JP5814157B2 - ノズル面清掃装置及びノズル面清掃方法並びにインクジェット記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ノズル面清掃装置及びノズル面清掃方法並びにインクジェット記録装置に関し、特に払拭部材によりインクジェットヘッドのノズル面を払拭するヘッドクリーニング技術に関する。
インクジェット記録装置では、ヘッドのノズル面(ノズルが形成されている面)が汚れていると、吐出不良を生じる。このため、定期的にノズル面の清掃が行われる。
ノズル面を清掃する方法としては、従来、ブレードでノズル面を払拭して清掃する方法や、ウェブでノズル面を払拭して清掃する方法などが知られている。
特許文献1には、液体吐出ヘッドのノズル面に洗浄液を供給し、ノズル面と払拭部材とを相対的に移動させることで、ノズル面を摺動して払拭する技術が開示されている。
また特許文献2には、プリントヘッドのノズル面に付着している液体を払拭する際に、ノズル面に押し当った状態で回転するクリーニングローラをプリントヘッドに対して相対的に移動させる技術が開示されている。
特開2010―188707号公報 特開平11−170566号公報
ノズル面の払拭において、払拭圧力の大小によってノズルの吐出状態に大きな差が出てしまうため、払拭圧力の制御は重要である。例えば、払拭圧力が弱い場合には、ノズル面に汚れや洗浄液が残留してしまう。逆に、払拭圧力が強い場合には、ノズル面の撥液膜を劣化させたり、ノズル孔内部に汚れ等の押し込みを発生させてしまうことがある。
また、メンテナンスユニット精度やバー精度等により機器毎に払拭圧力に差が出ることで、機器毎の吐出性能に差が出たり、メンテナンス毎に払拭圧力に差が出ることで、メンテナンス毎の吐出性能に差が出ることも考えられる。
しかしながら、特許文献1や特許文献2においては、ノズル面の払拭の際の払拭圧力が規定されておらず、ノズル面にどの程度の圧力がかかっているのかを判断することができないという問題点があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、メンテナンスにおいて、機器毎やメンテナンス毎にかかわらず、常に同じ圧力で安定してインクジェットヘッドのノズル面を払拭することで、ノズルの吐出安定性を向上させることができるノズル面清掃装置及びノズル面清掃方法並びにインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するためにノズル面清掃装置の一の態様は、インクジェットヘッドのノズル面を払拭部材により清掃するノズル面清掃装置において、ノズル面と払拭部材とを相対的に昇降させる昇降手段と、ノズル面と同一の平面を形成する検知面を有し、検知面と払拭部材との当接を検知する検知手段と、払拭部材とノズル面とをノズル面に沿って相対的に移動させる払拭手段と、検知手段の検知結果に基づいて昇降手段の昇降を停止させ、該昇降停止位置において払拭手段による払拭を行わせる制御手段とを備えた。
上記目的を達成するためにノズル面清掃装置の一の態様は、インクジェットヘッドのノズル面を払拭部材により清掃するノズル面清掃装置において、ノズル面と払拭部材とを相対的に昇降させる昇降手段と、ノズル面と払拭部材との当接を検知する検知手段と、払拭部材とノズル面とをノズル面に沿って相対的に移動させる払拭手段と、検知手段の検知結果に基づいて昇降手段の昇降を停止させ、該昇降停止位置において払拭手段による払拭を行わせる制御手段と、払拭部材をノズル面に押圧する押圧部材と、押圧部材を付勢する付勢手段とを備え、検知手段は、押圧部材に備えられる。
上記目的を達成するためにノズル面清掃方法の一の態様は、インクジェットヘッドのノズル面を払拭部材により清掃するノズル面清掃方法において、ノズル面と払拭部材とを相対的に昇降させる昇降工程と、ノズル面と同一の平面を形成する検知面と払拭部材との当接を検知する検知工程と、払拭部材とノズル面とをノズル面に沿って相対的に移動させる払拭工程と、検知工程の検知結果に基づいて昇降工程を停止させ、該昇降停止位置において払拭工程による払拭を行わせる制御工程とを備えた。
上記目的を達成するためにノズル面清掃方法の一の態様は、インクジェットヘッドのノズル面を払拭部材により清掃するノズル面清掃方法において、ノズル面と払拭部材とを相対的に昇降させる昇降工程と、払拭部材を押圧部材によりノズル面に押圧する押圧工程と、押圧部材を付勢手段により付勢する付勢工程と、ノズル面と払拭部材との当接を押圧部材に備えられた検知手段により検知する検知工程と、払拭部材とノズル面とをノズル面に沿って相対的に移動させる払拭工程と、検知工程の検知結果に基づいて昇降工程を停止させ、該昇降停止位置において払拭工程による払拭を行わせる制御工程とを備えた。
前記目的を達成するためにノズル面清掃装置の一の態様は、インクジェットヘッドのノズル面を払拭部材により清掃するノズル面清掃装置において、ノズル面と払拭部材とを相対的に昇降させる昇降手段と、払拭部材の当接を検知する検知手段と、払拭部材とノズル面とをノズル面に沿って相対的に移動させる払拭手段と、検知手段の検知結果に基づいて昇降手段の昇降を停止させ、該昇降停止位置において払拭手段による払拭を行わせる制御手段とを備えた。
本態様によれば、払拭部材の当接を検知する検知手段の検知結果に基づいて昇降手段の昇降を停止させ、昇降停止位置において払拭手段による払拭を行うようにしたので、常に同じ圧力で安定してインクジェットヘッドのノズル面を払拭することができ、その結果、ノズルの吐出安定性を向上させることができる。
検知手段は、ノズル面と同一の平面を形成する検知面を有することが好ましい。これにより、適切に払拭部材の当接を検知することができる。
検知手段は、検知面に払拭部材による押圧を検出する圧力センサを有し、制御手段は、検出された圧力が所定の値となったときに昇降手段の昇降を停止させることが好ましい。これにより、適切に所望の押圧力に制御することができる。
払拭部材を払拭部材に対向する面に押圧する押圧部材と、押圧部材を付勢する付勢手段とを備え、検知手段は、押圧部材に備えられてもよい。これにより、適切に払拭部材の当接を検知することができる。
検知手段は、付勢手段の変形量に基づいて払拭部材の当接を検知することが好ましい。これにより、適切に払拭部材の当接を検知することができる。
検知手段は、受光センサと、押圧部材に備えられた遮光部材であって、付勢手段の変形量が所定の量になると受光センサの受光部を遮る遮光部材とを備え、制御手段は、受光センサの遮光を検出したときに昇降手段の昇降を停止させることが好ましい。これにより、適切に所望の押圧力に制御することができる。
昇降手段は、払拭部材を上昇させることで払拭部材をノズル面に当接させることが好ましい。これにより、インクジェットヘッドを昇降させることなく、下方に面したノズル面を適切に払拭することができる。
払拭部材を長手方向に所定の搬送経路に沿って走行させる払拭部材走行駆動手段を備え、払拭手段は、ノズル面に押圧当接された払拭部材が払拭部材走行駆動手段により走行しながらノズル面に沿って摺動するように払拭部材とノズル面とを相対的に移動させることが好ましい。これにより、適切にノズル面を清掃することができる。
前記目的を達成するためにインクジェット記録装置の一の態様は、記録媒体を搬送する搬送手段と、搬送手段によって搬送される記録媒体にインク滴を吐出して画像を記録するインクジェットヘッドと、インクジェットヘッドのノズル面を清掃する上記のノズル面清掃装置とを備えた。
本態様によれば、常に同じ圧力で安定してインクジェットヘッドのノズル面を払拭することができ、その結果、ノズルの吐出安定性を向上させることができる。
インクジェットヘッドは、記録媒体の搬送経路上に複数配置されるとともに、インクジェットヘッド毎にノズル面清掃装置が設けられることが好ましい。
これにより、適切に各インクジェットヘッドのノズル面を清掃することができる。
前記目的を達成するためにノズル面清掃方法の一の態様は、インクジェットヘッドのノズル面を払拭部材により清掃するノズル面清掃方法において、ノズル面と払拭部材とを相対的に昇降させる昇降工程と、払拭部材の当接を検知する検知工程と、払拭部材とノズル面とをノズル面に沿って相対的に移動させる払拭工程と、検知工程の検知結果に基づいて昇降工程を停止させ、該昇降停止位置において払拭工程による払拭を行わせる制御工程とを備えた。
本態様によれば、常に同じ圧力で安定してインクジェットヘッドのノズル面を払拭することができ、その結果、ノズルの吐出安定性を向上させることができる。
本発明によれば、機器毎やメンテナンス毎にかかわらず、常に同じ圧力で安定してインクジェットヘッドのノズル面を払拭することで、吐出安定性を向上させることができる。
インクジェット記録装置の構成図 ヘッドの構造例を示す平面透視図 ヘッドの他の構造例を示す平面透視図 液滴吐出素子の立体的構成を示す断面図 ヘッドのノズル配列の拡大図 メンテナンス部の斜視図 清掃装置の構成例を示す図 押圧ローラの軸部を支持する軸支持部の構成を示す図 本実施形態に係るインクジェット記録装置のシステム構成を示す要部ブロック図 ヘッドメンテナンスのシーケンスを示したフローチャート 各工程におけるヘッドと押圧ローラとの位置関係を示す模式図 押圧ローラの軸部を支持する軸支持部の構成を示す図
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施形態について詳説する。
<インクジェット記録装置の全体構成>
図1は、本実施形態に係るインクジェット記録装置の構成図である。このインクジェット記録装置100は、インク打滴部108の圧胴126cに保持された記録媒体114(便宜上「用紙」と呼ぶ場合がある。)に直接的に複数色のインクを打滴して所望のカラー画像を形成する圧胴直描方式のインクジェット記録装置であり、インク及び処理液(ここでは凝集処理液)を用いて、枚葉紙からなる記録媒体114上に画像形成を行う2液反応(凝集)方式が適用されたオンデマンドタイプの画像形成装置である。
インクジェット記録装置100は、主として、記録媒体114を供給する給紙部102と、記録媒体114に対して浸透抑制剤を付与する浸透抑制剤付与部104と、記録媒体114に処理液を付与する処理液付与部106と、記録媒体114にインクを打滴するインク打滴部108と、記録媒体114上に形成された画像を定着させる定着部110と、画像が形成された記録媒体114を搬送して排出する排紙部112を備えて構成される。
また、図1には示されていないが、インク打滴部108の脇(図1の紙面手前方向)には、インク打滴ヘッド140C、140M、140Y、140Kのクリーニング(メンテナンス)を行うためのメンテナンス部(図6の符号70参照)が設けられている。
給紙部102の給紙台120に積載された記録媒体114は上から順に1枚ずつフィーダボード122に送り出され、渡し胴124aを介して、浸透抑制剤付与部104の圧胴(浸透抑制剤ドラム)126aに受け渡される。
圧胴126aの周面には、記録媒体114の先端を保持する保持爪115a,115b(グリッパ)が形成されており、渡し胴124aから圧胴126aに受け渡された記録媒体114は、保持爪115a,115bによって先端を保持されながら圧胴126a上に巻きつけられた状態で圧胴126aの回転方向(図1において反時計回り方向)に搬送される。他の圧胴126b〜126dについても同様な構成が適用される。また、渡し胴124aの周面には、記録媒体114の先端を圧胴126aの保持爪115a,115bに受け渡す部材116が形成されている。他の渡し胴124b〜124dについても同様な構成が適用される。
浸透抑制剤付与部104には、圧胴126aの回転方向(図1において反時計回り方向)の上流側から順に、圧胴126aの表面に対向する位置に、用紙予熱ユニット128、浸透抑制剤吐出ヘッド130、及び浸透抑制剤乾燥ユニット132がそれぞれ設けられている。
浸透抑制剤付与部104に続いて処理液付与部106が設けられている。浸透抑制剤付与部104の圧胴126a(浸透抑制剤ドラム)に保持された記録媒体114は、浸透抑制剤が付与された後、渡し胴124bを介して処理液付与部106の圧胴126b(処理液ドラム)に受け渡される。
処理液付与部106には、圧胴126bの回転方向(図1において反時計回り方向)の上流側から順に、圧胴126bの表面に対向する位置に、用紙予熱ユニット134、処理液吐出ヘッド136、及び処理液乾燥ユニット138がそれぞれ設けられている。
処理液付与部106に続いてインク打滴部108が設けられている。処理液付与部106の圧胴126bに保持された記録媒体114は、処理液が付与されて固体状又は半固溶状の凝集処理剤層が形成された後に、渡し胴124cを介してインク打滴部108の圧胴126c(描画ドラム)に受け渡される。
インク打滴部108には、圧胴126cの回転方向(図1において反時計回り方向)の上流側から順に、圧胴126cの表面に対向する位置に、CMYKの4色のインクにそれぞれ対応したインク打滴ヘッド140C、140M、140Y、140Kが並んで設けられており、更に、その下流側に溶媒乾燥ユニット142a、142bが設けられている。各インク打滴ヘッド140C、140M、140Y、140Kを圧胴126cの周囲に円弧状に配置することで、打滴距離に起因する着弾位置精度が確保され高品位画像の形成が可能となる。
インク貯蔵/装填部(不図示)は、各色のインクを貯蔵するインクタンクを含んで構成され、各インクタンクは所要の流路を介してそれぞれ対応するヘッドと連通されている。各インクタンクから各インク打滴ヘッド140C、140M、140Y、140Kにインクが供給され、画像信号に応じて各インク打滴ヘッド140C、140M、140Y、140Kから記録媒体114に対してそれぞれ対応する色のインクが打滴される。
本例の各インク打滴ヘッド140C、140M、140Y、140Kは、圧胴126cに保持される記録媒体114の画像形成領域の最大幅に対応する長さを有し、そのインク吐出面(ノズル面)には画像形成領域の全幅にわたってインク吐出用のノズル(図1中不図示)が複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている(図2参照)。各インク打滴ヘッド140C、140M、140Y、140Kは、圧胴126cの回転方向(記録媒体114の搬送方向)と直交する方向(主走査方向)に延在するように設置される。 記録媒体114の画像形成領域の全幅をカバーするノズル列を有するフルラインヘッドがインク色毎に設けられる構成によれば、圧胴126cによって記録媒体114を一定の速度で搬送し、この搬送方向(副走査方向)について、記録媒体114と各インク打滴ヘッド140C、140M、140Y、140Kを相対的に移動させる動作を1回行うだけで(即ち1回の副走査で)、記録媒体114の画像形成領域に画像を記録することができる。かかるフルライン型(ページワイド)ヘッドによるシングルパス方式の画像形成は、記録媒体の搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に往復動作するシリアル(シャトル)型ヘッドによるマルチパス方式を適用する場合に比べて高速印字が可能であり、プリント生産性を向上させることができる。
本例では、CMYKの4色の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて、R(赤)、G(緑)、B(青)インク、淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
溶媒乾燥ユニット142a、142bは、既述の用紙予熱ユニット128、134や浸透抑制剤乾燥ユニット132、処理液乾燥ユニット138と同様の構成が採用される。凝集処理剤層上にインクが打滴されると、記録媒体114上にはインク凝集体(色材凝集体)が形成されるとともに、色材と分離されたインク溶媒が広がり、凝集処理剤が溶解した液体層が形成される。この記録媒体114上に残った溶媒成分(液体成分)は、記録媒体114のカールだけでなく、画像劣化を招く要因となるため、溶媒乾燥ユニット142a、142bによって、溶媒成分を蒸発させ、乾燥を行っている。
インク打滴部108に続いて定着部110が設けられている。インク打滴部108の圧胴126cに保持された記録媒体114は、各色インクが打滴された後(インクによる描画後)に、渡し胴124dを介して定着部110の圧胴126dに受け渡される。
定着部110には、圧胴126dの回転方向(図1において反時計回り方向)の上流側から順に、圧胴126dの表面に対向する位置に、印字結果を読み取るインライン検出部144、加熱ローラ148a、148bがそれぞれ設けられている。 インライン検出部144は、出力画像を読み取る読取手段としてのイメージセンサを含む。インライン検出部144は、インク打滴部108の印字結果(各インク打滴ヘッド140C、140M、140Y、140Kの打滴結果)を撮像し、読み取った打滴画像からノズルの目詰まりその他の吐出不良をチェックする手段として機能するとともに、濃度情報を取得する濃度測定手段、色情報を取得する測色手段として機能する。
本例では、記録媒体114の画像記録領域又は非画像部にカラーパッチやラインパターンなどのテストパターンを形成し、インライン検出部144によってこのテストパターンを読み取り、その読取結果に基づいて、色情報の取得(測色)や濃度むらの検出、各ノズルについて吐出異常の有無の判定など、インライン検出が行われるように構成されている。
定着部110に続いて排紙部112が設けられている。排紙部112には、画像が定着された記録媒体114を受ける排紙胴150と、該記録媒体114を積載する排紙台152と、排紙胴150に設けられたスプロケットと排紙台152の上方に設けられたスプロケットとの間に掛け渡され、複数の排紙用グリッパ(不図示)を備えた排紙用チェーン154とが設けられている。
〔ヘッドの構造〕
次に、ヘッドの構造について説明する。各ヘッド140C、140M、140Y、140Kの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によってヘッドを示すものとする。
図2(A) はヘッド50の構造例を示す平面透視図、図2(B)はヘッド50の下端領域の正面図、図2(C) はヘッド50の一部の拡大図である。また、図3はヘッド50の他の構造例を示す平面透視図、図4は記録素子単位となる1チャンネル分の液滴吐出素子(1つのノズル51に対応したインク室ユニット)の立体的構成を示す断面図(図2中のA−A線に沿う断面図)である。
図2に示すように、本例のヘッド50には、インク吐出口であるノズル51が、ヘッド50の記録媒体114と対向するノズル面50Aの画像形成領域の全幅にわたって複数配列されている。これにより、ヘッド長手方向(記録媒体114の送り方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影(正射影)される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
記録媒体114の送り方向(矢印S方向;副走査方向)と略直交する方向(矢印M方向;主走査方向)に記録媒体114の全幅Wmに対応する長さ以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図2(A)の構成に代えて、図3に示すように、複数のノズル51が2次元に配列された短尺のヘッドモジュール50’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録媒体114の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッド50を構成してもよい。
また、ヘッド50のヘッド長手方向に隣接する位置(図2(A)においてヘッド50の右側)には、ダミーヘッド60が一体に配置されている。図2(B)に示すように、ヘッド50のノズル面50Aとダミーヘッド60の記録媒体114と対向する下面60A(検知面の一例)とは、同一平面を形成している。即ち、下面60Aは、ノズル面50Aの延長上に設けられている。
このダミーヘッド60には、下面60Aに対する押圧力を測定するためのタクタイルセンサ(圧力センサ)62が配置されている。本実施形態では、ダミーヘッド60の下面60Aと圧力センサ62とによって、検知手段を構成している。
ここでは、ヘッド50とダミーヘッド60とを別個の部材として形成しているが、ヘッドとダミーヘッドとを一体に設けてもよい。例えば、ヘッド50のノズル面50Aの長手方向の延長上に、ノズルの形成されていない面を形成し、この面をダミーヘッドの下面60Aと同様の面として扱う態様も可能である。
各ノズル51に対応して設けられている圧力室52は、その平面形状が概略正方形となっており(図2(A)、(B) 参照)、対角線上の両隅部の一方にノズル51への流出口が設けられ、他方に供給インクの流入口(供給口)54が設けられている。なお、圧力室52の形状は、本例に限定されず、平面形状が四角形(菱形、長方形など)、五角形、六角形その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。
図4に示したように、ヘッド50は、ノズルプレート51P、流路板52P、及び振動板56等を積層接合した構造から成る。ノズルプレート51Pは、ヘッド50のノズル面50Aを構成し、各圧力室52にそれぞれ連通する複数のノズル51が2次元的に形成されている。
流路板52Pは、圧力室52の側壁部を構成するとともに、共通流路55から圧力室52にインクを導く個別供給路の絞り部(最狭窄部)としての供給口54を形成する流路形成部材である。なお、説明の便宜上、図4では簡略的に表示しているが、流路板52Pは一枚又は複数の基板を積層した構造である。
振動板56は、圧力室52の一壁面(図4の上面)を構成するとともに、ステンレス鋼(SUS)やニッケル(Ni)導電層付きのシリコン(Si)などの導電性材料から成り、各圧力室52に対応して配置される複数のアクチュエータ(ここでは、圧電素子)58の共通電極を兼ねる。なお、樹脂などの非導電性材料によって振動板を形成する態様も可能であり、この場合は、振動板部材の表面に金属などの導電材料による共通電極層が形成される。
振動板56の圧力室52側と反対側(図4において上側)の面には、各圧力室52に対応する位置に圧電体59が設けられており、該圧電体59の上面(共通電極を兼ねる振動板56に接する面と反対側の面)に個別電極57が形成されている。この個別電極57と、これに対向する共通電極(本例では振動板56が兼ねる)と、これら電極間に挟まれるように介在する圧電体59とによりアクチュエータ58として機能する圧電素子が構成される。圧電体59には、チタン酸ジルコン酸鉛やチタン酸バリウムなどの圧電材料が好適に用いられる。
各圧力室52は供給口54を介して共通流路55と連通されている。共通流路55はインク供給源たるインクタンク(不図示)と連通しており、インクタンクから供給されるインクは共通流路55を介して各圧力室52に分配供給される。
アクチュエータ58の個別電極57と共通電極間に駆動電圧を印加することによってアクチュエータ58が変形して圧力室52の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル51からインクが吐出される。インク吐出後、アクチュエータ58の変位が元に戻る際に、共通流路55から供給口54を通って新しいインクが圧力室52に再充填される。
上述した構造を有するインク室ユニット53を図5に示す如く、主走査方向に対してある角度ψの方向に沿ってインク室ユニット53を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向については、実質的に各ノズル51が一定のピッチPN=d× cosψで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。
図5に示すようなマトリクス状のノズル配置において、ノズル51-11 、51-12 、51-13、51-14 、51-15 、51-16を1つのブロックとし(他にはノズル51-21 、…、51-26を1つのブロック、ノズル51-31 、…、51-36を1つのブロック、…として)、記録媒体114の搬送速度に応じてノズル51-11 、51-12 、…、51-16を順次駆動することで記録媒体114の幅方向に1ラインを印字することができる。
一方、記録媒体114の搬送とともに、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)の印字を記録媒体搬送方向に繰り返し行うことにより副走査方向の印字がなされる。
本発明の実施に際してヘッド50におけるノズル51の配列形態は図示の例に限定されない。例えば、図2で説明したマトリクス配列に代えて、一列の直線配列、V字状のノズル配列、V字状配列を繰り返し単位とするジグザク状(W字状など)のような折れ線状のノズル配列なども可能である。
また、本実施形態では、ピエゾ素子(圧電素子)に代表されるアクチュエータの変形によってインク滴を飛ばす方式が採用されているが、本発明の実施に際して、インクを吐出させる方式は特に限定されず、ピエゾジェット方式に代えて、ヒータなどの発熱体によってインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばすサーマルジェット方式など、各種方式を適用できる。
<メンテナンス部の説明>
図6は、インク打滴部108に隣接して設けられているメンテナンス部70の斜視図である。図示のように、インク打滴部108の圧胴126cの軸方向に隣接して、当該圧胴126cの外側にインク打滴ヘッド140C、140M、140Y、140Kのメンテナンス処理を行うためのメンテナンス部70が設けられている。なお、図6において、各ヘッド140C、140M、140Y、140Kのダミーヘッドを、それぞれ符号60C、60M、60Y、60Kで表している。
メンテナンス部70には、圧胴126cに近い方から、洗浄液塗布部72、払拭部74及びノズルキャップ76が、この順に並んで配置されている。
各色に対応したインク打滴ヘッド140C、140M、140Y、140Kを搭載したヘッドユニット80は、圧胴126cの回転軸82と平行に配置されたボールネジ84に取り付けられている。ボールネジ84の下側には、ボールネジ84と平行にガイド軸84Gが配置されており、ヘッドユニット80はこのガイド軸84Gに摺動自在に係合している。また、ヘッドユニット80の下側には当該ヘッドユニット80の移動を案内するガイド溝86Aを有するガイドレール部材86がボールネジ84と平行に配設されている。
インク打滴ヘッド140C、140M、140Y、140Kを一体的に保持するヘッドユニット80の筐体88の下面には、ガイド溝86Aに係合する係合部(不図示)が突出して形成されており、この係合部がガイド溝86Aに摺動自在に係合した構造によって、ヘッドユニット80はガイド溝86Aに案内されて移動可能となっている。
ボールネジ84、ガイド軸84G、ガイドレール部材86は、図6に示すように、ヘッドユニット80を圧胴126cの上部の画像形成位置P1から、ノズルキャップ76と対向する位置(メンテナンス位置P2)まで移動させることができるように、所要の長さで圧胴126cの軸方向に沿って延設されている。
ボールネジ84は、不図示の駆動手段(例えば、モータ)により回転され、この回転により、ヘッドユニット80は、画像形成位置P1とメンテナンス位置P2との間を移動する。また、ヘッドユニット80は、図示せぬ上下移動機構により、圧胴126cから遠ざかる方向、又は圧胴126cに近づく方向に移動させることができる。
使用する記録媒体114の厚さに応じて、圧胴126c表面に対するヘッドユニット80の高さ(記録媒体114の記録面と各インク打滴ヘッド140C、140M、140Y、140Kとのクリアランス)が制御される。また、用紙搬送時にジャムなどが発生した場合には、ヘッドユニット80を図6の上方向に移動させ、画像形成時の所定高さ位置から退避させることができる。
なお、ヘッドユニット80の筐体88と、ボールネジ84及びガイド軸84Gとの連結部89は、図6に示すように、ヘッドユニット80の上下方向の移動を案内する直動可能な係合構造89Aが採用されている。
<清掃装置の第1の実施形態>
図7はメンテナンス部70に適用される清掃装置200(ノズル面清掃装置に相当)の構成例を示す図である。清掃装置200は、インク打滴ヘッド140C、140M、140Y、140K毎に設けられている。ここでは、インク打滴ヘッド140C、140M、140Y、140Kを代表してヘッド50、ダミーヘッド60C、60M、60Y、60Kを代表してダミーヘッド60、と表している。
清掃装置200は、洗浄液塗布ユニット210(図6の洗浄液塗布部72に相当)と払拭ユニット230(図6の払拭部74に相当)を含んで構成される。洗浄液塗布ユニット210は、洗浄液タンク212、洗浄液ポンプ213、洗浄液ノズル214、廃液受け215を備える。洗浄液216は、ヘッド50から吐出する液(インク)とは別に、洗浄効果のより高い専用の液を使用する。例えば、洗浄液216には、DEGmBE(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)などの溶剤を含む洗浄液を用いることができる。
洗浄液ノズル214は、ヘッド50のノズル面50Aに向かって洗浄液の液柱(洗浄液柱217)を作ることができるように吐出口が上方を向き、且つ、ノズル面50Aに対向したときにノズル面50Aと接触しない所定のクリアランスが確保されるようにノズル面50Aに近接する位置に配置されている。
ノズル面50Aに対向したときの洗浄液ノズル214とノズル面50Aの間隔は、ノズル面50Aに接する洗浄液の液層を維持できる程度とし、例えば、1mm程度とする。洗浄液の液物性(粘度、表面張力)やヘッド移動速度などに応じて、適切な間隔が設計される。
また、図には示されていないが、洗浄液ノズル214は、ヘッド50のノズル面50Aの副走査方向幅(図2参照)に対して一度に洗浄液を塗布することができるように、副走査方向に沿って複数配置されている。
洗浄液ポンプ213を作動させることにより、洗浄液タンク212から供給路218を介して洗浄液216が洗浄液ノズル214に供給される。洗浄液ポンプ213の回転速度(吐出圧力)を適切に制御することにより、洗浄液ノズル214から洗浄液を連続的に噴射させることも可能であるし、洗浄液ノズル214から柱状に洗浄液をしみ出させ、洗浄液ノズル214から膨出したメニスカス(洗浄液柱217)を形成することもできる。
払拭部74による払拭動作の前、或いは払拭動作中にノズル面50Aに洗浄液を付与する際には洗浄液ノズル214から洗浄液を連続的に噴射させる。その一方、払拭部74による払拭清掃後の払拭跡を除去するため洗浄工程(以下、「仕上げ洗浄」という。)の際には、洗浄液ノズル214から洗浄液柱217を形成し、この洗浄液柱217を形成した状態でヘッド50を図7の右方向へ水平移動させ、ヘッド50のノズル面50Aと洗浄液のメニスカス(洗浄液柱217)を接触させる。
ただし、洗浄液のメニスカスがノズル面50Aと接触した状態でヘッド50を高速で移動させると洗浄液のメニスカスが分裂し、ノズル面50Aに洗浄液の液滴が付着する。したがって、ウェブ231による払拭清掃後の仕上げ洗浄では、洗浄液のメニスカスにノズル面50Aを接触させ、洗浄液層のメニスカスを破壊しない程度にヘッド50を低速で移動させる。すなわち、洗浄液柱217にヘッド50のノズル面50Aを接触させて、ノズル面50Aと洗浄液ノズル214との間に、この間隙を満たす洗浄液層を形成し、この洗浄液層のノズル面接触部分のメニスカスを維持しつつ、ヘッド50を水平移動させる。これにより、ノズル面50Aに残る払拭跡が洗浄液で溶解され除去される。
洗浄液ノズル214から洗浄液を噴射させるなどして、洗浄液ノズル214から溢れ落ちた洗浄液は、廃液受け215に回収され、チューブ220を介して廃液タンク222へと送られる。なお、廃液タンク222に回収した液は廃棄してもよいし、洗浄液タンク212に戻して再利用してもよい。
払拭ユニット230は、ノズル面50Aを払拭する部材として布製のウェブ231(払拭部材に相当)を用いる。ウェブ231としては、例えば、表面に凹凸を有する、ポリエステル製、ポリプロピレン製の布材が好適である。ウェブ231は、ヘッド50のノズル面50Aの副走査方向幅(図2参照)に対して一度に払拭することができる幅を有している。
払拭ユニット230は、ウェブ231を収容したウェブカートリッジ232と、これを上下動させる上下機構234(昇降手段に相当)から構成される。ウェブカートリッジ232は、筐体240内にウェブ送りロール241と、巻き取りロール242が収容されており、ウェブ231をヘッド50のノズル面50Aに押し当てる押圧ローラ244(押圧部材に相当)と、ウェブ231を駆動搬送する駆動ローラ246(払拭部材走行駆動手段に相当)とを備えている。
ウェブ送りロール241には、未使用のウェブ231がロール状に巻回されている。ウェブ送りロール241から送り出されたウェブ231は、押圧ローラ244に巻き掛けられ、駆動ローラ246のローラ対を経由して巻き取りロール242に巻き取られる構造となっている。
ウェブ231は、ウェブ送りロール241と巻き取りロール242の間で、押圧ローラ244及び駆動ローラ246によって適当な張り(テンション)がかけられて、押圧ローラ244の部分でウェブ231がヘッド50のノズル面50Aに押し当てられる。
ウェブ231の送り方向は、払拭清掃時におけるヘッド50の移動方向(図7の右方向)と逆方向となっており、ヘッド50の動きに合わせて駆動ローラ246の駆動と巻き取りロール242の軸を連動させて駆動することにより、ウェブ231を巻き取りロール242に巻き取りながらウェブ231による払拭動作が行われる。
このように、ヘッド50は、ウェブ231がノズル面50Aに沿って摺動するように移動するとともに、ウェブ231は、駆動ローラ246によりノズル面50Aに押圧当接された状態でヘッド50の移動方向と逆方向に走行する。
押圧ローラ244にはバネ245(付勢手段に相当)が配置されており、このバネ245により押圧ローラ244が上方(を通過するノズル面50A方向)に付勢されている。
上下機構234は、図7の上下方向に移動可能な昇降台234Aを備えており、この昇降台234Aの上にウェブカートリッジ232が設置されている。制御手段(図7において不図示、図9に示すメンテナンス制御部179)において、上下機構234の駆動手段(不図示のモータ)を制御することにより、ノズル面50Aに対するウェブ231の当接/離間を制御することができる。
図8(A)、(B)は、それぞれ押圧ローラ244の軸部を支持する軸支持部の構成を示す側面図及び正面図である。なお、図8においては、ウェブ231を省略して図示している。
押圧ローラ244は、その中心部にベアリング(不図示)を介して固定軸244Sが設けられており、この固定軸244Sの両端を一対の軸支持部244L、244Rに軸支されて、回動自在かつ揺動自在に支持されている。
軸支持部244L、244Rは、水平に設けられた筐体240の上に、押圧ローラ244の幅と略等しい間隔を持ってそれぞれ対向して設けられている。また、軸支持部244L、244Rには、それぞれ押圧ローラ244の固定軸244Sの幅とほぼ同じ幅を有する長方形状の孔部が形成されており、押圧ローラ244は、固定軸244Sの両端部が、この孔部に遊嵌されている。
孔部の内側には、バネ245L、245Rが収容されており、孔部内に遊嵌された押圧ローラ244の固定軸244Sの両端部は、このバネ245L、245Rによって上方に付勢されている。
図8(C)、(D)に示すように、上下機構(同図において不図示)によって筐体240を上昇させ、上方に位置する面(例えばノズル面50A)に押圧ローラ244を当接させると、バネ245L、245Rが縮み、ノズル面50Aにはバネの変形量(圧縮量)に応じた押圧力が加えられる。このように、ヘッド50のノズル面50Aに倣って、押圧ローラ244の周面によりウェブ231をノズル面50Aに密着させることができる。
<制御系の説明>
図9は、インクジェット記録装置100のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置100は、通信インターフェース170、システムコントローラ172、メモリ174、モータドライバ176、ヒータドライバ178、メンテナンス制御部179、プリント制御部180、画像バッファメモリ182、ヘッドドライバ184等を備えている。
通信インターフェース170は、ホストコンピュータ186から送られてくる画像データを受信する画像入力手段として機能するインターフェース部である。通信インターフェース170にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。ホストコンピュータ186から送出された画像データは通信インターフェース170を介してインクジェット記録装置100に取り込まれ、一旦メモリ174に記憶される。
メモリ174は、通信インターフェース170を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ172を通じてデータの読み書きが行われる。メモリ174は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ172は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置100の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。すなわち、システムコントローラ172は、通信インターフェース170、メモリ174、モータドライバ176、ヒータドライバ178等の各部を制御し、ホストコンピュータ186との間の通信制御、メモリ174の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ188やヒータ189を制御する制御信号を生成する。
システムコントローラ172は、センサ192から得られる検出信号に基づき装置各部に指令信号を送出する。なお、図9のセンサ192には、例えば、図1で説明した各圧胴126a〜126dの記録媒体114の受渡部に設けられる給紙センサ、各部に設けられる温度センサ、払拭ユニット230の上下機構234の高さ位置を検出する位置センサ等の他、ダミーヘッド60の圧力センサ62が含まれる。
プログラム格納部190には各種制御プログラムが格納されており、システムコントローラ172の指令に応じて、制御プログラムが読み出され、実行される。プログラム格納部190はROMやEEPROMなどの半導体メモリを用いてもよいし、磁気ディスクなどを用いてもよい。外部インターフェースを備え、メモリカードやPCカードを用いてもよい。もちろん、これらの記録媒体のうち、複数の記録媒体を備えてもよい。なお、プログラム格納部190は動作パラメータ等の記録手段(不図示)と兼用してもよい。
モータドライバ176は、システムコントローラ172からの指示にしたがってモータ188を駆動するドライバである。図9には、装置内の各部に配置されるモータを代表して符号188で図示されている。モータ188には、図1で説明した圧胴126a〜126dを駆動するモータや、給紙部102、排紙部112の搬送系を駆動するモータなどが含まれている。
ヒータドライバ178は、システムコントローラ172からの指示にしたがって、ヒータ189を駆動するドライバである。図9には、インクジェット記録装置100に備えられる複数のヒータを代表して符号189で図示されている。図9のヒータ189には、図1で説明した用紙予熱ユニット128、134のヒータや、各種乾燥ユニット(132、138、142a、142b)のヒータ、定着部110における加熱ローラ148a、148bのヒータなどが含まれている。
プリント制御部180は、システムコントローラ172の制御にしたがい、メモリ174内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字データ(ドットデータ)をヘッドドライバ184に供給する制御部である。プリント制御部180において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいて、ヘッドドライバ184を介してヘッド50のインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
プリント制御部180には画像バッファメモリ182が備えられており、プリント制御部180における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ182に一時的に格納される。なお、図9において画像バッファメモリ182はプリント制御部180に付随する態様で示されているが、メモリ174と兼用することも可能である。また、プリント制御部180とシステムコントローラ172とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
インクジェット記録装置100では、インク(色材)による微細なドットの打滴密度やドットサイズを変えることによって、人の目に疑似的な連続階調の画像を形成するため、入力されたデジタル画像の階調(画像の濃淡)をできるだけ忠実に再現するようなドットパターンに変換する必要がある。そのため、通信インターフェース170を介してメモリ174に蓄えられた元画像のデータ(印刷すべき画像のデータ、例えば、RGBの画像データ)は、システムコントローラ172を介してプリント制御部180に送られ、該プリント制御部180において閾値マトリクスや誤差拡散法などを用いたハーフトーニング処理によってインク色ごとのドットデータに変換される。こうして、プリント制御部180で生成されたドットデータは、画像バッファメモリ182に蓄えられる。
ヘッドドライバ184は、プリント制御部180から与えられる印字データ(すなわち、画像バッファメモリ182に記憶されたドットデータ)に基づき、ヘッド50の各ノズル51に対応するアクチュータ58(図4参照)を駆動するための駆動信号を出力する。ヘッドドライバ184にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
ヘッドドライバ184から出力された駆動信号がヘッド50に加えられることによって、該当するノズル51からインクが吐出される。記録媒体114を所定の速度で搬送しながらヘッド50からのインク吐出を制御することにより、記録媒体114上に画像が形成される。
また、プリント制御部180には、印字検出部に相当するインライン検出部144から読み込まれた撮像画像のデータが入力される。インライン検出部144は、記録媒体114に印字された画像(テストパターン)を読み取り、所要の信号処理などを行って印字状況(吐出の有無、打滴のばらつき、印字濃度など)を検出し、その検出結果をプリント制御部180に提供する。
プリント制御部180は、必要に応じてインライン検出部144から得られた情報に基づいてヘッド50に対する各種補正の処理を行うとともに、メンテナンス制御部179と連携してヘッド50のメンテナンスを行うように各部を制御する。
メンテナンス制御部179(制御手段に相当)は、図6〜図7で説明したメンテナンス部70によるヘッド50のメンテナンス処理を制御する手段として機能する。即ち、図9に示すメンテナンス制御部179は、システムコントローラ172から送られる指令信号に基づきヘッド50及びダミーヘッド60の移動、メンテナンス部70の洗浄液塗布ユニット210における洗浄液ポンプ213(図7参照)の駆動、払拭ユニット230におけるウェブ231の搬送駆動、上下機構234の駆動などを制御する。
<メンテナンス動作の説明>
図10は、本実施形態に係るインクジェット記録装置100におけるヘッドメンテナンスのシーケンスを示したフローチャートである。また、図11は、各工程におけるヘッド50及びダミーヘッド60と押圧ローラ244との位置関係を示す模式図である。
〔ステップS1〕
メンテナンスモードに移行すると、メンテナンス制御部179は、水平移動機構(不図示)によりヘッド50及びダミーヘッド60を水平移動させ、押圧ローラ244とダミーヘッド60とが対向する位置で停止させる(図11(A))。
〔ステップS2(昇降工程に相当)〕
次に、メンテナンス制御部179は、上下機構234を上昇させ、ウェブカートリッジ232を上昇させる。これに伴い押圧ローラ244も上昇する。
やがて押圧ローラ244がダミーヘッド60の下面60Aに当接する(図11(B))。さらにウェブカートリッジ232を上昇させ続けると、押圧ローラ244による下面60Aに対する押圧力が上昇する。ダミーヘッド60の圧力センサ62は、押圧ローラ244による押圧力を測定し、この測定結果は、システムコントローラ172を介してメンテナンス制御部179に入力される。
〔ステップS3(検知工程に相当)〕
メンテナンス制御部179は、圧力センサ62の測定結果が所望の押圧力であるか否かを判定する。所望の押圧力に達していない場合にはステップS2に戻り、上下機構234の上昇を継続させる。また、所望の押圧力に達した場合にはステップS4に移行する。
〔ステップS4(制御工程に相当)〕
圧力センサ62の測定結果が所望の押圧力となった場合には、上下機構234の上昇を停止させる(図11(C))。なお、ステップS2〜S4の処理は、4つのインク打滴ヘッド140C、140M、140Y、140Kについて、同時にそれぞれ行う。即ち、4つのヘッドについて、それぞれの圧力センサ62の測定結果が所望の押圧力となるまで、それぞれの押圧ローラ244を上昇させる。
〔ステップS5(払拭工程に相当)〕
最後に、ヘッド50のノズル面50Aの洗浄を行う。即ち、水平移動機構(不図示)によりヘッド50及びダミーヘッド60が水平移動(図11(D)において右方向)すると共に、ヘッド50のノズル面50Aに洗浄液ノズル214から洗浄液216が付与される。さらに、洗浄液216が付与されたノズル面50Aに押圧ローラ244が押圧され、押圧ローラ244を走行するウェブ231による払拭清掃が行われる。
ここで、上下機構234による押圧ローラ244の昇降位置は、押圧ローラ244の押圧力がダミーヘッド60の下面60Aに対して予め所望の押圧力になるように調整されている。また、ヘッド50のノズル面50Aとダミーヘッド60の下面60Aとは、同一の平面を形成している。
したがって、水平移動機構(不図示)によりヘッド50及びダミーヘッド60を水平移動させると、押圧ローラ244はノズル面50Aに対して所望の押圧力でノズル面50Aを払拭することができる。
このように、払拭清掃前にダミーヘッドを用いて予め押圧ローラの昇降位置(押圧力)を調整しておくことで、適切な押圧力でノズル面を払拭清掃することができる。
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、ダミーヘッド60に押圧ローラ244の押圧力の検知部を設けた(下面60A及び圧力センサ62)。これに対し、本実施形態では、払拭ユニット230側に押圧力の検知部を設ける。
図12(A)、(B)は、それぞれ本実施形態における押圧ローラ244の軸部を支持する軸支持部の構成を示す側面図及び正面図である。なお、図8と共通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
本実施形態の押圧ローラ244には、その固定軸244Sの軸支持部244L側に遮光板244P(遮光部材に相当)が設けられている。図12(C)、(D)に示すように、遮光板244Pは、バネ245の圧縮量に応じた距離だけ下方に移動可能に構成されている。
また、筐体240の側面には、受光センサ244Dが配置されている。受光センサ244Dは、半導体のPN接合部に光を照射したときに電流が流れることにより、これを電圧として検出することが可能な光検出素子であり、例えばシリコン半導体を用いたPINフォトダイオード等により構成される。
受光センサ244Dは、装置外部の光を受光可能に配置されると共に、バネ245の圧縮量が距離G以上となったときに、遮光板244Pによりその全体が遮光され、受光不可能になる位置に設けられている。
したがって、押圧ローラ244の押圧力が所望の押圧力となるときのバネ245の圧縮量Gを取得し、圧縮量Gとなるときに受光センサ244Dが遮光されるように遮光板244Pを設けておくことで、押圧ローラ244による押圧力を所望の押圧力に調整することができる。即ち、受光センサ244Dと遮光板244Pにより、検知手段を構成する。
本実施形態におけるヘッドメンテナンスの処理を図10を用いて説明する。まず、押圧ローラ244とダミーヘッド60とを対向させ(ステップS1)、上下機構234により押圧ローラ244を上昇させる(ステップS2)。
押圧ローラ244がダミーヘッド60の下面60Aに当接し、さらに上昇を続けると、上昇量に応じてバネ245が縮む。
この間の受光センサ244Dの受光結果は、システムコントローラ172を介してメンテナンス制御部179に入力される。受光センサ244Dから得られる電圧は、受光量に応じた値となる。メンテナンス制御部179は、電圧値が0Vとなったか否かを判定し(ステップS3)、0Vでない場合には、上下機構234をさらに上昇させる。
バネ245の縮み量が距離Gに達すると、受光センサ244Dは完全に遮光され、受光ができなくなる。即ち、受光センサ244Dから得られる電圧値が0Vとなる。
メンテナンス制御部179は、この受光センサ244Dの検出結果を取得し、押圧ローラ244による押圧力が所望の押圧力になったと判断し、上下機構234を停止させる(ステップS4)。
第1の実施形態と同様に、ステップS2〜S4の処理は、4つのインク打滴ヘッド140C、140M、140Y、140Kについて、それぞれ行う。即ち、4つのヘッドについて、それぞれの受光センサ244Dの検出結果が0Vとなるまで、それぞれの押圧ローラ244を上昇させる。
最後に、ヘッド50のノズル面50Aの洗浄を行う(ステップS5)。
ここで、上下機構234による押圧ローラ244の昇降位置は、押圧ローラ244の押圧力がダミーヘッド60の下面60Aに対して予め所望の押圧力になるように調整されている。また、ヘッド50のノズル面50Aとダミーヘッド60の下面60Aとは、同一の平面を形成している。
したがって、水平移動機構(不図示)によりヘッド50及びダミーヘッド60を水平移動させると、押圧ローラ244はノズル面50Aに対して所望の押圧力でノズル面50Aを払拭することができる。
このように、払拭清掃前にダミーヘッドを用いて予め押圧ローラの昇降位置(押圧力)を調整しておくことで、適切な押圧力でノズル面を払拭清掃することができる。
なお、ダミーヘッド60の下面60Aではなく、ヘッド50のノズル面50Aに当接させて押圧ローラ244の押圧力を調整してもよい。即ち、ダミーヘッド60を用いない構成態様も可能である。この場合、払拭洗浄中に受光センサ244Dの検出結果を常時監視して、押圧ローラ244の押圧力をフィードバック制御する態様も可能である。
さらに、受光センサ244Dの高さ方向の位置や遮光板244Pの長さを変更可能に構成することで、距離Gを適宜変更できるようにしてもよい。
<他の実施形態>
上記の実施形態では、押圧ローラ244を昇降させているが、ヘッド50及びダミーヘッド60を昇降させる態様も可能である。また、押圧ローラ244とヘッド50及びダミーヘッド60の双方を昇降させてもよい。即ち、押圧ローラ244とヘッド50及びダミーヘッド60とを相対的に昇降させることができればよい。
また、上記の実施形態では、ヘッド50及びダミーヘッド60を移動させてノズル面50Aを洗浄する構成としているが、清掃装置200を移動させて、ノズル面50Aを洗浄する構成とすることもできる。また、インクジェットヘッド50と清掃装置200の双方を移動させて、ノズル面50Aを洗浄する構成とすることもできる。
また、上記実施形態では、枚葉紙に画像を記録するインクジェット記録装置に本発明を適用した場合を例に説明したが、本発明の適用は、これに限定されるものではない。所定の押圧力でノズル面を払拭して清掃するノズル面清掃装置を備えた液滴吐出装置であれば同様に適用することができ、同様の作用効果を奏することができる。
50…ヘッド、50A…ノズル面、60…ダミーヘッド、60A…下面、62…圧力センサ、70…メンテナンス部、72…洗浄液塗布部、74…払拭部、100…インクジェット記録装置、140C,140M,140Y,140K…インク打滴ヘッド、179…メンテナンス制御部、200…清掃装置、210…洗浄液塗布ユニット、230…払拭ユニット、231…ウェブ、232…ウェブカートリッジ、234…上下機構、244…押圧ローラ、244D…受光センサ、244P…遮光板、245…バネ

Claims (11)

  1. インクジェットヘッドのノズル面を払拭部材により清掃するノズル面清掃装置において、
    前記ノズル面と前記払拭部材とを相対的に昇降させる昇降手段と、
    前記ノズル面と同一の平面を形成する検知面を有し、前記検知面と前記払拭部材の当接を検知する検知手段と、
    前記払拭部材と前記ノズル面とを前記ノズル面に沿って相対的に移動させる払拭手段と、
    前記検知手段の検知結果に基づいて前記昇降手段の昇降を停止させ、該昇降停止位置において前記払拭手段による払拭を行わせる制御手段と、
    を備えたノズル面清掃装置。
  2. 前記払拭部材を前記検知面に押圧する押圧部材と、
    前記押圧部材を付勢する付勢手段と、
    を備え、
    前記検知手段は、前記押圧部材に備えられる請求項に記載のノズル面清掃装置。
  3. インクジェットヘッドのノズル面を払拭部材により清掃するノズル面清掃装置において、
    前記ノズル面と前記払拭部材とを相対的に昇降させる昇降手段と、
    前記ノズル面と前記払拭部材の当接を検知する検知手段と、
    前記払拭部材と前記ノズル面とを前記ノズル面に沿って相対的に移動させる払拭手段と、
    前記検知手段の検知結果に基づいて前記昇降手段の昇降を停止させ、該昇降停止位置において前記払拭手段による払拭を行わせる制御手段と、
    前記払拭部材を前記ノズル面に押圧する押圧部材と、
    前記押圧部材を付勢する付勢手段と、
    を備え、
    前記検知手段は、前記押圧部材に備えられるノズル面清掃装置。
  4. 前記検知手段は、前記付勢手段の変形量に基づいて前記払拭部材の当接を検知する請求項に記載のノズル面清掃装置。
  5. 前記検知手段は、受光センサと、前記押圧部材に備えられた遮光部材であって、前記付勢手段の変形量が所定の量になると前記受光センサの受光部を遮る遮光部材と、
    を備え、
    前記制御手段は、前記受光センサの遮光を検出したときに前記昇降手段の昇降を停止させる請求項に記載のノズル面清掃装置。
  6. 前記昇降手段は、前記払拭部材を上昇させることで前記払拭部材を前記ノズル面に当接させる請求項1からのいずれか1項に記載のノズル面清掃装置。
  7. 前記払拭部材を長手方向に所定の搬送経路に沿って走行させる払拭部材走行駆動手段を備え、
    前記払拭手段は、前記ノズル面に押圧当接された払拭部材が前記払拭部材走行駆動手段により走行しながら前記ノズル面に沿って摺動するように前記払拭部材と前記ノズル面とを相対的に移動させる請求項1からのいずれか1項に記載のノズル面清掃装置。
  8. 記録媒体を搬送する搬送手段と、
    前記搬送手段によって搬送される記録媒体にインク滴を吐出して画像を記録するインクジェットヘッドと、
    前記インクジェットヘッドのノズル面を清掃する請求項1からのいずれか1項に記載のノズル面清掃装置と、
    を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
  9. 前記インクジェットヘッドは、前記記録媒体の搬送経路上に複数配置されるとともに、前記インクジェットヘッド毎に前記ノズル面清掃装置が設けられることを特徴とする請求項に記載のインクジェット記録装置。
  10. インクジェットヘッドのノズル面を払拭部材により清掃するノズル面清掃方法において、
    前記ノズル面と前記払拭部材とを相対的に昇降させる昇降工程と、
    前記ノズル面と同一の平面を形成する検知面と前記払拭部材の当接を検知する検知工程と、
    前記払拭部材と前記ノズル面とを前記ノズル面に沿って相対的に移動させる払拭工程と、
    前記検知工程の検知結果に基づいて前記昇降工程を停止させ、該昇降停止位置において前記払拭工程による払拭を行わせる制御工程と、
    を備えたノズル面清掃方法。
  11. インクジェットヘッドのノズル面を払拭部材により清掃するノズル面清掃方法において、
    前記ノズル面と前記払拭部材とを相対的に昇降させる昇降工程と、
    前記払拭部材を押圧部材により前記ノズル面に押圧する押圧工程と、
    前記押圧部材を付勢手段により付勢する付勢工程と、
    前記ノズル面と前記払拭部材の当接を前記押圧部材に備えられた検知手段により検知する検知工程と、
    前記払拭部材と前記ノズル面とを前記ノズル面に沿って相対的に移動させる払拭工程と、
    前記検知工程の検知結果に基づいて前記昇降工程を停止させ、該昇降停止位置において前記払拭工程による払拭を行わせる制御工程と、
    を備えたノズル面清掃方法。
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