JP6160361B2 - 有機半導体素子およびその製造方法 - Google Patents

有機半導体素子およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6160361B2
JP6160361B2 JP2013170503A JP2013170503A JP6160361B2 JP 6160361 B2 JP6160361 B2 JP 6160361B2 JP 2013170503 A JP2013170503 A JP 2013170503A JP 2013170503 A JP2013170503 A JP 2013170503A JP 6160361 B2 JP6160361 B2 JP 6160361B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
organic semiconductor
semiconductor layer
electrode
drain electrode
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2013170503A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015041636A (ja
Inventor
充孝 永江
充孝 永江
慎也 藤本
慎也 藤本
徹 三好
徹 三好
健 冨野
健 冨野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2013170503A priority Critical patent/JP6160361B2/ja
Publication of JP2015041636A publication Critical patent/JP2015041636A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6160361B2 publication Critical patent/JP6160361B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Electrodes Of Semiconductors (AREA)
  • Thin Film Transistor (AREA)

Description

本発明は、真空紫外光を用いて有機半導体層をパターニングする有機半導体素子の製造方法およびその製造方法により得られる有機半導体素子に関するものである。
TFTに代表される半導体トランジスタは、近年、ディスプレイ装置の発展に伴ってその用途を拡大する傾向にある。半導体トランジスタは、半導体材料を介して電極が接続されていることにより、スイッチング素子としての機能を果たすものである。
従来、半導体トランジスタに用いられる半導体材料としては、シリコン、ガリウム砒素、インジウムガリウム砒素等の無機半導体材料が用いられてきた。近年、普及が拡大している液晶表示素子のディスプレイ用TFTアレイ基板にもこのような無機半導体材料を用いた半導体トランジスタが用いられている。
一方、半導体材料としては、有機半導体材料も知られている。有機半導体材料は、無機半導体材料に比べて安価に大面積化が可能であること、フレキシブルなプラスチック基板上に形成できること、さらに機械的衝撃に対して安定であることという利点を有している。したがって、有機半導体材料を対象として、電子ペーパーに代表されるフレキシブルディスプレイ等の次世代ディスプレイ装置への応用等を想定した研究が活発に行われている。
有機半導体材料が用いられた有機半導体トランジスタを作製する際には、通常、有機半導体層をパターン状に形成することが必要とされる。従来、パターン状に有機半導体層を形成する方法としては、例えば特許文献1に記載されるようにフォトレジスト法が主に用いられてきた。しかしながら、フォトレジスト法は、有機半導体層を精度良くパターニングできる点においては優れているが、工程が煩雑であるため生産性に乏しいという問題点があった。
このような問題点に対し、特許文献2にはインクジェット法を用いて有機半導体層を形成する方法が提案されている。インクジェット法はインクジェットヘッドを用いて微量のインクを所定の位置に吐出する方法であり、微細なパターン状の有機半導体層を高生産性で形成することができる点において優れた方法である。
さらに、特許文献3には真空紫外光を用いて有機半導体層をエッチングする方法が開示されている。この方法は、より高精細な有機半導体層を高生産性で形成することができる点で優れた方法である。なお、真空紫外光は、Vacuum Ultra VioletやVUVとも称される。
ところで、有機半導体トランジスタにおいては、有機半導体層を介してソース電極およびドレイン電極が接続されることから、ソース電極およびドレイン電極に用いられる電極材料としては、有機半導体層との電気的接続性が高いことが好ましい。この電極材料としては、金属材料が好適に用いられることが知られている。
上述の真空紫外光を用いた有機半導体層のエッチングを行う場合、一般的にはソース電極およびドレイン電極の間のチャネル領域に有機半導体層が形成されるように、有機半導体層をエッチングする。そのため、ボトムコンタクト型の有機半導体トランジスタにおいて、ソース電極およびドレイン電極が金属材料からなる場合には、有機半導体層のエッチング時に真空紫外光の影響によってソース電極およびドレイン電極が酸化され、電極性能が低下したり断線したりするという問題がある。なお、真空紫外光の影響による酸化は、ソース電極およびドレイン電極だけでなく、データ配線等にも生じる現象である。
そこで、特許文献4には、有機半導体層をエッチングする際に照射される真空紫外光によってソース電極およびドレイン電極が酸化されて劣化するのを防止するために、ソース電極およびドレイン電極上に酸素に対する遮蔽性を有する電極保護層を形成することが提案されている。
また、特許文献5には、真空紫外光を用いて有機半導体層をエッチングする方法に関する技術ではないが、レーザーアブレーション法による有機半導体層のパターニング工程時に既に形成された電極配線を保護することを目的として、ソース電極、ドレイン電極および配線を完全に覆うように有機半導体層を形成することが提案されている。
特開2006−58497号公報 特開2003−347552号公報 特開2008−244262号公報 特開2012−216564号公報 特許第4742021号公報 特表2008−524839号公報
しかしながら、特許文献4では、ソース電極およびドレイン電極上に電極保護層を形成する必要があり、工程数が増えてしまう。
また、レーザーアブレーション法においては、特許文献5にも記載されているように有機半導体層の下部に位置する電極も損傷されるので、レーザー照射領域では有機半導体層だけでなくソース電極、ドレイン電極および配線も除去されてしまう。そのため、レーザーアブレーション法を用いる場合、ボトムコンタクト型の有機半導体トランジスタにおいて、ソース電極およびドレイン電極の間のチャネル領域に有機半導体層を形成するのは困難である。この点に関しては、例えば特許文献6にも記載されている。したがって、レーザーアブレーション法では、そもそも有機半導体層のパターニング時にソース電極およびドレイン電極が酸化されてしまうという問題が生じない。
また、有機半導体トランジスタにおいては、例えば、有機半導体層、ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極、ゲート絶縁層および配線の上に層間絶縁層が形成され、層間絶縁層上に画素電極が形成され、コンタクトホールを通じて画素電極およびドレイン電極が電気的に接続される。コンタクトホールの形成方法として、例えば特許文献5にはレーザーエッチング法が開示されている。しかしながら、レーザーエッチング法では、ドレイン電極を除去せずに有機半導体層や層間絶縁層等のみを除去することは技術的に困難である。そのため、ドレイン電極上にコンタクトホールを形成する場合、レーザーエッチング法では、上記のレーザーアブレーションと同様にドレイン電極が損傷を受けるので、コンタクトホール部分ではドレイン電極の厚みが薄くなってしまう。その結果、画素電極およびドレイン電極の接触不良が生じ、電気的信頼性が低下するという問題がある。
なお、特許文献5には、コンタクトホールの形成方法としてフォトリソグラフィ法も開示されている。しかしながら、通常、フォトリソグラフィ法により平坦化絶縁膜をパターニングした際に同時に有機半導体層がパターニングされることはない。すなわち、フォトリソグラフィ法により平坦化絶縁膜をパターニングする際に、コンタクトホール部分の有機半導体層も同時にパターニングすることは不可能である。その場合、コンタクトホール部分に有機半導体層が残った状態で画素電極およびドレイン電極が接続されることになるため接触不良が発生する。また、フォトリソグラフィ法により平坦化絶縁膜をパターニングする場合、コンタクトホール部分の有機半導体層を有機溶剤等で洗浄することはできると考えられるが、有機半導体層の面内方向への有機溶剤の染み込み等が生じ、有機溶剤がチャネル領域まで浸入し、信頼性に欠けるため現実的ではない。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、真空紫外光を用いた有機半導体層のエッチング時にソース電極、ドレイン電極およびデータ配線の酸化を抑制することが可能であり、電気的信頼性の高い有機半導体素子およびその製造方法を提供することを主目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明は、基材と、上記基材上に形成され、金属材料を含むソース電極、ドレイン電極およびデータ配線と、上記ソース電極、上記ドレイン電極および上記データ配線を覆うように形成された有機半導体層と、上記有機半導体層を貫通し、上記ドレイン電極に達するように形成されたコンタクトホールとを有し、上記コンタクトホールが形成されているコンタクトホール領域の上記ドレイン電極の厚みと、上記有機半導体層で覆われている有機半導体層被覆領域の上記ドレイン電極の厚みとが等しいことを特徴とする有機半導体素子を提供する。
本発明によれば、金属材料を含むソース電極、ドレイン電極およびデータ配線上に有機半導体層が形成されていることから、真空紫外光を用いて有機半導体層をエッチングする場合にソース電極、ドレイン電極およびデータ配線が酸化されるのを抑制することが可能である。したがって、電極性能の低下や断線を抑えるとともに、ソース電極およびドレイン電極と有機半導体層との電気的接続性を向上させることができる。また本発明によれば、コンタクトホール領域と有機半導体層被覆領域とでドレイン電極の厚みが等しいことから、コンタクトホールを通じてドレイン電極に画素電極等の外部入出力電極を接続させた場合には、ドレイン電極と外部入出力電極との接触不良を抑制することができる。よって、電気的信頼性の高い有機半導体素子とすることができる。
上記発明においては、上記有機半導体層が、外部接続端子および検査用端子の一部を覆うように形成されていることが好ましい。有機半導体層によって外部接続端子および検査用端子の一部と有機半導体層上に形成される層間絶縁層やゲート絶縁層との密着性を高めることができる。また、真空紫外光を用いて有機半導体層をエッチングする場合には、レーザーアブレーション法とは異なり、有機半導体層の下に位置する外部接続端子および検査用端子を除去することなく、有機半導体層のみを除去することができる。そのため、外部接続端子および検査用端子の一部を覆うように有機半導体層を形成することが可能である。
また本発明は、金属材料を含むソース電極、ドレイン電極およびデータ配線が形成された基材上に、有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程と、上記ドレイン電極に達するコンタクトホールが形成されるコンタクトホール領域以外の上記ソース電極、上記ドレイン電極および上記データ配線が形成されている電極領域、ならびに上記ソース電極および上記ドレイン電極の間のチャネル領域の上記有機半導体層上にレジスト層を形成し、上記レジスト層および上記有機半導体層に真空紫外光を照射することにより、上記レジスト層が形成されていない部位の上記有機半導体層をエッチングし、上記レジスト層を除去する有機半導体層パターニング工程とを有することを特徴とする有機半導体素子の製造方法を提供する。
本発明によれば、金属材料を含むソース電極、ドレイン電極およびデータ配線上に有機半導体層が残るように有機半導体層をパターニングすることから、有機半導体層パターニング工程において真空紫外光を用いて有機半導体層をエッチングする際に、真空紫外光によってソース電極、ドレイン電極およびデータ配線が酸化されるのを抑制することが可能である。したがって、電極性能の低下や断線を抑えるとともに、ソース電極およびドレイン電極と有機半導体層との電気的接続性を向上させることができる。また本発明によれば、真空紫外光を用いて有機半導体層をエッチングすることによりコンタクトホールを形成することから、コンタクトホール領域のドレイン電極の厚みが薄くなるのを抑制することができ、コンタクトホールを通じてドレイン電極に画素電極等の外部入出力電極を接続させた場合には、ドレイン電極と外部入出力電極との接触不良を抑えることができる。よって、電気的信頼性の高い有機半導体素子を得ることができる。
本発明によれば、金属材料を含むソース電極、ドレイン電極およびデータ配線上に有機半導体層が形成されていることから、真空紫外光を用いて有機半導体層をエッチングした場合もソース電極、ドレイン電極およびデータ配線の酸化を抑制することができる。また、コンタクトホール領域と有機半導体層被覆領域とでドレイン電極の厚みが等しいことから、ドレイン電極と外部入出力電極との接触不良を抑えることができる。したがって、有機半導体素子の電気的信頼性を高めることができるという効果を奏する。
本発明の有機半導体素子の一例を示す概略断面図である。 本発明の有機半導体素子の他の例を示す概略断面図である。 本発明の有機半導体素子の他の例を示す概略平面図である。 本発明の有機半導体素子の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の有機半導体素子の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の有機半導体素子の他の例を示す概略平面図である。 本発明の有機半導体素子における配線、端子および有機半導体層の一例を示す概略平面図および断面図である。 本発明の有機半導体素子の他の例を示す概略断面図である。 本発明の有機半導体素子の他の例を示す概略断面図である。
以下、本発明の有機半導体素子およびその製造方法について詳細に説明する。
A.有機半導体素子
本発明の有機半導体素子は、基材と、上記基材上に形成され、金属材料を含むソース電極、ドレイン電極およびデータ配線と、上記ソース電極、上記ドレイン電極および上記データ配線を覆うように形成された有機半導体層と、上記有機半導体層を貫通し、上記ドレイン電極に達するように形成されたコンタクトホールとを有し、上記コンタクトホールが形成されているコンタクトホール領域の上記ドレイン電極の厚みと、上記有機半導体層で覆われている有機半導体層被覆領域の上記ドレイン電極の厚みとが等しいことを特徴とするものである。
なお、以下の説明において、「有機半導体トランジスタ」とは、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極および有機半導体層を有するものを指す。また、本発明においてはソース電極およびドレイン電極上に有機半導体層が形成されていることから、本発明の有機半導体素子はボトムゲートボトムコンタクト型またはトップゲートボトムコンタクト型の有機半導体トランジスタを有するものである。
本発明の有機半導体素子について図を用いて説明する。
図1は、本発明の有機半導体素子の一例を示す概略断面図である。図1に示すように、有機半導体素子1は、基材2と、基材2上に形成され、金属材料を含むソース電極3およびドレイン電極4aと、ソース電極3およびドレイン電極4aを覆うように形成された有機半導体層6と、有機半導体層6上に形成されたゲート絶縁層7と、ゲート絶縁層7上に形成されたゲート電極8と、ゲート絶縁層7および有機半導体層6を貫通し、ドレイン電極4aに達するように形成されたコンタクトホール12と、ゲート絶縁層7上に形成され、コンタクトホール12を通じてドレイン電極4aに接続された中間電極4bとを有している。有機半導体層6は、ソース電極3およびドレイン電極4a間のチャネル領域21と、コンタクトホール12が形成されているコンタクトホール領域23以外のソース電極3およびドレイン電極4aが形成されている電極領域22とに配置されている。また、コンタクトホール領域23のドレイン電極4aの厚みと、有機半導体層6で覆われている有機半導体層被覆領域24のドレイン電極4aの厚みとが等しくなっている。この有機半導体素子1は、トップゲートボトムコンタクト型の有機半導体トランジスタを有している。
図2は、本発明の有機半導体素子の他の例を示す概略断面図である。図2に示すように、有機半導体素子1は、基材2と、基材2上に形成されたゲート電極8と、ゲート電極8を覆うように形成されたゲート絶縁層7と、ゲート絶縁層7上に形成され、金属材料を含むソース電極3およびドレイン電極4と、ソース電極3およびドレイン電極4を覆うように形成された有機半導体層6と、有機半導体層6を貫通し、ドレイン電極4に達するように形成されたコンタクトホール12とを有している。有機半導体層6は、ソース電極3およびドレイン電極4間のチャネル領域21と、コンタクトホール12が形成されているコンタクトホール領域23以外のソース電極3およびドレイン電極4が形成されている電極領域22とに配置されている。また、コンタクトホール領域23のドレイン電極4の厚みと、有機半導体層6で覆われている有機半導体層被覆領域24のドレイン電極4の厚みとが等しくなっている。この有機半導体素子1は、ボトムゲートボトムコンタクト型の有機半導体トランジスタを有している。
図3(a)、(b)は、本発明の有機半導体素子の他の例を示す概略平面図である。図3(a)において、基材、ソース電極、ドレイン電極およびデータ配線以外の構成は省略されている。図3(b)において、基材および有機半導体層以外の構成は省略されている。また、図3(a)、(b)において、コンタクトホールを通じてドレイン電極に接続される画素電極等の外部入出力電極11が形成される領域を一点鎖線で示している。図3(a)、(b)に示すように、有機半導体素子においては、基材2上に、金属材料を含むソース電極3、ドレイン電極4およびデータ配線5が形成され、ソース電極3、ドレイン電極4およびデータ配線5を覆うように有機半導体層6が形成されている。有機半導体層6は、ソース電極3およびドレイン電極4間のチャネル領域と、図示しないがコンタクトホールが形成されているコンタクトホール領域以外のソース電極3、ドレイン電極4およびデータ配線5が形成されている電極領域22とに配置されている。また、図示しないがコンタクトホール領域のドレイン電極4の厚みと、有機半導体層6で覆われている有機半導体層被覆領域のドレイン電極4の厚みとが等しくなっている。
本発明によれば、金属材料を含むソース電極、ドレイン電極およびデータ配線上に有機半導体層が形成されていることから、真空紫外光を用いて有機半導体層をエッチングする場合にソース電極、ドレイン電極およびデータ配線が酸化されるのを抑制することが可能である。
ここで、本発明における有機半導体層のパターニング方法について説明する。図4(a)〜(g)および図5(a)〜(d)は本発明の有機半導体素子の製造方法の一例を示す工程図である。なお、本発明の有機半導体素子の製造方法について詳しくは、「B.有機半導体素子の製造方法」の項で説明する。
有機半導体層をパターニングするに際しては、まず、図4(b)に示すように、ソース電極3およびドレイン電極4aが形成された基材2の全面に有機半導体層6を形成する。次いで、図4(c)に示すように有機半導体層6上にレジスト層31をパターン状に形成する。続いて、図4(d)〜(e)に示すように、レジスト層31および有機半導体層6に真空紫外光Lを照射して、レジスト層31が形成されていない部位の有機半導体層6をエッチングする。その後、図4(f)に示すようにレジスト層31を除去する。これにより、ソース電極3およびドレイン電極4aの間のチャネル領域21と、コンタクトホール12aが形成されるコンタクトホール領域23以外のソース電極3およびドレイン電極4aが形成されている電極領域22とに有機半導体層6が形成される。
本発明においてはソース電極、ドレイン電極およびデータ配線を覆うように有機半導体層が形成されていることから、図4(d)〜(e)に示すように真空紫外光Lを用いて有機半導体層6をエッチングする際、コンタクトホール領域23を除いてソース電極3およびドレイン電極4aは有機半導体層6およびレジスト層31で覆われている。そのため、ソース電極3およびドレイン電極4aが酸素と接触するのを防ぐことができる。さらに、ソース電極3およびドレイン電極4aに、高エネルギー光である紫外領域の光、とりわけ高エネルギーである真空紫外光Lが照射されるのを防ぐことができる。なお、図4(a)〜(g)および図5(a)〜(d)にはデータ配線が図示されていないが、データ配線についてもソース電極およびドレイン電極と同様に酸素との接触および真空紫外光の照射を防ぐことができる。
したがって本発明においては、真空紫外光を用いて有機半導体層をエッチングする場合にソース電極、ドレイン電極および配線が酸化されるのを抑制することでき、電極性能の低下や断線を抑えることが可能である。さらに、ソース電極およびドレイン電極と有機半導体層との電気的接続性を向上させることができる。
なお、真空紫外光を用いて有機半導体層をエッチングする場合、コンタクトホール領域ではドレイン電極の一部が酸素と接触したり真空紫外光が照射されたりするため、ドレイン電極の一部の酸化が懸念される。
ここで、有機半導体層のエッチングに用いる程度の真空紫外光の強度では、仮に電極および配線が暴露されたとしても、電極および配線の酸化の進行は緩やかである。ただし、真空紫外光の照射ムラや電極および配線の厚みムラ等の影響で電極および配線の酸化を完全にゼロにすることはできない。そのため、線幅の細い電極および配線では酸化が問題となる。これに対し、コンタクトホール領域の幅はソース電極やデータ配線の線幅に比較して広いため、コンタクトホール領域の全域が酸化される可能性は非常に低い。また、データ配線が酸化した場合はライン欠陥となり、表示品質に多大な影響を与えるが、コンタクトホール領域におけるドレイン電極の一部が酸化した場合は点欠陥が発生するのみであり、表示品質に与える影響は少ない。したがって、コンタクトホール領域におけるドレイン電極の一部が酸化してしまったとしても特に問題にはならないと考える。
また本発明によれば、コンタクトホール領域と有機半導体層被覆領域とでドレイン電極の厚みが等しいことから、コンタクトホールを通じてドレイン電極に画素電極等の外部入出力電極が接続された場合には、ドレイン電極と外部入出力電極との接触不良を抑制することができる。
ここで、従来のように各層を積層した後にレーザーエッチング法によりコンタクトホールを形成する場合には、レーザー照射部分のドレイン電極が損傷を受けることから、コンタクトホール領域とコンタクトホール領域以外の領域とでドレイン電極の厚みを均一にすることは困難である。
一方、真空紫外光を用いて有機半導体層をエッチングすることによりコンタクトホールを形成する場合、真空紫外光はレーザーに比べてエネルギーが低いため、真空紫外光照射部分のドレイン電極までエッチングされるのを防ぐことができ、コンタクトホール領域とコンタクトホール領域以外の領域とで厚みの均一なドレイン電極を得ることが可能である。
以下、本発明の有機半導体素子の各構成について説明する。
1.有機半導体層
本発明における有機半導体層は、ソース電極、ドレイン電極およびデータ配線を覆うように形成されるものであり、有機半導体トランジスタに半導体特性を付与するものである。
有機半導体層に用いられる有機半導体材料としては、所望の半導体特性を備える有機半導体層を得ることができれば特に限定されるものではなく、一般的に有機半導体トランジスタに用いられる有機半導体材料を用いることができる。このような有機半導体材料としては、例えば、π電子共役系の芳香族化合物、鎖式化合物、有機顔料、有機ケイ素化合物等を挙げることができる。より具体的には、ペンタセン等の低分子系有機半導体材料、および、ポリピロール、ポリ(N−置換ピロール)、ポリ(3−置換ピロール)、ポリ(3,4−二置換ピロール)等のポリピロール類、ポリチオフェン、ポリ(3−置換チオフェン)、ポリ(3,4−二置換チオフェン)、ポリベンゾチオフェン等のポリチオフェン類、ポリイソチアナフテン等のポリイソチアナフテン類、ポリチェニレンビニレン等のポリチェニレンビニレン類、ポリ(p−フェニレンビニレン)等のポリ(p−フェニレンビニレン)類、ポリアニリン、ポリ(N−置換アニリン)等のポリアニリン類、ポリアセチレン等のポリアセチレン類、ポリジアセチレン、ポリアズレン等のポリアズレン類等の高分子系有機半導体材料を挙げることができる。
有機半導体材料は1種類のみであってもよく、2種類以上であってもよい。
有機半導体層はソース電極、ドレイン電極およびデータ配線を覆うように形成される。この場合、ソース電極、ドレイン電極およびデータ配線の上面を覆い、ソース電極、ドレイン電極およびデータ配線の側面が露出するように有機半導体層が形成されていてもよく、ソース電極、ドレイン電極およびデータ配線の上面および側面を覆うように有機半導体層が形成されていてもよい。中でも、ソース電極、ドレイン電極およびデータ配線の上面および側面を覆うように有機半導体層が形成されていることが好ましい。ソース電極、ドレイン電極およびデータ配線の酸化を効果的に抑制することができるからである。
有機半導体層の形成位置としては、有機半導体層がソース電極およびドレイン電極の間のチャネル領域に形成され、かつコンタクトホールが形成されているコンタクトホール領域以外のソース電極、ドレイン電極およびデータ配線が形成されている電極領域に形成されていれば特に限定されない。
ここで、「コンタクトホールが形成されているコンタクトホール領域」とは、ドレイン電極に通じるコンタクトホールが形成されているコンタクトホール領域をいう。例えば図5(d)に示すようにコンタクトホールとしてコンタクトホール12aおよび第2コンタクトホール12bが形成されている場合には、ドレイン電極4aに通じるコンタクトホール12aが形成されているコンタクトホール領域23を指す。
また、図6に例示するように、有機半導体素子1において、基材2上に表示部51の周囲にFPC接続部等の外部接続端子52や検査用端子53等の端子が形成されている場合には、図示しないが端子の一部を覆うように有機半導体層が形成されていてもよい。具体的には図7(a)、(b)に示すように、基材2上に端子55および配線56が形成されている場合、有機半導体層6が配線56を覆うように形成されているとともに、端子55の一部を覆うように形成されていてもよい。なお、図7(b)は図7(a)のA−A線断面図である。この場合、有機半導体層によって端子の一部と有機半導体層上に形成される層間絶縁層やゲート絶縁層との密着性を高めることができる。また、真空紫外光を用いて有機半導体層をエッチングする場合には、従来のレーザーアブレーション法とは異なり、有機半導体層の下に位置する端子を除去することなく、有機半導体層のみを除去することができる。そのため、端子の一部を覆うように有機半導体層を形成することができる。この場合、中でも、外部接続端子および検査用端子の一部を覆うように形成されていることが好ましい。
端子の一部を覆うように有機半導体層が形成されている場合、有機半導体層の形成位置としては、有機半導体層が端子の一部が露出するように形成されていればよいが、中でも、図7(a)、(b)に例示するように、有機半導体層6が端子55の四方の端部を覆うように形成されていることが好ましい。層間絶縁層やゲート絶縁層との密着性を確保することができるからである。また、検査用端子等の端子と配線との境界では線幅が細くなるため酸化防止が重要であり、この部分に有機半導体層が形成されていることが好ましいのである。
また、基材上にはデータ配線の他にもFPC接続部等の外部接続端子に接続された配線が形成されている場合があり、それらの配線を覆うように有機半導体層が形成されていることが好ましい。
さらに、有機半導体層は、ソース電極およびドレイン電極間のチャネル領域、ソース電極、ドレイン電極、データ配線の他にも、スキャン配線や、上記の端子および配線の境界等のように線幅が細く酸化されやすい部分に形成されていることが好ましい。特に、線幅が20μm以下である電極や配線上、およびそれらの電極や配線に接続された端子との境界に有機半導体層が形成されていることが好ましい。
また、有機半導体層は、基材の全面に形成されていないことが好ましい。基材の全面に有機半導体層が形成されていると、有機半導体層によってリーク電流が発生したりコンタクトホール領域等にて電極間で絶縁されてしまったりするからである。
有機半導体層の厚みは、所望の半導体特性が得られる程度であればよく、上記有機半導体材料の種類等に応じて適宜選択される。具体的に、有機半導体層の厚みは、1nm〜1000nmの範囲内であることが好ましく、特に5nm〜300nmの範囲内、さらに20nm〜100nmの範囲内であることが好ましい。有機半導体層の厚みが厚すぎると、本発明の有機半導体素子において、電流オフ時においても回り込み電流によってドレイン電流が生じ、これに起因してオフ電流が大きくなる場合があるからである。一方、有機半導体層の厚みが薄すぎると、有機半導体材料の種類によっては有機半導体層の半導体特性が不足する可能性があるからである。
有機半導体層の形成方法としては、ソース電極、ドレイン電極およびデータ配線が形成された基材の全面に有機半導体層を形成した後、有機半導体層を真空紫外光を用いてエッチングする方法が好ましい。なお、有機半導体層の形成方法については、後述の「B.有機半導体素子の製造方法」に詳しく記載するので、ここでの説明は省略する。
2.ソース電極およびドレイン電極
本発明におけるソース電極およびドレイン電極は、ソース電極およびドレイン電極間に所望のチャネル領域を有するように基材上に形成されるものであり、金属材料を含むものである。
ソース電極およびドレイン電極に用いられる金属材料としては、所望の導電性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、Ag、Au、Ta、Ti、Al、Zr、Cr、Nb、Hf、Mo、Mo−Ta合金等を挙げることができる。中でも、金属材料は酸化されやすいものであることが好ましい。本発明においてはソース電極およびドレイン電極の酸化を抑制することができるため、ソース電極およびドレイン電極が酸化されやすい金属材料を含む場合に特に有用である。このような金属材料としては、例えば、Ag、Cu、Al、およびそれらの合金等が挙げられる。合金としては、具体的に、APCと称されるAg、Pd、Cu合金等を挙げることができる。
コンタクトホールが形成されているコンタクトホール領域のドレイン電極の厚みと有機半導体層で覆われている有機半導体層被覆領域のドレイン電極の厚みとは等しくなっている。
ここで、「コンタクトホールが形成されているコンタクトホール領域のドレイン電極の厚み」とは、ドレイン電極に通じるコンタクトホールが形成されているコンタクトホール領域のドレイン電極の厚みをいう。例えば図5(d)に示すようにコンタクトホール12aおよび第2コンタクトホール12bが形成されている場合には、ドレイン電極4aに通じるコンタクトホール12aが形成されているコンタクトホール領域23のドレイン電極4aの厚みを指す。
また、「コンタクトホールが形成されているコンタクトホール領域のドレイン電極の厚みと有機半導体層で覆われている有機半導体層被覆領域のドレイン電極の厚みとが等しい」とは、同一素子内のコンタクトホール領域のドレイン電極の厚みの平均値および有機半導体層被覆領域のドレイン電極の厚みの平均値に関して、有機半導体層被覆領域のドレイン電極の厚みの平均値を100%としたとき、有機半導体層被覆領域のドレイン電極の厚みの平均値とコンタクトホール領域のドレイン電極の厚みの平均値との差が±30%以内であることをいう。好ましくは±20%以内、さらに好ましくは±10%以内である。なお、ドレイン電極の厚みは、例えばTEMやSEM等により測定することができる。
ソース電極およびドレイン電極の厚みとしては、電極として機能する程度の厚みであれば特に限定されないが、具体的には0.01μm〜1μmの範囲内であることが好ましく、特に0.03μm〜0.5μmの範囲内であることが好ましい。また、ソース電極の厚みおよびドレイン電極の厚みは同一であってもよく異なっていてもよい。
ソース電極およびドレイン電極間のチャネル領域の大きさは、本発明の有機半導体素子の用途等に応じて適宜選択されるものであり、特に限定されるものではない。チャネル領域の幅としては、チャネル領域内に有機半導体層を形成可能な程度であれば特に限定されないが、1μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、特に3μm〜50μmの範囲内、さらに5μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。
ソース電極およびドレイン電極の形成方法としては、例えば、蒸着法等を用いて基材全面に上記金属材料を含む金属層を形成した後、エッチングする方法や、金属マスクを用いて上記金属材料をパターン状に蒸着する方法、印刷法等を挙げることができる。また、リフトオフ法を用いることもできる。金属層の形成方法としては、一般的な電極の形成方法と同様とすることができ、具体的には、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等を挙げることができる。
3.データ配線
本発明におけるデータ配線は、基材上に形成され、上記ソース電極に接続されるものであり、金属材料を含むものである。
なお、金属材料については、上記ソース電極およびドレイン電極に用いられる金属材料と同様であるので、ここでの説明は省略する。
データ配線に含まれる金属材料は、ソース電極およびドレイン電極に含まれる金属材料と同じであってもよく異なっていてもよいが、通常はソース電極、ドレイン電極およびデータ配線は同時に形成されることから、データ配線、ソース電極およびドレイン電極に含まれる金属材料は同一である。
データ配線の厚みおよび形成方法は、ソース電極およびドレイン電極の厚みならびに形成方法と同様とすることができる。中でも、同一の金属材料を用いてソース電極、ドレイン電極およびデータ配線を同時に形成することが好ましい。
4.ゲート電極
本発明の有機半導体素子はゲート電極を有する。
ゲート電極の形成位置は、上述の図1および図2に例示するように有機半導体トラジスタの構造に応じて異なる。
ゲート電極に用いられる導電性材料としては、例えば、Ag、Au、Ta、Ti、Al、Zr、Cr、Nb、Hf、Mo、Mo−Ta合金等の金属材料、ITO、IZO等の金属酸化物材料、PEDOT/PSS等の導電性高分子材料を挙げることができる。
また、トップゲートボトムコンタクト型の有機半導体トラジスタを有する有機半導体素子においては、図1に例示するようにドレイン電極4aに接続された中間電極4bが形成される場合がある。この場合、中間電極に用いられる導電性材料としては、ゲート電極に用いられる導電性材料と同様とすることができる。
ゲート電極の形成方法としては、例えば、真空蒸着法や金属ナノ粒子を塗布および焼結する方法等によって基材全面に導電層を形成した後、パターニングする方法や、基材上に直接パターン状のゲート電極を形成する方法を挙げることができる。導電層のパターニング方法としては、通常、リソグラフィ法が用いられ、中でもフォトリソグラフィ法が好適に用いられる。一方、パターン状のゲート電極を直接形成する方法としては、スクリーン印刷法、インクジェット法等の印刷法や、マスク蒸着法等が好適に用いられる。
また、中間電極が形成されている場合、通常、ゲート電極および中間電極は一括形成される。
5.ゲート絶縁層
本発明の有機半導体素子はゲート絶縁層を有する。ゲート絶縁層は、ソース電極およびドレイン電極とゲート電極とを絶縁する機能を有するものである。
ゲート絶縁層の形成位置は、上述の図1および図2に例示するように有機半導体トラジスタの構造に応じて異なる。
ゲート絶縁層を構成する材料としては、所望の絶縁性を有する絶縁性材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、カルド系樹脂、ビニル系樹脂、イミド系樹脂、ノボラック系樹脂等の有機材料や、SiO、SiN、Al等の無機材料を挙げることができる。絶縁性材料は1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
ゲート絶縁層の形成方法としては、例えば、絶縁性材料として有機材料を用いる場合には、有機材料を溶媒に溶解させたゲート絶縁層形成用塗工液を調製し、これをゲート電極を覆うように塗布する方法を挙げることができる。また、絶縁性材料として無機材料を用いる場合は、例えば、CVD法等を挙げることができる。
また、コンタクトホールを有するゲート絶縁層を形成する場合には、例えばフォトリソグラフィ法、印刷法等を挙げることができる。
6.外部接続端子および検査用端子
本発明においては、例えば図6に示すように基材2上に表示部6の周囲にFPC接続部等の外部接続端子52や検査用端子53が形成されていてもよい。
本発明においては、上述のように外部接続端子や検査用端子の一部を覆うように有機半導体層を形成することができる。
外部接続端子や検査用端子に用いられる材料としては、所望の導電性が得られれば特に限定されるものではなく、例えば、アルミニウム、銀、銅またはそれらの合金等を用いることができる。
外部接続端子や検査用端子の形状、間隔、数等は一般的な有機半導体素子と同様とすることができ、適宜設定される。
7.層間絶縁層
本発明においては、図8および図9に例示するように、ソース電極3、ドレイン電極4、4a、有機半導体層6、ゲート電極8およびゲート絶縁層7の上に層間絶縁層10が形成されていてもよい。層間絶縁層は、後述する外部入出力電極とソース電極およびドレイン電極またはゲート電極とを絶縁するために設けられるものである。また、層間絶縁層には、外部入出力電極およびドレイン電極を接続するために、ドレイン電極上の一部にコンタクトホールが形成されている。
層間絶縁層の材料や厚みは、一般的な有機半導体素子に用いられるものと同様とすることができる。
層間絶縁層の形成方法としては、コンタクトホールを有する層間絶縁層を形成することができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えばフォトリソグラフィ法、印刷法等が挙げられる。
8.コンタクトホール
本発明におけるコンタクトホールは、有機半導体層を貫通し、ドレイン電極に達するように形成されるものである。
コンタクトホールの態様は、有機半導体トラジスタの構造に応じて異なる。
トップゲートボトムコンタクト型の有機半導体トラジスタを有する有機半導体素子においては、図8に例示するようにゲート絶縁層7および有機半導体層6を貫通するコンタクトホール12aと層間絶縁層10を貫通する第2コンタクトホール12bとが形成される場合がある。この場合、コンタクトホール12aおよび第2コンタクトホール12bを合わせたコンタクトホールが、層間絶縁層10および有機半導体層6を貫通して形成されていればよい。
一方、ボトムゲートボトムコンタクト型の有機半導体トラジスタを有する有機半導体素子においては、図9に例示するように層間絶縁層10および有機半導体層6を貫通するコンタクトホール12が形成される。
また、コンタクトホールにおいて、有機半導体層の開口部の大きさと層間絶縁層やゲート絶縁層の開口部の大きさとは同じであってもよく異なっていてもよい。例えば図1に示すように有機半導体層6の開口部がゲート絶縁層7の開口部よりも大きくてもよく、図2に示すように有機半導体層6の開口部が層間絶縁層10の開口部よりも大きくてもよく、図8に示すように有機半導体層6の開口部がゲート絶縁層7の開口部よりも小さくてもよく、図9に示すように有機半導体層6の開口部が層間絶縁層10の開口部よりも小さくてもよい。
有機半導体層にコンタクトホールを形成する方法としては、ソース電極、ドレイン電極およびデータ配線が形成された基材の全面に有機半導体層を形成した後、有機半導体層を真空紫外光を用いてエッチングする方法が好ましい。なお、有機半導体層にコンタクトホールを形成する方法については、後述の「B.有機半導体素子の製造方法」に詳しく記載するので、ここでの説明は省略する。
また、層間絶縁層やゲート絶縁層等にコンタクトホールを形成する方法としては、例えば各層を形成する際に同時にコンタクトホールを形成する方法を挙げることができる。具体的には、フォトリソグラフィ法、印刷法等が挙げられる。
9.外部入出力電極
本発明においては、図8および図9に例示するように、層間絶縁層10上に、コンタクトホール12または第2コンタクトホール12bを通じてドレイン電極4、4aに接続された外部入出力電極11が形成されていてもよい。
外部入出力電極およびドレイン電極の接続の態様は、有機半導体トラジスタの構造に応じて異なる。
トップゲートボトムコンタクト型の有機半導体トラジスタを有する有機半導体素子においては、図8に例示するように、ドレイン電極4aに接続された中間電極4bが形成され、ゲート絶縁層7および有機半導体層6を貫通するコンタクトホール12aと層間絶縁層10を貫通する第2コンタクトホール12bとが形成される場合がある。この場合、コンタクトホール12aを通じてドレイン電極4aおよび中間電極4bが接続され、第2コンタクトホール12bを通じて中間電極4bおよび外部入出力電極11が接続されていればよい。
一方、ボトムゲートボトムコンタクト型の有機半導体トラジスタを有する有機半導体素子においては、図9に例示するようにコンタクトホール12を通じてドレイン電極4および外部入出力電極11が接続される。
外部入出力電極としては、一般的な有機半導体素子に用いられるものと同様とすることができる。例えば、本発明の有機半導体素子を表示装置の駆動に用いる場合は、画素電極を挙げることができる。また、本発明の有機半導体素子を圧力センサーや温度センサーに用いる場合は、入力電極を挙げることができる。
外部入出力電極に用いられる導電性材料としては、Al、Ti、Cr、Cu等の金属材料、ITO、IZO等の金属酸化物材料、カーボンペーストや銀ペースト等の導電性ペースト材料、PEDOT/PSS等の導電性高分子材料が挙げられる。
また、外部入出力電極の形成方法としては、一般的な電極の形成方法と同様とすることができる。
10.基材
本発明における基材は、上述した各層を支持するものである。
基材としては所定の自己支持性を備えるものであれば特に限定されるものではなく、本発明の有機半導体素子の用途等に応じて任意の機能を有する基材を用いることができる。基材としては、ガラス基材等の可撓性を有さないリジット基材、および、プラスチック樹脂からなるフィルム等の可撓性を有するフレキシブル基材を挙げることができる。プラスチック樹脂としては、例えば、PET、PEN、PES、PI、PEEK、PC、PPSおよびPEI等を挙げることができる。
また、基材は単一層からなるものであってもよく、または、複数の層が積層された構成を有するものであってもよい。複数の層が積層された構成を有する基材としては、上記プラスチック樹脂からなる基材上に、金属材料からなるバリア層が積層された構成を有するものを例示することができる。プラスチック樹脂からなる基材は、本発明の有機半導体素子を可撓性を有するフレキシブルなものにできるという利点を有する反面、表面に損傷を受けやすいという欠点を有することが指摘されている。しかしながら、バリア層が積層された基材を用いることにより、プラスチック樹脂からなる基材を用いる場合であっても、上記のような欠点を解消することができるという利点がある。
基材の厚みは、通常、1mm以下であることが好ましく、中でも50μm〜700μmの範囲内であることが好ましい。なお、基材が複数の層が積層された構成を有するものである場合、上記厚みは各層の厚みの総和を意味する。
11.その他の構成
本発明の有機半導体素子は、上述した各構成を有するものであれば特に限定されるものではなく、他にも必要な構成を適宜追加することが可能である。
(1)遮光層
本発明においては、有機半導体層上に遮光層が形成されていてもよい。遮光層は、有機半導体層への光照射を防ぐために設けられるものである。遮光層が形成されていることにより、オフ電流の増加や有機半導体層の経時的劣化を抑制することができる。
遮光層に用いられる遮光性材料としては、有機半導体層が吸収する波長であって、オフ電流の増加や有機半導体層の劣化の原因となる波長の光を遮蔽することができるものであれば特に限定されるものではない。このような遮光性材料としては、例えば光を吸収する材料を挙げることができ、具体的には有機半導体層が吸収する波長にもよるが、カーボンブラック、チタンブラック、黒色酸化鉄等の金属酸化物、硫化ビスマス等の金属硫化物、フタロシアニンブラック、ニグロシン、アニリンブラック、ペリレンブラック等の黒色有機顔料、赤、緑、青等の有彩色有機顔料の混合物等を挙げることができる。また、光を散乱する材料を用いることもでき、具体的には酸化珪素、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化チタン、チタン酸バリウム等の無機物の微粒子、アクリル系樹脂、ジビニルベンゼン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、スチレン系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の有機物の微粒子、あるいは、これらの2種以上の混合系の微粒子を挙げることができる。
遮光層では、通常、上記の遮光性材料がバインダー樹脂に分散されている。バインダー樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、カルド系樹脂、ビニル系樹脂、イミド系樹脂、ノボラック系樹脂等の樹脂材料を挙げることができる。
遮光層の形成位置としては、有機半導体層上に遮光層が形成されていればよく、例えば図8および図9に示すようにソース電極、ドレイン電極、有機半導体層、ゲート電極およびゲート絶縁層の上に遮光層を形成することができる。
遮光層の形成方法としては、例えば、上記の遮光性材料およびバインダー樹脂を溶媒に溶解もしくは分散させた遮光層形成用塗工液を調製し、これを塗布する方法を挙げることができる。また、コンタクトホールを有する遮光層を形成する場合には、例えばフォトリソグラフィ法、印刷法等を挙げることができる。
(2)パッシベーション層
本発明においては、外部入出力電極を覆うようにパッシベーション層が形成されていてもよい。パッシベーション層は、空気中に存在する水分や酸素の作用により有機半導体層が劣化するのを防止するために設けられるものである。パッシベーション層が形成されていることにより、有機半導体層の劣化を防止することが可能になることから、経時的な劣化の少ない高性能な有機半導体素子とすることができる。
パッシベーション層を構成する材料としては、空気中の水分や酸素を透過しにくく、有機半導体層の劣化を所望の程度に防止できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、アクリル樹脂やフッ素系樹脂等を挙げることができる。
パッシベーション層の厚みは、パッシベーション層を構成する材料等に応じて適宜調整されるものであるが、例えば0.1μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、中でも1μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。
パッシベーション層の形成方法としては、所望の有機半導体層の劣化防止機能を有するパッシベーション層を形成することが可能な方法であれば特に限定されず、一般的な有機半導体素子のパッシベーション層を形成する際に用いられる方法と同様とすることができる。
12.用途
本発明の有機半導体素子の用途としては、例えば、TFT方式を用いる表示装置のTFTアレイ基板として用いることができる。このような表示装置としては例えば、液晶表示装置、電気泳動表示装置、有機EL表示装置等を挙げることができる。また、有機半導体素子は、温度センサーや圧力センサー等に用いることもできる。
13.有機半導体素子の製造方法
本発明の有機半導体素子の製造方法としては、上記構成を有する有機半導体素子を製造できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、後述する「B.有機半導体素子の製造方法」の項において説明する方法を用いることができる。
B.有機半導体素子の製造方法
本発明の有機半導体素子の製造方法は、金属材料を含むソース電極、ドレイン電極およびデータ配線が形成された基材上に、有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程と、上記ドレイン電極に達するコンタクトホールが形成されるコンタクトホール領域以外の上記ソース電極、上記ドレイン電極および上記データ配線が形成されている電極領域、ならびに上記ソース電極および上記ドレイン電極の間のチャネル領域の上記有機半導体層上にレジスト層を形成し、上記レジスト層および上記有機半導体層に真空紫外光を照射することにより、上記レジスト層が形成されていない部位の上記有機半導体層をエッチングし、上記レジスト層を除去する有機半導体層パターニング工程とを有することを特徴とする。
本発明の有機半導体素子の製造方法について図を用いて説明する。
図4(a)〜(g)および図5(a)〜(d)は本発明の有機半導体素子の製造方法の一例を示す工程図である。
まず、図4(a)に示すように、ソース電極3およびドレイン電極4aが形成された基材2を準備する。次に、図4(b)に示すように、基材2の全面に有機半導体層6を形成する有機半導体層形成工程を行う。
次に、図4(c)に示すように、ソース電極3およびドレイン電極4aの間のチャネル領域21ならびにコンタクトホールが形成されるコンタクトホール領域23以外のソース電極3およびドレイン電極4aが形成されている電極領域22の有機半導体層6上にレジスト層31を形成する。次いで、図4(d)〜(e)に示すように、レジスト層31および有機半導体層6に真空紫外光Lを照射することにより、レジスト層31が形成されていない部位の有機半導体層6をエッチングする。その後、図4(f)に示すように、レジスト層31を除去する。これにより、ソース電極3およびドレイン電極4aを覆うように、コンタクトホール12aを有する有機半導体層6が形成される。このようにして有機半導体層パターニング工程を行う。
次に、図4(g)に示すように、コンタクトホール12aが形成されるコンタクトホール領域23以外に有機半導体層6を覆うようにゲート絶縁層7を形成する。次いで、図5(a)に示すようにゲート絶縁層7上にゲート電極8を形成する。また、図5(a)に示すようにゲート絶縁層7上にコンタクトホール12aを通じてドレイン電極4aに接続された中間電極4bを形成する。
次に、図5(b)に示すように第2コンタクトホール12bが形成される第2コンタクトホール領域以外に、ゲート電極8および中間電極4bを覆うように遮光層9を形成する。次いで、図5(c)に示すように遮光層9上に、第2コンタクトホール12bが形成される第2コンタクトホール領域以外に層間絶縁層10を形成する層間絶縁層形成工程を行う。続いて、図5(d)に示すように層間絶縁層10上に、第2コンタクトホール12bを通じて中間電極4bに接続された外部入出力電極11を形成する外部入出力電極形成工程を行う。
本発明においては、チャネル領域およびコンタクトホール領域以外の電極領域の有機半導体層上にレジスト層を形成することから、図4(d)〜(e)に示すように真空紫外光Lを照射して有機半導体層6をエッチングする際、コンタクトホール領域23を除いてソース電極3およびドレイン電極4aは有機半導体層6およびレジスト層31で覆われている。そのため、ソース電極3およびドレイン電極4aが酸素と接触するのを防ぐことができる。さらに、ソース電極3およびドレイン電極4aに、高エネルギー光である紫外領域の光、とりわけ高エネルギーである真空紫外光Lが照射されるのを防ぐことができる。なお、図4(a)〜(g)および図5(a)〜(d)にはデータ配線が図示されていないが、データ配線についてもソース電極およびドレイン電極と同様に酸素との接触および真空紫外光の照射を防ぐことができる。
したがって本発明においては、有機半導体層パターニング工程にて真空紫外光を用いて有機半導体層をエッチングする際に、ソース電極、ドレイン電極およびデータ配線が酸化されるのを抑制することが可能であり、電極性能の低下や断線を抑えることができるとともに、ソース電極およびドレイン電極と有機半導体層との電気的接続性を向上させることができる。
また本発明によれば、コンタクトホール領域の有機半導体層上にはレジスト層を形成せず、真空紫外光を用いて有機半導体層をエッチングすることで有機半導体層にコンタクトホールを形成することから、コンタクトホール領域のドレイン電極の厚みが薄くなるのを抑制することができる。したがって、ドレイン電極と外部入出力電極との接触不良を抑えることができ、電気的信頼性の高い有機半導体素子を得ることができる。
ここで、従来のように各層を積層した後にレーザーエッチング法によりコンタクトホールを形成する場合には、レーザー照射部分のドレイン電極が損傷を受けることから、コンタクトホール領域とコンタクトホール領域以外の領域とでドレイン電極の厚みを均一にすることは困難である。
これに対し本発明においては、真空紫外光を用いて有機半導体層をエッチングすることによりコンタクトホールを形成しており、真空紫外光はレーザーに比べてエネルギーが低いため、真空紫外光照射部分のドレイン電極までエッチングされるのを防ぐことができ、コンタクトホール領域とコンタクトホール領域以外の領域とで厚みの均一なドレイン電極を得ることが可能である。
以下、本発明の有機半導体素子の製造方法における各工程について説明する。
1.有機半導体層形成工程
本発明における有機半導体層形成工程は、金属材料を含むソース電極、ドレイン電極およびデータ配線が形成された基材上に、有機半導体層を形成する工程である。
なお、有機半導体層に用いられる有機半導体材料等については、上述した「A.有機半導体素子」の項で記載したので、ここでの説明は省略する。
有機半導体層の形成方法としては、例えば、有機半導体材料が溶媒に可溶である場合は、有機半導体材料を溶媒に溶解して有機半導体層形成用塗工液を調製した後、これを基材上の塗布する方法が挙げられる。塗布方法としては、例えば、スピンコート法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、LB法、ディップコート法、スプレーコート法、ブレードコート法、およびキャスト法等を挙げることができる。一方、有機半導体材料が溶媒に不溶である場合は、例えば、真空蒸着法等のドライプロセスが挙げられる。
また、有機半導体層が形成される基材上には、ソース電極、ドレイン電極およびデータ配線の他に、外部接続端子や検査用端子等の端子が形成されていてもよい。
なお、基材、ソース電極、ドレイン電極、データ配線および端子等については、上述の「A.有機半導体素子」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
2.有機半導体層パターニング工程
本発明における有機半導体層パターニング工程は、上記ドレイン電極に達するコンタクトホールが形成されるコンタクトホール領域以外の上記ソース電極、上記ドレイン電極および上記データ配線が形成されている電極領域、ならびに上記ソース電極および上記ドレイン電極の間のチャネル領域の上記有機半導体層上にレジスト層を形成し、上記レジスト層および上記有機半導体層に真空紫外光を照射することにより、上記レジスト層が形成されていない部位の上記有機半導体層をエッチングし、上記レジスト層を除去する工程である。
レジスト層は、真空紫外光を用いた有機半導体層のエッチング時に真空紫外光を遮蔽するものである。レジスト層の真空紫外光の遮蔽性としては、照射される真空紫外光の波長に応じて適宜決定すればよい。具体的には、レジスト層の真空紫外光の透過率が10%以下であることが好ましく、特に3%以下、さらには1%以下であることが好ましい。
また、レジスト層は、真空紫外光を用いた有機半導体層のエッチング時に酸素を遮蔽するものであることが好ましい。これにより、ソース電極、ドレイン電極およびデータ配線の酸化をさらに抑制することができる。レジスト層の酸素の遮蔽性としては、具体的には、レジスト層の酸素透過率が、温度23℃、湿度90%の条件下において1cc/m/day/atm以下であることが好ましい。ここで、酸素透過率は、モダンコントロール(株)製の酸素ガス透過率測定装置OX−TRAN 2/20を用いて測定した値である。
レジスト層に用いられる材料としては、照射される真空紫外光に対して所定の遮蔽性を有するレジスト層が得られるものであれば特に限定されるものではない。このような材料としては、例えば、PVP、PVA、PMMA、PS、ポリエチレンオキサイド、水系エポキシ樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド、カルド系樹脂等を挙げることができる。これらの材料は1種類のみ用いてもよく2種類以上を混合して用いてもよい。
レジスト層は、ソース電極およびドレイン電極の間のチャネル領域、ならびに、コンタクトホールが形成されるコンタクトホール領域以外のソース電極、ドレイン電極およびデータ配線が形成されている電極領域の有機半導体層上に形成される。レジスト層は、真空紫外光を用いて有機半導体層をエッチングする際に、真空紫外光に対するマスクとして用いられる。そのため、レジスト層のパターン形状は、エッチング後の有機半導体層のパターン形状と同一になる。なお、エッチング後の有機半導体層の形成位置については、上記「A,有機半導体素子」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
レジスト層の厚みとしては、真空紫外光に対して所定の遮蔽性が得られる程度であれば特に限定されるものではないが、100μm以下であることが好ましく、特に0.1μm〜10μmの範囲内、さらには0.3μm〜1μmの範囲内であることが好ましい。
レジスト層の形成方法としては、所定の領域の有機半導体層上にレジスト層を形成することが可能であれば特に限定されるものではなく、例えば、フォトリソグラフィ法や、インクジェット法、スクリーン印刷法、パッド印刷法、フレキソ印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法等の印刷法を挙げることができる。
有機半導体層をパターニングするに際しては、真空紫外光をレジスト層および有機半導体層に照射することによって、レジスト層が形成されていない部位の有機半導体層を除去する。
ここで、「真空紫外光」とは、波長が10nm〜200nmの範囲内である紫外線をいう。本発明に用いられる真空紫外光としては、有機半導体層を所望の時間内に除去できる波長を有していれば特に限定されるものではなく、有機半導体層を構成する有機半導体材料の種類に応じて適切な波長の真空紫外光を用いればよい。中でも、真空紫外光の波長は126nm〜193nmの範囲内、さらに172nmであることが好ましい。このような波長範囲の真空紫外光を用いることにより、有機半導体層を構成する有機半導体材料の種類に関わらず、有機半導体層を短時間でパターニングすることが可能になるからである。
真空紫外光の照射に用いられる光源としては、例えば、エキシマランプ、低圧水銀ランプ、その他種々の光源を挙げることができる。
また、真空紫外光の照射量としては、有機半導体層をエッチングできる範囲内であれば特に限定されるものではなく、有機半導体層を構成する有機半導体材料の種類や、真空紫外光の波長等によって適宜調整すればよい。
真空紫外光の照射方法としては、レジスト層および有機半導体層に均一な照射量で真空紫外光を照射できる方法であれば特に限定されない。このような照射方法としては、例えば、レジスト層および有機半導体層の全面を同時に照射する方法、および、光源またはレジスト層および有機半導体層が形成された基材の少なくとも一方を移動させながら、レジスト層および有機半導体層の全面を順次に照射する方法を挙げることができる。
中でも、後者の方法を用いることが好ましい。その理由は次の通りである。すなわち、真空紫外光は指向性のない分散光であるため、レジスト層および有機半導体層の全面を同時に照射する方法では、例えば、大面積のレジスト層および有機半導体層に真空紫外光を照射する場合に、中央部と端部とで真空紫外光の照射量に差が生じてしまう可能性がある。しかしながら、レジスト層および有機半導体層の全面を順次に照射する方法によれば、たとえ大面積のレジスト層および有機半導体層に真空紫外光を照射する場合であっても、全面に対して均一に真空紫外光を照射することが容易になるからである。
また、上記の順次に照射する方法の中でも、レジスト層および有機半導体層が形成された基材を固定し、光源を移動させながら照射する方法を用いることが好ましい。このような方法によれば、大面積のレジスト層および有機半導体層に均一に真空紫外光を照射することが容易になるからである。
真空紫外光の光源は、1つであってもよく、複数を用いてもよい。また、複数個の光源を用いる場合において、真空紫外光の照射方法として光源を移動させながら照射する方法を用いる場合は、複数個の光源を同時に移動させてもよく、個別に移動させてもよい。
レジスト層の除去方法としては、一般的なレジスト層の除去方法を用いることができ、ウェットプロセスおよびドライプロセスのいずれも適用することができる。
3.ゲート電極形成工程
本発明においては、ゲート電極を形成するゲート電極形成工程が行われる。
ゲート電極形成工程の順序は、有機半導体トラジスタの構造に応じて適宜選択される。
なお、ゲート電極の材料および形成方法等については、上述した「A.有機半導体素子」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
4.ゲート絶縁層形成工程
本発明においては、ゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程が行われる。
ゲート絶縁層形成工程の順序は、有機半導体トラジスタの構造に応じて適宜選択される。
なお、ゲート絶縁層の材料および形成方法等については、上述した「A.有機半導体素子」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
5.層間絶縁層形成工程
本発明においては、上記ソース電極、ドレイン電極、有機半導体層、ゲート電極およびゲート絶縁層の上に、コンタクトホールを有する層間絶縁層を形成する層間絶縁層形成工程を行ってもよい。
なお、層間絶縁層の材料および形成方法等については、上述した「A.有機半導体素子」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
6.外部入出力電極形成工程
本発明においては、上記層間絶縁層上に、上記コンタクトホールを通じて上記ドレイン電極に接続された外部入出力電極を形成する外部入出力電極形成工程を行ってもよい。
なお、外部入出力電極の材料および形成方法等については、上述した「A.有機半導体素子」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
7.その他の工程
本発明の有機半導体素子の製造方法は、上述した各工程を有する製造方法であれば特に限定されず、必要な工程を適宜選択して追加することができる。
(1)遮光層形成工程
本発明においては、有機半導体層上に遮光層を形成する遮光層形成工程を行ってもよい。
なお、遮光層の材料および形成方法等については、上述した「A.有機半導体素子」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
(2)パッシベーション層形成工程
本発明においては、有機半導体素子の各層を覆うようにパッシベーション層を形成するパッシベーション層形成工程を行ってもよい。
なお、パッシベーション層の材料および形成方法等については、上述した「A.有機半導体素子」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
8.有機半導体素子
本発明の有機半導体素子の製造方法により製造される有機半導体素子は、ボトムゲートボトムコンタクト型またはトップゲートボトムコンタクト型の有機トランジスタを有するものである。なお、有機半導体素子については、「A.有機半導体素子」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
ガラス基材上の全面に銀を厚み40nmでスパッタ蒸着した。次に、銀スパッタ膜上にポジ型フォトレジストをスピンコートにて塗布してレジスト層を形成し、フォトマスクを用いた露光および現像工程を経て、レジスト層をパターニングした。次いで、エッチング処理を施して、レジスト層が形成されていない部位の銀スパッタ膜をエッチングした後、レジスト層を除去した。これにより、ソース電極、ドレイン電極およびデータ配線を形成した。
次に、チオフェン系ポリマーをキシレンに固形分濃度1wt%にて溶解させた有機半導体のキシレン溶液を準備し、ソース電極、ドレイン電極およびデータ配線を形成した基材表面にスピンコートにて塗布し、膜厚50nmの有機半導体層を基材全面に形成した。次いで、ポジ型レジストを有機半導体層上にスピンコートしてレジスト層を形成し、フォトマスクを介した露光およびアルカリ現像工程を行い、レジスト層をパターニングし、チャネル領域ならびにソース電極、ドレイン電極およびデータ配線を覆うようにレジスト層を形成した。この際、コンタクトホールが形成されるコンタクトホール領域にはレジスト層が形成されないようにした。
次に、大気下で、波長172nm、照度3mW/cmの真空紫外線を60秒間照射し、レジスト層で覆われている部位以外の有機半導体層をエッチング除去し、有機半導体層のパターニングを行った。その後、レジスト層を除去した。
次に、有機半導体層まで形成された基材上に、紫外線感光性アクリル系樹脂をスピンコートしてゲート絶縁層を形成し、フォトマスクを介した露光およびアルカリ現像工程を行い、ゲート絶縁層のパターニングを行った。この際、ゲート絶縁層にコンタクトホールが形成されるようにパターニングした。次いで、150℃のオーブンにて加熱硬化させ、膜厚1μmのゲート絶縁層を形成した。
次に、ゲート絶縁層まで形成された基材上に、Alを厚み200nmでスパッタ蒸着した。続いて、Alスパッタ膜上にポジ型フォトレジストをスピンコートにて塗布してレジスト層を形成し、フォトマスクを用いた露光および現像工程を経て、レジスト層をパターニングした。エッチング処理を施して、レジスト層が形成されていない部位のAlスパッタ膜をエッチングした後、レジスト層を除去した。これにより、ゲート電極および中間電極を形成した。
次に、ゲート電極および中間電極まで形成された基材上に、紫外線感光性樹脂をスピンコートして遮光層を形成し、フォトマスクを介した露光およびアルカリ現像工程を行い、遮光層のパターニングを行った。この際、遮光層にコンタクトホールが形成されるようにパターニングした。次いで、150℃のオーブンにて加熱硬化させ、膜厚2μmの遮光層を形成した。
次に、遮光層上に紫外線感光性アクリル系樹脂をスピンコートして層間絶縁層を形成し、フォトマスクを介した露光およびアルカリ現像工程を行い、層間絶縁層のパターニングを行った。この際、層間絶縁層にコンタクトホールが形成されるようにパターニングした。次いで、150℃のオーブンにて加熱硬化させ、膜厚4μmの層間絶縁層を形成した。
次に、層間絶縁層上にカーボンペーストをスクリーン印刷にてパターン印刷し、120℃のオーブンにて焼成を行い、膜厚5μmの外部入出力電極を形成した。この工程にて、外部入出力電極と有機半導体トランジスタのドレイン電極とを導通させた。
[比較例1]
有機半導体層をチャネル領域のみに形成したこと以外は、実施例1と同様に作製した。
[評価]
実施例1および比較例1の有機半導体トランジスタの電気特性を比較したところ、On電流およびOff電流ともに同じ値を示しており、データ配線上に有機半導体層を形成したことによる特性への悪影響は無かった。
また、比較例1ではデータ配線が酸化したことによる断線が確認されたが、実施例1では酸化による断線は確認されなかった。
また、実施例1の有機半導体トランジスタを収束イオンビーム(FIB)で切削加工し、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することで、コンタクトホール領域のドレイン電極の厚みおよび有機半導体層被覆領域のドレイン電極の厚みを測定した。結果、アレイの任意の5個の素子において、同一素子内の有機半導体層被覆領域のドレイン電極の厚みの平均値とコンタクトホール領域のドレイン電極の厚みの平均値との差は、有機半導体層被覆領域のドレイン電極の厚みの平均値を100%としたとき、±10%以内であり、両者の厚みが等しいことを確認した。
1 … 有機半導体素子
2 … 基材
3 … ソース電極
4、4a … ドレイン電極
4b … 中間電極
5 … データ配線
6 … 有機半導体層
7 … ゲート絶縁層
8 … ゲート電極
9 … 遮光層
10 … 層間絶縁層
11 … 外部入出力電極
12、12a … コンタクトホール
12b … 第2コンタクトホール
21 … チャネル領域
22 … 電極領域
23 … コンタクトホール領域
24 … 有機半導体層被覆領域
L … 真空紫外光

Claims (1)

  1. 金属材料を含むソース電極、ドレイン電極およびデータ配線が形成された基材上に、有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程と、
    前記ドレイン電極に達するコンタクトホールが形成されるコンタクトホール領域以外の前記ソース電極、前記ドレイン電極および前記データ配線が形成されている電極領域、ならびに前記ソース電極および前記ドレイン電極の間のチャネル領域の前記有機半導体層上にレジスト層を形成し、前記レジスト層および前記有機半導体層に真空紫外光を照射することにより、前記レジスト層が形成されていない部位の前記有機半導体層をエッチングし、前記レジスト層を除去する有機半導体層パターニング工程と
    を有することを特徴とする有機半導体素子の製造方法。
JP2013170503A 2013-08-20 2013-08-20 有機半導体素子およびその製造方法 Expired - Fee Related JP6160361B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013170503A JP6160361B2 (ja) 2013-08-20 2013-08-20 有機半導体素子およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013170503A JP6160361B2 (ja) 2013-08-20 2013-08-20 有機半導体素子およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015041636A JP2015041636A (ja) 2015-03-02
JP6160361B2 true JP6160361B2 (ja) 2017-07-12

Family

ID=52695652

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013170503A Expired - Fee Related JP6160361B2 (ja) 2013-08-20 2013-08-20 有機半導体素子およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6160361B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102548296B1 (ko) * 2017-06-05 2023-06-28 삼성디스플레이 주식회사 표시 장치용 패턴 적층 구조 및 적층 방법

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100766318B1 (ko) * 2005-11-29 2007-10-11 엘지.필립스 엘시디 주식회사 유기 반도체 물질을 이용한 박막트랜지스터와 이를 구비한액정표시장치용 어레이 기판 및 그 제조방법
KR100768199B1 (ko) * 2006-01-02 2007-10-17 삼성에스디아이 주식회사 유기 박막 트랜지스터 및 이를 구비한 유기 발광 표시 장치
JP5098269B2 (ja) * 2006-09-26 2012-12-12 大日本印刷株式会社 有機半導体素子の製造方法
JP5098270B2 (ja) * 2006-09-26 2012-12-12 大日本印刷株式会社 有機半導体素子の製造方法
JP2010212326A (ja) * 2009-03-09 2010-09-24 Seiko Epson Corp 半導体装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015041636A (ja) 2015-03-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8445901B2 (en) Manufacturing method of semiconductor device
JP4550030B2 (ja) 有機薄膜トランジスタ及びそれを含む平板ディスプレイ装置
EP1657751B1 (en) Organic thin film transistor and method of manufacturing the same
KR101282534B1 (ko) 적층 구조체, 전자 소자, 및 표시 장치
JP5256676B2 (ja) 有機半導体素子、有機半導体素子の製造方法、有機トランジスタアレイ、およびディスプレイ
US20100244015A1 (en) Organic semiconductor device, manufacturing method of same, organic transistor array, and display
JP5741832B2 (ja) アクティブマトリックス基板及びアクティブマトリックス基板の製造方法、液晶表示装置
JP2008243582A (ja) 有機薄膜トランジスタ基板及びその製造方法、並びに、画像表示パネル及びその製造方法
TWI404246B (zh) Semiconductor device, manufacturing method thereof, and display device
JP6031650B2 (ja) 表示装置およびその製造方法、並びに電子機器
JP2009087996A (ja) 有機半導体素子、有機半導体素子の製造方法、有機トランジスタアレイ、およびディスプレイ
JP2007335560A (ja) 有機薄膜トランジスタ、表示装置、有機薄膜トランジスタの製造方法
JP5332145B2 (ja) 積層構造体、電子素子、電子素子アレイ及び表示装置
US20140291687A1 (en) Display unit, manufacturing method thereof, and electronic apparatus
JP2015233044A (ja) 有機半導体素子の製造方法および有機半導体素子
JP6160361B2 (ja) 有機半導体素子およびその製造方法
JP5870502B2 (ja) 有機半導体素子およびその製造方法
JP6277625B2 (ja) 有機半導体素子およびその製造方法
JP2016001689A (ja) 有機半導体素子
JP6435651B2 (ja) 有機半導体素子
JP2009026901A (ja) 積層構造体、電子素子、電子素子アレイ及び表示装置
JP5181586B2 (ja) 有機半導体素子、有機半導体素子の製造方法、有機トランジスタアレイ、およびディスプレイ
JP5685932B2 (ja) 薄膜トランジスタ
JP5205894B2 (ja) 有機半導体素子、有機半導体素子の製造方法、有機トランジスタアレイ、およびディスプレイ
JP2008109116A (ja) 有機半導体素子、有機半導体素子の製造方法、有機トランジスタアレイ、およびディスプレイ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160624

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170223

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170228

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170427

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170516

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170529

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6160361

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees