JP6165490B2 - 中空柱状物の補強材及びこれを用いた中空柱状物の補強方法 - Google Patents
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Description
このように構成された本発明においては、補強シートの上下端が封止されているので、例えば中空柱状物の上部のみ等の、中空柱状物の全長の一部のみを補強することが可能になる。
このように構成された本発明においては、棒状部材が複数個に分割可能に構成されているので、棒状部材を搬送する際には棒状部材を分割することができる。したがって、補強材の全長を短くすることができ、棒状部材が配置されていない部分の補強シートは折りたたむことが可能になるから、補強材の搬送が容易になる。また、補強シートを中空柱状物の内部に配置する際には、分割された棒状部材で補強シートを上方に持ち上げた後、棒状部材の下端に分割された他の棒状部材を連結することによって棒状部材を延長し、補強シートを更に上方に持ち上げることができる。したがって、例えば中空柱状物の全長に亘るような、予め長い棒状部材を扱う必要がないので、補強シートの配置作業が簡略化する。
このように構成された本発明においては、保持手段が袋状の膨張材であるので、例えば膨張材内部に空気を注入することによって膨張材を膨張させると、膨張材の外面が補強シートの内面を外側に押圧し、補強シートを中空柱状物の内面に押し付けることにより、補強シートを中空柱状物の内面に固定する。膨張材を膨張させることによって補強シートの固定を行うことができるので、固定作業が簡単になる。また、膨張材への膨張圧力を監視することによって、補強シートの固定力をある程度把握することができるから、補強シートの固定作業の管理が容易となる。
このように構成された本発明においては、膨張材に圧力制御計器が接続されているので、膨張材を膨張させる際にその膨張状態を、計測した圧力を介して知ることができる。また、圧力制御計器が中空柱状物の外側に配置されているので、中空柱状物の外側で圧力を確認することができるので、確認作業が容易となる。
このように構成された本発明においては、複数に分割された棒状部材を連結しながら、補強シートを中空柱状物内部に押し上げていくので、必要な作業スペースが小さくなるとともに、取り扱う棒状部材の長さが短くなるので、作業が簡単になる。これは、例えば中空柱状物の全長を補強する必要がある場合に、長い棒状部材を取り扱う必要がなくなり作業が簡単になるから、特に有用である。
このように構成された本発明においては、保持工程では、膨張材に空気を注入して膨張材を膨張させるので、簡単な作業で補強シートを中空柱状物内部の所定位置に固定することができる。また、膨張材を膨張させて補強シートを固定するので、膨張材内部の空気圧によって補強シートの固定力を知ることができる。したがって、補強シートの固定力の調整が簡単になる。
このように構成された本発明においては、充填材が補強シートの下部のほとんどの部分に充填されると、補強シートが膨張材なしでも中空柱状物内部で保持されるので、膨張材内部の空気の圧力を解除してから、充填材の充填を続行するとともに、膨張材内部の空気圧を監視する。充填材が膨張材を覆う位置まで充填されると、膨張材内部に残っていた空気が外側の充填材に押され、膨張材内の圧力が上昇する。ここで、膨張材は補強シートの最上部に位置しているので、膨張材内の空気圧が上昇したことは、充填材が膨張材の位置まで到達したことを示し、つまり充填材が補強シートの最上部まで達したことを意味する。そこで、注入終了工程において充填材の注入を終了する。充填材の充填高さを、膨張材の空気圧を監視することによって知ることができるので、充填材の充填終了タイミングを簡単且つ確実に把握することができる。
本発明の一実施形態にかかる中空柱状物の補強材について説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる電柱100(図4等)の補強材1を示す、一部を破断した図である。本実施形態では、中空柱状物として中空の電柱100を採用している。この図1に示すように、補強材1は、筒状の補強シート2と、補強シート2の鉛直方向(軸方向)最上部に取り付けられた棒状部材としての中空パイプ4と、中空パイプ4の鉛直方向(軸方向)最上部に取り付けられた保持手段且つ膨張材としてのバルーン6と、を備える。
図3は、本発明の一実施形態にかかる中空柱状物の補強材1の搬送時の状態を示す図である。補強材1は、電柱100の全長に亘る長さを有しているため搬送が難しい。そこで、本実施形態の補強シート2は、繊維で織られた布状に形成されているので、中空パイプ4Aの下方の位置で折り返し、図3に示すようにほぼ中空パイプ4Aの長さに折り畳んだ状態とし、この状態で搬送する。また、中空パイプ4Cの下方のホース4Dは、中空パイプ4Cに連結したまま、巻き上げた状態で搬送する。
まず、図4に示すように、電柱100の外面に、内部に貫通する開口部としての作業孔20を形成する開口部形成工程を行う。この作業孔20は、地上から作業者の手が届く位置、例えば地上から約2mの位置に、例えば幅約6cm、高さ30cmの長孔状に形成する。
補強材1が柔軟性を有する補強シート2と可撓性を有する中空パイプ4を備えているので、中空パイプ4を用いて補強材1を電柱100内に上方に向かって挿入することができる。このため、電柱100の地上近くに作業孔20を設けて、この作業孔20から補強作業を行うことができるので、従来高所で行わなければならなかった作業が不要となり、補強作業を簡単且つ安全に行うことができる。
また、貫通孔10が所定間隔を隔てて複数個設けられているので、充填材を下から順に充填することができる。したがって、従来のような、充填材の充填を電柱100の上端部から行う必要がなくなるので、充填作業を簡単且つ安全なものにすることができるとともに、充填に必要な充填圧力を大幅に減少することができる。これにより、充填に必要な設備が大がかりなものになるのを避けることができる。
また、中空パイプ4が複数本に分割されているので、補強材1を電柱100内に設置する際には、分割された中空パイプ4Aに中空パイプ4Bを連結しながら補強材1を電柱100内に挿入していくことができる。したがって、補強材1の挿入時にも、数mにも亘る長い中空パイプを扱う必要がなく、補強材1の挿入作業スペースを小さくすることができるとともに挿入作業を簡単に行うことができる。
前記実施形態では、バルーン6が補強シート2の最上端で膨張してこれを電柱100に固定したが、バルーン等の保持手段が補強シートを保持する箇所は、補強シートの最上部に限らず、補強シートが直立姿勢を保持できずに垂れ下がってしまわない程度に上部に位置していればよく、補強シートの長手方向中央よりも上側に位置していればよい。また、保持手段は、必ずしも補強シートの上部を保持しなくてもよい。更に、補強シートを中空柱状物内の所定位置で保持する手段は、前記実施形態のようなバルーンで補強シートを中空柱状物の内面に押し付けるものに限らず、機械的な部材を中空柱状物の内側から外側に付勢して付勢力で補強シートを固定するものや、中空パイプを所定位置に固定することにより、中空パイプを介して補強シートを所定の位置で保持するもの等、任意の形態を採用することができる。
棒状部材は、前記実施形態では、補強シートの最上部で補強シートに固定されていたが、これに限らず、単に補強シートの最上部に配置されていてもよい。この場合には、棒状部材が補強シートに取り付けられていなくても、棒状部材で補強シートを押し上げる際には、棒状部材の最上端が補強シートの最上端に当接することになるので、棒状部材の位置決めが自動的になされる。
2 補強シート
4 中空パイプ(棒状部材)
6 バルーン(膨張材、保持手段)
10 貫通孔
20 作業孔(開口部)
Claims (9)
- 鉛直方向に配置された中空柱状物の補強方法であって、
前記中空柱状物の長手方向中央より下側に開口部を形成する開口部形成工程と、
筒状に形成された補強シートを、前記開口部から可撓性を有する棒状部材で上部に押し上げながら前記中空柱状物内部に配置する配置工程と、
前記中空柱状物内部に配置された前記補強シートの内側へ、充填材を注入する注入工程と、を備え、
前記配置工程は、複数個の棒状部材部で構成された前記棒状部材のうちの第1の棒状部材部を用いて前記補強シートを前記中空柱状物内部で押し上げる押上工程と、前記補強シートの長手方向に沿って間隔をあけて形成された複数の連通孔の1つから第2の棒状部材部を挿入して前記第1の棒状部材部の下端に前記第2の棒状部材部を連結する連結工程と、を含み、前記押上工程及び前記連結工程を他の棒状部材部に対して繰り返すことにより、複数の前記棒状部材部を順次連結しながら前記補強シートを前記中空柱状物内部に配置する、
ことを特徴とする中空柱状物の補強方法。 - 前記配置工程の前で且つ前記注入工程の前に、前記補強シートを前記中空柱状物内の所定位置で保持する保持工程を更に有する、
請求項1に記載の中空柱状物の補強方法。 - 前記保持工程は、前記補強シートの内側に設けられた袋状の膨張材を膨張させて前記補強シートを前記中空柱状物上部内面に押し付ける膨張工程を含む、
請求項2に記載の中空柱状物の補強方法。 - 前記注入工程は、前記補強シートの上端まで充填材が充填される前に、前記膨張材内部の空気の圧力を解除して、前記中空柱状物内面に対する前記補強シートの固定を解除する固定解除工程と、
前記固定解除工程後、充填材の充填を続行する間、前記膨張材内部の空気圧を監視する空気圧監視工程と、
前記空気圧監視工程で監視された空気圧が上昇したとき、充填材が前記膨張材まで到達したと判断して、充填材の注入を終了する注入終了工程と、を含む、
請求項3に記載の中空柱状物の補強方法。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の中空柱状物の補強方法に使用する補強材であって、
繊維材料で作られ且つ筒状に形成された補強シートと、
前記補強シートの内側に設けられた棒状部材であって、可撓性を有すると共に前記補強シートを鉛直方向に配置された前記中空柱状物の所定の位置まで押し上げるのに十分な強度を有する棒状部材と、を備え、
前記棒状部材は、複数個の棒状部材部で構成されており、
前記補強シートは、長手方向に沿って間隔をあけて形成された複数の連通孔を有する、 ことを特徴とする中空柱状物の補強材。 - 前記連通孔は、複数個の前記棒状部材部の端部の位置に対応する位置に設けられている、
請求項5に記載の中空柱状物の補強材。 - 前記補強シートは、一端及び他端が封止されている、請求項5または請求項6に記載の中空柱状物の補強材。
- 前記補強シートの内側に設けられ、膨張することによって内側から前記補強シートを前記中空柱状物内の所定位置で保持するための袋状の膨張材を備えた、請求項5から7のいずれか1項に記載の中空柱状物の補強材。
- 前記膨張材には、前記中空柱状物の外側に配置された圧力制御計器が接続されている、請求項8に記載の中空柱状物の補強材。
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