JP6156902B2 - リフトオフ法用レジスト剤、及び導体パターンの形成方法 - Google Patents

リフトオフ法用レジスト剤、及び導体パターンの形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、基材上にリフトオフ法により導体パターンを形成するにあたって、基材上にレジスト皮膜を形成するために用いられるリフトオフ法用レジスト剤、及び導体パターンの形成方法に関する。
従来、基材上に微細な導体パターンを形成するための手法の一つとして、リフトオフ法が採用されている。このリフトオフ法は、微細な導体配線を備える配線基板を形成するためなどに利用されている。また、近年、ITO等からなる透明電極を形成するためにも利用されている。
一般的なリフトオフ法においては、レジスト剤として感光性レジスト剤料が用いられる。このレジスト剤が基材上に塗布され、続いてフォトリソグラフィによってパターニングされることで、レジスト皮膜が形成される。続いて、基材上に、蒸着、スパッタリング等によって、金属等の導体が成膜される。続いて、基材上からレジスト皮膜が除去される。これにより、レジスト皮膜上の導体もレジスト皮膜と一緒に除去される。これにより、基材上に残存する導体によって、導体パターンが形成される。
基材上からレジスト皮膜を除去するにあたっては、レジスト皮膜を、このレジスト皮膜の組成に応じた適宜のレジスト除去液に曝すことで、レジスト皮膜を溶解させている。
しかし、レジスト皮膜は導体で覆われているため、レジスト皮膜にはレジスト除去液が浸透しにくい。このため、基材上にレジスト皮膜の一部が除去されずに残存しやすい。
そこで、特許文献1では、次のような、レジスト剤として用いられるリフトオフ法用ネガ型感光性樹脂組成物が、提案されている。
(A)下記(a)群から選ばれる少なくとも1種の光重合開始剤と下記(b)群から選ばれる少なくとも1種の光重合開始剤を(a):(b)の重量比が1:10〜10:1となるように含有してなる光重合開始剤成分、
(a)ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ビイミダゾール類
(b)アセトフェノン類、アシルフォスフィンオキサイド類
(B)アルカリ可溶性樹脂、及び
(C)希釈剤
(D)重合禁止剤又は連鎖移動剤
を含有してなる感光性樹脂組成物であって、選択露光により形成される硬化皮膜の膜厚が0.5〜500μmであるときに、硬化皮膜端がオーバーハング又はバックテーパ様の形状をなし、該硬化皮膜端において、硬化皮膜上面と側面が交差する線と、硬化皮膜下端と基材が交差する線とを含む面が、現像により露出した基材面と形成する角度θが85°〜45°であることを特徴とするリフトオフ法用ネガ型感光性樹脂組成物。
このリフトオフ法用ネガ型感光性樹脂組成物を用いると、広範囲なレジスト膜厚条件下において、その硬化皮膜端がオーバーハング又はバックテーパ様の形状をなし、該硬化皮膜端において、皮膜上面と側面が交差する線と、下端と基材が交差する線とを含む面が、現像により露出した基材面と形成する角度θを所望の範囲に制御することが容易であり、これにより、レジスト皮膜の側面部分への導体の成膜を抑制することで、レジスト皮膜の側面部分からのレジスト除去液の浸透を促進することができる。
しかし、レジスト皮膜の側面からのレジスト除去液の浸透を確保しても、レジスト皮膜の面積が大きい場合などには、レジスト皮膜の内奥までレジスト除去液が行き渡りにくくなることがある。このような場合には、基材上にレジスト皮膜の一部が残存しやすくなってしまう。
特許第4047588号公報
本発明は上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、基材上にリフトオフ法により導体パターンを形成するにあたって、基材上にレジスト皮膜を形成するために用いられるリフトオフ法用レジスト剤であって、基材上から容易に除去可能なレジスト皮膜を形成することができるレジスト剤を提供することにある。
本発明に係るリフトオフ法用レジスト剤は、基材上にリフトオフ法により導体パターンを形成するにあたって、基材上にレジスト皮膜を形成するために用いられるリフトオフ法用レジスト剤であって、水溶性ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする。
前記水溶性ポリエステル樹脂が、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分との重合生成物であり、前記多価カルボン酸成分に5−スルホン酸ナトリウムジメチルイソフタル酸が含まれていることが、好ましい。
前記多価カルボン酸成分に対する前記5−スルホン酸ナトリウムジメチルイソフタル酸の割合が、10〜80モル%の範囲であることが、好ましい。
前記レジスト剤が、前記水溶性ポリエステル樹脂以外の水溶性高分子を更に含有することが、好ましい。
前記レジスト剤が、前記水溶性高分子を前記水溶性ポリエステル樹脂に対して1〜600質量%の割合で含有することが、好ましい。
前記水溶性ポリエステル樹脂が、アルカリ金属化合物によって中和されている酸基を備えることが、好ましい。
前記レジスト剤が、平均粒径0.03〜10μmの無機フィラーを更に含有することが、好ましい。
前記レジスト剤が、前記無機フィラーを、樹脂全量に対して0.1〜400質量%の割合で含有することが、好ましい。
本発明によれば、レジスト剤が水溶性ポリエステル樹脂を含有することから、このレジスト剤から形成される皮膜の水溶性が非常に高くなり、このためこの皮膜を水系のレジスト除去液によって容易に除去することができる。このため、このレジスト剤を、基材上にリフトオフ法により導体パターンを形成するにあたって、基材上にレジスト皮膜を形成するために、好適に用いることができる。
本実施形態におけるレジスト剤は、水溶性ポリエステル樹脂を含有する。
水溶性ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸成分とグリコール成分との重合生成物である。多価カルボン酸成分及びグリコール成分のうち少なくとも一方は、水溶性ポリエステル樹脂に水溶性を付与するための成分(水溶性付与成分)を含むことが好ましい。
尚、水溶性ポリエステル樹脂が水溶性を有することは、技術常識に基づいて判断される。特に、水溶性ポリエステル樹脂のみから形成される厚み20μmの薄膜の表面全体に常温の水を0.005MPaの噴霧圧で20分間噴霧すると、この薄膜が全て水に溶解することが好ましい。或いは、水溶性ポリエステル樹脂のみから形成される厚み20μmの薄膜の表面全体に50℃の水を0.005MPaの噴霧圧で10分間噴霧すると、この薄膜が全て水に溶解することが好ましい。或いは、水溶性ポリエステル樹脂と常温の水とを1:5の質量比で混合し、得られた液に超音波を20分間加えると、水溶性ポリエステル樹脂が水に全て溶解することが好ましい。或いは、水溶性ポリエステル樹脂と50℃の水とを1:5の質量比で混合し、得られた液に超音波を10分間加えると、水溶性ポリエステル樹脂が水に全て溶解することが好ましい。
多価カルボン酸成分は、二価以上の多価カルボン酸と多価カルボン酸のエステル形成性誘導体とから選択される、1種以上の化合物から成る。多価カルボン酸のエステル形成性誘導体とは、多価カルボン酸の無水物、エステル、酸クロライド、ハロゲン化物等の誘導体であって、後述するグリコール成分と反応してエステルを形成する化合物である。多価カルボン酸は、一分子あたり二以上のカルボキシル基を備える。
グリコール成分は、グリコールとグリコールのエステル形成性誘導体とから選択される、1種以上の化合物から成る。グリコールのエステル形成性誘導体とは、グリコールに対応するジアセテート化合物等のようなグリコールの誘導体であって、多価カルボン酸成分と反応してエステルを形成する化合物である。
多価カルボン酸は、カルボキシル基以外に、反応性の官能基を備えないことが好ましい。また、グリコールは、ヒドロキシル基以外には、反応性の官能基を備えないことが好ましい。特に多価カルボン酸とグリコールとが、共に反応性の官能基を備えないことが好ましい。これらの場合、水溶性ポリエステル樹脂の反応性の官能基の量が低減し、或いは水溶性ポリエステル樹脂が反応性を備えなくなる。そうすると、水溶性ポリエステル樹脂の反応性が低減し、このため水溶性ポリエステル樹脂が加熱されても水溶性ポリエステル樹脂の水溶性が低下しにくくなる。尚、後述する水溶性付与成分が有するイオン性の極性基は、反応性の官能基には含まれない。
特に、多価カルボン酸は、ヒドロキシル基、エチレン性不飽和結合、アミノ基、イミノ基、ヒドラジノ基、ニトロ基、カルボニル基、エポキシ基、及びシアノ基のうち、いずれも備えないことが好ましい。また、グリコールは、エチレン性不飽和結合、アミノ基、イミノ基、ヒドラジノ基、ニトロ基、カルボニル基、エポキシ基、及びシアノ基のうち、いずれも備えないことが好ましい。また、水溶性ポリエステル樹脂は、ヒドロキシル基、エチレン性不飽和結合、アミノ基、イミノ基、ヒドラジノ基、ニトロ基、カルボニル基、エポキシ基、及びシアノ基のうち、いずれも備えないことが好ましい。
多価カルボン酸としては、例えば芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸等の、ジカルボン酸が挙げられる。特に多価カルボン酸は、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類、並びにコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸類から選ばれる少なくとも一種から成ることが好ましい。この場合、多価カルボン酸成分とグリコール成分との反応性が良好となり、また水溶性ポリエステル樹脂の耐候性、耐久性の特性が良好となる。特に水溶性付与成分に該当しない多価カルボン酸成分として芳香族ジカルボン酸類のみが用いられるか、或いは芳香族ジカルボン酸類が多価カルボン酸成分の主成分であることが最適である。
また、グリコールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、並びに1,4−ブタンジオール等のブタンジオール類、並びに1,6−ヘキサンジオール等のヘキサンジオール類、並びに1,4−シクロヘキサンジメタノール類、ネオペンチルグリコール及びビスフェノールA等から選ばれる、少なくとも一種から成ることが好ましい。この場合、多価カルボン酸成分とグリコール成分との反応性が良好となり、また水溶性ポリエステル樹脂の耐候性、耐久性の特性が良好となる。
水溶性付与成分は、水溶性ポリエステル樹脂の骨格構造の一部を構成することで、この水溶性ポリエステル樹脂にイオン性の極性基を導入し、これにより水溶性ポリエステル樹脂に水溶性を付与する。イオン性の極性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基等が挙げられる。イオン性の極性基は、中和されていてもよい。
水溶性付与成分は、例えば多価カルボン酸成分に含まれる。多価カルボン酸成分に含まれる水溶性付与成分としては、例えば金属スルホネート基を有するジカルボン酸、三価以上の多価カルボン酸、並びにこれらのエステル形成性誘導体が、挙げられる。
この水溶性付与成分のうち、金属スルホネート基を有するジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体(以下、総称して金属スルホネート基を有するジカルボン酸等という)としては、例えば5−スルホイソフタル酸、2−スルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホナフタレン−2,6−ジカルボン酸等のアルカリ金属塩、並びにこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。水溶性ポリエステル樹脂に良好な水溶性が付与されるためには、前記アルカリ金属がナトリウム、カリウム又はリチウムであることが好ましい。
金属スルホネート基を有するジカルボン酸等が水溶性付与成分として用いられると、水溶性ポリエステル樹脂中に金属スルホネート基が有効に残存し、このため水溶性ポリエステル樹脂に優れた水溶性が付与される。特に水溶性付与成分として5−ソジウムスルホイソフタル酸又はそのエステル(例えば5−スルホン酸ナトリウムジメチルイソフタル酸)が用いられると、水溶性ポリエステル樹脂中にスルホン酸ナトリウム基が有効に残存し、このため水溶性ポリエステル樹脂に優れた水溶性が付与される。
また、水溶性付与成分として三価以上の多価カルボン酸及びそのエステル形成性誘導体(以下、総称して三価以上の多価カルボン酸等という)が用いられる場合、三価以上の多価カルボン酸等に起因するカルボキシル基が水溶性ポリエステル樹脂中に残存することで、水溶性ポリエステル樹脂に水溶性が付与される。水溶性ポリエステル樹脂に残存するカルボキシル基は、例えばアンモニア、アルカノールアミン、アルカリ金属化合物等の塩基性化合物で中和されることが好ましい。塩基性化合物としては、非揮発性の化合物が使用されることが好ましく、特にアルカリ金属の水酸化物等のアルカリ金属化合物が使用されることが好ましい。この場合、水溶性ポリエステル樹脂が加熱されても水溶性ポリエステル樹脂の水溶性が更に低下しにくくなる。
三価以上の多価カルボン酸としては、例えばヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメジン酸、メロファン酸、ピロメリット酸、ベンゼンペンタカルボン酸、メリット酸、シクロプロパン−1,2,3−トリカルボン酸、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、エタンテトラカルボン酸等の多価カルボン酸が挙げられる。
特に、水溶性付与成分が、トリメリット酸及びそのエステル形成性誘導体から選択される少なくとも一種から成ることが、好ましい。この場合、水溶性ポリエステル樹脂中にカルボキシル基が有効に残存し、水溶性ポリエステル樹脂にさらに優れた親水性が付与される。
水溶性付与成分としては、上記の三価以上の多価カルボン酸等、並びに金属スルホネート基を有するジカルボン酸等のうち、一種のみが用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
多価カルボン酸成分が水溶性付与成分を含む場合、多価カルボン酸成分に対する水溶性付与成分の割合は、10〜80モル%の範囲であることが好ましい。この割合が10モル%以上であると、水溶性ポリエステル樹脂に充分に高い水溶性が付与される。また、この割合が80モル%以下であると、レジスト剤から形成されるレジスト皮膜の吸湿性が過剰に大きくなることが抑制され、このためレジスト皮膜の取り扱い性及び耐ブロッキング性が向上する。この水溶性付与成分の割合は、更に10〜60モル%の範囲であることが好ましい。
また、特に多価カルボン酸成分が水溶性付与成分として5−スルホン酸ナトリウムジメチルイソフタル酸を含有し、多価カルボン酸成分に対する5−スルホン酸ナトリウムジメチルイソフタル酸の割合が10〜80モル%の範囲であることが好ましい。この場合、水溶性ポリエステル樹脂に充分に高い水溶性が付与される。この5−スルホン酸ナトリウムジメチルイソフタル酸の割合は、更に10〜60モル%の範囲であることが好ましい。
多価カルボン酸成分とグリコール成分との割合は、多価カルボン酸成分に含まれるカルボキシル基及びそのエステル形成性誘導基の総数と、グリコール成分に含まれるヒドロキシル基及びそのエステル形成性誘導基の総数とが、モル比率で1:1.1〜2.5の範囲となるように調整されることが好ましい。尚、この場合、水溶性付与成分である三価以上の多価カルボン酸等は、ジカルボン酸とみなして、割合が算出される。
水溶性ポリエステル樹脂は、公知のポリエステル製造方法により多価カルボン酸成分及びグリコール成分を重合させて生成される。
例えば多価カルボン酸成分が多価カルボン酸であり、且つグリコール成分がグリコールである場合には、この多価カルボン酸とグリコールとを一段階の反応で反応させる直接エステル化反応が採用される。
また、例えば多価カルボン酸成分が多価カルボン酸のエステル形成性誘導体であり、且つグリコール成分がグリコールである場合には、多価カルボン酸のエステル形成性誘導体とグリコールとのエステル交換反応である第一段反応と、第一段反応による反応生成物が重縮合する第二段反応とを経て、水溶性ポリエステル樹脂が製造されてもよい。
第一段反応と第二段反応とを経る水溶性ポリエステル樹脂の製造方法について、更に具体的に説明する。第一段反応であるエステル交換反応においては、反応系中に水溶性ポリエステル樹脂の製造に供される全ての原料が最初から含有されていてよい。例えばジカルボン酸ジエステルとグリコール化合物とが反応容器に保持された状態で、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下、常圧条件下で、150〜260℃まで徐々に昇温加熱されることで、エステル交換反応が進行する。
第二段反応である重縮合反応は、例えば6.7hPa(5mmHg)以下の減圧下、160〜280℃の温度範囲内で進行する。
この第一段反応及び第二段反応において、任意の時期に、反応系中に触媒として、従来公知のチタン、アンチモン、鉛、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、マンガン、アルカリ金属化合物等が添加されても良い。
更に、水溶性付与成分として三価以上の多価カルボン酸が用いられる場合には、上記のようにして得られた水溶性ポリエステル樹脂を、アルカリ金属化合物等の塩基性化合物で中和することが好ましい。
水溶性ポリエステル樹脂の数平均分子量は3000〜50000の範囲であることが好ましい。このように数平均分子量が3000以上であれば、レジスト剤からレジスト皮膜が容易に形成される。また、この数平均分子量が50000以下であれば、水溶性ポリエステル樹脂の水溶性が充分に高くなり、レジスト剤から形成されるレジスト皮膜の水溶性が効果的に向上する。この水溶性ポリエステル樹脂の数平均分子量は、更に5000〜35000の範囲であることが好ましい。
尚、水溶性ポリエステル樹脂の数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ(ポリスチレン換算)による測定結果から導出される。
水溶性ポリエステル樹脂の水溶性の程度は、水溶性ポリエステル樹脂の数平均分子量と、水溶性ポリエステル樹脂を製造するために用いられる水溶性付与成分の割合とが、バランスよく設定されることで、調整される。すなわち、水溶性ポリエステル樹脂の水溶性が充分に高くなるように、水溶性ポリエステル樹脂の数平均分子量と、水溶性ポリエステル樹脂を製造するために用いられる水溶性付与成分の割合とが、適宜設定されることが好ましい。
また、レジスト剤中の水溶性ポリエステル樹脂の割合は、特に制限されないが、レジスト剤中の固形分(不揮発性成分)に対して1〜100質量%の範囲であることが好ましく、5〜90質量%の範囲であれば更に好ましく、5〜80質量%の範囲であれば特に好ましい。
レジスト剤は、水溶性ポリエステル樹脂以外の水溶性高分子を更に含有することが好ましい。この場合、水溶性高分子によってレジスト剤の粘度が調整され、レジスト剤の塗布性が良好となる。この水溶性高分子は、水に溶解すると増粘性を示す性質を有することが好ましい。
水溶性高分子は、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの多糖類、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウムなどの有機酸塩、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン等から選択される、一種以上の化合物を含有する。特に水溶性高分子が、ヒドロキシプロピルセルロースを含有することが好ましい。
レジスト剤中の水溶性高分子の割合は、水溶性ポリエステル樹脂に対して1〜600質量%の範囲であることが好ましい。この場合、水溶性高分子によってレジスト剤の粘度が適切に調整され、且つ、レジスト剤から形成されるレジスト皮膜の良好な耐熱性が維持される。この割合は、5〜400質量%の範囲であればより好ましく、10〜370質量%の範囲であれば特に好ましい。
また、特にスクリーン印刷法によりレジスト剤が塗布される場合、微細加工性を向上するためには、レジスト剤が水溶性高分子を含有することで、レジスト剤の粘度が100〜1000dPa・sの範囲に調整されることが好ましい。この場合、導体パターンの微細化が可能となる。レジスト剤の粘度は、200〜900dPa・sの範囲であればより好ましく、300〜850dPa・sの範囲であれば特に好ましい。
レジスト剤は、平均粒径0.03〜10μmの無機フィラーを更に含有することが好ましい。この場合、レジスト剤から形成されるレジスト皮膜が、樹脂マトリックスと、無機フィラーとを備えるようになる。樹脂マトリックスは主として水溶性ポリエステル樹脂から構成され、この樹脂マトリクス中に無機フィラーが分散する。このレジスト皮膜中の樹脂マトリクスと無機フィラーとの間の界面に液体が浸入しやすくなり、そのため、レジスト皮膜に液体が浸み込みやすくなる。その結果、レジスト皮膜が加熱されてから水系のレジスト除去液に曝される場合に、レジスト皮膜が更に除去されやすくなる。
無機フィラーは、特に制限されないが、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、タルク、及びクレーから選択される、一種以上を含有することが好ましい。
また、無機フィラーは、酸化チタン等の金属酸化物、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物等から選ばれる一種以上の体質顔料を含有することも好ましい。この場合、レジスト剤から形成されるレジスト皮膜の白色性が向上することでレジスト皮膜の外観が向上し、またレジスト皮膜の難燃性が向上する。
上記のように無機フィラーの平均粒径は、0.03〜10μmの範囲である。このため、レジスト皮膜が加熱されてから水系の洗浄剤に曝される場合に、レジスト皮膜が更に除去されやすくなる。すなわち、この平均粒径が0.03μm以上であることで、樹脂マトリクスと無機フィラーとの界面から液体が特に浸入しやすくなり、レジスト皮膜内部に液体がしみ込みやすくなる。またこの平均粒径が10μm以下であることでレジスト皮膜の表面の平滑性が良くなり、このためレジスト皮膜にボイドが生じにくくなる。この平均粒径は、0.03〜5μmの範囲であることが好ましく、0.08〜1.5μmの範囲であれば特に好ましい。尚、無機フィラーの平均粒径は、遠心沈降光透過法により測定される。
また、レジスト剤中の無機フィラーの割合は、レジスト剤中の樹脂全量に対して0.1〜400質量%の範囲であることが好ましい。この場合、レジスト皮膜が加熱されてから水系の洗浄剤に曝される場合に、レジスト皮膜が更に除去されやすくなる。すなわち、この割合が0.1質量%以上であることで、レジスト皮膜が除去されやすくなり、且つ耐熱性、成形加工性が良好になる。またこの割合が400質量%より大きくなると、レジスト皮膜中に水溶性官能基の割合が少なくなるため、十分な水溶性が確保されない。この無機フィラーの割合は、0.1〜350質量%の範囲であれば更に好ましく、50〜300質量%の範囲であれば特に好ましい。但し、無機フィラーが親水性フィラーであれば、前記の割合に限定されない。
また、レジスト剤が、チキソトロピー性付与剤を含有することも好ましい。この場合、レジスト剤に適度なチキソトロピー性が付与され、このためレジスト剤の塗布性が改善される。また、基材上に塗布されたレジスト剤が加熱された場合のレジスト剤の粘度低下が抑制され、このためレジスト剤が流動することによる形状変化が、抑制される。チキソトロピー性付与剤としては、公知の材料が使用される。例えばチキソトロピー性付与剤は、有機ベントナイト、微粉シリカ、モンモリロナイト、及びハイドロタルサイトから選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい。
また、レジスト剤は、必要に応じ、浸透剤、難燃剤、静電気防止剤、顔料、染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、防錆剤、分散助剤等の適宜の添加剤を含有してもよい。
レジスト剤は、水系溶媒を含有することが好ましい。水系溶媒とは、水であり、或いは水と親水性有機溶媒とを含有する混合溶媒である。この場合、レジスト剤中で水溶性ポリエステル樹脂が水系溶媒中に溶解又は分散し、このため、レジスト剤からレジスト皮膜が形成されるにあたって、レジスト剤が更に塗布されやすくなる。親水性有機溶媒は、例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール、プロピレングリコール等のアルコール;プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のグリコールエーテル;シクロヘキサノン等から選択される、少なくとも一種を含有することが好ましい。
また、水系溶媒が水とアルコールとを含有する混合溶媒であり、レジスト剤中の水の割合が5〜80質量%の範囲、レジスト剤中のアルコールの割合が5〜50質量%の範囲であることが好ましい。この場合、スクリーン印刷中のスキージのすべりが良くなり、また皮膜からのスクリーン印刷版の版離れもよくなり、このため、連続印刷性が向上する。
このレジスト剤は、基材上にリフトオフ法により導体パターンを形成するにあたって、基材上にレジスト皮膜を形成するために用いられる。
基材の材質には、特に制限されないが、例えば適宜の樹脂フィルム、ガラス、石英、各種金属、セラミック、紙等が挙げられる。樹脂フィルムが用いられる場合、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、シリコーン等の樹脂から形成されるフィルムが用いられる。
リフトオフ法により導体パターンが形成されるにあたっては、まず基材上にレジスト剤が、適宜のパターンで塗布される。レジスト剤の塗布方法としては、刷毛塗り法、スクリーン印刷法、グラビア印刷、スプレー法、ディップ法、バーコーター、ロールコーターその他の公知の塗布手段が採用され得る。続いて、必要に応じてレジスト剤が乾燥される。これにより、硬化反応を伴うことなく、基材上にパターン化されたレジスト皮膜が形成される。レジスト皮膜の厚みは、特に制限されないが、0.5〜10μmが好ましい。
ここで、本実施形態では、レジスト剤が高粘度の水溶性樹脂及び無機フィラーを含有することで最適な粘度に調製されるため、レジスト剤を微細なパターン状に塗布することが容易であり、従来は写真法でなければ困難であった微細なパターン状に塗布することも可能となり、例えば幅30μmのライン状に塗布することも可能である。このため、本実施形態によるレジスト剤を使用することで、微細な導体パターンが容易に形成される。
また、本実施形態によるレジスト剤は、柔軟性の高い水溶性ポリエステル樹脂を含有するため、各種の金属、樹脂に対する密着性が高い。このため、種々の材質の基材上に対して、レジスト剤が容易に塗布され、このため種々の材質の基材上にレジスト皮膜が容易に形成される。
続いて、蒸着、スパッタリング等の乾式法によって、基材上に導体が成膜される。導体としては、Al、Ti、Pb、Ni、Cu、Ag、Au、Cr、Sn、In等の金属、ITO、Al23、SiO2等の酸化物が挙げられる。
本実施形態では、レジスト剤が非反応性の水溶性ポリエステル樹脂を含有するため、上記のようにレジスト剤が塗布され、或いは更に加熱されることで溶剤が除去されるが、硬化反応を伴わずにレジスト皮膜が形成される。このため、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂などを含有する反応硬化型のレジスト剤を使用される場合にはレジスト皮膜中に未反応の低分子量の有機成分が残存することがあるのに対し、本実施形態では、レジスト皮膜中に低分子量の有機成分が残存しにくい。このため、蒸着やスパッタリング等により導体が成膜される際に、レジスト皮膜が減圧下に配置されても、レジスト皮膜からは低分子量の有機成分が放出されにくい。このため、このような有機成分によって導体の成膜に悪影響が与えられるような事態が、起こりにくくなる。この結果、導体の成膜性が向上する。
続いて、レジスト皮膜が水系のレジスト除去液に曝されることで、基材上からレジスト皮膜が除去され、これによりレジスト皮膜上の導体も基材上から除去される。これにより、基材上に残存する導体によって、導体パターンが形成される。
水系のレジスト除去液としては、水を用いることができる。また、水系のレジスト除去液として、水と親水性有機溶媒とを含有する混合液を用いることもできる。親水性有機溶媒は、例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール、1,2−プロパンジオール等のアルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル;シクロヘキサノン;非イオン性、陰イオン性、および陽イオン性からなる界面活性剤等から選択される、少なくとも一種を含有することが好ましい。特に水系の洗浄剤が水であることが好ましい。
レジスト皮膜は、適宜の手法によって、レジスト除去液に曝される。例えばレジスト除去液が、レジスト皮膜を覆う導体に向けてスプレー塗布されたり、レジスト皮膜及びこれを覆う導体がレジスト除去液に浸漬されたりすることで、レジスト皮膜がレジスト処理液に曝される。
尚、レジスト皮膜の大部分が導体によって覆われていても、蒸着やスパッタリング等により形成される薄膜は微視的には不均一で微細な隙間が多く存在するため、レジスト除去液は導体の隙間を通じてレジスト皮膜へ到達することができる。この場合、レジスト皮膜へ到達するレジスト除去液の量が僅かであっても、本実施形態ではレジスト皮膜が従来品より良好な水溶性を有するため、レジスト皮膜は基材上から容易に除去される。このため、基材上にはレジスト皮膜及びこのレジスト皮膜上の導体が、残存しにくくなる。その結果、基材上に導体パターンが容易に形成される。
また、上記の通り、レジスト剤は水溶性ポリエステル樹脂を含有するため、水系の組成物として調製されることができ、更にレジスト剤から形成されるレジスト皮膜は水系レジスト除去液によって容易に除去される。このため、レジスト剤が使用される場合の労働安全性及び環境保全性が、優れている。
以下、本発明の実施例について説明する。但し、本発明は、下記の実施例のみに制限されるものではない。尚、下記において、断りのない限り、「部」は「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味する。
[合成例1]
原料として、ジメチルテレフタル酸130.1部、ジメチルイソフタル酸35.0部、5−スルホン酸ナトリウムジメチルイソフタル酸44.4部、エチレングリコール62.1部、1,6−ヘキサンジオール118.2部、及び触媒(シュウ酸チタンカリウム)0.1部を用意した。
これらの原料を反応器に入れて溶液を調製し、この溶液を常圧、窒素雰囲気中で撹拌混合しながら200℃に昇温し、続いて4時間かけて260℃にまで徐々に昇温することで、エステル交換反応を完了させた。次に、この溶液を260℃の温度下で徐々に減圧し、続いて250℃、0.67hPa(0.5mmHg)の条件下で1時間保持することで、重縮合反応を進行させた。これにより、数平均分子量約9600のポリエステル樹脂を得た。
このポリエステル樹脂25部及び水75部を、容器内に入れ、これらを80〜95℃で2時間撹拌することで、ポリエステル樹脂を水に溶解させた。これにより、ポリエステル樹脂濃度25%の水溶液Aを得た。
[合成例2]
原料として、ジメチルテレフタル酸101.0部、ジメチルイソフタル酸35.0部、5−スルホン酸ナトリウムジメチルイソフタル酸88.8部、エチレングリコール62.1部、1,6−ヘキサンジオール118.2部、及び触媒(シュウ酸チタンカリウム)0.1部を用意した。
これらの原料を反応器に入れて溶液を調製し、この溶液を常圧、窒素雰囲気中で撹拌混合しながら200℃に昇温し、続いて4時間かけて260℃にまで徐々に昇温することで、エステル交換反応を完了させた。次に、この溶液を260℃の温度下で徐々に減圧し、続いて260℃、0.67hPa(0.5mmHg)の条件下で2時間保持することで、重縮合反応を進行させた。これにより、数平均分子量約30000のポリエステル樹脂を得た。
このポリエステル樹脂25部及び水75部を、容器内に入れ、これらを80〜95℃で2時間撹拌することで、ポリエステル樹脂を水に溶解させた。これにより、ポリエステル樹脂濃度25%の水溶液Bを得た。
[合成例3]
原料として、ジメチルテレフタル酸62.1部、ジメチルイソフタル酸35.0部、5−スルホン酸ナトリウムジメチルイソフタル酸148.1部、エチレングリコール62.1部、1,6−ヘキサンジオール118.2部、及び触媒(シュウ酸チタンカリウム)0.1部を用意した。
これらの原料を反応器に入れて溶液を調製し、この溶液を常圧、窒素雰囲気中で撹拌混合しながら200℃に昇温し、続いて4時間かけて260℃にまで徐々に昇温することで、エステル交換反応を完了させた。次に、この溶液を260℃の温度下で徐々に減圧し、続いて260℃、0.67hPa(0.5mmHg)の条件下で2時間保持することで、重縮合反応を進行させた。これにより、数平均分子量約26000のポリエステル樹脂を得た。
このポリエステル樹脂25部及び水75部を、容器内に入れ、これらを80〜95℃で2時間撹拌することで、ポリエステル樹脂を水に溶解させた。これにより、ポリエステル樹脂濃度25%の水溶液Cを得た。
[合成例4]
原料として、ジメチルテレフタル酸120.4部、ジメチルイソフタル酸35.0部、エチレングリコール62.1部、1,6−ヘキサンジオール118.2部、及び触媒(シュウ酸チタンカリウム)0.1部を用意した。
これらの原料を反応器に入れて溶液を調製し、この溶液を常圧、窒素雰囲気中で撹拌混合しながら200℃に昇温し、続いて4時間かけて260℃にまで徐々に昇温することで、エステル交換反応を完了させた。次に、この溶液に無水トリメリット酸38.4部を添加し、続いてこの溶液を250℃の温度下で徐々に減圧し、続いて250℃、0.67hPa(0.5mmHg)の条件下で30分間保持することで、重縮合反応を進行させた。これにより、酸価55.2mgKOH/g、数平均分子量約8200の、ポリエステル樹脂を得た。
このポリエステル樹脂25部、水71.2部、及び25%水酸化ナトリウム水溶液3.8部を、容器内に入れ、これらを80〜95℃で2時間撹拌することで、ポリエステル樹脂を水に溶解させた。これにより、ポリエステル樹脂濃度25%の水溶液Dを得た。
[合成例5]
原料として、ジメチルテレフタル酸139.8部、ジメチルイソフタル酸35.0部、5−スルホン酸ナトリウムジメチルイソフタル酸29.6部、エチレングリコール62.1部、1,6−ヘキサンジオール118.2部、及び触媒(シュウ酸チタンカリウム)0.1部を用意した。
これらの原料を反応器に入れて溶液を調製し、この溶液を常圧、窒素雰囲気中で撹拌混合しながら200℃に昇温し、続いて4時間かけて260℃にまで徐々に昇温することで、エステル交換反応を完了させた。次に、この溶液を260℃の温度下で徐々に減圧し、続いて250℃、0.67hPa(0.5mmHg)の条件下で30分間保持することで、重縮合反応を進行させた。これにより、数平均分子量約5100のポリエステル樹脂を得た。
このポリエステル樹脂25部及び水75部を、容器内に入れ、これらを80〜95℃で2時間撹拌することで、ポリエステル樹脂を水に溶解させた。これにより、ポリエステル樹脂濃度25%の水溶液Eを得た。
合成例1〜5における原料組成、多価カルボン酸成分及びポリオール成分の混合モル比率、並びに合成例1〜5で得られたポリエステル樹脂の数平均分子量を、下記表1にまとめて示す。
Figure 0006156902
[ポリエスエル樹脂の水溶性評価]
(加熱前の水溶性)
合成例1〜5で得られた水溶液A〜Eの各々を、基板上に筆で塗布してから、100℃で20分間乾燥することで、皮膜を形成した。
この皮膜を、50℃の水に5分間浸漬した。その間、水には超音波洗浄機により超音波を5分間印加した。
その結果に基づき、皮膜の水溶性を、次のようにして評価した。
○:皮膜が100%完全に溶解した。
△:皮膜の80%以上が溶解した。
×:全く溶解しなかった。
(加熱後の水溶性)
合成例1〜5で得られた水溶液A〜Eの各々を、基板上に筆で塗布してから、100℃で20分間乾燥することで、皮膜を形成した。
この基板とその上の皮膜とを、オーブン内で270℃で10分間加熱し、続いて常温下で15分間放置した。
続いて、皮膜を、50℃の水に5分間浸漬した。その間、水には超音波洗浄機により超音波を5分間印加した。
その結果に基づき、皮膜の水溶性を、次のようにして評価した。
○:皮膜が100%完全に溶解した。
△:皮膜の80%以上が溶解した。
×:全く溶解しなかった。
以上の結果を下記表2に示す。
Figure 0006156902
[レジスト剤の調製及び評価]
(レジスト剤の調製)
原料として、合成例1〜5で得られた水溶液A〜E、ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、品番PVA−217)の25%水溶液、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達株式会社製、品番NISSO HPC−SL)の25%水溶液、炭酸カルシウム(白石カルシウム株式会社製、品名:白麗華CCR、平均粒径0.08μm)、炭酸カルシウム(白石カルシウム株式会社製、品名:Silver−W、平均粒径1.5μm)、微粉シリカ(日本アエロジル株式会社製、品名:AEROSIL200、平均粒径約0.012μm)、及びプロピレングリコールを用意した。
実施例6〜21及び比較例1,2の各々において、上記原料を、後掲の表に示す割合で配合し、3本ロールミルで混練することで、ペースト状のレジスト剤を調製した。
(レジスト剤の粘度)
各実施例及び比較例で得られたレジスト剤の粘度を、東機産業株式会社製のコーンプレートタイプ粘度計TV−30にロータ(No.(3°×R14))を取り付けたものを用いて、25℃、回転数5rpmの条件で測定した。その結果を後掲の表に示す。
(レジスト皮膜の剥離性)
PEN(ポリエチレンナフタレート)樹脂製のフィルム上にレジスト剤を、実施例1〜5ではバーコーターを用いて塗布し、実施例6〜21及び比較例1,2ではスクリーン印刷法により線幅100μmのネガパターンが形成されるように塗布した。このフィルム上のレジスト剤を80℃で20分加熱することで乾燥させた。これにより、フィルム上にレジスト皮膜を形成した。尚、いずれの実施例及び比較例においても、レジスト皮膜の厚みは2〜3μmであった。
このフィルム上に、スパッタリング法によりAlを蒸着することで、厚み0.04μmの金属膜を形成した。尚、スパッタリング装置としてはキャノン・アネルバ株式会社製のSPCシリーズを用い、スパッタリングの条件は、真空度10-4Pa、印加電圧5.1kVとした。
続いて、フィルム上のレジスト皮膜を除去するために、フィルムにおける金属膜が形成されている面に、流水(流量1.94L/min、水温50℃)を3分間接触させた。
また、金属膜の厚みを0.4μmに変更した場合についても、上記と同様の試験をおこなった。
試験後のフィルムの表面を観察し、その結果を次のように評価し、後掲の表に示す。
○:フィルム上にレジスト皮膜の残存が認められない。
△:フィルム上に僅かにレジスト皮膜の残渣が認められる。
×:フィルム上に全体的にレジスト皮膜の残渣が認められる。
(レジスト皮膜の微細加工性)
実施例6〜21及び比較例1,2について、上記“レジスト皮膜の剥離性”の試験でフィルム上に形成された線幅100μmの導体パターンの形状を、顕微鏡で観測し、その結果を、導体パターンのがたつき、パターン幅により、次のように評価し、後掲の表に示す。
○:導体パターン幅のばらつきが±20%以内でラインにがたつきがない。
△:導体パターン幅のばらつきが±40%以内でラインにややがたつきがある。
×:導体パターン幅のばらつきが±40%以上でラインにがたつきがある。
Figure 0006156902
Figure 0006156902
上記結果に示されるように、実施例1〜21では、レジスト皮膜が水によって容易に剥離され、導体パターンが形成された。特に、実施例6〜12,15〜21では、導体パターンのライン形状も良好であった。また、実施例1〜16,18〜20では、導体の厚みが0.4μmの場合であっても、レジスト皮膜の剥離性が良好であった。

Claims (9)

  1. 基材上にリフトオフ法により導体パターンを形成するにあたって、基材上にレジスト皮膜を形成するために用いられるリフトオフ法用レジスト剤であって、水溶性ポリエステル樹脂を含有し、
    前記水溶性ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分との重合生成物であり、
    前記多価カルボン酸成分は、5−スルホン酸ナトリウムジメチルイソフタル酸を含み、
    前記多価カルボン酸成分に対する前記5−スルホン酸ナトリウムジメチルイソフタル酸の割合は、10〜80モル%である
    ことを特徴とする。
  2. レジスト剤中の固形分に対する前記水溶性ポリエステル樹脂の割合は、5〜80質量%であることを特徴とする請求項1に記載のレジスト剤。
  3. 前記水溶性ポリエステル樹脂以外の水溶性高分子を更に含有する請求項1又は2に記載のレジスト剤。
  4. 前記水溶性高分子を前記水溶性ポリエステル樹脂に対して1〜600質量%の割合で含有する請求項に記載のレジスト剤。
  5. 前記水溶性ポリエステル樹脂が、アルカリ金属化合物によって中和されている酸基を備える請求項1乃至のいずれか一項に記載のレジスト剤。
  6. 平均粒径0.03〜10μmの無機フィラーを更に含有する請求項1乃至のいずれか一項に記載のレジスト剤。
  7. 前記無機フィラーを、樹脂全量に対して0.1〜400質量%の割合で含有する請求項に記載のレジスト剤。
  8. 前記水溶性ポリエステル樹脂を含有する前記レジスト皮膜を形成するために用いられる請求項1乃至のいずれか一項に記載のレジスト剤。
  9. 請求項1乃至のいずれか一項に記載のレジスト剤を基材上に塗布することで、前記基材上に水溶性ポリエステル樹脂を含有するレジスト皮膜を形成し、
    導体を、前記基材と前記レジスト皮膜とを覆うように成膜し、
    前記レジスト皮膜をレジスト除去液に曝すことで前記基材上から前記レジスト皮膜を、前記導体の前記レジスト皮膜上にある部分とともに除去し、前記基材上に残存する導体によって導体パターンを形成し、
    前記レジスト除去液は、水又は水と親水性有機溶媒との混合液である、
    ことを特徴とする導体パターンの形成方法。
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