JP5724515B2 - レリーフパターンの製造方法、及び電子部品 - Google Patents
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Description
ネガ型感光性樹脂組成物には、露光後現像前に加熱工程が不要なものと必要なものがある。露光後現像前に加熱工程が必要なネガ型感光性樹脂組成物は、露光により発生する化学種を用いて熱反応により硬化を促進する、すなわち、露光部において、露光後発生した化学種が加熱により架橋を促進する等により不溶化する。
そのため、従来のパターン形成方法では、現像液の濃度や光塩基発生剤の量を調整したり、溶解促進剤の添加が必要であり、プロセスマージンが小さくなってしまっていた。
なお、本発明において残膜率とは、ネガ型感光性樹脂組成物からなる層の露光部の現像前の膜厚に対する現像後の膜厚の割合である。
当該塗膜又は成形体に所定パターン状に電磁波を照射後、未露光部の塗膜を除去してパターンを形成する現像工程の前に、当該塗膜又は成形体を加熱する工程を有するレリーフパターンの製造方法であって、
前記加熱する工程が、系外から積極的かつ継続的に気体が供給され、且つ、当該塗膜又は成形体から発生する揮発性成分が系外に積極的に除去される雰囲気下で、熱媒体を介するか、電磁波の輻射により、当該塗膜又は成形体を加熱する工程であって、当該塗膜又は成形体に対して少なくとも1つの方向から、上記の系外から積極的かつ継続的に供給された気体を吹き付けながら行われ、前記気体が、単位体積あたりの水分量が10g/m 3 以下であることを特徴とする。
本発明のレリーフパターンの製造方法によれば、残膜率が向上するため、露光部、未露光部の溶解性の差を大きくすることが可能となる。露光部と未露光部とで大きな溶解性コントラストが得られる結果、十分なプロセスマージンを保ちつつ、形状が良好なパターンを得ることができる。
また、本発明によれば、形状が良好なパターンを有する電子部品を提供することができる。
なお、本発明において、電磁波とは、波長を特定した場合を除き、可視及び非可視領域の波長の電磁波だけでなく、電子線のような粒子線、及び、電磁波と粒子線を総称する放射線又は電離放射線が含まれる。本明細書では、電磁波の照射を露光ともいう。なお、波長365nm、405nm、436nmの電磁波をそれぞれ、i線、h線、g線とも表記することがある。
本発明のレリーフパターンの製造方法は、ネガ型感光性樹脂組成物を用いて塗膜又は成形体を形成し、
当該塗膜又は成形体に所定パターン状に電磁波を照射後、未露光部の塗膜を除去してパターンを形成する現像工程の前に、当該塗膜又は成形体を加熱する工程を有するレリーフパターンの製造方法であって、
前記加熱する工程が、系外から積極的かつ継続的に気体が供給され、且つ、当該塗膜又は成形体から発生する揮発性成分が系外に積極的に除去される雰囲気下で、熱媒体を介するか、電磁波の輻射により、当該塗膜又は成形体を加熱する工程であることを特徴とする。
熱の伝達方法には、伝導、対流、放射があるが、本発明の加熱工程においては、ホットプレートのような熱伝導を用いずに、熱媒体を介した対流と、電磁波の輻射を用いる。
熱媒体を介するか、電磁波の輻射により加熱するため、ホットプレートのように当該塗膜又は成形体の一部分のみから加熱することなく、当該塗膜又は成形体の表面全体から加熱することが可能である。そのため、塗膜又は成形体の露光部は、後で現像液が最初に接触される表面から十分適切に硬化反応が進行し、一方で、未露光部の一部が局所的に加熱されて溶解し難くなるといった現象も起こらない。
また、系外から積極的かつ継続的に気体が供給され、且つ、当該塗膜又は成形体から発生する揮発性成分が系外に積極的に除去される雰囲気下で加熱すると、当該塗膜又は成形体中の残留溶媒や、硬化性成分が硬化反応をする際に発生する水等の低分子成分が、塗膜又は成形体から積極的に除去されるようになり、当該塗膜又は成形体中に含まれる硬化性成分の硬化反応も進行し易くなる。当該塗膜又は成形体中に水や残留溶剤が多く残っていると、現像液に溶解しやすい傾向もある。以上のことから、塗膜又は成形体から発生する揮発性成分が系外に積極的に除去されない、循環式オーブンのような加熱手段と比べて、露光部表面が溶解し難い塗膜乃至成形体が形成されるのではないかと推定される。
本願においては、一部分のみから加熱することなく、当該塗膜又は成形体の表面全体から加熱することが可能であり、塗膜又は成形体に存在していた残留溶媒や硬化反応で生じる揮発性成分が十分除去され、露光部は表面から硬化反応が十分に進行しやすいことにより、未露光部の深部が溶解する前に、露光部の表面が溶解してしまう現象が抑制され、残膜率が高くなると推定される。
また、本願のように系外から積極的かつ継続的に気体が供給され、且つ、当該塗膜又は成形体から発生する揮発性成分が系外に積極的に除去される雰囲気下で加熱すると、硬化性成分が硬化反応をする際に発生する水等の低分子成分が塗膜又は成形体から積極的に除去される結果、塗膜表面の結晶性が上がり、緻密な膜構造を形成することにより、表面部の現像液に対する溶解性が低下し、露光部表面が溶解し難い塗膜乃至成形体が形成されるのではないかと推定される。
ネガ型パターンには、露光後加熱が不要なものと必要なものがあるが、本発明は露光後加熱が必要なネガ型感光性樹脂組成物を用いたレリーフパターンの製造方法に関する。
露光後現像前に加熱工程が必要なネガ型感光性樹脂組成物を用いたレリーフパターンの製造方法の利点としては、露光により発生する化学種を用いて熱反応により硬化を促進し、不溶化するため、光のみを利用して硬化反応を行うものよりも、必要な光エネルギーが少なくて済むことや、発生する化学種が触媒的に働く場合、添加量の削減もしくは高感度化が可能なことなどが挙げられる。
(1)ネガ型感光性樹脂組成物を用いて塗膜又は成形体を形成する工程、
(2)当該塗膜又は成形体に所定パターン状に電磁波を照射する工程、
(3)電磁波を照射後現像する前に、当該塗膜又は成形体を加熱する工程、及び
(4)現像する工程
とを有し、必要に応じて更に別の工程を有していても良いものである。
以下各工程を順に説明する。
<ネガ型感光性樹脂組成物>
本発明で用いられるネガ型感光性樹脂組成物は、露光後加熱が必要なネガ型感光性樹脂組成物である。このようなネガ型感光性樹脂組成物は、露光部において、露光により発生する化学種を用いて熱反応により硬化を促進し不溶化するものである。そのため、露光後加熱が必要なネガ型感光性樹脂組成物は、露光により触媒として作用する化学種を発生させる化合物(感光性成分)と、当該化学種の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される高分子前駆体(硬化性成分)を少なくとも含む。
前記アルカリ可溶性樹脂としては、ノボラック樹脂や、ポリヒドロキシスチレン、カリックスレゾルシンアレン等が挙げられる。酸により分解する置換基を有する化合物(架橋剤)としては、メラミン樹脂や、フェノール性水酸基に隣接したメチロール基を複数個有するフェノール樹脂等が挙げられる。光酸発生剤としては、トリアジンやその誘導体、スルホン酸オキシムエステル化合物、スルホン酸ヨードニウム塩、スルホン酸スルフォニウム塩等、公知の光酸発生剤を用いることができる。
ネガ型感光性ポリイミド樹脂組成物としては、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸のカルボキシル基に、感光性成分として上記ポリイミド前駆体にエステル結合やイオン結合でエチレン性二重結合を導入し、さらに光ラジカル開始剤を混合した溶剤現像ネガ型感光性ポリイミド樹脂組成物であっても良いが、中でも、イミド化率の差によって、電磁波照射部の現像液に対する溶解速度が未照射部の溶解速度よりも小さくなることでパターンを形成するネガ型感光性ポリイミド樹脂組成物であることが好ましい。
また、電磁波照射部と未照射部のイミド化率の差を出すことによって、副次的に残膜率が向上していると推測されるネガ型感光性ポリイミド樹脂組成物として、酸架橋性の置換基を導入したポリイミド前駆体に、感光性成分として光酸発生剤を添加したネガ型感光性ポリイミド樹脂組成物;ポリアミック酸等のポリイミド前駆体に、感光性成分としてニフェジピン系化合物等を添加したネガ型感光性ポリイミド樹脂組成物などが挙げられる。
中でも、ポリイミド前駆体と、光塩基発生剤又は光酸発生剤とを含むネガ型感光性ポリイミド樹脂組成物が好適に用いられる。以下、本発明に好適に用いられる、上記のようなネガ型感光性ポリイミド樹脂組成物に用いられるポリイミド前駆体、及び感光性成分を詳細に説明する。
本発明の感光性樹脂組成物に用いられるポリイミド前駆体としては、具体的には、下記式(1)又は式(2)で表される構造を有するポリイミド前駆体が挙げられる。
また、上記(2)で表される構造を有するポリイミド前駆体の製造方法としては、上記(1)で表されるポリイミド前駆体の一部を加熱によりイミド化する方法が挙げられる。
また、上記(1)で表されるポリイミド前駆体の一部を加熱によりイミド化する際には、下記式のような、ポリイミドが混ざっていても良い。
これらは単独あるいは2種以上混合して用いられる。
さらに目的に応じ、架橋点となるエチニル基、ベンゾシクロブテン−4’−イル基、ビニル基、アリル基、シアノ基、イソシアネート基、及びイソプロペニル基のいずれか1種又は2種以上を、上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部若しくは全てに置換基として導入しても使用することができる。
以上の理由から、ポリイミド前駆体は、最終的に得られるポリイミド樹脂に耐熱性及び寸法安定性を求める場合には、芳香族酸成分及び/又は芳香族アミン成分の共重合割合ができるだけ大きいことが好ましい。具体的には、イミド構造の繰り返し単位を構成する酸成分に占める芳香族酸成分の割合が50モル%以上、特に70モル%以上であることが好ましく、イミド構造の繰り返し単位を構成するアミン成分に占める芳香族アミン成分の割合が40モル%以上、特に60モル%以上であることが好ましく、全芳香族ポリイミドもしくは全芳香族ポリイミド前駆体であることが好ましい。
2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニルのように、芳香環の置換基としてフッ素を導入すると、上記ポリイミド樹脂の吸湿膨張係数を低減させることができ、好ましい。
露光波長に対してポリイミド前駆体の透過率が高いということは、それだけ、光のロスが少ないということであり、高感度の感光性ポリイミド樹脂組成物を得ることができる。
ここで用いている重量平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の値のことをいい、ポリイミド前駆体そのものを測定した分子量でも良いし、無水酢酸等で化学的イミド化処理を行った後測定したものでも良い。
なお、固形分とは溶剤以外の全成分であり、液状のモノマー成分も固形分に含まれる。
ネガ型感光性ポリイミド樹脂組成物に含まれる感光性成分は、上記ポリイミド前駆体を露光後、露光部のみ硬化させるために含まれるものであり、典型的には光ラジカル発生剤、光酸発生剤、光塩基発生剤のような、光照射にともない化合物自体の溶解性が変化するような感光性主成分や、このような感光性主成分と共に用いられる増感剤等の感光性補助成分などが挙げられる。
本発明においては、上記感光性成分が、上記ポリイミド前駆体100重量部に対して、0.1重量部以上30重量部未満の範囲内であることが好ましく、なかでも、0.5重量部〜20重量部の範囲内であることが好ましく、特に、0.5重量部〜15重量部の範囲内であることが好ましい。
一般的な感光性ポリイミド樹脂組成物に含まれる感光性成分の含有量が、上記ポリイミド前駆体100重量部に対して30重量部以上のものが多いのに対して、光酸発生剤または光塩基発生剤は、上述のように発生化学種が触媒的に働くため、含有量を上述した範囲内とした場合であっても十分に硬化可能な露光感度を有するからである。また、上記感光性成分は、ポリイミド前駆体に比べて耐熱性が低く、硬化膜となった後のアウトガスの主成分となり得ることから、上記含有量を上述した範囲内のように低減することにより、硬化膜となった後のアウトガス発生量が十分に少ないものとすることができる。
なお、主成分とするとは、上記感光性成分中の上記光塩基発生剤等の含有量が、50質量%以上であることをいうものである。
本発明に用いられる光塩基発生剤としては、常温常圧の通常の条件下では活性を示さないが、外部刺激として電磁波の照射と加熱が行なわれると、塩基(塩基性物質)を発生するものであれば特に限定されるものではない。
ここで、光塩基発生剤として用いられるイオン性化合物としては、具体的には、下記構造式で示されるものを挙げることができる。
このような窒素原子と直接結合している原子がSP3軌道を有する炭素原子となるような置換基としては、直鎖脂肪族炭化水素基、分岐脂肪族炭化水素基、及び、環状脂肪族炭化水素基、又はこれらの組み合わせからなる脂肪族炭化水素基が挙げられる。なお、当該脂肪族炭化水素基は、芳香族基等の置換基を有していても良く、或いは、炭化水素鎖中にヘテロ原子等の炭化水素以外の結合を含んでいても良い。好適なものとして、炭素数1〜20の直鎖又は分岐の飽和又は不飽和アルキル基、炭素数4〜13のシクロアルキル基、炭素数7〜26のフェノキシアルキル基、炭素数7〜26のアリールアルキル基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基が挙げられる。
ここでRcが上記環状脂肪族炭化水素基又は上記シクロアルキル基を有する場合には、Rcの2つが連結して環状になって、Rcが結合している窒素原子を含む複素環構造を形成している場合を含む。
また、Rcの2つが連結して環状になって、Rcが結合している窒素原子を含む複素環構造を形成している場合の複素環構造としては、例えば、アジリジン(3員環)、アゼチジン(4員環)、ピロリジン(5員環)、ピペリジン(6員環)、アゼパン(7員環)、アゾカン(8員環)等が挙げられる。これら複素環構造には直鎖又は分岐のアルキル基等の置換基を有していても良く、例えば、アルキル置換体として、メチルアジリジンなどのモノアルキルアジリジン、ジメチルアジリジンなどのジアルキルアジリジン、メチルアゼチジンなどのモノアルキルアゼチジン、ジメチルアゼチジンなどのジアルキルアゼチジン、トリメチルアゼチジンなどのトリアルキルアゼチジン、メチルピロリジンなどのモノアルキルピロリジン、ジメチルピロリジンなどのジアルキルピロリジン、トリメチルピロリジンなどのトリアルキルピロリジン、テトラメチルピロリジンなどのテトラアルキルピロリジン、メチルピペリジンなどのモノアルキルピペリジン、ジメチルピペリジンなどのジアルキルピペリジン、トリメチルピペリジンなどのトリアルキルピペリジン、テトラメチルピペリジンなどのテトラアルキルピペリジン、ペンタメチルピペリジンなどのペンタアルキルピペリジン等が挙げられる。
上記式(5)で表される塩基発生剤は、上記特定構造を有するため、電磁波が照射されることにより、下記式で示されるように、式(5)中の(−CH=CH−C(=O)−)部分がシス体へと異性化し、さらに加熱によって環化し、塩基(NHRcRc)を生成する。アミンの触媒作用によって、上記ポリイミド前駆体が最終生成物となる際の反応が開始される温度を下げたり、上記ポリイミド前駆体が最終生成物となる硬化反応を開始することができる。
中でも、発生する塩基が、2級アミン、及び/又は、アミジンである場合には、塩基発生剤としての感度が高くなる点から好ましい。これは、2級アミンやアミジンを用いることで、アミド結合部位の活性水素がなくなり、このことにより、電子密度が変化し、異性化の感度が向上するからではないかと推定される。
ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素などが挙げられる。
1価の有機基としては、特に制限がなく、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び飽和又は不飽和ハロゲン化アルキル基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、カルボキシル基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、ヒドロキシイミノ基等が挙げられる。これらの有機基は、当該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでよく、これらは、直鎖状でも分岐状でも良い。
耐熱性の点から、有機基中の炭化水素基以外の結合としては、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミノ結合(−N=C(−R)−、−C(=NR)−:ここでRは水素原子又は1価の有機基)、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合が好ましい。
中でも、R5〜R8の有機基中の炭化水素基以外の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシル基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、ヒドロキシイミノ基、飽和又は不飽和アルキルエーテル基、飽和又は不飽和アルキルチオエーテル基、アリールエーテル基、及びアリールチオエーテル基が好ましい。
環状構造は、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素、複素環、及び縮合環、並びに当該脂環式炭化水素、複素環、及び縮合環よりなる群から選ばれる2種以上が組み合されてなる構造であっても良い。例えば、R5〜R8は、それらの2つ以上が結合して、R5〜R8が結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン等の縮合環を形成している場合も、吸収波長が長波長化する点から好ましい。
本発明のネガ型感光性樹脂組成物に用いられる溶媒としては、上記ポリイミド前駆体等の硬化性成分や感光性成分を均一に分散または溶解することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールモノエーテル類(いわゆるセロソルブ類);メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、前記グリコールモノエーテル類の酢酸エステル(例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート)、メトキシプロピルアセテート、エトキシプロピルアセテート、蓚酸ジメチル、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル類;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のアルコール類;塩化メチレン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、1−クロロプロパン、1−クロロブタン、1−クロロペンタン、クロロベンゼン、ブロムベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアミド類;N−メチルピロリドンなどのピロリドン類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、その他の有機極性溶媒類等が挙げられ、更には、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、及び、その他の有機非極性溶媒類等も挙げられる。これらの溶媒は単独若しくは組み合わせて用いられる。
中でも、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルフォスホアミド、N−アセチル−2−ピロリドン、ピリジン、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等の極性溶媒が好適なものとして挙げられる。
本発明に用いられるネガ型感光性樹脂組成物は、少なくともポリイミド前駆体等の高分子前駆体(硬化性成分)、感光性成分、および通常溶剤を含むものであるが、必要に応じて他の成分を含むものであっても良い。
このような他の成分としては、熱硬化性成分、非重合性バインダー樹脂、その他の添加剤が挙げられる。
本発明に係るネガ型感光性樹脂組成物を何らかの基材上に塗布するなどして塗膜を形成したり、適した成形方法で成形体を形成する。
塗布する方法としては特に限定されず、例えば、スピンコート法、ダイコート法、ディップコート法、バーコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷、インクジェット法など公知の印刷技術を用いた方法を用いることができる。
成形方法としては、射出成形(インジェクション成形)、ブロー成形、シート成形(真空成形・圧空成型)、チューブ成形(押出成形)等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
得られた塗膜又は成形体に、所定のパターンを有するマスクを通して、電磁波を照射しパターン状に電磁波を照射する。
本発明の加熱する工程は、系外から積極的かつ継続的に気体が供給され、且つ、当該塗膜又は成形体から発生する揮発性成分が系外に積極的に除去される雰囲気下で、熱媒体を介するか、電磁波の輻射により、当該塗膜又は成形体を加熱する工程であることを特徴とする。
また、上記、雰囲気下が加熱装置内にあることが、雰囲気の範囲を限定することにより、系外から積極的かつ継続的に気体が供給される気体の量を削減することができることから好ましい。
なお、当該塗膜又は成形体から発生する揮発性成分とは、該塗膜又は成形体中の残留溶媒や、硬化性成分が硬化反応をする際に発生する水等の揮発性の低分子成分をいう。
電磁波の輻射を用いて加熱する手段としては、赤外線、遠赤外線、マイクロ波、高周波等の電磁波の照射が挙げられる。
また、例えば、循環式オーブンのような、積極的に気体を排出する排気システムを持たない加熱装置は、本発明で用いられる加熱装置から除外される。
系外から積極的かつ継続的に気体が供給され、且つ、当該塗膜又は成形体から発生する揮発性成分が系外に積極的に除去される雰囲気下で、開放系の熱媒体を介するか、電磁波の輻射により加熱する加熱装置を用いて加熱しても良い。
中でも、装置外から積極的かつ継続的に気体が供給され、且つ、当該塗膜又は成形体から発生する揮発性成分が装置外に積極的に除去され、熱媒体を介するか、電磁波の輻射により加熱する加熱装置を好適に用いることができる。本発明において用いられる市販で入手可能な、このような加熱装置としては、例えば、電子部品をプリント配電板にはんだ付けする装置であるリフロー炉、気体供給及び排気システムを有する(搬送型の)赤外線炉などから、上記条件に合致するものを適宜選択して用いることができる。
気体供給システムと排気システムを有する加熱装置内では、系外から供給される気体量に合わせて、排気量を調整することにより、系外からの大気の進入を防ぎ、系中の水分量を制御することが可能であることが好ましい。
系外から継続的に供給される気体に含まれる単位体積あたりの水分量が高いと、塗膜の硬化反応を阻害する恐れがある。一方で、供給される気体に含まれる単位体積あたりの水分量が10g/m3以下と制御されていると、硬化反応を進行しやすく、残膜率を向上することができる。
当該塗膜又は成形体に対して少なくとも1つの方向から、気体を吹き付けながら加熱を行うと、塗膜又は成形体から発生する揮発性成分が除去されやすくなり、塗膜又は成形体中の残留溶剤量が低減されやすく、且つ、硬化反応で生じる水等の生成物が除去されやすく、硬化反応が進行されやすくなる点から、好ましい。
例えば、基材上に形成された塗膜については、基材に対して、垂直方向から気体を吹きつけても良いし、90°とは異なる角度から気体を吹き付けても良いし、基材表面及び/又は塗膜表面上において、基材の平行方向に気体を吹き付けても良い。
吹き付ける気体は、空気又は窒素等の気体からなり、気体中に含まれる単位体積あたりの水分量は、10g/m3以下、更に1g/m3以下、より更に0.1g/m3以下、特に0.01g/m3以下であることが、残膜率を向上する点から好ましい。
例えば、基材に塗布された塗膜を用いる場合、塗膜表面側から、及び、塗膜の基材側からの両方向から加熱することが、塗膜の膜厚方向全体で良好に硬化反応が進行し、残膜率を向上させることができる点から、好ましい。この場合には、塗膜の露光部の基材側付近のみ硬化反応が進行して露光部の表面が溶解し易くなったり、塗膜表面の加熱が強すぎて、未露光部でも硬化反応が進行して未露光部の表面も現像液に溶解しなくなる等の不具合を抑制できるからである。
但し、塗膜表面の加熱が強すぎると、未露光部でも硬化反応が進行して未露光部の表面も現像液に溶解しなくなる場合があるので、塗膜表面の加熱は、未露光部の表面が溶解する範囲で適宜行われる。
搬送型の装置において、塗膜の搬送方向をx軸、塗膜面内での搬送方向の直角方向をy軸とすると、塗膜面の熱履歴のx軸、y軸方向についてばらつきが少ないことが好ましい。搬送速度を一定とし、塗膜面内での搬送方向の直角方向(y軸)における装置内の温度のばらつきが、目標温度に対して±7℃以下、更に±5℃以下、より更に3℃以下であることが好ましい。また、塗膜面内での搬送方向の直角方向における気体の流速のばらつきが、±30%以下、更に±15%以下であることが好ましい。
また、搬送型の装置において、基材の垂直方向から加熱する場合においては、塗膜の搬送方向をx軸、加熱方向をz軸、塗膜面内での搬送方向の直角方向をy軸とすると、x軸、y軸方向についてばらつきが生じない範囲内で、z軸方向に対し、加熱強度(温度、熱媒体量、熱放射量)を別々に設定できるようにすることが好ましい。
ただし、熱の制御方向は、厳密に上記の3軸方向で行われていなくても、xy方向のばらつきが少なく、z軸方向に独立で制御可能であれば、基材に対して、斜め方向から行われていてもよく、基材面に対して平行方向に行われていてもよい。
現像工程に用いられる現像液としては、前記電磁波照射部位の溶解性が変化する溶剤を現像液として用いれば、特に限定されず、塩基性水溶液、有機溶剤など、用いられる高分子前駆体に合わせて適宜選択することが可能である。
溶質は、1種類でも2種類以上でも良く、全体の重量の50%以上、さらに好ましくは70%以上、水が含まれていれば有機溶媒等を含んでいても良い。
現像後は必要に応じて水または貧溶媒でリンスを行い、80〜100℃で乾燥しパターンを安定なものとしてよい。
また、パターンを、更に必要に応じ加熱して熱硬化を完結させることが好ましい。ネガ型感光性ポリイミド樹脂組成物のような、耐熱性が高い樹脂組成物の場合には、レリーフパターンを、耐熱性のあるものとするために180〜500℃、好ましくは200〜350℃の温度で数十分から数時間加熱しても良い。これによりパターン化された高耐熱性樹脂層が形成される。
本発明に係る電子部品は、前記本発明に係るレリーフパターンの製造方法を用いて形成されたレリーフパターンを有する電子部品である。
本発明に係る電子部品は、電子部品中のレジストを用いて形成されるレリーフパターンのいずれかに、前記本発明に係るレリーフパターンの製造方法を用いて形成されたレリーフパターンを含めば、他の構成は、従来公知と同様のものとすることができる。
また、以下に示す装置を用いて各測定、実験を行った。
(合成例1:ポリイミド前駆体の合成)
2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル 16.0g(50mmol)と2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル 10.6g(50mmol)とを500mlのセパラブルフラスコに投入し、200gの脱水されたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させ、窒素気流下、オイルバスによって液温が50℃になるように熱電対でモニターし加熱しながら撹拌した。それらが完全に溶解したことを確認した後、そこへ、少しずつ30分かけて3,3’、4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸2無水物(BPDA) 29.1g(99mmol)を添加し、添加終了後、50℃で5時間撹拌した。その後室温まで冷却し、ポリイミド前駆体溶液1を得た。
下記式で表される繰り返し単位を有するポリイミド前駆体溶液1を得た。
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)20.0g(100mmol)を500mlのセパラブルフラスコに投入し、181gの脱水されたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させ窒素気流下、オイルバスによって液温が50℃になるように熱電対でモニターし加熱しながら撹拌した。それらが完全に溶解したことを確認した後、そこへ、少しずつ30分かけて3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸2無水物(BPDA)27.4g(93mmol)を添加し、添加終了後、50℃で5時間撹拌した。その後室温まで冷却し、下記式で表される繰り返し単位を有するポリイミド前駆体溶液2を得た。
100mLフラスコ中、炭酸カリウム2.00gをメタノール15mLに加えた。50mLフラスコ中、エトキシカルボニルメチル(トリフェニル)ホスホニウムブロミド2.67g(6.2mmol)、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンズアルデヒド945mg(6.2mmol)をメタノール10mLに溶解し、よく撹拌した炭酸カリウム溶液にゆっくり滴下した。3時間撹拌した後、TLCにより反応の終了を確認したうえでろ過を行い炭酸カリウムを除き、減圧濃縮した。濃縮後、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を50mL加え1時間撹拌した。反応終了後、ろ過によりトリフェニルホスフィンオキシドを除いた後、濃塩酸を滴下し反応液を酸性にした。沈殿物をろ過により集め、少量のクロロホルムにより洗浄することで2−ヒドロキシ−4−メトキシ桂皮酸を1.00g得た。続いて、100mL三口フラスコ中、2−ヒドロキシ−4−メトキシ桂皮酸500mg(3.0mmol)を脱水テトラヒドロキシフラン40mLに溶解し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩0.586g(3.0mmol)を加えた。30分後、ピペリジン0.3ml(3.0mmol)を加えた。反応終了後、反応溶液を濃縮し、水に溶解した。ジエチルエーテルで抽出した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、1N塩酸、飽和食塩水で洗浄した。その後、シリカゲルカラムクマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール100/1〜10/1)により精製することにより、下記式で表される光塩基発生剤1を64mg得た。
窒素雰囲気下、ディーン・スターク装置を装着した200mL三口フラスコ中、4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンズアルデヒド8.2g(39mmol)を脱水2−プロパノール100mLに溶解し、アルミニウムイソプロポキシド2.0g(10mmol,0.25eq.)を加え105℃で7時間加熱攪拌を行った。途中溶媒の蒸発減少に伴い、2−プロパノール40mLを4回追加した。0.2N塩酸150mLにて反応を停止した後、クロロホルムにより抽出を行い、溶媒を減圧留去することにより6−ニトロベラトリルアルコール7.2gを得た。
窒素雰囲気下、200mL三口フラスコ中、6−ニトロベラトリルアルコール5.3g(25mmol)を脱水ジメチルアセトアミド100mLに溶解しトリエチルアミン7.0mL(50mmol,2.0eq)を加えた。氷浴下で、p−ニトロフェニルクロロフォルメイト5.5g(27mmol,1.1eq)を加えた後、室温で16時間攪拌した。反応液を水2Lに注ぎ込み、生じた沈殿をろ過した後、シリカゲルカラムクマトグラフィーにより精製することにより、4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジル−p−ニトロフェニルカルボネートを6.4g得た。
窒素雰囲気下、100mL三口フラスコ中、4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジル−p−ニトロフェニルカルボネート3.6g(9.5mmol)を脱水ジメチルアセトアミド50mLに溶解し、2,6−ジメチルピペリジン5 mL(37mmol,3.9eq)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール0.36g(0.3eq)を加え90℃で18時間加熱攪拌した。反応溶液を1%炭酸水素ナトリウム水溶液1Lに注ぎ込み、生じた沈殿をろ過した後、水にて洗浄することにより、下記式で表される光塩基発生剤2(N−{[(4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル}−2,6−ジメチルピペリジン)2.7gを得た。
合成例1で得られたポリイミド前駆体溶液1の固形分100重量部に対し、合成例3で得られた光塩基発生剤1を15重量部添加し、製造例1の感光性ポリイミド樹脂組成物1を調製した。
合成例1で得られたポリイミド前駆体溶液1の固形分100重量部に対し、合成例4で得られた光塩基発生剤2を15重量部添加し、製造例2の感光性ポリイミド樹脂組成物2を調製した。
合成例2で得られたポリイミド前駆体溶液2の固形分100重量部に対し、合成例3で得られた光塩基発生剤1を15重量部添加し、製造例3の感光性ポリイミド樹脂組成物3を調製した。
感光性ポリイミド樹脂組成物1を、クロムめっきされたガラス(50mm×50mm)上に乾燥後膜厚20μmになるようにスピンコートし、100℃のホットプレート上で15分間乾燥させて、感光性ポリイミド樹脂組成物1の塗膜を作製した。この塗膜に対し、露光部の評価を行う塗膜については、手動露光機を用いて高圧水銀灯により、900mJ/cm2露光を行った。未露光部の評価を行う塗膜については、露光を行わなかった。その後、下記に示す加熱方法で各塗膜を加熱し、現像性評価サンプルを得た。各現像性評価サンプルにおいては、露光部の評価を行う塗膜1枚と未露光部の評価を行う塗膜1枚の2枚をセットにして評価に用いた。
それぞれの塗膜について、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド2.5重量%、イソプロパノール20重量%を混合した水溶液に浸漬し、塗膜の溶解速度を測定した。各溶解速度の測定結果を図1及び図2、並びに、表1に示す。
現像性評価サンプル1:小型窒素雰囲気リフロー装置(RN-S ANUR820iN:松下電工(株)製)内、170℃、熱媒体:気体、加熱時間:5分、リフロー炉の内容積:約320L、リフロー炉の気体の供給量:約300L/分、リフロー炉に供給した気体:窒素(酸素濃度0.1ppm以下、純度99.999%、気体中に含まれる単位体積あたりの水分量0.0022g/m3以下)、塗膜の両面から風を吹き付けて加熱(塗膜表面側:平均風速7m/s、基板側:平均風速7m/s)
なお、リフロー装置は、搬送装置により装置内を搬送する間に加熱を行う装置であり、リフロー装置内は予備加熱ゾーンと本加熱ゾーンなど、複数のゾーンに分かれて加熱するため、170℃での加熱時間は以下のように概算した。
上記リフロー装置内は7つのゾーンに分かれ、装置内の温度プロファイルは、リフロー装置の上下共に7つのゾーンにおいて110℃/130℃/150℃/170℃/170℃/170℃/170℃で、1ゾーンの長さは200mmであった。従って、160mm/分で搬送したため、170℃で加熱されている時間は200mm×4÷160=5分、と算出した。
現像性評価サンプル2: ホットプレート(HP:三連ホットプレート TH−900:アズワン製)により、170℃、10分加熱
現像性評価サンプル3:循環式オーブン(定温乾燥機 DVS402:ヤマト科学(株)製)により、170℃、2.5分加熱(扉の開閉等により装置内の温度が低下している場合、オーブン内温度が設定温度まで上昇してから加熱開始とする。)
現像性評価サンプル4:循環式オーブン(定温乾燥機 DVS402:ヤマト科学(株)製)により、170℃、5分加熱(扉の開閉等により装置内の温度が低下している場合、オーブン内温度が設定温度まで上昇してから加熱開始とする。)
未露光部の塗膜の半減期に対する露光部の塗膜の半減期の比の値が大きいほど、残膜率が高くなると評価できる。
○:未露光部が半減期500sec未満で溶解され、且つ、露光部の塗膜の半減期が未露光部の塗膜の半減期の30倍以上である
△:未露光部が半減期500sec未満で溶解され、且つ、露光部の塗膜の半減期が、未露光部の塗膜の半減期の10倍以上30倍未満である
×:上記のいずれにも該当しない
一方、ホットプレートを用いた現像性評価サンプル2では、露光部と未露光部の溶解速度の差がとても小さく、残膜率が低くなると評価された。
循環式オーブンを用いた現像性評価サンプル3及び4でも、露光部と未露光部の溶解速度の差が小さくなり、残膜率が低くなると評価された。
リフロー炉を用いて、より詳細な現像性評価を行った。
下記に示す加熱方法で各塗膜を加熱し、現像性評価サンプルを得た以外は、上記現像性評価1と同様にして、現像性の評価を行った。各溶解速度の測定結果を図3及び図4、並びに、表2に示す。
現像性評価サンプル1:小型窒素雰囲気リフロー装置(RN-S ANUR820iN:松下電工(株)製)内、170℃、熱媒体:気体、加熱時間:5分、リフロー炉の内容積:約320L、リフロー炉の気体の供給量:約300L/分、リフロー炉に供給した気体:窒素(酸素濃度0.1ppm以下、純度99.999%、気体中に含まれる単位体積あたりの水分量0.0022g/m3以下)、塗膜の両面から風を吹き付けて加熱(塗膜表面側:平均風速7m/s、基板側:平均風速7m/s)
現像性評価サンプル5:塗膜の両面から風を吹き付けて加熱(塗膜表面側:平均風速4m/s、基板側:平均風速7m/s)以外は、現像性評価サンプル1と同じ加熱条件
現像性評価サンプル6:塗膜の片面から風を吹き付けて加熱(塗膜表面側:風なし、基板側:平均風速7m/s)以外は、現像性評価サンプル1と同じ加熱条件
現像性評価サンプル7:塗膜表面をポリイミドフィルム(ユーピレックスS 50S:宇部興産(株)製)で風が当たらないように覆い、これをポリイミドテープ(カプトンテープ:幅12.7mm 厚み0.069mm 日東電工(株)製)で基板に固定し、塗膜表面を密閉した以外は、現像性評価サンプル1と同じ加熱条件
一方、塗膜を密閉して、当該塗膜又は成形体から発生する揮発性成分が系外に積極的に除去されない雰囲気下で加熱を行うと、露光部の硬化反応が進行し難くなり、露光部と未露光部の溶解速度の差がとても小さくなり、残膜率が低くなると評価された。
樹脂の種類、光塩基発生剤の種類を変えたサンプルを作製し、さらに詳細な評価を行った。
(1)塗膜の作製
感光性ポリイミド樹脂組成物2を、クロムめっきされたガラス(50mm×50mm)上に乾燥後膜厚20μmになるようにスピンコートし、100℃のホットプレート上で15分間乾燥させた。この塗膜に対し、露光部の評価を行う塗膜については、手動露光機を用いて高圧水銀灯により、5000mJ/cm2露光を行った。未露光部の評価を行う塗膜については、露光を行わなかった。
同様に、感光性ポリイミド樹脂組成物3を、クロムめっきされたガラス(50mm×50mm)上に乾燥後膜厚16μmになるようにスピンコートし、100℃のホットプレート上で15分間乾燥させた。この塗膜に対し、露光部の評価を行う塗膜については、手動露光機を用いて高圧水銀灯により、2000mJ/cm2露光を行った。未露光部の評価を行う塗膜については、露光を行わなかった。
その後、下記に示す加熱方法で各塗膜を加熱し、現像性評価サンプル8〜13を得た。各現像性評価サンプルにおいては、露光部の評価を行う塗膜1枚と未露光部の評価を行う塗膜1枚の2枚をセットにして評価に用いた。
現像性評価サンプル8:感光性ポリイミド樹脂組成物2の塗膜を小型窒素雰囲気リフロー装置(RN-S ANUR820iN:松下電工(株)製)内、170℃、熱媒体:気体、加熱時間:5分、リフロー炉の内容積:約320L、リフロー炉の気体の供給量:約300L/分、リフロー炉に供給した気体:窒素(酸素濃度0.1ppm以下、純度99.999%、気体中に含まれる単位体積あたりの水分量0.0022g/m3以下)、塗膜の両面から風を吹き付けて加熱(塗膜表面側:平均風速7m/s、基板側:平均風速7m/s)
なお、リフロー装置は、搬送装置により装置内を搬送する間に加熱を行う装置であり、リフロー装置内は予備加熱ゾーンと本加熱ゾーンなど、複数のゾーンに分かれて加熱するため、170℃での加熱時間は以下のように概算した。
上記リフロー装置内は7つのゾーンに分かれ、装置内の温度プロファイルは、リフロー装置の上下共に7つのゾーンにおいて110℃/130℃/150℃/170℃/170℃/170℃/170℃で、1ゾーンの長さは200mmであった。従って、160mm/分で搬送したため、170℃で加熱されている時間は200mm×4÷160=5分、と算出した。
現像性評価サンプル9:感光性ポリイミド樹脂組成物2の塗膜をホットプレート(HP:三連ホットプレート TH−900:アズワン製)により、170℃、10分加熱
現像性評価サンプル10:感光性ポリイミド樹脂組成物2の塗膜を循環式オーブン(定温乾燥機 DVS402:ヤマト科学(株)製)により、170℃、2.5分加熱(扉の開閉等により装置内の温度が低下している場合、炉内温度が設定温度まで上昇してから加熱開始とする。)
現像性評価サンプル11:感光性ポリイミド樹脂組成物3の塗膜を小型窒素雰囲気リフロー装置(RN-S ANUR820iN:松下電工(株)製)内、155℃、熱媒体:気体、加熱時間:5分、リフロー炉の内容積:約320L、リフロー炉の気体の供給量:約300L/分、リフロー炉に供給した気体:窒素(酸素濃度0.1ppm以下、純度99.999%、気体中に含まれる単位体積あたりの水分量0.0022g/m3以下)、塗膜の両面から風を吹き付けて加熱(塗膜表面側:平均風速7m/s、基板側:平均風速7m/s)
なお、リフロー装置は、搬送装置により装置内を搬送する間に加熱を行う装置であり、リフロー装置内は予備加熱ゾーンと本加熱ゾーンなど、複数のゾーンに分かれて加熱するため、155℃での加熱時間は以下のように概算した。
上記リフロー装置内は7つのゾーンに分かれ、装置内の温度プロファイルは、リフロー装置の上下共に7つのゾーンにおいて100℃/120℃/140℃/155℃/155℃/155℃/155℃で、1ゾーンの長さは200mmであった。従って、160mm/分で搬送したため、155℃で加熱されている時間は200mm×4÷160=5分、と算出した。
現像性評価サンプル12:感光性ポリイミド樹脂組成物3の塗膜をホットプレート(HP:三連ホットプレート TH−900:アズワン製)により、155℃、10分加熱
現像性評価サンプル13:循環式オーブン(定温乾燥機 DVS402:ヤマト科学(株)製)により、155℃、5分加熱(扉の開閉等により装置内の温度が低下している場合、炉内温度が設定温度まで上昇してから加熱開始とする。)
○:露光部残膜率が90%以上
△:露光部残膜率が80%以上90%未満
×:露光部残膜率が80%未満
感光性ポリイミド樹脂組成物1を、クロムめっきされたガラス(50mm×50mm)上に乾燥後膜厚20μmになるようにスピンコートし、100℃のホットプレート上で15分間乾燥させて、感光性ポリイミド樹脂組成物1の塗膜を作製した。この塗膜に対し、パターン状に露光を行った。その後、上記現像性評価サンプル1と同様にして、小型窒素雰囲気リフロー装置(RN-S ANUR820iN:松下電工(株)製)内、170℃、熱媒体:気体、加熱時間:5分、リフロー炉の内容積:約320L、リフロー炉の気体の供給量:約300L/分、リフロー炉に供給した気体:窒素(酸素濃度0.1ppm以下、純度99.999%、気体中に含まれる単位体積あたりの水分量0.0022g/m3以下)を用いて、塗膜の両面から風を吹き付けて加熱(塗膜表面側:平均風速7m/s、基板側:平均風速7m/s)した。
塗膜について、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド2.5重量%、イソプロパノール20重量%を混合した水溶液に2400秒間浸漬して現像し、純水にて60秒間リンス処理を行い、その後350℃で60分間加熱することにより後硬化を行い、ラインアンドスペース(L/S)パターンを形成した。その結果、パターンの残膜率は98%であった。膜厚等と残膜率と合わせて、表4に示す。また、得られたパターンのSEM写真を図5に示す。膜減りがなく、エッジ・コーナー形状も良好なパターンが得られることがわかった。
加熱方法を、上記現像性評価サンプル1の方法から、上記現像性評価サンプル6の方法に変更した以外は、実施例1と同様にして、ラインアンドスペース(L/S)パターンを形成した。膜厚、現像時間、残膜率は表4に示す。
加熱方法を、上記現像性評価サンプル1の方法から、ホットプレートを用いた上記現像性評価サンプル2の方法に変更した以外は、実施例1と同様にして、ラインアンドスペース(L/S)パターンを形成した。膜厚、現像時間、残膜率は表4に示す。また、得られたパターンのSEM写真を図6に示す。実施例1に比べてエッジ・コーナー形状が丸みを帯びたパターンが得られた。
加熱方法を、上記現像性評価サンプル1の方法から、循環式オーブンを用いた上記現像性評価サンプル3の方法に変更した以外は、実施例1と同様にして、ラインアンドスペース(L/S)パターンを形成した。膜厚、現像時間、残膜率は表4に示す。また、得られたパターンのSEM写真を図7に示す。膜減りが多いために、線が細くなったパターンが得られた。
加熱方法を、上記現像性評価サンプル1の方法から、塗膜を密閉して加熱した上記現像性評価サンプル7の方法に変更した以外は、実施例1と同様にして、ラインアンドスペース(L/S)パターンを形成した。膜厚、現像時間、残膜率は表4に示す。
一方、ホットプレートを用いた比較例1では、残膜率が劣り、パターンのエッジ・コーナー形状が悪くなった。
また、循環式オーブンを用いた比較例2では、残膜率が更に低くなり、図7に示されるように、膜減りの影響でパターンの線が細くなってしまった。
塗膜を密閉して加熱された比較例3では、残膜率が更に低くなり、パターンの線が顕著に細くなってしまった。
また、 樹脂の種類、光塩基発生剤の種類を変えたネガ型感光性樹脂組成物の場合でも、表4の結果と同様に、リフロー炉を用いた場合は、残膜率が高く良好な形状のパターンが得られた。
Claims (10)
- ネガ型感光性樹脂組成物を用いて塗膜又は成形体を形成し、
当該塗膜又は成形体に所定パターン状に電磁波を照射後、未露光部の塗膜を除去してパターンを形成する現像工程の前に、当該塗膜又は成形体を加熱する工程を有するレリーフパターンの製造方法であって、
前記加熱する工程が、系外から積極的かつ継続的に気体が供給され、且つ、当該塗膜又は成形体から発生する揮発性成分が系外に積極的に除去される雰囲気下で、熱媒体を介するか、電磁波の輻射により、当該塗膜又は成形体を加熱する工程であって、当該塗膜又は成形体に対して少なくとも1つの方向から、上記の系外から積極的かつ継続的に供給された気体を吹き付けながら行われ、前記気体が、単位体積あたりの水分量が10g/m 3 以下であることを特徴とする、レリーフパターンの製造方法。 - 前記加熱する工程が、系外から継続的に供給される気体が15分間に加熱系内の内容積に対して体積比1以上となるように、雰囲気を制御して行われることを特徴とする、請求項1に記載のレリーフパターンの製造方法。
- 前記加熱する工程が、当該塗膜又は成形体に対して少なくとも1つの方向から、流速が0.1m/sec以上の気体を吹き付けながら行われることを特徴とする、請求項1又は2に記載のレリーフパターンの製造方法。
- 上記熱媒体が、系外から継続的に供給される気体である、請求項1乃至3のいずれかに記載のレリーフパターンの製造方法。
- 前記ネガ型感光性樹脂組成物が、ポリイミド前駆体を含むネガ型感光性ポリイミド樹脂組成物であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載のレリーフパターンの製造方法。
- 前記ネガ型感光性ポリイミド樹脂組成物が、ポリイミド前駆体と、光塩基発生剤又は光酸発生剤とを含むネガ型感光性ポリイミド樹脂組成物であることを特徴とする、請求項5に記載のレリーフパターンの製造方法。
- 前記ネガ型感光性ポリイミド樹脂組成物が、ポリイミド前駆体と光塩基発生剤とを含むネガ型感光性ポリイミド樹脂組成物であることを特徴とする、請求項5又は6に記載のレリーフパターンの製造方法。
- 前記光塩基発生剤が、塩基として脂肪族アミンもしくはアミジンを発生することを特徴とする、請求項6又は7に記載のレリーフパターンの製造方法。
- 前記ポリイミド前駆体が、少なくとも1つはカルボキシル基を有することを特徴とする、請求項5乃至8のいずれかに記載のレリーフパターンの製造方法。
- 前記請求項1乃至9のいずれかに記載のレリーフパターンの製造方法を用いて形成されたレリーフパターンを有する電子部品。
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