JP6151475B2 - 感光性樹脂組成物、パターン形成用材料及びパターン形成方法 - Google Patents
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Description
特許文献2及び特許文献3に開示された技術は、感光性樹脂組成物を基材上に塗布して塗膜を形成し、フォトマスクを介して光塩基発生剤の活性光線を照射する。これによって、露光部のみに塩基を発生させる。次に、塗膜を熱処理(PEB:Post Exposure Bake)すると、塩基の存在する露光部は、未露光部に比べて塩基の触媒作用によりイミド化が促進され、露光部と未露光部のイミド化率の違いが生じる。イミド化率が異なると現像液への溶解速度も異なるため、ここで生じた現像液への溶解速度の差を利用して、絶縁樹脂層のパターンを得るというものである。一般に、イミド化率が大きいほど、有機溶媒や塩基性水溶液などへの溶解性が小さくなるため、これらの手法の場合は、露光部のイミド化率が未露光部に比べ大きくなることから未露光部が現像液に溶解し、露光部がパターンとして残存するネガ型の感光性材料として機能する。
特許文献2の手法の場合、ポリアミド酸アルキルエステルが水溶液に対して不溶であるため有機溶媒を現像液として用いる。またポリアミド酸アルキルエステルは保存安定性に優れるという特徴がある。
一方で、特許文献3の手法の場合、ポリアミド酸が、骨格内にカルボキシル基を有しているためアルカリ水溶液に可溶であり、現像液に塩基性水溶液を利用でき環境負荷が少ないこと、イミド化の過程でカルボキシル基が消失していくため、塩基性水溶液に対する溶解性の低下率が大きく露光部と未露光部との現像液に対する溶解性の差を、より大きく出来るという特徴がある。近年、環境への関心が高まっていることや、廃液処理費用負担を低減できることなどから塩基性水溶液による現像が可能な、ポリアミド酸を利用する手法の検討が盛んである。
光塩基発生剤を利用した感光性ポリイミドの場合は、他のメカニズムによりパターン形成を行う感光性ポリイミドと異なり、現像の際には、未露光部が、本発明の感光性樹脂組成物を塗布した直後の状態から変化している(イミド化が進行する)ため、未露光部の現像性改善というのが、特に重要な課題として注目されている。
(1)現像後に行う加熱のプロセスで分解、又は揮発しやすいものであるため、その後のプロセスで、高温雰囲気下や真空雰囲気下に曝された場合であっても、揮発しアウトガスとなる成分の少ないレリーフパターンを製造することができる
(2)電磁波の照射と加熱を組み合わせることにより、少ない電磁波照射量で、効率的に塩基を発生することが可能であり、従来の所謂光塩基発生剤と比べて高い感度を有する。
更に本発明によれば、良好なパターン形状を有する物品を提供することができる。
なお、本発明において、電磁波とは、波長を特定した場合を除き、可視及び非可視領域の波長の電磁波だけでなく、電子線のような粒子線、及び、電磁波と粒子線を総称する放射線又は電離放射線が含まれる。本明細書では、電磁波の照射を露光ともいう。なお、波長365nm、405nm、436nmの電磁波をそれぞれ、i線、h線、g線とも表記することがある。
また、本発明において、有機基とは、少なくとも1つの炭素原子を含む官能基の総称を表す。
本発明の感光性樹脂組成物は、少なくとも、下記式(1)で表わされる構造を含むポリイミド前駆体と、光塩基発生剤を含有することを特徴とする。
本発明の感光性樹脂組成物は、露光により触媒として作用する化学種を発生させる光塩基発生剤と、当該化学種の存在下での加熱によってイミド化反応が促進されるポリイミド前駆体が少なくとも含まれている。
ポリイミド前駆体のイミド化率の差によって、露光部の現像液に対する溶解速度が未露光部の溶解速度よりも小さくなり、現像工程によってパターンが形成される。
図1に示されたポリイミド前駆体の模式図のように、ポリイミド前駆体分子中には、複数のカルボキシル基が存在する。上記式(1)のR4が水素原子である場合、末端はアミノ基となる。乾燥後の塗膜中では、図2において模式的に示されるように、当該カルボキシル基と末端のアミノ基の多くは、互いに相互作用し塩を形成していると考えられる。そのため、ポリイミド前駆体の分子鎖の両末端にアミノ基を有する場合、そのアミノ基が異なる分子鎖のカルボキシル基と相互作用すると、分子鎖を擬似的に架橋するように機能する。その結果、擬似的に分子量が無限大となりポリイミド前駆体がゲル(架橋体)のように振る舞い、現像液への溶解速度が遅くなるものと考えられる。
一方、上記式(1)のR4の少なくとも一部が有機基である場合、上記弱い結合状態にあるポリイミド前駆体の数は減少する。その結果、現像液への溶解性が向上するため、現像時間を短縮することができる。ポリイミド前駆体の末端のアミノ基の数が減れば減るほど、見かけの分子量が減少し現像液への溶解速度が速くなる。特に、少なくとも分子鎖の片側の末端が全てアミノ基ではなくなった場合には、2本の異なる分子鎖間を他の分子が架橋することがなくなるので、現像速度が速くなる。
以下、本発明の感光性樹脂組成物を構成する成分について説明する。
本発明に用いられるポリイミド前駆体は、下記式(1)で表される構造を有する。
さらに目的に応じ、架橋点となるエチニル基、ベンゾシクロブテン−4’−イル基、ビニル基、アリル基、シアノ基、イソシアネート基、及びイソプロペニル基のいずれか1種又は2種以上を、上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部若しくは全てに置換基として導入しても使用することができる。
以上の理由から、ポリイミド前駆体は、最終的に得られるポリイミド樹脂に耐熱性及び寸法安定性を求める場合には、芳香族酸成分及び/又は芳香族アミン成分の共重合割合ができるだけ大きいことが好ましい。具体的には、イミド構造の繰り返し単位を構成する酸成分に占める芳香族酸成分の割合が50モル%以上、特に70モル%以上であることが好ましく、イミド構造の繰り返し単位を構成するアミン成分に占める芳香族アミン成分の割合が40モル%以上、特に60モル%以上であることが好ましく、全芳香族ポリイミドもしくは全芳香族ポリイミド前駆体であることが好ましい。
2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニルのように、芳香環の置換基としてフッ素を導入すると、上記ポリイミド樹脂の吸湿膨張係数を低減させることができ、好ましい。
露光波長に対してポリイミド前駆体の透過率が高いということは、それだけ、光のロスが少ないということであり、高感度の感光性ポリイミド樹脂組成物を得ることができる。
本発明に用いられるポリイミド前駆体の末端のうち少なくとも一部は下記式(2)〜(5)で表わされる有機基である。中でも、下記式(5)で表わされる末端有機基の場合、露光後加熱の際に、アミノ基が生成し未露光部の現像速度が低下するため、150℃より低い温度の加熱によって封止基が分解しアミノ基に変化しないものが好ましい。なお、加熱によって封止基が分解するかどうかは、以下の方法で確認することができる。例えば、封止基が導入された樹脂を、150℃で加熱後、当該樹脂を直接、熱分解ガスクロマトグラフ(PGC)や赤外スペクトルあるいは1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトル測定することによって、封止基が分解しているかどうかを確認することができる。その他に、封止基が導入された樹脂を酸性溶液に溶解し、樹脂の構成単位であるアミン成分と酸無水物成分に分解し、これをガスクロマトグラフィー(GC)や、NMR測定することによっても、封止基が分解しているかどうかを確認することができる。
塩基性水溶液に対する溶解性が高まる点から、R6、R8及びR10は水素原子であることが好ましい。
当該アミン末端を末端封止剤で封止することにより、末端は上記式(5)で表わされる基となる。
ここで用いている重量平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の値のことをいい、ポリイミド前駆体そのものを測定した分子量でも良いし、無水酢酸等で化学的イミド化処理を行った後測定したものでも良い。
また、重量平均分子量の測定が困難な場合は、数平均分子量を代用することも可能である。この場合の数平均分子量は、末端封止剤が導入された樹脂を直接1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトルなどを測定し、分子鎖の末端を定量することなどの手法によって算出可能である。また、ポリイミド前駆体を合成する際の、酸二無水物由来成分とジアミン由来成分の添加量や末端封止成分の添加量などから、概算値として得ることもできる。
本発明においては、重量平均分子量と数平均分子量のいずれかが、上記の範囲に入っていれば、感光性ポリイミド樹脂組成物として良好な特性を得ることが出来る。
特に膜強度や耐熱性の点から、上記ネガ型感光性ポリイミド樹脂組成物の固形分全体に対し、50重量%以上であることが好ましく、なかでも、70重量%以上であることが好ましい。
なお、固形分とは溶剤以外の全成分であり、液状のモノマー成分も固形分に含まれる。
本発明における光塩基発生剤とは、露光により塩基を発生するものであり、該塩基は上記ポリイミド前駆体を加熱により硬化させる際の触媒としてはたらく。
ネガ型感光性ポリイミド樹脂組成物に含まれる感光性成分は、上記ポリイミド前駆体を露光後、露光部のみ硬化させるために含まれるものであり、本発明においては光塩基発生剤が用いられる。
本発明においては、上記感光性成分が、上記ポリイミド前駆体100重量部に対して、0.1重量部以上30重量部未満の範囲内であることが好ましく、なかでも、0.5重量部〜25重量部の範囲内であることが好ましく、特に、0.5重量部〜20重量部の範囲内であることが好ましい。
なお、主成分とするとは、感光性成分中の光塩基発生剤の含有量が、50質量%以上であることをいうものである。
本発明に用いられる光塩基発生剤としては、常温常圧の通常の条件下では活性を示さないが、外部刺激として電磁波の照射と加熱が行なわれると、塩基(塩基性物質)を発生するものであれば特に限定されるものではない。
本発明に用いられる光塩基発生剤は、特に限定されず公知のものを用いることができ、例えば、カルバメート誘導体、アミド誘導体、イミド誘導体、αコバルト錯体類、イミダゾール誘導体、桂皮酸アミド誘導体、オキシム誘導体等が挙げられる。
発生される塩基性物質は、より塩基性度の高いアミノ基を有する化合物が好ましい。ポリイミド前駆体のイミド化における脱水縮合反応等に対する触媒作用が強く、より少量の添加で、より低い温度での脱水縮合反応等における触媒効果の発現が可能となるからである。つまりは、発生した塩基性物質の触媒効果が大きい為、感光性樹脂組成物としての見た目の感度は向上する。
上記触媒効果の観点からアミジン、脂肪族アミンであることが好ましい。
本発明に係る塩基発生剤としては、例えば、特開2009−80452号公報及び国際公開第2009/123122号パンフレットで開示されたような桂皮酸アミド構造を有する塩基発生剤、特開2006−189591号公報及び特開2008−247747号公報で開示されたようなカルバメート構造を有する塩基発生剤、特開2007−249013号公報及び特開2008−003581号公報で開示されたようなオキシム構造、カルバモイルオキシム構造を有する塩基発生剤等が挙げられるが、これらに限定されず、その他にも公知の塩基発生剤の構造を用いることができる。
イオン性化合物としては、例えば下記構造式のものが挙げられる。
有機基としては、例えば、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び飽和又は不飽和ハロゲン化アルキル基等が挙げられる。これらの有機基は、当該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでよく、これらは、直鎖状でも分岐状でも環状でも良い。
有機基としては、置換基を含んで良く、不飽和結合を含んで良く、ヘテロ原子の結合を含んで良い、直鎖、分岐又は環状の炭化水素基が好ましい。
R41及びR42における有機基は、通常、1価の有機基であるが、後述する環状構造を形成する場合や、生成するNHR41R42がジアミン等のアミド結合を形成可能なNH基を2つ以上有する塩基性物質の場合等には、2価以上の有機基となり得る。
環状構造は、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素、複素環、及び縮合環、並びに当該脂環式炭化水素、複素環、及び縮合環よりなる群から選ばれる2種以上が組み合されてなる構造であっても良い。
前記R41及びR42の有機基中の炭化水素基以外の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、シリル基、シラノール基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシル基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、ヒドロキシイミノ基、飽和又は不飽和アルキルエーテル基、飽和又は不飽和アルキルチオエーテル基、アリールエーテル基、及びアリールチオエーテル基が好ましい。
高分子前駆体から最終生成物への反応に対する反応開始温度を低下させる等の触媒作用は、塩基性の大きい塩基性物質の方が触媒としての効果が大きく、より少量の添加で、より低い温度での最終生成物への反応が可能となる。一般に1級アミンよりは2級アミンの方が塩基性は高く、その触媒効果が大きい。
また、芳香族アミンよりも脂肪族アミンの方が、塩基性が強いため好ましい。
R43及びR44としては、高感度を達成しやすい点から、いずれも水素原子であることが好ましい。
R43及びR44における有機基は、通常、1価の有機基である。
R45〜R48において、有機基としては、例えば、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び飽和又は不飽和ハロゲン化アルキル基等が挙げられる。これらの有機基は、当該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでよく、これらは、直鎖状でも分岐状でも環状でも良い。R45〜R48の有機基中の炭化水素基以外の結合としては、前記R41及びR42の炭化水素基以外の結合と同様のものを用いることができる。また、R45〜R48の有機基は、炭化水素基以外の結合を介してベンゼン環に結合してもよい。また、R45〜R48の有機基において炭化水素基以外の置換基(有機基に包含される置換基において炭化水素基とは異なる置換基、及び炭化水素基に置換されていても良い置換基)としては、前記R41及びR42の炭化水素基以外の置換基と同様のものを用いることができる。
有機基としては、本発明の効果が損なわれない限り、特に制限がなく、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び飽和又は不飽和ハロゲン化アルキル基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、カルボキシル基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、ヒドロキシイミノ基、飽和又は不飽和アルキルエーテル基、飽和又は不飽和アルキルチオエーテル基、アリールエーテル基、及びアリールチオエーテル基等が挙げられる。
R45〜R48における有機基は、通常、1価の有機基であるが、後述する環状構造を形成する場合等には、2価以上の有機基となり得る。
環状構造は、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素、複素環、及び縮合環、並びに当該脂環式炭化水素、複素環、及び縮合環よりなる群から選ばれる2種以上が組み合されてなる構造であっても良い。例えば、R45〜R48のそれぞれは、それらの2つ以上が結合して、R45〜R48のそれぞれが結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン等の縮合環を形成していても良い。
また、R45〜R48としては、それらの2つ以上が結合して、R45〜R48が結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン等の縮合環を形成している場合も、吸収波長が長波長化する点から好ましい。
R51〜R55において、有機基としては、例えば、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び飽和又は不飽和ハロゲン化アルキル基等が挙げられる。これらの有機基は、当該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでよく、これらは、直鎖状でも分岐状でも環状でも良い。R51〜R55の有機基中の炭化水素基以外の結合としては、前記R41及びR42の炭化水素基以外の結合と同様のものを用いることができる。また、R51〜R55の有機基は、炭化水素基以外の結合を介してベンゼン環に結合してもよい。また、R51〜R55の有機基において炭化水素基以外の置換基(有機基に包含される置換基において炭化水素基とは異なる置換基、及び炭化水素基に置換されていても良い置換基)としては、前記R41及びR42の炭化水素基以外の置換基と同様のものを用いることができる。
有機基としては、本発明の効果が損なわれない限り、特に制限がなく、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び飽和又は不飽和ハロゲン化アルキル基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、カルボキシル基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、ヒドロキシイミノ基、飽和又は不飽和アルキルエーテル基、飽和又は不飽和アルキルチオエーテル基、アリールエーテル基、及びアリールチオエーテル基等が挙げられる。
R51〜R55における有機基は、通常、1価の有機基であるが、後述する環状構造を形成する場合等には、2価以上の有機基となり得る。
環状構造は、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素、複素環、及び縮合環、並びに当該脂環式炭化水素、複素環、及び縮合環よりなる群から選ばれる2種以上が組み合されてなる構造であっても良い。例えば、R51〜R55のそれぞれは、それらの2つ以上が結合して、R51〜R55のそれぞれが結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン等の縮合環を形成していても良い。
また、R51〜R55としては、それらの2つ以上が結合して、R51〜R55が結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン等の縮合環を形成している場合も、吸収波長が長波長化する点から好ましい。
次に、光塩基発生剤から発生するアミンについて説明する。
このような窒素原子と直接結合している原子がSP3軌道を有する炭素原子となるような置換基としては、直鎖脂肪族炭化水素基、分岐脂肪族炭化水素基、及び、環状脂肪族炭化水素基、又はこれらの組み合わせからなる脂肪族炭化水素基が挙げられる。なお、当該脂肪族炭化水素基は、芳香族基等の置換基を有していても良く、或いは、炭化水素鎖中にヘテロ原子等の炭化水素以外の結合を含んでいても良い。好適なものとして、炭素数1〜20の直鎖又は分岐の飽和又は不飽和アルキル基、炭素数4〜13のシクロアルキル基、炭素数7〜26のフェノキシアルキル基、炭素数7〜26のアリールアルキル基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基が挙げられる。
ここでRcが上記環状脂肪族炭化水素基又は上記シクロアルキル基を有する場合には、Rcの2つが連結して環状になって、Rcが結合している窒素原子を含む複素環構造を形成している場合を含む。
また、Rcの2つが連結して環状になって、Rcが結合している窒素原子を含む複素環構造を形成している場合の複素環構造としては、例えば、アジリジン(3員環)、アゼチジン(4員環)、ピロリジン(5員環)、ピペリジン(6員環)、アゼパン(7員環)、アゾカン(8員環)等が挙げられる。これら複素環構造には直鎖又は分岐のアルキル基等の置換基を有していても良く、例えば、アルキル置換体として、メチルアジリジンなどのモノアルキルアジリジン、ジメチルアジリジンなどのジアルキルアジリジン、メチルアゼチジンなどのモノアルキルアゼチジン、ジメチルアゼチジンなどのジアルキルアゼチジン、トリメチルアゼチジンなどのトリアルキルアゼチジン、メチルピロリジンなどのモノアルキルピロリジン、ジメチルピロリジンなどのジアルキルピロリジン、トリメチルピロリジンなどのトリアルキルピロリジン、テトラメチルピロリジンなどのテトラアルキルピロリジン、メチルピペリジンなどのモノアルキルピペリジン、ジメチルピペリジンなどのジアルキルピペリジン、トリメチルピペリジンなどのトリアルキルピペリジン、テトラメチルピペリジンなどのテトラアルキルピペリジン、ペンタメチルピペリジンなどのペンタアルキルピペリジン等が挙げられる。
本発明に用いられる溶媒としては、上記ポリイミド成分や感光性成分を均一に分散または溶解することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールモノエーテル類(いわゆるセロソルブ類);メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、前記グリコールモノエーテル類の酢酸エステル(例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート)、メトキシプロピルアセテート、エトキシプロピルアセテート、蓚酸ジメチル、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル類;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のアルコール類;塩化メチレン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、1−クロロプロパン、1−クロロブタン、1−クロロペンタン、クロロベンゼン、ブロムベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアミド類;N−メチルピロリドンなどのピロリドン類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、その他の有機極性溶媒類等が挙げられ、更には、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、及び、その他の有機非極性溶媒類等も挙げられる。これらの溶媒は単独若しくは2種以上組み合わせて用いられる。
中でも、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルフォスホアミド、N−アセチル−2−ピロリドン、ピリジン、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等の極性溶媒が好適なものとして挙げられる。
本発明における感光性樹脂組成物は、少なくとも上記ポリイミド前駆体と、光塩基発生剤を含むものであるが、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。
このような他の成分としては、熱硬化性成分、ポリイミド前駆体以外の非重合性バインダー樹脂、その他の添加剤を配合して、低アウトガス感光性ポリイミド樹脂組成物を調製してもよい。
本発明に係る感光性樹脂組成物はパターン形成用材料として好適に用いられる。
本発明のレリーフパターンの形成方法は、少なくとも、
(1)ネガ型感光性樹脂組成物を用いて塗膜又は成形体を形成する工程、
(2)当該塗膜又は成形体に所定パターン状に電磁波を照射する工程、
(3)電磁波を照射後又は照射と同時に、当該塗膜又は成形体を加熱する工程、及び
(4)現像する工程
とを有し、必要に応じて更に別の工程を有していても良いものである。
以下各工程を順に説明する。
本発明に係るネガ型感光性樹脂組成物を何らかの基材上に塗布するなどして塗膜を形成したり、適した成形方法で成形体を形成する。
塗布する方法としては特に限定されず、例えば、スピンコート法、ダイコート法、ディップコート法、バーコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷、インクジェット法など公知の印刷技術を用いた方法を用いることができる。
成形方法としては、射出成形(インジェクション成形)、ブロー成形、シート成形(真空成形・圧空成型)、チューブ成形(押出成形)等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
得られた塗膜又は成形体に、所定のパターンを有するマスクを通して、電磁波を照射しパターン状に電磁波を照射する。
電磁波を照射後又は勝者と同時に前記塗膜又は成形体を加熱すると、露光部には、塩基性物質が発生し、その部分の熱硬化温度が選択的に低下する。露光後又は露光と同時に、露光部は熱硬化するが未露光部は熱硬化しない処理温度で加熱し、露光部のみ硬化させる。塩基性物質を発生させる加熱工程と、露光部のみ硬化させる反応を行うための加熱工程(露光後ベイク)は、同一の工程としても良いし、別の工程にしても良い。加熱方法としては、ホットプレート、オーブン、赤外線加熱炉、搬送式熱風炉などが上げられるが、特に限定されない。
現像工程に用いられる現像液としては、前記電磁波照射部位の溶解性が変化する溶剤を現像液として用いれば、特に限定されず、塩基性水溶液、有機溶剤など、用いられる高分子前駆体に合わせて適宜選択することが可能である。
溶質は、1種類でも2種類以上でも良く、全体の重量の50%以上、さらに好ましくは70%以上、水が含まれていれば有機溶媒等を含んでいても良い。
現像後は必要に応じて水または貧溶媒でリンスを行い、80〜100℃で乾燥しパターンを安定なものとしてよい。
また、パターンを、更に必要に応じ加熱して熱硬化を完結させることが好ましい。本発明の感光性樹脂組成物の場合には、レリーフパターンを、耐熱性のあるものとするために180〜500℃、好ましくは200〜350℃の温度で数十分から数時間加熱することが好ましい。
[製造例1]
ポリイミド前駆体1溶液の調製(フタル酸末端封止ポリイミド前駆体合成)
窒素気流下2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(TFMB)181.73g(0.568mol)と2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(mTBHG)120.47g(0.568mol)とを5000mlのセパラブルフラスコに投入し、2999gの脱水されたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させ、窒素気流下、マントルヒーターによって液温が50℃になるように熱電対でモニターし加熱しながら撹拌した。それらが完全に溶解したことを確認した後、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)324.15g(全ジアミンに対して97mol%)を添加し50℃で5時間撹拌しポリイミド前駆体Aを得た。この溶液から少量サンプリングしアセトンにて再沈殿し、減圧乾燥してポリイミド前駆体Aを溶液から取り出した。このポリイミド前駆体Aの末端基量を1H−NMRスペクトルの積分比より重合度を求めて算出した。末端基量とは添加した全ジアミン中の末端基に存在するジアミンの割合(mol%)である。結果、末端基量は、反応に用いたジアミンの量に対して6.07mol%(0.069mol)であった。その後、フタル酸無水物を10.22g(0.069mol)添加し、50℃で1時間撹拌し末端封止した。その後室温まで冷却し、末端がフタル酸無水物から誘導される置換基で封止されたポリイミド前駆体1溶液を得た。1H−NMRから求めたポリイミド前駆体1の数平均分子量は18500であり、末端封止率[フタル酸無水物と反応した末端のアミノ基の数×100/(フタル酸無水物と反応した末端のアミノ基の数+未反応の末端のアミノ基の数)]は、95%以上であった。
ポリイミド前駆体2溶液の調製(酸無水物末端ポリイミド前駆体合成)
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)334.23g(1.136mol)と2999gの脱水されたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を5000mlのセパラブルフラスコに投入し窒素気流下、マントルヒーターによって液温が50℃になるように熱電対でモニターし加熱しながら撹拌した。その後、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(TFMB)176.29g(0.551mol)と2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(mTBHG)116.86g(0.551mol)とを混合した粉末を徐々に添加し50℃で5時間撹拌した。その後室温まで冷却し、酸無水物末端のポリイミド前駆体2溶液を得た。この溶液から少量サンプリングしアセトンにて再沈殿し、減圧乾燥してポリイミド前駆体2を溶液から取り出し、1H−NMRスペクトルの積分比より重合度を求めて数平均分子量を算出した。1H−NMRから求めた数平均分子量は18800であった。
ポリイミド前駆体3溶液の調製(フタル酸末端封止ポリイミド前駆体合成)
窒素気流下2000mlのセパラブルフラスコに脱水されたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を1238g投入し、オイルバスによって液温が50℃になるように熱電対でモニターし加熱しながら撹拌した。4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)106.327g(0.5310mol)を投入した。それらが完全に溶解したことを確認した後、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)152.679g(全ジアミンに対して98mol%)を添加し50℃で5時間撹拌しポリイミド前駆体Bを得た。この溶液から少量サンプリングしアセトンにて再沈殿し、減圧乾燥してポリイミド前駆体Bを溶液から取り出した。このポリイミド前駆体Bの末端基量を1H−NMRスペクトルの積分比より前記製造例1と同様に算出した。結果、末端基量は、反応に用いたジアミンの量に対して3.43mol%(0.0182mol)であった。その後、フタル酸無水物を2.664g(0.0182mol)添加し、50℃で1時間撹拌し末端封止した。その後室温まで冷却し、末端がフタル酸無水物から誘導される置換基で封止されたポリイミド前駆体3溶液を得た。1H−NMRから求めたポリイミド前駆体3の数平均分子量は27900であり、末端封止率は、85.3%であった。
ポリイミド前駆体4溶液の調製(フタル酸末端封止ポリイミド前駆体合成)
窒素気流下1000mlのセパラブルフラスコに投入に脱水されたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)85.54gを投入し、オイルバスによって液温が50℃になるように熱電対でモニターし加熱しながら撹拌した。3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)13.000g(0.0435mol)を投入し、その後、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン5.144g(0.0207mol)を投入。60分後に溶解を確認後、脱水されたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)401.68gを投入し、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)37.305g(0.1863mol)を溶解させた。
それらが完全に溶解したことを確認した後、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)46.660g(先に投入したBPDAと合わせて全ジアミンに対して98mol%)を添加し50℃で5時間撹拌しポリイミド前駆体Cを得た。この溶液から少量サンプリングしアセトンにて再沈殿し、減圧乾燥してポリイミド前駆体Cを溶液から取り出した。このポリイミド前駆体Cの末端基量を1H−NMRスペクトルの積分比より前記製造例1と同様に算出した。結果、末端基量は、反応に用いたジアミンの量に対して3.27mol%(0.00609mol)であった。その後、フタル酸無水物を0.9938g(0.0182mol)添加し、50℃で1時間撹拌し末端封止した。その後室温まで冷却し、末端がフタル酸無水物から誘導される置換基で封止されたポリイミド前駆体4溶液を得た。1H−NMRから求めたポリイミド前駆体3の数平均分子量は29100であり、末端封止率は、85.5%であった。
比較ポリイミド前駆体1溶液の調製(アミン末端ポリイミド前駆体合成)
窒素気流下2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(TFMB)181.73g(0.568mol)と2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(mTBHG)120.47g(0.568mol)とを5000mlのセパラブルフラスコに投入し、2999gの脱水されたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させ、窒素気流下、マントルヒーターによって液温が50℃になるように熱電対でモニターし加熱しながら撹拌した。それらが完全に溶解したことを確認した後、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)324.15g(全ジアミンに対して97mol%)を添加し50℃で5時間撹拌した。その後室温まで冷却し、アミノ基末端の比較ポリイミド前駆体1溶液を得た。この溶液から少量サンプリングしアセトンにて再沈殿し、減圧乾燥して比較ポリイミド前駆体1を溶液から取り出し、1H−NMRスペクトルの積分比より重合度を求めて数平均分子量を算出した。1H−NMRから求めた比較ポリイミド前駆体1の数平均分子量は18100であった。
比較ポリイミド前駆体2溶液の調製(アミン末端ポリイミド前駆体合成)
窒素気流下2000mlのセパラブルフラスコに脱水されたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を1238g投入し、オイルバスによって液温が50℃になるように熱電対でモニターし加熱しながら撹拌した。4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)106.327g(0.5310mol)を投入した。それらが完全に溶解したことを確認した後、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)152.679g(全ジアミンに対して98mol%)を添加し50℃で5時間撹拌した。その後室温まで冷却し、アミノ基末端の比較ポリイミド前駆体2溶液を得た。
この溶液から少量サンプリングしアセトンにて再沈殿し、減圧乾燥してポリイミド前駆体を溶液から取り出し、1H−NMRスペクトルの積分比より重合度を求めて数平均分子量を算出した。1H−NMRから求めた比較ポリイミド前駆体2の数平均分子量は27900であった。
比較ポリイミド前駆体3溶液の調製(アミン末端ポリイミド前駆体合成)
窒素気流下1000mlのセパラブルフラスコに投入に脱水されたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)85.54gを投入し、オイルバスによって液温が50℃になるように熱電対でモニターし加熱しながら撹拌した。3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)13.000g(0.0435mol)を投入し、その後、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン5.144g(0.0207mol)を投入。60分後に溶解を確認後、脱水されたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)401.68gを投入し、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)37.305g(0.1863mol)を溶解させた。
それらが完全に溶解したことを確認した後、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)46.660g(先に投入したBPDAと合わせて全ジアミンに対して98mol%)を添加し50℃で5時間撹拌した。その後室温まで冷却し、アミノ基末端の比較ポリイミド前駆体3溶液を得た。
この溶液から少量サンプリングしアセトンにて再沈殿し、減圧乾燥してポリイミド前駆体を溶液から取り出し、1H−NMRスペクトルの積分比より重合度を求めて数平均分子量を算出した。1H−NMRから求めた比較ポリイミド前駆体3の数平均分子量は29100であった。
製造例1、2で得られたポリイミド前駆体1、2の各溶液、及び比較製造例1で得られた比較ポリイミド前駆体1溶液をそれぞれ、クロムめっきされたガラス(50mm×50mm)上に乾燥後膜厚14μmになるようにスピンコートし、100℃のホットプレート上で15分間乾燥させて、試験例1、2及び比較試験例1の塗膜を作製した。その後各塗膜を170℃のホットプレート上で10分加熱し、溶解速度評価サンプルを得た。
得られた溶解速度評価サンプルについてそれぞれ、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド2.5重量%、イソプロパノール20重量%を混合した水溶液を用いて現像処理を行った際の、塗膜の溶解速度を測定した。その結果を下記に示す。
なお、溶解速度とは、膜減り量を現像処理した時間で割った値である。膜減り量とは、上記のように現像液を用いて一定時間現像処理し、蒸留水でリンスした後、乾燥させてから測定した膜厚と、現像性評価サンプルの初期膜厚との差である。
ポリイミド前駆体1(試験例1):61.6nm/sec
ポリイミド前駆体2(試験例2):67.2nm/sec
比較ポリイミド前駆体1(比較試験例1):18.7nm/sec
製造例3で得られたポリイミド前駆体溶液3溶液、及び比較製造例2で得られた比較ポリイミド前駆体溶液2溶液をそれぞれ、クロムめっきされたガラス(50mm×50mm)上に乾燥後膜厚2μmになるようにスピンコートし、120℃のホットプレート上で15分間乾燥させて、それぞれ試験例3、及び比較試験例2の塗膜を作製した。その後各塗膜を150℃のホットプレート上で10分加熱し、溶解速度評価サンプルを得た。
得られた溶解速度評価サンプルについてそれぞれ、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド2.38重量%水溶液を用いて現像処理を行った際の、塗膜の溶解速度を測定した。その結果を下記に示す。
なお、溶解速度とは、膜減り量を現像処理した時間で割った値である。膜減り量とは、上記のように現像液を用いて一定時間現像処理し、蒸留水でリンスした後、乾燥させてから測定した膜厚と、現像性評価サンプルの初期膜厚との差である。
ポリイミド前駆体3(試験例3):200nm/sec以上
比較ポリイミド前駆体2(比較試験例2):55.2nm/sec
試験例3のポリイミド前駆体3は比較試験例2の比較ポリイミド前駆体2に比べてアルカリ現像液に対する溶解速度が向上した。
製造例4で得られたポリイミド前駆体溶液4溶液、及び比較製造例3で得られた比較ポリイミド前駆体溶液3溶液をそれぞれ、クロムめっきされたガラス(50mm×50mm)上に乾燥後膜厚2μmになるようにスピンコートし、120℃のホットプレート上で15分間乾燥させて、それぞれ試験例3、及び比較試験例2の塗膜を作製した。その後各塗膜を160℃のホットプレート上で2分加熱し、溶解速度評価サンプルを得た。
得られた溶解速度評価サンプルについてそれぞれ、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド2.38重量%水溶液を用いて現像処理を行った際の、塗膜の溶解速度を測定した。その結果を下記に示す。
ポリイミド前駆体4(試験例4):200nm/sec以上
比較ポリイミド前駆体3(比較試験例3):111nm/sec
試験例4のポリイミド前駆体4は比較試験例3の比較ポリイミド前駆体3に比べてアルカリ現像液に対する溶解速度が向上した。
100mLフラスコ中、炭酸カリウム2.00gをメタノール15mLに加えた。50mLフラスコ中、エトキシカルボニルメチル(トリフェニル)ホスホニウムブロミド2.67g(6.2mmol)、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンズアルデヒド945mg(6.2mmol)をメタノール10mLに溶解し、よく撹拌した炭酸カリウム溶液にゆっくり滴下した。3時間撹拌した後、TLCにより反応の終了を確認したうえでろ過を行い炭酸カリウムを除き、減圧濃縮した。濃縮後、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を50mL加え1時間撹拌した。反応終了後、ろ過によりトリフェニルホスフィンオキシドを除いた後、濃塩酸を滴下し反応液を酸性にした。沈殿物をろ過により集め、少量のクロロホルムにより洗浄することで2−ヒドロキシ−4−メトキシ桂皮酸を1.00g得た。続いて、100mL三口フラスコ中、2−ヒドロキシ−4−メトキシ桂皮酸500mg(3.0mmol)を脱水テトラヒドロキシフラン40mLに溶解し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩0.586g(3.0mmol)を加えた。30分後、ピペリジン0.3ml(3.0mmol)を加えた。反応終了後、反応溶液を濃縮し、水に溶解した。ジエチルエーテルで抽出した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、1N塩酸、飽和食塩水で洗浄した。その後、シリカゲルカラムクマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール100/1〜10/1)により精製することにより、下記式で表される光塩基発生剤1を64mg得た。
窒素雰囲気下、ディーン・スターク装置を装着した200mL三口フラスコ中、4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンズアルデヒド8.2g(39mmol)を脱水2−プロパノール100mLに溶解し、アルミニウムイソプロポキシド2.0g(10mmol,0.25eq.)を加え105℃で7時間加熱攪拌を行った。途中溶媒の蒸発減少に伴い、2−プロパノール40mLを4回追加した。0.2N塩酸150mLにて反応を停止した後、クロロホルムにより抽出を行い、溶媒を減圧留去することにより6−ニトロベラトリルアルコール7.2gを得た。
窒素雰囲気下、200mL三口フラスコ中、6−ニトロベラトリルアルコール5.3g(25mmol)を脱水ジメチルアセトアミド100mLに溶解しトリエチルアミン7.0mL(50mmol,2.0eq)を加えた。氷浴下で、p−ニトロフェニルクロロフォルメイト5.5g(27mmol,1.1eq)を加えた後、室温で16時間攪拌した。反応液を水2Lに注ぎ込み、生じた沈殿をろ過した後、シリカゲルカラムクマトグラフィーにより精製することにより、4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジル−p−ニトロフェニルカルボネートを6.4gを得た。
窒素雰囲気下、100mL三口フラスコ中、4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジル−p−ニトロフェニルカルボネート3.6g(9.5mmol)を脱水ジメチルアセトアミド50mLに溶解し、2,6−ジメチルピペリジン5 mL(37mmol,3.9eq)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール0.36g(0.3eq)を加え90℃で18時間加熱攪拌した。反応溶液を1%炭酸水素ナトリウム水溶液1Lに注ぎ込み、生じた沈殿をろ過した後、水にて洗浄することにより、下記式で表される光塩基発生剤1N−{[(4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル}−2,6−ジメチルピペリジン2.7gを得た。
製造例1で得られたポリイミド前駆体1溶液に対し、光塩基発生剤1を溶液の固形分の15重量%添加し、実施例1の感光性樹脂組成物Aとした。
製造例1で得られたポリイミド前駆体1溶液に対し、光塩基発生剤2を溶液の固形分の15重量%添加し、実施例2の感光性樹脂組成物Bとした。
製造例3で得られたポリイミド前駆体3溶液に対し、光塩基発生剤1を溶液の固形分の15重量%添加し、実施例3の感光性樹脂組成物Cとした。
製造例4で得られたポリイミド前駆体4溶液に対し、光塩基発生剤1を溶液の固形分の15重量%添加し、実施例4の感光性樹脂組成物Dとした。
比較製造例1で得られた比較ポリイミド前駆体1溶液に対し、光塩基発生剤1を溶液の固形分の15重量%添加し、比較例1の比較感光性樹脂組成物Aとした。
比較製造例1で得られた比較ポリイミド前駆体1溶液に対し、光塩基発生剤2を溶液の固形分の15重量%添加し、比較例2の比較感光性樹脂組成物Bとした。
比較製造例2で得られた比較ポリイミド前駆体2溶液に対し、光塩基発生剤1を溶液の固形分の15重量%添加し、比較例3の比較感光性樹脂組成物Cとした。
比較製造例3で得られた比較ポリイミド前駆体3溶液に対し、光塩基発生剤1を溶液の固形分の15重量%添加し、比較例3の比較感光性樹脂組成物Dとした。
実施例1〜2で得られた感光性樹脂組成物A〜B、及び比較例1〜2で得られた比較感光性樹脂組成物A〜Bをそれぞれクロムめっきされたガラス(50mm×50mm)上に、乾燥後14μmとなるようそれぞれスピンコートし、100℃のホットプレート上で15分乾燥させて感光性樹脂組成物の塗膜をそれぞれ2つずつ作製した。この塗膜のうち1つを、露光部の評価を行う塗膜とし、手動露光機を用いて高圧水銀灯により、5J/cm2露光を行った。残りの一つは未露光部の評価を行う塗膜として、露光を行わなかった。その後、各塗膜を搬送型加熱炉を用い170℃のゾーンに入っている時間が5分になるように加熱し、現像性評価サンプルを得た。各現像性評価サンプルは、露光部の評価を行う塗膜1枚と未露光部の評価を行う塗膜1枚の2枚をセットにして評価に用いた。
実施例1〜2、及び比較例1〜2の塗膜の上記セットについて、それぞれ50℃のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド2.5重量%、イソプロパノール20重量%を混合した水溶液を用いて現像処理を行い、塗膜の溶解速度を測定した。
各塗膜の露光部と未露光部の膜減り量から溶解速度を算出し、比較を行った。未露光部の塗膜の溶解速度に対する露光部の塗膜の溶解速度の比(溶解性コントラスト)の値が大きいほど、残膜率が高くなると評価できる。
なお、膜減り量は、上記のように現像液を用いて一定時間現像処理し、蒸留水でリンスした後、乾燥させてから測定した膜厚と、現像性評価サンプルの初期膜厚との差であり、溶解速度とは、当該膜減り量を、現像処理した時間で割った値である。
各溶解速度の測定結果を表1及び表2に示す。
また、実施例2と比較例2の結果から、光塩基発生剤2を用いたときは未露光部の溶解速度が約1.3倍向上し、露光部と未露光部の溶解性コントラストは約2倍向上することがわかった。
実施例3で得られた感光性樹脂組成物C、及び比較例3で得られた比較感光性樹脂組成物Cをそれぞれクロムめっきされたガラス(50mm×50mm)上に、乾燥後2μmとなるようそれぞれスピンコートし、120℃のホットプレート上で15分乾燥させて感光性ポリイミド樹脂組成物の塗膜をそれぞれ2つずつ作製した。この塗膜のうち1つを、露光部の評価を行う塗膜とし、手動露光機を用いて高圧水銀灯により、500mJ/cm2露光を行った。残りの1つは未露光部の評価を行う塗膜として、露光を行わなかった。その後、各塗膜を150℃のホットプレート上で10分加熱し、現像性評価サンプルを得た。各現像性評価サンプルにおいては、露光部の評価を行う塗膜1枚と未露光部の評価を行う塗膜1枚を1セットとして評価に用いた。
実施例3及び比較例3の塗膜の上記セットについて、それぞれテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド2.38重量%水溶液を用いて現像処理を行い、塗膜の溶解速度を測定した。
各塗膜の露光部と未露光部の膜減り量から溶解速度を算出し、比較を行った。未露光部の塗膜の溶解速度に対する露光部の塗膜の溶解速度の比(溶解性コントラスト)の値が大きいほど、残膜率が高くなると評価できる。
各溶解速度の測定結果を表3に示す。
実施例3で得られた感光性樹脂組成物C、及び比較例3で得られた比較感光性樹脂組成物Cをそれぞれクロムめっきされたガラス(50mm×50mm)上に、乾燥後2μmとなるようそれぞれスピンコートし、120℃のホットプレート上で15分乾燥させて感光性ポリイミド樹脂組成物の塗膜をそれぞれ2つずつ作製した。この塗膜のうち1つを、露光部の評価を行う塗膜とし、手動露光機を用いて高圧水銀灯により、500mJ/cm2露光を行った。残りの1つは未露光部の評価を行う塗膜として、露光を行わなかった。その後、各塗膜を160℃のホットプレート上で2分加熱し、現像性評価サンプルを得た。各現像性評価サンプルにおいては、露光部の評価を行う塗膜1枚と未露光部の評価を行う塗膜1枚を1セットとして評価に用いた。
実施例3及び比較例3の塗膜の上記セットについて、それぞれテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド2.38重量%水溶液を用いて現像処理を行い、塗膜の溶解速度を測定した。
各塗膜の露光部と未露光部の膜減り量から溶解速度を算出し、比較を行った。未露光部の塗膜の溶解速度に対する露光部の塗膜の溶解速度の比(溶解性コントラスト)の値が大きいほど、残膜率が高くなると評価できる。
各溶解速度の測定結果を表4に示す。
実施例4で得られた感光性樹脂組成物D、及び比較例4で得られた比較感光性樹脂組成物Dをそれぞれクロムめっきされたガラス(50mm×50mm)上に、乾燥後2μmとなるようそれぞれスピンコートし、120℃のホットプレート上で15分乾燥させて感光性ポリイミド樹脂組成物の塗膜をそれぞれ2つずつ作製した。この塗膜のうち1つを、露光部の評価を行う塗膜とし、手動露光機を用いて高圧水銀灯により、500mJ/cm2露光を行った。残りの1つは未露光部の評価を行う塗膜として、露光を行わなかった。その後、各塗膜を160℃のホットプレート上で2分加熱し、現像性評価サンプルを得た。各現像性評価サンプルにおいては、露光部の評価を行う塗膜1枚と未露光部の評価を行う塗膜1枚を1セットとして評価に用いた。
実施例4及び比較例4の塗膜の上記セットについて、それぞれテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド2.38重量%水溶液を用いて現像処理を行い、塗膜の溶解速度を測定した。
各塗膜の露光部と未露光部の膜減り量から溶解速度を算出し、比較を行った。未露光部の塗膜の溶解速度に対する露光部の塗膜の溶解速度の比(溶解性コントラスト)の値が大きいほど、残膜率が高くなると評価できる。
各溶解速度の測定結果を表5に示す。
実施例1の感光性樹脂組成物A、及び比較例1の比較感光性樹脂組成物Aをそれぞれ、クロムめっきされたガラス(50mm×50mm)上に、乾燥後19μmとなるようスピンコートし、100℃のホットプレート上で15分乾燥させて感光性樹脂組成物の塗膜を作製した。この塗膜に対し、手動露光機を用いて高圧水銀灯により細線評価用フォトマスクを介して、200mJ/cm2露光を行った。その後、塗膜を搬送型加熱炉を用い170℃のゾーンに入っている時間が2.5分になるように加熱した。その際の膜厚は、実施例1、比較例1ともに、13.9μmであった。続いて50℃に加熱したテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド2.5重量%、イソプロパノール20重量%を混合した水溶液を用いて現像処理を行い、ラインアンドスペース(L/S)パターンを得た。
パターンを得るために要した現像時間と、解像度(形成可能なL/Sパターンの最小値)、現像後膜厚、及び残膜率を表6に示す。
実施例3で得られた感光性樹脂組成物C、及び比較例3で得られた比較感光性樹脂組成物Cをそれぞれクロムめっきされたガラス(50mm×50mm)上に、乾燥後2μmとなるようそれぞれスピンコートし、120℃のホットプレート上で15分乾燥させて感光性樹脂組成物の塗膜をそれぞれ作製した。この塗膜に対し、手動露光機を用いて高圧水銀灯により細線評価用フォトマスクを介して、125mJ/cm2露光を行った。その後、塗膜を160℃のホットプレート上で2分加熱した。その際の膜厚は実施例3、比較例3ともに1.7μmであった。続いてテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド2.38重量%水溶液を用いて現像処理を行った。
一方、比較例3の感光性樹脂組成物は現像時間120秒では未露光部の残膜が0.18μm残っており、所望のパターンを得られなかった。
Claims (6)
- 少なくとも、下記式(1)で表わされる構造を含むポリイミド前駆体と、光塩基発生剤を含有する感光性樹脂組成物。
- 前記光塩基発生剤が、塩基として脂肪族アミンもしくはアミジンを発生する、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記光塩基発生剤が、下記式(7)〜(9)で表わされる化合物よりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記請求項1乃至3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物からなるパターン形成用材料。
- 前記請求項1乃至3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を用いて塗膜又は成形体を形成し、当該塗膜又は成形体を、所定パターン状に電磁波を照射し、照射後又は照射と同時に加熱し、前記照射部位の溶解性を変化させた後、現像することを特徴とするネガ型パターン形成方法。
- 前記請求項1乃至3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物又はその硬化物により少なくとも一部分が形成されている、印刷物、塗料、シール剤、接着剤、表示装置、半導体装置、電子部品、微小電気機械システム、光造形物、光学部材又は建築材料のいずれかの物品。
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