{共通実施形態}
以下、実施形態に係るプロテクタ付ワイヤーハーネスについて説明する。
プロテクタ付ワイヤーハーネスは、車両に組込まれる配線材であり、プロテクタとワイヤーハーネスとを備える。
ワイヤーハーネスは、少なくとも1本の電線を含む。
プロテクタは、複数の板状部分の間に中空構造が形成された中空板材によって形成されている。中空板材を形成する材質は特に限定されず、PP(ポリプロピレン)等の樹脂によって形成されていてもよいし、紙によって形成されていてもよい。このような中空板材は、複数の板状部材が、中空構造を介して間隔をあけて配設されているため、曲り難く、また、中空構造を形成する構造体によって強度を向上させることができる。このため、中空板材は、強度的に優れる。しかも、中空板材内に中空構造が存在しているため、軽量化及び材料の削減を図ることもできる。
このプロテクタに、上記ワイヤーハーネスの少なくとも一部が収容されることで、プロテクタ付ワイヤーハーネスが構成される。プロテクタは、ワイヤーハーネスを外部(例えば、配線経路の周辺にあるエッジ部分等)から保護する役割、ワイヤーハーネスを所定の配線経路に沿って維持する役割、ワイヤーハーネスの断面形状を配線経路における経路スペースに応じた形状に維持する役割等を果す。
プロテクタ内にワイヤーハーネスを収容する構成としては、例えば、中空板材を、ワイヤーハーネスを収容可能な形状に折曲げてプロテクタを構成し、このプロテクタ内にワイヤーハーネスを収容する構成と、中空板材の中空構造自体の内部にワイヤーハーネスを収容する構成とが挙げられる。
前者の構成については、第1実施形態でより具体的に説明し、後者の構成については、第2実施形態でより具体的に説明する。
いずれの構成であっても、複数の板状部分の間に中空構造が形成された中空板材によって形成されたプロテクタと、少なくとも1本の電線を含み、前記プロテクタ内に収容されたワイヤーハーネスとを備えるプロテクタ付ワイヤーハーネスによると、ワイヤーハーネスが中空板材によって形成されたプロテクタ内に収容される。これにより、ワイヤーハーネスを一定の経路形状に維持しつつ保護することができる。
また、プロテクタは、中空板材によって形成されるため、ワイヤーハーネスの配設経路に応じた形状のプロテクタを製造するための射出成形金型装置等が不要となる。例えば、一様な構造を持ち、かつ、大きく拡がる中空板材を形成し、この中空板材を適宜切断、折曲げ加工等して、プロテクタを構成することができる。このため、プロテクタを低コストで製造できる。
また、プロテクタを中空板材が呈する板状形態で効率よく輸送することも可能となる。
さらに、プロテクタは、複数の板状部分の間に中空構造が形成された中空板材によって形成されているため、強度的にも優れたものとすることができる。
{中空板材}
プロテクタ付ワイヤーハーネスをより具体的に説明するにあたって、プロテクタを構成するための中空板材について説明しておく。
図1は、中空板材10の第1の例を示す部分切り欠き斜視図である。
中空板材10は、複数(ここでは2つ)の板状部材12と、複数の板状部材12の間に挟み込まれた介在部材16とを備える。
複数の板状部材12及び介在部材16を形成する材質は特に限定されない。複数の板状部材12及び介在部材16は、紙によって形成されていてもよいし、樹脂によって形成されていてもよいし、また、これらの組合わせによって構成されていてもよい。複数の板状部材12及び介在部材16の少なくとも1つを紙によって形成する場合には、その表面に撥水処理等を施すことが好ましい。
板状部材12は、平板状に形成されている。複数の板状部材12が介在部材16を介して間隔をあけた状態で連結されている。
介在部材16は、凹凸形状を呈する板状に形成された部材である。かかる介在部材16が、複数の板状部材12の間に挟み込まれた状態で、当該板状部材12の内向き面に接合される。板状部材12と介在部材16との接合は、例えば、接着剤、粘着剤等により行われる。これにより、介在部材16が呈する凹凸形状に応じた中空構造が、複数の板状部材12の間に形成される。
ここでは、介在部材16は、山部16aと谷部16bとが波状に連続する形状に形成されている。山部16aの延在方向と谷部16bの延在方向とは、平行な位置関係にあり、従って、介在部材16を平面視すると、複数の山部16aと複数の谷部16bとが交互に並列状に形成された構成とされている。山部16aの頂部と谷部16bの底部とは、湾曲していてもよいし、所定の角度をなして曲っていてもよい。
そして、介在部材16が複数の板状部材12の間に挟み込まれ、谷部16bの底部の下面と下側の板状部材12とが接合されると共に、山部16aの頂部の上面と上側の板状部材12とが接合されている。
このような中空板材10によると、複数の板状部材12が間隔をあけて、介在部材16によって連結されているため、曲り難い。また、板状部材12間に介在部材16が介在しているため、当該介在部材16によっても中空板材10が曲り難くかつ凹み難いように補強される。特に、本例では、山部16a及び谷部16bの延在方向において、中空板材が曲り難いようにすることができる。よって、本中空板材10は、強度的に優れる。
また、中空板材10の複数の板状部材12の間には中空構造が形成されているため、その分、軽量化及び材料費の低減を図ることもできる。
また、中空板材10の所定形状への切断又は所定形状の折れ容易線119(後述する)の形成は、一対のローラの表面に切断刃及び折れ容易線119形成用の突起又は刃を設け、当該一対のローラによって中空板材10を挟むことによって連続的に容易に行うことができる。
上記中空板材10の一製造例について説明しておく。
介在部材16は、例えば、平板状の部材を、凹凸面を有するプレス型の間に挟み込むことで形成することができる。例えば、帯状をなす平板状の部材を所定の搬送路に沿って連続的に供給すると共に、当該搬送路に沿って一対のローラを配設する。この一対のローラの表面には、凹凸形状を形成しておく。そして、帯状をなす平板状の部材を所定の搬送路に沿って搬送しつつ、当該平板状の部材を一対のローラで連続的に挟込んでいくことで、介在部材16を連続的に形成することができる。
また、上記所定の搬送路に沿って、一対のローラの下流側に、一対の帯状の板状部材12を連続的に供給して、当該一対の帯状の板状部材12の間に介在部材16を順次挟込んで接着剤等で接合していく。これにより、中空板材10を連続的に製造することができる。
なお、図2に示すように、中空板材10の少なくとも一部に、電磁シールド部材19が設けられていてもよい。電磁シールド部材19としては、金属箔(アルミ箔)等を用いることができる。また、中空板材10に電磁シールド部材19を取付ける構成としては、接着剤を用いた貼り合せ構成等を採用することができる。
中空板材10の少なくとも一部に電磁シールド部材19を設けることで、中空板材10によって形成されるプロテクタ内に収容されるワイヤーハーネスを、電磁的に遮蔽することができる。
なお、後述する第1実施形態の場合には、電磁シールド部材19は、中空板材10の一方主面に設けられていれば、ワイヤーハーネスに対する電磁シールドを行える。また、後述する第2実施形態の場合には、電磁シールド部材19は、中空板材10の両面に設けられていることが好ましい。
また、中空板材が3枚以上の板状部材を含む場合には、各間に介在部材が設けられていることが好ましい。これにより、中空板材の強度をより向上させることができる。
また、上記介在部材16と同様構成の介在部材が複数設けられる場合には、少なくとも2つの介在部材間では、山部及び谷部の延在方向が交わる関係にあること、より好ましくは、直交する関係にあることが好ましい。これにより、中空板材が複数方向において曲り難くなり、強度をより向上させることができる。
図3は、中空板材10Bの第2の例を示す部分切り欠き斜視図であり、図4は中空板材10Bの部分断面図である。
この中空板材10Bが、上記中空板材10と異なるのは、介在部材16に代えて介在部材16Bが用いられている点である。
すなわち、介在部材16Bは、凹凸形状を呈する板状に形成された部材であり、より具体的には、介在部材16Bの平面視において点在するように複数の突部17が形成された構成とされている。ここでは、介在部材16Bを平面視した状態において、複数の突部17が縦横に一定間隔で並ぶように形成されている。突部17は、介在部材16Bのうち平板状に延在する基板部18より一方主面側に突出するように形成されており、筒の上端部が閉じられた形状を呈している。ここでは、突部17は、上方に向けて徐々に狭まる形状、即ち、錐台形状に形成されている。突部17は、円錐台形状に形成されていてもよいし、角錐台形状に形成されていてもよいし、角錐台の角を丸めた形状に形成されていてもよい。
そして、介在部材16Bが複数の板状部材12の間に挟み込まれ、基板部18の下面が下側の板状部材12に接合され、突部17の頂部が上側の板状部材に接合されている。
このような中空板材10Bによると、上記中空板材10と同様に、強度的に優れ、かつ、軽量化を図ることができる。特に、中空板材10Bは,点在する複数の突部17を備えているため、曲り難さの方向性を無くすことができる。
なお、図5は、中空板材10Cの第3の例を示す部分断面図である。
この中空板材10Cでは、介在部材16Cとして、上記介在部材16Bを2つ組合わせたものが用いられている。
すなわち、下側の板状部材12の上面に介在部材16Bの基板部18が接合されており、その上方に突部17が突出している。また、上側の板状部材12の下面に介在部材16Bの基板部18が接合されており、その下方に突部17が突出している。そして、複数の突部17の頂部同士が接合されることで、2つの板状部材12の間に、2つの介在部材16Bが組合わされた介在部材16Cが介在している。
この中空板材16Cによっても、強度的に優れ、かつ、軽量なものとでき、さらに、曲り難さの方向性を無くすことができる。
特に、上記中空板材10、10B、10Cによると、複数の板状部材の間に、凹凸形状を呈する介在部材16、16B、16Cを挟込めば、そこに中空構造を形成することができるため、中空板材10、10B、10Cを容易に製造することができるというメリットがある。
図6は、中空板材10Dの第4の例を示す部分切り欠き斜視図である。
この中空板材10Dは、樹脂材料によって形成された部材であり、複数(ここでは2つ)の板状部12Dと、板状部12Dの間に介在する介在部16Dとを備え、はしご状断面を有する形状に形成されている。
より具体的には、板状部12Dは、平板状に形成されている。複数の板状部12Dが介在部16Dを介して間隔をあけた状態で連結されている。
複数の板状部12Dの間に、複数の介在部16Dが相互間に間隔をあけた並列状態で設けられている。
各介在部16Dは、細長い板状に形成されており、両側の板状部12Dに対して直交する姿勢で、当該板状部12Dに対して一体成型されている。
このため、中空板材10Dを、介在部16Dの延在方向に対して直交する面で切断すると、一対の板状部12Dの間に複数の介在部16Dが延在するはしご状断面を示す。
このような中空板材10Dは、例えば、前記はしご状断面に応じた押出孔から樹脂を押出す押出成型装置によって、連続的に製造することができ、これにより、中空板材10Dを容易に低コストで製造することができる。
このような中空板材10Dによっても、上記中空板材10と同様に、強度的に優れたものとすることができ、かつ、軽量化を図ることができる。また、このような中空板材10Dは、樹脂材料の押出成型によって効率よく製造できるというメリットもある。
なお、複数の板状部分間に介在して中空構造を形成する介在部分は、他の中空形状を形成するものであってもよい。例えば、複数の板状部分間において、それらの間の介在部分は、三角柱等の多角柱状の中空形状を形成するものであってもよく、特に、ハニカム構造を形成するものであってもよい。
なお、中空板材10、10B、10C、10Dの厚み寸法は、1.5mm〜15.0mm程度であることが好ましい。
また、中空板材10、10Dのように、空間が並列状に形成されたタイプでは、並列状に形成された空間を仕切る部分のピッチが、4mm〜20mm程度であることが好ましい。
さらに、中空板材10B、10Cのように、点在する突部によって中空空間が形成されているタイプでは、各突部のピッチが、2mm〜6mm程度であることが好ましい。
上記のような中空板材10、10B、10C、10Dを用いた、第1実施形態に係るプロテクタ付ワイヤーハーネス及び第2実施形態に係るプロテクタ付ワイヤーハーネスについてより具体的に説明する。
{第1実施形態}
図7は第1実施形態に係るプロテクタ付ワイヤーハーネス20を示す概略斜視図である。
このプロテクタ付ワイヤーハーネス20は、ワイヤーハーネス30と、プロテクタ40とを備える。
ワイヤーハーネス30は、少なくとも1本の電線を含んでいる。ここでは、ワイヤーハーネス30は、複数の電線が束ねられることにより構成されている。複数の電線は、車両における配線経路に沿って配設される。ワイヤーハーネス30の端部には、コネクタ等が接続されており、ワイヤーハーネス30は、コネクタ等を介して車両における各種電気機器に接続される。これにより、ワイヤーハーネス30は、車両における各種電気機器間を電気的に相互接続する。ワイヤーハーネスは、途中で分岐していてもよいし、分岐していなくてもよい。
プロテクタ40は、中空板材10が、底部42と、一対の側壁部46とを含む形状となるように折曲げることにより形成された部材であり、前記底部42と一対の側壁部46とで囲まれる空間内にワイヤーハーネス30が収容される。このプロテクタ40の両端部には、ワイヤーハーネス30が延出する開口が形成されている。底部42と一対の側壁部46の幅等を適宜調整することによって、ワイヤーハーネス30の断面形状を、ワイヤーハーネス30の収容スペースに応じた所定形状に維持することができる。なお、中空板材としては、上記中空板材10の他の中空板材10B、10C、10D等が用いられてもよい。
より具体的には、底部42は、細長い板状に形成されている。ここでは、底部42は、真っ直ぐ延在し、かつ、その延在方向において等幅である著方形状に形成されている。なお、底部42は、その延在方向途中でその幅方向に曲っていてもよい。
一対の側壁部46は、底部42の両側に立設された細長い板状部分に形成されている。一対の側壁部46は、底部42の延在方向全体に亘って設けられているが、当該底部42の延在方向一部に設けられていてもよい。また、側壁部46の延在方向の途中に、ワイヤーハーネスの分岐部分等を引出す開口が形成されていてもよい。また、ここでは、一対の側壁部46は、同じ高さ寸法に設定されているが、これらは異なる高さ寸法に形成されていてもよい。また、ここでは、一対の側壁部46は、底部42に対して直交する姿勢で立設されている。もっとも、側壁部は、底部に対して傾斜していてもよい。
上記底部42と一対の側壁部46とによって、横断面U字状をなして、両端側及び上方で開口する、ワイヤーハーネス30の収容部材が形成される。
また、一方の側壁部46の先端部には、蓋部50が設けられている。蓋部50は、一対の側壁部46の一方の先端部から他方の先端部に向けて延在し、一対の側壁部46、46の先端部間の細長開口を塞ぐことが可能な形状、即ち、細長板状に形成されている。
蓋部50の先端部には、その先端縁部の延在方向に沿って係止スリット50Sが形成されている。ここでは、蓋部50の先端部に、間隔をあけた2箇所に係止スリット50Sが形成されている。
また、他方の側壁部46の先端部には、係止片46aが形成されている。ここでは、一方の側壁部46の先端部の延在方向に沿って間隔をあけて、部分的な突出片である係止片46aが形成されている。
そして、底部42及び一対の側壁部46とで囲まれる空間内にワイヤーハーネス30を収容した状態で、蓋部50を閉じて、係止片46aを係止スリット50Sに嵌め込むことで、蓋部50が一対の側壁部46間の開口を閉じた状態が維持される。
上記プロテクタ40は、1枚の中空板材10を、底部42と一対の側壁部46との間の境界線及び一方の側壁部46と蓋部50との間の境界線で折曲げることによって形成される。
なお、中空板材10には、折曲げられる部分に沿って、折れ容易線が形成されていることが好ましい(図10参照)。折れ容易線は、中空板材10の一方主面又は両主面を線状に凹ませること、或は、中空板材10の一方又は両方の板状部分に、ミシン目状の刃等によってミシン目を形成すること等により形成することができる。
なお、中空板材10を折曲げる方法としては、手或は後述するような折曲げ用の装置等によって中空板材10を折曲げる方法が想定される。また、中空板材10が樹脂等で形成されている場合には、中空板材10を加熱しつつ目的形状の型面に押付ける方法も想定される。後者の場合、中空板材10は一対の型面間に挟み込まれてもよいし、バキューム成型或はブロー成型のように、中空板材10が気圧によって1つの型面に押付けられてもよい。バキューム成型或はブロー成型であれば、中空板材10の中空構造がより良好に保たれるという利点がある。
上記プロテクタ40及びプロテクタ付ワイヤーハーネス20によると、当該プロテクタ40によって、ワイヤーハーネス30を一定の経路形状に維持しつつ保護することができる。
また、プロテクタ40は、中空板材10を折ることによって形成されているため、ワイヤーハーネス30の配設経路に応じた形状のプロテクタを製造するための射出成型金型装置等は不要となる。仮に、中空板材10をバキューム成型又はブロックブロー成型で加工するとしても、溶融した樹脂を高圧力条件下で射出成型する装置と比べると、簡易な装置で加工が可能となる。このため、プロテクタ40を低コストで製造することができる。
また、プロテクタ40は、複数の板状部分の間に中空構造が形成された中空板材によって形成されているため、強度的にも優れたものとすることができる。また、このプロテクタ40は、軽量でもある。
また、上記プロテクタ40は、折曲げる前において、中空板材10が呈する板状形態で搬送ことも可能である。例えば、ある程度限定された加工拠点において、中空板材10を所定の外形状に形成すると共に、所定の折曲げ予定線に沿って折れ容易線を形成したもの(図10参照)を製造し、これを板状形態のまま、各ワイヤーハーネス生産拠点に輸送し、当該ワイヤーハーネスの生産拠点において、中空板材10を折曲げてプロテクタ40を製造しつつ、その内部にワイヤーハーネス30を収容してプロテクタ付ワイヤーハーネス20を製造することができる。これにより、プロテクタ40を製造するための中空板材10を低コストで輸送することが可能となり、プロテクタ付ワイヤーハーネス20の製造コストを低くすることもできる。
特に、輸送は、板状形態のプロテクタ40を積重ねて行うことができるため、より輸送効率に優れる。
また、プロテクタ40は、蓋部50を含む形状であるため、ワイヤーハーネス30をより確実に収容して保護することができる。もっとも、蓋部50は省略されてもよい。また、上記実施形態では、他方の側壁部46の係止片46aが、蓋部50の係止スリット50Sに嵌め込むことで、角筒状のプロテクタ40の形状が維持されているが、必ずしもこのような構成である必要はない。例えば、蓋部50が省略されており、底部42及び一対の側壁部46がワイヤーハーネス30を覆った状態でこれに粘着テープ等の結束具が結束されて、ワイヤーハーネスにプロテクタが装着される構成であってもよい。
なお、プロテクタを折曲げた状態に維持するため、当該プロテクタよりも小型の樹脂成形部品が当該プロテクタに組込まれてもよい。
なお、図8及び図9に示すプロテクタ40Bのように、一対の側壁部46の他方の先端部から蓋部50と重ね合せ可能なように延出する延出片56が形成されていてもよい。延出片56は、他方の側壁部46の先端部全体に亘って形成されていてもよいし、当該先端部に対して部分的に形成されていてもよい。また、延出片56は、蓋部50と同程度の幅であってもよいし、当該蓋部50よりも小さい幅であってもよい。ここでは、延出片56は、他方の側壁部46の先端部の延在方向全体に亘って形成され、かつ、蓋部50の幅寸法よりも小さい幅の細長板状に形成されている。
そして、延出片56が、上記蓋部50の内側で、当該蓋部50に重ね合せるように、他方の側壁部46に対して折曲げられる。これにより、延出片56は、蓋部50が一対の側壁部46間に落込まないように支持する役割を果す。これにより、底部42と、一対の側壁部46と、蓋部50との間にワイヤーハーネス30を収容する形状をより確実に維持することができる。また、プロテクタ40Bの剛性を高めることができる。延出片56と蓋部50とは、接着剤、粘着剤、両面テープ、ステープラー等の接合部によって、接合されていることが好ましいが、これは必須ではない。
第1実施形態に係るプロテクタ40及びプロテクタ付ワイヤーハーネス20を前提とする変形例について説明する。
<第1実施形態に係る第1変形例>
図10は第1実施形態の第1変形例に係るプロテクタ140を製造するための中空板材110を示す展開図であり、図11はプロテクタ140の部分拡大説明図であり、図12〜図15はプロテクタ組立用治具180を用いてプロテクタ付ワイヤーハーネス120を製造する工程を示す説明図である。
本プロテクタ140は、上記第1実施形態で説明したプロテクタ40と以下の点を除いて同じ構成とされている。
すなわち、本プロテクタ140は、上記プロテクタ40と同様に、底部42と、一対の側壁部46と、蓋部50とを備える。
本プロテクタ140を製造するための中空板材110においては、底部42と一対の側壁部46との各境界線及び一方の側壁部46と蓋部50との境界線には、折れ容易線119が形成されている。
折れ容易線119は、底部42と一対の側壁部46との間、一方の側壁部46と蓋部50との間に、折目の内側から凹む線として形成されている。かかる折れ容易線119は、例えば、板の縁部を中空板材110に押付けることにより形成される。勿論、折れ容易線は、ミシン目等によって形成されていてもよい。従って、中空板材110を、折れ容易線119に沿って確実かつ容易に折曲げることができ、これにより、プロテクタ140を容易に組立てることができる。
本プロテクタ140が、上記プロテクタ40と異なる主な相違点は、次の通りである。
すなわち、底部42及び一対の側壁部46に、位置決め孔43h、47hが形成されている。より具体的には、底部42の両側部に、間隔をあけて位置決め孔43hが形成されている。ここでは、底部42には、合計4つの位置決め孔43hが形成されている。また、一対の側壁部46の先端部に位置決め孔47hが形成されている。ここでは、各側壁部46の先端部に、間隔をあけて2つの位置決め孔47hが形成されている。
ここでは、位置決め孔43hは方形孔状に形成され、位置決め孔47hは円孔状に形成されているが、これらの形状はその他の形状であってもよい。
これらの位置決め孔43h、47hは、本中空板材110を、プロテクタ組立用治具180にセットする際の位置決めに供される部分である。
また、底部42に形成された位置決め孔43hは、底部42と側壁部46との間で折曲げられる部分である折れ容易線119に隣接する位置に形成されている。また、この位置決め孔43hは、底部42の方形状部分を、周囲3方を囲む線に沿って切離し、残りの一方を切離さずに、底部42に連結したままとし、この部分を当接部43haとして、底部42からプロテクタ140内に突出するように(ここでは、底部42に対して直交するように)、切り起すことにより形成されている。前記当接部43haは、底部42に対して突出しており、底部42に対して側壁部46を折曲げると、当該当接部43haが、折れ容易線119に対して他方側から隣接する側壁部46に対してその内面側から当接する。これにより、側壁部46が底部42に対して内側に倒れ込まないように規制され、底部42に対して側壁部46が直角状態に曲った状態に維持される。
なお、このような当接部は、折曲げられる部分に隣接して形成されていればよく、例えば、側壁部側に形成されていてもよい。
上記プロテクタ140を組込んだプロテクタ付ワイヤーハーネス120の製造方法及びその製造の際に用いられるプロテクタ組立用治具180について説明する。
プロテクタ組立用治具180は、底支持部182と、一対の側壁支持部184、186と、基部190とを備える(図12〜図15参照)。
底支持部182は、底部42を支持可能に構成されている。具体的には、底支持部182は、底部42と同程度の拡がりを持つ細長板状に形成されている。底支持部182のうち位置決め孔43hと対応する位置には、当該位置決め孔43hに嵌め込み可能な位置決め凸部182aが形成されている。ここでは、位置決め凸部182aは、円柱状形状に形成されているが、その他、角柱状等の形状であってもよい。
一対の側壁支持部184、186は、それぞれ側壁部46を支持可能に構成されている。ここでは、一対の側壁支持部184、186は、それぞれ側壁部46と同程度の拡がりを持つ細長板状に形成されている。一対の側壁支持部184、186のうち、位置決め孔47hと対応する位置には、当該位置決め孔47hに嵌め込み可能な位置決め凸部184a、186aが形成されている。ここでは、位置決め凸部184a、186aは、円柱状形状に形成されているが、その他、角柱状等の形状であってもよい。
なお、一方の側壁支持部186の先端部には、蓋部50を支持可能な蓋支持部188が連結されている。蓋支持部188は、細長板状に形成されており、蓋部50の長さ寸法と同程度の長さ寸法に設定されている。ここでは、蓋支持部188の幅寸法は、蓋部50の幅寸法よりも小さいが、当該蓋部50と同程度又はこれよりも大きく設定されていてもよい。また、蓋支持部188の内向き面は、一方の側壁支持部186の内向き面に対して鈍角をなしている。このため、蓋部50は、一方の側壁部46に対して曲げられた状態で支持される。
底支持部182と一対の側壁支持部184、186は、ヒンジ部181を介して、平面上に延在する状態(図12〜図14参照)から直角に曲げた状態(図15参照)との間で、曲げ可能に連結されている。そして、底支持部182と一対の側壁支持部184、186とを平面上に配設した状態で、それらの上に平板状の底部42及び一対の側壁部46を容易にセットすることができる。また、この状態で、底支持部182に対して一対の側壁支持部184、186を曲げることで、底部42に対して一対の側壁部46が曲げられる。
また、一対の側壁支持部184、186の両端部には、外方に向けて突出する支持突部184b、186bが形成されている。支持突部184b、186bは、円柱状に形成されており、後述するガイド支持孔194内に移動可能に支持される。
基部190は、底支持部182を上方の待機位置(図12〜図14参照)と下方の押込位置(図15参照)との間で移動可能に支持すると共に、一対の側壁支持部184、186を、底支持部182に対して倒れた状態(図12〜図14参照)と、立った状態(図15参照)との間で姿勢変更可能に支持するように構成されている。
より具体的には、基部190は、上記底支持部182及び一対の側壁支持部184、186の両端部に設けられた一対の基板部192を備える。
一対の基板部192は、板状に形成されており、装置台上に、平行姿勢で、上記底支持部182及び一対の側壁支持部184、186の両端部に立設固定されている。
基板部192の上端部の幅方向中央部には、ワイヤーハーネス30を配設可能な凹部193が形成されている。凹部193は、上方に向けて徐々に拡開する形状に形成されている。
また、基板部192のうち凹部193を挟む部分に、一対のガイド支持孔194が形成されている。ガイド支持孔194は、凹部193側から斜め上方に向けて凸となる弧状に形成されている。このガイド支持孔194に、上記支持突部184b、186bが移動可能に支持される。
そして、一対の側壁支持部184、186の各支持突部184b、186bを、各ガイド支持孔194の外側位置に位置させた状態では、一対の側壁支持部184、186が互いに離間した状態となり、それらの間の待機位置に底支持部182が配設される。この状態では、底支持部182と側壁支持部184、186とが略同一平面上に位置する状態となる。また、一対の側壁支持部184、186の各支持突部184b、186bを、各ガイド支持孔194の内側位置に位置させた状態では、一対の側壁支持部184、186が互いに接近しつつ平行な位置関係に配設され、これらの下型間の押込位置に底支持部182が配設される。この状態では、底支持部182に対して一対の側壁支持部184、186が直交姿勢で配設される。
つまり、本実施形態では、底支持部182は、一対の側壁支持部184、186を介して待機位置と押込位置との間で移動可能に支持される。
そして、底支持部182を待機位置から押込位置に向けて移動させると、ガイド支持孔194のガイド支持下、一対の側壁支持部184、186が互いに接近移動すると共に、一対の側壁支持部184、186のうちの底支持部182側の部分が押下げられ、一対の側壁支持部184、186が底支持部182に対して倒れた状態から立った状態に姿勢変更するようになっている。
なお、底支持部182は、コイルバネ等の弾性部材182sによって、押込位置から待機位置に向けて付勢されていることが好ましい。弾性部材182sは、底支持部182を直接的に押込位置から待機位置に向けて付勢するものであってもよいし、一対の側壁支持部を外方に付勢することで、間接的に、底支持部を押込位置から待機位置に向けて付勢するものであってもよい。
上記プロテクタ組立用治具180を用いた、プロテクタ付ワイヤーハーネス120の製造方法について説明する。
まず、図12及び図13に示すように、底支持部182を待機位置に位置させて、底支持部182と一対の側壁支持部184、186とを平面上に配設した状態で、底支持部182及び一対の側壁支持部184、186上に、平板状に拡がる底部42及び一対の側壁部46をセットする。この際、底支持部182の位置決め凸部182a及び一対の側壁支持部184、186の位置決め凸部184a、186aを、底部42の位置決め孔43h及び側壁部46の47hに嵌め込む。これにより、底部42及び一対の側壁部46が、底支持部182及び一対の側壁支持部184、186に対して一定位置に支持される。なお、位置決め凸部182aを位置決め孔43hに嵌め込むと、当接部43haが底部42の内側に折曲げられる。
そして、図14に示すように、ワイヤーハーネス30を底部42上に当該底部42の延在方向に沿って配設する。
この後、図15に示すように、底部42上に支持されたワイヤーハーネス30を、当該底部42に押付けるようにしつつ下方に押込んで、底支持部182を待機位置から押込位置に移動させる。この際、ワイヤーハーネス30は、基板部192の位置では、凹部193内に配設されるので、基板部192との干渉を避けつつ、上記押込作業を実施することができる。
そして、底支持部182が待機位置から押込位置に移動すると、ガイド支持孔194による支持状態下、一対の側壁支持部184、186の支持突部184b、186bが底支持部182側に向けて下方に移動し、一対の側壁支持部184が接近移動する。また、底支持部182によって引込まれるようにして、一対の側壁支持部184、186のうち底支持部182側の部分が下方に移動する。これにより、一対の側壁支持部184、186が底支持部182に対して直交するように立上がる。これにより、中空板材が底部42と一対の側壁部46との間の折れ容易線119に沿って折曲げられ、底部42の両側部で一対の側壁部46が直交姿勢で立上がる状態となり、それらの間にワイヤーハーネス30が収容される。
この後、底部42及び一対の側壁部46を、底支持部182及び一対の側壁支持部184、186にセットした状態のまま、或は、底支持部182及び一対の側壁支持部184、186から取外した状態で、一対の側壁部46間の上方開口を閉じるように、蓋部50を折曲げて、側壁部46の係止片46aを、蓋部50の係止スリット50Sに嵌め込むことで、プロテクタ付ワイヤーハーネス120が完成する。
このプロテクタ付ワイヤーハーネス120の製造方法によると、ワイヤーハーネス30を中空板材の底部42に押付けることにより、中空板材を折曲げつつ、プロテクタ140内にワイヤーハーネス30を収容するため、その折曲げ作業とワイヤーハーネス30の収容作業とを一括して行え、プロテクタ付ワイヤーハーネス120を効率的に製造できる。
なお、上記折曲げ作業とワイヤーハーネス30の収容作業とは、手の上等で行われてもよいが、上記プロテクタ組立用治具180を用いることで、ワイヤーハーネス30を底部42に押付けることで、底部42の両側部に一対の側壁部46が立設された状態となるように折曲げてプロテクタ140を製造することができ、また、その内部にワイヤーハーネス30が収容された状態とすることができる。このため、プロテクタ付ワイヤーハーネスをより簡易かつ迅速に製造することができる。
<第1実施形態に係る第2変形例>
上記第1実施形態及びその第1変形例では、ワイヤーハーネスを直線状の経路に沿って維持する構成を説明したが、本第2変形例では、ワイヤーハーネスを曲げた経路に沿って維持する構成について説明する。
図16は第2変形例に係るプロテクタ付ワイヤーハーネス220を示す概略斜視図である。図17は第2変形例に係るプロテクタ240を製造するための中空板材210を示す展開斜視図であり、図18〜図21はプロテクタ付ワイヤーハーネス220を製造する工程を示す説明図である。
このプロテクタ付ワイヤーハーネス220は、プロテクタ240と、ワイヤーハーネス30とを備える。
プロテクタ240は、複数(ここでは3つ)の直線部240a、240c、240eと、傾斜部240b、240dとを備える。直線部240a、240cの間に傾斜部240bが設けられており、直線部240c、240eの間に傾斜部240dが設けられている。傾斜部240b、240dは、両端側の直線部240a、240eに対して同じ側に向くように傾斜しており、それらの間に直線部240cが設けられている。従って、本プロテクタ240では、延在方向中間部の直線部240cが、延在方向両端側の直線部240a、240eに対して側方にシフトするように配設されている。本プロテクタ240は、例えば、直線状の経路の途中の一側部に突出部分又は別部品が設けられ、その部分を避けてワイヤーハーネス30を配設するために用いられる。
このプロテクタ240は、例えば、図17に示すような中空板材210を折曲げることにより形成される。
中空板材210は、例えば、中空板材10を所定の平面形状に切断することにより形成されている。中空板材210は、底部242と、一対の側壁部246、248と、蓋部250とを備える。
底部242は、上記直線部240a、240c、240eの底となる底部分242a、242c、242eと、傾斜部240b、240dの底となる底部分242b、242dとを備え、これらはそれぞれ細長板状に形成されている。
また、底部242は、直線部240a、240c、240eと傾斜部240b、240dとの各間で底となる三角形状の底部分242pを含む。すなわち、直線部240a、240c、240eと傾斜部240b、240dとの各底を、細長板状の底部分242a、242c、242e、242b、242dで塞ぐと、それらの各間に三角形状の隙間が形成されるため、当該各隙間が三角形状の底部分242pで塞がれる。
側壁部246、248は、底部分242a、242b、242c、242d、242eの両側に連設された側壁部分246a、246b、246c、246d、246e又は側壁部分248a、248b、248c、248d、248eを含む。
側壁部分246a、246b、246c、246d、246eの各間のうち、直線部240a、240c、240eと傾斜部240b、240dとの間の曲げ部分で外向き角部となる部分(側壁部分246b、246cの間、及び、側壁部分246c、246dの間)に追加側壁部分246pが設けられている。また、側壁部分246a、246b、246c、246d、246eの各間のうち、直線部240a、240c、240eと傾斜部240b、240dとの間の曲げ部分で内向き角部となる部分(側壁部分246a、246bの間、及び、側壁部分246d、246eの間)には、隙間が設けられている。
側壁部分248a、248b、248c、248d、248eの各間のうち、直線部240a、240c、240eと傾斜部240b、240dとの間の曲げ部分で外向き角部となる部分(側壁部分248a、248bの間、及び、側壁部分248d、248eの間)に追加側壁部分248pが設けられている。また、側壁部分248a、248b、248c、248d、248eの各間のうち、直線部240a、240c、240eと傾斜部240b、240dとの間の曲げ部分で内向き角部となる部分(側壁部分248b、248cの間、及び、側壁部分248c、248dの間)には、隙間が設けられている。
上記三角形状の底部分242pは、追加側壁部分246p、248pの底側部分に連設されている。
また、蓋部250は、プロテクタ240を平面視した状態で、その曲げ形状に応じて曲る細長板状部材に形成されている。この蓋部250は、上記側壁部分246cの先端側縁部に連設されている。
また、上記側壁部分248a、248b、248c、248d、248eには、延出片249a、249b、249c、249d、249eが延設されている。
延出片249a、249b、249c、249d、249eの先端部には、係止片249rが延出形成されている。また、側壁部分246a、246b、246c、246d、246eの先端部には、係止片249rを嵌め込み可能な係止スリット246Sが形成されている。
さらに、上記側壁部分248a、248b、248c、248d、248eと延出片249a、249b、249c、249d、249eとの各間には、係止スリット249Sが形成されている。また、蓋部250の一側部には、各係止スリット249Sに嵌め込み可能な係止片250rが延出形成されている。
この中空板材210は、次のように折曲げられて、ワイヤーハーネス30を収容するプロテクタ240に組立てられる。
すなわち、図18に示すように、底部242に対して側壁部246、248を折曲げると共に、側壁部246に対して蓋部250を折曲げ、さらに、側壁部248に対して延出片249a、249b、249c、249d、249eを折曲げる。
そして、図19及び図20に示すように、底部242と側壁部246、248との間にワイヤーハーネス30を収容しつつ、延出片249a、249b、249c、249d、249eの先端部の係止片249rを、側壁部246の先端部の係止スリット246Sに嵌め込む。この状態では、直線部240a、240c、240eと傾斜部240b、240dの各間部分において、外周囲の一部(側壁部246側又は248側)に隙間が形成された状態となる。
次に、図21に示すように、上記隙間を閉じるようにして、直線部240a、240c、240eと傾斜部240b、240dとの各間を、プロテクタ240の目的形状となるように曲げる。
そして、側壁部246に対して蓋部250を曲げて、当該蓋部250を延出片249a、249b、249c、249d、249e上に重ね合せる。そして、蓋部250の各係止片250rを各係止スリット249Sに嵌め込むと、プロテクタ240がワイヤーハーネス30を収容可能な形状に形作られ、プロテクタ付ワイヤーハーネス220が製造される。なお、このプロテクタ240では、主として蓋部250によって、目的形状に曲げられた状態に維持されている。なお、このプロテクタ240の外周囲に、粘着テープ等が巻付けられてもよい。
このようにして、屈曲されたプロテクタ240を製造することも可能となり、これにより、内部のワイヤーハーネス30を曲げた形状に維持することができる。
なお、蓋部とは反対側の部分に隙間を形成し、一対の側壁部に当該隙間に向けて徐々に拡がる三角形状の隙間を形成し、それらの隙間を閉じるようにプロテクタを曲げれば、プロテクタをその高さ方向に曲げることができる。この構造を上下逆にすれば、プロテクタを部分的に上方に曲げることもできる。このように、プロテクタの周囲の一部に隙間が形成されていれば、当該隙間を閉じるようにしてプロテクタを各種方向に曲げることができる。
<第1実施形態に係る第3変形例>
図22は第3変形例に係るプロテクタ付ワイヤーハーネス1020を示す説明図であり、図23及び図24はプロテクタ1040を構成する中空板材10Dの板状縁部1042とワイヤーハーネス30との関係を示す拡大説明図である。
本第3変形例に係るプロテクタ付ワイヤーハーネス1020と上記実施形態に係るプロテクタ付ワイヤーハーネス20との相違点は、プロテクタ1040の端縁部にスリット1041が形成されている点である。
すなわち、本プロテクタ1040も上記プロテクタ40と同様に、中空板材によって形成されている。ここでは、中空板材がはしご状断面を呈する中空板材10Dである例で説明する。このため、中空板材10Dのうちワイヤーハーネス10が外部に向けて引出される部分、即ち、プロテクタ1040の少なくとも一端側の方形状開口部には、板状部12Dの縁部によって板状縁部1042が形成されている。ここでは、板状縁部1042は、プロテクタ1040の内周側と外周側とに2つ設けられている。
そして、その2つの板状縁部1042に、その内側に向うスリット1041が形成されている。
ここでは、プロテクタ1040の方形状開口部の4方の縁部のそれぞれにおいて、間隔をあけて複数のスリット1041が形成されている。スリットは、開口部の周りの一部にのみ形成されていてもよい。また、スリットは、1本のみ形成されていてもよい。
また、ここでは、2つの板状縁部1042の両方にスリット1041が形成されている。より具体的には、2つの板状縁部1042を平面視した場合において、それぞれ同じ位置にスリット1041が形成されている。もっとも、スリットは、内周側の板状縁部のみに形成されていてもよい。
また、はしご状断面を呈する中空板材10Dを想定した場合、スリット1041は、細長い板状をなす介在部16Dに対して交差する場合(図23において介在部16Dに対して直交する場合を図示)と、介在部16Dに沿って延在する場合(図24参照)とが考えられる。前者の場合、介在部16Dをも貫通するように、スリットが形成されていることが好ましい。スリット1041は、介在部16Dに対していずれの方向に延在していてもよい。もっとも、スリット1041は、ワイヤーハーネス10の延在方向に沿っていることが好ましい。
この第2変形例によると、中空板材10のうち少なくとも内周側の板状縁部1042には、スリット1041が形成されているため、外向きに容易に変形することができる。このため、ワイヤーハーネス10が内周側の板状縁部1042に強く押し当てられたとしても、板状縁部1042は、その押し当てられた部分で容易に外向きに変形することができる。これにより、ワイヤーハーネス10が板状縁部1042に対して押し当てられる力を軽減することができる。また、板状縁部1042が外向き変形することで、ワイヤーハーネス10の延在方向に対する板状縁部1042の角度を小さくすることができ、板状縁部1042がワイヤーハーネス10の表面に喰い込み難くなる。このように、板状縁部1042によるワイヤーハーネス10への攻撃性を有効に緩和することができる。
なお、本変形例では、中空板材がはしご状断面を呈する中空板材10Dである例で説明したが、上記中空板材10、10A、10B、10C等を用いた場合であっても、上記と同様に、板状縁部にスリットを形成することで、当該板状縁部によるワイヤーハーネスへの攻撃性を緩和することができる。
<第1実施形態に係る第4変形例>
図25は第4変形例に係るプロテクタ付ワイヤーハーネスにおいてプロテクタを構成する中空板材10Dの縁部1142とワイヤーハーネス30との関係を示す拡大説明図である。
本第4変形例に係るプロテクタ付ワイヤーハーネスと上記実施形態に係るプロテクタ付ワイヤーハーネス20との相違点は、プロテクタの端縁部において、内周側板状縁部1143と外周側板状縁部1144とが重ね合された状態で接合されている点である。
すなわち、本第4変形例では、プロテクタは、はしご状断面を呈する中空板材10Dによって形成されている。中空板材10Dのうちワイヤーハーネス10が外部に向けて引出される部分、即ち、プロテクタの少なくとも一端側の方形状開口部(図23においてスリット1041が形成された開口部参照)には、2つの板状部12Dの縁部によって内周側板状縁部1143と外周側板状縁部1144とが形成されている。これらは、介在部16Dを介して離れて配設されている。そして、内周側板状縁部1143と外周側板状縁部1144とが、重ね合された状態で接合されている。なお、ワイヤーハーネス10に対する攻撃性を緩和するためには、内周側板状縁部1143を外周側に曲げることで外周側板状縁部1144に重ね合せた状態とすることが好ましい。
これらの接合は、熱融着、超音波溶着、接着剤による接着、粘着材による粘着等によって行うことができる。もっとも、内周側板状縁部1143と外周側板状縁部1144とは、熱融着されていることが好ましく、特に、中空板材10Dを所定形状に形成すべく切断する際に同時に熱融着されることが好ましい。
図26は中空板材10Dの切断時に同時に熱融着する作業例を示す説明図である。すなわち、平面を有する下型1200上に中空板材10Dが配設され、その上に、中空板材10Dを切断可能な切断刃1212が形成された上型1210が下型1200に対して接近離隔移動可能に配設される。上型1210には、切断刃1212を加熱するためのヒータ1214が設けられている。そして、上型1210を下型1200に向けて移動させると、切断刃1212が中空板材10Dを押切る。この際、上側の板状部材12Dの板状縁部1143が切断刃1212によって下方に押され、下側の板状部材12Dの板状縁部1144上に重ね合われる。同時に、切断刃1212によって、樹脂によって形成された板状縁部1143、1144が加熱され、溶融して互いに接合されることになる。板状縁部1143、1144の熱融着部分の表面は、樹脂が一旦溶融し表面張力によって丸まった後、冷却された性状を呈する(図27参照)。
この変形例によると、内周側板状縁部1143と外周側板状縁部1144が接合されているためその厚みを大きくすることができる。このため、内周側板状縁部1143が単独でワイヤーハーネス10に接触する場合と比べると、内周側板状縁部1143と外周側板状縁部1144との接合部分がワイヤーハーネス10に接触する場合の攻撃性を緩和することができる。
しかも、内周側板状縁部1143と外周側板状縁部1144とが熱融着されているため、熱融着後の端縁部の形状を丸く、滑らかにすることができ、ワイヤーハーネス10に対する攻撃性をより緩和することができる。
さらに、内周側板状縁部1143が外周側板状縁部1144側に押されて変形しているため、内周側板状縁部1143のうち内周側に凸となるように湾曲した部分にワイヤーハーネス10が接触する。この点からもワイヤーハーネス10に対する攻撃性をより緩和することができる。
{第2実施形態}
第2実施形態では、プロテクタを構成する中空板材の中空構造自体の内部にワイヤーハーネスを収容する構成について説明する。
図28は、第2実施形態に係るプロテクタ付ワイヤーハーネス320を示す部分切り欠き透視図である。
プロテクタ付ワイヤーハーネス320は、ワイヤーハーネス330と、プロテクタ340とを備える。
ワイヤーハーネス330は、複数(ここでは3つ)のワイヤーハーネス分割部分330a、330b、330cを備える。各ワイヤーハーネス分割部分330a、330b、330cは、1本の電線によって構成されていてもよいし、複数の電線を含むものであってもよい。ワイヤーハーネス330自体は、上記ワイヤーハーネス30と同様に、車両における各種電気機器間を電気的に相互接続する配線材として用いられるものである。
プロテクタ340は、中空板材が平板状形態のまま、車両における配設スペースに合せて所定形状に形成されることにより形成されている。ここでは、プロテクタ340は、方形板状の全体形状に形成されている。もっとも、プロテクタは曲げられていてもよい。
ここでは、プロテクタ340は、突部17が点在する介在部材16Bを備えた、上記中空板材10Bによって構成されている。この中空板材10Bでは、突部17が縦横に一定間隔で並ぶように形成されているため、各突部17間にマトリクス状の空間342が形成されておる。ワイヤーハーネス分割部分330a、330b、330cは、当該マトリクス状の空間に沿って必要に応じて曲げられつつ配設される。
ここでは、ワイヤーハーネス分割部分330aは、方形板状のプロテクタ340の一辺及び当該一辺の隣の辺に沿ったL字状の経路に沿って直角に曲げられつつプロテクタ340の空間342に収容されている。
また、ワイヤーハーネス分割部分330bは、ワイヤーハーネス分割部分330aの入角側の部分で、同様にL字状の経路に沿って直角に曲げられつつプロテクタ340の空間342に収容されている。
さらに、ワイヤーハーネス分割部分330cは、ワイヤーハーネス分割部分330bの入角側の部分で、同様にL字状の経路に沿って直角に曲げられつつプロテクタ340の空間342に収容されている。
これにより、ワイヤーハーネス分割部分330a、330b、330cが、プロテクタ340内で、同一平面上で並列状に並ぶ状態で、L字状に曲げられるように経路規制された状態で収容されている。
かかるプロテクタ付ワイヤーハーネス320によると、プロテクタ340によって、ワイヤーハーネス330を偏平状態に配設した状態に維持しつつ保護することができる。
また、プロテクタ340は、中空板材10Bによって構成されているため、ワイヤーハーネス330の配設経路に応じた大型形状のプロテクタを製造するための射出成型金型装置等は不要となる。このため、プロテクタ340を低コストで製造することができる。
また、プロテクタ340は、複数の板状部分の間に中空構造が形成された中空板材10Bによって形成されているため、強度的にも優れたものとすることができる。また、このプロテクタ340は、軽量であるし、材料使用量も少ない。
上記プロテクタ340内にワイヤーハーネス分割部分330a、330b、330cを収容する作業例について説明する。
まず、図29に示すように、線状部材400の先端部に鉄等の磁性体402が取付けられたものを準備する。線状部材400としては、天然繊維或は化学繊維によって構成されるもの、細い樹脂線又は細い金属線等を用いることができ、なるべく柔軟なものを用いることが好ましい。
そして、磁性体402を中空板材10B内に配設し、中空板材10Bの一方主面に磁石410を配設し、外部の磁石410と内部の磁性体402とが磁力によって吸着された状態とする。この状態で、磁石410を人手等で中空板材10Bの一方主面上で所望の経路に沿って移動させる(矢符P参照)。すると、磁性体402が中空板材10B内を所望の経路に沿って移動し、線状部材400が磁性体402を追って配設され、前記所望の経路に沿って案内される。そして、磁石410が中空板材10Bの領域外まで移動し、磁性体402が中空板材10B内を通って外方に脱すると、線状部材400が中空板材10B内で所望の経路に沿って配設される。
この後、図30に示すように、ワイヤーハーネス分割部分330aの一端部を、線状部材400に連結する。ワイヤーハーネス分割部分330aと線状部材400との連結は、線状部材400をワイヤーハーネス分割部分330aに結び付けること等により行うことができる。
そして、線状部材400を引っ張ると、ワイヤーハーネス分割部分330aが所望の経路に沿って案内されるように、中空板材10B内に案内され、中空板材10B内において所望の経路に沿って収容された状態となる。
上記を繰返すことで、他のワイヤーハーネス分割部分330b、330cについても、同様の所望の経路に沿って中空板材10B内に収容することができる。
これにより、ワイヤーハーネス分割部分330a、330b、330cを、比較的自由な経路で中空板材10B内に収容することができる。
なお、プロテクタ340内にワイヤーハーネス分割部分330a、330b、330c内を収容する作業例は、上記例に限られない。
例えば、一方の板状部材12を介在部材16Bに接合する前の状態で、ワイヤーハーネス分割部分330aを介在部材16Bの各突部17の間に配設し、その後、一方の板状部材12を介在部材16Bに接合してもよい。
また、例えば、ワイヤーハーネス分割部分330a、330b、330cが直線状に配設される場合には、当該ワイヤーハーネス分割部分330a、330b、330cをプロテクタ340内に押込むようにしてもよい。
また、上記実施形態では、プロテクタ340が、中空板材10Bによって構成される例で説明したが、その他、中空板材10、10C、10D等によって構成されていてもよい。中空板材10、10Dによって構成されるプロテクタは、ワイヤーハーネスを直線状でかつ並列状態で維持及び保護するのに適する。
また、上記第1実施形態の第3変形例で説明したように、本第2実施形態においても、中空板材のうちワイヤーハーネスが延出する板状縁部にその内周側に向うスリットを形成するようにしてもよい。本実施形態では、2つの板状部材12の間にワイヤーハーネスが配設されるため、2つの板状部材12のいずれの板状縁部にスリットを形成した場合であっても、ワイヤーハーネスに対する攻撃性を有効に緩和することができる。
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。