以下、本発明を添付図面に基づいて説明する。
本発明の実施形態(本例)の屋根構造1は、例えば、図2に示すように、切妻屋根を有する建物に適用される。なお、以下、切妻屋根における一方の屋根面のみを説明し、他方(棟部を挟んだ反対側)の屋根面に関しては、前記一方の屋根面と略同一の構成となるため、説明及び図面での記載を省略する。
屋根構造1は、図1に示すように、屋根下地11と、屋根材(凹凸屋根材3)と、棟包み4と、棟側面戸部材(面戸部材8)と、けらば部材18とを備える。以下の説明では、傾斜した屋根面に沿って軒と棟を結ぶ方向(屋根勾配に沿った方向)を、前後方向とし、水上側(棟側)を後方とし、水下側(軒側)を前方とする。そして、前後方向に直交する棟に沿う方向を、左右方向(側方)とする。そして、本実施形態において、軒は、棟方向に沿って(棟方向と平行に)設けられる。
また、説明の便宜上、前後方向及び左右方向の両方向に直交する方向を、上下方向とする。このため、本実施形態においては、上下方向が、屋根勾配の分、鉛直方向から傾いている。そして、各構成の説明では、建物に取り付けた姿勢を基準として、前述の前後、左右、上下方向を用いる。更に、以下の説明では、前後方向を向いて視た状態を、正面視とし、左右方向を向いて視た状態を、側面視とし、上下方向を向いて視た状態を、平面視とする。
屋根下地11は、図3に示すように、屋根勾配と略同じ角度で傾斜している。言い換えると、屋根下地11は、棟から軒に向かって下り傾斜している。言い換えると、屋根下地11は、側面視下向きV字形状に形成される。屋根下地11は、例えば、垂木等の構造躯体上に設けられる。そして、屋根下地11は、例えば、側面視下向きV字に設けた野地板と、野地板の上面に敷設した防水シートや遮熱シート等(図示せず)とで形成される。屋根下地11(前記野地板)は、棟側から軒側に向けて一様な角度で下り傾斜しており、屋根勾配(軒棟方向)と平行となっている。
そして、屋根下地11は、図2に示すように、左右方向の両端に、けらば部材18が取り付けられる。けらば部材18は、前後方向において、屋根下地11に沿って設けられる。けらば部材18は、屋根下地11から上方に突出して形成される。更に、けらば部材18は、その前端部が屋根下地11より前方に位置しており、屋根構造1は、所謂けらば勝ちの構成となっている。
また、屋根下地11は、図4や図5に示すように、その棟部(上端部)に、換気部13が設けられる。言い換えると、屋根構造1のV字の角には、換気部13が設けられる。換気部13は、前記棟部の左右方向における一部に設けられており、例えば、換気部13は、前記棟部の左右方向における中央に設けられる。このため、前記棟部は、換気部13を設けた第1部位と、換気部13を設けていない第2部位とを有する。
換気部13は、屋根下地11に対して上下方向或いは鉛直方向に貫通した開口部14を有する。このため、屋根構造1は、屋根下地11より上方の空間(後述の棟包み4の下方空間)と、屋根下地11より下方の空間(天井裏等の屋内空間101)とが連通する構成となっている。そして、開口部14には、覆い部材2が設けられる。覆い部材2は、図3乃至図5に示すように、開口部14を覆う覆い部21と、覆い部21の外周から垂下された垂下部22と、垂下部22の下端に形成された固定片23とで形成される。
覆い部21は、例えば、側面視下向きV字形状となっており、左右方向に幅を有した矩形板状に形成される。そして、覆い部21は、そのV字の各辺が、屋根下地11のV字と略平行に並び、互いのV字の角が鉛直に並ぶよう構成される。このため、覆い部21は、その板面で開口部14を覆う構成となっている。
また、覆い部21には、図1に示すように、上下方向に貫通開口した複数の通気孔24と、上下方向に貫通開口した通線孔25とが設けられる。通気孔24及び通線孔25はいずれも、図4や図5に示すように、開口部14に連通するよう構成される。このため、屋根下地11より上方の前記空間(棟包み4の下方空間)は、通気孔24や通線孔25を介して、屋内空間101と連通する。
通線孔25は、例えば、図1に示すように、覆い部21の左右方向の中央に設けられる。通線孔25は、左右方向に長尺な長孔形状となっている。通線孔25には、機能パネル(詳細は後述する)等の配線を挿通可能となっている。通気孔24は、覆い部21に複数設けられる。そして、通気孔24は、通線孔25の両側方に位置する。
更に、図3乃至図5に示すように、通気孔24及び通線孔25の縁には各々、枠部26が設けられる。各枠部26は、対応する通気孔24や通線孔25の各縁に沿って設けられる。各枠部26は、対応する通気孔24や通線孔25の各縁から起立して(上方に突出して)形成される。そして、各枠部26は、対応する通気孔24や通線孔25の縁の全周に亘る平面視環状となっている。
垂下部22は、覆い部21の各前端(前記V字の各下端)に夫々設けられる。垂下部22は、覆い部21と略同寸で左右方向に幅を有する。言い換えると、垂下部22は、覆い部21の下端全体に亘って設けられる。また、垂下部22の下端には、固定片23が設けられる。
固定片23は、垂下部22から前方に突出しており、固定片23は、垂下部22の下端全体に亘って形成される。固定片23は、平面視矩形の板状となっている。固定片23は、屋根下地11に固定される構成となっている。言い換えると、覆い部材2は、固定片23で屋根下地11に固定される構成となっている。
また、覆い部21の上面には、図1や図9に示すように、通線孔25を覆う第1カバー27と、通気孔24を覆う第2カバー28とが設けられる。
第1カバー27は、図4や図5に示すように、その後側に固定部27aを有しており、固定部27aは、覆い部21の上面の通線孔25より後方に固定される。このため、第1カバー27は、固定部27aより前方の部位で通線孔25の上方を覆うように構成される。そして、第1カバー27は、左右方向及び前方に開口した形状となっており、第1カバー27は、例えば、下辺を固定部27aとした側面視Z状に形成されており、このZ字の各角(各2辺の成す角)は、略直角となっている。
このため、屋根構造1は、第1カバー27を設けた位置において、第1カバー27の前方の開口を介して、前後方向に配線(詳細は後述する)を通したり(通線したり)、空気を流通したり(通気したり)することができる。言い換えると、第1カバー27は、前下方に通線・通気空間を有するよう構成される。また、第1カバー27は、その前端が覆い部21の前端より後方に位置する。
第2カバー28は、図4や図5に示すように、その前側に固定部28aを有しており、固定部28aは、覆い部21の上面の通気孔24より前方に固定される。このため、第2カバー28は、固定部28aより後方の部位で通気孔24の上方を覆うように構成される。そして、第2カバー28は、左右方向及び後方に開口した形状となっており、第2カバー28は、例えば、下辺を固定部28aとした側面視前後逆様のZ状に形成されており、このZ字の各角(各2辺の成す角)は、略直角となっている。
このため、屋根構造1は、左右方向において、第2カバー28の上辺と縦辺とで囲む空間が、第1カバー27の上辺と縦辺とで囲む空間に、連通するよう構成される。言い換えると、第1カバー27及び第2カバー28は、左右方向に連通した通気空間を形成する。
更に、第2カバー28は、Z字の上辺の後端に、上返し片29を有する。上返し片29は、図3に示すように、前記上辺の後端から前方上向きに突出して設けられる。上返し片29は、図1に示すように、前記後端の左右幅の略全長に亘って形成される。
なお、前記他方の屋根面は、図1や図3乃至図5に示すように、覆い部21に、通線孔25を設けてなく、通気孔24のみを設けた構成となっている。言い換えると、前記他方の屋根面は、左右方向において前記一方の屋根面の通気孔24の位置(覆い部21の中央)にも、通線孔25が設けられている。このため、前記他方の屋根面は、覆い部21が第2カバー28で覆われる構成となっている。もちろん、前記他方の屋根面は、前記一方の屋根面と同様に、覆い部21に通線孔25が設けられた構成であってもよい。
また、屋根下地11上には、図1や図2や図9に示すように、複数の屋根材が載置される。この屋根材は、下方に開口し上方に突出する凸部33と、上方に開口し下方に凹む凹部34とを交互に有する。言い換えると、前記屋根材は、凸部33と凹部34とが交互に並ぶよう構成された凹凸屋根材3となっている。
例えば、凸部33は、図6に示すように、上下方向に面を有する天面部と、この天面部の左右両側から各々垂下して設けた側面部とを有する。そして、凸部33は、下方に開口した正面視上下逆様の角形U字に形成される。凹部34は、上下方向に面を有する底面部と、この底面部の左右両側から各々起立して設けた側面部とを有する。そして、凹部34は、上方に開口した正面視角形U字に形成される。
更に、凸部33と凹部34とは、左右方向に交互に並んで形成される。このため、凸部33の側面部は、隣接する凹部34の側面部を兼ねており、この側面部は凸部33の天面部や凹部34の底面部に対して略直交する。
凸部33及び凹部34は、その断面形状が各々、前後方向において一様となっている。凸部33及び凹部34は、その棟側端部が各々、後方(水上側)に開口する。言い換えると、凸部33及び凹部34は各々、棟側開口を有する。凹凸屋根材3毎に、凸部33の棟側開口は、凹部34の棟側開口と前記側面部を介して左右方向に隣り合う。そして、凸部33の天面部及び凹部34の底面部は、屋根勾配(前後方向)に沿って設けられる。言い換えると、凹凸屋根材3は、屋根下地11の上面に沿って設けられる。
更に、凸部33及び凹部34は、その軒側端部が各々、前方(水下側)に開口する。言い換えると、凸部33及び凹部34は各々、軒側開口を有する。凸部33及び凹部34は各々、前後方向において、軒側開口と棟側開口とが連通する。そして、屋根構造1は、凸部33の内部空間を介して、例えば、軒側から棟側へ(或いは棟側から軒側へ)通気するように構成される。言い換えると、凸部33は、その内部空間が通気空間となっている。
なお、凸部33の軒側開口は、図2に示すように、軒側面戸部材38に覆われており、軒側面戸部材38は、凸部33の軒側端部の下方を覆う部位に、通気用の開口(図示せず)が設けられている。このため、凸部33の内部空間の軒側は、軒側面戸部材38を介して外部に開口した構成となっている。
また、凹凸屋根材3は、例えば、ルーフデッキや、折板材等となっており、前後方向に直交して切断した断面(左右方向に切断した断面)が、角波状となるように形成される。そして、凹凸屋根材3は、例えば鋼板製となっている。なお、凹凸屋根材3は、断面丸波状に形成されてもよく、断面形状は、前記波状に限定されない。そして、凹凸屋根材3は、鋼板以外の金属板で形成してもよく、またその材質は金属に限定されるものではない。
凹凸屋根材3は、左右方向に並べて(隣り合って)配置される。これによって、屋根構造1は、凹凸屋根材3で屋根下地11の上面の略全体を覆うよう構成される。そして、左右方向において隣り合う凹凸屋根材3は、連結具(図示せず)を介して連結される。この連結具は、例えば、ビスや釘等の固着具(図示せず)を用いた固着によって、屋根下地11に固定される。
更に、前記連結具には、カバー部材35が取り付けられる。カバー部材35は、前記隣り合う凹凸屋根材3の間の部分、及びこの部分に設けた前記連結具を覆うよう構成される。カバー部材35は、凸部33を模した外観形状で形成される。そして、カバー部材35は、左右方向において、凹部34と隣り合う。このため、屋根構造1の屋根面は、カバー部材35で覆う部位を含めて、凹部34と凸部33とが左右方向に交互に並ぶように構成される。
このように、本実施形態の屋根構造1は、その屋根面が複数の凹凸屋根材3で形成されており、凹凸形状の屋根面となっている。言い換えると、凹凸屋根材3は、その上面が屋根面となっている。そして、本実施形態では、前記屋根面上に機能パネル(図示せず)が設けられる。
この機能パネルは、例えば太陽光発電パネルとなっている。この機能パネルは、送電配線等の配線(図示せず)を備える。この配線は、後述の棟包み4の下方空間(通線・通気空間)から通線孔25(開口部14)を介して、建物内(屋内空間101)に導入される構成となっている。なお、前記機能パネルは、太陽光発電パネルに限らない。
また、凹凸屋根材3は、図9に示すように、その棟側端部が、第1部位に位置するもの(第1屋根材31)と、第2部位に位置するもの(第2屋根材32)とで、前後方向の寸法(前後長)が異なるよう構成される。詳しくは、第1屋根材31の前後長が、第2屋根材32の前後長に比べて小寸となっている。そして、第1屋根材31と第2屋根材32は、互いの軒側端部が左右方向に略面一に並ぶよう配置される。
このため、第1屋根材31の棟側端部31aは、第2屋根材32の棟側端部32aより前方に位置するよう構成される。言い換えると、屋根構造1は、第1屋根材31の棟側端部31aを第2屋根材32の棟側端部32aより前方に位置するよう、第1屋根材31の前後長を短くして設けられる。更に、屋根構造1は、図3に示すように、前後方向において、第1屋根材31の棟側端部31aと、垂下部22との間に隙間を有して構成される。
棟包み4は、図1に示すように、屋根下地11の棟部側の上方に設けられる。棟包み4は、前後方向に長さを有しており、側面視下向きV字形状となっている。そして、棟包み4は、左右方向に幅(左右幅)を有しており、平面視矩形の板状となっている。例えば、棟包み4は、金属板を曲げ加工や絞り加工等することで形成される。
更に、棟包み4は、V字の先端(前端)に、前面部44を有する。言い換えると、棟包み4は、V字の包み本体43と、包み本体43の前端に設けた前面部44とを有する。前面部44は、包み本体43の前端から垂下して形成される。前面部44は、包み本体43の左右幅の略全長に亘って設けられる。
また、屋根構造1は、図2に示すように、棟包み4を複数備える。各棟包み4の左右幅は、屋根下地11の左右幅に比べて小寸となっている。そして、屋根構造1は、複数の棟包み4を左右方向に並べることで、屋根下地11の棟部を、その左右方向の略全体に亘って覆う構成となっている。言い換えると、屋根構造1は、凹凸屋根材3の棟側端部(31a,32a)や換気部13等を、複数の棟包み4で上方側から覆う構成となっている。このため、棟包み4は、その上面等が、屋根構造1の棟側の外観面を形成する。更に、棟包み4は、第1部位を覆う第1棟包み41と、第2部位を覆う第2棟包み42とに区別される。
第2棟包み42は、図7に示すように、包み本体43が笠木16に固定される。笠木16は、第2屋根材32の凸部33に固定される。このため、第2棟包み42は、笠木16を介して、第2屋根材32の凸部33に固定される。笠木16は、図9に示すように、左右方向に長尺に形成されており、笠木16の左右方向の寸法は、第2屋根材32の左右方向の寸法と略同寸となっている。笠木16は、前後方向において、第1屋根材31より後方に配置される。
更に、第2棟包み42は、左右方向の端部(側端部)を、上下に重ねて配置される。そして、第2棟包み42は、その前後長が、左右方向において一端側に向けて狭まる形状となっており、左右方向に隣り合う第2棟包み42は、一方の第2棟包み42の小寸側の側端部の上方に、他方の第2棟包み42の大寸側の側端部を重ねて配置される。
このため、複数の第2棟包み42は、左右方向において、略同面で並ぶ(略直線状に並ぶ)よう配置される。そして、隣り合う第2棟包み42は、その下方空間(V字の内側)が左右方向に連通する構成となっている。言い換えると、第2棟包み42は、左右方向の端部の下方に、連通空間を有するよう構成される。
そして、隣り合う第2棟包み42は、その重なり合う部位(前記側端部)の間にコーキング(図示せず)を施す(コーキング処理する)ことで、この部位から第2棟包み42の内側(下方)への雨水等の流入を防止している。このため、第2棟包み42は、笠木16から取り外す場合、コーキングを除去する必要があり、また再び取り付ける場合、再度コーキング処理する必要があり、脱着に手間がかかり易い構成となっている。
第2棟包み42の前面部44は、図7に示すように、笠木16より前方に位置する。第2棟包み42は、前面部44の下端に突出部46を有する。突出部46は、前面部44から前方に突出して設けられる。突出部46は、前面部44の左右方向の略全体に亘って形成される。突出部46は、平面視矩形の板状となっている。そして、突出部46は、その下端に、下返し片47を有する。下返し片47は、突出部46の前端から後方下向きに突出して設けられる。下返し片47は、突出部46の左右幅の略全長に亘って形成される。そして、第2棟包み42を屋根下地11の棟部側の上方に配置した状態で、下返し片47は、その後端(下端)を第2屋根材32の凸部33の天面部に当接するよう構成される。
また、図8に示すように、左右方向において第1棟包み41と隣り合う第2棟包み42は、第1棟包み41側の側端(換気部13側に臨む側端)に、受け部51を備える。言い換えると、第1棟包み41に隣接する第2棟包み42は、包み本体43の側端に、受け部51が設けられる。
受け部51は、上方に開口して設けてある。受け部51は、包み本体43から下方に突出して形成される。受け部51は、包み本体43の前後長の略全体に亘って設けられる。そして、受け部51は、その下方の屋根下地11及び凹凸屋根材3との間に、隙間を有する。言い換えると、図4や図6に示すように、受け部51を有した第2棟包み42は、受け部51の下方に、左右方向に貫通した開口を有する。
また、受け部51は、正面視L字状の載置部52と、載置部52から起立する立上り片53とで形成される。載置部52は、そのL字の縦辺部を、包み本体43の側端から垂下して形成される。そして、載置部52は、そのL字の横辺部が、包み本体43より側方(第2棟包み42に対して外向き)に突出する。立上り片53は、載置部52の横辺部の突出先端に形成されており、立上り片53は、載置部52の前記先端から立ち上げて形成される。
言い換えると、受け部51は、正面視U字に形成されており、受け部51は、U字の一方の縦辺部(接続辺部)の上端が包み本体43に接続された構成となっている。更に、U字の残り一方の縦辺部(立上り片53)は、載置部52の接続辺部に比べて、横辺部からの突出量(上下高さ)が小寸となっている。なお、受け部51は、上方及び左右方向の第1棟包み41側に開口した正面視L字状のもの(立上り片53を備えないもの)であってもよい。また、受け部51は、包み本体43に一体に設けたものに限らず、包み本体43に脱着自在や固着具等で固着可能な別部材で設けたもの等であってもよい。
第1棟包み41は、図1に示すように、その左右幅が、換気部13の左右幅と略同寸となっている。第1棟包み41は、その側端に挿入部55を備える。言い換えると、第1棟包み41は、包み本体43の側端に、挿入部55が設けられる。
挿入部55は、包み本体43から下方に突出して形成される。挿入部55は、包み本体43の前後長の略全体に亘って設けられる。挿入部55は、図6に示すように、正面視L字状に形成される。挿入部55は、そのL字の縦辺部が、包み本体43の側端から垂下して形成される。そして、挿入部55の縦辺部は、その下端に、横辺部が設けられる。挿入部55の横辺部は、包み本体43側(第1棟包み41に対して内向き)に突出して形成される。
更に、挿入部55の縦辺部は、その上下高さが、載置部52の接続辺部の上下高さに比べて若干小寸となっており、また挿入部55の縦辺部の上下高さは、立上り片53の上下高さに比べて大寸となっている。そして、挿入部55の横辺部は、その左右幅が、載置部52の横辺部の左右幅と略同寸或いは若干小寸となっている。更に、挿入部55は、横片部の下面にパッキン56が設けられる。パッキン56は、挿入部55の前後長の略全体に亘って設けられる。言い換えると、パッキン56は、その前後長が、挿入部55(受け部51)の前後長と略同寸となっている。
挿入部55は、その横辺部を載置部52の横辺部上にパッキン56を介在して載置することで、受け部51に取り付けられる構成となっている。このため、第1棟包み41は、挿入部55を介して受け部51に支持された状態で、屋根下地11の棟部側の上方に配置される。言い換えると、第2棟包み42は、第1棟包み41の側端部を支持する(受ける)受け部51を有する。そして、受け部51は、第2棟包み42の包み本体43より下方で第1棟包み41を支持するよう構成される。
このため、屋根構造1は、図4や図6に示すように、第1棟包み41を第2棟包み42より上方に突出し難くすることができる。言い換えると、屋根構造1は、第1棟包み41の上方への突出量を抑えて、換気部13の上方を覆うことができる。これによって、屋根構造1は、左右方向において、第1棟包み41及び第2棟包み42を略同面に配置し易くすることができる。言い換えると、屋根構造1は、同面状に棟包み4を備える。このため、屋根構造1は、換気部13の上方を覆う第1棟包み41を、第2棟包み42より上方に突出して設けた場合に比べて、外観上、目立ち難くすることができる。
なお、屋根構造1は、パッキン56を載置部52の横片部に設けた構成や、パッキン56を備えずに挿入部55を直接載置部52に載置する(受け部51に載置する)構成等であってもよい。
また、第1棟包み41は、受け部51に載置した状態で、挿入部55とその下方の屋根下地11及び凹凸屋根材3との間に、隙間を有する。言い換えると、第1棟包み41は、挿入部55(受け部51)の下方に、左右方向に貫通した開口を有する。
このため、隣り合う第2棟包み42と第1棟包み41とは、受け部51に挿入部55を載置した状態で、互いの前記開口を介して、第2棟包み42の下方空間と第1棟包み41の下方空間とを連通するよう構成される。これによって、屋根構造1は、第2棟包み42の下方空間と第1棟包み41の下方空間との間で、空気を流通する(通気する)ことができる。
言い換えると、屋根構造1は、第1棟包み41及びこれに隣接する第2棟包み42も、他の第2棟包み42と同様に、左右方向の端部の下方に、連通空間を有する構成となっている。このため、棟包み4(第1棟包み41及び第2棟包み42)はいずれも、左右方向において、その下方空間が連通するよう構成される。
更に、第1棟包み41は、受け部51に支持された状態で、前面部44の下端と第1屋根材31の凸部33の天面部との間に隙間を有するよう構成される。このため、屋根構造1は、第1棟包み41の前面部44の位置において、前記隙間を介して、前記配線を通したり(通線したり)、通気したりすることができる。言い換えると、第1棟包み41は、前面部44の下方に通気・通線空間(通気・通線用の開口)を有するよう構成される。
そして、第1棟包み41の前面部44は、その下端に、後返し片45を有する。後返し片45は、第1棟包み41の前面部44の下端から後方上向きに突出して設けられる。後返し片45は、第1棟包み41の前面部44の左右幅の略全長に亘って形成される。
このように、屋根構造1は、第1棟包み41の下方空間(第1空間)が、換気部13を介して、屋根下地11より下方の空間(天井裏等の屋内空間101)と連通するよう構成される。このため、屋根構造1は、例えば、屋内空間101の空気を、換気部13から第1空間を介して、第1棟包み41の前面部44下方の隙間(通気・通線空間)から排出する等で、屋内空間101を換気することができる。
言い換えると、屋根構造1は、屋内空間101の空気を、換気部13より下流側で、第1空間の空気に合流させることができて、この合流させた両空気を、第1棟包み41の前面部44下方の隙間から外部に排出し易くすることができる。このため、屋根構造1は、例えば、換気部13を介して外部(第1棟包み41の前記隙間)に流動し易い屋内空間の空気の流れによって、棟側の空気(第1空間や第2空間の空気)を流動し易く(排出し易く)することができる。これによって、屋根構造1は、棟側(通気空間)における通気を行い易くすることができる。
そして、各棟包み4の下方空間は、対応する凸部33(棟包み4に覆われる凸部33)の内部空間に連通するよう構成される。このため、屋根構造1は、例えば、前記内部空間を通気する(換気する)ことで、前記機能パネルや太陽光等の熱の内部空間での滞留を抑制することができる。これによって、屋根構造1は、例えば、前記機能パネルをその裏面側から冷却したり、内部空間等に滞留した熱による屋内空間101(天井裏)の温度上昇等を軽減したりすることができる。
更に、屋根構造1は、棟包み4の下方空間が、連通空間を介して、左右方向に連通するよう構成される。このため、屋根構造1は、例えば、第2棟包み42の下方空間(第2空間)の空気を、第1空間から第1棟包み41の前面部44下方の通気・通線空間から排出することができる。これによって、屋根構造1は、第2空間に空気を滞留し難くすることができて、第2空間を換気し易くすることができる。
言い換えると、屋根構造1は、第2空間の空気を、第1空間に集めることができる。そして、屋根構造1は、屋内空間101の空気を、換気部13より下流側で、第2空間及び第1空間の空気に合流させることができる。このため、屋根構造1は、第1空間、第2空間、屋内空間101の各空気を、第1棟包み41の前側の通気・通線空間から排出することができる。
そして、屋根構造1は、前記通気・通線用の開口を介して前記配線を第1空間に導入することができる。言い換えると、前記配線は、前記通気・通線用の開口から第1空間を介して、通線孔25に導入される構成となっている。
また、屋根構造1は、通線孔25を覆う第1カバー27と、通気孔24を覆う第2カバー28とを備える。このため、屋根構造1は、棟包み4の下面に生じた結露水等を、第1カバー27や第2カバー28で受けることで、この結露水等を通気孔24や通線孔25に流入し難くことができる。更に、屋根構造1は、通線孔25及び通気孔24の両縁に、枠部26を設けたことで、覆い部21上面に流下した結露水等を、通線孔25や通気孔24に流入し難くすることができる。
また、屋根構造1は、左右方向において第1棟包み41と第2棟包み42との間に流入した雨水等が、載置部52の横辺部の上面(受け部51)を介して、棟包み4の前方に流動し易い構成となっている。このため、第1棟包み41と第2棟包み42の間には、コーキングを設けなくても、包み本体43の下方空間への雨水等の流入を抑制することができる。そして、載置部52の横辺部に流動した雨水等は、前記接続辺部や立上り片53やパッキン56等によって、左右方向における受け部51より棟包み4の内側(包み本体43の下方空間)への流動が抑制される。このため、屋根構造1は、受け部51に流れ込んだ雨水等を通気孔24や通線孔25等に流入し難くすることができる。
更に、第1棟包み41は、図4や図5に示すように、ブラケット6(詳細は後述する)を介して、屋根下地11に取り付けられる。第1棟包み41は、ねじ等の脱着可能な取付具(図示せず)を介して、ブラケット6に固着される。このため、第1棟包み41は、前記取付具を取り外すことで、屋根下地11の棟部から取外し可能な状態にすることができる。これによって、第1棟包み41は、防水性能の低下を抑制して、コーキングを設ける第2棟包み42に比べて、容易に取り付け取外し可能な構成とすることができる。言い換えると、屋根構造1は、一部の棟包み4(第1棟包み41)を着脱自在で備える。
ブラケット6は、その上方側が第1棟包み41に覆われる。言い換えると、ブラケット6は、第1棟包み41の包み本体43の下方に設けられる。ブラケット6は、図1や図9に示すように、左右方向に間隔を空けて複数配置される。ブラケット6は、図3に示すように、上下方向に長尺な第1縦片61と、第1縦片61の下端から後方に突出する第1横片62と、第1縦片61の上端から前方に突出する第2横片63とを有する。
そして、第1横片62及び第2横片63は、前後方向において、第1縦片61から略直交する向きに突出して形成される。このため、ブラケット6は、各片の間の角度が略直角の側面視略Z字状となっている。言い換えると、ブラケット6は、側面視所謂階段状(ステップ状)となっている。
第1横片62は、第1屋根材31の棟側端部31aと垂下部22との間(前記隙間)に配置される。そして、第1横片62は、固定片23の上面に載置される。そして、第1横片62には、固着孔64が設けられる。固着孔64は、上下方向に貫通して形成される。第1横片62は、固着孔64を固定片23の貫通孔に連通させた状態で、固着孔64に前記固着具が取り付けられる。
これによって、第1横片62は、固定片23を介在して、屋根下地11に固定される。言い換えると、屋根構造1は、共通の固着具で、ブラケット6(第1横片62)及び覆い部材2(固定片23)を屋根下地11に固定するよう構成される。
第2横片63は、第1棟包み41の包み本体43の下方に配置される。そして、第2横片63には、取付孔65が設けられる。取付孔65は、上下方向に貫通して形成されており、前後方向に長尺な長穴形状となっている。取付孔65には、取付具が上方側から取り付けられる。言い換えると、取付具は、第1棟包み41を貫通して取付孔65に脱着自在で取り付けられる。これによって、第1棟包み41は、ブラケット6に脱着自在で取り付けられる。
このように、屋根構造1は、棟包み4(第1棟包み41)を脱着自在で備える。このため、屋根構造1は、棟包み4に覆われる部位の点検等のメンテナンスを行い易くすることができる。そして、屋根構造1は、第1棟包み41で第1部位を覆う構成となっている。このため、屋根構造1は、例えば、リフォーム等で屋根面(凹凸屋根材3)上に機能パネルを追加するときや撤去するとき等に、前記配線の通線(設置)や撤去等の作業を行い易くすることができる。
更に、屋根構造1は、棟包み4の下方空間が左右方向に連通するため、例えば、第1空間から連通空間を介して、第2空間の視認等を行うことができる。このため、屋根構造1は、第2棟包み42の点検等のメンテナンスを行い易くすることができる。
屋根構造1は、屋根下地11に固定したブラケット6を介して、第1棟包み41を屋根下地11に取り付けている。このため、屋根構造1は、例えば、前記取付具の脱着等の作業を、屋根下地11より第1棟包み41(屋根構造1の外観)に近い側で行うことができる。これによって、屋根構造1は、第1棟包み41の脱着を行い易くすることができる。
また、ブラケット6は、第1縦片61の上部に、上トラップ71が設けられる。上トラップ71は、図5に示すように、前後方向に交差するトラップ部を有する。このトラップ部は、第1棟包み41に覆われる第1空間の上部側から垂下して設けられる。
上トラップ71は、例えば、側面視L字状の第1トラップ部材72で形成される。第1トラップ部材72は、L字の縦片の上端からL字の横片が前方に突出した形状となっている。言い換えると、上トラップ71は、横片が前方に突出する側面視下向きL字状に設けられる。そして、上トラップ71は、前記縦片が前記トラップ部として機能する。
更に、上トラップ71は、L字の縦片が第1縦片61の前面に当接し且つL字の横片が第2横片63の下面に当接した状態で、ブラケット6に固定される。上トラップ71は、その左右幅が、換気部13の左右幅より若干小寸に形成されており、第2棟包み42の受け部51との干渉を防止している。そして、上トラップ71は、複数のブラケット6に固定される。言い換えると、複数のブラケット6は、上トラップ71を介して、左右方向に連結される構成となっている。
上トラップ71は、L字の縦片の上下高さが、第1縦片61の上下高さに比べて、小寸となっている。このため、上トラップ71は、その下方に、前後方向に貫通した隙間を有する構成となっている。そして、屋根構造1は、上トラップ71を設けた位置において、前記隙間を介して、前記配線を通したり、通気したりすることができる。言い換えると、上トラップ71は、下方に、通気や通線可能な空間(通気・通線空間)を有するよう構成される。
更に、ブラケット6は、図3に示すように、第1横片62の後端に、起立片66を有する。起立片66は、第1横片62に起立して設けられる。起立片66は、その上下高さが、第1縦片61の上下高さに比べて小寸で形成される。起立片66は、覆い部材2の垂下部22の近傍に配置されており、垂下部22より前方に位置する。
起立片66と垂下部22との前後方向の間には、後下トラップ74が設けられる。言い換えると、屋根構造1は、上トラップ71より後方に、下トラップ(後下トラップ74)が設けられる。後下トラップ74は、前後方向に交差するトラップ部を有する。このトラップ部は、第1棟包み41に覆われる第1空間の下部側から起立して設けられる。
後下トラップ74は、例えば、図5に示すように、第2トラップ部材75で形成される。第2トラップ部材75は、前後方向に板面を有した板状に設けられており、この板状の部位が前記トラップ部として機能する。後下トラップ74の左右幅は、換気部13(覆い部材2)の左右幅と略同寸となっている。後下トラップ74は、その上下高さが、垂下部22の上下高さより大寸となっている。
後下トラップ74の下部は、その下端を固定片23の上面に当接した状態で、起立片66と垂下部22との隙間に配置される。そして、後下トラップ74は、前記下端部の後面を垂下部22の前面に当接した状態で、垂下部22に固着される。後下トラップ74は、垂下部22に固着された状態で、例えば、前記下端部の前面や前記固着具の前端に、起立片66の後面が当接される。このため、後下トラップ74は、覆い部材2に固着されることで、間接的に(覆い部材2を介して)ブラケット6に保持される構成となっている。
更に、後下トラップ74は、その上端に、前返し片77(第1前返し片77a)を有する。第1前返し片77aは、前記上端から前方下向きに突出して設けられる。第1前返し片77aは、後下トラップ74の左右幅の略全長に亘って形成される。
また、後下トラップ74は、第1カバー27の上辺の前端より前方に位置しており、後下トラップ74は、この間(上方)に、通気や通線可能な隙間(通気・通線空間)を有する。
後下トラップ74の上端は、上トラップ71(第1トラップ部材72)の下端より上方に位置する。そして、後下トラップ74の上端は、上下方向において、第1棟包み41の包み本体43の下面より下方に位置しており、後下トラップ74は、この間(上方)に、通気及び通線可能な隙間(通気・通線空間)を有する。
更に、第1前返し片77aの前端は、上トラップ71より後方に位置しており、第1前返し片77aは、この間(前方)に、通気及び通線可能な隙間(通気・通線空間)を有する。このように、後下トラップ74は、前後両方及び上方に、通気及び通線可能な隙間(通気・通線空間)を有する。
面戸部材8(棟側面戸部材)は、図9に示すように、凹凸屋根材3の全ての凹部34を閉塞するよう構成される。面戸部材8は、凹凸屋根材3の上面に取り付けられる。面戸部材8は、図3に示すように、その上方側が棟包み4に覆われる。言い換えると、面戸部材8は、棟包み4の包み本体43の下方に配置される。
面戸部材8は、凹部34に嵌め入れる閉塞部81を備える。閉塞部81は、凹部34と同数設けられる。各閉塞部81は夫々、凹部34に配置される。言い換えると、面戸部材8は、閉塞部81を夫々、各凹部34に嵌め入れて配置する構成となっている。
閉塞部81は夫々、前面戸82と、後面戸84と、前面戸82と後面戸84とを連結する連結部(第1連結部85)とを有する。各閉塞部81は、その前面戸82、後面戸84、及び第1連結部85を、共通の凹部34に配置するよう構成される。言い換えると、面戸部材8は、前面戸82、後面戸84、及び第1連結部85を一つの閉塞部81として、対応する各凹部34に配置する構成となっている。
前面戸82は、図10に示すように、左右幅及び上下高さを有した正面視矩形の板状に形成される。前面戸82の左右幅は、図1に示すように、凹部34の底面部の左右幅と略同寸となっている。前面戸82の上下高さは、図3に示すように、凹部34の上下高さ(側面部の上下高さ)と略同寸或いは若干大寸となっている。このため、前面戸82は、その板面で、凹部34を閉塞するよう構成される。
更に、前面戸82は、その板の上端に返し片83を有する。返し片83は、前記上端から前方下向きに突出して設けられる。返し片83は、前面戸82の左右幅(凹部34の左右幅)の略全長に亘って形成される。
後面戸84は、図10に示すように、左右幅及び上下高さを有した正面視矩形の板状に形成される。後面戸84の左右幅は、凹部34の底面部の左右幅と略同寸となっている。後面戸84の上下高さは、図3に示すように、凹部34の上下高さ(側面部の上下高さ)と略同寸となっている。このため、後面戸84は、その板面で、凹部34を閉塞するよう構成される。なお、面戸部材8(屋根構造1)は、後面戸84の左右の両側端及び下端と、凹部34の底面部との間に、パッキン(図示せず)を介在した構成であってもよい。
第1連結部85は、図10に示すように、前後長及び左右幅を有した平面視矩形の板状に形成される。第1連結部85の左右幅は、凹部34の底面部の左右幅と略同寸となっている。そして、第1連結部85の前後長は、前後方向における前面戸82と後面戸84との間の寸法と略同寸となっている。
更に、第1連結部85の前端は、前面戸82の下端に連設されており、第1連結部85の後端は、後面戸84の下端に連設される。言い換えると、閉塞部81は、前面戸82と後面戸84とを第1連結部85で前後に連結した形状となっている。このため、面戸部材8は、前面戸82と後面戸84とを纏めて凹部34に配置することができる。
また、面戸部材8は、左右方向において各閉塞部81を連結する連結部(第2連結部86)を有する。第2連結部86は、左右幅及び前後長を有した平面視矩形の板状に形成される。第2連結部86の左右幅は、図9に示すように、凹凸屋根材3の左右幅と略同寸となっている。このため、面戸部材8は、凹凸屋根材3の左右幅の略全長に亘って配置される。
第2連結部86は、図3に示すように、凸部33の天面部に載置して、凹凸屋根材3の上方に配置される。第2連結部86の平面視凹部34に重なる部位は、その後端に後面戸84の上端が連設される。なお、面戸部材8(屋根構造1)は、第2連結部86の下面と凸部33の天面部との間に、パッキンが介在した構成であってもよい。
更に、図9や図10に示すように、第2連結部86の平面視凸部33に載置される部位(凸部33に重なる部位)は、その後端に後片を有する。この後片は、前記後端から後方に延長して設けられる。前記後片は、平面視板状に形成される。前記後片は、その下面が凸部33の天面部に載置される。そして、前記後片或いは第2連結部86の後部には、固着孔が設けられる。この固着孔には、ビスやねじ等の固着具(図示せず)が取り付けられる。面戸部材8は、この固着具を介して、凸部33(凹凸屋根材3)に固定される。
また、第2連結部86は、その前端に、下トラップ(前下トラップ76)が設けられる。言い換えると、面戸部材8は、第3トラップ部材となっている。前下トラップ76は、前後方向に交差するトラップ部を有する。このトラップ部は、棟包み4に覆われる下方空間の下部側から起立して設けられる。
前下トラップ76は、例えば、第2連結部86の前端から上方に突出しており(起立して設けられており)、第2連結部86と一体に形成される。前下トラップ76は、前後方向に板面を有した板状に設けられており、この板状の部位が、前記トラップ部として機能する。前下トラップ76の左右幅は、第2連結部86の左右幅と略同寸となっている。このため、前下トラップ76は、凹凸屋根材3の左右幅の略全長に亘って形成される。
そして、前下トラップ76は、その上端に、前返し片77(第2前返し片77b)を有する。第2前返し片77bは、前記上端から前方下向きに突出して設けられる。第2前返し片77bは、前下トラップ76の左右幅の略全長に亘って形成される。
また、図3に示すように、前下トラップ76は、上トラップ71(第1トラップ部材72)より前方に配置される。このため、前下トラップ76は、後方に、通気及び通線可能な隙間(通気・通線空間)を有する。
前下トラップ76の上端は、上下方向において、第1棟包み41の包み本体43の下面より下方に位置しており、前下トラップ76は、この間(上方)に、通気及び通線可能な隙間(通気・通線空間)を有する。そして、前下トラップ76の上端は、上トラップ71(第1トラップ部材72)の下端より上方に位置する。
第2前返し片77bの前端(下端)は、後返し片45の後端(上端)より後方に位置しており、第2前返し片77bは、この間(前方)に、通気及び通線可能な隙間(通気・通線空間)を有する。そして、第2前返し片77bの前端は、第1棟包み41の前面部44の下端より上方に位置する。このため、下トラップは、前後両方及び上方に、通気及び通線可能な隙間(通気・通線空間)を有する。そして、下トラップの上端は、受け部51より下方に位置する。
このように、屋根構造1は、第1棟包み41の前面部44下方の通気・通線空間が、各トラップ(前下トラップ76、上トラップ71、後下トラップ74)の通気・通線空間を介して、第1カバー27の通気・通線空間に連通するよう構成される。そして、屋根構造1は、前後方向において、各トラップを前下トラップ76、上トラップ71、後下トラップ74の順番に配置したことで、第1棟包み41の前面部44から換気部13に至る通気・通線空間が、側面視上下に蛇行した形状となっている。
このため、屋根構造1は、前後方向に直線状に通気・通線空間を設けた場合に比べて、通気・通線空間に前方から流れ込む風(空気)に含まれる雨水等の水分を各トラップで受け易くすることができる。これによって、屋根構造1は、風等で通気・通線空間に流入した水分を換気部13に至り難くすることができる。言い換えると、屋根構造1は、通気・通線空間を蛇行して設けたことで、下方空間における止水性能(防水性能)を得易くすることができる。
更に、屋根構造1は、この上下に蛇行した通気・通線空間を介して、前記配線を通線孔25に導入するよう構成される。このため、屋根構造1は、例えば、前記配線に付着した雨水等を上トラップ71の下方位置で落下し易く等することができる。これによって、屋根構造1は、前記配線を直線状とした場合に比べて、雨水等の前記配線を介した通線孔25への流入を抑制し易くすることができる。
そして、屋根構造1は、上トラップ71をブラケット6に設けたことで、第1棟包み41に上トラップ71を設けた場合に比べて、前記配線の姿勢(通線状態)に、第1棟包み41の有無(脱着)を影響し難くすることができる。言い換えると、屋根構造1は、第1棟包み41を脱着するときに、第1棟包み41や上トラップ71を前記配線に干渉し難くすることができる。
また、屋根構造1は、上トラップ71をブラケット6で保持したことで、上トラップ71を棟包み4に設けた場合に比べて、例えば上トラップ71がブラケット6に干渉しなくなる等で、第1棟包み41の脱着を行い易くすることができる。そして、屋根構造1は、上トラップ71や後下トラップ74をブラケット6で保持したことで、これら二重のトラップやブラケット6(第1棟包み41)の取付構造の簡素化(コンパクト化)等を行い易くすることができる。
このため、屋根構造1は、例えば、下方空間における止水性能の低下を軽減して、前記トラップの取付けや前記配線の通線等を行い易くしたり、第1棟包み41の上方への突出(上下高さ)を抑えたりすることができる。これによって、屋根構造1は、前記取付構造等の肥大化や複雑化を抑えて、通気空間に止水性能(防水性能)を得易くすることができる。更に、屋根構造1は、覆い部材2がブラケット6と屋根下地11との間に介在するため、例えば、覆い部材2やブラケット6の取付構造の簡素化等を行い易くすることができる。
なお、本発明は、切妻屋根だけでなく、片流れ屋根等のその他の形状の屋根にも適用可能である。また、本発明は、前述の各実施形態にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。