JP5861425B2 - 障害検出システム、障害検出装置及びプログラム - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、観測によって得られる多次元信号から装置の状態を示す指標値を作成し、これを所定の閾値と比較することにより近い将来に発生する可能性のある装置の故障の発生を予測する技術が提案されている。この技術では、指標値算出用項目の全項目を使って指標値を算出後、1つずつ除いて指標値を算出して指標値の増大に対して寄与率の大きい項目を選び出すことで、原因項目の特定を行う。
本発明は、上記のような事情に鑑みて為されたものであり、画像形成装置に発生したと推定される障害を絞り込む新規な手法を提案することを目的とする。
本例の障害検出システムでは、画像形成装置と有線又は無線により通信可能に接続されたサーバ装置(本発明に係る障害検出装置の一例)が、画像形成装置から収集した情報に基づいて、当該画像形成装置における障害の発生を検出する。
画像形成装置は、用紙等の記録材に画像を形成して出力する画像形成機能を備えた装置である。画像形成装置としては、プリンタ(文書印刷装置)、コピー機(文書複写装置)、ファクシミリ装置(文書転送装置)などの装置が挙げられるほか、これらの装置の機能を複合的に備えた複合機も含まれる。
なお、本例において画像形成処理のジョブ命令毎にサーバ装置へ送信するマシン情報は、自装置を識別する装置ID、当該ジョブ命令を識別するジョブID、当該ジョブ命令に基づく画像形成処理毎の各監視パラメータの検出値及び検出日時、画像形成の枚数(以下、印刷枚数という)などを格納した構造のデータとなっている。
本例のサーバ装置は、図1に機能ブロックの例を示すように、時系列データ記憶部1、閾値越え判定部2、日数算出部3、日数補正部4、カテゴリー特定部5、障害分類表6、障害特定部7を有する。
なお、監視パラメータ毎の統計処理では、例えば、各監視パラメータの検出値の平均値や分散値(例えば、標準偏差値)等の統計値を算出する。ここで、本例では、1日単位で統計処理及び印刷枚数の集計を行うが、他の時間長の単位(例えば、1時間単位)で統計処理等を行ってもよい。
時系列データ記憶部1は、例えば、NVM(Non−Volatile Memory;不揮発性メモリ)により構成される。
ここで、異常閾値は、事前の実験等の結果に基づいて監視パラメータ毎に予め定められている。すなわち、例えば、比較的安定している監視パラメータについては平均+ノイズ成分の標準偏差の3倍(3σ)を異常閾値とする、システムの設計上で超えては明らかに障害という値を異常閾値とする、過去に障害が発生した事例で検出された値から経験的に異常閾値を決定する、という具合である。
本例では、基準値として、その監視パラメータの時系列データの値が異常値でない期間(例えば、異常値を超えた日から遡って3ヶ月間)における時系列データの値の平均値を用いており、時系列データの値が平均値を下回っている状態から初めて異常閾値を超えるまでの日数(換言すれば、異常閾値を越えた日から遡って初めて平均値を下回るまでの日数)を算出する。なお、時系列データの値が基準値から異常値に変化するまでの期間において障害が発生していた場合には、障害発生時の時系列データは除いて日数を算出する。
基準値としては、時系列データが異常値に向かって変化し始めた時点(変化の起点の日時)を特定可能であればよく、上記の平均値に代えて、監視パラメータ毎に予め定めた固定値(例えば、理想値の範囲から或る程度外れた値)等を用いてもよい。
ここで、日数算出部3による算出結果の日数は、時系列データの値が基準値から異常値に変化するまでの期間における変化の傾きの代用特性であり、変化の傾き度合が急峻であるほど算出日数が短くなり、変化の傾き度合が緩やかであるほど算出日数が長くなる。
具体的には、日数算出部3による算出結果の日数をX、印刷枚数をYとして、補正係数α=(Y/X)/4500を求め、補正後の日数Xcomp=α*Xを算出する。
すなわち、監視対象の画像形成装置における1日当たりの印刷枚数(Y/X)が4500枚より多い場合には日数を増加させ、4500枚より少ない場合には日数を減少させる補正を行う。
ここで、補正比率αの算出式における「4500」は、1日当たりの標準印刷枚数であり、今までの画像形成装置の稼動実績やメンテナンス実績から事前に求めた1日当たりの標準的(平均的)な印刷枚数である。
本例では、突発的に発生する障害をカテゴリー1、準突発的に発生する障害をカテゴリー2、非突発的に発生する障害をカテゴリー3というように3段階に障害を分類しており、日数補正部4による補正後の日数(変化の傾きの代用特性)に基づいて、監視対象の画像形成装置に発生したと推定される障害がカテゴリー1〜3のいずれに属するかを特定する。
カテゴリー2に属する障害(準突発的に発生する障害)としては、トナー飛散による汚れ、埃、ゴミの堆積、曇り等によって発生する障害や、部品の特性の経時的な劣化による障害などが挙げられる。このような障害が発生する場合の時系列データは、中程度の期間(例えば、1週間以上から2ヶ月以内)で変化する傾向にある。
カテゴリー3に属する障害(非突発的に発生する障害)としては、ギア、モータ、ベルト、搬送ロール、クリーニングブレード等の長期的な稼動による部品の摩耗や疲労の蓄積によって発生する障害などが挙げられる。消耗品系の部品も放置すると摩耗系障害に至る。このような障害が発生する場合の時系列データは、図2(c)に例を示すように、比較的に長い期間(例えば、2ヶ月以上)に亘って緩やかに変化する傾向にある。
なお、カテゴリー1に属する障害に対する主な処置は、部品交換、修理等であり、カテゴリー2に属する障害に対する主な処置は、清掃、調整、再設定等であり、カテゴリー3に属する障害に対する主な処置は、部品交換等である。
ここで、第1基準日数としては、6〜12日程度の値を用いることが好ましく、本例では、6日を用いる。また、第2基準日数としては、30〜60日程度の値を用いることが好ましく、本例では、60日を用いる。
図3の例では、監視パラメータ毎に、カテゴリー1、カテゴリー2、カテゴリー3のそれぞれに属する障害が設定されている。例えば、監視パラメータの一種であるレーザ光量については、カテゴリー1に属する障害として、半導体レーザ部故障、断線、半導体レーザ部回路故障、定着器の廃棄ファン異常が設定され、カテゴリー2に属する障害として、ラスター光学スキャナー部ウインドウの汚れ、送風用モータ調整不良が設定され、カテゴリー3に属する障害として、半導体レーザ部ライフエンドが設定されている。すなわち、レーザ光量の時系列データが異常値に達した場合において、その前の期間における変化の傾き度合を表す日数(日数補正部4による補正後の日数)が第1基準日数以下である場合には、カテゴリー1に属する半導体レーザ故障、断線、半導体レーザ回路故障、定着器の廃棄ファン異常が障害の候補として特定され、第1基準日数より大きく第2基準日数以下である場合には、カテゴリー2に属するラスター光学スキャナー部ウインドウの汚れ、送風用モータ調整不良が障害の候補として特定され、第2基準日数より大きい場合には、カテゴリー3に属する半導体レーザ部ライフエンドが障害の候補として特定される。
本例のサーバ装置では、監視対象となる画像形成装置の内部状態を示す各監視パラメータの時系列データを収集して時系列データ記憶部1に蓄積しており(ステップS11)、閾値越え判定部2が、監視パラメータ毎の時系列データに基づいて、時系列データの値が予め設定された異常閾値を超えたか否かを判定する(ステップS12)。ステップS12の処理は、時系列データの値が異常閾値を超えた監視パラメータが見つかるまで繰り返され、該当する監視パラメータが見つかった場合には、以下の処理(ステップS13〜S21)を行う。
次に、日数補正部4が、日数算出部3により算出された日数を、その間(時系列データの値が基準値から異常値に変化するまでの期間)の印刷枚数で補正する(ステップS14)。
その後、障害特定部7が、時系列データの値が異常閾値を超えたと判定された監視パラメータについて特定されたカテゴリーに基づいて障害分類表6を参照して、監視対象の画像形成装置に発生したと推定される障害の候補を特定し(ステップS20)、その結果を障害検出システムの利用者に通知する(ステップS21)。
図5には、或る監視パラメータ(例えば、レーザ光量)の時系列データの変化例1を示してある。この場合、以下のようにしてカテゴリー特定が行われる。なお、この監視パラメータに関する異常閾値を「8」とする。
(1)パラメータ値(時系列データの値)が初めて異常閾値(=8)を超えた日付を検出する。本例では、9月14日(パラメータ値=8.19)が検出される。
(2)9月14日から遡った過去3ヶ月(異常値が生じた期間は除く)のパラメータ値の平均値を求めて基準値に設定する。本例では、平均値として「5.37」が算出され、基準値となる。なお、平均値の算出において、異常値が生じた期間が除かれれば良く、過去3ヶ月という期間指定を行わなくても構わない。
(3)9月14日から遡っていき、最初に基準値(=5.37)を下回る日付を検出する。本例では、9月1日(パラメータ値=4.83)が検出される。よって、パラメータ値が基準値から異常値に変化するまでの日数Xは、9月1日から9月14日までの14日間となる(データが抜けている日数も含める)。
(4)14日間の印刷枚数の合計を算出する。本例では、印刷枚数の合計は60201枚であったとする。この場合、1日当たりの印刷枚数は4300枚であり、補正係数α=4300/4500=0.96となる。従って、補正後の日数Xcomp=14*0.96=13.4日となる。
(5)補正後の日数は13.4日であり、第1基準日数(本例では、6日)より大きく第2基準日数(本例では、60日)以下であるため、カテゴリー2に属する障害(準突発的な障害)が発生したことが推定される。
(1)パラメータ値(時系列データの値)が初めて異常閾値(=2)を超えた日付を検出する。本例では、12月6日(パラメータ値=2.200)が検出される。
(2)12月6日から遡った過去3ヶ月(異常値が生じた期間は除く)のパラメータ値の平均値を求めて基準値に設定する。本例では、平均値として「0.29」が算出され、基準値となる。なお、平均値の算出において、異常値が生じた期間が除かれれば良く、過去3ヶ月という期間指定を行わなくても構わない。
(3)12月6日から遡っていき、最初に基準値(=0.29)を下回る日付を検出する。本例では、12月2日(パラメータ値=0・123)が検出される。よって、パラメータ値が基準値から異常値に変化するまでの日数Xは、12月2日から12月6日までの5日間となる(データが抜けている日数も含める)。
(4)5日間の印刷枚数の合計を算出する。本例では、印刷枚数の合計は17636枚であったとする。この場合、1日当たりの印刷枚数は3527枚であり、補正係数α=3527/4500=0.78となる。従って、補正後の日数Xcomp=5*0.78=4日となる。
(5)補正後の日数は4日であり、第1基準日数(本例では、6日)以下であるため、カテゴリー1に属する障害(突発的な障害)が発生したことが推定される。
なお、異常閾値が平均値の上と下にそれぞれ設定される場合もあり、その場合には、平均値より上側の異常閾値を時系列データの値が超えたとき、又は、平均値より下側の異常閾値を時系列データの値が下回ったときに異常と判定し、何らかの障害が発生したと推定して処理を行えばよい。
指標値としてジョブ数を用いる場合には、予め定められたジョブ数の単位で統計処理を行い、その結果に対してジョブ数情報(ジョブ数の積算値等を示す情報)を付して時系列データ記憶部1に記憶させておけば、監視パラメータの時系列データの値が基準値から異常値に変化するまでのジョブ数の算出を行える。また、指標値として印刷枚数を用いる場合には、予め定められた印刷枚数の単位で統計処理を行い、その結果に対して印刷枚数情報(印刷枚数の積算値等を示す情報)を付して時系列データ記憶部1に記憶させておけば、監視パラメータの時系列データの値が基準値から異常値に変化するまでの印刷枚数の算出を行える。なお、指標値として印刷枚数を用いる場合の補正では、印刷枚数以外の情報(例えば、後述する稼働時間)に基づいて補正を行えばよい。
一例として、監視対象の画像形成装置から稼働時間(電源投入状態の時間又は実働時間)を収集するようにし、各監視パラメータの時系列データの値が基準値から異常値に変化するまでの期間における当該変化の傾き度合について、その間の印刷枚数による補正に加えて稼働時間による補正を行う。具体的には、例えば、上述した日数の補正に関し、標準的な画像形成装置の通電時間に対する監視対象の画像形成装置の通電時間の比である通電比率βを補正係数αに加えるようにする。ここで、通電時間は部品劣化に対して単純に比例せず、通電比率βを補正係数αにそのまま加えると影響が大きいので、低減率ε(1より小さい正の定数)を乗じておく。すなわち、補正係数α=(Y/X)/4500+ε*βとなる。なお、低減率εは、例えば、同系列の画像形成装置における過去の障害の事例とその際の稼働時間に基づいて決定される。
すなあち、本発明に係る記憶手段の機能を時系列データ記憶部1により実現し、本発明に係る算出手段の機能を閾値越え判定部2及び日数算出部3及び日数補正部4により実現し、本発明に係る特定手段の機能をカテゴリー特定部5及び障害特定部6の機能により実現している。
また、本例のようなソフトウェア構成により各機能部を実現する態様に限られず、それぞれの機能部を専用のハードウェアモジュールで実現するようにしてもよい。
Claims (6)
- 対象の画像形成装置の内部状態を示すパラメータの時系列データを記憶する記憶手段と、
前記時系列データが基準値から異常値に変化するまでの期間における、前記時系列データの変化の傾き度合を算出する算出手段と、
画像形成装置に発生し得る複数の障害を突発性の程度に応じて分類したカテゴリーのうち、前記対象の画像形成装置に発生したと推定される障害が属するカテゴリーを、前記算出手段により算出された傾き度合に基づいて特定する特定手段と、
を備えたことを特徴とする障害検出システム。 - パラメータの種類毎に各カテゴリーに属する障害を分類した障害分類表を有し、
前記算出手段は、前記時系列データが基準値から異常値に変化したパラメータについて、前記時系列データの変化の傾き度合を算出し、
前記特定手段は、前記算出手段により傾き度合が算出されたパラメータ及びその傾き度合から特定したカテゴリーに基づいて前記障害分類表を参照して、前記対象の画像形成装置に発生したと推定される障害の候補を特定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の障害検出システム。 - 前記時系列データの変化の傾き度合を表す値として、前記時系列データが基準値から異常値に変化するまでに要した日数を用いる、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の障害検出システム。 - 前記算出手段は、前記時系列データが基準値から異常値に変化するまでに要した日数を、その期間における前記対象の画像形成装置による印刷枚数で補正する、
ことを特徴とする請求項3に記載の障害検出システム。 - 対象の画像形成装置の内部状態を示すパラメータの時系列データが基準値から異常値に変化するまでの期間における、前記時系列データの変化の傾き度合を算出する算出手段と、
画像形成装置に発生し得る複数の障害を突発性の程度に応じて分類したカテゴリーのうち、前記対象の画像形成装置に発生したと推定される障害が属するカテゴリーを、前記算出手段により算出された傾き度合に基づいて特定する特定手段と、
を備えたことを特徴とする障害検出装置。 - コンピュータに、
対象の画像形成装置の内部状態を示すパラメータの時系列データが基準値から異常値に変化するまでの期間における、前記時系列データの変化の傾き度合を算出する算出機能と、
画像形成装置に発生し得る複数の障害を突発性の程度に応じて分類したカテゴリーのうち、前記対象の画像形成装置に発生したと推定される障害が属するカテゴリーを、前記算出機能により算出された傾き度合に基づいて特定する特定機能と、
を実現させるためのプログラム。
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