JP5999636B2 - 投票用紙分類機 - Google Patents

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Description

この発明は、投票用紙分類機に関する。
投票用紙分類機として、下記特許文献1では、投票券候補者別ソート機能付き選挙投票箱が提案されている。この選挙投票箱に投函された投票券(投票用紙)は、選挙投票箱内において、2つ折りの状態から開かれた後に、記入内容が読み取られ、投票券面表裏反転部や投票券面上下反転部によって向きが揃えられた後に、候補者別のスタッカに振り分けられる。
特開平9−212699号公報
特許文献1の反転部(投票券面表裏反転部や投票券面上下反転部)を通る投票券には、反転の過程で皺ができやすい。皺ができた投票券は、搬送途中で詰まってジャムを引き起こす虞がある。そのため、不必要に投票券を反転部に通さないようにしたい。
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、ジャムの発生を抑制することができる投票用紙分類機を提供することを目的とする。
請求項1記載の発明は、分類すべき投票用紙をセットするためのセット部と、前記セット部にセットされた投票用紙を1枚ずつ繰り出す繰出手段と、前記繰出手段によって繰り出された投票用紙を識別する識別手段と、前記識別手段によって識別された投票用紙を収納するための第1収納部と、前記セット部と前記第1収納部とを結び、投票用紙を搬送するための搬送路と、前記搬送路に設けられ、投票用紙の向きを反転させる反転ユニットと、前記搬送路において前記反転ユニットを通る部分から外れた位置に接続されており、前記識別手段によって識別された投票用紙を収納するための第2収納部と、前記識別手段によって未確定票と識別された投票用紙のうち、白票および投票用紙の向きを識別できた第1疑問票の少なくとも一方を前記第1収納部へ送り込み、搬送不良票および投票用紙の向きすら識別できない第2疑問票を前記第2収納部へ送り込む手段と、を含むことを特徴とする、投票用紙分類機である。
請求項2記載の発明は、前記第2収納部は、複数設けられ、前記搬送路において、投票用紙の搬送方向において前記反転ユニットよりも上流側の位置に接続されていることを特徴とする、請求項1記載の投票用紙分類機である。
請求項3記載の発明は、前記識別手段による識別結果に応じて、投票用紙を、複数の前記第2収納部におけるいずれかに振り分ける振分手段を含むことを特徴とする、請求項2記載の投票用紙分類機である。
請求項4記載の発明は、投票用紙に点字が刻印されているか否かを判定する手段と、点字が刻印されていると判定された投票用紙を前記第2収納部へ振り分ける手段と、を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の投票用紙分類機である。
請求項5記載の発明は、前記反転ユニットの異常を検知する検知手段と、前記検知手段が前記反転ユニットの異常を検知したことに応じて、搬送途中の投票用紙を前記第2収納部へ送り込む送込手段と、を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の投票用紙分類機である。
請求項1記載の発明によれば、向きを反転させる必要がない投票用紙を、反転ユニットを通さずに、第2収納部に収納することができる。これにより、投票用紙が反転ユニットを通ることに起因するジャムの発生を抑制することができる。
請求項2記載の発明によれば、第2収納部が搬送路において反転ユニットよりも上流側の位置に接続されていることから、向きを反転させる必要がない投票用紙を、確実に、反転ユニットを通さずに、第2収納部に収納することができる。
請求項3記載の発明によれば、投票用紙を、識別手段による識別結果に応じた種類毎に、いずれかの第2収納部に振り分けて収納することができる。
請求項4記載の発明のように、点字が刻印されていると判定された投票用紙を第2収納部へ振り分けてもよい。
請求項5記載の発明によれば、反転ユニットに異常が発生すると、搬送路内で搬送途中の投票用紙は、反転ユニットを通ることなく、第2収納部に回収されるので、投票用紙が反転ユニットを通ることに起因するジャムの発生を抑制することができる。
図1は、この発明の一実施形態に係る投票用紙分類システム1が机2上にセットされた状態を正面側から見た斜視図である。 図2は、投票用紙分類システム1の投票用紙分類機3の正面図である。 図3は、投票用紙分類機3の内部構造を示す模式図である。 図4は、第1の変形例に係る投票用紙分類機3の内部構造を示す模式図である。 図5は、第2の変形例に係る投票用紙分類機3の内部構造を示す模式図である。 図6は、投票用紙分類システム1の電気的な構成を示すブロック図である。
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る投票用紙分類システム1が机2上にセットされた状態を正面側から見た斜視図である。
図1に示す投票用紙分類システム1は、選挙における開票所にセットされ、各投票所から開票所に集められた投票用紙を候補者毎および/または政党毎に自動的に分類する。なお、以下では、候補者および政党を「候補」と総称し、候補者名および政党名を「候補名」と総称することにする。
投票用紙分類システム1は、投票用紙分類機3と、制御PC4と、プリンター5とを含んでいる。投票用紙分類機3は、投票用紙の分類作業を実際に行うものであり、制御PC4は、いわゆるパソコンであって、投票用紙分類機3における分類条件等を設定したり、投票用紙の記入内容を識別したりするものであり、プリンター5は、分類結果等を紙で出力するものである。なお、制御PC4を、投票用紙分類機3の一部とみなしてもよい。
投票用紙分類システム1は、たとえば、投票用紙分類機3と制御PC4とプリンター5とがこの順番で横並びになるように、机2の上にセットされる。制御PC4は、投票用紙分類機3およびプリンター5のそれぞれに対して通信ケーブル6を介して通信可能に接続されている。
開票所に集められた投票用紙の開票作業の流れの概要を説明すると、まず、投票終了後に、係員が、投票用紙が詰まった投票箱を開票所に持ち込み、投票箱内の投票用紙を机(投票用紙分類システム1がセットされた机2でもよい)の上に広げる。そして、係員は、机の上の投票用紙を適当に積み重ねて束にし、この束を投票用紙分類機3にセットする。投票用紙分類機3は、セットされた束から未分類の投票用紙を1枚ずつ取り込んで、投票用紙に記入された候補名(候補者名や政党名)を読み取る。読み取られた候補名は、制御PC4によって認識(一次点検を兼ねる)される。その後、投票用紙分類機3では、投票用紙が、候補名毎に分類され、投票用紙が候補者名毎に集計される。その後、分類された投票用紙は、係員によって目視で点検(二次点検)された後に再集計されると、一連の開票作業が完了する。
また、開票された投票用紙には、確定票と、未確定票という種類がある。
確定票は、記入された候補名が正常に読み取られるとともに、当該候補名に間違いがなく、集計に加算できる有効票のことである。確定票は、投票用紙分類機3での集計を終えた後、前述した二次点検を受ける。
未確定票は、確定票以外の投票用紙のことであり、白票、無効票、疑問票、リジェクト票(搬送不良票)、オーバーフロー票に細分化される。
白票は、予め印刷された内容以外に何も記載されていない白紙の投票用紙のことである。無効票とは、何かしらの記入があるものの、いずれかの候補以外の名前(つまり、間違った候補名)が記入されていたり、候補名以外に落書等の余計な事項(他事記載)が記入されていたりする投票用紙のことである。
疑問票は、記入事項(ここでは候補名)の一部に間違いがあったり、不明瞭な部分があったりして、投票用紙分類機3では識別できず、有効票とするか否かについて人(係員)による判断が必要な投票用紙のことである。疑問票は、候補名が正しく記入されていないので、投票用紙分類機3では、疑問票から候補名を正常に読み取ること(識別)ができない。
このような疑問票は、さらに、第1疑問票、第2疑問票および按分票に細分化される。
第1疑問票とは、投票用紙の向き(表裏や上下左右の向き)はわかるものの、その記入事項が識別できないものである。第2疑問票とは、記入事項が識別できないだけでなく、投票用紙の向きすら識別できないものである。
按分票は、記入事項があいまいで、その記入事項から複数の候補のどちらを選んでいるのか分からない(つまり、複数の候補に該当する)投票用紙のことである。たとえば、田中一郎と、田中二郎という同姓の候補者が二人いたとした場合に、苗字の「田中」だけが記入された投票用紙が按分票である。按分票の場合、たとえば、該当する複数の候補者のそれぞれにおける最終的な獲得票数から各候補者の取り分を設定して、按分票の1票を、当該複数の候補者のそれぞれの取り分毎に分割して、各候補者の獲得票に加算する。具体例を挙げると、先ほどの田中一郎が最終的に1000票獲得し、田中二郎が最終的に500票獲得した場合において、苗字の「田中」だけが記入された按分票が開票中に1票出てきたとする。この場合、田中一郎は、その1票に、1000/(1000+500)を乗じて得た値を、按分票における自身の取り分とすることができ、田中二郎は、その1票に、500/(1000+500)を乗じて得た値を、按分票における自身の取り分とすることができる。
白票、無効票および疑問票(第1および第2疑問票ならびに按分票)は、投票用紙分類機3での一次点検の後に、係員(厳密には、選挙を運営する審査係)によって目視で確認されて、確定票か否かの最終判定を受ける。
リジェクト票は、投票用紙分類機3において、斜行状態(進行方向に対して所定以上傾斜した状態)や、連鎖状態(先行する投票用紙または後続の投票用紙に異常接近した状態)や、重送状態(複数枚の投票用紙が重なった状態)で搬送されたために記入事項の読み取りが行われなかった投票用紙のことである。リジェクト票は、記入事項自体に問題あって排除された訳ではないので、投票用紙分類機3に再度セットされる。
オーバーフロー票は、本来振り分けられるべき収納部(後述するスタッカ34)が満杯であるため、当該収納部に振り分けられない(行き場のない)投票用紙のことである。オーバーフロー票も、リジェクト票と同様に、記入事項自体に問題あって排除された訳ではないので、投票用紙分類機3に再度セットされる。
次に、投票用紙分類システム1、特に投票用紙分類機3の詳細について説明する。
図2は、投票用紙分類機3の正面図である。
図2において、紙面手前側が投票用紙分類機3の正面側(前側)であり、紙面奥側が投票用紙分類機3の背面側(後側)であり、紙面上側が投票用紙分類機3の上側であり、紙面下側が投票用紙分類機3の下側であり、紙面左側が投票用紙分類機3の左側であり、紙面右側が投票用紙分類機3の右側である。なお、以下では、投票用紙分類機3や、投票用紙分類機3を構成する部品の姿勢を特定する場合、先ほどの前後上下左右方向を用いることにする。
投票用紙分類機3は、本体ユニット10と、スタッカユニット11とを含んでいる。図2では、スタッカユニット11が2台図示されている。本体ユニット10およびスタッカユニット11は、いずれも縦長ボックス状であるが、本体ユニット10は、1台のスタッカユニット11よりも左右方向に幅広である。本体ユニット10は、投票用紙を取り込んで記入事項を読み取って候補者毎に分類し、スタッカユニット11は、分類された投票用紙を候補者毎に分けて集積する。
スタッカユニット11は、本体ユニット10に対して左側から連結される。また、別のスタッカユニット11を、本体ユニット10に連結されたスタッカユニット11に対して左側から連結できる。同様の手順で、本体ユニット10に対して複数台(この実施形態では最大で8台)のスタッカユニット11を左側から直列で連結できる。つまり、この投票用紙分類機3では、候補者の数に応じて、スタッカユニット11を自在に増設することができる。
本体ユニット10は、略下半分をなす第1ブロック12と、略上半分をなす第2ブロック13とに分離可能である。第1ブロック12および第2ブロック13は、いずれも、左右に長手のボックス形状である。
また、第1ブロック12の正面(前側面)には、矩形状の扉62が設けられている。扉62は、その下端部で左右に延びる回動軸を中心として回動することによって開閉可能である。図2では、扉62が閉じた状態が示されている。扉62の上端部に設けられた取っ手62Aに手を掛けて手前に引くと、扉62を開くことができる。扉62を開くと、第1ブロック12の内部空間が正面側に露出される。
第2ブロック13の正面には、矩形状の扉63が設けられている。扉63は、その左端部で上下に延びる回動軸を中心として回動することによって開閉可能である。図3では、扉63が閉じた状態が示されている。扉63の右端部に設けられた取っ手63Aに手を掛けて手前に引くと、扉63を開くことができる。扉63を開くと、第2ブロック13の内部空間が正面側に露出される。
図3は、投票用紙分類機3の内部構造を示す模式図である。
図3を参照して、第1ブロック12の右側面には、投入口14と、リジェクト口15とが上下に隣り合って設けられている(太い破線部分)。リジェクト口15は、投入口14よりも高い位置にある。この実施形態では、リジェクト口15は、複数(たとえば3つ)設けられ、上下に並んでいる。第1ブロック12には、投入口14から連続して第1ブロック12の内部へ向けて左側に窪む凹状のホッパー16(セット部)と、各リジェクト口15から連続して第1ブロック12の内部へ向けて左側に窪む凹状のリジェクトトレイ17(第2収納部)とが設けられている。リジェクトトレイ17は、リジェクト口15と同数設けられており、この実施形態では、複数(3つ)存在し、上下に並んでいる。3つのリジェクトトレイ17を、上から順に、第1リジェクトトレイ17A、第2リジェクトトレイ17B、第3リジェクトトレイ17Cと区別することがある。
ホッパー16の底面(ホッパー16内で上を向いている面)16Aは、左下側へ傾斜して延びている。この底面16Aには、これから分類すべき多数枚の投票用紙Hを、上下に積層された状態で載置(セット)することができる。このとき、ジャム等の搬送不良を防ぐために、投票用紙Hの折り目は、係員によって取り除かれる。ホッパー16は、第1ブロック12の右側面の下端部という机2に近い位置にあるので、机2の上に広げた投票用紙Hをホッパー16にセットしやすい。なお、この実施形態における投票用紙Hは、候補名が有権者によって記入される自書式である。
そして、ホッパー16において、外部からアクセスしやすい位置には、投票用紙分類機3による投票用紙Hの分類処理を開始したり、停止したりするために係員によって押下される操作ボタン7が設けられている(図1参照)。
また、各リジェクトトレイ17には、前述したリジェクト票(リジェクト票と分類された投票用紙H)等が機内から排出されて収納される。リジェクトトレイ17は、ホッパー16に対してその上方の近傍に設けられているので、リジェクトトレイ17に収納されたリジェクト票を取り出してホッパー16に再セットしやすい位置にある。
本体ユニット10内には、ホッパー16にセットされた投票用紙Hを搬送する本体搬送路18(搬送路)が形成されている。本体搬送路18は、第1ブロック12内に設けられた第1搬送路19と、第2ブロック13内に設けられた第2搬送路20とを含んでいる。
第1搬送路19は、第1ブロック12内において、ホッパー16の底面16Aの左端から、左側へ略水平に延び、第1ブロック12の左側壁の手前で屈曲して上方ヘ略垂直に延び、再度屈曲して右側へ略水平に延びてから、上方ヘ向けて正面視で略S字に湾曲した後に、第1ブロック12の上面に到達している。
第2搬送路20は、第2ブロック13内において、第2ブロック13の下面において第1搬送路19と連続する位置から上方へ延びてから右側へ正面視で略S字に湾曲した後、一旦上方へ延びてから湾曲して左側へ略水平に延び、第2ブロック13の左側壁の手前で屈曲して上方ヘ略垂直に延び、再度屈曲して左側へ湾曲した後に、第2ブロック13の左側面に到達している。
このような本体搬送路18(第1搬送路19、第2搬送路20)では、ホッパー16に近づく側が、投票用紙Hの搬送方向における上流側となり、ホッパー16から離れる側(第1搬送路19から第2搬送路20へ向かう側)が、当該搬送方向における下流側となる。本体搬送路18の下流側端18Aは、本体搬送路18における出口となり、第2ブロック13の左側面の上端部に設けられている。また、本体ユニット10内には、本体搬送路18に臨む複数の位置に、モータ(図示せず)に回転駆動される大小様々の搬送ローラ24(搬送ベルトでもよい)が設けられている。また、第1ブロック12では、モータ(図示せず)に回転駆動される取込ローラ25が、ホッパー16の底面16Aから部分的に露出されるように設けられている。
ホッパー16の底面16Aにセットされた投票用紙Hは、取込ローラ25によって第1搬送路19に取り込まれた後に、各搬送ローラ24によって本体搬送路18内を上流側から下流側へ向けて搬送される。本体搬送路18は、左右上下に湾曲しているものの、前後方向に偏るように形成されていないので、本体搬送路18内で流れる投票用紙Hが途中で詰まりにくくなっている。
また、第1ブロック12には、第1読取センサ31と、第2読取センサ32とが設けられている。第1読取センサ31および第2読取センサ32は、第1搬送路19で左側へ略水平に延びる部分において、ホッパー16から少し下流側に配置されていて、第1読取センサ31は、第1搬送路19を上から臨み、第2読取センサ32は、第1搬送路19を下から臨んでいる。第1搬送路19を搬送される投票用紙Hが第1読取センサ31の真下を通過すると、第1読取センサ31は、投票用紙Hにおいて上を向いている面の画像(内容)を読み取る。第1搬送路19を搬送される投票用紙Hが第2読取センサ32の真上を通過すると、第2読取センサ32は、投票用紙Hにおいて下を向いている面の画像(内容)を読み取る。第1読取センサ31および第2読取センサ32は、第1搬送路19に沿う方向において同じ位置に配置されていてもよいし、図3に示すように、ずれて配置されていてもよい。
本体ユニット10内において、本体搬送路18の一部には、スイッチバック搬送路21と、リジェクト搬送路22と、スパイラル搬送路23とが接続されている。これにより、スイッチバック搬送路21、リジェクト搬送路22およびスパイラル搬送路23は、本体搬送路18の一部になっている。
スイッチバック搬送路21は、第1ブロック12内に設けられている、スイッチバック搬送路21は、第1搬送路19において右側へ略水平に延びている部分から上側へ分岐して左側へ略水平に延びた後、正面視で略V字状をなすように右上側へ延び、第1搬送路19(先ほど分岐した位置よりも下流側の部分)に合流している。スイッチバック搬送路21において略V字をなしていると先ほど説明した部分を、反転空間26と呼ぶことにする。反転空間26は、厳密には、輪郭が略V字をなしているものの、正面視で左側へ向けて細くなる三角形状の断面を有する1つの空間であって、スイッチバック搬送路21の途中に位置している。反転空間26における左端部を、反転空間26の「奥部分」ということにする。
第1ブロック12では、反転空間26における奥部分とは反対側(右側)に、叩きローラ27が設けられている。叩きローラ27は、前後方向に延びた回転軸を有する回転体であって、その外周面には、径方向外側へ突出する複数の叩きゴム27Aが周方向に等間隔で設けられている。また、第1ブロック12では、反転空間26の上方に、無端状の搬送ベルト28が設けられている。搬送ベルト28の下側外周面が、反転空間26を上側から臨んでいる。搬送ベルト28は、モータ(図示せず)から駆動力を受けることで、正面視で反時計回りに周回移動する。第1ブロック12では、反転空間26の奥部分に、ガイド部材29が設けられている。ガイド部材29は、反転空間26の奥部分を規定するものであり、投票用紙Hの大きさに応じて、自身の位置を変えることができる(破線矢印参照)。また、スイッチバック搬送路21に臨む位置に、前述した搬送ローラ24が適宜設けられている。
スイッチバック搬送路21と、スイッチバック搬送路21に臨む位置に設けられた搬送ローラ24と、叩きローラ27と、搬送ベルト28と、ガイド部材29とは、スイッチバック反転ユニット75を構成している。スイッチバック搬送路21が本体搬送路18(第1搬送路19)の一部になっていることから、スイッチバック反転ユニット75は、本体搬送路18(後述する搬送路80)に設けられている。厳密には、スイッチバック反転ユニット75は、本体搬送路18にバイパス接続された形で、本体搬送路18に設けられている。
リジェクト搬送路22は、第1ブロック12内に設けられている。リジェクト搬送路22は、スイッチバック搬送路21が第1搬送路19から分岐した位置よりも上流側の位置において、第1搬送路19から分岐して右側へ略水平に延び、リジェクトトレイ17の手前で湾曲し、複数のリジェクトトレイ17に沿って上方へ延びている。リジェクト搬送路22において上方へ延びている部分には、リジェクトトレイ17と同数(ここでは3本)の分岐路77が設けられている。これらの分岐路77は、上下に並んでいる。上端以外の2本の分岐路77は、リジェクト搬送路22から分岐し、上下方向で同じ位置にあるリジェクトトレイ17(17B,17C)に対して左側から接続されている。上端の分岐路77は、リジェクト搬送路22の上端から連続し、最上位のリジェクトトレイ17(17A)に対して左側から接続されている。また、リジェクト搬送路22や各分岐路77に臨む位置に、前述した搬送ローラ24が適宜設けられている。
スパイラル搬送路23は、第2ブロック13内に設けられている。スパイラル搬送路23は、第2搬送路20において左側へ略水平に延びている部分より手前(上流側)の部分から上側へ分岐した後、湾曲して左側へ延び、第2ブロック13の左側壁の手前で上側へ湾曲しながら第2搬送路20(先ほど分岐した位置よりも下流側の部分)に合流している。また、スパイラル搬送路23に臨む位置に、前述した搬送ローラ24が適宜設けられている。スパイラル搬送路23の途中の左側へ延びている部分には、スパイラル機構30が設けられている。スパイラル機構30は、投票用紙Hを、左側(下流側)へ搬送しながら、左右方向に延びる仮想軸(図示せず)を中心に180°反転させる(白抜き矢印参照)機構である。スパイラル機構30およびスパイラル搬送路23は、特許第4119664号公報において表裏反転装置として詳しく説明されている。スパイラル機構30とスパイラル搬送路23と、スパイラル搬送路23の周囲の搬送ローラ24とは、スパイラル反転ユニット76を構成している。スパイラル搬送路23が本体搬送路18(第2搬送路20)の一部になっていることから、スパイラル反転ユニット76は、本体搬送路18(後述する搬送路80)に設けられている。厳密には、スパイラル反転ユニット76は、本体搬送路18にバイパス接続された形で、本体搬送路18に設けられている。
ここで、搬送路80において、(第2搬送路20にある)スパイラル反転ユニット76は、(第1搬送路19にある)スイッチバック反転ユニット75よりも下流側に位置している。また、各リジェクトトレイ17は、第1搬送路19においてスイッチバック搬送路21が分岐した位置よりも上流側の位置に対して、分岐路77およびリジェクト搬送路22を介して接続されている。そのため、各リジェクトトレイ17は、本体搬送路18において、投票用紙Hの搬送方向において反転ユニット(スイッチバック反転ユニット75およびスパイラル反転ユニット76)よりも上流側の位置に接続されていることになる。
また、本体搬送路18(第1搬送路19、第2搬送路20)においてスイッチバック搬送路21、リジェクト搬送路22およびスパイラル搬送路23が分岐する位置には、投票用紙Hの搬送先を切り換えるための切換部材(図3における三角部分)33が設けられている。切換部材33は、図示しないソレノイドに駆動されることによって姿勢を変え、これによって、本体搬送路18を流れる投票用紙Hの搬送先を、本体搬送路18(第1搬送路19、第2搬送路20)のままとしたり、スイッチバック搬送路21、リジェクト搬送路22およびスパイラル搬送路23のいずれかに切り換えたりすることができる。
切換部材33は、リジェクト搬送路22から各分岐路77が分岐する位置にも設けられている。リジェクト搬送路22から各分岐路77が分岐する位置に設けられた個々の切換部材33の姿勢を変えることによって、リジェクト搬送路22を流れる投票用紙Hの搬送先を、3本の分岐路77におけるいずれか(つまり、リジェクトトレイ17A、BおよびCのいずれか)に切り換えることができる。
なお、リジェクト搬送路22は、図4に示すように、スイッチバック搬送路21が第1搬送路19に合流した位置よりも下流側の位置(スパイラル搬送路23が第2搬送路20から分岐する位置より上流側の位置)において第1搬送路19から分岐するように構成されていてもよい。この場合のリジェクト搬送路22は、第1搬送路19から分岐してから右側へ略水平に延び、分岐路77に分岐して、各リジェクトトレイ17に接続されている。また、図3および図4では、リジェクトトレイ17を複数設けているが、リジェクトトレイ17は、図5に示すように1つだけであってもよい。その場合、図5に示すように、第1搬送路19から分岐したスイッチバック搬送路21は、分岐路77に分岐することなく、リジェクトトレイ17に直接接続されている。
このように、図3〜図5のいずれの場合においても、リジェクトトレイ17は、搬送路80において反転ユニット(スイッチバック反転ユニット75およびスパイラル反転ユニット76)を通る部分(スイッチバック搬送路21およびスパイラル搬送路23)から外れた位置に接続されている。
そして、図3を参照して、スタッカユニット11において、左寄りの位置には、複数(ここでは8つ)のスタッカ34(第1収納部)が上下に並んだ状態で設けられている。各スタッカ34は、ボックス状をなしており、正面側に取出口35を有していて、取出口35からスタッカ34の内部空間が正面側へ露出されている(図1参照)。各スタッカ34には、原則として、候補名(候補者名や政党名)が割り振られていて、各スタッカ34には、制御PC4(厳密には、後述する制御部70)によって識別されて分類された投票用紙Hが積層状態で収納される。
前述したように最大で8台のスタッカユニット11を増設できるので、1台の投票用紙分類機3では、最大で64個のスタッカ34を配備することができる。
この実施形態において、各スタッカ34における投票用紙Hの最大収納枚数は、130枚であるが、都合に応じて、スタッカ34に収納できる投票用紙Hの上限枚数を、最大収納枚数より少ない所定枚数(たとえば100枚)に設定できる。スタッカ34における投票用紙Hの収納枚数が上限数(最大収納枚数または前記所定枚数)であれば、このスタッカ34は満杯になっていることになる。
ここで、図2を参照して、スタッカユニット11の前側面における各スタッカ34の左隣には、LED等で構成された表示ランプ36が設けられている。つまり、表示ランプ36は、スタッカ34毎に設けられている。
各表示ランプ36は、対応する(右隣)のスタッカ34に何も入っていない待機状態では消灯しており、対応するスタッカ34に投票用紙Hが1枚でも収納されると、たとえば青色で点灯する。そして、各表示ランプ36は、投票用紙Hの収納枚数が上限枚数(前述した最大収納枚数または所定枚数)間近のニアフル枚数に到達すると、たとえば青色で点滅する。この場合、収納枚数が上限枚数に到達しても、表示ランプ36は、青色で点滅し続ける。また、各表示ランプ36は、対応するスタッカ34においてジャム等のエラーが発生すると、赤色で点滅するようになっている。エラーにおける点滅間隔は、その他の場合(青色点滅の場合)における点滅間隔より短くなっている。
このように、表示ランプ36の状態によって、各スタッカ34の状態を一目で把握できる。収納枚数が上限枚数に到達したスタッカ34では、内部の投票用紙Hは、係員によって速やかに取り出されることになっている。そのため、青色点滅の表示ランプ36を見た係員は、その表示ランプ36に対応するスタッカ34の投票用紙Hを取り出す必要があることを速やかに把握できる。
また、スタッカユニット11の正面(前側面)の右寄りの領域(各スタッカ34より右側の領域)には、縦長矩形状の扉64が設けられている。扉64は、その右端部で上下に延びる回動軸を中心として回動することによって開閉可能である。図2では、扉64が閉じた状態が示されている。扉64の左端部に設けられた取っ手64Aに手を掛けて手前に引くと、扉64を開くことができる。扉64を開くと、スタッカユニット11の右寄りの領域における内部空間が正面側に露出される。
図3に戻り、スタッカユニット11には、本体ユニット10の第2搬送路20(本体搬送路18)を通過し終えた投票用紙Hを受け取って搬送するスタッカ搬送路37(搬送路)が形成されている。スタッカ搬送路37は、横搬送路38と、縦搬送路39と、分岐路40とを含んでいる。
横搬送路38は、スタッカユニット11内において、スタッカユニット11の右側面で第2搬送路20(本体搬送路18の下流側端18A)に連続し、下流側端18Aからスタッカユニット11の左側面まで、左側へ略水平に延びている。そのため、互いに連続している本体搬送路18とスタッカ搬送路37とは、投票用紙Hを搬送するための1つの搬送路80を構成している。搬送路80において、スタッカ搬送路37は、本体搬送路18よりも(投票用紙Hの搬送方向における)下流側に位置している。
縦搬送路39は、スタッカユニット11内において、横搬送路38から分岐し、8つのスタッカ34よりも右側の位置で下方へ略垂直に延びている。縦搬送路39の下端は、スタッカユニット11の底面の手前(上方)にある。各スタッカユニット11内において、上下8つのスタッカ34は、共通の縦搬送路39に沿って略垂直に配置されている。
分岐路40は、スタッカ34と同数(ここでは8本)設けられており、これらの分岐路40は、等間隔で上下に並んでいる。最下端以外の7本の分岐路40は、縦搬送路39から分岐し、上下方向で同じ位置にあるスタッカ34に対して右側から接続されている。最下端の分岐路40は、縦搬送路39(搬送路80)の下端から連続し、最下端のスタッカ34に対して右側から接続されている。これにより、前述した搬送路80は、ホッパー16と各スタッカ34とを結んでいることになる。そして、前述した各リジェクトトレイ17は、搬送路80の途中に接続されていることになる。そのため、搬送路80において、搬送方向における上流端にホッパー16が位置し、搬送方向における下流端に各スタッカ34が位置し、各リジェクトトレイ17は、ホッパー16よりも下流側かつスタッカ34よりも上流側に位置している。
また、スタッカユニット11内には、スタッカ搬送路37に臨む複数の位置に、モータ(図示せず)に回転駆動される大小様々の搬送ローラ41(搬送ベルトでもよい)が設けられている。
また、スタッカ搬送路37において、縦搬送路39が横搬送路38から分岐する位置や、各分岐路40が縦搬送路39から分岐する位置には、前述した切換部材33と同様の切換部材42が設けられている。
第2搬送路20からスタッカ搬送路37に受け渡された投票用紙Hは、回転する各搬送ローラ41によって、横搬送路38を搬送される。投票用紙Hは、そのまま横搬送路38を搬送されたり、縦搬送路39に搬送された後に、いずれかの分岐路40を流れて、この分岐路40が接続されたスタッカ34に収納されたりする。
また、図3に示すように、本体ユニット10に連結されたスタッカユニット11に対して、増設のスタッカユニット11が連結されている場合には、横搬送路38を通過した投票用紙は、増設のスタッカユニット11の横搬送路38に受け渡されて、そのまま横搬送路38を流れたり、増設のスタッカユニット11のスタッカ34に収納されたりする。
次に、ホッパー16にセットされた投票用紙Hが投票用紙分類機3内で流れる様子を説明する。ここで、投票用紙Hにおいて、候補名(ここでは、「G」という候補名とする)が記入される面を表面といい、当該表面とは反対側の面を裏面ということにする。投票用紙Hの表面だけに、長方形状の記入枠(図示せず)が表示されていて、候補名は記入枠内に記入される。
ホッパー16の底面16Aには、投票用紙Hが積層状態でセットされる。このとき、投票用紙Hは、長手方向が前後方向に沿うようにセットされるが、表裏や候補名の向きを揃えることなくセットされる。図3の符号H1を付した投票用紙Hのように、表面が上を向いていて、当該表面の候補名が後側(図3の奥側)から前側(図3の手前側)へ記入されている姿勢が、その後の姿勢変換が不要となる正しい姿勢である。
底面16Aに投票用紙Hがセットされた後、係員が操作ボタン7(図1参照)を押すと、搬送ローラ24および取込ローラ25が回転し、投票用紙Hが、底面16Aに近い側から順に、第1搬送路19に1枚ずつ取り込まれる。このときの投票用紙Hの搬送方向は、投票用紙Hの短手方向に沿っている。第1搬送路19を流れる投票用紙Hは、第1読取センサ31を通過する際に、上面の画像が第1読取センサ31によって読み取られ、第2読取センサ32を通過する際に、下面の画像が第2読取センサ32によって読み取られる。つまり、第1読取センサ31および第2読取センサ32によって、(ホッパー16にセットされてから取り込まれた)投票用紙Hの表裏の両面の画像が1枚ずつ順次読み取られる。読み取られた画像(投票用紙Hの記載内容)は、制御PC4(図1参照)に送信される。
制御PC4(厳密には、後述する制御部70(図4参照))は、受信した画像(後述するように、画像でない場合もある)を認識し、当該画像が読み取られた投票用紙Hが、前述した確定票であるか否かや、確定票でない場合にはいずれの未確定票(白票、無効票、疑問票、リジェクト票またはオーバーフロー票)であるのかを識別する。つまり、制御PC4は、確定票と未確定票とを識別するだけでなく、白票、無効票、疑問票、リジェクト票およびオーバーフロー票のうち少なくとも1つ以上(ここでは全て)を未確定票に識別する。
具体的に、制御PC4は、投票用紙Hから読み取られた上面の画像および下面の画像のいずれか一方において記入枠を識別でき(つまり、投票用紙Hの向きを識別でき)、当該記入枠内に、今回の選挙の候補名を1つだけ認識できれば、当該投票用紙Hが確定票であると識別する。制御PC4は、候補名で想定される複数パターンの記入例(字体や書体等)を候補毎に記憶しているので、記入された候補名において文字の大きさや綺麗さ等に、ある程度のばらつきがあっても、所定の候補名が記入されているのか否かを識別できる。
制御PC4は、投票用紙Hから読み取られた上面の画像および下面の画像のいずれか一方において記入枠を識別でき、記入枠内に候補名等の記入事項を一切認識できなければ、当該投票用紙Hが白票であると識別する。
制御PC4は、投票用紙Hから読み取られた上面の画像および下面の画像のいずれか一方において記入枠を識別できたとしても、選挙の対象となる候補名以外の事項(投票用紙Hに元々記載されている記入枠等を除く)を認識すれば、当該投票用紙H(候補名以外の名前の記載や他事記載のある投票用紙H)が無効票であると識別する。
制御PC4は、投票用紙Hから読み取られた上面の画像および下面の画像のいずれか一方において記入枠(つまり、投票用紙Hの向き)を識別でき、記入枠内に、何らかの記入事項を認識できたものの、その記入事項を識別できなければ、当該投票用紙Hが第1疑問票であると識別する。
制御PC4は、投票用紙Hから読み取られた上面の画像および下面の画像のいずれか一方において記入枠すら識別できなければ、当該投票用紙Hが第2疑問票であると識別する。制御PC4が投票用紙Hを第2疑問票と識別する理由として、当該投票用紙H自体に原因がある(そもそも投票用紙Hでない等)場合や、第1読取センサ31および第2読取センサ32による画像読取に不具合がある場合や、制御PC4への当該画像の転送不良や、制御PC4による画像識別に不具合がある場合等が挙げられる。第2疑問票は、向きが識別できていないので、スイッチバック反転ユニット75やスパイラル反転ユニット76で向きを揃えることができないし、そもそも向きを揃える必要がない。
制御PC4は、投票用紙Hから読み取られた上面の画像および下面の画像のいずれか一方において記入枠を識別でき、当該記入枠内に、複数の候補名のいずれかと特定できないような紛らわしい名前を認識すれば、当該投票用紙H(複数の候補が該当する記載の投票用紙H)が按分票であると識別する。
また、第1読取センサ31および第2読取センサ32のうち、ホッパー16に近い方の読取センサ(ここでは第1読取センサ31)は、通過しようとする投票用紙Hの先端縁や後端縁(エッジ)を読み取ることによって、投票用紙Hが斜行状態で搬送されていることを検出したり、投票用紙Hが連鎖状態で搬送されていることを検出したりすることができる。
正常であれば投票用紙Hの先端縁は、横一直線となって読取センサ(ここでは第1読取センサ31)を同時に通過するはずなのに、先端縁が当該読取センサを通過するのに時間がかかると、投票用紙Hは、ホッパー16から本体搬送路18に斜めに取り込まれて斜行状態で搬送されていることになる。斜行状態の投票用紙Hは、リジェクト票としてリジェクトされる。
また、先行する投票用紙Hの後端縁と後続の投票用紙Hの先端縁との間隔が所定以下である場合には、先行する投票用紙Hと後続の投票用紙Hとが連鎖状態で搬送されていると判断される。連鎖状態での搬送も搬送不良の一種で、連鎖状態の投票用紙Hは、リジェクト票としてリジェクトされる。
一方、複数枚の投票用紙Hが重なって繰り出される「重送状態」は、前記読取センサとは別に設けられた重送検知センサ(図示せず)によって検出される。重送状態も搬送不良の一種で、重送状態の投票用紙Hは、リジェクト票としてリジェクトされる。
当該読取センサ(前述した重送検知センサも含む)は、投票用紙Hが斜行状態や連鎖状態や重送状態で搬送されていること(投票用紙Hの取り込み不具合が生じたこと)を検出すると、その旨を制御PC4に送信する一方で、当該投票用紙Hの画像を読み取らない。制御PC4は、当該旨を受信すると、そのときに当該読取センサを通過している投票用紙Hがリジェクト票であると識別する。
投票用紙Hの取り込み不具合には、斜行状態や連鎖状態や重送状態以外に、斜行状態と連鎖状態と重送状態が同時に起きている状態等がある。なお、投票用紙Hの厚みや重さを検出することによって重送状態を検出してもよい。ここでは、投票用紙Hの画像を読み取る読取センサによって投票用紙Hの斜行状態や連鎖状態を検出する方式で説明したが、読取センサとは別に、斜行検知センサや連鎖検知センサを設けるようにしてもよい。
なお、投票用紙Hから読み取られた画像に今回の選挙の候補者名が1つだけ含まれていても、その候補者に割り当てられたスタッカ34が満杯であれば、制御PC4は、当該投票用紙Hがオーバーフロー票であると識別する。
また、投票用紙分類機3では、運転中にエラー等で急停止が起きると、エラー解除後の再起動の際に空回し運転が行われるようになっている。空回し運転中に、ホッパー16に近い方の読取センサ(ここでは第1読取センサ31)は、投票用紙Hを検知すると、その検知結果(投票用紙Hを検知した旨)を制御PC4に送信する一方で、当該投票用紙Hの画像を読み取らない。制御PC4は、当該検知結果を受信すると、そのときに当該読取センサを通過している投票用紙Hがリジェクト票であると識別する。
このように、制御PC4(後述する制御部70)は、第1読取センサ31および第2読取センサ32から受信した内容(画像である場合もあれば、画像でなく、取り込み不具合が生じた旨の信号や、空回し運転中の検知結果である場合もある)に基づいて、この内容に対応する投票用紙Hの種類(確定票か否か、確定票でない場合にはどういう種類の未確定票か)を識別する。そして、第1読取センサ31および第2読取センサ32は、前記内容を、ホッパー16から送り込まれたものから1枚分ずつ、順次、制御PC4に送信するので、制御PC4(後述する制御部70)は、ホッパー16にセットされて(後述する繰出部45によって)繰り出された投票用紙Hを1枚ずつ順次識別することになる。第1読取センサ31および第2読取センサ32を通って制御PC4によって識別された投票用紙Hは、本体搬送路18やスタッカ搬送路37(搬送路80)によって、スタッカ34やリジェクトトレイ17へと搬送されることになる。ここで、スタッカ34まで搬送される投票用紙Hは、本体搬送路18によって下流側端18Aまで搬送された後に、下流側端18Aから繰り出されて、スタッカ搬送路37経由で所定のスタッカ34まで搬送され、当該スタッカ34に収納される。
また、制御PC4は、投票用紙Hを順次識別するのに応じて、同じ候補名が記入された確定票、各種類の未確定票のそれぞれをカウントすることができる。カウント結果(開票結果)は、制御PC4に設けられた表示部8に表示されたり、プリンター5によって紙出力されたりする(図1参照)。
前述したように、制御PC4は、第1読取センサ31および第2読取センサ32から受信した2種類の画像(前述した上面および下面の画像)に基づいて、当該画面が読み取られた投票用紙Hの向き(姿勢)を識別することもできる。一例として、前述した正しい姿勢の投票用紙H(投票用紙H1参照)を基準とすると、上面の画像に、候補名が後側から前側へ記入されて、下面の画像に候補名が記載されていない場合、換言すれば、候補名が記入される記入枠(図示せず)が所定位置にあって上を向いている場合、制御PC4は、投票用紙Hが正しい姿勢にあることを識別する。逆に、制御PC4は、投票用紙Hが正しい姿勢にないことを識別すれば、どのようにすれば投票用紙Hを正しい姿勢にすることができるのかを判断することができる。つまり、制御PC4は、投票用紙Hの向き(姿勢)を識別できた場合に、その投票用紙Hを長手方向の軸回りに反転(180°回転)させたり、短手方向の軸回りに反転させたり、両方の反転を行ったりするうちのいずれをすれば、投票用紙Hを正しい姿勢にすることができるのかを判断する。
以下では、識別を受けた投票用紙Hが確定票であることを前提にして説明する(図3参照)。
前述したように正しい姿勢でホッパー16にセットされた投票用紙H(H1)は、スイッチバック搬送路21やリジェクト搬送路22やスパイラル搬送路23に分岐することなく、本体搬送路18をひたすら流れて、スタッカユニット11(増設されたスタッカユニット11も含む)のスタッカ搬送路37に受け渡され、前述したようにいずれかのスタッカ34(対応する候補名のスタッカ34)に収納される。スタッカ34に収納された状態の投票用紙H(符号H2を付したものを参照)は、ホッパー16にセットされたときと同様に(投票用紙H1)、正しい姿勢でスタッカ34に収納されている。
正しい姿勢でホッパー16にセットされた投票用紙H(H1)がスイッチバック搬送路21に分岐した場合には、この投票用紙Hは、スイッチバック反転ユニット75に取り込まれたことになる。具体的に、投票用紙Hは、反転空間26に進入して奥部分のガイド部材29に当接した後に、時計回りに回転する叩きローラ27の叩きゴム27Aによって上向きに叩き付けられて搬送ベルト28に押し付けられる。これにより、投票用紙Hは、反時計回りに周回移動する搬送ベルト28によって反転空間26から右側へスイッチバック搬送される。このとき、投票用紙Hは、符号H3で示すように、反転空間26に進入するときと逆向きに搬送される。スイッチバック搬送された投票用紙Hは、その後は本体搬送路18をひたすら流れてスタッカ34に収納される。スタッカ34に収納された状態の投票用紙H(符号H4を付したものを参照)は、ホッパー16にセットされたときとは異なり(投票用紙H1)、投票用紙H1が長手方向の軸回りに反転したときの姿勢でスタッカ34に収納されている。このように、スイッチバック反転ユニット75は、(本体搬送路18を搬送される)投票用紙Hの表裏の向きおよび搬送方向(短手方向における向き)を反転させることができる。
正しい姿勢でホッパー16にセットされた投票用紙H(H1)が、本体搬送路18をひたすら流れて第2搬送路20とスパイラル搬送路23との分岐位置の手前(上流側)に到達したとき、右側から見た当該投票用紙Hには、符号H5が付されている。投票用紙H5が引き続き本体搬送路18をひたすら流れてスタッカ34に収納されると、符号H2を付すように、ホッパー16にセットされたときと同様に(投票用紙H1)、正しい姿勢でスタッカ34に収納される。
一方、投票用紙H5は、スパイラル搬送路23に分岐すると、スパイラル反転ユニット76に取り込まれたことになる。具体的に、この投票用紙Hは、スパイラル機構30によって、自身の短手方向の軸回りに反転し、その後、本体搬送路18に合流する。合流後に右側から見た当該投票用紙Hには、符号H6が付されている。投票用紙H6では、投票用紙H5と比べて表裏が逆であって、候補名「G」の向きも逆になっている。その後、投票用紙H6が本体搬送路18を流れてスタッカ34に収納されると、符号H7を付すように、ホッパー16にセットされたときは表裏および候補名「G」の向きの両方が逆になった姿勢でスタッカ34に収納される。このように、スパイラル反転ユニット76は、(本体搬送路18を搬送される)投票用紙Hの表裏の向きを少なくとも反転させることができる。
また、スイッチバック搬送路21でスイッチバック搬送された投票用紙H3が、さらにスパイラル搬送路23を通ってから、スタッカ34に収納されると、符号H8を付すように、ホッパー16にセットされたときは候補名「G」の向きだけが逆になった姿勢でスタッカ34に収納される。
このように、この投票用紙分類機3では、ホッパー16にセットされた投票用紙H1を、そのままの姿勢(投票用紙H2参照)でスタッカ34に収容したり、スイッチバック搬送路21およびスパイラル搬送路23の両方または一方に通すことで、ホッパー16にセットされたときとは異なる3パターンの姿勢(投票用紙H4,7,8参照)でスタッカ34に収容したりすることができる。
これら4つの搬送パターンを使い分けることにより、向きを揃えられることなくホッパー16にセットされた投票用紙Hを、向きを揃えてスタッカ34に収容することができる。以下では、このように投票用紙Hの向きを揃えることを、「向き修正処理」ということにする。
また、前述した未確定票のうち、定められた種類の未確定票(たとえば、リジェクト票や第2疑問票)は、第1搬送路19においてリジェクト搬送路22に分岐して、リジェクトトレイ17に搬送される。このとき、リジェクトの要因に応じて(搬送異常か、向きが識別できなかったか等)、未確定票が送り込まれるリジェクトトレイ17(17A、17B、17C)が切り換えられる。つまり、搬送不良と判定された投票用紙、および、向きを特定できなかった投票用紙の少なくとも一方を、(後述する全体制御部55の制御によって)リジェクトトレイ17へ送り込むようになっている。
以上が投票用紙Hの主な流れである。
次に、投票用紙分類機3における電気的構成について説明する。
ここで、本体ユニット10の内部構成は、第1ブロック12に備えられた繰出部45(繰出手段)、画像読取部46、搬送部47、スイッチバック反転部48およびリジェクト部49のそれぞれと、第2ブロック13に備えられたスパイラル反転部50とに細分化されている。また、スタッカユニット11の内部構成は、横搬送部51および縦搬送部52に細分化されている。
繰出部45は、ホッパー16、その周囲の搬送ローラ24および取込ローラ25(これらのローラを回転させるモータも含む)、ならびに、第1搬送路19においてホッパー16につながった一部を含んでいる。繰出部45は、搬送ローラ24および取込ローラ25を回転させることによって、ホッパー16にセットされた投票用紙Hを1枚ずつ繰り出して第1搬送路19に流す。
画像読取部46は、第1読取センサ31、第2読取センサ32、これらのセンサの周囲の搬送ローラ24(搬送ローラ24を回転させるモータも含む)、ならびに、第1搬送路19において第1読取センサ31および第2読取センサ32の周囲の一部を含んでいる。
搬送部47は、第1搬送路19において画像読取部46から続く部分と、その周囲の搬送ローラ24(搬送ローラ24を回転させるモータも含む)と、リジェクト搬送路22と第1搬送路19との分岐部分における切換部材33(切換部材33を動かすソレノイドも含む)を含んでいる。
スイッチバック反転部48は、第1搬送路19において搬送部47から続く部分の全てと、スイッチバック反転ユニット75(スイッチバック搬送路21、周囲の搬送ローラ24、叩きローラ27、搬送ベルト28(これらのローラおよびベルトを動かすモータも含む)、ガイド部材29)を含んでいる。スイッチバック反転部48は、さらに、スイッチバック搬送路21と第1搬送路19との分岐部分における切換部材33(切換部材33を動かすソレノイドも含む)も含んでいる。
リジェクト部49は、リジェクトトレイ17と、リジェクト搬送路22と、分岐路77と、リジェクト搬送路22や分岐路77の周囲の搬送ローラ24(搬送ローラ24を回転させるモータも含む)とを含んでいる。リジェクト部49は、さらに、リジェクト搬送路22と各分岐路77との分岐部分における切換部材33(切換部材33を動かすソレノイドも含む)も含んでいる。
第1ブロック12において、繰出部45、画像読取部46、搬送部47、スイッチバック反転部48およびリジェクト部49のそれぞれは、個別に分割可能であり、メンテナンス時等には取り外される。
スパイラル反転部50は、第2搬送路20と、スパイラル反転ユニット76(スパイラル搬送路23、周囲の搬送ローラ24(搬送ローラ24を回転させるモータも含む)と、スパイラル機構30)とを含んでいる。スパイラル反転部50は、さらに、第2搬送路20とスパイラル搬送路23との分岐部分における切換部材33(切換部材33を動かすソレノイドも含む)も含んでいる。
スイッチバック反転部48およびスパイラル反転部50は、単独または共同で、前述した投票用紙Hの向き修正処理を行う。
また、本体ユニット10には、スイッチバック反転ユニット75およびスパイラル反転ユニット76のそれぞれにおける異常を検知する異常検知センサ81(検知手段)が設けられている。スイッチバック反転ユニット75の異常として、スイッチバック反転ユニット75内の各部品(モータ等)の故障や、スイッチバック搬送路21における投票用紙Hの詰り(ジャム)が想定される。スパイラル反転ユニット76の異常として、スパイラル反転ユニット76内の各部品(モータ等)の故障や、スパイラル搬送路23における投票用紙Hの詰り(ジャム)が想定される。なお、異常検知センサ81は、スイッチバック反転ユニット75およびスパイラル反転ユニット76のそれぞれに応じて別々に設けられていてもよいし、スイッチバック反転ユニット75およびスパイラル反転ユニット76のそれぞれの異常を一括検知してもよい。
横搬送部51は、横搬送路38と、縦搬送路39において横搬送路38に接続された部分と、横搬送路38の周囲の搬送ローラ41(搬送ローラ41を回転させるモータも含む)と、縦搬送路39と横搬送路38との分岐部分における切換部材42(切換部材42を動かすソレノイドも含む)とを含んでいる。
縦搬送部52は、縦搬送路39と、各分岐路40と、縦搬送路39と各分岐路40との分岐部分における切換部材42(切換部材42を動かすソレノイドも含む)と、縦搬送路39および各分岐路40の周囲の搬送ローラ41(搬送ローラ41を回転させるモータも含む)とを含んでいる。
図6は、投票用紙分類システム1の電気的な構成を示すブロック図である。
図6を参照して、投票用紙分類機3の本体ユニット10には、マイクロコンピュータ等で構成された全体制御部55(振分手段、送込手段)が設けられている。全体制御部55は、繰出部45、画像読取部46、搬送部47、スイッチバック反転部48、リジェクト部49およびスパイラル反転部50のそれぞれの電気部品(前述したモータやソレノイドや第1読取センサ31や第2読取センサ32)に対して電気的に接続されている。また、全体制御部55には、前述した操作ボタン7や異常検知センサ81が電気的に接続されている。本体ユニット10には、USBハブ56といったインターフェースが設けられていて、全体制御部55および画像読取部46は、USBハブ56を介して制御PC4と通信可能につながっている。また、全体制御部55には、前述した各表示ランプ36(図2参照)が電気的に接続されており、全体制御部55は、各表示ランプ36の点灯パターンを制御する。
ここで、制御PC4には、マイクロコンピュータ等で構成された制御部70(識別手段)が設けられている。制御PC4は、制御部70および前述した表示部8以外に、キーボード等で構成された操作部9(図1も参照)と、種々の情報を記憶するための記憶部71とを備えている。
記憶部71には、たとえば、今回の選挙における候補名の一覧や、各種類の投票用紙H(候補毎の確定票や各種の未確定票)の収納先等が記憶されている。具体的には、前述したリジェクト票および第2疑問票の収納先は、所定のリジェクトトレイ17とされていて、それ以外の種類の投票用紙Hの収納先は、原則としてスタッカ34とされている。
たとえば、本体ユニット10に対してスタッカユニット11が1台だけ連結されている場合では、スタッカ34は全部で8個配備されている。このとき、8個のスタッカ34を上から順に、第1スタッカ34A、第2スタッカ34B、第3スタッカ34C、第4スタッカ34D、第5スタッカ34E、第6スタッカ34F、第7スタッカ34G、第8スタッカ34Hと区別する(図3参照)。
収納先の第1例として、第1スタッカ34Aおよび第2スタッカ34Bを、同一候補(たとえば候補A)の確定票の収納先とし、第3スタッカ34C、第4スタッカ34Dおよび第5スタッカ34Eを、別の候補(たとえば候補B、C、D)の候補毎の確定票の収納先とする。また、第6スタッカ34Fを、残りの候補の確定票の共通の収納先とする。また、第7スタッカ34Gを、第1疑問票や按分票の収納先とし、第8スタッカ34Hを、白票および無効票の共通の収納先とする。そして、第1リジェクトトレイ17Aを、リジェクト票の収納先とし、第2リジェクトトレイ17Bを、第2疑問票の収納先とし、第3リジェクトトレイ17Cを、空き(予備)とする。
収納先の第2例として、第1スタッカ34A〜第8スタッカ34Hおよび第1リジェクトトレイ17Aの収納先の設定は、第1例と同じとし、第2リジェクトトレイ17Bおよび第3リジェクトトレイ17Cを、いずれも、第2疑問票の収納先とする。
収納先の第3例として、第1スタッカ34A〜第8スタッカ34Hおよび第1リジェクトトレイ17Aの収納先の設定は、第1例と同じとし、第2リジェクトトレイ17Bを、オーバーフロー票の収納先とし、第3リジェクトトレイ17Cを、第2疑問票の収納先とする。なお、第2リジェクトトレイ17Bに収まりきらないオーバーフロー票の収納先を、いずれかの(余った)スタッカ34としてもよい。
制御部70には、表示部8、操作部9および記憶部71のそれぞれが電気的に接続されている。また、制御PC4では、制御部70が、USBハブ56を介して、投票用紙分類機3の全体制御部55および画像読取部46と通信可能に接続されている。
各スタッカユニット11には、マイクロコンピュータ等で構成されたスタッカ制御部57(振分手段)が設けられていて、スタッカ制御部57は、横搬送部51および縦搬送部52のそれぞれの電気部品(前述したモータやソレノイド)に対して電気的に接続されている。スタッカ制御部57には、スタッカユニット11の各スタッカ34における投票用紙Hの有無を検知するセンサ(図示せず)が電気的に接続されている。また、各スタッカユニット11のスタッカ制御部57は、全体制御部55と通信可能に接続されている。各スタッカユニット11は、直接または他のスタッカユニット11を経由して本体ユニット10と通信することにより、自機(自分)が(本体ユニット10側から)何番目に接続されたスタッカユニット11であるかを判定し、記憶することができる。
また、本体ユニット10には、プラグ58経由で外部から電力を受ける電源装置59が設けられていて、電源装置59から、全体制御部55、繰出部45、画像読取部46、搬送部47、スイッチバック反転部48、リジェクト部49およびスパイラル反転部50のそれぞれに対して電力が供給される。また、各スタッカユニット11は、上流側(本体ユニット10に近い側)のユニット(本体ユニット10やスタッカユニット11)から電力を受けるための中継用ケーブル85が接続される受け側の電源用コネクタ86と、下流側(本体ユニット10から遠い側)のスタッカユニット11に電力を供給する送り側の電源用コネクタ87とを有する。また、通信ラインについても、電力ラインと同様に、各スタッカユニット11には、受け側の通信用コネクタ88と、送り側の通信用コネクタ89とが設けられている。また、スタッカユニット11を増設した場合、電源装置59の電力は、本体ユニット10に直列で連結された4台のスタッカユニット11(図4では2台目および3台目のスタッカユニット11の図示を省略している)にも供給できるようになっていて、電源装置59から、各スタッカユニット11におけるスタッカ制御部57、横搬送部51および縦搬送部52のそれぞれに対して電力が供給される。なお、この実施形態では、5台目以降のスタッカユニット11(図4では5台目および6台目のスタッカユニット11を図示している)が増設される場合には、プラグ60経由で外部から電力を受ける増設用電源装置61を5台目のスタッカユニット11に接続することにより、増設用電源装置61から5台目以降のスタッカユニット11に対して電力を供給するようになっている。また、4台目と5台目のスタッカユニット11のスタッカ制御部57同士は、増設用電源装置61経由で通信可能になっている。
また、全てのスタッカユニット11は、同じ構成になっており、受け側の電源用コネクタ86には、上流側のユニットとの中継用ケーブル85または増設用電源装置61のケーブル90が接続される。この例の場合には、増設用電源装置61のケーブル90が接続されるのは5番目のスタッカユニット11に決まっていることから、5番目のスタッカユニット11では、受け側の電源用コネクタ86に接続されたケーブルが増設用電源装置61のケーブル90であるか否かを判定し、間違っていれば警告を発する。一方、5番目以外のスタッカユニット11では、増設用電源装置61のケーブル90が接続された場合に警告を発する。警告の方法としては、警告を発するスタッカユニット11の表示ランプ36(図1参照)を赤色点滅させたり、本体ユニット10や制御PC4の表示部8に警告画面を表示させたりする。この機能により、全てのスタッカユニット11が同じ構成になっていても、増設用電源装置61のケーブル90が誤ったスタッカユニット11に接続されることで電力不足等が発生する事態を回避できる。
停止状態の投票用紙分類システム1において、前述したように係員が操作ボタン7を押すと、投票用紙分類機3の全体制御部55が、繰出部45、画像読取部46、搬送部47、スイッチバック反転部48、リジェクト部49およびスパイラル反転部50のモータを駆動させ、搬送ローラ24や取込ローラ25を回転させたリ、搬送ベルト28を周回移動させたりする。これにより、繰出部45において、ホッパー16にセットされた投票用紙Hが順次繰り出されて本体搬送路18内に取り込まれ、本体搬送路18内を下流側へ搬送される。この際、画像読取部46の第1読取センサ31や第2読取センサ32が、繰出部45によって取り込まれて送られてくる投票用紙Hの表裏の内容(画像)を読み取って制御PC4に送信し、制御PC4の制御部70は、受信した画像(前述したように画像でない場合もある)を認識してから、前述したように、当該投票用紙Hの種類を識別するとともに、当該投票用紙Hの姿勢(向き)を識別する。制御部70は、記憶部71に記憶されている(投票用紙Hの種類毎の)収納先を参照して、今回識別した投票用紙Hの収納先を決定する。ここで、収納先がリジェクトトレイ17となる投票用紙H(第2疑問票やリジェクト票)は、向きを揃えることができない投票用紙H、または、そもそも向きを揃える必要がない投票用紙Hなので、制御部70は、投票用紙Hの収納先をリジェクトトレイ17およびスタッカ34のいずれかに決定することによって、当該投票用紙Hが向きを揃えることができない(または向きを揃える必要がない)投票用紙Hであるか否かを判定する。
制御PC4の制御部70は、決定した収納先を投票用紙分類機3の全体制御部55に送信する。このとき、制御部70は、当該投票用紙Hの姿勢を変える必要があれば、どのようにするのか(スイッチバック搬送路21およびスパイラル搬送路23の一方または両方を通過させるか)の指示を全体制御部55に送信する。
全体制御部55は、受信した内容に基づいて、決定された収納先へ(識別された)当該投票用紙Hが向かうように(前述した)ソレノイドを制御して切換部材33,42の向きを切り換えて、当該投票用紙Hを、決定された収納先(スタッカ34やリジェクトトレイ17)まで搬送する。なお、切換部材42の向きを切り換えは、全体制御部55から指示を受けたスタッカ制御部57が行う。つまり、全体制御部55およびスタッカ制御部57は、制御部70による識別結果に応じて、投票用紙Hを、複数のスタッカ34およびリジェクトトレイ17におけるいずれかに振り分ける。これにより、投票用紙Hを、制御部70による識別結果に応じた種類毎に、いずれかのリジェクトトレイ17に振り分けて収納することができる。
また、収納先がスタッカ34になっている投票用紙Hの場合、全体制御部55は、必要に応じて、切換部材33の姿勢を制御して、搬送途中の当該投票用紙Hをスイッチバック搬送路21およびスパイラル搬送路23の一方または両方を通過させて、当該投票用紙Hの姿勢を変える。そのため、スタッカ34に収納された投票用紙Hは、全て向きが揃っていて、前述した正しい姿勢になっている(図3の投票用紙H2を参照)。
一方、収納先がリジェクトトレイ17になっている投票用紙H(向きを反転させて揃える必要ないと制御部70によって識別された第2疑問票やリジェクト票)の場合、全体制御部55は、切換部材33および42の姿勢を制御して、搬送途中の当該投票用紙Hをスイッチバック搬送路21およびスパイラル搬送路23のいずれも通過させずに、リジェクト搬送路22経由で、収納先のリジェクトトレイ17まで搬送する。そのため、リジェクトトレイ17では、全ての投票用紙Hの向きが揃っているとは限らず、向きが揃った投票用紙Hと、向きが揃っていない投票用紙Hとが混在している場合がある。
また、搬送路80において投票用紙Hが搬送されている最中において、異常検知センサ81がスイッチバック反転ユニット75およびスパイラル反転ユニット76のいずれかの異常を検知すると、全体制御部55は、取込ローラ25の回転を停止して、繰出部45による投票用紙Hの繰出を停止する。このとき、搬送路80には、搬送途中の投票用紙Hが残っている場合があるので、全体制御部55は、搬送ローラ24を引き続き回転させる。この際、全体制御部55は、切換部材33の姿勢を制御して、搬送路80においてリジェクト搬送路22が接続された部分より上流側で搬送途中の投票用紙Hを、リジェクト搬送路22からリジェクトトレイ17に搬送されるようにする。つまり、全体制御部55は、異常検知センサ81がスイッチバック反転ユニット75やスパイラル反転ユニット76の異常を検知したことに応じて、繰出部45による投票用紙Hの繰り出しを停止し、搬送途中の投票用紙Hをリジェクトトレイ17へ送り込む。また、全体制御部55(スタッカ制御部57も含む)は、切換部材33および42の姿勢を制御して、搬送路80においてリジェクト搬送路22が接続された部分より下流側で搬送途中の投票用紙Hを、スイッチバック反転ユニット75およびスパイラル反転ユニット76のいずれも通らないでスタッカ34に搬送されるようにする。
以上により、反転ユニット(スイッチバック反転ユニット75およびスパイラル反転ユニット76のいずれか)に異常が発生すると、搬送路80内で搬送途中の投票用紙Hは、反転ユニットを通ることなく、リジェクトトレイ17やスタッカ34に回収されるので、異常が発生した反転ユニットを投票用紙Hが通ることに起因するジャムの発生を抑制することができる。
そして、前述したように、リジェクトトレイ17は、搬送路80において反転ユニットを通る部分(スイッチバック搬送路21およびスパイラル搬送路23)から外れた位置に接続されている。そのため、制御部70によって向きの反転が必要ないと識別された投票用紙Hを、反転ユニットを通さずに、リジェクトトレイ17に収納することができる。これにより、投票用紙Hが反転ユニットを通ることに起因するジャムの発生を抑制することができる。
特に、図3の場合、リジェクトトレイ17が搬送路80において反転ユニットよりも上流側の位置に接続されていることから、制御部70によって向きの反転が必要ないと識別された投票用紙Hを、確実に、反転ユニットを通さずに、リジェクトトレイ17に収納することができる。
この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、図3〜図5でのリジェクトトレイ17のレイアウトはあくまでも一例である。要は、1つまたは複数のリジェクトトレイ17が、搬送路80においてスイッチバック搬送路21およびスパイラル搬送路23から外れた位置(搬送路80においてスイッチバック搬送路21およびスパイラル搬送路23を通らない位置)に接続されていて、向きを反転する必要がない投票用紙Hが、反転ユニットを通ることなくリジェクトトレイ17まで搬送されればよい。ただし、投票用紙Hを極力短い距離でホッパー16からリジェクトトレイ17に搬送した方が、投票用紙Hに(搬送に起因する)皺が発生しにくいので、搬送路80においてリジェクトトレイ17(リジェクト搬送路22)が接続される位置は、なるべく上流側であることが望ましい。
また、未確定票は、全てリジェクトトレイ17に収納するようにしてもよい。そうすれば、全てのスタッカ34を、確定票を収納するためだけに有効使用することができるので、その分、スタッカユニット11を増設せずに済む。特に、この実施形態では、リジェクトトレイ17が複数(この実施形態では3つ)設けられていることから、リジェクトトレイ17で回収できる投票用紙Hの枚数を十分に確保できる。
また、投票用紙分類機3による分類処理は、係員による操作ボタン7の押下によって開始されているが、係員がホッパー16に投票用紙Hをセットすると自動で開始されてもよい。
また、投票用紙分類機3内には、投票用紙Hの重送状態や斜行状態や連鎖状態を防止したり、解消したりできる機構が設けられていてもよい。
なお、投票用紙分類システム1は、投票用紙分類機3と制御PC4とを少なくとも有していればよいので、前述したプリンター5は適宜取捨されてもよい。また、前述したように、投票用紙分類機3と制御PC4とを一体化した構成(制御PC4が投票用紙分類機3に組み込まれた構成)としてもよい。この構成では、制御PC4の表示部8や操作部9が投票用紙分類機3に配置され、制御PC4の制御部70と全体制御部55とが一体化されることになる。
また、未確定票における(未確定の)要因のうち、発生する頻度が極端に低い要因については、個別のスタッカ34やリジェクトトレイ17に割り当てることが無駄になるため、複数の要因の未確定票を1つのスタッカ34やリジェクトトレイ17に振り分けるように設定してもよい。
また、制御PC4は、白票、無効票、疑問票、リジェクト票およびオーバーフロー票のすべてを未確定票に識別していたが、都合に応じて、これらの少なくとも1つ以上を未確定票に識別してもよい。
また、前述した投票用紙Hは、候補者名および政党名のいずれかを記載できるようになっていたが、候補者名しか記載できないものであってもよいし、政党名しか記載できないものであってもよい。また、前述した実施形態では、投票用紙Hは、候補者名(または政党名)が記入されるタイプ(自書式)になっていたが、たとえば全候補者名が予め記載されていて、有権者が、投票用紙H上で、(選びたい)候補者名を○「まる」で囲ったり、その候補者名の近くに○を付けたり、選びたくない候補者名の近くに×「ばつ」を付けたりするタイプであってもよい。
また、この実施形態のように搬送路80において反転ユニットを通る部分から外れた位置に収納部(ここではリジェクトトレイ17)を接続する構成を、投票用紙分類機3以外に、紙幣処理機等に適用することができる。
また、投票用紙Hの厚みを検出する厚み検知センサを利用して、点字が刻印された投票用紙Hであるか否かを判定する機能を追加した上で、点字が刻印された投票用紙Hであると判定された投票用紙Hは、第1読取センサ31および第2読取センサ32による読取結果にかかわらず、所定のリジェクトトレイ17へ振り分けるようにしてもよい。イメージに基づく処理では、点字が刻印された投票用紙Hは、白票と判定される可能性が高く、実際の白票に混入すると後処理が面倒である。また、点字で刻印された投票用紙Hについては、投票用紙分類機3内での搬送距離を最小限に抑えることで、点字がつぶれないように処理できる。
また、スイッチバック反転部48およびスパイラル反転部50については、投票用紙Hの向きを同様に変換できるものであれば、たとえば特開平9−212699号等に記載される他の方式を採用してもよい。
3 投票用紙分類機
16 ホッパー
17 リジェクトトレイ
21 スイッチバック搬送路
23 スパイラル搬送路
34 スタッカ
45 繰出部
55 全体制御部
57 スタッカ制御部
70 制御部
75 スイッチバック反転ユニット
76 スパイラル反転ユニット
80 搬送路
81 異常検知センサ
H 投票用紙

Claims (5)

  1. 分類すべき投票用紙をセットするためのセット部と、
    前記セット部にセットされた投票用紙を1枚ずつ繰り出す繰出手段と、
    前記繰出手段によって繰り出された投票用紙を識別する識別手段と、
    前記識別手段によって識別された投票用紙を収納するための第1収納部と、
    前記セット部と前記第1収納部とを結び、投票用紙を搬送するための搬送路と、
    前記搬送路に設けられ、投票用紙の向きを反転させる反転ユニットと、
    前記搬送路において前記反転ユニットを通る部分から外れた位置に接続されており、前記識別手段によって識別された投票用紙を収納するための第2収納部と、
    前記識別手段によって未確定票と識別された投票用紙のうち、白票および投票用紙の向きを識別できた第1疑問票の少なくとも一方を前記第1収納部へ送り込み、搬送不良票および投票用紙の向きすら識別できない第2疑問票を前記第2収納部へ送り込む手段と、
    を含むことを特徴とする、投票用紙分類機。
  2. 前記第2収納部は、複数設けられ、前記搬送路において、投票用紙の搬送方向において前記反転ユニットよりも上流側の位置に接続されていることを特徴とする、請求項1記載の投票用紙分類機。
  3. 前記識別手段による識別結果に応じて、投票用紙を、複数の前記第2収納部におけるいずれかに振り分ける振分手段を含むことを特徴とする、請求項2記載の投票用紙分類機。
  4. 投票用紙に点字が刻印されているか否かを判定する手段と、
    点字が刻印されていると判定された投票用紙を前記第2収納部へ振り分ける手段と、
    を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の投票用紙分類機。
  5. 前記反転ユニットの異常を検知する検知手段と、
    前記検知手段が前記反転ユニットの異常を検知したことに応じて、搬送途中の投票用紙を前記第2収納部へ送り込む送込手段と、
    を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の投票用紙分類機。
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