以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る投票用紙分類システム1が机2上にセットされた状態を正面側から見た斜視図である。
図1に示す投票用紙分類システム1は、選挙における開票所にセットされ、各投票所から開票所に集められた投票用紙を候補者毎(または政党毎)に自動的に分類する。
投票用紙分類システム1は、投票用紙分類機3と、制御PC4(識別手段、オーバーフロー票振分手段)と、プリンター5とを含んでいる。投票用紙分類機3は、投票用紙の分類作業を実際に行うものであり、制御PC4は、いわゆるパソコンであって、投票用紙分類機3における分類条件等を設定したり、投票用紙の記入内容を識別したりするものであり、プリンター5は、分類結果等を紙で出力するものである。なお、制御PC4を、投票用紙分類機3の一部とみなしてもよい。
投票用紙分類システム1は、たとえば、投票用紙分類機3と制御PC4とプリンター5とがこの順番で横並びになるように、机2の上にセットされる。制御PC4は、投票用紙分類機3およびプリンター5のそれぞれに対して通信ケーブル6を介して通信可能に接続されている。
開票所に集められた投票用紙の開票作業の流れの概要を説明すると、まず、投票終了後に、係員が、投票用紙が詰まった投票箱を開票所に持ち込み、投票箱内の投票用紙を机(投票用紙分類システム1がセットされた机2でもよい)の上に広げる。そして、係員は、机の上の投票用紙を適当に積み重ねて束にし、この束を投票用紙分類機3にセットする。投票用紙分類機3は、セットされた束から投票用紙を1枚ずつ取り込んで、投票用紙に記入された候補者名を読み取る。読み取られた候補者名は、制御PC4によって点検(一次点検)される。その後、投票用紙分類機3では、投票用紙が、候補者名毎に分類され、投票用紙が候補者名毎に集計される。その後、分類された投票用紙は、係員によって目視で点検(二次点検)された後に再集計されると、一連の開票作業が完了する。
また、開票された投票用紙には、確定票と、未確定票という種類がある。
確定票は、記入された候補者名が正常に読み取られるとともに、当該候補者名に間違いがなく、集計に加算できる有効票のことである。確定票は、投票用紙分類機3での集計を終えた後、前述した二次点検を受ける。また、確定票には、オーバーフロー票というものが含まれる。オーバーフロー票は、本来収納されるべき収納部(後述するスタッカ34)に入りきれなかったため別の収納部に振り分けられた確定票のことである。
未確定票は、確定票以外の投票用紙のことであり、白票、無効票、疑問票、按分票、搬送不良票に細分化される。
白票は、候補者名が記載されていない白紙の投票用紙のことである。無効票とは、何かしらの記入があるものの、いずれかの候補者以外の人名(つまり、間違った候補者名)が記入されていたり、候補者名以外に落書等の余計な事項が記入されていたりする投票用紙のことである。
疑問票は、記入事項(ここでは候補者名)の一部に間違いがあり、有効票とするか否かの判断が必要な投票用紙のことである。疑問票は、候補者名が正しく記入されていないので、投票用紙分類機3では、疑問票から候補者名を正常に読み取ること(識別)ができない。
按分票は、記入事項があいまいで、その記入事項から複数の候補者のどちらを選んでいるのか分からない投票用紙のことである。たとえば、田中一郎と、田中二郎という同姓の候補者が二人いたとした場合に、苗字の「田中」だけが記入された投票用紙が按分票である。按分票の場合、たとえば、該当する複数の候補者のそれぞれにおける現時点での獲得票数から各候補者の取り分を設定して、按分票の1票を、当該複数の候補者のそれぞれの取り分毎に分割して、各候補者の獲得票に加算する。具体例を挙げると、先ほどの田中一郎が最終的に1000票獲得し、田中二郎が最終的に500票獲得した場合において、苗字の「田中」だけが記入された按分票が開票中に1票出てきたとする。この場合、田中一郎は、その1票に、1000/(1000+500)を乗じて得た値を、按分票における自身の取り分とすることができ、田中二郎は、その1票に、500/(1000+500)を乗じて得た値を、按分票における自身の取り分とすることができる。
無効票、白票、疑問票および按分票は、投票用紙分類機3での一次点検の後に、係員(厳密には、選挙を運営する審査係)によって目視で確認されるが、無効票および白票は、集計に加算できない。
搬送不良票は、投票用紙分類機3において、斜行状態(進行方向に対して所定以上傾斜した状態)や重送状態(複数枚の投票用紙が重なった状態)で搬送されたために記入事項の読み取りが行われなかった投票用紙のことである。搬送不良票は、記入事項自体に問題あって排除された訳ではないので、投票用紙分類機3に再度セットされる。
次に、投票用紙分類システム1、特に投票用紙分類機3の詳細について説明する。
図2は、投票用紙分類機3の正面図である。
図2において、紙面手前側が投票用紙分類機3の正面側(前側)であり、紙面奥側が投票用紙分類機3の背面側(後側)であり、紙面上側が投票用紙分類機3の上側であり、紙面下側が投票用紙分類機3の下側であり、紙面左側が投票用紙分類機3の左側であり、紙面右側が投票用紙分類機3の右側である。なお、以下では、投票用紙分類機3や、投票用紙分類機3を構成する部品の姿勢を特定する場合、先ほどの前後上下左右方向を用いることにする。
投票用紙分類機3は、本体ユニット10と、スタッカユニット11とを含んでいる。図2では、スタッカユニット11が2台図示されている。本体ユニット10およびスタッカユニット11は、いずれも縦長ボックス状であるが、本体ユニット10は、1台のスタッカユニット11よりも左右方向に幅広である。本体ユニット10は、投票用紙を取り込んで記入事項を読み取って候補者毎に分類し、スタッカユニット11は、分類された投票用紙を候補者毎に分けて集積する。この実施形態では、1台の本体ユニット10の質量は、約60kgであり、1台のスタッカユニット11の質量は、約30kgである。
スタッカユニット11は、本体ユニット10に対して左側から連結される。また、別のスタッカユニット11を、本体ユニット10に連結されたスタッカユニット11に対して左側から連結できる。同様の手順で、本体ユニット10に対して複数台(この実施形態では最大で8台)のスタッカユニット11を左側から直列で連結できる。つまり、この投票用紙分類機3では、候補者の数に応じて、スタッカユニット11を自在に増設することができる。本体ユニット10とスタッカユニット11との連結方法や、スタッカユニット11同士の連結方法については、追って説明する。
本体ユニット10は、略下半分をなす第1ブロック12と、略上半分をなす第2ブロック13とに分離可能である。第1ブロック12および第2ブロック13は、いずれも、左右に長手のボックス形状である。第1ブロック12と第2ブロック13との連結方法については、追って説明する。
また、第1ブロック12の正面(前側面)には、矩形状の扉62が設けられている。扉62は、その下端部で左右に延びる回動軸を中心として回動することによって開閉可能である。図2では、扉62が閉じた状態が示されている。扉62の上端部に設けられた取っ手62Aに手を掛けて手前に引くと、扉62を開くことができる。扉62を開くと、第1ブロック12の内部空間が正面側に露出される。
第2ブロック13の正面には、矩形状の扉63が設けられている。扉63は、その左端部で上下に延びる回動軸を中心として回動することによって開閉可能である。図3では、扉63が閉じた状態が示されている。扉63の右端部に設けられた取っ手63Aに手を掛けて手前に引くと、扉63を開くことができる。扉63を開くと、第2ブロック13の内部空間が正面側に露出される。
図3は、投票用紙分類機3の内部構造を示す模式図である。
図3を参照して、第1ブロック12の右側面には、投入口14と、リジェクト口15とが上下に隣り合って設けられている(太い破線部分)。リジェクト口15は、投入口14よりも高い位置にある。第1ブロック12には、投入口14から連続して第1ブロック12の内部へ向けて左側に窪む凹状のホッパー16(投票用紙セット部)と、リジェクト口15から連続して第1ブロック12の内部へ向けて左側に窪む凹状のリジェクトトレイ17(収納部、第2の特別の収納部)とが設けられている。ホッパー16の底面(ホッパー16内で上を向いている面)16Aは、左下側へ傾斜して延びている。この底面16Aには、これから分類すべき多数枚の投票用紙Hを、上下に積層された状態で載置(セット)することができる。このとき、ジャム等の搬送不良を防ぐために、投票用紙Hの折り目は、係員によって取り除かれる。ホッパー16は、第1ブロック12の右側面の下端部という机2に近い位置にあるので、机2の上に広げた投票用紙Hをホッパー16にセットしやすい。
そして、ホッパー16において、外部からアクセスしやすい位置には、投票用紙分類機3による投票用紙Hの分類処理を開始したり、停止したりするために係員によって押下される操作ボタン7が設けられている(図1参照)。
また、リジェクトトレイ17には、前述した搬送不良票が機内から排出される。リジェクトトレイ17は、ホッパー16に対してその上方の近傍に設けられているので、リジェクトトレイ17に収納された搬送不良票を取り出してホッパー16に再セットしやすい位置にある。
本体ユニット10内には、ホッパー16にセットされた投票用紙Hを搬送する本体搬送路18(搬送路)が形成されている。本体搬送路18は、第1ブロック12内に設けられた第1搬送路19と、第2ブロック13内に設けられた第2搬送路20とを含んでいる。
第1搬送路19は、第1ブロック12内において、ホッパー16の底面16Aの左端から、左側へ略水平に延び、第1ブロック12の左側壁の手前で屈曲して上方ヘ略垂直に延び、再度屈曲して右側へ略水平に延びてから、上方ヘ向けて正面視で略S字に湾曲した後に、第1ブロック12の上面に到達している。
第2搬送路20は、第2ブロック13内において、第2ブロック13の下面において第1搬送路19と連続する位置から上方へ延びてから右側へ正面視で略S字に湾曲した後、一旦上方へ延びてから湾曲して左側へ略水平に延び、第2ブロック13の左側壁の手前で屈曲して上方ヘ略垂直に延び、再度屈曲して左側へ湾曲した後に、第2ブロック13の左側面に到達している。
このような本体搬送路18(第1搬送路19、第2搬送路20)では、ホッパー16に近づく側が上流側となり、ホッパー16から離れる側(第1搬送路19から第2搬送路20へ向かう側)が下流側となる。本体搬送路18の下流側端18Aは、本体搬送路18における所定の出口となり、第2ブロック13の左側面の上端部に設けられている。また、本体ユニット10内には、本体搬送路18に臨む複数の位置に、モータ(図示せず)に回転駆動される大小様々の搬送ローラ24(搬送ベルトでもよい)が設けられている。また、第1ブロック12では、モータ(図示せず)に回転駆動される取込ローラ25が、ホッパー16の底面16Aから部分的に露出されるように設けられている。
ホッパー16の底面16Aにセットされた投票用紙Hは、取込ローラ25によって第1搬送路19に取り込まれた後に、各搬送ローラ24によって本体搬送路18内を上流側から下流側へ向けて搬送される。本体搬送路18は、左右上下に湾曲しているものの、前後方向に偏るように形成されていないので、本体搬送路18内で流れる投票用紙Hが途中で詰まりにくくなっている。
また、第1ブロック12には、第1読取センサ31(読取手段)と、第2読取センサ32(読取手段)とが設けられている。第1読取センサ31および第2読取センサ32は、第1搬送路19で左側へ略水平に延びる部分において、ホッパー16から少し下流側に配置されていて、第1読取センサ31は、第1搬送路19を上から臨み、第2読取センサ32は、第1搬送路19を下から臨んでいる。第1搬送路19を搬送される投票用紙Hが第1読取センサ31の真下を通過すると、第1読取センサ31は、投票用紙Hにおいて上を向いている面の画像を読み取る。第1搬送路19を搬送される投票用紙Hが第2読取センサ32の真上を通過すると、第2読取センサ32は、投票用紙Hにおいて下を向いている面の画像を読み取る。第1読取センサ31および第2読取センサ32は、第1搬送路19に沿う方向において同じ位置に配置されていてもよいし、図3に示すように、ずれて配置されていてもよい。
本体ユニット10内において、本体搬送路18の一部には、スイッチバック搬送路21(表裏反転路)と、リジェクト搬送路22と、スパイラル搬送路23(表裏反転路)とが接続(バイパス)されている。これにより、スイッチバック搬送路21、リジェクト搬送路22およびスパイラル搬送路23は、本体搬送路18の一部になっている。
スイッチバック搬送路21は、第1ブロック12内に設けられている、スイッチバック搬送路21は、第1搬送路19において右側へ略水平に延びている部分から上側へ分岐して左側へ略水平に延びた後、正面視で略V字状をなすように右上側へ延び、第1搬送路19(先ほど分岐した位置よりも下流側の部分)に合流している。スイッチバック搬送路21において略V字をなしていると先ほど説明した部分を、反転空間26と呼ぶことにする。反転空間26は、厳密には、輪郭が略V字をなしているものの、正面視で左側へ向けて細くなる三角形状の断面を有する1つの空間であって、スイッチバック搬送路21の途中に位置している。反転空間26における左端部を、反転空間26の「奥部分」ということにする。
第1ブロック12では、反転空間26における奥部分とは反対側(右側)に、叩きローラ27が設けられている。叩きローラ27は、前後方向に延びた回転軸を有する回転体であって、その外周面には、径方向外側へ突出する複数の叩きゴム27Aが周方向に等間隔で設けられている。また、第1ブロック12では、反転空間26の上方に、無端状の搬送ベルト28が設けられている。搬送ベルト28の下側外周面が、反転空間26を上側から臨んでいる。搬送ベルト28は、モータ(図示せず)から駆動力を受けることで、正面視で反時計回りに周回移動する。第1ブロック12では、反転空間26の奥部分に、ガイド部材29(調整手段)が設けられている。ガイド部材29は、反転空間26の奥部分を規定するものであり、後述するように、その位置を変えることができる(破線矢印参照)。また、スイッチバック搬送路21に臨む位置に、前述した搬送ローラ24が適宜設けられている。
スイッチバック搬送路21における投票用紙Hの流れについては、追って説明する。
リジェクト搬送路22は、第1ブロック12内に設けられている。リジェクト搬送路22は、スイッチバック搬送路21が第1搬送路19に合流した位置よりも下流側の位置において、第1搬送路19から分岐して右側へ略水平に延び、リジェクトトレイ17につながっている。また、リジェクト搬送路22に臨む位置に、前述した搬送ローラ24が適宜設けられている。
リジェクト搬送路22における投票用紙Hの流れについては、追って説明する。
スパイラル搬送路23は、第2ブロック13内に設けられている。スパイラル搬送路23は、第2搬送路20において左側へ略水平に延びている部分より手前(上流側)の部分から上側へ分岐した後、湾曲して左側へ延び、第2ブロック13の左側壁の手前で上側へ湾曲しながら第2搬送路20(先ほど分岐した位置よりも下流側の部分)に合流している。また、スパイラル搬送路23に臨む位置に、前述した搬送ローラ24が適宜設けられている。スパイラル搬送路23の途中の左側へ延びている部分には、スパイラル機構30が設けられている。スパイラル機構30は、投票用紙Hを、左側(下流側)へ搬送しながら、左右方向に延びる仮想軸(図示せず)を中心に180°反転させる(白抜き矢印参照)機構である。スパイラル機構30およびスパイラル搬送路23は、特許第4119664号公報において表裏反転装置として詳しく説明されている。
スパイラル搬送路23における投票用紙Hの流れについては、以降で再度説明する。
また、本体搬送路18(第1搬送路19、第2搬送路20)においてスイッチバック搬送路21、リジェクト搬送路22およびスパイラル搬送路23が分岐する位置には、投票用紙Hの搬送先を切り替えるための切換部材(図3における三角部分)33が設けられている。切換部材33は、図示しないソレノイドに駆動されることによって姿勢を変え、これによって、本体搬送路18を流れる投票用紙Hの搬送先を、本体搬送路18(第1搬送路19、第2搬送路20)のままとしたり、スイッチバック搬送路21、リジェクト搬送路22およびスパイラル搬送路23のいずれかに切り替えたりすることができる。
スタッカユニット11において、左寄りの位置には、複数(ここでは8つ)のスタッカ34(収納部)が上下に並んだ状態で設けられている。各スタッカ34は、ボックス状をなしており、正面側に取出口35を有していて、取出口35からスタッカ34の内部空間が正面側へ露出されている(図1参照)。各スタッカ34には、原則として、候補者名が割り振られていて、各スタッカ34には、分類を終えた投票用紙Hが積層状態で収納される。この実施形態において、各スタッカ34における投票用紙Hの最大収納枚数は、130枚程度であり、通常運用では任意の上限枚数(たとえば100枚)に設定できる。
ここで、図2を参照して、スタッカユニット11の前側面における各スタッカ34の左隣には、LED等で構成された表示ランプ36が設けられている。各表示ランプ36は、対応する(右隣)のスタッカ34に何も入っていない待機状態では消灯しており、対応するスタッカ34に投票用紙Hが1枚でも収納されると、たとえば青色で点灯し、収納枚数が上限枚数に到達すると、たとえば青色で点滅する。また、各表示ランプ36は、対応するスタッカ34においてジャム等のエラーが発生すると、赤色で点灯するようになっている。そのため、表示ランプ36の状態によって、各スタッカ34の状態を一目で把握できる。なお、収納枚数が上限枚数に到達したスタッカ34では、内部の投票用紙Hは、係員によって速やかに取り出される。
また、スタッカユニット11の正面(前側面)の右寄りの領域(各スタッカ34より右側の領域)には、縦長矩形状の扉64が設けられている。扉64は、その右端部で上下に延びる回動軸を中心として回動することによって開閉可能である。図2では、扉64が閉じた状態が示されている。扉64の左端部に設けられた取っ手64Aに手を掛けて手前に引くと、扉64を開くことができる。扉64を開くと、スタッカユニット11の右寄りの領域における内部空間が正面側に露出される。
図3に戻り、スタッカユニット11には、本体ユニット10の第2搬送路20(本体搬送路18)を通過し終えた投票用紙Hを受け取って搬送するスタッカ搬送路37が形成されている。スタッカ搬送路37は、横搬送路38と、縦搬送路39(搬送通路)と、分岐路40とを含んでいる。
横搬送路38は、スタッカユニット11内において、スタッカユニット11の右側面で第2搬送路20(本体搬送路18の下流側端18A)と連続する位置からスタッカユニット11の左側面まで、左側へ略水平に延びている。
縦搬送路39は、スタッカユニット11内において、横搬送路38から分岐し、8つのスタッカ34よりも右側の位置で下方へ略垂直に延びている。縦搬送路39の下端は、スタッカユニット11の底面の手前(上方)にある。各スタッカユニット11内において、上下8つのスタッカ34は、共通の縦搬送路39に沿って略垂直に配置されている。
分岐路40は、スタッカ34と同数(ここでは8本)設けられており、これらの分岐路40は、等間隔で上下に並んでいる。最下端以外の7本の分岐路40は、縦搬送路39から分岐し、上下方向で同じ位置にあるスタッカ34に対して右側から接続されている。最下端の分岐路40は、縦搬送路39の下端から連続し、最下端のスタッカ34に対して右側から接続されている。
また、スタッカユニット11内には、スタッカ搬送路37に臨む複数の位置に、モータ(図示せず)に回転駆動される大小様々の搬送ローラ41(搬送ベルトでもよい)が設けられている。
また、スタッカ搬送路37において、縦搬送路39が横搬送路38から分岐する位置や、各分岐路40が縦搬送路39から分岐する位置には、前述した切換部材33と同様の切換部材42が設けられている。
第2搬送路20からスタッカ搬送路37に受け渡された投票用紙Hは、回転する各搬送ローラ41によって、横搬送路38を搬送される。投票用紙Hは、そのまま横搬送路38を搬送されたり、縦搬送路39に搬送された後に、いずれかの分岐路40を流れて、この分岐路40が接続されたスタッカ34に収納されたりする。
また、図3に示すように、本体ユニット10に連結されたスタッカユニット11に対して、増設のスタッカユニット11が連結されている場合には、横搬送路38を通過した投票用紙は、増設のスタッカユニット11の横搬送路38に受け渡されて、そのまま横搬送路38を流れたり、増設のスタッカユニット11のスタッカ34に収納されたりする。
次に、ホッパー16にセットされた投票用紙Hが投票用紙分類機3内で流れる様子を説明する。ここで、投票用紙Hにおいて、候補者名(ここでは、「G」という候補者名とする)が記入される面を表面といい、当該表面とは反対側の面を裏面ということにする。
ホッパー16の底面16Aには、投票用紙Hが積層状態でセットされる。このとき、投票用紙Hは、長手方向が前後方向に沿うようにセットされるが、表裏や候補者名の向きを揃えることなくセットされる。図3の符号H1を付した投票用紙Hのように、表面が上を向いていて、当該表面の候補者名が後側(図3の奥側)から前側(図3の手前側)へ記入されている姿勢が、その後の姿勢変換が不要となる正しい姿勢である。
底面16Aに投票用紙Hがセットされた後、係員が操作ボタン7(図1参照)を押すと、搬送ローラ24および取込ローラ25が回転し、投票用紙Hが、底面16Aに近い側から順に、第1搬送路19に1枚ずつ取り込まれる。このときの投票用紙Hの搬送方向は、投票用紙Hの短手方向に沿っている。第1搬送路19を流れる投票用紙Hは、第1読取センサ31を通過する際に、上面の画像が第1読取センサ31によって読み取られ、第2読取センサ32を通過する際に、下面の画像が第2読取センサ32によって読み取られる。つまり、第1読取センサ31および第2読取センサ32によって、(ホッパー16にセットされてから取り込まれた)投票用紙Hの表裏の両面の画像が1枚ずつ順次読み取られる。読み取られた画像は、制御PC4(図1参照)に送信される。
制御PC4は、受信した画像から、当該画像が読み取られた投票用紙Hが、前述した確定票であるか否かや、確定票でない場合にはいずれの未確定票(白票、無効票、疑問票、按分票または搬送不良票)であるのかを識別する。つまり、制御PC4は、確定票と未確定票とを識別するだけでなく、白票、疑問票、無効票および按分票のうち少なくとも1つ以上(ここでは全て)を未確定票に識別する。
投票用紙Hから読み取られた上面の画像および下面の画像のいずれか一方に、今回の選挙の候補者名が1つだけ含まれていれば、制御PC4は、当該投票用紙Hが確定票であると識別する。制御PC4は、候補者名で想定される記入例(字体や書体等)を候補者毎に記憶しているので、記入された候補者名において文字の大きさや綺麗さ等に、ある程度のばらつきがあっても、所定の候補者名が記入されているのか否かを識別できる。
投票用紙Hから読み取られた上面の画像および下面の画像のいずれかにも、候補者名が含まれていなければ(候補者名の記載がされていなければ)、制御PC4は、当該投票用紙Hが白票であると識別する。投票用紙Hから読み取られた上面の画像および下面の画像のいずれかに、選挙の対象となる候補者名以外の事項(投票用紙Hに元々記載されている事項を除く)が含まれていれば、制御PC4は、当該投票用紙H(候補者名以外の氏名の記載や余計な記載のある投票用紙H)が無効票であると識別する。投票用紙Hから読み取られた上面の画像および下面の画像のいずれか一方に、何らかの記載事項が含まれているもののその記載内容が識別不能であれば、制御PC4は、当該投票用紙Hが疑問票であると識別する。投票用紙Hから読み取られた上面の画像および下面の画像のいずれか一方に、複数の候補者名のいずれかと特定できないような紛らわしい名前が含まれていれば、制御PC4は、当該投票用紙H(複数の候補者が該当する記載の投票用紙H)が按分票であると識別する。
また、第1読取センサ31および第2読取センサ32のうち、ホッパー16に近い方の読取センサ(ここでは第1読取センサ31)は、通過しようとする投票用紙Hの先端縁(エッジ)を読み取ることによって、投票用紙Hが斜行状態で搬送されていることを検出したり、投票用紙Hが重送状態で搬送されていることを検出したりすることができる。
正常であれば投票用紙Hの先端縁は、横一直線となって読取センサ(ここでは第1読取センサ31)を同時に通過するはずなのに、先端縁が当該読取センサを通過するのに時間がかかると、投票用紙Hは、ホッパー16から本体搬送路18に斜めに取り込まれて斜行状態で搬送されていることになる。
一方、複数枚の投票用紙Hの先端縁が予定よりも短いタイミングで当該読取センサを通過すると、投票用紙Hは、ホッパー16から複数枚が重なった状態で本体搬送路18に一度に取り込まれて重送状態で搬送されていることになる。
当該読取センサは、投票用紙Hが斜行状態や重送状態で搬送されていること(投票用紙Hの取り込み不具合が生じたこと)を検出すると、その旨を制御PC4に送信する一方で、当該投票用紙Hの画像を読み取らない。制御PC4は、当該旨を受信すると、そのときに当該読取センサを通過している投票用紙Hが搬送不良票であると識別する。投票用紙Hの取り込み不具合には、斜行状態や重送状態以外に、斜行状態と重送状態が同時に起きている状態等がある。なお、投票用紙Hの厚みや重さを検出することによって重送状態を検出してもよい。ここでは、投票用紙Hの画像を読み取る読取センサによって投票用紙Hの斜行状態や重送状態を検出する方式で説明したが、読取センサとは別に、斜行検知センサや重送検知センサを設けるようにしてもよい。
このように、制御PC4は、第1読取センサ31および第2読取センサ32から受信した内容(画像である場合もあれば、画像でなく、取り込み不具合が生じた旨の信号である場合もある)に基づいて、この内容に対応する投票用紙Hの種類(確定票か否か、確定票でない場合にはどういう種類の未確定票か)を識別する。そして、第1読取センサ31および第2読取センサ32は、前記内容を、ホッパー16から送り込まれたものから1枚分ずつ、順次、制御PC4に送信するので、制御PC4は、ホッパー16にセットされた投票用紙Hを1枚ずつ順次識別することになる。第1読取センサ31および第2読取センサ32を通って制御PC4によって識別された投票用紙Hは、本体搬送路18やスタッカ搬送路37によって、スタッカ34やリジェクトトレイ17へと搬送されることになる。ここで、スタッカ34まで搬送される投票用紙Hは、本体搬送路18によって下流側端18Aまで搬送された後に、下流側端18Aから繰り出されて、スタッカ搬送路37経由で所定のスタッカ34まで搬送され、当該スタッカ34に収納される。
また、制御PC4は、投票用紙Hを順次識別するのに応じて、同じ候補者名が記入された確定票、各種類の未確定票のそれぞれをカウントすることができる。カウント結果(開票結果)は、制御PC4に設けられた表示部8に表示されたり、プリンター5によって紙出力されたりする(図1参照)。
また、制御PC4は、第1読取センサ31および第2読取センサ32から受信した2種類の画像(前述した上面および下面の画像)に基づいて、当該画面が読み取られた投票用紙Hの姿勢を識別することもできる。具体的には、前述した正しい姿勢の投票用紙H(投票用紙H1参照)を基準とすると、上面の画像に、候補者名が後側から前側へ記入されて、下面の画像に候補者名が記載されていない場合、制御PC4は、投票用紙Hが正しい姿勢にあることを識別する。逆に、制御PC4は、投票用紙Hが正しい姿勢にないことを識別すれば、どのようにすれば投票用紙Hを正しい姿勢にすることができるのかを判断することができる。つまり、制御PC4は、投票用紙Hを長手方向の軸回りに反転(180°回転)させたり、短手方向の軸回りに反転させたり、両方の反転を行ったりするうちのいずれをすれば、投票用紙Hを正しい姿勢にすることができるのかを判断する。
以下では、識別を受けた投票用紙Hが確定票であることを前提にして説明する(図3参照)。
前述したように正しい姿勢でホッパー16にセットされた投票用紙H(H1)は、スイッチバック搬送路21やリジェクト搬送路22やスパイラル搬送路23に分岐することなく、本体搬送路18をひたすら流れて、スタッカユニット11(増設されたスタッカユニット11も含む)のスタッカ搬送路37に受け渡され、前述したようにいずれかのスタッカ34(対応する候補者名のスタッカ34)に収納される。スタッカ34に収納された状態の投票用紙H(符号H2を付したものを参照)は、ホッパー16にセットされたときと同様に(投票用紙H1)、正しい姿勢でスタッカ34に収納されている。
正しい姿勢でホッパー16にセットされた投票用紙H(H1)がスイッチバック搬送路21に分岐した場合には、反転空間26に進入して奥部分のガイド部材29に当接した後に、時計回りに回転する叩きローラ27の叩きゴム27Aによって上向きに叩き付けられて搬送ベルト28に押し付けられる。これにより、投票用紙Hは、反時計回りに周回移動する搬送ベルト28によって反転空間26から右側へスイッチバック搬送される。このとき、投票用紙Hは、符号H3で示すように、反転空間26に進入するときと逆向きに搬送される。スイッチバック搬送された投票用紙Hは、その後は本体搬送路18をひたすら流れてスタッカ34に収納される。スタッカ34に収納された状態の投票用紙H(符号H4を付したものを参照)は、ホッパー16にセットされたときとは異なり(投票用紙H1)、投票用紙H1が長手方向の軸回りに反転したときの姿勢でスタッカ34に収納されている。このように、スイッチバック搬送路21は、(本体搬送路18を搬送される)投票用紙Hの表裏および搬送方向(短手方向における向き)を反転させることができる。
正しい姿勢でホッパー16にセットされた投票用紙H(H1)が、本体搬送路18をひたすら流れて第2搬送路20とスパイラル搬送路23との分岐位置の手前(上流側)に到達したとき、右側から見た当該投票用紙Hには、符号H5が付されている。投票用紙H5が引き続き本体搬送路18をひたすら流れてスタッカ34に収納されると、符号H2を付すように、ホッパー16にセットされたときと同様に(投票用紙H1)、正しい姿勢でスタッカ34に収納される。
一方、投票用紙H5は、スパイラル搬送路23に分岐すると、スパイラル機構30によって、自身の短手方向の軸回りに反転し、その後、本体搬送路18に合流する。合流後に右側から見た当該投票用紙Hには、符号H6が付されている。投票用紙H6では、投票用紙H5と比べて表裏が逆であって、候補者名「G」の向きも逆になっている。その後、投票用紙H6が本体搬送路18を流れてスタッカ34に収納されると、符号H7を付すように、ホッパー16にセットされたときは表裏および候補者名「G」の向きの両方が逆になった姿勢でスタッカ34に収納される。このように、スパイラル搬送路23は、(本体搬送路18を搬送される)投票用紙Hの表裏を少なくとも反転させることができる。
また、スイッチバック搬送路21でスイッチバック搬送された投票用紙H3が、さらにスパイラル搬送路23を通ってから、スタッカ34に収納されると、符号H8を付すように、ホッパー16にセットされたときは候補者名「G」の向きだけが逆になった姿勢でスタッカ34に収納される。
このように、この投票用紙分類機3では、ホッパー16にセットされた投票用紙H1を、そのままの姿勢(投票用紙H2参照)でスタッカ34に収容したり、スイッチバック搬送路21およびスパイラル搬送路23の両方または一方に通すことで、ホッパー16にセットされたときとは異なる3パターンの姿勢(投票用紙H4,7,8参照)でスタッカ34に収容したりすることができる。
また、前述した未確定票のうち、定められた種類の未確定票は、第1搬送路19においてリジェクト搬送路22に分岐して、リジェクトトレイ17に搬送される。
以上が投票用紙Hの主な流れである。
次に、投票用紙分類機3における電気的構成について説明する。
ここで、本体ユニット10の内部構成は、第1ブロック12に備えられた繰出部45(取込手段)、画像読取部46、搬送部47、スイッチバック反転部48(表裏反転機構、第1反転機構)およびリジェクト部49のそれぞれと、第2ブロック13に備えられたスパイラル反転部50(第2反転機構)とに細分化されている。また、スタッカユニット11の内部構成は、横搬送部51および縦搬送部52に細分化されている。
繰出部45は、ホッパー16、その周囲の搬送ローラ24および取込ローラ25(これらのローラを回転させるモータも含む)、ならびに、第1搬送路19においてホッパー16につながった一部を含んでいる。画像読取部46は、第1読取センサ31、第2読取センサ32、これらのセンサの周囲の搬送ローラ24(搬送ローラ24を回転させるモータも含む)、ならびに、第1搬送路19において第1読取センサ31および第2読取センサ32の周囲の一部を含んでいる。搬送部47は、第1搬送路19において画像読取部46から続く部分と、その周囲の搬送ローラ24(搬送ローラ24を回転させるモータも含む)を含んでいる。
スイッチバック反転部48は、第1搬送路19において搬送部47から続く部分の全てと、スイッチバック搬送路21と、周囲の搬送ローラ24、叩きローラ27および搬送ベルト28(これらのローラおよびベルトを動かすモータも含む)と、ガイド部材29とを含んでいる。スイッチバック反転部48は、さらに、スイッチバック搬送路21およびリジェクト搬送路22のそれぞれと第1搬送路19との分岐部分における切換部材33(切換部材33を動かすソレノイドも含む)も含んでいる。そのため、スイッチバック反転部48は、本体搬送路18の一部(第1搬送路19およびスイッチバック搬送路21)に配置されていることになる。
リジェクト部49は、リジェクトトレイ17と、リジェクト搬送路22と、リジェクト搬送路22の周囲の搬送ローラ24(搬送ローラ24を回転させるモータも含む)とを含んでいる。
第1ブロック12において、繰出部45、画像読取部46、搬送部47、スイッチバック反転部48およびリジェクト部49のそれぞれは、個別に分割可能である。
スパイラル反転部50は、第2搬送路20と、スパイラル搬送路23と、これらの搬送路の周囲の搬送ローラ24(搬送ローラ24を回転させるモータも含む)と、スパイラル機構30と、第2搬送路20とスパイラル搬送路23との分岐部分における切換部材33(切換部材33を動かすソレノイドも含む)とを含んでいる。そのため、スパイラル反転部50は、本体搬送路18の一部(第2搬送路20およびスパイラル搬送路23)に配置されていることになる。
横搬送部51は、横搬送路38と、縦搬送路39において横搬送路38に接続された部分と、横搬送路38の周囲の搬送ローラ41(搬送ローラ41を回転させるモータも含む)と、縦搬送路39と横搬送路38との分岐部分における切換部材42(切換部材42を動かすソレノイドも含む)とを含んでいる。
縦搬送部52は、縦搬送路39と、各分岐路40と、縦搬送路39と各分岐路40との分岐部分における切換部材42(切換部材42を動かすソレノイドも含む)と、縦搬送路39および各分岐路40の周囲の搬送ローラ41(搬送ローラ41を回転させるモータも含む)とを含んでいる。
図4は、投票用紙分類システム1の電気的な構成を示すブロック図である。
図4を参照して、本体ユニット10には、マイクロコンピュータ等で構成された全体制御部55(確定票分類手段、未確定票分類手段、オーバーフロー票振分手段、スイッチバック搬送手段、調整手段)が設けられている。全体制御部55は、繰出部45、画像読取部46、搬送部47、スイッチバック反転部48、リジェクト部49およびスパイラル反転部50のそれぞれの電気部品(前述したモータやソレノイドや第1読取センサ31や第2読取センサ32)に対して電気的に接続されている。また、全体制御部55には、前述した操作ボタン7が電気的に接続されている。本体ユニット10には、USBハブ56といったインターフェースが設けられていて、全体制御部55および画像読取部46は、USBハブ56を介して制御PC4と通信可能につながっている。また、全体制御部55には、前述した各表示ランプ36(図2参照)が電気的に接続されており、全体制御部55は、各表示ランプ36の点灯パターンを制御する。
各スタッカユニット11には、マイクロコンピュータ等で構成されたスタッカ制御部57が設けられていて、スタッカ制御部57は、横搬送部51および縦搬送部52のそれぞれの電気部品(前述したモータやソレノイド)に対して電気的に接続されている。また、各スタッカユニット11のスタッカ制御部57は、全体制御部55と通信可能に接続されている。
また、本体ユニット10には、プラグ58経由で外部から電力を受ける電源装置59が設けられていて、電源装置59から、全体制御部55、繰出部45、画像読取部46、搬送部47、スイッチバック反転部48、リジェクト部49およびスパイラル反転部50のそれぞれに対して電力が供給される。また、スタッカユニット11を増設した場合、電源装置59の電力は、本体ユニット10に直列で連結された4台のスタッカユニット11(図4では2台目および3台目のスタッカユニット11の図示を省略している)にも供給できるようになっていて、電源装置59から、各スタッカユニット11におけるスタッカ制御部57、横搬送部51および縦搬送部52のそれぞれに対して電力が供給される。なお、この実施形態では、5台目以降のスタッカユニット11(図4では5台目および6台目のスタッカユニット11を図示している)が増設される場合には、プラグ60経由で外部から電力を受ける増設用電源装置61を別途設けて、増設用電源装置61から5台目以降のスタッカユニット11に対して電力を供給するようになっている。また、4台目と5台目のスタッカユニット11のスタッカ制御部57同士は、増設用電源装置61経由で通信可能になっている。
停止状態の投票用紙分類システム1において、前述したように係員が操作ボタン7を押すと、全体制御部55が、繰出部45、搬送部47、スイッチバック反転部48、リジェクト部49およびスパイラル反転部50のモータを駆動させ、搬送ローラ24や取込ローラ25を回転させたリ、搬送ベルト28を周回移動させたりする。これにより、繰出部45において、ホッパー16にセットされた投票用紙Hが順次繰り出されて本体搬送路18内に取り込まれ、本体搬送路18内を下流側へ搬送される。この際、画像読取部46の第1読取センサ31や第2読取センサ32が、繰出部45によって取り込まれて送られてくる投票用紙Hの表裏の内容(画像)を読み取って制御PC4に送信し、制御PC4は、受信した画像から、当該投票用紙Hの種類を識別するとともに、当該投票用紙Hの姿勢を識別する。制御PC4は、識別の結果、識別した投票用紙Hの搬送先を決定する(後述する)。
制御PC4は、決定した搬送先を全体制御部55に送信する。このとき、当該投票用紙Hの姿勢を変える必要があれば、どのようにするのか(スイッチバック搬送路21およびスパイラル搬送路23の一方または両方を通過させるか)の指示を全体制御部55に送信する。全体制御部55は、受信した内容に基づいて、決定された搬送先へ向かうように前述したソレノイドを制御して切換部材33,42の向きを切り換えて、当該投票用紙Hを、決定された搬送先(スタッカ34やリジェクトトレイ17)まで搬送する。なお、切換部材42の向きを切り換えは、全体制御部55から指示を受けたスタッカ制御部57が行う。また、全体制御部55は、必要に応じて、切換部材33の向きを切り換え、搬送途中の当該投票用紙Hをスイッチバック搬送路21およびスパイラル搬送路23の一方または両方を通過させて、当該投票用紙Hの姿勢を変える。
図5は、投票用紙分類システム1において行われる制御動作の一例を示すフローチャートである。図6は、スタッカユニット11に投票用紙Hが積層された様子を示す模式図である。図7は、スタッカユニット11から取り出された投票用紙Hの積層状態の一例を示す模式図である。
制御PC4は、前述したように、投票用紙Hが搬送不良票であるか否かを識別したり、搬送不良票でない場合における投票用紙Hの種類を識別したりすることができる。
図5を参照して、制御PC4は、本体搬送路18に取り込まれた投票用紙Hについての第1読取センサ31や第2読取センサ32からの受信内容に基づいて、当該投票用紙Hが正常に搬送されているか否か、つまり、前述した搬送不良票を識別したか否かを判断する(ステップS1)。制御PC4は、搬送不良票を識別した場合(ステップS1でNO)、全体制御部55に命令して、搬送不良票と識別した投票用紙Hをリジェクト部49へ搬送させる(ステップS2)。これにより、分類された搬送不良票は、リジェクト部49のリジェクトトレイ17にリジェクトされる(図1〜図3参照)。つまり、全体制御部55は、取り込み不具合に起因して未確定票(搬送不良票)と識別された投票用紙Hを、リジェクトトレイ17に収納する。
取り込み不具合に起因する搬送不良票は、取り込み不具合によって未確定票と識別されただけであって、実際は確定票である可能性が高いので、当該未確定票を、他の種類の未確定票とは分けてリジェクトトレイ17に収納しておけば、後で、当該リジェクトトレイ17から取り出してホッパー16に再セットして再度識別することができて便利である。特に、リジェクトトレイ17は、ホッパー16の近傍であって、リジェクトトレイ17に収納された投票用紙Hを取り出してホッパー16に再セットしやすい位置にあるので(図1参照)、リジェクトトレイ17からホッパー16への搬送不良票の再セットが容易である。また、搬送不良票だけを再度識別する場合には、搬送不良票と他の種類の未確定票とを混合状態で再度識別する場合に比べて、再識別に要する時間の短縮を図れる。
なお、搬送不良票の収納先は、ホッパー16に近いのであれば、必ずしもリジェクトトレイ17でなくてもよく、たとえば、本体ユニット10に直接連結された(リジェクトトレイ17に最も近い)スタッカユニット11におけるいずれかのスタッカ34(たとえば最下端のスタッカ34)であってもよい(図2参照)。
また、制御PC4は、搬送不良票を識別しない場合(ステップS1でYES)、第1読取センサ31や第2読取センサ32からの受信内容(前述した画像)に基づいて、当該画像が読み取られた投票用紙Hが確定票か否かを識別する(ステップS3)。
制御PC4は、当該投票用紙Hが確定票であることを識別すると(ステップS3でYES)、当該投票用紙H(確定票)がオーバーフロー票であるか否かを識別する(ステップS4)。前述したように、制御PC4は、確定票の枚数を候補者名毎にカウントしているので、収納先のスタッカ34における現時点での確定票の収納枚数を把握している。スタッカ34では、収納可能枚数が決まっている。または、予め設定された枚数(設定枚数)までの投票用紙Hがスタッカ34に収納できるようになっている。当該投票用紙Hが、当該収納可能枚数または前記設定枚数を超えない分の投票用紙Hに該当するのであれば、制御PC4は、当該投票用紙Hがオーバーフロー票でないと識別し(ステップS4でNO)、当該投票用紙Hが、当該収納可能枚数または設定枚数を超えた分の投票用紙Hに該当するのであれば、制御PC4は、当該投票用紙Hがオーバーフロー票であると識別する(ステップS4でYES)。
制御PC4は、当該投票用紙H(確定票)がオーバーフロー票でないと識別した場合(ステップS4でNO)、全体制御部55に命令して、この確定票を候補者用スタッカ34へ搬送させる(ステップS5)。候補者用スタッカ34は、この確定票に記入された候補者名に割り当てられたスタッカ34であり、1つだけでもよいし、複数あってもよい。たとえば、開票前から獲得票数が多いと見込まれる候補者であれば、他の候補者よりも多くの候補者用スタッカ34が割り当てられる。
このように、全体制御部55は、制御PC4での識別結果において確定票と識別された投票用紙Hを、予め定める態様(候補者毎に候補者用スタッカ34に振り分ける態様)で分類する。図6を参照して、「A」という候補者名が記入された投票用紙H(確定票)と、「B」という候補者名が記入された投票用紙H(確定票)とがあるとする。「A」が記入された確定票は、図6における一番上のスタッカ34に、前述した正しい姿勢で積層されて収納されており、「B」が記入された確定票は、図6における上から2番目のスタッカ34に、前述した正しい姿勢で積層されて収納されている。
図5を参照し、制御PC4は、当該投票用紙H(確定票)がオーバーフロー票であると識別した場合(ステップS4でYES)、全体制御部55に命令して、このオーバーフロー票をオーバーフロー票用スタッカ34へ搬送させる(ステップS6)。オーバーフロー票用スタッカ34は、確定票がオーバーフロー票でない場合に収納されるべきであった候補者用スタッカ34と同じ並びのスタッカ34における最下端のスタッカ34である(図2参照)。ステップS4およびS6の処理において、制御PC4は、(スタッカユニット11における)ある候補者用スタッカ34に縦搬送路39を介して収納される投票用紙Hの枚数が、その候補者用スタッカ34に収納可能な枚数(前述した収納可能枚数または設定枚数)を超えたことを検出し、全体制御部55は、この検出に応じて、(収納可能枚数または設定枚数を)超えた投票用紙Hを縦搬送路39の末端に位置するオーバーフロー票用スタッカ34へ振り分ける。
そのため、ある候補者用スタッカ34に投票用紙H(確定票)が収納される場合において、投票用紙Hの枚数が、その候補者用スタッカ34に収納可能な枚数または設定枚数を超えると、超えた分の投票用紙Hは、オーバーフロー票として、当該候補者用スタッカ34の近くのオーバーフロー票用スタッカ34に振り分けられるので、オーバーフロー票と、当該候補者用スタッカ34に収納された投票用紙Hとを関連付けて把握できて便利である。
また、ステップS3において、制御PC4は、(第1読取センサ31や第2読取センサ32によって画像が読み取られた)投票用紙Hが確定票でないことを識別すると(ステップS3でNO)、当該投票用紙H(未確定票)の種類(搬送不良票以外の種類)を識別する(ステップS7)。
制御PC4は、未確定票が所定の種類であることを識別すると(ステップS7でYES)、全体制御部55に命令して、この未確定票について裏向き処理を行わせる(ステップS8)。ここでの所定の種類の未確定票は、一例として、按分票としている。そして、裏向き処理とは、当該所定の種類の未確定票が最終的にスタッカ34に収納されたときに、当該未確定票の裏面が上を向くように、必要に応じて、搬送途中の当該未確定票をスイッチバック搬送路21やスパイラル搬送路23に通すことである。
そして、制御PC4は、全体制御部55に命令して、未確定票を未確定票用スタッカ34へ搬送させる(ステップS9)。未確定票用スタッカ34は、スタッカユニット11におけるいずれかのスタッカ34(候補者用スタッカ34およびオーバーフロー票用スタッカ34以外のスタッカ34)であって、未確定票の種類に応じて複数設けられていてもよいし、未確定票の種類を問わない共通のスタッカ34として1つだけ設けられていてもよい。
未確定票用スタッカ34が未確定票の種類に応じて複数設けられている場合、全体制御部55は、制御PC4が識別した未確定票の要因である白票、疑問票、無効票、按分票に応じ、未確定票をそれぞれ異なる未確定票用スタッカ34に収納することになる。換言すれば、全体制御部55は、制御PC4が識別した未確定の要因に応じて、未確定の投票用紙H(未確定票)を予め設定されたスタッカ34に収納する。この場合、未確定票は、その要因(白票、疑問票、無効票、按分票)に応じて、予め定められた別々の未確定票用スタッカ34に収納されることから、未確定票用スタッカ34毎に、どの要因の未確定票(白票、疑問票、無効票および按分票のいずれの未確定票)が収納されているのかが一見して分かり、確認作業を効率的に行うことができる。たとえば、白票だけがまとまって収納されていれば、その確認作業は極めて簡単なものになる。
また、ステップS9において、全体制御部55は、前述した所定の種類の未確定票である按分票(制御PC4が識別した未確定票の要因が按分票である投票用紙H)を、所定の未確定票用スタッカ34(第1の特別の収納部)に収納する。そして、全体制御部55は、それ以外の種類の未確定票(制御PC4が識別した按分票以外の未確定票であって、白票、疑問票および無効票の少なくともいずれか)を、当該所定の未確定票用スタッカ34とは別の未確定票用スタッカ34(未確定票収納部)に収納してもよい。このとき、按分票は、ステップS8で裏向き処理を受けているので、当該所定の未確定票用スタッカ34に収納された状態では、裏面(何も記載されていない面)が上を向く態様で収納されている(図6における最下端の未確定票用スタッカ34を参照)。
以上のように、全体制御部55は、制御PC4が識別した結果、確定票と識別されなかった未確定の投票用紙Hを、未確定票として、未確定の要因に応じた分類態様で分類する。そのため、確定票は、未確定の要因に応じた分類態様で分類されて未確定票用スタッカ34に収納されることから、未確定票用スタッカ34における未確定票の分類態様によって、どういう要因による未確定票であるのかが一見して分かるので、その後の未確定票の処理が容易になる。その結果、未確定票に関する利便性の向上を図ることができる。
特に、この実施形態では、按分票の場合、全体制御部55は、所定の未確定要因の未確定票(つまり按分票)を、スイッチバック搬送路21やスパイラル搬送路23を利用して、裏面が上を向く態様で前記所定の未確定票用スタッカ34へ収納するように分類する(図6における最下端の未確定票用スタッカ34を参照)。この場合、前記所定の未確定票用スタッカ34に按分票が収納されていることが一見して分かり、それ以外の未確定票用スタッカ34に按分票以外の未確定票が収納されていることが一見して分かるので、便利である。また、前記所定の未確定票用スタッカ34において裏面が上を向く態様で収納された未確定票は、どういう未確定要因の未確定票であるのか(つまり按分票であること)や、確定票と按分票との違いが一見して把握できるので、票の取り扱いミスを低減できて便利である。
なお、ここでは、按分票だけに裏向き処理を施したが、この処理を施して専用の未確定票用スタッカ34に収納する未確定票の種類は、任意に選択可能である。
また、候補者用スタッカ34やオーバーフロー票用スタッカ34に同一候補者名の確定票を収納する場合において、所定枚数(たとえば100枚)の確定票に対して裏向き処理を施したり、施さなかったりしてもよい。つまり、裏向き処理を施す確定票と、裏向き処理を施さない確定票とが当該所定枚数毎に繰り返し発生するようにする。その場合、図7に示すように、スタッカ34から取り出されて机に積み重ねられた確定票(投票用紙H)において、所定枚数の束Tでは、全部の確定票が表向き(図7では候補者名「A」が上向きで表示されている)になっている一方で、上下隣の束T(ドットを付した束T)では、図7において1つだけ抜き出して示すように、全部の確定票が裏向きになっている。この場合、スタッカ34から取り出されて机の上で積み重ねられた確定票の積層体において、表向きの束Tと裏向きの束Tとが交互に並んでいるので、当該積層体を机の上で積み重ねた後において、当該積層体における確定票の前記所定枚数毎の区切りが分かりやすい。こうしておけば、係員が、束Tの数をカウントしてカウント値に前記所定枚数(ここでは100枚)を乗じて得た値が、当該積層体における確定票の枚数となるので、確定票の計数が楽になる。
もちろん、同一のスタッカ34において、複数の候補者名の確定票を収納する場合において、ある候補者の確定票は表向きとし、別の候補者の確定票は裏向きとしてもよい。
なお、このように投票用紙Hの種類に応じて、表向きや裏向きに分けて投票用紙Hを収納することは、たとえば、紙幣の収納にも適用できる。たとえば、正券の紙幣は、表向きで収納し、損券の紙幣は、裏向きで収納するといった具合である。
次に、スイッチバック反転部48についてさらに詳しく説明する。
図8は、スイッチバック反転部48の模式的な断面図である。
ここでは、前述した全体制御部55がスイッチバック反転部48の一部であるとする。
図8を参照して、スイッチバック反転部48は、その筐体をなす例えばボックス状のフレーム65を備えている。フレーム65において、下面の左寄りの位置には入口66が形成され、上面の右寄りの位置には、出口67が形成されている。入口66と出口67との間を、前述した本体搬送路18(第1搬送路19)においてスイッチバック反転部48に配置される部分がつないでいる。なお、ここでは、前述したリジェクト搬送路22のことを考慮しない。
第1搬送路19は、太い実線矢印で示すように、入口66から下流側へ延びて出口67へ到っており、出口67において、第2搬送路20(図3参照)につながっている。詳しくは、第1搬送路19は、入口66から上方へ延びてから右側へ湾曲して右側へ略水平に延び、フレーム65の右側壁の手前で上向きに湾曲しながら左側へ延び、さらに、上向きに湾曲しながら右側へ延びた後に、上側へ湾曲して出口67につながっている。
フレーム65内には、このような第1搬送路19に沿って適宜湾曲した無端状の搬送ベルト28Aが配置されていて、搬送ベルト28Aの周囲には、搬送ベルト28Aの形状を規定する搬送ローラ24が複数配置されている。各搬送ローラ24の回転方向は、それぞれの搬送ローラ24に図示された方向であり、このように各搬送ローラ24が回転することによって、搬送ベルト28Aは、時計回りに周回移動し、第1搬送路19における入口66から出口67までの投票用紙Hの搬送が達成される。つまり、第1搬送路19は、入口66において上流側から投票用紙Hを受け入れて出口67まで搬送し、出口67から当該投票用紙Hをスイッチバック反転部48の外へ排出することができる。
搬送ベルト28Aの左側部分(入口66側部分)には、無端状の搬送ベルト28Bが上から乗りかかるように配置されている。搬送ベルト28Bの輪郭は、「へ」の字をなしており、この輪郭が保たれるように、搬送ベルト28Bの内側には、3つの搬送ローラ24が左右に並んで配置されている。これら3つの搬送ローラ24のうち、真ん中の搬送ローラ24は、残り2つの搬送ローラ24よりも上側に配置されている。搬送ベルト28Bの下側周面は、搬送ベルト28Aの左側部分の上側周面に上から対向しており、当該下側周面と当該上側周面との間が、入口66付近の第1搬送路19になっている。搬送ベルト28Bの内側の各搬送ローラ24の回転方向は、それぞれの搬送ローラ24に図示された方向であり、このように各搬送ローラ24が回転することによって、搬送ベルト28Bは、反時計回りに周回移動する。
前述したスイッチバック搬送路21は、搬送ベルト28Bの右端の搬送ローラ24において搬送ベルト28Aに接続された部分を始点(第1搬送路19からの分岐点B)として、太い破線矢印で示すように、下流側へ向けて、上側へ湾曲しながら左側へ延び、前述した反転空間26を介して右側へ延びて出口67側の第1搬送路19に合流している。分岐点Bには、前述した切換部材33(図3参照)が設けられている。スイッチバック搬送路21と第1搬送路19との合流位置には、符号Gが付されている。
フレーム65内には、左右に長く上下に扁平な搬送ベルト28C(スイッチバック搬送手段)が設けられている。図3での説明において言及した搬送ベルト28とは、搬送ベルト28Cのことである。搬送ベルト28Cの輪郭が保たれるように、搬送ベルト28Cの内側には、3つの搬送ローラ24が左右に並んで配置されている。
搬送ベルト28Cの下側周面は、搬送ベルト28Aおよび28Bの両方に跨るように、これらの搬送ベルト28Aおよび28Bの上方に配置されている。搬送ベルト28Cの下側周面の右側部分は、搬送ベルト28Aの外周面に対して上から接触している。搬送ベルト28Cの下側周面の右側部分と搬送ベルト28Aの外周面との間に、第1搬送路19において出口67の手前で右側へ延びている部分が区画されている。搬送ベルト28Cの下側周面の左側部分は、搬送ベルト28Bの外周面(搬送ベルト28B内の右側2つの搬送ローラ24に掛け回された部分)に対して上から対向している。搬送ベルト28Cの下側周面の左側部分と搬送ベルト28Bの外周面との間に、反転空間26が形成されている。
反転空間26は、前述したように正面視で左側へ向けて細くなる三角形状の断面を有する1つの空間(破線のハッチングを付した部分)であって、その左端部は、反転空間26の奥部分である。また、前述したように、反転空間26において、奥部分にガイド部材29が設けられ、奥部分とは反対側(右側)に、叩きローラ27が設けられている。叩きローラ27は、図8で叩きローラ27に付した矢印に示すように時計回りに回転する。
搬送ベルト28Cの下側周面において叩きローラ27よりも右側であって搬送ベルト28Aに接触していない部分は、出口67側におけるスイッチバック搬送路21である。搬送ベルト28Cの内側の各搬送ローラ24の回転方向は、それぞれの搬送ローラ24に図示された方向であり、このように各搬送ローラ24が回転することによって、搬送ベルト28Cは、反時計回りに周回移動し、反転空間26より下流側におけるスイッチバック搬送路21での投票用紙Hの搬送が達成される。
第1搬送路19において入口66から(スイッチバック搬送路21との)分岐点Bまでの部分と、スイッチバック搬送路21において分岐点Bから反転空間26までの部分とは、入口側搬送路68を構成している。入口側搬送路68は、入口66に接続され、入口66から受け入れられた投票用紙Hを搬送するためのものである。また、第1搬送路19においてスイッチバック搬送路21との合流点Gから出口67までの部分と、スイッチバック搬送路21において反転空間26から合流点Gまでの部分とは、出口側搬送路69を構成している。出口側搬送路69は、出口67に接続され、入口側搬送路68で搬送された投票用紙Hを出口67まで搬送するためのものである。
反転空間26は、入口側搬送路68と出口側搬送路69との間に位置し、これらの搬送路68,69を中継している。また、反転空間26の奥部分(左端部)は、入口側搬送路68側(入口側搬送路68につながった右側)とは反対側になる。
前述したように、投票用紙Hがスイッチバック搬送路21に分岐した場合(つまり入口側搬送路68をそのまま流れた場合)には、投票用紙Hは、左側へ向かって反転空間26に進入して奥部分のガイド部材29に当接し、それ以上進入できなくなる。換言すれば、ガイド部材29は、反転空間26の奥部分において(入口側搬送路68から反転空間26に受け入れられた)投票用紙Hに当接することによって、当該投票用紙Hの反転空間26への(左右方向の)進入距離Xを所定距離に規定する。進入距離Xは、反転空間26の奥行きであり、ガイド部材29から叩きローラ27のプーリ(叩きゴム27A以外の部分)までの最短直線距離である。
ガイド部材29に当接して、それ以上反転空間26の奥へ進入できなくなった投票用紙Hは、時計回りに回転する叩きローラ27の叩きゴム27Aによって上向きに叩き付けられて搬送ベルト28Cに押し付けられる。そして、投票用紙Hは、反時計回りに周回移動する搬送ベルト28によって反転空間26から右側へスイッチバック搬送されて出口側搬送路69に受け渡される。
つまり、反転空間26は、入口側搬送路68で搬送された投票用紙Hを受け入れて反転させてから出口側搬送路69に受け渡すためのものである。また、搬送ベルト28Cおよびその駆動を制御する全体制御部55(図4参照)は、反転空間26に受け入れられた投票用紙Hを、出口側搬送路69へ向けて、入口側搬送路68から反転空間26への受入方向(左側)とは逆向き(右側)に搬送していることになる。
ここで、投票用紙Hの大きさは、選挙毎に常に一定とは限らず、サイズの小さい投票用紙Hや、サイズの大きい投票用紙Hが存在する。小さい投票用紙Hは、反転空間26の奥部分まで進入してしまうと、叩きローラ27の叩きゴム27Aが当該投票用紙Hに届かなくなり、反転空間26に滞留してしまう虞がある。大きい投票用紙Hは、反転空間26に収まりきらなくなってしまい、当該投票用紙Hにおいて反転空間26からはみ出した部分に叩きゴム27Aが無理にぶつかることで当該部分が折れ曲り、その後の搬送においてジャムを発生する虞がある。
そこで、このスイッチバック反転部48では、投票用紙Hの大きさに応じて、前述した進入距離Xを調整できるようになっている。投票用紙Hの大きさに応じて、投票用紙Hの短手方向寸法と一致するように進入距離Xが調整されると、当該投票用紙Hが、反転空間26に収まりきった状態で反転空間26の奥部分まで進入したときに、叩きローラ27の叩きゴム27Aが当該投票用紙Hに十分届く(叩ける)ようになる。
進入距離Xを調整するために、スイッチバック反転部48には、投票用紙Hの大きさに応じて、反転空間26におけるガイド部材29の位置を調整する位置調整機構70(調整手段)が設けられている。
位置調整機構70は、ガイド部材29を支持するベース71と、ベース71に連結されて左右に延びるラック72と、ラック72に噛合するピニオン73とを主に含んでいる。ピニオン73の回転軸は、スイッチバック反転部48(投票用紙分類機3)の前後方向(図8の紙面に垂直な方向)に延びている。ピニオン73が時計回りまたは反時計回りに回転することによって、ラック72が、ベース71を伴って左右にスライドする。これにより、ガイド部材29も左右にスライドし、進入距離Xが調整される。
図9は、スイッチバック反転部48の要部の斜視図である。
図9を参照して、位置調整機構70について詳説する。なお、図9では、投票用紙分類機3の背面側から位置調整機構70およびその周辺部品を見ている。
位置調整機構70は、ベース71、ラック72およびピニオン73以外に、連結部74、被検知部75、位置検知センサ76、スライドシャフト77、ベースシャフト78、ベースピニオン79、本体ラック80とを含んでいる。
ベース71は、前後方向に長手の板状であり、その断面(前後方向の直交する断面)は略L字状をなしている。ベース71の(図9における)左端縁に、複数(ここでは6つ)の縦長爪状のガイド部材29が前後方向に間隔を隔てた状態で連結されている。
ラック72は、左右に長手のブロック状であり、その下面に、ギア歯72Aが形成されている。
ピニオン73に関連して、スイッチバック反転部48は、ステッピングモータ81(調整手段、駆動機構)を備えている。ステッピングモータ81の出力軸(図示せず)にピニオン73が取り付けられており、ラック72のギア歯72Aに対して下側から噛合している。ステッピングモータ81の駆動は、前述した全体制御部55(図4参照)によって制御される。ステッピングモータ81が駆動されることによって、ピニオン73が前述したように回転し、ラック72が左右にスライドする。
また、スイッチバック反転部48は、ステッピングモータ81の脱調検知用のロータリーエンコーダ82を備えている。ロータリーエンコーダ82の回転軸(図示せず)には別のピニオン83が取り付けられており、ピニオン73の(図9における)右側において、ラック72のギア歯72Aに対して下側から噛合している。
連結部74は、平面視でクランク状に折れ曲っており、ラック72とベース71との間に架設されている。連結部74は、ラック72から前側(図9における右奥側)へ延びてから(図9における)右側へ折れ曲り、さらに前側へ折れ曲ってベース71の後端部(図9における左手前側の端部)に連結されている。これにより、ベース71(ガイド部材29も含む)とラック72と連結部74とは一体化されている。そのため、ステッピングモータ81が駆動されてピニオン73が回転すると、ガイド部材29とベース71とラック72と連結部74とが一体となって左右にスライドする。
被検知部75は、連結部74の上面から上方へ突き出た板状であり、連結部74に一体化されているので、連結部74とともに左右にスライドできる。
位置検知センサ76は、たとえばフォトインタラプタであって、前後に離れて配置される発光素子76Aおよび受光素子76Bを含んでいる。発光素子76Aによって発光された検知光は、受光素子76Bに受光されるようになっている。被検知部75は、左右にスライドする際、発光素子76Aと受光素子76Bとの間を横切るように移動する。ガイド部材29は、所定の中立位置から左右に移動するようになっているのだが、位置検知センサ76は、被検知部75を検知するか(検知光が被検知部75によって遮光されているか)否かによって、ガイド部材29が中立位置にあるか否かを検知する。位置検知センサ76による検知結果は、全体制御部55に入力されるようになっている。
スライドシャフト77は、左右に延びる軸状体であって、その両端部は、取付ステー84を介してスイッチバック反転部48のフレーム65(図8参照)に固定されている。連結部74には、その上面からスライドシャフト77側に突出する複数(ここでは2つ)の支持プレート85が設けられている。各支持プレート85に設けられた貫通孔85Aにスライドシャフト77が挿通され、スライドシャフト77は、各支持プレート85によって左右に摺動可能に支持されている。スライドシャフト77は、支持プレート85において連結部74(つまり、ガイド部材29)の左右のスライドをガイドする。
ベースシャフト78は、ベース71と平行に延びるとともに、ベース71によって支持されている。ベースシャフト78は、ベース71とともに左右にスライドできる。ベースシャフト78は、ベース71から前後両側へはみ出しており、ベースシャフト78の両端部に、ベースピニオン79が1つずつ取り付けられている。ベースピニオン79は、軸受を介してベースシャフト78によって回転自在に支持されている。
本体ラック80は、左右に長手のブロック状であり、その下面に、ギア歯80Aが形成されている。本体ラック80は、各ベースピニオン79の上方に1つずつ設けられている。本体ラック80は、フレーム65に固定されている。各ベースピニオン79は、その真上の本体ラック80のギア歯80Aに対して下側から噛合している。ベース71がガイド部材29とともに左右にスライドする際、各ベースピニオン79は、その真上の本体ラック80のギア歯80Aに噛合した状態で回転しながら左右に移動する。これにより、ベース71およびガイド部材29は、水平度を保った安定した状態で、左右に移動できる。
この実施形態の位置調整機構70では、短手方向の寸法が76mm〜98mmの投票用紙Hに対応できるように、ガイド部材29が左端から右端まで22mm移動できる。そのため、前述した進入距離Xを22mmの範囲で調整できる。たとえば、前述した中立位置は、短手方向の寸法が80mmの投票用紙Hのときのものであるとする。
今回の選挙で取り扱う投票用紙Hの短手方向の寸法が80mmより小さい場合、係員は、80mmからの差分だけガイド部材29が中立位置から入口側搬送路68側(図8における右側であり、図9における左側)に接近するように、制御PC4に設けられた操作部9(図1参照)を操作する。すると、制御PC4からの指令を受けた全体制御部55(図4参照)が、ステッピングモータ81を駆動し、ガイド部材29が前記差分だけ移動するまで、図9における反時計回りにピニオン73を回転させる。これにより、進入距離Xが、今回の投票用紙Hの大きさに応じて、小さくなるように調整される。
一方、今回の選挙で取り扱う投票用紙Hの短手方向の寸法が80mmより大きい場合、係員は、80mmからの差分だけガイド部材29が中立位置から入口側搬送路68とは反対側(図8における左側であり、図9における右側)に移動するように、制御PC4の操作部9を操作する。すると、制御PC4からの指令を受けた全体制御部55が、ステッピングモータ81を駆動し、ガイド部材29が前記差分だけ移動するまで、図9における時計回りにピニオン73を回転させる。これにより、進入距離Xが、今回の投票用紙Hの大きさに応じて、大きくなるように調整される。
ここで、ステッピングモータ81は、ガイド部材29の位置を調整するように位置調整機構70に駆動力を与えていることになる。
以上のように、投票用紙Hの大きさに応じて、調整手段(図8および図9では、全体制御部55、ガイド部材29、位置調整機構70およびステッピングモータ81)が、入口側搬送路68から反転空間26に受け入れられる投票用紙Hの反転空間26への進入距離Xを調整する。そのため、投票用紙Hを、その大きさにかかわらず、反転空間26で確実に反転させてから出口側搬送路69に受け渡すことによって、投票用紙Hのスイッチバック搬送を確実に行うことができる。
特に、進入距離Xを所定距離に規定するガイド部材29の位置を、投票用紙Hの大きさに応じて、位置調整機構70によって調整することで、当該進入距離Xを自在に調整することができる。
また、このようなスイッチバック反転部48を有する投票用紙分類機3では、投票用紙Hの大きさにかかわらず投票用紙Hのスイッチバック搬送を確実に行うことができる。
以上では、ガイド部材29の位置を電動で自動調整するようにしているが、手動で調整するようにしてもよい。たとえば、位置調整機構70において、点線で示すようなレバー状の操作部86をベース71に取り付ける。そして、係員が第1ブロック12内のスイッチバック反転部48にアクセスして操作部86を掴み、左右に動かすと、ガイド部材29が左右に移動する。つまり、操作部86を手動操作することによってガイド部材29の位置を調整することができる。
また、ガイド部材29に、ベース71において左右方向で取り付けられる位置の異なる複数の種類が設けられていて、ベース71に対して着脱可能であってもよい。たとえば、ガイド部材29には、図9に示すようにベース71の左端縁に取り付けられる種類の他に、ベース71の右端縁に取り付けられる種類のものや、それ以外の部分の取り付けられる種類のものがある。ガイド部材29を、それぞれの種類毎に選択的にスイッチバック反転部48に組み込むと、前述した進入距離Xを、ガイド部材29の種類毎に応じて段階的に調整できる。つまり、前述したようにガイド部材29は進入距離Xを所定距離に規定するものだが、この所定距離を複数設定しておいて、各所定距離に応じてガイド部材29に複数の種類を設けてガイド部材29を適宜交換してもよい。この場合、ガイド部材29を交換することによって、進入距離Xを自在に調整することができる。
また、ガイド部材29を用いないで進入距離Xを調整する構成も考えられる。
図10は、変形例に係るスイッチバック反転部48の模式図である。
図10に示すスイッチバック反転部48では、入口66、出口67、第1搬送路19、スイッチバック搬送路21、これらの搬送路の分岐点Bおよび合流点G、入口側搬送路68ならびに出口側搬送路69が図示されている。また、叩きローラ27や反転空間26(点線で囲まれた部分)も図示されている。この場合の進入距離Xは、叩きローラ27の前記プーリから反転空間26の奥(図10の左端)までの最短直線距離であるとする。
このスイッチバック反転部48には、1対の取込ローラ87(スイッチバック搬送手段、調整手段)と、これらの取込ローラ87を回転駆動するモータ88(調整手段)とが設けられている。1対の取込ローラ87は、前後方向に回転軸が延びた状態で上下に並んでおり、互いに接触している。1対の取込ローラ87の接触部分は、反転空間26内に露出されている。モータ88の駆動は、全体制御部55によって制御される。
図10において、入口66から入口側搬送路68に進入した投票用紙Hは、反転空間26に対して右側から進入し、その先端(左端)が1対の取込ローラ87の間に進入すると、回転する取込ローラ87によって反転空間26の奥(左側)へ引きずりこまれる。その後、取込ローラ87は逆回転するので、投票用紙Hは、今までとは逆向きに搬送されて右側へ移動し、その先端側(右側)が叩きローラ27によって叩き上げられることによって出口側搬送路69に受け渡され、出口67へと向かう。つまり、取込ローラ87は、全体制御部55の指示によって、反転空間26に受け入れられた投票用紙Hを、出口側搬送路69へ向けて、入口側搬送路68から反転空間26への受入方向とは逆向きに搬送する。
この変形例では、1対の取込ローラ87の間に投票用紙Hが進入してから取込ローラ87の逆回転を開始するまでのタイミング(換言すれば、取込ローラ87が反転空間26内の投票用紙Hを出口側搬送路69へ向けて搬送するタイミング)が調整される。つまり、このタイミングは、投票用紙Hの大きさに応じて、制御PC4において予め設定されており、制御PC4は、全体制御部55に対して、設定したタイミングで取込ローラ87の逆回転を開始するように指示する。そのため、全体制御部55は、小さい投票用紙Hであれば当該タイミングを早くなるように調整し、大きい投票用紙Hであれば当該タイミングを遅くなるように調整する。
この場合、反転空間26内の投票用紙Hを出口側搬送路69へ向けて搬送するタイミングを調整することによって、投票用紙Hの大きさに応じて、進入距離Xを調整することができる。
なお、以上に説明した進入距離Xが調整可能なスイッチバック反転部48は、投票用紙分類機3だけでなく、紙幣処理機といった紙類を搬送する装置にも適用可能である。
次に、投票用紙分類機3の組み立てについて説明する。ちなみに、投票用紙分類機3は、以下の構成になっているため、一人での組み立てが可能になっている。
図11は、投票用紙分類機3の本体ユニット10の分解斜視図である。図12は、本体ユニット10の分解斜視図の一部を抜き出して示した図である。
図11を参照して、まず、本体ユニット10の組み立てについて説明する。
前述したように、本体ユニット10は、下側の第1ブロック12と、上側の第2ブロック13とに分離可能である。図11では、第1ブロック12と第2ブロック13とが分離した状態が示されている。第1ブロック12では、説明の便宜上、内部機構(繰出部45、画像読取部46、搬送部47、スイッチバック反転部48およびリジェクト部49)の図示が省略されている。第2ブロック13では、説明の便宜上、扉63(図1参照)や内部機構(スパイラル反転部50)の図示が省略されている。
第1ブロック12の上面では、その前後両端に、左右方向の略全域に亘って水平に延びる帯状のガイドレール89が設けられ、前後1対のガイドレール89の間には、上側へ盛り上がった上カバー90が設けられている。
前後の各ガイドレール89の右端部には、上方ヘ突出する軸状の位置決めピン91が1つ設けられ、位置決めピン91よりもやや左側には、下方へ円弧状に窪む逃がし穴92が形成されている。また、後側のガイドレール89の上面の左端部および右端部には、下方へ延びるねじ穴93が1つずつ形成されている。
図11では図示されていないが、第1ブロック12の後側面の上端部には、左右に長い板状のコネクタカバー106が設けられている(図14参照)。コネクタカバー106の下端部には蝶番107(図14参照)が取り付けられており、コネクタカバー106は、その下端部で左右に延びる軸を中心に回動することによって開閉可能である。コネクタカバー106を開くことによって、後側のガイドレール89に後方からアクセスできる。
上カバー90は、上下に扁平なボックス状である。上カバー90には、その上面のほぼ全域と右側面の一部とを連続して切欠く開口部140が形成されており、開口部140から第1ブロック12に内部空間にアクセスできる。そのため、開口部140から、第1ブロック12の前記内部機構を取り外したり、組み込んだりすることができる。上カバー90の前側面の右端部側および左端部(開口部140が形成されていない部分)には、後側へ延びるねじ穴94が1つずつ形成されている。
また、第1ブロック12では、その下面の前後両端部の左右両側に、取っ手104が取り付けられている。図11では、前側2つの取っ手104だけが図示されている。各取っ手104は、U字状であって、その2つの遊端部が第1ブロック12に連結されている。
第2ブロック13では、その下面のほぼ全域が下方へ開放されている。第2ブロック13の下面の前後両端には、左右に水平に延びる細長板状の支持フレーム95が設けられている。各支持フレーム95は、第2ブロック13の左右の側壁の下端部の間に架設されている。前側の支持フレーム95の前端縁では、右端部が略L字状に切欠かれていて、これにより、前側の支持フレーム95の右端部には、段部96が形成されている。同様の段部96が後側の支持フレーム95の右端部にも形成されている。
前述した各ガイドレール89における位置決めピン91と逃がし穴92との左右の間隔を間隔Yということにすると、各支持フレーム95における右寄りの領域において段部96から間隔Yだけ左側の位置には、ローラ97が1つ設けられている。ローラ97は、前後に延びる回転軸を中心に回転自在であり、支持フレーム95に取り付けられた軸受部材98によって回転自在に支持されている。前側の支持フレーム95では、ローラ97は、当該支持フレーム95よりも後側に位置し、当該支持フレーム95から下方へ部分的にはみ出している。後側の支持フレーム95では、ローラ97は、当該支持フレーム95よりも前側に位置し、当該支持フレーム95から下方へ部分的にはみ出している。後側の支持フレーム95で段部96より左側の部分の左端部側および右端部側には、当該支持フレーム95を上下に貫通する貫通孔99が1つずつ形成されている。
また、第2ブロック13では、前後の支持フレーム95の間に架設される架設フレーム100が、左右に1つずつ設けられている。各架設フレーム100は、前側の支持フレーム95から少し上方に延びてから略直角に折れ曲って後側へ水平に延び、後側の支持フレーム95の真上で略直角に折れ曲って後側の支持フレーム95に対して上側から連結されている。そのため、各架設フレーム100は、左右方向から見て、上下が逆になった凹状になっている。また、第2ブロック13の下端部も、架設フレーム100の形状に一致するように、右側から見て、上下が逆になった凹状になっている(図12参照)。左右の架設フレーム100における前側壁(前側の支持フレーム95から上方に延びている部分)には、当該前側壁を前後に貫通する貫通孔101が1つずつ形成されている。
図11では図示されていないが、第2ブロック13の後側面の下端部には、左右に長い板状のコネクタカバー108が設けられている(図14参照)。コネクタカバー108の上端部には蝶番109(図14参照)が取り付けられており、コネクタカバー108は、その上端部で左右に延びる軸を中心に回動することによって開閉可能である。コネクタカバー108を開くことによって、後側の支持フレーム95に後方からアクセスできる。
また、第2ブロック13では、右側面の後側領域に、手を掛けるための穴状の取っ手102が形成されていて、左側面の下側領域に、手を掛けるための穴状の取っ手103が形成されている。
本体ユニット10を、図1に示すように机2の上にセットされた状態にするためには、まず、係員は、第1ブロック12の取っ手104(たとえば対角線上に配置された前後1つずつの取っ手104)を掴んで本体ユニット10を持ち上げ、図11の姿勢の状態を保ったまま、机2の上に載せる。
次いで、第2ブロック13の取っ手102,103に手を掛けて、第2ブロック13を、(机2の上の)第1ブロック12の左上側の位置(図11に示す第2ブロック13の位置)まで持ち上げてから、第1ブロック12に近付けるように右側(太線矢印参照)へ水平移動させる。
すると、第2ブロック13が、右側から見て第1ブロック12の上カバー90に前後および上側から跨った状態となり(図12参照)、この状態で、第2ブロック13を、さらに右側へ水平移動させる。
しばらくすると、第2ブロック13における前後のローラ97が、第1ブロック12において前後で同じ側にあるガイドレール89の上を転動する。
各ローラ97が(対応する)ガイドレール89上を転動した状態で、第2ブロック13を、さらに右側へ水平移動させると、第2ブロック13の各支持フレーム95の段部96が、前後で同じ側にあるガイドレール89の右端部の位置決めピン91に左側から当接するとともに、各ローラ97がガイドレール89の逃がし穴92に嵌まり込む。これにより、第2ブロック13が水平移動を停止しつつ若干下降し、各支持フレーム95が、前後で同じ側にあるガイドレール89に対して上から当接して、第2ブロック13が第1ブロック12に対して位置決め(仮組み)される。
仮組みが済んだ直後の状態では、第1ブロック12の第1搬送路19と第2ブロック13の第2搬送路20とがつながっていて本体搬送路18が完成している(図3参照)。また、この状態では、第2ブロック13の前側にある左右の貫通孔101が、第1ブロック12の前側にある左右のねじ穴94のいずれか対応する方(左右で同じ位置にある方)に対して前側から対向している。また、第2ブロック13の後側にある左右の貫通孔99が、第1ブロック12の後側にある左右のねじ穴93のいずれか対応する方(左右で同じ位置にある方)に対して上側から対向している。
そこで、左右の2箇所で対向状態にある貫通孔101およびねじ穴94において、ローレットビス(頭部にローレット加工が施され、手動で回動可能なビス)105を、貫通孔101に挿通させてからねじ穴94に組み付ける。なお、ローレットビス105の場合、ドライバー等の工具を用いなくても、手で組み付けることができる。なお、ローレットビス105をねじ穴94に組み付ける場合には、第2ブロック13の扉63(図1参照)は開かれている。
そして、貫通孔101およびねじ穴94の場合と同様に、左右の2箇所で対向状態にある貫通孔99およびねじ穴93において、ローレットビス105を、貫通孔99に挿通させてからねじ穴93に組み付ける。なお、ローレットビス105をねじ穴93に組み付ける場合には、第1ブロック12のコネクタカバー106および第2ブロック13のコネクタカバー108(図14参照)は、開かれている。
以上で、仮組み状態にあった第1ブロック12および第2ブロック13が完全に(外れ不能に)連結される。そして、コネクタカバー106およびコネクタカバー108(図14参照)を開くことで第1ブロック12および第2ブロック13の後側面から露出された部分において配線(図示せず)をつなぐ処理をしてから、コネクタカバー106およびコネクタカバー108を閉じる。すると、第1ブロック12および第2ブロック13が、機械的だけでなく電気的にも接続され、本体ユニット10が完成する。完成後(組立後)の状態における本体ユニット10において、第1ブロック12および第2ブロック13は、第2ブロック13が第1ブロック12の上に配置されるように、上下に積み重ねられている(図1および図2参照)。
なお、本体ユニット10を分解して第1ブロック12および第2ブロック13を分離する場合には、先ほど説明した手順と逆の手順を踏めばよい。
本体ユニット10では、スイッチバック反転部48およびスパイラル反転部50が比較的重量物となり、前述したように、1台の本体ユニット10の質量は約60kgである。そこで、この実施形態では、本体ユニット10は、スイッチバック反転部48を含む第1ブロック12(質量は約30kg)と、スパイラル反転部50を含む第2ブロック13(質量は約30kg)との少なくとも2つ以上のブロックに分離可能である。これにより、第1ブロック12および第2ブロック13を別々に持ち寄ってから連結することによって、本体ユニット10を、重さの負担が極力かからないように、一人でも容易に組み立てることができる。また、投票用紙分類機3の使用後に本体ユニット10を収納する(片付ける)場合には、本体ユニット10を複数のブロックに分離してから別々に移動させることによって、重さの負担が極力かからないように、容易に収納することができる。その結果、投票用紙分類機3を使用のために設置する作業および使用後に収納する作業の容易化を図ることができる。
ここで、第1ブロック12および第2ブロック13は、別々に動かせることから、これらのブロックを上下に積み重ねて本体ユニット10の組み立てる場合に、組み立て易さの利点が特に大きい。
また、第1ブロック12および第2ブロック13の少なくとも一方(ここでは第1ブロック12)に備えられた複数の機構(繰出部45、画像読取部46、搬送部47およびリジェクト部49)のそれぞれを個別に分割できる。これにより、当該機構を第1ブロック12から分離することによって、第1ブロック12を軽くすることができるので、第1ブロック12を動かす際における利便性の向上を図ることができる。
次に、完成した本体ユニット10とスタッカユニット11との組み合せ手順について説明する。
図13は、本体ユニット10とスタッカユニット11とを組み合わせる様子を示す斜視図である。図14は、組み合わさった本体ユニット10およびスタッカユニット11を背面側から見た斜視図である。図15は、完成状態における投票用紙分類機3の模式的な平断面図である。
図13では、本体ユニット10の左側面と(1台目の)スタッカユニット11の右側面とが、奥側(後側)の上下の仮想軸を中心として回動しながら離れた様子が示されている。
先ほど説明しなかったが、本体ユニット10において、第2ブロック13の左側面には、内部空間を露出させる開口部110が形成されおり、開口部110の下端縁を区画する連結フレーム111が設けられている。連結フレーム111は、左右方向に薄い板状であって、支持フレーム95および架設フレーム100(図11参照)に連結されている。連結フレーム111では、前上側の領域に、前述した取っ手103(図11参照)が貫通孔として形成され、取っ手103よりも下側の領域に、2つの丸い位置決め穴112が前後に並んで形成され、これらの位置決め穴112より前側の領域に1つのねじ穴113が形成されている。
また、第2ブロック13において開口部110より後側の領域には、右側へ窪む凹部114が1つ形成されている。また、完成した本体ユニット10における第1ブロック12の左側面において第2ブロック13の凹部114の下方(当該凹部114と前後方向で同じ位置)には、同様の凹部114が1つ形成されている。第1ブロック12および第2ブロック13のそれぞれでは、凹部114の前側面を区画する部分に、前側へ窪みつつ上下に延びる連結溝115が形成されている(図15参照)。
スタッカユニット11の右側面の上端部には、スタッカ搬送路37における横搬送路38の右端が露出されている。スタッカユニット11の右側面の上下方向略中央(本体ユニット10の位置決め穴112およびねじ穴113と上下方向で同じ位置)には、右側へ突出する軸状をなす2本の位置決め突起116が前後に並んで設けられ、これらの位置決め突起116より前側の領域に挿通孔117が設けられている。挿通孔117は、スタッカユニット11の右側壁を左右に貫通する丸穴であって、スタッカユニット11の扉64を開いたときに、スタッカユニット11の内側(当該右側壁の左表面)に露出される。そのため、扉64を開いたときに、スタッカユニット11において扉64から開放された部分(右側の開口部118)から挿通孔117にアクセスできる。
スタッカユニット11の右側面において、位置決め突起116の下隣の領域には、左側へ窪む上下に長手の窪み119が形成されていて、この窪み119に後側から近接する位置には、上下に長手の2本の保管溝131が上下に並んで形成されている。
ここで、投票用紙分類機3は、本体ユニット10とスタッカユニット11とを連結するための連結部材132を備えている。連結部材132は、長方形の小片状のベース部132Aと、ベース部132Aの長手方向両端から同じ方向へ向けて略直角に折れ曲った1対の爪部132Bとを一体的に備えていて、連結部材132の全体の断面は、略U字状をなしている。ベース部132Aには、貫通孔133が形成されている(図15参照)。
連結部材132は、保管された状態では、スタッカユニット11の右側面に取り付けられている。詳しくは、連結部材132では、一方の爪部132Bが1本の保管溝131に右側から嵌まって他方の爪部132Bが窪み119に収まった状態で、ビス136(先ほどのローレットビスでもよい)が貫通孔133に挿通され、スタッカユニット11の右側壁(厳密には、スタッカユニット11の右側面に形成されたねじ穴)に組み付けられている。スタッカユニット11の右側面には保管溝131が2本形成されていることから、2つの連結部材132を保管できる。保管された連結部材132を使用したい場合にはビス136をスタッカユニット11の右側壁から外して連結部材132をスタッカユニット11の右側壁から引き外せばよい。
また、スタッカユニット11の後面の右端部および左端部のそれぞれには、上下に延びる2本の連結溝134(図15参照)が上下に並んで形成されている(図14参照)。上下2本の連結溝134のうち、上側の連結溝134は、本体ユニット10の上側(第2ブロック13)の凹部114における連結溝115(図15参照)と上下で同じ位置にあり、下側の連結溝134は、本体ユニット10の下側(第1ブロック12)の凹部114における連結溝115と上下で同じ位置にある。スタッカユニット11の後面の右端部では、上下の各連結溝134とスタッカユニット11の後面の右端縁との間に、ねじ穴135が1つずつ形成されている(図15参照)。
(完成状態の)本体ユニット10とスタッカユニット11とを組み合わせる場合、まず、既に机2(図1参照)の上にセットされた本体ユニット10の左隣にスタッカユニット11をセットする。これに前後して、スタッカユニット11の右側面に保管されていた2つの連結部材132を取り外す。
そして、2つの連結部材132を、スタッカユニット11の後側面の右端部に組み付ける。詳しくは、一方の連結部材132における一方の爪部132Bを、スタッカユニット11の後側面の右端部における上側の連結溝134に後側から嵌め込み、ビス136を、この連結部材132のベース部132Aにおける貫通孔133に通して、スタッカユニット11の後面のねじ穴135に組み付ける(図15参照)。すると、この(上側の)連結部材132では、残りの爪部132Bがスタッカユニット11の右側面にはみ出た状態になる。同様に、他方の連結部材132の一方の爪部132Bを下側の連結溝134に後側から嵌め込み、ビス136をベース部132Aの貫通孔133に通して、下側のねじ穴135に組み付ける。すると、下側の連結部材132でも、残りの爪部132Bがスタッカユニット11の右側面にはみ出た状態になる。このときの状態が図13に示されている。なお、貫通孔133がベース部132Aの長手方向中央からずれた位置に形成されているのであれば、連結部材132では、貫通孔133に近い側の爪部132Bが連結溝134に嵌め込まれて、貫通孔133から遠い側の爪部132Bがスタッカユニット11の右側面にはみ出た状態になる。また、説明の便宜上、図13では、保管状態にある連結部材132も図示されている。
次いで、スタッカユニット11を移動して、スタッカユニット11の右側面を本体ユニット10の左側面に対向させて接触させる。このとき、スタッカユニット11の右側面にはみ出した上下2つの連結部材132の爪部132Bを、本体ユニット10において上下方向で同じ位置にある凹部114に差し込み(破線矢印参照)、凹部114内における本体ユニット10側の連結溝115に後側から嵌め込む(図15参照)。同時に、スタッカユニット11の右側面の2本の位置決め突起116を、本体ユニット10の左側面における位置決め穴112において前後方向で同じ位置にあるものに対して、左側から挿通し(実線矢印参照)、さらに、本体ユニット10のねじ穴113に対してスタッカユニット11の挿通孔117を左側から対向させる(1点鎖線矢印参照)。これにより、スタッカユニット11が本体ユニット10に対して位置決め(仮組み)される。この状態では、本体ユニット10の本体搬送路18とスタッカユニット11のスタッカ搬送路37(横搬送路38)とがつながっている(図3参照)。
仮組み状態のスタッカユニット11において、扉64を開き、スタッカユニット11の内側(スタッカユニット11の右側壁の左側)からビス137(前述したローレットビスでもよい)を、1点鎖線矢印で示すように挿通孔117に挿通して本体ユニット10のねじ穴113に組み付ける(図15参照)。すると、仮組み状態にあった本体ユニット10およびスタッカユニット11は、図1や図14に示すように、完全に(外れ不能に)連結され、投票用紙分類機3の基本構成(本体ユニット10にスタッカユニット11が1台連結された構成)が完成する。なお、本体ユニット10とスタッカユニット11とを分離したい場合には、先ほど説明した手順と逆の手順を踏めばよい。
当該基本構成に対してスタッカユニット11を増設したい場合には、図15に示すように、増設するスタッカユニット11(点線部分)を、既に本体ユニット10に連結されたスタッカユニット11の左隣にセットする。そして、左右のスタッカユニット11において、左右に隣り合う2つの連結溝134(上下で2箇所ある)に対して、1つの連結部材132における1対の爪部132Bを1つずつ嵌め込み、ビス136を当該連結部材132の貫通孔133に挿通してから(増設する)スタッカユニット11のねじ穴135に組み付ける。これにより、増設するスタッカユニット11を、既に本体ユニット10に連結されたスタッカユニット11に連結できる。同様の手順で、複数のスタッカユニット11を増設することができる。増設したスタッカユニット11を取り外したい場合には、先ほど説明した手順と逆の手順を踏めばよい。
このように、投票用紙分類機3では、本体ユニット10が第1ブロック12と第2ブロック13とに分離可能なだけでなく、本体ユニット10とスタッカユニット11とが分離可能である。そのため、本体ユニット10とスタッカユニット11とを別々に持ち寄ってから投票用紙分類機3を組立てることができるので、組み立てにおける重さの負担を低減できる。また、投票用紙分類機3の使用後に本体ユニット10とスタッカユニット11とを分離して別々に移動させることができるので、投票用紙分類機3の収納における重さの負担も低減できる。
この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、投票用紙分類機3による分類処理は、係員による操作ボタン7の押下によって開始されているが、係員がホッパー16に投票用紙Hをセットすると自動で開始されてもよい。
また、前述した実施形態では、予め用意された机2の上に投票用紙分類機3(投票用紙分類システム1)を設置しているが、図16のような設置パターンもあり得る。前提として、分解状態の投票用紙分類機3において、本体ユニット10の第1ブロック12および第2ブロック13ならびにスタッカユニット11のそれぞれは、別々の収納ケース138(キャスター141が付いたジュラルミンケース等)に収納されている。各収納ケース138では、少なくとも高さ方向寸法が共通である。投票用紙分類機3を設置する場合には、まず、中身(第1ブロック12、第2ブロック13およびスタッカユニット11)を取り出した収納ケース138を左右に並べ、これらの収納ケース138の上面に跨るように1枚の平板139を全収納ケース138の上面に載せる。これにより、即席の机2が完成するので、先ほどの中身を机2の上に載せて連結すれば、投票用紙分類機3が完成する。この場合、収納ケース138が机2を兼ねるので便利である。
また、前述した実施形態では、本体ユニット10が第1ブロック12と第2ブロック13との2つのブロックに上下に分離可能であった(図3および図11参照)。これに対し、図17に示す本体ユニット10は、スイッチバック反転部48を有する第1ブロック12と、スパイラル反転部50を有する第2ブロック13と、スイッチバック反転部48およびスパイラル反転部50以外(繰出部45、画像読取部46、搬送部47およびリジェクト部49)を有する第3ブロック153という2つ以上のブロック(ここでは3つのブロック)に分離可能であってもよい。この場合、完成状態の本体ユニット10において、第1ブロック12および第2ブロック13は、第3ブロック153上に積み重ねられた状態で、左右方向(水平方向)に並べて配置されている。第1ブロック12と第2ブロック13とは左右に分離可能であり、第1ブロック12および第2ブロック13のそれぞれと第3ブロック153とは上下に分離可能である。また、第1ブロック12、第2ブロック13、第3ブロック153およびスタッカユニット11のそれぞれにおける内部構成は、第1ブロック12、第2ブロック13、第3ブロック153のレイアウトに応じて適宜変更される。図17の本体ユニット10を設置する場合には、第3ブロック153を机2に置いて、第3ブロック153の上に、第1ブロック12および第2ブロック13を設置する。なお、本体ユニット10を収納するときには、設置のときとは逆の手順を踏む。このように本体ユニット10の各ブロックを個別に設置・収納するのであれば、本体ユニット10をまとめて設置・収納する場合に比べて、設置・収納を行う作業者への負担が少なくて済む。特に、第1ブロック12および第2ブロック13が水平方向に並べて配置されるのであれば、第1ブロック12および第2ブロック13の一方を他方に積み重ねる場合に比べて、作業の容易化を図ることができる。
また、スタッカユニット11の各スタッカ34(図2参照)の底面には、図18に示すような引出トレイ120が設けられているとよい。引出トレイ120は、スタッカ34の底面より平面視で少し小さい平板状であって、その上面は平坦であり、スタッカ34の底面に載置されている。引出トレイ120においてスタッカ34の取出口35側(図18の下側)の端部には、取出口35から外部へ向けて延び出したスティック状の取っ手121が一体的に設けられている。また、引出トレイ120において取っ手121側とは反対側(図18の上側)の端部には、ばね等の付勢部材122の一端が取り付けられている。付勢部材122の他端は、スタッカ34の奥面(背面)に固定されており、付勢部材122は、引出トレイ120をスタッカ34の奥側(図18の上側)へ向けて付勢している。
また、スタッカ34の底面において引出トレイ120に覆われていない左側領域には、前後(図18の上下)に延びる直線状の溝123が3本形成されている。これらの溝123は、等間隔を隔てて並行に延びている。いずれかの溝123には、前後に長い仕切り板124を上から嵌め込むことができる。
前述したようにスタッカ搬送路37から搬送されてきた投票用紙Hは、図18における右側からスタッカ34内において引出トレイ120の上面に載置される。ここで、投票用紙Hの大きさに応じて、仕切り板124の位置が予め調整されている。つまり、投票用紙Hが小さい場合には、仕切り板124は、右側の溝123にセットされ、投票用紙Hが大きい場合には、仕切り板124は、左側の溝123にセットされる。
投票用紙Hが小さいと、狭いスタッカ34内に手を突っ込んで投票用紙Hを取り出すことがうまくいかない場合があるので、その場合には、取っ手121を握って引出トレイ120を手前側(図18の下側)へ引き出す。すると、投票用紙Hを載せた引出トレイ120は、スタッカ34の取出口35から外部に引き出されるので(点線で示した引出トレイ120を参照)、当該投票用紙Hを容易に取り出すことができる。取り出し後に、取っ手121を握る力を緩めると、引出トレイ120は、付勢部材122の付勢力によって自動的にスタッカ34内の元の位置へ戻る。
なお、このように引出トレイ120を手動で引き出せるようにしているが、もちろん、モータ等の駆動装置を用いて引出トレイ120を自動で引き出して元の位置まで退避させるようにしてもよい。
また、投票用紙分類機3内には、投票用紙Hの重送状態や斜行状態を防止したり、解消したりできる機構が設けられていてもよい。
また、スイッチバック反転部48やスパイラル反転部50には、前述した構成に限らず、様々な構成を適用できる。たとえば、スパイラル反転部50として、特公平03−58984に記載された機構を用いてもよい。
また、前述した実施形態では、投票用紙Hに、候補者名(または政党名)が記入されるようになっていたが、たとえば全候補者名が予め記載されていて、有権者が、投票用紙H上で、(選びたい)候補者名を○「まる」で囲ったり、その候補者名の近くに○を付けたりするのであってもよい。
また、本体ユニット10において、第1ブロック12は、スイッチバック反転部48およびスパイラル反転部50以外の複数の機構(繰出部45、画像読取部46、搬送部47およびリジェクト部49)を備えていて、第2ブロック13がスパイラル反転部50だけを備えていたが、各機構のレイアウトは任意に設定可能である。たとえば、第2ブロック13が、スパイラル反転部50以外に、リジェクト部49や他の複数の機構を備えていてもよい。
なお、投票用紙分類システム1は、投票用紙分類機3と制御PC4とを少なくとも有していればよいので、前述したプリンター5は適宜取捨されてもよい。また、投票用紙分類機3と制御PC4とを一体化した構成としてもよい。
また、未確定票のうち4種類(白票、疑問票、無効票および按分票)を別々のスタッカ34に振り分けていたが、他の要因に基づいて未確定票であると判断するようにしてもよい。また、未確定票における(未確定の)要因のうち、発生する頻度が極端に低い要因については、個別のスタッカ34に割り当てることが無駄になるため、複数の要因の未確定票を1つのスタッカ34に振り分けるように設定してもよい。
また、制御PC4は、白票、疑問票、無効票および按分票のすべてを未確定票に識別していたが、都合に応じて、これらの少なくとも1つ以上を未確定票に識別してもよいし、按分票に加えて、白票、疑問票および無効票のうち少なくとも1つ以上を未確定票に識別してもよい。
また、この発明は、図19に示す択一式の投票用紙Hにも適用可能である。
図19に示す択一式の投票用紙Hにおける表裏のどちらかの面には、たとえば、投票用紙Hへの記載に当たっての注意書き160と、記載欄161とが印刷されている。記載欄161は、内側に「記載欄」とい文字が印刷された横長長方形の見出し欄162と、内側に「賛成」という縦書きの2文字が印刷された縦長長方形の欄(「賛成欄163」ということにする)と、内側に「反対」という縦書きの2文字が印刷された縦長長方形の欄(「反対欄164」ということにする)とで構成されている。見出し欄162の下で、賛成欄163と反対欄164とが左右に並んでいる。
なお、図19に示す投票用紙Hは、賛成または反対のどちらか一方に○(まる)を記入する二者択一式のもの(たとえば、国民投票や住民投票の投票用紙)であるが、ここでの択一式の投票用紙Hには、3つ以上の選択肢(候補)の中から一つだけを選ぶタイプも含まれる。
図19に示すように賛成欄163または反対欄164に〇を記入する場合、典型的な賛成の有効票(確定票)は、図20(a)に示すように「賛成」の2文字を一度に取り囲む○(符号Mを付した部分であり、以下同じ)が賛成欄163内に収まるように記入された投票用紙Hである。また、典型的な反対の有効票は、図20(b)に示すように「反対」の2文字を一度に取り囲む○が反対欄164内に収まるように記入された投票用紙Hである。そのため、制御PC4は、第1読取センサ31や第2読取センサ32によって投票用紙Hから読み取られた画像に基づいて、「賛成」または「反対」の2文字を一度に取り囲む○が賛成欄163および反対欄164のどちらか一方にはみ出ないように記入されていると識別した場合には、当該投票用紙Hを賛成または反対の有効票であると判定する。以下では、賛成の有効票を「賛成有効票」といい、反対の有効票を「反対有効票」ということにする。択一式の投票用紙Hの場合、これから述べるように、賛成有効票であるか反対有効票であるかを簡単には判断できないような記入がなされた投票用紙Hが存在し得る。そこで、この投票用紙分類機3では、択一式との投票用紙Hを、その記入の態様に応じて細分化することで、後々の処理が楽になるような対応が可能となっている。
次に、賛成有効票および反対有効票以外について説明する。
まず、図21(a)および(b)に示すように賛成欄163および反対欄164の両方に○(「賛成」または「反対」における2文字を一度に取り囲んでいるか否かを問わない)が記入された投票用紙Hは、完全な疑問票(または無効票)である。そのため、制御PC4は、投票用紙Hから読み取られた画像に基づいて、賛成欄163および反対欄164の両方に○が記入されていると識別した場合には、当該投票用紙Hを完全な疑問票であると判定する。
ここで、図22に示すように、有権者(投票者)によって記入される一般的な〇は、どちらかというと楕円形である。楕円形の〇における短辺の寸法をX直径と定義し、楕円形の〇における長辺の寸法をY直径と定義することにする。賛成欄163および反対欄164のどちらか一方に〇が記入された場合において、その〇のX直径およびY直径の少なくとの一方が、X直径およびY直径のそれぞれについて予め定められた閾値以上であることを(制御PC4による)有効票の判定基準としてもよい。なお、この閾値は、制御PC4の記憶部(図示せず)に記憶されている(以下の各閾値についても同様)。この場合、たとえば、賛成欄163だけに〇が記入されていた投票用紙Hがあったとして、その〇のX直径およびY直径の少なくとの一方が閾値より小さければ、制御PC4は、当該投票用紙Hを、賛成有効票ではなく、賛成が選択された可能性がある疑問票(以下では「賛成疑問票」ということにする)であると判定する。一方、たとえば、反対欄164だけに〇が記入された投票用紙Hにおいて、その〇のX直径およびY直径の少なくとの一方が閾値より小さければ、制御PC4は、当該投票用紙Hを、反対有効票ではなく、反対が選択された可能性がある疑問票(以下では「反対疑問票」ということにする)であると判定する。なお、X直径およびY直径の代わりに、〇の大きさ(投票用紙Hにおいて〇に取り囲まれる領域の面積)に閾値を設けて、制御PC4は、〇の大きさが閾値より小さい投票用紙Hを、賛成疑問票または反対疑問票であると判定してもよい。
さらに、図23(a)に示すように、賛成欄163および反対欄164のそれぞれ(図23では賛成欄163)において「賛成」(または「反対」)の2文字が印刷された長方形領域U(ドットで塗り潰した領域)の大きさ(面積)を事前に取得しておいてもよい(投票用紙Hの識別の都度に自動取得してもよい)。長方形領域Uは、その内側に「賛成」(または「反対」)の2文字が配置されていて、これらの文字の大きさを示す領域である。この場合、制御PC4は、長方形領域Uに対する〇の大きさの比率が所定の閾値より小さい投票用紙Hを、賛成疑問票または反対疑問票であると判定してもよい。図23の場合、一例として、制御PC4は、〇が図23(b)〜(d)の大きさである投票用紙Hを、賛成有効票であると判定し、〇が図23(e)の大きさである(当該比率が所定の閾値より小さい)投票用紙Hを、賛成疑問票または無効票であると判定する。
また、〇の形状に応じて、制御PC4は、投票用紙Hを賛成有効票または賛成疑問票と判定したり、反対有効票または反対疑問票と判定したりしてもよい。たとえば、〇の形状(記入例)としては、図24(a)〜(d)に示すように〇の書き始めと書き終わりとがつながっていない場合(接点なし)や、図24(e)〜(f)に示すように書き始めおよび書き終わりの一方が他方よりも上へ飛び出している場合(上飛び出し)や、図24(g)〜(h)に示すように書き始めおよび書き終わりの一方が他方よりも下へ飛び出している場合(下飛び出し)がある。さらに、図24(i)〜(j)に示すように書き始めおよび書き終わりの一方が他方よりも左右のどちらかへ飛び出している場合(横飛び出し)や、図24(k)〜(n)に示すように書き終わりと書き始めとが交差している場合(交差)もある。なお、どの形状の〇が記載された投票用紙Hを賛成有効票(反対有効票)または賛成疑問票(反対疑問票)とするかは、そのときの選挙毎に決定され、その決定に応じて、制御PC4が投票用紙Hを判定する。
また、〇が「賛成」(または「反対」)の2文字にかかっているか(囲っているか)に応じて、制御PC4は、投票用紙Hを賛成有効票または賛成疑問票と判定したり、反対有効票または反対疑問票と判定したりしてもよい。たとえば、〇が当該2文字の少なくとも片方にかかっている投票用紙Hを有効票とするのであれば、制御PC4は、図25(a)〜(c)の投票用紙Hを全て賛成有効票と判定し、図25(d)の投票用紙Hを賛成疑問と判定する。さらに厳しい条件として、〇が「賛成」(または「反対」)の2文字の両方にかかっているか(2文字の両方を完全に囲っているか)否かに応じて、制御PC4は、投票用紙Hを賛成有効票または賛成疑問票と判定したり、反対有効票または反対疑問票と判定したりしてもよい。たとえば、図26の場合、制御PC4は、図26(a)に示すように〇が「賛成」の2文字の両方にかかっている投票用紙Hを賛成有効票と判定するが、図26(b)に示すように〇が「賛」あるいは「成」の片方だけにかかっている投票用紙Hを賛成疑問票と判定する。
また、図27(a)に示すように、1つの〇が賛成欄163および反対欄164の両方に跨って記入される場合が想定される。さらには、図27(b)に示すように、賛成欄163および反対欄164の両方に跨って記入された1つの〇が見出し欄162まではみ出している場合も想定される。いずれの場合においても、制御PC4は、第1読取センサ31や第2読取センサ32によって投票用紙Hから読み取られた記載欄161の画像に基づいて、当該投票用紙Hを判定する。具体的には、制御PC4は、〇に囲まれた領域の面積において、賛成欄163にある賛成領域M1(右上に延びる斜線で構成されたハッチング部分)が占める比率(賛成面積比率という)と、反対欄164にある賛成領域M2(左上に延びる斜線で構成されたハッチング部分)が占める比率(反対面積比率という)とを当該画像から算出する。賛成面積比率(反対面積比率)には、賛成有効票(反対有効票)と判断できる第1の閾値と、賛成疑問票(反対疑問票)と判断できる第2の閾値(第1の閾値より低い)とが予め設定されている。制御PC4は、賛成面積比率が反対面積比率よりも高い場合において、この賛成面積比率が第1の閾値以上であれば、今回の投票用紙Hを賛成有効票と判定し、この賛成面積比率が第1の閾値未満で第2の閾値未満以上であれば、今回の投票用紙Hを賛成疑問票と判定する(反対有効票や反対疑問票についても同様)。一方、賛成面積比率および反対面積比率の両方が第2の閾値未満であれば、制御PC4は、今回の投票用紙Hを完全な疑問票(賛成疑問票でも反対疑問票でもない)と判定する。
また、図28(a)に示すように、〇が賛成欄163または反対欄164内に収まっている投票用紙Hが、一般的な有効票であるが、図28(b)および(c)に示すように、〇の一部が記載欄161の外にはみ出している場合も想定される。この場合、制御PC4は、〇に囲まれた領域の面積において、記載欄161内にある領域が占める比率(欄内面積比率という)を、記載欄161の画像から算出する。欄内面積比率には、賛成有効票(反対有効票)と判断できる第1の閾値と、賛成疑問票(反対疑問票)と判断できる第2の閾値(第1の閾値より低い)とが予め設定されている。たとえば図28(b)に示すように賛成欄163に記入された〇の一部が記載欄161の外に少しはみ出している場合、制御PC4は、この〇についての欄内面積比率が第1の閾値以上であれば、今回の投票用紙Hを賛成有効票と判定する。一方、たとえば図28(c)に示すように賛成欄163に記入された〇の一部が記載欄161の外にかなりはみ出している場合、制御PC4は、この欄内面積比率が第1の閾値未満で第2の閾値未満以上であれば、今回の投票用紙Hを賛成疑問票と判定する、ここでの判定手順は、反対有効票や反対疑問票についても同様である。一方、欄内面積比率が第2の閾値未満であれば、制御PC4は、今回の投票用紙Hを完全な疑問票(賛成疑問票でも反対疑問票でもない)と判定する。
択一式の投票用紙Hの場合には、以上のような有効票(賛成有効票や反対有効票)に関し、賛成疑問票や反対疑問票というものが未確定票として、発生し得る。そこで、賛成有効票、反対有効票、賛成疑問票、反対疑問票、(賛成疑問票でも反対疑問票でもない)疑問票、白票、無効票、他事記載票およびリジェクト票のそれぞれについて、振分先となるスタッカ34やリジェクトトレイ17が決まっていて、各種の投票用紙Hと、対応する振分先との関係が、以下に述べるテーブル200に予めまとめられていて、制御PC4の記憶部に記憶されている。
図29では、テーブル200の記憶内容の一例が示されている。なお、テーブル200に関し、前述したリジェクトトレイ17およびスタッカ34のそれぞれに、別々のスタッカ番号を割り当てて、リジェクトトレイ17およびスタッカ34の1つ1つを区別することにする。リジェクトトレイ17のスタッカ番号は、「0」である。また、スタッカ34のスタッカ番号は、本体ユニット10に近いスタッカユニット11のスタッカ34ほど、若い番号となり、同じスタッカユニット11内では、上側のスタッカ34ほど、若い番号になる。テーブル200では、各スタッカ番号と、そのスタッカ番号のスタッカ(リジェクトトレイ17またはスタッカ34)に振り分けられる投票用紙Hの種類(賛成有効票、反対有効票、賛成疑問票、反対疑問票、疑問票、白票、無効票、他事記載票およびリジェクト票の少なくともいずれか)とが対応付けて記憶されている。図29のテーブル200では、賛成有効票、反対有効票、賛成疑問票、反対疑問票、疑問票、白票、無効票、他事記載票およびリジェクト票のそれぞれに対して、スタッカが1つずつ割り当てられている。
一方、図30のテーブル200では、賛成有効票、反対有効票、賛成疑問票および反対疑問票のそれぞれに対して、振分先のスタッカ34が2つずつ割り当てられていて、スタッカ番号が「0」のリジェクトトレイ17は、疑問票、白票、無効票、他事記載票およびリジェクト票についての共通の振分先となっている。図31のテーブル200では、スタッカユニット11が2台増設された場合を想定しており、賛成有効票、反対有効票、賛成疑問票、反対疑問票、疑問票、白票、無効票および他事記載票のそれぞれに対して、振分先のスタッカ34が2つずつ割り当てられていて、リジェクトトレイ17は、リジェクト票だけの振分先となっている。
択一式の投票用紙Hにおいて、このように〇だけが記入される場合における投票用紙分類機3での処理モードを第1モードということにする。第1モードの場合、制御PC4は、図5のフローチャートのステップS3において、第1読取センサ31や第2読取センサ32からの受信内容(投票用紙Hの画像)に基づいて、当該画像が読み取られた投票用紙Hが確定票か否かを識別するのだが、この際、確定票が賛成有効票および反対有効票のどちらであるかも識別する。確定票の場合(ステップS3でYES)であって、この確定票がオーバーフロー票でなければ(ステップS4でNO)、制御PC4は、全体制御部55に命令して、この確定票を、テーブル200で定められた振分先へと搬送させる(ステップS5)。そのため、賛成有効票は、賛成有効票の振分先(図29のテーブル200の場合には、スタッカ番号が「1」のスタッカ34)へと搬送され、反対有効票は、反対有効票の振分先(図29のテーブル200の場合には、スタッカ番号が「2」のスタッカ34)へと搬送される。そして、(第1読取センサ31や第2読取センサ32によって画像が読み取られた)投票用紙Hが確定票でない場合(ステップS3でNO)、制御PC4は、当該投票用紙H(未確定票)の種類を識別する(ステップS7)。ここでの識別後、制御PC4は、必要に応じで裏向き処理(ステップS8)を施してから、全体制御部55に命令して、ステップS7で種類を識別した未確定票をテーブル200で定められた振分先へと搬送させる(ステップS9)。そのため、たとえば、賛成疑問票は、賛成疑問票の振分先(図29のテーブル200の場合には、スタッカ番号が「3」のスタッカ34)へと搬送され、反対疑問票は、反対疑問票の振分先(図29のテーブル200の場合には、スタッカ番号が「4」のスタッカ34)へと搬送される。
このような第1モードの場合、制御PC4は、少なくとも賛成有効票、反対有効票、賛成疑問票、反対疑問票および疑問票のそれぞれが別々の振分先へと振り分ける(図29〜図31のテーブル200を参照)。そのため、有効票は、賛成有効票と反対有効票とに分類され、それ以外の投票用紙Hは、賛成疑問票と反対疑問票と疑問票とに少なくとも分類される。特に、択一式の投票用紙Hに固有の処理として、制御PC4は、一候補を選んだと推定される投票用紙H(前述した賛成疑問票や反対疑問票)を未確定票に識別して(ステップS3およびS7)、個別に分類する(ステップS9)。よって、これらの票を後で手分類する手間(たとえば、疑問票の中から賛成疑問票や反対疑問票を抽出する手間)を省くことができる。また、個別に分類された賛成疑問票や反対疑問票を、確定票(有効票)とみなすか否かについて容易に判断できる。
次いで、択一式の投票用紙Hで想定される記入例についてさらに説明する。前述した図19の注意書き160に示すように、この投票用紙Hでは、賛成するときには賛成欄163の「賛成」の文字を〇で囲み、反対するときには反対欄164の「反対」の文字を〇で囲むのが原則である。
しかし、有権者によっては、賛成に投票したい場合に、反対欄164の「反対」の文字(つまり、投票したくない候補)に、×(ばつ)や取消線を重ね書きすることがある。具体的には、図32(a)に示すように二重取消線(符号「W」を付した部分)を「反対」の2文字に跨って重ね書きしたり、図32(b)に示すように一重取消線(以下では、単に「取消線」といい、符号「V」を付した部分)を「反対」の2文字に跨って重ね書きしたり、図32(c)に示すように×(符号「Z」を付した部分)を「反対」の2文字に跨って重ね書きしたりすることがある。このような投票用紙Hは、賛成を選んだものと推定される投票用紙(「賛成推定票」ということにする)である。なお、以下では、二重取消線、取消線および×を「否定記号」と総称することがある。
逆に、反対に投票したい場合に、賛成欄163の「賛成」の文字に、否定記号を重ね書きすることがある。具体的には、図32(d)に示すように2重取消線を「賛成」の2文字に跨って重ね書きしたり、図32(e)に示すように取消線を「賛成」の2文字に跨って重ね書きしたり、図32(f)に示すように×を「反対」の2文字に跨って重ね書きしたりすることがある。このような投票用紙Hは、反対を選んだものと推定される投票用紙(「反対推定票」ということにする)である。
一方、図33(a)および(b)に示すように賛成欄163および反対欄164の両方に否定記号が記入された投票用紙Hは、完全な疑問票(賛成疑問票でも反対疑問票でもない)である。そのため、制御PC4は、投票用紙Hから読み取られた画像に基づいて、賛成欄163および反対欄164の両方に否定記号が記入されていると識別した場合には、当該投票用紙Hを完全な疑問票(または無効票)であると判定する。さらに、図34に示すように、賛成欄163および反対欄164の両方に跨って否定記号が記入された投票用紙H(図34(e)および(f)のように否定記号の一部が見出し欄162まではみ出ている場合も含む)も完全な疑問票であり、制御PC4は、このような投票用紙Hを完全な疑問票であると判定する。
以下では、賛成推定票と反対推定票を、「推定票」と総称することがある。推定票とは、一候補を選んだと推定される投票用紙H(前述した賛成疑問票や反対疑問票も含まれる)のうち、当該一候補以外の全ての候補を否定した記載(前述した否定記号)がある投票用紙Hのことである。なお、推定票は原則として未確定票(賛成疑問票や反対疑問票と同様)であるが、選挙での方針によっては、推定票は、有効票と判断される場合がある。つまり、賛成推定票は、賛成有効票と判断され、反対推定票は、反対有効票と判断される。その理由としては、指定された通りに〇が記載されていないとしても有権者の意図が明確に示された推定票を無効票とするには、疑問があるし、推定票を無効票としてしまうと、有効投票率が低下してしまうからである。そして、投票用紙Hに〇が記入されることだけを想定している第1モードとは異なり、このように〇だけでなく否定記号も考慮して処理する場合を、第2モードということにする。
以下では、推定票を有効票と判断することとし、否定記号の一例として×に着目して説明する。
図35に示すように、有権者によって記入される×は、賛成欄163および反対欄164の長手方向に長い(縦長である)ことから、×の縦長方向における寸法(縦寸法)に、符号「P」を付すことにする。賛成欄163および反対欄164のどちらか一方に×が記入された場合において、その×の縦寸法Pに定められた閾値以上であることを(制御PC4による)推定票の判定基準としてもよい。そのため、たとえば、反対欄164だけに×が記入されていた投票用紙Hがあったとして、その×の縦寸法Pが閾値より小さければ、制御PC4は、当該投票用紙Hを、賛成推定票ではなく、賛成疑問票であると判定する。一方、賛成欄163だけに×が記入された投票用紙Hにおいて、その×の縦寸法Pが閾値より小さければ、制御PC4は、当該投票用紙Hを、反対推定票ではなく、反対疑問票であると判定する。なお、縦寸法Pの代わりに、×の大きさ(詳しくは、投票用紙Hにおいて×を対角線とする仮想の四角形の面積)に閾値を設けて、制御PC4は、×の大きさが閾値より小さい投票用紙Hを、賛成疑問票または反対疑問票であると判定してもよい。
さらに、図36(a)に示すように、賛成欄163および反対欄164のそれぞれ(図36では賛成欄163)において「賛成」(または「反対」)の2文字が印刷された長方形領域U(ドットで塗り潰した領域)の大きさ(面積)を事前に取得しておいてもよい(投票用紙Hの識別の都度に自動取得してもよい)。長方形領域Uは、その内側に「賛成」(または「反対」)の2文字が配置されていて、これらの文字の大きさを示す領域である。この場合、制御PC4は、長方形領域Uの縦寸法Qに対する×の縦寸法Pの大きさの比率が所定の閾値以上の投票用紙Hを推定票と判定し、当該比率が所定の閾値より小さい投票用紙Hを、賛成疑問票または反対疑問票であると判定してもよい。または、制御PC4は、長方形領域Uの面積に対する×の大きさの比率が所定の閾値以上の投票用紙Hを推定票と判定し、当該比率が所定の閾値より小さい投票用紙Hを、賛成疑問票または反対疑問票であると判定してもよい。図36の場合、一例として、制御PC4は、×が図36(b)〜(d)の大きさである投票用紙Hを、反対推定票であると判定し、×が図36(e)の大きさである(当該比率が所定の閾値より小さい)投票用紙Hを、反対疑問票、疑問票または無効票であると判定する。
また、×が「賛成」(または「反対」)の2文字にかかっているか(跨っているか)に応じて、制御PC4は、投票用紙Hを賛成推定票または賛成疑問票と判定したり、反対推定票または反対疑問票と判定したりしてもよい。たとえば、×が当該2文字の少なくとも片方にかかっている投票用紙Hを推定票とするのであれば、制御PC4は、図37(a)〜(c)の投票用紙Hを全て反対推定票と判定し、図37(d)の投票用紙Hを反対疑問票と判定する。さらに厳しい条件として、×が「賛成」(または「反対」)の2文字の両方にかかっているか(2文字の両方に完全に跨っているか)否かに応じて、制御PC4は、投票用紙Hを賛成推定票または賛成疑問票と判定したり、反対推定票または反対疑問票と判定したりしてもよい。たとえば、図38の場合、制御PC4は、図38(a)に示すように×が「賛成」の2文字の両方にかかっている投票用紙Hを反対推定票と判定するが、図38(b)に示すように×が「賛成」の片方だけにかかっている投票用紙Hを反対疑問票と判定する。
また、図39(a)〜(d)に示すように、×の一部が記載欄161(特に賛成欄163や反対欄164)の外にはみ出している場合も想定される。この場合、×において記載欄161から上下にはみ出した部分の大きさ(はみ出し寸法Rということにする)には、閾値が予め設定されて制御PC4に記憶されている。たとえば図39(a)および(b)に示すように賛成欄163または反対欄164に記入された×の一部が記載欄161の外に少しはみ出している場合、制御PC4は、当該一部の最大はみ出し寸法Rが前記閾値未満であれば、今回の投票用紙Hを推定票と判定する。一方、たとえば図39(c)および(d)に示すように賛成欄163または反対欄164に記入された×の一部が記載欄161の外にかなりはみ出している場合、制御PC4は、当該一部の最大はみ出し寸法Rが前記閾値以上であれば、今回の投票用紙Hを賛成疑問票または反対疑問票と判定する。
このように、択一式の投票用紙Hの場合には、賛成疑問票および反対疑問票だけでなく、賛成推定票および反対推定票も発生し得る。この実施形態では、賛成推定票を賛成有効票と判断し、反対推定票を反対有効票と判断するようにしている。そのため、賛成有効票は、賛成欄163に〇が記入されたもの(「賛成有効票(〇)」ということにする)と、反対欄164に二重取消線が記入されたもの(「賛成有効票(二重取消線)」ということにする)と、反対欄164に取消線が記入されたもの(「賛成有効票(取消線)」ということにする)と、反対欄164に×が記入されたもの(「賛成有効票(×)」ということにする)とが存在する。同様に、反対有効票は、反対欄164に〇が記入されたもの(「反対有効票(〇)」ということにする)と、賛成欄163に二重取消線が記入されたもの(「反対有効票(二重取消線)」ということにする)と、賛成欄163に取消線が記入されたもの(「反対有効票(取消線)」ということにする)と、賛成欄163に×が記入されたもの(「反対有効票(×)」ということにする)とが存在する。さらに、図35〜図39で説明したように、各賛成有効票についての賛成疑問票も発生し得るし、各反対有効票についての反対疑問票も発生し得る。つまり、賛成有効票(〇)についての賛成疑問票(「賛成疑問票(〇)」ということにする)や、賛成有効票(二重取消線)についての賛成疑問票(「賛成疑問票(二重取消線)」ということにする)や、賛成有効票(取消線)についての賛成疑問票(「賛成疑問票(取消線)」ということにする)や、賛成有効票(×)についての賛成疑問票(「賛成疑問票(×)」ということにする)が発生し得る。同様に、反対有効票(〇)についての反対疑問票(「反対疑問票(〇)」ということにする)や、反対有効票(二重取消線)についての反対疑問票(「反対疑問票(二重取消線)」ということにする)や、反対有効票(取消線)についての反対疑問票(「反対疑問票(取消線)」ということにする)や、反対有効票(×)についての反対疑問票(「反対疑問票(×)」ということにする)が発生し得る。
そこで、第2モードの場合には、各賛成有効票、各反対有効票、各賛成疑問票、各反対疑問票、(賛成疑問票でも反対疑問票でもない)疑問票、白票、無効票、他事記載票およびリジェクト票の各票について、振分先となるスタッカ34やリジェクトトレイ17が決まっている。当該各票と、対応する振分先との関係が、前述したテーブル200に予めまとめられていて、制御PC4の記憶部に記憶されている。
図40のテーブル200では、賛成有効票(〇)、賛成有効票(二重取消線)、賛成有効票(取消線)、賛成有効票(×)、反対有効票(〇)、反対有効票(二重取消線)、反対有効票(取消線)、反対有効票(×)、賛成疑問票(〇)、賛成疑問票(二重取消線)、賛成疑問票(取消線)、賛成疑問票(×)、反対疑問票(〇)、反対疑問票(二重取消線)、反対疑問票(取消線)、反対疑問票(×)、疑問票、白票、無効票、他事記載票およびリジェクト票のそれぞれに対して、スタッカが1つずつ割り当てられている。
一方、図41のテーブル200では、賛成有効票(〇)、反対有効票(〇)、賛成疑問票(〇)、反対疑問票(〇)のそれぞれに対して、振分先のスタッカ34が3つずつ割り当てられている。一方、1つのスタッカ34(スタッカ番号「4」のスタッカ34)が、賛成有効票(二重取消線)、賛成有効票(取消線)および賛成有効票(×)に対する共通の振分先となっている。また、1つのスタッカ34(スタッカ番号「8」のスタッカ34)が、反対有効票(二重取消線)、反対有効票(取消線)および反対有効票(×)に対する共通の振分先となっている。また、1つのスタッカ34(スタッカ番号「12」のスタッカ34)が、賛成疑問票(二重取消線)、賛成疑問票(取消線)および賛成疑問票(×)に対する共通の振分先となっている。また、1つのスタッカ34(スタッカ番号「16」のスタッカ34)が、反対疑問票(二重取消線)、反対疑問票(取消線)および反対疑問票(×)に対する共通の振分先となっている。また、疑問票、白票、無効票、他事記載票およびリジェクト票のそれぞれに対して、スタッカが1つずつ割り当てられている。
また、図42のテーブル200では、2つのスタッカ34(スタッカ番号「1」および「2」のスタッカ34)が、賛成有効票(〇)、賛成有効票(二重取消線)、賛成有効票(取消線)および賛成有効票(×)に対する共通の振分先となっている。また、別の2つのスタッカ34(スタッカ番号「3」および「4」のスタッカ34)が、反対有効票(〇)、反対有効票(二重取消線)、反対有効票(取消線)および反対有効票(×)に対する共通の振分先となっている。また、別の2つのスタッカ34(スタッカ番号「5」および「6」のスタッカ34)が、賛成疑問票(〇)、賛成疑問票(二重取消線)、賛成疑問票(取消線)および賛成疑問票(×)に対する共通の振分先となっている。また、別の2つのスタッカ34(スタッカ番号「7」および「8」のスタッカ34)が、反対疑問票(〇)、反対疑問票(二重取消線)、反対疑問票(取消線)および反対疑問票(×)に対する共通の振分先となっている。また、疑問票、白票、無効票、他事記載票およびリジェクト票のそれぞれに対して、スタッカが1つずつ割り当てられている。
また、図43のテーブル200では、1つのスタッカ34(スタッカ番号「1」のスタッカ34)が、賛成有効票(〇)、賛成有効票(二重取消線)、賛成有効票(取消線)および賛成有効票(×)に対する共通の振分先となっている。また、別の1つのスタッカ34(スタッカ番号「2」のスタッカ34)が、反対有効票(〇)、反対有効票(二重取消線)、反対有効票(取消線)および反対有効票(×)に対する共通の振分先となっている。また、別の1つのスタッカ34(スタッカ番号「3」のスタッカ34)が、賛成疑問票(〇)、賛成疑問票(二重取消線)、賛成疑問票(取消線)および賛成疑問票(×)に対する共通の振分先となっている。また、別の1つのスタッカ34(スタッカ番号「4」のスタッカ34)が、反対疑問票(〇)、反対疑問票(二重取消線)、反対疑問票(取消線)および反対疑問票(×)に対する共通の振分先となっている。また、疑問票、白票、無効票、他事記載票およびリジェクト票のそれぞれに対して、スタッカが1つずつ割り当てられている。
択一式の投票用紙Hにおいて推定票も考慮する第2モードの場合、制御PC4は、図5のフローチャートのステップS3において、第1読取センサ31や第2読取センサ32からの受信内容(投票用紙Hの画像)に基づいて、当該画像が読み取られた投票用紙Hが確定票か否かを識別する。この際、制御PC4は、確定票の場合には、確定票が賛成有効票および反対有効票のどちらであるかも識別し、さらに、賛成有効票の場合にはどの種類の賛成有効票であるかを識別したり、反対有効票の場合にはどの種類の反対有効票であるかを識別したりする。確定票の場合(ステップS3でYES)であって、この確定票がオーバーフロー票でなければ(ステップS4でNO)、制御PC4は、全体制御部55に命令して、この確定票を、テーブル200で定められた振分先へと搬送させる(ステップS5)。そのため、たとえば、賛成有効票(〇)は、賛成有効票(〇)の振分先(図40のテーブル200の場合には、スタッカ番号が「1」のスタッカ34)へと搬送され、賛成有効票(二重取消線)は、賛成有効票(二重取消線)の振分先(図40のテーブル200の場合には、スタッカ番号が「2」のスタッカ34)へと搬送される。反対有効票の場合には、たとえば、反対有効票(取消線)は、反対有効票(取消線)の振分先(図40のテーブル200の場合には、スタッカ番号が「7」のスタッカ34)へと搬送される。
そして、(第1読取センサ31や第2読取センサ32によって画像が読み取られた)投票用紙Hが確定票でない場合(ステップS3でNO)、制御PC4は、当該投票用紙H(未確定票)の種類を識別する(ステップS7)。ここでの識別後、制御PC4は、必要に応じで裏向き処理(ステップS8)を施してから、全体制御部55に命令して、ステップS7で種類を識別した未確定票をテーブル200で定められた振分先へと搬送させる(ステップS9)。そのため、賛成疑問票の場合、たとえば、賛成疑問票(二重取消線)は、賛成疑問票(二重取消線)の振分先(図40のテーブル200の場合には、スタッカ番号が「10」のスタッカ34)へと搬送される。反対疑問票の場合、たとえば、反対疑問票(取消線)は、反対疑問票(取消線)の振分先(図40のテーブル200の場合には、スタッカ番号が「15」のスタッカ34)へと搬送される。
以上のように、第2モードでは、推定票を考慮して、賛成有効票、反対有効票、賛成疑問票および反対疑問票のそれぞれが、さらに細分化されて別々の振分先へと振り分けられる(図40〜図43のテーブル200を参照)。そのため、〇が記入された投票用紙Hだけでなく、二重取消線や取消線や×が記入された投票用紙Hも、スタッカ別に分類される。詳しくは、制御PC4は、一候補を選んだと推定される投票用紙H(賛成疑問票や反対疑問票)を未確定票に識別して(ステップS7)、個別に分類する(ステップS9)。なお、この実施形態では、推定票は有効票(確定票)としているが、そうでない場合、制御PC4は、賛成疑問票および反対疑問票に加えて賛成推定票および反対推定票も、未確定票に識別して(ステップS7)、個別に分類する(ステップS9)。いずれにせよ、これらの票(賛成疑問票、反対疑問票、賛成推定票および反対推定票)を後で手分類する手間を省くことができる。特に、〇が記入された投票用紙Hについての賛成疑問票および反対疑問票だけでなく、二重取消線や取消線や×が記入された投票用紙Hについての賛成疑問票および反対疑問票もスタッカ別に分類されるので、これらの票を後で手分類する手間も省くことができる。また、個別に分類された賛成推定票や反対推定票や賛成疑問票や反対疑問票を、確定票(有効票)とみなすか否か(この実施形態では、賛成推定票および反対推定票は当初から確定票とみなすことにしている)について容易に判断できる。
なお、図41のテーブル200の場合、本来は賛成推定票である賛成有効票(二重取消線)、賛成有効票(取消線)および賛成有効票(×)が1つのスタッカ(スタッカ番号が「4」のスタッカ)にまとめて収容される。同様に、本来は反対推定票である反対有効票(二重取消線)、反対有効票(取消線)および反対有効票(×)が1つのスタッカ(スタッカ番号が「8」のスタッカ)にまとめて収容される。また、賛成推定票についての賛成疑問票は、1つのスタッカ(スタッカ番号が「12」のスタッカ)にまとめて収容され、反対推定票についての反対疑問票は、1つのスタッカ(スタッカ番号が「16」のスタッカ)にまとめて収容される。賛成推定票、反対推定票、賛成推定票についての賛成疑問票、および、反対推定票についての反対疑問票のそれぞれは、そもそも、トータル枚数(最終的な枚数)が少ないので、否定記号毎に区別せずにまとめて収容してもよい。この場合、係員は、同じスタッカから取り出した投票用紙Hにおいて、賛成欄163および反対欄164のどちらか決まった方に否定記号が記載されていることだけを確認すればよいので、点検が楽である。一方、トータル枚数が圧倒的に多い賛成有効票(〇)や反対有効票(〇)については、複数の振分先(スタッカ34)を設定している。この場合、賛成有効票(〇)や反対有効票(〇)は、上のスタッカ34から順に振り分けられ、当該スタッカ34に所定のバッチ枚数(たとえば100枚)まで溜まると、下に続くスタッカ34へと振り分けられるとよい。
なお、前述した第1モード(〇だけが記入されることを想定するモード)と、第2モード(〇の他に否定記号も記入されることも想定するモード)とは、待機状態や運用中(分類動作中)であっても、係員による制御PC4の操作によって任意に選択可能である。第1モードを選択しているのであれば、否定記号が記入され推定票は、無効票や疑問票と判定されてもよい。また、第2モードの場合、決まった種類(1種類とは限らない)の否定記号が記入された投票用紙Hだけを推定票と判定してもよい。たとえば、×が記入された投票用紙Hは推定票と判定するが、二重取消線が記入された投票用紙Hは、無効票や疑問票と判定してもよい。
また、前述した実施形態では二者択一式の投票用紙Hに基づいて説明したが、この発明は、3つ以上の候補の中から1つの候補を選ぶ投票用紙Hにも適用可能である。その場合、3つ以上の候補のそれぞれについて、有効票、疑問票(賛成疑問票や反対疑問票に相当するもの)、推定票があり、これらの票が別々のスタッカに分類されるとよい。