図1には、本実施の形態に係る障害予測管理制御を実行するための環境の構成例が示されている。
本実施の形態では、記録用紙P(例えば、図3参照)に画像を形成して出力する画像形成装置10と、画像形成装置10の管理者や保守担当者などに利用される保守情報入力端末12と、を有している。なお、図1では、2台の画像形成装置10と2台の保守情報入力端末12とを示してあるが、これらの台数は任意である。
また、本実施の形態では、画像形成装置10及び保守情報入力端末12のそれぞれと通信網等を介して有線又は無線により通信可能に接続され、これらから収集した情報を用いて、各画像形成装置10に障害(トラブル)が発生する確率を算出する障害予測管理装置の一例としての管理装置14を有している。図1では、管理装置14を1台の装置により構成してあるが、後述する各機能部を複数台の装置に分散した構成としてもよい。
まず、画像形成装置10について説明する。
画像形成装置10は、記録用紙Pに画像を形成して出力する画像形成機能を備えた装置である。画像形成装置10としては、プリンタ(文書印刷装置)、コピー機(文書複写装置)、ファクシミリ装置(文書転送装置)などの装置が挙げられるほか、これらの装置の機能を複合的に備えた複合機も含まれる。
ここで、本実施の形態の画像形成装置10は、その内部状態を示す複数の監視パラメータの値を画像形成動作中に随時検出する機能を有している。監視パラメータは、障害の発生の予測に寄与し得るパラメータとして予め定められたものであり、例えば、帯電電圧、現像バイアス、レーザ光量、トナー濃度等が挙げられる。監視パラメータの検出値としては、その監視パラメータに該当する部位で計測された計測値を用いてもよく、各部位を制御するための目標値を用いてもよく、計測値と目標値との差分などの他の種別の値を用いてもよい。
本実施の形態の画像形成装置10では、1ページ或いは複数ページに係る画像形成処理の実行を指示するジョブ命令を受け付けると、当該ジョブ命令に従って画像を記録用紙Pに形成して出力する毎(1ページ毎)に各監視パラメータの値を検出し、当該ジョブ命令に係る全ての画像形成処理の終了後に、各監視パラメータの検出値を格納した機械情報を管理装置60へ送信する。
なお、本実施の形態において画像形成処理のジョブ命令毎に管理装置14へ送信する機械情報は、自装置を識別する装置ID、当該ジョブ命令を識別するジョブID、当該ジョブ命令に基づく画像形成処理毎の各監視パラメータの検出値及び検出日時などを格納した構造のデータとなっている。
ここで、上記のように、ジョブ命令に基づく画像形成処理の終了毎に機械情報を管理装置14へ送信する構成に代えて、機械情報をメモリに一時的に蓄積しておき、予め定められた送信条件を満たしたことを契機に、蓄積しておいた未送信の機械情報を送信する構成を採用してもよい。具体的には、例えば、予め定められた時間の経過を送信条件とし、当該時間の経過毎(例えば1時間毎)に送信してもよく、管理装置14からの要求を送信条件とし、当該要求に応答して送信してもよい。
次に、保守情報入力端末12について説明する。
本実施の形態の保守情報入力端末12は、画像形成装置10の設置場所に訪問して保守作業を実際に行った保守担当者やその報告を受けた者などから、その保守作業に関する保守情報の入力を受け付けて、管理装置14へ送信する。また、本実施の形態の保守情報入力端末12は、画像形成装置10における障害発生の予測結果の情報を管理装置14から受信して、保守情報入力端末12に設けられた表示装置により表示出力する。
なお、本実施の形態の保守情報入力端末12が管理装置14へ送信する保守情報は、保守作業の対象となった画像形成装置10を識別する装置ID、当該保守作業が実施された日時を示す保守日時、当該保守作業により除去された障害の種類を示す障害種類、当該障害が発生した日時を示す障害日時、当該障害が発生した箇所を示す障害発生箇所などを格納した構造のデータとなっている。すなわち、保守情報は、障害発生事例の情報ともいえる。
次に、管理装置14について説明する。
本実施の形態に係る管理装置14は、画像形成装置10における障害の発生について予測する装置である。
管理装置14は、データ取得部16として、機械情報収集部18、保守情報収集部20、機械情報蓄積部22、及び保守情報蓄積部24を備えている。
また、管理装置14は、モデル生成部26として、障害予兆判定モデル生成部28及び障害発生予測部30を備えている。
前記データ取得部16及び前記モデル生成部26は、予測手段の一例として機能する。
さらに、管理装置14は、報知部32として、保守判定指標生成部34、保守対象判定部36、及び障害予兆通知部40を備えている。保守判定指標生成部34は、決定手段の一例として機能し、保守対象判定部36は、判定手段の一例として機能する。また、障害予兆通知部40は、通知手段の一例として機能する。
(データ取得部16)
データ取得部16では、監視対象機械(画像形成装置10)から、定期的に監視パラメータデータ、使用環境情報、使用状況情報を含む機械情報を、機械情報収集部18により収集すると共に、収集した機械情報を機械情報蓄積部22へ蓄積する。
なお、機械情報としては、画像形成装置10を識別する装置ID、当該画像形成装置10で受け付けジョブ命令を識別するジョブID、当該ジョブ命令に基づく画像形成処理毎の各監視パラメータの検出値及び検出日時なども含まれる。
また、データ取得部16では、保守情報入力端末12から受け付けた保守情報を、保守情報収集部20により収集すると共に、収集した保守情報を保守情報蓄積部24へ蓄積する。
なお、保守情報としては、画像形成装置10を識別する装置ID、当該画像形成装置10に保守作業が施された日時を示す保守日時、保守作業により当該画像形成装置10から除去された障害の種類を示す障害種類、当該障害が発生した日時を示す障害日時、当該障害が発生した箇所を示す障害発生箇所などの情報が含まれる。
(モデル生成部26)
モデル生成部26における、障害予兆判定モデル生成部28では、保守情報蓄積部24から障害発生事例を抽出し、障害の発生した機械(画像形成装置10)から、障害種類毎に対象となる監視パラメータデータを、図2に示す所定の期間ΔT1分、機械情報蓄積部22から取得する。
例えば、期間ΔT1は、データ収集の全期間(ΔT)を1年とした場合、1/2の期間である前半の半年程度が好ましい。なお、比較的短い期間(1ジョブ単位、数ジョブ単位、1日単位、数日単位)であってもよい。また、詳細は後述するが、本実施の形態では、障害発生が予測された場合に、保守を行うか否かを判定するデータ収集期間(期間ΔT3)として、データ収集の全期間(ΔT)の後半の半年程度が適用される(ΔT1≒ΔT3)。
例えば、濃度変動に関わる画質障害事例の場合は、監視パラメータとして、帯電電圧、現像バイアス、レーザ光量等のデータを機械情報蓄積部22から取得する。
さらに、パラメータ毎に、所定の期間ΔT1に対する平均値、標準偏差、パラメータ間の相関値等の特徴量を生成する。
また、障害予兆判定モデル生成部28では、障害発生日以前の図2に示す所定の期間ΔT2を予め定められた期間(例えば、1〜2週間程度)で設定し、期間ΔT1分のデータの内、図2に示す期間ΔT2のデータを異常データとすると共に、期間ΔT1以外の期間のデータを正常データとして、監視パラメータ毎に特徴量データを正常時と異常時の分布を作成した予兆判定モデルを生成する。
障害発生予測部30では、機械情報収集部18で収集し、機械情報蓄積部22に蓄積された監視対象機械(画像形成装置10)の監視パラメータデータ(直近が好ましい)と、障害予兆判定モデル生成部28で生成した予兆判定モデルと、を用いて障害発生確率を算出する。
すなわち、過去の障害発生事例に基づいて、特徴量データを異常データ群(障害が発生したときのデータ群)と、正常データ群(障害は発生しなかったときのデータ群)とに分け、異常時と正常時の各種特徴量値の分布の違いを利用して、画像形成装置10の不具合発生を予測する。
(報知部32)
報知部32は、基本的には、障害発生予測部30により算出された障害予測対象の画像形成装置10における障害の発生予兆確率に基づき、障害発生を通知する。具体的には、算出結果(発生予兆確率)の情報を保守情報入力端末12へ送信し、保守情報入力端末12に設けられた表示装置により表示出力される。
ここで、本実施の形態では、障害発生予測部30により算出された障害予測対象の障害の発生予兆確率に基づく障害発生予測が、当該機械(画像形成装置10)のユーザーのニーズに適合しているか否かを判定した上で、通知の実行可否を判定するようにした。
(ユーザーニーズの適合性の一例)
障害発生予測部30での予測に基づく、画像形成装置10の不具合発生の予測において、例えば、相対的に高画質が要求されるグラフィック画像では問題となる濃度むらのような画質不良が発生する障害であっても、ユーザーが画像形成装置10を用いて出力する情報がテキスト中心であると画質不良が発生しない、又は、画質不良が発生してもユーザー感応で気が付かない程度の許容範囲である場合がある。
この場合、常に、障害発生予測部30での不具合発生予測に対応して、サービスエンジニアを訪問(保守遂行)させると、ユーザーにとっては過剰品質、過剰保守と受け取られることがある。場合によっては、画像形成装置10の機能を一時的に遮断して、ユーザーの生産性の低下を招く場合もある。
そこで、本実施の形態では、報知部32における保守判定指標生成部34及び保守対象判定部36において、障害予測対象の障害の発生予兆確率が、ユーザーのニーズに適合しているか否かを判定している。
報知部32において、障害の発生した画像形成装置10から、障害種類毎に対象となる監視パラメータデータを、新たに図2に示す所定の期間ΔT3分(ΔTが1年程度の場合、後半の半年程度)の、機械情報蓄積部22から取得する。
この機械情報蓄積部22から取得した監視パラメータデータに対して、予兆判定モデルにより、日ごとに予兆確率を算出する。
保守判定指標生成部34では、期間ΔT3で取得した監視パラメータデータの内、画像出力情報の一例としての単位枚数当たりのトナー消費量データを抽出する。なお、画像出力情報としては、単位枚数当たりのトナー消費量データ以外に、画像形成面積、又は像密度情報であってもよく、また、その2以上の組み合わせであってもよい。
さらに、障害発生予測部30で算出した予兆確率がしきい値以上となった日を抽出する。
保守判定指標生成部34では、抽出した位枚数当たりのトナー消費量データ群を、障害発生日を起点とした、当該起点以前の所定の期間ΔT2内に含まれるものと、期間ΔT2に含まれないものとに分類する。
期間ΔT2内に含まれるトナー消費量データと、期間ΔT2に含まれないトナー消費量データとの分離度が最大値となる単位枚数当たりのトナー消費量データ値を補修判定指標のしきい値とする。
分離度は、例えば、以下の(1)式により算出する。なお、しきい値は、(1)式に基づく分離度計算以外のしきい値を決定する手段を用いてもよい。
図3は、トナー消費量データ群における像密度が異なる記録用紙Pの出力形態を示している。
図3(A)はテキスト中心の出力形態(以下、「テキスト画像」という)であり、相対的に像密度が低い。また、図3(B)は写真又はグラフィック中心の出力形態(以下、「写真画像」という)であり、相対的に像密度が高い。
図4(A)は、特定のユーザーにおける、図3(A)で示したテキスト画像の出力枚数分布図である。
また、図4(B)は、特定のユーザーにおける、図3(B)で示した写真画像の出力枚数分布図である。
なお、図4(A)及び図4(B)において、横軸は、単位枚数当たりのトナー消費量としているが、単位枚数当たりのトナー消費量に限定されず、単位枚数当たりの印刷面積、又は単位枚数当たりの像密度であってもよい。
図4(C)に示される如く、前記(1)式の計算により、テキスト画像の分布図と写真画像の分布図との交差する点が分離度として算出され、この交差点をしきい値とすることで、前記特定のユーザーがテキスト画像中心であるか、写真画像中心であるかを判断することが可能となる。
保守対象判定部36では、障害発生予測部30で算出された障害発生確率が、予め定めた障害発生有りとする基準以上の場合、判定日を含む所定の期間ΔT4(図2参照)分、監視対象の画像形成装置10の単位枚数当たりのトナー消費量データを抽出する。なお、期間ΔT4は、前記ΔT2と同様に1〜2週間程度としている。
ここで、前記抽出した平均値が、保守判定指標生成部34で算出したしきい値以上であれば、監視対象の画像形成装置10が写真画像を中心として出力していると判断して、障害予測通知部40において、監視対象の画像形成装置10を管理するユーザーに障害発生を通知すると共に、サービスエンジニアによる保守を要請する。
言い換えれば、期間ΔT4分の単位枚数当たりのトナー消費量データの平均値が、保守判定指標生成部34で算出したしきい値未満であれば、監視対象の画像形成装置10がテキスト画像を中心として出力していると判断して、障害予測通知部40において、監視対象の画像形成装置10を管理するユーザーに障害発生を通知せず、サービスエンジニアによる保守も要請しない。
以下に本実施の形態の作用を説明する。
(障害判定用確率分布の生成処理)
障害予兆判定モデル生成部110における障害判定用確率分布の生成を、図5に例示する処理フローを用いて説明する。
まず、保守情報蓄積部108を参照して、モデル生成対象障害発生事例(保守情報)を抽出する(ステップ100)。
次に、障害の発生した画像形成装置10毎に期間ΔT1分の監視パラメータデータを機械情報蓄積部22から取得する(ステップ102)。
すなわち、モデル生成対象障害発生事例(保守情報)に対応する機械情報蓄積部22の機械情報を参照して、障害が発生した(保守作業が施された)画像形成装置10について、その装置に発生した障害種類との対応が予め設定された(その種類の障害の発生の予測に寄与し得る)監視パラメータ毎に、期間ΔT1単位ずつデータ(検出値)を取得する。例えば、濃度変動に関わる画質障害の場合には、監視パラメータとして、帯電電圧、現像バイアス、レーザ光量等のデータを取得する。
次に、画像形成装置10毎に、その装置に発生した障害種類に関して期間ΔT1単位ずつ取得した監視パラメータのデータに基づく特徴量を算出する(ステップ104)。
算出する特徴量の種類は障害種類毎に予め規定されており、その種類の障害の発生に関連して特徴的に変化する複数種類の特徴量を算出する。
次に、障害発生日およびその数日前までの期間ΔT2と、それ(期間ΔT2)以外の期間で、それぞれ各特徴量の頻度分布を生成する(ステップ106)。
すなわち、画像形成装置10毎に、その装置に発生した障害種類に対応する複数種類の特徴量の各々について、障害発生日時を起点とした、当該起点以前の期間ΔT2における特徴量の算出値の頻度分布(ヒストグラム)と、期間ΔT2以外の期間における特徴量の算出値の頻度分布(ヒストグラム)を作成する。
例えば、図6(A)に例示するような障害有りの頻度分布(障害が発生した期間における特徴量の算出値の頻度分布)と、図6(B)に例示するような障害無しの頻度分布(障害が発生しなかった期間における特徴量の算出値の頻度分布)を作成する。なお、特徴量の算出値の頻度分布は、特徴量の取り得る値の範囲を一定幅で区切った区間毎に、特徴量の算出値の個数(頻度値)を計数することで作成できる。
そして、画像形成装置10毎に、その装置に発生した障害種類に対応する複数種類の特徴量の各々について作成した2つの頻度分布(障害有りの頻度分布と障害無しの頻度分布)における頻度値をそれぞれ正規化し、その結果を障害種類判定用確率分布として障害予兆判定モデル生成部28に保存(記憶)させる(ステップ108)。
なお、画像形成装置10間の特徴量のばらつきを補正するために、画像形成装置10毎に各特徴量の平均値と標準偏差を算出し、特徴量を規格化して頻度分布を作成してもよい。
また、同様の手順(図5のフローの手順)により、障害発生箇所判定用確率分布を作成する。
すなわち、保守情報蓄積部24を参照して、障害発生事例(保守情報)を抽出する。
次に、障害発生事例(保守情報)に対応する機械情報蓄積部22の機械情報を参照して、障害が発生した(保守作業が施された)画像形成装置10について、その装置における障害発生箇所との対応が予め設定された(その箇所の障害の発生の予測に寄与し得る)監視パラメータ毎に、期間ΔT1単位ずつデータ(検出値)を取得する。例えば、現像系が原因の障害の場合には、監視パラメータとして、現像バイアス、トナー濃度等のデータを取得する。
次に、画像形成装置10毎に、その装置の障害発生箇所に関して期間ΔT1単位ずつ取得した監視パラメータのデータに基づく特徴量を算出する。算出する特徴量の種類は障害発生箇所毎に予め規定されており、その箇所の障害の発生に関連して特徴的に変化する複数種類の特徴量を算出する。
次に、画像形成装置10毎に、その装置における障害発生箇所に対応する複数種類の特徴量の各々について、障害発生日を起点とした、当該起点以前の期間ΔT2における特徴量の算出値の頻度分布(ヒストグラム)と、期間ΔT2以外の期間における特徴量の算出値の頻度分布(ヒストグラム)を作成する。
そして、画像形成装置10毎に、その装置における障害発生箇所に対応する複数種類の特徴量の各々について作成した2つの頻度分布(障害有りの頻度分布と障害無しの頻度分布)における頻度値をそれぞれ正規化し、その結果を障害発生箇所判定用確率分布として障害予兆判定モデル生成部110に保存(記憶)させる。
なお、本実施の形態では、障害種類に対応する特徴量毎の正規化後の頻度分布を障害種類判定用確率分布として、画像形成装置10毎に、障害予兆判定モデル生成部110に記憶させているが、全ての画像形成装置10分の障害種類に対応する特徴量毎の正規化後の頻度分布から、それぞれ平均頻度分布を算出して、これを障害種類判定用確率分布として、障害予兆判定モデル生成部28に記憶させてもよい。
また、本実施の形態では、障害発生箇所に対応する特徴量毎の正規化後の頻度分布を障害発生箇所判定用確率分布として、画像形成装置10毎に、障害予兆判定モデル生成部110に記憶させているが、全ての画像形成装置10分の障害発生箇所に対応する特徴量毎の正規化後の頻度分布から、それぞれ平均頻度分布を算出して、これを障害発生箇所判定用確率分布として、障害予兆判定モデル生成部28に記憶させてもよい。
(障害発生確率の算出処理)
次に、障害発生予測部30による障害発生確率の算出について説明する。本実施の形態では、障害の発生確率を[形態1]〜[形態4]の4種類により算出できるようにしてあり、[形態1]〜[形態3]に係る処理フローの例を図7に、[形態4]に係る処理フローの例を図8に示してある。
[形態1]
図7に示される如く、まず、障害予測対象の画像形成装置10について機械情報蓄積部22に蓄積されている直近の機械情報を参照して、特徴量の算出に必要な分の監視パラメータのデータを取得し(ステップ110)、障害予兆判定モデル生成部28と同様の手法により各特徴量の算出を行う(ステップ112)。
次に、障害予兆判定モデル生成部28から障害種類判定用確率分布を取得し(ステップ114)、障害種類毎に、その種類の障害が障害予測対象の画像形成装置10に近い将来に発生する確率(発生予兆確率)を算出する(ステップ116)。
本実施の形態では、障害発生確率の算出対象となる障害種類を障害Tとし、障害予測対象の画像形成装置10における直近の機械情報に含まれるm種のパラメータpj(1≦j≦m)に基づいて算出された、障害Tに関するn種の特徴量Xi(1≦i≦n)の各値をそれぞれxiとして、(2)式により、障害予測対象の画像形成装置10に障害Tが発生する確率を算出する。なお、(2)式は、各々の特徴量の間に相関が無いことを前提としている。
ここで、P(T=yes)は、障害Tが発生する確率(事前確率)であり、P(T=no)は、障害Tが発生しない確率(事前確率)であり、P(T=yes)+P(T=no)=1という関係を有する。
また、P(xi|(T=yes))は、障害Tが発生した場合にi番目の特徴量Xiの値がxiであった確率であり、障害Tに対応する特徴量Xiについての障害種類判定用確率分布(障害有り)におけるxiの確率を用いる。
また、P(xi|(T=no))は、障害Tが発生しなかった場合にi番目の特徴量Xiの値がxiであった確率であり、障害Tに対応する特徴量Xiについての障害種類判定用確率分布(障害無し)におけるxiの確率を用いる。
すなわち、(2)式では、障害Tが発生する確率(事前確率)と、障害Tが発生した場合にn種の特徴量Xi(1≦i≦n)の各値として(x1,x2,・・・,xn)という組み合わせが得られた確率とを乗じた値[P(T=yes)・ΠP(xi|(T=yes))]、及び、障害Tが発生しない確率(事前確率)と、障害Tが発生しなかった場合にn種の特徴量Xi(1≦i≦n)の各値として(x1,x2,・・・,xn)という組み合わせが得られた確率とを乗じた値[P(T=no)・ΠP(xi|(T=no))]を用いて、障害予測対象の画像形成装置10に障害Tが発生する確率[P((T=yes)|x1,x2,・・・,xn)]を算出する。
その後、障害種類毎に算出した発生予兆確率を通知する準備処理を実行する(ステップ118)。
ステップ118における「通知する準備」とは、後述する通知及び保守の可否の判定によっては、通知しない場合もあることを示すが、保守要請は不要でも、通知だけは実行するようにしてもよい。
なお、算出した全ての発生予兆確率を通知してもよく、予め定めた閾値を超えたものだけを通知してもよい。また、複数の発生予兆確率を通知する場合には、確率が高い順に通知することが好ましい。発生予兆確率の通知は、例えば、保守情報入力端末12に設けられた表示装置により表示出力することにより行われる。
図9の(a)には、障害種類毎の発生予兆確率をリスト形式で通知する例が示してあり、障害種類毎の発生予兆確率が確率の高い順に表示されている。
[形態2]
図7に示される如く、まず、障害予測対象の画像形成装置10について機械情報蓄積部22に蓄積されている直近の機械情報を参照して、特徴量の算出に必要な分の監視パラメータのデータを取得し(ステップ110)、障害予兆判定モデル生成部28と同様の手法により各特徴量の算出を行う(ステップ112)。
次に、障害予兆判定モデル生成部28から障害発生箇所判定用確率分布を取得し(ステップ120)、障害発生箇所毎に、その箇所の障害が障害予測対象の画像形成装置10に近い将来に発生する確率(発生予兆確率)を算出する(ステップ122)。
本実施の形態では、障害発生確率の算出対象となる障害発生箇所を障害Tとし、障害予測対象の画像形成装置10における直近の機械情報に基づいて算出された、障害Tに関するn種の特徴量Xi(1≦i≦n)の各値をそれぞれxiとして、(2)式により、障害予測対象の画像形成装置10に障害Tが発生する確率を算出する。
その後、障害発生箇所毎に算出した発生予兆確率を通知する準備処理を実行する(ステップ124)。
ステップ124における「通知する準備」とは、後述する通知及び保守の可否の判定によっては、通知しない場合もあることを示すが、保守要請は不要でも、通知だけは実行するようにしてもよい。
なお、算出した全ての発生予兆確率を通知してもよく、予め定めた閾値を超えたものだけを通知してもよい。また、複数の発生予兆確率を通知する場合には、確率が高い順に通知することが好ましい。発生予兆確率の通知は、例えば、保守情報入力端末12に設けられた表示装置により表示出力することにより行われる。
図9の(b)には、障害発生箇所毎の発生予兆確率をリスト形式で通知する例が示してあり、障害発生箇所毎の発生予兆確率が確率の高い順に表示されている。
[形態3]
図7に示される如く、まず、障害予測対象の画像形成装置10について機械情報蓄積部22に蓄積されている直近の機械情報を参照して、特徴量の算出に必要な分の監視パラメータのデータを取得し(ステップ110)、障害予兆判定モデル生成部28と同様の手法により各特徴量の算出を行う(ステップ112)。
次に、障害予兆判定モデル生成部28から障害種類判定用確率分布を取得し(ステップ114)、障害種類毎に、その種類の障害が障害予測対象の画像形成装置10に近い将来に発生する確率(発生予兆確率)を算出する(ステップ116)。
また、障害予兆判定モデル生成部から障害発生箇所判定用確率分布を取得し(ステップ120)、障害発生箇所毎に、その箇所の障害が障害予測対象の画像形成装置10に近い将来に発生する確率(発生予兆確率)を算出する(ステップ122)。
その後、障害種類毎に算出した発生予兆確率と障害発生箇所毎に算出した発生予兆確率を障害種類別に分類して通知する準備処理を実行する(ステップ126)。
ステップ126における「通知する準備」とは、後述する通知及び保守の可否の判定によっては、通知しない場合もあることを示すが、保守要請は不要でも、通知だけは実行するようにしてもよい。
障害発生箇所毎の発生予兆確率を障害種類別に分類するには、例えば、障害種類と障害発生箇所とを対応付けた対応表を予め用意しておき、当該対応表に従って行えばよい。
なお、算出した全ての発生予兆確率を通知してもよく、予め定めた閾値を超えたものだけを通知してもよい。また、複数の発生予兆確率を通知する場合には、確率が高い順に通知することが好ましい。発生予兆確率の通知は、例えば、保守情報入力端末12に設けられた表示装置により表示出力することにより行われる。
図9の(c)には、障害種類毎の発生予兆確率と障害発生箇所毎の発生予兆確率を障害種類別に分類してリスト形式で通知する例が示してあり、障害種類毎の発生予兆確率が確率の高い順に表示されると共に、障害種類毎に対応する障害発生箇所の発生予兆確率が確率の高い順に表示されている。
[形態4]
図8に示される如く、まず、障害予測対象の画像形成装置10について機械情報蓄積部22に蓄積されている直近の機械情報を参照して、特徴量の算出に必要な分の監視パラメータのデータを取得し(ステップ130)、障害予兆判定モデル生成部28と同様の手法により各特徴量の算出を行う(ステップ132)。
次に、障害予兆判定モデル生成部28から障害種類判定用確率分布を取得し(ステップ134)、障害種類毎に、その種類の障害が障害予測対象の画像形成装置10に近い将来に発生する確率(発生予兆確率)を算出する(ステップ136)。
また、障害予兆判定モデル生成部28から障害発生箇所判定用確率分布を取得し(ステップ138)、障害発生箇所毎に、その箇所の障害が障害予測対象の画像形成装置10に近い将来に発生する確率(発生予兆確率)を算出する(ステップ140)。
次に、障害発生箇所毎に算出した発生予兆確率の各々を予め定めた閾値と比較し(ステップ142)、確率が閾値以上の障害発生箇所について、当該箇所を主原因とする障害種類を特定し、当該障害種類の発生予兆確率を予め定めた割合だけ増加させる補正を行う(ステップ144)。なお、障害種類の特定は、例えば、障害種類と障害発生箇所との対応表に従って行えばよい。
この障害種類毎の発生予兆確率を補正する処理(ステップ142、ステップ144)を全ての障害発生箇所について行った後(ステップ146の肯定判定)、障害種類毎に算出した発生予兆確率(補正前及び補正後)と障害発生箇所毎に算出した発生予兆確率を障害種類別に分類して通知する準備処理を実行する(ステップ148)。
ステップ148における「通知する準備」とは、後述する通知及び保守の可否の判定によっては、通知しない場合もあることを示すが、保守要請は不要でも、通知だけは実行するようにしてもよい。
障害発生箇所毎の発生予兆確率を障害種類別に分類するには、例えば、障害種類と障害発生箇所との対応表に従って行えばよい。
なお、算出した全ての発生予兆確率を通知してもよく、予め定めた閾値を超えたものだけを通知してもよい。また、複数の発生予兆確率を通知する場合には、確率が高い順に通知することが好ましい。
図9の(d)には、障害種類毎の発生予兆確率(補正前及び補正後)と障害発生箇所毎の発生予兆確率を障害種類別に分類してリスト形式で通知する例が示してあり、障害種類毎の発生予兆確率が補正後の確率の高い順に表示されると共に、障害種類毎に対応する障害発生箇所の発生予兆確率が確率の高い順に表示されている。
本実施の形態の障害予測システムでは、管理装置14の障害予兆判定モデル生成部28に、画像形成装置10の内部状態の特徴を示す複数種の特徴量の各々について、画像形成装置10に障害が発生した場合の特徴量の発生頻度の分布を示す障害判定用確率分布と、画像形成装置10に障害が発生しなかった場合の特徴量の発生頻度の分布を示す障害判定用確率分布とを記憶しており、管理装置14の障害発生予測部30が、障害予測対象の画像形成装置10について機械情報蓄積部22に蓄積されている直近の機械情報から各特徴量の値を算出し、当該算出した各特徴量の値と障害予兆判定モデル生成部28に蓄積されている各特徴量の障害判定用確率分布に基づいて、障害予測対象の画像形成装置10における障害の発生予兆確率を算出するようにした。
すなわち、障害予測対象の画像形成装置10における直近の各特徴量の値を算出し、当該算出した各特徴量の値と同様な値の組み合わせが得られた過去の事例において障害が発生した確率及び発生しなかった確率を考慮して、障害予測対象の画像形成装置10に近い将来に障害が発生する確率を算出するため、障害の発生確率を精度良く算出することができる。
(保守判定指標生成処理)
図10は、報知部32(図1参照)の保守判定指標生成部34における、保守判定指標生成処理を示す制御フローチャートである。
ステップ150では、保守情報蓄積部24からモデル生成対象障害発生事例を抽出し、次いで、ステップ152へ移行して障害の発生した画像形成装置10毎に、図2に示す期間ΔT3分の監視パラメータデータを機械情報蓄積部22から取得して、ステップ154へ移行する。
ステップ154では、各監視パラメータデータに基づき、各種特徴量を算出し、次いで、ステップ156へ移行して障害予兆判定モデルを用いて、障害種類の発生予兆確率を算出する。
次のステップ158では、保守判定用パラメータ(本実施の形態では、単位枚数当たりのトナー消費量)を抽出し、次いでステップ160へ移行して、予兆確率が予め定めた障害発生有りとする基準以上となった日(判定日)を含む期間ΔT4(図2参照)分に対する単位枚数当たりのトナー消費量データを抽出する。
次のステップ162では、保守判定用パラメータ(抽出した単位枚数当たりのトナー消費量データ群)を、障害発生日を起点とした、当該起点以前の期間ΔT2内に含まれるものと、期間ΔT2以外のものとに分類する。
次のステップ164では、(2)式による計算結果から得られる、期間ΔT2内に含まれる保守判定用パラメータと、期間ΔT2以外の保守判定用パラメータとの分離度が最大となる値をしきい値として保存し、このルーチンは終了する。
(保守対象判定処理)
図11は、報知部32(図1参照)の保守対象判定部36における、保守対象判定処理を示す制御フローチャートである。この保守対象判定処理では、前記保守判定指標生成処理によって保存された、分離度の最大値(しきい値)を用いる。
ステップ170では、監視対象の画像形成装置10から直近の監視パラメータデータを取得し、次いで、ステップ172へ移行して各監視パラメータデータから各種特徴量を算出し、ステップ174へ移行する。
ステップ174では、障害予兆判定モデルを用いて、障害種類の発生予兆確率を算出し、次のステップ176において、算出した予兆確率が予め定めた障害発生有りとする基準以上か否かが判断される。
このステップ176で否定判定されると、障害は発生していないと判断し、このルーチンは終了する。
また、ステップ176で肯定判定されると、障害が発生していると判断し、ステップ178へ移行する。
ステップ178では、保守判定指標のデータを判定日を含む直近の期間ΔT4分抽出し、平均値を算出して、ステップ180へ移行する。
ステップ180では、ステップ178で算出した平均値が、前記図10のステップ164で保存したしきい値以上か否かが判断される。
このステップ180で否定判定された場合は、監視対象の画像形成装置10がテキスト画像を中心として出力していると判断して、監視対象の画像形成装置10を管理するユーザーに障害発生を通知せず、サービスエンジニアによる保守も要請しない。なお、障害発生の通知は行い、サービスエンジニアによる保守を要請しないようにしてもよい。
通知するか否かは、例えば、ユーザーの選択で依存してもよい。
また、ステップ180で肯定判定された場合は、監視対象の画像形成装置10が写真画像を中心として出力していると判断して、ステップ182へ移行し、障害予測通知部40(図1参照)において、監視対象の画像形成装置10を管理するユーザーに障害発生を通知すると共に、サービスエンジニアによる保守を要請する。
本実施の形態の障害予測システムにおける管理装置14は、各種演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)、CPUの作業領域となるRAM(Random Access Memory)や基本的な制御プログラムを記録したROM(Read Only Memory)等の主記憶装置、各種のプログラムやデータを記憶するHDD(Hard Disk Drive)等の補助記憶装置、各種の情報を表示出力するための表示装置及び操作者により入力操作に用いられる操作ボタンやタッチパネル等の入力機器とのインタフェースである入出力I/F、他の装置との間で有線又は無線により通信を行うインタフェースである通信I/F、等のハードウェア資源を有するコンピュータにより構成されている。
また、本実施の形態に係るプログラムは、例えば、当該プログラムを記憶したCD−ROM等の外部記憶媒体から読み込む形式や、通信網等を介して受信する形式などにより、本実施の形態に係るコンピュータに設定される。
さらに、本実施の形態のようなソフトウェア構成により各機能部を実現する態様に限られず、それぞれの機能部を専用のハードウェアモジュールで実現するようにしてもよい。
なお、本実施の形態では、図2に示す期間ΔTを1年程度、期間ΔT1を期間ΔTの前半の半年程度、ΔT2を1〜2週間程度、ΔT3を期間ΔTの後半の半年程度、ΔT4を1〜2週間程度としたが、これらの期間は限定されるものではない。また、それぞれの期間は目安であり、「・・・程度)と記載しているが、言い換えれば、明確に期間を設定してもしなくてもデータ収集効果に影響を与えるものではない。
また、例えば、データ収集は、所謂過去のデータであるため、装置導入時は履歴が存在しない場合がある。そこで、装置導入時は、装置導入前に耐久試験等を実行した装置を対象として、発段階で得たデータを利用してもよい。
さらに、本実施の形態では、保守の要否を判定するしきい値を固定的としたが、ユーザーによっては、テキスト画像が主流であったのが写真画像が増加する、或いは、写真画像が主流であったのテキスト画像が増加するといった変化が予想される。そこで、保守の要否を判定するしきい値を定期的又は不定期に更新するようにしてもよい。