以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の一例について詳細に説明する。なお、以下では、説明の便宜上、画像形成装置12が設置されている環境を「設置環境」と称する。また、以下では、説明の便宜上、画像形成装置12が設置されている場所を「設置場所」と称する。また、以下では、説明の便宜上、障害の種類を「障害種類」と称する。更に、以下では、説明の便宜上、障害の発生箇所を「障害発生箇所」と称する。
[第1実施形態]
一例として図1に示すように、障害予測システム10は、複数の画像形成装置12、複数の端末装置14、及び本発明に係る障害予測装置の一例である管理装置16を含み、これらは、通信網18を介して相互に接続されている。通信網18の一例としては、専用回線又はインターネット回線等が挙げられる。
本発明に係る被監視装置の一例である画像形成装置12は、用紙やOHPシート等の記録材に画像を形成して出力する装置である。画像形成装置12の一例としては、プリンタ、コピー機、ファクシミリ装置、又は、これらの装置を複合的に備えた複合機が挙げられる。なお、本第1実施形態では、説明の便宜上、画像形成装置12がゼログラフィ方式の画像形成装置であることを前提として説明する。また、本第1実施形態では、説明の便宜上、通信網18に接続されている複数の画像形成装置12は、何れも同機種の画像形成装置12であることを前提として説明する。
画像形成装置12は、画像形成プロセスに関わる監視パラメータ及び環境パラメータを画像形成中に随時検出する機能を有する。監視パラメータは、画像形成装置12の障害の発生の予測に寄与するパラメータとして予め定められたパラメータであり、画像形成装置12の機能に特有の機能物理量である。監視パラメータの一例としては、感光体の電位、感光体の帯電電流、半導体レーザ光の光量、現像器のトナー濃度、1次転写部の転写電流、2次転写部の転写電流、定着器に含まれるロールの温度、及びパッチの濃度等が挙げられる。また、環境パラメータの一例としては、画像形成装置12の設置環境の温度及び湿度が挙げられる。画像形成装置12の設置環境の温度及び湿度は、例えば、画像形成装置12に搭載されている温度センサ及び湿度センサによって測定される。
画像形成装置12は、1ページ又は複数のページに係る画像を記録材に形成する一連の処理(ジョブ)の実行命令を受け付けると、ジョブの実行命令に従って画像を記録材に形成して出力する毎(例えば、1ページ毎)に監視パラメータ及び環境パラメータを検出する。そして、ジョブの実行命令に係る全ての画像形成処理の終了後に、監視パラメータ及び環境パラメータを格納したマシン情報を通信網18を介して管理装置16に送信する。
なお、マシン情報は、自装置を識別する装置ID、ジョブの実行命令を識別するジョブID、ジョブの実行命令に基づく画像形成処理毎の監視パラメータ、環境パラメータ、及び検出日時を示す検出日時情報等を格納した構造のデータである。
ここで、本第1実施形態では、説明の便宜上、ジョブの実行命令に基づく画像形成処理の終了毎にマシン情報が管理装置16に送信される場合を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、マシン情報を画像形成装置12のメモリに一時的に蓄積しておき、予め定められた送信条件を満たした場合に、メモリに蓄積しておいた未送信のマシン情報が管理装置16に送信されるようにしてもよい。例えば、予め定められた時間(例えば、1時間)が経過した場合に、マシン情報が管理装置16に送信されるようにしてもよいし、管理装置16からの要求に応じてマシン情報が管理装置16に送信されるようにしてもよい。
端末装置14は、画像形成装置12の管理者や保守の担当者等によって用いられる。端末装置14の一例としては、パーソナル・コンピュータ、スマートデバイス、又はウェアラブル端末装置が挙げられる。
端末装置14は、通信インタフェース、受付デバイス、及び表示デバイスを有する。通信インタフェースは、無線通信プロセッサ及びアンテナを備えており、端末装置14と通信網18に接続された外部装置との通信を司る。また、端末装置14は、画像形成装置12の設置場所に訪問して保守作業を実際に行った保守担当者やその報告を受けた者などから、保守作業に関する保守情報の入力を受付デバイスで受け付け、受け付けた保守情報を管理装置16に送信する。また、端末装置14は、画像形成装置12の障害の発生の予測結果が管理装置16から送信されると、予測結果を受信し、受信した予測結果を表示デバイスに表示する。
なお、保守情報は、保守作業の対象となった画像形成装置12を識別する装置ID、保守作業が実施された日時を示す保守日時情報、保守作業により除去された障害種類を示す障害種類情報、障害が発生した日時を示す障害日時情報、及び障害が発生した箇所を示す障害発生箇所情報等を格納した構造のデータである。すなわち、保守情報は、トラブル発生事例を示す情報とも言える。なお、障害日時情報は、本発明に係る特定情報の一例である。本第1実施形態では、障害日時情報を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、障害が発生した年月日及び時分秒を示す情報であってもよく、画像形成装置12で障害が発生した時点を特定する情報であれば如何なる情報であってもよい。
管理装置16は、画像形成装置12の障害の発生を予測する装置であり、取得部20、導出部24、及び通知部26を含む。なお、通信網18に接続されている複数の画像形成装置12は何れも障害発生の予測対象になり得る。複数の画像形成装置12のうちの何れの画像形成装置12を障害発生の予測対象とするかは、管理装置16がユーザの指示を受け付けることによって定まる。
取得部20は、画像形成装置12の動作状態の特徴を示す状態特徴量を取得する。なお、状態特徴量は、通信網18に接続されている複数の画像形成装置12の各々から取得部20によって取得される。状態特徴量とは、例えば、監視パラメータの統計値を指す。
導出部24は、異なる指定障害発生期間の各々の状態特徴量についての指定障害分布、及び指定障害非発生期間の状態特徴量についての指定非障害分布から特定された障害分布及び非障害分布を用いて、予測対象画像形成装置で障害が発生する確率を導出する。なお、予測対象画像形成装置とは、複数の画像形成装置12のうちの障害発生の予測対象とされる画像形成装置12を指す。
ここで、障害発生期間とは、予測対象画像形成装置で障害が発生した期間を指す。また、指定障害発生期間とは、予測対象画像形成装置で障害が発生した期間として指定された障害発生期間を指す。また、指定障害発生期間の状態特徴量とは、取得部20により取得された状態特徴量のうちの指定障害発生期間の状態特徴量を指す。また、指定障害分布とは、指定障害発生期間の状態特徴量の発生頻度の分布を示す障害分布を指す。
また、障害非発生期間とは、予測対象画像形成装置で障害が発生しなかった期間を指す。また、指定障害非発生期間とは、予測対象画像形成装置で障害が発生しなかった期間として指定された障害非発生期間を指す。また、指定障害非発生期間の状態特徴量とは、取得部20により取得された状態特徴量のうちの指定障害非発生期間の状態特徴量を指す。指定非障害分布とは、指定障害非発生期間の状態特徴量の発生頻度の分布を示す非障害分布を指す。
通知部26は、導出部24により導出された確率を通知する。例えば、導出部24により導出された確率を示す確率情報は通知部26によって端末装置14に送信され、確率情報により示される確率が端末装置14の表示デバイスに表示される。
取得部20は、保守・マシン情報収集部23、保守情報蓄積部25、マシン情報蓄積部28、及び状態特徴量算出部30を含む。
保守・マシン情報収集部23は、画像形成装置12から送信されたマシン情報を受信することでマシン情報を収集し、収集したマシン情報をマシン情報蓄積部28に時系列化して記憶させることでマシン情報蓄積部28にマシン情報を蓄積する。また、保守・マシン情報収集部23は、端末装置14から送信された保守情報を受信することで保守情報を収集し、収集した保守情報を保守情報蓄積部25に時系列化して記憶させることで保守情報蓄積部25に保守情報を蓄積する。
状態特徴量算出部30は、保守情報及びマシン情報に基づいて、監視パラメータの種類毎に状態特徴量を算出する。すなわち、状態特徴量算出部30は、時系列データ(時系列化された監視パラメータ)を統計処理することで監視パラメータの種類毎に状態特徴量を算出する。なお、本第1実施形態では、状態特徴量算出部30により算出される状態特徴量の一例として、監視パラメータについての期間ΔT1における平均値を採用している。また、本第1実施形態では、期間ΔT1の一例として、1日を採用しているが、これに限らず、1ジョブの期間、数ジョブの期間、又は数日単位の期間であってもよい。また、ここでは、平均値を採用しているが、これに限らず、分散値、2パラメータ間の相関値、又はデータトレンド値であってもよい。
導出部24は、特徴量分類部34、頻度分布生成部35、統計的検定部36、頻度分布再生成部40、及び確率算出部42を含む。
特徴量分類部34は、状態特徴量算出部30により算出された状態特徴量を、期間ΔT2及び期間ΔT3を変化させながら、異なる期間ΔT2の各々の状態特徴量と異なる期間ΔT3の各々の状態特徴量とに分類する。
ここで、期間ΔT2及び期間ΔT3は、何れも、現時点よりも過去の期間である。期間ΔT2とは、画像形成装置12で障害が発生していた期間として指定された期間を指し、例えば、画像形成装置12の障害の発生日時以前の指定された期間(障害の発生日を起算日として過去に遡って指定された期間)を指す。例えば、障害が発生した時点が20××年11月15日の場合、期間ΔT2は、20××年11月15日を起算日とした過去の5日間である。期間ΔT3とは、画像形成装置12で障害が発生していなかった期間として指定された期間を指し、例えば、期間ΔT2と異なる期間を指す。期間ΔT2と異なる期間とは、換言すると、期間ΔT3と重複しない指定された期間を指す。また、期間ΔT3は、例えば、期間ΔT2が定まることで必然的に定まる期間である。例えば、期間ΔT2が、20××年11月10日から、障害が発生した20××年11月15日までの期間の場合、期間ΔT3は、20××年11月10日に連続している過去の5日間を指す。
なお、以下では、説明の便宜上、指定された期間ΔT2と、期間ΔT2が指定されたことで必然的に定まる期間ΔT3との組み合わせを「一対の期間」と称する。
頻度分布生成部35は、状態特徴量の種類毎に、特徴量分類部34により分類された期間ΔT2の各々の状態特徴量の頻度分布及び期間ΔT3の各々の状態特徴量の頻度分布を生成する。ここで、状態特徴量の種類とは、状態特徴量の算出に要した監視パラメータの種類(例えば、帯電電圧、現像バイアス、及びレーザ光量等)を指す。
統計的検定部36は、一対の期間毎に、かつ、状態特徴量の種類毎に、頻度分布生成部35によって生成された頻度分布に対してウィルコクソンの順位和検定を適用することで、p値を算出する。そして、統計的検定部36は、算出したp値を、p値の算出に用いた頻度分布に対応する一対の期間毎に一次記憶部52に記憶する。なお、統計的検定部36によって算出されるp値は、期間ΔT2の状態特徴量の頻度分布と期間ΔT3の状態特徴量の頻度分布との相違度が大きい程、小さくなる値である。
一般的に、p値とは、帰無仮説が正しいときに、帰無仮説を棄却する確率を示す値を指す。従って、2つの分布が同じ母集団であるとする帰無仮説が立てられ、ウィルコクソンの順位和検定で棄却確率であるp値が算出され、算出されたp値が小さいほど2つの分布間の相違の度合いが大きいと判断され、帰無仮説が棄却される。
なお、本第1実施形態では、p値を採用しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の指標値であってもよい。ここで、指標値とは、期間ΔT2の状態特徴量の頻度分布と期間ΔT3の状態特徴量の頻度分布との相違度を示す指標値を指す。例えば、指標値の一例としては、平均値の検定又はコルモゴロフ−スミルノフ検定を適用することで、一対の期間毎に、かつ、状態特徴量の種類毎に算出される指標値が挙げられる。
図2には、種類Aの状態特徴量についての正常期間の分布及び異常期間の分布の一例が示されており、図3には、種類Bの状態特徴量についての正常期間の分布及び異常期間の分布の一例が示されている。なお、ここで、「正常期間の分布」とは、期間Δ3の状態特徴量の頻度分布を指し、「異常期間の分布」とは、期間ΔT2の状態特徴量の頻度分布を指す。
図2に示す正常期間の分布及び異常期間の分布に対して統計的検定部36によってウィルコクソンの順位和検定が適用されると、p値として“0.207”が算出される。図3に示す正常期間の分布及び異常期間の分布に対して統計的検定部36によってウィルコクソンの順位和検定が適用されると、p値として“4.69*10−25”が算出される。
頻度分布再生成部40は、統計的検定部36により一次記憶部52に記憶されたp値のうちの最小のp値に対応付けられている一対の期間に含まれる期間ΔT2の状態特徴量の頻度分布、及び、期間ΔT3の状態特徴量の頻度分布を、状態特徴量の種類毎に再び生成する。
確率算出部42は、頻度分布再生成部40により状態特徴量の種類毎に生成された頻度分布を用いて、予測対象画像形成装置で障害が発生する確率をナイーブベイズ方式で算出する。
一例として図4に示すように、管理装置16は、CPU(Central Processing Unit)50、一次記憶部52、及び二次記憶部54を備えている。一次記憶部52は、各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリ(例えば、RAM(Random Access Memory))である。二次記憶部54は、管理装置16の作動を制御する制御プログラムや各種パラメータ等を予め記憶する不揮発性のメモリ(例えば、フラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive)など)である。CPU50、一次記憶部52、及び二次記憶部54は、バス56を介して相互に接続されている。
二次記憶部54は、障害予測プログラム58を記憶している。CPU50は、二次記憶部54から障害予測プログラム58を読み出して一次記憶部52に展開し、障害予測プログラム58を実行することで、取得部20、導出部24、及び通知部26として動作する。また、取得部20がCPU50によって実現されることで、二次記憶部54は保守情報蓄積部25及びマシン情報蓄積部28として用いられる。
なお、ここでは障害予測プログラム58を二次記憶部54から読み出す場合を例示したが、必ずしも最初から二次記憶部54に記憶させておく必要はない。例えば、管理装置16に接続されて使用されるSSD(Solid State Drive)、DVDディスク、ICカード、光磁気ディスク、CD−ROMなどの任意の可搬型の記憶媒体に先ずは障害予測プログラム58を記憶させておいてもよい。そして、CPU50が可搬型の記憶媒体から障害予測プログラム58を取得して実行するようにしてもよい。また、通信網18を介して管理装置16に接続される他のコンピュータ又はサーバ装置等の記憶部に障害予測プログラム58を記憶させておき、CPU50が他のコンピュータ又はサーバ装置等から障害予測プログラム58を取得して実行してもよい。
管理装置16は、受付デバイス70及び表示デバイス72を含む。受付デバイス70は、例えば、キーボード、マウス、及びタッチパネルであり、ユーザから与えられる各種情報を受け付ける。受付デバイス70は、バス56に接続されており、受付デバイス70によって受け付けられた各種情報はCPU50によって取得される。表示デバイス72は、例えば、液晶ディスプレイであり、液晶ディスプレイの表示面には受付デバイス70のタッチパネルが重ねられている。表示デバイス72は、バス56に接続されており、CPU50の制御下で各種情報を表示する。
管理装置16は、外部インタフェース(I/F)74を含む。外部I/F74はバス56に接続されている。外部I/F74は、USBメモリや外付けハードディスク装置などの外部装置に接続され、外部装置とCPU50との間の各種情報の送受信を司る。
管理装置16は、通信I/F76を含む。通信I/F76は、バス56に接続されている。通信I/F76は、通信網18に接続され、画像形成装置12及び端末装置14とCPU50との間の各種情報の送受信を司る。
ところで、予測対象画像形成装置で障害が発生する確率を障害種類毎に導出する場合、期間ΔT2の状態特徴量の頻度分布と期間ΔT3の状態特徴量の頻度分布との比である分布比が用いられる。分布比は、期間ΔT2の状態特徴量の頻度分布と期間ΔT3の状態特徴量の頻度分布との相違度が大きいほど理想的な分布比に近付く。そのため、例えば、障害種類に拘らず、障害発生期間を5日間に固定化した場合、一例として図5に示すように、障害Bについての分布比は、障害Aについての分布比に比べ、理想的な分布比から離れてしまう。なぜならば、一例として図6A、図6B、及び図6Cに示すように、障害の発生に至るまでの状態特徴量の推移の傾向は障害種類によって異なるからである。これは、一対の期間を成す期間ΔT2と期間ΔT3とが障害種類によって異なることを意味する。なお、図6A、図6B、及び図6Cにおいて、実線は、状態特徴量そのものを示しており、一点鎖線は、状態特徴量の近似値を示している。
このように、実際に得られる分布比が理想的な分布比から離れる程、予測対象画像形成装置で障害が発生する確率の導出精度は低下する。
そこで、本第1実施形態では、一例として図7に示すように、CPU50が障害予測プログラム58を実行することで管理装置16が障害予測処理を実行する。
次に、予測対象画像形成装置で発生する障害を予測する障害予測処理の開始条件を満たした場合にCPU50が障害予測プログラム58を実行することで管理装置16によって実行される障害予測処理について図7を参照して説明する。なお、開始条件とは、端末装置14から障害予測処理の開始指示を示す開始指示信号が送信され、開始指示信号が管理装置16によって受信されたとの条件を指すが、これに限定されるものではない。例えば、開始条件は、障害予測処理の開始指示が受付デバイス70によって受け付けられたとの条件であってもよい。
図7に示す障害予測処理では、先ず、ステップ100で、状態特徴量算出部30は、保守情報蓄積部25から、トラブル発生事例として保守情報を抽出する。
次のステップ102で、状態特徴量算出部30は、ステップ100で抽出した保守情報に対応するマシン情報をマシン情報蓄積部28から抽出する。そして、状態特徴量算出部30は、抽出したマシン情報から、障害が発生した画像形成装置12についての障害種類との対応が予め設定された監視パラメータ種類毎に期間ΔT1ずつ監視パラメータを取得する。ここで、予め設定された監視パラメータ種類とは、障害発生の予測に寄与する監視パラメータの種類を指す。例えば、本ステップ102では、濃度変動に起因する画質の不具合の場合には、監視パラメータとして、帯電電圧、現像バイアス、レーザ光量等が取得される。
次のステップ104で、状態特徴量算出部30は、画像形成装置12毎に、ステップ102で期間ΔT1ずつ取得した監視パラメータに基づく状態特徴量を算出する。なお、本ステップ104で状態特徴量の算出に要する監視パラメータの種類は、障害種類毎に予め定められている。
次のステップ106で、特徴量分類部34は、ステップ100で抽出した保守情報を参照して、障害が発生した時点を特定し、特定した時点を起点として一対の期間を定める。ここで、本障害予測処理の実行が開始されてから最初に定められる一対の期間に含まれる期間ΔT2の長さは、例えば、1日であり、後述のステップ114の処理が実行されることで、特定期間が加算される。これに対し、期間ΔT3の長さは固定されている。期間ΔT3の長さの一例としては、5日間が挙げられる。
なお、本ステップ106では、説明の便宜上、1つの期間ΔT2に対して1つの期間ΔT3が必然的に定められる場合を例示しているが、これに限らず、1つの期間ΔT2に対して複数の期間ΔT3が必然的に定められるようにしてもよい。この場合、例えば、第1の期間ΔT3と第2の期間ΔT3とが存在する場合、期間ΔT2と第1の期間ΔT3とが一対の期間を成し、期間ΔT2と第2の期間ΔT3とが一対の期間を成す。
次のステップ108で、特徴量分類部34は、ステップ104で算出された状態特徴量を、ステップ106で定めた一対の期間に含まれる期間ΔT2の状態特徴量とステップ106で定めた一対の期間に含まれる期間ΔT3の状態特徴量とに分類する。
次のステップ110で、頻度分布生成部35は、状態特徴量の種類毎に、ステップ108で分類された期間ΔT2の状態特徴量の頻度分布及びステップ108で分類された期間ΔT3の状態特徴量の頻度分布を生成する。ここで、状態特徴量の種類とは、予測対象画像形成装置に発生した障害種類に対応する予め定められた状態特徴量の種類を指す。
次のステップ112で、統計的検定部36は、状態特徴量の種類毎に、頻度分布生成部35によって生成された頻度分布に対してウィルコクソンの順位和検定を適用することで、p値を算出する。そして、統計的検定部36は、算出したp値を、p値の算出に用いた頻度分布に関する一対の期間に対応付けて一次記憶部52に記憶する。
なお、ここでは、頻度分布の一例として、期間ΔT2及び期間ΔT3の各々の状態特徴量の頻度値が正規化されて得られた値の分布を採用しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、統計的検定部36は、画像形成装置12間の状態特徴量のばらつきを補正するために、画像形成装置12毎に状態特徴量の平均値と標準偏差とを算出し、状態特徴量を規格化して頻度分布を生成してもよい。
次のステップ114で、特徴量分類部34は、期間ΔT2に特定期間を加算する。特定期間とは、例えば、1日を指す。よって、この場合、本ステップ114の処理が実行されることで、期間ΔT2が1日延びる。
なお、本ステップ114では、特定期間の一例として、1日が採用されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の期間であってもよい。
また、本ステップ114では、期間ΔT2に特定期間が加算される場合が例示されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、期間ΔT2から特定期間が減算されるようにしてもよい。
次のステップ116で、特徴量分類部34は、期間ΔT2が閾値に達したか否かを判定する。閾値とは、例えば、100日間を指す。ステップ116において、期間ΔT2が閾値に達していない場合は、判定が否定されて、ステップ106へ移行する。ステップ116において、期間ΔT2が閾値に達した場合は、判定が肯定されて、ステップ118へ移行する。
ステップ118で、頻度分布再生成部40は、ステップ112で一次記憶部52に記憶されたp値のうちの最小のp値に対応付けられている一対の期間に含まれる期間ΔT2の状態特徴量の頻度分布を、状態特徴量の種類毎に、再び生成する。また、ステップ118で、頻度分布再生成部40は、ステップ112で一次記憶部52に記憶されたp値のうちの最小のp値に対応付けられている一対の期間に含まれる期間ΔT3の状態特徴量の頻度分布を、状態特徴量の種類毎に、再び生成する。なお、p値が最小であるということは、期間ΔT2の状態特徴量の頻度分布と期間ΔT3の状態特徴量の頻度分布との相違度が最大であることを意味する。
ここで、一例として図6A、図6B、及び図6Cに示すように、期間ΔT2及び期間ΔT3は、障害種類毎に異なるので、これに対応して、最小のp値も、障害種類毎に異なる。従って、本ステップ118の処理が実行されることにより、障害種類毎に異なる一対の期間の状態特徴量の頻度分布が状態特徴量の種類毎に再び生成される。
例えば、図8に示すように、障害Aについては、複数のp値の各々に対応付けられている期間ΔT2のうちの最小のp値に対応する期間ΔT2aの状態特徴量の頻度分布が状態特徴量の種類毎に再び生成される。これに伴って、期間ΔT2aと共に一対の期間を成す期間ΔT3、すなわち、期間ΔT2aから必然的に定まる期間ΔT3の状態特徴量の頻度分布が状態特徴量の種類毎に再び生成される。
また、例えば、図8に示すように、障害Bについては、複数のp値の各々に対応付けられている期間ΔT2のうちの最小のp値に対応する期間ΔT2bの状態特徴量の頻度分布が状態特徴量の種類毎に再び生成される。これに伴って、期間ΔT2bと共に一対の期間を成す期間ΔT3、すなわち、期間ΔT2bから必然的に定まる期間ΔT3の状態特徴量の頻度分布が状態特徴量の種類毎に再び生成される。
更に、例えば、図8に示すように、障害Cについては、複数のp値の各々に対応付けられている期間ΔT2のうちの最小のp値に対応する期間ΔT2cの状態特徴量の頻度分布が状態特徴量の種類毎に再び生成される。これに伴って、期間ΔT2cと共に一対の期間を成す期間ΔT3、すなわち、期間ΔT2cから必然的に定まる期間ΔT3の状態特徴量の頻度分布が状態特徴量の種類毎に再び生成される。
次のステップ120で、確率算出部42は、ステップ118で状態特徴量の種類毎に生成された頻度分布を用いて、障害種類毎に、予測対象画像形成装置で近い将来障害が発生する確率をナイーブベイズ方式で算出する。
すなわち、本ステップ120では、下記の数式(1)により、予測対象画像形成装置に障害Tが発生する確率が算出される。なお、数式(1)は、各々の状態特徴量の間に相関がないことを前提としている。また、数式(1)において、Tは、障害が発生する確率の算出対象となる障害種類である。また、xiは、障害Tの予測対象画像形成装置における最新のマシン情報に含まれるm種の監視パラメータPj(1≦j≦m)に基づいて算出された障害Tに関するn種の状態特徴量Xi(1≦i≦n)の各値である。
数式1において、P(T=yes)は、障害Tが発生する確率(事前確率)であり、P(T=no)は、障害Tが発生しない確率(事前確率)であり、P(T=yes)+P(T=no)=1という関係を有する。
また、P(xi|(T=yes))は、障害Tが発生した場合にi番目の状態特徴量Xiの値がxiであった確率であり、障害Tに対応する状態特徴量Xiについての障害種類判定用確率分布(障害有り)におけるxiの確率が用いられる。ここで、障害種類判定用確率分布(障害有り)とは、例えば、ステップ118で生成された頻度分布のうちの期間ΔT2についての頻度分布を指す。
また、P(xi|(T=no))は、障害Tが発生しなかった場合にi番目の状態特徴量Xiの値がxiであった確率であり、障害Tに対応する状態特徴量Xiについての障害種類判定用確率分布(障害無し)におけるxiの確率が用いられる。ここで、障害種類判定用確率分布(障害無し)とは、例えば、ステップ118で生成された頻度分布のうちの期間ΔT3についての頻度分布を指す。
すなわち、確率算出部42では、数式(1)により、[P(T=yes)・ΠP(xi|(T=yes))]、及び、[P(T=no)・ΠP(xi|(T=no))]を用いて、予測対象画像形成装置に障害Tが発生する確率[P((T=yes)|x1,x2,・・・・,xn)]が算出される。
なお、ここで、[P(T=yes)・ΠP(xi|(T=yes))]とは、障害Tが発生する確率(事前確率)と、障害Tが発生した場合にn種の状態特徴量Xi(1≦i≦n)の各値として(x1,x2,・・・・,xn)という組み合わせが得られた確率とを乗じて得た値を指す。
また、[P(T=no)・ΠP(xi|(T=no))]とは、障害Tが発生しない確率(事前確率)と、障害Tが発生しなかった場合にn種の状態特徴量Xi(1≦i≦n)の各値として(x1,x2,・・・・,xn)という組み合わせが得られた確率とを乗じて得た値を指す。
次のステップ122で、通知部26は、確率算出部42により障害種類毎に算出された確率を通知し、その後、本障害予測処理を終了する。なお、確率の通知は、確率が表示デバイス72及び端末装置14のディスプレイの少なくとも一方に表示されることで実現される。また、通知部26では、確率算出部42により算出された全ての確率が通知されるようにしてもよいが、これに限らず、予め定められた確率(例えば、80%)以上が通知されるようにしてもよい。また、確率が通知される場合、確率が高い順に通知されることが好ましい。また、本ステップ122の処理が実行されることで、一例として図12(a)に示すように、障害種類毎の確率がリスト形式で通知され、障害種類毎に確率が、確率の高い順に表示される。
なお、上記第1実施形態では、頻度分布再生成部40が、最小のp値に対応する一対の期間の頻度分布を再生成する場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、頻度分布再生成部40は、最小のp値の次に小さなp値に対応する一対の期間の頻度分布を再生成してもよい。
また、上記第1実施形態では、ステップ116で期間ΔT2が閾値に達するまでステップ106〜114の処理が繰り返し実行される場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ステップ116で期間ΔT2が閾値に達する前にステップ106〜114の処理が複数回繰り返し実行された場合にステップ118へ移行するようにしてもよい。この場合、ステップ118で、頻度分布再生成部40は、期間ΔT2が閾値に達するまでステップ106〜114の処理が繰り返し実行された場合に得られる最小のp値を、現時点で一次記憶部52に記憶されているp値から補間法を用いて推定すればよい。
また、上記第1実施形態では、ステップ106において、障害予測処理の実行が開始されてから最初に定められる一対の期間に含まれる期間ΔT2の長さの一例として1日を挙げたが、本発明はこれに限定されるものではなく、半日又は2日間以上の期間などであってもよい。
また、上記第1実施形態では、障害が発生した時点を起点として遡った期間を期間ΔT2とし、特定期間を加算することで期間ΔT2を変更しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、障害が発生した時点よりも過去の期間で期間ΔT2をずらしてもよい。この場合、例えば、障害が発生した時点よりも過去の期間のうち、障害が発生した期間として指定された異なる期間、換言すると、障害が発生している可能性がある期間として選択された異なる期間の各々を期間ΔT2として用いるようにしてもよい。
また、上記第1実施形態では、ステップ116で用いる閾値の一例として100日を例に挙げたが、本発明はこれに限定されるものではなく、100日よりも短い期間であってもよいし、100日を超える期間であってもよい。また、固定化された期間にする必要はなく、例えば、受付デバイス70によって受け付けられた指示に従って変更される期間であってもよい。
また、上記第1実施形態では、頻度分布再生成部40が頻度分布を再生成することで、記憶容量の増大を抑制するようにしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、CPU50は、p値の算出で用いられる頻度分布を保持しておき、保持している頻度分布から最小のp値に対応する頻度分布を抽出するようにしてもよい。
また、上記第1実施形態では、期間ΔT3を期間ΔT2と重複しない期間としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、期間ΔT3は、期間ΔT2と一部の期間が重複した期間であってもよい。なお、一部の期間を重複させる場合、重複させる期間が短いほど障害予測の精度が高くなる。
また、上記第1実施形態では、期間ΔT3として、期間ΔT2が指定されることで必然的に定まる期間を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、期間ΔT3は、例えば、受付デバイス70によって受け付けられた指示によって変更されてもよいし、端末装置14が操作されることによって指示された期間であってもよい。
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、障害種類毎に確率が算出される場合を例示したが、本第2実施形態では、障害発生箇所毎に確率が算出される場合について説明する。上記第1実施形態で説明した構成要素と相違しない構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
一例として図1に示すように、本第2実施形態に係る障害予測システム200は、上記第1実施形態に係る障害予測システム10に比べ、管理装置16に代えて管理装置160を有する点が異なる。また、一例として図4に示すように、管理装置160は、管理装置16に比べ、二次記憶部54に障害予測プログラム58に代えて障害予測プログラム158が記憶されている点が異なる。
次に、本第2実施形態に係る障害予測処理の開始条件を満たした場合にCPU50が障害予測プログラム158を実行することで管理装置160によって実行される障害予測処理について図9を参照して説明する。なお、本第2実施形態に係る障害予測処理は、上記第1実施形態に係る障害予測処理に比べ、ステップ110の処理に代えてステップ210の処理を有する点、及び、ステップ112の処理に代えてステップ212の処理を有する点が異なる。また、本第2実施形態に係る障害予測処理は、上記第1実施形態に係る障害予測処理に比べ、ステップ118の処理に代えてステップ218の処理を有する点、及び、ステップ120の処理に代えてステップ220の処理を有する点が異なる。また、本第2実施形態に係る障害予測処理は、上記第1実施形態に係る障害予測処理に比べ、ステップ122の処理に代えてステップ222の処理を有する点が異なる。また、以下では、図7に示すフローチャートに含まれるステップの処理と相違しない処理が行われるステップには、図7に示すステップ番号と相違しないステップ番号を付し、その説明を省略する。
図9に示す障害予測処理では、ステップ210で、頻度分布生成部35は、複数種類の状態特徴量の各々について、ステップ108で分類された期間ΔT2の状態特徴量の頻度分布及びステップ108で分類された期間ΔT3の状態特徴量の頻度分布を生成する。ここで、複数種類の状態特徴量とは、予測対象画像形成装置の障害発生箇所に対応する予め定められた複数種類の状態特徴量を指す。
ステップ212で、統計的検定部36は、状態特徴量の種類毎に、頻度分布生成部35によって生成された頻度分布に対してウィルコクソンの順位和検定を適用することで、p値を算出する。そして、統計的検定部36は、算出したp値を、p値の算出に用いた頻度分布に関する一対の期間に対応付けて一次記憶部52に記憶する。なお、本ステップ212で用いる状態特徴量の種類とは、ステップ210で用いた状態特徴量の種類を指す。
ステップ218で、頻度分布再生成部40は、ステップ212で一次記憶部52に記憶されたp値のうちの最小のp値に対応付けられている一対の期間に含まれる期間ΔT2の状態特徴量の頻度分布を、状態特徴量の種類毎に、再び生成する。また、ステップ218で、頻度分布再生成部40は、ステップ212で一次記憶部52に記憶されたp値のうちの最小のp値に対応付けられている一対の期間に含まれる期間ΔT3の状態特徴量の頻度分布を、状態特徴量の種類毎に、再び生成する。なお、本ステップ218で用いる状態特徴量の種類とは、ステップ210で用いた状態特徴量の種類を指す。
次のステップ220で、確率算出部42は、ステップ218で状態特徴量の種類毎に生成された頻度分布を用いて、障害発生箇所毎に、予測対象画像形成装置で近い将来障害が発生する確率をナイーブベイズ方式で算出する。
すなわち、本ステップ220では、数式(1)により、予測対象画像形成装置に障害Tが発生する確率が算出される。なお、数式(1)は、各々の状態特徴量の間に相関がないことを前提としている。また、数式(1)において、Tは、障害が発生する確率の算出対象となる障害発生箇所である。また、xiは、障害Tの予測対象画像形成装置における最新のマシン情報に含まれるm種の監視パラメータPj(1≦j≦m)に基づいて算出された障害Tに関するn種の状態特徴量Xi(1≦i≦n)の各値である。
次のステップ222で、通知部26は、確率算出部42により障害発生箇所毎に算出された確率を通知し、その後、本障害予測処理を終了する。なお、本ステップ256の処理が実行されることで、一例として図12(b)に示すように、障害種類毎の確率がリスト形式で通知され、障害発生箇所毎に確率が、確率の高い順に表示される。
[第3実施形態]
上記第1実施形態では、障害種類毎に確率が算出される場合について説明したが、本第3実施形態では、障害種類毎及び障害発生箇所毎に確率が算出される場合について説明する。上記第1及び第2実施形態で説明した構成要素と相違しない構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
一例として図1に示すように、本第3実施形態に係る障害予測システム300は、上記第1実施形態に係る障害予測システム10に比べ、管理装置16に代えて管理装置360を有する点が異なる。また、一例として図4に示すように、管理装置360は、管理装置16に比べ、二次記憶部54に障害予測プログラム58に代えて障害予測プログラム258が記憶されている点が異なる。
次に、本第3実施形態に係る障害予測処理の開始条件を満たした場合にCPU50が障害予測プログラム258を実行することで管理装置360によって実行される障害予測処理について図10を参照して説明する。なお、本第3実施形態に係る障害予測処理は、上記第1実施形態に係る障害予測処理に比べ、ステップ110の処理に代えてステップ210の処理を有する点、及び、ステップ112の処理に代えてステップ212の処理を有する点が異なる。また、本第2実施形態に係る障害予測処理は、上記第1実施形態に係る障害予測処理に比べ、ステップ118の処理に代えてステップ318の処理を有する点、及び、ステップ120の処理に代えてステップ320の処理を有する点が異なる。また、本第2実施形態に係る障害予測処理は、上記第1実施形態に係る障害予測処理に比べ、ステップ122の処理に代えてステップ322の処理を有する点が異なる。また、以下では、図7に示すフローチャートに含まれるステップの処理と相違しない処理が行われるステップには、図7に示すステップ番号と相違しないステップ番号を付し、その説明を省略する。
ステップ310で、頻度分布生成部35は、第1の状態特徴量種類毎に、ステップ108で分類された期間ΔT2の状態特徴量の頻度分布及びステップ108で分類された期間ΔT3の状態特徴量の頻度分布を生成する。ここで、第1の状態特徴量種類とは、予測対象画像形成装置に発生した障害種類に対応する予め定められた状態特徴量の種類を指す。また、ステップ310で、頻度分布生成部35は、第2の状態特徴量毎に、ステップ108で分類された期間ΔT2の状態特徴量の頻度分布及びステップ108で分類された期間ΔT3の状態特徴量の頻度分布を生成する。ここで、第2の状態特徴量種類とは、予測対象画像形成装置の障害発生箇所に対応する予め定められた複数種類の状態特徴量を指す。
ステップ312で、統計的検定部36は、第1の状態特徴量種類毎に、頻度分布生成部35によって生成された頻度分布に対してウィルコクソンの順位和検定を適用することで、p値を算出する。また、統計的検定部36は、第2の状態特徴量種類毎に、頻度分布生成部35によって生成された頻度分布に対してウィルコクソンの順位和検定を適用することで、p値を算出する。そして、統計的検定部36は、算出したp値を、p値の算出に用いた頻度分布に関する一対の期間に対応付けて一次記憶部52に記憶する。
ステップ318で、頻度分布再生成部40は、ステップ312で一次記憶部52に記憶されたp値のうちの最小のp値に対応付けられている一対の期間に含まれる期間ΔT2の状態特徴量の頻度分布を、第1の状態特徴量種類毎に、再び生成する。また、ステップ318で、頻度分布再生成部40は、ステップ312で一次記憶部52に記憶されたp値のうちの最小のp値に対応付けられている一対の期間に含まれる期間ΔT3の状態特徴量の頻度分布を、第1の状態特徴量種類毎に、再び生成する。
また、ステップ318で、頻度分布再生成部40は、ステップ312で一次記憶部52に記憶されたp値のうちの最小のp値に対応付けられている一対の期間に含まれる期間ΔT2の状態特徴量の頻度分布を、第2の状態特徴量種類毎に、再び生成する。また、ステップ318で、頻度分布再生成部40は、ステップ312で一次記憶部52に記憶されたp値のうちの最小のp値に対応付けられている一対の期間に含まれる期間ΔT3の状態特徴量の頻度分布を、第2の状態特徴量種類毎に、再び生成する。
次のステップ320で、確率算出部42は、ステップ318で第1の状態特徴量種類毎に生成された頻度分布を用いて、障害種類毎に、予測対象画像形成装置で近い将来障害が発生する確率をナイーブベイズ方式で算出する。また、ステップ320で、確率算出部42は、ステップ318で第2の状態特徴量種類毎に生成された頻度分布を用いて、障害発生箇所毎に、予測対象画像形成装置で近い将来障害が発生する確率をナイーブベイズ方式で算出する。
次のステップ322で、通知部26は、確率算出部42により障害種類毎に算出された確率と確率算出部42により障害発生箇所毎に算出された確率とを障害種類別に分類して通知し、その後、本障害予測処理を終了する。障害発生箇所ごとの確率を障害種類別に分類するには、例えば、障害種類と障害発生箇所とが予め対応付けられた対応テーブルを予め用意しておき、この対応テーブルに従って行われるようにすればよい。
なお、本ステップ322の処理が実行されることで、一例として図12(c)に示すように、障害種類毎の確率と障害発生箇所毎の確率とが障害種類別に分類されてリスト形式で通知される。また、障害種類毎の確率が、確率の高い順に表示されると共に、障害種類毎に対応する障害発生箇所の確率が、確率の高い順に表示される。
[第4実施形態]
上記第3実施形態では、障害種類毎の確率を補正しない場合を例示したが、本第4実施形態では、複数の障害種類のうちの特定の障害種類の確率を補正する場合について説明する。なお、上記第1実施形態から上記第3実施形態で説明した構成要素と相違しない構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
一例として図1に示すように、本第4実施形態に係る障害予測システム400は、上記第3実施形態に係る障害予測システム300に比べ、管理装置360に代えて管理装置460を有する点が異なる。また、一例として図4に示すように、管理装置460は、管理装置360に比べ、二次記憶部54に障害予測プログラム258に代えて障害予測プログラム358が記憶されている点が異なる。
次に、本第4実施形態に係る障害予測処理の開始条件を満たした場合にCPU50が障害予測プログラム358を実行することで管理装置460によって実行される障害予測処理について図16を参照して説明する。なお、本第4実施形態に係る障害予測処理は、上記第3実施形態に係る障害予測処理に比べ、ステップ322の処理に代えてステップ428の処理を有する点、及びステップ320とステップ428との間にステップ422,424,426を有する点が異なる。また、以下では、図10に示すフローチャートに含まれるステップの処理と相違しない処理が行われるステップには、図10に示すステップ番号と相違しないステップ番号を付し、その説明を省略する。
図11に示す障害予測処理では、ステップ422で、確率算出部42は、障害発生箇所毎に算出した確率のうちの未だに本ステップ422の判定対象とされていない1つの確率が規定値以上か否かを判定する。ステップ422において、障害発生箇所毎に算出した確率のうちの未だに本ステップ422の判定対象とされていない1つの確率が規定値以上の場合は、判定が肯定されて、ステップ424へ移行する。ステップ422において、障害発生箇所毎に算出した確率のうちの未だに本ステップ422の判定対象とされていない1つの確率が規定値未満の場合は、判定が否定されて、ステップ426へ移行する。
ステップ424で、確率算出部42は、確率が規定値以上の障害発生箇所を障害の主原因とする障害種類を特定し、特定した障害種類の確率を予め定められた割合だけ増加させる補正を行う。なお、障害種類の特定は、例えば、障害種類と障害発生箇所とが予め対応付けられた対応テーブルに従って行われるようにすればよい。
ステップ426で、確率算出部42は、障害発生箇所毎に算出した全ての確率の各々を規定値と比較したか否かを判定する。ステップ426において、障害発生箇所毎に算出した全ての確率の各々を規定値と比較していない場合は、判定が否定されて、ステップ422へ移行する。ステップ426において、障害発生箇所毎に算出した全ての確率の各々を規定値と比較した場合は、判定が肯定されて、ステップ428へ移行する。
ステップ428で、通知部26は、確率算出部42により障害種類毎に算出された補正前及び補正後の確率と確率算出部42により障害発生箇所毎に算出された確率とを障害種類別に分類して通知し、その後、本障害予測処理を終了する。障害発生箇所ごとの確率を障害種類別に分類するには、例えば、障害種類と障害発生箇所とが予め対応付けられた対応テーブルを予め用意しておき、この対応テーブルに従って行われるようにすればよい。
本ステップ456の処理が実行されることで、一例として図12(d)に示すように、障害種類毎の補正前及び補正後の確率と障害発生箇所毎の確率とが障害種類別に分類されてリスト形式で通知される。また、障害種類毎の確率が、補正後の確率の高い順に表示されると共に、障害種類毎に対応する障害発生箇所の確率が、確率の高い順に表示される。
なお、上記各実施形態で説明した障害予測処理(図7及び図9〜図11)は、あくまでも一例である。従って、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
また、上記各実施形態では、管理装置16が取得部20及び導出部24を有する場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、取得部20及び導出部24が複数の電子計算機によって分散されて実現されるようにしてもよい。また、通信網18に接続されている複数の画像形成装置12のうちの何れかが取得部20及び導出部24の少なくとも1つを有していてもよい。
また、上記各実施形態では、状態特徴量及び確率が、各々に対応する演算式に従って算出される場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、演算式に代入される変数を入力とし、演算式によって得られる解を出力とするテーブルから、状態特徴量及び確率が導出されるようにしてもよい。
また、上記各実施形態では、本発明に係る被監視装置として画像形成装置12を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、通信網18に接続されたサーバ装置やATM(現金自動預け払い機)等であってもよい。
また、上記各実施形態では、予測対象画像形成装置を1台とした場合について説明したが、予測対象画像形成装置は複数台であってもよい。
また、上記各実施形態では、複数の画像形成装置12から監視パラメータ及び環境パラメータが収集される場合を例示したが、予測対象画像形成装置のみから監視パラメータ及び環境パラメータが収集されるようにしてもよい。