以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照して説明する。図1は本発明の第1実施の形態における発電素子1の斜視図であり、図2は発電素子1の分解立体図である。なお、図1では、保持部材50の端面に取着される移動規制部60を取り外した状態を図示し、図2では、発電素子1の軸方向一端側の図示を省略する。
図1に示すように発電素子1は、コイル(図示せず)が巻回されると共に磁歪材料(磁性材料の1種)から構成される磁歪棒10と、磁性材料から構成される剛性棒20と、これら磁歪棒10及び剛性棒20の軸方向一端側および他端側の対向間にそれぞれ挟装される間隔保持部30と、磁歪棒10及び剛性棒20の軸方向一端側および他端側の対向間にそれぞれ配置される永久磁石40と、磁歪棒10及び剛性棒20の軸方向一端側および他端側に取着される一対の保持部材50とを備えている。
発電素子1は、例えば、振動体に対して、一対の保持部材50の内の一方を固着すると共に他方を自由端とした状態で設置され、振動体の振動に伴って磁歪棒10及び剛性棒20の軸直角方向へ他方の保持部材50を振り子運動(自由振動)させて使用される。この場合、振り子運動に伴う曲げ変形により軸方向の伸張および収縮が磁歪棒10に発生することで、磁歪棒10の軸方向と平行な方向に磁束密度が変化し、コイルに電流が発生することで発電が行われる。
磁歪棒10及び剛性棒20は、厚さに対して幅が大きな矩形の軸直角断面を有する長尺板状に形成される。磁歪棒10及び剛性棒20は、互いに同一形状(寸法)に形成されると共に、面積が大きな平面(即ち、幅を含む平面)同士を対向させて平行に配置される。なお、剛性棒20は、磁歪棒10より磁歪効果の低い磁性材料から構成される。本実施の形態では、磁歪棒10は鉄ガリウム合金製であり、剛性棒20は鉄鋼材料製である。磁歪棒10は、銅線から構成される線材(導線)を巻回したコイル(図示せず)に内設される。コイルと磁歪棒10との間には隙間が設けられる。
図2に示すように間隔保持部30は、互いに対向する磁歪棒10及び剛性棒20の間隔を保持するための部材であり、磁歪棒10及び剛性棒20の軸方向一端側および他端側の対向間にそれぞれ挿入される。間隔保持部30は非磁性材料(本実施の形態ではアルミニウム合金)から構成され、矩形の軸直角断面を有し、厚さが、磁歪棒10及び剛性棒20の軸方向端部同士の間隔(対向間隔)とされる。磁歪棒10及び剛性棒20の軸方向中央側に位置する先端31は、角部が削られた丸面状に形成されている。
永久磁石40は、磁歪棒10にバイアス磁界を付与するための部材であり、磁歪棒10及び剛性棒20の軸方向一端側および他端側の対向間にそれぞれ挿入されて、間隔保持部30と並設される。永久磁石40は、それぞれ断面矩形の棒状に形成され、厚さが、磁歪棒10及び剛性棒20の軸方向端部同士の間隔(対向間隔)とされる。一対の永久磁石40は、磁歪棒10及び剛性棒20の軸方向両端部に、互いに磁極を違えて配設される。これにより、磁歪棒10、剛性棒20及び永久磁石40により磁気ループが形成され、永久磁石40の起磁力によるバイアス磁界が磁歪棒10に付与される。その結果、磁歪棒10の磁化容易方向(磁化の方向または磁化が生じ易い方向)が、磁歪棒10の軸方向(長手方向)に設定される。
保持部材50は、磁歪棒10及び剛性棒20の軸方向一端側および他端側の対向間に間隔保持部30及び永久磁石40が挟装された状態を保持するための部材であり、非磁性材料(本実施の形態ではアルミニウム合金)から構成される。保持部材50は、磁歪棒10及び剛性棒20の軸方向視における外形が矩形の四角柱状に形成され、磁歪棒10及び剛性棒20の軸方向に孔部51が凹設される。本実施の形態では、孔部51は軸方向に沿って貫通形成されている。孔部51は、磁歪棒10及び剛性棒20の軸方向端部、間隔保持部30及び永久磁石40が収容される空間であり、矩形の軸直角断面を有している。保持部材50の正面(端面)には、孔部51を挟む2箇所にボルト孔50aが形成されている。
移動規制部60は、孔部51を塞ぐように保持部材50の正面(端面)に固定される部材であり、矩形の板状体により構成される。移動規制部60は、非磁性材料(本実施の形態ではアルミニウム合金)から構成されており、厚さ方向に貫通するボルト挿通孔60aが、保持部材50に形成されたボルト孔50aに対応する位置に形成されている。保持部材50の端面に移動規制部60を押し当て、ボルト挿通孔60aにボルト(図示せず)を挿通してボルト孔50aに螺着することにより、保持部材50の端面に移動規制部60が固定される。
次に図3を参照して磁歪棒10及び剛性棒20について説明する。図3(a)は磁歪棒10の平面図であり、図3(b)は磁歪棒10の側面図である。なお、磁歪棒10及び剛性棒20は互いに同一形状(寸法)に形成されるので、図3では磁歪棒10を図示し、剛性棒20の図示は省略する。図3(a)及び図3(b)に示すように磁歪棒10は、軸方向(図3(a)上下方向)に亘って同一の幅(図3(a)左右方向寸法)及び厚さ(図3(b)左右方向寸法)に形成された矩形の軸直角断面を有する本体部11と、本体部11の軸方向両端の所定の長さ(図3(a)上下方向寸法)において軸直角方向(幅方向)に向かって凸設される矩形の軸直角断面を有する凸部12とを備えている。凸部12は、本体部11の厚さと同一の厚さに設定される。凸部12の軸方向中央側の端面は、本体部11に対し幅方向に向かって段差状に凸設される被係合部12aを構成する。なお、磁歪棒10と同様に構成される剛性棒20については、以下、本体部21、凸部22、被係合部22aと称して説明する。
次に図4を参照して保持部材50について説明する。図4(a)は保持部材50の正面図であり、図4(b)は図4(a)のIVb−IVb線における保持部材50の断面図であり、図4(c)は図4(a)のIVc−IVc線における保持部材50の断面図である。図4(a)及び図4(b)に示すように保持部材50は、軸方向(図4(a)紙面垂直方向)に沿って孔部51が貫通形成されている。孔部51は、磁歪棒10及び剛性棒20の軸方向端部側が収容される空間であり、内壁が互いに対向する一対の第1対向面52a,52b及び一対の第2対向面53a,53bを有し、矩形の軸直角断面を形成する。
一対の第1対向面52a,52bは、剛性棒20の本体部21の端部および凸部22の下面、並びに、磁歪棒10の本体部11の端部および凸部12の上面(図3(a)紙面手前側の面)が密接される平面である。一対の第2対向面53a,53bは、磁歪棒10及び剛性棒20の本体部11,21の軸方向端部側の側面がそれぞれ密接される平面である。一対の第1対向面52a,52b及び一対の第2対向面53a,53bは、それぞれ平行となるように形成されている。なお、一対の第1対向面52a,52bは、間隔が、磁歪棒10、剛性棒20、間隔保持部30又は永久磁石40の各厚さを合計した大きさと同一以下に設定される。
一対の第2対向面53a,53bは、幅(図4(b)左右方向寸法)が、磁歪棒10及び剛性棒20の本体部11,21の幅よりわずかに大きめに設定される。凹部54,54は、第2対向面53a,53bにそれぞれ連設される凹窩であり、底面が互いに平行となるように形成される。凹部54,54の底面の軸方向の長さ(図4(b)上下方向)は、磁歪棒10及び剛性棒20の凸部12,22の軸方向の長さよりわずかに大きめに設定される。凹部54,54は、磁歪棒10及び剛性棒20の凸部12,22が収容される空間である。
係合部55,55は、第2対向面53a,53bの軸方向外側の端部と凹部54,54の軸方向中央側の端部との間にそれぞれ設けられる段差状の部位であり、孔部51内に収容される磁歪棒10及び剛性棒20の軸方向端部に形成された被係合部12a,22aと係合する。係合部55,55が被係合部12a,22aと係合することにより、保持部材50に対して磁歪棒10及び剛性棒20の軸方向中央側への移動が規制される。
なお、第1対向面52a,52b及び第2対向面53a,53bで囲まれる軸直角断面の対角線の長さは、磁歪棒10及び剛性棒20の軸方向端部の幅(本体部11,21及び凸部12,22の幅)より大きな値に設定される。凸部12,22を有する磁歪棒10及び剛性棒20の軸方向端部を、孔部51に挿入できるようにするためである。
次に図5を参照して発電素子1の組立方法について説明する。図5(a)は発電素子1の正面図であり、図5(b)は図5(a)のVb−Vb線における発電素子1の断面図であり、図5(c)は図5(a)のVc−Vc線における発電素子1の断面図である。発電素子1の組立は、まず、コイル(図示せず)に磁歪棒10を挿通し、磁歪棒10及び剛性棒20の軸方向端部を、孔部51の対角線方向に幅方向を傾けるようにしながら、保持部材50の第2対向面53a,53b(図4(b)参照)側から孔部51にそれぞれ挿入する。
磁歪棒10及び剛性棒20の被係合部12a,22aを係合部55,55に係合させながら、図5(a)に示すように、第1対向面52aに剛性棒20を、第1対向面52bに磁歪棒10をそれぞれ密接させる。次いで、図5(c)に示すように、磁歪棒10及び剛性棒20の軸方向外側から磁歪棒10及び剛性棒20の対向間に、先端31側から間隔保持部30を挿入し、本体部11,21及び第2対向面53a,53b(図4(b)参照)で囲まれた収容空間に間隔保持部30を配置する。間隔保持部30は先端31が、丸面状に形成されているので、磁歪棒10及び剛性棒20の対向間へ挿入し易くできる。
なお、間隔保持部30は、厚さ(図5(c)上下方向寸法)が、磁歪棒10及び剛性棒20の本体部11,21に少なくとも接触する寸法(間隔保持部30による本体部11,21の圧力が0以上となるゼロタッチ以上の寸法)に設定される。間隔保持部30を、第2対向面53a,53bに圧入可能な寸法(幅)にしておけば、磁歪棒10及び剛性棒20とは無関係に、間隔保持部30を孔部51に嵌合保持させられるからである。また、間隔保持部30が本体部11,21に少なくとも接触していれば、磁歪棒10及び剛性棒20の上下方向(軸直角方向)のガタつきをなくすことができるからである。
次いで、磁歪棒10及び剛性棒20の軸方向外側から磁歪棒10及び剛性棒20の対向間に永久磁石40を挿入し、間隔保持部30の軸方向外側に並設する。最後に、移動規制部60(図1参照)を保持部材50の端面に固設し、磁歪棒10、剛性棒20及び永久磁石40の軸方向端面を移動規制部60に当接する。これにより、保持部材50に対する磁歪棒10、剛性棒20及び永久磁石40の軸方向外側への移動を規制する。
なお、永久磁石40は、厚さ(図5(c)上下方向寸法)が、間隔保持部30の厚さより小さく設定される。永久磁石の破損を抑制すると共に発電を安定させるためである。即ち、間隔保持部30及び永久磁石40を磁歪棒10及び剛性棒20の対向間の軸方向に並設し、間隔保持部30の厚さを永久磁石40の厚さより大きくすることにより、磁歪棒10及び剛性棒20の対向間で永久磁石40が押圧されることを抑制できる。その結果、脆性材料である永久磁石の破損を抑制できる。
また、間隔保持部30及び永久磁石40を磁歪棒10及び剛性棒20の対向間の軸方向に並設する場合に、間隔保持部30を永久磁石40に対して軸方向中央側に配置し、間隔保持部30の厚さを永久磁石40の厚さより大きくすることにより、間隔保持部30を支点として磁歪棒10及び剛性棒20を振り子運動(曲げ変形)させることができる。よって、一対の保持部材50の相対移動の大きさ(発電中の振動の状態)によらず、磁歪棒10及び剛性棒20の自由長を一定として、発電を安定させることができる。
なお、永久磁石40が間隔保持部30に対して磁歪棒10及び剛性棒20の軸方向中央側に配置される場合には、一対の保持部材50の相対移動の大きさによっては、振り子運動(曲げ変形)時に、磁歪棒10及び剛性棒20が永久磁石40に接触または離間を繰り返しつつ振動するモードが発生し、磁歪棒10及び剛性棒20の自由長が一定とならずに不定となる。そのため発電が不安定となる。
以上説明した発電素子1によれば、保持部材50に形成された係合部55は、磁歪棒10及び剛性棒20の軸方向端部に形成された被係合部12,22と係合し、保持部材50に対して磁歪棒10及び剛性棒20の軸方向中央側への移動を規制する。磁歪棒10及び剛性棒20の軸方向両端部の対向間に一対の間隔保持部30がそれぞれ挿入されるので、磁歪棒10及び剛性棒20が孔部51の対角線方向へ傾くことを防ぎ、被係合部12,22が係合部55から外れてしまうことを防止できる。その結果、磁歪棒10及び剛性棒20の軸方向中央側への抜け荷重に関する要因(保持部材50の断面積、孔部51の大きさ、磁歪棒10や剛性棒20の表面粗さ等)の管理を不要にできると共に、磁歪棒10及び剛性棒20を保持部材50に強固に固定できる。
また、保持部材50に形成された孔部51の内壁を利用して、磁歪棒10及び剛性棒20の本体部11,21の上面および下面が密接される一対の第1対向面52a,52bを形成し、第1対向面52a,52bに連設される第2対向面53a,53bに係合部55を形成するので、保持部材50の製造が容易である。また、磁歪棒10及び剛性棒20における本体部11,21の軸方向端部の幅方向に被係合部12が凸設されるので、磁歪棒10及び剛性棒20の製造も容易である。磁歪棒10及び剛性棒20の軸方向端部に形成された被係合部12,22と係合部55とを係合させることで、保持部材50に対する磁歪棒10及び剛性棒20の軸方向中央側への移動を規制できるので、発電素子1を容易に組み立てることができる。よって、発電素子1の組立加工性を向上できる。
また、磁歪棒10及び剛性棒20の軸方向両端部の対向間に、一対の永久磁石40が、互いに磁極を違えてそれぞれ挿入されるので、磁歪棒10、剛性棒20及び永久磁石40により磁気ループを形成できる。永久磁石40は、磁歪棒10及び剛性棒20の軸方向に沿って間隔保持部30と並設されるので、発電素子1を小型化できる。
孔部51は、磁歪棒10及び剛性棒20の軸方向に沿って保持部材50に貫通形成されているので、発電素子1の組立作業を簡易に行うことができる。即ち、孔部51が保持部材50に貫通形成されていない場合には、磁歪棒10及び剛性棒20の軸方向中央側から磁歪棒10及び剛性棒20の対向間に間隔保持部30を挿入しなければならない。その場合には、間隔保持部30が磁歪棒10や剛性棒20の軸方向中央側と干渉して挿入し難いという問題がある。これに対し、磁歪棒10及び剛性棒20の軸方向外側から磁歪棒10及び剛性棒20の対向間に間隔保持部30を挿入するので、間隔保持部30が磁歪棒10や剛性棒20の軸方向中央側に干渉することを防止できる。よって、発電素子1の組立作業を簡易に行うことができる。
また、保持部材50に対して磁歪棒10及び剛性棒20の軸方向外側への移動を規制する移動規制部60が保持部材50の軸方向外側に固設されるので、振り子運動が繰り返し行われた場合であっても、保持部材50に対して磁歪棒10及び剛性棒20が軸方向外側へ移動することを防ぎ、磁歪棒10及び剛性棒20を保持部材50に強固に固定できる。よって、発電素子1の耐久性を確保できる。また、磁歪棒10にコイルが巻回され、剛性棒20にコイルが巻回されていないので、その分、部品点数の削減を図ることができる。
ここで、磁歪棒10と剛性棒20との対向間に一対の永久磁石40が磁極を違えて挟装され、磁歪棒10及び剛性棒20と一対の永久磁石40とにより磁気ループが形成される構造では、磁歪棒10にその軸方向に沿って形成される磁界の方向と剛性棒20にその軸方向に沿って形成される磁界の方向とが逆方向となる。よって、発電中、磁歪棒10及び剛性棒20が伸張または収縮される際に、軸方向と平行な方向の磁束密度の変化が逆方向となり互いに打ち消し合う。そのため、磁束密度の変化が低減され、発電効率の低下を招く。
これに対し、剛性棒20(即ち、コイルが巻回されないもの)が磁歪棒10よりも磁歪効果の低い磁性材料から構成されるので、発電中、磁歪棒10及び剛性棒20が伸張または収縮される際には、剛性棒20における軸方向と平行な方向の磁束密度の変化を少なくできる。よって、剛性棒20における軸方向と平行な方向の磁束密度の変化によって、磁歪棒10における軸方向と平行な方向の磁束密度の変化が打ち消されることを抑制できるので、その分、発電に必要な磁歪棒10における軸方向と平行な方向の磁束密度の変化を確保して、発電効率の向上を図ることができる。
また、剛性棒20を、磁歪効果の高い磁歪材料から構成する必要がなく、一般的な磁性材料から構成することができるので、その分、剛性棒20の材料コストを削減して、発電素子全体としての製品コストを削減できる。
磁歪棒10及び剛性棒20は、軸直角断面が矩形の長尺板状に形成され、断面において長辺を含む平面同士が対向されると共に、その断面において長辺を含む平面の対向間に永久磁石40が挟持されるので、磁歪棒10及び剛性棒20に対して対面する永久磁石40の面積を確保できる。よって、永久磁石40の起磁力によるバイアス磁界を磁歪棒10及び剛性棒20へ効率良く付与でき、その分、発電効率の向上を図ることができる。
また、磁歪棒10及び剛性棒20の対向間に永久磁石40が保持されるので、発電中に磁歪棒10及び剛性棒20と永久磁石40との間に滑りが発生することを抑制でき、摩擦抵抗によるエネルギーの損失を低減できる。その結果、発電効率の向上を図ることができる。
発電素子1は、間隔保持部30及び保持部材50が非磁性材料から構成されるので、磁束の保持部材50への漏洩や短絡を抑制して、磁歪棒10及び剛性棒20へ集中させることができる。よって、永久磁石40の起磁力によるバイアス磁界を磁歪棒10及び剛性棒20へ効率良く付与でき、その分、発電効率の向上を図ることができる。また、間隔保持部30及び保持部材50が非磁性材料から構成されることで、かかる部材の素材として、じん性の高い材料を選択することができる。よって、間隔保持部30及び保持部材50の変形性を確保して、磁歪棒10及び剛性棒20の保持の信頼性を高めることができる。
次に図6及び図7を参照して第2実施の形態について説明する。第1実施の形態では、磁歪棒10及び剛性棒20の軸方向外側への移動を規制する移動規制部60が、保持部材50とは別部材に構成される場合について説明した。これに対し第2実施の形態では、移動規制部160が保持部材150と一体に形成される場合について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図6(a)は第2実施の形態における発電素子の磁歪棒110の平面図であり、図6(b)は磁歪棒110の側面図である。
図6(a)及び図6(b)に示すように磁歪棒110は、軸方向に亘って同一の幅(図6(a)左右方向寸法)及び厚さ(図6(b)左右方向寸法)に形成された本体部11と、本体部11の軸方向両端の所定の長さ(図6(a)上下方向寸法)に亘り軸直角方向(幅方向)に向かって凸設される凸部112とを備えている。凸部112は、本体部11の厚さと同一の厚さの直方体状に形成されると共に、本体部11の軸方向端面に対し軸方向中央側へ少し離隔した位置に凸設される。凸部112の軸方向中央側の端面は、本体部11に対し幅方向に向かって段差状に凸設される被係合部112aを構成する。凸部112の軸方向外側の端面は、本体部11に対し幅方向に向かって段差状に凸設される係止部112bを構成する。
なお、磁歪棒110と同一形状(寸法)に構成される剛性棒120については、図示は省略して、以下、本体部21、凸部122、被係合部122a、係止部122bと称して説明する。
次に、保持部材150について説明する。図7(a)は保持部材150の正面図であり、図7(b)は図7(a)のVIIb−VIIb線における保持部材150の断面図であり、図7(c)は図7(a)のVIIc−VIIc線における保持部材150の断面図である。保持部材150は、軸方向(図7(a)紙面垂直方向)に沿って孔部151が貫通形成されている。孔部151は、磁歪棒110及び剛性棒120の軸方向端部側が収容される空間である。凹部154,154は、第2対向面53a,53bにそれぞれ連設される凹窩であり、底面が互いに平行となるように形成される。凹部154,154は、磁歪棒110及び剛性棒120の凸部112,122が嵌挿される空間である。
係合部155,155は、第2対向面53a,53bの軸方向外側と凹部154,154の軸方向中央側の端部との間にそれぞれ設けられる段差状の部位であり、孔部151内に収容される磁歪棒110及び剛性棒120の軸方向端部に形成された被係合部112a,122aと係合する。係合部155,155が被係合部112a,122aと係合することにより、保持部材150に対して磁歪棒110及び剛性棒120の軸方向中央側への移動が規制される。
移動規制部160,160は、第2対向面53a,53bの軸方向外側の端部と凹部154,154の軸方向外側の端部との間にそれぞれ設けられる段差状の部位であり、孔部151内に収容される磁歪棒110及び剛性棒120の軸方向端部に形成された係止部112b,122bと係合する。移動規制部160,160が係止部112b,122bと係合することにより、保持部材160に対して磁歪棒110及び剛性棒120の軸方向外側への移動が規制される。
第2実施の形態における発電素子の組立は、まず、コイル(図示せず)に磁歪棒110を挿通し、磁歪棒110及び剛性棒120の軸方向端部を、孔部151の対角線方向に幅方向を傾けるようにしながら、保持部材150の軸方向中央側の端面150a(図7(b)参照)側から孔部151にそれぞれ挿入する。
磁歪棒110及び剛性棒120の凸部112,122を保持部材150の凹部154,154に挿入して、被係合部112a,122aを係合部155,155に係合させると共に、係止部112b,122bを移動規制部160,160に係合する。次いで、第1対向面52aに剛性棒120を、第1対向面52bに磁歪棒110をそれぞれ密接させる。次に、磁歪棒110及び剛性棒120の軸方向外側から磁歪棒110及び剛性棒120の対向間に、先端31側から間隔保持部30を挿入し、本体部11,21及び第2対向面53a,53b(図7(b)参照)で囲まれた収容空間に間隔保持部30を配置する。次いで、磁歪棒110及び剛性棒120の軸方向外側から第2対向面53a,53b内に永久磁石40を圧入し、間隔保持部30の軸方向外側に並設する。
以上説明した第2実施の形態によれば、孔部151内に保持部材150と一体に移動規制部160,160を設け、磁歪棒110及び剛性棒120の軸方向端部に形成された係止部112b,122bと係合することにより、保持部材160に対して磁歪棒110及び剛性棒120の軸方向外側への移動を規制できる。保持部材150と別部材の移動規制部を設ける必要がないので、部品点数を削減できると共に、保持部材150への移動規制部の取着作業を不要にできる。よって、発電素子の組立作業を簡略化できる。
次に図8及び図9を参照して第3実施の形態について説明する。第1実施の形態では、磁歪棒10及び剛性棒20の軸方向中央側への移動を規制する被係合部12aが、磁歪棒10及び剛性棒20の軸方向と直交する面として形成される場合について説明した。これに対し第3実施の形態では、被係合部212aが、磁歪棒210及び剛性棒220の軸方向と斜交する傾斜面として形成される場合について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図8(a)は第3実施の形態における発電素子の磁歪棒210の平面図であり、図8(b)は磁歪棒210の側面図である。
図8(a)及び図8(b)に示すように磁歪棒210は、軸方向に亘って同一の幅(図8(a)左右方向寸法)及び厚さ(図8(b)左右方向寸法)に形成された本体部11と、本体部11の軸方向両端の所定の長さ(図8(a)上下方向寸法)に亘り軸直角方向(幅方向)に向かって凸設される凸部212とを備えている。凸部212は、本体部11の厚さと同一の厚さに設定されると共に、平面視して磁歪棒210の軸方向外側に向かうにつれて幅広の略三角柱状に形成される。凸部212の幅方向(図8(a)左右方向)の側面は、磁歪棒210の軸方向外側に向かうにつれて幅が大きくなるように設定された傾斜面を形成する。本体部11に対して凸設される側面(傾斜面)は被係合部212aを構成する。なお、磁歪棒210と同一形状(寸法)に構成される剛性棒220については、図示は省略して、以下、本体部21、凸部222、被係合部222aと称して説明する。
次に、保持部材250について説明する。図9(a)は保持部材250の正面図であり、図9(b)は図9(a)のIXb−IXb線における保持部材250の断面図であり、図9(c)は図9(a)のIXc−IXc線における保持部材250の断面図である。保持部材250は、軸方向(図9(a)紙面垂直方向)に沿って孔部251が貫通形成されている。孔部251は、磁歪棒210及び剛性棒220の軸方向端部側が収容される空間である。係合部255,255は、第2対向面53a,53bにそれぞれ連設される傾斜面であり、軸方向外側(図9(b)下側)に向かうにつれてお互いの離間距離が次第に大きくなるように形成される。
係合部255,255は、孔部251内に収容される磁歪棒210及び剛性棒220の軸方向端部に形成された被係合部212a,222aと係合する。係合部255,255が被係合部212a,222aと係合することにより、保持部材250に対して磁歪棒210及び剛性棒220の軸方向中央側への移動が規制される。
第3実施の形態における発電素子の組立は、まず、コイル(図示せず)が装着された磁歪棒210及び剛性棒220の軸方向端部を、孔部251の対角線方向に幅方向を傾けるようにしながら、第2対向面53a,53b側から保持部材250の孔部251にそれぞれ挿入する。被係合部212a,222aを係合部255,255に係合させながら、第1対向面52aに剛性棒220を、第1対向面52bに磁歪棒210をそれぞれ密接させる。次に、磁歪棒210及び剛性棒220の軸方向外側から磁歪棒210及び剛性棒220の対向間に、先端31側から間隔保持部30を挿入し、本体部11,21及び第2対向面53a,53b(図9(b)参照)で囲まれた収容空間に間隔保持部30を圧入する。
次いで、磁歪棒210及び剛性棒220の軸方向外側から第2対向面53a,53b内に永久磁石(図示せず)を挿入し、間隔保持部30の軸方向外側に並設する。最後に、移動規制部60(図1参照)を保持部材250の端面に固設し、磁歪棒210、剛性棒220及び永久磁石(図示せず)の軸方向端面を移動規制部60に当接する。これにより、保持部材250に対する磁歪棒210、剛性棒220及び永久磁石の軸方向外側への移動を規制する。なお、永久磁石は、保持部材250に形成された係合部255,255に側面が当接するように、形状が截頭四角錘状とされる。
以上説明した第3実施の形態によれば、係合部255,255及び被係合部212a,222aを傾斜面とすることにより、第1実施の形態と比較して、接触面積を増加させることができる。係合部255,255及び被係合部212a,222aが互いに当接して干渉することによって生じる単位面積当たりの荷重を小さくできるので、係合部255,255や被係合部212a,222aの損傷を生じ難くできる。
次に図10及び図11を参照して第4実施の形態について説明する。第1実施の形態から第3実施の形態では、被係合部12a,112a,212a,22a,122a,222aが、本体部11,21の幅方向に凸設される場合について説明した。これに対し第4実施の形態では、被係合部312aが、本体部11,21の厚さ方向に凸設される場合について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図10(a)は第4実施の形態における発電素子の磁歪棒310の平面図であり、図10(b)は磁歪棒310の側面図である。
図10(a)及び図10(b)に示すように磁歪棒310は、軸方向に亘って同一の幅(図10(a)左右方向寸法)及び厚さ(図10(b)左右方向寸法)に形成された本体部11と、本体部11の軸方向両端の所定の長さ(図10(a)上下方向寸法)に亘り軸直角方向(厚さ方向)に向かって凸設される凸部312とを備えている。凸部312は、幅が本体部11の幅と同一で、厚さが本体部11の厚さより薄く設定された四角柱状に形成される。凸部312の軸方向中央側の端面は、本体部11に対し厚さ方向に向かって段差状に凸設される被係合部312aを構成する。なお、磁歪棒310と同様に構成される剛性棒320については、図示は省略して、以下、本体部21、凸部322、被係合部322aと称して説明する。
次に、保持部材350について説明する。図11(a)は保持部材350の正面図であり、図11(b)は図11(a)のXIb−XIb線における保持部材350の断面図であり、図11(c)は図11(a)のXIc−XIc線における保持部材350の断面図である。保持部材350は、軸方向(図11(a)紙面垂直方向)に沿って孔部351が貫通形成されている。孔部351は、磁歪棒310及び剛性棒320の軸方向端部側が収容される空間である。
凹部354,354は、第1対向面52a,52bに対してそれぞれ凹設される部位であり、互いに平行となるように底面が形成される。凹部354,354の軸方向の長さ(図11(c)左右方向)は、磁歪棒310及び剛性棒320の凸部312,322の長さよりわずかに大きめに設定される。凹部354,354は、磁歪棒310及び剛性棒320の凸部312,322が収容される凹窩である。
係合部355,355は、第2対向面53a,53bの軸方向外側の端部と凹部354,354の軸方向中央側の端部との間にそれぞれ設けられる段差状の部位であり、孔部351内に収容される磁歪棒310及び剛性棒320の軸方向端部に形成された被係合部312a,322aと係合する。係合部355,355が被係合部312a,322aと係合することにより、保持部材350に対して磁歪棒310及び剛性棒320の軸方向中央側への移動が規制される。
第4実施の形態における発電素子の組立は、まず、コイル(図示せず)が装着された磁歪棒310及び剛性棒320の軸方向端部を、孔部351の対角線方向に幅方向を傾けるようにしながら、第1対向面52a,52b側から保持部材350の孔部351にそれぞれ挿入する。被係合部312a,322aを係合部355,355に係合させながら、第1対向面52aに剛性棒320を、第1対向面52bに磁歪棒310をそれぞれ密接させる。次に、磁歪棒310及び剛性棒320の軸方向外側から磁歪棒310及び剛性棒320の対向間に、先端31側から間隔保持部30を挿入し、第2対向面53a,53b(図11(b)参照)内に間隔保持部30を圧入する。
次いで、磁歪棒310及び剛性棒320の軸方向外側から第2対向面53a,53b内に永久磁石(図示せず)を圧入し、間隔保持部30の軸方向外側に並設する。最後に、移動規制部60(図1参照)を保持部材350の端面に固設し、磁歪棒310、剛性棒320及び永久磁石(図示せず)の軸方向端面を移動規制部60に当接する。これにより、保持部材350に対する磁歪棒310、剛性棒320及び永久磁石の軸方向外側への移動を規制する。なお、永久磁石は、第2対向面53a,53bに圧入可能なように幅方向の寸法が設定される。
以上説明した第4実施の形態によれば、保持部材530の軸方向(厚さ方向)に亘って第2対向面53a,53bが同一の対向間隔で形成されるので、第2対向面53a,53bに圧入される間隔保持部30及び永久磁石(図示せず)の軸方向の長さを任意に設定できる。間隔保持部30及び永久磁石の軸方向の長さを任意に設定できるようにすることで、磁歪棒310及び剛性棒320と間隔保持部30との接触面積、磁歪棒310及び剛性棒320と永久磁石との接触面積を任意に設定できる。それら接触面積を任意に設定することで、間隔保持部30による磁歪棒310及び剛性棒320の固定強度、永久磁石によるバイアス磁界の大きさを設定できる。
次に図12及び図13を参照して第5実施の形態について説明する。第4実施の形態では、磁歪棒310及び剛性棒320の軸方向外側への移動を規制する移動規制部60が、保持部材350とは別部材に構成される場合について説明した。これに対し第5実施の形態では、移動規制部460が保持部材450と一体に形成される場合について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図12(a)は第5実施の形態における発電素子の磁歪棒410の平面図であり、図12(b)は磁歪棒410の側面図である。
図12(a)及び図12(b)に示すように磁歪棒410は、軸方向に亘って同一の幅(図12(a)左右方向寸法)及び厚さ(図12(b)左右方向寸法)に形成された本体部11と、本体部11の軸方向両端の所定の長さ(図12(a)上下方向寸法)に亘り軸直角方向(厚さ方向)に向かって凸設される凸部412とを備えている。凸部412は、幅が本体部11の幅と同一で、厚さが本体部11の厚さより薄く設定された四角柱状に形成されると共に、本体部11の軸方向端面に対し軸方向中央側へ少し離隔した位置に凸設される。
凸部412の軸方向中央側の端面は、本体部11に対し厚さ方向に向かって段差状に凸設される被係合部412aを構成する。凸部412の軸方向外側の端面は、本体部11に対し厚さ方向に向かって段差状に凸設される係止部412bを構成する。なお、磁歪棒410と同様に構成される剛性棒420については、図示は省略して、以下、本体部21、凸部422、被係合部422a、係止部422bと称して説明する。
次に、保持部材450について説明する。図13(a)は保持部材450の正面図であり、図13(b)は図13(a)のXIIIb−XIIIb線における保持部材450の断面図であり、図13(c)は図13(a)のXIIIc−XIIIc線における保持部材450の断面図である。保持部材450は、軸方向(図7(a)紙面垂直方向)に沿って孔部151が貫通形成されている。
凹部454,454は、第1対向面52a,52bに対してそれぞれ凹設される部位であり、互いに平行となるように底面が形成される。凹部454,454の軸方向の長さ(図13(c)左右方向)は、磁歪棒410及び剛性棒420の凸部412,422の長さよりわずかに大きめに設定される。凹部454,454は、磁歪棒410及び剛性棒420の凸部412,422が収容される凹窩である。
係合部455,455は、第1対向面52a,52bと凹部454,454の軸方向中央側の端部との間にそれぞれ設けられる段差状の部位であり、孔部451内に収容される磁歪棒410及び剛性棒420の軸方向端部に形成された被係合部412a,422aと係合する。係合部455,455が被係合部412a,422aと係合することにより、保持部材450に対して磁歪棒410及び剛性棒420の軸方向中央側への移動が規制される。
移動規制部460,460は、第1対向面52a,52bと凹部454,454の軸方向外側の端部との間にそれぞれ設けられる段差状の部位であり、孔部451内に収容される磁歪棒410及び剛性棒420の軸方向端部に形成された係止部412b,422bと係合する。移動規制部460,460が係止部412b,422bと係合することにより、保持部材460に対して磁歪棒410及び剛性棒420の軸方向外側への移動が規制される。
第5実施の形態における発電素子の組立は、まず、コイル(図示せず)が装着された磁歪棒410及び剛性棒420の軸方向端部を、孔部451の対角線方向に幅方向を傾けるようにしながら、保持部材450の軸方向中央側の端面450a(図13(b)参照)側から孔部451にそれぞれ挿入する。
磁歪棒410及び剛性棒420の凸部412,422を保持部材450の凹部454,454に挿入して、被係合部412a,422aを係合部455,455に係合させると共に、係止部412b,422bを移動規制部460,460に係合する。次いで、第1対向面52aに剛性棒420(本体部21)を、第1対向面52bに磁歪棒410(本体部11)をそれぞれ密接させる。次に、磁歪棒410及び剛性棒420の軸方向外側から磁歪棒410及び剛性棒420の対向間に、先端31側から間隔保持部30を挿入し、第2対向面53a,53b(図13(b)参照)内に間隔保持部30を圧入する。次いで、磁歪棒410及び剛性棒420の軸方向外側から第2対向面53a,53b内に永久磁石(図示せず)を圧入し、間隔保持部30の軸方向外側に並設する。なお、永久磁石は、第2対向面53a,53bに圧入可能なように幅方向の寸法が設定される。
以上説明した第5実施の形態によれば、孔部451内に保持部材450と一体に移動規制部460,460を設け、磁歪棒410及び剛性棒420の軸方向端部に形成された係止部412b,422bと係合することにより、保持部材450に対して磁歪棒410及び剛性棒420の軸方向外側への移動を規制できる。保持部材450と別部材の移動規制部を設ける必要がないので、部品点数を削減できると共に、保持部材450への移動規制部の取着作業を不要にできる。よって、発電素子の組立作業を簡略化できる。
次に図14及び図15を参照して第6実施の形態について説明する。第1実施の形態から第5実施の形態では、保持部材50,150,250,350,450に孔部51,151,251,351,451がそれぞれ1つ形成される場合について説明した。これに対し第6実施の形態では、磁歪棒10及び剛性棒20を保持する保持部材550に孔部51が複数連設される場合について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図14(a)は第6実施の形態における発電素子の保持部材550の正面図であり、図14(b)は図14(a)のXIVb−XIVb線における保持部材550の断面図であり、図14(c)は図14(a)のXIVc−XIVc線における保持部材550の断面図である。また、図15(a)は軸方向外側から視た発電素子501の正面図であり、図15(b)は軸方向中央側から視た発電素子501の背面図である。なお、図15(a)では、保持部材550に取着される移動規制部の図示を省略し、図15(b)では、磁歪棒10及び剛性棒20の軸方向中央側の図示を便宜的に省略する。
図14(a)及び図14(b)に示すように、保持部材550は正面視して矩形の板状に形成される部材であり、複数(本実施の形態では4つ)の孔部51が所定の間隔をあけて軸方向(厚さ方向)に亘って貫通形成されている。複数の孔部51は、第1対向面52a,52bに沿って互いに所定の間隔をあけて設けられており、孔部51を互いに連通する連通孔551が保持部材550に形成されている。図14(c)に示すように連通孔551は、保持部材550の厚さ方向(図14(c)左右方向)に貫通形成されており、高さ(図14(a)上下方向寸法)が、孔部51の高さより小さく設定されている。連通孔551を孔部51の高さ方向中央に形成することにより、連通孔551に対して上下の位置に係合部55を設けることができる。連通孔551に対して上下の位置に設けられる係合部55の高さは、磁歪棒10及び剛性棒20に設けられる被係合部12a,22aの厚さと同一寸法に設定される。
連通孔551に対して上下の位置に係合部55を設けることで、孔部55内の上下に磁歪棒10及び剛性棒20をそれぞれ配置できる。その係合部55の高さは、磁歪棒10及び剛性棒20に設けられる被係合部12a,22aの厚さと同一寸法に設定されているので、孔部51に装着された磁歪棒10及び剛性棒20の各平面と連通孔551の内壁面とを面一(段差がない状態)にできる。
図15(a)に示すように永久磁石40は、連通孔551の位置に設ける必要はなく、磁歪棒10と剛性棒20との間に配置すれば良い。永久磁石40は磁歪棒10及び剛性棒20にバイアス磁界を付与できれば十分だからである。
一方、図15(b)に示すように間隔保持部530は、孔部51毎に設けるのではなく、孔部51及び連通孔551に連続した矩形棒状の部材を配置できる。これにより、孔部51毎に間隔保持部530を挿入する場合と比較して、部品点数を削減できると共に発電素子501の組立を簡略化できる。また、磁歪棒10及び剛性棒20の各平面と連通孔551とが面一にされているので、矩形棒状の間隔保持部530を用いることができ、間隔保持部530の加工コストを削減できる。
以上説明した発電素子501によれば、保持部材550に複数の孔部51を形成することにより、磁歪棒10及び剛性棒20の幅方向(図15(a)左右方向)に複数の磁歪棒10及び剛性棒20を配置したので、磁歪棒10及び剛性棒20の幅方向の間隔を詰めることができる。その結果、発電素子501の幅方向の寸法を抑制することができ、発電素子501を小型化できる。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、上記実施の形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
上記各実施の形態では、発電素子1,501を自由振動させる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、発電素子1,501を強制振動(例えば図1において、一端側の保持部材50に対して他端側の保持部材50を、上下方向に強制的に相対移動)させても良い。
上記各実施の形態では、磁歪棒10,110,210,310,410のみにコイルを巻回する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるのもではなく、磁歪棒10,110,210,310,410と剛性棒20,120,220,320,420との両者にそれぞれコイルを巻回しても良い。なお、この場合には、磁歪棒10,110,210,310,410及び剛性棒20,120,220,320,420を同じ磁歪材料から構成する(即ち、剛性棒20,120,220,320,420を磁歪棒10,110,210,310,410よりも磁歪効果の低い材料で構成する必要はない)。
上記各実施形態では、磁歪棒10,110,210,310,410と剛性棒20,120,220,320,420との対向間に永久磁石40が配置される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、永久磁石40に代えて、電磁石を利用するものを採用できる。また、発電素子1,501の系外からの磁場により磁気回路に漏れ磁束が発生する構成であれば、発電素子1,501の系外に磁石を配置した構成とすることは可能である。また、永久磁石や電磁石の起磁力により磁歪棒10,110,210,310,410及び剛性棒20,120,220,320,420にバイアス磁化を印加するバックヨークを設けることも可能である。磁歪棒10,110,210,310,410と剛性棒20,120,220,320,420との対向間に永久磁石40を配置しない場合には、間隔保持部30,530を磁性材料から構成して、磁歪棒10,110,210,310,410と剛性棒20,120,220,320,420との間に磁気ループが形成されるようにする。
上記各実施の形態では、磁歪棒10,110,210,310,410及び剛性棒20,120,220,320,420の寸法(即ち、厚み寸法および幅寸法)を同一とする場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、磁歪棒10,110,210,310,410の寸法に対し、剛性棒20,120,220,320,420の寸法を異なる値(厚み寸法および幅寸法の一方のみ又は両方が異なる値)としても良い。
上記各実施の形態では、磁歪棒10,110,210,310,410、剛性棒20,120,220,320,420を断面矩形に形成する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の形状とすることは当然可能である。他の形状としては、断面方形、断面円形、断面楕円形、断面多角形(例えば、断面六角形)などが例示される。
なお、例えば、磁歪棒11等を断面円形としたことで、永久磁石14,15と線接触となり、接触面積が確保できない場合には、永久磁石14,15の寸法または起磁力を大きくするか、或いは、磁歪棒10,110,210,310,410等と永久磁石40との間に磁性体からなり両者の形状に対応した形状(即ち、両者に面接触する形状)のスペーサを介在させ、接触面積を確保することが好ましい。これらにより、付与可能なバイアス磁界の増加を図ることができるからである。
上記各実施の形態では、磁歪棒10,110,210,310,410及び剛性棒20,120,220,320,420の幅方向または厚さ方向に、被係合部12a,112a,212a,312a,412a,22a,122a,222a,322a,422aが凸設される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、被係合部を磁歪棒10,110,210,310,410及び剛性棒20,120,220,320,420に凹設することは当然可能である。この場合には、保持部材50,150,250,350,450,550に、被係合部に対応して被係合部と係合可能となるように凸設させた係合部を設ける。
上記各実施の形態では、保持部材50,150,250,350,450,550に形成された一対の第1対向面52a,52b又は一対の第2対向面53a,53bの一方に係合部55,155,255,355,455が形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。第1対向面52a,52b又は第2対向面53a,53bの両方に係合部55,155,255,355,455を形成することは当然可能である。この場合には、磁歪棒10,110,210,310,410及び剛性棒20,120,220,320,420に、係合部に対応して係合部と係合可能となるように被係合部を設ける。
上記実施の形態では、孔部51,151,251,351,451が、保持部材50,150,250,350,450,550の厚さ方向(軸方向)に貫通形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。磁歪棒10,110,210,310,410及び剛性棒20,120,220,320,420の軸方向端部を収容可能な収容空間(凹み)を保持部材50,150,250,350,450,550に設けることができれば、保持部材50,150,250,350,450,550に孔部を貫通形成する必要はなく、孔部を有底状にすることは当然可能である。
上記各実施の形態では、磁歪棒10,110,210,310,410及び剛性棒20,120,220,320,420を孔部51,151,251,351,451に一対(それぞれ一つずつ)設ける場合について説明した。しかしながら、孔部51,151,251,351,451に設ける磁歪棒10,110,210,310,410及び剛性棒20,120,220,320,420の数は、これに限られるものではない。第2対向面53a,53bの軸直角方向の長さを大きく設定すれば、孔部51,151,251,351,451内に磁歪棒および剛性棒を3本以上設けることは当然可能である。この場合には、磁歪棒と剛性棒との各対向間に間隔保持部を挿入して、磁歪棒と剛性棒との間隔を保持する。
上記各実施の形態では、磁歪棒10,110,210,310,410及び剛性棒20,120,220,320,420の軸方向両端に、それぞれ同一形状(寸法)の被係合部12a,112a,212a,312a,412a,22a,122a,222a,322a,422aが形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、軸方向一端側の被係合部と軸方向他端側の被係合部とを、形状を異ならせたり寸法を異ならせたりすることは当然可能である。その場合には、軸方向端部に装着される保持部材50,150,250,350,450,550は、被係合部に応じた係合部55,155,255,355,455を設ける。
上記第6実施の形態では説明を省略したが、連通孔551の延設方向(図14(a)左右方向)と直交する方向(図14(a)上下方向)に延びる補強部を設け、連通孔551の対向する内壁面間を1乃至複数の補強部によって連結することは当然可能である。補強部を設けることによって保持部材550の欠損面積を削減できるので、連通孔551によって保持部材550の機械的強度が低下することを抑制できる。
上記第6実施の形態では、複数の孔部51を連通する連通孔551を設ける場合について説明したが、連通孔551は必ずしも必要ない。保持部材550に孔部51が形成されていれば、磁歪棒10及び剛性棒20の軸方向両端部を保持できるからである。