以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る投票用紙分類システム1が机2上にセットされた状態を正面側から見た斜視図である。
図1に示す投票用紙分類システム1は、選挙における開票所にセットされ、各投票所から開票所に集められた投票用紙を候補者毎および/または政党毎に自動的に分類する。なお、以下では、候補者および政党を「候補」と総称し、候補者名および政党名を「候補名」と総称することにする。
投票用紙分類システム1は、投票用紙分類機3と、制御PC4と、プリンター5とを含んでいる。投票用紙分類機3は、投票用紙の分類作業を実際に行うものであり、制御PC4は、いわゆるパソコンであって、投票用紙分類機3における分類条件等を設定したり、投票用紙の記入内容を識別したりするものであり、プリンター5は、分類結果等を紙で出力するものである。なお、制御PC4を、投票用紙分類機3の一部とみなしてもよい。
投票用紙分類システム1は、たとえば、投票用紙分類機3と制御PC4とプリンター5とがこの順番で横並びになるように、机2の上にセットされる。制御PC4は、投票用紙分類機3およびプリンター5のそれぞれに対して通信ケーブル6を介して通信可能に接続されている。
開票所に集められた投票用紙の開票作業の流れの概要を説明すると、まず、投票終了後に、係員が、投票用紙が詰まった投票箱を開票所に持ち込み、投票箱内の投票用紙を机(投票用紙分類システム1がセットされた机2でもよい)の上に広げる。そして、係員は、机の上の投票用紙を適当に積み重ねて束にし、この束を投票用紙分類機3にセットする。投票用紙分類機3は、セットされた束から未分類の投票用紙を1枚ずつ取り込んで、投票用紙に記入された候補名(候補者名や政党名)を読み取る。読み取られた候補名は、制御PC4によって認識される。その後、投票用紙分類機3では、投票用紙が、候補名毎に分類され、投票用紙が候補者名毎に集計される。その後、分類された投票用紙は、係員によって目視で点検された後に再集計されると、一連の開票作業が完了する。
また、開票された投票用紙には、確定票と、未確定票という種類がある。
確定票は、記入された候補名が正常に読み取られるとともに、当該候補名に間違いがなく、集計に加算できる有効票のことである。確定票は、投票用紙分類機3での集計を終えた後、前述した点検を受ける。
未確定票は、確定票以外の投票用紙のことであり、主に、白票、無効票、他事記載票、疑問票、按分票、リジェクト票に細分化される。
白票は、予め印刷された内容以外に何も記載されていない白紙の投票用紙のことである。無効票とは、何かしらの記入があるものの、いずれかの候補以外の名前(つまり、間違った候補名)や落書きが記入された投票用紙のことである。他事記載票とは、候補名に加えて、候補名以外の余計な事項が記入された投票用紙のことである。
疑問票は、記入事項(ここでは候補名)の一部に間違いがあったり、不明瞭な部分があったりして、投票用紙分類機3では識別できず、有効票とするか否かについて人(係員)による判断が必要な投票用紙のことである。疑問票は、候補名が正しく記入されていないので、投票用紙分類機3では、疑問票から候補名を正常に読み取ること(識別)ができない。
按分票は、記入事項があいまいで、その記入事項から複数の候補のどちらを選んでいるのか分からない(つまり、複数の候補に該当する)投票用紙のことである。たとえば、田中一郎と、田中二郎という同姓の候補者が二人いたとした場合に、苗字の「田中」だけが記入された投票用紙が按分票である。按分票の場合、たとえば、該当する複数の候補者のそれぞれにおける最終的な獲得票数から各候補者の取り分を設定して、按分票の1票を、当該複数の候補者のそれぞれの取り分毎に分割して、各候補者の獲得票に加算する。具体例を挙げると、先ほどの田中一郎が最終的に1000票獲得し、田中二郎が最終的に500票獲得した場合において、苗字の「田中」だけが記入された按分票が開票中に1票出てきたとする。この場合、田中一郎は、その1票に、1000/(1000+500)を乗じて得た値を、按分票における自身の取り分とすることができ、田中二郎は、その1票に、500/(1000+500)を乗じて得た値を、按分票における自身の取り分とすることができる。
白票、無効票、他事記載票、疑問票および按分票は、投票用紙分類機3による分類の後に、係員(厳密には、選挙を運営する審査係)によって目視で確認されて、確定票か否かの最終判定を受ける。
リジェクト票は、投票用紙分類機3において、斜行状態(進行方向に対して所定以上傾斜した状態)や、連鎖状態(先行する投票用紙または後続の投票用紙に異常接近した状態)や、重送状態(複数枚の投票用紙が重なった状態)で搬送されたために記入事項の読み取りが行われなかった投票用紙のことである。リジェクト票は、記入事項自体に問題あって排除された訳ではないので、投票用紙分類機3に再度セットされる。
次に、投票用紙分類システム1、特に投票用紙分類機3の詳細について説明する。
図2は、投票用紙分類機3の正面図である。
図2において、紙面手前側が投票用紙分類機3の正面側(前側)であり、紙面奥側が投票用紙分類機3の背面側(後側)であり、紙面上側が投票用紙分類機3の上側であり、紙面下側が投票用紙分類機3の下側であり、紙面左側が投票用紙分類機3の左側であり、紙面右側が投票用紙分類機3の右側である。なお、以下では、投票用紙分類機3や、投票用紙分類機3を構成する部品の姿勢を特定する場合、先ほどの前後上下左右方向を用いることにする。
投票用紙分類機3は、本体ユニット10と、スタッカユニット11とを含んでいる。図2では、スタッカユニット11が2台図示されている。本体ユニット10およびスタッカユニット11は、いずれも縦長ボックス状であるが、本体ユニット10は、1台のスタッカユニット11よりも左右方向に幅広である。本体ユニット10は、投票用紙を取り込んで記入事項を読み取って候補者毎に分類し、スタッカユニット11は、分類された投票用紙を候補者毎に分けて集積する。
スタッカユニット11は、本体ユニット10に対して左側から連結される。また、別のスタッカユニット11を、本体ユニット10に連結されたスタッカユニット11に対して左側から連結できる。同様の手順で、本体ユニット10に対して複数台(この実施形態では最大で8台)のスタッカユニット11を左側から直列で連結できる。つまり、この投票用紙分類機3では、候補者の数に応じて、スタッカユニット11を自在に増設することができる。
本体ユニット10は、略下半分をなす第1ブロック12と、略上半分をなす第2ブロック13とに分離可能である。第1ブロック12および第2ブロック13は、いずれも、左右に長手のボックス形状である。
また、第1ブロック12の正面(前側面)には、矩形状の扉62が設けられている。扉62は、その下端部で左右に延びる回動軸を中心として回動することによって開閉可能である。図2では、扉62が閉じた状態が示されている。扉62の上端部に設けられた取っ手62Aに手を掛けて手前に引くと、扉62を開くことができる。扉62を開くと、第1ブロック12の内部空間が正面側に露出される。
第2ブロック13の正面には、矩形状の扉63が設けられている。扉63は、その左端部で上下に延びる回動軸を中心として回動することによって開閉可能である。図2では、扉63が閉じた状態が示されている。扉63の右端部に設けられた取っ手63Aに手を掛けて手前に引くと、扉63を開くことができる。扉63を開くと、第2ブロック13の内部空間が正面側に露出される。
図3は、投票用紙分類機3の内部構造を示す模式図である。
図3を参照して、第1ブロック12の右側面には、投入口14と、リジェクト口15とが上下に隣り合って設けられている(太い破線部分)。リジェクト口15は、投入口14よりも高い位置にある。この実施形態では、リジェクト口15は、複数(たとえば3つ)設けられ、上下に並んでいる。第1ブロック12には、投入口14から連続して第1ブロック12の内部へ向けて左側に窪む凹状のホッパー16(セット部)と、各リジェクト口15から連続して第1ブロック12の内部へ向けて左側に窪む凹状のリジェクトトレイ17(収納部)とが設けられている。リジェクトトレイ17は、リジェクト口15と同数設けられており、この実施形態では、複数(3つ)存在し、上下に並んでいる。3つのリジェクトトレイ17を、上から順に、第1リジェクトトレイ17A、第2リジェクトトレイ17B、第3リジェクトトレイ17C(所定の収納部)と区別することがある。
ホッパー16の底面(ホッパー16内で上を向いている面)16Aは、左下側へ傾斜して延びている。この底面16Aには、これから分類すべき多数枚の投票用紙Hを、上下に積層された状態で載置(セット)することができる。このとき、ジャム等の搬送不良を防ぐために、投票用紙Hの折り目は、係員によって取り除かれる。ホッパー16は、第1ブロック12の右側面の下端部という机2に近い位置にあるので、机2の上に広げた投票用紙Hをホッパー16にセットしやすい。なお、この実施形態における投票用紙Hとして、候補名が有権者によって記入される自書式を主に想定している。
そして、ホッパー16において、外部からアクセスしやすい位置には、投票用紙分類機3による投票用紙Hの分類処理を開始したり、停止したりするために係員によって押下される操作ボタン7が設けられている(図1参照)。
また、各リジェクトトレイ17には、前述したリジェクト票等(リジェクト票等と識別されて分類された投票用紙H)等が機内から排出されて収納される。リジェクトトレイ17は、ホッパー16に対してその上方の近傍に設けられているので、リジェクトトレイ17に収納されたリジェクト票を取り出してホッパー16に再セットしやすい位置にある。
本体ユニット10内には、ホッパー16にセットされた投票用紙Hを搬送する本体搬送路18が形成されている。本体搬送路18は、第1ブロック12内に設けられた第1搬送路19と、第2ブロック13内に設けられた第2搬送路20とを含んでいる。
第1搬送路19は、第1ブロック12内において、ホッパー16の底面16Aの左端から、左側へ略水平に延び、第1ブロック12の左側壁の手前で屈曲して上方ヘ略垂直に延び、再度屈曲して右側へ略水平に延びてから、上方ヘ向けて正面視で略S字に湾曲した後に、第1ブロック12の上面に到達している。
第2搬送路20は、第2ブロック13内において、第2ブロック13の下面において第1搬送路19と連続する位置から上方へ延びてから右側へ正面視で略S字に湾曲した後、一旦上方へ延びてから湾曲して左側へ略水平に延び、第2ブロック13の左側壁の手前で屈曲して上方ヘ略垂直に延び、再度屈曲して左側へ湾曲した後に、第2ブロック13の左側面に到達している。
このような本体搬送路18(第1搬送路19、第2搬送路20)では、ホッパー16に近づく側が、投票用紙Hの搬送方向(投票用紙Hがホッパー16から繰り出されて搬送される搬送方向)における上流側となり、ホッパー16から離れる側(第1搬送路19から第2搬送路20へ向かう側)が、当該搬送方向における下流側となる。本体搬送路18の下流側端18Aは、本体搬送路18における出口となり、第2ブロック13の左側面の上端部に設けられている。また、本体ユニット10内には、本体搬送路18に臨む複数の位置に、モータ(図示せず)に回転駆動される大小様々の搬送ローラ24(搬送ベルトでもよい)が設けられている。また、第1ブロック12では、モータ(図示せず)に回転駆動される取込ローラ25が、ホッパー16の底面16Aから部分的に露出されるように設けられている。
ホッパー16の底面16Aにセットされた投票用紙Hは、取込ローラ25によって第1搬送路19に取り込まれた後に、各搬送ローラ24によって本体搬送路18内を上流側から下流側へ向けて搬送される。本体搬送路18は、左右上下に湾曲しているものの、前後方向に偏るように形成されていないので、本体搬送路18内で流れる投票用紙Hが途中で詰まりにくくなっている。
また、第1ブロック12には、第1読取センサ31と、第2読取センサ32とが設けられている。第1読取センサ31および第2読取センサ32は、いわゆるラインセンサである。第1読取センサ31および第2読取センサ32は、第1搬送路19で左側へ略水平に延びる部分において、ホッパー16から少し下流側に配置されていて、第1読取センサ31は、第1搬送路19を上から臨み、第2読取センサ32は、第1搬送路19を下から臨んでいる。第1搬送路19を搬送される投票用紙Hが第1読取センサ31の真下を通過すると、第1読取センサ31は、投票用紙Hにおいて上を向いている面の画像(内容)を読み取る。第1搬送路19を搬送される投票用紙Hが第2読取センサ32の真上を通過すると、第2読取センサ32は、投票用紙Hにおいて下を向いている面の画像(内容)を読み取る。第1読取センサ31および第2読取センサ32は、第1搬送路19に沿う方向において同じ位置に配置されていてもよいし、図3に示すように、ずれて配置されていてもよい。なお、第1搬送路19上に、投票用紙Hの2枚送り(重送)や点字票Tを検知する厚み検知センサ65が配置される(詳しくは、後述する)。
本体ユニット10内において、本体搬送路18の一部には、スイッチバック搬送路21と、リジェクト搬送路22と、スパイラル搬送路23とが接続されている。これにより、スイッチバック搬送路21、リジェクト搬送路22およびスパイラル搬送路23は、本体搬送路18の一部になっている。
スイッチバック搬送路21は、第1ブロック12内に設けられている、スイッチバック搬送路21は、第1搬送路19において右側へ略水平に延びている部分から上側へ分岐して左側へ略水平に延びた後、正面視で略V字状をなすように右上側へ延び、第1搬送路19(先ほど分岐した位置よりも下流側の部分)に合流している。スイッチバック搬送路21において略V字をなしていると先ほど説明した部分を、反転空間26と呼ぶことにする。反転空間26は、厳密には、輪郭が略V字をなしているものの、正面視で左側へ向けて細くなる三角形状の断面を有する1つの空間であって、スイッチバック搬送路21の途中に位置している。反転空間26における左端部を、反転空間26の「奥部分」ということにする。
第1ブロック12では、反転空間26における奥部分とは反対側(右側)に、叩きローラ27が設けられている。叩きローラ27は、前後方向に延びた回転軸を有する回転体であって、その外周面には、径方向外側へ突出する複数の叩きゴム27Aが周方向に等間隔で設けられている。また、第1ブロック12では、反転空間26の上方に、無端状の搬送ベルト28が設けられている。搬送ベルト28の下側外周面が、反転空間26を上側から臨んでいる。搬送ベルト28は、モータ(図示せず)から駆動力を受けることで、正面視で反時計回りに周回移動する。第1ブロック12では、反転空間26の奥部分に、ガイド部材29が設けられている。ガイド部材29は、反転空間26の奥部分を規定するものであり、投票用紙Hの大きさに応じて、自身の位置を変えることができる(破線矢印参照)。また、スイッチバック搬送路21に臨む位置に、前述した搬送ローラ24が適宜設けられている。
スイッチバック搬送路21と、スイッチバック搬送路21に臨む位置に設けられた搬送ローラ24と、叩きローラ27と、搬送ベルト28と、ガイド部材29とは、スイッチバック反転ユニット75を構成している。スイッチバック搬送路21が本体搬送路18(第1搬送路19)の一部になっていることから、スイッチバック反転ユニット75は、本体搬送路18(後述する搬送路80)に設けられている。厳密には、スイッチバック反転ユニット75は、本体搬送路18にバイパス接続された形で、本体搬送路18に設けられている。
リジェクト搬送路22は、第1ブロック12内に設けられている。リジェクト搬送路22は、スイッチバック搬送路21が第1搬送路19から分岐した位置よりも上流側の位置において、第1搬送路19から分岐して右側へ略水平に延び、リジェクトトレイ17の手前で湾曲し、複数のリジェクトトレイ17に沿って上方へ延びている。リジェクト搬送路22において上方へ延びている部分には、リジェクトトレイ17と同数(ここでは3本)の分岐路77が設けられている。これらの分岐路77は、上下に並んでいる。上端以外の2本の分岐路77は、リジェクト搬送路22から分岐し、上下方向で同じ位置にあるリジェクトトレイ17(17B,17C)に対して左側から接続されている。上端の分岐路77は、リジェクト搬送路22の上端から連続し、最上位のリジェクトトレイ17(17A)に対して左側から接続されている。また、リジェクト搬送路22や各分岐路77に臨む位置に、前述した搬送ローラ24が適宜設けられている。
スパイラル搬送路23は、第2ブロック13内に設けられている。スパイラル搬送路23は、第2搬送路20において左側へ略水平に延びている部分より手前(上流側)の部分から上側へ分岐した後、湾曲して左側へ延び、第2ブロック13の左側壁の手前で上側へ湾曲しながら第2搬送路20(先ほど分岐した位置よりも下流側の部分)に合流している。また、スパイラル搬送路23に臨む位置に、前述した搬送ローラ24が適宜設けられている。スパイラル搬送路23の途中の左側へ延びている部分には、スパイラル機構30が設けられている。スパイラル機構30は、投票用紙Hを、左側(下流側)へ搬送しながら、左右方向に延びる仮想軸(図示せず)を中心に180°反転させる(白抜き矢印参照)機構である。スパイラル機構30およびスパイラル搬送路23は、特許第4119664号公報において表裏反転装置として詳しく説明されている。スパイラル機構30とスパイラル搬送路23と、スパイラル搬送路23の周囲の搬送ローラ24とは、スパイラル反転ユニット76を構成している。スパイラル搬送路23が本体搬送路18(第2搬送路20)の一部になっていることから、スパイラル反転ユニット76は、本体搬送路18(後述する搬送路80)に設けられている。厳密には、スパイラル反転ユニット76は、本体搬送路18にバイパス接続された形で、本体搬送路18に設けられている。
ここで、本体搬送路18において、(第2搬送路20にある)スパイラル反転ユニット76は、(第1搬送路19にある)スイッチバック反転ユニット75よりも下流側に位置している。また、各リジェクトトレイ17は、第1搬送路19においてスイッチバック搬送路21が分岐した位置よりも上流側の位置に対して、分岐路77およびリジェクト搬送路22を介して接続されている。そのため、各リジェクトトレイ17は、本体搬送路18において、投票用紙Hの搬送方向において反転ユニット(スイッチバック反転ユニット75およびスパイラル反転ユニット76)よりも上流側の位置に接続されていることになる。また、各リジェクトトレイ17は、搬送路80において反転ユニット(スイッチバック反転ユニット75およびスパイラル反転ユニット76)を通る部分(スイッチバック搬送路21およびスパイラル搬送路23)から外れた位置に接続されている。
また、本体搬送路18(第1搬送路19、第2搬送路20)においてスイッチバック搬送路21、リジェクト搬送路22およびスパイラル搬送路23が分岐する位置には、投票用紙Hの搬送先を切り換えるための切換部材(図3における三角部分)33が設けられている。切換部材33は、図示しないソレノイドに駆動されることによって姿勢を変え、これによって、本体搬送路18を流れる投票用紙Hの搬送先を、本体搬送路18(第1搬送路19、第2搬送路20)のままとしたり、スイッチバック搬送路21、リジェクト搬送路22およびスパイラル搬送路23のいずれかに切り換えたりすることができる。
切換部材33は、リジェクト搬送路22から各分岐路77が分岐する位置にも設けられている。リジェクト搬送路22から各分岐路77が分岐する位置に設けられた個々の切換部材33の姿勢を変えることによって、リジェクト搬送路22を流れる投票用紙Hの搬送先を、3本の分岐路77におけるいずれか(つまり、リジェクトトレイ17A、BおよびCのいずれか)に切り換えることができる。
そして、図3を参照して、スタッカユニット11において、左寄りの位置には、複数(ここでは8つ)のスタッカ34(収納部)が上下に並んだ状態で設けられている。各スタッカ34は、ボックス状をなしており、正面側に取出口35を有していて、取出口35からスタッカ34の内部空間が正面側へ露出されている(図1参照)。各スタッカ34には、原則として、候補名(候補者名や政党名)が割り振られていて、各スタッカ34には、制御PC4(厳密には、後述する制御部70)によって識別されて分類された投票用紙Hが積層状態で収納される。
前述したように最大で8台のスタッカユニット11を増設できるので、1台の投票用紙分類機3では、最大で64個のスタッカ34を配備することができる。
この実施形態において、各スタッカ34における投票用紙Hの最大収納枚数は、130枚であるが、都合に応じて、スタッカ34に収納できる投票用紙Hの上限枚数を、最大収納枚数より少ない所定枚数(たとえば100枚)に設定できる。スタッカ34における投票用紙Hの収納枚数が上限数(最大収納枚数または前記所定枚数)であれば、このスタッカ34は満杯になっていることになる。
ここで、図2を参照して、スタッカユニット11の前側面における各スタッカ34の左隣には、LED等で構成された表示ランプ36が設けられている。つまり、表示ランプ36は、スタッカ34毎に設けられている。
各表示ランプ36は、対応する(右隣)のスタッカ34に何も入っていない待機状態では消灯しており、対応するスタッカ34に投票用紙Hが1枚でも収納されると、たとえば青色で点灯する。そして、各表示ランプ36は、投票用紙Hの収納枚数が上限枚数(前述した最大収納枚数または所定枚数)間近のニアフル枚数に到達すると、たとえば青色で点滅する。この場合、収納枚数が上限枚数に到達しても、表示ランプ36は、青色で点滅し続ける。また、各表示ランプ36は、対応するスタッカ34においてジャム等のエラーが発生すると、赤色で点滅するようになっている。エラーにおける点滅間隔は、その他の場合(青色点滅の場合)における点滅間隔より短くなっている。
このように、表示ランプ36の状態によって、各スタッカ34の状態を一目で把握できる。収納枚数が上限枚数に到達したスタッカ34では、内部の投票用紙Hは、係員によって速やかに取り出されることになっている。そのため、青色点滅の表示ランプ36を見た係員は、その表示ランプ36に対応するスタッカ34の投票用紙Hを取り出す必要があることを速やかに把握できる。
また、リジェクトトレイ17の正面において、各リジェクトトレイ17と一致する位置には、表示ランプ36とほぼ同じ構成の表示ランプ43が1つずつ設けられている。表示ランプ43は、リジェクトトレイ17と同数(ここでは3つ)設けられていて、上下に並んで配置されている。各表示ランプ43は、対応するリジェクトトレイ17に何も入っていない待機状態では消灯しており、対応するリジェクトトレイ17に投票用紙Hが1枚でも収納されると、所定の色(たとえば赤色や黄色)で点灯する。
また、スタッカユニット11の正面(前側面)の右寄りの領域(各スタッカ34より右側の領域)には、縦長矩形状の扉64が設けられている。扉64は、その右端部で上下に延びる回動軸を中心として回動することによって開閉可能である。図2では、扉64が閉じた状態が示されている。扉64の左端部に設けられた取っ手64Aに手を掛けて手前に引くと、扉64を開くことができる。扉64を開くと、スタッカユニット11の右寄りの領域における内部空間が正面側に露出される。
図3に戻り、スタッカユニット11には、本体ユニット10の第2搬送路20(本体搬送路18)を通過し終えた投票用紙Hを受け取って搬送するスタッカ搬送路37が形成されている。スタッカ搬送路37は、横搬送路38と、縦搬送路39と、分岐路40とを含んでいる。
横搬送路38は、スタッカユニット11内において、スタッカユニット11の右側面で第2搬送路20(本体搬送路18の下流側端18A)に連続し、下流側端18Aからスタッカユニット11の左側面まで、左側へ略水平に延びている。そのため、互いに連続している本体搬送路18とスタッカ搬送路37とは、投票用紙Hを搬送するための1つの搬送路80を構成している。搬送路80において、スタッカ搬送路37は、本体搬送路18よりも(投票用紙Hの搬送方向における)下流側に位置している。
縦搬送路39は、スタッカユニット11内において、横搬送路38から分岐し、8つのスタッカ34よりも右側の位置で下方へ略垂直に延びている。縦搬送路39の下端は、スタッカユニット11の底面の手前(上方)にある。各スタッカユニット11内において、上下8つのスタッカ34は、共通の縦搬送路39に沿って略垂直に配置されている。
分岐路40は、スタッカ34と同数(ここでは8本)設けられており、これらの分岐路40は、等間隔で上下に並んでいる。最下端以外の7本の分岐路40は、縦搬送路39から分岐し、上下方向で同じ位置にあるスタッカ34に対して右側から接続されている。最下端の分岐路40は、縦搬送路39(搬送路80)の下端から連続し、最下端のスタッカ34に対して右側から接続されている。これにより、前述した搬送路80は、ホッパー16と各スタッカ34とを結んでいることになる。そして、前述した各リジェクトトレイ17は、搬送路80の途中に接続されていることになる。そのため、搬送路80において、搬送方向における上流端にホッパー16が位置し、搬送方向における下流端に各スタッカ34が位置し、各リジェクトトレイ17は、ホッパー16よりも下流側かつスタッカ34よりも上流側に位置している。つまり、リジェクトトレイ17およびスタッカ34のうち、リジェクトトレイ17は、当該搬送方向において相対的に上流側に位置する上流側収納部であり、スタッカ34は、当該搬送方向において相対的に下流側に位置する下流側収納部である。
また、スタッカユニット11内には、スタッカ搬送路37に臨む複数の位置に、モータ(図示せず)に回転駆動される大小様々の搬送ローラ41(搬送ベルトでもよい)が設けられている。
また、スタッカ搬送路37において、縦搬送路39が横搬送路38から分岐する位置や、各分岐路40が縦搬送路39から分岐する位置には、前述した切換部材33と同様の切換部材42が設けられている。
第2搬送路20からスタッカ搬送路37に受け渡された投票用紙Hは、回転する各搬送ローラ41によって、横搬送路38を搬送される。投票用紙Hは、そのまま横搬送路38を搬送されたり、縦搬送路39に搬送された後に、いずれかの分岐路40を流れて、この分岐路40が接続されたスタッカ34に収納されたりする。
また、図3に示すように、本体ユニット10に連結されたスタッカユニット11に対して、増設のスタッカユニット11が連結されている場合には、横搬送路38を通過した投票用紙は、増設のスタッカユニット11の横搬送路38に受け渡されて、そのまま横搬送路38を流れたり、増設のスタッカユニット11のスタッカ34に収納されたりする。
次に、ホッパー16にセットされた投票用紙Hが投票用紙分類機3内で流れる様子を説明する。ここで、投票用紙Hにおいて、候補名(ここでは、「G」という候補名とする)が記入される面を表面といい、当該表面とは反対側の面を裏面ということにする。通常の自書式の投票用紙Hの場合には、投票用紙Hの表面だけに、長方形状の記入枠(図示せず)が表示されていて、候補名は、記入枠内に記入(筆記)される。
ホッパー16の底面16Aには、投票用紙Hが積層状態でセットされる。このとき、投票用紙Hは、長手方向が前後方向に沿うようにセットされるが、表裏や候補名の向きを揃えることなくセットされる。図3の符号H1を付した投票用紙Hのように、表面が上を向いていて、当該表面の候補名が後側(図3の奥側)から前側(図3の手前側)へ記入されている姿勢が、その後の姿勢変換が不要となる正しい姿勢である。
底面16Aに投票用紙Hがセットされた後、係員が操作ボタン7(図1参照)を押すと、搬送ローラ24および取込ローラ25が回転し、投票用紙Hが、底面16Aに近い側から順に、第1搬送路19に1枚ずつ取り込まれる。このときの投票用紙Hの搬送方向は、投票用紙Hの短手方向に沿っている。第1搬送路19を流れる投票用紙Hは、第1読取センサ31を通過する際に、上面の画像が第1読取センサ31によって読み取られ、第2読取センサ32を通過する際に、下面の画像が第2読取センサ32によって読み取られる。つまり、第1読取センサ31および第2読取センサ32によって、(ホッパー16にセットされてから取り込まれた)投票用紙Hの表裏の両面の画像が1枚ずつ順次読み取られる。読み取られた画像(投票用紙Hの記載内容)は、制御PC4(図1参照)に送信される。
制御PC4(厳密には、後述する制御部70(図4参照))は、受信した画像(後述するように、画像でない場合もある)を認識し、当該画像が読み取られた投票用紙Hが、前述した確定票であるか否かや、確定票でない場合にはいずれの未確定票(白票、無効票、他事記載票、疑問票、按分票またはリジェクト票)であるのかを識別する。つまり、制御PC4は、確定票と未確定票とを識別するだけでなく、白票、無効票、他事記載票、疑問票、按分票およびリジェクト票のうち少なくとも1つ以上(ここでは全て)を未確定票に識別する。
投票用紙Hから読み取られた上面の画像および下面の画像のいずれか一方に、今回の選挙の候補名が1つだけ含まれていれば、制御PC4は、当該投票用紙Hが確定票であると識別する。制御PC4は、候補名で想定される複数パターンの記入例(字体や書体等)を認識文字列リストとして候補毎に記憶しているので、記入された候補名において文字の大きさや綺麗さ等に、ある程度のばらつきがあっても、所定の候補名が記入されているのか否かを識別できる。
投票用紙Hから読み取られた上面の画像および下面の画像のいずれにも、候補名等が含まれていなければ(候補名等の記載がされていなければ)、制御PC4は、当該投票用紙Hが白票であると識別する。投票用紙Hから読み取られた上面の画像および下面の画像のいずれかに、選挙の対象となる候補名以外の候補者氏名や政党名の記載(投票用紙Hに元々印刷されている事項を除く)が含まれていれば、制御PC4は、当該投票用紙Hが無効票であると識別する。投票用紙Hから読み取られた上面の画像および下面の画像のいずれかに、選挙の対象となる候補者名や政党名が記載されている場合であっても、それらの記載以外の余計な事項が含まれていれば、制御PC4は、当該投票用紙Hが他事記載票であると識別する。投票用紙Hから読み取られた上面の画像および下面の画像のいずれか一方に、何らかの記載事項が含まれているもののその記載内容が識別不能であれば、制御PC4は、当該投票用紙Hが疑問票であると識別する。投票用紙Hから読み取られた上面の画像および下面の画像のいずれか一方に、複数の候補名のいずれかと特定できないような紛らわしい名前が含まれていれば、制御PC4は、当該投票用紙H(複数の候補が該当する記載の投票用紙H)が按分票であると識別する。
また、第1読取センサ31および第2読取センサ32のうち、ホッパー16に近い方の読取センサ(ここでは第1読取センサ31)は、通過しようとする投票用紙Hの先端縁や後端縁(エッジ)を読み取ることによって、投票用紙Hが斜行状態で搬送されていることを検出したり、投票用紙Hが連鎖状態で搬送されていることを検出したりすることができる。
正常であれば投票用紙Hの先端縁は、横一直線となって読取センサ(ここでは第1読取センサ31)を同時に通過するはずなのに、先端縁が当該読取センサを通過するのに時間がかかると、投票用紙Hは、ホッパー16から本体搬送路18に斜めに取り込まれて斜行状態で搬送されていることになる。斜行状態の投票用紙Hは、リジェクト票としてリジェクトされる。
また、先行する投票用紙Hの後端縁と後続の投票用紙Hの先端縁との間隔が所定以下である場合には、先行する投票用紙Hと後続の投票用紙Hとが連鎖状態で搬送されていると判断される。連鎖状態での搬送も搬送不良の一種で、連鎖状態の投票用紙Hは、リジェクト票としてリジェクトされる。
一方、複数枚の投票用紙Hが重なって繰り出される「重送状態」は、前記読取センサとは別に設けられた重送検知センサ(後述する厚み検知センサ65)によって検出される。重送状態も搬送不良の一種で、重送状態の投票用紙Hは、リジェクト票としてリジェクトされる。
当該読取センサ(前述した重送検知センサも含む)は、投票用紙Hが斜行状態や連鎖状態や重送状態で搬送されていること(投票用紙Hの取り込み不具合が生じたこと)を検出すると、その旨を制御PC4に送信する一方で、当該投票用紙Hの画像を読み取らない。制御PC4は、当該旨を受信すると、そのときに当該読取センサを通過している投票用紙Hがリジェクト票であると識別する。
投票用紙Hの取り込み不具合には、斜行状態や連鎖状態や重送状態以外に、斜行状態と連鎖状態と重送状態が同時に起きている状態等がある。なお、投票用紙Hの厚みや重さを検出することによって重送状態を検出してもよい。ここでは、投票用紙Hの画像を読み取る読取センサによって投票用紙Hの斜行状態や連鎖状態を検出する方式で説明したが、読取センサとは別に、斜行検知センサや連鎖検知センサを設けるようにしてもよい。
また、投票用紙分類機3では、運転中にエラー等で急停止が起きると、エラー解除後の再起動の際に空回し運転が行われるようになっている。空回し運転中に、ホッパー16に近い方の読取センサ(ここでは第1読取センサ31)は、投票用紙Hを検知すると、その検知結果(投票用紙Hを検知した旨)を制御PC4に送信する一方で、当該投票用紙Hの画像を読み取らない。制御PC4は、当該検知結果を受信すると、そのときに当該読取センサを通過している投票用紙Hがリジェクト票であると識別する。
このように、制御PC4(後述する制御部70)は、第1読取センサ31および第2読取センサ32から受信した内容(画像である場合もあれば、画像でなく、取り込み不具合が生じた旨の信号や、空回し運転中の検知結果である場合もある)に基づいて、この内容に対応する投票用紙Hの種類(確定票か否か、確定票でない場合にはどういう種類の未確定票か)を識別する。そして、第1読取センサ31および第2読取センサ32は、前記内容を、ホッパー16から送り込まれたものから1枚分ずつ、順次、制御PC4に送信するので、制御PC4(後述する制御部70)は、ホッパー16にセットされて(後述する繰出部45によって)繰り出された投票用紙Hを1枚ずつ順次識別することになる。第1読取センサ31および第2読取センサ32を通って制御PC4によって識別された投票用紙Hは、本体搬送路18やスタッカ搬送路37(搬送路80)によって、スタッカ34やリジェクトトレイ17へと搬送されることになる。ここで、スタッカ34まで搬送される投票用紙Hは、本体搬送路18によって下流側端18Aまで搬送された後に、下流側端18Aから繰り出されて、スタッカ搬送路37経由で所定のスタッカ34まで搬送され、当該スタッカ34に収納される。
また、制御PC4は、投票用紙Hを順次識別するのに応じて、同じ候補名が記入された確定票、各種類の未確定票のそれぞれをカウントすることができる。カウント結果(開票結果)は、制御PC4に設けられた表示部8(表示手段)に表示されたり、プリンター5によって紙出力されたりする(図1参照)。
前述したように、制御PC4は、第1読取センサ31および第2読取センサ32から受信した2種類の画像(前述した上面および下面の画像)に基づいて、当該画面が読み取られた投票用紙Hの向き(姿勢)を識別することもできる。一例として、前述した正しい姿勢の投票用紙H(投票用紙H1参照)を基準とすると、上面の画像に、候補名が後側から前側へ記入されて、下面の画像に候補名が記載されていない場合、換言すれば、候補名が記入される記入枠(図示せず)が所定位置にあって上を向いている場合、制御PC4は、投票用紙Hが正しい姿勢にあることを識別する。逆に、制御PC4は、投票用紙Hが正しい姿勢にないことを識別すれば、どのようにすれば投票用紙Hを正しい姿勢にすることができるのかを判断することができる。つまり、制御PC4は、投票用紙Hの向き(姿勢)を識別できた場合に、その投票用紙Hを長手方向の軸回りに反転(180°回転)させたり、短手方向の軸回りに反転させたり、両方の反転を行ったりするうちのいずれをすれば、投票用紙Hを正しい姿勢にすることができるのかを判断する。このように、投票用紙Hの向きを識別し、(正しい姿勢にない)投票用紙Hをどのようにすれば正しい姿勢にすることができるのかを判断することを、「表裏天地判定」ということにする。
以下では、識別を受けた投票用紙Hが確定票であることを前提にして説明する(図3参照)。
前述したように正しい姿勢でホッパー16にセットされた投票用紙H(H1)は、スイッチバック搬送路21やリジェクト搬送路22やスパイラル搬送路23に分岐することなく、本体搬送路18をひたすら流れて、スタッカユニット11(増設されたスタッカユニット11も含む)のスタッカ搬送路37に受け渡され、前述したようにいずれかのスタッカ34(対応する候補名のスタッカ34)に収納される。スタッカ34に収納された状態の投票用紙H(符号H2を付したものを参照)は、ホッパー16にセットされたときと同様に(投票用紙H1)、正しい姿勢でスタッカ34に収納されている。
正しい姿勢でホッパー16にセットされた投票用紙H(H1)がスイッチバック搬送路21に分岐した場合には、この投票用紙Hは、スイッチバック反転ユニット75に取り込まれたことになる。具体的に、投票用紙Hは、反転空間26に進入して奥部分のガイド部材29に当接した後に、時計回りに回転する叩きローラ27の叩きゴム27Aによって上向きに叩き付けられて搬送ベルト28に押し付けられる。これにより、投票用紙Hは、反時計回りに周回移動する搬送ベルト28によって反転空間26から右側へスイッチバック搬送される。このとき、投票用紙Hは、符号H3で示すように、反転空間26に進入するときと逆向きに搬送される。スイッチバック搬送された投票用紙Hは、その後は本体搬送路18をひたすら流れてスタッカ34に収納される。スタッカ34に収納された状態の投票用紙H(符号H4を付したものを参照)は、ホッパー16にセットされたときとは異なり(投票用紙H1)、投票用紙H1が長手方向の軸回りに反転したときの姿勢でスタッカ34に収納されている。このように、スイッチバック反転ユニット75は、(本体搬送路18を搬送される)投票用紙Hの表裏の向きおよび搬送方向(短手方向における向き)を反転させることができる。
正しい姿勢でホッパー16にセットされた投票用紙H(H1)が、本体搬送路18をひたすら流れて第2搬送路20とスパイラル搬送路23との分岐位置の手前(上流側)に到達したとき、右側から見た当該投票用紙Hには、符号H5が付されている。投票用紙H5が引き続き本体搬送路18をひたすら流れてスタッカ34に収納されると、符号H2を付すように、ホッパー16にセットされたときと同様に(投票用紙H1)、正しい姿勢でスタッカ34に収納される。
一方、投票用紙H5は、スパイラル搬送路23に分岐すると、スパイラル反転ユニット76に取り込まれたことになる。具体的に、この投票用紙Hは、スパイラル機構30によって、自身の短手方向の軸回りに反転し、その後、本体搬送路18に合流する。合流後に右側から見た当該投票用紙Hには、符号H6が付されている。投票用紙H6では、投票用紙H5と比べて表裏が逆であって、候補名「G」の向きも逆になっている。その後、投票用紙H6が本体搬送路18を流れてスタッカ34に収納されると、符号H7を付すように、ホッパー16にセットされたときは表裏および候補名「G」の向きの両方が逆になった姿勢でスタッカ34に収納される。このように、スパイラル反転ユニット76は、(本体搬送路18を搬送される)投票用紙Hの表裏の向きを少なくとも反転させることができる。
また、スイッチバック搬送路21でスイッチバック搬送された投票用紙H3が、さらにスパイラル搬送路23を通ってから、スタッカ34に収納されると、符号H8を付すように、ホッパー16にセットされたときは候補名「G」の向きだけが逆になった姿勢でスタッカ34に収納される。
このように、この投票用紙分類機3では、ホッパー16にセットされた投票用紙H1を、そのままの姿勢(投票用紙H2参照)でスタッカ34に収納したり、スイッチバック搬送路21およびスパイラル搬送路23の両方または一方に通すことで、ホッパー16にセットされたときとは異なる3パターンの姿勢(投票用紙H4,7,8参照)でスタッカ34に収納したりすることができる。
これら4つの搬送パターンを使い分けることにより、向きを揃えられることなくホッパー16にセットされた投票用紙Hを、向きを揃えてスタッカ34に収納することができる。以下では、このように投票用紙Hの向きを揃えることを、「向き修正処理」ということにする。
また、前述した未確定票のうち、定められた種類の未確定票(たとえば、リジェクト票)は、第1搬送路19においてリジェクト搬送路22に分岐して、いずれかのリジェクトトレイ17に搬送される。
以上が投票用紙Hの主な流れである。
次に、投票用紙分類機3における電気的構成について説明する。
ここで、本体ユニット10の内部構成は、第1ブロック12に備えられた繰出部45(繰出手段)、画像読取部46、搬送部47、スイッチバック反転部48およびリジェクト部49のそれぞれと、第2ブロック13に備えられたスパイラル反転部50とに細分化されている。また、スタッカユニット11の内部構成は、横搬送部51および縦搬送部52に細分化されている。
繰出部45は、ホッパー16、その周囲の搬送ローラ24および取込ローラ25(これらのローラを回転させるモータも含む)、ならびに、第1搬送路19においてホッパー16につながった一部を含んでいる。繰出部45は、搬送ローラ24および取込ローラ25を回転させることによって、ホッパー16にセットされた投票用紙Hを1枚ずつ繰り出して第1搬送路19に流す。
画像読取部46は、第1読取センサ31、第2読取センサ32、これらのセンサの周囲の搬送ローラ24(搬送ローラ24を回転させるモータも含む)、ならびに、第1搬送路19において第1読取センサ31および第2読取センサ32の周囲の一部を含んでいる。画像読取部46と、制御PC4(後述する制御部70)とは、繰出部45によって繰り出された投票用紙Hを1枚ずつ順次識別する識別手段を構成している。なお、画像読取部46には、投票用紙Hの2枚送り(重送)や点字票Tを検知する厚み検知センサ65が配置される(詳しくは、後述する)。
搬送部47は、第1搬送路19において画像読取部46から続く部分と、その周囲の搬送ローラ24(搬送ローラ24を回転させるモータも含む)と、リジェクト搬送路22と第1搬送路19との分岐部分における切換部材33(切換部材33を動かすソレノイドも含む)を含んでいる。
スイッチバック反転部48は、第1搬送路19において搬送部47から続く部分の全てと、スイッチバック反転ユニット75(スイッチバック搬送路21、周囲の搬送ローラ24、叩きローラ27、搬送ベルト28(これらのローラおよびベルトを動かすモータも含む)、ガイド部材29)を含んでいる。スイッチバック反転部48は、さらに、スイッチバック搬送路21と第1搬送路19との分岐部分における切換部材33(切換部材33を動かすソレノイドも含む)も含んでいる。
リジェクト部49は、リジェクトトレイ17と、リジェクト搬送路22と、分岐路77と、リジェクト搬送路22や分岐路77の周囲の搬送ローラ24(搬送ローラ24を回転させるモータも含む)とを含んでいる。リジェクト部49は、さらに、リジェクト搬送路22と各分岐路77との分岐部分における切換部材33(切換部材33を動かすソレノイドも含む)も含んでいる。
第1ブロック12において、繰出部45、画像読取部46、搬送部47、スイッチバック反転部48およびリジェクト部49のそれぞれは、個別に分割可能であり、メンテナンス時等には取り外される。
スパイラル反転部50は、第2搬送路20と、スパイラル反転ユニット76(スパイラル搬送路23、周囲の搬送ローラ24(搬送ローラ24を回転させるモータも含む)、スパイラル機構30)とを含んでいる。スパイラル反転部50は、さらに、第2搬送路20とスパイラル搬送路23との分岐部分における切換部材33(切換部材33を動かすソレノイドも含む)も含んでいる。
スイッチバック反転部48およびスパイラル反転部50は、単独または共同で、前述した投票用紙Hの向き修正処理を行う。
横搬送部51は、横搬送路38と、縦搬送路39において横搬送路38に接続された部分と、横搬送路38の周囲の搬送ローラ41(搬送ローラ41を回転させるモータも含む)と、縦搬送路39と横搬送路38との分岐部分における切換部材42(切換部材42を動かすソレノイドも含む)とを含んでいる。
縦搬送部52は、縦搬送路39と、各分岐路40と、縦搬送路39と各分岐路40との分岐部分における切換部材42(切換部材42を動かすソレノイドも含む)と、縦搬送路39および各分岐路40の周囲の搬送ローラ41(搬送ローラ41を回転させるモータも含む)とを含んでいる。
図4は、投票用紙分類システム1の電気的な構成を示すブロック図である。
図4を参照して、投票用紙分類機3の本体ユニット10には、マイクロコンピュータ等で構成された全体制御部55(振分手段)が設けられている。全体制御部55は、繰出部45、画像読取部46(厚み検知センサ65を含む)、搬送部47、スイッチバック反転部48、リジェクト部49およびスパイラル反転部50のそれぞれの電気部品(前述したモータやソレノイドや第1読取センサ31や第2読取センサ32)に対して電気的に接続されている。また、全体制御部55には、前述した操作ボタン7が電気的に接続されている。本体ユニット10には、USBハブ56といったインターフェースが設けられていて、全体制御部55および画像読取部46は、USBハブ56を介して制御PC4と通信可能につながっている。また、全体制御部55には、各リジェクトトレイ17における投票用紙Hの有無を検知するセンサ(図示せず)が電気的に接続されている。そして、全体制御部55には、前述した表示ランプ36および表示ランプ43(図2参照)のそれぞれが電気的に接続されており、全体制御部55は、各表示ランプ36,43の点灯パターンを制御する。
ここで、制御PC4には、マイクロコンピュータ等で構成された制御部70(報知手段、表示手段)が設けられている。制御PC4は、制御部70および前述した表示部8以外に、キーボード等で構成された操作部9(図1も参照)と、種々の情報を記憶するための記憶部71とを備えている。
記憶部71には、たとえば、今回の選挙における候補名の一覧や、各種類の投票用紙H(候補毎の確定票や各種の未確定票)の収納先等が記憶されている。具体的には、前述したリジェクト票の収納先は、所定のリジェクトトレイ17とされていて、それ以外の種類の投票用紙Hの収納先は、原則としてスタッカ34とされている。
制御部70には、表示部8、操作部9および記憶部71のそれぞれが電気的に接続されている。また、制御PC4では、制御部70が、USBハブ56を介して、投票用紙分類機3の全体制御部55および画像読取部46と通信可能に接続されている。
各スタッカユニット11には、マイクロコンピュータ等で構成されたスタッカ制御部57(振分手段)が設けられていて、スタッカ制御部57は、横搬送部51および縦搬送部52のそれぞれの電気部品(前述したモータやソレノイド)に対して電気的に接続されている。スタッカ制御部57には、スタッカユニット11の各スタッカ34における投票用紙Hの有無を検知するセンサ(図示せず)が電気的に接続されている。また、各スタッカユニット11のスタッカ制御部57は、全体制御部55と通信可能に接続されている。各スタッカユニット11は、直接または他のスタッカユニット11を経由して本体ユニット10と通信することにより、自機(自分)が(本体ユニット10側から)何番目に接続されたスタッカユニット11であるかを判定し、記憶することができる。
また、本体ユニット10には、プラグ58経由で外部から電力を受ける電源装置59が設けられていて、電源装置59から、全体制御部55、繰出部45、画像読取部46、搬送部47、スイッチバック反転部48、リジェクト部49およびスパイラル反転部50のそれぞれに対して電力が供給される。また、各スタッカユニット11は、上流側(本体ユニット10に近い側)のユニット(本体ユニット10やスタッカユニット11)から電力を受けるための中継用ケーブル85が接続される受け側の電源用コネクタ86と、下流側(本体ユニット10から遠い側)のスタッカユニット11に電力を供給する送り側の電源用コネクタ87とを有する。また、通信ラインについても、電力ラインと同様に、各スタッカユニット11には、受け側の通信用コネクタ88と、送り側の通信用コネクタ89とが設けられている。また、スタッカユニット11を増設した場合、電源装置59の電力は、本体ユニット10に直列で連結された4台のスタッカユニット11(図4では2台目および3台目のスタッカユニット11の図示を省略している)にも供給できるようになっていて、電源装置59から、各スタッカユニット11におけるスタッカ制御部57、横搬送部51および縦搬送部52のそれぞれに対して電力が供給される。なお、この実施形態では、5台目以降のスタッカユニット11(図4では5台目および6台目のスタッカユニット11を図示している)が増設される場合には、プラグ60経由で外部から電力を受ける増設用電源装置61を5台目のスタッカユニット11に接続することにより、増設用電源装置61から5台目以降のスタッカユニット11に対して電力を供給するようになっている。また、4台目と5台目のスタッカユニット11のスタッカ制御部57同士は、増設用電源装置61経由で通信可能になっている。
また、全てのスタッカユニット11は、同じ構成になっており、受け側の電源用コネクタ86には、上流側のユニットとの中継用ケーブル85または増設用電源装置61のケーブル90が接続される。この例の場合には、増設用電源装置61のケーブル90が接続されるのは5番目のスタッカユニット11に決まっていることから、5番目のスタッカユニット11では、受け側の電源用コネクタ86に接続されたケーブルが増設用電源装置61のケーブル90であるか否かを判定し、間違っていれば警告を発する。一方、5番目以外のスタッカユニット11では、増設用電源装置61のケーブル90が接続された場合に警告を発する。警告の方法としては、警告を発するスタッカユニット11の表示ランプ36(図1参照)を赤色点滅させたり、本体ユニット10や制御PC4の表示部8に警告画面を表示させたりする。この機能により、全てのスタッカユニット11が同じ構成になっていても、増設用電源装置61のケーブル90が誤ったスタッカユニット11に接続されることで電力不足等が発生する事態を回避できる。
停止状態の投票用紙分類システム1において、前述したように係員が操作ボタン7を押すと、投票用紙分類機3の全体制御部55が、繰出部45、画像読取部46、搬送部47、スイッチバック反転部48、リジェクト部49およびスパイラル反転部50のモータを駆動させ、搬送ローラ24や取込ローラ25を回転させたリ、搬送ベルト28を周回移動させたりする。これにより、繰出部45において、ホッパー16にセットされた投票用紙Hが順次繰り出されて本体搬送路18内に取り込まれ、本体搬送路18内を下流側へ搬送される。この際、画像読取部46の第1読取センサ31や第2読取センサ32が、繰出部45によって取り込まれて送られてくる投票用紙Hの表裏の内容(画像)を読み取って制御PC4に送信し、制御PC4の制御部70は、受信した画像(前述したように画像でない場合もある)を認識してから、前述したように、当該投票用紙Hの種類を識別するとともに、当該投票用紙Hの姿勢(向き)を識別する。制御部70は、記憶部71に記憶されている(投票用紙Hの種類毎の)収納先を参照して、今回識別した投票用紙Hの収納先を決定する。
制御PC4の制御部70は、決定した収納先を投票用紙分類機3の全体制御部55に送信する。このとき、制御部70は、当該投票用紙Hの姿勢を変える必要があれば、どのようにするのか(スイッチバック搬送路21およびスパイラル搬送路23の一方または両方を通過させるか)の指示を全体制御部55に送信する。
全体制御部55は、受信した内容に基づいて、決定された収納先へ(識別された)当該投票用紙Hが向かうように(前述した)ソレノイドを制御して切換部材33,42の向きを切り換えて、当該投票用紙Hを、決定された収納先(スタッカ34やリジェクトトレイ17)まで搬送する。なお、切換部材42の向きを切り換えは、全体制御部55から指示を受けたスタッカ制御部57が行う。つまり、全体制御部55およびスタッカ制御部57は、制御部70による識別結果に応じて、投票用紙Hを、複数のスタッカ34およびリジェクトトレイ17におけるいずれかに振り分ける。これにより、投票用紙Hを、制御部70による識別結果に応じた種類毎に、いずれかのリジェクトトレイ17またはスタッカ34に振り分けて収納することができる。
また、収納先がスタッカ34になっている投票用紙Hの場合、全体制御部55は、必要に応じて、切換部材33の姿勢を制御して、搬送途中の当該投票用紙Hをスイッチバック搬送路21およびスパイラル搬送路23の一方または両方を通過させて、当該投票用紙Hの姿勢を変える。そのため、スタッカ34に収納された投票用紙Hは、全て向きが揃っていて、前述した正しい姿勢になっている(図3の投票用紙H2を参照)。
一方、収納先がリジェクトトレイ17になっている投票用紙Hの場合、全体制御部55は、切換部材33および42の姿勢を制御して、搬送途中の当該投票用紙Hをスイッチバック搬送路21およびスパイラル搬送路23のいずれも通過させずに、リジェクト搬送路22経由で、収納先のリジェクトトレイ17まで搬送する。
さて、この投票用紙分類機3では、候補名を筆記で選択できる通常(筆記式)の投票用紙Hだけでなく、候補名を点字で選択できる点字用の投票用紙H(以下では、「点字票T」ということにする。)も分類することができる。点字票Tは、たとえば、図5に示すように、「点字投票用紙」という見出しが記載された紙であって、通常の投票用紙と異なり、前述した記入枠が存在しなくてもよいし、用紙の大きさや厚みや地色が異なっていてもよい。点字票Tで投票を行おうとする有権者は、点字票Tを点字器等で突くことによって、点字票Tにおける任意の領域に点字tで候補名を記入する。または、点字票Tに、選挙の全候補名が予め記載されていて、有権者は、投票したい候補名を指し示すように点字tを記入する場合もあり得る。点字が記入された点字票Tには、点字tによってエンボス模様M(図5において破線で囲んだ範囲を参照)が施されている。
そして、点字票Tの識別に関連して、投票用紙分類機3には、図6に示す厚み検知センサ65が設けられている。厚み検知センサ65は、投票用紙Hの厚みを検知するセンサであって、画像読取部46に含まれており、全体制御部55(図4参照)に対して電気的に接続されているとともに、制御PC4の制御部70に対しても電気的に接続されている。制御部70および厚み検知センサ65は、点字票Tを判定する(投票用紙Hが点字票Tであるか否かを判定する)点字票判定手段を構成している。
厚み検知センサ65は、たとえば、本体搬送路18における第1読取センサ31と第2読取センサ32との間に配置されている(図3参照)。厚み検知センサ65は、いわゆる変位センサであり、第1ローラ66と、第2ローラ67と、付勢部材68と、検知部69とを含んでいる。
第1ローラ66および第2ローラ67のそれぞれは、回転可能に設けられている。第1ローラ66および第2ローラ67は、対向配置されていて、第1読取センサ31と第2読取センサ32との間における本体搬送路18を上下から挟んでいる。この実施形態では、第1ローラ66は、第2ローラ67よりも下方にあり、第1ローラ66の位置は固定されている。一方、第2ローラ67は、白抜き矢印で示すように、上下に移動可能であり、第1ローラ66に対して接近したり離間したりすることができる。第1ローラ66に接触しているときの第2ローラ67の上下の位置を、「基準位置」をいうことにする。
付勢部材68は、第2ローラ67を第1ローラ66(基準位置)へ向けて常に付勢している。本体搬送路18を流れる投票用紙Hが、第1ローラ66と第2ローラ67との間を通過する間においては、第2ローラ67は、投票用紙Hの厚みの分だけ、基準位置から上側へずれる。なお、図6では、投票用紙Hが第1ローラ66と第2ローラ67との間にあるので、第2ローラ67は、基準位置から上側にずれている。そして、投票用紙Hが、第1ローラ66と第2ローラ67との間を通過し終えると、第2ローラ67は、付勢部材68の付勢力によって、基準位置に戻る。
厚み検知センサ65では、第2ローラ67が基準位置からずれると、基準位置からの第2ローラ67のずれ量(投票用紙Hの厚さ)に応じた電位差が発生するようになっており、検知部69は、この電位差を検知するようになっている。検知部69が検知した電位差は、第1ローラ66と第2ローラ67との間を通過した投票用紙Hの厚みの検知結果(出力)として、厚み検知センサ65から制御PC4の制御部70(図4参照)に送信される。厚み検知センサ65は、当該ずれ量を、100分の1mm単位で電圧変換することができる。
図7は、厚み検知センサ65と点字票Tとの関係を示す図である。
図7を参照して、厚み検知センサ65についてさらに詳しく説明する。図7(a)は、画像読取部46における第1読取センサ31、第2読取センサ32および厚み検知センサ65のレイアウトを示す模式的な平面図である。1つあたり(1ch(チャンネル)分)の厚み検知センサ65は、対向配置される第1ローラ66および第2ローラ67のペアを2つ(2ペア)と、検知部69とを含んでいる(図7(a)において破線で囲った部分を参照)。厚み検知センサ65は、複数(ここでは12ch分)設けられており、これら複数の厚み検知センサ65は、本体搬送路18における投票用紙Hの搬送方向(図7の左向きの白抜き矢印を参照)に交差する搬送幅方向に並んでいる。ここでの搬送幅方向は、投票用紙Hの搬送方向に直交する方向であり、投票用紙Hの長手方向(図7における上下方向)である。そして、これら12個の厚み検知センサ65によって、厚み検知センサ65全体では、12ch分の厚さデータを取得することができる。
図8〜図11は、各chの厚み検知センサ65において第1ローラ66と第2ローラ67との間を投票用紙Hが通過したときにおける、各chの厚み検知センサ65での検知出力(投票用紙Hの厚さに相当する)の変化を時系列に沿って示したものである。そのため、各図では、複数の厚み検知センサ65での検知出力が重ねて示されている。
図8では、1枚の通常(筆記式)の投票用紙Hが第1ローラ66と第2ローラ67との間を通過した場合を想定している。投票用紙Hがこれらのローラ間を通過している期間(破線矢印参照)では、いずれの厚み検知センサ65においても、1枚の投票用紙Hの厚みに相当する出力(1点鎖線の矢印参照)が、ほぼ一定で続いている。
図9では、きれいに重なった2枚の通常の投票用紙Hが重送状態を維持しながら第1ローラ66と第2ローラ67との間を通過した場合を想定している。2枚の投票用紙Hがこれらのローラ間を通過している期間(破線矢印参照)では、いずれの厚み検知センサ65においても、2枚の投票用紙Hの厚みに相当する出力(図8の場合の2倍であり、1点鎖線の矢印参照)が、ほぼ一定で続いている。
図10では、ずれて重なった2枚の通常の投票用紙Hが重送状態を維持しながら第1ローラ66と第2ローラ67との間を通過した場合を想定している。2枚の投票用紙Hがこれらのローラ間を通過している期間(破線矢印参照)において、各厚み検知センサ65では、出力が、1枚の投票用紙Hの厚みに相当する場合と、2枚の投票用紙Hの厚みに相当する場合とで段階的に変化している。なお、テープが張り付いた1枚の投票用紙Hが第1ローラ66と第2ローラ67との間を通過した場合にも、図10のような出力が得られる。
図11では、1枚の点字票Tが第1ローラ66と第2ローラ67との間を通過している場合を想定している。1枚の点字票Tがこれらのローラ間を通過している期間(破線矢印参照)において、各厚み検知センサ65では、前述した搬送幅方向(図7参照)において同じ位置にある点字tが第1ローラ66と第2ローラ67との間を通過すると、出力が一瞬上昇する。一瞬上昇したときの出力の変位は、1つの点字t(凸)を示している。各点字tは、一般的に点字票Tにおいて分布配置されているので(図5および図7(b)参照)、全ての点字tが同じタイミングで(対応する)厚み検知センサ65の第1ローラ66と第2ローラ67との間を通過することはない。そのため、各厚み検知センサ65では、出力が一瞬上昇するタイミングにずれが生じる。そのため、全ての厚み検知センサ65の出力を重ねると、1枚の点字票Tが第1ローラ66と第2ローラ67との間を通過している期間において、ぎざぎざに変化した出力を示すぎざぎざ波形Wが生じる。ぎざぎざ波形Wは、点字tが記入された点字票Tに特有である。
各厚み検知センサ65から出力が送信された制御部70(図4参照)は、全ての厚み検知センサ65の出力を重ねたときに、ぎざぎざ波形Wを確認すると、第1ローラ66と第2ローラ67との間を直前に通過した投票用紙Hが点字票Tであると判定する。ここで、厚み検知センサ65を搬送幅方向に並んで複数設け(図7(a)参照)、個々の厚み検知センサ65が点字票Tにおける点字tを別々に識別するようにすれば、ぎざぎざ波形Wを確認できるようになるので、制御部70は、投票用紙Hの重送と間違えることなく、点字票Tを確実に判定できる。
次に、投票用紙分類機3において通常の投票用紙Hだけでなく点字票Tも分類する場合における、投票用紙分類機3の設定手順について説明する。
図12は、制御PC4の表示部8に表示される設定画面92を示す模式図である。
設定画面92には、「設定画面」という見出しよりも下の領域に、主に、点字票対応設定欄93と、届出名−グループ番号対応表94と、スタッカ番号−グループ番号対応表95とが表示されている。
以下での説明に際し、前述したリジェクトトレイ17およびスタッカ34のそれぞれに、別々のスタッカ番号を割り当てて、リジェクトトレイ17およびスタッカ34の1つ1つを区別することにする。一例として、第1リジェクトトレイ17Aのスタッカ番号は、「RJ1」であり、第2リジェクトトレイ17Bのスタッカ番号は、「RJ2」であり、第3リジェクトトレイ17Cのスタッカ番号は、「RJ3」である。また、スタッカ34のスタッカ番号は、本体ユニット10に近いスタッカユニット11のスタッカ34ほど、若い番号となり、同じスタッカユニット11内では、上側のスタッカ34ほど、若い番号になる。
そして、点字票対応設定欄93では、係員による制御PC4の操作部9(図4参照)の操作により、点字票Tへの対応の要否と、対応が「要」とする場合における点字票Tの収納先となるスタッカ34(リジェクトトレイ17も含む)のスタッカ番号とが入力される。図12では、点字票Tへの対応が「要」と入力され、点字票Tの収納先のスタッカ番号は「RJ3」と指定されている。
届出名−グループ番号対応表94に関し、届出名とは、届け出られた候補者名(候補者AやB等)や政党名のことであり、未確定票等については、前述したリジェクト票、疑問票、按分票、白票、他事記載票、点字票Tの名称(種類)が届出名として割り当てられる。係員による制御PC4の操作部9の操作により、各届出名に対して任意のグループ番号を割り当てることができ、届出名−グループ番号対応表94では、各届出名とグループ番号との対応関係がまとめられている。
そして、係員による制御PC4の操作部9の操作により、各スタッカ番号に対して、先ほどのグループ番号を割り当てることができる。スタッカ番号−グループ番号対応表95では、各スタッカ番号とグループ番号との最終的な対応関係がまとめられている。図12の場合には、たとえば、スタッカ番号がRJ1およびRJ2のスタッカ(第1リジェクトトレイ17Aおよび第2リジェクトトレイ17B)には、グループ番号が「0」のリジェクト票が収納される。また、スタッカ番号がRJ3のスタッカ(第3リジェクトトレイ17C)には、点字票対応設定欄93で設定したように、グループ番号が「55」の点字票Tが振り分けられて収納される。なお、スタッカ番号−グループ番号対応表95では、各スタッカ番号に対応して、そのスタッカ番号のスタッカに収納される投票用紙の種類が「表示名称」として登録されていてもよい。
また、届出名−グループ番号対応表94およびスタッカ番号−グループ番号対応表95では、図12に表れている内容が全てであるとは限らず、それぞれの対応表の右隣に設けられたスクロールバー96をスクロールさせることによって、図12に表れていない他の内容を閲覧することができる。
図13には、設定画面92での設定結果の一例として、各スタッカ番号(RJ1〜RJ3および1〜16のそれぞれ)と、各スタッカ番号のスタッカに収納される投票用紙の名称(前述した届出名)との対応関係が示されている。ここでは、本体ユニット10において、スタッカ番号がRJ1〜RJ2のスタッカ(リジェクトトレイ17)には、リジェクト票が収納され、スタッカ番号がRJ3のスタッカ(リジェクトトレイ17)には、点字票Tが収納される。そして、本体ユニット10に直結された(1台目の)スタッカユニット11において、スタッカ番号が1〜3のスタッカ34には、候補者Aの確定票が収納され、スタッカ番号が4〜6のスタッカ34には、候補者Bの確定票が収納され、スタッカ番号が7のスタッカ34には、疑問票が収納され、スタッカ番号が8のスタッカ34には、按分票が収納される。そして、本体ユニット10に直結されたスタッカユニット11とは別の(2台目の)スタッカユニット11において、スタッカ番号が9〜10のスタッカ34には、候補者Cの確定票が収納され、スタッカ番号が11〜12のスタッカ34には、候補者Dの確定票が収納される。また、スタッカ番号が13のスタッカ34には、候補者Eの確定票が収納され、スタッカ番号が14のスタッカ34には、候補者Fの確定票が収納され、スタッカ番号が15のスタッカ34には、白票が収納され、スタッカ番号が16のスタッカ34には、他事記載票が収納される。このような設定結果は、各種類の投票用紙Hの収納先情報として、制御PC4の記憶部71(図4参照)に記憶されている。
次に、設定画面92の点字票対応設定欄93において点字票Tへの対応が「要」である場合(図12参照)における投票用紙Hの分類処理の一例について、図14のフローチャートを参照しながら大まかに説明する。
ここで、この実施形態では投票用紙分類機3と制御PC4とが別々の装置であり、投票用紙分類機3において本体ユニット10とスタッカユニット11とが別々の装置である。そのため、投票用紙分類システム1全体で見ると、制御PC4の制御部70、本体ユニット10の全体制御部55および各スタッカユニット11のスタッカ制御部57のいずれかが、その時々に応じて主となって制御動作を行う。しかし、制御PC4が投票用紙分類機3に組み込まれた構成もあり得る。そこで、以下では、制御PC4が投票用紙分類機3に組み込まれているものするとともに、各スタッカ制御部57を全体制御部55の一部とし、さらに、制御部70、全体制御部55および各スタッカ制御部57を、投票用紙分類機3に含まれる1つの制御部100(図4参照)とみなして説明することにする。
投票用紙分類機3の待機状態において係員によって操作ボタン7(図1参照)が押されると、制御部100(全体制御部55)は、前述したモータ(図示せず)を駆動させる。これにより、ホッパー16にセットされた投票用紙Hが1枚ずつ繰り出されて本体搬送路18を流れ、第1読取センサ31および第2読取センサ32を通過する(図3参照)。
制御部100(制御部70)は、これらの読取センサが投票用紙Hの表裏の表面から読み取った画像に基づいて、前述した表裏天地判定を行う(ステップS1)。
そして、制御部100(制御部70)は、表裏天地判定を行った投票用紙Hについて、先ほどの画像に基づいて、この投票用紙Hが他事記載票であるか否かを判定する(ステップS2)。
制御部100(制御部70)は、この投票用紙Hが他事記載票であると判定した場合には(ステップS2でYES)、設定画面92の届出名−グループ番号対応表94での設定内容(厳密には、制御PC4の記憶部71に記憶された設定結果)に基づいて、他事記載票に割り当てられたグループ番号を決定する(ステップS3)。図12の場合には、制御部100(制御部70)は、他事記載票のグループ番号が「54」であると決定する。そして、制御部100(制御部70)は、設定画面92のスタッカ番号−グループ番号対応表95での設定内容(厳密には、制御PC4の記憶部71に記憶された設定結果)に基づいて、このグループ番号に対応するスタッカ番号のスタッカ(つまり、このグループ番号に応じたスタッカ)を決定する。図13の場合には、スタッカ番号が「16」のスタッカ34が、他事記載票の搬送先として決定され、制御部100(全体制御部55)は、このスタッカ34に、他事記載票を搬送する(ステップS4)。なお、ステップS1の表裏天地判定において、前述した正しい姿勢にないと判定された投票用紙Hの場合には、ステップS4での搬送途中において、前述した向き修正処理が施される。
制御部100(制御部70)は、この投票用紙Hが他事記載票でないと判定した場合には(ステップS2でNO)、厚み検知センサ65から送信された出力におけるぎざぎざ波形W(図11参照)の有無に基づいて、この投票用紙Hが点字票Tであるか否かを判定する(ステップS5)。
制御部100(制御部70)は、この投票用紙Hが点字票Tでないと判定した場合には(ステップS5でNO)、第1読取センサ31および第2読取センサ32が投票用紙Hの表裏の表面から読み取った画像において、投票用紙Hにおける記入枠内のエリア(認識エリア)を切り出す(ステップS6)。そして、制御部100(制御部70)は、当該認識エリア内の画像に基づいて、当該エリア内の文字を認識し、この投票用紙Hの種類(確定票またはいずれの未確定票か)を判別する(ステップS7)。そして、制御部100(制御部70)は、設定画面92の届出名−グループ番号対応表94での設定内容に基づいて、判別した投票用紙Hの種類(届出名)に割り当てられたグループ番号を決定する(ステップS3)。制御部100(制御部70)は、投票用紙Hの種類を候補者Aの確定票と判別したとすると、図12の場合には、この確定票のグループ番号が「1」であると決定する。そして、制御部100(制御部70)は、設定画面92のスタッカ番号−グループ番号対応表95での設定内容に基づいて、このグループ番号に対応するスタッカ番号のスタッカ(つまり、このグループ番号に応じたスタッカ)を決定し、制御部100(制御部70)は、投票用紙Hを、このスタッカに搬送する(ステップS4)。先ほどの候補者Aの確定票は、図13の場合には、グループ番号「1」に対応するスタッカ番号「1」のスタッカ34に搬送される。
制御部100(制御部70)は、ステップS5において、投票用紙Hが点字票Tであると判定した場合には(ステップS5でYES)、点字票Tを判定した旨(つまり、点字票Tの存在)を報知する(ステップS8)。たとえば、分類処理中において、制御部100(制御部70)は、制御PC4の表示部8に、図15に示す動作画面98を表示させる。動作画面98では、スタッカ番号と、そのスタッカ番号のスタッカにおける投票用紙Hの現時点での収納枚数(票数)と、そのスタッカ番号に対応するグループ番号および届出名とが、各スタッカ番号について表示されている。制御部100(制御部70)は、点字票以外の各投票用紙Hについてその種類を判別する度に(ステップS7)、動作画面98において、判別した種類(届出名)の票数をインクリメント(+1)する。そして、点字票の場合、制御部100(制御部70)は、投票用紙Hが点字票Tであると判定した場合には(ステップS5でYES)、その都度、動作画面98において、点字票Tの票数をインクリメント(+1)して、0(零)から1に変えるとともに、点字票Tの欄(図15において破線で囲んだ部分を参照)を、他の部分とは違う色等によって目立たせて表示する。制御部100(制御部70)は、このように点字票Tの票数が0から1に変わり、点字票Tの欄の表示が目立つことによって、点字票Tを判定した旨を報知する。動作画面98を監視している係員は、点字票Tの票数が0(零)から1に変わったり、点字票Tの欄の表示が目立つようになったりすると、速やかに、スタッカ番号がRJ3のスタッカから、点字票Tを取出し、点字票Tを読み取る専門の係員に渡す。点字票Tを受け取った係員は、この点字票Tが有効票であるか否かを審査し、有効票であれば、この点字票Tは、集計に加算される。つまり、点字票Tの分類があると、その旨が直ちに報知されて、点字票Tの回収が促されることから、係員は、その後の迅速・的確な対応が可能になる。なお、RJ3のスタッカから点字票Tが取り出されると、動作画面98における点字票Tの票数は、0に戻り、点字票Tの欄の表示は、目立つ前の通常状態に戻る。
また、報知の別の形態として、制御部100(制御部70)は、投票用紙Hが点字票Tであると判定した場合には(ステップS5でYES)、図16に示すように、動作画面98に、たとえば「点字票有り(1票)」という内容のポップアップ画面99をさらに表示させ、これにより、点字票Tを判定した旨を報知してもよい(ステップS8)。動作画面98を監視している係員は、ポップアップ画面99が表示されると、速やかに、RJ3のスタッカから、点字票Tを取出し、点字票Tを読み取る係員に渡す。なお、RJ3のスタッカから点字票Tが取り出されると、ポップアップ画面99は表示されなくなる。
また、報知のさらに別の形態として、制御部100は、投票用紙Hが点字票Tであると判定した場合には(ステップS5でYES)、点字票Tの収納先であるスタッカ(RJ3の第3リジェクトトレイ17C)の表示ランプ43(図2参照)を、点滅等させることによって、目立たせてもよい。なお、報知についてのこれらの各形態は、単独で実施してもよいし、組み合わせて実施してもよい。
このような報知の後、制御部100(制御部70)は、設定画面92の届出名−グループ番号対応表94での設定内容に基づいて、点字票に割り当てられたグループ番号を決定する(ステップS3)。図12の場合には、制御部100(制御部70)は、点字票のグループ番号が「55」であると決定する。そして、制御部100(制御部70)は、設定画面92のスタッカ番号−グループ番号対応表95での設定内容に基づいて、このグループ番号に対応するスタッカ番号のスタッカ(つまり、このグループ番号に応じたスタッカ)を決定する。図12の場合には、グループ番号「55」に対応するスタッカ番号「RJ3」のスタッカ(第3リジェクトトレイ17C)が、点字票の搬送先として決定され、制御部100(全体制御部55)は、このスタッカに、点字票Tを搬送する(ステップS4)。なお、点字票Tについては、前述した向き修正処理を施さないものとする。
以上のように、制御部100(制御部70)は、ホッパー16から1枚ずつ繰り出された投票用紙Hが点字票Tか否かを、厚み検知センサ65の出力に基づいて判定する。そして、制御部100(制御部55,57)は、点字票Tであるとの判定に応じて、当該点字票T(点字票Tであると判定した投票用紙H)を、複数のスタッカにおける所定のスタッカ(この実施形態では、第3リジェクトトレイ17C)に振り分ける。そのため、複数のスタッカのうち、当該所定のスタッカを確認すれば、点字票Tを容易かつ確実に発見することができる。さらに、ステップS8での報知によって、係員は、点字票Tの存在を直ちに把握できるので、第3リジェクトトレイ17Cに振り分けられた点字票Tを一層容易かつ確実に発見することができる。また、点字票Tが未確定票(特に白票)として、(第3リジェクトトレイ17C以外の)他のスタッカに混入しないようにすることができる。また、点字票Tを、搬送路80における比較的上流位置から分岐して当該所定のスタッカ(第3リジェクトトレイ17C)に振り分けるようにしているので、点字票Tは、下流側収納部(スタッカユニット11のスタッカ34)に振り分けられる場合よりも短い搬送距離で第3リジェクトトレイ17Cに到達する。よって、点字票Tでは、搬送ローラ24,41や搬送ベルト28等によって点字tが潰されることを極力抑えることができるので、その後における点字の読取が容易である。
なお、ステップS3の点字票の判定処理は、ステップS2の他事記載票の判定処理の前に行われてもよいし、ステップS1の表裏天地判定の前に行われてもよい。また、ステップS8の報知を行うか否かを、設定画面92(図12参照)において設定できてよく、報知を行わない場合には、ステップS8の処理は省略される。
また、図14では言及していないが、投票用紙Hの取り込み不具合が生じた場合には、第1読取センサ31および第2読取センサ32が(当該読取センサを通過した)投票用紙Hの画像を読み取れないので、この投票用紙Hは、リジェクト票として、リジェクトトレイ17(図13の場合は、スタッカ番号が「RJ1」または「RJ2」のリジェクトトレイ17)に搬送される。
この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、点字票Tの判定のために、厚み検知センサ65を点字票判定手段として用いているが、厚み検知センサ65の代わりに、第1読取センサ31や第2読取センサ32を用いてもよい。これらの読取センサによって、点字票Tの各点字t(エンボス形状)における陰影画像を取得し、当該陰影の有無によって、点字票Tを判定することができる。また、点字票T特有の記載事項(たとえば、図5に示す「点字投票用紙」という見出し)の有無によって、点字票Tを判定してもよい。また、点字票Tと他の通常の投票用紙Hとで、大きさや地色に違いがあれば、その違いによって点字票Tを判定してもよい。
さらに、厚み検知センサ65の代わりに、光学センサを用いることができる。光学センサは、投票用紙Hに向けて投光する発光素子と、投票用紙Hで反射された光または投票用紙Hを透過した光を受光する受光素子とを備えている。受光素子は、反射された光を受光する場合には、投票用紙Hに対して発光素子と同じ側に配置され、一方、投票用紙Hを透過した光を受光する場合には、投票用紙Hに対して発光素子とは反対側に配置される。いずれにせよ、発光素子が投票用紙Hに投光した光は、投票用紙Hにおいて、点字tと、点字t以外の領域とでは、ずれたタイミングで受光素子に受光される。このタイミングのずれの有無によって、点字票Tの判定を行ってもよい。
また、前述した実施形態では、点字票Tは、所定のスタッカ(第3リジェクトトレイ17C)に搬送された後に、専門の係員によって、点字tの記載内容が識別されるようになっている。これに代え、制御部100(制御部70)は、各厚み検知センサ65の前記ぎざぎざ波形Wの配列パターンに基づいて、点字tの記載内容を識別してもよい。この場合、制御部100(制御部70)と、厚み検知センサ65とは、点字票Tにおける点字tの記載内容を識別する点字識別手段を構成する。または、制御部100(制御部70)は、第1読取センサ31や第2読取センサ32が読み取った前記陰影画像における陰影(点字t)の配列パターンに基づいて、点字tの記載内容を識別してもよい。この場合、制御部100(制御部70)と、第1読取センサ31および第2読取センサ32とが、点字識別手段を構成する。
このように投票用紙分類機3側で点字票Tの点字tの記載内容を識別する場合には、人手による点字tの読取を省略できるので、使い勝手が良い。また、この場合において、制御部100は、点字票Tを当該所定のスタッカに分類したうえで、識別結果である点字tの記載内容(さらには、どの候補を指定しているのかという内容)を、制御PC4の表示部8における動作画面98のポップアップ画面99(図16参照)等に表示してもよい。たとえば、点字票Tに、A候補者を指名する内容の点字tが記入されていた場合には、ポップアップ画面99には、「点字票有り(1票)、A候補者を選んでいます。」という内容が表示されているとよい。そうすれば、表示された(点字票Tの記載内容についての)識別結果に基づいて、当該点字票Tがどの候補を選んでいるのかを容易に把握できる。なお、選挙の候補者に該当しない内容の点字tが記入されていた場合には、点字tの記入内容が選挙の候補者に該当しない旨が表示されてもよい。
また、投票用紙分類機3による分類処理は、係員による操作ボタン7の押下によって開始されているが、係員がホッパー16に投票用紙Hをセットすると自動で開始されてもよい。
また、投票用紙分類機3内には、投票用紙Hの重送状態や斜行状態や連鎖状態を防止したり、解消したりできる機構が設けられていてもよい。
なお、投票用紙分類システム1は、投票用紙分類機3と制御PC4とを少なくとも有していればよいので、前述したプリンター5は適宜取捨されてもよい。また、前述したように、投票用紙分類機3と制御PC4とを一体化した構成(制御PC4が投票用紙分類機3に組み込まれた構成)としてもよい。この構成では、制御PC4の表示部8や操作部9が投票用紙分類機3に配置され、制御PC4の制御部70と全体制御部55とが一体化されることになる。
また、点字票T以外の未確定票における(未確定の)要因のうち、発生する頻度が極端に低い要因については、個別のスタッカ34やリジェクトトレイ17に割り当てることが無駄になるため、複数の要因の未確定票を1つのスタッカ34やリジェクトトレイ17に振り分けるように設定してもよい。
また、制御PC4は、白票、無効票、他事記載票、疑問票、按分票およびリジェクト票のすべてを未確定票に識別していたが、都合に応じて、これらの少なくとも1つ以上を未確定票に識別してもよい。
また、前述した投票用紙Hは、候補者名および政党名のいずれかを記載できるようになっていたが、候補者名しか記載できないものであってもよいし、政党名しか記載できないものであってもよい。また、前述した実施形態では、通常(筆記式)の投票用紙Hは、候補者名(または政党名)が記入されるタイプ(自書式)になっていたが、たとえば全候補者名が予め記載されていて、有権者が、投票用紙H上で、(選びたい)候補者名を○「まる」で囲ったり、その候補者名の近くに○を付けたり、選びたくない候補者名の近くに×「ばつ」を付けたりするタイプであってもよい。
また、スイッチバック反転部48およびスパイラル反転部50については、投票用紙Hの向きを同様に変換できるものであれば、たとえば特開平9−212699号等に記載される他の方式を採用してもよい。
また、投票用紙Hの搬送機構(搬送ローラ24等)による点字票Tの点字t(突起)への影響が少ない場合や、点字tがつぶれても点字tの跡を見ることで点字tの内容の読み取りが可能である場合には、点字票T用の振り分け先を、スタッカユニット11のスタッカ34に設定してもよい。