JP5861425B2 - 障害検出システム、障害検出装置及びプログラム - Google Patents

障害検出システム、障害検出装置及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、障害検出システム、障害検出装置及びプログラムに関する。
例えば、用紙等の記録材に画像を形成して出力する画像形成装置において、その動作に支障をきたす障害(異常、故障及び不具合を含む)が発生すると、画像形成装置の利用者に不便を生じることになる。そこで、このような状況に陥った場合には、画像形成装置に発生した障害を特定し、その障害の原因を取り除くべく適切な処置を施すことが求められる。
ここで、画像形成装置などの装置を対象とした障害の特定に関して種々の発明が提案されている。
例えば、特許文献1には、観測によって得られる多次元信号から装置の状態を示す指標値を作成し、これを所定の閾値と比較することにより近い将来に発生する可能性のある装置の故障の発生を予測する技術が提案されている。この技術では、指標値算出用項目の全項目を使って指標値を算出後、1つずつ除いて指標値を算出して指標値の増大に対して寄与率の大きい項目を選び出すことで、原因項目の特定を行う。
特開2008−102470号公報
画像形成装置に発生する可能性がある障害は多様であり、実際に画像形成装置に発生したと推定される障害を幾つかに絞り込むだけでも、その後の処理や作業の負担軽減につながる。
本発明は、上記のような事情に鑑みて為されたものであり、画像形成装置に発生したと推定される障害を絞り込む新規な手法を提案することを目的とする。
請求項1に係る本発明は、対象の画像形成装置の内部状態を示すパラメータの時系列データを取得する取得手段と、前記時系列データが基準値から異常値に変化するまでの期間における、前記時系列データの変化の傾き度合を算出する算出手段と、画像形成装置に発生し得る複数の障害を突発性の程度に応じて分類したカテゴリーのうち、前記対象の画像形成装置に発生したと推定される障害が属するカテゴリーを、前記算出手段により算出された傾き度合に基づいて特定する特定手段と、を備えたことを特徴とする障害検出システムである。
請求項2に係る本発明は、請求項1に係る本発明において、パラメータの種類毎に各カテゴリーに属する障害を分類した障害分類表を有し、前記算出手段は、前記時系列データが基準値から異常値に変化したパラメータについて、前記時系列データの変化の傾き度合を算出し、前記特定手段は、前記算出手段により傾き度合が算出されたパラメータ及びその傾き度合から特定したカテゴリーに基づいて前記障害分類表を参照して、前記対象の画像形成装置に発生したと推定される障害の候補を特定する、ことを特徴とする障害検出システムである。
請求項3に係る本発明は、請求項1又は請求項2に係る本発明において、前記時系列データの変化の傾き度合を表す値として、前記時系列データが基準値から異常値に変化するまでに要した日数を用いる、ことを特徴とする障害検出システムである。
請求項4に係る本発明は、請求項3に係る本発明において、前記算出手段は、前記時系列データが基準値から異常値に変化するまでに要した日数を、その期間における前記対象の画像形成装置による印刷枚数で補正する、ことを特徴とする障害検出システムである。
請求項5に係る本発明は、対象の画像形成装置の内部状態を示すパラメータの時系列データ基準値から異常値に変化するまでの期間における、前記時系列データの変化の傾き度合を算出する算出手段と、画像形成装置に発生し得る複数の障害を突発性の程度に応じて分類したカテゴリーのうち、前記対象の画像形成装置に発生したと推定される障害が属するカテゴリーを、前記算出手段により算出された傾き度合に基づいて特定する特定手段と、を備えたことを特徴とする障害検出装置である。
請求項6に係る本発明は、コンピュータに、対象の画像形成装置の内部状態を示すパラメータの時系列データ基準値から異常値に変化するまでの期間における、前記時系列データの変化の傾き度合を算出する算出機能と、画像形成装置に発生し得る複数の障害を突発性の程度に応じて分類したカテゴリーのうち、前記対象の画像形成装置に発生したと推定される障害が属するカテゴリーを、前記算出機能により算出された傾き度合に基づいて特定する特定機能と、を実現させるためのプログラムである。
請求項1,5,6に係る本発明によれば、画像形成装置に発生したと推定される障害を効果的に絞り込むことができる。
請求項2に係る本発明によれば、画像形成装置に発生したと推定される障害の候補を簡易に特定することができる。
請求項3に係る本発明によれば、画像形成装置に発生したと推定される障害の絞り込み処理の簡易化を図ることができる。
請求項4に係る本発明によれば、画像形成装置に発生したと推定される障害の絞り込み精度を高めることができる。
本発明の一実施形態に係る障害検出システムにおけるサーバ装置の機能ブロックの例を示す図である。 (a)は、突発的に発生する障害に関わる監視パラメータの時系列データの変化例を示す図であり、(b)は、非突発的に発生する障害に関わる監視パラメータの時系列データの変化例を示す図である。 障害分類表の例を示す図である。 サーバ装置による処理フローの例を示す図である。 監視パラメータの時系列データの変化例1を示す図である。 監視パラメータの時系列データの変化例2を示す図である。 監視パラメータの時系列データの変化例3を示す図である。
本発明の一実施形態に係る障害検出システムについて、図面を参照して説明する。
本例の障害検出システムでは、画像形成装置と有線又は無線により通信可能に接続されたサーバ装置(本発明に係る障害検出装置の一例)が、画像形成装置から収集した情報に基づいて、当該画像形成装置における障害の発生を検出する。
まず、画像形成装置について説明する。
画像形成装置は、用紙等の記録材に画像を形成して出力する画像形成機能を備えた装置である。画像形成装置としては、プリンタ(文書印刷装置)、コピー機(文書複写装置)、ファクシミリ装置(文書転送装置)などの装置が挙げられるほか、これらの装置の機能を複合的に備えた複合機も含まれる。
ここで、本例の画像形成装置は、その内部状態を示す複数の監視パラメータの値を画像形成動作中に随時検出する機能を有している。監視パラメータは、発生した(或いは近い将来に発生する可能性がある)障害の特定に寄与し得るパラメータとして予め定められたものであり、例えば、帯電電圧、現像バイアス、レーザ光量、トナー濃度等が挙げられる。監視パラメータの検出値としては、その監視パラメータに該当する部位で計測された計測値を用いてもよく、各部位を制御するための目標値を用いてもよく、計測値と目標値との差分などの他の種別の値を用いてもよい。
本例の画像形成装置では、1ページ或いは複数ページに係る画像形成処理の実行を指示するジョブ命令を受け付けると、当該ジョブ命令で指示された種別の用紙に画像を形成して出力する毎(1ページ毎)に各々の監視パラメータの値を検出し、当該ジョブ命令に係る全ての画像形成処理の終了後に、各監視パラメータの検出値を格納したマシン情報をサーバ装置へ送信する。
なお、本例において画像形成処理のジョブ命令毎にサーバ装置へ送信するマシン情報は、自装置を識別する装置ID、当該ジョブ命令を識別するジョブID、当該ジョブ命令に基づく画像形成処理毎の各監視パラメータの検出値及び検出日時、画像形成の枚数(以下、印刷枚数という)などを格納した構造のデータとなっている。
ここで、上記のように、ジョブ命令に基づく画像形成処理の終了毎にマシン情報をサーバ装置へ送信する構成に代えて、マシン情報をメモリに一時的に蓄積しておき、予め定められた送信条件を満たしたことを契機に、蓄積しておいた未送信のマシン情報を送信する構成を採用してもよい。具体的には、例えば、予め定められた時間の経過を送信条件とし、当該時間の経過毎(例えば1時間毎)に送信してもよく、サーバ装置からの要求を送信条件とし、当該要求に応答して送信してもよい。
次にサーバ装置について説明する。
本例のサーバ装置は、図1に機能ブロックの例を示すように、時系列データ記憶部1、閾値越え判定部2、日数算出部3、日数補正部4、カテゴリー特定部5、障害分類表6、障害特定部7を有する。
本例のサーバ装置では、監視対象となる画像形成装置から収集(受信)したマシン情報に格納された各監視パラメータの検出値を、予め定められた時間長の単位で監視パラメータ毎に統計処理し、統計処理の結果に日時情報(日時経過を示す情報)を付して時系列データとして時系列データ記憶部1に記憶させる。また、印刷枚数についても同じ単位で集計し、日時情報を付して時系列データとして時系列データ記憶部1に記憶させる。これらの時系列データには、その収集元の画像形成装置を識別する装置IDが対応付けてあり、以降の処理では、装置IDにより各画像形成装置を識別して、画像形成装置毎に処理が実行される。
なお、監視パラメータ毎の統計処理では、例えば、各監視パラメータの検出値の平均値や分散値(例えば、標準偏差値)等の統計値を算出する。ここで、本例では、1日単位で統計処理及び印刷枚数の集計を行うが、他の時間長の単位(例えば、1時間単位)で統計処理等を行ってもよい。
時系列データ記憶部1は、例えば、NVM(Non−Volatile Memory;不揮発性メモリ)により構成される。
閾値越え判定部2は、時系列データ記憶部1に蓄積されている監視パラメータ毎の時系列データに基づいて、時系列データの値が予め設定された異常閾値を超えたか否かを判定する。時系列データが異常閾値を越えた場合には、その監視パラメータの値が異常値であると判断され、監視対象の画像形成装置に何らかの障害が発生したと推定される。
ここで、異常閾値は、事前の実験等の結果に基づいて監視パラメータ毎に予め定められている。すなわち、例えば、比較的安定している監視パラメータについては平均+ノイズ成分の標準偏差の3倍(3σ)を異常閾値とする、システムの設計上で超えては明らかに障害という値を異常閾値とする、過去に障害が発生した事例で検出された値から経験的に異常閾値を決定する、という具合である。
日数算出部3は、閾値越え判定部2において時系列データの値が異常閾値を超えたと判定された監視パラメータについて、時系列データの値が基準値から異常値に変化するまで(異常閾値を超えるまで)の日数を算出する。
本例では、基準値として、その監視パラメータの時系列データの値が異常値でない期間(例えば、異常値を超えた日から遡って3ヶ月間)における時系列データの値の平均値を用いており、時系列データの値が平均値を下回っている状態から初めて異常閾値を超えるまでの日数(換言すれば、異常閾値を越えた日から遡って初めて平均値を下回るまでの日数)を算出する。なお、時系列データの値が基準値から異常値に変化するまでの期間において障害が発生していた場合には、障害発生時の時系列データは除いて日数を算出する。
基準値としては、時系列データが異常値に向かって変化し始めた時点(変化の起点の日時)を特定可能であればよく、上記の平均値に代えて、監視パラメータ毎に予め定めた固定値(例えば、理想値の範囲から或る程度外れた値)等を用いてもよい。
ここで、日数算出部3による算出結果の日数は、時系列データの値が基準値から異常値に変化するまでの期間における変化の傾きの代用特性であり、変化の傾き度合が急峻であるほど算出日数が短くなり、変化の傾き度合が緩やかであるほど算出日数が長くなる。
日数補正部4は、日数算出部3により算出された日数を、その間(時系列データの値が基準値から異常値に変化するまでの期間)の印刷枚数で補正する。本例では、時系列データ記憶部1に蓄積されている印刷枚数の時系列データを用いて補正を行う。
具体的には、日数算出部3による算出結果の日数をX、印刷枚数をYとして、補正係数α=(Y/X)/4500を求め、補正後の日数Xcomp=α*Xを算出する。
すなわち、監視対象の画像形成装置における1日当たりの印刷枚数(Y/X)が4500枚より多い場合には日数を増加させ、4500枚より少ない場合には日数を減少させる補正を行う。
ここで、補正比率αの算出式における「4500」は、1日当たりの標準印刷枚数であり、今までの画像形成装置の稼動実績やメンテナンス実績から事前に求めた1日当たりの標準的(平均的)な印刷枚数である。
カテゴリー特定部5は、日数補正部4による補正後の日数に基づいて、監視対象の画像形成装置に発生したと推定される障害が属するカテゴリーを特定する。
本例では、突発的に発生する障害をカテゴリー1、準突発的に発生する障害をカテゴリー2、非突発的に発生する障害をカテゴリー3というように3段階に障害を分類しており、日数補正部4による補正後の日数(変化の傾きの代用特性)に基づいて、監視対象の画像形成装置に発生したと推定される障害がカテゴリー1〜3のいずれに属するかを特定する。
ここで、カテゴリー1に属する障害(突発的に発生する障害)としては、断線や部品故障などの障害が挙げられる。このような障害が発生する場合の時系列データは、図2(a)に例を示すように、比較的に短い期間(例えば、1週間以内)で急激に変化する傾向にある。
カテゴリー2に属する障害(準突発的に発生する障害)としては、トナー飛散による汚れ、埃、ゴミの堆積、曇り等によって発生する障害や、部品の特性の経時的な劣化による障害などが挙げられる。このような障害が発生する場合の時系列データは、中程度の期間(例えば、1週間以上から2ヶ月以内)で変化する傾向にある。
カテゴリー3に属する障害(非突発的に発生する障害)としては、ギア、モータ、ベルト、搬送ロール、クリーニングブレード等の長期的な稼動による部品の摩耗や疲労の蓄積によって発生する障害などが挙げられる。消耗品系の部品も放置すると摩耗系障害に至る。このような障害が発生する場合の時系列データは、図2(c)に例を示すように、比較的に長い期間(例えば、2ヶ月以上)に亘って緩やかに変化する傾向にある。
なお、カテゴリー1に属する障害に対する主な処置は、部品交換、修理等であり、カテゴリー2に属する障害に対する主な処置は、清掃、調整、再設定等であり、カテゴリー3に属する障害に対する主な処置は、部品交換等である。
本例のカテゴリー特定部5では、日数補正部4による補正後の日数が第1基準日数以下である場合にカテゴリー1と判断し、第1基準日数より大きく第2基準日数以下である場合にカテゴリー2と判断し、第2基準日数より大きい場合にカテゴリー3と判断する。
ここで、第1基準日数としては、6〜12日程度の値を用いることが好ましく、本例では、6日を用いる。また、第2基準日数としては、30〜60日程度の値を用いることが好ましく、本例では、60日を用いる。
障害特定部7は、閾値越え判定部2において時系列データの値が異常閾値を超えたと判定された監視パラメータと、カテゴリー特定部5により特定されたカテゴリーとに基づいて、障害分類表6を参照し、監視対象の画像形成装置に発生したと推定される障害の候補を特定する。
障害通知部8は、障害特定部7による特定結果(監視対象の画像形成装置に発生したと推定される障害の候補)の情報を、障害予測システムの利用者に通知する。通知の仕方は任意であり、例えば、監視対象の画像形成装置宛てに特定結果の情報を送信して、その画像形成装置に設けられた操作パネル上に表示出力させる構成や、リモートセンターの端末宛てに特定結果の情報を送信して、その端末に設けられた表示パネル上に、監視対象の画像形成装置を識別して表示出力させる構成が挙げられる。
図3には、障害分類表6の例を示してある。
図3の例では、監視パラメータ毎に、カテゴリー1、カテゴリー2、カテゴリー3のそれぞれに属する障害が設定されている。例えば、監視パラメータの一種であるレーザ光量については、カテゴリー1に属する障害として、半導体レーザ部故障、断線、半導体レーザ部回路故障、定着器の廃棄ファン異常が設定され、カテゴリー2に属する障害として、ラスター光学スキャナー部ウインドウの汚れ、送風用モータ調整不良が設定され、カテゴリー3に属する障害として、半導体レーザ部ライフエンドが設定されている。すなわち、レーザ光量の時系列データが異常値に達した場合において、その前の期間における変化の傾き度合を表す日数(日数補正部4による補正後の日数)が第1基準日数以下である場合には、カテゴリー1に属する半導体レーザ故障、断線、半導体レーザ回路故障、定着器の廃棄ファン異常が障害の候補として特定され、第1基準日数より大きく第2基準日数以下である場合には、カテゴリー2に属するラスター光学スキャナー部ウインドウの汚れ、送風用モータ調整不良が障害の候補として特定され、第2基準日数より大きい場合には、カテゴリー3に属する半導体レーザ部ライフエンドが障害の候補として特定される。
図4には、本例のサーバ装置による処理フローの例を示してある。
本例のサーバ装置では、監視対象となる画像形成装置の内部状態を示す各監視パラメータの時系列データを収集して時系列データ記憶部1に蓄積しており(ステップS11)、閾値越え判定部2が、監視パラメータ毎の時系列データに基づいて、時系列データの値が予め設定された異常閾値を超えたか否かを判定する(ステップS12)。ステップS12の処理は、時系列データの値が異常閾値を超えた監視パラメータが見つかるまで繰り返され、該当する監視パラメータが見つかった場合には、以下の処理(ステップS13〜S21)を行う。
まず、日数算出部3が、時系列データの値が異常閾値を超えた監視パラメータについて、時系列データの値が基準値から異常値に変化するまで(異常閾値を超えるまで)の日数を算出する(ステップS13)。
次に、日数補正部4が、日数算出部3により算出された日数を、その間(時系列データの値が基準値から異常値に変化するまでの期間)の印刷枚数で補正する(ステップS14)。
次に、カテゴリー特定部5が、日数補正部4による補正後の日数を第1基準日数及び第2基準日数と比較し(ステップS15,S16)、日数補正部4による補正後の日数が第1基準日数以下である場合にカテゴリー1と判断し(ステップS17)、第1基準日数より大きく第2基準日数以下である場合にカテゴリー2と判断し(ステップS18)、第2基準日数より大きい場合にカテゴリー3と判断する(ステップS19)。
その後、障害特定部7が、時系列データの値が異常閾値を超えたと判定された監視パラメータについて特定されたカテゴリーに基づいて障害分類表6を参照して、監視対象の画像形成装置に発生したと推定される障害の候補を特定し(ステップS20)、その結果を障害検出システムの利用者に通知する(ステップS21)。
カテゴリー特定の具体例について、図5〜7を参照して具体的に説明する。
図5には、或る監視パラメータ(例えば、レーザ光量)の時系列データの変化例1を示してある。この場合、以下のようにしてカテゴリー特定が行われる。なお、この監視パラメータに関する異常閾値を「8」とする。
(1)パラメータ値(時系列データの値)が初めて異常閾値(=8)を超えた日付を検出する。本例では、9月14日(パラメータ値=8.19)が検出される。
(2)9月14日から遡った過去3ヶ月(異常値が生じた期間は除く)のパラメータ値の平均値を求めて基準値に設定する。本例では、平均値として「5.37」が算出され、基準値となる。なお、平均値の算出において、異常値が生じた期間が除かれれば良く、過去3ヶ月という期間指定を行わなくても構わない。
(3)9月14日から遡っていき、最初に基準値(=5.37)を下回る日付を検出する。本例では、9月1日(パラメータ値=4.83)が検出される。よって、パラメータ値が基準値から異常値に変化するまでの日数Xは、9月1日から9月14日までの14日間となる(データが抜けている日数も含める)。
(4)14日間の印刷枚数の合計を算出する。本例では、印刷枚数の合計は60201枚であったとする。この場合、1日当たりの印刷枚数は4300枚であり、補正係数α=4300/4500=0.96となる。従って、補正後の日数Xcomp=14*0.96=13.4日となる。
(5)補正後の日数は13.4日であり、第1基準日数(本例では、6日)より大きく第2基準日数(本例では、60日)以下であるため、カテゴリー2に属する障害(準突発的な障害)が発生したことが推定される。
図6には、他の監視パラメータ(例えば、トナー濃度読み値の目標値からのズレ量)の時系列データの変化例2を示してある。この場合、以下のようにしてカテゴリー特定が行われる。なお、この監視パラメータに関する異常閾値を「2」とする。
(1)パラメータ値(時系列データの値)が初めて異常閾値(=2)を超えた日付を検出する。本例では、12月6日(パラメータ値=2.200)が検出される。
(2)12月6日から遡った過去3ヶ月(異常値が生じた期間は除く)のパラメータ値の平均値を求めて基準値に設定する。本例では、平均値として「0.29」が算出され、基準値となる。なお、平均値の算出において、異常値が生じた期間が除かれれば良く、過去3ヶ月という期間指定を行わなくても構わない。
(3)12月6日から遡っていき、最初に基準値(=0.29)を下回る日付を検出する。本例では、12月2日(パラメータ値=0・123)が検出される。よって、パラメータ値が基準値から異常値に変化するまでの日数Xは、12月2日から12月6日までの5日間となる(データが抜けている日数も含める)。
(4)5日間の印刷枚数の合計を算出する。本例では、印刷枚数の合計は17636枚であったとする。この場合、1日当たりの印刷枚数は3527枚であり、補正係数α=3527/4500=0.78となる。従って、補正後の日数Xcomp=5*0.78=4日となる。
(5)補正後の日数は4日であり、第1基準日数(本例では、6日)以下であるため、カテゴリー1に属する障害(突発的な障害)が発生したことが推定される。
図7には、更に他の監視パラメータ(例えば、マグロール印加電圧と感光体帯電電圧読み値との差)の時系列データの変化例3を示してある。図7の例は、異常閾値が平均値より小さい場合の例であり、これまでの説明とは、異常閾値及び平均値との比較に関する不等号の向きが逆である点が相違するだけであるため、説明を省略する。
なお、異常閾値が平均値の上と下にそれぞれ設定される場合もあり、その場合には、平均値より上側の異常閾値を時系列データの値が超えたとき、又は、平均値より下側の異常閾値を時系列データの値が下回ったときに異常と判定し、何らかの障害が発生したと推定して処理を行えばよい。
以上のように、本例では、監視対象の画像形成装置から収集した監視パラメータの時系列データについて、時系列データの値が基準値から異常値に変化するまでの日数を当該変化の傾きの代用特性として算出し、当該算出した日数の大小(変化の傾き度合の程度)に応じて、監視対象の画像形成装置に発生したことが推定される障害が突発的なものか(カテゴリー1)、準突発的なものか(カテゴリー2)、或いは非突発的なものか(カテゴリー3)を特定するようにした。更に、監視パラメータ毎に各カテゴリーに属する障害を分類しておき、これを参照して、監視対象の画像形成装置に発生したことが推定される障害の候補を特定するようにした。このように、本例によれば、障害の絞り込みを突発性の観点から行うことができ、障害(候補)の特定を簡易に行うことができる。
ここで、本例では、監視パラメータの時系列データの値が基準値から異常値に変化するまでの日数を、当該変化の傾きの代用特性として算出しているが、変化の傾きそのものを算出するようにしてもよく、或いは他の指標値を代用特性として算出してもよい。代用特性となる他の指標値としては、例えば、監視パラメータの時系列データの値が基準値から異常値に変化するまでのジョブ数や印刷枚数が挙げられる。
指標値としてジョブ数を用いる場合には、予め定められたジョブ数の単位で統計処理を行い、その結果に対してジョブ数情報(ジョブ数の積算値等を示す情報)を付して時系列データ記憶部1に記憶させておけば、監視パラメータの時系列データの値が基準値から異常値に変化するまでのジョブ数の算出を行える。また、指標値として印刷枚数を用いる場合には、予め定められた印刷枚数の単位で統計処理を行い、その結果に対して印刷枚数情報(印刷枚数の積算値等を示す情報)を付して時系列データ記憶部1に記憶させておけば、監視パラメータの時系列データの値が基準値から異常値に変化するまでの印刷枚数の算出を行える。なお、指標値として印刷枚数を用いる場合の補正では、印刷枚数以外の情報(例えば、後述する稼働時間)に基づいて補正を行えばよい。
また、本例では、監視パラメータの時系列データの値が基準値から異常値に変化するまでの期間における当該変化の傾き度合をその間の印刷枚数により補正することで、変化の傾き度合に画像形成装置の稼動状況を反映させており、これにより障害の絞り込み精度を向上させているが、より詳細な稼動状況を反映させるようにしてもよい。
一例として、監視対象の画像形成装置から稼働時間(電源投入状態の時間又は実働時間)を収集するようにし、各監視パラメータの時系列データの値が基準値から異常値に変化するまでの期間における当該変化の傾き度合について、その間の印刷枚数による補正に加えて稼働時間による補正を行う。具体的には、例えば、上述した日数の補正に関し、標準的な画像形成装置の通電時間に対する監視対象の画像形成装置の通電時間の比である通電比率βを補正係数αに加えるようにする。ここで、通電時間は部品劣化に対して単純に比例せず、通電比率βを補正係数αにそのまま加えると影響が大きいので、低減率ε(1より小さい正の定数)を乗じておく。すなわち、補正係数α=(Y/X)/4500+ε*βとなる。なお、低減率εは、例えば、同系列の画像形成装置における過去の障害の事例とその際の稼働時間に基づいて決定される。
また、本例では、監視パラメータの時系列データの値が基準値から異常値に変化するまでの期間における当該変化の傾き度合に応じて、突発的な障害か(カテゴリー1)、準突発的な障害か(カテゴリー2)、非突発的な障害か(カテゴリー3)の切り分け(特定)を行っているが、このような3段階の切り分けに限定するものではない。すなわち、単に、突発的な障害か否かの2段階を切り分けても良く、或いは、4段階以上の切り分けを行ってもよい。
ここで、本例の障害検出システムにおけるサーバ装置は、各種演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)、CPUの作業領域となるRAM(Random Access Memory)や基本的な制御プログラムを記録したROM(Read Only Memory)等の主記憶装置、各種のプログラムやデータを記憶するHDD(Hard Disk Drive)等の補助記憶装置、各種の情報を表示出力するための表示装置及び操作者により入力操作に用いられる操作ボタンやタッチパネル等の入力機器とのインタフェースである入出力I/F、他の装置との間で有線又は無線により通信を行うインタフェースである通信I/F、等のハードウェア資源を有するコンピュータにより構成されている。
そして、本発明に係るプログラムを補助記憶装置等から読み出してRAMに展開し、これをCPUにより実行させることで、本発明に係る障害検出装置等の機能をサーバ装置のコンピュータ上に実現している。
すなあち、本発明に係る記憶手段の機能を時系列データ記憶部1により実現し、本発明に係る算出手段の機能を閾値越え判定部2及び日数算出部3及び日数補正部4により実現し、本発明に係る特定手段の機能をカテゴリー特定部5及び障害特定部6の機能により実現している。
なお、本発明に係るプログラムは、例えば、当該プログラムを記憶したCD−ROM等の外部記憶媒体から読み込む形式や、通信網等を介して受信する形式などにより、本例に係るコンピュータに設定される。
また、本例のようなソフトウェア構成により各機能部を実現する態様に限られず、それぞれの機能部を専用のハードウェアモジュールで実現するようにしてもよい。
1:時系列データ記憶部、 2:閾値越え判定部、 3:日数算出部、 4:日数補正部、 5:カテゴリー特定部、 6:障害分類表、 7:障害特定部

Claims (6)

  1. 対象の画像形成装置の内部状態を示すパラメータの時系列データを記憶する記憶手段と、
    前記時系列データが基準値から異常値に変化するまでの期間における、前記時系列データの変化の傾き度合を算出する算出手段と、
    画像形成装置に発生し得る複数の障害を突発性の程度に応じて分類したカテゴリーのうち、前記対象の画像形成装置に発生したと推定される障害が属するカテゴリーを、前記算出手段により算出された傾き度合に基づいて特定する特定手段と、
    を備えたことを特徴とする障害検出システム。
  2. パラメータの種類毎に各カテゴリーに属する障害を分類した障害分類表を有し、
    前記算出手段は、前記時系列データが基準値から異常値に変化したパラメータについて、前記時系列データの変化の傾き度合を算出し、
    前記特定手段は、前記算出手段により傾き度合が算出されたパラメータ及びその傾き度合から特定したカテゴリーに基づいて前記障害分類表を参照して、前記対象の画像形成装置に発生したと推定される障害の候補を特定する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の障害検出システム。
  3. 前記時系列データの変化の傾き度合を表す値として、前記時系列データが基準値から異常値に変化するまでに要した日数を用いる、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の障害検出システム。
  4. 前記算出手段は、前記時系列データが基準値から異常値に変化するまでに要した日数を、その期間における前記対象の画像形成装置による印刷枚数で補正する、
    ことを特徴とする請求項3に記載の障害検出システム。
  5. 対象の画像形成装置の内部状態を示すパラメータの時系列データが基準値から異常値に変化するまでの期間における、前記時系列データの変化の傾き度合を算出する算出手段と、
    画像形成装置に発生し得る複数の障害を突発性の程度に応じて分類したカテゴリーのうち、前記対象の画像形成装置に発生したと推定される障害が属するカテゴリーを、前記算出手段により算出された傾き度合に基づいて特定する特定手段と、
    を備えたことを特徴とする障害検出装置。
  6. コンピュータに、
    対象の画像形成装置の内部状態を示すパラメータの時系列データが基準値から異常値に変化するまでの期間における、前記時系列データの変化の傾き度合を算出する算出機能と、
    画像形成装置に発生し得る複数の障害を突発性の程度に応じて分類したカテゴリーのうち、前記対象の画像形成装置に発生したと推定される障害が属するカテゴリーを、前記算出機能により算出された傾き度合に基づいて特定する特定機能と、
    を実現させるためのプログラム。
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