JP6161433B2 - 導電性高分子溶液、導電性高分子材料および固体電解コンデンサ - Google Patents

導電性高分子溶液、導電性高分子材料および固体電解コンデンサ Download PDF

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本発明は、導電性高分子溶液、導電性高分子材料および固体電解コンデンサに関する。
導電性高分子材料は、コンデンサの電極、色素増感太陽電池の電極、エレクトロルミネッセンスディスプレイの電極などに用いられている。このような導電性高分子材料としては、ピロール、チオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン、アニリンなどを高分子量化したポリマー材料が知られており、関連する技術が特許文献1〜6に開示されている。
特許文献1には、架橋構造を持つポリ陰イオンと導電性高分子粒子とを含む導電性高分子懸濁溶液を乾燥させて形成することを特徴とする導電性高分子組成物が開示されている。また、特許文献2には、弁作用金属よりなり誘電体酸化皮膜を形成した陽極体の誘電体酸化皮膜の上に、所定の水分を保持させた吸水性ポリマー層と、導電性高分子よりなる固体電解質層とを順次形成したコンデンサ素子を備え、エージング時に吸水性ポリマーによって保持された水が、誘電体酸化皮膜の修復のために供給される固体電解コンデンサが開示されている。さらに、特許文献3から6には導電性高分子材料および/または固体電解コンデンサが開示されている。
特開2010−182426号公報 特開2009−246288号公報 特開2006−310365号公報 特表2011−511653号公報 特開2011−26503号公報 特表2008−526502号公報
しかしながら、特許文献1から6に記載された導電性高分子材料は保水性が低く、誘電体酸化皮膜の修復が不十分となり、該導電性高分子材料を固体電解質に用いた固体電解コンデンサは漏れ電流(以下、LCと示す)が増加し易い。本発明は、保水性の高い導電性高分子材料およびLCの低い固体電解コンデンサを提供することを目的とする。
本発明に係る導電性高分子溶液は、架橋剤により架橋された構造を有するポリ陰イオン及び導電性高分子を含む導電性高分子粒子と、水及び水混和性有機溶媒の少なくとも一方と、を含む導電性高分子溶液であって、前記ポリ陰イオンの主鎖上の陰イオンのモル数に対する前記架橋剤のモル数の比率を示す架橋割合が、前記導電性高分子粒子の内部より前記導電性高分子粒子の表面の方が高く、前記ポリ陰イオンの架橋部が陰イオンを有する
本発明に係る導電性高分子材料は、本発明に係る導電性高分子溶液を乾燥し、水及び水混和性有機溶媒の少なくとも一方を除去して得られる。
本発明に係る固体電解コンデンサは、本発明に係る導電性高分子材料を含む固体電解質を備える。
本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法は、多孔質体の弁作用金属を含む陽極導体の表面に誘電体層を形成する工程と、本発明に係る導電性高分子溶液を誘電体層上に塗布し、乾燥して導電性高分子層を形成する工程と、再化成を行う工程と、を含む。
本発明に係る導電性高分子溶液の製造方法は、導電性高分子を与えるモノマーを、架橋剤により架橋された構造を有するポリ陰イオンと、水及び水混和性有機溶媒の少なくとも一方とを含む溶液中で重合して、導電性高分子粒子を含む溶液を得る工程と、前記導電性高分子粒子の表面を架橋剤により架橋する工程と、を含む導電性高分子溶液の製造方法であって、前記ポリ陰イオンの架橋部が陰イオンを有する
本発明によれば、保水性の高い導電性高分子材料およびLCの低い固体電解コンデンサが得られる。
本発明に係る固体電解コンデンサの一例を示す断面図である。
(導電性高分子溶液)
本発明に係る導電性高分子溶液は、架橋剤により架橋された構造を有するポリ陰イオン及び導電性高分子を含む導電性高分子粒子と、水及び水混和性有機溶媒の少なくとも一方と、を含む導電性高分子溶液であって、前記ポリ陰イオンの主鎖上の陰イオンのモル数に対する前記架橋剤のモル数の比率を示す架橋割合が、前記導電性高分子粒子の内部より前記導電性高分子粒子の表面の方が高い。
固体電解質として従来の導電性高分子層を備える固体電解コンデンサは、導電性高分子層が水を十分に保持することができない。このため、固体電解コンデンサの製造工程の一つである再化成において、誘電体層上の導電性高分子が障壁となり誘電体層に化成液が十分に供給されず、再化成による誘電体層の欠陥の修復が十分になされない。したがって、該固体電解コンデンサのLCは高い。
一方、本発明に係る導電性高分子溶液では、架橋剤により架橋された構造を有するポリ陰イオンを導電性高分子のドーパントとして用いることによって、得られる導電性高分子材料の保水性を向上させることができる。また、導電性高分子粒子の表面の架橋割合が、導電性高分子粒子の内部の架橋割合よりも高いため、得られる導電性高分子材料が吸水した際に、水分の外部への流出を抑制することができ、保水性をより向上させることができる。したがって、該導電性高分子溶液から得られる導電性高分子材料は高い保水性を有するため、該導電性高分子材料を含む固体電解質層は再化成において化成液を十分に保持できる。これにより、再化成時に誘電体層上に化成液が十分に供給されるため、誘電体層の欠陥が十分に修復され、LCの低い固体電解コンデンサが得られる。
[導電性高分子]
本発明に係る導電性高分子は、水および水混和性有機溶媒の少なくとも一方に溶解または分散している。本発明に係る導電性高分子としては、π共役系導電性高分子を用いることができ、例えばピロール、チオフェン、アニリン等の繰り返し単位を含む高分子が挙げられる。具体的には、導電性高分子としては、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンおよびそれらの誘導体等が挙げられる。特に、導電性高分子としては、3,4−エチレンジオキシチオフェンまたはその誘導体の繰り返し単位を含む重合体が好ましい。具体的には、導電性高分子としては、下記式(1)で示される繰り返し単位を含むポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)またはその誘導体が好ましい。
Figure 0006161433
3,4−エチレンジオキシチオフェンの誘導体としては、3,4−(1−ヘキシル)エチレンジオキシチオフェン等の3,4−(1−アルキル)エチレンジオキシチオフェン等が挙げられる。導電性高分子はホモポリマーでもコポリマーでもよい。また、これらの導電性高分子は一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
導電性高分子溶液における導電性高分子の含有量は、溶媒である水および水混和性有機溶媒の少なくとも一方100質量部に対して、0.1質量部以上、30質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上、20質量部以下であることがより好ましい。
本発明に係る導電性高分子の合成方法は特に限定されないが、例えば、ドーパントであるポリ陰イオンを含む溶媒中で導電性高分子を与えるモノマーを、酸化剤を用いて化学酸化重合させることにより合成することができる。
[ポリ陰イオン]
本発明に係るポリ陰イオンは、前記導電性高分子から電子を引き抜いたり、前記導電性高分子に電子を与えたりすることにより、前記導電性高分子に導電性を付与するドーパントとして機能し、架橋剤により架橋された架橋構造を有する。具体的には、ポリ陰イオンとは、架橋構造を有し、かつ複数の陰イオンを有する化合物を示し、例えば架橋構造を有し、かつ複数の陰イオンを主鎖に有する高分子であることができる。ポリ陰イオンの陰イオンとしては、例えばカルボキシル基の陰イオン、スルホ基の陰イオン等が挙げられる。ポリ陰イオンはこれらを一種有していてもよく、二種以上有していてもよい。
架橋剤により架橋されるポリ陰イオンとしては、例えばポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸等のポリカルボン酸;ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸等のポリスルホン酸;およびこれらの構造単位を有する共重合体等が挙げられる。これらの中でも、ポリ陰イオンとしては下記式(2)で示される繰り返し単位を含むポリスチレンスルホン酸が好ましい。
Figure 0006161433
これらの架橋剤により架橋されるポリ陰イオンは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
ポリ陰イオンの質量平均分子量は、2000以上、500000以下であることが好ましく、10000以上、200000以下であることがより好ましく、30000以上、100000以下であることがさらに好ましい。質量平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatography)測定で算出した値とする。
ポリ陰イオンの架橋部は陰イオンを有することが好ましい。ポリ陰イオンの架橋部が陰イオンを有することにより、架橋部における親水性が向上し、保水性が向上する。ポリ陰イオンの架橋部が有する陰イオンとしては、スルホ基の陰イオン、カルボキシル基の陰イオンが好ましい。なお、架橋部とは、ポリ陰イオンの架橋剤により架橋された部分を示し、ポリ陰イオンの架橋部が陰イオンを有するためには架橋剤がその主鎖上に陰イオンを有すればよい。
架橋剤の主鎖上の炭素数は7から12が好ましく、8から11がより好ましく、10が特に好ましい。炭素数が7以上である場合、吸水時の膨張が大きくなるため、吸水量が増加する。一方、炭素数が12より大きくなると、吸水量は大きくなるものの保水性が低下する場合があるため、炭素数は12以下が好ましい。
ポリ陰イオンの主鎖は架橋剤と結合するために架橋点を有する。該架橋点としては、陰イオンまたは不飽和結合が挙げられる。架橋剤としては、ポリ陰イオンの主鎖の陰イオンと反応する官能基を2つ以上有する化合物、またはポリ陰イオンの主鎖の不飽和結合と反応する官能基を2つ以上有する化合物であれば特に限定されない。しかしながら、陰イオンが架橋剤と架橋すると吸水性が低下するため、架橋剤としてはポリ陰イオンの主鎖の不飽和結合と反応する官能基を2つ以上有する化合物が好ましい。なお、不飽和結合は二重結合であっても三重結合であってもよい。
ポリ陰イオンの主鎖の陰イオンと反応する官能基としては、例えばエポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アルデヒド基等が挙げられる。これらの官能基を2つ以上有する化合物としては、例えばジエポキシアルカン、ジエポキシアルカンスルホン酸、ジエポキシオール等のエポキシ化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル;エピクロルヒドリン、α−メチルエピクロルヒドリン等のハロエポキシ化物;グルタルアルデヒド、グリオキザール等のポリアルデヒド;グリセリン、ペンタエリスリトール、エチレングリコール等のポリオール等が挙げられる。これらの中でも、架橋剤としては、ポリ陰イオンの主鎖の陰イオン、特にスルホ基の陰イオンとの反応性が高い観点から、エポキシ基を2つ以上有する化合物が好ましい。
また、ポリ陰イオンの主鎖の不飽和結合と反応する官能基としては、ビニル基が好ましい。ビニル基を2つ以上有する化合物としては、ペンタジエン、ヘキサジエン、オクタジエン、ノナジエン、デカジエン、ウンデカジエン、ドデカジエン等のアルカジエン、アルカジエンスルホン酸、アルカジエンオール等のジエン化合物が挙げられる。これらの架橋剤は一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
[導電性高分子粒子]
本発明に係る導電性高分子粒子は、架橋剤により架橋された構造を有するポリ陰イオンと、導電性高分子とを含む。導電性高分子溶液中では、導電性高分子およびポリ陰イオンは集まって平均粒子径が直径1〜5000nmの粒子として存在する。本発明では、ポリ陰イオンの主鎖上の陰イオンのモル数に対する架橋剤のモル数の比率を示す架橋割合が、導電性高分子粒子の内部より導電性高分子粒子の表面の方が高い。なお、導電性高分子粒子の表面とは、導電性高分子粒子の最表面から内部へ4nmまでの領域を示す。また、導電性高分子粒子の内部とは、前記導電性高分子粒子の表面以外の領域を示す。前記架橋割合は、FT−IRにより測定することができる。
導電性高分子粒子の内部の架橋割合は、ポリ陰イオンの主鎖上の陰イオン100モルに対して架橋剤が0.001〜7モルであることが好ましく、0.1〜4モルであることがより好ましく、0.5〜2.5モルであることがさらに好ましく、1〜1.5モルであることが特に好ましい。特に、導電性高分子粒子の内部の架橋割合は、ポリ陰イオンの主鎖上の陰イオン100モルに対して架橋剤が1.3モルであることが好ましい。該架橋割合が、ポリ陰イオンの主鎖上の陰イオン100モルに対して架橋剤が0.001モル以上であることにより、再化成時に架橋部が少ないことによる溶け出しを防止することができる。また、該架橋割合が、ポリ陰イオンの主鎖上の陰イオン100モルに対して架橋剤が7モル以下であることにより、再化成時に架橋部が多いことによる吸水性の阻害を抑制することができる。また、得られる導電性高分子材料の保水性の観点から、導電性高分子粒子の表面の架橋割合は、ポリ陰イオンの主鎖上の陰イオン100モルに対して架橋剤が1〜10モルであることが好ましく、2〜9モルであることがより好ましく、3〜8モルであることがさらに好ましい。なお、前述したように、導電性高分子粒子の表面の架橋割合は、導電性高分子粒子の内部の架橋割合よりも高い。導電性高分子粒子を架橋剤によりさらに架橋することによって、導電性高分子粒子の表面の架橋割合を導電性高分子粒子の内部の架橋割合よりも高くすることができる。
ポリ陰イオンが不飽和結合を有するポリ陰イオンであり、導電性高分子粒子内部の架橋が、ポリ陰イオンの不飽和結合と架橋剤とが結合して形成された架橋であり、導電性高分子粒子表面の架橋が、ポリ陰イオンの陰イオンと架橋剤とが結合して形成された架橋であることが、導電性高分子粒子の保水性をより向上させることができるため好ましい。導電性高分子粒子内部の架橋に用いられる架橋剤としては、前記ビニル基を2つ以上有する化合物が好ましい。また、導電性高分子粒子表面の架橋に用いられる架橋剤としては、前記ポリ陰イオンの主鎖の陰イオンと反応する官能基を2つ以上有する化合物が好ましい。
導電性高分子粒子を架橋剤によりさらに架橋する方法としては、例えば導電性高分子粒子を含む溶液中で導電性高分子粒子と架橋剤とを反応させることにより行うことができる。また、導電性高分子粒子を含む溶液を塗布し乾燥して導電性高分子層を形成後、架橋剤を溶解または分散した溶液を浸漬させ、乾燥することによって、導電性高分子粒子の表面を架橋させることもできる。さらに、導電性高分子粒子を含む溶液に架橋剤を添加し、該溶液を塗布し乾燥して導電性高分子層を形成することで、導電性高分子粒子の表面を架橋させることもできる。該乾燥の温度としては、80度以上、300度以下であることが好ましい。なお、導電性高分子粒子の表面の架橋に用いられる架橋剤は、ポリ陰イオンの架橋時に用いられる架橋剤と同じであってもよく、異なっていてもよい。
[溶媒]
本発明に係る導電性高分子溶液は、溶媒として水および水混和性有機溶媒の少なくとも一方を含む。水混和性有機溶媒としては、水と混和する有機溶媒であれば特に限定されないが、メタノール、エタノール、プロパノール、酢酸等のプロトン性極性溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、アセトン等の非プロトン性極性溶媒が好ましい。水混和性有機溶媒としては、ジメチルスルホキシドがより好ましい。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
(導電性高分子材料)
本発明に係る導電性高分子材料は、本発明に係る導電性高分子溶液を乾燥し、水および水混和性有機溶媒の少なくとも一方を除去して得られる。前述したように、本発明に係る導電性高分子材料は高い保水性を示す。溶媒である水および水混和性有機溶媒の少なくとも一方を除去するための乾燥の温度は、導電性高分子の分解温度以下であれば特に制限されないが、300℃以下が好ましい。
(固体電解コンデンサ)
本発明に係る固体電解コンデンサは、本発明に係る導電性高分子材料を含む固体電解質を備える。固体電解質が本発明に係る導電性高分子材料を含むことにより保水性が向上し、再化成時に誘電体層の欠陥が十分に修復されるため、低LCを実現することができる。
本発明に係る固体電解コンデンサの一例の断面図を図1に示す。図1に示す固体電解コンデンサには、陽極導体1上に、誘電体層2、固体電解質層3および陰極導体4がこの順に形成されている。
陽極導体1は、弁作用金属を有する金属の板、箔または線、弁作用を有する金属微粒子を含む焼結体、エッチングによって拡面処理された多孔質体金属などによって形成される。弁作用金属としては、タンタル、アルミニウム、チタン、ニオブ、ジルコニウムおよびこれらの合金等が挙げられる。これらの中でも、弁作用金属としては、タンタル、アルミニウムおよびニオブからなる群から選択される少なくとも1種の金属であることが好ましい。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
誘電体層2は、陽極導体1の表面を電解酸化して得られる酸化皮膜であり、陽極導体1の空孔部にも形成されている。誘電体層2の厚みは、電解酸化の電圧によって適宜調整できる。
固体電解質層3は、本発明に係る導電性高分子材料を含む。固体電解質層3には、本発明に係る導電性高分子材料以外にも、二酸化マンガン、酸化ルテニウム等の酸化物誘導体、TCNQ(7,7,8,8−テトラシアノキノジメタンコンプレックス塩)等の有機物半導体等が含まれていてもよい。また、固体電解質層3には、水、電解液、イオン溶液等の溶液が含まれていてもよい。固体電解質層3の形成方法としては特に限定されないが、例えば以下に示す方法が挙げられる。陽極導体1の表面に形成された誘電体層2上に本発明に係る導電性高分子溶液を塗布または含浸し、乾燥して固体電解質層3を形成する。その後、これをアジピン酸、クエン酸、リン酸またはそれらのアンモニウム塩水溶液等に含浸し、電圧を印加することにより再化成を行うことで、誘電体層2の欠陥を修復する。
また、固体電解質層3は2層以上であってもよい。この場合、複数の層を含む固体電解質層3のうち、少なくとも1層が本発明に係る導電性高分子材料を含めばよい。図1に示す第一の導電性高分子層3Aおよび第二の導電性高分子層3Bからなる固体電解質層3の形成方法としては、例えば以下に示す方法が挙げられる。陽極導体1の表面に形成された誘電体層2上に、本発明に係る導電性高分子溶液を塗布または含浸し、乾燥することにより、第一の導電性高分子層3Aを形成する。その後、再化成を行う。次に、導電性高分子を与えるモノマーを含む溶液を用いて化学酸化重合または電解重合することにより、第一の導電性高分子層3A上に本発明に係る導電性高分子材料を含まない第二の導電性高分子層3Bを形成する。なお、第一の導電性高分子層3Aが本発明に係る導電性高分子材料を含まず、第二の導電性高分子層3Bが本発明に係る導電性高分子材料を含む形態であってもよく、第一の導電性高分子層3Aおよび第二の導電性高分子層3Bがそれぞれ異なる本発明に係る導電性高分子材料を含む形態であってもよい。
陰極導体4は、導体であれば特に限定されない。陰極導体4は、例えば図1に示すように、グラファイト等からなるカーボン層5と、銀導電性樹脂層6とからなる2層構造であってもよい。
(固体電解コンデンサの製造方法)
本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法は、多孔質体の弁作用金属を含む陽極導体の表面に誘電体層を形成する工程と、本発明に係る導電性高分子溶液を前記誘電体層上に塗布し、乾燥して導電性高分子層を形成する工程と、再化成を行う工程と、を含む。前述したように、本発明に係る導電性高分子溶液から得られる導電性高分子材料は高い保水性を有するため、該導電性高分子材料を用いて導電性高分子層を形成することにより、再化成時に誘電体層上に化成液が十分に供給され、誘電体層の欠陥が十分に修復される。これにより、LCの低い固体電解コンデンサが得られる。
導電性高分子溶液を誘電体層上に塗布する方法としては特に限定されず、例えば陽極導体を導電性高分子溶液に浸漬させることで塗布することができる。再化成とは、化成液により化成処理を行う工程であり、再化成を行うことにより誘電体層の欠陥が修復される。化成液としては、例えばアジピン酸、クエン酸、リン酸またはそれらのアンモニウム塩水溶液等を用いることができる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。再化成の方法としては、例えば、導電性高分子層を前記化成液に含浸し、電圧を印加することにより行うことができる。
(導電性高分子溶液の製造方法)
本発明に係る導電性高分子溶液の製造方法は、導電性高分子を与えるモノマーを、架橋剤により架橋された構造を有するポリ陰イオンと、水及び水混和性有機溶媒の少なくとも一方とを含む溶液中で重合して、導電性高分子粒子を含む溶液を得る工程と、前記導電性高分子粒子の表面を架橋剤により架橋する工程と、を含む。導電性高分子粒子の表面を架橋剤によりさらに架橋することで、架橋割合が、導電性高分子粒子の内部より導電性高分子粒子の表面の方が高い導電性高分子溶液が得られる。
(実施例1)
[導電性高分子溶液の調製]
ポリスチレンスルホン酸20gと、架橋剤である1,2,5,6−ジエポキシヘキサン0.2gとを溶媒である水100mlに溶解した。溶液を80℃に保温し、24時間攪拌して反応させることで、ポリ陰イオンである架橋構造を有するポリスチレンスルホン酸を合成した。該架橋構造を有するポリスチレンスルホン酸5g、3,4−エチレンジオキシチオフェン1.25g及び硫酸鉄(III)0.125gを、水50mlに溶解した。この溶液に24時間にわたって空気を導入し、導電性高分子粒子を含む溶液を製造した。架橋剤である1,2,5,6−ジエポキシヘキサン0.05gを調製した導電性高分子粒子を含む溶液50mlに添加した。この溶液を80℃に保温し、24時間攪拌して反応させることで、導電性高分子粒子の表面をさらに架橋した。これにより、導電性高分子溶液を調製した。
[導電性高分子材料の吸水率の測定]
アルミニウム基板上に前記導電性高分子溶液を15μl滴下した。これを125℃の恒温槽内に入れて水を揮発させることで、約5μmの厚さの導電性高分子材料の膜を作製した。その後、該導電性高分子材料の膜を水に10分間浸漬し、大気中で1時間放置した。カールフィッシャー法の水分率計(製品名:CP−200型卓上型 電量法水分計、VA−200型水分気化装置、株式会社三菱化学アナリテック製)を用いて、該導電性高分子材料の膜の保水性を評価するために吸水率を測定した。結果を表1に示す。なお、吸水率は、導電性高分子材料の膜の水分を除く質量に対する水分の質量の割合を示す値である。
(実施例2)
ポリスチレンスルホン酸の架橋および導電性高分子粒子の表面の架橋に用いる架橋剤として、1,2,5,6−ジエポキシヘキサンの代わりに、1,2:6,7−ジエポキシヘプタンを用いた以外は実施例1と同様に導電性高分子溶液を調製し、導電性高分子材料の吸水率を測定した。結果を表1に示す。
(実施例3)
ポリスチレンスルホン酸の架橋および導電性高分子粒子の表面の架橋に用いる架橋剤として、1,2,5,6−ジエポキシヘキサンの代わりに、1,2:7,8−ジエポキシオクタンを用いた以外は実施例1と同様に導電性高分子溶液を調製し、導電性高分子材料の吸水率を測定した。結果を表1に示す。
(実施例4)
ポリスチレンスルホン酸の架橋および導電性高分子粒子の表面の架橋に用いる架橋剤として、1,2,5,6−ジエポキシヘキサンの代わりに、1,2:11,12−ジエポキシドデカンを用いた以外は実施例1と同様に導電性高分子溶液を調製し、導電性高分子材料の吸水率を測定した。結果を表1に示す。
(実施例5)
ポリスチレンスルホン酸の架橋および導電性高分子粒子の表面の架橋に用いる架橋剤として、1,2,5,6−ジエポキシヘキサンの代わりに、1,2:11,12−ジエポキシトリデカンを用いた以外は実施例1と同様に導電性高分子溶液を調製し、導電性高分子材料の吸水率を測定した。結果を表1に示す。
(実施例6)
ポリスチレンスルホン酸の架橋および導電性高分子粒子の表面の架橋に用いる架橋剤として、1,2,5,6−ジエポキシヘキサンの代わりに、1,2:7,8−ジエポキシオクタン−4−スルホン酸を用いた以外は実施例1と同様に導電性高分子溶液を調製し、導電性高分子材料の吸水率を測定した。結果を表1に示す。
(実施例7)
スチレンスルホン酸ナトリウム20gとアセチレン0.2gを水60gに溶解した。また、過硫酸アンモニウム0.05gを水5gに溶解させた。あらかじめ窒素置換した重合容器に水20gを仕込んで撹拌しつつ、90℃に昇温した後、前記スチレンスルホン酸ナトリウム溶液および前記過硫酸アンモニウム溶液をそれぞれ4時間かけて添加して、重合を行った。その後2時間熟成を行い、重合物水溶液を得た。該重合物水溶液を、電気透析機を用いてイオン交換し、不純物イオンを除去した。これにより、不飽和結合を有する架橋前のポリ陰イオンを含む水溶液を調製した。
次に、前記不飽和結合を有する架橋前のポリ陰イオンを含む水溶液100gに、架橋剤であるヘキサジエン(0.2g)を溶解した。また、過硫酸アンモニウム0.05gを水5gに溶解させた。ヘキサジエンを溶解した不飽和結合を有する架橋前のポリ陰イオンを含む水溶液を90℃に昇温した後、前記過硫酸アンモニウム溶液を4時間かけて添加し、重合を行った。その後2時間熟成することで、不飽和結合を有するポリ陰イオンを合成した。
前記不飽和結合を有するポリ陰イオン5g、3,4−エチレンジオキシチオフェン1.25g及び硫酸鉄(III)0.125gを水50mlに溶解した。この溶液に24時間にわたって空気を導入し、導電性高分子粒子を含む溶液を調製した。架橋剤である1,7−オクタジエン−4−スルホン酸0.05gを、前記導電性高分子粒子を含む溶液50mlに添加した。また、過硫酸アンモニウム0.05gを水5gに溶解させた。1,7−オクタジエン−4−スルホン酸を添加した導電性高分子粒子を含む溶液を90℃に昇温した後、前記過硫酸アンモニウム溶液を4時間かけて添加し、重合を行った。その後2時間熟成を行い、導電性高分子粒子の表面をさらに架橋することで、導電性高分子溶液を調製した。その後、実施例1と同様に導電性高分子材料の吸水率の測定を行った。結果を表1に示す。
(実施例8)
実施例7と同様に導電性高分子粒子を含む溶液を製造した。架橋剤である1,2:7,8−ジエポキシオクタン−4−スルホン酸0.05gを、該導電性高分子粒子を含む溶液50mlに添加した。該溶液を80℃に保温し、24時間攪拌して反応させ、導電性高分子粒子の表面をさらに架橋することで、導電性高分子溶液を調製した。その後、実施例1と同様に導電性高分子材料の吸水率の測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
質量平均分子量が50000のポリスチレンスルホン酸5g、3,4−エチレンジオキシチオフェン1.25g及び硫酸鉄(III)0.125gを水(50ml)に溶解した。この溶液に24時間にわたって空気を導入し、ポリチオフェン溶液を製造した。その後、該ポリチオフェン溶液を用いて実施例1と同様に導電性高分子材料の膜を作製し、吸水率の測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
ポリスチレンスルホン酸20gと、架橋剤である1,2,5,6−ジエポキシヘキサン0.2gとを溶媒である水100mlに溶解した。溶液を80℃に保温し、24時間攪拌して反応させることで、ポリ陰イオンである架橋構造を有するポリスチレンスルホン酸を合成した。該架橋構造を有するポリスチレンスルホン酸5g、3,4−エチレンジオキシチオフェン1.25g及び硫酸鉄(III)0.125gを、水50mlに溶解した。この溶液に24時間にわたって空気を導入し、導電性高分子粒子を含む溶液を製造した。その後、該溶液を用いて実施例1と同様に導電性高分子材料の膜を作製し、吸水率の測定を行った。結果を表1に示す。
(実施例9)
[固体電解コンデンサの作製]
実施例1で調製した導電性高分子溶液を用いて固体電解コンデンサを作製した。陽極導体として、エッチングにより拡面処理された3×4mmの多孔質体アルミニウム箔を用いた。該陽極導体は、表面に酸化皮膜である誘電体層を備える。該陽極導体を、実施例1で調製した導電性高分子溶液に浸漬した。これを125℃の恒温槽中で乾燥し、固化させて、固体電解質層を形成した。その後、0.3質量%のリン酸中で電圧を印加することにより再化成を行い、誘電体層の欠陥を修復した。その後、固体電解質層上に、グラファイト層、銀導電性樹脂層を順次形成し、固体電解コンデンサを作製した。
[LC測定]
作製した固体電解コンデンサについて、LCメーターを用いてLCを測定した。結果を表2に示す。
(実施例10)
実施例9と同様の誘電体層を備える陽極導体を、3,4−エチレンジオキシチオフェンを含むモノマー溶液と、ドーパントとしての1,3,6−ナフタレントリスルホン酸と、酸化剤であるペルオキソ二硫酸アンモニウムを含む酸化剤溶液と、を含む溶液に浸漬させた。浸漬を数回繰り返し、化学酸化重合法によってポリ3,4−エチレンジオキシチオフェンを含む第一の導電性高分子層を形成した。その後、これを実施例1で調製した導電性高分子溶液に浸漬した。これを125℃の恒温槽中で乾燥し、固化させて、第二の導電性高分子層を形成した。その後、0.3質量%のリン酸中で電圧を印加することにより再化成を行い、誘電体層の欠陥を修復した。その後、第二の導電性高分子層上に、グラファイト層、銀導電性樹脂層を順次形成し、固体電解コンデンサを作製した。該固体電解コンデンサについて、実施例9と同様にLC測定を行った。結果を表2に示す。
(実施例11)
実施例9と同様の誘電体層を備える陽極導体を、実施例1で調製した導電性高分子溶液に浸漬した。これを125℃の恒温槽中で乾燥し、固化させて、第一の導電性高分子層を形成した。その後、0.3質量%のリン酸中で電圧を印加することにより再化成を行い、誘電体層の欠陥を修復した。次に、これを比較例1で調製した導電性高分子溶液に浸漬した。これを125℃の恒温槽中で乾燥し、固化させて、第二の導電性高分子層を形成した。その後、第二の導電性高分子層上に、グラファイト層、銀導電性樹脂層を順次形成し、固体電解コンデンサを作製した。該固体電解コンデンサについて、実施例9と同様にLC測定を行った。結果を表2に示す。
(実施例12)
導電性高分子層の形成において、実施例2で調製した導電性高分子溶液を用いた以外は実施例9と同様に固体電解コンデンサを作製し、LC測定を行った。結果を表2に示す。
(実施例13)
導電性高分子層の形成において、実施例3で調製した導電性高分子溶液を用いた以外は実施例9と同様に固体電解コンデンサを作製し、LC測定を行った。結果を表2に示す。
(実施例14)
導電性高分子層の形成において、実施例4で調製した導電性高分子溶液を用いた以外は実施例9と同様に固体電解コンデンサを作製し、LC測定を行った。結果を表2に示す。
(実施例15)
導電性高分子層の形成において、実施例5で調製した導電性高分子溶液を用いた以外は実施例9と同様に固体電解コンデンサを作製し、LC測定を行った。結果を表2に示す。
(実施例16)
導電性高分子層の形成において、実施例6で調製した導電性高分子溶液を用いた以外は実施例9と同様に固体電解コンデンサを作製し、LC測定を行った。結果を表2に示す。
(実施例17)
導電性高分子層の形成において、実施例7で調製した導電性高分子溶液を用いた以外は実施例9と同様に固体電解コンデンサを作製し、LC測定を行った。結果を表2に示す。
(実施例18)
導電性高分子層の形成において、実施例8で調製した導電性高分子溶液を用いた以外は実施例9と同様に固体電解コンデンサを作製し、LC測定を行った。結果を表2に示す。
(比較例3)
導電性高分子層の形成において、比較例1で調製した導電性高分子溶液を用いた以外は実施例9と同様に固体電解コンデンサを作製し、LC測定を行った。結果を表2に示す。
(比較例4)
導電性高分子層の形成において、比較例2で調製した導電性高分子溶液を用いた以外は実施例9と同様に固体電解コンデンサを作製し、LC測定を行った。結果を表2に示す。
Figure 0006161433
Figure 0006161433
表1より、実施例1〜8は比較例1および2に比べて吸水率が高かった。これより、本発明に係る架橋剤により架橋された構造を有するポリ陰イオンをドーパントして用いることによって、吸水率を向上させることができることが確認された。これは、本発明に係るポリ陰イオンの架橋構造に水分が保持されるため、水に浸漬した後に大気中で1時間放置しても水分が蒸発しにくいためである。また、導電性高分子粒子の表面をさらに架橋することによって、水分の外部への流出をさらに抑制することができた。一方、比較例1では架橋構造を有さないポリ陰イオンを用い、導電性高分子粒子の表面の架橋も行われていないため、水に浸漬した後の大気中での放置時に水分が蒸発し、吸水率が低下した。また、比較例2では架橋構造を有しているものの、導電性高分子粒子の表面の架橋が行われていないため、水に浸漬した後の大気中での放置時の水分の蒸発抑制が十分ではなく、吸水率が低下した。
次に、実施例2〜4は実施例1および5に比べて吸水率が高かった。実施例1は架橋剤の主鎖上の炭素数が6なのに対して、実施例2〜4では架橋剤の主鎖上の炭素数が7以上である。そのため、実施例2〜4では吸水時に膜の膨潤が大きく起こり、高い吸水率を得ることができたと考えられる。一方、実施例5は架橋剤の主鎖上の炭素数が13であるため、保水性が低下し、1時間放置時に水分が蒸発したと考えられる。
実施例6は実施例3に比べて吸水率が高かった。実施例6ではポリ陰イオンの架橋部にも陰イオンを有するため、より高い吸水率が得られたと考えられる。実施例7は実施例6に比べて吸水率が高かった。実施例6ではポリ陰イオンの主鎖中の陰イオンで架橋するのに対して、実施例7ではポリ陰イオンの主鎖中の不飽和結合で架橋し、陰イオンが架橋に使用されないためと考えられる。実施例8は実施例7に比べて吸水率が高かった。実施例8では表面架橋時にポリ陰イオンの主鎖中の陰イオンで架橋するため、導電性高分子粒子の内部の水分が、導電性高分子粒子の表面を通じて外部へ出にくくなったためと考えられる。
表2より、実施例9〜18は比較例3および4に比べてLCが低かった。これより、本発明に係る導電性高分子溶液を用いることによって、LCの低い固体電解コンデンサを得られることが確認された。これは、本発明に係る導電性高分子溶液を用いて作製される導電性高分子材料が高い保水性を有し、再化成が十分に行われるためと考えられる。
以上のように、本発明に係る導電性高分子溶液を用いて作製される導電性高分子材料は高い吸水率を示す。また、該導電性高分子材料は高い吸水率を示すため、該導電性高分子材料を固体電解質に用いた固体電解コンデンサは低いLCを示す。
本発明に係る導電性高分子溶液は、リチウムイオン二次電池の陰極の製造等に利用できる。
1 陽極導体
2 誘電体層
3 固体電解質層
3A 第一の導電性高分子層
3B 第二の導電性高分子層
4 陰極導体
5 カーボン層(グラファイト層)
6 銀導電性樹脂層

Claims (11)

  1. 架橋剤により架橋された構造を有するポリ陰イオン及び導電性高分子を含む導電性高分子粒子と、水及び水混和性有機溶媒の少なくとも一方と、を含む導電性高分子溶液であって、
    前記ポリ陰イオンの主鎖上の陰イオンのモル数に対する前記架橋剤のモル数の比率を示す架橋割合が、前記導電性高分子粒子の内部より前記導電性高分子粒子の表面の方が高く、
    前記ポリ陰イオンの架橋部が陰イオンを有する導電性高分子溶液。
  2. 前記導電性高分子粒子の内部の前記架橋割合が、前記ポリ陰イオンの主鎖上の陰イオン100モルに対して前記架橋剤が0.001〜7モルである請求項1に記載の導電性高分子溶液。
  3. 前記架橋剤の主鎖上の炭素数が7から12である請求項1又は2に記載の導電性高分子溶液。
  4. 前記ポリ陰イオンが、エポキシ基を2つ以上有する化合物により該ポリ陰イオンの主鎖が架橋された化合物である請求項1からのいずれか1項に記載の導電性高分子溶液。
  5. 前記ポリ陰イオンが、不飽和結合を有するポリ陰イオンであり、ビニル基を2つ以上有する化合物により該ポリ陰イオンの主鎖が架橋された化合物である請求項1からのいずれか1項に記載の導電性高分子溶液。
  6. 前記ポリ陰イオンが不飽和結合を有するポリ陰イオンであり、
    前記導電性高分子粒子内部の架橋が、前記ポリ陰イオンの不飽和結合と前記架橋剤とが結合して形成された架橋であり、
    前記導電性高分子粒子表面の架橋が、前記ポリ陰イオンの陰イオンと前記架橋剤とが結合して形成された架橋である請求項1からのいずれか1項に記載の導電性高分子溶液。
  7. 請求項1からのいずれか1項に記載の導電性高分子溶液を乾燥し、前記水及び水混和性有機溶媒の少なくとも一方を除去して得られる導電性高分子材料。
  8. 請求項に記載の導電性高分子材料を含む固体電解質を備える固体電解コンデンサ。
  9. 多孔質体の弁作用金属を含む陽極導体の表面に誘電体層を形成する工程と、
    請求項1からのいずれか1項に記載の導電性高分子溶液を前記誘電体層上に塗布し、乾燥して導電性高分子層を形成する工程と、
    再化成を行う工程と、を含む固体電解コンデンサの製造方法。
  10. 導電性高分子を与えるモノマーを、架橋剤により架橋された構造を有するポリ陰イオンと、水及び水混和性有機溶媒の少なくとも一方とを含む溶液中で重合して、導電性高分子粒子を含む溶液を得る工程と、
    前記導電性高分子粒子の表面を架橋剤により架橋する工程と、
    を含む導電性高分子溶液の製造方法であって、
    前記ポリ陰イオンの架橋部が陰イオンを有する導電性高分子溶液の製造方法
  11. 前記導電性高分子溶液に含まれる前記導電性高分子粒子の内部における、前記ポリ陰イオンの主鎖上の陰イオンのモル数に対する前記架橋剤のモル数の比率を示す架橋割合が、前記ポリ陰イオンの主鎖上の陰イオン100モルに対して前記架橋剤が0.001〜7モルである請求項10に記載の導電性高分子溶液の製造方法。
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