以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、図1から図4を参照して、第1実施の形態における発電装置1について説明する。図1(a)は、本発明の第1実施の形態における発電装置1の上面図であり、図1(b)は、図1(a)の矢印Ib方向視における発電装置1の側面図である。なお、図1では、永久磁石31,32の磁極の向きの理解を容易とするために、その磁性を「N」「S」の表記を利用して便宜的に図中に図示する。
図1に示すように、発電素子1は、振動体に対し、一対の保持部材60の内の一方を固着すると共に他方を自由端とした状態で設置され、振動体の振動に伴って、第1棒11及び第2棒12の軸直角方向(図1(b)上下方向)へ他方の保持部材60を振り子運動(自由振動)させて使用される。この場合、振り子運動に伴う曲げ変形により軸方向の伸張および収縮が第1棒11に発生することで、第1棒11の軸方向と平行な方向に磁束密度が変化し、コイル20に電流が発生することで、発電が行われる。
発電素子1は、磁歪材料から構成される第1棒11及び第2棒12と、第1棒に巻回されるコイル20と、第1棒11及び第2棒12の軸方向一端側(図1(b)左側)及び他端側(図1(b)右側)においてこれら第1棒11及び第2棒12の対向間に挟装される一対の永久磁石31,32と、第1棒11及び第2棒12の軸方向一端側および他端側にそれぞれ取着され第1棒11及び第2棒12の対向間に永久磁石31,32が挟装された状態を保持する一対の保持部材60とを備える。
第1棒11及び第2棒12は、厚み寸法(図1(b)上下方向寸法)に対して高さ寸法(図1(a)上下方向寸法)が大きな断面長方形(即ち、断面が長辺(高さ方向に沿う辺)及び短辺(厚み方向に沿う辺)を有する長方形)から長尺板状に形成される。
これら第1棒11及び第2棒12は、互いに同一形状(寸法)に形成されると共に、面積が大きな側面(即ち、断面において長辺を含む側面)同士を対向させて平行に配置される。なお、第2棒12は、第1棒11よりも磁歪効果の低い磁歪材料から構成される。本実施の形態では、第1棒11が鉄ガリウム合金から、第2棒12が鉄鋼材料から、それぞれ構成される。
コイル20は、銅線から構成される線材を第1棒11に巻回したコイルである。コイル20と第1棒11との間には隙間が設けられる。永久磁石31,32は、第1棒11にバイアス磁界を付与するための部材(永久磁石)であり、それぞれ断面矩形の棒状に形成される。なお、永久磁石31,32は、対向挟持対向部42,43の対向方向(図1(b)上下方向)の寸法が厚み寸法W2とされる(図4参照)。
永久磁石31,32は、互いに磁極を違えて配設される。即ち、永久磁石31は、第1棒11に接続される面側(図1(b)上側)にN極、第2棒12に接続される面側(図1(b)下側)にS極が配置される一方、これとは反対に、永久磁石32は、第1棒11に接続される面側にS極、第2棒12に接続される面側にN極が配置される。
これにより、第1棒11と、第2棒12と、永久磁石31,32とにより磁気ループが形成され、永久磁石31,32の起磁力によるバイアス磁界が第1棒11に付与される。その結果、第1棒11の磁化容易方向(磁化の方向または磁化が生じ易い方向)が、第1棒11の軸方向(長手方向)に設定される。
永久磁石31,32は、固定部材40に形成(凹設)された収容空間に配設される。この収容空間の内面(挟持対向部42,43の対向面42b,43b、規制部44の対向面および連結部45の対向面、図2参照)や第1棒11及び第2棒12の側面と、永久磁石31,32の対向面(側面)との対向間には隙間が形成され、この隙間に充填した接着剤により、永久磁石31,32が固定部材40に固着される。
保持部材60は、第1棒11及び第2棒12の軸方向一端側および他端側にそれぞれ取着される一対の固定部材40と、それら一対の固定部材40がそれぞれ圧入されるホルダ部材50とを備える。固定部材40及びホルダ部材50は、非磁性材料(本実施の形態では、アルミニウム合金)から構成される。ここで、図2及び図3を参照して、固定部材40及びホルダ部材50の詳細構成について説明する。
図2(a)は、固定部材40の側面図であり、図2(b)は、図2(a)のIIb−IIb線における固定部材40の断面図であり、図2(c)は、図2(a)の矢印IIc方向視における固定部材40の側面図である。
図2に示すように、固定部材40は、ブロック状に形成されるベース部41と、そのベース部41の側面(図2(a)紙面手前側面)から突設されると共に所定間隔を隔てて対向される挟持対向部42,43と、それら挟持対向部42,43の対向間に位置しつつベース部41の側面から突設される規制部44と、挟持対向部42,43の対向間を連結しつつベース部41の側面から突設される連結部45とを備える。なお、固定部材40は、高さ方向(図2(a)上下方向)中央に位置する仮想平面(図示せず)に対して面対称に形成される。
挟持対向部42,43は、第1棒11及び第2棒12を永久磁石31,32へ向かう方向に挟み込んで挟持する部位であり(図1参照)、対向面42a,42b及び対向面43a,43bがそれぞれ対向して形成される。対向面42a,42b及び対向面43a,43bの対向間に形成される空間に、第1棒11、第2棒12及び永久磁石31,32がそれぞれ収容される(図1参照)。
なお、対向面42a,43aは互いに平行とされ、それら対向面42a,43aの対向間隔(図2(a)上下方向の寸法)は、第1棒11、第2棒12及び永久磁石31,32の厚み寸法(図1(b)上下方向寸法)の合計よりも所定量(本実施の形態では0.02mm)だけ大きくされる。同様に、対向面42b,43bは互いに平行とされ、それら対向面43a,43bの対向間隔は、永久磁石31,32の厚み寸法よりも所定量(本実施の形態では0.02mm)だけ大きくされる。
ベース部41及び挟持対向部42,43(即ち、固定部材40)の上面側および下面側(図2(a)上側または下側)には、固定部材40をホルダ部材50へ圧入する際の圧入方向に沿って傾斜する傾斜面42c及び傾斜面43cが形成される。傾斜面42c及び傾斜面43cは、規制部44から連結部45へ向かうに従って互いに異なる方向に傾斜(図2(a)に示す側面視において、傾斜面42cは下降傾斜、傾斜面43cは上昇傾斜)する傾斜面として形成される。この傾斜(勾配)によって、固定部材40(ベース部41及び挟持対向部42,43)は、図2(a)に示す側面視において、第1棒11及び第2棒12の軸方向中央から軸方向端部へ向かうに従って先細りとなる形状に形成される(図1参照)。
なお、傾斜面42c,43cは、水平面(上述した固定部材40の対称面となる仮想平面)に対し傾斜角度θ1で傾斜される。この傾斜角度θ1は、本実施の形態では、2度に設定される。
規制部44は、図2(a)に示す側面視形状が矩形とされる部位であり、挟持対向部42,43の対向面42a,43aに対して所定の間隔を隔てて配設される。規制部44と挟持対向部42,43の対向面42a,43aとの間の間隔(図2(a)上下方向寸法)は、第1棒11及び第2棒12の厚み寸法(図1(b)上下方向寸法)と同等または若干大きくされる。また、規制部44は、挟持対向部42,43の対向方向(図2(a)上下方向)の寸法である厚み寸法W1が、永久磁石31,32の厚み寸法W2(図4参照)よりも大きくされる。
なお、本実施の形態では、規制部44の厚み寸法W1が、連結部45側に位置する対向面42b,43bの対向間隔(図2(a)上下方向寸法)と同等に設定される。
挟持対向部42,43及び規制部44は、連結部45の反対側に位置する端面(図2(a)左側の面)が面一に形成されると共に、第1棒11及び第2棒12の軸方向に垂直な平坦面として形成される(図1参照)。
連結部45は、固定部材40の先細りとなる側(規制部44の反対側、図2(a)右側)に位置し、ベース部41の側面からの高さ寸法(図2(b)上下方向寸法)が、挟持対向部42,43及び規制部44の高さ寸法と同一に設定される。連結部45が対向面42b,43bの間に介在することで、固定部材40をホルダ部材50へ圧入する際に(図4参照)、寸法公差が存在する場合や、圧入工程の精度が不足した場合でも、永久磁石31,32が対向面42b,43bに押圧されることを抑制して、かかる永久磁石31,32が破損することを抑制できる。
図3を参照して、ホルダ部材50について説明する。図3(a)は、ホルダ部材50の側面図であり、図3(b)は、図3(a)の矢印IIIb方向視におけるホルダ部材50の側面図である。
ホルダ部材50は、略直方体形状のベース部51と、そのベース部51の一側(図3(a)左側)から突設されると共に所定間隔を隔てて対向して配設される被圧入対向部52,53とを備える。なお、ホルダ部材50は、高さ方向(図3(a)上下方向)中央に位置する仮想平面(図示せず)に対して面対称に形成される。
被圧入対向部52,53は、固定部材40が圧入される部位であり、それら被圧入対向部52,53の互いに対向する面には、固定部材40をホルダ部材50へ圧入する際の圧入方向に沿って傾斜する傾斜面52a,53aが形成される。傾斜面52a,53aは、被圧入対向部52,53の突設先端側からベース部51へ向かうに従って互いに異なる方向に傾斜(図3(a)に示す側面視において、傾斜面52aは下降傾斜、傾斜面53aは上昇傾斜)する傾斜面として形成される。この傾斜(勾配)によって、傾斜面52a,53aの対向間隔は、ベース部51へ向かうに従って狭くなる。
なお、傾斜面52a,53aは、水平面(上述したホルダ部材50の対称面となる仮想平面)に対し傾斜角度θ2で傾斜される。この傾斜角度θ2は、本実施の形態では、傾斜角度θ1(図2(a)参照)と同一とされ、2度に設定される。
次いで、図4を参照して、発電素子1の組み立て方法について説明する。図4(a)は、ホルダ部材50に固定部材40が圧入される前の状態における発電素子1の側面図であり、図4(b)は、ホルダ部材50に固定部材40を圧入する圧入工程における発電素子1の側面図である。
図4(a)に示すように、発電素子1の組み立ては、まず、コイル20に第1棒11を挿通させ、その第1棒11及び第2棒12の軸方向端部を、固定部材40の収容空間に配設すると共に、永久磁石31,32を、固定部材40の収容空間(第1棒11及び第2棒12の対向間)に配設し、接着剤により接着固定する。次いで、ホルダ部材50の被圧入対向部52,53の対向間へ固定部材40を、第1棒11及び第2棒12の軸方向(図4(a)左右方向)を圧入方向として、圧入する。但し、永久磁石31,32の収容空間への取り付け(接着剤による接着固定)は、圧入が完了した後に行っても良い。
なお、固定部材40は、上述したように、ベース部41の側面から挟持対向部42,43が突設されることで、第1棒11及び第2棒12と永久磁石31,32とを収容する収容空間が形成される(図2参照)。即ち、かかる収容空間は、ベース部41と反対側(即ち、第1棒11及び第2棒12を挟み込む方向と第1棒11及び第2棒12の軸方向とにそれぞれ直交する方向の一方側、図4(a)紙面手前側)が開放して形成されるので、かかる収容空間に第1棒11及び第2棒12と永久磁石31,32とを容易に配設することができる。
即ち、第1棒11及び第2棒12と永久磁石31,32とを、例えば、第1棒11及び第2棒12の軸方向に沿って、固定部材40の端面(図4(a)左側面)の開口から収容空間へ挿入する必要がなく、収容空間の開放する面全体を利用することができる。よって、第1棒11及び第2棒12と永久磁石31,32とを固定部材40(収容空間)に配設する作業の作業性の向上を図ることができる。
図4(b)に示すように、固定部材40(挟持対向部42,43)の外面(傾斜面42c,43c)とホルダ部材50の被圧入対向部52,53の内面(傾斜面52a,53a)とが、圧入方向に沿って傾斜する傾斜面として形成されるので、圧入の進行に伴い、固定部材40(挟持対向部42,43)の傾斜面42c,43cが、ホルダ部材50の被圧入対向部52,53における傾斜面52a,53aにより押圧される。これにより、挟持対向部42,43が互いに近接する方向(永久磁石31,32及び規制部44を挟み込む方向)へ向けて撓み変形され、第1棒11及び第2棒12が挟持される。その結果、発電素子1の組み立てが完了される。
発電素子1によれば、第1棒11のみにコイル20が巻回され、第2棒12にコイル20を巻回する必要がないので、その分、部品点数の削減を図ることができる。また、第2棒12にコイル20を巻回する必要がなければ、本来、第2棒12にコイル20を巻回するためのスペースを利用して、第1棒11に巻回されるコイル20の巻き数を増加させることができる。よって、第1棒11と第2棒12との対向間の距離を拡大することなく、発電効率の向上を図ることができる。
ここで、発電素子1の構造では、第1棒11にその軸方向(図4(b)左右方向)に沿って形成される磁界の方向と第2棒12にその軸方向(図4(b)左右方向)に沿って形成される磁界の方向とが逆方向となる。よって、発電中、第1棒11及び第2棒12が伸張または収縮される際に、軸方向と平行な方向の磁束密度の変化が逆方向となり互いに打ち消し合う。そのため、磁束密度の変化が低減され、発電効率の低下を招く。
この場合、発電素子1によれば、第2棒12(即ち、コイルが巻回されない磁歪棒)が第1棒11よりも磁歪効果の低い磁歪材料から構成されるので、発電中、第1棒11及び第2棒12が伸張または収縮される際には、第2棒12における軸方向と平行な方向の磁束密度の変化を少なくできる。よって、第2棒12における軸方向と平行な方向の磁束密度の変化によって、第1棒11における軸方向と平行な方向の磁束密度の変化が打ち消されることを抑制できるので、その分、発電に必要な第1棒11における軸方向と平行な方向の磁束密度の変化を確保して、発電効率の向上を図ることができる。
また、第2棒12を、磁歪効果の高い磁歪材料から構成する必要がなく、一般的な磁性材料(本実施の形態では鉄鋼材料)から構成することができるので、第1棒11と比較して、第2棒12の材料コストを削減でき、その分、発電素子1全体としての製品コストを削減できる。
固定部材40をホルダ部材50(被圧入対向部52,53の対向間)へ圧入する圧入工程においては、その圧入の進行に応じて、挟持対向部42,43が徐々に撓み変形して、第1棒11及び第2棒12を挟み込む(締め付ける)ので、圧入荷重を監視しつつ圧入工程を進行させることで、かかる圧入荷重に基づいて締め付け荷重の調整を容易に行うことができる。
よって、第1棒11及び第2棒12の対向間に挟装される永久磁石31,32の破損を抑制しつつ、第1棒11及び第2棒12を挟持対向部42,43が挟み込む(締め付ける)締め付け荷重をより大きく確保して、その挟持をより強固なものとすることができる。即ち、永久磁石31,32が対向間に挟装された第1棒11及び第2棒12を保持部材60によって、確実に保持することができる。
また、固定部材40は、第1棒11及び第2棒12の対向間に介在される規制部44を備えるので、固定部材40のホルダ部材50への圧入に伴い、挟持対向部42,43の対向間で第1棒11及び第2棒12が挟み込まれる(締め付けられる)場合に、規制部44により第1棒11及び第2棒12を受け止めることができる。即ち、挟持対向部42の対向面42aと規制部44との対向間で第1棒11を、挟持対向部43の対向面43aと規制部44との対向間で第2棒12を、それぞれ挟持することができるので、固定部材40の挟持対向部42,43による第1棒11及び第2棒12の挟持を強固に行うことができる。
一方で、ぜい性材料からなる永久磁石31,32は破損し易いところ、第1棒11及び第2棒12の対向間に配設される規制部44は、その厚み寸法W1(図2(a)参照)が、永久磁石31,32の厚み寸法W2よりも大きくされるので、第1棒11及び第2棒12の対向間で永久磁石31,32が押圧されることを抑制でき、永久磁石31,32の破損を抑制することができる。また、挟持対向部42,43の対向面42b,43bにおいても、その対向間隔が、永久磁石31,32の厚み寸法W2よりも大きくされるので、それら対向面42b,43bが永久磁石31,32を押圧することを抑制でき、永久磁石31,32の破損を抑制することができる。
また、固定部材40は、規制部44が永久磁石31,32よりも第1棒11及び第2棒12の軸方向中央側(図4(b)左側)に配設されるので、第1棒11及び第2部12の自由長(一方(図1(b)左側)の固定部材40の挟持対向部42,43及び規制部44の対向間に挟持される部分と、他方(図1(b)右側)の固定部材40の挟持対向部42,43及び規制部44の対向間に挟持される部分との間に存在する部分の長さ)を、発電中の振動の状態によらず一定として、発電を安定させることができる。
例えば、規制部44と永久磁石31,32の配設位置が逆の場合には、規制部44の厚み寸法W1が永久磁石31,32の厚み寸法W2よりも大きくされ、第1棒11及び第2棒12と永久磁石31,32との間に隙間が形成されることから、一対の保持部材60の相対移動の大きさ(即ち、発電中の振動の状態)によっては、振り子運動(曲げ変形)に伴い、第1棒11及び第2棒12が永久磁石31,32に当接または離間を繰り返しつつ振動するモードが発生し、第1棒11及び第2棒12の自由長が一定とならず不確かとなる。そのため、発電が不安定となる。
これに対し、発電素子1では、第1棒11及び第2棒12と永久磁石31,32との対向間に形成される隙間は、振動モードにほぼ影響を与えず、挟持対向部42,43と規制部44との対向間に挟持された部分を起点として、第1棒11及び第2棒12を振り子運動(曲げ変形)させることができる。よって、一対の保持部材60の相対移動の大きさ(即ち、発電中の振動の状態)によらず、第1棒11及び第2棒12の自由長を一定として、発電を安定させることができる。
ここで、固定部材40のホルダ部材50への圧入方向が、第1棒11及び第2棒12の軸方向と平行な方向(図4(a)左右方向)に設定され、固定部材40(挟持対向部42,43)の傾斜面42c,43cは、圧入方向に沿って傾斜する傾斜面として形成される。よって、傾斜面42c,43cの傾斜方向(圧入方向)に沿った長さを確保することができ、その分、傾斜面42c,43cの傾斜角度を緩やかとできる。その結果、圧入荷重に基づく締め付け荷重の調整を容易に且つ精度良く行い易くできると共に、ホルダ部材50の被圧入対向部52,53から固定部材40が抜け出し難くすることができる。
次いで、図5及び図6を参照して、第2実施の形態における発電素子201について説明する。第1実施の形態では、ホルダ部材50の側面が開放して形成される場合を説明したが、第2実施の形態におけるホルダ250は、その側面を連結部255により閉封して形成される。なお、上述した第1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図5は、第2実施の形態における発電素子201の部分拡大側面図である。また、図6(a)は、ホルダ部材250の側面図であり、図6(b)は、図6(a)の矢印VIb方向から視たホルダ部材250の側面図であり、図6(c)は、図6(b)のVIc−VIc線におけるホルダ部材250の断面図である。
なお、第2実施の形態における発電素子201は、保持部材260(ホルダ部材250)の構成が、第1実施の形態における発電素子1と異なり、その他の構成(第1棒11、第2棒12、コイル20、永久磁石31,32及び固定部材40)は、第1実施の形態における発電素子1と同一であるので、その説明は省略する。
図5及び図6に示すように、第2実施の形態における発電素子201は、保持部材260が、固定部材40とホルダ部材250とからなる。ホルダ部材250は、略直方体形状のベース部51と、そのベース部51の一側(図6(c)左側)から突設されると共に所定間隔を隔てて対向して配設される被圧入対向部252,253と、被圧入対向部252,253の対向間を連結すると共に所定間隔を隔てて対向して配設される一対の連結部254,255とを備え、非磁性材料(本実施の形態ではアルミニウム合金)から形成される。なお、ホルダ部材250は、高さ方向(図6(c)上下方向)中央に位置する仮想平面(図示せず)に対して面対称に形成される。
被圧入対向部252,253は、固定部材40が圧入される部位であり、それら被圧入対向部252,253の互いに対向する面には、固定部材40をホルダ部材250へ圧入する際の圧入方向に沿って傾斜する傾斜面252a,253aが形成される。傾斜面252a,253aは、被圧入対向部252,253の突設先端側からベース部51へ向かうに従って互いに異なる方向に傾斜(図6(c)に示す段面視において、傾斜面252aは下降傾斜、傾斜面253aは上昇傾斜)する傾斜面として形成される。この傾斜(勾配)によって、傾斜面252a,253aの対向間隔は、ベース部51へ向かうに従って狭くなる。
なお、傾斜面252a,253aは、水平面(上述したホルダ部材250の対称面となる仮想平面)に対し傾斜角度θ3で傾斜される。この傾斜角度θ3は、本実施の形態では、傾斜角度θ1(図2(a)参照)と同一とされ、2度に設定される。
連結部254,255は、非圧入対向部252,253の対向間を連結すると共に、ベース部51からの突設長さ(図6(c)左右方向寸法)が非圧入対向部252,253と同一とされる。これにより、ホルダ部材250は、図6(b)に示す側面視において矩形枠状に形成されると共に、圧入方向一端側(図6(c)左側)のみが開口する有底容器状に形成される。
連結部254,255の対向間隔(図6(b)左右方向寸法)は、固定部材40が圧入された場合に、連結部254,255の対向面と、固定部材40、第1棒11、第2棒12、永久磁石31,32との間に若干の隙間が形成される寸法に設定される。
ここで、固定部材40は、上述したように、永久磁石31,32の収容空間が一方側(図5紙面手前側)が開放して形成されるため、かかる収容空間に第1棒11及び第2棒12と永久磁石31,32とを配設する作業を容易とすることができる反面、発電中に、開放する一方側から永久磁石31,32が脱落するおそれがある。特に、永久磁石31,32は、その厚み寸法W2(図4(a)参照)が規制部44の厚み寸法W1(図2(a)参照)よりも小さくされ、挟持対向部42,43からの締め付け荷重が作用されないように構成されるため、長時間の振動や一時的な強い外力の入力により、接着剤が剥がれて、脱落し易い。
これに対し、第2実施の形態における発電素子201によれば、ホルダ部材250が、被圧入対向部252,253を連結する連結部254,255を備えるので、かかる連結部254,255の一方(連結部255)により、収容空間の開放する一方側(図5紙面手前側)を閉塞することができ、その結果、永久磁石31,32が外部へ脱落することを抑制することができる。
また、このように、被圧入対向部252,253が連結部254,255に連結されることで、ホルダ部材250全体としての剛性を高めることができる。よって、ホルダ部材250の被圧入対向部252,253へ固定部材40を圧入する際には、一対の被圧入対向部252,253が互いに離間する方向へ変形することを抑制することができる。これにより、圧入荷重に基づく締め付け荷重の調整を精度良く行うことができる。
次いで、図7及び図8を参照して、第3実施の形態における発電素子301について説明する。第1実施の形態では、ホルダ部材50から固定部材40が抜け出ることを、傾斜面42c,43cと傾斜面52a,52bとの間の摩擦力により行う構造を説明したが、第3実施の形態における保持部材360は、摩擦力に加え、係止突起346を係止穴352bに係合させることによって、ホルダ部材350から固定部材340が抜け出ることを防止する。なお、上述した各実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図7は、第3実施の形態における発電素子301の部分拡大側面図である。また、図8(a)は、ホルダ部材350の側面図であり、図8(b)は、図8(a)の矢印VIIIb方向から視たホルダ部材350の側面図であり、図8(c)は、図8(b)のVIIIc−VIIIc線におけるホルダ部材350の断面図である。なお、図7では、ホルダ部材350の一部が部分的に断面視される。また、図7及び図8では、係止突起346及び係止穴352bが拡大されて図示されると共にその形状が模式的に図示される。
なお、第3実施の形態における発電素子301は、係止突起346及び係止穴352bの有無が、第1実施の形態における発電素子1と異なり、その他の構成は、第1実施の形態における発電素子1と同一であるので、その説明は省略する。
図7に示すように、第3実施の形態における発電素子201は、固定部材340に係止突起346が形成される。係止突起346は、半球状の突部であり、固定部材340の傾斜面42cから上方(図7上側)へ向けて突設される。一方、ホルダ部材350には、係止穴352bが形成される。係止穴352bは、ホルダ部材350に固定部材340が圧入された場合に、係止突起346を受け入れるための凹部であり、係止突起346に対応する断面形状を有し、被圧入対向部52の傾斜面52aに凹設される。
係止穴352bは、被圧入対向部52の突設先端面(図8(c)左側面)に一端が開口されると共に、その開口からベース部51へ向かう方向(図8(c)右方向)へ、圧入方向(図8(c)左右方向)に沿って直線状に延設される。また、その直線状に延設される途中には、凹設深さが浅くされる部位(即ち、被圧入対向部53へ向けて突出する突出部352b1)が部分的に形成される。
よって、ホルダ部材350への固定部材340の圧入が開始されると、係止突起346が、係止穴352bの一端側の開口から内部へ挿入され、その係止穴352bの内部を移動される。更に圧入が進行されると、係止突起346が、突出部352b1を乗り越えて、圧入が完了される。これにより、係止突起346が係止穴352bの突出部352b1に係止され、圧入方向と反対方向へ移動されることを規制できる。
よって、例えば、一対の保持部材360の内の一方の保持部材360を振動体に固定し、他方の保持部材360を自由端とした場合に、発電中の振り子運動(自由振動)において、一方のホルダ部材350から固定部材340が抜け出ること、或いは、他方のホルダ部材350が固定部材340から抜け出ることを抑制することができる。
次いで、図9から図11を参照して、第4実施の形態における発電素子401について説明する。第1実施の形態では、ホルダ部材50に対する固定部材40の圧入方向が第1棒11及び第2棒12の軸方向とされる場合を説明したが、第4実施の形態における保持部材460は、ホルダ部材450に対する固定部材440の圧入方向が、第1棒11及び第2棒12の軸方向と第1棒11及び第2棒12の対向方向とにそれぞれ直交する方向とされる。なお、上述した各実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図9は、第4実施の形態における発電素子401の部分拡大側面図である。なお、図9では、係止突起446及び係止穴452bが拡大されて図示されると共にその形状が模式的に図示される。後述する図10及び図11においても同様である。
なお、第4実施の形態における発電素子401は、保持部材460(固定部材440及びホルダ部材450)の構成が、第1実施の形態における発電素子1と異なり、その他の構成(第1棒11、第2棒12、コイル20及び永久磁石31,32)は、第1実施の形態における発電素子1と同一であるので、その説明は省略する。
図9に示すように、第4実施の形態における保持部材460は、第1棒11及び第2棒12の軸方向一端側および他端側にそれぞれ取着される一対の固定部材440と、それら一対の固定部材440がそれぞれ圧入されるホルダ部材450とを備え、非磁性材料(本実施の形態では、アルミニウム合金)から構成される。
第4実施の形態では、固定部材440をホルダ部材450の被圧入対向部452,453へ圧入する圧入方向が、第1棒11及び第2棒12の軸方向(図9左右方向)と第1棒11及び第2棒12の対向方向(図9上下方向)とにそれぞれ直交する方向(図9紙面垂直方向)に設定される。ここで、図10及び図11を参照して、固定部材440及びホルダ部材450の詳細構成について説明する。
図10(a)は、固定部材440の側面図であり、図10(b)は、図10(a)のXb−Xb線における固定部材440の断面図であり、図10(c)は、図10(a)の矢印Xc方向視における固定部材440の側面図である。
図10に示すように、固定部材440は、ブロック状に形成されるベース部441と、そのベース部441の側面(図10(a)紙面手前側面)から突設されると共に所定間隔を隔てて対向される挟持対向部442,443と、それら挟持対向部442,443の対向間に位置しつつベース部441の側面から突設される規制部44と、挟持対向部442,443の対向間を連結しつつベース部441の側面から突設される連結部45とを備える。なお、固定部材440は、高さ方向(図10(a)上下方向)中央に位置する仮想平面(図示せず)に対して面対称に形成される。
固定部材440は、挟持対向部442,443における傾斜面442c,443cの傾斜方向が異なる点と、その傾斜面442cに係止突起446が突設される点とを除き、その他の構成は、第1実施の形態における固定部材40と同一に構成される。よって、その説明は省略する。
第4実施の形態における傾斜面442c,443cは、固定部材440(ベース部441及び挟持対向部442,443)の上面側および下面側(図10(a)上側または下側)に、固定部材440をホルダ部材450へ圧入する際の圧入方向(図10(c)左右方向)に沿って傾斜して形成される。
即ち、傾斜面442c及び傾斜面443cは、ベース部441の挟持対向部442,443や規制部44が形成される側(図10(c)右側)から反対側(図10(c)左側)へ向かうに従って互いに異なる方向に傾斜(図10(c)に示す側面視において、傾斜面442cは下降傾斜、傾斜面443cは上昇傾斜)する傾斜面として形成される。
よって、この傾斜(勾配)によって、固定部材440(ベース部441及び挟持対向部442,443)は、図10(c)に示す側面視において、圧入方向(図10(c)左方向)へ向けて先細りとなる形状に形成される。
なお、傾斜面442c,443cは、水平面(上述した固定部材440の対称面となる仮想平面)に対し傾斜角度θ4で傾斜される。この傾斜角度θ4は、本実施の形態では、2度に設定される。
係止突起446は、半球状の突部であり、固定部材440の傾斜面442cから上方(図10(a)上側)へ向けて突設される。係止突起446は、後述するように、固定部材440がホルダ部材450に圧入された場合に、ホルダ部材450に凹設される係止穴452bに挿入され係止される。
図11を参照して、ホルダ部材450について説明する。図11(a)は、ホルダ部材450の側面図であり、図11(b)は、図11(a)のXIb−XIb線におけるホルダ部材450の断面図である。
ホルダ部材450は、略直方体形状のベース部51と、そのベース部51の一側(図11(a)左側)から突設されると共に所定間隔を隔てて対向して配設される被圧入対向部452,453とを備える。なお、ホルダ部材450は、高さ方向(図11(a)上下方向)中央に位置する仮想平面(図示せず)に対して面対称に形成される。
ホルダ部材450は、被圧入対向部452,453における傾斜面452a,453aの傾斜方向が異なる点と、その傾斜面452aに係止穴452bが凹設される点とを除き、その他の構成は、第1実施の形態におけるホルダ部材450と同一に構成される。よって、その説明は省略する。
第4実施の形態における傾斜面452a,453aは、被圧入対向部452,453の互いに対向する面に、固定部材440をホルダ部材450へ圧入する際の圧入方向(図11(b)左右方向)に沿って傾斜して形成される。
即ち、傾斜面452a,453aは、被圧入対向部452,453の圧入始端となる側(図11(b)右側)から圧入終端となる側(図11(b)左側)へ向かうに従って互いに異なる方向に傾斜(図11(b)に示す断面視において、傾斜面452aは下降傾斜、傾斜面53aは上昇傾斜)する傾斜面として形成される。この傾斜(勾配)によって、傾斜面452a,453aの対向間隔は、圧入始端側から圧入終端側へ向かうに従って狭くなる。
なお、傾斜面452a,453aは、水平面(上述したホルダ部材450の対称面となる仮想平面)に対し傾斜角度θ5で傾斜される。この傾斜角度θ5は、本実施の形態では、傾斜角度θ4(図10(c)参照)と同一とされ、2度に設定される。
係止穴452bは、ホルダ部材450に固定部材440が圧入された場合に、係止突起446を受け入れるための凹部であり(図9参照)、係止突起446に対応する断面形状を有し、被圧入対向部452の傾斜面452aに凹設される。
係止穴452bは、被圧入対向部452の一側の側面(圧入始端側)及び他側の側面(圧入終端側)に一端および他端がそれぞれ開口されると共に、それら両開口の間が、圧入方向(図11(b)左右方向)に沿って直線状に延設される。
図9に戻って、発電素子401の組み立て方法について説明する。発電素子401の組み立ては、第1実施の形態の場合と同様に、第1棒11及び第2棒12と永久磁石31,32とを固定部材440の収容空間に配設すると共に、永久磁石31,32を接着剤により接着固定する。次いで、ホルダ部材450の被圧入対向部452,453の対向間へ固定部材440を圧入する。但し、永久磁石31,32の収容空間への取り付け(接着剤による接着固定)は、圧入が完了した後に行っても良い。
ホルダ部材450へ固定部材440を圧入する際には、固定部材440の係止突起446を、ホルダ部材450における係止穴452bの一端側の開口からその内部へ挿入させる。
上述したように、固定部材440(挟持対向部442,443)の外面(傾斜面442c,443c)とホルダ部材450の被圧入対向部452,453の内面(傾斜面452a,453a)とが、圧入方向(図9紙面垂直方向)に沿って傾斜する傾斜面として形成されるので、圧入の進行に伴い、固定部材440(挟持対向部442,443)の傾斜面442c,443cが、ホルダ部材450の被圧入対向部452,453における傾斜面452a,453aにより押圧される。
これにより、挟持対向部442,443が互いに近接する方向(永久磁石31,32及び規制部44を挟み込む方向)へ向けて撓み変形され、第1棒11及び第2棒12が挟持される。その結果、発電素子1の組み立てが完了される。
第4実施の形態における発電素子401によれば、挟持対向部442,443の対向面42a,43aから傾斜面442c,443cまでの間隔が、挟持対向部442,443の軸方向に沿って一定であるので、撓み変形された挟持対向部442,443による第1棒11及び第2棒12の挟持をその軸方向に沿って均一化することができる。
また、圧入により、係止突起446を、係止穴452bの内部に挿入させることができる。これにより、係止突起446を係止穴452bに係止させ、かかる係止により、ホルダ部材450と固定部材440との第1棒11及び第2棒12の軸方向への相対移動を規制できる。
よって、例えば、一対の保持部材460の内の一方の保持部材460を振動体に固定し、他方の保持部材460を自由端とした場合に、発電中の振り子運動(自由振動)において、一方のホルダ部材450から固定部材440が抜け出ること、或いは、他方のホルダ部材450が固定部材440から抜け出ることを抑制することができる。
また、固定部材440をホルダ部材450の被圧入対向部452,453へ圧入する圧入方向が、第1棒11及び第2棒12の軸方向と第1棒11及び第2棒12の対向方向とにそれぞれ直交する方向(図9紙面垂直方向)に設定されるので、第1棒11及び第2棒12の軸方向両端にそれぞれ取着される一対の保持部材460において、ホルダ部材450の被圧入部452,453へ固定部材440を圧入する圧入方向をそれぞれ同じ方向とすることができる。
よって、ホルダ部材450の被圧入部452,453への固定部材440の圧入を、軸方向一端側および他端側において別々で行う必要がなく、同時に行うことができる。従って、一対の保持部材460の組み立てを一工程で行うことが可能となり、工数を削減できるので、その分、製品コストの削減を図ることができる。
次いで、図12及び図13を参照して、第5実施の形態における発電素子501について説明する。第1実施の形態では、第1棒11及び第2棒12の軸方向端部が、永久磁石31,32を挟み込む場合を説明したが、第5実施の形態における第1棒11及び第2棒12は、その軸方向端部が、固定部材540の一部(第2規制部545a)を挟み込む。なお、上述した各実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
なお、第5実施の形態における発電素子501は、保持部材560(固定部材540)及び永久磁石532の構成が、第1実施の形態における発電素子1と異なり、その他の構成(第1棒11、第2棒12、コイル20及びホルダ部材50)は、第1実施の形態における発電素子1と同一であるので、その説明は省略する。
図12は、第5実施の形態における発電素子501の部分拡大側面図である。第5実施の形態における保持部材560は、第1棒11及び第2棒12の軸方向一端側および他端側にそれぞれ取着される一対の固定部材540と、それら一対の固定部材540がそれぞれ圧入されるホルダ部材50とを備え、非磁性材料(本実施の形態では、アルミニウム合金)から構成される。
第5実施の形態では、固定部材540に第2規制部545aが形成され、この第2規制部545aにより、第1棒11及び第2棒12の軸方向端部の変位が規制される。なお、永久磁石532は、第1実施の形態における永久磁石31,32に対し、その軸方向長さ(図12左右方向寸法)が異なる(短くされる)のみで、他の構成は同一であるので、その説明は省略する。ここで、図13を参照して、固定部材540の詳細構成について説明する。
図13(a)は、固定部材540の側面図であり、図13(b)は、図13(a)のXIIIb−XIIIb線における固定部材540の断面図であり、図13(c)は、図13(a)の矢印XIIIc方向視における固定部材540の側面図である。なお、固定部材540は、高さ方向(図上下方向)中央に位置する仮想平面(図示せず)に対して面対称に形成される。
第5実施の形態における固定部材540は、挟持対向部542,543(連結部545の大きさ及び第2規制部545aの有無)が異なる点を除き、その他の構成は、第1実施の形態における固定部材40と同一に構成される。よって、その説明は省略する。
連結部545は、固定部材540の先細りとなる側(規制部44の反対側、図13(a)右側)に位置し、挟持対向部542,543の対向間を連結する。即ち、第5実施の形態では、第1実施の形態における対向面42b,43b(図2(a)参照)に相当する領域が、連結部545により連結される。
この連結部545の規制部44側(図13(a)左側)の側面には、第2規制部545aが連設される。第2規制部545aは、図13(a)に示す側面視形状が矩形とされる部位であり、挟持対向部542,543の対向面42a,43aに対して所定の間隔を隔てて配設される。
第2規制部545aは、挟持対向部542,543の対向方向(図13(a)上下方向)の寸法である厚み寸法W3が、規制部44の厚み寸法W1と同一とされる。よって、第2規制部545aと対向面42a,43aとの間の間隔(図13(a)上下方向寸法)が、第1棒11及び第2棒12の厚み寸法(図12上下方向寸法)と同等または若干大きくされると共に、第2規制部545aの厚み寸法W3が、永久磁石532の厚み寸法よりも大きくされる。
挟持対向部42,43及び規制部44は、連結部45の反対側に位置する端面(図2(a)左側の面)が面一に形成されると共に、第1棒11及び第2棒12の軸方向に垂直な平坦面として形成される(図1参照)。
このように、第5実施の形態における発電素子501によれば、第2規制部545aが第1棒11及び第2棒12の軸方向端部(図12右側)の対向間に介在することで、固定部材540をホルダ部材50へ圧入し、挟持対向部542,543が永久磁石532を挟み込む方向へ変位する際に、寸法公差が存在する場合や、圧入工程の精度が不足した場合でも、永久磁石532が第1棒11及び第2棒12の軸方向端部に押圧されることを抑制して、かかる永久磁石532が破損することを抑制できる。
また、第1棒11及び第2棒12を、挟持対向部542,543と規制部44との対向間だけでなく、挟持対向部542,543と第2規制部545aとの対向間でも挟持することができるので、固定部材540の挟持対向部542,543による第1棒11及び第2棒12の挟持を強固に行うことができる。よって、固定部材540(保持部材560)から第1棒11及び第2棒12が抜け出る(脱落する)ことを抑制できる。
次いで、図14及び図15を参照して、第6実施の形態における発電素子601について説明する。第1実施の形態では、第1棒11及び第2棒12を備える発電素子1について説明したが、第6実施の形態における発電素子601は、第1棒11、第2棒612及び中間棒613を備える。なお、上述した各実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図14(a)は、本発明の第6実施の形態における発電装置601の上面図であり、図14(b)は、図14(a)の矢印XIVb方向視における発電装置601の側面図である。なお、図14では、一端側磁石31a,31b及び他端側磁石32a,32bの磁極の向きの理解を容易とするために、その磁性を「N」「S」の表記を利用して便宜的に図中に図示する。
図14に示すように、第6実施の形態における発電素子601は、第1実施の形態の場合と同様に、振動体に対し、一対の保持部材660の内の一方を固着すると共に他方を自由端とした状態で設置され、振動体の振動に伴って、第1棒11、第2棒612及び中間棒613の軸直角方向(図14(b)上下方向)へ他方の保持部材660を振り子運動(自由振動)させて使用される。この場合、振り子運動に伴う曲げ変形により軸方向の伸張および収縮が第1棒11及び第2棒612に発生することで、第1棒11及び第2棒612の軸方向と平行な方向に磁束密度が変化し、各コイル20に電流が発生することで、発電が行われる。なお、本実施の形態では、振動体が自動車のエンジンとされる。
発電素子601は、磁歪材料から構成される第1棒11、第2棒612及び中間棒613と、第1棒11及び第2棒612にそれぞれ巻回される一対のコイル20と、第1棒11、第2棒612及び中間棒613の軸方向一端側(図14(b)左側)において第1棒11と中間棒13との対向間および中間棒13と第2棒12との対向間にそれぞれ挟装される一端側磁石31a,31bと、第1棒11、第2棒612及び中間棒613の軸方向他端側(図14(b)右側)において第1棒11と中間棒613との対向間および中間棒613と第2棒12との対向間にそれぞれ挟装される他端側磁石32a,32bと、第1棒11、第2棒612及び中間棒613の軸方向一端側および他端側にそれぞれ取着され第1棒11、第2棒612及び中間棒613の対向間に一端側磁石31a,31b及び他端側磁石32a,32bが挟装された状態を保持する一対の保持部材660とを備える。
第1棒11、第2棒612及び中間棒613は、厚み寸法(図14(b)上下方向寸法)に対して高さ寸法(図14(a)上下方向寸法)が大きな断面長方形(即ち、断面が長辺(高さ方向に沿う辺)及び短辺(厚み方向に沿う辺)を有する長方形)から長尺板状に形成される。
これら第1棒11、第2棒612及び中間棒613は、互いに同一形状(寸法)に形成されると共に、面積が大きな側面(即ち、断面において長辺を含む側面)同士を互いに対向させて平行に配置される。なお、第1棒11及び第2棒612は、同一の磁歪材料から構成され、中間棒613は、第1棒11及び第2棒612よりも磁歪効果の低い磁歪材料から構成される。なお、本実施の形態では、第1棒11及び第2棒612が鉄ガリウム合金から、第2棒612が鉄鋼材料から、それぞれ構成される。
コイル20は、銅線から構成される線材を第1棒11及び第2棒612にそれぞれ巻回したコイルである。コイル20と第1棒11及び第2棒612との間には隙間が設けられる。
一端側磁石31a,31b及び他端側磁石32a,32bは、第1棒11及び第2棒612にバイアス磁界を付与するための部材(永久磁石)であり、それぞれ断面矩形の棒状に形成される。
一端側磁石31a,31bは、中間棒613へ互いに同じ磁極を向けて配設され、他端側磁石32a,32bは、中間棒613へ互いに磁極であって一端側磁石31a,31bとは異なる磁極を向けて配設される。
即ち、一端側磁石31a,31bは、一端側磁石31aが、第1棒11に接続される面側(図14(b)上側)にS極、中間棒613に接続される面側(図14(b)下側)にN極を向けて配設されると共に、一端側磁石31bが、中間棒613に接続される面側にN極、第2棒612に接続される面側にS極を向けて配設される。
一方、これとは逆に、他端側磁石32a,32bは、他端側磁石32aが、第1棒11に接続される面側(図14(b)上側)にN極、中間棒613に接続される面側(図14(b)下側)にS極を向けて配設されると共に、他端側磁石32bが、中間棒613に接続される面側にS極、第2棒612に接続される面側にN極を向けて配設される。
これにより、第1棒11及び中間棒613と一端側磁石31a及び他端側磁石32a並びに中間棒613及び第2棒612と一端側磁石31b及び他端側磁石32bとによりそれぞれ磁気ループが形成されると共に、一端側磁石31a,31b及び他端側磁石32a,32bの起磁力によるバイアス磁界が第1棒11及び第2棒612に付与される。その結果、第1棒11及び第2棒612の磁化容易方向(磁化の方向または磁化が生じ易い方向)が、第1棒11及び第2棒612の軸方向(長手方向)に設定される。
一端側磁石31a,31b及び他端側磁石32a,32bは、固定部材640に形成(凹設)された収容空間に配設される。この収容空間の内面(挟持対向部642,643の対向面642b,643b、規制部644の対向面および連結部645の対向面、図15参照)や第1棒11、第2棒612及び中間棒613の側面と、一端側磁石31a,31b及び他端側磁石32a,32bの対向面(側面)との対向間には隙間が形成され、この隙間に充填した接着剤により、一端側磁石31a,31b及び他端側磁石32a,32bが固定部材40に固着される。
保持部材660は、第1棒11、第2棒612及び中間棒613の軸方向一端側および他端側にそれぞれ取着される一対の固定部材640と、それら一対の固定部材640がそれぞれ圧入されるホルダ部材650とを備える。固定部材640及びホルダ部材650は、非磁性材料(本実施の形態では、アルミニウム合金)から構成される。ここで、図15を参照して、固定部材640の詳細構成について説明する。
図15(a)は、固定部材640の側面図であり、図15(b)は、図15(a)のXVb−XVb線における固定部材640の断面図であり、図15(c)は、図15(a)の矢印XVc方向視における固定部材640の側面図である。
図15に示すように、固定部材640は、ブロック状に形成されるベース部641と、そのベース部641の側面(図15(a)紙面手前側面)から突設されると共に所定間隔を隔てて対向される挟持対向部642,643と、それら挟持対向部642,643の対向間に位置しつつベース部641の側面から突設される一対の規制部644と、挟持対向部642,643の対向間を連結しつつベース部641の側面から突設される連結部645と、その連結部645の規制部644側の側面に連設される第2規制部645aを備える。なお、固定部材640は、高さ方向(図15(a)上下方向)中央に位置する仮想平面(図示せず)に対して面対称に形成される。
挟持対向部642,643は、第1棒11及び第2棒612を、中間棒613並びに一端側磁石31a,31b及び他端側磁石32a,32bへ向かう方向に挟み込んで挟持する部位であり(図14参照)、対向面642a,642b及び対向面643a,643bがそれぞれ対向して形成される。対向面642a,642b及び対向面643a,643bの対向間に形成される空間に、第1棒11、第2棒612、中間棒613及び各磁石31a〜32bがそれぞれ収容される(図14参照)。
なお、対向面642a,643aは互いに平行とされ、それら対向面642a,643aの対向間隔(図15(a)上下方向の寸法)は、第1棒11、第2棒612、中間棒613、一端側磁石31a,31b及び他端側磁石32a,32bの厚み寸法(図14(b)上下方向寸法)の合計よりも所定量(本実施の形態では0.02mm)だけ大きくされる。同様に、対向面642b,643bは互いに平行とされ、それら対向面643a,643bと第2規制部645aとの対向間隔は、一端側磁石31a,31b及び他端側磁石32a,32bの厚み寸法よりも所定量(本実施の形態では0.02mm)だけ大きくされる。
ベース部641及び挟持対向部642,643(即ち、固定部材640)の上面側および下面側(図15(a)上側または下側)には、固定部材640をホルダ部材650へ圧入する際の圧入方向に沿って傾斜する傾斜面642c及び傾斜面643cが形成される。傾斜面642c及び傾斜面643cは、一対の規制部644から連結部45へ向かうに従って互いに異なる方向に傾斜(図15(a)に示す側面視において、傾斜面642cは下降傾斜、傾斜面643cは上昇傾斜)する傾斜面として形成される。この傾斜(勾配)によって、固定部材640(ベース部641及び挟持対向部642,643)は、図15(a)に示す側面視において、第1棒11、第2棒612及び中間棒613の軸方向中央から軸方向端部へ向かうに従って先細りとなる形状に形成される(図14参照)。
なお、傾斜面642c,643cは、水平面(上述した固定部材640の対称面となる仮想平面)に対し傾斜角度θ6で傾斜される。この傾斜角度θ6は、本実施の形態では、2度に設定される。
規制部644は、図15(a)に示す側面視形状が矩形とされる部位であり、挟持対向部642,643の対向面642a,643aに対して所定の間隔を隔てて一対が配設される。規制部644と挟持対向部642,643の対向面642a,643aとの間の間隔(図15(a)上下方向寸法)は、第1棒11及び第2棒612の厚み寸法(図14(b)上下方向寸法)と同等または若干大きくされる。規制部644同士の対向間隔(図15(a)上下方向寸法)は、中間棒613の厚み寸法(図14(b)上下方向寸法)と同上または若干大きくされると共に、第2規制部645aの厚み寸法(図15(a)上下方向寸法)と同等とされる。
また、規制部644は、挟持対向部642,643の対向方向(図15(a)上下方向)の寸法である厚み寸法W6が、永久磁石31,32の厚み寸法(図14(b)上下方向寸法)よりも大きくされる。なお、本実施の形態では、規制部644の厚み寸法W6が、連結部45側に位置する対向面42b,43bと第2規制部645aとの対向間隔(図15(a)上下方向寸法)と同等に設定される。
挟持対向部642,643及び一対の規制部644は、連結部645の反対側に位置する端面(図15(a)左側の面)が面一に形成されると共に、第1棒11、第2棒612及び中間棒613の軸方向に垂直な平坦面として形成される(図14参照)。
連結部645は、固定部材640の先細りとなる側(規制部644の反対側、図15(a)右側)に位置する。連結部645の規制部644側の側面には、第2規制部645aが連設される。これら連結部645及び第2規制部645aは、ベース部641の側面からの高さ寸法(図15(b)上下方向寸法)が、挟持対向部642,643及び規制部644の高さ寸法と同一に設定される。
連結部645が対向面42b,43bの間に介在することで、固定部材640をホルダ部材650へ圧入する際に(図14参照)、寸法公差が存在する場合や、圧入工程の精度が不足した場合でも、一端側磁石31a,31b及び他端側磁石32a,32bが対向面42b,43bに押圧されることを抑制して、かかる一端側磁石31a,31b及び他端側磁石32a,32bが破損することを抑制できる。
図14に戻って、ホルダ部材650について説明する。ホルダ部材650は、略直方体形状のベース部651と、そのベース部651の一側(図14(b)左側)から突設されると共に所定間隔を隔てて対向して配設される被圧入対向部652,653とを備える。なお、ホルダ部材650は、高さ方向(図14(b)上下方向)中央に位置する仮想平面(図示せず)に対して面対称に形成される。
被圧入対向部652,653は、固定部材640が圧入される部位であり、それら被圧入対向部652,653の互いに対向する面には、固定部材640をホルダ部材650へ圧入する際の圧入方向に沿って傾斜する傾斜面652a,653aが形成される。傾斜面652a,653aは、被圧入対向部652,653の突設先端側からベース部651へ向かうに従って互いに異なる方向に傾斜(図14(b)に示す側面視において、傾斜面652aは下降傾斜、傾斜面653aは上昇傾斜)する傾斜面として形成される。この傾斜(勾配)によって、傾斜面652a,653aの対向間隔は、ベース部651へ向かうに従って狭くなる。
なお、傾斜面652a,653aは、水平面(上述したホルダ部材650の対称面となる仮想平面)に対し、所定の傾斜角度で傾斜され、この所定の傾斜角度は、本実施の形態では、傾斜角度θ6(図15(a)参照)と同一とされる。
次いで、発電素子601の組み立て方法について説明する。発電素子601の組み立ては、まず、一対のコイル20に第1棒11及び第2棒612をそれぞれ挿通させ、それら第1棒11及び第2棒612と中間棒613との軸方向端部を、固定部材640の収容空間に配設すると共に、一端側磁石31a,31b及び他端側磁石32a,32bを、固定部材640の収容空間(第1棒11、第2棒612及び中間棒613の対向間)に配設し、接着剤により接着固定する。
次いで、ホルダ部材650の被圧入対向部652,653の対向間へ固定部材640を、第1棒11、第2棒612及び中間棒613の軸方向(図14(b)左右方向)を圧入方向として、圧入する。但し、一端側磁石31a,31b及び他端側磁石32a,32bの収容空間への取り付け(接着剤による接着固定)は、圧入が完了した後に行っても良い。
なお、固定部材640は、第1実施の形態における固定部材40の場合と同様に、収容空間が、ベース部641と反対側(即ち、第1棒11、第2棒612及び中間棒613を挟み込む方向と第1棒11、第2棒612及び中間棒613の軸方向とにそれぞれ直交する方向の一方側、図14(b)紙面手前側)を開放して形成されるので、かかる収容空間に第1棒11、第2棒612、中間棒613、一端側磁石31a,31b及び他端側磁石32a,32bを容易に配設することができ、その配設する作業の作業性の向上を図ることができる。
固定部材640(挟持対向部642,643)の外面(傾斜面642c,643c)とホルダ部材650の被圧入対向部652,653の内面(傾斜面652a,653a)とが、圧入方向に沿って傾斜する傾斜面として形成されるので、圧入の進行に伴い、固定部材640(挟持対向部642,643)の傾斜面642c,643cが、ホルダ部材650の被圧入対向部652,653における傾斜面652a,653aにより押圧される。これにより、挟持対向部642,643が互いに近接する方向へ向けて撓み変形され、第1棒11、第2棒612及び中間棒613が挟持される。その結果、発電素子601の組み立てが完了される。
第6実施の形態における発電素子601によれば、第1棒11を含む磁気ループを形成するための部材と、第2棒612を含む磁気ループを形成するための部材とを中間棒613が兼用する。よって、第1実施の形態における発電素子1を2個使用して発電する場合と比較して、発電効率を同等としつつ、中間棒613を兼用する分、部品コストの削減と発電素子の設置に必要なスペース効率の向上とを図ることができる。
ここで、発電素子601の構造では、第1棒11にその軸方向(図14(b)左右方向)に沿って形成される磁界の方向と中間棒613にその軸方向(図14(b)左右方向)に沿って形成される磁界の方向とが逆方向となる。中間棒613と第2棒612との関係も同様であり、中間棒613にその軸方向に沿って形成される磁界の方向と第2棒612にその軸方向に沿って形成される磁界の方向とが逆方向となる。よって、発電中、第1棒11及び第2棒612が伸張または収縮される際に、それら第1棒11及び第2棒612の軸方向と平行な方向の磁束密度の変化が、中間棒613における磁束密度の変化と逆方向となり、それぞれ打ち消し合う。そのため、第1棒11及び第2棒612における磁束密度の変化が低減され、発電効率の低下を招く。
これに対し、発電素子601によれば、中間棒613が第1棒11及び第2棒612よりも磁歪効果の低い磁歪材料から構成されるので、発電中、第1棒11及び第2棒612が伸張または収縮される際には、中間棒613における軸方向(図14(b)左右方向)と平行な方向の磁束密度の変化を少なくできる。よって、中間棒613における軸方向と平行な方向の磁束密度の変化によって、第1棒11及び第2棒612における軸方向と平行な方向の磁束密度の変化が打ち消されることを抑制できるので、その分、発電に必要な第1棒11及び第2棒612における軸方向と平行な方向の磁束密度の変化を確保して、発電効率の向上を図ることができる。
また、中間棒613を、磁歪効果の高い磁歪材料から構成する必要がなく、一般的な磁性材料(本実施の形態では鉄鋼材料)から構成することができるので、第1棒11及び第2棒612と比較して、中間棒613の材料コストを削減でき、その分、発電素子601全体としての製品コストを削減することができる。
なお、発電素子601によれば、第1実施の形態における発電素子1と同様に、固定部材640をホルダ部材650(被圧入対向部652,653の対向間)へ圧入し、挟持対向部642,643を徐々に撓み変形させることで、第1棒11、第2棒612及び中間棒613を挟み込む(締め付ける)ので、圧入荷重を監視しつつ圧入工程を進行させることで、かかる圧入荷重に基づいて締め付け荷重の調整を容易に行うことができる。その結果、一端側磁石31a,31b及び他端側磁石32a,32bの破損を抑制しつつ、第1棒11、第2棒612及び中間棒613を保持部材660によって、強固に保持することができる。
また、第1実施の形態における発電素子1と同様に、対向面642a,643aと規制部644との対向間で第1棒11及び第2棒612を、一対の規制部644の対向間で中間棒613を、それぞれ挟持することで、それらを強固に保持することができる。一方で、規制部644の厚み寸法W6(図15(a)参照)を一端側磁石31a,31b及び他端側磁石32a,32bの厚み寸法よりも大きくすることで、これら一端側磁石31a,31b及び他端側磁石32a,32bの破損を抑制することができる。
また、第1実施の形態における発電素子1と同様に、対向面642a,643aと規制部644との対向間に第1棒11及び第2棒612が、一対の規制部644の対向間に中間棒613が、それぞれ挟持されることで、第1棒11、第2部12及び中間棒613の自由長を、発電中の振動の状態によらず一定として、発電を安定させることができる。
更に、第1実施の形態における発電素子1と同様に、固定部材640のホルダ部材650への圧入方向が、第1棒11、第2棒612及び中間棒613の軸方向と平行な方向に設定されるので、傾斜面642c,643cの傾斜方向(圧入方向)に沿った長さを確保することができ、その分、傾斜面642c,643cの傾斜角度を緩やかとできる。その結果、圧入荷重に基づく締め付け荷重の調整を容易に且つ精度良く行い易くできると共に、ホルダ部材650の被圧入対向部652,653から固定部材640が抜け出し難くすることができる。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
上記各実施の形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
上記各実施の形態では、発電素子1〜601を自由振動させる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、発電素子1〜601を強制振動(例えば、図1(b)において、一端側の保持部材60に対して他端側の保持部材60を図1(b)上下方向に相対移動)させても良い。
上記各実施の形態では、保持部材60〜660が固定部材40〜640とホルダ部材50〜650とを備える場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、ホルダ部材50〜650を省略して保持部材60〜660を構成しても良い。即ち、固定部材40〜640への第1棒11及び第2棒12,612や永久磁石31,32等の固着を、接着剤による接着固定で行っても良い。
上記各実施の形態では、発電素子1〜601の適用対象として、自動車を例示したが、必ずしもこれに限られるものではなく、船舶や鉄道車両などの移動体、工場設備(例えば、プレス機)などの固定物、人体などであっても良い。即ち、その移動や駆動、運動に起因して少なくとも強制振動(共生並進運動)を発生するものであれば良くその形態は限定されない。また、適用対象が自動車の場合、発電素子1〜601の配設場所は、エンジンに限られるものではなく、例えば、車体フレーム、エンジンブラケット、サスペンションアーム、ドア、などであっても良い。
上記第1から第5実施の形態では、第1棒11のみにコイル20を巻回する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるのもではなく、第1棒11と第2棒12との両者にそれぞれコイル20を巻回しても良い。なお、この場合には、第1棒11及び第2棒12を同じ磁歪材料から構成する(即ち、第2棒12を第1棒11よりも磁歪効果の低い材料で構成する必要はない)。
上記第1から第5実施の形態では、永久磁石31,32と第1棒11及び第2棒12との間に隙間を設ける場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1棒11及び第2棒12の対向面を永久磁石31,32に密着させても良い。即ち、固定部材40〜540のホルダ部材50〜550への圧入に伴い、第1棒11及び第2棒12が所定の締め付け荷重で永久磁石31,32を挟み込む構造であっても良い。第6実施の形態においても同様であり、一端側磁石31a,31b及び他端側磁石32a,32bが、第1棒11、第2棒612及び中間棒613の対向間に、所定の締め付け荷重で挟み込まれる構造であっても良い。
上記第3及び第4実施の形態では、係止突起346,446及び係止穴352b,452bが一対の傾斜面の内の片側(一方)の傾斜面のみに形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、係止突起346,446及び係止穴352b,452bを、一対の傾斜面の内の両方の傾斜面にそれぞれ形成しても良い。
上記第6実施の形態では、一対の規制部644の対向間隔が、中間棒613の厚み寸法と同等または若干大きくされる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、一対の規制部644の対向間隔を、中間棒613の厚み寸法よりも狭くして、中間棒613を一対の規制部644の対向間に圧入して保持させる構造であっても良い。上述したように、中間棒613は、磁歪効果の大きな磁歪材料から構成する必要がなく、例えば、鉄鋼材料から構成することができる。よって、一対の規制部644の対向間に中間棒613を圧入する構造としても、その保持強度を十分に確保することができる。
上記第6実施の形態では、第1棒11、第2棒612及び中間棒613の寸法(即ち、軸直断面の断面積)を同一とする場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1棒11及び第2棒612の断面積に対し、中間棒613の断面積を大きく(例えば、厚み寸法を2倍する)としても良い。中間棒613の磁束密度を大きくして、発電効率の向上を図ることができる。
上記各実施の形態では、第1棒11及び第2棒12,612の寸法(即ち、厚み寸法および高さ寸法)を同一とする場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1棒11の寸法に対し、第2棒12,612の寸法を異なる値(厚み寸法および高さ寸法の一方のみ又は両方が異なる値)としても良い。
上記各実施の形態では、第1棒11、第2棒12,612及び中間棒613を断面長方形に形成する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の形状とすることは当然可能である。他の形状としては、断面正方形、断面円形、断面楕円形、断面多角形(例えば、断面六角形)などが例示される。
なお、例えば、第1棒11等を断面円形としたことで、永久磁石31,32と線接触となり、接触面積が確保できない場合には、永久磁石31,32の寸法または起磁力を大きくするか、或いは、第1棒11等と永久磁石31,32との間に磁性体からなり両者の形状に対応した形状(即ち、両者に面接触する形状)のスペーサを介在させ、接触面積を確保することが好ましい。これらにより、付与可能なバイアス磁界の増加を図ることができるからである。
<その他>
<手段>
技術的思想1の発電素子は、磁歪材料から構成される第1棒、中間棒および第2棒と、前記第1棒および第2棒にそれぞれ巻回される一対のコイルと、前記第1棒、中間棒および第2棒の軸方向一端側において前記第1棒と中間棒との対向間および前記中間棒と第2棒との対向間にそれぞれ挟装されると共に前記中間棒へ互いに同じ磁極を向けて配設される一対の永久磁石である一端側磁石と、前記第1棒、中間棒および第2棒の軸方向他端側において前記第1棒と中間棒との対向間および前記中間棒と第2棒との対向間にそれぞれ挟装されると共に前記中間棒へ互いに同じ磁極であって前記一端側磁石とは異なる磁極を向けて配設される一対の永久磁石である他端側磁石と、前記第1棒、中間棒および第2棒の軸方向一端側および他端側にそれぞれ取着され前記第1棒と中間棒との対向間および前記中間棒と第2棒との対向間に前記一端側磁石および他端側磁石がそれぞれ挟装された状態を保持する一対の保持部材と、を備え、前記一対の保持部材の相対移動により、前記第1棒および第2棒が伸張または収縮することで、発電を行う。
技術的思想2の発電素子は、技術的思想1記載の発電素子において、前記中間棒が前記第1棒および第2棒よりも磁歪効果の低い磁歪材料から構成される。
技術的思想3の発電素子は、技術的思想1又は2に記載の発電素子において、前記第1棒、中間棒および第2棒は、断面が長辺および短辺を有する長方形からなる長尺板状に形成されると共に、前記断面において長辺を含む側面同士が対向され、前記第1棒と中間棒との対向間および前記中間棒と第2棒との対向間であって前記長辺を含む側面の対向間に前記一端側磁石および他端側磁石がそれぞれ挟装される。
技術的思想4の発電素子は、技術的思想1から3のいずれかに記載の発電素子において、前記保持部材は、前記中間棒へ向かう方向に前記第1棒および第2棒を挟み込んで挟持する挟持部と、前記第1棒と中間棒との対向間および前記中間棒と第2棒との対向間にそれぞれ配設される規制部とを有する固定部材を備え、前記固定部材の規制部は、前記第1棒および第2棒の対向方向の寸法が、前記一端側磁石および他端側磁石の前記対向方向の寸法よりも大きくされる。
技術的思想5の発電素子は、技術的思想4記載の発電素子において、前記固定部材は、前記規制部が前記一端側磁石および他端側磁石よりも前記第1棒および第2棒の軸方向中央側に配設される。
技術的思想6の発電素子は、技術的思想4又は5に記載の発電素子において、前記固定部材は、非磁性材料から構成される。
<効果>
技術的思想1記載の発電素子によれば、第1棒と中間棒との対向間および中間棒と第2棒との対向間に一端側磁石と他端側磁石とがそれぞれ所定の磁極の向きで配設されるので、第1棒および中間棒と一端側磁石および他端側磁石ならびに中間棒および第2棒と一端側磁石および他端側磁石とによりそれぞれ磁気ループが形成されると共に、一端側磁石および他端側磁石の起磁力によるバイアス磁界が第1棒および第2棒に付与される。よって、一対の保持部材の相対移動により、第1棒および第2棒が伸張または収縮されることで、その軸方向と平行な方向に磁束密度が変化される。その結果、第1棒または第2棒にそれぞれ巻回された一対のコイルに電流が発生し、発電が行われる。
この場合、永久磁石(一端側磁石および他端側磁石)は、第1棒と中間棒との対向間および中間棒と第2棒との対向間にそれぞれ挟装され、これら第1棒と中間棒との対向間および中間棒と第2棒との対向間に永久磁石がそれぞれ挟装された状態が保持部材により保持される(即ち、永久磁石が挟装された第1棒、中間棒および第2棒の軸方向一端側および他端側が保持部材によりそれぞれ保持される)ので、発電中に第1棒および中間棒と永久磁石との間または中間棒および第2棒と永久磁石との間に滑りが発生することを抑制でき、摩擦抵抗によるエネルギーの損失を低減できる。また、第1棒および中間棒と永久磁石とによる磁気ループ及び中間棒および第2棒と永久磁石とによる磁気ループをそれぞれ形成でき、従来技術のように、バックヨークを取り付ける必要がないので、その分、部品点数の削減と小型化とを図ることができる。よって、技術的思想1によれば、部品点数の削減と小型化とを図りつつ、発電効率の向上を図ることができるという効果を奏する。
ここで、技術的思想1によれば、第1棒を含む磁気ループを形成するための部材と、第2棒を含む磁気ループを形成するための部材とを中間棒が兼用する。よって、第1棒と中間棒との対向間に一対の永久磁石を挟装し、第1棒にコイルを巻回する第1の発電素子と、第2棒と中間棒との対向間に一対の永久磁石を挟装し、第2棒にコイルを巻回する第2の発電素子との2個の発電素子により発電する場合と比較して、発電効率を同等としつつ、小型化を図ることができる。即ち、中間棒を兼用する分、部品コストの削減と発電素子の設置に必要なスペース効率の向上とを図ることができるという効果を奏する。
技術的思想2記載の発電素子によれば、技術的思想1記載の発電素子の奏する効果に加え、発電効率の向上を図ることができるという効果を奏する。ここで、第1棒と中間棒との対向間に一端側磁石と他端側磁石とが磁極を違えて挟装され、これら第1棒、中間棒、一端側磁石および他端側磁石により磁気ループが形成される構造では、第1棒にその軸方向に沿って形成される磁界の方向と中間棒にその軸方向に沿って形成される磁界の方向とが逆方向となる。中間棒と第2棒との関係も同様であり、中間棒にその軸方向に沿って形成される磁界の方向と第2棒にその軸方向に沿って形成される磁界の方向とが逆方向となる。よって、発電中、第1棒および第2棒が伸張または収縮される際に、それら第1棒および第2棒の軸方向と平行な方向の磁束密度の変化が中間棒における磁束密度の変化と逆方向となりそれぞれ打ち消し合う。そのため、第1棒および第2棒における磁束密度の変化が低減され、発電効率の低下を招く。
これに対し、技術的思想2によれば、中間棒が第1棒および第2棒よりも磁歪効果の低い磁歪材料から構成されるので、発電中、第1棒および第2棒が伸張または収縮される際には、中間棒における軸方向と平行な方向の磁束密度の変化を少なくできる。よって、中間棒における軸方向と平行な方向の磁束密度の変化によって、第1棒および第2棒における軸方向と平行な方向の磁束密度の変化が打ち消されることを抑制できるので、その分、発電に必要な第1棒および第2棒における軸方向と平行な方向の磁束密度の変化を確保して、発電効率の向上を図ることができるという効果を奏する。
また、中間棒を、磁歪効果の高い磁歪材料から構成する必要がなく、一般的な磁性材料から構成することができるので、その分、中間棒の材料コストを削減して、発電素子全体としての製品コストを削減することができるという効果を奏する。
技術的思想3記載の発電素子によれば、技術的思想1又は2に記載の発電素子の奏する効果に加え、第1棒、中間棒および第2棒は、断面長方形の長尺板状に形成され、断面において長辺を含む側面同士が対向されると共に、その断面において長辺を含む側面の対向間に一端側磁石および他端側磁石(永久磁石)が挟装されるので、第1棒および第2棒に対して対面する永久磁石の面積を確保できる。よって、永久磁石の起磁力によるバイアス磁界を第1棒および第2棒へ効率良く付与でき、その分、発電効率の向上を図ることができるという効果を奏する。
技術的思想4記載の発電素子によれば、技術的思想1から3のいずれかに記載の発電素子の奏する効果に加え、保持部材の固定部材が、永久磁石へ向かう方向に第1棒および第2棒を挟み込んで挟持する挟持部と、第1棒と中間棒との対向間および中間棒と第2棒との対向間にそれぞれ配設される規制部とを有し、その固定部材の規制部は、第1棒および第2棒の対向方向の寸法が、第1棒および第2棒の対向方向における一端側磁石および他端側磁石の寸法よりも大きくされるので、固定部材の挟持部による第1棒および第2棒の強固な挟持と、一端側磁石および他端側磁石(永久磁石)の破損の抑制との両立を図ることができるという効果を奏する。
即ち、固定部材の挟持部により第1棒および第2棒を挟み込んで挟持する場合、第1棒および第2棒の間に中間棒および規制部が介在されるので、挟持部から締め付け荷重が作用された第1棒および第2棒を中間棒および規制部で受け止めることができ、その結果、固定部材の挟持部による第1棒および第2棒の挟持を強固に行うことができる。一方で、規制部の上記寸法が一端側磁石および他端側磁石(永久磁石)の上記寸法よりも大きくされるので、第1棒および第2棒の永久磁石へ向かう方向への変位を規制部により規制して、第1棒と中間棒との対向間および中間棒と第2棒との対向間で永久磁石が押圧されることを抑制でき、その結果、ぜい性材料である永久磁石の破損を抑制することができる。
技術的思想5記載の発電素子によれば、技術的思想4記載の発電素子の奏する効果に加え、固定部材は、規制部が一端側磁石および他端側磁石よりも第1棒および第2棒の軸方向中央側に配設されるので、一対の保持部材の内の一方の保持部材と他方の保持部材との間に位置する部分の長さである第1棒および第2棒の自由長を、発電中の振動の状態によらず一定として、発電を安定させることができるという効果を奏する。
即ち、規制部が一端側磁石および他端側磁石よりも第1棒および第2棒の対向方向の寸法が大きくされるので、固定部材の挟持部に第1棒および第2棒が挟持された状態では、第1棒、中間棒または第2棒の対向面と一端側磁石および他端側磁石の外面との間に隙間が形成される。
よって、一端側磁石および他端側磁石が規制部よりも第1棒および第2棒の軸方向中央側に配設される(即ち、第1棒および第2棒の自由長の両端に永久磁石が配設される)場合には、一対の保持部材の相対移動の大きさ(即ち、発電中の振動の状態)によっては、振り子運動(曲げ変形)時に、第1棒および第2棒が一端側磁石および他端側磁石に当接または離間を繰り返しつつ振動するモードが発生し、第1棒および第2棒の自由長が一定とならず不確かとなる。そのため、発電が不安定となる。
これに対し、技術的思想5によれば、固定部材の挟持部および規制部の間に第1棒および第2棒が挟持されこれら挟持部および規制部と第1棒および第2棒との間に隙間が形成されないので、この挟持された部分を起点として、第1棒および第2棒を振り子運動(曲げ変形)させることができる。よって、一対の保持部材の相対移動の大きさ(即ち、発電中の振動の状態)によらず、第1棒および第2棒の自由長を一定として、発電を安定させることができる。
技術的思想6記載の発電素子によれば、技術的思想4又は5に記載の発電素子の奏する効果に加え、固定部材が非磁性材料から構成されるので、磁束の固定部材への漏洩を抑制して、第1棒、中間棒および第2棒へ集中させることができる。よって、一端側磁石および他端側磁石の起磁力によるバイアス磁界を第1棒および第2棒へ効率良く付与でき、その分、発電効率の向上を図ることができるという効果を奏する。
また、固定部材が非磁性材料から構成されることで、かかる固定部材の素材として、じん性の高い材料を選択することができる。よって、固定部材(挟持部)の変形性を確保して、第1棒および第2棒の挟持の信頼性を高めることができるという効果を奏する。