JP6167948B2 - 障害予測システム、障害予測装置およびプログラム - Google Patents
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Description
このような画像形成装置では、その動作に支障をきたす障害(故障や不具合を含む)が発生すると、画像形成装置の利用者に不便を生じることになる。そこで、画像形成装置における障害の発生について予測を行い、障害の発生に先立って或いは障害が発生した後に速やかに部品交換や修理等の必要な処置を施せるようにすることで、画像形成装置の利用が制限された状態となる時間を低減することが望まれている。
例えば、特許文献1には、各障害前の期間ΔT1単位ずつ取得して作った障害前の期間のデータ分布と、障害が発生しない期間のデータ分布とに基づいて、障害の発生予測確率を算出する発明が開示されている。
例えば、特許文献2には、故障予兆期間と正常期間を目視推定し、学習データを作成し、ブースティング法による学習を行う発明が開示されている。
以下の説明では、画像形成装置(被監視装置の一例)を障害予測の対象とする障害予測システムを例にして説明する。ここで、画像形成装置は、用紙等の記録材に画像を形成する画像形成処理を行う装置であり、プリンタ、コピー機、ファクシミリ装置などの装置の他、これらの装置の機能を複合的に備えた複合機も含まれる。
本例の障害予測システムは、図1に示すように、障害予測に用いる判別器13を生成する学習段階と、生成した判別器13を使って障害予測を行うテスト段階を有する。
判別器13は、障害予測の対象となる画像形成装置が、正常状態か、障害の前の段階(障害の兆候が現れる段階)にある障害兆候状態(障害が発生した状態を含む)かを判別するものである。ここでは、画像形成装置に障害が発生する確率(以下、障害発生確率)Pを算出し、これを閾値と比較するなどして、画像形成装置が正常状態か障害兆候状態かの判別を行うものとする。
テスト段階では、テストデータ14が判別器13に入力され、判別器13がテストデータ14に基づいて障害予測を行う。テストデータ14は、画像形成装置の障害発生確率Pを算出したり、その精度を計算したりするのに使用するデータであり、主に、画像形成装置から現在の時点で収集したデータが用いられる。
なお、説明の簡略のため、障害予測に係る判別器ではなく、2種類の似た花をロジスティク回帰モデルで判別する判別器を例に説明する。
図2の例では、条件データである花の長さ及び幅と、回答データである花の種類とを対応付けた複数の学習データに基づいて、以下の数式により花の種類がBである確率Pを算出する判別器が生成されている。
P=1/{1+exp(363−132*長さ+110*幅)}
この判別器に、花の長さ=5.5、幅=3.7からなる条件データをテストデータとして入力すると、花の種類がBである確率は2*10-20となり、花の種類がBでないと判別される。また、花の長さ=5.1、幅=2.4からなる条件データをテストデータとして入力すると、花の種類がBである確率は1となり、花の種類がBであると判別される。
そして、この条件データ(テストデータ)に対する回答データがあれば、判別結果を回答データに照らして答え合わせすることで、判別器の精度(確率の算出精度)を計算することができる。
図3の例における学習データは、日付、画像形成装置が画像形成処理の動作制御に用いる動作パラメータX,Y,Zの各値、障害の兆候の有無を含んでいる。同図の例では、8/20〜23は障害の兆候が現れているか否かが不明確であり、8/24に障害の兆候が現れており、8/25に実際に障害が発生している。
図4には、或る画像形成装置における動作パラメータの時系列変化を表すグラフ(a)と、これとは使用状況が異なる他の画像形成装置における動作パラメータの時系列変化を表すグラフ(b)を示してある。グラフ(a)は、動作パラメータに障害の兆候が現れる期間が比較的長いのに対し、グラフ(b)は、動作パラメータに障害の兆候が現れる期間が比較的短い。
このように、装置の使用状況の違いにより、動作パラメータに障害の兆候が現れる期間(障害兆候期間)の長さが異なるため、障害の兆候の有無を間違えて学習を行うと、精度の低い判別器が生成されてしまう。
この固定の障害兆候期間を用いる構成では、装置の使用状況の違いにより障害兆候期間の長さが異なることは考慮されないため、画像形成装置が正常な状態の動作パラメータのデータ(非障害兆候期間データ11aに分類されるべきデータ)が障害兆候期間データ11bに分類されたり、画像形成装置が異常な状態の動作パラメータのデータ(障害兆候期間データ11bに分類されるべきデータ)が非障害兆候期間データ11aに分類される場合があり、その結果、判別器13の精度が低くなってしまう懸念がある。
そこで、本発明では、障害兆候期間の長さを障害の事例毎に調整し、非障害兆候期間データ11aと障害兆候期間データ11bを適切に切り分けて判別器13の生成に用いることで、判別器13の精度の向上を図るようにした。
Naive−Bayesモデルでは、複数の特徴量(X1,X2,・・・,Xn)のデータの組Data=dが得られた場合に障害が発生する条件付き確率P(T=yes|Data=d)が、下記(式1)で与えられる。
また、P(T=yes)は、障害が発生する確率(事前確率)であり、P(T=no)は、障害が発生しない確率(事前確率)であり、P(T=yes)+P(T=no)=1という関係を有する。
また、P(Data=d|(T=yes))は、障害が発生した場合にData=dであった確率であり、P(Data=d|(T=no))は、障害が発生しなかった場合にData=dであった確率である。
ここで、(式1)の分子のP(T=yes)・P(Data=d|T=yes)で分母と分子を割ると、(式1)は下記(式2)に変形できる。
なお、上記の説明ではNaive−Bayesモデルを用いたが、他の予測モデルを用いる構成としてもよい。
図8には、第1構成例に係る障害予測システムの機能ブロックの例を示してある。
第1構成例に係る障害予測システムは、障害予測の対象となる1以上の画像形成装置と通信可能に接続された障害予測サーバに、装置動作状況記憶手段31、学習データ調整手段32、障害予測器学習手段33を設けたシステム構成となっている。
第1構成例では、学習データ調整手段32が、図6の学習データ調整手段21に対応し、障害予測器学習手段33が、図6の学習器12に対応し、障害予測器学習手段33により学習される障害予測器が、図6の判別器13に対応する。
以下では、学習段階の説明に留め、テスト段階の説明は省略する。
なお、以下では明記しないが、これらの記憶手段41〜43は、各データを画像形成装置の識別情報と対応付けて記憶しており、各データがどの画像形成装置についてのものかを判別できるようにしてある。
本例では、画像形成装置の動作パラメータのデータとして、例えば、帯電電位、現像バイアス、露光電力、トナー濃度といった各種の画像形成パラメータの測定値や目標値を収集する。また、これらの複数点の値に基づいて算出される標準偏差や相関係数などの統計値を動作パラメータのデータとして収集してもよく、要は、画像形成装置の障害予測に寄与し得る種々のデータを収集できればよい。
これらの動作パラメータのデータの収集は画像形成装置を稼働させている状態で毎日行うことが好適であり、1日に複数回の収集を行ってもよい。
障害のデータを収集するトリガーとしては、例えば、画像形成装置の動作異常を知らせるフォルトコードの発生や、画像形成装置の利用者からの要請によるサービス員の訪問保守の実施情報の入力などが挙げられる。
画像形成装置の使用状況としては、画像形成装置の稼働率を示す指標値(例えば、印刷枚数)、画像形成装置の使用経過時間、画像形成装置のメンテナンス状況、温度や湿度といった環境情報など、画像形成装置をどのように使用している状況かを示す種々の情報を用いることができる。これらの使用状況は、画像形成装置に障害の兆候が現れてから実際に障害が発生するまでの障害兆候期間の長さに影響を及ぼす。
装置使用状況データの収集は、動作データの収集と同様なタイミングで行われる。
すなわち、画像形成装置の使用状況の違いが障害兆候期間の長さに影響を及ぼすことを考慮して、障害の発生日時の時点における装置使用状況データの傾向に基づいて障害兆候期間の長さを障害の事例毎に調整し、障害の各事例について障害の発生日時を起点に前記調整した長さ分を遡った期間を特定して、当該特定した期間を障害兆候期間として設定する。そして、障害の事例毎に設定した障害兆候期間内に収集された動作データを障害兆候期間データに分類し、その他の期間に収集された動作データを非障害兆候期間データに分類する。
本例では、個々の動作データに障害兆候期間データと非障害兆候期間データを区別するラベルを付与することで、動作データがどちらに分類されたかを把握できるようにしてある。
なお、装置の使用頻度が極端に低い画像形成装置などのように、装置の使用状況が特殊な状態の画像形成装置から収集された動作データについては、障害兆候期間データにも非障害兆候期間データにも分類しないようにしてもよい。
学習手法としては、判別分析、サポートベクターマシン、ベイジアンネットワークなどの方法があるが、これらに限定されるものではない。
なお、学習データ調整手段32や障害予測器学習手段33の処理は、障害の種類毎に行われる。
画像形成装置は、或る標準的な使用状況を想定した設計仕様で開発されており、この設計仕様(標準的な使用状況)と障害の発生時における実際の使用状況とを比較して、障害兆候期間の長さを調整する。
また、図11には、図10の表における設計仕様を具体的数値に置き換えた例を示してある。
学習データ調整手段32は、障害の事例毎に、障害の発生時点の装置使用状況データやそれ以前の複数の時点の装置使用状況データに基づいて、各種の使用状況についてその傾向を表す数値データ(直近10日間の合計PVなど)を算出し、当該算出した数値データを図10や図11の表に照らして使用状況の種類毎の水準値を取得し、当該取得した水準値の組み合わせを図12の表に照らして障害兆候期間の長さを決定する。
図13には、第2構成例に係る障害予測システムの機能ブロックの例を示してある。
第2構成例に係る障害予測システムは、障害予測の対象となる1以上の画像形成装置と通信可能に接続された障害予測サーバに、装置動作状況記憶手段31、学習データ調整手段32、障害予測器学習手段33、障害発生確率算出手段34、障害兆候期間長推定器生成手段35、障害兆候期間長推定器36を設けたシステム構成となっている。
第2構成例では、学習データ調整手段32が、図7の学習データ調整手段21に対応し、障害予測器学習手段33が、図7の学習器12に対応し、障害発生確率算出手段34が、図7の判別器13に対応し、障害兆候期間長推定器生成手段35が、図7の障害兆候期間の長さ推定器生成手段22に対応し、障害兆候期間長推定器36が、図7の障害兆候期間の長さ推定器23に対応する。
なお、以下では、第1構成例(図8参照)と同様な機能部についての説明は省略し、相違する部分についての説明に留める。
この障害発生確率算出手段34は、学習段階とテスト段階とで使用される。
学習段階では、過去に収集された動作データ(学習データ11としての動作データ)について、その収集時期を推移させながら演算を繰り返すことで、時間経過に伴う障害発生確率の推移(時系列変化)を捉えることが可能となる。学習段階で算出された障害発生確率は、障害兆候期間長推定器生成手段35に与えられる。
テスト段階では、現時点で収集された動作データ(テストデータ14としての動作データ)を障害予測器に入力することで、現時点における障害発生確率を算出することができる。テスト段階で算出された障害発生確率は、予め設定された通知先(例えば、画像形成装置の利用者や管理者、保守担当のサービス員など)に通知される。
具体的には、図14に示すように、障害の各事例について、障害発生確率が或る閾値Vを超えてから、超えた状態を維持したまま障害に至るまでの障害兆候期間の長さ(日数)をカウントする。そして、障害の各事例における単一種の使用状況の傾向と障害兆候期間の長さとの関係に基づいて、障害兆候期間長推定器36を生成する。
そこで、本例の障害兆候期間長推定器生成手段35では、これら2つの変数の関係について回帰分析することで、障害発生確率が閾値Vを超えてから障害が発生するまでの期間を障害兆候期間として、直近10日間の印刷枚数から障害兆候期間の長さを推定する障害兆候期間長推定器36を生成する。
なお、障害兆候期間長推定器36の生成は、上記のような回帰分析に限るものではなく、他の方法により行ってもよい。
また、障害予測器学習手段33は、学習段階において、学習データ調整手段32によって障害兆候期間データまたは非障害兆候期間データに再分類された動作データに基づいて、障害予測器(障害の予測モデル)を生成し直す。
ここで、第2構成例では、障害兆候期間の長さの調整を2回以上行うため、1回目の調整では、障害兆候期間の長さを各障害で一律にしても構わない。
また、初期学習(1回目の学習)において障害兆候期間を一律にするか否かの入力を受け付け、その入力値を判定する(ステップS12)。
これらの入力は、処理を開始する際にユーザが適宜入力してもよく、以前の処理で使用したものを記憶しておき、入力するようにしてもよい。
次に、障害兆候期間長推定器生成手段35が、障害発生確率算出手段34により算出された障害発生確率と装置動作状況記憶手段31に記憶された装置使用状況データとに基づいて、画像形成装置の使用状況の傾向に対する障害兆候期間の長さを推定する障害兆候期間長推定器36を生成する(ステップS16)。
次に、学習データ調整手段32が、障害兆候期間長推定器36により推定された障害兆候期間の長さに従って障害兆候期間を再設定し、装置動作状況記憶手段31に記憶された動作データの分類をやり直し、障害予測器学習手段33が、学習データ調整手段32による再分類後の動作データに基づいて、障害予測器を生成し直す(ステップS17)。
まず、現在の繰り返し回数を表す変数iを1に初期化する(ステップS21)。
次に、障害発生時点以前において障害発生確率が閾値を超えた障害兆候期間の長さ(日数)を算出する(ステップS22)。
次に、画像形成装置の使用状況の傾向と障害兆候期間の長さとの関係を学習して、障害兆候期間長推定器36を生成する(ステップS23)。
ステップS24において、i≦N−1の条件を満たすと判定された場合(Yes)には、生成した障害兆候期間長推定器36を用いて障害兆候期間の長さを推定し、その結果に基づいて、障害兆候期間の設定、動作データの分類、障害予測器の生成をやり直す(ステップS25)。そして、生成した障害予測器を用いて、障害の各事例について障害発生確率を算出し(ステップS26)、ステップS22の処理に戻る。
一方、i≦N−1の条件を満たさないと判定された場合(No)には、ステップS16の処理を終える。
図18には、第3構成例に係る障害予測システムの機能ブロックの例を示してある。
第3構成例に係る障害予測システムは、障害予測の対象となる1以上の画像形成装置と通信可能に接続された障害予測サーバに、装置動作状況記憶手段31、学習データ調整手段32、障害予測器学習手段33、障害発生確率算出手段34、障害兆候期間長推定器生成手段35、障害兆候期間長推定器36、予測結果通知手段37を設けたシステム構成となっている。
第3構成例では、第2構成例と同様に、学習データ調整手段32が、図7の学習データ調整手段21に対応し、障害予測器学習手段33が、図7の学習器12に対応し、障害発生確率算出手段34が、図7の判別器13に対応し、障害兆候期間長推定器生成手段35が、図7の障害兆候期間の長さ推定器生成手段22に対応し、障害兆候期間長推定器36が、図7の障害兆候期間の長さ推定器23に対応する。
なお、以下では、第1構成例(図8参照)や第2構成例(図13参照)と同様な機能部についての説明は省略し、相違する部分についての説明に留める。
具体的には、図14に示すように、障害の各事例について、障害発生確率が或る閾値Vを超えてから、超えた状態を維持したまま障害に至るまでの障害兆候期間の長さ(日数)をカウントする。そして、障害の各事例における複数種の使用状況の傾向と障害兆候期間の長さとの関係に基づいて、障害兆候期間長推定器36を生成する。
そこで、本例の障害兆候期間長推定器生成手段35では、これら多数の変数の関係について重回帰分析することで、障害発生確率が閾値Vを超えてから障害が発生するまでの期間を障害兆候期間として、障害発生以前の直近10日間の印刷枚数、直近100日間のメンテナンス回数、直近10日間の平均環境温度および平均環境湿度から障害兆候期間の長さを推定する障害兆候期間長推定器36を生成する。
なお、障害兆候期間長推定器36の生成は、上記のような重回帰分析に限るものではなく、他の方法により行ってもよい。
本例では、障害発生確率が予め定めた通知閾値を超えた場合に通知を行うが、システムの運用形態等の種々の要件に応じて通知を行う条件を任意に定めることができる。すなわち、例えば、通知閾値を超えた状態が一定の期間継続した場合に通知を行ってもよく、無条件に通知を行ってもよく、画像形成装置毎に通知を行う条件を変えても構わない。
すなわち、画像形成装置から、搬送ベルトの動作状態を反映する駆動エラー率を取得し、駆動エラー率の増減の傾向を算出した。更に、画像形成装置の使用状況として、当該画像形成装置による印刷枚数を取得した。これらの情報は、画像形成装置が動作している間に2時間おきに取得した。また、搬送ベルトの動作異常を知らせるフォルトコードが発生した時点を障害発生点とした。ここで、搬送ベルトは、印刷枚数が多いほど、障害の兆候が現れてから障害に至るまでの期間が短いため、印刷枚数の違いで障害兆候期間の長さを変更することとした。
このように、本実施例では、搬送ベルトの障害の事例毎に、印刷枚数に応じて障害兆候期間の長さを調整して障害兆候期間を設定し、その結果に基づいて分類や学習を行うことで、搬送ベルトの障害についての予測を精度よく行うことが可能な障害予測器を生成することができた。
すなわち、実施例1と同様に、駆動エラー率の取得やその増減の傾向の算出、画像形成装置の使用状況としての印刷枚数の取得を行った。また、搬送ベルトの動作異常を知らせるフォルトコードが発生した時点を障害発生点とし、印刷枚数の違いで障害兆候期間の長さを変更することとした。
その後、上記で求めた計算式を用いて、障害の事例毎に障害兆候期間の長さを推定して障害兆候期間を設定し、動作データに障害兆候期間データと非障害兆候期間データを区別するラベルを付与し、ラベル付与後の動作データ(動作データの分類結果)を用いてベイジアンネットワークにより障害予測器の学習を行った。
同図の例では、障害前において障害発生確率が閾値を超えた期間は、7/30〜8/6までの8日となっている。ここで、障害発生確率を日xの関数としてP(x)で表すと、障害発生日aに対して、P(a+1−n)≧0.5、∀n=1,2,・・・bを満たす最大のbが、障害前において障害発生確率が閾値を超えた期間の日数となる。
そして、算出した日数(障害前において障害発生確率が閾値を超えた期間の日数)を印刷枚数により回帰分析して、障害兆候期間を算出する計算式を導出する。例として、障害兆候期間の長さYを印刷枚数Xで計算する式を求めると、Y=1.973×109×X-2.043となる。
図23(a)の例によれば、従来例では、障害発生確率が閾値(本例では0.5)を超えた後、障害発生日前に障害発生確率が閾値以下に一旦下がっているが、本実施例では、その時点における障害発生確率の落ち込みが小さく、閾値以下になっていない。また、図23(b)の例によれば、従来例では、障害発生確率が閾値を一旦超えてから落ちるノイズが生じているが、本実施例では、その時点における障害発生確率の上昇が小さく、閾値を超えていない。
このように、図23の比較例によれば、従来例よりも障害発生確率の算出精度が向上しており、障害が発生することを精度よく予測できたことが分かる。
また、障害発生日以前に障害発生確率が0.8を超えた日数と、障害発生日前以外で障害発生確率が0.8日を超えた日数(誤検出の日数)とから誤検出率を算出したところ、従来例では誤検出率が30%であったのに対し、本実施例では誤検出率が7%となっており、従来例に比べて本実施例の方が誤検出率が低く、障害予測の精度が向上している。
すなわち、画像形成装置から、トナー濃度、パッチ濃度、現像バイアス、帯電電位、転写電位、定着温度の各パラメータについて測定値及び目標値を取得し、パラメータ毎に測定値と目標値との差分を算出した。更に、画像形成装置の使用状況として、当該画像形成装置の設置環境の温度及び湿度、現像剤を交換してからの経過日数、印刷画像の画像密度、当該画像形成装置による印刷枚数を取得した。これらの情報は、画像形成装置が動作している間に2時間おきに取得した。また、画像形成装置による印刷画像に画質異常が生じ、画像形成装置の利用者がサービス員に訪問保守の要請をした時点を障害発生点とした。
その後、上記で求めた計算式を用いて、障害の事例毎に障害兆候期間の長さを推定して障害兆候期間を設定し、動作データに障害兆候期間データと非障害兆候期間データを区別するラベルを付与し、ラベル付与後の動作データ(動作データの分類結果)を用いてベイジアンネットワークにより障害予測器の学習を行った。
そして、学習された障害予測器を用いて、障害予測の対象となる画像形成装置から新たに取得されたデータに基づいて画質異常の障害発生確率を算出し、画像形成装置の管理者等に通知するようにした。
なお、本例では、本発明に係る第1記憶手段を動作データ記憶手段41により実現し、本発明に係る第2記憶手段を障害発生情報記憶手段42により実現し、本発明に係る第3記憶手段を装置使用状況記憶手段43により実現し、本発明に係る分類手段を学習データ調整手段32(及び、障害兆候期間長推定器生成手段35、障害兆候期間長推定器36)により実現し、本発明に係る生成手段を障害予測器学習33により実現し、本発明に係る予測手段を障害発生確率算出手段34により実現している。
なお、本例のようなソフトウェア構成により各機能部を実現する態様に限られず、各機能部を専用のハードウェアモジュールで実現するようにしてもよい。
また、本発明に係る障害予測装置により生成された障害予測器(障害の予測モデル)を各々の画像形成装置に配布し、各画像形成装置が自己診断(自装置について障害予測を実施)する構成としてもよい。
21:学習データ調整手段、 22:障害兆候期間の長さ推定器生成手段、 23:障害兆候期間の長さ推定器、
31:装置動作状況記憶手段、 32:学習データ調整手段、 33:障害予測器学習手段、 34:障害発生確率算出手段、 35:障害兆候期間長推定器生成手段、 36:障害兆候期間長推定器、 37:予測結果通知手段、
41:動作データ記憶手段、 42:障害発生情報記憶手段、 43:装置使用状況記憶手段
Claims (6)
- 被監視装置が動作制御に用いる動作パラメータのデータ及びその収集時点を記憶する第1記憶手段と、
被監視装置における障害の発生時点を記憶する第2記憶手段と、
被監視装置の使用状況のデータ及びその収集時点を記憶する第3記憶手段と、
前記第3記憶手段に記憶された使用状況のデータ及びその収集時点に基づいて、前記第2記憶手段に記憶された障害の発生時点を基準に遡った期間であって障害の兆候が現れると想定される障害兆候期間を障害の事例毎に設定し、前記第1記憶手段に記憶された動作パラメータのデータをその収集時点が障害兆候期間に属するか否かで分類する分類手段と、
前記分類手段による動作パラメータのデータの分類結果に基づいて、被監視装置の障害予測に用いる予測モデルを生成する生成手段と、
を備えたことを特徴とする障害予測システム。 - 被監視装置の使用状況の傾向と障害兆候期間の長さとの対応関係を予め定めてあり、
前記分類手段は、障害の発生時点における使用状況の傾向を前記対応関係に照らして障害兆候期間の長さを障害の事例毎に調整し、当該調整した障害兆候期間の長さを障害の各事例に適用して障害兆候期間の設定を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の障害予測システム。 - 前記予測モデルは、被監視装置における障害の発生確率を算出するものであり、
前記障害予測システムは、被監視装置における障害の発生時点以前の複数の時点について、前記予測モデルを用いて障害の発生確率を算出する予測手段を備え、
前記分類手段は、前記予測手段により算出された障害の発生確率の時系列変化と障害の発生時点に対応する収集時点の使用状況のデータとの関係に基づいて、障害兆候期間の長さを障害の事例毎に調整して、障害兆候期間の設定及び動作パラメータのデータの分類をやり直し、
前記生成手段は、前記分類手段による分類のやり直し後の動作パラメータのデータに基づいて、前記予測モデルを生成し直す、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の障害予測システム。 - 前記第3記憶手段は、被監視装置の使用状況のデータ及びその収集時点を複数種の使用状況について記憶し、
前記分類手段は、前記第3記憶手段に記憶された複数種の使用状況のデータ及びその収集時点に基づいて障害の事例毎に障害兆候期間を設定し、前記第1記憶手段に記憶された動作パラメータのデータをその収集時点が障害兆候期間に属するか否かで分類する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の障害予測システム。 - 被監視装置が動作制御に用いる動作パラメータのデータ及びその収集時点を記憶する第1記憶手段と、
被監視装置における障害の発生時点を記憶する第2記憶手段と、
被監視装置の使用状況のデータ及びその収集時点を記憶する第3記憶手段と、
前記第3記憶手段に記憶された使用状況のデータ及びその収集時点に基づいて、前記第2記憶手段に記憶された障害の発生時点を基準に遡った期間であって障害の兆候が現れると想定される障害兆候期間を障害の事例毎に設定し、前記第1記憶手段に記憶された動作パラメータのデータをその収集時点が障害兆候期間に属するか否かで分類する分類手段と、
前記分類手段による動作パラメータのデータの分類結果に基づいて、被監視装置の障害予測に用いる予測モデルを生成する生成手段と、
を備えたことを特徴とする障害予測装置。 - コンピュータに、
被監視装置が動作制御に用いる動作パラメータのデータ及びその収集時点を記憶する第1記憶機能と、
被監視装置における障害の発生時点を記憶する第2記憶機能と、
被監視装置の使用状況のデータ及びその収集時点を記憶する第3記憶機能と、
前記第3記憶機能により記憶された使用状況のデータ及びその収集時点に基づいて、前記第2記憶機能により記憶された障害の発生時点を基準に遡った期間であって障害の兆候が現れると想定される障害兆候期間を障害の事例毎に設定し、前記第1記憶機能により記憶された動作パラメータのデータをその収集時点が障害兆候期間に属するか否かで分類する分類機能と、
前記分類機能による動作パラメータのデータの分類結果に基づいて、被監視装置の障害予測に用いる予測モデルを生成する生成機能と、
を実現させるためのプログラム。
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