は無い場合を示している。
図5(a)に示すように、遮蔽グリッド電極731がある場合は、互いに隣接する複数のコロナ電極71の間の電気的な相互干渉を抑え、各コロナ電極71と処理対象物との間に形成される電気力線の安定制御が可能となる。一方、図5(b)に示すように、遮蔽グリッド電極731が無い場合は、互いに隣接する複数のコロナ電極71の間の電気的な相互干渉により、電気力線の安定制御が難しい。そのため、電気力線の空間的な形成位置や密度のばらつきにより、処理対象物に対する電荷の付与量にばらつきが生じてしまう。電気機械変換素子の圧電体膜の分極処理を行う場合は、その分極処理にばらつきが生じてしまう。
図6は、他の構成例のグリッド電極73を備えたコロナ放電装置70の一例を示す側面図である。図6の例では、コロナ電極71とステージ75上の任意の点に向かう各仮想線上においてグリッド電極73の位置が次のように位置になるようにグリッド電極73を湾曲させた形状にしている。つまり、上記各仮想線上において、コロナ電極71とステージ75上の任意の点との距離が長くなるほど、グリッド電極73とステージ75上の任意の点との距離が短くなるように、グリッド電極73を湾曲させている。これにより、ステージ75に載置されている処理対象物の表面電位(単位面積あたりの電荷量)を均一に制御することが可能となる。
図7は、図6のようにコロナ電極71とステージ75上の任意の点との距離に応じてグリッド電極73を湾曲させた場合及び湾曲させていない場合それぞれにおけるステージ75の表面電位プロファイル80の一例を示す説明図である。図7(a)はグリッド電極73を湾曲させていない場合のステージ75の表面電位プロファイル80を示し、図7(b)はグリッド電極73を湾曲させた場合のステージ75の表面電位プロファイル80を示している。
図7(a)の表面電位プロファイル80に示すように、グリッド電極73を湾曲させていない場合は、コロナ電極71とステージ75上の位置との距離に応じてステージ75における表面電位のばらつきが生じる。そのため、処理対象物の表面電位(単位面積あたりの電荷量)のばらつきが生じてしまう。これに対して、図7(b)に示すように、グリッド電極73を前述のように湾曲させた場合は、コロナ電極71とステージ75上の位置との距離差で発生する表面電位のばらつきを、グリッド電極73の形状によって補正することが可能となる。これにより、図7(b)中の表面電位プロファイル80に示すようにステージ75における表面電位ばらつきを小さくすることができ、処理対象物の表面電位(単位面積あたりの電荷量)のばらつきが抑制できる。
図8(a)及び(b)はそれぞれステージ75の構成例を示す側面図である。
図8(a)の構成例では、ステージ75の処理対象物を保持する保持部752内に、処理対象物の形状にあわせて形成された処理対象物保持用の溝751と、加熱手段としての電熱線等からなる加熱機構753とを有している。この加熱機構753により、電気機械変換素子などの処理対象物を均一に加熱することができる。なお、処理対象物を均一に加熱する観点から、保持部752は金属により構成されていることが好ましい。保持部752を構成する金属としては、例えばステンレス鋼やインコネルを好ましく用いることができ、特に処理対象物を均一に加熱する観点からインコネルをより好ましく用いることができる。
上記図8(a)のステージ75は、接地するためのアース線76を設けた構成としてもよい。これにより、ステージ75がアースに接続され、コロナ電極71やグリッド電極73によって形成される電気力線(電界強度)の分布の制御が容易になる。従って、ステージ75上に載置される処理対象物の表面電位(単位面積あたりの電荷量)のばらつきをより小さくすることができる。
また、図8(b)の構成例では、ステージ75を保持部752と加熱機構保持部754とに分けた構成になっている。この場合、保持部752内に処理対象物保持用の溝751を形成することができる。また、加熱機構保持部754内には、電熱線等からなる加熱機構753を有する構成とすることができる。この場合、保持部752は、伝熱性を高めるため、金属により構成されていることが好ましく、例えばステンレス鋼や、インコネルをより好ましく用いることができ、特に均一に加熱する観点からインコネルを特に好ましく用いることができる。図8(b)に示した構成においては、保持部752と加熱機構保持部754とについては、単に積層したのみの構成とすることもできるし、両者を接着剤や固定具等により固定した構成とすることもできる。
なお、図8(a)及び(b)の構成例では、処理対象物保持用の溝751を設けた構成を例に説明しているが、この溝751を設けず、保持部752上の任意の場所に処理対象物を設置するように構成してもよい。
また、上記加熱機構753の最大加熱温度は特に限定されるものではなく、後述するように製造する電気機械変換素子を構成する圧電体膜などの電気機械変換膜のキュリー温度等に応じて所定の温度に加熱できるように構成されていればよい。特に、各種電気機械変換素子の分極処理に対応できるように、最大350[℃]まで加熱できるように構成されていることが好ましい。
図9は、他の構成例に係るコロナ放電装置の全体構成の一例を示す概略構成斜視図である。このコロナ放電装置70では、ステージ75がアースに接続されている。ステージ75上に配置された処理対象物に対して電荷が流れやすくするためには、処理対象物を設置するステージ75はアースに接続されていることが好ましい。すなわち、図9に示すように、ステージ75にアース線76を接続し、ステージ75が接地されていることが好ましい。このようにステージ75をアース線76に接続して接地する場合には、アース線76に、コロナ電極用電源72及びグリッド電極用電源74それぞれの各電極と接続されていない出力端子を接続してもよい。
なお、コロナ電極71やグリッド電極73に印加する電圧の大きさや、処理対象物と各電極との間の距離は特に限定されるものではない。処理対象物である電気機械変換素子に対して十分に分極処理を施すことができるように、上記電圧の大きさや距離を調整し、コロナ放電の強弱をつけることができる。特に、アース線76を介してステージ75をアースに接続することにより、電気力線(電界強度)の分布の制御が容易になり、処理対象物の表面電位(単位面積あたりの電荷量)のばらつきをより小さくすることができる。
次に、上記構成のコロナ放電装置を用いた電気機械変換素子(圧電素子)の分極処理の例について説明する。処理対象物としての電気機械変換素子(圧電素子)を構成する電気機械変換膜は、その電気機械変換膜を構成する圧電体結晶の分極の方向が揃わないと、駆動電圧に対する変形量(表面変位量)が経時的に安定しない。そのため、電気機械変換膜を構成する圧電体結晶の分極の方向を揃えるために分極処理が行われる。
図10は、電気機械変換素子(圧電素子)に対する分極処理の一例を示す説明図である。図10に示す電気機械変換素子77は、例えば、基板上に第1の電極と電気機械変換膜と第2の電極とが積層された構成となっている。そして、主放電電極としてのワーヤー形状のコロナ電極78を用いてコロナ放電させる場合には、大気中の分子をイオン化させることで、正極性の電荷を有する陽イオンを発生させる。この陽イオンは、ステージ79上の電気機械変換素子77の第1の電極に接続された共通電極や第2の電極に接続された個別電極(いずれも不図示)それぞれの端子電極としての電極パッドを介して、電気機械変換素子77に流れ込んで正極性の電荷が蓄積される。そして、第1の電極と第2の電極との電荷差によって内部電位差が生じて、電気機械変換膜の分極処理が行われる。特に、上記構成のコロナ放電装置を用いた場合は、広い面積の処理対象物の表面に対して均一に電荷を付与できるため、複数の電気機械変換素子77を容易に一括で分極処理することが可能となる。また、電気機械変換素子77を、コロナ放電で分極処理することにより、自発分極を固定化するピニングを発生させやすく、分極特性の経時的な変化を小さくすることができる。
上記電気機械変換素子77の電気機械変換膜の分極処理の状態については、次に示すように、電気機械変換素子のP−Eヒステリシスループから判断することができる。
図11は、電気機械変換素子のP−Eヒステリシスループの一例を示す特性図である。図11(a)は分極処理前の電気機械変換素子のP−Eヒステリシスループを示し、図11(b)は分極処理後の電気機械変換素子のP−Eヒステリシスループを示している。
図11(a)及び(b)の例では、電気機械変換素子に±150[kV/cm]の電界を形成するように電圧を印加してヒステリシスループを測定している。この場合において、電圧を印加する前の電界が0[kV/cm]のときの分極をPiniとし、+150[kV/cm]の電界を形成する電圧を印加した後に電界を0[kV/cm]まで戻したときの0[kV/cm]時の分極をPrとする。
ここで、上記2つの分極の差:Pr−Piniの値を分極率として定義する。この分極率により、分極の状態が適切であるか否かを判断することができる。具体的には、図11(b)に示すように、分極処理を行った後の電気機械変換素子については、分極率Pr−Piniの値は所定値以下になっていることが好ましい。例えば、10[μC/cm]以下となっていることが好ましく、5[μC/cm]以下となっていることがさらに好ましい。Pr−Piniの値が十分に小さくなっていない場合は、分極が十分になされておらず、電気機械変換素子の所定駆動電圧に対する変形量(表面変位量)が安定しない状態となる。
図12は、分極処理前後における電気機械変換膜を構成する圧電体結晶内の分極の方向の変化を模式的に示す説明図である。図12(a)は分極処理前の圧電体結晶内の分極の方向を示し、(b)は分極処理後の圧電体結晶内の分極の方向を示している。図12(a)に示すように、電気機械変換素子を構成する電気機械変換膜に含まれる圧電体結晶は、生成された段階では結晶粒の自発分極がバラバラの方向を向いているため、全体では打ち消しあって、外部に分極を示さない。そこで、所定の温度(キュリー温度)以上に加熱しつつ外部から電界を加え、その後、ゆっくり冷やしていくという工程(分極処理工程)を繰り返す。この分極処理工程の繰り返しにより、図12(b)に示すように、結晶粒の自発分極が一方向に揃ったドメインの集合体となり、電気機械変換膜を構成する圧電体結晶の全体が所定の分極方向を持つようになる。
〔実施形態2〕
次に、上記構成のコロナ放電装置70を用いて分極処理した電気機械変換素子を搭載した液滴吐出ヘッドについて説明する。
本実施形態に係る液滴吐出ヘッドは、液滴を吐出するノズルと、ノズルが連通する加圧液室と、加圧液室内の液体を昇圧させる圧力発生手段(吐出駆動手段)としてのアクチュエータ素子と、を備えている。このアクチュエータ素子が、上記コロナ放電装置70を用いて分極処理した電気機械変換素子である。以下、液滴吐出ヘッドの具体的な構成例について、図面を参照して説明する。
図13は、本実施形態に係る液滴吐出ヘッドの一構成例を示す断面図である。また、図14は、図13の液滴吐出ヘッドを複数個配置した構成の断面図である。
図13に示すように、本実施形態に係る液滴吐出ヘッド20は、基板21の部分に加圧液室81が形成され、加圧液室81の下端部分には、液滴を吐出するノズル82が設けられたノズル板83が配置されている。また、圧力発生手段(吐出駆動手段)としてのアクチュエータ素子である電気機械変換素子26は、下地膜(振動板)22上に、第1の電極23と、電気機械変換膜24と、第2の電極25とが積層されて形成されている。そして、電気機械変換素子26に電圧が印加され、電気機械変換膜24が変形(表面変位)すると、下地膜(振動板)22が変形(表面変位)して加圧液室81内の液体を液滴としてノズル82から吐出するように構成されている。また、図14に示すように液滴吐出ヘッド20を複数個配列した構成とすることもできる。なお、図中には液体供給手段、流路、流体抵抗についての説明は省略した。
以上のように構成された液滴吐出ヘッド20においては、上述したコロナ放電装置70で分極処理が施された電気機械変換素子26を備えているため、予め十分に分極処理を施されており、分極率(Pr−Pini)の低い電気機械変換素子26となっている。このため、所定の駆動電圧に対して電気機械変換素子26が安定した変形を示し、その結果、液滴吐出ヘッド20も安定した液滴吐出を行うことが可能になる。
〔実施形態3〕
次に、上記実施形態2で説明した液滴吐出ヘッドを搭載した液滴吐出装置について説明する。
図15は、上記構成の液滴吐出ヘッドを搭載した画像形成装置の一構成例を示す側面図である。図15に示すように、画像形成装置としての記録装置50はブラック(B)とシアン(C)とマゼンタ(M)とイエロー(Y)の4色にそれぞれ対応した液滴吐出ヘッド1B,1C,1M,1Yを有する。各液滴吐出ヘッド1には維持機構装置51があり、パージ処理、ワイピング処理などの保全動作時には液滴吐出ヘッド1のノズル面に対向する位置に移動する。この液滴吐出ヘッド1は記録媒体としての記録紙30の印字領域幅以上の長さのノズル列を有するライン型からなる。給紙トレイ52は圧板53と、記録紙30を給紙する給紙回転体54がベース55に取り付けられている。圧板53はベース55に取り付けられた回転軸を中心に揺動可能であり、圧板ばね56により給紙回転体54に押圧される。給紙回転体54と対向する圧板53の部位には記録紙30の重送を防止するため、人工皮等の摩擦係数の大きい材質からなる不図示の分離パッドが設けられている。また、圧板53と給紙回転体54の当接を解除する不図示のリリースカムが設けられている。
上記構成の記録装置50で、待機状態ではリリースカムが圧板53を所定位置まで押し下げている。これにより圧板53と給紙回転体54の当接は解除される。この状態で搬送ローラ57の有する駆動力がギヤ等により給紙回転体54及びリリースカムに伝達されると、リリースカムが圧板53から離れて圧板53は上昇して記録紙30が給紙回転体54に当接する。そして、給紙回転体54の回転に伴い記録紙30はピックアップされ給紙を開始し、不図示の分離爪によって1枚ずつ分離される。給紙回転体54は記録紙30をプラテン58に送り込むべく回転する。記録紙30はガイド59,60の間を通過して搬送ローラ57まで導かれプラテン58まで搬送される。その後、再び記録紙30と給紙回転体54との当接を解除した待機状態となって搬送ローラ57からの駆動力が切られる。また、手差しトレイ61から供給された記録紙30も回転給紙体62により搬送ローラ57からプラテン58まで搬送される。プラテン58まで搬送された記録紙30は液滴吐出ヘッド1B,1C,1M,1Yにより紙搬送速度と液滴吐出のタイミングを制御された信号に基づき所望の画像が形成される。画像が記録された記録紙30は排紙ローラ63と拍車64とにより搬送されて排紙トレイ65に排出される。
このようにライン型の液滴吐出ヘッド1B,1C,1M,1Yを使用して記録紙30に所望の画像を迅速に形成することができる。
次に液滴吐出ヘッド1を搭載した他の記録装置について図面を参照して説明する。
図16は液滴吐出ヘッドを搭載した記録装置の他の構成例を示す斜視図であり、図17は同記録装置の機構部の構成例を示す側面図である。
記録装置100は、装置本体の内部に印字機構部103等を収納し、装置本体の下方部には前方側から多数枚の記録紙30を積載可能な給紙カセット(或いは給紙トレイでもよい)104を抜き差し自在に装着されている。また、記録紙30を手差しで給紙するために開かれる手差しトレイ105を有している。給紙カセット104あるいは手差しトレイ105から給送される記録紙30を取り込み、印字機構部103によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ106に排紙する。
印字機構部103は、主走査方向に移動可能なキャリッジ101とキャリッジ101に搭載した液滴吐出ヘッド1及び液滴吐出ヘッド1に対してインクを供給するインクカートリッジ102等で構成される。また、印字機構部103は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド107と従ガイドロッド108とでキャリッジ101を主走査方向に摺動自在に保持する。このキャリッジ101にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する液滴吐出ヘッド1を複数のインク吐出口(ノズル)を主走査方向と交差する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。また、キャリッジ101には液滴吐出ヘッド1に各色のインクを供給するための各インクカートリッジ102を交換可能に装着している。
インクカートリッジ102は上、方に大気と連通する大気口、下方には液滴吐出ヘッド1へインクを供給する供給口が設けられている。インクカートリッジ102の内部にはインクが充填された多孔質体を有しており、多孔質体の毛管力により液滴吐出ヘッド1へ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。また、液滴吐出ヘッド1としては各色の液滴吐出ヘッド1を用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個の液滴吐出ヘッドでもよい。
ここでキャリッジ101は後方側(用紙搬送方向下流側)を主ガイドロッド107に摺動自在に嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッド108に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ101を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ109で回転駆動される駆動プーリ110と従動プーリ111との間にタイミングベルト112を張装し、このタイミングベルト112をキャリッジ101に固定している。これにより、主走査モータ109の正逆回転によりキャリッジ101が往復駆動される。
一方、給紙カセット104にセットした記録紙30を液滴吐出ヘッド1の下方側に搬送するために、給紙カセット104から記録紙30を分離給装する給紙ローラ113及びフリクションパッド114と、記録紙30を案内するガイド部材115とを有する。また、給紙された記録紙30を反転させて搬送する搬送ローラ116と、この搬送ローラ116の周面に押し付けられる搬送コロ117及び搬送ローラ116からの記録紙30の送り出し角度を規定する先端コロ118とを有する。搬送ローラ116は副走査モータによってギヤ列を介して回転駆動される。
そして、キャリッジ101の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ116から送り出された記録紙30を液滴吐出ヘッド1の下方側で案内するため用紙ガイド部材である印写受け部材119を設けている。この印写受け部材119の用紙搬送方向下流側には、記録紙30を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ120と拍車121とを設けている。さらに記録紙30を排紙トレイ106に送り出す排紙ローラ123と拍車124と、排紙経路を形成するガイド部材125,126とを配設している。
上記構成の記録装置100で記録時には、キャリッジ101を移動させながら画像信号に応じて液滴吐出ヘッド1を駆動することにより、停止している記録紙30にインクを吐出して1行分を記録し、その後、記録紙30を所定量搬送後次の行の記録を行う。記録終了信号または記録紙30の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ記録紙30を排紙する。
また、キャリッジ101の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、液滴吐出ヘッド1の吐出不良を回復するための回復装置127を配置している。回復装置127はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手段とを有している。キャリッジ101は印字待機中にはこの回復装置127側に移動されてキャッピング手段で液滴吐出ヘッド1をキャッピングして吐出口部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段で液滴吐出ヘッド1の吐出口(ノズル)を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い出す。このように、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜(不図示)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。このように、本実施形態の記録装置100においては回復装置127を備えているので、液滴吐出ヘッド1の吐出不良が回復されて、安定したインク滴吐出特性が得られ、画像品質を向上することができる。
なお、本実施形態では、記録装置50,100に液滴吐出ヘッド1を使用した場合について説明したが、インク以外の液滴、例えば、パターニング用の液体レジストを吐出する装置に液滴吐出ヘッド1を適用してもよい。
以上、本実施形態の記録装置(画像形成装置)50,100では、本発明に係る液体吐出ヘッドを記録ヘッドとして備えるので、高画質の画像を安定して形成することができる。
なお、上述した実施形態において、「用紙」とは材質を紙に限定するものではなく、OHP、布、ガラス、基板などを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味である。被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含む。また、画像形成、記録、印字、印写、印刷はいずれも同義語とする。
また、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味する。また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。
また、「インク」とは、特に限定しない限り、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用いる。例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。
また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
また、画像形成装置には、特に限定しない限り、シリアル型画像形成装置及びライン型画像形成装置のいずれも含まれる。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
コロナ電極71などの主放電電極と、コロナ電極71と電気機械変換素子26などの処理対象物との間に設けられたグリッド電極73などの放電制御電極とを備えたコロナ放電装置70などの放電装置であって、主放電電極は、処理対象物の表面に沿った方向に複数並設され、互いに隣接する複数の主放電電極の間を電気的に遮蔽する遮蔽グリッド電極731などの遮蔽部を備える。
これによれば、上記実施形態1について説明したように、主放電電極が複数並設されているため、複数の主放電電極それぞれと処理対象物の表面との間に放電を一括して発生させることができる。また、複数の主放電電極それぞれと処理対象物との間に放電を制御するための放電制御電極が設けられているので、各主放電電極で発生させる放電が安定する。従って、処理対象物の表面に対して均一な放電処理を一括して行って均一な電荷付与ができるため、生産性を高めることができる。また、遮蔽部により、互いに隣接する複数の主放電電極の間を電気的に遮蔽している。この電気的な遮蔽により、互いに隣接する複数の主放電電極のうち一方の主放電電極から延びる電気力線と他方の主放電電極から延びる電気力線とが互いに電気的に遮蔽された状態で形成される。これにより、互いに隣接する複数の主放電電極の間の境界領域において、各主放電電極からの電気力線の分布が互いに干渉しあって変動する相互干渉が抑制できる。この相互干渉の抑制により、各主放電電極における放電状態がより安定するので、上記処理対象物の表面に対する均一な放電処理による電荷付与を安定化させることができる。以上のように、高い生産性を得るとともに処理対象物の表面に対して均一で安定した電荷付与を行うことができる。
(態様B)
上記態様Aにおいて、放電制御電極及び遮蔽部は一体的に形成された構造体である。これによれば、上記実施形態1について説明したように、放電制御電極と遮蔽部とを個別に位置決めする必要がなく、また、部品点数が少なくて済むため低コスト化を図ることができる。
(態様C)
上記態様A又はBにおいて、複数の主放電電極はそれぞれワイヤー形状の電極であり、複数の主放電電極に対応する複数の放電発生領域それぞれにおいて、主放電電極と処理対象物の表面との距離が長い箇所ほど、処理対象物と放電制御電極との距離が短くなるように、放電制御電極が形成されている。これによれば、上記実施形態1について説明したように、処理対象物の表面に対して付与される電荷量を更に均一にし、処理対象物の表面の単位電面積あたりの電荷量及び表面電位のばらつきをより小さくすることができる。
(態様D)
上記態様A乃至Cのいずれかにおいて、電気機械変換膜などの処理対象物を載置して保持するステージ75などの保持部材と、処理対象物を加熱する電熱線等からなる加熱機構753などの加熱手段と、を更に備えた。これによれば、上記実施形態1について説明したように、保持部材に設置された処理対象物を温度制御しながら放電処理を施すことが可能となり、処理対象物として電気機械変換膜の分極処理を行う場合に分極処理の処理速度を高めることができる。
(態様E)
上記態様Dにおいて、保持部材は、導電性材料で形成され、接地されている。これによれば、上記実施形態1について説明したように、保持部材を接地することにより、保持部材で保持されている処理対象物と主放電電極との間に形成される電界強度の制御が容易になる。従って、処理対象物の表面に対してより均一で安定した電荷付与を行うことができ、処理対象物の表面の単位電面積あたりの電荷量及び表面電位のばらつきをより小さくすることができる。
(態様F)
基板21または下地膜22上に第1の電極23、電気機械変換膜24及び第2の電極25が積層された構造を有する電気機械変換素子26に対して、分極処理を行う分極処理方法であって、上記態様A乃至Eのいずれかの放電装置を用いて、第1の電極23又は第2の電極25のいずれか一方に接続された電極パッドなどの端子電極に電荷を付与し、電気機械変換膜24の分極処理を行う。これによれば、上記実施形態1について説明したように、電気機械変換素子26の生産性を高めつつ、第1の電極23又は第2の電極25のいずれか一方に接続された端子電極の表面に対して均一で安定した電荷付与を行うことができる。従って、電気機械変換膜24の分極処理を安定して行うことができる。特に、複数の電気機械変換素子26について分極処理する場合、複数の電気機械変換素子26に対応する複数の端子電極の表面に対して均一で安定した電荷付与を行うことができる。よって、容易に複数の電気機械変換素子26を一括で分極処理することが可能となる。
(態様G)
基板21または下地膜22上に第1の電極23、電気機械変換膜24及び第2の電極25が積層された構造を有する電気機械変換素子26であって、上記態様A乃至Eのいずれかの放電装置を用いて、電気機械変換膜が分極処理されている。これによれば、上記実施形態1について説明したように、電気機械変換素子26を放電によって分極処理することにより、自発分極を固定化するピニングを発生させやすく、経時における分極特性の変化を小さくすることができる。
(態様H)
液滴を吐出するノズル82と、ノズル82が連通する加圧液室81と、加圧液室81内の液体を昇圧させる圧力発生手段と、を備えた液滴吐出ヘッド20であって、上記圧力発生手段として、上記態様Gの電気機械変換素子26を備える。これによれば、上記実施形態2について説明したように、液滴吐出ヘッド20は、分極特性の変化が小さい電気機械変換素子26を搭載しているので、液滴の吐出特性の変化を小さくすることができる。
(態様I)
画像形成用の液滴を吐出して画像を形成する記録装置50などの画像形成装置であって、画像形成用の液滴を吐出する液滴吐出ヘッドとして、上記態様Hの液滴吐出ヘッドを備える。これによれば、上記実施形態3について説明したように、画像形成物質としての液滴の吐出特性の変化が小さい液滴吐出ヘッド20を搭載しているので、画像品質の劣化を小さくすることができる。
20 液滴吐出ヘッド
21 基板
22 下地膜(振動板)
23 第1の電極
24 電気機械変換膜
25 第2の電極
26 電気機械変換素子(アクチュエータ素子)
30 記録紙
50 記録装置
70 コロナ放電装置
71 コロナ電極
73 グリッド電極
75 ステージ
76 アース線
81 加圧液室
82 ノズル
100 記録装置
731 遮蔽グリッド電極
753 加熱機構(電熱線)
特開2006−203190号公報

Claims (5)

  1. 主放電電極と、前記主放電電極と処理対象物との間に設けられた放電制御電極とを備えた放電装置であって、
    前記主放電電極は、前記処理対象物の表面に沿った方向に複数並設され、
    互いに隣接する前記複数の主放電電極の間を電気的に遮蔽する遮蔽部を備え
    前記複数の主放電電極はそれぞれワイヤー形状の電極であり、
    前記複数の主放電電極に対応する複数の放電発生領域それぞれにおいて、該主放電電極と前記処理対象物の表面との距離が長い箇所ほど、該処理対象物と前記放電制御電極との距離が短くなるように、該放電制御電極が形成されていることを特徴とする放電装置。
  2. 請求項1の放電装置において、
    前記放電制御電極及び前記遮蔽部は一体的に形成された構造体であることを特徴とする放電装置
  3. 求項1又は2の放電装置において、
    前記処理対象物を載置して保持する保持部材と、
    前記処理対象物を加熱する加熱手段と、を更に備えたことを特徴とする放電装置。
  4. 請求項の放電装置において、
    前記保持部材は、導電性材料で形成され、接地されていることを特徴とする放電装置。
  5. 基板または下地膜上に第1の電極、電気機械変換膜及び第2の電極が積層された構造を有する電気機械変換素子に対して、分極処理を行う分極処理方法であって、
    請求項1乃至のいずれかの放電装置を用いて、前記第1の電極又は前記第2の電極のいずれか一方に接続された端子電極に電荷を付与し、前記電気機械変換膜の分極処理を行うことを特徴とする分極処理方法
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