JP5942401B2 - 障害予測システム、障害予測装置及びプログラム - Google Patents
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Description
例えば、電子写真方式の画像形成装置では、その複雑な構成により、高画質を維持するためにサービスエンジニアによる保守サービスを必要としている。また、近年では、各画像形成装置をリモート(遠隔)で監視して、障害(故障や不具合を含む)の診断や消耗品のライフ(寿命)を予測する所謂リモートメンテナンスシステムにより、保守サービスを効率化することが行われている。更に、印刷分野において生産材として使用される画像形成装置などについて、画像形成装置の内部状態の時間的変化を監視して、ダウンタイム(画像形成機能の使用が不可能或いは制限された状況)の発生を未然に防止することが期待されている。
例えば、複数の被診断装置の動作状態を示す動作状態情報を診断装置に収集し、診断装置で、複数の動作状態情報から複数の被診断装置に関して共通の特性を示す普遍的兆候を抽出し、普遍的兆候に基づき故障を予知する発明が提案されている(特許文献1参照)。
また、例えば、画像形成装置の状態と関連がある複数種類の情報を取得し、複数種類の情報から指標値Dを算出し、指標値Dの時間変化のデータに基づいて、その後の画像形成装置の状態の変化を判定する発明が提案されている(特許文献2参照)。
また、例えば、指標値を算出するパラメータ群を形成し、パラメータ群を用いて、情報取得部で取得した情報から指標値を算出し、算出された指標値から画像形成システムの状態を判定する発明が提案されている(特許文献3参照)。
本例の障害予測システムは、障害予測の対象となる画像形成装置と、画像形成装置の内部状態を表す監視パラメータの時系列変化を分析して、画像形成装置における障害の発生を予測する監視サーバ(本発明に係る障害予測装置の一例)と、を備えている。すなわち、監視サーバが、障害予測対象の画像形成装置から監視パラメータの時系列データを収集して分析して障害予測を行うものであり、例えば、画像形成装置から監視パラメータの時系列変化の傾向に異常が生じたことが検出された場合に、これを障害の予兆と判断して、画像形成装置に近い将来に障害が発生すると予測する。
画像形成装置は、用紙等の記録材に画像を形成して出力する画像形成機能を備えた装置である。画像形成装置としては、プリンタ(文書印刷装置)、コピー機(文書複写装置)、ファクシミリ装置(文書転送装置)などの装置が挙げられるほか、これらの装置の機能を複合的に備えた複合機も含まれる。
画像形成パラメータは、画像形成に係る各部の動作を制御するパラメータであり、使用する用紙の種別毎に異なる用紙特性を考慮して調整される。画像形成パラメータの検出値としては、制御の目標となる値(目標値)を用いてもよく、制御対象の部位に設けられたセンサにより測定された値(測定値)を用いてもよい。
用紙搬送パラメータは、用紙搬送の過程で検出されるパラメータであり、搬送対象の用紙の種別に応じて調整される性質のものではないが、その用紙特性に応じて検出値が変化する。用紙搬送パラメータの検出値としては、用紙搬送の経路上に設けられたセンサにより測定された値(測定値)が用いられる。
そこで、本発明では、画像形成装置で検出される監視パラメータの時系列変化の傾向に不連続性を与える要因となる用紙の種別の切り替わり(用紙特性の変化)を考慮して障害予測を行うことで、障害予測の精度の低下を防ぐ。
なお、以下の説明では、本発明に係る参考例を第1実施例に示してあり、本発明に係る実施例を第2実施例に示してある。
本例の障害予測システムは、画像形成装置状態情報収集部11、第1状態情報時系列データ保存部12、用紙情報データベース13、第2状態情報時系列データ保存部14、用紙補正特性抽出部15、時系列データ変化点検出部16、障害予兆判定部17、障害予兆通知部18を有している。
本例では、これらの機能部11〜18を、障害予測の対象となる複数台の画像形成装置との通信を有線又は無線により行える監視サーバに設けてあり、当該監視サーバが各画像形成装置の障害予測を行う構成となっている。なお、これらの機能ブロック11〜18の一部又は全部を画像形成装置に設け、各々の画像形成装置が独自に自己の障害予測を行う構成としてもよい。
なお、上記で挙げた状態情報は、電子写真方式の画像形成装置に関する状態情報の一例であり、上記の状態情報に限定されるものではない。
更に、本例の用紙情報データベース13では、画像形成パラメータの補正変位量に加えて、用紙搬送パラメータの補正変位量を保持する。本例では、標準紙を基準として、標準紙の用紙搬送パラメータの測定値に対する変位量(差分)の平均値を予め実験的に求めて補正変位量として保持しており、後段の処理において、用紙搬送パラメータの時系列データの補正に使用される。
すなわち、本例の用紙情報データベース13は、各々の監視パラメータについて、標準紙に対する補正変位量(標準紙以外の用紙に係る監視パラメータの時系列データの補正に使用する補正変位量)を用紙の種別毎に保持する。
図2の例では、用紙の種別(用紙種A、用紙種B、用紙種C、・・・)毎に、用紙特性項目、画質特性項目、用紙走行特性項目が設定されている。用紙特性項目としては、サイズ、用紙タイプ、コート有無、坪量(g/m2)、用紙色等が含まれる。画質特性項目としては、2次転写電圧補正量、定着温度補正量等が含まれる。用紙走行特性項目としては、デカーラ強度、エアーアシスト強度、用紙給紙部補正量、レジ部バラツキ補正量、スキューバラツキ補正量等が含まれる。
第2状態情報時系列データ保存部14の動作を具体的に説明すると、第1状態情報時系列データ保存部13から時系列順にジョブ毎の用紙情報と各監視パラメータ(画像形成パラメータ及び用紙搬送パラメータ)の値を取得し、用紙情報に基づいて用紙の種別の切り替わりを検出し、切り替え後の用紙の種別に応じた監視パラメータ毎の補正変位量(標準紙に対する補正変位量)を用紙情報データベース13から用紙補正特性抽出部15を通じて取得し、この補正変位量を用いて各監視パラメータの値に補正を加え、補正結果に対して統計処理を施した後に、監視パラメータ毎の第2の時系列データ(補正後の時系列データの格納データ列)に追加していく。なお、用紙の種別が標準紙のジョブについては、監視パラメータの値を補正せずに統計処理を施して、第2の時系列データに追加する。ここで、統計処理では、例えば、印刷処理のジョブ単位で、平均値や分散値(例えば、標準偏差値)等の統計値を算出する。
すなわち、第2状態情報時系列データ保存部14では、各種別の用紙の時系列データを標準紙に対する補正変位量で補正することで、標準紙の時系列データへの変換を行う。
図3には、第1実施例に係る時系列データの補正を概念的に示してある。
図3の例では、パラメータAについて、標準紙の用紙特性に対する用紙1の用紙特性の平均的な変位量aと、標準紙の用紙特性に対する用紙2の用紙特性の平均的な変位量bがそれぞれ補正変位量(平均値補正量)として予め定められ、用紙情報データベース13に格納されている。なお、パラメータAは、画像形成パラメータと用紙搬送パラメータのいずれでもよい。
同様に、第1状態情報時系列データ保存部13から第1の時系列データを順次読み出して第2の時系列データに追加していく過程で、用紙2の時系列データが取得された場合(すなわち、用紙2への切り替わりが検出された場合)には、この時系列データに代えて、時系列データの各値を用紙2に係る補正変位量bで補正(−b)した結果を統計処理して第2の時系列データに追加する。
図4の例によれば、薄紙、標準紙、厚紙の順に、すなわち、用紙の厚みが増すにつれて用紙通過タイミングが速くなっている。そこで、薄紙については、用紙通過タイミングの検出値に−1.6(=96.2−97.8)[msec]の補正を施し、厚紙については、用紙通過タイミングの検出値に+2.6(=96.2−93.6)[msec]の補正を施すようにする。
図5(a)、(b)に示すように、用紙の種別に応じて時系列データを補正することで、用紙の切り替わりによる時系列変化の不連続性を解消した連続的な時系列データを得ることができ、用紙搬送に関わる部位(本例では、用紙給紙部)についての障害予測の精度を向上させることができる。
なお、図4、5では、用紙搬送パラメータを例にして補正の具体例を説明したが、画像形成パラメータについても、同様な補正を行うことで連続的な時系列データを得ることができ、画像形成に関わる部位についての障害予測の精度を向上させることができる。
時系列データ変化点検出部16は、第2状態情報時系列データ保存部14に用紙搬送パラメータ毎に保存されている補正後の時系列データに基づいて、予め定められた傾向予測アルゴリズムにより、用紙搬送パラメータの今後の時系列変化の傾向を推定する。傾向予測アルゴリズムとしては、例えば、ベイズ線形回帰モデルを用いたアルゴリズムが挙げられる。
なお、用紙搬送パラメータと障害の種別や部位等を特定する情報とを対応付けておき、アラート対象の用紙搬送パラメータから障害の種別や部位等を特定して、アラートに付随して出力することが好ましい。
また、用紙搬送パラメータの値が正常範囲であっても、用紙情報データベース13を参照することにより、用紙特性によっては正常範囲外(異常範囲)に陥ることが予測される場合は、アラートを出力するように構成してもよい。この場合には、その用紙特性をアラートに付随して出力することが好ましい。
時系列データ変化点検出部16は、第2状態情報時系列データ保存部14に画像形成パラメータ毎に保存されている補正後の時系列データに基づいて、予め定められた変化点検出アルゴリズムにより、画像形成パラメータの時系列変化の傾向の変化点を検出する。変化点検出アルゴリズムとしては、例えば、画像形成パラメータの時系列データの変動の程度を算出し、算出結果の値が予め定められた閾値を越えるか否かで変化点を検出するアルゴリズムが挙げられる。
なお、画像形成パラメータ群と障害の種別や部位等を特定する情報とを対応付けておき、アラート対象の画像形成パラメータ群から障害の種別や部位等を特定して、アラートに付随して出力することが好ましい。
具体的には、第2状態情報時系列データ保存部14は、用紙の種別に応じた各監視パラメータの時系列データの補正に先立って、その時系列データの近似曲線を算出し、近似曲線の中心値を平均値として、時系列データの標準偏差値を算出する。次に、近似曲線の中心値と標準偏差値に対し、標準偏差値比に基づいて、時系列データを補正する。
図9の例では、パラメータAについて、初期状態及び正常状態における標準紙の用紙特性及び±1σの標準偏差の位置と、標準紙に対する用紙1の用紙特性の平均的な変位量a及び±1σの標準偏差の位置と、標準紙に対する用紙2の用紙特性の平均的な変位量b及び±1σの標準偏差の位置とが示されている。
図10には、図5(a)に示した時系列データを、第2実施例の手法により補正した後の時系列データを示してある。図10の例によれば、用紙の切り替わりによる時系列変化の不連続性を解消した連続的な時系列データを得ることができ、障害予測の精度を向上させることができる。
用紙スキューは、例えば、用紙の搬送路上に、用紙搬送の直交方向に沿って2つのタイミングセンサを配置しておき、一方のタイミングセンサ位置を用紙が通過した時間と他方のタイミングセンサ位置を用紙が通過した時間との差(時間差)を計時することで測定(検出)される。用紙スキューの量(角度差)は、用紙の搬送路に設けられた搬送ロールの磨耗劣化等が無い場合(正常状態の場合)は、図12(a)に示すように、0[mRad]付近でコントロールされるが、磨耗劣化等が生じた場合(不良状態に近づいている場合)には、図12(b)に示すように、徐々にスキュー量が拡大していく。
この用紙スキューの時系列データも、用紙の種別の切り替わりに起因して時系列変化の傾向が不連続に変化する。そこで、用紙スキューの時系列データについて平均値及びばらつきの補正を行い、補正後の時系列データに基づいて今後の時系列変化の傾向を推定し、用紙スキューの値が予め定められた閾値を超える時期の予測を行う。
すなわち、本発明に係る取得手段の機能を画像形成装置状態情報収集部11及び第1状態情報時系列データ保存部12により実現し、本発明に係る検出手段の機能を第2状態情報時系列データ保存部14により実現し、本発明に係る補正手段の機能を第2状態情報時系列データ保存部14及び用紙情報データベース13及び用紙補正特性抽出部15により実現し、本発明に係る予測手段の機能を時系列データ変化点検出部16及び障害予兆判定部17により実現し、本発明に係る通知手段の機能を障害予兆通知部18により実現している。
また、本例のようなソフトウェア構成により各機能部を実現する態様に限られず、それぞれの機能部を専用のハードウェアモジュールで実現するようにしてもよい。
Claims (4)
- 記録材に画像を形成する画像形成装置において前記記録材の搬送の過程で検出されるパラメータの時系列データを取得する取得手段と、
前記画像形成装置で使用する記録材の種別の切り替わりを検出する検出手段と、
前記取得手段により取得された時系列データを、前記検出手段による検出結果と記録材の種別毎に予め設定された前記パラメータの補正変位量及び前記パラメータのばらつき具合を示す値とに基づいて補正する補正手段と、
前記補正手段による補正後の時系列データを用いて、前記画像形性装置における障害の発生を予測する予測手段と、
前記予測手段により予測された障害の発生を通知する通知手段と、
を備えたことを特徴とする障害予測システム。 - 記録材の種別毎に予め設定された前記パラメータのばらつき具合を示す値は、当該種別の記録材について予め求めた標準偏差値と基準の記録材について予め求めた標準偏差値との比であり、
前記補正手段は、基準となる記録材以外の種別の記録材が使用されていた期間の前記パラメータの時系列データに対し、当該種別の記録材に係る前記補正変位量に基づく補正と、当該種別の記録材に係る前記標準偏差値の比及び当該期間の前記パラメータの時系列データから算出される標準偏差値に基づく補正とを行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の障害予測システム。 - 記録材に画像を形成する画像形成装置において前記記録材の搬送の過程で検出されるパラメータの時系列データを取得する取得手段と、
前記画像形成装置で使用する記録材の種別の切り替わりを検出する検出手段と、
前記取得手段により取得された時系列データを、前記検出手段による検出結果と記録材の種別毎に予め設定された前記パラメータの補正変位量及び前記パラメータのばらつき具合を示す値とに基づいて補正する補正手段と、
前記補正手段による補正後の時系列データを用いて、前記画像形性装置における障害の発生を予測する予測手段と、
前記予測手段により予測された障害の発生を通知する通知手段と、
を備えたことを特徴とする障害予測装置。 - コンピュータに、
記録材に画像を形成する画像形成装置において前記記録材の搬送の過程で検出されるパラメータの時系列データを取得する取得機能と、
前記画像形成装置で使用する記録材の種別の切り替わりを検出する検出機能と、
前記取得機能により取得された時系列データを、前記検出機能による検出結果と記録材の種別毎に予め設定された前記パラメータの補正変位量及び前記パラメータのばらつき具合を示す値とに基づいて補正する補正機能と、
前記補正機能による補正後の時系列データを用いて、前記画像形性装置における障害の発生を予測する予測機能と、
前記予測機能により予測された障害の発生を通知する通知機能と、
を実現するためのプログラム。
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