JP6006006B2 - タッチパネル用基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、透明基板、透明電極及び金属電極を備えるタッチパネル用基板を製造するための方法に関する。
従来、タッチパネルを構成するための部材の一つとして、透明基板上にパターン状の透明電極と、この透明電極に接続されている金属電極とを形成することで構成されるタッチパネル用基板が使用されている。
タッチパネル用基板を製造するにあたっては、従来、透明基板上に真空蒸着加工法等により透明導電性膜をコーティングし、この透明導電性膜にエッチング処理を施すことで、パターン状の透明電極を形成していた(特許文献1参照)。
しかし、エッチング処理によって透明導電膜をパターニングするためには、透明導電性膜にエッチングレジストをフォトリソグラフィ等により形成し、続いて透明導電性膜をエッチング液により処理し、続いてエッチングレジストの除去、洗浄等をおこなう必要があった。このため、透明電極を形成するために多段階の工程を経なければならず、このことがタッチパネル用基板の製造効率の悪化を招いていた。また、エッチングレジストをフォトリソグラフィにより形成する工程や、エッチング処理の工程では、酸性やアルカリ性の薬剤を使用するため、薬剤の管理や廃棄のために煩雑な手間がかかるという問題もあった。
特開平7−286055号公報
本発明は上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、透明基板、透明電極及び金属電極を備えるタッチパネル用基板の製造効率を向上することができるタッチパネル用基板の製造方法を提供することにある。
本発明の第一の形態に係るタッチパネル用基板の製造方法は、透明基板上に透明電極を形成するステップと、前記透明基板上に前記透明電極に導通する金属電極を形成するステップとを含み、前記透明電極と前記金属電極とのうち少なくとも一方を、水溶性ポリエステルとヒドロキシアルキルセルロースとのうち少なくとも一方を含有する水溶性のレジスト剤を用いるリフトオフ法により形成することを特徴とする。
本発明の第二の形態では、第一の形態において、前記リフトオフ法が、前記透明基板上に前記レジスト剤を、スクリーン印刷法により塗布し、このレジスト剤を成膜することで、前記透明基板上にレジスト皮膜を形成する工程を含む。
本発明によれば、透明電極と金属電極のうちの一方又は双方を形成するための工程を簡略化することができ、このため透明基板、透明電極及び金属電極を備えるタッチパネル用基板の製造効率を向上することができる。
本実施形態で使用される水溶性のレジスト剤は、水溶性ポリエステル樹脂とヒドロキシアルキルセルロースとのうち、少なくとも一方を含有する。
水溶性ポリエステル樹脂について説明する。水溶性ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸成分とグリコール成分との重合生成物である。多価カルボン酸成分及びグリコール成分のうち少なくとも一方は、水溶性ポリエステル樹脂に水溶性を付与するための成分(水溶性付与成分)を含むことが好ましい。
尚、水溶性ポリエステル樹脂が水溶性を有することは、技術常識に基づいて判断される。特に、水溶性ポリエステル樹脂のみから形成される厚み20μmの薄膜の表面全体に常温の水を0.005MPaの噴霧圧で20分間噴霧すると、この薄膜が全て水に溶解することが好ましい。或いは、水溶性ポリエステル樹脂のみから形成される厚み20μmの薄膜の表面全体に50℃の水を0.005MPaの噴霧圧で10分間噴霧すると、この薄膜が全て水に溶解することが好ましい。或いは、水溶性ポリエステル樹脂と常温の水とを1:5の質量比で混合し、得られた液に超音波を20分間加えると、水溶性ポリエステル樹脂が水に全て溶解することが好ましい。或いは、水溶性ポリエステル樹脂と50℃の水とを1:5の質量比で混合し、得られた液に超音波を10分間加えると、水溶性ポリエステル樹脂が水に全て溶解することが好ましい。
多価カルボン酸成分は、二価以上の多価カルボン酸と多価カルボン酸のエステル形成性誘導体とから選択される、1種以上の化合物から成る。多価カルボン酸のエステル形成性誘導体とは、多価カルボン酸の無水物、エステル、酸クロライド、ハロゲン化物等の誘導体であって、後述するグリコール成分と反応してエステルを形成する化合物である。多価カルボン酸は、一分子あたり二以上のカルボキシル基を備える。
グリコール成分は、グリコールとグリコールのエステル形成性誘導体とから選択される、1種以上の化合物から成る。グリコールのエステル形成性誘導体とは、グリコールに対応するジアセテート化合物等のようなグリコールの誘導体であって、多価カルボン酸成分と反応してエステルを形成する化合物である。
多価カルボン酸は、カルボキシル基以外に、反応性の官能基を備えないことが好ましい。また、グリコールは、ヒドロキシル基以外には、反応性の官能基を備えないことが好ましい。特に多価カルボン酸とグリコールとが、共に反応性の官能基を備えないことが好ましい。これらの場合、水溶性ポリエステル樹脂の反応性の官能基の量が低減し、或いは水溶性ポリエステル樹脂が反応性を備えなくなる。そうすると、水溶性ポリエステル樹脂の反応性が低減し、このため水溶性ポリエステル樹脂が加熱されても水溶性ポリエステル樹脂の水溶性が低下しにくくなる。尚、後述する水溶性付与成分が有するイオン性の極性基は、反応性の官能基には含まれない。
特に、多価カルボン酸は、ヒドロキシル基、エチレン性不飽和結合、アミノ基、イミノ基、ヒドラジノ基、ニトロ基、カルボニル基、エポキシ基、及びシアノ基のうち、いずれも備えないことが好ましい。また、グリコールは、エチレン性不飽和結合、アミノ基、イミノ基、ヒドラジノ基、ニトロ基、カルボニル基、エポキシ基、及びシアノ基のうち、いずれも備えないことが好ましい。また、水溶性ポリエステル樹脂は、ヒドロキシル基、エチレン性不飽和結合、アミノ基、イミノ基、ヒドラジノ基、ニトロ基、カルボニル基、エポキシ基、及びシアノ基のうち、いずれも備えないことが好ましい。
多価カルボン酸としては、例えば芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸等の、ジカルボン酸が挙げられる。特に多価カルボン酸は、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類、並びにコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸類から選ばれる少なくとも一種から成ることが好ましい。この場合、多価カルボン酸成分とグリコール成分との反応性が良好となり、また水溶性ポリエステル樹脂の耐候性、耐久性の特性が良好となる。特に水溶性付与成分に該当しない多価カルボン酸成分として芳香族ジカルボン酸類のみが用いられるか、或いは芳香族ジカルボン酸類が多価カルボン酸成分の主成分であることが最適である。
また、グリコールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、並びに1,4−ブタンジオール等のブタンジオール類、並びに1,6−ヘキサンジオール等のヘキサンジオール類、並びに1,4−シクロヘキサンジメタノール類、ネオペンチルグリコール及びビスフェノールA等から選ばれる、少なくとも一種から成ることが好ましい。この場合、多価カルボン酸成分とグリコール成分との反応性が良好となり、また水溶性ポリエステル樹脂の耐候性、耐久性の特性が良好となる。
水溶性付与成分は、水溶性ポリエステル樹脂の骨格構造の一部を構成することで、この水溶性ポリエステル樹脂にイオン性の極性基を導入し、これにより水溶性ポリエステル樹脂に水溶性を付与する。イオン性の極性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基等が挙げられる。イオン性の極性基は、中和されていてもよい。
水溶性付与成分は、例えば多価カルボン酸成分に含まれる。多価カルボン酸成分に含まれる水溶性付与成分としては、例えば金属スルホネート基を有するジカルボン酸、三価以上の多価カルボン酸、並びにこれらのエステル形成性誘導体が、挙げられる。
この水溶性付与成分のうち、金属スルホネート基を有するジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体(以下、総称して金属スルホネート基を有するジカルボン酸等という)としては、例えば5−スルホイソフタル酸、2−スルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホナフタレン−2,6−ジカルボン酸等のアルカリ金属塩、並びにこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。水溶性ポリエステル樹脂に良好な水溶性が付与されるためには、前記アルカリ金属がナトリウム、カリウム又はリチウムであることが好ましい。
金属スルホネート基を有するジカルボン酸等が水溶性付与成分として用いられると、水溶性ポリエステル樹脂中に金属スルホネート基が有効に残存し、このため水溶性ポリエステル樹脂に優れた水溶性が付与される。特に水溶性付与成分として5−ソジウムスルホイソフタル酸又はそのエステル(例えば5−スルホン酸ナトリウムジメチルイソフタル酸)が用いられると、水溶性ポリエステル樹脂中にスルホン酸ナトリウム基が有効に残存し、このため水溶性ポリエステル樹脂に優れた水溶性が付与される。
また、水溶性付与成分として三価以上の多価カルボン酸及びそのエステル形成性誘導体(以下、総称して三価以上の多価カルボン酸等という)が用いられる場合、三価以上の多価カルボン酸等に起因するカルボキシル基が水溶性ポリエステル樹脂中に残存することで、水溶性ポリエステル樹脂に水溶性が付与される。水溶性ポリエステル樹脂に残存するカルボキシル基は、例えばアンモニア、アルカノールアミン、アルカリ金属化合物等の塩基性化合物で中和されることが好ましい。塩基性化合物としては、非揮発性の化合物が使用されることが好ましく、特にアルカリ金属の水酸化物等のアルカリ金属化合物が使用されることが好ましい。この場合、水溶性ポリエステル樹脂が加熱されても水溶性ポリエステル樹脂の水溶性が更に低下しにくくなる。
三価以上の多価カルボン酸としては、例えばヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメジン酸、メロファン酸、ピロメリット酸、ベンゼンペンタカルボン酸、メリット酸、シクロプロパン−1,2,3−トリカルボン酸、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、エタンテトラカルボン酸等の多価カルボン酸が挙げられる。
特に、水溶性付与成分が、トリメリット酸及びそのエステル形成性誘導体から選択される少なくとも一種から成ることが、好ましい。この場合、水溶性ポリエステル樹脂中にカルボキシル基が有効に残存し、水溶性ポリエステル樹脂にさらに優れた親水性が付与される。
水溶性付与成分としては、上記の三価以上の多価カルボン酸等、並びに金属スルホネート基を有するジカルボン酸等のうち、一種のみが用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
多価カルボン酸成分が水溶性付与成分を含む場合、多価カルボン酸成分に対する水溶性付与成分の割合は、10〜80モル%の範囲であることが好ましい。この割合が10モル%以上であると、水溶性ポリエステル樹脂に充分に高い水溶性が付与される。また、この割合が80モル%以下であると、レジスト剤から形成されるレジスト皮膜の吸湿性が過剰に大きくなることが抑制され、このためレジスト皮膜の取り扱い性及び耐ブロッキング性が向上する。この水溶性付与成分の割合は、更に10〜60モル%の範囲であることが好ましい。
また、特に多価カルボン酸成分が水溶性付与成分として5−スルホン酸ナトリウムジメチルイソフタル酸を含有し、多価カルボン酸成分に対する5−スルホン酸ナトリウムジメチルイソフタル酸の割合が10〜80モル%の範囲であることが好ましい。この場合、水溶性ポリエステル樹脂に充分に高い水溶性が付与される。この5−スルホン酸ナトリウムジメチルイソフタル酸の割合は、更に10〜60モル%の範囲であることが好ましい。
多価カルボン酸成分とグリコール成分との割合は、多価カルボン酸成分に含まれるカルボキシル基及びそのエステル形成性誘導基の総数と、グリコール成分に含まれるヒドロキシル基及びそのエステル形成性誘導基の総数とが、モル比率で1:1.1〜2.5の範囲となるように調整されることが好ましい。尚、この場合、水溶性付与成分である三価以上の多価カルボン酸等は、ジカルボン酸とみなして、割合が算出される。
水溶性ポリエステル樹脂は、公知のポリエステル製造方法により多価カルボン酸成分及びグリコール成分を重合させて生成される。
例えば多価カルボン酸成分が多価カルボン酸であり、且つグリコール成分がグリコールである場合には、この多価カルボン酸とグリコールとを一段階の反応で反応させる直接エステル化反応が採用される。
また、例えば多価カルボン酸成分が多価カルボン酸のエステル形成性誘導体であり、且つグリコール成分がグリコールである場合には、多価カルボン酸のエステル形成性誘導体とグリコールとのエステル交換反応である第一段反応と、第一段反応による反応生成物が重縮合する第二段反応とを経て、水溶性ポリエステル樹脂が製造されてもよい。
第一段反応と第二段反応とを経る水溶性ポリエステル樹脂の製造方法について、更に具体的に説明する。第一段反応であるエステル交換反応においては、反応系中に水溶性ポリエステル樹脂の製造に供される全ての原料が最初から含有されていてよい。例えばジカルボン酸ジエステルとグリコール化合物とが反応容器に保持された状態で、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下、常圧条件下で、150〜260℃まで徐々に昇温加熱されることで、エステル交換反応が進行する。
第二段反応である重縮合反応は、例えば6.7hPa(5mmHg)以下の減圧下、160〜280℃の温度範囲内で進行する。
この第一段反応及び第二段反応において、任意の時期に、反応系中に触媒として、従来公知のチタン、アンチモン、鉛、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、マンガン、アルカリ金属化合物等が添加されても良い。
更に、水溶性付与成分として三価以上の多価カルボン酸が用いられる場合には、上記のようにして得られた水溶性ポリエステル樹脂を、アルカリ金属化合物等の塩基性化合物で中和することが好ましい。
水溶性ポリエステル樹脂の数平均分子量は3000〜50000の範囲であることが好ましい。このように数平均分子量が3000以上であれば、レジスト剤からレジスト皮膜が容易に形成される。また、この数平均分子量が50000以下であれば、水溶性ポリエステル樹脂の水溶性が充分に高くなり、レジスト剤から形成されるレジスト皮膜の水溶性が効果的に向上する。この水溶性ポリエステル樹脂の数平均分子量は、更に5000〜35000の範囲であることが好ましい。
尚、水溶性ポリエステル樹脂の数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ(ポリスチレン換算)による測定結果から導出される。
水溶性ポリエステル樹脂の水溶性の程度は、水溶性ポリエステル樹脂の数平均分子量と、水溶性ポリエステル樹脂を製造するために用いられる水溶性付与成分の割合とが、バランスよく設定されることで、調整される。すなわち、水溶性ポリエステル樹脂の水溶性が充分に高くなるように、水溶性ポリエステル樹脂の数平均分子量と、水溶性ポリエステル樹脂を製造するために用いられる水溶性付与成分の割合とが、適宜設定されることが好ましい。
レジスト剤が水溶性ポリエステル樹脂を含有する場合、レジスト剤中の水溶性ポリエステル樹脂の割合は、特に制限されないが、レジスト剤中の固形分(不揮発性成分)に対して1〜100質量%の範囲であることが好ましく、5〜90質量%の範囲であれば更に好ましく、5〜80質量%の範囲であれば特に好ましい。尚、水溶性ポリエステル樹脂とヒドロキシアルキルセルロースとが併用される場合、このヒドロキシアルキルセルロースとしては、ヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。
次に、ヒドロキシアルキルセルロースについて、説明する。レジスト剤中の樹脂成分がヒドロキシアルキルセルロースのみを含有する場合、レジスト剤中のヒドロキシアルキルセルロースの割合は、レジスト剤全体に対して8〜25質量%の範囲であることが好ましい。この場合、レジスト剤をスクリーン印刷により微細なパターン状に塗布しても、印刷性が良好であり、このため、レジスト剤から系背されるレジスト皮膜のにじみ、かすれ、欠けが等の不良が抑制される。また、このレジスト皮膜の剥離除去性にも優れる。このため、このレジスト剤を用いて、リフトオフ法により、微細なパターン状の導体パターンを形成することが可能となり、例えば幅100μm以下のライン状の導体パターンを形成することも可能となる。すなわち、ヒドロキシアルキルセルロースの割合が8質量%以上であることでレジスト皮膜のにじみが低減し、且つ剥離除去性が良好となる。またこの割合が25質量%以下であることで、レジスト剤が印刷に適した粘度に調整され、このため印刷時の版離れが良好になり、またレジスト皮膜にかすれや欠け等の不良が起こりにくくなる。このヒドロキシアルキルセルロースの割合は11〜23質量%の範囲であれば更に好ましい。
ヒドロキシアルキルセルロースは、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等を含有することができる。特に、ヒドロキシアルキルセルロースがヒドロキシプロピルセルロースを含有することが、好ましい。
ヒドロキシアルキルセルロースが、重量平均分子量の異なる二種以上の成分を含有することも、好ましい。この場合、分子量の異なる二種以上の成分の配合比が調整されることで、レジスト剤の印刷性とレジスト皮膜の水溶性とがバランスよく調整される。特にヒドロキシアルキルセルロースが、重量平均分子量が10000以上40000未満の成分、重量平均分子量40000以上100000未満の成分、及び重量平均分子量100000以上910000未満の成分から選ばれる、二種以上の成分を含有することが好ましい。この場合、ヒドロキシアルキルセルロース全体に対して、重量平均分子量が10000以上40000未満の成分の割合が100〜0質量%の範囲、重量平均分子量40000以上100000未満の成分の割合が0〜100質量%の範囲、重量平均分子量100000以上910000未満の成分の割合が0〜10質量%の範囲であることが、好ましい。
このヒドロキシアルキルセルロースの割合は、重量平均分子量が10000以上40000未満の成分の割合が75〜20質量%の範囲、重量平均分子量40000以上100000未満の成分の割合が25〜80質量%の範囲、重量平均分子量100000以上140000未満の成分の割合が0〜10質量%の範囲であることが、さらに好ましい。
また、ヒドロキシアルキルセルロースが、日本曹達株式会社製の品番NISSO HPC−SSL(分子量〜40000)、品番NISSO HPC−SL(分子量〜100000)、品番NISSO HPC−L(分子量〜140000)、品番NISSO HPC−M(分子量〜620000)及び品番NISSO HPC−H(分子量〜910000)から選ばれる、二種以上の成分の混合物であることも、好ましい。尚、ヒドロキシアルキルセルロースの重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定される。
レジスト剤は、水溶性ポリエステル樹脂及びヒドロキシアルキルセルロース以外の水溶性高分子を、更に含有してもよい。この場合、水溶性高分子によってレジスト剤の粘度が調整され、レジスト剤の塗布性が良好となる。この水溶性高分子は、水に溶解すると増粘性を示す性質を有することが好ましい。
水溶性高分子は、例えばカルボキシメチルセルロースなどの多糖類(ヒドロキシアルキルセルロースを除く)、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウムなどの有機酸塩、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン等から選択される、一種以上の化合物を含有する。
レジスト剤は、平均粒径0.03〜10μmの無機フィラーを更に含有することが好ましい。この場合、レジスト剤から形成されるレジスト皮膜が、樹脂マトリックスと、無機フィラーとを備えるようになる。樹脂マトリックスは主として水溶性ポリエステル樹脂から構成され、この樹脂マトリクス中に無機フィラーが分散する。このレジスト皮膜中の樹脂マトリクスと無機フィラーとの間の界面に液体が浸入しやすくなり、そのため、レジスト皮膜に液体が浸み込みやすくなる。その結果、レジスト皮膜が加熱されてから水系のレジスト除去液に曝される場合に、レジスト皮膜が更に除去されやすくなる。
無機フィラーは、特に制限されないが、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、タルク、及びクレーから選択される、一種以上を含有することが好ましい。
また、無機フィラーは、酸化チタン等の金属酸化物、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物等から選ばれる一種以上の白色系体質顔料を含有することも好ましい。この場合、レジスト剤から形成されるレジスト皮膜の白色性が向上することでレジスト皮膜の外観が向上し、またレジスト皮膜の耐熱性が向上する。また、無機フィラーの表面には親水化処理が施されていることが好ましい。この場合、レジスト皮膜の剥離性が更に向上する。
上記のように無機フィラーの平均粒径は、0.03〜10μmの範囲であることが好ましい。このため、レジスト皮膜が加熱されてから水系の洗浄剤に曝される場合に、レジスト皮膜が更に除去されやすくなる。すなわち、この平均粒径が0.03μm以上であることで、樹脂マトリクスと無機フィラーとの界面から液体が特に浸入しやすくなり、レジスト皮膜内部に液体がしみ込みやすくなる。またこの平均粒径が10μm以下であることでレジスト皮膜の表面の平滑性が良くなり、このためレジスト皮膜にボイドが生じにくくなる。この平均粒径は、0.03〜5μmの範囲であることが好ましく、0.08〜1.5μmの範囲であれば特に好ましい。尚、無機フィラーの平均粒径は、遠心沈降光透過法により測定される。
また、レジスト剤中の無機フィラーの割合は、レジスト剤中の樹脂全量に対して0.1〜400質量%の範囲であることが好ましい。この場合、レジスト皮膜が加熱されてから水系の洗浄剤に曝される場合に、レジスト皮膜が更に除去されやすくなる。すなわち、この割合が0.1質量%以上であることで、レジスト皮膜が除去されやすくなり、且つ耐熱性、成形加工性が良好になる。またこの割合が400質量%より大きくなると、レジスト皮膜中に水溶性官能基の割合が少なくなるため、十分な水溶性が確保されない。この無機フィラーの割合は、20〜350質量%の範囲であれば更に好ましく、50〜300質量%の範囲であれば特に好ましい。但し、無機フィラーが親水性フィラーであれば、前記の割合に限定されない。
また、レジスト剤が、チキソトロピー性付与剤を含有することも好ましい。この場合、レジスト剤に適度なチキソトロピー性が付与され、このためレジスト剤の塗布性が改善される。また、透明基板上に塗布されたレジスト剤が加熱された場合のレジスト剤の粘度低下が抑制され、このためレジスト剤が流動することによる形状変化が、抑制される。チキソトロピー性付与剤としては、公知の材料が使用される。例えばチキソトロピー性付与剤は、有機ベントナイト、微粉シリカ、モンモリロナイト、及びハイドロタルサイトから選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい。
また、レジスト剤は、必要に応じ、浸透剤、難燃剤、静電気防止剤、顔料、染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、防錆剤、分散助剤等の適宜の添加剤を含有してもよい。
レジスト剤は、水系溶媒を含有することが好ましい。水系溶媒とは、水であり、或いは水と親水性有機溶媒とを含有する混合溶媒である。この場合、レジスト剤中で水溶性ポリエステル樹脂が水系溶媒中に溶解又は分散し、このため、レジスト剤からレジスト皮膜が形成されるにあたって、レジスト剤が更に塗布されやすくなる。親水性有機溶媒は、例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール、プロピレングリコール等のアルコール;プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のグリコールエーテル;シクロヘキサノン等から選択される、少なくとも一種を含有することが好ましい。
また、水系溶媒が水とアルコールとを含有する混合溶媒であり、レジスト剤中のアルコールの割合が5〜50質量%の範囲であることが好ましい。この場合、スクリーン印刷中のスキージのすべりが良くなり、また皮膜からのスクリーン印刷版の版離れもよくなり、このため、連続印刷性が向上する。
導体パターンの更なる微細化のためには、レジスト剤の25℃での粘度が450〜2000dPa・sの範囲であり、且つその25℃でのTI値(0.5rpm/5rpm)が1.0〜2.0であることが好ましい。この場合、レジスト剤の印刷性が更に向上し、にじみが更に抑制され、版離れが更に向上し、またスクリーン印刷時にスクリーンから抜けるレジスト剤の量が容易に調整可能となる。尚、TI値(0.5rpm/5rpm)は、回転速度5rpmでの粘度に対する回転速度0.5rpmでの粘度の比である。このレジスト剤の粘度は、450〜1500dPa・sの範囲であればより好ましく、480〜1250dPa・sの範囲であれば特に好ましい。また、レジスト剤のTI値は、1.0〜1.7であればより好ましく、1.0〜1.4の範囲であれば特に好ましい。
尚、レジスト剤の粘度は、レジスト剤中のヒドロキシアルキルセルロース、水溶性高分子、無機フィラー、溶媒等の構成成分種類及び割合が変更されることで、適宜調整される。また、レジスト剤のチキソトロピーインデクスは、レジスト剤中のヒドロキシアルキルセルロース、水溶性高分子、無機フィラー、溶媒、チキソトロピー性付与剤等の構成成分種類及び割合が変更されることで、適宜調整される。
このレジスト剤を用い、透明基板上にリフトオフ法によって、透明電極及び金属電極が形成されることで、タッチパネル用基板が製造される。特に、透明電極及び金属電極が、共にリフトオフ法によって形成されることが好ましい。
透明基板の材質としては、特に制限されないが、例えば適宜の樹脂フィルム、ガラス等が挙げられる。樹脂フィルムが用いられる場合、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、シリコーン等の樹脂から形成されるフィルムが用いられる。
リフトオフ法により透明電極を形成するにあたっては、透明基板上にレジスト剤を塗布成膜することで、レジスト皮膜からなるネガパターンを形成する。続いて、透明基板におけるレジスト皮膜が形成されている面上に、導体を乾式法により堆積させる。続いて、レジスト皮膜を水系のレジスト除去液に曝すことで、透明基板からレジスト皮膜とこのレジスト皮膜上の導体とを除去する。これにより、透明基板上に、適宜のパターン形状を有する透明電極を形成することができる。
透明電極を形成する方法について、更に詳しく説明する。まず透明基板上にレジスト剤が、適宜のパターンで塗布される。レジスト剤の塗布方法としては、刷毛塗り法、スクリーン印刷法、グラビア印刷、スプレー法、ディップ法、バーコーター、ロールコーターその他の公知の塗布手段が採用され得る。特にスクリーン印刷法が好ましい。本願は100μm以下のパターンが従来の写真法ではなくスクリーン印刷法で形成できることに特徴がある。続いて、必要に応じてレジスト剤が乾燥される。これにより、硬化反応を伴うことなく、透明基板上にパターン化されたレジスト皮膜が形成される。レジスト皮膜の厚みは、特に制限されないが、0.5〜5μmが好ましい。ボイドが起こらない程度であればより薄いほうが剥離が容易になり好ましい。
続いて、蒸着、スパッタリング等の乾式法によって、透明基板上に透明な導体が成膜される。透明な導体としては、ITO、ZnO等の酸化物が挙げられる。
続いて、レジスト皮膜が水系のレジスト除去液に曝されることで、透明基板上からレジスト皮膜が除去され、これによりレジスト皮膜上の導体も透明基板上から除去される。これにより、透明基板上に残存する導体によって、適宜のパターン形状を有する透明電極が形成される。
次に、リフトオフ法により金属電極を形成するにあたっては、透明基板上にレジスト剤を塗布成膜することで、レジスト皮膜からなるネガパターンを形成する。続いて、透明基板におけるレジスト皮膜が形成されている面上に、金属を乾式法により堆積させる。続いて、レジスト皮膜を水系のレジスト除去液に曝すことで、透明基板からレジスト皮膜とこのレジスト皮膜上の金属とを除去する。これにより、透明基板上に、適宜のパターン形状を有する金属電極を形成することができる。
金属電極を形成する方法について、更に詳しく説明する。まず透明基板上にレジスト剤が、適宜のパターンで塗布される。レジスト剤の塗布方法としては、刷毛塗り法、スクリーン印刷法、グラビア印刷、スプレー法、ディップ法、バーコーター、ロールコーターその他の公知の塗布手段が採用され得る。特にスクリーン印刷法が好ましい。続いて、必要に応じてレジスト剤が乾燥される。これにより、硬化反応を伴うことなく、透明基板上にパターン化されたレジスト皮膜が形成される。レジスト皮膜の厚みは、特に制限されないが、0.5〜5μmが好ましい。レジスト皮膜にボイドが生じないのであれば、レジスト皮膜の厚みが薄いほど、レジスト皮膜が剥離されやすくなるため、好ましい。
続いて、蒸着、スパッタリング等の乾式法によって、透明基板上に金属が成膜される。金属としては、Al、Ti、Pb、Ni、Cu、Ag、Au、Cr、Sn、In等が挙げられる。
続いて、レジスト皮膜が水系のレジスト除去液に曝されることで、透明基板上からレジスト皮膜が除去され、これによりレジスト皮膜上の金属も透明基板上から除去される。これにより、透明基板上に残存する金属によって、適宜のパターン形状を有する金属電極が形成される。金属電極は、透明電極と一部重なるように形成されることで、透明電極に導通する。
リフトオフ法により透明電極を形成する場合、並びにリフトオフ法により金属電極を形成する場合の、いずれにおいても、本実施形態では、レジスト剤が非反応性の水溶性ポリエステル樹脂及びヒドロキシプロピルセルロースのうち少なくとも一方を含有するため、上記のようにレジスト剤が塗布され、或いは更に加熱されることで溶剤が除去されると、硬化反応を伴わずにレジスト皮膜が形成される。このため、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂などを含有する反応硬化型のレジスト剤を使用される場合にはレジスト皮膜中に未反応の低分子量の有機成分が残存することがあるのに対し、本実施形態では、レジスト皮膜中に低分子量の有機成分が残存しにくい。このため、蒸着やスパッタリング等により導体が成膜される際に、レジスト皮膜が減圧下に配置されても、レジスト皮膜からは低分子量の有機成分が放出されにくい。このため、このような有機成分によって導体の成膜に悪影響が与えられるような事態が、起こりにくくなる。この結果、導体の成膜性が向上する。
透明基板上からレジスト皮膜を除去するにあたり、水系のレジスト除去液としては、水を用いることができる。また、水系のレジスト除去液として、水と親水性有機溶媒とを含有する混合液を用いることもできる。親水性有機溶媒は、例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール、1,2−プロパンジオール等のアルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル;シクロヘキサノン;非イオン性、陰イオン性、および陽イオン性からなる界面活性剤等から選択される、少なくとも一種を含有することが好ましい。特に水系の洗浄剤が水であることが好ましい。
透明基板上からレジスト皮膜を除去するにあたり、レジスト皮膜は、適宜の手法によって、レジスト除去液に曝される。例えばレジスト除去液が、レジスト皮膜を覆う導体に向けてスプレー塗布されたり、レジスト皮膜及びこれを覆う導体がレジスト除去液に浸漬されたりすることで、レジスト皮膜がレジスト処理液に曝される。
尚、レジスト皮膜の大部分が導体によって覆われていても、蒸着やスパッタリング等の乾式法により形成される導体又は金属の薄膜は微視的には不均一で微細な隙間が多く存在するため、レジスト除去液は導体又は金属の隙間を通じてレジスト皮膜へ到達することができる。この場合、レジスト皮膜へ到達するレジスト除去液の量が僅かであっても、本実施形態ではレジスト皮膜が従来品より良好な水溶性を有するため、レジスト皮膜は透明基板上から容易に除去される。このため、透明基板上にはレジスト皮膜並びにこのレジスト皮膜上の導体又は金属が、残存しにくくなる。その結果、透明基板上に透明電極及び金属電極が容易に形成される。
また、本実施形態のようにリフトオフ法により透明電極と金属電極のうち少なくとも一方を形成すると、エッチング処理が採用される場合のような多段階の工程が不要となり、また酸性やアルカリ性の薬剤を使用する必要もなくなるため、薬剤の管理や廃棄のための手間が削減される。
このため、タッチパネル用基板の製造効率が向上する。
また、上記の通り、レジスト剤は水溶性ポリエステルとヒドロキシアルキルセルロースとのうち少なくとも一方を含有するため、水系の組成物として調製されることができ、更にレジスト剤から形成されるレジスト皮膜は水系レジスト除去液によって容易に除去される。このため、レジスト剤が使用される場合の労働安全性及び環境保全性が、優れている。
以下、本発明の実施例について説明する。但し、本発明は、下記の実施例のみに制限されるものではない。尚、下記において、断りのない限り、「部」は「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味する。
[レジスト剤の調製及び評価]
イオン交換水50部、プロピレングリコール25部、及びスルホン酸基を有する水溶性ポリエステル樹脂(互応化学工業株式会社製、品名:プラスコートGX−610−100、スルホン化率30%)25部を、容器内に入れ、これらを80〜95℃で2時間撹拌することで、溶解させた。これにより、ポリエステル樹脂濃度25%の溶液Aを得た。
この水溶性ポリエステル溶液Aと、ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、品番PVA−217)の25%水溶液と、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達株式会社製、品番NISSO HPC−SL、HPC−SSL)と、炭酸カルシウム(白石カルシウム株式会社製、品名:Silver−W、平均粒径1.5μm)と、炭酸カルシウム(白石カルシウム株式会社製、品名:白麗華CCR、平均粒径0.8μm)と、微粉シリカ(日本アエロジル株式会社製、品名:AEROSIL200、平均粒径約0.012μm)と、プロピレングリコールとを、用意した。
上記原料を、後掲の表に示す割合で配合し、3本ロールミルで混練することで、ペースト状のレジスト剤を調製した。
[レジスト剤の粘度及びTI値]
各実施例及び比較例で得られたレジスト剤の粘度を、東機産業株式会社製のコーンプレートタイプ粘度計TV−30にロータ(No.(3°×R14))を取り付けたものを用いて、25℃、回転数0.5rpmの条件で測定した。
また、回転数を5rpmに変更した場合についても、レジスト剤の粘度を測定し、これに基づき、レジスト剤のTI値(0.5rpm/5rpm)を導出した。
これらの結果を後掲の表に示す。
(透明電極形成時のレジスト皮膜の剥離性及び微細加工性)
PEN(ポリエチレンナフタレート)樹脂製のフィルム上にレジスト剤を、スクリーン印刷法により線幅が100μmのネガパターンが形成されるように印刷した。尚、500メッシュのコンビネーションスクリーンマスク(SUS/ポリエステル)に、厚み15μmの直間法フィルム(品名マイスターGAM FJ−15、互応化学工業株式会社製)を貼り付けることで、スクリーン印刷のためのスクリーン印刷版を作製した。
このフィルム上のレジスト剤を80℃で20分加熱することで乾燥させた。これにより、フィルム上にレジスト皮膜を形成した。尚、いずれの実施例及び比較例においても、レジスト皮膜の厚みは0.5〜3μmであった。
続いて、フィルムのレジスト皮膜が形成されている側の面上に、スパッタリング法によりITOを蒸着することで、厚み0.4μmの透明電極を形成した。尚、スパッタリング装置としてはキャノン・アネルバ株式会社製のSPCシリーズを用い、スパッタリングの条件は、真空度10-4Pa、印加電圧5.1kVとした。
続いて、フィルム上のレジスト皮膜を除去するために、フィルムにおける透明電極が形成されている面に、流水を水温40℃、圧力0.005MPaの条件で5分間吹き付けた。
試験後のフィルムの表面を観察し、その結果を次のように評価し、後掲の表に示す。
A:フィルム上にレジスト皮膜の残存が認められない。
B:フィルム上に僅かにレジスト皮膜の残渣が認められる。
C:フィルム上に全体的にレジスト皮膜の残渣が認められる。
また、フィルム上に残存する透明電極のパターンの形状を、顕微鏡で観測し、その結果を、透明電極のパターンのがたつき、パターン幅により、次のように評価し、後掲の表に示す。
A:パターン幅のばらつきが±20%以内でラインにがたつきがない。
B:パターン幅のばらつきが±40%以内でラインにややがたつきがあるが、使用可能範囲である。
C:パターン幅のばらつきが±40%を超えてラインにがたつきがある。
(金属電極形成時の剥離性)
さらに、フィルムにおける透明電極が形成されている面上に、レジスト剤を、上記方法と同じ方法でスクリーン印刷法により塗布成膜することで、レジスト皮膜からなるネガパターンを形成した。
続いて、フィルム上に、スパッタリング法によりAlを蒸着することで、厚み0.4μmの金属膜を形成した。
続いて、フィルムのレジスト皮膜が形成されている側の面上に、スパッタリング法によりAlを蒸着することで、厚み0.4μmの金属電極を形成した。
続いて、フィルム上のレジスト皮膜を除去するために、フィルムにおける透明電極及び金属電極が形成されている面に、流水を水温50℃、圧力0.005MPaの条件で5分間吹き付けた。
試験後のフィルムの表面を観察し、その結果を次のように評価し、後掲の表に示す。
A:フィルム上にレジスト皮膜の残存が認められない。
B:フィルム上に僅かにレジスト皮膜の残渣が認められる。
C:フィルム上に全体的にレジスト皮膜の残渣が認められる。
Figure 0006006006
上記結果に示されるように、実施例1〜9では、レジスト皮膜の剥離性は良好であった。実施例4では、レジスト皮膜を剥離されると、ややうっすら残渣が残ったが、やわらかいスポンジで軽くなぞることできれいに剥離した。さらに、実施例1〜3では、水溶性ポリエステルとヒドロキシプロピルセルロースとを併用することにより、良好な剥離性と微細加工性が得られた。実施例5〜9では、分子量の異なる2種のヒドロキシプロピルセルロースを用いることで、良好な剥離性と微細加工性が得られた。

Claims (3)

  1. 透明基板上に透明電極を形成するステップと、前記透明基板上に前記透明電極に導通する金属電極を形成するステップとを含み、前記透明電極と前記金属電極とのうち少なくとも一方を、水溶性ポリエステルとヒドロキシアルキルセルロースとのうち少なくとも一方を含有する非反応性の水溶性のレジスト剤を用いるリフトオフ法により形成することを特徴とするタッチパネル用基板の製造方法。
  2. 前記リフトオフ法が、前記透明基板上で前記レジスト剤を、スクリーン印刷法により塗布し、このレジスト剤を成膜することで、前記透明基板上にレジスト皮膜を形成する工程を含む請求項1に記載のタッチパネル用基板の製造方法。
  3. 前記レジスト剤全体に対する前記ヒドロキシアルキルセルロースの割合は、8〜25質量%の範囲内であることを特徴とする請求項1又は2のいずれか一項に記載のタッチパネル用基板の製造方法。
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