以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図16は、本実施の形態による紙幣処理機を示す図である。このうち、図1は、本発明の実施の形態による紙幣処理機の外観を示す斜視図であり、図2は、図1に示す紙幣処理機の内部構成を概略的に示す概略構成図である。また、図3乃至図6は、それぞれ、図1等に示す紙幣処理機の機体内に設けられた表裏反転装置の構成を示す斜視図、正面図、上面図および側面図である。また、図7乃至図9は、それぞれ、図3等に示す表裏反転装置における第1搬送部およびガイド部の構成を示す斜視図、正面図および上面図である。また、図10乃至図13は、それぞれ、図3等に示す表裏反転装置における第2搬送部の構成を示す斜視図、正面図および上面図である。また、図14および図15は、それぞれ、図10等に示す第2搬送部における一対の循環ベルトの構成を示す斜視図および上面図である。また、図16(a)は、第1搬送部により搬送される紙幣の幅方向におけるガイド部により所定回りに略90°変位させられる一部分を示す説明図であり、図16(b)は、紙幣の幅方向における第2搬送部により所定回りに略90°変位させられる一部分を示す説明図である。なお、図3乃至図16において、表裏反転装置における紙幣の搬送方向を白抜きの矢印で示している。
図1および図2に示すように、本実施の形態による紙幣処理機10は、略直方体形状の筐体11と、紙幣を筐体11の内部に取り込むための取込部12と、取込部12により筐体11の内部に取り込まれた紙幣を当該筐体11の内部で搬送するための搬送機構16と、搬送機構16により搬送される紙幣の金種、真偽、正損、表裏、搬送状態等の識別を行う識別部18と、識別部18により識別された紙幣が積層状態で例えば金種毎に集積される複数(図1等に示す例では4つ)の集積部20a〜20dとを備えている。このような紙幣処理機10の各構成部材の詳細について以下に説明する。
本実施の形態による紙幣処理機10では、紙幣の処理が行われる際に、操作者により複数の紙幣が取込部12に積層状態で載置されるようになっている。また、図1および図2に示すように、取込部12にはフィードローラ、キッカローラおよびゲートローラ等からなる繰出機構14が設けられており、取込部12に積層状態で載置された紙幣は1枚ずつ繰出機構14により筐体11の内部に繰り出されるようになっている。より詳細には、取込部12に積層状態で載置された複数の紙幣のうち最下層に位置する紙幣がキッカローラにより筐体11の内部に向かって(すなわち、図2における左下方向に)1枚ずつ蹴り出され、キッカローラにより蹴り出された紙幣がフィードローラにより筐体11の内部に繰り出されるようになっている。また、フィードローラにより紙幣が筐体11の内部に繰り出される際に、当該紙幣はフィードローラとゲートローラとの間に形成されるゲート部を通過することにより1枚ずつに分離されるようになっている。
取込部12により筐体11の内部に取り込まれた紙幣は搬送機構16により搬送されるようになっている。ここで、紙幣はその短手方向に沿って搬送機構16により搬送されるようになっている。また、図2に示すように、搬送機構16は、上流側搬送機構16aと、上流側搬送機構16aの下流側に並列に設けられた第1搬送機構16bおよび第2搬送機構16cと、第1搬送機構16bおよび第2搬送機構16cが合流する下流側搬送機構16dとから構成されており、上流側搬送機構16aにより搬送される紙幣は第1搬送機構16bおよび第2搬送機構16cのうちいずれか一方に送られるようになっている。また、図2に示すように、上流側搬送機構16aには識別部18が設けられており、上流側搬送機構16aにより搬送される紙幣は識別部18によりその金種、真偽、正損、新旧、表裏、搬送状態等の識別が行われるようになっている。また、上流側搬送機構16aには2つのリジェクト部22a、22bが接続されており、識別部18により正常な紙幣ではないと識別された紙幣や識別部18により識別することができなかった紙幣はリジェクト紙幣として上流側搬送機構16aから各リジェクト部22a、22bに送られ、これらのリジェクト部22a、22bに積層状態で集積されるようになっている。図1に示すように、各リジェクト部22a、22bは筐体11の外部に露出しており、操作者は各リジェクト部22a、22bに集積されたリジェクト紙幣をこれらのリジェクト部22a、22bから取り出して取込部12に再投入することができるようになっている。
図2に示すように、第1搬送機構16bには表裏反転装置40が設けられており、上流側搬送機構16aから第1搬送機構16bに送られた紙幣は表裏反転装置40よりその表裏が選択的に反転させられるようになっている。このような表裏反転装置40の構成の詳細については後述する。
筐体11の内部における下部領域には4つの集積部20a、20b、20c、20dが並列に設けられており、第1搬送機構16bや第2搬送機構16cから下流側搬送機構16dに送られた紙幣が各集積部20a、20b、20c、20dに例えば金種毎に分類されてこれらの集積部20a、20b、20c、20dで積層状態に集積されるようになっている。また、図1に示すように各集積部20a、20b、20c、20dの前面は開口しており、操作者は各集積部20a、20b、20c、20dの内部にアクセスしてこれらの集積部20a、20b、20c、20dに積層状態で集積されている紙幣を筐体11の外部に取り出すことができるようになっている。
また、図2に示すように、上流側搬送機構16aには、当該上流側搬送機構16aから紙幣を分岐させるための分岐爪等からなる分岐部材32a、32bが設けられている。各分岐部材32a、32bは、それぞれ、識別部18から排出された紙幣が上流側搬送機構16aにより搬送される際に当該紙幣を上流側搬送機構16aから分岐させて各リジェクト部22a、22bに送るようになっている。また、下流側搬送機構16dには、当該下流側搬送機構16dから紙幣を分岐させるための分岐爪等からなる分岐部材30a、30b、30cが設けられている。各分岐部材30a、30b、30cは、それぞれ、下流側搬送機構16dにより紙幣により搬送される際に当該紙幣を下流側搬送機構16dから分岐させて各集積部20a、20b、20cに送るようになっている。また、上流側搬送機構16aから第1搬送機構16bや第2搬送機構16cへの分岐箇所にも分岐部材33が設けられており、この分岐部材33により上流側搬送機構16aにより搬送される紙幣が第1搬送機構16bまたは第2搬送機構16cのうちいずれか一方に送られるようになっている。より詳細には、識別部18により識別された紙幣の表裏の向きが所定の向きである場合には、当該紙幣は分岐部材33により第2搬送機構16cに送られるようになっている。この場合は、当該紙幣は表裏反転装置40によりその表裏が反転させられることはない。一方、識別部18により識別された紙幣の表裏の向きが所定の向きではない場合には、当該紙幣は分岐部材33により第1搬送機構16bに送られるようになっている。この場合は、当該紙幣は表裏反転装置40によりその表裏が反転させられる。このようにして、各集積部20a、20b、20c、20dに集積される紙幣の表裏の向きを揃えることができるようになる。
また、図2に示すように、筐体11の内部には、紙幣処理機10の各構成部材の制御を行う制御部34が設けられている。ここで、識別部18による紙幣の識別結果に係る情報は制御部34に送られるようになっている。また、制御部34は、紙幣処理機10の各構成部材(具体的には、繰出機構14、搬送機構16、表裏反転装置40、各分岐部材30a、30b、30c、32a、32b、等)に指令信号を送ることによりこれらの各構成部材の制御を行うようになっている。本実施の形態では、制御部34は、識別部18による紙幣の識別結果に基づいて紙幣の表裏を反転させるか否かを判断するようになっており、このような判断結果に基づいて分岐部材33により上流側搬送機構16aにより搬送される紙幣を第1搬送機構16bまたは第2搬送機構16cのうちどちらに送るかを決めるようになっている。すなわち、分岐部材33は、制御部34による判断に基づいて紙幣を第1搬送機構16bおよび第2搬送機構16cのうちいずれか一方に送る選別部として機能するようになっている。
次に、表裏反転装置40の構成の詳細について図3乃至図16を用いて説明する。図3等に示すように、表裏反転装置40は、紙幣を所定の搬送方向に沿って搬送する第1搬送部50と、第1搬送部50により搬送される紙幣の幅方向における一部分を搬送方向を中心として所定回りに略90°変位させるガイド部60と、紙幣の搬送方向における第1搬送部50の下流側に設けられ、第1搬送部50から受け渡された紙幣を搬送方向に沿って搬送する第2搬送部70とを備えている。また、第2搬送部70は、第1搬送部50から受け渡された紙幣のうちガイド部60により略90°変位させられた部分を搬送方向を中心として所定回りに更に略90°変位させながら当該紙幣を搬送方向に沿って搬送するようになっている。なお、「紙幣の一部を搬送方向を中心として略90°変位させる」とは、紙幣の一部の向き(位相)を、紙幣の搬送方向に沿って上流側から下流側に向かって見たときに当該紙幣の搬送方向を中心として反時計回りに略90°変えるよう、紙幣の一部を搬送方向を中心として略90°回転させることをいう。このように、本実施の形態による表裏反転装置40では、ガイド部60により紙幣の幅方向における一部分を搬送方向を中心として所定回りに略90°変位させ、その後に第2搬送部70により紙幣におけるガイド部60により略90°変位させられた部分を搬送方向を中心として更に所定回りに略90°変位させることにより、紙幣を略180°変位させる、すなわち紙幣の表裏を反転させるようになっている。なお、本実施の形態では、表裏反転装置40において紙幣はその短手方向に沿って搬送されるようになっている。しかしながら、本実施の形態はこのような態様に限定されることはなく、表裏反転装置40において紙幣がその長手方向に沿って搬送されるようになっていてもよい。
図3乃至図6等に示すように、表裏反転装置40の入口部分には、ガイド部材44と、このガイド部材44に設けられた2組の一対の搬送ローラ46、48とがそれぞれ設けられている。ここで、各搬送ローラ46の外周面にはゴム等の弾性体が設けられており、これらの搬送ローラ46は対応する搬送ローラ48に押圧されるようになっている。このため、各搬送ローラ46と各搬送ローラ48との間にはニップ部が形成されるようになる。また、各搬送ローラ46は駆動軸46aに取り付けられており、当該駆動軸46aが図示しない駆動モータによって回転させられることにより各搬送ローラ46が回転するようになっている。そして、第1搬送機構16bから表裏反転装置40に送られた紙幣は各組の一対の搬送ローラ46、48の間に形成されるニップ部に送られ、当該紙幣は各搬送ローラ46、48により所定の搬送方向に沿ってガイド部材44上で搬送されるようになる。
次に、表裏反転装置40における第1搬送部50およびガイド部60の構成について図7乃至図9を用いて説明する。第1搬送部50は、ガイド部材52と、このガイド部材52に設けられた4つの搬送ローラ54と、各搬送ローラ54に対応するよう設けられた4つの搬送ローラ56とを有している。ここで、ガイド部材52は、ガイド部材44の上方にわずかな隙間を隔てて配置されている。また、ガイド部材52は、図3に示す表裏反転装置40を手前側から見て当該表裏反転装置40の幅方向における中央位置(図4、図5、図8、図9等において参照符合Mで示す二点鎖線)に対して片側(具体的には、中央位置よりも左側)に設けられている。そして、各組の一対の搬送ローラ46、48の間に形成されるニップ部を通過した後にガイド部材44上で搬送される紙幣の幅方向における左側半分の領域は、ガイド部材44とガイド部材52との間に形成される隙間を通過するようになる。また、各搬送ローラ56の外周面にはゴム等の弾性体が設けられており、これらの搬送ローラ56は対応する搬送ローラ54に押圧されるようになっている。このため、各搬送ローラ54と各搬送ローラ56との間にはニップ部が形成されるようになる。また、各搬送ローラ56は駆動軸56aに取り付けられており、当該駆動軸56aが図示しない駆動モータによって回転させられることにより各搬送ローラ56が回転するようになっている。そして、ガイド部材44とガイド部材52との間に形成される隙間に送られた、紙幣の幅方向における左側半分の領域が各搬送ローラ54と各搬送ローラ56との間にはニップ部に送られる。このことにより、紙幣の幅方向における左側半分の領域が各搬送ローラ54、56により所定の搬送方向に沿って搬送されるようになる。なお、本実施の形態では、第1搬送部50において、各搬送ローラ54、56(第1ローラ)により紙幣を搬送する態様に限定されることはない。他の例として、互いに表面が接触する一対のベルト(第1ベルト)を有する第1搬送部が用いられてもよい。この場合には、第1搬送部において紙幣は一対のベルトの間で搬送されるようになる。
また、表裏反転装置40の幅方向において第1搬送部50の隣にガイド部60が設けられている。ガイド部60は、第1搬送部50によりその幅方向における左側半分の領域が搬送される紙幣の右側半分の領域を案内するようになっている。より詳細には、図7等に示すように、ガイド部60は、第1ガイド部分62と、第2ガイド部分64と、第3ガイド部分66とを有しており、各ガイド部分62、64、66は、第1搬送部50による紙幣の搬送面(すなわち、ガイド部材44の表面)に対して搬送方向において傾斜している。ここで、第1ガイド部分62および第2ガイド部分64は表裏反転装置40の幅方向において左右に並ぶよう配置されており、第3ガイド部分66は紙幣の搬送方向における第1ガイド部分62および第2ガイド部分64の下流側に設けられている。なお、第2ガイド部分64は第1ガイド部分62よりも表裏反転装置40の幅方向における中央側に設けられており、ガイド部材44の表面に対する第2ガイド部分64の傾斜角度はガイド部材44の表面に対する第1ガイド部分62の傾斜角度よりも大きくなっている。また、第1ガイド部分62および第2ガイド部分64の表面と、第3ガイド部分66の表面との間には段差が形成されていない。このようなガイド部60の構成により、第1搬送部50によりその幅方向における左側半分の領域が搬送される紙幣の右側半分の領域はガイド部材44の表面から徐々に離れるよう案内され(図7等における紙幣P2参照)、図8に示すように当該紙幣の幅方向における一部分が搬送方向を中心として所定回り(具体的には、図8における反時計回り)に略90°変位させられるようになる。
また、図7乃至図9等に示すように、第1搬送部50のガイド部材52と、ガイド部60との間には隙間68が形成されている。この隙間68は、第1搬送部50による紙幣の搬送面に直交する方向(すなわち、図8における上下方向)に延びるとともに、紙幣の搬送方向に沿って延びるようになっている。そして、第1搬送部50により搬送される紙幣におけるガイド部60により所定回りに略90°変位させられた一部分はこの隙間68に入るようになっている。ここで、本実施の形態では、図8に示すように、表裏反転装置40の幅方向における隙間68の位置は当該表裏反転装置40の幅方向における中央位置(図8において参照符合Mで示す二点鎖線の位置)よりも左側に位置している。このため、第1搬送部50により搬送される紙幣におけるガイド部60により所定回りに略90°変位させられる一部分の位置は、当該紙幣の幅方向における中央位置よりも左側に寄った位置となる。図16(a)において、第1搬送部50により搬送される紙幣におけるガイド部60により所定回りに略90°折られる位置を参照符合Q1で示す。
次に、表裏反転装置40における第2搬送部70の構成について図10乃至図15を用いて説明する。図10や図14等に示すように、第2搬送部70は、紙幣を搬送する一対の帯状の循環ベルト72、76(第2ベルト)と、各循環ベルト72、76により搬送される紙幣を表裏反転装置40の幅方向外側へ案内する上側紙幣ガイド部材80および下側紙幣ガイド部材88と、を有している。
図14および図15に示すように、帯状の平ベルトから構成される循環ベルト72は複数のプーリ73に張架されており、その一部分72aは紙幣の搬送方向に沿って概ね直線状に延びるようになっている。また、帯状の平ベルトから構成される循環ベルト76は複数のプーリ77に張架されており、その一部分76aは紙幣の搬送方向に沿って概ね直線状に延びるようになっている。また、循環ベルト72の一部分72aおよび循環ベルト76の一部分76aは互いに接触しており、紙幣の幅方向における一部分はこれらの循環ベルト72の一部分76aと循環ベルト76の一部分76aとの間で搬送されるようになっている。また、第2搬送部70の上流側端部の近傍には、表裏反転装置40の幅方向に沿って左右に並ぶよう設けられた入口側ローラ74、78が互いに接するように設けられている。より詳細には、入口側ローラ74は循環ベルト72よりも紙幣の搬送方向における手前側に配置されている。また、循環ベルト76が張架される複数のプーリ77のうちある一つのプーリ77が入口側ローラ78として用いられるようになっている。そして、これらの入口側ローラ74、78の間のニップ部に送られた、紙幣の幅方向における一部分が循環ベルト72の一部分72aと循環ベルト76の一部分76aとの間に受け渡され、これらの循環ベルト72の一部分72aと循環ベルト76の一部分76aとの間で搬送されるようになっている。また、図14および図15に示すように、循環ベルト72の一部分72aおよび循環ベルト76の一部分76aは、その入口側の幅方向が垂直方向に延びているのに対し出口側の幅方向が水平方向に延びるよう、入口側の幅方向に対して出口側の幅方向が略90°ねじれている。このため、循環ベルト72の一部分72aと循環ベルト76の一部分76aとの間でその幅方向における一部分が搬送される紙幣は、紙幣の搬送方向に沿って上流側から下流側に向かって見たときに当該搬送方向を中心として反時計回りに略90°変位させられる。
ここで、本実施の形態では、図5に示すように、表裏反転装置40の幅方向における入口側ローラ74、78の間のニップ部(すなわち、第2搬送部70の入口部分)の位置は、第1搬送部50のガイド部材52とガイド部60との間に形成される隙間68の位置と略同一となっている。このことにより、幅方向における一部分が隙間68を通る紙幣は、第2搬送部70の入口部分に設けられた入口側ローラ74、78の間にスムーズに送られるようになる。また、上述したように、表裏反転装置40の幅方向における隙間68の位置は、当該表裏反転装置40の幅方向における中央位置(図5等において参照符合Mで示す二点鎖線の位置)よりも左側に位置しているため、第2搬送部70の入口部分に設けられた入口側ローラ74、78の間のニップ部も、表裏反転装置40の幅方向における中央位置よりも左側に位置するようになる。図5や図11乃至図13において、表裏反転装置40の幅方向における入口側ローラ74、78の間のニップ部の位置を参照符合L1の二点鎖線で示す。また、第1搬送部50による紙幣の搬送面に直交する方向(すなわち、図4や図11、図12の上下方向)における、第2搬送部70の入口部分に設けられた入口側ローラ74、78の間のニップ部の位置(図12において参照符合L2で表示)と、第1搬送部50における各組の一対の搬送ローラ54、56の間に形成されるニップ部の位置(図12において参照符合Nで表示)とは互いに異なるようになっている。すなわち、図4や図11、図12の上下方向において、第2搬送部70の入口部分に設けられた入口側ローラ74、78の間のニップ部は、第1搬送部50における各組の一対の搬送ローラ54、56の間に形成されるニップ部よりも上方に位置するようになっている。また、第2搬送部70の入口部分に設けられた入口側ローラ74、78の間のニップ部に送られる、紙幣の幅方向における一部分の位置は、当該紙幣の幅方向における中央位置からずれた位置となる。より詳細には、上述したように、第1搬送部50により搬送される紙幣におけるガイド部60により所定回りに略90°折られる位置は、当該紙幣の幅方向における中央位置よりも左側に寄った位置となる。これに対し、図4や図11、図12の上下方向において、第2搬送部70の入口部分に設けられた入口側ローラ74、78の間のニップ部は、第1搬送部50における各組の一対の搬送ローラ54、56の間に形成されるニップ部よりも上方に位置するため、第2搬送部70の入口部分に設けられた入口側ローラ74、78の間のニップ部に送られる、紙幣の幅方向における一部分の位置は、当該紙幣の幅方向における中央位置よりも右側に寄った位置となる。すなわち、第2搬送部70により所定回りに更に略90°変位させられる紙幣の一部分の位置は、当該紙幣の幅方向における中央位置よりも右側に寄った位置となる。図16(b)において、第2搬送部70により所定回りに更に略90°変位させられる紙幣の一部分の位置を参照符合Q2で示す。ここで、図16(b)における中央位置Mと位置Q1との間の距離、および中央位置Mと位置Q2との間の距離は、第2搬送部70から排出された紙幣が表裏反転装置40の幅方向における中央位置に位置するような大きさに設定されている。具体的には、中央位置Mと位置Q1との間の距離と、中央位置Mと位置Q2との間の距離との大きさを略同一とすることにより、ガイド部60により位置Q1で略90°折られた紙幣を第2搬送部70の各循環ベルト72、76により位置Q2で挟持して更に略90°変位させることができるようになるため、第2搬送部70から排出された紙幣の幅方向における中央位置は図16(b)における中央位置M(すなわち、表裏が反転させられる前の紙幣の幅方向における中央位置)と略一致するようになる。
また、図10等に示すように、各循環ベルト72、76の上方には上側紙幣ガイド部材80が設けられている。より詳細には、上側紙幣ガイド部材80は、紙幣の搬送方向に沿って見たときの右側半分の箇所に位置している上方右側部分82と、紙幣の搬送方向に沿って見たときの左側半分の箇所に位置する上方左側部分84とを有しており、上方左側部分84には、紙幣の搬送方向に対して略45°の角度をなすよう設けられた上方傾斜部分86が設けられている。そして、各循環ベルト72、76により搬送される紙幣は上側紙幣ガイド部材80に沿って搬送されるようになる。この際に、上方傾斜部分86により、各循環ベルト72、76により搬送される紙幣の幅方向における左側部分が搬送路の幅方向外側に案内されるようになる。また、各循環ベルト72、76の下方には下側紙幣ガイド部材88が設けられている。より詳細には、下側紙幣ガイド部材88は、紙幣の搬送方向に沿って見たときの右側半分の箇所に位置している下方右側部分88aと、紙幣の搬送方向に沿って見たときの左側半分の箇所に位置する下方左側部分88bとを有しており、下方右側部分88aには、紙幣の搬送方向に対して略45°の角度をなすよう設けられた下方傾斜部分88cが設けられている。そして、各循環ベルト72、76により搬送される紙幣は下側紙幣ガイド部材88に沿って搬送されるようになる。この際に、下方傾斜部分88cにより、各循環ベルト72、76により搬送される紙幣の幅方向における右側部分が搬送路の幅方向外側に案内されるようになる。
また、図3、図4、図6等に示すように、第1搬送部50、ガイド部60および第2搬送部70の上方および下方にはそれぞれ上側板状部材42および下側板状部材43が位置固定で設けられており、これらの上側板状部材42および下側板状部材43の間の領域で第1搬送部50や第2搬送部70により紙幣が搬送されるようになっている。上述したように、紙幣の幅方向における一部分が循環ベルト72の一部分72aと循環ベルト76の一部分76aとの間で搬送される際に、紙幣の搬送方向に沿って見たときに当該搬送方向を中心として紙幣が反時計回りに略90°変位させられるが、このときに、上側板状部材42によって紙幣の上端部分が高さ方向において規制(制限)させられるようになる。また、紙幣が第1搬送部50から第2搬送部に受け渡されるとこの紙幣は全体的に図4における上下方向に延びるようになるが、このときに、下側板状部材43によって紙幣の下端部分が高さ方向において規制(制限)させられるようになる。このように、上側板状部材42および下側板状部材43を位置固定で設けることにより、表裏反転装置40の高さを小さくすることができ、よって紙幣処理機10の筐体11の内部における表裏反転装置40の設置に必要なスペースを十分に確保することができるようになる。
次に、このような表裏反転装置40の動作(具体的には、表裏反転装置40により紙幣の表裏を反転させる動作)について説明する。表裏反転装置40により紙幣の表裏が反転させられる際に、当該紙幣は図3等において参照符合P1〜P5で順に示されるような状態で第1搬送部50および第2搬送部70により搬送されるようになる。より詳細には、第1搬送機構16bから表裏反転装置40に送られた紙幣は、まずは各組の一対の搬送ローラ46、48の間に形成されるニップ部に送られる(図3等において参照符合P1で表示)。また、図示しない駆動モータによって駆動軸46aが回転させられることにより各搬送ローラ46が図6における反時計回りの方向に回転させられる。このことにより、各組の一対の搬送ローラ46、48の間に形成されるニップ部に送られた紙幣は各搬送ローラ46、48により所定の搬送方向に沿ってガイド部材44上で搬送されるようになる。
そして、ガイド部材44上で搬送される紙幣における左側半分の領域はガイド部材52とガイド部材44との間の隙間に送られ、この隙間に送られた紙幣の左側半分の領域は各組の一対の搬送ローラ54、56の間に形成されるニップ部に送られる。また、図示しない駆動モータによって駆動軸56aが回転させられることにより各搬送ローラ56が図6における反時計回りの方向に回転させられる。このことにより、各組の一対の搬送ローラ54、56の間に形成されるニップ部に送られた紙幣の左側半分の領域は各搬送ローラ54、56により所定の搬送方向に沿ってガイド部材52とガイド部材44との間の隙間で搬送されるようになる。一方、ガイド部材44上で搬送される紙幣における右側半分の領域はガイド部60に送られ、このガイド部60により案内されるようになる。より詳細には、ガイド部材44上で搬送される紙幣における右側半分の領域はまず第1ガイド部分62や第2ガイド部分64によりガイド部材44から上方に持ち上げられ、その後に第3ガイド部分66により更に上方に持ち上げられるようになる。このことによって、図7乃至図9において参照符合P2で示すように、紙幣の幅方向における一部分が搬送方向を中心として所定回り(具体的には、図8における反時計回り)に略90°変位させられるようになる。また、第1搬送部50により搬送される紙幣におけるガイド部60により所定回りに略90°変位させられた一部分は、第1搬送部50のガイド部材52とガイド部60との間に形成される隙間68に入るようになる。なお、上述したように、表裏反転装置40の幅方向における隙間68の位置は当該表裏反転装置40の幅方向における中央位置よりも左側に位置しているため、第1搬送部50により搬送される紙幣におけるガイド部60により所定回りに略90°折られる位置は、当該紙幣の幅方向における中央位置よりも左側に寄った位置となる。
その後、第1搬送部50のガイド部材52とガイド部60との間に形成される隙間68を通った紙幣は第2搬送部70における一対の入口側ローラ74、78の間に形成されるニップ部に送られるようになる。このような一対の入口側ローラ74、78の間に形成されるニップ部に送られた紙幣を図10、図11、図13および図14において参照符合P3で示す。より詳細には、紙幣の幅方向における一部分がニップ部に送られるようになり、この一部分がニップ部から循環ベルト72の一部分72aと循環ベルト76の一部分76aとの間に受け渡され、これらの循環ベルト72の一部分72aと循環ベルト76の一部分76aとの間で紙幣の幅方向における一部が搬送されるようになる。ここで、上述したように、循環ベルト72の一部分72aと循環ベルト76の一部分76aとの間でその幅方向における一部分が搬送される紙幣は、当該紙幣の搬送方向に沿って上流側から下流側に向かって見たときに当該搬送方向を中心として反時計回りに略90°変位させられる。なお、上述したように、第2搬送部70により所定回りに更に略90°変位させられる紙幣の一部分の位置は、当該紙幣の幅方向における中央位置よりも右側に寄った位置となる。また、各循環ベルト72、76により搬送される紙幣は上側紙幣ガイド部材80に沿って搬送されるようになる。この際に、上方傾斜部分86により、各循環ベルト72、76により搬送される紙幣の幅方向における左側部分が搬送路の幅方向外側(具体的には、紙幣の搬送方向に沿って上流側から下流側に向かって見たときの左方向)に案内されるようになる。また、各循環ベルト72、76により搬送される紙幣は下側紙幣ガイド部材88に沿って搬送されるようになる。この際に、下方傾斜部分88cにより、各循環ベルト72、76により搬送される紙幣の幅方向における右側部分が搬送路の幅方向外側(具体的には、紙幣の搬送方向に沿って上流側から下流側に向かって見たときの右方向)に案内されるようになる。このような紙幣を図10や図13等において参照符号P4で示す。また、各循環ベルト72、76により紙幣が搬送される際に、上側板状部材42や下側板状部材43によって紙幣の幅方向における上端部分や下端部分が高さ方向において規制(制限)させられるようになる。そして、各循環ベルト72、76により略90°変位させられた紙幣は第2搬送部70から排出される。第2搬送部70から排出される紙幣を図10や図13等において参照符合P5で示す。
このようにして、第1搬送部50により搬送させられる紙幣はガイド部60によりその幅方向における一部分が所定回り(具体的には、上流側から下流側に向かって見たときの反時計回り)に略90°変位させられる。また、第1搬送部50から第2搬送部70に受け渡された紙幣の幅方向における一部分が同じ向き(具体的には、上流側から下流側に向かって見たときの反時計回り)に更に略90°変位させられる。このことにより、第2搬送部70から排出される紙幣は、その表裏が反転させられたものとなる。
以上のように、本実施の形態の表裏反転装置40によれば、ガイド部60は、第1搬送部50により搬送される紙幣の幅方向における一部分を搬送方向を中心として所定回りに略90°変位させるようになっており、第2搬送部70は、第1搬送部50から受け渡された紙幣のうちガイド部60により略90°変位させられた部分(すなわち、図16(a)における位置Q1よりも右側の部分)を搬送方向を中心として同じ方向に更に略90°変位させながら当該紙幣を搬送方向に沿って搬送するようになっている。このように、紙幣の表裏を反転させるにあたり、ガイド部60により紙幣の幅方向における一部分を搬送方向を中心として略90°変位させ、その後にこの変位させられた部分を第2搬送部70により搬送方向を中心として更に略90°変位させることにより、紙幣全体を一度に180°回転させる場合と比較して紙幣が変位する領域の高さを抑えることができ、また、紙幣の表裏を反転させる途中で詰まり等のトラブルが生じた場合にもこのような紙幣の詰まりを容易に解除することができる。
より詳細に説明すると、従来の表裏反転装置では、第1搬送機構16bから送られた紙幣を所定の搬送方向に沿って搬送しながら当該搬送方向を中心として紙幣全体を一度に180°回転させることにより紙幣の表裏を反転させていた。しかしながら、このような従来の表裏反転装置では紙幣全体が搬送方向を中心として一度に180°回転するため、紙幣の幅方向の長さ分だけ表裏反転装置の内部スペースの高さを確保しなければならず、紙幣処理機10の内部における表裏反転装置の設置スペースに制約が生じてしまうという問題があった。また、紙幣全体を一度に180°回転させる場合には紙幣を回転させる機構の構造が複雑となるため、紙幣を回転させる途中で詰まり等のトラブルが生じた場合には、このような紙幣の詰まりを解除するのに手間がかかりメンテナンス性が悪いという問題があった。これに対し、本実施の形態による表裏反転装置40では、紙幣の表裏を反転させるにあたり、紙幣の搬送方向を中心として当該紙幣を略90°ずつ2段階で変位させているため、紙幣全体を一度に180°回転させるような従来の表裏反転装置の上記の問題を解消することができるようになる。
なお、上記の説明では、ガイド部60により紙幣の幅方向における一部分を搬送方向を中心として略90°変位させ、その後にこの変位させられた部分を第2搬送部70により搬送方向を中心として更に略90°変位させる態様について述べたが、本実施の形態ではこのような態様に限定されることはない。他の態様として、ガイド部60により紙幣の幅方向における一部分を搬送方向を中心として90°以外の第1の角度だけ変位させ、その後にこの変位させられた部分を第2搬送部70により搬送方向を中心として更に90°以外の第2の角度だけ変位させるようになっていてもよい。この際に、第1の角度および第2の角度の合計が略180°となっている。このことにより、紙幣の搬送方向を中心として当該紙幣を第1の角度および第2の角度で2段階で変位させることにより、当該紙幣の表裏を反転させることができる。また、この場合でも、紙幣全体を一度に180°回転させる場合と比較して紙幣が変位する領域の高さを抑えることができ、また、紙幣の表裏を反転させる途中で詰まり等のトラブルが生じた場合にもこのような紙幣の詰まりを容易に解除することができる。
また、本実施の形態の表裏反転装置40においては、上述したように、第1搬送部50による紙幣の搬送面に直交する方向において、第1搬送部50(具体的には、各組の一対の搬送ローラ54、56の間に形成されるニップ部)の位置と、第2搬送部70の入口部分(具体的には、一対の入口側ローラ74、78の間に形成されるニップ部)の位置とが互いに異なるようになっている(図12参照)。ここで、第1搬送部50による紙幣の搬送面に直交する方向における第1搬送部50の位置と第2搬送部70の入口部分の位置とが略同一である場合には、ガイド部60により略90°折られた紙幣の部分(すなわち、紙幣の折り目)が第2搬送部70の入口部分に一致し、紙幣における略90°折られた部分が一対の入口側ローラ74、78の間に形成されるニップ部に衝突し、第1搬送部50から第2搬送部70に紙幣をスムーズに受け渡すことができない場合がある。このため、第1搬送部50よりも上方の位置で紙幣を受け取り、紙幣における略90°折られた部分を第1搬送部50と略同一の高さ位置で第2搬送部70へ受け渡すための中間搬送部を、第1搬送部50と第2搬送部70との間に設けなければならず、この場合には、中間搬送部の長さ分だけ紙幣の搬送方向における表裏反転装置40の長さを大きくしなければならない。これに対し、本実施の形態では、第2搬送部70を第1搬送部50よりも図4等における上方に位置させることにより、ガイド部60により略90°折られた紙幣の部分(すなわち、紙幣の折り目)と第2搬送部70の入口部分とが一致しなくなる。この場合には、中間搬送部を設けなくても第1搬送部50から第2搬送部70に紙幣をスムーズに受け渡すことができるようになるため、紙幣の搬送方向における表裏反転装置40の長さを小さくすることができる。このことにより、表裏反転装置40をより一層コンパクトなものとすることができる。なお、第1搬送部として、互いに表面が接触する一対のベルト(第1ベルト)を有する第1搬送部が用いられる場合には、第1搬送部による紙幣の搬送面に直交する方向における一対のベルトの間に形成されるニップ部の位置と、第2搬送部70の入口部分(具体的には、一対の入口側ローラ74、78の間に形成されるニップ部)の位置とが互いに異なるようにする。
また、本実施の形態の表裏反転装置40においては、上述したように、ガイド部60は、第1搬送部50による紙幣の搬送面に対して搬送方向において傾斜している傾斜部分(具体的には、第1ガイド部分62、第2ガイド部分64、第3ガイド部分66)を含んでいる。このことにより、第1搬送部50により搬送される紙幣における右側半分の領域はガイド部60の傾斜部分によって当該第1搬送部50による紙幣の搬送面(具体的には、ガイド部材44の表面)から上方に持ち上げられるようになる。このことによって、紙幣の幅方向における一部分が搬送方向を中心として所定回りに略90°変位させられるようになる。
また、本実施の形態の表裏反転装置40においては、上述したように、第2搬送部70の入口部分(具体的には、一対の入口側ローラ74、78の間に形成されるニップ部)は、表裏反転装置40の幅方向における中央位置からずれた位置に設けられている(図11参照)。この場合には、第2搬送部70の入口部分で挟持される紙幣の一部分が当該紙幣の中央位置から幅方向にずれていた場合でも、第2搬送部70により略90°変位させられた後の紙幣は表裏反転装置40の幅方向における略中央に位置するようになる。
なお、本発明による表裏反転装置は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、本実施の形態による表裏反転装置の第2搬送部として、各循環ベルト72、76の代わりに、図17および図18に示すような複数の搬送ローラ91、92a〜92e、94、96a〜96eを有する第2搬送部90が用いられてもよい。図17は、変形例に係る表裏反転装置の第2搬送部90における複数の搬送ローラ91、92a〜92e、94、96a〜96eの構成を示す斜視図であり、図18は、図17に示す複数の搬送ローラ91、92a〜92e、94、96a〜96eの上面図である。
図17および図18に示すように、変形例に係る表裏反転装置では、第2搬送部90として、各循環ベルト72、76の代わりに、紙幣の搬送方向に沿って並ぶよう、一対の搬送ローラ(第2ローラ)92a〜92e、96a〜96eが5組設けられている。また、これらの各組の一対の搬送ローラ92a〜92e、96a〜96eの上流側には一対の搬送ローラ91、94(入口側ローラ)が設けられている。これらの各組の搬送ローラ91、92a〜92e、94、96a〜96eにおいて、一方の搬送ローラ91、92a〜92eが他方の搬送ローラ94、96a〜96eによりそれぞれ押圧されることによりこれらの各組の一対の搬送ローラ91、92a〜92e、94、96a〜96eの間にそれぞれニップ部が形成されるようになっている。そして、第2搬送部90において各搬送ローラ91、92a〜92e、94、96a〜96eにより搬送される紙幣は各組の一対の搬送ローラ91、92a〜92e、94、96a〜96eの間に形成されるニップ部を通過するようになっている。また、図17および図18に示すように、最も上流側に位置する一対の搬送ローラ91、94の間のニップ部は垂直方向を向いているのに対し、下流側の搬送ローラに向かうに従ってニップ部が徐々に垂直方向に対して角度を有するようになり、最も下流側の搬送ローラ92e、96eの間のニップ部は水平方向を向くようになる。このように、各組の一対の搬送ローラ91、92a〜92e、94、96a〜96eの間に形成されるニップ部の向きは、入口側のニップ部の向きに対して出口側のニップ部の向きが90°ねじれている。このため、各搬送ローラ91、92a〜92e、94、96a〜96eによりその幅方向における一部分が搬送される紙幣は、紙幣の搬送方向に沿って見たときに当該搬送方向を中心として反時計回りに略90°変位させられる。
また、変形例に係る表裏反転装置において、図17および図18に示すような各組の一対の搬送ローラ91、92a〜92e、94、96a〜96eを有する第2搬送部90を用いた場合にも、第1搬送部50による紙幣の搬送面に直交する方向において、第1搬送部50(具体的には、各組の一対の搬送ローラ54、56の間に形成されるニップ部)の位置と、第2搬送部90の入口部分(具体的には、一対の搬送ローラ91、94の間に形成されるニップ部)の位置とが互いに異なるようになっていることが望ましい。この場合には、第1搬送部50と第2搬送部90とが互いに干渉してしまうことを防止することができ、よって紙幣の搬送方向における表裏反転装置の長さを小さくすることができる。このことにより、表裏反転装置をより一層コンパクトなものとすることができる。また、表裏反転装置の幅方向において一対の搬送ローラ91、94の間に形成されるニップ部の位置が表裏反転装置の幅方向における中央位置からずれていることが望ましい。また、第2搬送部90により略90°変位させられる紙幣の幅方向における一部分が、当該紙幣の幅方向における中央位置からずれた位置となるよう、第2搬送部90が配置されていることが望ましい。
また、図1に示す紙幣処理機10では、鉛直方向に延びる第1搬送機構16bに、本発明に係る表裏反転装置が設けられるような態様が示されているが、このような態様に限定されることはない。他の例として、鉛直方向に対して傾斜している搬送機構や、水平方向に延びる搬送機構に、本発明に係る表裏反転装置が設けられるようになっていてもよい。
また、本発明に係る表裏反転装置は、紙幣の表裏を反転させるものに限定されることはない。本発明に係る表裏反転装置として、紙幣以外の紙葉類(例えば、小切手や商品券等)の表裏を反転させるものが用いられてもよい。また、本発明に係る紙葉類処理機は、紙幣の処理を行う紙幣処理機に限定されることはない。本発明に係る紙葉類処理機として、紙幣以外の紙葉類の処理を行うとともに、この紙葉類の表裏を反転させる表裏反転装置が設けられたものが用いられてもよい。